JP2004522134A - スターリング準拠の加熱及び冷却装置 - Google Patents

Abstract

第１の物品（５１０）を加熱しかつ第２の物品（３５５）を冷却する装置（２００）である。装置（２００）は、高温区画（２９０）と低温区画（３００）とを有する筺体を備える。装置は、高温端部（１２０）と低温端部（１１０）とを有するスターリング冷却機（１００）も備える。高温端部（１２０）は第１の物品（５１０）を加熱するように高温区画（２９０）と連絡して置かれ、そして低温端部（１１０）は第２の物品（３５５）を冷却するように低温区画（３００）と連絡して置かれる。

Description

【技術分野】
【０００１】
本発明は、一般に冷却及び加熱システムに関し、より特別にはスターリング冷却機により駆動されかつ加熱された区域及び冷却された区域を有する装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
知られた冷却システムは、与えられた空間を冷却するために通常の上記圧縮ランキンサイクル装置を使用している。典型的なランキンサイクル装置においては、蒸気相の冷媒が温度を上げるように圧縮機において或る圧力に圧縮される。高温、高圧の冷媒は、凝縮器と呼ばれる熱交換器を通して循環され、この熱交換器において熱を周囲環境に移すことにより冷却される。結果として、冷媒は、気体から液体に凝縮する。冷媒は、凝縮器から出た後、絞り装置を通過し、ここで圧力及び温度が低下する。低温の冷媒は絞り装置を出て、冷却される空間内又はその付近に置かれた蒸発器と呼ばれる第２の熱交換器に入る。蒸発器と冷却空間との熱移動が冷媒を蒸発させ、又は液体と蒸気との飽和混合物から過熱蒸気に変化させる。蒸発器から出た冷媒は、圧縮器に戻され、冷却サイクルを繰り返す。
【０００３】
しかし、かかるランキンサイクルシステムで可搬の装置を冷却しようとする試みは、だいたい成功しなかった。ランキンサイクルシステムの典型的な構成部品は、一般に大き過ぎ、重すぎ、かつ余りに音が大きかった。更に、かかるシステムは、一般に有害かつ温室効果のあるガスを含む。その結果、大部分のランキンサイクルシステムは定置式の冷却装置に使用される。
【０００４】
同様に、冷却区域から離して置かれた加熱区画に熱を提供するために、ランキンサイクルシステムにより作られた廃熱を使用することが試みられた。廃熱は作られるが、ランキンサイクルシステムに必要な比較的大きくかつ扱いにくい構成が、加熱区画への廃熱の効率的な移動を困難にする。冷却区画と加熱区画との分離は、一般にシステム全体としての効率を小さくすることがある。
【０００５】
ランキンサイクルシステムの使用に代わるものの一つとしてスターリングサイクル冷却機がある。スターリングサイクル冷却機もまた良く知られた熱移動機構である。簡単に述べれば、スターリングサイクル冷却機は、気体（典型的にはヘリウム）を圧縮膨張させて冷却を行う。この気体は、熱交換器ベッドを通って前後に往復し、通常のランキンの圧縮膨張により作られるよりも大きい温度差を作る。特に、スターリング冷却機は、気体を圧縮し膨張させるように気体を熱交換器ベッドとピストンとを通って前後に強制するためにディスプレーサーを使うことができる。熱交換器ベッドは、かなりの熱慣性を有するポーラス部材とすることができる。運転中、熱交換器ベッドは温度傾斜を大きくする。従って、装置の一方の端部は高温となり、他方の端部は低温となる。非特許文献１を参照。特許文献１、特許文献２、特許文献３、特許文献４、及び特許文献５を参照。
【０００６】
スターリング冷却ユニットは、無公害、能率的であり、かつ重い運動部品が非常に少ないので望ましい。スターリング冷却ユニットの使用は通常の冷却機用として提案されている。特許文献６参照。しかし、通常の冷却キャビネットへのフリーピストン形スターリング冷却機の統合には、通常の圧縮器システムに使用されるものとは異なる製造、設置、及び運転の技術が必要である。非特許文献２参照。結果的に冷却機又は類似装置におけるスターリング冷却機の使用は良く知られていない。
【０００７】
同様に、可搬式冷却装置におけるスターリング冷却機の使用も今日まで知られていない。更に、装置の分離した複数の区画を同時に加熱、冷却するためにスターリング冷却機を使用することも知られていない。従って、スターリング冷却機の技術を可搬式冷却及び加熱装置に適合させることに対する要望が存在する。
【特許文献１】米国特許第５，６７８，４０９号明細書
【特許文献２】米国特許第５，６４７，２１７号明細書
【特許文献３】米国特許第５，６３８，６８４号明細書
【特許文献４】米国特許第５，５９６，８７５号明細書
