JP2004526154A - 細胞ベースの検出および病態の判別 - Google Patents

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Abstract

本発明は、高い感度および特異性で病態を検出および判別する方法を提供する。本方法により、細胞ベースのサンプルが異常細胞を含むかどうかを決定可能であり、一定の疾患について存在する疾患の組織学的型を決定することができる。本方法は、細胞ベースのサンプルにおける分子マーカーの発現レベルおよび発現パターンの変化を検出する。パネル選択および確認手順もまた提供する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の一般的病態の初期検出に関する。本発明はまた、初期段階の特異的病態の判別(識別)に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の病態の初期検出は、疾患がまだ局在し、その病理学的影響が解剖学的および生理学的に限定されている初期診断および初期治療によって患者の生存する見込みを非常に高めることができる。任意の試験または疾患検出法における2つの重要な評価基準は、例外および標的疾患を罹患していない患者を誤って含むことなく全罹患患者を正確に検出するためにいかに良く試験が行われるかを示すその感度(感度=真の陽性/(真の陽性+偽陰性))および特異性(特異性=真の陰性/(偽陽性+真の陰性))である。組織学的には、感度および特異性が不十分であるために、多くの診断試験が批判されている。
【0003】
感度は、試験の試験される個体の標的疾患を正確に検出する能力の基準である。感度の不十分な試験は偽陰性(すなわち、特定の疾患を罹患しているが、罹患していないと誤って同定される個体)の比率が高い。偽陰性の潜在的な危険性は、罹患個体が一定期間診断および治療されず、その間に治療方法があるにしても有効性が低くなり得る後期まで疾患が進行し得ることである。感度の低い試験の例は、HIVのタンパク質ベースの血液検査である。疾患が十分に確立されて相当数のウイルスが血流に侵入するまでウイルスの存在が検出できないので、この試験型の感度は不十分である。対照的に、感度の高い試験の例は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用したウイルスロード検出である。この型の試験は、非常に少量のウイルスを検出することができるので、感度が高い(Lewis,D.R.ら、「Molecular Diagnostics:The Genomic Bridge Between Old and New Medicine:A White Paper on the Diagnostic Technology and Services Industry」、Thomas Weisel Partners、2001年6月13日を参照のこと)。
【0004】
他方では、特異性は、罹患していない患者を正確に同定する試験の能力の基準である。特異性の不十分な試験は、偽陽性(すなわち、疾患を誤って同定される個体)の比率が高い。偽陽性の欠点は、患者がリスク、感情的および金銭的ストレスを伴う不必要な医療行為を強要され、患者の健康状態に悪影響を及ぼすことである。特異性の高い診断試験の開発を困難にしている疾患の特徴は、疾患機構がしばしば複数の遺伝子およびタンパク質に関連していることである。さらに、病態に関連しない理由についての一定のタンパク質が増加し得る。特異性の高い試験の例は、p53変異を検出することができる遺伝子ベースの試験である。がん細胞が存在しない限り、p53変異は決して検出されない(Lewis,D.R.ら、「Molecular Diagnostics:The Genomic Bridge Between Old and New Medicine:A White Paper on the Diagnostic Technology and Services Industry」、Thomas Weisel Partners、2001年6月13日を参照のこと)。
【0005】
細胞マーカーは、発見することができ健康な細胞および疾患細胞を特徴付けるか識別するために使用することができる細胞内の天然に存在する分子構造である。マーカーの存在を、マーカーを視覚化によって検出し、そして/または画像処理システムを使用して定量することができる、マーカーに結合するヒトによって発明および開発されたプローブによって検出することができる。4つのクラスの細胞ベースのマーカー検出テクノロジーは、細胞病理学、血球計算、細胞遺伝学、およびプロテオミクスであり、以下に同定および記載されている。
【0006】
細胞病理学は、専門家による染色された全細胞集団内の細胞形態学的変化の視覚的評価に依存する。例は、細胞検査および細胞病理学の専門家によるパパニコロー染色子宮頸部−膣検体の細胞学的スクリーニングおよび細胞診断である。細胞遺伝学、プロテオミクス、および血球計算と異なり、細胞病理学は定量ツールではない。これは臨床診断細胞学で最先端であるが、主観的であり、診断結果は特に初期のがん(例えば、ASCUS、LSIL)でしばしば感度が高くないか再現性がない。
【0007】
形態学的分析に依存する試験は、細胞および核の形状、サイズ、または染色の異常を同定するために顕微鏡で患者の細胞サンプルを観察することを含む。顕微鏡で観察した場合、正常な成熟上皮細胞は、巨大且つ十分に分化されており、核が凝縮している。しかし、形態異常症の細胞は、種々の分化段階で存在し、いくつかの細胞は異常に成熟している。最後に、浸潤がん細胞はしばしば未分化であり、細胞質が非常に少なく、核が比較的大きい。
【0008】
形態学的分析に依存する診断試験の欠点は、細胞形態学が遅い指標であることである。形態は機能に追随するので、疾患が形態学的分析によって証明されるまでに、病態はたいてい既に危機的段階に進行している。疾患の初期段階は、分子レベルの化学的変化を含む。顕微鏡での細胞の特徴の観察によって検出可能な変化は、疾患の後期段階まで明らかではない。したがって、「分子診断」と呼ばれる分子レベルの化学的変化を測定する試験は、形態学的分析のみに依存する試験よりも早く検出する可能性が高い。
【0009】
サイトメトリーは、溶液中の1ファイル中を移動する蛍光染色細胞のフロー微量蛍光機器分析または顕微鏡スライドガラス上に置いた染色細胞のコンピュータ支援の顕微鏡機器分析(画像サイトメトリー)に基づく。フローサイトメトリーは、白血病およびリンパ腫の免疫表現型分類を含む。画像サイトメトリーは、DNA倍数体、悪性関連変化(Malignancy−associated Change、MAC)、およびS期分析を含む。フローサイトメトリーおよび画像サイトメトリーアプローチにより、懸濁液または顕微鏡スライドガラス上の細胞を特徴付ける定量的データが得られる。フローサイトメトリーおよび画像サイトメトリーにより、細胞染色の感度および特異性ならびに使用したフロー/画像測定の特徴に依存して良好にマーカーを検出および識別結果を産生することができる。
【0010】
1900年代初期から中期にかけて悪性関連変化(MAC)が定量的に観察および報告されていた(OC Gruner、「Study of the changes metwith leukocytes in certain cases of malignant disease」、Brit J Surg、3、506〜522、1916)(HE Neiburgs,FG Zak,DC Allen,H Reisman,T Clardy、「systemic cellular changes in material from human and animal tissues」、Transaction、第7巻、Ann Mtg Inter Soc Cytol Council、p.137〜144、1959)。1900年代半ばから1975年まで、頬粘膜、頬側塗抹標本(Neiburgs,Finch,Klawe)、十二指腸(Nieburgs)、肝臓(Elias,Nieburgs)、巨核球(Ramsdahl)、子宮頚管(Nieburgs,Howdon)、皮膚(Kwitiken)、血液および骨髄(Nieburgs)、単球および白血球(van Haas,Matison,Clausen)、ならびに肺および痰(Martuzzi and Oppen Toth)のMACが独立した定量的組織学および細胞学研究で報告された。1975年以前、これらの定量研究は、特定の疾患についてのMACベースの検出感度は76%〜97%であり、特異性は50%〜90%であると報告していた。1975年に、Oppen Tothは、定量的喀痰分析研究で感受性76%および特異性81%と報告した。
【0011】
MACベースのプローブ分析に関する定量的観察は、2〜30年前から始まった(H Klawe,J Rowinski、「Malignancy associated changes(MAC) in cells of buccal smearsdetected by means of objective image analysis」、Acta Cytol.、18、30〜33、1974)(GL Wied,PH Bartels,M Bibbo,JJ Sychra、「Cytomorphometric markers for uterine cancer in intermediate cells」、Analyt Quant Cytol、2、257〜263、1980)(G Burger,U Jutting,K Rodenacker、「Changes in benign population in cases of cervical cancer and its precursors」、Analyt Quant Cytol、3、261〜271、1981)。MACは、頬粘膜および頬側塗抹標本(Klawe,Burger)、子宮頸部(Wied,Burger,Bartels,Vooijs,Reinhardt,Rosenthal,Boon,Katzke,Haroske,Zahniser)、乳房(King,Bibbo,Susnik)、膀胱および前立腺(Sherman,Montironi)、結腸(Bibbo)、肺および痰(Swank,MacAulay,Payne)、および鼻粘膜(Reith)研究における独立した定量的組織学および細胞学研究で報告され、MACベースの感受性は70〜89%であり、特異性は52〜100%であった。Marek and Nakhosteen(1999、アメリカ胸部学会年次会合)は、(a)感度89%および特異性92%ならびに(b)感度91%および特異性100%の2つの肺定量研究結果を示した。
【0012】
明らかに、悪性関連変化(MAC)は、画像サイトメトリーマーカー検出テクノロジーに起因する潜在的に有用なプローブである。DNA染色核由来のMACベースの特徴は、他の分子診断プローブと組み合わせて肺がんおよび他の病態の検出および識別用の至適化分子診断パネルを作製するために使用することができる。
【0013】
細胞遺伝学は、例えば、in situハイブリッド形成(ISH)テクノロジーを使用した特定の染色体ベースの細胞内の変化を検出する。ISHテクノロジーは、蛍光(FISH)、多色蛍光(M−FISH)、または光吸収ベースの色素原画像(CHRISH)テクノロジーに基づき得る。ISHテクノロジーのファミリーは、クローニングされた細菌細胞または培養された真核細胞中の相補DNA配列の存在の検出にDNAまたはRNAプローブを使用する。FISHテクノロジーを、例えば、一定のがんに関連する遺伝子異常の検出に使用することができる。例には、Trisomy8およびHER−2neuが含まれる。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの他のテクノロジーを使用して、B細胞およびT細胞の遺伝子の再構成を検出することができる。病理学的条件が得られる原因または「誘発」分子事象が検出されるので、細胞遺伝学は高度に特異的なマーカー検出テクノロジーである。検出される事象が少ないので、細胞遺伝学は他のマーカー検出テクノロジーよりも感度が低い。in situハイブリッド形成(ISH)は、変異、染色体エラー、または特定の病原体によって挿入された遺伝物質などの遺伝子レベルの異常の検出に遺伝子ベースの分析を使用する分子診断法である。例えば、in situハイブリッド形成は、特定のmRNAにハイブリッド形成するようにデザインされた標識プライマーでの患者の細胞サンプルの処理によって特定のmRNAレベルを測定するステップと、非結合プライマーを洗浄して取り除くステップと、標識のシグナルを測定するステップとを含み得る。遺伝子配列の特異性により、遺伝子配列の検出を含む試験は特異性が高く、偽陽性は非常に少ないようである。しかし、細胞サンプル中の遺伝物質の量が非常に少ない可能性があるので、非常に弱いシグナルしか得られない場合がある。したがって、増幅技術を使用しないin situハイブリッド形成試験は、特異性が低く、多数の偽陰性が得られるようである。
