JP2004506795A - 硬化フルオレニルポリイミド - Google Patents
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Abstract
Description
発明の分野
この発明は、硬化ポリイミド、特に、フルオレニル側基を含むジアミンから誘導された架橋ポリイミドであって、少なくとも1つのC1−C10分岐または非分岐アルキル置換基を有する芳香族環を含み、前記アルキル置換基がベンジルの水素を含有する架橋ポリイミドに関する。
【0002】
技術の背景
米国特許第5,386,002号には、熱可塑性樹脂としてのアルキル置換フルオレニルジアミン誘導ポリイミドが記載されており、特に、明細書中、それらが架橋しない特徴を有すると規定されている(第6欄、1〜5行目)。
【0003】
米国特許第3,758,434号には、アルキル置換基がないフルオレニルイミドが、45分間、280℃に加熱後に「高温ジメチルホルムアミド」に可溶性であることが教示されている(実施例4、第8欄、28〜44行目)。
【0004】
米国特許第5,750,641号および5,969,088号には、フルオレニル側基を含むポリイミドと、液晶ディスプレイ内の角度増強層(広角化層)または電気デバイス内の誘電体層としてそれらを使用することとが記載されている。
【0005】
米国特許第6,084,053号には、フルオレニルポリイミドで作製された電子部品が記載されている。‘053号の文献には、ポリイミドが架橋されてもよいことを教示せず、その点でアルキル置換フルオレニルジアミン誘導ポリイミドと他のポリイミドとを区別をしない。
【0006】
米国特許第5,145,942号には、カルボニルおよびエーテル基によって結合したメチル置換芳香族環を含有するポリイミドの架橋が記載されている。‘942号の文献には、フルオレニルジアミンから誘導されたポリイミドはどこにも記載されていない。
【0007】
発明の要旨
簡潔にいうと、本発明は、フルオレニル側基を含むジアミンを含むと共に少なくとも1つのC1−C10分岐または非分岐アルキル置換基を有する芳香族環をも含み、前記アルキル置換基がベンジルの水素を含有する硬化ポリイミドを提供する。好ましくはアルキル置換基は、メチルまたはエチル、より好ましくはメチルである。好ましくはフルオレニルジアミンはエーテル結合を取り除き、より好ましくはエーテルおよびカルボニル含有結合の両方を取り除く。
【0008】
別の態様において、本発明は、フルオレニル側基を含むと共に少なくとも1つのC1−C10分岐または非分岐アルキル置換基を有する芳香族環をも含み、前記アルキル置換基がベンジルの水素を含有するジアミン、を硬化する工程を含む方法によって作製された硬化ポリイミド、を提供する。好ましくは、硬化の工程は、熱硬化することによって、好ましくは前記ポリイミドの温度を300℃より高い温度に上げることによって、達成される。
【0009】
別の態様において、本発明は、フルオレニル側基を含むジアミンを含むと共に少なくとも1つのC1−C10分岐または非分岐アルキル置換基を有する芳香族環をも含み、前記アルキル置換基がベンジルの水素を含有する架橋ポリイミドを提供する。好ましくはアルキル置換基は、メチルまたはエチル、より好ましくはメチルである。好ましくはフルオレニルジアミンはエーテル結合を含まず、より好ましくはエーテルおよびカルボニル含有結合の両方を含まない。
【0010】
別の態様において、本発明は、フルオレニル側基を含むと共に少なくとも1つのC1−C10分岐または非分岐アルキル置換基を有する芳香族環をも含み、前記アルキル置換基がベンジルの水素を含有するジアミンを架橋する工程を含む方法によって作製された架橋ポリイミドを提供する。好ましくは、架橋工程は、熱硬化によって、好ましくは前記ポリイミドの温度をポリイミドのTgより高い温度に上げることによって、達成される。
【0011】
本技術分野に記載されておらず、本発明によって提供されるものは、フルオレニル側基を含むジアミンを含有するポリイミドの硬化または架橋である。
【0012】
この出願において、
「硬化した」は、好ましくは溶剤メチルエチルケトン、N−メチルピロリドンまたはγ−ブチロラクトンに対してかつ好ましくは室温で測定したとき、処理前の同じポリマーより所定の温度でより小さい溶解度を有する熱処理ポリマーについて説明する。
【0013】
「架橋した」は、高温および長時間でも不溶解性を一般に示す、網目構造を有するポリマーを説明する。
【0014】
「ベンジルの水素(benzylic hydrogen)」は、芳香族環に直接に結合した炭素原子に結合した水素原子、例えば、トルエンの3個のメチルの水素の何れか、エチルベンゼンの2個のアルファ水素の何れか、などを指す。
【0015】
「ポリイミド」は、特に指示しない限り、ポリイミドポリマーを指す。
【0016】
「ジアミンを含むポリイミド」および同様な表現は、ジアミンモノマーを使用する重合によって、指定したジアミンモノマーから誘導されたセグメントを混入するポリイミドポリマーを指すと理解されるべきである。
【0017】
「フルオレニル側基を含むジアミン」は、9,9−ビス(アミノアリール)フルオレンなど、アミン含有置換基で9位置で二置換されたフルオレニル化合物を指す。
