JP2004504239A - 最小のビル空間を使用するエレベータ装置 - Google Patents
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Abstract
エレベータ装置は、リセスを含む垂直方向に隣接する構造プラットホームすなわち屋根スラブもしくはピットスラブを有する昇降路と、このリセス内に据付可能な巻上機と、を有する。垂直方向に隣接する構造プラットホームは、昇降路の天井もしくは床のいずれかを定める。巻上機を昇降路のリセス内に据え付けることで、巻上機が昇降路から取り除かれ、巻上機を収容するために昇降路を水平方向および垂直方向のいずれにも拡張する必要がなくなる。
Description
【0001】
【技術分野】
本発明は、エレベータ装置に関し、特に、独立した機械室がないエレベータ装置に関する。
【0002】
【背景技術】
一般的な牽引式エレベータ装置は、昇降路内に配置されたかごおよび釣合いおもりと、これらのかごと釣合いおもりを連結する複数のロープと、これらのロープと係合する駆動綱車を有する巻上機と、を含む。ロープは、駆動綱車の回転によって駆動され、これに伴ってかごおよび釣合いおもりも駆動綱車の回転によって駆動される。巻上機とこれに関連する電子機器とは、ガバナなどのエレベータの周辺部品とともに、昇降路の上部に、もしくは昇降路に隣接すなわち近接して設けられた独立した機械室に収容される。
【0003】
エレベータ産業における最近の傾向は、独立した機械室をなくし、エレベータの種々の機器および部品を拡張した昇降路内に配置することである。1つの例としては、かごの昇降空間と昇降路壁との間に設けられた巻上機を使用することを開示したJP4−50297が挙げられる。この文献に開示された実施例では、巻上機を据え付けるために昇降路の断面積を拡張することが必要である。
【0004】
このようなエレベータの他の例には、米国特許第5,429,211号があり、この特許は、同様の位置に設けられており、かつディスク型ロータを備えたモータを有する巻上機を使用することを開示している。この構成では、このような平らな巻上機を利用して、巻上機のために必要な昇降路の断面空間の拡張を最小化している。しかし、このような種類の巻上機は、積載荷重および速度が比較的低く制限される。
【0005】
実際には、これらの種類のエレベータでは、巻上機および他の機器を据え付けるために、昇降路を垂直方向に延長することも必要となる。これらの構成は、共にエレベータ装置を設置する建設費を増加させるおそれがある。これに加えて、巻上機および他の典型的な機械室機器を昇降路内に設置することは、機器の保守を行うために特別な手順や注意を要する。
【0006】
上述の技術の存在にかかわらず、本出願人の指示のもとにある科学者および技術者は、ビル内の有効な空間を効率的に利用するエレベータ装置を開発しようと努力している。
【0007】
【発明の開示】
本発明の一実施例では、エレベータ装置は、リセスを含む垂直方向に隣接する構造プラットホームを有する昇降路と、このリセス内に据付可能な巻上機と、を有する。垂直方向に隣接する構造プラットホームは、昇降路の天井もしくは床のいずれかを定める。
【0008】
巻上機を昇降路のリセス内に据え付けることで、巻上機が昇降路から取り除かれ、巻上機を収容するために昇降路を水平方向および垂直方向のいずれにも拡張する必要がなくなる。これにより、必要な昇降路空間が、かご、釣合いおもり、ガイドレール、およびロープを収容するのに充分な大きさまで減少する。
【0009】
本発明の特定の実施例では、巻上機は、牽引式の巻上機であり、エレベータ装置は、かごおよび釣合いおもり用の牽引ロープとして平形ロープを使用する。平形ロープの使用によって駆動綱車の直径が最小化され、これに応じて巻上機の寸法も最小化されるので、この実施例は特に有用である。実際には、巻上機の直径は、200〜300mmの範囲とすることができる。多くのビルの屋根スラブは、200〜300mmの厚みを有するので、本実施例の巻上機は、ビルの屋根の上に延長部を設けることなく、屋根スラブのリセス内に据え付けることができる。
【0010】
本発明の主な特徴は、平形ロープを使用することである。本明細書において、平形ロープとは、幅w対厚みtの比率として定義されるアスペクト比が、実質的に1よりも大きいロープを含むと定められる。このようなロープの一例に関するより詳細な説明は、本出願人が有するとともに継続中の、1998年2月26日出願の米国特許出願第09/031,108号、名称「エレベータ用の引張部材」、および1998年12月22日出願の米国特許出願第09/218,990号、名称「エレベータ用の引張部材」に含まれている。