【0014】
プロテオミクスは、正常または異常な細胞型集団中の固有または特定のタンパク質の過剰発現、過少発現、または有無に起因する細胞の特徴付けおよび識別に依存する。プロテオミクスには、タンパク質の同定および定量だけでなく、その局在、修飾、相互作用、化学活性、および細胞/細胞外機能の決定も含まれる。免疫化学(細胞中の免疫細胞化学および組織中の免疫組織化学(IHC))は、抗体を用いて抗原(すなわち、プロテオーム)を定性的または定量的に(QIHC)に染色するために使用されるテクノロジーである。免疫染色手順は、検出指標として色素を使用する。IHCの例には、ER(エストロゲン受容体)、PR(プロゲステロン受容体)、p53腫瘍抑制遺伝子、およびEGRF予後マーカーの分析が含まれる。プロテオミクスは、細胞遺伝学を使用して検出するための細胞遺伝学的変異または遺伝子配列変化が存在するよりもプロテオミクスを使用して検出するための多くのタンパク分子がしばしば大規模であるので、典型的には細胞遺伝学よりも感度の高いマーカー検出テクノロジーである。しかし、複数の病理学によりタンパク質の過剰発現または過少発現で類似の変化を得ることができるので、プロテオミクスは、細胞遺伝学的マーカー検出テクノロジーよりも特異性が低い可能性がある。免疫化学は、しばしばプローブ試薬として標識抗体を使用する組織切片または細胞調製物中の免疫反応物質の組織学的または細胞学的局在を含む。免疫化学を使用して、疾患マーカー上のエピトープに特異的に標識抗体(プローブ)などの薬剤での細胞の処理およびその後の非結合抗体の洗浄および標識シグナルの測定によって細胞サンプル中の疾患マーカー(特異的タンパク質)の濃度を測定することができる。免疫化学は、がん細胞が健康な細胞よりも一定の疾患マーカーレベルが異なるという性質に基づく。がん細胞中の疾患マーカーの濃度は、一般に、大きなシグナルの発生に十分なほど大きい。したがって、免疫化学に依存する試験は、感度が高く、偽陰性が少ないようである。しかし、病態に加えて、他の要因により、疾患マーカーの濃度が増減し、特定疾患の免疫化学分析に依存する試験は、特異性が低く、偽陽性の比率が高いようである。
【0015】
本発明は、高感度且つ高特異性の非侵襲性病態の検出および判別法を提供する。本方法は、罹患細胞を含むと疑われる細胞学的サンプルを特定のマーカーにそれぞれ定量的に結合する複数の薬剤を含むプローブに接触させるステップと、プローブ剤の結合パターンを検出および分析するステップとを含む。本発明はまた、特定の疾患(または疾患群)を検出し、種々の病態を判別するためのプローブのパネルを構築および確証する方法を提供する。肺がんの検出および異なる肺がん型の判別のためのパネルの例もまた提供する。
【0016】
ヒトの疾患は、体内の細胞、組織、器官、または系内の構造または機能を異常にする外部または内部傷害を中和するヒト器官の適応機構の不全に起因する。以下の表1に示すように、共通の原因機構によって疾患を分類することができる。
【0017】
【表1】
病態は、細胞内、細胞、組織、器官、またはヒトの解剖学的もしくは生理学的系のレベルでの異常な変化(すなわち、病理学的条件)に起因するか異常に変化する。多数の病態(例えば、肺がん)は、細胞内または細胞レベルでの異常な変化によって特徴付けられる。病態の存在および型について患者を診断するために、検体(例えば、子宮頸部PAP塗抹標本、排尿、血液、痰、結腸洗浄液)を病態が疑われる患者から採取することができる。分子病理学は、これらの細胞ベースの疾患に関連する分子の変化を同定して診断に使用する研究分野である。
【0018】
肺がんは、病態の存在を検出するために診断試験(例えば、分子診断パネルアッセイ)を使用してハイリスク集団および危険な状態にある個体のスクリーニングを行うことができる病態の例である。また、これらの手段によって肺がんまたは他の病態が検出された患者について、関連する診断試験を使用して特定の病態と関連する病態または同時に発症する病態を識別することができる。例えば、この肺がんの例では、さらなる分子診断パネルアッセイにより患者の病態が以下の肺がん型、すなわち、(a)肺の扁平上皮がん、(b)肺の腺がん、(c)肺の大細胞がん、(d)肺の小細胞がん、または(e)中皮腫の1つに一致する確率を示すことができる。細胞ベースの病態の初期の検出および判別は、患者の予後を改良する仮説的手段である。
【0019】
がんは、その自然の過程が致命的結果を招く新生物の疾患である。がん細胞は、良性の腫瘍細胞と異なり、侵襲性および転移性を示し、高度に未分化である。がんには、癌腫(carcinoma)および肉腫(sarcoma)の広範な2つのカテゴリーが含まれるが、通常、癌腫と同意語として使用される。世界保健機関(WHO)によれば、がんは毎年1000万人以上が罹患し、620万人以上が死亡している。
【0020】
がんは、実際には、事実上全ての身体の部分で発症し得る疾患の異種集団である。結果として、全てのがんまたは特定のがん型の段階でさえ異なる治療が同様に有効ではない。診断学(例えばマンモグラフィー、子宮頸部の細胞学、および血清PSA試験)の利点により、いくつかの場合、より多数の治療選択肢が存在する場合初期段階のがんを検出可能であり、治療はより有効である傾向がある。固形腫瘍が小さく且つ局在している場合、手術のみで十分に治癒することができる。しかし、腫瘍が拡大している場合、手術の利益はせいぜい限られている。このような場合、化学療法および/または放射線治療を加えて転移性疾患を治療することができる。延命に幾らか有効であるが、転移性疾患患者の治療で治癒するのは稀である。初期応答があったとしても、時間と共に疾患は進行し、治療効果および/または副作用によって最終的に死亡する。
【0021】
証明されていないが、一般に、初期の検出および治療により罹患率、死亡率、およびがん治療の費用が減少することが認められている。初期検出により、多くの場合、転移前に治療を開始することができる。さらに、より多数の治療の選択肢が存在するので、治癒または長期生存する著しい改善の確率が高い。
【0022】
「危険な状態の」集団のスクリーニングに使用することができる試験の開発は、長い間医師の目的であった。乳がん用のマンモグラフィー、前立腺がん用のPSA試験、および子宮頸がん用のPAP塗抹標本などの幾らか成功しているが、ほとんどの場合、患者に自覚症状があり、ほぼ必ず致命的である比較的末期でがんが検出される。ほとんどのがんでは、試験および試験の組み合わせでは初期段階の疾患を罹患した患者が、費用効果が高い同定が可能なほど必ずしも感度および特異性が高くない。
【0023】
首尾よく且つ患者、意思、および第三者の支払人に受け入れられるがんスクリーニングプログラムのために、試験は有利であり(予後を変化させる)、広範に利用可能であり、基本的医療の枠組みの範囲内で容易に行うことができなければならない。試験は比較的非侵襲性であり、適切に遵守され、感度が高く、特異性および予測値が妥当であるべきである。さらに、試験は、比較的低コストで利用可能でなければならない。
【0024】
がんの疑いのある患者のために、診断を確認し、医師が適切な治療介入を行うために腫瘍の病期を細胞学的および臨床的に適切に設定しなければならない。しかし、がんの診断および病期設定で現在使用されているいくつかの試験(十分な感受性または特異性を欠く)は、侵襲性または費用が高すぎて集団ベースのスクリーニング試験としてのその使用が許容できない。以下に示す表2および3は、例えば、肺がん診断の感度および特異性の評価ならびに肺がんの検出に使用される診断試験の予想費用である。
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
その妥当な感度、特異性の高さ、および低コストのために、がん病変の検出および位置付けに胸部X線(X線)をしばしば使用する。しかし、大きな腫瘍は比較的容易に胸部フィルム上に視覚化されるが小さな病変の検出は困難であり、検出時にはほとんどが既に転移している。したがって、胸部X線は初期検出法としての用途に必要な感度を欠く。
【0028】
コンピュータ連動断層撮影法(CT)は、肺小結節の確認および特徴付けに有用であり、標準的な胸部X線でしばしば見のがされるわずかな異常を検出可能である[2]。CT、特にスパイラルCT法には、事前に喀痰細胞診の結果が悪いか声帯麻痺の患者に残された試験である。従来の胸部フィルムよりも感度が改良されたCTは、中枢気道の画像処理の重要なツールとなりつつある[3]広範な領域を試験することが可能であると同時にCTを心肺運動由来の人工産物に供し、ヨウ化造影剤の使用によって分解能を改良することができる。
【0029】
スパイラルCTは、従来のCTまたはX線のいずれかよりも確実に初期がん病変を検出する可能性を有するより迅速且つ感度の高いCT形態である。スパイラルCTは、初期疾患診断において非常に改良された感度を有するようである。しかし、この試験は偽陽性率が20%と比較的感度が低い[4]。スパイラルCTはまた、肺がんの1/3を占める主な病変の検出感度が低い。さらに、初期試験費用が比較的安い($30)が、追跡調査の費用は高い。分子診断パネルアッセイを使用した細胞学は、スパイラルCTで疑われる肺小結節由来の細針吸引(FNA)または細針生検(FNB)での評価による偽陽性の結果を最小にすることによってスパイラルCT試験の特異性を改良するためにスパイラルCTを使用した補助試験として非常に有望である。
【0030】
蛍光気管支鏡検査法は、従来の白色光気管支鏡検査法よりも感度が高く、中枢気道内の小さな病変の検出が有意に改善される[5]。しかし、蛍光気管支鏡検査法は周辺病変を検出することができず、気管支鏡検査者が患者の気道を検査するのに時間がかかり、且つ高価な手順である。さらに、この手順は、中程度に侵襲性であり、集団ベースのスクリーニング試験としての使用には乗り越えられない障害である。
【0031】
陽電子断層撮影法(PET)は、肺内のがん細胞存在の同定に放射性グルコースを使用する感度の高い試験である[6〜8]。試験施設の設置費用は高く、現場または付近にサイクロトロンが必要である。このことが試験費用の高さと共に初期疾患検出よりもむしろ肺がん患者の病期設定へのPETスキャンの使用を制限している。
【0032】
肺がんのスクリーニング手段として長い間使用されていたにもかかわらず、喀痰細胞診は、その感度の低さおよび疾患特異的死亡率を減少できないことから限られた成功しか収められていない。従来の喀痰細胞診では、病理学者は、悪性細胞の同定およびがんの診断に細胞形態の特徴的な変化を使用する。今日、肺がんの「危険性」があるか疑いのある患者の15%しか喀痰細胞診を受診しておらず、5%未満が多面的評価を受けている[9]。腫瘍のサイズ、位置、分化の程度、細胞凝集、クリアランス機構の細胞および喀痰の外部環境への放出の無効性、および喀痰中の細胞の安定性の不十分さを含む多数の要因が試験を総合的に不十分にしている。
【0033】
がん診断は、伝統的に1分子マーカーの検出に依存している。不運にも、がんは典型的には1つのマーカーで疾患の多数の形態を検出または識別できない病態である。したがって、1つのマーカーのみを認識するプローブは、ほとんど無効であることが示されている。「特効薬」診断試験の包括的検索が進行中であるが、現在、普遍的に首尾の良い特効薬プローブは見出されていない。