【0018】
「フルオレニル側基を含むポリイミド」は、フルオレニル側基を含むジアミンモノマーから少なくとも一部が誘導されたポリイミドを指す。
【0019】
「C(数)」は、炭素原子の表示数を含有する化学部分を指す。
【0020】
特定の置換基を参照しないで用いた用語「置換した」は、望ましい生成物または方法を妨げない通常の置換基によって置換された化学種について、例えば、置換基がアルキル、アルコキシ、アリール、フェニル、ハロ(F、Cl、Br、I)、シアノなどであってもよいことを意味する。
【0021】
架橋したおよび不溶解性の形のフルオレニル側基ポリイミドの光学および電気的特性を有する材料を提供することが、本発明の利点である。フルオレニル側基を含むポリイミドを例えばフィルムとしてキャストし、その後にそれを不溶解性にする方法を提供することが、付加的な利点である。
【0022】
好ましい実施態様の詳細な説明
本発明は、フルオレニル側基を含むジアミンを含むと共に少なくとも1つのC1−C10分岐または非分岐アルキル置換基を有する芳香族環をも含み、前記アルキル置換基がベンジルの水素を含有する硬化または架橋ポリイミド、を提供する。
【0023】
本発明によるポリイミドの少なくとも1つのジアミンは、フルオレニル側基、好ましくは9,9−置換フルオレニル基、より好ましくは置換または非置換9,9−ビス(アミノアリール)フルオレンを含有する。好ましくはフルオレニルジアミンは、エーテル基を含有しない。より好ましくはフルオレニルジアミンは、ケトなどのエーテルまたはカルボキシル含有基またはエステル基を含有しない。最も好ましくはフルオレニルジアミンは、9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン(OTBAF)であり、それは更に置換されてもよいが、好ましくは置換されない。
【0024】
9,9−ビス(アミノアリール)フルオレンのアミノアリール基は、少なくとも1個の第一アミン基を有する芳香族環を含む基を指す。芳香族基は、単環または多環であってもよく、6〜約40個の炭素原子を有することができる。好ましくは、芳香族基は単環、より好ましくはフェニルであり、第一アミン基に対して芳香族環のパラ位置でフルオレン核に結合している。アミノアリール環のいずれかまたは両方が0〜4個の線状、分岐または環状アルキル基、ハロゲン、またはフェニルで置換されてもよい。好ましくは、両方の環が1〜3個の炭素原子を有する1または2個の線状または分岐アルキル基で置換されてもよく、このような置換が環の2、3、5、または6位置の何れか、好ましくは環の3または5位置またはそれらの組合せで行なわれる。より好ましくは、両方のアミノアリール環が1または2個のメチルまたはエチル基で置換されてもよい。最も好ましくは、本発明に有用な9,9−ビス(アミノアリール)フルオレンには、9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジメチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジエチル−4−アミノフェニル)フルオレン、および9,9−ビス(3−エチル−5−メチル−4−アミノフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(トルイジニル)フルオレンなどがある。
【0025】
理論に束縛されることを希望するわけではないが、本発明による架橋は、ベンジルの水素の不安定な性質に依存すると考えられる。ベンジルの水素を有するアルキル基は、分岐状であってもよいが、好ましくは非分岐状である。アルキル基は1〜10個の炭素原子を含有してもよいが、好ましくはC1−C4であり、より好ましくはメチルまたはエチル、最も好ましくはメチルである。
【0026】
好ましくはベンジルの水素を有するアルキル基は、フルオレニル側基を含むジアミンに含有され、より好ましくは、フルオレニル側基を含むジアミンの1個または両方のアミノアリール置換基に結合している。しかしながら、ベンジルの水素を有するアルキル基は代わりに、コモノマー上に存在してもよい。アルキル置換基を有する芳香族環がコモノマー上に存在している場合、好ましくはそれは、2,5−ジメチル(p−フェニレンジアミン)(DMPDA)などのジアミンコモノマーである。
【0027】
二無水物は、ポリイミドポリマーの形成に使用するために適した何れの二無水物であってもよい。好ましくは二無水物は芳香族である。本発明のポリイミドに有用な芳香族テトラカルボン酸二無水物化合物は、式Iによって表される化合物:
【化1】
であり、式中、Aは好ましくは6〜40個の炭素原子を含有し、好ましくはピロメリト基、ナフチレン、フルオレニレン、ベンゾフルオレニレン、アントラセニレンおよびそれらの置換誘導体などの多環式芳香族基、を含有し、置換基は1〜10個の炭素原子を有するアルキルおよびそのフッ素化誘導体、およびFまたはClなどのハロゲン、および式IIの部分:
【化2】