【0011】
本発明の他の実施例では、エレベータ装置は、かごの下を通過するようにかごのつり車と係合するロープと、かごの屋根の線よりも下に配置された小型のドア作動装置と、を含む。この実施例では、かごの屋根が昇降路の天井に隣接する(最小の安全距離を含む)高さまでかごを昇降路内で上昇させることが可能となる。この実施例の利点は、最上階の乗場と昇降路の天井との間の垂直距離が最小化される点である。実際には、約2.2メートルの従来のかご高さに対する、(以下で“オーバヘッド”と呼ぶ)最上階の乗場から昇降路の天井までの距離は、2.5〜2.8メートルとすることができる。この構成では、ビルの全ての階を同じ高さ、すなわち2.5〜2.8メートルとすることが可能となるので、ビルの設計および建設に関する利点がさらに提供される。
【0012】
上述およびその他の本発明の目的、特徴、および利点は、以下の例示的な実施例の詳細な説明および添付図面によってより明らかとなる。
【0013】
【発明を実施するための最良の形態】
図1には、本発明のエレベータ装置12が示されている。このエレベータ装置は、かご14、巻上機16、釣合いおもり(図示省略)、およびかご14と釣合いおもりとを連結する1つまたは複数のロープ18を含む。かご14は、壁22,24と天井26とによって画成される昇降路20を通って昇降する。図1には明瞭化のために示されていないが、かご14と釣合いおもりは、従来のガイドレールなどのガイド面に沿って昇降する。
【0014】
昇降路20は、ビルの各々の乗場28に沿って垂直に延びる。各乗場28は、構造プラットホームすなわちスラブ30を含む。ビルの屋根は、昇降路20の天井26を定める他の構造プラットホームすなわちスラブ32である。昇降路20の天井26は、かご14の最上の昇降地点である。屋根スラブ32は、天井26から上向きに延びるリセス34を含む。このリセス34は、巻上機16を収容する大きさに設けられている。さらに、ロープ18用の終端装置36が屋根スラブ32に取り付けられている。
【0015】
巻上機16は、屋根スラブ32のリセス34内に設けられている。ロープ18は、巻上機16から下向きに延びて、かご14および釣合いおもりと係合する。巻上機16は、屋根スラブのリセス内でかつ実質的に天井26より上に設けられていることで、かご14の昇降通路の内部にも昇降通路に隣接する位置にもない。この特徴によって、エレベータ装置12で必要な水平方向断面積が最小化される。さらに、かご14の昇降通路は、昇降路20の天井26まで延びることが可能となり、安全距離を含むかご14の昇降に必要な空間以外に、かご14の上部に追加のオーバヘッド空間OHは不要となる。
【0016】
図2a,図2bには、1つの種類の据付配置が示されている。この据付配置38は、巻上機16を支持するベッドプレート40を含む。このベッドプレート40は、釣合いおもり用レール44に固定された一対のビーム42によって支持されている。これにより、巻上機16の荷重は、昇降路20のピットに伝達される。
【0017】
図3には、他の据付配置が示されている。この据付配置46は、リセス34より上に配置され、かつ屋根スラブ32の頂部と係合する取付ビームすなわちプラットホーム48を含む。巻上機16は、ビーム48から懸吊される。ビーム48がリセス34より上に配置されているために、リセス34は、屋根スラブ32を貫通して設けられている。
【0018】
図4a,図4bには、さらに他の据付配置50が示されている。この据付配置は、ベッドプレート54を支持する一対のビーム52を含む。巻上機16は、ベッドプレート54上に位置する。ビーム52は、巻上機16の荷重がビルに伝達されるように屋根スラブ32に固定されている。図3に示した上述の据付配置と同様に、この据付配置では、屋根スラブ32を貫通するようにリセス34を設ける必要がありうる。このため、環境的な妨害物からリセス34を封止するためにカバー56を使用することができる。
【0019】
