JP2004528574A - カプセル化細胞によるタンパク質の分泌法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、あらゆる目的のために完全に参照として組み入れられる、2001年5月26日に出願した米国特許出願第60/293,822号から優先権を得るものである。
【0002】
背景
ゲルマイクロドロップ(GMD)分泌アッセイ法は、ビオチン化マトリックスに細胞をカプセル化し、細胞の分泌分子を捕獲して蛍光マーカーで検出することを含む(17〜34)。栄養分、抗体、もしくは核酸プローブがマイクロドロップ内に拡散するのを妨げることなく、または分泌産物の拡散を妨げることなく、小さなマイクロドロップ(例えば、直径<50μm)により細胞周囲に明確な微小環境が創出される点で、本技術は他のカプセル化方法とは異なる。さらに、フローサイトメトリーを用いてマイクロドロップを容易に解析し、亜集団を検出することが可能である。各マイクロドロップ調製品を占有する細胞数はカプセル化に用いた細胞数に依存し、単一細胞カプセル化ではポアソン統計により近似される(19)。最初に0個または1個の細胞を含む可能性の高いマイクロドロップを得るため、2千万個のマイクロドロップに100万〜150万個の細胞をカプセル化する実験手順が開発されたが、それによるとおよそ5〜10%が単一細胞で占有される。エマルジョンを一時的に冷却することにより、ドロップがゲル化する。一度ゲル化すると、マイクロドロップは物理的にはっきりと識別でき、かつ頑強であり、低速の遠心分離により油性から水性媒体に取り出し得る。マイクロドロップアガロースマトリックスは透過性の半固形支持体であるため、カプセル化細胞に免疫化学的方法を行うことが可能である。
【発明の開示】
【0003】
特許請求された発明の概要
本発明は、分泌タンパク質の解析方法を提供する。この方法は細胞をマイクロドロップにカプセル化することを伴い、マイクロドロップはマトリックス成分分子、マトリックス成分分子に結合した第1ビオチン分子、細胞により分泌される分子に対する親和性を有する第2ビオチン分子に結合した捕獲分子、ならびに第1お第2二次ビオチン分子に結合するストレプトアビジンを含み、第1ビオチン分子とマトリックス成分分子のモル比は、モルマトリックス成分分子あたり0.85未満、好ましくは0.01〜0.2、選択的には0.02〜0.2モルビオチンである。分子は細胞から分泌され捕獲分子に結合することにより、マイクロドロップ内に保持される。次に、この分泌分子を検出する。方法によっては、マイクロドロップ内の第1ビオチン分子の濃度は42マイクロモルまたはそれ以下である。
【0004】
ある方法では、カプセル化段階で複数の細胞をマイクロドロップにカプセル化する。ある方法では、カプセル化段階で単一の細胞をマイクロドロップにカプセル化する。ある方法では、分泌分子は、タンパク質、ホルモン、または炭水化物である。ある方法では、ストレプトアビジンと捕獲分子を、細胞と同時にマイクロドロップにカプセル化する。ある方法では、カプセル化段階の後に、ストレプトアビジンと捕獲分子をマイクロドロップに組み込む。ある方法では、マイクロドロップは、第2分泌分子に対する親和性を有する第2捕獲分子を含み、第2捕獲分子は第2ビオチン分子のさらなるコピーに結合させてある。ある方法では、細胞は第2分子を分泌する。ある方法では、検出段階は、マイクロドロップを分泌分子に対する親和性を有する検出試薬と接触させ、検出試薬の分泌タンパク質への結合を検出することにより行う。ある方法では、検出試薬を標識化する。ある方法では、分泌分子に結合した標識検出試薬のシグナルは、マイクロドロップ内の分泌タンパク質のコピー数に比例する。ある方法では、検出段階は、マイクロドロップを分泌分子に対する特異的親和性を有する第1検出試薬および第2分泌分子に対する特異的親和性を有する第2検出試薬に接触させることによって行われ、第1および第2検出試薬は異なる方法で標識化しておく。ある方法では細胞は第3分泌分子を分泌し、マイクロドロップは第3分泌分子に対する親和性を有する第3捕獲分子をさらに含み、第3捕獲分子は第2ビオチン分子のさらなるコピーに結合させてあり、方法はマイクロドロップを分泌分子、第2分泌分子、第3分泌分子、および細胞表面マーカーそれぞれに対する特異的親和性を有する第1、第2、第3、および第4検出試薬と接触させることを含み、検出段階で分泌タンパク質、第2分泌タンパク質、第3分泌タンパク質、および細胞表面マーカーを検出する。ある方法では、検出段階は、マイクロドロップを分泌分子に対する親和性を有する第1検出試薬および細胞表面マーカー対する親和性を有する第2検出試薬に接触させることにより行われ、第1および第2検出試薬は異なる方法で標識化しておく。ある方法では、検出試薬と捕獲分子は分泌分子の異なるエピトープに結合する。ある方法では、マトリックス成分はアガロースである。ある方法では、分泌タンパク質は抗体である。ある方法では、分泌タンパク質はIgGアイソタイプの抗体であり、捕獲分子はIgGアイソタイプに特異的な抗体である。ある方法では、分泌タンパク質はサイトカインである。ある方法は、細胞が分泌分子を分泌するように誘導することをさらに含む。ある方法では、カプセル化段階の後に誘導を行う。ある方法では、カプセル化段階の前に誘導を行う。
【0005】
ある方法では、細胞は分泌タンパク質をコードする核酸セグメントを含むベクターを含み、セグメントは分泌タンパク質の発現をもたらす1つまたはそれ以上のDNA制御セグメントに機能的に結合させてある。ある方法では、分泌タンパク質は細胞によって自然に分泌される。ある方法では、検出段階の後に、細胞を増殖させて細胞株を作製する段階をさらに含む。ある方法では、細胞は患者から採取する。ある方法では、細胞は細胞障害性T細胞である。ある方法では、細胞を増殖させて得られた細胞集団を患者に導入することをさらに含む。ある方法では、細胞は幹細胞である。ある方法では、患者は自己免疫疾患を罹患し、細胞はTh2細胞である。ある方法では、細胞はインスリンを分泌する膵島細胞であり、患者は臨床症状発症前の前駆期にある。ある方法では、増殖段階中に細胞をIL-10で処理することをさらに含む。ある方法では、蛍光標識検出試薬の分泌分子への結合によって生じる蛍光シグナルに基づき、セルソーターを用いて細胞を他の細胞から分離することをさらに含む。ある方法では、細胞は第1および第2タンパク質を分泌し、マトリックスは第1および第2タンパク質それぞれに対する親和性を有する第1および第2捕獲分子を含み、解析段階は、細胞を第1および第2分泌タンパク質に結合する第1および第2検出試薬と接触させること、ならびに一次および二次分泌タンパク質に結合した一次および二次検出試薬のシグナルから第1および第2タンパク質を検出することを含む。
【0006】
本発明は、細胞集団を解析する方法を提供する。このような方法は、細胞集団をマイクロドロップにカプセル化することを伴う。細胞を第1マーカーに対する第1検出試薬、第2マーカーに対する第2検出試薬と接触させるが、第1マーカーは分泌タンパク質であり、第2マーカーは細胞表面タンパク質または第2分泌タンパク質である。第1マーカーおよび第2マーカーの両方を有する細胞を検出する。ある方法では、少なくともいくつかのマイクロドロップが単一細胞をカプセル化する。ある方法では、パーコール、ポリショ糖、ジアトリゾエートナトリウム(sodium diatrizoate)、またはイオジキサノール勾配により、細胞カプセル化マイクロドロップを非占有のマイクロドロップから分離することをさらに含む。ある方法では、固相支持体に吸着した細胞カプセル化マイクロドロップのアレイを作製し、走査型蛍光、比色、化学発光検出器を用いて検出することをさらに含む。ある方法では、細胞カプセル化マイクロドロップを薬剤と接触させ、薬剤が分泌タンパク質のレベルに影響を及ぼすか否かが検出によって示されることをさらに含む。
【0007】
ある方法では、カプセル化細胞は患者由来の細胞集団であり、薬剤は患者由来の別の細胞集団である。ある方法では、蛍光標識抗体の細胞表面マーカーへの結合、および蛍光シグナルの検出により細胞の亜集団を単離する。ある方法では患者から細胞集団を採取し、第1および第2マーカーの両方を有する細胞の存在により患者の免疫状態を表す。ある方法では、細胞は抗原特異的T細胞である。ある方法では、第1および第2マーカーは、IL-4、IL-10、IFNγ、およびTNFαからなる群より選択される。ある方法では、特定の第1および第2タンパク質はIL-10およびIL-12からなる群より選択される。ある方法では、同定する細胞はTh1細胞である。ある方法では同定する細胞はTh2細胞である。ある方法では、第2マーカーはT細胞分化の細胞表面マーカーである。ある方法では、マーカーの1つはCD4またはCD8である。
【0008】
本発明はさらに、細胞集団を解析する方法を提供する。このような方法は、マトリックス成分分子、マトリックス成分分子に結合した第1ビオチン分子、少なくとも1つの種類の分泌タンパク質のエピトープに対する親和性を有し、第2ビオチン分子に結合した少なくとも第1の捕獲分子、ならびに第1および第2ビオチン分子を結合するストレプトアビジンを含むマイクロドロップにタンパク質を発現する細胞の集団をカプセル化し、これによりタンパク質が細胞から分泌されると第1捕獲分子に対する親和性を有するタンパク質がマイクロドロップ内に捕獲されることと、マイクロドロップ内の分泌タンパク質を解析することを伴う。ある方法では、少なくともいくつかのマイクロドロップが単一細胞をカプセル化する。ある方法では、細胞は同じタンパク質を様々なレベルで分泌し、解析段階でそのレベルを比較する。ある方法では、細胞は様々なタンパク質を分泌し、解析段階で特定のタンパク質を分泌する細胞を検出する。ある方法では、患者から細胞集団を採取し、解析により細胞障害性T細胞の亜集団を同定するが、この方法にはさらにその細胞亜集団を含まない細胞集団を患者に再導入することをさらに含む。ある方法では、患者は自己免疫疾患、移植片対宿主病、または宿主対移植片病を罹患するかまたは罹患しやすい。ある方法では、再導入段階の前に、細胞亜集団を含まない細胞集団をIL-10で処理することをさらに含む。
【0009】
本発明はさらに細胞カプセル化マイクロドロップの集団を提供し、マイクロドロップはマトリックス成分分子、マトリックス成分分子に結合した第1ビオチン分子、細胞により分泌されるタンパク質に対する親和性を有する第2ビオチン分子に結合した捕獲分子、ならびに第1および第2ビオチン分子に結合するストレプトアビジンを含み、第1ビオチン分子とマトリックス分子のモル比は、モルマトリックス成分分子あたり0.85未満、好ましくは0.01〜0.2、選択的には0.02〜0.2モルビオチンである。集団によっては、少なくともいくつかのマイクロドロップが単一細胞をカプセル化する。
【0010】
本発明は、ビオチン化アガロースを含むマイクロドロップにカプセル化される細胞によって分泌されるタンパク質を解析する方法において、ビオチンとアガロースのモル比をモルアガロースあたり0.85未満、好ましくは0.01〜0.2、選択的には0.02〜0.2モルビオチンとする改良を提供する。
【0011】
本発明はさらに、分泌タンパク質を解析する方法を提供する。方法は、マトリックス成分分子、マトリックス成分分子に結合したNi2+NTA、細胞により分泌される分子に対する親和性を有する6xヒスチジンタグに結合した捕獲分子を含むマイクロドロップに細胞をカプセル化し、分子が細胞から分泌されると捕獲分子に結合することによりマイクロドロップ内に保持されることと、細胞を分泌分子に結合する検出試薬と接触させることを伴う。
【0012】
本方法では、分泌タンパク質を解析する方法をさらに提供する。方法は、ビオチンに結合したマトリックス成分分子、Ni2+に結合したストレプトアビジン、および細胞により分泌される分子に対する親和性を有する6xヒスチジンタグに結合した捕獲分子を含むマイクロドロップに細胞をカプセル化し、分子が細胞から分泌されると捕獲分子に結合することによりマイクロドロップ内に保持されることと、細胞を分泌分子に結合する検出試薬と接触させることを伴う。
【0013】
本発明はさらに、IgGアイソタイプの抗体を調製する方法を提供する。方法は、1つまたはそれ以上の細胞がIgGアイソタイプへのアイソタイプスイッチを起こし得る条件下でIgMアイソタイプの抗体を分泌する細胞の集団を培養することと、IgGアイソタイプの抗体に特異的な捕獲試薬を含むマイクロドロップに細胞集団をカプセル化し、それによりIgGアイソタイプの抗体を分泌する細胞を含むマイクロドロップが細胞内で分泌されたIgGアイソタイプの抗体を捕獲することと、IgGアイソタイプの抗体を分泌する細胞を含む1つまたはそれ以上のマイクロドロップを検出することを伴う。
【0014】
ある方法では、アイソタイプスイッチを促進する薬剤の存在下で細胞を培養する。ある方法では、捕獲試薬はIgGアイソタイプに対する抗体である。ある方法では、検出は、マイクロドロップを捕獲試薬とは別の部位で捕獲された抗体に結合する検出試薬と接触させることを含む。ある方法では、検出試薬は抗イディオタイプ抗体である。ある方法では、抗イディオタイプ抗体を蛍光標識する。ある方法では、IgG抗体を分泌する細胞を捕獲したマイクロドロップを単離することをさらに含む。ある方法では、細胞集団をマイクロドロップにカプセル化して少なくともいくつかのマイクロドロップが複数の細胞をカプセル化し、この方法ではそのうちの1つまたはそれ以上がIgG抗体を分泌する複数の細胞を捕獲したマイクロドロップを単離する。ある方法では、その複数細胞を単離することをさらに含む。ある方法では、少なくともいくつかのマイクロドロップがその複数細胞のうちの1つをカプセル化する条件下でマイクロドロップに複数の細胞をカプセル化し、マイクロドロップはIgGアイソタイプの抗体に対して特異的な捕獲試薬を含み、これによりIgGアイソタイプの抗体を分泌する細胞を含むマイクロドロップがマイクロドロップ内に分泌抗体を捕獲することと、IgGアイソタイプの抗体を分泌する細胞を含む1つまたはそれ以上のマイクロドロップを検出することをさらに含む。
【0015】
本発明は、望ましい性質を有する亜集団について細胞集団をスクリーニングする方法をさらに提供する。このような方法は、(a) 占有マイクロドロップあたり第1の平均細胞数比率で、マイクロドロップに細胞集団をカプセル化し、(b) カプセル化細胞をスクリーニングし、望ましい性質を有する細胞をカプセル化するマイクロドロップの第1亜集団を同定し、(c) スクリーニング段階で得られたマイクロドロップから細胞を単離し、(d) 占有マイクロドロップあたり第1比率よりも低い第2の平均細胞数比率で、スクリーニング段階で得られた細胞をカプセル化し、(e) カプセル化細胞をスクリーニングし、望ましい性質を有する細胞をカプセル化するマイクロドロップの第2亜集団を同定することを伴う。
【0016】
ある方法では、占有マイクロドロップあたりさらなる比率の平均細胞数で段階(c)〜(e)を繰り返し、さらなるマイクロドロップの亜集団を単離することをさらに含む。
【0017】
ある方法では、第2亜集団から単一細胞をカプセル化するマイクロドロップを単離することをさらに含む。ある方法では、望ましい性質を有する細胞の亜集団は、本方法を行う以前の細胞集団の0.01%未満である。
【0018】
本発明は、マイクロドロップを作製するキットをさらに提供する。このようなキットは、モルマトリックス成分分子あたり0.85未満、好ましくは0.01〜0.2、選択的には0.02〜0.2モルビオチンのモル比でビオチンに結合したマトリックス成分分子を含む。あるキットでは、マトリックス分子はアガロースである。あるキットはさらに、マイクロドロップを作製するキットの使用説明書を含む。あるキットはさらに、ストレプトアビジンと第2ビオチン分子に結合した捕獲分子を含む。
【0019】
定義
抗体もしくは他の結合薬剤と抗原間の特異的結合または親和性は、少なくとも106M-1の結合親和性を意味する。好ましい結合薬剤は少なくとも約107M-1の親和性、好ましくは108M-1〜109M-1、1010M-1、1011M-1、または1012M-1の親和性で結合する。エピトープという用語は、抗体に特異的に結合可能な抗原決定基を意味する。エピトープは通常アミノ酸や糖側鎖等の化学的に活性な表面分子群からなり、通常特異的な三次元構造特性および特異的な電荷特性を有する。高次構造的エピトープと非高次構造的エピトープは、前者のみへの結合が変性溶媒の存在下で失われる点で区別される。
【0020】
捕獲分子は、抗体はまたは細胞によって分泌されるポリペプチドに対して特異的親和性を有する他の分子である。
【0021】
接着分子および架橋分子という用語は、捕獲分子とマトリックス間の結合成分を記すために用いる。接着分子を捕獲分子とマトリックス分子に結合させ、架橋分子が両接着分子に特異的に結合すると両接着分子間に架橋が形成され、それにより捕獲分子がマトリックスに結合することになる。
【0022】
細胞表面マーカーには、CD1、CD2、CD3、CD4、CD5、CD8、CD11(a)、CD11(b)、CD11 (c)、CD18、CD44、CD45R、CD59、MHC I、MHC II、およびMHC III、癌胎児性抗原、増殖因子受容体(例えば、FGFR、PDGFR、EFG、NGFR、およびVEGF)、サブスタンスK受容体、アンギオテンシン受容体、αおよびβアドレナリン受容体、セロトニン受容体、およびPAF受容体等のGタンパク質受容体(Gilman、Ann. Rev. Biochem. 56:625-649 (1987)を参照のこと)、イオンチャネル(例えば、カルシウム、ナトリウム、カリウムチャネル)、ムスカリン受容体、アセチルコリン受容体、GABA受容体、グルタミン酸受容体、およびドーパミン受容体(Harpold、米国特許第5,401,629号および米国特許第5,436,128号を参照のこと)、ならびに接着分子(Springer、Nature 346:425-433 (1990);Osborn、Cell 62:3 (1990);Hynes、Cell 69:11 (1992)を参照のこと)が含まれる。
【0023】
CDマーカーは、細胞系譜および細胞亜系譜の決定に広く用いられている。例えば、T細胞はCD3の発現により同定される。成熟T細胞はT4サブセットに属してよく、その場合このT細胞はCD4を発現する。同様に、他の細胞集団および細胞亜集団にもマーカーが存在する。細胞系譜の中で、分化および活性化の様々な段階において細胞を区別することは有益である。分化状態は、リンパ性および骨髄性悪性疾患の診断解析および造血系の研究に特に有用である。例としては、未処置のまたは抗原を経験した細胞のマーカー(特にCD45アイソフォーム)、B系譜急性リンパ芽球性白血病を含むB系譜前駆体に見られるCALLA(CD9)等の分子が含まれる。活性化状態は、細胞機能の研究において特に興味深い。活性化マーカーには、CD25(IL-2受容体の成分)等の増殖因子受容体ならびにCD69およびCD98等のその細胞機能が十分に理解されていない分子が含まれる。
【0024】
目的とする分泌タンパク質には、例えばIL-1〜IL-18といったインターロイキン、腫瘍壊死因子αおよびβ、インターフェロンα、β、およびγ、トランスフォーミング増殖因子αおよびβ(TGF-αおよびTGF-β)、コロニー刺激因子(CSF)、腫瘍壊死因子、および顆粒球単球コロニー刺激因子(GM-CSF)等のサイトカインおよびケモカイン(Human Cytokines: Handbook for Basic & Clinical Research (Aggrawalら編、Blackwell Scientific、Boston、MA 1991)を参照のこと)、ホルモン、酵素、抗体、ならびに細胞内メッセンジャーが含まれる。実質的には、いかなるタンパク質も、適切なシグナル配列への融合操作により分泌され得る。
【0025】
実施例で用いるセルバイオゲル(CelBioGel)-1、セルバイオゲル-2、およびセルバイオゲル-3という名の3種類のセルバイオゲルは、ビオチンとアガロースのモル比がそれぞれ1:1、0.2:1、0.04:1であり、これはこのような比率が計算され得る実験誤差の範囲内である(+/-10%)。マトリックス内のビオチンの総濃度は、42μMを超えるべきではない。
【0026】
文脈から明らかでない限りは、「スクリーニング」についての言及は「選択」を含む。
【0027】
詳細な説明
I. 概要