であってもよく、式中、Bは共有結合、C(R2)2基、OArO基、CO基、O原子、S原子、およびSO2基、Si(C2H5)2基またはN(R3)2基およびそれらの組合せ、であってもよく、mは1〜10の整数であってもよく、各R2は独立にHまたはC(R4)3であってもよく、各R3は独立に、H、約1〜約20個の炭素原子を有するアルキル基、6〜約20個の炭素原子を有するアリール基であってもよく、Arは約6〜約40個の炭素原子を有する芳香族基であってもよく、各R4は独立に、H、フッ素、または塩素であってもよい。
【0028】
代表的な有用な二無水物には、ピロメリト酸二無水物、3,6−ジフェニルピロメリト酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリト酸二無水物、3,6−ビス(メチル基)ピロメリト酸二無水物、3,6−ジヨードピロメリト酸二無水物、3,6−ジブロモピロメリト酸二無水物、3,6−ジクロロピロメリト酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,5,6−トリフルオロ−3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4’−オキシジ(無水フタル酸)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−{4,4’−イソプロピリデン−ジ(p−フェニレンオキシ)}−ビス(無水フタル酸)、N,N−(3,4−ジカルボキシフェニル)−N−メチルアミン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジエチルシラン二無水物の他、2,3,6,7−および1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、などのナフタレンテトラカルボン酸二無水物、およびチオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などの複素環芳香族テトラカルボン酸二無水物、およびビスフェノールAジ(無水フタル酸)(BPADA)とも呼ばれる、2,2ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、などがある。
【0029】
ポリイミドは、何れの適した方法によって作製されてもよい。適した方法は、以下の実施例およびC.E.Sroog,Prog.Polym.Sci.,16,561〜694ページ(1991年)および米国特許第5,750,641号に記載されている。
【0030】
架橋する前に、ポリイミドは好ましくは1,000〜200,000、より好ましくは10,000〜100,000の数平均分子量(Mn)を有する。
【0031】
本発明のポリイミドは、それらのガラス転移温度(Tg)を超える温度に加熱されるときに架橋するという事実によって熱可塑性ではない。
【0032】
本発明によるポリイミドは、硬化および架橋の性質を示す。硬化および架橋という用語は、上に規定される。Tgに近づくかまたは超える温度に加熱されるとき、本発明によるポリイミドは架橋される。しかしながら、硬化は、より低い温度で始まるのが観察される。
【0033】
ポリイミドを熱硬化することができる。未硬化ポリイミドは溶解度の低下をもたらすのに十分な温度に好ましくは加熱される。好ましくは硬化温度は約200℃以上であり、より好ましくは約300℃以上であり、より好ましくは約350℃以上であり、最も好ましくは約390℃以上である。好ましくは硬化は、窒素などの不活性雰囲気下で行われる。好ましくは硬化は、10時間以下、より好ましくは1時間以下、最も好ましくは40分以下の加熱工程の間に達成される。好ましくは、ポリイミドは硬化する前に、例えば繊維、粒子、または最も好ましくはフィルムに加工される。好ましくは、フィルムは、ポリイミドを溶液からキャストすることによって形成される。
【0034】
ポリイミドの架橋を、何れかの適した方法によって、しかし好ましくは熱架橋によって達成することができる。未架橋ポリイミドは好ましくは、Tgより20℃以上低い温度に加熱され、より好ましくはTgより10℃以上低い温度、最も好ましくはTg以上の温度に加熱される。好ましくは架橋硬化温度は約350℃以上、より好ましくは約370℃以上、より好ましくは約390℃以上、最も好ましくは約400℃以上である。好ましくは架橋は窒素などの不活性雰囲気下で行われる。好ましくは架橋は10時間以下、より好ましくは1時間以下、最も好ましくは40分以下の加熱工程の間に達成される。好ましくは、ポリイミドは、架橋する前に、例えば繊維、粒子、または最も好ましくはフィルムに加工される。好ましくは、フィルムは、ポリイミドを溶液からキャストすることによって形成される。
【0035】
硬化ポリイミドフィルムは、メチルエチルケトン、N−メチルピロリドンまたはγ−ブチロラクトンの1つの中で撹拌することにより、25℃で15分後に、好ましくは25℃で1時間後でもポリイミドの溶解を実質的に全くもたらさないか、より好ましくはポリイミドの可視的な溶解を全くもたらさない程度まで、好ましくは不溶解性である。
【0036】
架橋ポリイミドフィルムは好ましくは、100℃で2日間、N−メチルピロリドンに浸漬されるときでも不溶解性である。
【0037】