【特許文献５】米国特許第４，９２２，７２２号明細書
【特許文献６】米国特許第５，４３８，８４８号明細書
【非特許文献１】Ｄａｖｉｄ Ｂｅｒｇｅｒｏｎ，”Ｈｅａｔ Ｐｕｍｐ Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｙ Ｒｅｃｏｍｍｅｎｄａｔｉｏｎ ｆｏｒ ａ Ｔｅｒｒｅｓｔｒｉａｌ Ｂａｔｔｅｒｙ−Ｆｒｅｅ Ｓｏｌａｒ Ｒｅｆｒｉｇｅｒａｔｏｒ”，Ｓｅｐｔｅｍｂｅｒ １９９８．
【非特許文献２】Ｄ．Ｍ．Ｂｅｒｃｈｏｗｉｔｚ ｅｔ ａｌ．，”Ｔｅｓｔ Ｒｅｓｕｌｔｓ ｆｏｒ Ｓｔｉｒｌｉｎｇ Ｃｙｃｌｅ Ｃｏｏｌｅｒ Ｄｏｍｅｓｔｉｃ Ｒｅｆｒｉｇｅｒａｔｏｒｓ”，Ｓｅｃｏｎｄ Ｉｎｔｅｒｎａｔｉｏｎａｌ Ｃｏｎｆｅｒｅｎｃｅ
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【０００８】
従って、本発明は、第１の物品を加熱しかつ第２の物品を冷却するための装置を提供する。この装置は、高温区画と低温区画とを有する筺体を備える。この装置は、高温端部と低温端部とを有するスターリング冷却機を備えることができる。高温端部は第１の物品を加熱するように高温区画と連絡して置かれ、低温端部は第２の物品を冷却するように低温区画と連絡して置かれる。
【０００９】
本発明の特別な実施例は、高温区画と低温区画との間に置かれた断熱仕切りの使用を含む。スターリング冷却機は、高温端部と低温端部との間に置かれた再生用熱交換器を備えることができる。再生用熱交換器は、断熱仕切り内に置くことができる。筺体は、筺体を持ち運ぶための取っ手を備えることができる。
【００１０】
スターリング冷却機の低温端部は、低温端部熱交換器を備えることができる。低温区画は、ファンを有するスターリング冷却機区分、第２の物品を置くための製品支持具を有する製品区分、及びスターリング冷却機区分と製品区分とを通して空気を循環させるための空気流路を備える。製品区分は、その中に、空気流路と連絡している多数の開口部を備える。
【００１１】
低温区画は、その中の温度を判定するためのセンサーを備える。センサーは、制御器と通信する。筺体は、低温区画に隣接して置かれた外部通気口を備える。制御器は、低温区画内の温度が予め決められた或る温度以下に落ちたとき、通気口を開くように外部通気口と通信することができる。
【００１２】
低温区画は、スターリング冷却機区分と製品区分との間に置かれた仕切りを備える。この仕切りは、これに内部通気口を設けることができる。内部通気口は、仕切りの第１の側に置かれた第１の内部通気口、及び仕切りの第２の側に置かれた第２の内部通気口を備える。筺体は、低温区画に隣接して置かれた複数の外部通気口を備える。制御器は、低温区画内の温度が所定の温度以下に低下しかつ周囲温度が氷点以下であるとき、内部通気口を閉じかつ外部通気口を開くように、内部通気口及び外部通気口と通信する。
【００１３】
スターリング冷却機の高温端部は高温端部熱交換器を備える。高温区画は、ファンを有するスターリング冷却機区分、第１の製品をその上に置くための製品支持具を有する製品区分、及びスターリング冷却機区分と製品区分とを通して空気を循環させるための空気流路を備える。高温区画は、その中の温度を判定するためのセンサーを備える。筺体は、高温区画に隣接して置かれた外部通気口を備える。センサーは、高温区画内の温度が所定温度以上に上がったときに通気口を開くように、外部通気口と通信する。
【００１４】
装置は、低温区画内のスターリング冷却機の低温端部の付近から高温区画内のスターリング冷却機の高温端部の付近に伸びているウイック（ｗｉｃｋ）を更に備える。低温区画は、凝縮液を収集してこれを毛管作用により高温区画に送るために、スターリング冷却機の低温端部とウイックとに隣接して置かれた凝縮液収集器を備えることができる。装置は、スターリング冷却機に給電するために電気コードを備える。
【００１５】
本発明は、加熱対象物と冷却対象物とを輸送するための方法を提供する。この方法は、スターリング冷却機を筺体との連絡状態に置く段階を含む。スターリング冷却機は、高温端部と低温端部とを備え、筺体は高温区画と低温区画とを備える。この方法は、更に、加熱対象物を高温区画内に置くこと、冷却対象物を低温区画内に置くこと、高温区画内の加熱対象物をスターリング冷却機の高温端部により加熱すること、及び低温区画内の冷却対象物をスターリング冷却機の低温端部により冷却することの諸段階を含む。筺体は取っ手を備え、方法は筺体を持ち運ぶ更なる段階を含む。スターリング冷却機は、電気コードとすることができ、そして方法は、車両内に筺体を置きかつ車両内の電気系統と接続されたとき、電気コードを経てスターリング冷却機に電力を供給する更なる段階を含む。筺体は多数の通気口を備え、そして方法は、高温区画内の温度が所定の温度を越えたときに１個又は複数個の通気口を開く更なる段階を含むことができる。方法は、低温区画内の温度が所定の温度以下に落ちたときに１個又は複数個の通気口を開く更なる段階を含むことができる。