本発明は、マイクロドロップにカプセル化した細胞から分泌される分子を解析する改良法を提供する。これらの方法は、一部には、分泌分子の検出感度がマトリックス分子のビオチン化の程度に依存するという結果、ならびにアガロースに対するビオチンのモル比を0.85未満にしておよび/またはビオチン最終濃度を42μM未満にして感度が改良されるという結果に基づくが、42μMとはセルバイオゲル-2に含まれるビオチン含量に等しい(以下に定義するように)。例えば、モルアガロースあたり約0.01〜0.2モルビオチン、選択的には0.02〜0.2モルビオチンの比率にすることによって、1:1の比率にした場合と比較して検出感度が10〜100倍に改良される(実施例2を参照のこと)。
【0028】
本発明を実施するにあたり機構の理解は必要ではないが、改良は、ビオチンに結合した捕獲分子の分布がマイクロドロップ容量の全体にわたってより均一であること、およびストレプトアビジン架橋の形成によってより多くの遊離の捕獲部位が得られることに一部起因すると考えられる。本発明者らは、低いビオチン比率にすることで、アガロース内の遊離の捕獲部位はより多く存在すると考えている。なぜなら、ストレプトアビジンはビオチンに対する4つの有効な結合部位を有し、マトリックスに存在するビオチン分子による飽和度が低くなるからである。したがって、マトリックス内で低いビオチン比率にすることで、ビオチン化捕獲抗体の結合部位がより多く得られることになる。(ビオチン分子数の低減がいかに捕獲部位を増加させるか。)
【0029】
本発明はまた、カプセル化細胞から分泌されるタンパク質を解析する方法を提供する。上記の改良ゲルマトリックス比率は、このような方法には必須ではないものの都合がよい。この新規の方法は、分泌タンパク質および第2分泌タンパク質か細胞表面マーカーのどちらかの少なくとも1つの他のマーカーを同じ細胞から検出することを含む。同じ細胞において複数のマーカーを検出する能力により、細胞の分化状態の指標が提供され得る。この情報は、細胞集団を特徴づける際に特に有用である。例えば、リンパ球集団内のある組み合わせのマーカーを有する細胞の存在により、患者の免疫状態が示され得る。本アッセイ法を用いて患者から抗原特異的クローンを作製し、インビトロで自己免疫疾患を研究し、免疫状態をモニターし、免疫療法に使用し得るT細胞株を作製することが可能となる。本方法は、低レベルの分泌タンパク質(例えば1 fg)を検出し、機能的で生存している形態の稀な分泌細胞(例えば、集団の0.1%または0.0001%未満存在する)を単離する点で有利である。
【0030】
II. 捕獲ウェブ
解析する細胞は、ゲルマイクロドロップ(マイクロドロップ)内の捕獲ウェブにカプセル化されている(図1に示すように)。捕獲ウェブは、ゲルを形成する複数コピーのマトリックス分子、およびゲル内に固定化された複数コピーの分泌タンパク質に対する捕獲分子を含む。ある方法では、捕獲分子は架橋により固定化する。例えば、架橋は、マトリックス分子および捕獲分子にそれぞれ結合した第1および第2接着分子、ならびに第1および第2接着分子の互いに対して結合する架橋分子により形成され得る。架橋により、捕獲分子がマトリックスに効率的に固着される。ある方法では、第1および第2接着分子は両方ともビオチンであり、架橋分子はストレプトアビジンまたはアビジンである。これらの方法では、マトリックス分子に結合させたビオチン分子を第1ビオチン分子と呼称し、捕獲分子に結合させたビオチン分子を第2ビオチン分子と呼称する。
【0031】
マトリックス分子は熱すれば液状で存在し、冷却すればゲルとして凝固する。アガロースは、このようなマトリックス分子の例である。アガロースは、α(1-3)およびβ(1-4)交互結合を有する多糖鎖の混合物である。様々な品質等級のアガロースが入手可能であるが、低融点アガロース(タイプIX)が好ましい。アルギネート、カラゲナン、またはポリアクリルアミドもアガロースの代わりに使用できる。
【0032】
ストレプトアビジン(またはアビジン)およびビオチンの代わりに、それぞれタンパク質および小分子の他の組み合わせも使用できる。例えば、グルタチオンS-トランスフェラーゼをグルタチオンと共に、マルトース結合タンパク質をマルトースと共に使用することができる。互いに相互親和性を有する、コンビナトリアルライブラリー由来の合成タンパク質および小分子の組み合わせも使用可能である。
【0033】
さらなる変法では、NTA(ニトリロ三酢酸)-Ni2+および捕獲分子に結合させた6Xヒスチジンタグで形成される架橋を介して、捕獲分子をマトリックス分子に結合させる。NTA-Ni2+は、マトリックス分子に化学的に結合してある。Ni-NTA-アガロースマトリックスは、キアゲン(Qiagen)から市販されている。Ni2+は、6Xヒスチジンと強力な非共有結合を形成する。6Xヒスチジンタグも化学的結合により捕獲分子に結合させ得るが、より典型的には融合タンパク質としてタンパク質捕獲分子内と共に合成する。またさらなる変法では、マトリックス分子に結合したビオチン、Ni2+に結合したストレプトアビジン(またはアビジン)、および捕獲分子に結合した6Xヒスチジンタグで形成される架橋を介して、捕獲分子をマトリックス分子に結合させる。ストレプトアビジンはビオチンに結合し、Ni2+は6Xヒスチジンタグに結合する。この場合もやはり、このような方法は、6Xヒスチジンタグを融合タンパク質として捕獲分子に結合できる利点を有する。
【0034】
上述のように、ビオチンを捕獲分子とマトリックス間の架橋の一部として用いる場合、マトリックス分子とビオチンの比率がその後の検出感度に影響を及ぼす。ビオチン分子とマトリックス分子のモル比は、好ましくはモルマトリックス分子あたり0.01〜0.2モルビオチンの範囲、選択的にはモルマトリックス分子あたり0.02〜0.2モルビオチンである(比率が測定され得る実験誤差、典型的には約+/-10%の範囲内である)。後者の比率は、アガロース1グラムあたりおよそ0.16〜1.6マイクロモルの比率に等しい。比率は、NMRまたはピアス(Pierce)から市販されているキットを用いて測定できる。アガロースとビオチン間の様々な比率によるビオチン化アガロースの調製品は、市販されている。ドロップ形成前にビオチン化アガロースを通常のアガロースと混合することにより、比率を減少させることが可能である。または、ビオチンをアガロースに結合させる際に、ビオチンとアガロースの比率を調節することができる。一般に、マトリックス分子を接着分子および1つまたはそれ以上のさらなる分子に結合させる上記の他の架橋形成では、マトリックス分子とマトリックス分子に結合させた接着分子の比率は、アガロースとビオチンで定めた比率と同じである。
【0035】
分泌分子を捕獲する架橋の成分には捕獲分子も含まれるが、一般に、これらはマトリックス分子と混合して細胞と同時にマイクロドロップに組み込むことも可能であり、マイクロドロップを形成した後に外から供給することも可能である。
【0036】
アガロースまたは他のマトリックス分子から形成されるマイクロドロップにより、生物学的存在の周囲に明確な微小環境が提供される。ゲルは拡散を妨げず、フローサイトメトリーを用いた多数の個々のマイクロドロップの解析、および蛍光活性化セルソーター(FACS(商標))または自動画像読み取りおよび顕微操作による目的のマイクロドロップの回収が可能になる。単一細胞のカプセル化では、各マイクロドロップを占有する細胞数はポアソン統計により近似され、限界希釈クローニング法またはペトリ皿接種法と類似している。各マイクロドロップが0個または1個の初期細胞を含む可能性の高い調製品を得るためには、約5〜10%のマイクロドロップが占有されるべきである。より高い処理量を望むのであれば、より多くの細胞をカプセル化工程に使用すべきであり、それにより最初のスクリーニングでは複数の細胞が占有することになる。次に、スクリーニングの結果得られたマイクロドロップの亜集団の細胞をマイクロドロップあたりより少ない平均数でカプセル化し、スクリーニングを繰り返す(本アプローチの実施例として、IgG抗体の単離の考察を参照のこと)。液化したビオチン化アガロース(または他のマトリックス分子)中に存在する細胞を過剰の疎水性液体に分散させることにより、エマルジョンを形成し、マイクロドロップを調製する。エマルジョンを一時的に冷却することにより、ゲル化する。一度ゲル化すると、マイクロドロップは物理的にはっきりと識別でき、かつ頑強であり、低速の遠心分離により油性から水性媒体に取り出し得る。または、液化したゲルと実体の混合液をインクジェットプリンターのプリントヘッドのような振動ノズルに通すことによっても、マイクロドロップを形成することができる。マイクロドロップ形成装置、セルシス(CellSys) 100(商標)マイクロドロップメーカー(Microdrop Maker)は、高精度モーターに連結した特別設計の乳化機器であり、ワンセルシステムズ社(One Cell Systems, Inc.)から入手できる。回転速度、界面活性剤の種類と量、およびエマルジョンの粘性を変えることにより、例えば2〜200μmのマイクロドロップを調製することができる。現在ワンセルシステムズ社から入手できるマイクロドロップメーカーは、多数のマイクロドロップ(例えば107)を作製するのに効果的であり、この数は単一占有の必要条件を満たすのにおよそ100万個の生物学的存在を必要とする。より少なくて十分な調製品をカプセル化するには、マイクロカプセル化の手順を縮小化することが可能である場合もある。ボルテックスすることも可能である。これは、生物学的存在が少数のみ存在する一部の臨床応用に有用である。
【0037】
どのような種類の細胞も、マイクロドロップにカプセル化することが可能である。例えば、細胞は初代細胞培養でも細胞株でもよい。細胞は、患者の試験試料、天然源(例えば、海水または土壌)、または遺伝子操作実験(例えば、組換えタンパク質を発現するベクターで形質転換する)から得ることができる。ベクターにより、組換えタンパク質の発現および分泌を調節するプロモーター、エンハンサー、およびシグナル配列等の調節配列が提供される。選択的には、使用するプロモーターは、メタロチオネインプロモーターやアラビノースプロモーター等のように誘導性である。遺伝子操作により作製される細胞集団には、非関連タンパク質をコードする核酸で形質転換した細胞、および同じタンパク質の様々な変種を表す核酸で形質転換した細胞が含まれる。変種は、天然(例えば、対立遺伝子または種)であっても誘導によるものであってもよい。変種は、米国特許第5,830,721号、米国特許第5,811,238号、米国特許第5,605,793号に記載されるようなDNAシャッフリング技術により作製可能である。細胞は、抗体を分泌するハイブリドーマ、抗体を分泌する天然のB細胞、または抗体をコードする遺伝子で形質転換しそのため抗体を分泌するようになった細胞であってもよい。細胞は、ヒト、ウマ、ヒツジ、マウス、ウシ、ヤギ、およびブタ等の哺乳動物、植物、細菌、または菌類由来の細胞であってよい。細胞の種類には、初代細胞、リンパ球、単球、マクロファージ、樹状細胞、軟骨細胞、膵細胞、β細胞、および幹細胞が含まれる。特定のリンパ球集団を含む多くの種類の細胞が、オールセルズ社(AllCells, LLC)(カリフォルニア州フォスターシティ)から入手可能である。
【0038】
融解したアガロースに細胞と同時にストレプトアビジンと捕獲試薬を添加することにより、細胞のカプセル化以前に捕獲ウェブを構築することができる。または、細胞のカプセル化を手順の第1段階として行い、捕獲ウェブの成分は後から添加することもできる。マイクロドロップが形成されてから、残りの捕獲ウェブを構築する。例えば、捕獲分子をマトリックスに結合する架橋の一部としてビオチンを用いる場合、捕獲ウェブのさらなる成分の1つは検出するタンパク質に対する親和性を有するビオチン化捕獲分子である。捕獲分子に結合させたビオチン分子は、マトリックス分子に結合させたビオチン分子と区別するために、第2ビオチン分子と呼称する。捕獲ウェブの他のさらなる成分は、ストレプトアビジンまたはアビジンである。この成分は、カプセル化する以前に捕獲抗体および細胞と共に添加することができ、マトリックスに結合した第1ビオチン分子と捕獲分子に結合した第2ビオチン分子間に架橋を形成する。さらなる成分は、拡散によりマイクロドロップに導入することができる。すなわち、マイクロドロップを含む培地にこれらの成分を導入すると、成分がマイクロドロップ内に拡散する。典型的には、ストレプトアビジンまたはアビジンをまず始めに導入し、その後ビオチン化捕獲分子を導入する。非結合の捕獲分子は、洗浄して除去することができる。先に論じたように、アガロースに対するビオチンの比率を低くすることは、捕獲分子がマイクロドロップの全体にわたって均一に拡散するのに都合がよい。マトリックス分子と捕獲分子間に他の種類の架橋を用いる場合にも、同様の原理が当てはまる。例えば、6xヒスチジン‐捕獲分子を結合するのにNTA-Ni2+を用いる場合、NTA-Ni2+を有するように改変したマトリックス分子を用いてマイクロドロップを形成し、6xヒスチジンタグに結合した捕獲分子を完成したマイクロドロップに拡散させる。
【0039】
III. 捕獲分子および検出試薬
本発明の様々な方法で、捕獲分子と検出試薬の両方を使用する。捕獲分子と検出試薬の両方が、タンパク質または検出する他の分子に対する親和性を有するように設計する(特に明らかにしない限り、分泌タンパク質の検出に適用できる方法は、炭水化物やホルモン等の他の分泌分子にも適用できる)。捕獲分子は、マイクロドロップ内で捕獲ウェブの一部であり、分泌タンパク質をマイクロドロップ内に固着する点で、検出試薬と区別される。それに対して検出試薬は、典型的に、タンパク質が分泌され捕獲ウェブ内で捕獲分子に固着されてから導入する。検出試薬がマイクロドロップ内に拡散し、捕獲分子に結合した分泌タンパク質に結合することによって、分泌タンパク質の検出が可能となる。
【0040】
捕獲分子と検出試薬の性質は、解析する分泌タンパク質に依存する。例えば分泌タンパク質がサイトカインである場合、捕獲分子と検出試薬は両方ともサイトカインに結合する抗体であってよい。捕獲分子と検出試薬は、サイトカイン上の異なるエピトープに結合する抗体であることが好ましく、それにより捕獲分子と検出試薬が同時に結合できる。例えば分泌タンパク質が抗体である場合、捕獲分子は抗イディオタイプ抗体または抗体に対する抗原であってよい。一般に、捕獲分子と検出試薬は、検出する分泌タンパク質に対する特異的親和性を有する任意の分子であってよい。捕獲分子と検出試薬は、例えば天然のリガンド、合成分子、または抗体であってよい。多数の分泌タンパク質および細胞表面マーカーに対する抗体が、BD/ファーミンジェン(BD/Pharmingen)、ベックマンコールター(Beckman Coulter)、バイオソース(Biosource)、およびR & Dシステムズ(R & D Systems)から市販されている。抗体は、蛍光標識またはビオチン標識された形態で市販されていることも多い。
【0041】
ある方法では、2つ以上の分泌タンパク質を対象とし、複数の捕獲分子と検出試薬を用いる。例えば2つの分泌タンパク質を検出するのであれば、それぞれの分泌タンパク質に対する2つの異なる捕獲分子を第2ビオチン分子に結合させ、ゲルマイクロドロップに導入することができる。2つの分泌タンパク質分子は、マイクロドロップ内でそれぞれの捕獲分子に結合する。次に、2つの分泌タンパク質に特異的な2つの検出試薬を用いて、分泌タンパク質を検出する。これらの原理は、n個の捕獲分子とn個の検出試薬を用いたn個の分泌タンパク質の同時検出に拡張し得る。
【0042】
ある方法では、分泌タンパク質を細胞表面マーカーとの組み合わせで検出する。このようなマーカーの例には、リンパ球性マーカー、CD4、CD8、ならびに増殖因子受容体、およびイオンチャネルが含まれる。このような方法においては、分泌タンパク質には前述のように捕獲分子と検出試薬が必要である。しかし、細胞表面上の細胞表面マーカーは、捕獲ウェブへの結合を必要としない。したがって、細胞表面マーカーの保持には捕獲分子を必要としない。細胞表面マーカーは、細胞表面マーカーに特異的な検出試薬を用いて検出する。
【0043】
典型的に、検出試薬は標識するか、または検出試薬に結合する二次検出試薬を介して間接的に標識する。このような標識は、中でも蛍光、同位体、磁性、および常磁性であってよい。蛍光標識の例には、PI、FITC、PE、PC5(PE-Cy5)、ECD(PE-Texas Red)、およびCy-クロム(Cy-Chrome)(R-PE)が含まれ、630 nm、525 nm、575 nm、675 nm、610 nm、および650 nmのバンドパスフィルタで測定できる。ある方法では、検出試薬を酵素で標識し、マイクロドロップが酵素の基質を含み、この基質は処理されて蛍光発生産物を生じる。ある方法では、検出試薬からのシグナルを二次標識を用いて増幅する。例えば、フルオレセインで標識した一次検出試薬をウサギ抗フルオレセインIgG(アキュレートケミカル&サイエンティフィック(Accurate Chemical & Scientific))と15〜30分間インキュベートできる。PBS緩衝液で洗浄した後、マイクロドロップをFITCまたはフィコエリトリン標識ヤギ抗ウサギ抗体(シグマ(Sigma)、ミズーリ州セントルイス)と15〜30分間インキュベートする。2つ以上の検出試薬を用いる場合には、異なる検出試薬を異なる方法で標識する(例えば、異なるフルオロフォアを用いる)。捕獲に用いる分子は、典型的には標識しない(捕獲ウェブに結合させる働きをするビオチン分子以外)。
【0044】
ある方法では、タンパク質の分泌を促進するために細胞を誘導する。例えば、組換えタンパク質を操作して、誘導性プロモーターから発現させることができる。誘導薬剤を供給することにより、タンパク質の分泌が開始または増加する。誘導は、細胞をマイクロドロップにカプセル化する前に行っても後に行ってもよい。
【0045】
IV. アッセイ法
細胞集団をビオチン化マイクロドロップにカプセル化することにより、アッセイ法を行う。次に、1つまたはそれ以上の分泌タンパク質を保持する捕獲ウェブを、マイクロドロップ内に構築する。マイクロドロップを一定期間培地中で培養し、タンパク質の分泌が行われるようにする。この期間は、典型的には30分〜48時間である。ある方法では、この期間は24時間、12時間、6時間、または1時間未満である。一般に、インキュベーション時間を長くすると、分泌タンパク質は増加しシグナルは強くなる。しかし、ある一定期間を過ぎると、捕獲ウェブの捕獲分子がすべて分泌タンパク質で飽和し、さらなる分泌タンパク質はマイクロドロップから単に漏出し、より強いシグナルは得られない。ある方法では、インキュベーション時間は、最も高い分泌速度でカプセル化細胞から分泌されるタンパク質がマイクロドロップ内のすべてまたはほとんどの捕獲分子を占有し、より低い分泌レベルでカプセル化細胞から分泌されるタンパク質がマイクロドロップ内のより少ない捕獲分子を比例的に占有するほど十分に長い。これらの状況では、集団内の様々な細胞によるシグナル強度は、細胞の分泌レベルにほぼ比例する。MNCのような低い分泌レベルを有する一部の細胞では、クロストークまたは非結合タンパク質の隣接細胞への漏出は決して見られない。高い分泌速度を有するトランスフェクトされた細胞では、分泌時間を調整してクロストークを調節することができる。特定の細胞株では分泌速度は比較的一定であるため、ひとたび分泌速度を決定すれば、クロストークを避ける分泌アッセイ法の最適時間を決定することができる。
【0046】
上記方法の変法では、細胞を含むマイクロドロップを、細胞を含む未処理のマクロドロップ対照集団との比較において、インキュベーション期間前および/または期間中に薬剤または候補薬である薬剤で処理する。処理細胞と未処理細胞との比較により、対象とするタンパク質の分泌レベルが異なることが示されれば、薬剤または候補薬がこのタンパク質の分泌レベルに影響を及ぼすと結論づけることができる。この情報は、候補薬剤の活性を明らかにする上で、または効果的であることがすでに知られている薬剤の機構を決定する上で、有用となり得る。
【0047】
上記方法の他の変法においては、患者に移植する以前に、細胞を他の細胞、または増殖因子もしくはサイトカインにより刺激または抑制する。例えば、IL-10で処理することにより、望ましくない炎症反応を抑制することが可能である(国際公開公報第97/42324号を参照のこと)。
【0048】