得られた硬化または架橋ポリイミドが、すぐれた電気的性質、特に、マイクロ波周波数、約1〜100gHzを有することができる。好ましくは本発明によるポリイミドは、12.8GHzでの誘電率が3.0以下、より好ましくは2.8以下、より好ましくは2.6以下である。好ましくは誘電率は、21℃の気温で50%の湿度の、以下に記載した試験条件など、周囲条件に平衡後でも望ましい範囲で維持される。好ましくは本発明によるポリイミドは、12.8GHzでの誘電損失が0.012以下、より好ましくは0.011以下、より好ましくは0.010以下である。好ましくは誘電損失は、21℃の気温で50%の湿度の、以下に記載した試験条件など、周囲条件に平衡後でも望ましい範囲で維持される。
【0038】
本発明による硬化および架橋ポリイミドは、低い熱膨張率によって示されるように、好ましくは高い機械的安定度を示す。本発明による材料は、加えられた歪ゼロでの熱膨張率が、60ppm/℃以下、より好ましくは40ppm/℃以下、最も好ましくは20ppm/℃以下であり、これらの率は25℃〜100℃、より好ましくは25℃〜200℃、最も好ましくは25℃〜260℃の温度範囲にわたって当てはまる。
【0039】
この発明は、例えば、電子デバイスおよび電子パッケージングにおいて、誘電材料として有用である。
【0040】
この発明の目的および利点は更に以下の実施例によって示されるが、これらの実施例に記載した特定の材料およびそれらの量、並びに他の条件および詳細な内容が、この発明を不当に制限すると解釈されるべきではない。
【0041】
実施例
材料
特に指示しない限り、すべての化学物質および試薬は、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,WI)から得られ、現在も入手可能である。
【0042】
以下の実施例において、9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン(OTBAF)を、米国特許第4,684,678号、実施例2に記載されたように調製した。それを、使用する前に無水ジクロロエタンから再晶出した。p−フェニレンジアミン(PDA)を、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,Wisconsin)製の、昇華した、ゾーン精製した形で入手した。9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(BAF)をShinetsu Chemicals Co.,Ltd.(東京、日本)から入手した。2,5−ジメチル(p−フェニレンジアミン)(DMPDA)をAldrichから入手し、使用する前に絶対エタノールから再晶出した。3,3’−4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)を、昇華した形でAldrichから購入した。4,4’−オキシジ(無水フタル酸)(ODPA)をOccidental Chemical Corp.(Dallas,Texas)から入手し、アニソールから再結晶によって精製した。ピロメリト酸二無水物(PMDA)、2,2’−ビス−((3,4−ジカルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)および3,3’−4,4’−ビフェニルテトラカルボン二無水物(s−BPDA)を、Chriskev Co.(Leawood,Kansas)から購入し、受け取ったまま使用した。2,2’−ビス−((3,4−ジカルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)もまた、Clariant Co.(Charlotte,NC)から購入した。ビスフェノールAジ(無水フタル酸)(BPADA)とも呼ばれる、2,2ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物を、General Electric(Mount Vernon,Indiana)から入手した。
【0043】
ポリイミドの合成
ポリイミド1〜9および10Cを、表Iに示したモノマーを用いて作製した。「C」と称するポリイミドは、比較例を指す。表IIは、ポリイミド1〜9および10Cの構造を示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
ポリイミドを、C.E.Sroog,Prog.Polym.Sci.,16,561〜694ページ(1991年)に開示された情報の変更により合成した。その合成を、以下に詳細に開示する。更に詳細な内容を、米国特許第5,750,641号に見いだすことができる。
【0049】
ポリイミド1〜8を次のように合成した。指示した比率の指示したモノマー約150gを、機械撹拌機、窒素入口およびバブラー、加熱マントル、および温度調節器を備えた1リットルの3口反応フラスコ中に粉末として直接に入れた。
【0050】