【0034】
本発明の主な前提は、細胞系のがん診断およびスクリーニング、他の病態の診断および治療モニタリングを、複数を同時に標識したプローブのキットよりもむしろ1つのマーカー/プローブ分析を使用する最先端のものよりも有意に改良することである。この多重化分析アプローチは、がんが単一の疾患ではないのでがん診断に特に十分に適する。さらに、この多因子「パネル」アプローチは、がんの細胞学的および臨床的な不均一な性質に一致する。
【0035】
細胞ベースの診断試験に対するパネルアプローチの首尾の良い実施の手がかりは、種々の病態の特徴付けおよび判別を異なるマーカーのパターンを化学的に認識することができるプローブの至適化されたパネルのデザインおよび開発である。本特許出願は、このような新規且つ至適化されたパネルの有効且つ固有のデザインおよび開発方法を記載する。
【0036】
標本集団(例えば、喀痰細胞診用の診療現場検査用混合物)および調製物(例えば、新規の細胞学保存物および輸液ならびに液体ベースの細胞学調製物用機器)は、開発中であり、市販されるであろう。既存およびこれらの新規の方法と併せて、細胞ベースのパネルアッセイを使用したこの分子診断の首尾の良い実施により、(a)悪性腫瘍および他の病態の分子プロフィールが特徴付けられ、(b)初期のがんおよび他の病態を検出および識別するための改良法が得られ、および(c)臨床診断、予後、カスタマイズされた患者の治療、および治療モニタリングを改良する機会が与えられる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0037】
本発明は、細胞ベースの診断を使用して一般的病態を検出し、特定の病態を判別するためのパネルに関する。パネルは、一般的病態または特定の病態に関連するマーカーにそれぞれ特異的結合し、細胞診標本中の細胞へのパネルの成分プローブへの結合パターンが前記病態の存在または特定の性質の診断となる複数のプローブを含む。本発明はまた、細胞ベースの診断を使用した患者の病態の検出または病態の判別のためのパネルの形成方法に関する。本方法は、病態に関連するマーカーのライブラリーのメンバーにそれぞれ特異的に結合するプローブ結合の感受性および特異性を決定するステップと、結合パターンが前記病態の存在または特定の性質を診断する限定された複数のプローブを選択するステップとを含む。本方法はまた、疾患を検出するか病態を判別する方法に関する。本方法は、病態に特徴的な異常細胞を含むと疑われる細胞学的サンプルに請求項1に記載のパネルを接触させるステップと、前記病態の存在または特定の性質の診断となる前記プローブの結合パターンを検出するステップとを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
1.緒言
本発明は、感度および特異性の高い非侵襲性の病態を検出および判別する方法を提供する。本方法は、罹患細胞を含むと疑われる細胞学的サンプルを疾患マーカーにそれぞれ定量的に結合する複数の薬剤を含むパネルに接触させるステップと、前記薬剤の結合パターンを検出するステップとを含む。このパターンには、パネルの成分プローブの結合の局在性および密度/濃度が含まれる。本発明はまた、疾患を検出し、病態も判別するためのパネルおよび初期肺がんを検出し、異なる肺がん型を判別するためのパネルを作製する方法を提供する。パネル試験は医療で使用されている。例えば、血清分析でパネルが使用されている。しかし、細胞学的分析は各細胞および組織内の特定のマーカーの画像化および位置付けを含んでいるので、本発明の前にパネルアプローチが細胞学的サンプルに有効であることは明らかではなかった。さらに、プローブの至適化された細胞ベースの診断パネルをデザインおよび開発するために統計分析を適用することができたとしても明らかではなかった。
【0039】
いくつかの例の細胞学ベースのスクリーニングプログラムのうちの1つは、子宮頸がんをスクリーニングするPAP塗抹標本である。50年以上にわたりこの方法は実施され、今日、PAP塗抹標本を受けた女性で子宮頸がんにより死亡した者はほとんどいないという事実に非常に貢献している。しかし、PAP塗抹標本スクリーニングには欠点がある。例えば、PAPは手間がかかり、普遍的に受け入れられない。本発明のプローブパネルを使用した分子診断用細胞ベースのスクリーニング法は、これらの欠点がない。本方法は、完全に自動化できるので安価であり、この試験型への利用が増加する。
【0040】
本発明は、特異性および感度が共に高い病態の検出および病態の判別を行う方法を提供する。本発明は、がんおよび感染症などの任意の細胞ベースの病態に適用可能である。
【0041】
パネルは、病態の存在または特定の性質を診断する。本発明は、安い費用を維持したままでの細胞学的サンプル中の罹患細胞の迅速、正確、比較的非侵襲性、且つ容易な検出により公知の病態検出法の制限および欠点を克服する。
【0042】
本発明のパネル作製方法の特徴は、パネルを迅速に開発することができることである。
【0043】
病態を検出し、病態型を判別する方法での薬剤パネルの使用にはいくつかの利点が存在する。1つの利点は、病態の検出および特徴とするための薬剤パネルが十分であるので、試験の感度および特異性が増大することである。多数の病態が異なる性質を有する場合、1つの薬剤で大部分の症例を検出することはできない。
【0044】
パネル使用のさらなる利点は、パネルの使用により特定の発現パターン(プローブの位置および密度/濃度)に基づいて種々の病態型を判別可能であることである。種々の病態は、その進行速度、治療に対する反応、および死亡率が劇的に異なり得るので、特定の型の知識が医師の適切な治療アプローチの選択の助けとなり得る。
【0045】
2.パネル
本発明のパネルは、それぞれ疾患マーカーに定量的に結合し、パネルの成分薬剤の結合パターン(位置および密度/濃度)で病態の存在または特定の性質を診断する複数の薬剤を含む。したがって、パネルは検出パネルまたは判別パネルであり得る。検出パネルは細胞サンプル中に一般的病態が存在するかどうかを検出し、判別パネルは異なる疾患型を含む病態を罹患していることが知られている細胞サンプル中の異なる特定の病態を判別する。検出パネルと判別パネルの違いは、パネルに含まれる特定の薬剤にある。検出パネルは病態の存在を診断する結合パターンを有する薬剤を含み、判別パネルは病態の特定の性質(すなわち、各型)を決定可能な結合パターンを有する薬剤を含む。
【0046】
定義上は、パネルは1つを超えるメンバーを含む。何故一般的病態の検出または特定の病態の判別に1つのマーカーのみのパネルよりも複数のマーカーのパネルを使用することが有利であるのかという理由は幾つか存在する。理由の1つは、健康な細胞中に存在しないが全ての疾患細胞中には存在する、正確な試験結果を得るために高い特異性および感度でその挙動を測定することができる1つのマーカーのプローブが存在する見込みがないことである。高い感度および特異性で特定の疾患を検出するこのような1つのプローブが存在する場合、既に臨床試験で使用されているだろう。さらに、これは、それぞれ臨床的に適切な試験を確実にする検出能力の範囲を得ることができる複数のプローブからなるパネル試験の方向性を持った選択である。
【0047】
それにもかかわらず1つまたは非常に少数のプローブを含むパネル試験の構築を選択する場合、任意の理由(例えば、生物学的変動性による標本細胞の反応性の減少;多数のプローブ試薬の固有の変動性;弱い、期限切れ、または不完全なプロセシング試薬;プローブに不適切なプロセシング時間または条件;)のために、標識を行うための任意の1つのマーカー/プローブ組み合わせの失敗により、標的疾患を検出または判別する試験は壊滅的に失敗する。各パネル試験に複数の過剰なプローブを含めることにより、任意の1つのプローブの失敗が試験の壊滅的失敗の原因とならない確率が非常に高くなる。
【0048】
プローブは、疾患マーカーに結合する任意の分子構造または基礎構造である。本明細書中で使用される、用語「薬剤」はまた、疾患マーカーに結合する分子構造または基礎構造をいうことができる。分子プローブは、特定の病態の指標となるマーカーの検出および位置付けのために生物学者および臨床医学者によって使用される自動誘導デバイスである。例えば、先に小細胞肺がんのマーカーとして同定されたタンパク質に特異的に結合する抗体を産生することができる。次いで、この抗体プローブを使用して、適切な免疫化学的プロトコールおよびインキュベーションの使用により罹患が疑われる患者の細胞および組織中の標的タンパク質マーカーを位置付けることができる。抗体プローブが化学量論(すなわち、定量)様式でその標的マーカーに結合し、色素形成または着色「タグ」で標識された場合、光学顕微鏡および画像サイトメトリーテクノロジーを使用してプローブおよび間接的にはその標的マーカーを位置付けおよび定量することができる。
【0049】
本発明は、当業者が利用可能な任意の数の方法を使用したDNA、RNA、またはタンパク質レベルでの分子マーカー発現の変化の検出を意図する。プローブの例は、パネル中の分子マーカーをコードする核酸配列に相補的なポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、もしくはそのフラグメントまたは核酸配列であり得る。プローブはまた、DNA鎖などの鎖であり得る。本発明で使用される多数の抗体は、マーカー物質としての種々の細胞表面抗原または細胞内抗原に特異的である。当業者に一般的に公知の技術を使用して、抗体を合成することができる。例えば、マーカーに対する抗体の最初の惹起の後、抗体を配列決定し、その後組換え技術によって調製することができる。あるいは、抗体を購入することができる。
【0050】
本発明の実施形態では、プローブは標識を含む。標識を含むプローブは、本明細書中でしばしば「標識プローブ」という。標識は、プローブがマーカーに結合した場合にシグナルが発生するか標識プローブをヒトによる観察または分析機器によって検出することができるようにプローブに結合することができる任意の物質であり得る。この標識を、「タグ」とも言うことができる。読み取り機器類により標識を視覚化することができる。用語「読み取り機器類」は、プローブの検出に使用される分析装置をいう。本発明によって想定される標識は、シグナルを発生してサンプル中の成分を同定することができる任意の標識である。好ましい標識には、放射性部分、蛍光発生部分、色素形成部分、または酵素部分が含まれる。したがって、可能な検出方法には、免疫細胞化学、免疫組織化学、in situハイブリッド形成、蛍光in situハイブリッド形成、フローサイトメトリー、および画像サイトメトリーが含まれるが、これらに限定されない。標識プローブによって発生したシグナルは、医療従事者による検出に十分な強度である。
【0051】
「マーカー」、「疾患マーカー」、または「分子マーカー」は、病態または病原体に相関する任意の分子構造または基礎構造である。用語「抗原」を、「マーカー」と交換可能に使用することができる。広義のマーカーは、特定の条件、事象、または物質の存在もしくは頻度および/または量を明らかにするか、検出するか、測定するために観察者または機器によって意図的に使用することができる生物学的指標である。例えば、ヌクレオチド塩基の特異的且つ固有の配列を、個体間および家族間の遺伝子の遺伝パターンを追跡するための遺伝子マーカーとして使用することができる。同様に、分子マーカーは細胞または組織内のその存在が特定の病態を示すタンパク質またはタンパク質フラグメントなどの特定の分子である。例えば、増殖がん細胞は同一の型の正常な細胞では見出されない新規の細胞表面タンパク質を発現することができるか、その発生量の増加または減少(例えば、それぞれ過剰発現または過少発現)を特定の病態のマーカーとして使用することができる特定の分泌タンパク質を過剰発現させることができる。
【0052】