インキュベーションして分泌を可能にした後、1つまたはそれ以上の検出試薬を添加するが、1つは検出する分泌タンパク質用であるか、または1つは検出する細胞表面マーカー用である。検出試薬は、特異的親和性を有し、その対象でありウェブに捕獲されているタンパク質に結合する。検出試薬が結合してシグナルが発生した後、このシグナルを様々なアプローチで検出することができる。1つの単純なアプローチでは、マイクロドロップを顕微鏡用スライドやペトリ皿のようなガラスまたはプラスチック表面上に沈着させる。マイクロドロップは支持体に接着し、アレイ型式に並べて解析を容易にすることが可能となる。次に、顕微鏡下で、マイクロドロップをいくつかの異なる標識のうちの1つについて個々に調べることができる。検出は、分泌分子の蛍光、化学発光、および色によって行うことができる。デジタル画像システムにより、ますますより高い解像度で細胞活性を調べることが可能となった。付加価値のあるソフトウェアで推進される自動化顕微鏡を用いるシステムは、現在一般的な研究手段である。これらのシステムは、蛍光画像を取得して保存する能力、画像強調、較正と許容限界(識別)オプション、およびシステムの自動化と装置制御を含む多くの共通機能を共有している。顕微鏡画像は、画素と呼ばれるマトリクス状の小さな範囲にデジタル化される。各画素における光度の測定値を保存し、加工して強調した画像を作成する。画像解析システムは、画像強調に用いられる加工の種類と得られる解像度のレベルに特徴を示す。共焦点レーザー走査顕微鏡およびレーザースキャニングサイトメーター(オンコシス(Oncosis)およびコンピュサイト(Compucyte))等の他のレーザーを用いる機器もそうであるが、例えば、メタサイト(MetaCyte)の単純なスキャニングイメージシステムが挙げられる。オンコシスの機器では、特異的タンパク質を分泌する細胞の破壊を必要とする応用に(例えば、分泌タンパク質が癌特異的タンパク質である場合)、オンコシスが独占するフォトシス(Photosis)(商標)レーザー活性化色素を用いることができる。目的の細胞は、顕微操作により回収可能である。
【0049】
他の方法では、フローサイトメーターを用いてマイクロドロップを解析する。このような機器は、標識マイクロドロップの数と未標識マイクロドロップの数をカウントする。異なる方法で標識した2つの検出試薬を用いる場合、フローサイトメーターにより、第1標識のみを有するマイクロドロップ、第2標識のみを有するマイクロドロップ、両標識を有するマイクロドロップ、およびどちらの標識もされていないマイクロドロップをカウントすることができる。さらに多くの標識を使用する方法では、マイクロドロップのさらなる分類を識別することが可能である。存在する標識の種類により、分泌されるタンパク質の種類とレベルが示される。サイトコンプ(Cyto-Comp)(商標)試薬キットやサイトトロール(Cyto-Trol)(商標)コントロール細胞(control cell)(ベックマンコールター)等の色補正キットを用いて、スペクトルの重複に合わせて色補正を調整することができる。サイトコンプ(商標)は4セットの2色試薬からなり、多色解析に合わせて色補正を調整する。
【0050】
選択的には、細胞を蛍光標識するのであれば、フローサイトメトリー解析の後にソーティングすることにより、顕微鏡観察、細胞株の作製、またはDNA単離等のさらなる解析に使用可能なカプセル化細胞の様々な集団を作製することができる。FACSにより、1つまたはそれ以上の特定の分泌タンパク質の存在、または1つまたはそれ以上の特定の分泌タンパク質の分泌レベルの程度等の明確な性質を有する個々の細胞が分離される。次に、さらなる解析(例えば、細胞のDNA調製品を解析する、または細胞株を作製する)のためにこれらの細胞を増殖させる。ある方法では、治療の目的のため、望ましい性質を有する細胞を患者に導入する。
【0051】
選択的には、透析不可能なポリビニルピロリドン(PVP)でコーティングしたパーコール(シリカ粒子(直径15〜30 nm))、ジアトリゾエートナトリウムを付加したポリショ糖(フィコール)、またはイオジキサノール(安息香酸のヨウ化誘導体)勾配遠心分離法を用いて、細胞占有マイクロドロップのほとんど(>95%)を回収しつつ、調製品から非占有マイクロドロップの大部分を除去することが可能である。マイクロドロップは、アガロース等の溶解したマトリックス分子に細胞を分散させ、次に過剰の疎水性液体中でエマルジョンを形成させることにより調製する。本方法は、稀な分泌細胞、低いレベルで分泌する細胞、および稀な細胞亜集団の解析に特に有用である。
【0052】
一部の方法では、検出装置の焦点を望ましい細胞集団を含むマイクロドロップの亜集団に焦点を合わせるゲーティング法を用いる。例えば、前方散乱または側方散乱を用いて、非占有マイクロドロップから占有マイクロドロップを識別することが可能である。次に、占有マイクロドロップにさらにゲートを設定し、蛍光標識検出試薬の結合した特定の表面マーカーを有する細胞の亜集団を検出することができる。ゲートを設定した細胞の亜集団は、続いて、表面マーカーとは異なる方法で標識をした特定の分泌タンパク質の存在について解析することができる。
【0053】
一部の方法では、シグナル増幅のために、検出試薬の間接検出を使用する。例えば、検出試薬が抗体である場合、対象とするIgアイソタイプに対する標識抗体を用いて検出試薬を検出できる。他の方法では、増幅カスケードを使用する。例えば、チラミドシグナル増幅(Tyramide Signal Amplification)(商標)(TSA)技術が米国特許第5,731,158号および米国特許第5,583,001号に記載されており、キットはパーキンエルマー(Perkin Elmer)から入手可能である。本アプローチを検出に用いる場合、捕獲された分泌分子に結合する一次検出試薬は分子、通常は西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標識した抗体である。HRPを用いて、HRP標識検出試薬を結合するマイクロドロップ内で、標識チラミドの沈着および結合を触媒する。次には、チラミド上の標識が、典型的には蛍光標識してありチラミド上の標識に対する親和性を有する二次検出試薬の結合部位として働く。
【0054】
V. 応用
1. 分泌レベル
上記方法は、同じタンパク質を分泌する細胞の混合集団を解析して、規定のレベルでタンパク質を分泌する1個またはそれ以上の個々の細胞を同定するのに特に有用である。ある方法では、規定のレベルを超えてタンパク質を分泌する細胞の同定と回収に関心がある。ある方法では、集団の中で最大の分泌速度を有する1つまたはそれ以上の細胞の同定に関心がある。これらの方法は、増殖因子、サイトカイン、抗体、ホルモン、または他の分泌分子の分泌について、生物学的存在を解析するのに有用である。本方法は、遺伝子操作により細胞に導入した構築物によってコードされるタンパク質を分泌する形質転換細胞を解析するのにも有用である。本方法は、ハイブリドーマまたは他の樹立細胞株由来のタンパク質の分泌レベルを解析するのにも有用である。目的のタンパク質を分泌する、または目的のタンパク質を高レベルで分泌する単離細胞を用いて、目的タンパク質の産生のために細胞株を増殖させることが可能である。本方法は、抗原特異的T細胞およびB細胞の集団を単離したり、目的のタンパク質を分泌する細胞を同定するのにも有用である。
【0055】
2. 異なるタンパク質を分泌する細胞
本方法は、集団内の細胞が異なるタンパク質を分泌する細胞の混合集団を解析するのにも有用である。このような方法における目的は、特定のタンパク質または目的のタンパク質を分泌する1つまたはそれ以上の細胞を単離することである。これは、タンパク質または目的のタンパク質に特異的な捕獲分子と検出試薬を用いることで達成される。さらに、解析する最初の細胞集団は、初代培養または異なるタンパク質をコードする構築物を導入した形質転換細胞であってよい。このような方法により単離した細胞は、さらなる解析にかけることができる。例えば、このような細胞を占有する組換え構築物を配列決定し、目的のタンパク質をコードするDNAコード配列を特徴づけるることができる。
【0056】
3. 複数マーカーの同時解析
ある方法では、集団内の同じ細胞で複数のマーカーを検出する。例えば、同じ細胞から分泌される2つ(またはそれ以上)のタンパク質の存在を検出することができ、または同じ細胞から1つまたはそれ以上の分泌タンパク質と1つまたはそれ以上の細胞表面マーカーの存在を検出することができる。このような方法により、集団に存在する異なる細胞種のヒストグラムを作成することができる。この様式で個々の細胞を特徴づける能力により、細胞の分化パターンを解析するのに有用な情報と臨床診断に有用な情報が提供される。例えば、免疫系のある疾患は、リンパ球によるある分子の分泌および/またはリンパ球でのある細胞マーカーの発現を特徴とする。特定の組み合わせの分子を分泌する細胞および/またはある細胞マーカーを有する細胞の同定は、患者に発症する免疫不全を同定するのに役立つ。
【0057】
4. 診断、研究、および治療法
ある方法では、診断または免疫療法の効果をモニターする目的で、患者から細胞集団を採取する。細胞集団はリンパ球であることが多いが、全血、精液、唾液、涙、尿、糞便物質、汗、頬側塗沫標本、体毛、リンパ節、腫瘍、および骨髄試料等の組織または体液から得てもよい。ある方法では、治療目的で、患者から細胞を採取する。このような方法では、望ましい性質(例えば、病原に対する抗体の分泌、増殖因子、サイトカイン、またはホルモンの分泌、望ましい免疫応答への関与)を有する細胞の亜集団を同定することが目的である。例えば免疫療法のために、望ましい細胞種を単離し、改変し、刺激し、増幅させてから、患者に再導入することができる。
【0058】
患者からの特定の細胞集団の単離がインビトロでの増殖および/または他の操作の目的で適しているいくつかの例は、以下のとおりである。細胞性自己免疫疾患(多発性硬化症、糖尿病、関節リウマチ)の患者から、自己抗原特異的Th2細胞を採取することができる。これらの細胞に特徴的なサイトカインおよび細胞表面マーカーを以下に示す。細胞をエキソビボで増殖させ、回復を強めるために、または寛解を長引かせるためにそれらを採取した患者に再注入する。CD8細胞表面マーカーの発現により、感染症患者または癌患者から自己抗原特異的細胞障害性T細胞(CTLL)を単離することが可能である。CTLLは、感染微生物や癌上の1つまたはそれ以上の抗原に対して特異的である。CTLLをエキソビボで増殖させ、ワクチン(例えば、抗癌、抗細胞内細菌感染(結核)、または抗寄生虫病(マラリア、リーシュマニア))を作製する。別の応用では、患者の膵島の細胞をスクリーニングし、インスリンを分泌する細胞を同定する。これらの細胞をインビトロで増殖させ、1型糖尿病を防ぎ進行を遅らせる手段として患者に再導入する。本方法は、一部の膵島細胞が患者に残存し単離と増殖のために使用可能な、疾患の発症以前の前駆期に実施可能である。または、健康なドナーから細胞を採取し、HLA抗原が適合しおよび/または免疫抑制療法を施した糖尿病患者に移植することができる。別の方法では、遺伝子の欠損または他の欠損を伴う患者の細胞をスクリーニングし、重要な生物活性分子に関して分泌欠損を有する細胞のサブセットを同定する。これらの細胞は、細胞をカプセル化するマイクロドロップを生理活性分子に対して特異的な検出試薬と接触させた際の、シグナルの欠除から識別することができる。適切な転写調節下で生体分子の分泌を促進する遺伝子を細胞に導入し、細胞を増殖させて患者に再注入する。別の方法では、多分化能を有する自己の幹細胞を患者から単離し、インビトロで望ましい細胞系譜(例えば、心臓、皮膚、神経細胞)に分化させ、患者に再導入して様々な疾患(例えば、心筋梗塞、皮膚の火傷、損傷した神経)を治療する。多分化能を有する幹細胞は、CD34マーカーおよび/またはCD38、CD33、CD45RA、およびCD71の欠除により識別できる。
【0059】
5. サイトカインアッセイ法
サイトカインは、疾患の病因と治療の両方に重要な役割を果たす。インターフェロンα、インターフェロンβ、顆粒球コロニー刺激因子、およびインターロイキン2を含む数多くのこれらのタンパク質が臨床での使用に認可されており、治療に対する患者の反応を予測するためにはT細胞の機能的状態の診断が必須である。免疫系誘発への応答を達成するために必要である分裂促進因子または抗原による活性化により、サイトカインの分泌、受容体の上方制御、細胞の増殖、およびエフェクター機能(7〜12)の発達というカスケードが生じる。様々なサイトカインが、他のサイトカインを含む様々な刺激からのシグナルに応答して、免疫系に存在する細胞から放出される。成熟T細胞は独特な組み合わせのこれら制御分子を産生することによって抗原刺激に応答し、これらの反応の機能的な結果はサイトカインの分泌パターンに依存する(13〜16)。サイトカインの分泌は、細胞の分化および機能的活性の重要なマーカーとして、基礎研究と臨床研究の両方において広く用いられている。細胞表面マーカーと合わせたサイトカインの分泌パターンにより、患者の免疫応答の種類、強度、および柔軟性についての重要な情報が提供される。
【0060】
本方法は、選択的には個々の細胞の細胞表面マーカーと組み合わせて、サイトカインの分泌パターンを検出するのに特に有用である。応用には、移植の前後における患者の免疫状態のモニタリング、ワクチン接種後のTリンパ球の抗原特異的反応の測定、癌、自己免疫疾患、細菌感染、およびAIDS(1〜6)等のウイルス感染の治療の有効性の評価、および薬剤の免疫毒性(7、8)の測定、ならびに表面発現と組み合わせた分泌特性に基づく単一の生存T細胞の回収が含まれる。本方法の利点には、(1) 高感度(1〜10 ng/ml培養液またはマイクロドロップあたり1.25〜12.5 fgの分泌サイトカインレベルが、日常的な検出の範囲内である)、(2) 定量的検出、(3) 単一細胞の解析、(4) サイトカインと細胞表面マーカーの同時解析、および(5) 生細胞の回収が含まれる。
【0061】
(a) Th1 細胞と Th2 細胞の識別
例示的な診断アッセイ法は、Th1細胞種とTh2細胞種の同定と回収である。不均一な集団からTh1細胞またはTh2細胞を同定し単離するため、刺激した細胞をカプセル化し、細胞表面抗原の発現とサイトカインの分泌を同時に検出する。活性化Th1細胞は、CD3、CD4(ヘルパー細胞特異的)、およびCD69(活性化細胞特異的)を発現し、IFNγを分泌し、IL-4を分泌しない二重陽性細胞(CD4+CD69+IFNγ+IL-4-細胞)として同定される。類似の表現型(CD3+CD4+CD69+)を発現するが、IL-4を分泌しIFNγを分泌しない細胞(CD3+CD4+CD69+IFNγ-IL-4+細胞)は、Th2細胞として同定される。多色フローサイトメトリー解析は、蛍光色素標識抗体::抗CD4/Cy-クロム(またはCD4/ECD)、抗CD69/PC5、抗IFNγ/FITC、および抗IL-4/PEの組み合わせを用いて実施する。Th1細胞とTh2細胞は、選択的にFACSによってソーティングし増殖させる。分裂促進因子または抗原刺激した末梢血単核細胞からできるだけ迅速にTh1およびTh2亜集団を同定し単離する能力は、臨床医にとって有用である。これらの研究を利用して、1.) 患者の免疫状態を評価し、2.) T細胞クローンを拡大して、自己免疫疾患においてインビトロの標的に対する細胞を同定し、または3.) インビトロで腫瘍細胞を死滅させるようにプログラムし、拡大し、ドナーで治療に用い得る細胞障害性T細胞クローンを作製する。最適な刺激条件を用いてTh1細胞およびTh2細胞の両方を刺激することが可能であり、その結果、同じ単核細胞集団で48時間以内にIL-4とIFNγの両方の分泌を同時に検出することができる。
【0062】
(b) 様々な刺激で活性化した後の、ヒト単球および CD34+ 細胞のサイトカイン分泌特性と細胞表面発現特性の解析
単球および樹状細胞は、TNFα、IL-1α、IL-1β、IL-6、IL-8、およびIFNγを含む様々なサイトカインの主要供給源である(65、67、68)。各種抗原で刺激された後、これらの細胞は生得反応および適応反応の両方に関与する。血液中では、循環しているMNC(単球およびB細胞等)の様々なサブセットが抗原提示細胞として機能し、特異的および制御性受容体リガンド相互作用ならびに可溶性サイトカイン相互作用を介してT細胞と直接連結できる。この細胞集団により産生されるサイトカインは、多くの病態において重要な制御的役割を担う。例えば、単球による炎症促進性サイトカインTNFαおよびIL-1の産生増加は、感染性ショックに関与するとされている(67、69、70)。単球により放出されるサイトカインが全身的および局所的に高濃度であると、T細胞を含む他の細胞にカスケード効果を生じる可能性があり、結果として病理学的なサイトカインの不均衡が起こるが、これがこの病態の特徴である(67、68、71)。リポ多糖(LPS)および他の微生物産物に応答してヒト単球から産生されるサイトカインの測定値は、敗血症で起こる現象を解析するのに用いられるインビトロのモデルである(72)。
【0063】
本方法を用いて、サイトカインの分泌および細胞表面抗原の発現を同定することにより、刺激に対する単一の生存単球の反応を測定できる。対象とする単球特性の例には、a) CD3/PC5、CD4/ECD、CD69/PE発現、およびTNFα/FITC分泌、ならびにb) CD3/PC5、CD4/ECD、CD69/PE発現、およびIL-1β/FITC分泌が含まれる。
【0064】
(c) 間質細胞を含まない液体懸濁培養液で増殖した CD34+ ヒト細胞のインビトロ分化の解析
造血系の原始細胞は、すべて既知である多くの種類の成熟血液細胞を産生する能力を特徴とする。末梢血では、CD34+細胞の大部分はCD38、CD33、CD45RA、およびCD71を発現せず、したがってCD34+CD38-CD33-CD45RA-CD71-表現型を示す。これらの細胞は、特異的表現型特性の獲得または喪失およびサイトカインの分泌を特徴とする段階で分化する(56、73、74)。分化後では、ほとんどのCD34+CD45RA+CD71-細胞が顆粒球系細胞系譜のものであるのに対して、CD34+CD45RA-CD71+細胞は赤血球系細胞系譜のものである。CD33抗原は単球および骨髄性前駆体の特徴的なマーカーであり、CD38はT細胞とB細胞で主に発現される。マイクロドロップ分泌アッセイ法を用いて、CD34+細胞のインビトロでの分化と増殖を個々の細胞ベースでモニターすることができる。この様式で分化をモニターすることにより、望ましい経路に沿った分化を導き、および/またはその結果望ましい速度で分化する培養条件を工夫することが可能となる。モニタリングは、患者に再度導入する目的で患者から採取したヒト造血細胞を、エキソビボで増殖させる培養条件を規定するのにも有用である。
【0065】
(d) 複数パラメータ解析
いくつかの捕獲抗体をゲルマトリックスに結合することが可能であり、リンパ球亜集団の細胞表面マーカーと単球/マクロファージ/樹状細胞マーカーと共に単一の単核試料を解析し、Tリンパ球亜集団(ヘルパーT細胞または細胞障害性T細胞)、Th1細胞もしくはTh2細胞、ナチュラルキラー細胞、B細胞、単球/マクロファージ、または樹状細胞に基づいてソーティングすることができる。分泌に対する2つの捕獲抗体と2つの細胞表面マーカーを用いて、リンパ球または単球にゲートを設定し、単一レーザーによりリンホカイン分泌リンパ球または単球の亜集団を単離することができる。複数のタンデムレーザーを用いて、単一の単核末梢血試料で複数パラメータ解析を得ることが可能であり、複数のソーティング能力により、様々なリンパ球および単球の各亜集団を単離することが可能となる。
【0066】
6. 稀な IgG スイッチ変種の単離
癌、心臓および自己免疫疾患、ならびに移植片拒絶反応を含む種々の疾患に関する抗体製品が入手可能である。残念なことに、研究と臨床に用いるために作製される多くのハイブリドーマはIgMサブクラスのものであり、このサブクラスは5量体構造でありプロテインAおよびプロテインGに対する親和性を欠くことから、一般に最も利用価値がないと考えられている。このためIgM抗体の精製および修飾は困難であり、Fab断片を作製するための酵素消化もほとんど不可能である。
【0067】
ハイブリドーマは細胞株に依存した極めて変動しやすい頻度で自発的にIgM産生からIgG産生にクラススイッチするが、一般に1:106というスイッチ頻度は稀である(1、7)。IgG1変種またはよりよくはIgG2変種といったさらに都合のよいアイソタイプに対して、アイソタイプ産生を偏らせる多くの手順が考案されているが、これらの方法は多くのスクリーニングサイクルを伴い非常に時間を要し手間がかかる。これらの手順のいくつかは、様々なアジュバントの使用または刺激因子もしくはリンホカインの同時注入、抗原投与量の変更または追加免疫の反復(過剰免疫)(1、4〜6)を含むが、合理的にスクリーニングされ得る細胞数と比較してスイッチ頻度が低いことから上記方法は依然として信頼できない。
【0068】