【実施例１】
【００１６】
さて、数個の図面を通して同様な符号が同様な要素を示す図面を参照すれば、図１及び２は、本発明と共に使用するスターリング冷却機１００を示す。良く知られるように、スターリング冷却機１００は、低温端部１１０と高温端部１２０とを備える。再生用熱交換器１３０が、低温端部１１０と高温端部１２０とを分離する。スターリング冷却機１００は、ケーシング１４０内に置かれたフリーピストン（図示せず）により駆動される。Ｔｈｅ Ｇｌｏｂａｌ Ｃｏｏｌｉｎｇ Ｃｏｍｐａｎｙ ｏｆ Ａｔｈｅｎｓ，Ｏｈｉｏは、本発明と共に使用するに適したスターリング冷却機１００を製造する。しかし、適宜形式の通常のスターリング冷却機をこれに使用することができる。適宜の数のスターリング冷却機１００を使用することもできる。これに使用されるスターリング冷却機１００の大きさと数とは、全体としての冷却システムの大きさと容量とに依存する。
【００１７】
スターリング冷却機１００の低温端部１１０に低温端部の熱交換器１５０を置くことができる。低温端部熱交換器１５０は、直交流式フィン付き熱交換器又は適宜の通常形式の熱交換装置とすることができる。熱交換器１５０は、銅、アルミニウム、又は類似の材料から作られる。高温端部熱交換器１６０は、スターリング冷却機１００の高温端部１２０に置かれる。高温端部熱交換器１６０は、直交流式フィン付き熱交換器又は適宜の通常形式の熱交換装置とすることもできる。熱交換器１６０も、銅、アルミニウム、又は類似の材料から作られる。熱交換器１５０、１６０の大きさは、スターリング冷却機１００の全体としての大きさに依存する。
【００１８】
図３−６は、本発明の加熱／冷却用容器２００を示す。加熱／冷却用容器２００は、断熱外側シェル２１０を備える。断熱外側シェル２１０は、膨張したポリスチレン発泡体、ポリウレタン発泡体、又は同様な種類の断熱材料から作られる。断熱外側シェル２１０には、多数のドア２２０を備えることができる。例えば、高温区画ドア２３０及び低温区画ドア２４０が示される。ドア２２０の各は取っ手２５０を有し、そして通常のヒンジ２６０又は同様な器具により、断熱外側シェル２１０に取り付けることができる。断熱外側シェル２１０は、加熱機／冷却機容器２００を運ぶために取っ手２７０を持つ。容器２００は、内部のスターリング冷却機１００への電力供給のために電力コード２８０も持つ。電力コード２８０は、通常の電気取出口に、又は例えば自動車のシガレットライター用受口のような電気ソケット内に差し込むことができる。或いは、通常のバッテリーパックを使用することもできる。
【００１９】
周囲温度を判定するために、温度センサー２８５が外側シェル２１０上に置かれる。センサー２８５は、熱電対、サーミスター、又は類似形式の装置のような通常の温度センサーとすることができる。センサー２８５は、以下、より詳細に説明されるように制御器と通信することができる。
【００２０】
容器２００は、高温区画２９０と低温区画３００とを持つ。高温区画ドア２３０が高温区画２９０に隣接して置かれ、また、低温区画ドア２４０が低温区画３００に隣接して置かれる。断熱仕切り３１０が、高温区画２９０と低温区画３００とを分離する。断熱仕切り３１０は、膨張したポリスチレン発泡体、ポリウレタン発泡体、又は良好な断熱特性を有する同様な種類の断熱材料から作られる。
【００２１】
スターリング冷却機１００は、高温端部１２０と高温熱交換器１６０とが高温区画２９０の中又はこれに隣接し、一方、低温端部１１０と低温端部熱交換器１５０とが低温区間３００内又はこれに隣接するように、容器２００内に位置決めされる。再生用熱交換器１３０は、その全体、又は一部分が断熱仕切り３１０内に置かれる。
【００２２】
低温区画３００は、非断熱仕切り３２０、及びこの中に置かれた支持板３３０を持つ。非断熱仕切り３２０は、スターリング冷却機区分３４０と製品区分３５０とを定める。スターリング冷却機区分３４０はスターリング冷却機１００の低温端部１１０を収容し、一方、製品区分３５０は多数の製品３５５を収容する。製品３５５は、飲料物容器のような冷却したい適宜の品目を含むことができる。同様に、支持板３３０も製品区分３５０と空気の流路３６０とを定める。支持板３３０は、空気流路３６０から製品区分３５０に導く多数の開口部３７０を持つ。空気流路３６０は、スターリング冷却機区分３４０及び製品区分３５０を通って伸びる。