細胞学パネルに適切なマーカーは、核、細胞質、または細胞膜の中または上に局在する物質である。マーカーは、細胞中のこれらの任意の位置に存在するオルガネラ中に局在することもできる。核内に局在するマーカーの例には、網膜芽腫遺伝子産物(Rb)、サイクリンA、ヌクレオシド二リン酸キナーゼ/nm23、テロメラーゼ、Ki−67、サイクリンD1、増殖細胞核抗原(PCNA)、p120(増殖関連核抗原)、および甲状腺転写因子1(TTF−1)が含まれるが、これらに限定されない。細胞質中に局在するマーカーの例には、VEGF、サーファクタントアポタンパク質A(SP−A)、ヌクレオシドnm23、黒色腫抗原1(MAGE−1)、ムチン1、サーファクタントアポタンパク質B(SP−B)、ER関連タンパク質p29、および黒色腫抗原3(MAGE−3)が含まれるが、これらに限定されない。細胞膜中に局在するマーカーの例には、VEGF、トロンボモジュリン、CD44v6、E−カドヘリン、ムチン1、ヒト上皮関連抗原(HERA)、線維芽細胞成長因子(FGF)、肝細胞成長因子受容体(C−MET)、BCL−2、N−カドヘリン、表皮成長因子受容体(EGFR)、およびグルコース輸送物質3(GLUT−3)が含まれるが、これらに限定されない。細胞質オルガネラ中に存在するマーカーの例は、ミトコンドリア膜中に(一部)存在するBCL−2である。核のオルガネラ中に存在するマーカーの例は、核内に存在するp120(増殖関連核抗原)である。
【0053】
発現が変化し、疾患進行の初期に生じ、罹患細胞の大部分で示され、75%以上の所与の疾患型を検出可能であり、最も好ましくは90%以上の所与の疾患型を検出可能であり、そして/または異なる疾患型の性質を判別可能であるマーカーが好ましい。
【0054】
プローブがマーカーに結合するので、本発明のパネルをプローブのパネルまたはマーカーのパネルということができることに注目すべきである。したがって、パネルは、多数のマーカーを含み得るか、特定のマーカーに結合する多数のプローブを含み得る。一貫性をもたせるために、本発明のパネルをプローブのパネルというが、マーカーのパネルということもできる。
【0055】
マーカーは、細胞核中の悪性腫瘍関連変化(MAC)などの特徴または患者のがん家族歴に関連する特徴も含み得る。悪性腫瘍関連変化(すなわち、MAC)は、典型的にはがん細胞周辺に存在する正常と考えられる細胞に生じる微視的変化である。細胞核内のこれらの異常でわずかな変化は、生物学的には核基質およびクロマチン分布パターンの変化に起因し得る。これらの変化は訓練を受けた観察者でさえ各細胞の目視では確認できないが、高度に自動化されたコンピュータ制御の高速画像サイトメトリーを使用した細胞集団の統計分析によって決定することができる。MAC検出技術は当業者に周知であり、Gruner,O.C.、Brit J.Surg.、3、506〜522、1916;Neiburgs,H.E.ら、Transaction、7th Annual Mtg.Inter.Soc.Cytol.Council、137〜144、1959;Klawe,H.Acta.Cytol.、18、30〜33、1974;Wied,G.L.ら、Analty.Quant.Cytol.、2、257〜263、1980;おyびBurger,G.ら、Analyt.Quant.Cytol.、3、261〜271、1981にさらに詳述されている。
【0056】
本発明は、病態に相関する任意のマーカーを含む。各マーカー自体は、本発明の単なるツールに過ぎない。したがって、本発明は、特定のマーカーに制限されない。マーカーを分類する1つの方法は、他の分子に対するその機能的関係である。本明細書中で使用される、「機能的に関連する」マーカーは、目的のマーカーと同一の生物学的過程または経路の成分であり、目的のマーカーと共に異常発現することが当業者に公知である。例えば、多数のマーカーは、線維芽細胞成長因子(FGF)、(血管内皮成長因子)VEGF、サイクリンA、およびサイクリンD1などの細胞増殖経路に関連する。他のマーカーは、Glut−1およびGlut−3などのグルコース輸送体である。
【0057】
当業者は、機能的に関連するマーカーを決定する知識を十分に備えており、種々のマーカーを検索するか、マーカーの機能的挙動を決定する実験を行うことができる。制限されない例により、マーカーを、血管新生に関連する分子、膜貫通糖タンパク質、細胞表面糖タンパク質、肺サーファクタントタンパク質、核DNA結合リンタンパク質、膜貫通Ca2+依存性細胞接着分子、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)の調節サブユニット、ヌクレオシド二リン酸キナーゼ、リボ核タンパク質酵素、増殖正常細胞および腫瘍性細胞で発現する核タンパク質、DNAポリメラーゼδの補因子、悪性新生物中で発現される場合でさえも正常な組織でサイレンとであり、自系の腫瘍指向性および特異的細胞傷害性T細胞(CTL)によって認識される遺伝子、グリコシル化分泌タンパク質、胃腸管または尿生殖管、肺サーファクタントの疎水性タンパク質、膜貫通糖タンパク質、増殖、分化、および血管新生に関連する分子、がん原遺伝子、ホメオドメイン転写因子、ミトコンドリア膜タンパク質、急速に増殖する細胞の核で見出される分子、グルコース輸送体、またはエストロゲン関連熱ショックタンパク質として分類することができる。
【0058】
生物マーカーおよびプローブの分類には、(a)DNA倍数体、MAC、および前悪性病変を含む形態学的生物マーカー、(b)DNA付加物、DNA変異体、およびアポトーシス指数を含む遺伝子生物マーカー、(c)細胞増殖、分化、調節分子およびアポトーシスマーカーを含む細胞周期生物マーカー、および(d)がん遺伝子、腫瘍抑制遺伝子、腫瘍抗原、成長因子および受容体、酵素、タンパク質、プロスタグランジンレベル、ならびに接着分子を含む分子および生化学的生物マーカーが含まれるが、これらに限定されない。
【0059】
「病態」は、任意の細胞ベースの疾患であり得る。いくつかの実施形態では、病態はがんである。他の実施形態では、病態は感染症である。がんは、気道、尿路、胃腸管、および生殖管由来の上皮細胞系のがん;肉腫、乳がん、膵臓がん、肝臓がん、腎臓がん、甲状腺がん、および前立腺がんなどの固形腫瘍および/または分泌腫瘍系のがんおよび;白血病およびリンパ腫などの血液系のがんが含まれるがこれらに限定されない任意のがんであり得る。本発明によって検出することができるがんの例は、肺がん、膀胱がん、胃腸のがん、子宮頸がん、乳がん、または前立腺がんである。検出することができる感染症の例は、感染生物がウイルス、細菌、原生動物、寄生虫、または真菌類である細胞ベースの疾患である。感染症は、例えば、HIV、肝炎、インフルエンザ、髄膜炎、単核細胞症、ヒト型結核菌、ならびにクラミジア、トリコモナス、淋病、ヘルペス、および梅毒などの性感染病(STD)であり得る。
【0060】
本明細書中で使用される、用語「一般的病態」は、肺がん、性感染病、および免疫ベースの疾患などのいくつかの特定の疾患型を含む疾患をいう。特定の病態を、組織学的疾患型ともいう。例えば、用語「肺がん」は、扁平上皮がん、腺がん、大細胞がん、小細胞がん、および中皮腫などのいくつかの特定の疾患を含む。用語「性感染病」は、淋病、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)、ヘルペス、および梅毒などのいくつかの特定の疾患を含む。用語「免疫ベースの疾患」は、全身性エリマトーデス(狼瘡)、慢性関節リウマチ、および悪性貧血などのいくつかの特定の疾患を含む。
【0061】
本明細書中で使用される、「ハイリスク集団」は、疾患原因因子(例えば、家庭内または職場の発がん物質)の個体の群(すなわち、肺がんの「ハイリスク集団」は、喫煙、受動喫煙、および職業曝露にさらされ得る)をいう。「ハイリスク集団」中の個体はまた、遺伝性疾病素質を有し得る。
【0062】
用語「危険な状態にある」は、無症候性であるが、家族歴または有意な曝露により病態発症リスクが有意な個体(すなわち、30パック年を超えて喫煙している肺がんの危険性のある個体;「パック年」は1日あたりの喫煙パック数にこの曝露の年数をかけて計算した基準単位)をいう。
【0063】
がんは、例えば、遺伝子発現の変化によって制御されずに細胞が分裂する疾患である。本発明の方法およびパネルでは、がんは任意の器官における任意の悪性増殖であり得る。例えば、がんは、肺がん、膀胱がん、胃腸がん、子宮頸がん、乳がん、または前立腺がんであり得る。各がんは、一連の疾患またはがんの組織学的型を含み得る。用語「組織学的型」は、異なる組織学のがんをいう。がんに依存して、1つまたは複数の組織学的型が存在し得る。例えば、肺がんには、扁平上皮がん、腺がん、大細胞がん、小細胞がん、および中皮腫が含まれるが、これらに限定されない。患者が罹患しているがんの組織学的型の知識は、医療従事者が疾患を位置付けおよび特徴付けて、最適な治療ストラテジーを決定するための一助となるので、非常に有用である。
【0064】
感染症には、感染性生物がウイルス、細菌、原生動物、寄生虫、または真菌類である細胞ベースの疾患が含まれる。
【0065】
検出および判別パネルの例は、肺がん(一般的病態)を検出するパネルならびに肺がんの全ての他の型および偽陽性に対して1つの肺がん型(特定の病態)を判別するパネルである。偽陽性には、転移性の肝臓がん、腎臓がん、または膵臓がんなどの異なる型の転移性がんを含み得る。
【0066】
3.パネルの作製方法
患者の一般的病態を検出するか特定の病態を判別するためのパネルの作製方法は、プローブが一般的病態または特定の病態に関連するマーカーのライブラリーに結合する感度および特異性を決定するステップと、その結合パターン(局在化および密度/濃度)で前記病態の存在または特定の性質を診断する複数のプローブを選択するステップとを含む。いくつかの実施形態では、任意選択的な予備的除去および調製ステップを行う。本発明のパネルの作製方法は、既知の組織学的病変サンプル中のマーカー(すなわち、ゴールドスタンダード、最も基準になる検査)へのプローブの結合パターンを分析するステップを含む。ゴールドスタンダードデータでデザインされた分類を使用して、サイトメトリー、特に自動化サイトメトリー分類をデザインすることができる。したがって、病理学分析から選択されたマーカープローブ組を使用して、痰、細針吸引、および尿などの細胞学的サンプルから得た新規の訓練データを作成する。特定した病変から分離した細胞を、ゴールドスタンダードに類似の様式で染色する。本明細書中に記載の方法は、ゴールドスタンダードの組織学的病変サンプルに基づく診断の完全性が高いので、最良の特徴の選択において実験誤差を排除している。原則的には、パネルの作製に細胞学的サンプルを使用することが可能であるが、細胞学的サンプルは破片を含み、細胞学的サンプルの細胞を劣化させる可能性があり、病理学的診断で臨床的に確認することが困難になる可能性があるので、これはあまり望ましくない。
【0067】
マーカーのライブラリーは、マーカー群である。ライブラリーは、任意の数のマーカーを含むことができる。しかし、いくつかの実施形態では、ライブラリー中のマーカー数は、標本サイズなどの技術的および/または経済的実用性によって制限される。例えば、いくつかの実施形態では、各標本をパネル中の全マーカーに対して試験する。したがって、マーカー数は、標本を分割し得るサンプル数よりも多くてはならない。別の技術的実用性は時間である。典型的には、ライブラリーは60個未満のマーカーを含む。好ましくは、ライブラリーは50個未満のマーカーを含む。より好ましくは、ライブラリーは40個未満のマーカーを含む。最も好ましくは、ライブラリーは10〜30個のマーカーを含む。潜在的なパネルマーカーのライブラリーはパネルの性能を最適にする機会が与えられるように10個を超えるマーカーを含むことが好ましい。本明細書中で使用される、「約」は、±3個のマーカーを意味する。
【0068】
いくつかの実施形態では、種々のマーカーについての情報源およびマーカーと一般的な/特定の病態との間の相関関係の調査によってライブラリーを得る。供給源の例には、実験結果、理論的または予測分析ならびに雑誌、書籍、カタログ、およびウェブサイトなどの文字情報源が含まれる。これらの種々の情報源は、組織学または細胞学を使用することができ、in situハイブリッド形成などの細胞遺伝学;免疫組織化学などのプロテオミクス;MACまたはDNA倍数体などのサイトメトリー;および/または形態学などの細胞病理学に依存し得る。マーカーを細胞中または細胞上のいずれかの位置に局在させることができる。例えば、マーカーを、核、細胞質、または細胞膜の中または上に局在させることができる。マーカーは、上記の任意の位置に局在するオルガネラ中に局在することもできる。