好ましくは上記の組成物必要条件に合致するマイクロドロップの使用により、十分な数の細胞をスクリーニングして稀なIgGアイソタイプスイッチ変種を単離する手段が提供される。IgMアイソタイプの抗体を分泌する細胞の混合集団を、増殖培地のみ、または様々なB細胞変異源/刺激物質(精製組換え抗原、リポ多糖(LPS)、レチノイン酸)および/またはサイトカイン(rmIL-4、rmIFNγ)の存在下のどちらかで、一部の細胞でアイソタイプスイッチが起こるのに十分な期間(例えば7日間)増殖させる。アイソタイプスイッチ率を増加させるために、さらにマウス胸腺細胞支持細胞層を用いる場合もある。
【0069】
次に、細胞集団をマイクロドロップにカプセル化する。マイクロドロップは図1に示すマトリックスと同じ種類のマトリックスを含むことが可能であり、好ましくは上記のビオチンとマトリックス分子の好ましいモル比に一致するが必ずしもその必要はなく、捕獲分子はIgGアイソタイプ特異的抗体である。典型的には、捕獲分子は抗体である。捕獲分子はすべてのIgGサブタイプに特異的であってもよいし、IgG1、IgG2、IgG2a、IgG3、およびIgG4等の特定のサブタイプに特異的であってもよい。捕獲試薬に特異的なIgGアイソタイプ抗体を分泌する少なくとも1つの細胞で占有されるマイクロドロップでは、分泌抗体がマイクロドロップに結合する。IgMアイソタイプ特異的抗体を分泌する細胞で占有されるマイクロドロップでは、分泌抗体はマイクロドロップ内に捕獲されない。抗体を分泌するのに十分な時間、例えば1〜12時間、マイクロドロップをインキュベートした後、検出試薬をマイクロドロップ内に拡散させる。典型的には、検出試薬は捕獲分子とは異なる部位で捕獲された分泌抗体に結合する。典型的には、検出試薬は、捕獲された目的のIgGアイソタイプの分泌抗体に対する抗体である。通常は、検出試薬は例えば蛍光で標識し、これによりIgG抗体を分泌する細胞で占有されるマイクロドロップの検出が可能となる。これらのマイクロドロップは、FACSまたは上記の他の方法により、他のマイクロドロップから分取することができる。次に、単離したマイクロドロップから細胞を回収することができる。この選択方法により、0.0001%程度しかないIgG分泌細胞の亜集団の検出と単離が可能となる。上記方法の変法では、抗体を分泌する細胞を、ほとんどの占有マイクロドロップが複数の細胞により占有される条件下でカプセル化する。解析は、前述と同様に行う。各マイクロドロップにカプセル化される複数の細胞のうちいずれか1つがIgG抗体を分泌する場合、このマイクロドロップは陽性と判断される。このようなマイクロドロップから回収した細胞は、次に少なくとももう一度、カプセル化とスクリーニングのサイクルを繰り返す。次のカプセル化サイクルではマイクロドロップに対する細胞の平均比率を下げて行い、最終的には、スクリーニングの最終ラウンドでほとんどの占有マイクロドロップが単一細胞をカプセル化するようにする。このような反復法により、より多くの細胞集団をスクリーニングすることが可能となる。
【0070】
さらなる変法では、ウェルあたり約1,000個の細胞までという一定量の細胞をマイクロタイターウェルに分配する。次に、計量棒アッセイ法を用いて、ウェルから回収した上清をIgGアイソタイプの抗体について試験する。計量棒アッセイ法により陽性シグナルを示すウェルの細胞のみをカプセル化し、マイクロドロップ法を用いてスクリーニングする。
【0071】
7. マイクロドロップ検出法と他の方法との比較
表面発現と分泌特性の両方により、目的のT細胞を同定する幅広い市販のアッセイ法を以下に説明する。それぞれのアプローチは特定の応用に対する利点を有し、いくつかは使用が簡便で、利用価値があり、比較的安価である。提案するマイクロドロップ型式は、マイクロカプセル化技術、フローサイトメトリー、および入手可能な抗体試薬に依存する。他の方法と対照的に、マイクロドロップ分泌アッセイ法では、目的のサイトカインを分泌する単一細胞の小さな亜集団を検出すること、および表面発現と分泌特性を同時にアッセイすることが可能である。本技術はほとんどのELISA法の種類とフローサイトメトリーアッセイ法の手順と適合し、さらに免疫療法に関する調査や研究で使用するために機能的に活性のある細胞の集団を回収することが可能である。
【0072】
サイトカインを検出し定量する上清アッセイ法
生体液および組織培養上清中の可溶性サイトカインを定量するいくつかの方法が開発されているが、それぞれの技術には少なくとも1つの重要な制限がある。これらのアプローチは単一細胞ベースではないため、目的のサイトカインを分泌する細胞サブセットの情報が提供されない。
【0073】
バイオアッセイ法
バイオアッセイ法はサイトカインの存在下での特殊化した細胞株の増殖に依存し、最も感度の低いアプローチである。比較的単純でよく特徴が調べられているが、これらの型式は再現性がなく、特異性の低さからあるサイトカイン(IL-αおよびIL-1β等)の間ではサイトカインの区別ができないことが多い。さらに、これらのアッセイ法は半定量的であるのみで、場合によっては生体試料中の阻害剤の存在によりサイトカインレベルが過小評価される(35)。
【0074】
ELISA法
特有の高い特異性と感度から、ELISA型式は可溶性サイトカインおよびケモカインを検出し定量するためにますます使用されてきているが、その使用は1度のアッセイで単一のサイトカインを測定するだけに制限される。酵素を介するシグナル増幅を用いるため、サンドイッチELISA法では、生理的に相当する(例えば、>5〜10 pg/ml)濃度の特異的サイトカインまたはケモカインを測定することが可能である(36)。本アプローチの感度は、ユーロピウム標識抗体(Ab)(37)と細胞培養捕獲ELISA法(2、38)を用いる非競合免疫測定法(dissociation-enhanced lanthamide fluoroimmunoassay)(DELFIA)等の新しいアプローチの開発に伴って上昇している。
【0075】
フローメトリックス(FlowMetrix)(商標)システム
フローメトリックス(商標)システム(ルミネックス(Luminex)、テキサス州オースティン)では、従来の免疫吸収アッセイ法に緑色蛍光レポーター色素と共に固相支持体としてビーズを用い、その後フローサイトメトリー解析を行う。個々のビーズセットをフローサイトメトリーで分離することができるため、多くのアッセイを同時に行うことができ、少量(100〜200μl)の細胞培養上清または生体液で複数検体の定量が可能である(39)。フローメトリックス(商標)技術では細胞集団全体の平均分泌量を測定するのみであり、生細胞の亜集団を選択して回収する目的で多様な細胞集団をスクリーニングするためには有用ではない。単一検体を検出する上ではフローメトリックスシステムの感度はELISAに匹敵するが(ピコグラム)、複数解析を行う場合には感度はナノグラムレベルまで低下する(39)。
【0076】
特異的サイトカイン核酸プローブを用いたインサイチューハイブリダイゼーション法およびサイトカインmRNA発現アッセイ法(RT-PCR法)
インサイチューハイブリダイゼーションまたはRT PCRは、発現によって生物活性のあるタンパク質の翻訳/分泌が明らかに示されるわけではないが、サイトカイン遺伝子を発現している細胞を同定するのに有用な技術である(40)。細胞内の特異的サイトカインメッセージの発現をアッセイして定量するメッセージ増幅表現型分類検査法(Message Amplification Phenotyping)(MAPPing)も最近開発された(41)。MAPPing解析法は、細胞からRNAを単離するために微細な手順を使用し、その後全細胞RNAをcDNAに逆転写し、PCRによりサイトカイン特異的DNA断片を酵素的に増幅する。本技術により、インサイチューハイブリダイゼーションのような個々のサイトカインアッセイ法に必要な複雑さや時間を要さずに、細胞内に存在するmRNAの全体的なパターンを同時に決定することが可能となる。ノーザン解析法およびリボヌクレアーゼ保護アッセイ法を用いても、限られた数のサイトカインを同時に検出することが可能である(42)。しかし、RT-PCR法やインサイチューハイブリダイゼーション法では、アッセイは定量的ではなく、死細胞で行うため、自然のサイトカインの分泌を直接測定するものではない。
【0077】
単一細胞サイトカインアッセイ法
リンパ球の機能的不均一性の理解の重要性から、単一細胞アッセイ法への関心が高まってきている。現法には、ELISPOT法、限界希釈解析法、逆溶血プラークアッセイ法、免疫組織化学法、および単一細胞PCR法が含まれる(41、43)。これらの方法により個々の細胞によるサイトカイン分泌を解析することが可能であるが、時間を要し手間がかかるため、大きな細胞集団のハイスループットスクリーニングには適さず、解析後に目的の単一生細胞を回収することは不可能である。
【0078】
細胞内サイトカイン染色法
最近になって、特異的抗サイトカインモノクローナルAbによる細胞内染色に、混合細胞集団中の個々のサイトカイン産生細胞の複数パラメータフローサイトメトリー解析が有用になってきた(3、6〜8、11、44〜48)。高品質の試薬およびキット、ならびに細胞表面および細胞内抗原を同時検出する最適化した手順書が、市販されている(ベクトンディッキンソン(Becton Dickinson)/ファーミンジェン、およびR&Dシステムズ等)。通常、染色前に様々な刺激により細胞をインビトロで活性化する。フローサイトメトリー法は、蛍光色素標識抗体を用いた細胞内サイトカインおよび細胞表面マーカーの直接検出に基づく。細胞調製法には、固定法、透過処理法、およびサイトカインを細胞内に保持するためにモネンシンまたはブレフェルジン等の薬剤で処理することによりサイトカイン分泌を中断する方法が含まれる。複数パラメータフローサイトメトリーによって重要な細胞内機能的マーカーを解析する能力により、臨床研究に独特の利点が提供される。しかし、アッセイ手順により細胞が死細胞となるため、機能的分泌の測定および研究や治療応用のためにFACSを用いて目的細胞を回収し増殖することは不可能である。
【0079】
アフィニティーマトリックス技術
特異的タンパク質の分泌に基づき、細胞を同定し単離する2つの新しいアプローチが最近開発された。どちらとも、生細胞の表面に結合された分泌産物に特異的な人工アフィニティーマトリックスを用いる。1つめのアプローチは、細胞表面タンパク質をビオチン化し、ストレプトアビジンおよびビオチン化捕獲Abと共にインキュベートすることによる。分泌産物の漏出を防ぐため、インキュベーション段階は予熱したゼラチンを含む低透過性の培地で行う。陽性細胞のフローサイトメトリー検出に、蛍光色素標識抗体染色法を用いる(49、50)。2つめのより直接的なアプローチは、ミルテニーバイオテック(Miltenyi Biotec)(カリフォルニア州オーバーン)で開発されたもので、共通のリンパ球表面マーカーCD45に対して作られたAb-Ab複合体を用いる(49〜54)。分泌後、蛍光色素標識抗サイトカイン抗体で細胞を標識し、抗蛍光色素抗体(抗FITCまたは抗PE Ab)でコーティングした磁気マイクロビーズと共にインキュベートしてから検出する。陽性細胞は、磁気マイクロビーズとのインキュベーション前にフローサイトメトリーにより解析することができるか、またはMACSカラムを用いて濃縮することができる(52〜54)。細胞表面マーカーの同時染色(Ab-Ab複合体で封鎖されるCD45以外)も可能である。
【0080】
他の方法と比較し、細胞アフィニティーマトリックス技術は、分泌産物に基づいた多数の個々の細胞の解析とソーティングが可能である。生細胞の単離に成功したことが報告されているが、細胞上に構築されたアフィニティーマトリックスが機能と生存度に及ぼす影響は懸念するところである。さらに、個々の細胞により分泌される産物の量、および同時に検出され得る細胞表面マーカーの数は限られている。その上、分泌レベルを推定することは困難である。このアッセイ形式を用いると、アフィニティーマトリックスに結合した分泌産物の量は標識前に細胞表面に発現された受容体の数に依存することになる。アフィニティーマトリックス内の結合部位の濃度が低いとすぐに飽和してしまい、分泌の低い細胞と分泌の高い細胞を識別することはほぼ不可能である。
【0081】
現行のサイトカイン検出法の比較を表1に示す。
【0082】
(表1)サイトカイン検出に関するアッセイ法の特性の比較
【0083】
8. キット
本発明では、マイクロドロップを作製するキットについてさらに説明する。キットは、モルマトリックス成分分子あたり0.85未満、好ましくは0.01〜0.2モルビオチンのモル比で、ビオチンに結合したマトリックス分子(典型的にはアガロース)を含む。キットは、ストレプトアビジン、第2ビオチン分子に結合した捕獲分子、およびまたは検出分子を含んでもよい。キットは典型的に、キットの使用法を提供するラベルも含む。上記のようなIgGスイッチ変種を検出するためのキットも提供する。このようなキットは、好ましくは上記のモル比であるが必ずしもその必要はないビオチン化マトリックス分子、捕獲分子と検出分子、および選択的には標識化を指示する使用説明書を含む。ラベルという用語は、製造、輸送、販売、もしくは使用中のいかなる時でもキットに添付されるか、または別の方法でキットに付随する書面または記録による任意の資料を意味する。例えば、ラベルという用語は、広告印刷物およびパンフレット、包装材料、使用説明書、オーディオもしくはビデオカセットテープ、コンピューター・ディスク、ならびにキットに直接記された文書を包括する。
【0084】
実施例
I. 材料および方法
細胞および培養条件
1) トランスフェクト細胞株
本発明者らは、以下のとおりにリポソームによる手順を用いて(Lipofectin(登録商標)、ライフテクノロジーズ(Life Technologies))、hrIL-4を分泌する安定的なトランスフェクトCHO細胞株(CHO hrIL-4)を作製し:PCRによりhrIL-4遺伝子配列を増幅しpIRESneoベクター(クロンテック(Clontech))にこの配列を挿入して、hrIL-4遺伝子を含むプラスミドを構築した。pIRESベクターは脳心筋炎ウイルス(ECMV)の減弱した配列内リボソーム進入部位(IRES)を含むが、この部位によって1つのメッセンジャーRNAから2つの読み枠の翻訳が可能となる。トランスフェクションの手順およびクローニングは、メーカーの推奨するように実施した。CHO IL-4細胞株は、1週間に2回、トリプシン処理した細胞を1:10に分配し、5%の透析済みFBSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含むMEMα培地で維持した。
【0085】
2) 抗原特異的T細胞株
抗原特異的マウスT細胞株を作製するため、Balb/c雌マウスに合成ペプチドM1081(マサチューセッツジェネラルホスピタル(マサチューセッツ州ボストン)、N. Rosenthal氏による分与、配列:
分子量1,860)を免疫した。心臓の発達に関与するタンパク質、EITF2Aの一部であるこのペプチドを担体として用いたKLHに結合し、4週間おきに1年間、動物の腹腔内に注入した。無菌的に摘出した脾臓および腸間膜のリンパ節から単一細胞懸濁液を調製するため、シリンジプランジャーを用いてペトリ皿の中で70μm細胞ろ過器により器官をバラバラにした。次に、10%ウシ胎仔血清(FBS、ハイクロン(HyClon)、ユタ州ローガン)、HEPES、抗生物質(ペニシリンおよびストレプトマイシン、ギブコBRL(GibcoBRL)、ニューヨーク州グランドアイランド)、および5x10-5Mの2-メルカプトエタノール(2-ME、シグマ、ミズーリ州セントルイス)を含むDMEM(ギブコBRL)に単一細胞懸濁液を再懸濁した。赤血球を溶解するため、溶解緩衝液(シグマ)で細胞懸濁液を処理し、5% FBSを含むハンクス平衡塩類溶液(HBSS、ギブコ)で2回洗浄した。トリパンブルー(TB、シグマ)排除アッセイ法により、血球計算板チャンバーで細胞生死判別試験とカウントを行った。自己支持細胞としての用途のため、一定量の脾細胞を凍結した(-70℃)。Londei, M.ら、1991 (55)によって記載される従来の手順に従い、mLN細胞を用いて抗原特異的T細胞株を作製し、マイトマイシンCで処理した自己支持細胞およびmrIL-2の存在下で、隔週ごとに特異的抗原で再刺激することにより培養液中で維持した。
【0086】
3) マウス脾細胞
未処置のBalb/c雌マウスから無菌的に脾臓を摘出し、上記のように単一細胞懸濁液を調製した。完全培地で細胞濃度を1.5x106/mlに調整し、24ウェルプレートの3ウェルそれぞれに2 ml(3x106細胞)ずつ添加した。残りの細胞は、一定分量に分けて凍結した。細胞を刺激するため、ConA(5μg/ml)またはPHA(5μg/ml)のどちらかを実験ウェルに添加し、ピペッティングにより混合した。完全培地のみの細胞を陰性対照として使用した。マイクロドロップサイトカイン分泌アッセイ法を行う前に、5% CO2存在下で37℃で24時間インキュベートした。
【0087】
4) ヒストパーク(Histopaque) 1077-I(シグマ)技術を用いて、健康なドナーから新鮮なヒトPBMCを単離した
単離した細胞(3x106ml)は、PHA(5μg/ml)の存在下または非存在下で、RPMI-1640+10% FBS(透析済み)で5% CO2のもと37℃で24時間培養した。
【0088】
免疫試薬
マイクロドロップ分泌アッセイ形式において捕獲抗体およびレポーター抗体として使用するため、マウスサイトカインおよび精製組換えサイトカイン(mrIFNγ、mrIL-2、mrIL-4、mrIL-6)に対するビオチン化および蛍光色素標識(FITCまたはPE)モノクローナル抗体、PE標識抗マウスCD3、ならびにFcγII/III受容体に対して作製した抗体(Fcブロック(Fc Block)(商標))をファーミンジェン社(PharMingen Inc.)(カリフォルニア州サンディエゴ)から入手した。hrIL-4抗体対もファーミンジェン社から入手した。マイトマイシンC、ConA、およびPHAは、シグマ(ミズーリ州セントルイス)から入手した。抗ヒトCD3/PE-Cy5 Abおよび抗ヒトCD4/ECD Abは、イムノテック(Immunotech)(ベックマンコールター、フロリダ州マイアミ)から入手した。抗ヒトCD69/FITC、抗ヒトIFNγ/PE、ビオチン化抗ヒトIFNγ、および精製rh IFNγは、BD/ファーミンジェン(カリフォルニア州サンディエゴ)から入手した。
【0089】
ゲルマイクロドロップの作製
異なる量のビオチンとセルミックス(CelMix)(商標)200エマルジョンマトリックス(ワンセルシステムズ社、マサチューセッツ州ケンブリッジ)を含む2つのビオチン化アガロースカプセル化マトリックス、セルバイオゲル(CelBioGel)(商標)-1またはセルバイオゲル(商標)-2を用いて、マイクロドロップを調製した。1バッチ分20x106個のマイクロドロップを調製するため、400μl量のアガロースを電子レンジで75秒間加熱し、10%プルロニック酸(シグマ)25μlを界面活性剤として添加した。検量線の作成に使用する非占有マイクロドロップを作製するため、完全培地100μlをアガロース/界面活性剤混合液に添加した。ボルテックスし、37℃で3分間平衡化した後、ガラスのシンチレーションバイアル中の37℃に予熱したセルミックス(商標)200エマルジョンマトリックス15 mlに、この混合液を1滴ずつ添加した。このバイアルをセルシス(商標)100マイクロドロップメーカー(ワンセルシステムズ社)に取り付け、混合液を以下のように乳化した:室温(RT)にて2,100 rpmで1分間、氷浴中にて2,100 rpmで1分間、氷浴中にて1,100 rpmで10分間。650 gで10分間遠心分離することにより油を除去し、その後HBSS 10mlを加えて450 gで5分間遠心分離することにより2回洗浄した。
【0090】
単一細胞のカプセル化
血球計算板チャンバーで細胞数をカウントし、トリパンブルー排除アッセイ法により生存度を算出した後、活発に増殖している培養液の細胞を1x107/mlの濃度で完全培地に再懸濁した。馴化培地を作製するため、細胞培養液の上清を遠心分離し(800 gで5分間)、細胞残屑を除去した。続いて、完全培地100μ中に1x106個の細胞をアガロース/界面活性剤混合液に添加し、上記のようにマイクロドロップを形成した。占有マイクロドロップの数を増加させるため、一部の実験では、上記のカプセル化手順の前に、それぞれ1x106の細胞を含む2試料分のセルバイオゲル(商標)-2をセルミックス(商標)15 mlに再懸濁した。
【0091】