【００２３】
スターリング冷却機区分３４０内にファン３８０を置くことができる。ここでは用語「ファン」が使用されるが、ファンは、ポンプ、ベロウズ、ネジ及び本技術の熟練者に知られた同様なもののような適宜の形式の空気移動装置とすることができる。スターリング冷却機区分３４０は、その中に置かれたシュラウド３９０を備えることもできる。シュラウド３９０は、ファン３８０を通過する空気の流れを空気流路３６０内に向ける。
【００２４】
低温区画３００のスターリング冷却機区分３４０に隣接して、外側断熱医シェル２１０に通気口４１０が形成される。通気口４１０は、ドア４１２と可動ヒンジ４１４とのあるドア開閉型の装置とすることができる。通気口４１０は、センサー４２０と通信できる。センサー４２０は、熱電対、サーミスター、又は類似形式の装置のような通常の温度センサーとすることができる。通気口４１０とセンサー４２０とは、外部センサー２８５の感知した周囲温度に関するセンサー４２０の感知温度に依存して通気口４１０を開閉するように制御器４３０と通信することができる。制御器４３０は通常のマイクロプロセッサーとすることができる。制御器４３０のプログラムは、普通のコンピューター言語のものとすることができる。制御器４３０は、低温区画３００内の温度が或る与えられた設定温度より低くなると通気口４１０を開くようにプログラムされる。
【００２５】
高温区画２９０も非断熱仕切り４５０及び支持板４６０を備える。非断熱仕切り４５０は、スターリング冷却機区分４７０及び前述のものと同様な製品区分４８０を定める。支持板４６０は、スターリング冷却機区分４７０と製品区分４８０との間を連絡する空気流路４９０を定める。スターリング冷却機区分４７０はファン５００を備える。ここでは用語「ファン」５００が使用されるが、上述のように、ファン５００は、ポンプ、ベロウズ、ネジ及び本技術熟練者に知られた同様なもののような適宜の形式の空気移動装置とすることができる。ファン５００は、空気を、高温端部熱交換機１６０を通して製品区分４８０内に進め、更に空気流路４９０を通して戻し、循環させることができる。支持板４６０には多数の高温製品５１０を置くことができる。高温製品５１０は、多数のピザ箱又はその他の種類の高温食品のような加熱したい適宜の品目を含む。
【００２６】
高温区画２９０は、高温区画通気口５２０も備える。通気口５２０は、通気口４１０に関して説明されたと同様に、ドア５２２と可動ヒンジ５２４とのある開閉型の装置とすることができる。通気口５２０は、センサー５３０及び制御器４３０と通信することができる。センサー５３０は、上述のセンサー４２０と同様とすることができる。センサー５３０により感知された温度が与えられた設定温度以上になると、制御器４３０が通気口５２０を開く。
【００２７】
使用時には、低温の又は冷やそうとする低温製品３５５が、低温区画３００内の支持板３３０上に置かれる。低温製品３５５がここに置かれると、ファン３８０が、空気の流れを、低温端部熱交換器１５０を通して空気流路３６０内に向ける。冷やされた空気は、支持板３３０の開口３７０を通り、低温製品３５５を横切る。次いで、空気は低温端部熱交換器１５０に戻る。この空気の流れが低温製品３５５を冷たい状態に保つ。
【００２８】
低温区画３００内の温度が或る与えられた温度、例えば約１．１℃（３４゜Ｆ）以下に下がったとセンサー４２０が判定したときは、外部センサー２８５により感知された周囲空気温度が氷点以上であるならば、制御器４３０が通気口４１０を開き、周囲空気が低温区画３００を通って循環することを許す。通気口４１０は、センサー４２０により判定された内部温度が、設定点以上に再び上がるまで開かれたままに保たれる。或いは、通気口４１０は周囲空気の量を変動させるように比例的に開かれる。このシステムは、全体として周囲温度が氷点以上である場合に使用するために設計される。
【００２９】
同様に、高温製品５１０又は暖めるべき製品は、高温区画２９０内の支持板４６０の上に挿入される。ファン５００が、空気を循環させて、高温端部熱交換器１６０を経て製品区分４８０内に入り、製品５１０を囲み、空気流路４９０を通りファン５００に戻る。この空気の流れが、高温製品５１０を熱い状態に保つ。
【００３０】
センサー５３０が、高温区画２９０内の温度が与えられた設定点、例えば約６５．６℃（１５０゜Ｆ）以上であることを判定したときは、制御器４３０が通気口５２０を開き、周囲空気の高温区画２９０を通る循環を許す。通気口５２０は、センサー５３０により判定された内部温度が再び設定点以下に下がるまで、開いたままに保たれる。或いは、通気口５２０は、周囲空気の量を変動させるように比例的に開かれる。