【0069】
いくつかの実施形態では、ライブラリーは不適切なサイズであり得る。したがって、パネルの基本的作製方法の開始前に1つまたは複数の削除ステップが必要であり得る。削除ステップは、1つまたは複数の連続的削除ステップを含み得る。1つの削除ステップは、例えば、感度および/または特異性についての任意の閾値を設定するステップを含み得る。したがって、実験によるか予測された感度および/または特異性が閾値未満である任意のマーカーを、ライブラリーから除去することができる。単独または他の削除ステップと連続して実施することができる削除ステップの他の例は、検出テクノロジーの要件、アクセスの制約、および報告された結果の非再現性に依存し得る。検出テクノロジーの要件に関して、特定のマーカーの検出に必要な機械類を利用しないことが可能である。アクセスの制約について、承認の制限により特定のマーカーに結合するプローブを得ることが困難であるか不可能である。いくつかの実施形態では、各マーカーが非常に熱心に研究されている。
【0070】
いくつかの実施形態では、パネルの基本的作製方法の開始前に、調製ステップを行う必要があり得る。調製ステップの例には、ライブラリー中のマーカーの目的の定量的検出プロトコールを至適化するステップおよび組織学的標本を回収するステップが含まれる。マーカーの目的の定量的検出プロトコールの至適化は、当業者の範囲内である。例えば、緩衝液、試薬、ソフトウェア、および装置などの必要な試薬および消耗品を得なければならない。試薬濃度を調節することが可能である。例えば、非特異的結合が認められた場合、当業者はプローブ溶液の濃度を希釈することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、組織学的標本はゴールドスタンダードである。用語「ゴールドスタンダード」は、標本の組織学および臨床診断が公知であることを意味することを当業者は知っている。ゴールドスタンダードは、しばしば「訓練」データ集合をいう。ゴールドスタンダードは、判別プロセスに寄与することができる全ての特徴の基準の集合または信頼できる評価を含む。このような特徴を、既知の病態を罹患した代表的患者数から採取したサンプルから採取する。標準サンプルは細胞学的サンプルであり得るが、これはパネル選択にはあまり望ましくない。
【0072】
当業者に公知の任意の技術(例えば、生検)によって組織学サンプルを得ることができる。いくつかの実施形態では、患者あたりの標本サイズは、ライブラリー中の各マーカーの試験に十分な組織切片を得ることができるほどの大きさである必要がある。
【0073】
いくつかの実施形態では、それぞれの特定の病態と診断された複数の患者から標本を得る。患者あたり1つの標本を得ることができるか、患者あたり複数の標本を得ることができる。各患者から複数の標本を得る実施形態では、手術の専門家は、1人の患者から得た各標本がこの患者から得た他の標本に類似することに依存する。コントロール患者群からも標本を得る。コントロール患者群は、健康な患者または試験される一般的または特定の病態を罹患していない患者であり得る。
【0074】
基本的方法の第1のステップは、所望の病態に関連するマーカーのライブラリーへのプローブ結合の感度および特異性を判別することである。このステップでは、ライブラリー中の各マーカーに特異的なプローブを、患者の標本サンプルに適用する。したがって、いくつかの実施形態では、例えば、ライブラリー中に30個のマーカーが存在する場合、各患者の標本を30個のサンプルに分け、各サンプルを30個のマーカーの1つに特異的なプローブで処理する。プローブは、視覚化することができる標識を含む。したがって、マーカーへのプローブの結合パターンおよびレベルを検出することができる。結合パターンおよびレベルを、定量的(すなわち、分析機器による)または定性的(病理学者などの人による)に検出することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、マーカーへのプローブの結合パターンおよびレベルを検出するための客観的および/または定量的スコアリング方法を開発する。スコアリング方法を、試行錯誤によってデザインすることができる。スコアリング方法を使用して、例えば病理学者による主観的解釈を客観化する。適切なスコアリング方法の決定は、当業者の範囲内である。いくつかの実施形態では、スコアリング方法は、なし、弱い、中程度、または強いとしてマーカープローブの染色密度などの特徴を分類するステップを含み得る。別の実施形態では、これらの特徴を、顕微鏡スライド画像を操作するアルゴリズムを使用して測定することができる。スコアリング方法の例は、比率および密度を、強度を、なし=0、弱い=1、中程度=2、強い=3にランク分けし、細胞の比率を0〜5%=0、6〜25%=1、26〜50%=2、51〜75%=3、>75%=4にランク分けし、2つのグレードを掛け合わせる、1つの「Hスコア」に統一するものである。例えば、50%の弱い染色+50%の中程度の染色のスコアは、6=(1×2)+(2×2)である。「Hスコア」に関しては、故Kenneth Hirsch氏(発明者らの1人)に敬意を払う。
【0076】
当業者は、病理学者およびサンプルに関連する潜在的先入観の最小化に関する問題に取り組むことができる。例えば、無作為化を使用して、系統的誤差を含む機会を最小にすることができる。盲検を使用して、試験者による実験の先入観を排除することができる。例えば、いくつかの実施形態では、病理学者によるばらつきを、二重盲検法によって最小にすることができる。本明細書中で使用される、「二重盲検法」は、データ収集とデータ分析が独立して行われる先入観を回避するための十分に確立された方法である。他の実施形態では、サンプルによるばらつきをサンプルの無作為化によって最小にする。例えば、病理学者がサンプルを分析する前にサンプルを無作為化する。実験プロトコールに関して無作為化することもある。いくつかの実施形態では、各サンプルを、少なくとも2人の病理学者によって分析する。各患者について、マーカーへのプローブ結合の信頼できる評価が得られる。1つの実施形態では、信頼性をチェックするために患者あたり2人の適任の病理学者によってこの診断法を行う。
【0077】
信頼できるデザインおよび信頼できる統計評価を得るために十分なサンプル数を採取すべきである。どのようにして信頼できるデザインおよび信頼できる統計評価を得るために十分なサンプル数を得るかを決定することは当業者の範囲内である。ほとんどの標準的な分類デザインパッケージは、信頼できる評価が得られるまで性能評価の信頼性およびサンプルサイズを段階的に増大させることを決定する方法を有する。例えば、信頼できるデザインを得るために十分な評価を、200サンプルの採取および各サンプルから評価される27の異なる特徴を使用して行うことができる。
【0078】
第2のステップは、制限された複数のプローブを選択することである。選択ステップは、統計分析および/またはパターン認識技術を使用することができる。選択ステップを行うために、データをデータベースに統合することができる。いくつかの実施形態では、その有効性分析の間に認められない作用方法を提供し、先入観をさらに最小にするためにプローブ数を定める。この方法によって大量のデータが得られるので、厳密な統計技術を使用する。任意の統計法を使用することができ、当業者は多数の方法のうちどれが適切であるかを同定することができる。
【0079】
任意の数の統計分析および/またはパターン認識法を使用することができる。データ構造が最初に未知であり、異なる分類デザイン法が異なる構造にはより良く行われるので、データには少なくとも2つのデザイン法を使用することが好ましい。いくつかの実施形態では、3つの異なる方法を使用することができる。統計分析および/またはデータ集合のパターン認識の当業者は、一定の統計法が他の方法よりも有効な結果を得られる可能性が高いデータ集合構造の特徴から認識し、この場合の有効とは、所望の数のプローブを使用して一定レベルの感度および特異性を達成することを意味する。当業者は、統計分析および/または方法の有効性はデータに依存することを知っている。
【0080】
統計分析および/またはパターン認識法の例を以下に記載する。
【0081】
a)C4.5として公知の意思決定樹法。C4.5はhttp://www.cse.unsw.edu.au/〜quinlan/からftpを介して利用可能な公的ドメインソフトウェアである。これは、特定の特徴への決定閾値の連続的適用によって最も良好に分類することができるデータに十分に適応している。これは、非相関データで最も効果的であり、分散が異なる類似の手段を含むデータにも対応する。C4.5パッケージを使用して、本明細書中に示す例を得た。
【0082】
b)線形判別分析。これは、クラスを最良に分離する特徴の加重組み合わせを見出すステップを含む。これらの方法は、相関データで効果的であるが、類似の手段および分散が異なるデータでは効果的ではない。必要な性能評価およびグラフ出力に依存するいくつかの統計パッケージ(SPSS、SAS、およびR)を使用した。Fisherの線形判別関数を使用して、誤差率が最小の分類を得た。正準判別関数を使用して、識別閾値が変化した感度と選択性との間の妥協点を示す受信者動作特性(ROC)曲線を計算した。
【0083】
c)ロジスティック回帰。これは、線形回帰モデルの非線形変換である。従属変数をログオッズ比(ロジット)に置換する。判別分析と同様に、線形回帰は、線形モデルで見出された統計法のクラスに属する。このようなモデルは、説明変数間の線形関係に基づく。
【0084】
十分なサンプル数を使用し、上記の技術およびソフトウェアパッケージを使用して、クラスを良好に判別する特徴の組み合わせを検索することができる。統計分析および/またはパターン認識法の他の例は、SPSSにおける線形判別関数法ならびにRおよびSASにおけるロジスティック回帰法である。SPSSは、正式な製品名であり、所在地がSPSS,Inc.Headquarters、233 S.Wacker Drive、11th floor、Chicago、Illinois 60606(www.spss.com)のSPSS,Inc.から利用可能である。SASは正式な商品名であり、SAS Institute,Inc.、100 SAS Campus Drive、Cary、NC 27513−2414(www.sas.com)から利用可能である。Rは正式な商品名であり、Free Software Foundation’s(一般公共ライセンス)(http://www.r−project.org/)の条項にしたがってフリーソフトウェアとして利用可能である。
【0085】
いくつかの実施形態では、相関行列が得られる。相関は、変数対の間の線形関連量を測定する。あるマーカーを使用して得たデータと別のマーカーを使用して得たデータとを相関させることによって相関行列が得られる。閾値総関数を、例えば、50%相関に設定することができる。この場合、総関数が50%またはそれ以上の全マーカーを、相関マーカーとみなす。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態では、使用者が提供した重み係数を使用して、至適化されたパネルを得ることができる。加重を、任意の係数と比較することができる。例えば、一定のマーカーを、費用、経済的な考慮、誤分類もしくは誤差率、地理的位置における一般的病態の罹患率、地理的位置における特定の病態の罹患率、プローブの冗長性および利用可能性により他のマーカーよりも加重することができる。使用者が一定のマーカーを他のマーカーよりも加重することを助長し得る費用に関連するいくつかの因子は、プローブの費用および経済的な権利の問題(ライセンス条項など)である。使用者が一定のマーカーを他のマーカーよりも加重することを助長し得る経済的検討材料に関連するいくつかの因子は、研究開発(R&D)期間、R&D費、R&Dリスク(すなわち、プローブが作用する確率)、最終的な分析機器の費用、最終的な性能、および製品化に要する時間である。検出パネルでは、例えば、使用者がいくつかのマーカーを他のマーカーよりも加重することを助長し得る誤分類または誤差率に関連するいくつかの因子は、偽陰性を最小にすることが望ましいことである。それに対して、判別パネルでは、偽陰性を最小にすることが望ましい。使用者がいくつかのプローブを他のプローブよりも加重することを助長し得る地理上の区域における一般的または特定の病態の罹患率に関連するいくつかの因子は、いくつかの地理的位置における一定の一般的または特定の病態の発生率がいくらか関連していることである。冗長性に関して、いくつかの例では、パネル中に冗長性を有することが望ましい。例えば、いくつかの理由のためにあるプローブが検出できない場合でも、パネル中のマーカーの生物学的変動性のために、病態は他のマーカーによって検出される。いくつかの実施形態では、好ましい冗長なマーカーであるマーカーにより加重することができる。