複数細胞のカプセル化
カプセル化する前に、細胞を2枚の75 cm2フラスコまたは2枚の12ウェルプレート(2 ml/ウェル)で5日間培養する。プールした細胞(総数は2x106を超える)をカウントし、増殖培地200μlまたは300μlに再懸濁する。2試料分の融解したセルバイオゲル 500μlを10%プルロニックF-68溶液(シグマ アルドリッチ)(Sigma-Aldrich)と共にボルテックスし、37℃で3分間平衡化して、次にそれぞれを細胞懸濁液100〜150μlと混合する。これらの混合液を予熱したセルミックス(商標)15 mlに添加して、蓋をしてから勢いよく10回振り、エマルジョンを形成する。次に、このバイアルをセルシス100(商標)マイクロドロップメーカー(ワンセルシステムズ社)に取り付ける。直径の大きなマイクロドロップを作製するためには、乳化に1,800 rpmおよび1,000 rpmの速度を使用する。作製したマイクロドロップをDPBSで2回洗浄して油を除去し、70μm細胞ろ過器でろ過し、血球計算板チャンバーでカウントする。
【0092】
アガロースマトリックスにおける捕獲抗体の固定化
次にHBSS+2% FBSでマイクロドロップを洗浄し、この懸濁液をDMEM+5% FBS 8 ml中でストレプトアビジン(10μg/ml)と共に室温で15分間インキュベートすることにより、架橋を構築した。HBSS+2% FBSで洗浄した後、マイクロドロップをDMEM+5% FBS 4 mlに再懸濁し、同量の捕獲試薬(10μg/mlのビオチン化抗サイトカイン抗体)を添加して最終濃度を5μg/mlとした。続いて、試料を室温で15分間インキュベートした。マイクロドロップ懸濁液をHBSS+2% FBSで再度洗浄し、非結合の捕獲抗体を除去した。
【0093】
サイトカイン分泌インキュベーションおよび蛍光標識
次に、カプセル化細胞を予熱した(37℃)完全培地30 mlに再懸濁し、5% CO2のもと37℃で3.5時間または18時間インキュベートし、サイトカインの分泌を可能にした。分泌インキュベーション後、マイクロドロップ懸濁液をHBSS+2% FBSで洗浄し、続いてDMEM+5% FBS 4 mlに再懸濁した。マイクロドロップ懸濁液に、蛍光色素標識抗サイトカイン抗体(10μg/ml)を含む同量のDMEM+5% FBSを添加した。死細胞を識別するため、最終濃度2μg/mlのヨウ化プロピジウム(PI、モレキュラープローブ(Molecular Probes、オレゴン州ユージーン)を添加した。室温で20分間インキュベートした後、試料を洗浄し、フローサイトメトリー解析するため専用チューブに移した。
【0094】
細胞表面染色
レポーターAbで分泌サイトカインを標識した後、PE標識抗CD3モノクローナルAbでCD3細胞表面受容体を染色した。Fc受容体を介する非特異的な免疫蛍光染色を低減させるため、カプセル化細胞をHBSS+2% FBS 1 mlに再懸濁し、Fcブロック(商標)1μgと共に4℃で15分間インキュベートした。次に、試料を洗浄し、抗CD3/PE抗体5μgを含むHBSS+2% FBS 1 ml中で4℃にて30分間インキュベートすることにより、PE標識抗CD3モノクローナル抗体で染色した。HBSS+2% FBSで洗浄した後、試料をフローサイトメトリーにより解析した。
【0095】
アッセイ法の対照
蛍光Abで染色した分泌試料に加え、4つの別々のアッセイ対照を調製した。a) 非染色対照(細胞の自己蛍光を検出するため):細胞のカプセル化後、マイクロドロップの一定量を直接保存した。b) 捕獲なしの対照(免疫試薬のアガロースマトリックスまたは細胞表面への非特異的結合によるバックグラウンドの蛍光を検出するため):捕獲Abの結合段階を省略する以外は、マイクロドロップの一定量を通常どおりに加工した。c) 陽性対照(試薬が適切に働くことを保証するため):捕獲抗体を添加した後かつ分泌インキュベーション前に、一定量のマイクロドロップを分取し、精製サイトカインとインキュベートした。およびd) アイソタイプ対照(蛍光標識検出抗体の非特異的結合が起こるか否かを検出するため):分泌インキュベーション段階後に一定量のマイクロドロップを分取し、検出抗体として同様に標識した関連アイソタイプ対照抗体と共にインキュベートした。
【0096】
マイクロドロップ上清アッセイ法
従来のELISA法の変法として、本発明者らはまた、サイトカイン検量線により検出レベルを算定する細胞を用いるマイクロドロップ上清アッセイ法(Flowmetrix(商標)(ルミネックス、テキサス州オースティン)システムに類似)を開発した。分泌アッセイ手順の一定量のマイクロドロップ懸濁液を、精製サイトカインと共にインキュベートする代わりに培養上清(直接、または1:10もしくは1:100の比率で新鮮培地で希釈した後)と共にインキュベートする以外は、陽性対照のように(上記)処理した。細胞なしのマイクロドロップで作成した検量線から、平均蛍光強度および上清希釈係数に基づいて上清中の相対的なサイトカイン濃度を決定した。本アッセイ型式を用いて、分泌アッセイ法を行った日と同じ日に回収した培養上清中のサイトカイン濃度を測定した。
【0097】
マイクロドロップの大きさがアッセイ法の再現性に及ぼす影響
マイクロドロップは乳化工程を経て作製されるが、その大きさはガウス分布を示す:微粒子の大部分(〜76%)は、平均値の両側において標準偏差の範囲内に入る。より小さいマイクロドロップは非占有マイクロドロップである傾向があるため、占有マイクロドロップの中では大きさの分布はより小さくなる。サイトカイン分泌アッセイ法では、再現性は、マイクロドロップあたりの捕獲部位数および分泌時間中に個々の細胞から分泌されるサイトカイン量に対する依存度よりも微粒子の大きさの変動に対する依存度の方が低い。
【0098】
アッセイクロストークの可能性
「クロストーク」(分泌細胞で占有されるマイクロドロップからの分泌産物の漏出)により、マイクロドロップに偽陽性を生じる可能性があり、これは上清アッセイ法を用いて判断することができる。これは、細胞(ハイブリドーマまたはトランスフェクト細胞等)がマトリックスに結合した捕獲抗体より過剰にタンパク質を分泌する状態に対する懸念事項である。適切な分泌時間を選択することにより、クロストークを実質的に排除することが可能である。例えば、マイクロドロップ分泌アッセイ法を行い、バイオプロセス応用のためにタンパク質分泌量の高いCHOおよびハイブリドーマ細胞を単離する場合、15〜30分ということが多いがシグナルがバックグラウンドを超え次第、かつ抗体結合部位が飽和する以前に、細胞をソーティングすることができる。サイトカインを分泌する細胞の亜集団をアッセイする状態では、通常はサイトカインレベルは低く平均マイクロドロップの捕獲容量よりも低いため、「クロストーク」は理論上の懸念事項にとどまる。捕獲部位数が分泌サイトカインの量よりも過剰であることを保証するため、分泌の定量的解析や実験間での比較を行うことも可能である。
【0099】
顕微鏡観察
カプセル化細胞は、位相差対物レンズを装備したニコン(Nicon)ECLIPSE E600蛍光顕微鏡を用いて可視化した。トリパンブルー染色後の細胞生存度を、顕微鏡によって調べた。フローサイトメトリー解析の前に、480/30 nm励起フィルタと535/40 nmバリアフィルタのセットを用いて、FITC染色されたマイクロドロップを調べた。546/10 nm励起フィルタと590 nmバリアフィルタを用いて試料を調べることにより、PI処理した細胞およびPE染色した細胞の赤色蛍光を検出した。試料は、400xまたは1000xどちらかの倍率によって観察した。蛍光顕微鏡を用いて、カプセル化細胞の生存度を測定し、分泌細胞を含む陽性染色されたマイクロドロップを同定した。捕獲なしの対照でバックグラウンドの蛍光が低いことおよび陽性対照で強い蛍光が得られることから、アッセイ法が適切に行われたことが示された。
【0100】
密度勾配分離法
非占有マイクロドロップと占有マイクロドロップの分離は、例えばDPBS中の5%、6%、7%、および8%パーコール(シグマ #P1644)の段階的な密度勾配でマイクロドロップを遠心分離することにより達成される。ルアーロックチップとナイロンコックの付いた10 ccシリンジ(B-D)内で、4つの濃度それぞれ1.5 mlからなる勾配を無菌的に調製する。マイクロドロップ懸濁液2 mlを勾配に上層し、上部をパラフィルムで覆う。シリンジアッセンブリーを50 ml遠心管(コーニング(Corning))に挿入し、アッセンブリーを18〜22℃にて400xgで20分間遠心分離する。6%パーコールの層に非占有マイクロドロップが含まれるので、これを廃棄する。底の3 ml、すなわち7〜8%パーコールを回収することで、主に(〜90%)細胞を占有するマイクロドロップの回収物が得られる。2倍量の緩衝液でマイクロドロップを2回洗浄し400xgで遠心分離することにより、パーコールを除去する。
【0101】
フローサイトメトリー
ファックスキャン(FACScan)(ベクトンディッキンソン、カリフォルニア州サンノゼ)またはエピックスエリート(EPICS Elite)(商標)(ベックマンコールター、フロリダ州マイアミ)を用いて、マイクロドロップ試料を解析した。どちらもワンセルシステムズで入手可能である。蛍光色素標識した(FITCまたはPE)検出試薬およびPI標識した死細胞を、アルゴンレーザーの488 nmスペクトル線で励起した。緑色(FITC)および赤色(PEまたはPI)蛍光を、それぞれ525 nm、575 nm、および630 nmのロングパスフィルタで収集した。統計分析には、エピックスエリート 4.02ソフトウェア(ベックマンコールター)を用いた。非占有マイクロドロップの蛍光強度を測定するため(検量線)、それぞれの試料について20,000個の結果を得た。占有マイクロドロップでは非占有マイクロドロップに比較して光散乱特性が増加し、前方および直角光散乱のプロットで識別された。光散乱を用いて、占有マイクロドロップを非占有マイクロドロップから容易に分離し、非占有マイクロドロップはスクリーンから消えるまで前方散乱閾値または弁別値を増加することによりデータ収集から削除した。2つまたはそれ以上の細胞で占有されるマイクロドロップは、FSの増大から、単一細胞で占有されるマイクロドロップと識別した。データ収集と解析のため、単一の生(PI陰性)細胞で占有されるマイクロドロップのみにゲートを設定した。この亜集団を同定するため、二次元パラメータドットプロット(PI対FS)を用いた。次に、対照と分泌サンプルで、このマイクロドロップ亜集団を緑色(FITC)または赤色(PE)蛍光について解析した。負の対照よりも高い蛍光は、サイトカイン分泌細胞を表す。補正設定のため、FITCもしくはPE標識検出試薬またはPIのみで染色した試料を流し、各試料におけるスペクトルの重複をコンピューターで減算した。試料は毎秒およそ600個の速度で流し、少なくともゲートを設定した10,000個の結果を収集した。
【0102】
蛍光活性化セルソーティング(FACS)
100μmノズルを装備したエピックスエリート(商標)を用いて、サイトカイン分泌細胞をソーティングした。単一のPI陰性(生)細胞で占有されるマイクロドロップ亜集団の蛍光を解析した。陽性蛍光を生じるマイクロドロップにゲートを設定し、毎秒600〜800個の速度でソーティングした。25%の馴化培地を含む増殖培地で満たした15 mlチューブに、陽性マイクロドロップを回収した。
【0103】
ソーティング後の生細胞の回収および増殖
ソーティング手順中に収集した陽性マクロドロップを、25%馴化培地および1 U/ml(トランスフェクトCHO細胞用)または3 U/mlアガラーゼ(ニューイングランドバイオラボ(New England Biolabs)、マサチューセッツ州ビバリー)を含む増殖培地に入れ、5% CO2のもと37℃で7〜10日間インキュベートした。抗原特異的リンパ球を回収するため、アガラーゼ(3 U/ml)およびmrIL-2(10 ng/ml)存在下で18時間インキュベートした後、特異的Ag(10μg/ml)、mrIL-2(10 ng/ml)、およびマイトマイシンCで処理した自己支持細胞をソーティングした細胞と1:1の比率で希釈して添加し、フラスコをインキュベーターに戻した。細胞生存度および増殖は、トリパンブルー染色後に顕微鏡を用いて血球計算板チャンバーでカウントすることにより、1日おきに測定した。
【0104】
マイクロドロップのプラスチックまたはガラス表面への結合
マイクロドロップの無菌未コーティングポリスチレン表面(B-Dファルコン(B-D Falcon)ペトリ皿、#351008または#1006)への結合は、ビオチンが共有結合したアガロース(例えばセルバイオゲル(商標)-1)からマイクロドロップを調製することにより達成される。細胞を含むマイクロドロップの大部分が単一細胞で占有される手順に従い、マイクロドロップを調製する。パーコール勾配で得られる占有マイクロドロップを、タンパク質なしの組織培養緩衝液、ダルベッコリン酸緩衝食塩水(DPBS)またはハンクス平衡塩類溶液(HBSS)で2回洗浄する。緩衝液を含むペトリ皿にマイクロドロップを添加し、室温のもと水平面で静置しておく。結合は15分以内に完了するが、これはアガロース表面のポリスチレンの官能基へのおそらく水素結合を介した結合による結果であると考えられ、結合段階過程で緩衝液中にタンパク質が存在する場合に限りこの結合はブロックされる。マイクロドロップが結合していないペトリ皿上の部位のブロッキングは、5%ウシ胎仔血清のような血清を添加することにより達成される。ブロッキングは5分以内に完了し、これにより固相支持体ネットワークがマイクロドロップ内のみで構築されプレート表面では構築されないことが保証される。続くすべての段階のタンパク質、培地、およびインキュベーション条件は、結合を妨げずまた逆戻りさせない。
【0105】
抗体分泌のための細胞および培養条件
B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)に特異的なmIgMκを分泌するハイブリドーマ細胞株CRL-8018、およびヒツジ赤血球に特異的なmIgG3を分泌するハイブリドーマ細胞株TIB-114(どちらもATCCから入手)を実験に使用した。CRL-8018ハイブリドーマ細胞は、20% FBS(ギブコラボ(Gibco Lab.))を補充したイスコフ改変ダルベッコ培地で培養した。TIB-114ハイブリドーマ細胞株には、10% FBS(ギブコBRLプロダクツ(Gibco BRL Products))を補充したDMEMを用いた。どちらのハイブリドーマ培養液も、2 mM L-グルタミン(ライフテクノロジーズ)およびPen/Strep(ペニシリン1 U/ml/ストレプトマイシン 1μg/ml、ライフテクノロジーズ)をさらに含む。培養液は週に2回新鮮培地を添加するかまたは交換することにより、加湿インキュベーターで5% CO2のもと37℃で、1x105〜1x106細胞/mlの密度で維持した。
【0106】
マイクロドロップのアイソタイプ特異的検出および単離アッセイ法
マウスIgMを分泌するハイブリドーマCRL-8018とマウスIgG3を分泌するハイブリドーマTIB-114の人工的な混合液を実験に使用した。まず、CRL-8018細胞をTIB-114増殖培地(DMEM+10% FBS)で7日間培養し、アイソストリップ(IsoStrip)(商標)(ロシュダイアグノスティクス社(Roche Diagnostics Corp.)を用いて上清を調べることにより、mIgM分泌レベルを測定した。次にCRL-8018細胞にTIB-114細胞を0.1%、0.01%、または0.001%の割合で添加し、2x106、25x106、または50x106細胞をカプセル化した後にマイクロドロップを用いる濃縮を行った。少なくとも1つのIgG分泌細胞を含む全マイクロドロップを以下のようにソーティングしてプールし、5 U/mlアガラーゼを補充したDMEM+10% FBSで5% CO2のもと37℃で5日間培養した。
【0107】
クラススイッチの誘導
CRL-8018細胞株を用いて、インビトロでクラススイッチを起こす回数を増加させる方法を検討し評価した。細胞を1x104/mlで75 cm2フラスコまたは12ウェルプレートにプレーティングし、
組換えHBsAg(1μg/ml)とrhIL-4(10 ng/ml);
組換えHBsAg(1μg/ml)とrmIFNγ(10 ng/ml);
LPS(1μg/ml)とrmIL-4(10 ng/ml);
LPS(1μg/ml)とrmIFNγ(10 ng/ml);
25 nM、50 nM、または100 nMのレチノイン酸
を補充した完全増殖培地で7日間インキュベートした。
【0108】
7日間インキュベートした後、アイソストリップ(商標)を用いてメーカーの説明に従い、培養上清をIgMおよび/またはIgG産生について調べた。
【0109】
連続サブライニング(sequential sublining)法によるインビトロで誘導されたスイッチ率の測定
CRL-8018細胞を上記のような分裂促進因子/増殖因子を補充した増殖培地に再懸濁し、1,000細胞/mlの密度で96ウェルプレート10枚にプレーティングした。細胞を、加湿インキュベーターで5% CO2のもと37℃で5日間培養した。細胞培養上清を回収し、アイソタイプ特異的ELISAを行った。簡単に説明すると、20mM NaHCO3(シグマ アルドリッチ)に溶解した10μg/プレートの精製ヤギ抗マウスIgG(ジャクソンイムノケミカルズ(Jackson Immunochemicals))により50μl/ウェルで96ウェル可動性アッセイプレートを予めコーティングしておき、4℃で一晩インキュベートし、次にカルシウムとマグネシウムを含まないダルベッコリン酸緩衝食塩水/0.2% ツィーン(Tween)20(DPBS-/ツィーン)(シグマ アルドリッチ)で3回洗浄した。非特異的タンパク質結合部位を、200μl/ウェルのPBS+1% BSAを用いて室温(RT)で2時間ブロッキングした。
【0110】
各培養上清100μlを回収し、抗IgGコーティングしたプレートに入れて室温で2時間インキュベートした。アッセイプレートをDPBS-/ツィーンで3回洗浄し、PBS/ツィーンで1:100に希釈したHRP標識ヤギ抗マウスIgG(ジャクソンイムノケミカルズ)50μlを各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。プレートを再度洗浄し、TMB基質溶液(シグマ アルドリッチ)100μlにより発色させた。0.5M H2SO4(シグマ アルドリッチ)で反応を停止し、ElX800 ELISAプレートリーダー(バイオテックインスツルメント社(Bio-TEK Instruments, Inc.))により405 nmでプレートを測定した。上記の方法を5回実施し、スイッチ率を測定した。
【0111】
マイクロドロップアイソタイプ捕獲および単離アッセイ法による自発的スイッチ率ならびにインビトロで刺激されたスイッチ率の測定
アイソタイプスイッチ率が低いため、大きな細胞集団の解析が必要となる。そのため本発明者らは、改変したマイクロドロップカプセル化手順を用いて、IgM分泌ハイブリドーマ細胞の中から自発的またはインビトロで誘導された稀なIgGアイソタイプスイッチ変種を単離した。上清中のIgG濃度が<0.1μg/mlであった場合は、まず複数細胞をカプセル化し、その後単一細胞をカプセル化した。すべての場合において、インビトロ誘導後に上清中の分泌IgG濃度が>0.1μg/mlであった場合は、陽性細胞の小さな亜集団を識別しソーティングするのに単一細胞のカプセル化1回で十分であった。
【0112】
融解した2試料分のセルバイオゲル-3(商標)500μlを10%プルロニックF-68溶液(シグマ アルドリッチ)と共にボルテックスし、37℃で3分間平衡化してから、それぞれを増殖培地100〜200μ中の少なくとも2x106ハイブリドーマ細胞と混合した。これらの混合液を予熱したセルミックス(商標)15 mlに添加し、蓋をして10回激しく浸透してエマルジョンを形成した。次にバイアルをセルシス 100(商標)マイクロドロップメーカー(ワンセルシステムズ社)に取り付け、室温にて1,800 rpmで1分間、次に0℃にて1,800 rpmで1分間、引き続いて0℃にて1,000 rpmで6分間エマルジョンを混合した。マイクロドロップをDPBSで3回洗浄して油を除去し、最終濃度10μg/mlのストレプトアビジン(シグマ アルドリッチ)を含むDPBS 7 ml中で室温にて10分間インキュベートした。
【0113】