【００３１】
容器２００は、全体として、高温区画２９０と低温区画３００との間の熱の漏洩、断熱内部シェル２１０及び周囲空気からの熱漏洩、並びにスターリング冷却機１００の冷却リフト（ｌｉｆｔ）がほぼ平衡するように設計される。例えば、
Ｑ_Ｈ＝高温区画２９０から環境に壁２１０及びドア２３０を通過する熱流量
Ｑ_Ｃ＝環境から低温区画３００に壁２１０及びドア２４０を通過する熱流量
Ｑ_Ｄ＝高温区画２９０から低温区画３００に仕切り３１０を通過する熱流量
Ｑ_Ｓ＝低温区画３００から高温区画２９０にスターリング冷却機１００により強制輸送
される熱
Ｑ_Ｗ＝スターリング冷却機１００により作られ、そして高温区画２９０内に廃棄される
廃熱
Ｑ_ＦＨ＝ファン５００により作られ、そして高温区画２９０内に廃棄される廃熱、及び
Ｑ_ＦＣ＝ファン３８０により作られ、そして低温区画３００内に廃棄される廃熱
の諸変数を使うことができる。
【００３２】
低温区画３００の温度（Ｔ_Ｃ）として約１．１℃（３４゜Ｆ）、高温区画温度（Ｔ_Ｈ）として約６５．６℃（１５０゜Ｆ）、及び環境温度（Ｔ_Ａ）として約２４℃（７５゜Ｆ）が与えられると、容器２００の断熱及びスターリング冷却機１００の出力レベルは、以下の関係が生ずるように選定される。
【００３３】
Ｑ_Ｓ＝Ｑ_Ｃ＋Ｑ_Ｄ＋Ｑ_ＦＣ＝Ｑ_Ｈ＋Ｑ_Ｄ−Ｑ_Ｗ−Ｑ_ＦＨ
特に、スターリング冷却機１００は、高温区画２９０が約３２，７４４ｃｍ^３（約２，０００ｉｎ^３）の空間を持ち、低温区画３００が約１６，３７８ｃｍ^３（約１，０００ｉｎ^３）の空間を持った場合、約４０ワットの能力を持つことができる。これらの変数が与えられると、全体としてのシステムは、高温区画２９０及び低温区画３００の通気口４１０、５２０の開閉が僅かであるか又は開閉の必要なしの安定した状態で使用することができる。環境温度（Ｔ_Ａ）が設計温度（Ｔ_Ａ＝２４℃（７５゜Ｆ）から外れて動いたときは、通気口４１０、５２０の開閉の必要性が増大する。
【実施例２】
【００３４】
図７−９は、本発明の別の実施例を示す。図３−６の容器２００は、環境空気温度が氷点より低いときは効果的ではない。しかし、容器５５０は、かかる環境における使用に適している。容器５５０は、非断熱仕切り３２０が第１の仕切り５６０と第２の仕切り５７０とにより置換された点を除いて容器２００と同様とすることができる。仕切り５６０、５７０は、プラスチック、金属、又は同様な材料から作ることができる。仕切り５６０、５７０は、これらの間に空気流路を形成する。
【００３５】
仕切り５６０、５７０の一方に第１の内部通気口５９０を置くことができる。仕切り５６０、５７０の他方の端部に第２の内部通気口６００を置くことができる。内部通気口５９０、６００は、閉じられたとき、スターリング冷却機区分３４０を製品区分３００から分離する。スターリング冷却機区分３４０も、断熱外側シェル２１０内に置かれた追加の外部通気口６１０を持つことができる。通気口４１０、５９０、６００、６１０の全ては、センサー４２０と外部センサー２８５とにより検知された温度に基づいて、制御器４３の制御下で作動する。
【００３６】
図７は、容器５５０のための正常運転の環境を示す。この環境においては、外部通気口４１０、６１０は閉じられ、一方、内部通気口５９０、６００は開かれる。そこで、低温区画３００は、図４に関して上述されたように作動する。同様に、図８は、環境温度が氷点以上であるが内部温度が設定点以下であるときの容器５００の状態を示す。この場合は、外部通気口４１０、６１０の一方又は双方が開かれ、図６に示されると同様に周囲空気が低温区画３００内を循環することを許す。
【００３７】
図９は、周囲温度が氷点以下であり、低温区画３００の内部温度が設定点以下であるときの容器５００の状態を示す。この状況下では、外部通気口４１０、６１０は開かれ、一方、内部通気口５９０、６００は閉じられる。内部通気口５９０、６００の閉鎖が、製品区分３５０をスターリング冷却機区分３４０から効果的に分離する。そこで、空気はファン３８０によりスターリング冷却機区分３４０内に引かれ、そして空気流路５８０及び低温端部熱交換器１５０を通過するように向けられる。低温空気は、次いで第２の外部通気口６１０を通って外部に戻るように循環される。この場合、スターリング冷却機１００は、低温区画３００の追加の冷却を何も加えることなく殆ど熱ポンプとして作動する。
【実施例３】
【００３８】