反応器を密封し、560ccのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)を添加した。撹拌を安定した窒素パージ下で始めた。室温で数時間、撹拌した後に、明るい黄色の、粘性のポリアミック酸溶液が得られた。4時間、撹拌した後に、無水酢酸(65.1g)をポリアミック酸溶液に滴下し、その後に、ピリジン(44.1g)もまた滴下した。反応物を120℃に加熱し、45分間保持し、次いで1時間、100℃に保持した。得られた環化ポリイミドが全体にわたって溶けたままであった。溶液を一晩、室温に冷却し、次いで、ブレンダー中で、DMAC溶液をメタノール中にゆっくりと注ぐことによって、未精製ポリイミドを凝固させた。沈殿ポリマーが、大きな、きめが粗いブフナー漏斗上に濾過によって得られ、メタノール8〜12リットル(2〜3ガロン)で洗浄された。この徹底的な洗浄は、DMAC、ピリジン、および他の副生成物の材料を取り除くために必要であった。次に、洗浄したポリマーを一晩、60℃で真空乾燥させたが、最終生成物は白い粉末であった。この材料のフィルムを、いろいろな溶剤から溶剤コーティングによって調製した。
【0051】
ポリイミド9を次のように合成した。上部分に塩化カルシウムチューブを提供されたArlynTM冷却用チューブ、塩化カルシウムチューブを通して脱水された窒素を供給するためのチューブを備えた500mlの三口フラスコ内で、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン3.48gおよび2,5−ジメチル−1,4−ジアミノベンゼン(DMPDA)1.39gを入れ、次に、窒素を供給する間にN−メチルピロリドン100g(NMP)を添加することによって溶解した。1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2,2−ビス(4−無水フタル酸)(6FDA)8.88gを得られた溶液に添加し、その後に、1時間および20分間、室温に維持し、撹拌装置を用いて撹拌する間に、1時間および20分間、60℃の高温水槽で加熱した。無水酢酸7.6mlおよび乾燥ピリジン6.5mlを添加し、その後に、更に2時間、加熱しながら120℃〜140℃の油槽で撹拌した。得られた溶液を室温(25℃)まで空気冷却し、次に、2Lビーカー中のメタノール1Lに滴下し、沈殿物を得た。沈殿物を脱イオン水で洗浄し、ブフナー漏斗上でエタノールで洗浄し、次に、100℃のオーブン内で一晩、乾燥させ、この実施例の望ましい架橋可能なポリイミドを得た。
【0052】
ポリイミド10Cをポリイミド9と同様に調製したが、ただし、出発モノマーは、6.97gのBAF、8.88gの6FDAであり、DMPDAを用いなかった。
【0053】
上の表Iに記録したガラス転移温度(Tg)を、以下の見出しの熱機械的性質に記載したように、測定した。
【0054】
架橋
上に合成したポリイミド1〜8について、ポリイミド粉末4グラムをシクロペンタノン16g中に溶解し、20重量%のポリイミド溶液を調製した。溶液を、KaptonTMフィルム(Du Pont Co.(Wilmington,DE))上に、300μmの間隙を有するナイフコータを用いてコートし、次いで80℃のオーブン内で一晩、乾燥させ、約40μmのフィルム厚さを有する架橋可能なポリイミドフィルムを得た。
【0055】
フィルムを30分間、窒素雰囲気下で400℃のオーブン内で加熱し、この実施例の架橋ポリイミドフィルムを得た。
【0056】
架橋ポリイミドフィルムを2cm2の試料に切り分け、それをメチルエチルケトン(MEK)を入れた試薬ビン内に置き、約1時間、撹拌した。フィルムは溶解されなかった。フィルムの劣化(例えば、脆性など)は観察されなかった。耐溶剤性が、NMPおよびγ−ブチロラクトンで同様に実証された。フィルムは、いずれの溶剤でも溶解されなかった。
【0057】
ポリイミド9もまた、実質的に同様の手順によって架橋され、同じくメチルエチルケトンおよびγ−ブチロラクトン中に不溶解性であるのが分かった。比較のために、ポリイミド9フィルムの試料(架橋されない)をMEK中に浸漬した。架橋されないポリイミド試料は、数分の内に溶解された。
【0058】
ポリイミド10C(比較用)もまた、フィルムに形成し、30分間、400℃に加熱した。しかしながら、MEKに浸漬されるとき、試料は数分の内に膨張し、白い混濁がMEK中に生じ、ポリマーの部分的な溶解を示した。ポリイミド10Cフィルムの更に別の試料を、γ−ブチロラクトン中におよびNMP中に浸漬し、それぞれ、約1時間以内に溶解した。従ってポリマー構造からのベンジル水素の脱落により、400℃でも、架橋せず硬化しなかったポリイミドを生じた。
【0059】
別の硬化の実施例
更に別の実施例を行い、硬化現象の温度依存を調べた。
【0060】
上に合成したポリイミド1〜7の各々について、厚さ40μm〜50μmのポリイミドフィルムを、20重量パーセント(重量%)のN−メチルピロリドン(NMP)溶液中に前記ポリマーを溶解して調製した。溶液を、調整可能な間隙距離を有するナイフコータを用いてDu Pont(Wilmington,Delaware)製の厚さ125μmのKaptonフィルム上にキャストした。270μmの間隙距離は、厚さ40μmのキャストポリイミド(PI)フィルムをもたらした。キャストポリイミド溶液を、一晩(約16時間)、50℃に保持したオーブン内で乾燥させた。10cm×10cmのポリイミドフィルムの試料を、乾燥した材料から切り分けた。次に、PIフィルムを、2つのクリップで各面を留めて、矩形のガラス基材上に固定した。各PIフィルム試料を、窒素雰囲気中で30分間、300℃、350℃、または400℃で硬化した。この熱硬化は、試料をわずかに収縮させた。