ストレプトアビジンと共にインキュベートした後、マイクロドロップをDPBS- 15mlに再懸濁して1,500 rpmで5分間遠心分離することにより3回洗浄し、次に10μg/mlビオチン化ヤギ抗マウスIgGと共に10分間インキュベートした。再度マイクロドロップをDPBS-で3回洗浄し(上記のように)、予熱した増殖培地20 mlに再懸濁し、カプセル化細胞から抗体が分泌されるように37℃で2時間インキュベートした。インキュベーション後、1,500 rpmで5分間遠心分離してマイクロドロップをペレット化し、冷DPBS-に再懸濁し、10μg/ml FITC標識ヤギ抗マウスIgG特異的抗体(ジャクソンイムノケミカルズ)で標識した。マイクロドロップをHBSSで2回洗浄し、増殖培地2 mlに再懸濁し、コールターエピックスエリートを用いてソーティングし;対照を基準にして高度に陽性のマイクロドロップのみをソーティングするようにゲートを設定した。
【0114】
マイクロドロップアイソタイプ捕獲および単離アッセイ法により自発的スイッチ率およびインビトロで誘導されたスイッチ率を測定するため、CRL-8018ハイブリドーマ細胞を、増殖培地のみまたは上記のような刺激物質の存在下で1x104細胞/mlの密度で75 cm2フラスコ2枚または12ウェルプレート(2 ml/ml)2枚にプレーティングした。細胞を、加湿インキュベーターで37℃、5% CO2下で5日間培養した。細胞培養上清を回収し、アイソスティップ(IsoStip)(商標)またはELISAを用いるマウスアイソタイピングキット(ザイメッド社(Zymed Inc.))を用いてIgMおよび/またはIgG産生を調べた。IgG産生について陽性であった75 cm2フラスコおよびウェルの全細胞をプールして増殖培地100〜200μlに再懸濁し、マイクロドロップにカプセル化した。次に、複数占有マイクロドロップを用いて、アイソタイプ捕獲および単離濃縮の1ラウンド目を上記のように行った。ソーティングした細胞を5日間培養して増殖させた後、単一細胞占有マイクロドロップを用いてアッセイの2ラウンド目を行った。FACSで単離した後、IgG分泌細胞を1細胞/ウェルで96ウェルプレートにプレーティングした。プレートを37℃、5% CO2下で14日間インキュベートした後、上清ELISAにより回収したクローン数を算出した。
【0115】
マイクロドロップアイソタイプ捕獲および単離アッセイ法の対照の作製
非染色の対照を用いて、カプセル化細胞の自己蛍光を測定した。各実験について、マイクロドロップ懸濁液の1試料分で捕獲(ビオチン化)抗IgGとのインキュベーションを省略し、陰性(捕獲なしまたはNOC)対照を作製した。陽性対照としては、1試料分のマイクロドロップ懸濁液を最終濃度1μg/mlの精製マウスIgG(シグマ)と共にインキュベートし、検出Abで染色した。
【0116】
蛍光活性化セルソーティング
細胞のソーティングは、100μmフローノズルを装備したエピックスエリート(商標)(コールター社(Coulter Corp.))を用いて行った。アルゴンレーザーの488 nmスペクトル線で、FITC標識検出試薬を励起した。緑色(FITC)蛍光は、525 nmの長域帯(long pass filter)フィルタで収集した。統計分析には、エピックスエリート 4.02ソフトウェアを使用した。まず、前方および直角光散乱を増強させることにより、占有マイクロドロップを非占有マイクロドロップから識別した。占有マイクロドロップの光散乱特性を非占有マイクロドロップから容易に分離し、非占有マイクロドロップはスクリーンから消えるまで前方散乱閾値または弁別値を増加することによりデータ収集から削除した。手順の第1段階でIgGスイッチ変種を濃縮するため、全占有マイクロドロップを確保し、少なくとも1つの陽性細胞を有するマイクロドロップをソーティングしプールして培養した。濃縮の第2段階では、異なる前方散乱特性により単一占有マイクロドロップを複数占有マイクロドロップから識別し、ゲートを設定して、陽性のIgGスイッチ細胞を含む単一占有マイクロドロップのみにゲートを設定してソーティングした。試料は毎秒およそ600個の速度で流し、ゲートを設定した50,000個またはそれ以上の結果を収集した。死細胞では側方散乱が増加し前方散乱が低いため、この亜集団をゲートから外すことが可能である。単一占有マイクロドロップにゲートを設定し、対照と分泌試料の両方の緑色蛍光を解析した。陰性対照よりも高いFITC蛍光は、抗体分泌細胞を表す。最も蛍光の強い占有マイクロドロップの亜集団にゲートを設定し、1時間あたり少なくとも106マイクロドロップの速度でソーティングした。およそ50,000個までの結果を収集した。
【0117】
マイクロドロップカプセル化およびソーティング後の細胞の回収ならびに増殖
1段階めの濃縮後にソーティングしたマイクロドロップを増殖培地1 mlにプールし、12ウェルプレートの1ウェルでインキュベートした。2段階めの濃縮過程後、ソーティングした単一占有マイクロドロップの濃度を増殖培地に再懸濁して10細胞/mlに調整し、細胞を96ウェルプレートに沈着させた(1細胞/100μl/ウェル)。マイクロドロップから細胞を放出させるため、5 U/mlのアガラーゼ(ニューイングランドバイオラボ社)を培地に添加した。この日常的な手順は、細胞生存度に影響を及ぼさなかった。37℃、5% CO2下で一晩インキュベートした後、新鮮培地1 mlまたは100μlを各ウェルに添加し、明らかに細胞増殖が検出できるまでインキュベートし続けた。増殖している全ハイブリドーマクローンの上清でELISAを行い、最も多量の抗体を産生するクローンを選択し、15 ml培養フラスコで増殖させた。
【0118】
結果
1. ビオチンとアガロースの比率の測定
既知重量のビオチン化アガロースを、認識できるNMRパターンを生じる既知質量の標準物質と併用することにより、NMRでビオチンとアガロースの比率を測定することが可能である。NMRサービスは、商業ベースで利用可能である(例えば、NMRアナリシスアンドコンサルティング(NMR Analysis and Consulting)、イリノイ州ジケータ)。標準物質としては、フタル酸水素カリウム(KHP)が適している。NMRスペクトルの周波数は、ppmスケールで表される。シグナル強度は、H原子放射シグナルの数に比例する。KHPシグナルは、7.7〜7.9 ppmの範囲を超えて積分され得る。ビオチンは多くのNMRシグナルを発生する。カルボキシル基に隣接した2つの水素による2.40 ppmでのシグナルが、解析に適している。ビオチン化アガロース中に存在するビオチンのパーセンテージ質量は、以下の式から測定できる。
Aビオチン/AKHPx 4/2 x 244.3/204.2 x wtKHP/wt試料x 100
【0119】
AはNMRピークの面積の表し、4はKHPピークを生じるHの数であり、2はビオチンピークのHの数であり、244.3はビオチンの分子量、204はKHPの分子量である。相対的な質量をビオチンの分子量244.3およびアガロースの分子量120,000それぞれで割ることによって、重量によるパーセンテージをモルパーセンテージに変換することが可能である。例えば、セルバイオゲル-1は、0.00225 gビオチンに対して1 gアガロースの質量比を示したが、これは0.83 mmolアガロースに対して0.92 mmolビオチンのモル比、またはモルアガロースあたり1.1モルビオチンに相当する。
【0120】
または、イミュノピュアハーバ(ImmunoPureHABA)キット(ピアス)を用いて、ビオチンとアガロースの比率を測定できる。キットは、HABA(2-[4’ヒドロキシアゾベンゼン]安息香酸)と形成された複合体からアビジンを転移することにより、ビオチンを検出する。転移により500 nmで測定するHAB-アビジン溶液の吸光度が減少するが、これはビオチン濃度に比例する。
【0121】
キットを用いて、セルバイオゲル-1で吸光度を測定した。HABA-アビジン溶液(0.9 ml)の吸光度は0.924であった。セルバイオゲル(10 mg/ml)0.1 mlを添加した後のHABA-アビジン溶液の吸光度は、0.532であった。セルバイオゲルに存在するビオチン量は、以下の式(ピアスによる)により計算した。
1.) D A500=(0.9 x 0.924)-0.532=0.299
2.) ビオチン化アガロースmmol /ml=10/120000=8.33x10-5
3.) ビオチンμmol/ml反応混合液=DA500/吸収係数=0.299/34=8.8x10-3
4.) ビオチンmol/ビオチン化アガロースmol=8.8x10-3x(10)x(1) : 8.33x10-5x1000(μmol/mmol)=1.056
【0122】
これは、NMRで測定した値の5%許容誤差内に入る。
【0123】
2. ビオチン化マトリックスの比較
本実施例では、ビオチンとアガロースのモル比が+/-10%実験許容誤差内で1:1、0.2:1、および0.04:1であるセルバイオゲル(商標)-1、セルバイオゲル-2、およびセルバイオゲル-3と呼称する3種類のビオチン化アガロースを比較した。アッセイ感度を測定するため、ならびにビオチン化捕獲抗体および蛍光色素標識レポーター抗体の最適濃度を決定するため、セルバイオゲル-1またはセルバイオゲル-2のどちらかを用いて、連続希釈したmrIL-4、mrIL-6、mrIFN、およびhrIL-4中で、細胞なしのマイクロドロップを2% FBSを添加したDMEM 4 ml中の10 g/mlストレプトアビジン(シグマ)と共に回転板上で室温で15分間インキュベートし、細胞を添加しないこと以外は上記と同様に分泌アッセイ法を行った。2% FBSを添加したHBSS(すべての洗浄に用いた)で洗浄し、過剰のストレプトアビジンを除去した。次に非占有マイクロドロップ調製品を培地4 ml中のビオチン化捕獲抗体(5 g/ml)と共に回転板上で室温で15分間インキュベートし、洗浄して非結合の試薬を除去した。この調製品の一定分量(8x105マクロドロップ)を様々に希釈した精製サイトカイン(100 ng/ml〜1 ng/ml)と共に、回転板上で37℃で30分間インキュベートした。2% FBSを添加したHBSS中でインキュベートした非占有マイクロドロップを、陰性対照とした。洗浄操作の後、すべての試料を蛍光色素標識レポーター抗体(5 g/ml)と共に回転板上で室温で15分間インキュベートし、洗浄後、それぞれ別のチューブに移して単一色フローサイトメトリー解析を行った。平均蛍光強度は、単一マイクロドロップに捕獲されたサイトカイン濃度に比例する。
【0124】
サイトカイン濃度対対応するマイクロドロップの平均蛍光(陰性対照のバックグラウンド蛍光値を減算した後)をプロットすることにより、マイクロドロップあたり検出可能なサイトカイン平均量の検量線を作成した。検量線から、蛍光シグナルを発する(陰性対照を上回る)サイトカインの最低濃度を決定した。PE標識抗体で標識したmrIFNγを検出する1つの代表的な検量線を、図2に示す。mrIFNγの検量線を作成するのに用いた平均蛍光を、表2にまとめた。セルバイオゲル-1およびセルバイオゲル-2から作製した非占有マイクロドロップで測定した平均蛍光レベルは、サイトカイン濃度と相関し、反応は試験した濃度の範囲(1 ng/ml 〜100 ng/ml)を超えて直線的であった。セルバイオゲル-2の方がより高い感度を示した。両方のアガロースマトリックスを用いたところ、バックグラウンド(陰性対照)を超えて検出可能なサイトカインの最低濃度であるアッセイ法のエンドポイントは>100〜10 ng/mlと異なり、セルバイオゲル-1を用いた場合は>125 fg/マイクロドロップでありセルバイオゲル-2を用いた場合は12.5 fg/マイクロドロップであった。
【0125】
(表2)捕獲抗体およびレポーター抗体で標識した非占有マイクロドロップを用いた、フローサイトメトリーによる溶液中でのサイトカイン検出レベル
【0126】
本発明者らは、セルバイオゲル-2を用いて作製した1つの40μmマイクロドロップは(〜3x10-8ml量)、平均してビオチン6x108分子を含むと推定する。マイクロドロップにストレプトアビジン(3x107分子/マイクロドロップ)をロードすると、20μg量中の全ビオチン化捕獲抗体(〜1x107分子/マイクロドロップ)がアガロースマトリックスに結合する。本発明者らの実験では、長時間(18時間)インキュベートしても、個々の単一細胞は少量のサイトカインしか分泌しなかった(平均して、1.8〜35 fg/細胞/マイクロドロップ)。本発明者らが試験したサイトカインの分子量は、mrIFNγが〜17 kDa、mrIL-4が〜14 kDa、およびmrIL-6が〜21.7 kDaである。アボガドロ数を用いた計算によると、1 fgのIL-6は〜3x104分子を含む。分析物と検出物(detector)の比率が1:1であると仮定すると、個々のマイクロドロップ内の全結合部位(アガロースマトリックス内に固定化されたビオチン化抗体分子)を飽和するには、平均して少なくとも333.3フェムトグラムの分泌サイトカインが必要であり、これは初期細胞を用いた本発明者らの実験で検出した分泌レベル(平均して、18時間のインキュベーション後で1.8〜35 fg/細胞/マイクロドロップ)より過剰である。報告されている、個々の細胞により分泌されるサイトカインのレベルは(1時間あたり0.2〜8 fg/細胞のGM-CSF、または18時間あたり144 fg/細胞のGM-CSF)(7)通常低く、従って、本発明者らのアッセイ条件を用いて捕獲部位が飽和するとは考えられない。分泌アッセイ法を行う際に同様の条件を用いれば、占有マイクロドロップの蛍光強度は分泌インキュベーション時間に単一細胞から分泌されたサイトカインの量を反映するはずであり、検量線を用いて量を概算することによりサイトカイン分泌の相対的レベルを測定することができる。
【0127】
高レベルのmIgG1(>20μg/ml)を分泌するトランスフェクトCHO細胞を用いて、セルバイオゲル、セルバイオゲル-2、およびセルバイオゲル-3がマイクロドロップ分泌アッセイ法の検出限界に及ぼす影響についても調べた。フローサイトメトリーの結果を表3に示す。セルバイオゲル-2とセルバイオゲル-3で同様の割合の分泌細胞が検出されたが(およそ99.5%)、平均FITC蛍光強度(MFI)はセルバイオゲル-3の方が有意に高く(144.91対38.67)、セルバイオゲル-3を用いた方がアッセイ検出限界がより高いことが示された。3種類のセルバイオゲルのうち、セルバイオゲル-1が最も感度が低かった。分泌細胞の81.24%のみが検出されたに過ぎなかった。さらに、MFIも低かった(10.63)。
【0128】
(表3)mIgG1を分泌するトランスフェクトCHO細胞および異なる種類のセルバイオゲル(商標)(セルバイオゲル-1(商標)、セルバイオゲル-2(商標)、およびセルバイオゲル-3(商標))を用いて行ったマイクロドロップ分泌アッセイ法のフローサイトメトリーの結果
【0129】
低分泌活性(<1μg/ml)を有するトランスフェクトNSO細胞を用いて、同様の実験を行った。フローサイトメトリーの結果を表4に示す。セルバイオゲル-3を用いた方が検出限界が高かった。セルバイオゲル-2と比較して、セルバイオゲル-3を用いた方が、検出される分泌細胞の割合および平均蛍光強度はおよそ3倍高かった。
【0130】
(表4)トランスフェクトNSO細胞および異なる種類のセルバイオゲル(セルバイオゲル-2およびセルバイオゲル-3)を用いて行ったマイクロドロップ分泌アッセイ法のフローサイトメトリーの結果
【0131】
3. hrIL-4分泌トランスフェクトCHO細胞の検出
分泌アッセイ法を最適化するため、まず、mlあたり約200 ngのhrIL-4を再現性よく分泌することが知られているトランスフェクトCHO細胞株を用いた。75%コンフルエントになるまで3日間細胞を培養した後、1x106細胞およびセルバイオゲル-1を用いてマイクロドロップサイトカイン分泌アッセイ法を行った。2時間インキュベートした後では、顕微鏡観察から、大部分の占有マイクロドロップが飽和していること、および非占有のマイクロドロップに明るいFITC蛍光が見えることが明らかとなり、アッセイの「クロストーク」が示唆された(飽和した結合部位を上回る分泌サイトカインの拡散)。したがって、1時間のインキュベーションでアッセイ法を行った。(5つのうちの)1つの代表的な実験のヒストグラムを図3に示す。非染色の試料と比較すると(パネル1)、陰性(「捕獲なし」)対照(パネル2)では、FITC標識検出抗体と共にインキュベートした結果、非特異的結合による低いバックグラウンドの蛍光が生じた(0.34)。陽性対照のマイクロドロップでは(25 ng/mlのhrIL-4、マーカーC、パネル3)、有意に高い蛍光を示した(11.6)。試料を1時間インキュベートした後、FS対SSCドットプロットを用いて単一細胞に占有されるマイクロドロップの亜集団にゲートを設定し(ゲートA、ドットプロット4)、さらなるデータ収集のためにこれらを含めた。次に、FITC蛍光を用いて、生(PI陰性)細胞(ゲートB、ドットプロット5)を識別した。相当する陰性対照の値を減算して、陽性マイクロドロップの割合と平均蛍光の両方を決定した。パネル5のマーカーCの下に示されるように、カプセル化細胞集団の26%が様々な量のIL-4を分泌していた。実験前にトリパンブルー染色により評価した細胞生存度およびフローサイトメトリーでPI染色により評価した細胞生存度は高く(98%)、カプセル化によっても分泌アッセイ手順によっても影響を受けなかった。結果から、トランスフェクト細胞を用いた場合に予想されるようにサイトカインレベルが高ければ、短い(1時間)分泌インキュベーション後でも陽性マイクロドロップを容易に検出できることが示された。
【0132】
4. 活性化マウス抗原特異的T細胞株におけるサイトカイン分泌細胞の検出
次に、抗原特異的細胞株によって産生される3つの異なるサイトカインを検出した。大量培養で48時間細胞を培養した後、マイクロドロップアッセイ形式を用いて上清を調べ(マイクロドロップ上清対照)、細胞によって分泌されるサイトカインの相対的な量をIFNγは〜30 ng/ml、IL-4は〜5 ng/ml、およびIL-6は〜15ng/mlと測定した。トリパンブルー染色で評価した細胞生存度は、72%〜80%であった。細胞生存度が減少したのは、おそらく活性化によってアポトーシスが引き起こされたため、および試料中にマイトマイシンC処理した死(または死につつある)支持細胞が存在したためである。マイクロドロップ分泌アッセイ法およびフローサイトメトリーを用いて、3.5時間および18時間インキュベートした後、それぞれ個々のサイトカインを分泌している細胞の割合と細胞あたり分泌されるサイトカインの平均的な量に相当する平均蛍光強度を測定した。
【0133】
短い(3.5時間)インキュベーション後に、それぞれのサイトカインを分泌する細胞の亜集団(1.26% IFNγ、3.32% IL-4、および1.38% IL-6)を検出した。サイトカインの検量線の平均蛍光値から推定すると、個々の細胞によって分泌されるサイトカインの平均相対レベルをIFNγは〜12.5 fg/ml、IL-4は〜1.8 fg/ml、およびIL-6は〜2.0 fg/mlと各々測定された。インキュベーション時間を18時間に延ばした後では、サイトカインを分泌する細胞の頻度は以下のように増加した:IFNγ(1.26%から18.5%)、IL-4(3.32%から20.87%)、およびIL-6(1.38%から15.55%)。平均蛍光、それ故に分泌サイトカインの平均相対量も有意に増加した(各々IFNγ:〜12.5 fgから35 fg、およびIL-4:〜1.8 fgから3.6 fg)。インキュベーション時間を延ばした後ではIL-6分泌細胞の頻度は1.38%から15.55%まで増加したが、サイトカイン分泌の相対的レベルでの増加は有意ではなかった(〜2.0 fg/マイクロドロップ対〜2.4 fg/マイクロドロップ)。90%のFITC陽性占有マイクロドロップがPI陰性であったことから、アッセイ手順を通して細胞生存度が高いことが示された。3.5時間および18時間インキュベーションした後にIL-4を検出する1つの代表的な実験によるヒストグラムを図4に示し、IFNγ、IL-4、およびIL-6亜集団の測定した頻度を表5に示す。
【0134】
(表5)マイクロドロップ分泌アッセイ形式を用いた、活性化抗原特異的T細胞によるサイトカイン分泌のフローサイトメトリー解析
【0135】
5. 活性化マウス未処置脾細胞からのIFNγおよびIL-6分泌細胞の検出