図１０は、凝縮液収集システム７００を有する本発明の別の実施例を示す。凝縮液収集システム７００は、スターリング冷却機１００を有しここに詳細に説明された加熱／冷却用容器２００を使用することができる。凝縮液収集システム７００は、非断熱仕切り３２０に取り付けられた凝縮液収集器７１０を備える。凝縮液収集器７１０は、金属、プラスチック、又は類似の種類の幾分か強固な材料から作ることができる。凝縮液収集器７１０は、非断熱仕切り３２０から低温端部熱交換器１５０の長さに沿って伸びることができる。
【００３９】
凝縮液収集システム７００は、凝縮液収集器７１０に隣接して置かれたウイック７２０を持つことができる。ウイック７２０は、ヒドラセーム革（ｈｙｄｒａ ｃｈａｍｏｉｓ）、ポリエステル繊維、合成スポンジ（ポリビルアルコール）、又は毛管作用で水分を運ぶ特性を有する類似材料から作られる。ウイック７２０は、凝縮液収集器７１０から断熱仕切り３１０を通り、更に高温端部熱交換器１６０に隣接した高温区画２９０内に伸びる。凝縮液収集器７１０は、凝縮液がウイック７２０に向かって流れるように幾分か下向きに斜めにされる。ウイック７２０は、低温空気の流れと干渉しないように、凝縮液収集器７１０、又は外側シェル２１０の内壁に直接取り付けることができる。ウイック７２０は、凝縮液の吸収を助長するために凝縮液収集器７１０の一部を覆うことができる。
【００４０】
凝縮液は、低温区画３００内において低温端部熱交換器１５０の周りで作られる。凝縮液は、次いで、凝縮液収集器７１０上に滴下する。凝縮液は、ウイック７２０に向かって凝縮液収集器７１０を流れ落ちる。次いで、凝縮液はウイック７２０に吸収される。ウイック７２０は、凝縮液を、断熱仕切り３１０を経て高温端部熱交換器１６０に隣接した高温区画２９０内に運ぶ。ウイック７２０は、毛管作用により凝縮液を動かすことができる。従って、凝縮液は、全体としての加熱／冷却容器２００の方向とは無関係に、即ち、通常の重力が毛管輸送作用に重要な役割をしない場合でも毛管作用により高温区画２９０に運ばれる。ウイック７２０内の凝縮液が高温区画２９０に達すると、凝縮液は、高温端部熱交換器１６０を通って流れている高温空気により蒸発される。
【実施例４】
【００４１】
本発明の更なる実施例が図１１及び１２に示される。これらの図は可搬式容器自動販売機８００を示す。自動販売機８００は、外部ケース８１０（図１１において想像線で示される）を備える。ケース８１０の形状は、本発明にとって重要ではない。ケース８１０は、内部機構の収容に必要な適宜の寸法及び形状のものとすることができ、更に目を楽しませるものとすることができ。更に、ケース８１０は、乗用車、タクシー、バス、列車、ボート、航空機、又は同等のような車両８１５内で輸送できるような寸法及び形状とすることができる。
【００４２】
ケース８１０の内側に、間隔を空けられた１対の板材８２０、８３０がある。板材８２０、８３０は、自動販売用の経路８４０を定める。複数の容器８５０が自動販売用経路８４０内に積み重ねられる。板材８２０、８３０は、自動販売用経路８４０の少なくも一部分が蛇行するように曲がりくねって配列される。本発明は蛇行している自動販売用経路８４０を有するとして図解されるが、自動販売用経路８４０の蛇行した形は、本発明にとって決定的ではない。例えば、販売用経路８４０を、垂直方向で真っすぐとし、或いはこれを傾けることができる。販売用経路８４０の一つの目的は、ケース８１０内で提供される空間にできるだけ多くの容器８５０を収容できるようにすることである。ケース８１０の壁も、ケース８１０の周囲からケース８１０内への熱移動を最小にするように断熱材（図示せず）を持つことができる。
【００４３】
販売用経路８４０は、販売用経路８４０の底部に隣接して置かれた販売用端部８６０を備える。販売用経路８４０の端部においてケース８１０から容器８５０を取り出し得るように、販売用経路８４０の端部８６０に隣接して、ケース８１０に１個又は複数個のドア８７０を設けることができる。
【００４４】
販売用経路８４０の端部８６０に隣接した販売用経路の少なくも一部分は、板材８８０により定められる。板材８８０は、アルミニウムのような熱伝導の良い材料で作られる。各容器８５０は、販売用経路８４０の端部８６０に隣接した部分にある間、少なくもその一部分が板材８８０と接触する。従って、各容器８５０は、ドア８７０を経て販売される直前、少なくもその一部分が板材８８０と接触し熱交換する関係に置かれる。
【００４５】