【0087】
本発明は、費用または供給問題により最高の組み合わせが得られない場合、特徴の利用か応性に適用できる柔軟性がある。1つの実施形態では、本発明は、別の組み合わせを見出すための利用可能な特徴に簡単に適用することができる。別の実施形態では、アルゴリズムを使用して、最小の費用に到達するための選択プロセスに含むべき費用の加重が可能な特徴を選択する。例では、回収した全マーカーから選択した組み合わせまたは経済的に好ましいプローブの群のみについてのマーカー性能の評価を示す。例はまた、どのようにしてC4.5パッケージを使用して費用の高さに基づいた一定のプローブの加重を減少させることができるのかを示す。これらのプローブの組み合わせは、至適な組み合わせと同様に実行することができないが、性能は、費用が有意な因子である環境では利用可能である。
【0088】
使用したいくつかの方法により、加重をクラスに適用可能である。これは、意思決定樹デザインにより費用を至適化することができるC4.5で利用可能である。また、判別関数法により、所望の偽陽性確率または偽陰性確率を得るために使用することができる1パラメータ出力が得られる。異なる閾値設定のためのこれらのパラメータのプロットは、受信者動作特性(ROC)曲線として公知である。ROC曲線は、分類の異なる閾値レベルについての真の陽性スコアに対する偽陽性の比率を評価する。
【0089】
多数の一般的病態が不均一な性質を有する場合、集団ベースのスクリーニングとしてのその使用を正当化するために試験が十分な感度、特異性、陽性予測値(陽性予測値=真の陽性/(真の陽性+偽陽性))、および陰性予測値(陰性予測値=真の陰性/(偽陰性+真の陰性))を有することを確実にするための冗長度を有するパネルを構築することができる。しかし、局所および地域の相違により、世界市場の異なるセグメントでの試験の特定の使用を決定することができ、それにより所与の市場用の最終的なパネル試験の構築に使用した基準に有意に影響を与える。臨床的有用性の至適化が最も重要であるが、手ごろな価格(費用)、技術的能力、研究所およびヘルスケア関連企業の資金、仕事の流れの問題、労働力需要、ならびにプローブおよび標識の利用可能性がパネルで使用するマーカーの最終的な部分的選択に寄与する。周知の線形判別関数分析を使用して潜在的な全選択要因を含めて評価するが、各部分的要因は方程式の項によって示され、それぞれその部分的に決定された有意性によって加重される。この方法では、世界のある地域での使用のために至適化されたパネル試験は、異なる地域での使用のために至適化されたパネル試験とは異なり得る。
【0090】
一旦上記の方法を使用して検出または判別パネルがデザインされると、次のステップは、既知の細胞学的サンプルを使用してパネルを検証することである。検証の前に、光学的至適化ステップを行うことができる。いくつかの実施形態では、細胞学的サンプルの採取方法を改良することができる。これは、患者からサンプルを得る方法および細胞学的サンプルを混合する方法を含む。他の実施形態では、細胞学的表示方法を改良することができる。例えば、光学的固定液(保存液)または輸送液の同定。
【0091】
ゴールドスタンダードの組織学的サンプルを使用して作製したパネルの細胞学的サンプルの検証に使用した細胞学的サンプルは、既知の診断を使用した細胞学的サンプルである。これらのサンプルを、当業者に公知の任意の方法を使用して採取することができる。例えば、喀痰サンプルを、自発的喀痰、誘導喀痰、および喀痰を高めるための薬剤の使用によって採取することができる。サンプルをパネル中の各サンプルに接触させ、プローブの結合レベルおよびパターンを分析してパネルの性能を決定する。いくつかの実施形態では、パネルをさらに至適化する必要があり得る。例えば、パネルからプローブを除去する必要があり得る。または、パネルにさらなるプローブを付加する必要があり得る。さらに、パネル上のあるプローブを別のプローブに置換する必要があり得る。新規のプローブを付加する場合、このプローブは、相関行列から決定したものと同様の相関マーカーであり得る。あるいは、プローブは、機能的に類似のマーカーであり得る。一旦パネルが至適化されると、パネルを臨床試験におけるさらなる試験に進めることができる。
【0092】
他の実施形態では、パネルを至適化する必要はない。細胞学的サンプルでの結果が組織学的サンプル由来の結果と相関する場合、パネルを至適化する必要はなく、パネルを臨床試験におけるさらなる試験に進めることができる。
【0093】
4.使用方法
上記方法を使用して一旦パネルが得られた場合、パネルを細胞学的サンプルに適用することができる。方法を例示するために、がん、特に肺がんを例示する。類似のステップおよび手順を他の病態に適用する。特定の病変から分離した細胞を類似の様式で染色し、パネルを得るために使用した組織学的病変サンプルと類似の様式で細胞学的サンプル(細針吸引、痰、尿など)中で染色される。
【0094】
本発明の基本的方法は、典型的には、2つのステップを含む。第1に、罹患細胞を含む懸濁細胞学的サンプルを、疾患マーカーをそれぞれ定量的に結合する複数の薬剤を含むパネルに接触させる。次いで、疾患マーカーへの各薬剤の結合レベルまたはパターンを検出する。検出結果を使用して、一般的疾患の存在を診断するか、特定の病態を判別することができる。任意選択的な予備ステップは、細胞学的サンプルにおける疾患の検出または病態の判別を補助する薬剤の至適化パネルを同定するステップである。
【0095】
細胞学的標本には、血液、尿、脊髄液、およびリンパ系などの体液;気道(例えば、肺喀痰)、尿路(例えば、膀胱洗浄物)、生殖管(例えば、子宮頸部PAP塗抹標本)、および胃腸管(例えば、結腸洗浄物)などの上皮細胞ベースの器官系;および乳房、膵臓、肝臓、腎臓、甲状腺、骨髄、筋肉、前立腺、および肺などの器官および系中の固形組織部位由来の細針吸引物;乳房、膵臓、肝臓、腎臓、甲状腺、骨髄、筋肉、前立腺、および肺などの器官および系中の固形組織部位由来の生検;ならびに外科生検由来の組織などの組織学的標本から採取した細胞サンプルを含み得るが、これらに限定されない。
【0096】
本発明の薬剤パネルの例には、細胞学的サンプル中の悪性細胞の正確な検出が可能な任意の数の薬剤が含まれる。本発明によって確証された分子マーカーは、悪性細胞の検出を補助する任意の分子であり得る。マーカーの発現レベルまたはパターンの変化に関するいくつかの異なる基準に基づいて、パネルに含めるマーカーを選択することができる。発現の変化により、初期の腫瘍が進行し、腫瘍細胞の大部分によって示され、75%を超える所与の腫瘍型検出可能であり、最も好ましくは90%を超える所与の腫瘍型を検出可能であり、そして/またはがんの組織学的型を判別可能である分子マーカーが好ましい。
【0097】
基本的方法の第1のステップは、細胞学的サンプル中の薬剤パネルの発現レベルまたはパターンの変化の検出である。このステップは、典型的には、細胞学的サンプルを標識したポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体もしくはそのフラグメントまたは核酸プローブなどの薬剤に接触させるステップと、各細胞中のシグナルを観察するステップとを含む。シグナルが変化した細胞の検出は、標識プローブが指示された分子マーカーの発現レベルの変化の指標である。この変化は、試験される組織または部位から得た非悪性細胞と比較した発現レベルの増減に基づく。
【0098】
当業者は、細胞学的サンプル中に悪性細胞が存在するかどうかを薬剤パネルの発現レベルまたはパターンの変化の分析によって高感度および高い特異性で決定することができる。用語「感度」は、患者が臨床試験で正確に同定される条件付確率(真の陽性の結果数/(真の陽性の結果数+偽陰性の結果数))をいう。したがって、がん検出方法の感度が高い場合、検出されるがんの比率は高い(例えば、80%、好ましくは90%超)。用語「特異性」は、臨床試験によって罹患していない人が正確に同定される条件付確率(すなわち、真の陰性結果数/真の陰性結果数+偽陽性結果数)をいう。したがって、がん検査方法の特異性が高い(80%、好ましくは90%、より好ましくは95%)場合、この方法で得られる偽陽性の比率は低い。「細胞学的サンプル」は、患者の細胞を含む患者から採取した任意のサンプルを含む。本発明によって想定された細胞学的サンプルの例には、体液、上皮細胞ベースの器官系洗浄物、擦過標本、ブラッシング生検、塗抹標本または滲出液、ならびに細針吸引または細針生検が含まれる。
【0099】
本発明に記載したマーカーの使用は、適切な細胞学的サンプルを日常的に得ることができ、その後の評価のためにサンプルを適切に保存することができると考えられる。細胞学的サンプルを処理し、適切な防腐剤に保存することができる。好ましくは、細胞学的サンプルを、防腐剤を含むバイアル中に採取する。防腐剤は、細胞形態学を維持するか細胞タンパク質および核酸の分解を遮断することが公知の任意の分子または分子の組み合わせである。適切な固定を確実にするために、サンプルを採取部位で迅速に混合してサンプルを分離し、そして/または粘液などの覆い隠す物質を破壊して、細胞を防腐剤に曝露することができる。
【0100】
一旦標本が得られると、適切な混合デバイスを使用して標本を均一にすることが望ましい。これにより、1つを超える試験部位にアリコートを送る可能性を含む複数の目的のためにアリコートを使用し、複数のスライドおよび/またはスライド上の複数の沈殿物を調製することが可能である。したがって、使用前に標本および各アリコートの最初の均一化により、各個体のスライドの細胞分布が実質的に同一であることが確実となり、あるスライドと別のスライドの結果の比較が有意になる。
【0101】
分析用の標本の調製は、方法(細胞単層の塗抹、遠心分離、または沈殿が含まれるが、これらに限定されない)を使用してサンプルを顕微鏡スライドに塗布するステップを含む。このような方法は、手動、半自動、または完全な自動化で行うことができる。細胞懸濁液を、吸引によってフィルター上に細胞を沈着させ、細胞の単層をさらなる評価のために処理することができる調製済みスライドに移すことができる。このプロセスの繰り返しにより、必要に応じてスライドを調製することができる。本発明は、スライドあたり1つの分子マーカーの検出を含む。スライドあたりいくつかの分子マーカーの検出も想定される。好ましくは、スライドあたり1〜6個のマーカーが検出される。いくつかの実施形態では、スライドあたり2個のマーカーが検出される。他の実施形態では、スライドあたり3個のマーカーが検出される。
【0102】