初代培養では活性化細胞の頻度が低く、サイトカインの分泌レベルが元々低いことが予想されるため、マイクロドロップ分泌アッセイ法を行う前に、未処置のマウス脾細胞をインビトロでConAまたはPHAのどちらかで24時間刺激した。どちらの分裂促進因子を用いても、結果は基本的に同じであった。マイクドロップ上清対照の解析により、24時間培養後、脾細胞は平均して〜20 ng/mlのIFNγおよび〜10 ng/mlのIL-6を分泌することが示された。カプセル化の前後でトリパンブルー排除アッセイ法により細胞生存度を測定したが、高かった(>98%)。捕獲抗体とインキュベートし、カプセル化細胞を3.5時間および18時間インキュベートした後に、試料をFITC標識抗マウスIFNγAbまたはPE標識抗マウスIL-6 Ab(どちらも最終濃度5μg/ml)のどちらかで染色した。
【0136】
3.5時間インキュベートした後では、サイトカイン分泌細胞の亜集団はフローサイトメトリーによって検出されなかったが、インキュベーションを18時間に延ばした後では、IFNγおよびIL-6分泌細胞のどちらも識別された。予想どおり、抗原特異的細胞株およびトランスフェクト細胞と比較し、陽性細胞の頻度および陽性マイクロドロップの平均蛍光は、どちらのサイトカインについても低かった。刺激した未処置脾細胞のこの不均一な集団において、4.72%のIFNγ分泌細胞の亜集団および4.43%のIL-6分泌細胞の亜集団を検出した。検量線から対応する平均蛍光値を推定すると、個々の細胞から分泌されるサイトカインの平均量を各々IFNγは〜11.5 fg/マイクロドロップ、およびIL-6は〜2 fg/マイクロドロップと測定した。PI染色のフローサイトメトリー解析により、実験を通して細胞生存度が高いことが(>98%)示された。
【0137】
6. 分泌サイトカインと細胞表面マーカーの同時検出
次に、マウス抗原特異的T細胞において、分泌されたIFNγとCD3表面発現を同時に検出する実験を行った。マイトマイシンC処理した自己支持細胞およびmrIL-2の存在下で細胞をM1081ペプチドで再刺激し、材料および方法に記したように2日間培養を維持した。実験を行う前の細胞生存度は〜74%であった。マイクロドロップ分泌アッセイ法を行うため、カプセル化後に細胞を18時間インキュベートした。2色フローサイトメトリーを用いて、単一生(PI陰性)細胞によって占有されるマイクロドロップにゲートを設定し(R1ゲート、パネルA)、FITC(FL-1)およびPE(FL-2)蛍光を測定することにより、IFNγを分泌しているCD3+細胞の亜集団を識別した(図5)。
【0138】
「捕獲なし」(陰性)対照において、2つの亜集団が検出された(パネルB):
CD3+細胞(左上象限の45.9%)およびCD3-細胞(左下象限の53.88%);どちらもバックグラウンドのFITC蛍光は低かった(それぞれ、1.49および2.56)。しかし、分泌試料では(パネルC)、14.8%のCD3+活性化抗原特異的細胞の亜集団が検出された(右上象限の二重陽性細胞)。29.4%のCD3+細胞はIFNγを分泌しなかった(左上象限の単一陽性細胞)。IFNγ分泌細胞は、CD3-細亜集団の中からも検出された(右下象限の5.4%)。これらの細胞の多くは、おそらくBリンパ球、NK細胞、またはマイトマイシンC処理した自己支持細胞に由来するマクロファージおよび樹状細胞であった。IFNγを分泌しなかった二重陰性細胞(49.7% CD3-細胞)は、左下象限に位置した。
【0139】
7. サイトカイン分泌細胞の回収および増殖
hrIL-4を分泌するトランスフェクトCHO細胞およびIFNγを分泌する活性化マウス抗原特異的細胞を、FACSにより回収した。hrIL-4を分泌する単一生CHO細胞に占有される高蛍光のマクロドロップの亜集団(5%)をソーティングした後、アガラーゼ処理(1 U/ml)によりマクロドロップから細胞を放出し、24ウェルプレートで48時間インキュベートした。マイクロドロップから放出した細胞は、ウェルの底に接着し、単層として増殖した。細胞を25 cm2培養フラスコに移してコンフルエントになるまで培養し、2週間後、マイクロドロップ分泌アッセイ法により再度スクリーニングした。次に、IFNγを分泌する活性化マウス抗原特異的細胞の亜集団(18.5%)をソーティングした。50,438個の陽性マイクロドロップ(サイトカイン分泌単一生細胞によって占有されるマイクロドロップ)が収集された。ソーティングした後、カプセル化細胞をプールし、mrIL-2(10 ng/ml)およびアガラーゼ(3 U/ml)を含む培地で18時間インキュベートしたが、この時大部分の細胞がマイクロドロップから放出された。馴化培地(3:1の比率で)と混合し、10μg/mlの抗原(M1081ペプチド)、マイトマイシンC処理した自己支持細胞(1:1)、およびmrIL-2(10μg/ml)を補充した完全培地(5 ml)を添加した後、フラスコをインキュベーターに戻し、再刺激するまでさらに6日間インキュベートした。トリパンブルー染色と血球計算板チャンバーでのカウントにより一日おきに評価した生存度および増殖から、抗原特異的生細胞の集団が増殖していることが示された。
【0140】
8. 2色フローサイトメトリーを用いた非占有マイクロドロップにおけるmrIFNγおよびmrIL-4の同時検出
ビオチン化抗IFNγAbおよび抗IL-4 Ab(どちらも最終濃度5μg/ml)の混合液で標識した後、マイクロドロップを精製サイトカイン:mrIFNγ(100 ng/ml)およびmrIL-4(25 ng/ml)の混合液と共にインキュベートした。陰性(「捕獲なし」)対照では(図6、パネルA)、FL-1(FITC)とFL-2(PE)のどちらにおいてもバックグラウンドの蛍光は非常に低く;大部分のマイクロドロップ(99%)は二重陰性であり、左下象限に位置した。mrIFNγ(パネルB)またはmrIL-4(パネルC)を個々に検出した場合(抗IFNγ/PEのみまたは抗IL-4/FITCのみでインキュベートした、どちらも5μg/ml)、高いFL-2(541.48)またはFL-1(155.06)蛍光を示す陽性マイクロドロップが、それぞれ左上象限または右下象限に位置した。両サイトカインを同時に検出した場合(蛍光色素標識Abの混合液と共にインキュベートした、どちらも5μg/ml)、84%のマイクロドロップが、平均蛍光189.5(FL-1)および636(FL-2)を有する二重陽性であった(パネルD、ドットブロットの右上象限)。同時に検出した分泌サイトカインのレベルは個々に測定したレベルと同様であり、このことから、マイクロドロップイムノアッセイ法を用いてアッセイの感度を損なうことなく、個々のカプセル化細胞から分泌される1つまたはそれ以上のサイトカインを検出できることが示された。
【0141】
9. 4色フローサイトメトリーを用いた複数の細胞表面マーカーと分泌サイトカインの同時検出
本発明者らは、カプセル化ヒトPMBC(未刺激およびPHAにより刺激した)を用いて、4時間インキュベートした後に、CD3、CD4、およびCD69細胞表面発現ならびにIFNγ分泌の検出に成功した。4色解析はエピックスエリート(コールター社)を用いて行った。蛍光色素標識試料は、アルゴンレーザーの488 nmスペクトル線で励起した。免疫表現型とIFNγ分泌によりリンパ球の亜集団を同定するため、まず、前方散乱対側方散乱によりリンパ球を同定した。次に、ゲートを設定したリンパ球集団内の細胞で、CD3およびCD4蛍光を検出した。CD69発現を用いて活性化細胞(FITC)を同定し、抗IFNγ抗体を用いてサイトカイン分泌細胞(PE)を同定した。本実験のヒストグラムにより、マイクロドロップアッセイ型式と4色フローサイトメトリーを用いて、ヒトPMBCをPHAによりインビトロ刺激した後、明確なリンパ球亜集団において表面マーカーと分泌サイトカインを同時に検出できることが示される(図7)。
【0142】
リンパ球に占有されるマイクロドロップの亜集団を、二次元パラメータドットプロット(SSC対FS、図7のヒストグラム1-Aおよび1-B)を用いて同定した。予想どおり、分裂促進因子刺激したリンパ球で前方散乱の増加が観察できる。予想どおり、未刺激のPBMC試料(32.8%、図7、ヒストグラム3-A、象限C2)と刺激したPBMCS試料(37.8%、図7、ヒストグラム3-B、象限C2)の両方でCD3+CD4+細胞の亜集団が同定できたが、CD69発現は刺激したリンパ球の集団においてのみ検出可能であった。未刺激対照のバックグラウンドレベル(図7、ヒストグラム2-A、1.3%マーカーE)を減算した後、平均FITC蛍光102.3を有するCD69を発現している79.6%のリンパ球亜集団を同定した(図7、ヒストグラム2-B、マーカーE)。
【0143】
さらに、IFNγを分泌している、刺激したリンパ球の9.6%の亜集団を同定した(10.9% - 1.3% = 9.6%、図7、ヒストグラム4-Aおよび4-B、マーカーI)。
【0144】
トリパンブルー排除アッセイ法により測定されるように、カプセル化手順もマイクロドロップ分泌アッセイ法も細胞の生存度に影響を及ぼさなかった。
【0145】
10. 酵素結合免疫測定型式、TSAシグナル増幅試薬、およびフローサイトメトリーを用いた、個々の細胞により放出される分泌産物の検出
HRP標識検出抗体およびTSAによりシグナルは少なくとも10倍増幅され、これによりpg/mlレベルの検出が可能になる。この感度は、サイトカイン分泌細胞を検出する際に特に有用である。それは、これらの制御因子の多くが一過性に少量発現されるからである。提案したアプローチが実行可能であることを実証するため、非占有マイクロドロップ(セルバイオゲル-3)を用いて、上清中の様々な量の精製マウスIgG1を検出した。マイクロドロップをストレプトアビジン(50μg/ml)と共に室温で15分間インキュベートし、HBSSで3回洗浄した。次に、10μg/ml濃度のビオチン化ヤギ抗マウスIgG1(H+L)と共に、室温で15分間インキュベートした。マイクロドロップをHBSSで3回洗浄した後、様々な濃度の精製マウスIgG1(1.0μg/ml、0.01μg/ml、および0.001μg/ml)と共に室温で20分間インキュベートし、その後再度HBSSで3回洗浄した。検出抗体(HRP標識ヤギ抗マウスIgG1、Fc断片特異的)を、1:200の最終希釈ですべての試料に添加した。室温で20分間インキュベートした後、HBSSで3回洗浄し、FITC標識TSA試薬を1:200の最終希釈で添加した。室温で10分間インキュベートした後、マイクロドロップをHBSSで3回洗浄し、すべての試料を3つの対照:1) 非染色マイクロドロップ、2) TSA試薬のみ、および3) 陰性(捕獲Abなし)対照と共にフローサイトメトリーで解析した。本実験の結果から、分泌産物の細胞外検出に提案のマイクロドロップアッセイ法が実際に使用可能であることが示されるが、これを図8に示す。3つの対照すべてにおいて、低いバックグラウンドの蛍光が見られた(それぞれ1.27、2.87、および4.6)。1μg/mlおよび0.01 mg/mlのmIgG1ではそれぞれ224.78および93.14のMFIを生じ、さらに0.001μg/ml(1 ng/ml)濃度のmIgG1でもやはり明らかに検出可能であった(MFI 31.98)。
【0146】
11. 連続サブライニング法による、CRL-8018ハイブリドーマ細胞におけるインビトロで誘導されたIgGアイソタイプスイッチ率の検出
材料および方法に示したように。CRL-8018ハイブリドーマ細胞株を用いて実験を行った。CRL-8018細胞株では、インビトロでの最も効率的な条件は、a) mIgG1およびmIgG2bへのスイッチを誘導するレチノイン酸(100 nM)、またはb) mIgG1へのスイッチを誘導するmrIL-4(10 ng/ml)と組み合わせた精製抗原(HBsAG 1μg/ml)であると決定した。材料および方法に示したのと同様に、連続サブライニングを行った。1x106細胞を100 nMレチノイン酸を補充した増殖培地200 mlに懸濁し(5x103細胞/ml)、1,000細胞/ウェルの密度で96ウェルプレート10枚にプレーティングした(0.2 ml/ウェル)。5% CO2の存在下で37℃で5日間インキュベートした後、細胞培養上清でmIgGアイソタイプ特異的ELISAを行った。2つの陽性ウェルの細胞を、100細胞/ウェルの密度で96ウェルプレートにプレーティングした(25枚)。上記の手順を、1,000細胞/ウェル、100細胞/ウェル、10細胞/ウェル、および1細胞/ウェルで5ラウンド行った。1つの代表的な実験の結果を、表6に示す。10枚の96ウェルプレートに1,000細胞/ウェルの密度で細胞をプレーティングした後では、6ウェル(6%)がmIgGについて低い陽性であることが上清ELISAから示された。このことから、アイソタイプスイッチ率が〜0.0006%であることが示唆される。このアッセイ法では、mIgGアイソタイプ特異的ELISAを行うのに、約2ヶ月という期間、110枚のプレート、および10,560の上清が必要とされる。
【0147】
(表6)レチノイン酸(100 nM)でインビトロ誘導した後の、連続サブライニング法によるCRL-8018ハイブリドーマ細胞株におけるmIgGスイッチ変種の検出
a1,000細胞/ウェルでプレーティングした960ウェル、およびより低い密度でプレーティングした2,400ウェルのパーセント
【0148】
人工的な細胞混合液において小さな亜集団を検出する、マイクロドロップアイソタイプ捕獲および単離アッセイ法の結果
IgG3分泌TIB-114ハイブリドーマ細胞を添加したIgM分泌CRL-8018ハイブリドーマ細胞株での実験に、連続的な(2段階)マイクロドロップアイソタイプ捕獲および単離アッセイ法を用いた。CRL-8018細胞を1x104/mlで75cm2フラスコ6枚にプレーティングして(DMEM+10%FBS 25 ml/フラスコ)7日間培養した後、細胞を回収して0.1%(実験1)、0.01%(実験2)、および0.001%(実験3)のTIB-114細胞と混合した。セルバイオゲル-3を用いて、細胞混合液:実験1では2x106細胞(単一細胞カプセル化)、実験2では25x106細胞、および実験3では50x106細胞(どちらも複数細胞カプセル化)をカプセル化した。材料および方法に記したのと同様に、実験1ではマイクロドロップアイソタイプ捕獲および単離を1ラウンド行い、実験2および3では2段階のアッセイ型式を用いた。材料および方法に記したように、単離した細胞は培養して増殖させ、上清はアイソストリップ(商標)計量棒により解析した。実験2および3では、1ラウンド目のソーティング後に回収した細胞の上清中にmIgMとmIgG3の両方が検出された。しかし、続く2ラウンド目のソーティング後では、mIgG3とわずかに微量のmIgGMが検出された。実験1の0.1%のIgG3分泌ハイブリドーマを添加した1x106IgM分泌細胞の単一細胞カプセル化では、FACSによりmIgG3分泌細胞のみが単離された。実験結果を表7にまとめる。
【0149】
(表7)mIgM分泌ハイブリドーマ細胞株と混合したmIgG3分泌ハイブリドーマ細胞の小さな亜集団を検出する、マイクロドロップアイソタイプ捕獲および単離アッセイ法の結果
【0150】
マイクロドロップアイソタイプ捕獲および単離アッセイ法による自発的スイッチ率ならびにインビトロで誘導されたスイッチ率の測定
マイクロドロップを用いるアッセイ型式を用いて、IgM分泌CRL-8018ハイブリドーマ細胞株の集団から、インビトロで誘導されたアイソタイプスイッチ変種および自発的アイソタイプ変種を単離した。それぞれの実験条件で5回行ったうちの1つの代表的な実験結果を表8に示す。実験の1ラウンド目では、自発的なアイソタイプスイッチ率を測定した。材料および方法に記したように、2試料分のセルバイオゲル-3と1試料分のセルミックス(商標)15 mlを用いて、75x106ハイブリドーマ細胞をカプセル化した。およそ60%のマイクロドロップが占有され、占有マイクロドロップあたり平均9細胞であった。次にmIgGアイソタイプ捕獲アッセイ法を行い、陽性細胞に占有されるマイクロドロップ(0.02%)をFACSにより単離した。カプセル化されている細胞数に基づき、推定アイソタイプスイッチ率を0.0013%と算出した。マイクロドロップを12ウェルプレートの1ウェルに分取し、5 U/mlアガラーゼを含む増殖培地1 mlで一晩インキュベートした。一晩インキュベートした後では、活発に分裂する細胞の大部分はマイクロドロップから脱していた。新鮮培地1 mlをウェルに添加し、細胞をさらに5日間インキュベートした。マイクロドロップアイソタイプ検出および単離アッセイ法の2ラウンド目は、単一細胞カプセル化条件により1x106細胞をカプセル化して行った。24.6%の占有マイクロドロップが、mIgG分泌細胞を含んでいた。最も高い蛍光を有するマイクロドロップの亜集団(3.5%)をFACSにより単離した。5 U/mlアガラーゼの存在下で一晩インキュベートした後、ソーティングした細胞を完全培地に再懸濁し、1細胞/ウェルの密度で96ウェルプレート10枚にプレーティングすることによりクローニングした。2週間後、上清mIgGアイソタイプELISA法により、試験した960ウェルのうち785(81.7%)が陽性であると評価された。
【0151】
インビトロで誘導したアイソタイプスイッチの検出を実証するため、CRL-8018ハイブリドーマ細胞を100 nMレチノイン酸を含む完全培地で5日間培養した。アイソタイプスイッチした細胞の存在は、0.1μg/mlの検出限界を有するアイソストリップ(商標)により決定した。0.1μg/ml 未満のmIgGを含むウェルについては、複数細胞カプセル化を行った。0.1μg/ml を超えるmIgGを含むウェルについては、従来の単一細胞カプセル化を行った。25x106細胞を用いた複数細胞カプセル化では、〜55%のマイクロドロップが占有され、平均細胞数2.5細胞/マイクロドロップであった。0.09%の陽性マイクロドロップが検出され、単離した細胞は2ラウンド目のカプセル化に供した。36.4%の陽性マイクロドロップが検出され、最も高い平均蛍光を示す亜集団(2.9%)を単離した。単一細胞カプセル化では、mIgG陽性ウェルの2x106細胞を用いた。CelMix。
【0152】
(表8)mIgGスイッチしたmIgM分泌CRL-8018ハイブリドーマ細胞の小さな亜集団を検出してソーティングする、マイクロドロップアイソタイプ捕獲および単離アッセイ法のフローサイトメトリーの結果
【0153】
マイクロドロップを用いるアッセイ法によって単離したアイソタイプスイッチした細胞の抗原特異性の決定
マイクロドロップを用いるアッセイ型式により単離したアイソタイプスイッチした細胞の抗原特異性を実証するため、上清ELISAを用いるマウスMonoAb IDキット(ザイメッドラボラトリーズ(Zymed Laboratories)を用いた。96ウェルプレートをHBsAg(10μg/ml)でコーティングした後、メーカーの推奨するように手順を実施し、抗原特異的抗体のアイソタイプサブクラス:mIgG1(γ1鎖特異的)、mIgG2a(γ2a鎖特異的)、mIgG2b(γ2b鎖特異的)、mIgG3(γ3鎖特異的)、mIgA(α鎖特異的)、mIgM(μ鎖特異的)、マウスκ軽鎖特異的、およびマウスλ軽鎖特異的を決定した。完全培地で培養したCRL-8018ハイブリドーマ細胞の上清、およびレチノイン酸(100 nM)によりインビトロで誘導した後に単離したスイッチ細胞の上清を試験したところ、それぞれヒトB型肝炎表面抗原(HBsAg)に特異的なmIgM(κ鎖特異的)およびmIgG1が検出された。これにより、アイソタイプスイッチ変種が元のハイブリドーマ細胞株と同様の抗原特異性を有することが実証された。
【0154】
参考文献
【0155】
上記で引用した刊行物および特許出願はすべて、個々の刊行物または特許出願が詳細にかつ個別に参照として組み入れられることが示されるがごとく、すべての目的のために同程度で完全に参照として組み入れられる。明確に理解できるように説明と実施例により本発明をある程度詳細に記述したが、いくらかの変更および修正を添付の特許請求の範囲内で実行できることは明らかであると思われる。文脈から明らかでない限り、本出願で記載した本発明の原理、工程、特徴、および態様を相互にすべての組み合わせで使用できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】マイクロドロップ内に分泌タンパク質を保持するための捕獲ウェブ。
【図2】非占有GMDを用いて作成したmrIFNγ検量線。非占有GMDは、セルバイオゲル(商標)-2から調製した。ストレプトアビジンとビオチン化抗IFNγAbで処理した後、濃度を低くしていったmrIFNγと共にインキュベートした。PE標識抗IFNγAbで標識した後、アガロースマトリックスに結合したサイトカインを蛍光により検出した。