部材８９０が、板材８８０とスターリング冷却機１００の低温部分１１０とを熱交換する関係で連結する。部材８９０は、アルミニウムのような熱伝導材料から作られる。そこで、板材８８０からの熱は、部材８９０を経てスターリング冷却機１００の低温部分１１０に流れる。スターリング冷却機１００の運転により、低温部分１１０からの熱は高温部分１２０に送られる。スターリング冷却機１００の高温部分１２０は、放熱器９００に連結される。放熱器９００は、アルミニウムのような熱伝導の良い材料から作られる。放熱器９００は、周囲空気に暴露される放熱器９００の表面積を大きくするために、複数のフィン９０５を持つことができる。ケースの外側の空気が放熱器９００に隣接した空間を通って循環できるように、ケース８１０に通気口（図示せず）を設けることができる。放熱器９００を横切る空気の運動を容易にし、これにより放熱器９００から周囲の空気に輸送される熱の量を大きくするために、放熱器９００に隣接してファン（図示せず）を備えることもできる。放熱器９００と、スターリング冷却機１００の高温部分１２０、スターリング冷却機１００の低温部分１１０、部材８９０、及び板材８８０との間に断熱材の層（図示せず）を設けることもできる。
【００４６】
スターリング冷却機１００は、電気回路により制御器に接続され、この制御器は、ケース８１０と断熱層（図示せず）とにより定められた断熱された囲いの中のセンサーに、電気回路により接続される。制御器は、断熱された囲いの中の希望温度を維持するように、スターリング冷却機１００の作動を調整することができる。制御器及びセンサーは、上述のものと同様とすることができる。
【００４７】
可搬式容器自動販売機８００は、販売用経路８４０内に複数の容器８５０を置いている間、運転させることができる。スターリング冷却機１００は、自動販売機８００を輸送する車両８１５の電気系統９１０と直接接続することができる。スターリング冷却機１００は、電気回路９２０のプラグを、例えば車両８１５内のシガレットライター用受口その他の形式の電気取出口に差し込むことにより、電気系統９１０に接続することができる。自動車のエンジンが回転しているときの自動車の電気系統９１０からの運転に加えて、スターリング冷却機１００は所要電力が十分に少なく、車両８１５の始動に十分な電力のある自動車用電池９３０を消耗させることなく、一晩中、自動車用電池９３０から運転することができる。
【００４８】
容器８５０が自動販売用経路８４０内に積み重ねられた状態のとき、販売用経路８４０の端部８６０に隣接した容器８５０は、板材８８０と金属接触する。この接触により、容器８５０及びこの容器内の内容物の熱は、板材８８０に移動する。板材８８０の周囲空気からの熱も板材８８０に移される。次いで、熱は、板材８８０からスターリング冷却機１００の低温部分１１０に伝導する。スターリング冷却機１００は、熱を低温部分１１０から高温部分１２０に伝え、更に放熱器９００に伝える。熱は、放熱器９００から周囲の空気に移される。その結果、容器８５０は、希望温度に冷やされる。
【図面の簡単な説明】
【００４９】
【図１】スターリング冷却機ユニットの平面図である。
【図２】図１のスターリング冷却機ユニットの端面図である。
【図３】本発明の加熱／冷却装置の斜視図である。
【図４】図３の線４−４に沿って得られた加熱／冷却装置の側方断面図である。
【図５】冷却区画の通気口が開いた状態の図３の線４−４に沿って得られた加熱／冷却装置の側方断面図である。
【図６】加熱区画の通気口が開いた状態の図３の線４−４に沿って得られた加熱／冷却装置の側方断面図である。
【図７】外部通気口が閉鎖され内部通気口が開放された状態の加熱／冷却装置の別の実施例の部分的な側方断面図である。
【図８】外部通気口の一方が開放された状態の図７の加熱／冷却装置の別の実施例の部分的な側方断面図である。
【図９】開放された外部通気口と閉鎖された内部通気口とを示している図７の加熱／冷却装置の別の実施例の部分的な側方断面図である。
【図１０】凝結液収集システムを示している本発明の別の実施例の部分的な側方断面図である。
【図１１】想像線で示されたケーシングを有する可搬式冷却装置を示している本発明の別の実施例の斜視図である。
【図１２】図１１の可搬式冷却装置が内部に示されている状態の自動車の説明図である。

Claims (30)

1. 第１の物品を加熱し、第２の物品を冷却する装置であって、
   高温区画と低温区画とを備えている筺体、及び
   スターリング冷却機であって、高温端部と低温端部とを備え、前記高温端部が前記第１の物品を加熱するように前記高温区画と連絡して置かれ更に前記低温端部が前記第２の物品を冷却するように前記低温区画と連絡して置かれた前記スターリング冷却機
   を備える装置。
2. 前記筺体が、前記高温区画と前記低温区画との間に置かれた断熱仕切りを備える請求項１の装置。
3. 前記スターリング冷却機が、前記高温端部と前記低温端部との間に置かれた再生用熱交換器を備え、前記再生用熱交換器が前記断熱仕切り内に置かれる請求項２の装置。
4. 前記筺体が、前記筺体を持ち運ぶための取っ手を備える請求項１の装置。