【0061】
硬化した後に、1cm×3cmの試料を、硬化PIフィルムから切り分けた。試料を、メチルエチルケトン(MEK)、N−メチルピロリドン(NMP)、またはγ−ブチロラクトン(GBL)を入れた10ccのビン中に1時間、浸漬した。浸漬した後に、試料を溶剤から除去し、フィルムの状態を亀裂について目視検査し、次に、試料に折り目を付け、脆性の性質を測定した。架橋されない親ポリマーもまた、同じ溶解度試験にかけた。表III〜VIは、比較用に熱処理をしない親ポリイミド粉末の溶解度の性質と共にこれらのフィルムの溶解度の結果を示す。可溶性試料を名称「S」で示し、ゲル形成試料を「G」、不溶解性試料を「I」、不溶解性だが脆いフィルムを「I、B」で示した。
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】
【0064】
【表7】
【0065】
【表8】
【0066】
アルミニウム基材上の架橋
上記の試験をポリイミド2、3、および7について繰り返し、各々、アルミニウム上に制限した。試料の作製および試験は以下の通りである。100mm×100mm×2mm厚のアルミニウム基材材料を、0.016mmの平均直径を有するアルミナ粉末で0.35MPaのブラスト圧を用いてサンドブラストした。次いで、アルミニウム基材を、二クロム酸ナトリウム二水化物(4g)、硫酸(40g)および蒸留水(120g)の溶液中で化学エッチングした。基材材料を2時間、(63〜67℃に維持された)この溶液中に浸漬し、DI水ですすぎ洗いをし、乾燥させた。90%のエタノールおよび10%の水の基剤中の3−アミノプロピルトリエトキシシラン接着促進剤の1重量%溶液(Shinetsu Chemicals(東京、日本))を、アルミニウム基材上にスピンコートし、次に、30分間、120℃の空気中で乾燥させた。
【0067】
ポリイミド粉末を、シクロペンタノン中に溶解し、20重量%溶液をもたらした。各組成物の溶液を、500μm間隙を有するナイフコータを用いて(上に記載したように作製した)アルミニウム基材上にコートした。ポリイミドのコートされたアルミニウム基材を一晩(約16時間)、50℃のオーブン内で乾燥させ、何れのシクロペンタノンをも除去した。次いで試料を約30分にわたって室温から400℃に加熱する温度サイクルを用いて硬化し、1時間、400℃に保持し、約60分にわたって室温まで冷却した。窒素雰囲気をオーブン内に維持した。アルミニウム基材上の得られたフィルム厚さは80μmであった。アルミニウム上のポリイミドのこれらの試料を2分間、各試験溶剤中に浸漬し、フォトレジストストリッピング方法をシミュレートした。結果を表VIIに示す。
【0068】
【表9】
【0069】
ポリイミドの架橋の構造的基礎
更に別の実施例を、硬化現象の構造的基礎を調べるために行った。
【0070】
フルオレニルジアミン残留物の構造の変化があるポリイミド組成物を、架橋性質の原因を示すために調べた。構造を、式IIIおよび表VIIIに示す。ポリイミドを、上に記載した手順によって形成した。式IVのコモノマーPDAを、表VIIIに示すように、添加した。フィルムを作製するために、溶剤キャストし、次いで、20分間、窒素下、390℃で硬化した。真の架橋の試験として、硬化フィルムを2日間、100℃のNMP中に浸漬し、溶解度を観察した。表VIIIにおいて、「有り」は試料が溶解も膨張しもしなかったことを意味する。「無し」は、試料が溶解したことを意味する。
【0071】
【化3】
【0072】
【表10】
【0073】
この実施例は、真の架橋が390℃で硬化によって起こり、架橋プロセスを可能にする特徴がアルキル芳香族基であることを示す。アルキル置換基が存在しない場合、材料は架橋しなかった。アルキル芳香族基がないコモノマーの添加は、この傾向に影響を及ぼさなかった。しかしながら、上記のポリイミド9は、アルキル芳香族基を有するコモノマーの添加は、架橋をもたらすことを示した。
【0074】
材料の性質
以下の実施例は、硬化ポリイミドが、エレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクスなど、多数の適用分野に有用な性質を有することを示す。
【0075】
誘電率(1MHz)
ポリイミド2〜8の面外誘電率(k)を、平行板キャパシタンスの測定(金属−ポリイミド−金属)によって求めた。誘電率を、次の関係式
k=(c×t)/(ε×A)
によって計算した。式中、c=キャパシタンスの測定値、t=フィルム厚さ、ε=真空誘電率、およびA=アルミニウムドットの面積である。金属−ポリイミド−金属を作製するために、ポリイミドフィルム(厚さ1〜2μmであり、試料毎に厚さの偏差が約1%より小さい)をアルミニウム化ケイ素ウェファー上にスピンコートした。フィルムは、2つの条件のうちの1つ:2.5時間、300℃で、または0.5時間、400℃で、窒素下、熱処理した。次いで、アルミニウムドット(半径0.750mm)を、ポリイミドの自由表面上に電子ビーム真空堆積した。フィルムの吸湿はフィルムの全誘電率を増大させることが知られていたので(k水=1MHzで78.2)、「乾燥」フィルム(測定する前に3時間、窒素中で240℃で乾燥させた)と実験室周囲環境(21℃、50%の相対湿度)に平衡されたフィルムとの両方の誘電率を測定した。乾燥状態のポリイミドフィルムの誘電測定は、表IXに記載したように、1MHzで2.73〜3.05の範囲の誘電率を示した。架橋による誘電率の変化は、架橋温度による誘電率の変化と同様に、小さかった。実験室周囲環境に平衡された時に、フィルム中の少量の湿気の吸収のため(約1重量%より少ない吸湿が誘電率の変化から計算された)、予期したように、誘電率は増加した。