【図3】hrIL-4でトランスフェクションしたCHO細胞を用いたGMDサイトカイン分泌アッセイ法。1時間の分泌インキュベーションにより、GMD分泌アッセイ法を行った。フローサイトメトリー・ヒストグラム1、2、および3は、それぞれ非染色、陰性(または「捕獲なし」)対照、および陽性対照を表す。単一細胞に占有されるGMDにゲートを設定した(ヒストグラム4、ゲートA)。データ収集で生(PI陰性)細胞を選択し(ヒストグラム4、ゲートB)、FITC蛍光について解析した(ヒストグラム5)。マーカーCの下に陽性GMDが同定された(ヒストグラム6)。
【図4】活性化抗原特異的T細胞によるIL-4分泌のフローサイトメトリー解析。黒線のヒストグラムは、「捕獲なし」を示す(陽性(陰性対照よりも高い)FITC蛍光を有するGMDを同定するため、陰性対照マーカーM1を設定した)。青線のヒストグラムは、陽性対照を示す(mrIL-4 10 ng/ml)。3.5時間インキュベーションした後では3.2%の陽性GMDが検出され(赤線のヒストグラム)、18時間インキュベーションした後では20.87%の陽性GMDが検出された(緑線のヒストグラム)。平均FITC蛍光の比例的な増加により、検出した細胞によるサイトカイン分泌が増加したことが示される。
【図5】CD3陽性IFNγ分泌生細胞の同時検出。マイトマイシンC処理した自己支持細胞およびmrIL-2の存在下で抗原によりインビトロで刺激した後、1x106カプセル化細胞でGMD IFNγ分泌アッセイ法を行った。フローサイトメトリー解析の前に、細胞をFcBlock(商標)およびPE標識マウス抗CD3 Ab(10μg/ml)と共にインキュベートした。FSCとSSCにより、非占有GMDと占有GMDを識別した(パネルA)。生(PI陰性)細胞に占有されるGMDのみを、データ収集に含めた(R1ゲート、パネルA)。陰性対照とIFNγ分泌試料(どちらも抗IFNγ/FITC(FL-1)Abおよび抗CD3 /PE(FL-2)Abで染色)のドットプロットを、それぞれパネルBとパネルCに示す。
【図6】非占有GMDおよびフローサイトメトリーを用いたmrIFNγおよびmrIL-4の同時検出。セルバイオゲルを用いて非占有GMDを作製した。2色フローサイトメトリーにより、mrIFNγ(100 ng/ml)、mrIL-4(25 ng/ml)、または両サイトカインの混合液を検出した。ドットプロットにより、陰性対照(パネルA)、マウス抗IFNγ/PEとインキュベートした試料(パネルB)、マウス抗IL-4/FITCとインキュベートした試料(パネルC)、および両Abの混合液とインキュベートした試料(パネルD)のFL-1(FITC)対FL-2(PE)の結果を示す。
【図7】4色フローサイトメトリーを用いた、新たに単離してカプセル化したヒトPBMCによるCD3、CD4、およびCD69細胞表面発現とIFNγ分泌の同時検出。未刺激、またはPHA(5μg/ml)によりインビトロで24時間刺激したヒトPBMCを、セルバイオゲル-R-1にカプセル化した。4色フローサイトメトリーを用いて、免疫表現型とIFNγ分泌によりリンパ球のサブセットを同定した。陰性対照として用いた未刺激細胞の、試験したすべてのパラメータについての代表的なヒストグラムを1〜4Aに示す。未刺激リンパ球および刺激したリンパ球のどちらにも、CD3+CD4+細胞が同定された(3-Aおよび3-B)。さらに、未刺激対照のバックグラウンド(1.3%、2-A、マーカーEの下、および1.3%、4-A、マーカーIの下)を減算し、CD69を発現している刺激したリンパ球の79.6%の亜集団(2-B、マーカーEの下)、およびIFNγを分泌している刺激したリンパ球の9.6%の亜集団(4-B、マーカーIの下)が同定された。
【図8】非占有GMD(CBG-3)、ビオチンおよびHRP標識ヤギ抗マウスIgG1、ならびにTSAを用いたmIgG1の検出。
Claims (106)
- マトリックス成分分子、マトリックス成分分子に結合した第1ビオチン分子、細胞により分泌される分子に対する親和性を有する第2ビオチン分子に結合した捕獲分子、ならびに第1および第2ビオチン分子に結合するストレプトアビジンを含み、第1ビオチン分子とマトリックス成分分子のモル比がモルマトリックス成分分子あたり0.85モル未満ビオチンであるマイクロドロップに細胞をカプセル化し、分子が細胞から分泌され捕獲分子に結合することによりマイクロドロップ内に保持されることと、
分泌分子を検出することと
を含む、分泌タンパク質を解析する方法。 - モル比が0.01〜0.2である、請求項1記載の方法。
- モル比が0.02〜0.2である、請求項1記載の方法。
- マイクロドロップ内の第1ビオチン分子の濃度が42マイクロモルまたはそれ以下である、請求項1記載の方法。
- カプセル化段階においてマイクロドロップに複数の細胞をカプセル化する、請求項1記載の方法。
- カプセル化段階においてマイクロドロップに単一の細胞をカプセル化する、請求項1記載の方法。
- 分泌分子がタンパク質、ホルモン、および炭水化物である、請求項1記載の方法。
- 分泌分子がタンパク質である、請求項1記載の方法。
- ストレプトアビジンと捕獲分子を細胞と同時にマイクロドロップにカプセル化する、請求項1記載の方法。
- カプセル化段階後にストレプトアビジンと捕獲分子をマイクロドロップに組み込む、請求項1記載の方法。
- マイクロドロップが第2分泌分子に対する親和性を有する第2捕獲分子をさらに含み、第2捕獲分子が第2ビオチン分子のさらなるコピーに結合する、請求項1記載の方法。
- 細胞が第2分子を分泌する、請求項11記載の方法。
- マイクロドロップを分泌分子に対する特異的親和性を有する検出試薬と接触させ、検出試薬の分泌分子への結合を検出することにより検出段階を行う、請求項1記載の方法。
- 細胞がT細胞またはB細胞であり、検出試薬がT細胞またはB細胞に特異的に結合する抗原である、請求項13記載の方法。
- 検出試薬が標識してある、請求項13記載の方法。
- 分泌分子に結合した標識検出試薬のシグナルがマイクロドロップ内の分泌分子のコピー数に比例する、請求項15記載の方法。
- 検出試薬が蛍光標識してある、請求項13記載の方法。
- 検出試薬が二次検出試薬により検出される産物を生成する酵素で標識される、請求項13記載の方法。
- マイクロドロップを分泌分子に対する特異的親和性を有する第1検出試薬および第2分泌分子に対する特異的親和性を有する第2検出試薬と接触させることにより検出段階を行い、第1および第2検出試薬が異なる方法で標識される、請求項13記載の方法。
- 細胞が第3分泌分子を分泌し、マイクロドロップが第3分泌分子に対する親和性を有する第3捕獲分子をさらに含み、第3捕獲分子が第2ビオチン分子のさらなるコピーに結合し、マイクロドロップを分泌分子、第2分泌分子、第3分泌分子、および細胞表面マーカーのそれぞれに対する特異的親和性を有する第1、第2、第3、および第4検出試薬と接触させることをさらに含み、検出段階で分泌タンパク質、第2分泌タンパク質、第3分泌タンパク質、および細胞表面マーカーを検出する、請求項12記載の方法。
- マイクロドロップを分泌分子に対する親和性を有する第1検出試薬および細胞表面マーカーに対する親和性を有する第2検出試薬と接触させることにより検出段階を行い、第1および第2検出試薬が異なる方法で標識される、請求項13記載の方法。
- 検出試薬と捕獲分子が分泌分子の異なるエピトープに特異的に結合する、請求項21記載の方法。
- 2つ以上の分泌分子および/または表面マーカーを同時に検出する、請求項13記載の方法。
- 検出段階をフローサイトメトリーにより行う、請求項1記載の方法。
- 検出段階を顕微鏡観察により行う、請求項1記載の方法。
- マトリックス成分がアガロースである、請求項1記載の方法。
- 分泌タンパク質が抗体である、請求項3記載の方法。
- 分泌タンパク質がIgGアイソタイプの抗体であり、捕獲分子がIgGアイソタイプに対して特異的な抗体である、請求項3記載の方法。
- 分泌タンパク質がサイトカインである、請求項3記載の方法。
- 細胞を誘導して分泌分子の分泌を促すことをさらに含む、請求項1記載の方法。
- カプセル化段階後に誘導を行う、請求項30記載の方法。
- カプセル化段階前に誘導を行う、請求項30記載の方法。
- 細胞が分泌タンパク質をコードする核酸セグメントを含むベクターを含み、セグメントが分泌タンパク質の発現をもたらす1つまたはそれ以上のDNA制御セグメントに機能的に結合している、請求項8記載の方法。
- 分泌タンパク質が細胞によって自然に分泌される、請求項30記載の方法。
- 解析段階をフローサイトメトリーにより行う、請求項1記載の方法。
- 解析段階を顕微鏡観察により行う、請求項1記載の方法。
- 検出段階後に細胞を増殖させ細胞株を作製することをさらに含む、請求項1記載の方法。
- 細胞が患者から採取された、請求項37記載の方法。
- 細胞が細胞障害性T細胞である、請求項38記載の方法。
- 細胞の増殖により生じた細胞集団を患者に導入することをさらに含む、請求項37記載の方法。
- 細胞が幹細胞である、請求項37記載の方法。
- 患者が自己免疫疾患を罹患し、細胞がTh2細胞である、請求項37記載の方法。
- 細胞がインスリンを分泌する膵島細胞であり、患者が臨床症状を発症する前の前駆期にある、請求項37記載の方法。
- 増殖段階中に細胞をIL-10で処理することをさらに含む、請求項43記載の方法。
- 蛍光標識検出試薬の分泌分子および/または表面マーカーへの特異的結合によって生じる蛍光シグナルに基づき、セルソーターを用いて他の細胞から細胞を分離することをさらに含む、請求項1記載の方法。
- 細胞が第1および第2タンパク質を分泌し、マトリックスが第1および第2タンパク質のそれぞれに対する親和性を有する第1および第2捕獲分子を含み、解析段階が、細胞を第1および第2タンパク質に特異的に結合する第1および第2検出試薬と接触させ、第1および第2分泌タンパク質に結合した第1および第2検出試薬のシグナルから第1および第2タンパク質を検出することを含む、請求項8記載の方法。
- 細胞集団をマイクロドロップにカプセル化することと、
第1マーカーが分泌タンパク質であり第2マーカーが細胞表面タンパク質または第2分泌タンパク質であるが、細胞を第1マーカーに対する第1検出試薬および第2マーカーに対する第2検出試薬と接触させることと、
第1マーカーと第2マーカーの両方を有する細胞を検出することと
を含む、細胞集団を解析する方法。 - 少なくともいくつかのマイクロドロップが単一細胞をカプセル化する、請求項47記載の方法。
- パーコール、ポリショ糖、ジアトリゾエートナトリウム、またはイオジキサノール勾配により、細胞カプセル化マイクロドロップを非占有マイクロドロップから分離することをさらに含む、請求項47記載の方法。
- 固相支持体に吸着した細胞カプセル化マイクロドロップのアレイを作製することをさらに含み、走査型蛍光、比色、または化学発光検出器を用いて検出を行う、請求項47記載の方法。
- 物理的回収により固相支持体から目的のマイクロドロップを回収することをさらに含む、請求項50記載の方法。
- 顕微操作により物理的回収を行う、請求項51記載の方法。
- 細胞カプセル化マイクロドロップを薬剤と接触させることをさらに含み、検出により薬剤が分泌タンパク質のレベルに影響を及ぼすか否かが示される、請求項47記載の方法。
- カプセル化段階前に細胞を薬剤と接触させ分泌を促進することをさらに含む、請求項47記載の方法。
- カプセル化細胞が患者由来の細胞集団であり、薬剤が患者由来の別の細胞集団である、請求項47記載の方法。
- 細胞の亜集団が蛍光標識抗体の細胞表面マーカーへの結合および蛍光シグナルの検出により単離される、請求項47記載の方法。
- 細胞集団が患者から採取され、第1および第2マーカーの両方を有する細胞の存在が患者の免疫状態を示す、請求項47記載の方法。
- 第1および第2マーカーを有する細胞を増殖させ、増殖した細胞を患者に投与することをさらに含む、請求項47記載の方法。
- 細胞が抗原特異的T細胞である、請求項47記載の方法。
- 第1および第2マーカーがIL-4、IL-10、IFNγ、およびTNFαからなる群より選択される、請求項47記載の方法。
- 特定の第1および第2タンパク質がIL-10およびIL-12からなる群より選択される、請求項47記載の方法。
- 同定する細胞がTh1細胞である、請求項47記載の方法。
- 同定する細胞がTh2細胞である、請求項47記載の方法。
- 第2マーカーがT細胞分化の細胞表面マーカーである、請求項47記載の方法。
- マーカーの1つがCD4である、請求項47記載の方法。
- マーカーの1つがCD8である、請求項47記載の方法。
- マトリックス成分分子、マトリックス成分分子に結合した第1ビオチン分子、少なくとも1つの種類の分泌タンパク質のエピトープに対する親和性を有し、第2ビオチン分子に結合した少なくとも第1の捕獲分子、ならびに第1および第2ビオチン分子を結合するストレプトアビジンを含むマイクロドロップにタンパク質を発現する細胞集団をカプセル化し、それによりタンパク質が細胞から分泌されると第1捕獲分子に対する親和性を有するタンパク質がマイクロドロップ内に捕獲されることと、
マイクロドロップ内の分泌タンパク質を解析することと
を含む、細胞集団を解析する方法。 - 解析段階をフローサイトメトリーまたは顕微鏡観察により行う、請求項67記載の方法。
- 少なくともいくつかのマイクロドロップが単一細胞をカプセル化する、請求項67記載の方法。
- 細胞が同じタンパク質を様々なレベルで分泌し、解析段階においてそのレベルを比較する、請求項67記載の方法。
- 細胞が様々なタンパク質を分泌し、解析段階において特定のタンパク質を分泌する細胞を検出する、請求項67記載の方法。
- 細胞集団を患者から採取し、解析により細胞障害性T細胞の亜集団を同定し、その細胞亜集団を含まない細胞集団を患者に再導入することをさらに含む、請求項67記載の方法。
- 患者が自己免疫疾患、移植片対宿主病、または宿主対移植片病を罹患するかまたは罹患しやすい、請求項67記載の方法。
- 再導入段階前に、細胞亜集団を含まない細胞集団をIL-10で処理することをさらに含む、請求項67記載の方法。
- マイクロドロップがマトリックス成分分子、マトリックス成分分子に結合した第1ビオチン分子、細胞により分泌されるタンパク質に対する親和性を有する第2ビオチン分子に結合した捕獲分子、ならびに第1および第2ビオチン分子に結合するストレプトアビジンを含み、第1ビオチン分子とマトリックス成分分子のモル比がモルマトリックス成分分子あたり0.85モル未満ビオチンである、細胞カプセル化マイクロドロップの集団。
- モル比が0.02〜0.2である、請求項75記載の集団。
- モル比が0.01〜0.2である、請求項75記載の集団。
- ビオチン濃度が42 Mを超えない、請求項75記載の集団。
- 少なくともいくつかのマイクロドロップが単一細胞をカプセル化する、請求項75記載の集団。
- マトリックス成分分子と第1ビオチン分子のモル比がモルアガロースあたり0.05〜0.2モルビオチンである、請求項75記載の集団。
- ビオチンとアガロースのモル比がモルアガロースあたり0.85モル未満ビオチンと改良した、ビオチン化アガロースを含むマイクロドロップにカプセル化された細胞により分泌されるタンパク質を解析する方法。
- モル比が0.01〜0.2である、請求項81記載の方法。
- マトリックス成分分子、マトリックス成分分子に結合したNi2+NTA、細胞により分泌される分子に対する親和性を有する6xヒスチジンタグに結合した捕獲分子を含むマイクロドロップに細胞をカプセル化し、分子が細胞から分泌され捕獲分子に結合することによりマイクロドロップ内に保持されることと、
細胞を分泌分子に特異的に結合する検出試薬内で接触させることと
を含む、分泌タンパク質を解析する方法。 - ビオチンに結合したマトリックス成分分子、Ni2+に結合したストレプトアビジン、および細胞により分泌される分子に対する親和性を有する6xヒスチジンタグに結合した捕獲分子を含むマイクロドロップに細胞をカプセル化し、分子が細胞から分泌され捕獲分子に結合することによりマイクロドロップ内に保持されることと、
細胞を分泌分子に結合する検出試薬内で接触させることと
を含む、分泌タンパク質を解析する方法。 - IgMアイソタイプの抗体を分泌する細胞の集団を1つまたはそれ以上の細胞がIgGアイソタイプへのアイソタイプスイッチを起こし得る条件下で培養することと、
IgGアイソタイプの抗体に特異的な捕獲試薬を含むマイクロドロップに細胞集団をカプセル化し、それによってIgGアイソタイプの抗体を分泌する細胞を含むマイクロドロップが細胞内で分泌されたIgGアイソタイプの抗体を捕獲することと、
IgGアイソタイプの抗体を分泌する細胞を含む1つまたはそれ以上のマイクロドロップを検出することと
を含む、IgGアイソタイプの抗体を調製する方法。 - 細胞をアイソタイプスイッチを促進する薬剤の存在下で培養する、請求項85記載の方法。
- 捕獲試薬がIgGアイソタイプに対する抗体である、請求項85記載の方法。
- 検出がマイクロドロップを捕獲された抗体に捕獲試薬と異なる部位で特異的に結合する検出試薬と接触させることを含む、請求項85記載の方法。
- 検出試薬が抗イディオタイプ抗体である、請求項85記載の方法。
- 抗イディオタイプ抗体が蛍光標識してある、請求項85記載の方法。
- IgG抗体を分泌する細胞を捕獲したマイクロドロップを単離することをさらに含む、請求項85記載の方法。
- 細胞集団をマイクロドロップにカプセル化して少なくともいくつかのマイクロドロップが複数の細胞をカプセル化し、1つまたはそれ以上の細胞がIgG抗体を分泌する複数の細胞を捕獲したマイクロドロップを単離する、請求項85記載の方法。
- 複数の細胞を単離することをさらに含む、請求項85記載の方法。
- 少なくともいくつかのマイクロドロップが複数の細胞のうちの1つをカプセル化する条件下で複数の細胞をマイクロドロップにカプセル化し、マイクロドロップがIgGアイソタイプの抗体に特異的な捕獲試薬を含み、IgGアイソタイプの抗体を分泌する細胞を含むマイクロドロップがマイクロドロップ内に分泌抗体を捕獲することと、
IgGアイソタイプの抗体を分泌する細胞を含む1つまたはそれ以上のマイクロドロップを検出することと
をさらに含む、請求項93記載の方法。 - 捕獲分子がIgGアイソタイプの分泌抗体に特異的に結合する抗原分子である、請求項85記載の方法。
- (a) 占有マイクロドロップあたり第1の平均細胞数比率で、マイクロドロップに細胞集団をカプセル化することと、
(b) カプセル化細胞をスクリーニングし、望ましい性質を有する細胞をカプセル化するマイクロドロップの第1亜集団を同定することと、
(c) スクリーニング段階で得られたマイクロドロップから細胞を単離することと、
(d) 占有マイクロドロップあたりの第1比率よりも低い第2の平均細胞数比率で、スクリーニング段階で得られた細胞をカプセル化することと、
(e) カプセル化細胞をスクリーニングし、望ましい性質を有する細胞をカプセル化するマイクロドロップの第2亜集団を同定することと
を含む、望ましい性質を有する亜集団を求めて細胞集団をスクリーニングする方法。 - 占有マイクロドロップあたりさらなる比率の平均細胞数で段階(c)〜(d)を繰り返し、マイクロドロップのさらなる亜集団を単離することをさらに含む、請求項96記載の方法。
- 第2亜集団から単一細胞をカプセル化するマイクロドロップを単離することをさらに含む、請求項96記載の方法。
- 望ましい性質を有する細胞の亜集団が本方法を実施する以前の細胞集団の0.01%未満である、請求項96記載の方法。
- ビオチンに結合したマトリックス成分分子で構成され、ビオチンとマトリックス分子のモル比がモルマトリックス成分分子あたり0.85モル未満ビオチンである、マイクロドロップを作製するキット。
- モル比がモルマトリックス成分分子あたり0.01〜0.2モルビオチンである、請求項100記載のキット。
- マイクロドロップ内の第1ビオチン分子の濃度が42マイクロモルまたはそれ以下である、請求項100記載のキット。
- マトリックス分子がアガロースである、請求項100記載のキット。
- マイクロドロップを作製するキットの使用説明書をさらに含む、請求項100記載のキット。
- ストレプトアビジンおよび第2ビオチンに結合した捕獲分子、分泌タンパク質と細胞表面マーカーの両方に対するレポーター分子、ならびにアッセイ法の対照試薬をさらに含む、請求項100記載のキット。
- ビオチン化マトリックス分子と、
IgG抗体のアイソタイプ領域に特異的に結合する捕獲分子と、
捕獲分子と異なる部位でIgG抗体に特異的に結合する検出分子と
を含む、IgGアイソタイプの抗体を検出するキット。
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