5. 前記スターリング冷却機の前記低温端部が、これと連絡している低温端部熱交換器を備える請求項１の装置。
6. 前記低温区画が、ファンを有するスターリング冷却機区分を備える請求項１の装置。
7. 前記低温区画が、前記第２の物品をその上に置くための製品支持具のある製品区分を備える請求項６の装置。
8. 前記低温区画が、前記スターリング冷却機区分と前記製品区分とを通して空気を循環させるための空気流路を備える請求項７の装置。
9. 前記製品支持具が、前記空気流路と連絡している複数の開口部をその中に備える請求項８の装置。
10. 前記低温区画が、その中の温度を判定するためのセンサーを備え、前記センサーが制御器と連絡している請求項１の装置。
11. 前記筺体が、前記低温区画に隣接して置かれた外部通気口を備え、前記制御器は、前記低温区画内の温度が所定の温度以下に低下したとき前記外部通気口を開くように前記外部通気口と連絡している請求項１０の装置。
12. 前記筺体が、外部温度を判定するための外部センサーを備え、前記外部センサーが前記制御器と連絡している請求項１０の装置。
13. 前記低温区画が、スターリング冷却機区分、製品区分、及びこれらの間に置かれた仕切りを備える請求項１２の装置。
14. 前記仕切りがその中に内部通気口を備え、前記内部通気口は、前記スターリング冷却機区分と前記製品区分との間の連絡を許す開放位置、及び前記スターリング冷却機区分と前記製品区分との間の連絡を阻止する閉鎖位置を備えている請求項１３の装置。
15. 前記内部通気口が、前記仕切りの第１の側に置かれた第１の内部通気口及び前記仕切りの第２の側に置かれた第２の内部通気口を備える請求項１４の装置。
16. 筺体が複数の外部通気口を備え、前記低温区画内の温度が所定の温度以下に落ちかつ周囲温度が氷点以下であるとき、前記複数の内部通気口を閉じるようにかつ前記複数の外部通気口を開くように、前記制御器が前記内部通気口及び前記複数の外部通気口と連絡している請求項１４の装置。
17. 前記スターリング冷却機の前記高温端部が、これと連絡している高温端部熱交換器を備える請求項１の装置。
18. 前記高温区画が、ファンを有するスターリング冷却機を備える請求項１の装置。
19. 前記高温区画が、前記第１の部品を上に置くための製品支持具のある製品区分を備える請求項１８の装置。
20. 前記高温区画が、前記スターリング冷却機区分と前記製品区分とを通して空気を循環させるための空気流路を備える請求項１９の装置。
21. 前記高温区画が、その中の温度を判定するためのセンサーを備える請求項１の装置。
22. 前記筺体が、前記高温区画に隣接して置かれた外部通気口を備え、前記センサーは、前記高温区画内の温度が所定の温度以上に上がったとき前記外部通気口を開くように、前記外部通気口と連絡している請求項２１の装置。
23. 前記低温区画内の前記スターリング冷却機の前記低温端部の付近から前記高温区画内の前記スターリング冷却機の高温端部の付近に伸びているウイックを更に備える請求項１の装置。
24. 前記低温区画が、前記スターリング冷却機の低温端部及び前記ウイックに隣接して置かれた凝縮液収集器を備える請求項２３の装置。
25. 前記装置に給電するように電気コードを更に備えている請求項１の装置。
26. 加熱対象物と冷却対象物とを輸送するための方法であって、
    スターリング冷却機を筺体と連絡して置き、前記スターリング冷却機は高温端部と低温端部とを備えそして前筺体は高温区画と低温区画とを備え、
    加熱対象物を前記高温区画内に置き、
    冷却対象物を前記低温区画内に置き、
    前記高温区画内の加熱対象物を前記スターリング冷却機の前記高温端部により加熱し、更に
    前記低温区画内の前記冷却対象物を前記スターリング冷却機の前記低温端部により冷却する
    諸段階を含む方法。
27. 前記筺体が取っ手を備え、そして前記方法は前記筺体を持ち運ぶ更なる段階を含む請求項２６の方法。
28. 前記スターリング冷却機が電気コードを備え、そして前記方法は、前記筺体を車両内に置き、更に前記車両内の電気系統に接続されたとき前記電気コードを介して前記スターリング冷却機に給電する諸段階を更に含む請求項２６の方法。
29. 前記筺体は、これに複数の通気口を備え、そして前記方法は、前記高温区画内の温度が所定の温度を越えた場合に前記複数の通気口の１個又は複数個を開く更なる段階を含む請求項２６の方法。
30. 前記筺体は、これに複数の通気口を備え、そして前記方法は、前記低温区画内の温度が所定の温度以下に落ちた場合に前記複数の通気口の１個又は複数個を開く更なる段階を含む請求項２６の方法。