本発明は、当業者が利用可能な任意の多数の方法を使用したDNA、RNA、またはタンパク質レベルでの分子マーカー発現の変化の検出を意図する。細胞学的サンプル中の分子マーカーの発現レベルまたはパターンの変化の検出は、一般に、細胞学的サンプルをパネル集団「プローブ」および標識中の分子マーカーをコードする核酸配列に相補的なポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、もしくはそのフラグメントまたは核酸配列に接触させるステップを含む。典型的には、プローブおよび標識成分は、プローブが分子マーカーと反応した場合にシグナルを発生するように作動可能に連結されている(「標識プローブ」)。本発明によって想定される標識は、シグナルを発生するか発生可能であり、サンプル中の成分を同定可能な任意の標識である。好ましい標識には、放射性部分、蛍光発生部分、色素形成部分、または酵素部分が含まれる。したがって、可能な検出方法には、免疫細胞化学;プロテオミクス(免疫化学など);細胞遺伝学(in situハイブリッド形成および蛍光in situハイブリッド形成など);放射能検出、サイトメトリー、および電界効果(MACおよびDNA倍数体など)(自動化コンピュータ制御サイトメトリーを使用した化学量論的に染色された核DNAの定量);および細胞病理学(形態学ベースの定量的細胞病理学など)が含まれるが、これらに限定されない。標識プローブによって発生したシグナルは、医療従事者および技術者による検出に十分な強度であることが好ましい。
【0103】
一旦スライドが調製されると、医療従事者は、がん診断に特徴的なマーカー発現の変化を示す細胞を同定するためにスライドを顕微鏡で観察する。医療従事者は、目的の細胞の同定に画像分析システムおよび自動化顕微鏡を使用することができる。データ分析に決定的な診断および至適な治療アプローチの選択を行えるように医師を支援する情報管理システムおよびアルゴリズムを使用することができる。医療従事者はまた、標識薬剤の存在を検出することができる機器プラットフォームを使用してサンプルを試験することができる。
【0104】
分子診断パネルアッセイにより、標識細胞および/または組織切片を含む1つまたは複数の顕微鏡ガラススライドが得られる。専門家による客観的且つ臨床的に有意義な結果が得られるこれらの(細胞)病理学的な多標識細胞調製物を評価する試みは、検出および理解においていかなる人も現実的に克服できない問題である。
【0105】
コンピュータ支援の画像処理システム(すなわち、光子顕微鏡(商標))を開発し、これを使用してプローブ標識細胞および組織の量および位置を定量的且つ再現可能に評価することができる。このような光子顕微鏡(商標)は、ロボットによるスライド操作機能、データ管理システム(例えば、医療情報)、ならびに類似の感度および制度で人の目視によって得ることができない細胞ベースのプローブ含有率および局在化データの検出および報告用の定量的デジタル(光学および電子)画像分析ハードウェアおよびソフトウェアモジュールが組み合わされている。これらのプローブデータを使用して、種々の病態についての各細胞ベースのマーカー中の関連する特徴および差異に基づいて細胞サンプルを特徴付けおよび識別することができる。
【0106】
本発明の方法は、分子診断パネルを細胞ベースの標本およびサンプルに適用し、その後コンピュータ支援画像処理システムを使用して分子診断パネル試験の結果を定量および報告する方法である。このような画像処理システムを使用して、所与のスライドベースのサンプルに対して複数のプローブを使用し、プローブが顕微鏡細胞学または組織学スライドで色によって識別されるのでプローブを個別に分析、定量、および報告することができる細胞ベースのサンプルを評価することができる。
【0107】
シグナルが適切な型であり、且つ十分な強度である場合、サンプル中の標識薬剤によって発生したシグナルを、標準的な顕微鏡またはコンピュータ支援の顕微鏡を使用して人(例えば、病理学者)が検出することができる[167]。コンピュータ支援の顕微鏡は、顕微鏡操作(例えば、ステージの移動、焦点合わせ)とマウス駆動コントロールとキーファンクション(例えば、スライドスキャニングパターン)のコンピュータ制御自動化とを統合した人間工学に基づくコンピュータ・インターフェース顕微鏡ワークステーションである。集中データ管理システムは、関連患者の情報ならびに全標本のスクリーングの結果および病理学者の所見を保存、体系化、および表示する。バーコード上に刻まれ、サンプルスライドに添付された識別番号は、データベース中の各サンプルを固有に識別し、元の標本および患者を関連付ける。
【0108】
好ましい実施形態では、サンプル中の標識薬剤によって発生したシグナルを、集中データ管理システムにインターフェースで連結された自動化画像分析システム(すなわち、光子顕微鏡)を使用して検出および定量する。光子顕微鏡は、顕微鏡操作のソフトウェアコントロールが完全に自動化されており、非常に弱いシグナルまたは放射性標識部分由来のシグナルなどの人でさえ検出不可能なシグナルの定量に適切な検出器および他の成分が組み込まれている。自動化機器による迅速な再配置およびコンピュータ支援の顕微鏡を使用した人による検査のために、検出シグナルの位置を電子的に保存する[168]。
【0109】
集中データ管理システムは、バーコード識別番号を使用して全患者およびサンプルを保存する。複数のサイトからデータを非同期的に獲得することができ、このデータは細胞学者および/または自動化分析器による複数の観察および分析に由来し得る。これらのデータは、1つの以前に均一にした患者の標本由来のアリコートを示す複数のサンプルスライドからの結果を含み得る。データの一部および全部を、報告、保管、請求書作成、および規制要件を満たすために病因の実験情報システムへまたはこれらから移す。パネル試験および人による観察から得た結果を統合した1つの総括的報告を作製し、ハードコピーまたはネットワークコンピュータもしくはインターネットで電子的に送ることができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、本発明の方法により、がんの異なる組織学的型などの異なる疾患を差別的に判別可能である。用語「組織学的型」は、特定の病態をいう。一般的な病態に依存して、1つまたは複数の組織学的型が存在し得る。例えば、肺がんには、扁平上皮がん、腺がん、大細胞がん、小細胞がん、および中皮腫が含まれるが、これらに限定されない。患者が罹患しているがんの組織学的型の知識は、医療従事者が疾患を位置付けおよび特徴付けて、最適な治療ストラテジーを決定するための一助となるので、非常に有用である。
【0111】
特定の病態を決定するために、特定の病態を判別することができるマーカーのパネルを選択する。例えば、分子マーカーのパネル内に、がんの特定の組織学的型の指標となる発現パターンを同定することができる。上記の方法によって、分子マーカーパネルの発現レベルの検出を行う。好ましくは、1〜20個の分子マーカーを含むパネルを使用して、肺がんの種々の組織学的型を判別する。しかし、最も好ましくは、4〜7個のマーカーを使用する。マーカー発現に基づく異なる組織学的型の判別を補助するために意思決定樹図を開発することができる。
【0112】
細胞学的サンプル中の悪性細胞を検出できることに加えて、本発明は病態の分子特徴付けに有用である。このような情報は、しばしば予後に有用であり、医師による特定の患者の至適な治療アプローチの選択を支援する。さらに、本発明に記載のマーカーパネルは、患者のモニタリングにおいて、再発または疾患の治療に使用される治療の有効性の測定するいずれかに有用である。
【0113】
非限定的な例として、肺がん検出パネルによって肺がんの存在を検出することができ、判別パネルによって肺がんの特定の型を検出することができる。医療従事者が細胞学的サンプル中に悪性細胞が存在すると決定した場合、肺がんの組織学的型のさらなる分析を行うことができる。本発明に含まれる肺がんの組織学的型には、扁平上皮がん、腺がん、大細胞がん、小細胞がん、および中皮腫が含まれるが、これらに限定されない。図1は、肺がんの異なる組織学的型の同定用のパネルに含められる好ましいマーカーである分子マーカーを示す。「%」と示した列は、特定のマーカーを発現する腫瘍標本の比率を示す。
【0114】
肺がんの種々の組織学的型の決定において、マーカー発現の相対レベルを分析する。図2は、どのようにして異なるマーカーを使用してがんの異なる組織学的型を判別することができるのかを示す。この表では、SQは扁平上皮がんを示し、ADは腺がんを示し、LCは大細胞がんを示し、SCは小細胞がんを示し、MEは中皮腫を示す。各細胞中に示した数は、ある細胞型の別の細胞型に対するマーカーの変化の頻度を示す。表中に含めるために、比は2.0を超えるか0.5未満でなければならない。100を超える数は、一般に、第2のマーカーが発現されないことを示す。このような場合、分析のために分母を0.1に設定した。最後に、空白のセルは発現に相違がないか発現データが存在しないことを示す。
【0115】
収集されたデータの1つの分析方法は、意思決定樹図を構築することである。スキーム1〜4は、発現パターンを使用して肺がんの組織学的型の差異を決定することができるように構築することができる意思決定樹図の例である。本発明は、スキーム1〜4に示した意思決定樹図に決して限定されない。マーカー発現の相対レベルは、異なる組織学的型の悪性細胞中の分子マーカーの発現レベルより高いか、低いか、同じ(ND)であり得る。各スキームは、示した分子マーカーのパネルの使用により、肺がんの5つの組織学的型を識別可能である。
【0116】
例えば、スキーム1では、パネルは、HERA、MAGE−3、トロンボモジュリン、およびサイクリン1からなる。第1のサンプルを、HERAに指向する標識プローブに接触させる。HERA発現がコントロールよりも低い場合、試験は肺がんの組織学的型が中皮腫(ME)であることを示す。しかし、発現がコントロールより高いか同一の場合、サンプルをMAGR−3に指向するプローブに接触させる。MAGE−3の発現がコントロールより低い場合、サンプルをサイクリンD1に指向する標識プローブに接触させ、小細胞がん(SC)または腺がん(AD)と決定することができる。MAGE−3の発現がコントロールよりも高いか同一である場合、サンプルをトロンボモジュリンに指向する標識プローブに接触させ、扁平表皮がん(SC)または大細胞がん(LC)と決定することができる。
【0117】
【化1】
【0118】
スキーム2では、パネルは、E−カドヘリン、肺サーファクタントB、およびトロンボモジュリンからなる。第1のサンプルを、E−カドヘリンに対する標識プローブに接触させる。E−カドヘリン発現がコントロールよりも低い場合、試験は肺がんの組織学的型が中皮腫(ME)であることを示す。しかし、発現がコントロールより高いか同一の場合、サンプルを肺サーファクタントBに指向するプローブに接触させる。肺サーファクタントB発現がコントロールより低い場合、サンプルをトロンボモジュリンに指向する標識プローブに接触させ、扁平上皮がん(SQ)または大細胞がん(LC)と決定することができる。肺サーファクタントB発現がコントロールよりも高いか同一である場合、サンプルをCD44v6に指向する標識プローブに接触させ、腺がん(AD)または小細胞がん(SC)と決定することができる。(意思決定樹図のさらなる例にはスキーム3および4を参照のこと)。
【0119】
【化2】
【0120】
【化3】
【0121】
【化4】
【0122】
好ましい方法は、発現パターンの相違により肺がんの種々の組織学的型を判別可能な分子マーカーのパネルを使用するステップを含む。
【0123】
マーカー発現パターンを分析するために多数の異なる意思決定樹図を構築することができる。医師および他のヘルスケア関連企業がこの情報を使用して、患者の管理を決定し、最適な治療ストラテジーを選択することができる。
【0124】
5.パネル分析結果の報告
パネル分析の結果を、いくつかの方法で報告することができる。例えば、結果を、簡単な「イエスまたはノー」と報告することができる。あるいは、結果を、試験結果が相関する確率として報告することができる。例えば、検出パネル研究由来の結果は、患者が一般的病態を有するかどうかを示すことができる。パネルは特異性および感度も報告されるので、結果を、患者が一般的病態を有する確率として報告することもできる。判別パネル分析による結果は、特定の病態を判別する。結果を、特定の病態が存在するかどうかに関して「イエスまたはノー」で報告することができる。あるいは、結果を、特定の病態が存在する確立として報告することができる。1人の患者由来の標本に対していくつかの判別パネル分析を行い、存在する病態が他の可能性に関して特定の病態である可能性のプロフィールを報告することも可能である。他の可能性には、偽陽性も含み得る。