【0076】
【表11】
【0077】
誘電率/損失(12.8GHz)
ポリイミド2〜8の12.8GHzでの面内誘電特性を、スプリットポスト共鳴器技術(ベイカー−ジャーヴィスら、IEEE Trans.on Dielectric and Electrical Insulation、5(4)、1998年、571ページおよびクルプカら、Proc.7th International Conference on Dielectric Materials:Measurements and Applications,IEEE Conference Publication No.430、1996年9月)によって測定した。
【0078】
厚さ38〜102μm(1.5〜4ミル)のポリイミドフィルムを、ドクターブレードで溶液(NMP)からキャストし、室温の窒素中で数日にわたって乾燥させた。フィルムをその後、真空中で200℃で一晩、熱処理し、その後に、3組の条件のうちの1つ、すなわち、230℃で3.5時間、340℃で3時間、または400℃で0.5時間、窒素雰囲気下で第2の熱処理をした。1MHzの誘電測定と同じように、「乾燥した」フィルム(3時間、窒素中で230℃で乾燥させ、測定する前に窒素中で一晩、室温に冷却した)および実験室周囲環境(21℃、50% RH)に平衡されたフィルムの誘電率を測定した。10GHzでの水の誘電率および誘電損失は、それぞれ、55.0および540ミリ単位である。表XおよびXIは、誘電率の測定値を記録する。
【0079】
【表12】
【0080】
【表13】
【0081】
表XおよびXIのデータは、本発明の材料は、ギガヘルツの周波数範囲で作動する装置用の電子部品またはパッケージング材料で使用するためのすぐれた特徴を有することを示す。誘電率が、ポリイミド2の架橋プロセスの全体にわたって相対的に安定していたことは注目に値する。
【0082】
屈折率/複屈折
ポリイミドフィルムの面内(nTE)および面外(nTM)屈折率の測定を、モデル2010プリズムカプラー(632.8nmのレーザー偏光源)(Metricon Corp.(Pennington,NJ))で行った。プリズムカプラーはまた、フィルム厚さを確認するために用いられた。nTEおよびnTMの測定値を用いて、632.8nmでの面内誘電率(nTE2)、632.8nmでの面外誘電率(nTM2)、および複屈折(n=nTE−nTM)を計算した。測定のために用いたポリイミドフィルムを、NMP溶剤からケイ素ウエハー上にスピンコートすることによって作製した。厚さ1〜2μmのフィルムを作製した。所与の試料全体にわたって、フィルム厚さは2%未満、変化した。
【0083】
表XIIは、窒素下で30分間、400℃で硬化した後にいろいろな組成物のフィルムについて、面内(nTE)および面外(nTM)屈折率、複屈折の計算値(nTE−nTM)および632.8nmでの誘電率の計算値(n2)を記載する。
【0084】
【表14】
【0085】
低い度合の複屈折(すなわち、フィルムの異方性)は、等方性誘電特性が回路部品のパシベーションにおいて望ましい多くの電子用途に望ましい。屈折率の測定は、ポリイミドフィルムが相対的に小さい量の面外複屈折を有することを示す。本発明による架橋は、面外複屈折を更に低減した。これらの結果は、窒素雰囲気下で徐々により高い温度で硬化した単一ポリイミドフィルム試料(ポリイミド2)について、以下の表XIIIおよび図1に示される。各々の温度間隔で、フィルムを窒素中で更に30分間、加熱した。屈折率と従って誘電率が硬化プロセスの全体にわたって相対的に安定していたことは注目に値する。これは、硬化プロセスがフィルムの誘電特性、電子機器パッケージング、誘電絶縁体および他の用途のための重要な特質を劣化させないことを示した。
【0086】
【表15】
【0087】
光の透過率
光の波長の低損失を示す材料がしばしば、光学的用途のために必要とされる。
【0088】
光の透過スペクトルを、未硬化、硬化、および架橋状態のポリイミドについて、UV/VIS/NIRスペクトロメータラムダ19(Perkin−Elmer Analytical Inst.Co.,Norwalk,Connecticut)を用いて測定した。フィルムを、NMPから約30〜50μmの厚さまでキャストした。実際厚さを、硬化する前にキャリパを用いて手作業で測定し、表XIVに記載する。比較用の未硬化フィルムを、数日間、窒素下、室温で乾燥させた。硬化フィルムを1時間、窒素下で260℃に加熱した。架橋フィルムを30分間、窒素下で400℃に加熱した。フィルムは、測定されたカットオフポイントよりもすぐれた透過率を有することが示された。図2、図3および図4は、それぞれ、未硬化、硬化、および架橋状態のポリイミド3について得られた透過スペクトルである。表XIVは、85%の透過率が各々のポリイミドについて得られたナノメートル単位の波長を記載する。