【0125】
存在する各特異的な病態の確率のプロフィールを作製する実施形態では、いくつかの可能な結果が存在する。例えば、全確率は非常に低い確率であることが可能である。この例では、患者の標本診断が偽陽性であると医師が結論付けることができる。約80〜90%であるものを除いて全可能性が低いことも可能である。この場合、試験により患者が高い確率で特定の病態を有すると医師が結論付けることが可能である。ほとんどの確率が低いが、2つの特定の病態について同様に高い確率が報告されることも可能である。この場合、医師は、正確な病態が同定されることを確実にするためにより広範なパネル試験を推奨することができる。別の可能性は、報告された全確率が低く、残りのものよりわずかに確率が高いが、80〜90%の範囲内よりもあまり高くない確率が存在することである。この場合、医師は、正確な病態を同定し、そして/または異なるがん型の離れた原発性腫瘍からの転移がんを排除することを確実にするためにより広範なパネル試験を推奨することができる。
【0126】
以下の実施例は、疾患をスクリーニングし、疾患の異なるサブタイプを判別するためのクリニックでの疾患検出パネル、疾患判別パネルの選択、パネルの確証、ならびにパネルの使用のための本発明の方法の例である。一部世界規模の保険上の重要性のためにこの実施例では肺がんを選択するが、上記の一般的開示にしたがって、類似の手順は他のがん型ならびに感染症、変性疾患、および自己免疫疾患に適用される。
【実施例】
【0127】
本発明の方法を使用して、肺がん検出パネルおよび1つ肺がん型に特異的な判別パネルを開発した。肺がんは、2つの主なクラスに分類することができる非常に複雑な疾患の集合体である。全肺がんの約70〜80%を占める非小細胞肺がん(NSCLC)を、扁平上皮がん、腺がん、および大細胞がんを含む3つの主な組織学的型にさらに細分することができる。肺がん患者の残りの20〜30%は、小細胞肺がん(SCLC)である。さらに、胸膜腔の悪性中皮腫は、アスベストに曝露された個体で発症し、しばしば他の胸部構造を広範に侵襲しながら拡大する。異なる肺がん形態は、異なる肺がん領域に局在する傾向があり、異なる予後を示し、種々の治療形態に異なる反応を示す。
【0128】
世界保健機関(WHO)の最新の統計(Globocan、2000)によれば、肺がんは、毎年124万人が新規に罹患し、110万人が死亡している男女ともに最も一般的な致命的悪性疾患となりつつある。米国のみでも、国立がん研究所は、約186,000人が肺がんを新規に罹患し、毎年この疾患により162,000人が死亡し、全がん関連死の25%を占めると報告している。米国では、肺がん患者の40%が1年間生存するが、5年生存率はわずか14%である。世界の他の地域では、5年生存率は非常に低い(英国では5%)。肺がんの高い死亡率は、ほとんどの患者(85%)が治療オプションが制限されるほど進行し、疾患が転移している可能性があると診断されているという事実に寄与し得る。これらの患者は、5年生存率が、診断時の段階に依存して2〜30%である。これは、患者が初期に診断され、5年生存率が75%を超えるという場合と非常に対照的である。進行した肺がんの治療のために臨床実務で多数の新規の化学療法薬が導入されているという事実があるが、現在、長期生存は有意に改善されていない。初期疾患患者はおそらく手術で治癒することがきるにもかかわらず、二次悪性疾患を発症する確立が高いので有意なリスクが残される。したがって、肺がん患者のために、初期検出および治療ならびにその後の積極的なモニタリングにより、罹患率および費用を減少させる長期生存率を有意に改善する最良の機会が得られる。
【0129】
現在のところ、X線で病変が疑われることと患者に症状が出現していることのいずれかにより、患者は肺がんが疑われている。結果として、ほとんどの患者が比較的末期の疾患を診断される。さらに、ほとんどの方法が初期疾患の検出に関する十分な感度を欠くので、米国国立願研究所(NCI)、国立衛生研究所の現在の方針は、有意なリスクを有する患者集団でさえも肺がんのスクリーニングを推奨している。しかし、本発明のこの実施形態では、喀痰細胞診を使用して、比較的非侵襲性で、より有効で、費用効果の高い肺がんの初期検出手段を提供する。
【0130】
喀痰細胞診の特異性は比較的高い。最近の研究により、経験豊かな細胞検査者は高い精度および信頼性で悪性細胞または重症形成異常細胞を認識することができることが示された[10]。サンプルを比較的疾患が進行した患者から採取した場合、検出率は80〜90%ほどの高さであるが[11、12]、全体的には、喀痰細胞診の感度は30〜40%のみである[13、14]。標本の獲得および調製が比較的高価であり得ることを考慮すれば、喀痰細胞診の感度の低さは特に重要である。さらに、悪性疾患を検出できないことにより、治癒の機会が減少する。
【0131】
「危険な状態の」集団の選択もまた、スクリーニングツールとしての喀痰細胞診の価値に影響を与え得る。有意に危険な状態の個体には、肺がん診断前の個体、長期喫煙者、または喫煙経験のある個体(30パック年超)、および長期間アスベストまたは肺発がん物質に曝された個体が含まれる。一般的な疾病素因または家族歴を有する人も「危険な状態の」集団に含まれる。このような個体は、試験の恩恵を受ける可能性がある。リスクの低い個体を含めることは検出される症例の絶対数が増加することになり得るが、医療費の実質的な増加を正当化し難い。
【0132】
従来の喀痰細胞診の性能を相対的に低くしている他の要因には、病変の位置、腫瘍サイズ、組織学的型、およびサンプルの質が含まれる。扁平上皮がんは、全原発性肺新生物の31%を占める。これらの腫瘍のほとんどは区域気管支から発症し、近位肺葉および遠位亜区域枝に拡大する[15]。この理由のために、喀痰細胞診は、これらの病変の検出で合理的に有効である(79%)。現在、扁平表皮がんは、脱落細胞が評価により利用可能である可能性があるので、in situおよび放射線学的に潜在的な段階に影響を受けやすい唯一の肺がん型と考えられる[15]。患者が胸部X線および喀痰細胞診の両方を受ける1つの大きな研究では、全肺がんの23%が細胞診のみで検出され、これは腫瘍が初期段階であり、放射線学的に潜在性を示すことが示唆される[16]。別の研究では[17]、喀痰細胞診により76%の患者で放射線学的に潜在的な腫瘍が検出された。
【0133】
腺がんの場合、肺周辺で腫瘍の70%が発症し、これは悪性細胞を従来の喀痰細標本で見出される。この理由により、腺がんは喀痰細胞診で稀にしか検出されず(45%)[12、18、19]、腺がんの罹患率が特に女性で増加していることは重要な検討材料である[20〜22]。
【0134】
腫瘍サイズもまた無症候性の個体における疾患の検出のためのスクリーニング試験を考慮する場合に特に重要な因子であり、正確な診断の可能性に影響を与え得る。24mm未満の腫瘍が真の陽性であると読み取られる機会は50%しかないが、より大きな病変の検出確率は84%を超える[12]。
【0135】
現在の報告はまた、標本の細胞充実性が喀痰細胞診の感度に影響を与えることを示している[14、23]。一般に、扁平上皮がん患者で有意な腫瘍細胞数を有する標本が作製されるので、正確な診断の可能性が増大する[14、23]。腺がん患者については、喀痰標本中の腫瘍細胞の存在が95%の標本で10%未満、75%の標本で2%未満であると報告されており、これが診断を顕著により困難にしている。
【0136】
分化の程度もまた、特に腺がんにおける病理学者の悪性細胞の検出能力に影響を与え得る。十分に分化した腫瘍細胞は、非新生物性気道上皮細胞に類似している頻度が高い。小細胞肺がんの場合、喀痰サンプルは、しばしば異なる外観の弱く凝集した細胞の病巣を含む。しかし、現在喀痰サンプル処理に使用されている技術は細胞を分割する傾向があり、これが診断をより困難にしている。
【0137】
サンプルの質は、喀痰細胞診の感度を低くし得る別の要因である。最近の報告では、被験体の70〜85%から適切なサンプルを得ることができることを示唆している。しかし、この測定を首尾よく行うためには患者の複数の標本を得ることが必要である[13]。この手順は不便であり、時間がかかり、費用がかかる。患者が数日間にわたる採取を指示される頻度が高いので、患者のコンプライアンスもまた一般に低い[13]。喫煙経験者は肺がん発症の有意な危険性を有するにもかかわらず、適切な標本が得られないという所見も同様に重要である。サンプルの保存および処理は、診断試験としての喀痰細胞診の価値に影響を与え得る別の重要な要因である。
【0138】
最近、適切なサンプルを獲得して適切に調製することができる場合でさえ、細胞検査者は一般に標本あたり2〜4本のスライドを観察し、典型的にはそれぞれ4分以内の検査時間である[24]。従来の喀痰細胞診の感度が低く、高度に複雑な技術を要し、重労働であることを考慮すると、この試験が肺がんの初期検出のための集団ベースのスクリーニングでほとんど普遍的に避けられていることは驚くべきことではない[25]。
【0139】
これらの技術の問題が解決されているとしても、喀痰細胞診の感度の低さは重要な問題である。偽陽性の結果の頻度が高いと、患者への潜在的に治癒可能な治療が著しく遅延し得る。より高い感度の試験を開発することができるかもしれないが、このような改良は特定の費用で実現してはならない。偽陽性数の増加により、患者が不必要でしばしば侵襲性および高価な追跡調査を受け、患者の生活の質に悪影響を与える場合がある。本発明は、肺がんの初期検出のための喀痰細胞診の使用に関連する制限を含む以前の初期がん検出方法に関連する多数の制限を克服する。
【0140】
肺がんは、疾患の異種集団である。集団ベースのスクリーニングとしてその使用を正当化するために必要な感度および特異性のレベルを有することを確実にするために、本発明は、例えば、パネルの開発に10〜30個の細胞マーカーのライブラリーの使用を想定する。本発明のライブラリーの選択は、ほとんどの場合、マーカー発現を予後の発現に関連させることを意図する肺がん患者から採取した生検標本で測定している関連化学論文の再検討および再分析に基づいた。
【0141】
例えば、患者の喀痰中の肺がんの初期検出、特徴付け、および/またはモニタリングに好ましいパネルには、腫瘍標本の少なくとも75%で発現が変化するマーカーを含み得る。パネルの例には、VEGF、トロンボモジュリン、CD44v6、SP−A、Rb、E−カドヘリン、サイクリンA、nm23、テロメラーゼ、Ki−67、サイクリンD1、PCNA、MAGE−1、ムチン、SP−B、HERA、FGF−2、C−MET、甲状腺転写因子、Bcl−2、N−カドヘリン、EGFR,Glut−1、ER関連(p29)、MAGE−3、およびGlut−3から選択されるマーカーが含まれる。最も好ましいパネルには、85%を超える腫瘍標本で発現が変化する分子マーカーが含まれる。パネルの例には、Glut1、HERA、Muc−1、テロメラーゼ、VEGF、HGF、FGF、E−カドヘリン、サイクリンA、EGF受容体、Bcl−2、サイクリンD1、およびN−カドヘリンから選択される分子マーカーが含まれる。RbおよびE−カドヘリンを除いて、肺がんの診断は、マーカー発現の増加に関連する。本発明で使用したプローブ/マーカーラブラリーの簡単な説明を、以下の表4に示す。以下の表中の抗体の番号は、この例を通して抗体/プローブ/マーカー数に一致することに留意すべきである。
【0142】
【表4】
【0143】
好ましいパネル中の各分子マーカーを以下に記載する。各肺がん型についての組織中のマーカー発現の比率を列挙した表5を、この節の終わりに示す。
【0144】
グルコース輸送タンパク質(Glut1およびGlut3)[26〜28]
グルコース輸送体1(Glut1)およびグルコース輸送体3(Glut−3)は、至ところに発現する高親和性グルコース輸送体である。腫瘍細胞は、呼吸、グルコース取り込み、およびグルコース代謝の比率が正常細胞よりもしばしば高く、腫瘍細胞中のグルコース取り込みの増加は、グルコース輸送体によって媒介されていると考えられる。一定のGLUTイソ型の過剰発現が肺がんで報告されている。Gl