【0089】
【表16】
【0090】
本発明による材料は、架橋した後でも、導波路などの電気通信の用途に使用するために十分な光の透過率の特徴を示す。
【0091】
熱機械的性質
ポリイミド2の硬化フィルムの横熱膨張率は、TMA2940熱機械分析器(TA Instruments,Inc)を用いる熱機械分析によって得られた。フィルムを、30分間、窒素中380℃で硬化した。測定したフィルムの初期寸法は、12.8mm×2mm、厚さ0.030mmであった。フィルムを計測器に装填した後、フィルムを最初に、低い応力(0.5MPa)下に置き、窒素下で30分間、300℃に加熱した。300℃が、永久延伸または分子配向の増大がこの前処理の間に起こらない、Tgより十分に低い温度として選択された。この前処理工程は、カールを引き起こす応力など、内部フィルム応力を減じることを意図するものである。次に、実測を、10℃/分の走査速度で窒素下で行った。寸法の変化は、ポリマーのガラス転移温度(Tg)で急速に増大し、このため、この方法は、表Iに記載したTgのデータのすべてを確認するためにも用いられた。測定を、4つの異なった加えられた応力レベル、1.6、2.4、3.1および4.0MPaで行った。次に、これらの結果を、加えられた歪みゼロに補外した。上に示したように硬化したポリマー2について、加えられた歪みゼロでの熱膨張率を計算すると、25℃〜260℃の温度範囲にわたって19.8ppm/℃であった。
【0092】
この発明の種々の修正および変更がこの発明の範囲および原理から外れることなく実施できることは、当業者には明白であろうが、この発明は、本明細書に示した具体的な実施例に不当に制限しようとするものでないと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるポリイミドの試料の硬化温度対複屈折の測定値のグラフである。
【図2】ポリイミドの比較用未硬化フィルムの200nm〜800nmの波長の光の透過スペクトルである。
【図3】本発明による硬化ポリイミドフィルムの200nm〜800nmの波長の光の透過スペクトルである。
【図4】本発明による架橋ポリイミドフィルムの200nm〜800nmの波長の光の透過スペクトルである。
Claims (19)
- フルオレニル側基を含むジアミンを含むと共にアルキル置換基がベンジルの水素を含有する少なくとも1つのC1−C10分岐または非分岐アルキル置換基を有する芳香族環をも含む硬化ポリイミドであるポリイミド。
- フルオレニル側基を含むジアミンを含むと共にアルキル置換基がベンジルの水素を含有する少なくとも1つのC1−C10分岐または非分岐アルキル置換基を有する芳香族環をも含むポリイミドを少なくとも200℃の温度に加熱する工程を含む方法によって作製された硬化ポリイミドであるポリイミド。
- 前記温度が少なくとも250℃である、請求項2に記載の硬化ポリイミド。
- 前記温度が少なくとも300℃である、請求項2に記載の硬化ポリイミド。
- 前記温度が少なくとも350℃である、請求項2に記載の硬化ポリイミド。
- 25℃で1時間後にN−メチルピロリドン(NMP)に不溶解性である、請求項1〜5の何れか1項に記載の硬化ポリイミド。
- フルオレニル側基を含むジアミンを含むと共にアルキル置換基がベンジルの水素を含有する少なくとも1つのC1−C10分岐または非分岐アルキル置換基を有する芳香族環をも含む架橋ポリイミドであるポリイミド。
- 前記架橋が熱架橋による、請求項7に記載の架橋ポリイミド。
- フルオレニル側基を含むジアミンを含むと共にアルキル置換基がベンジルの水素を含有する少なくとも1つのC1−C10分岐または非分岐アルキル置換基を有する芳香族環をも含むポリイミドを架橋する工程を含む方法によって作製された架橋ポリイミドであるポリイミド。
- 前記架橋工程が熱架橋を含む、請求項9に記載の架橋ポリイミド。
- 前記熱架橋工程が前記ポリイミドの温度を前記ポリイミドのガラス転移温度より高い温度に上げる工程を含む、請求項10に記載の架橋ポリイミド。
- 前記熱架橋工程が1時間以内で実質的に終了する、請求項10または11に記載の架橋ポリイミド。
- 25℃で1時間後にメチルエチルケトンに不溶解性である、請求項7〜12の何れか1項に記載の架橋ポリイミド。
- 100℃で2日後にNMPに不溶解性である、請求項7〜13の何れか1項に記載の架橋ポリイミド。
- 熱可塑性ではない、請求項7〜14の何れか1項に記載の架橋ポリイミド。
- 加えられた歪ゼロでの熱膨張率が、25℃〜260℃の温度範囲にわたって60ppm/℃より小さい、請求項1〜15の何れか1項に記載のポリイミド。
- 加えられた歪ゼロでの熱膨張率が、25℃〜260℃の温度範囲にわたって20ppm/℃より小さい、請求項1〜15の何れか1項に記載のポリイミド。
- 請求項1〜17の何れか1項に記載のポリイミドを含む電子デバイス。
- アンテナ、光デバイスおよび光導波路から選択される、請求項18に記載の電子デバイス。
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