図1を再び参照すると、ロープ18は、かごの底部に設けられた一対のつり車58によって2:1ローピング方式、すなわち従来のアンダスラング方式でかご14と係合している。この種類の2:1ローピング方式では、要求されるトルクが減少するとともにモータの回転速度が増加するという利点が提供され、これにより、巻上機14に要求される出力および寸法が最小化される。この結果、リセス34に必要な空間が小さくなる。これに加えて、つり車58がかご14の底部に設けられていることによって、昇降路20の頂部においてかご14の上部に設ける必要がある昇降空間およびオーバヘッド空間の大きさがさらに最小化される。
【0020】
好適実施例では、ロープ18は、平形ロープである。平形ロープ18を使用することで、ロープ18と係合するつり車58の寸法を最小化することができる。巻上機16では、これによって駆動綱車60の直径が最小化されるとともに、巻上機16で必要なトルクが最小化される。これにより、巻上機16を非常に小型のものとし、かつリセス34に必要な空間を最小とすることができる。さらに、つり車58を最小化することもでき、これにより、かご14および釣合いおもりのために必要となる空間、そして昇降路20の断面積が減少する。この実施例では、エレベータ装置12を懸吊して駆動するために平形ロープを使用しているが、鋼または非金属材料によって構成される従来の円形ロープなどの他の種類のロープを使用することもできる。
【0021】
かご14は、一対の両引き戸62とドア作動装置64とを含んでいる。図1では、両引き戸を示しているが、片引き戸および/またはテレスコーピングドア装置などの他のドア装置を本発明と共に使用することもできる。図1に示すように、ドア作動装置64は、電子制御装置66と、ドアガイドレール69と係合した複数の電動ドアローラ68と、を含む。このような小型のドア作動装置64を使用することで、典型的なエレベータかごの屋根36に設置された従来のドア作動装置などのような機器がない状態にかごの屋根を保つことができる。電動ローラ68を有するように図示されているが、かごに取り付けられているとともに牽引コードを介してドアと係合する電動プーリや、リニアモータ式ドア装置などの他の小型ドア装置を本発明と共に使用することもできる。さらに、追加のオーバヘッド空間が利用可能な場合には、従来のドア作動装置を本発明と共に使用することもできる。また、昇降路の底部にドア作動装置に利用可能な充分な昇降空間があれば、ドア作動装置をかごの底部に取り付けることもできる。
【0022】
屋根スラブ32のリセス内に巻上機16を設けることによって得られる効果は、屋根スラブ32と最上の乗場スラブ28との間に要求される垂直空間すなわちオーバヘッドOHの大きさが最小化されることである。この距離OHは、かご14の垂直高さhと、エレベータ装置12の安全運行のために要求されるかご14の安全距離dの必要な大きさと、に限定することができる。かご14の安全距離dの大きさは、該当する安全基準によって僅かに変化するが、典型的には、(かご速度の関数である)かごのジャンプと、(約50mmである)かごの許容される超過昇降距離と、釣合いおもりと接触した場合における釣合いおもり緩衝器の最大垂直移動距離である釣合いおもり緩衝器のストロークと、の和である。秒速約1メートルで昇降するかごでは、要求されるかごの安全距離dは一般に約300mmである。
【0023】
例えば、従来のかごは、約2.2メートルの高さhを有する。上述のエレベータ装置12の安全運行のために、最上の乗場スラブ28と昇降路20の天井26との間に必要な総オーバヘッドOHは、約2.5メートルである。住居用ビルにおける一般的な階床間隔も約2.5メートルなので、この距離OHは、商業的に重要である。オフィス用ビルでは、階床間の間隔がより大きく、一般に2.8メートル程度である。このため、本発明のエレベータ装置を備えるいずれの種類のビルでも、ビルを通して階床間隔を一定とすることができる。この特徴は、建築家や建設業者により大きな自由度を提供し、また、最上階に追加の垂直空間を設ける必要がなくなるので、ビルの所有者にコスト削減を提供する。さらに、巻上機が昇降路内もしくはかごの昇降通路に水平方向に隣接して配置されていないので、エレベータ装置で必要な断面空間も最小化され、これによりビルの建設コストがさらに減少する。
【0024】
図5は、本発明の他の構成を示している。このエレベータ装置72では、かご76の昇降通路より下に巻上機74が配置されている。図5に示すように、昇降路78は、昇降路78の床82を定めるとともにリセス84を有する基礎すなわちピットスラブ80を含む。巻上機74は、かご76の昇降通路よりも下に位置するようにリセス84内に設けられている。ロープ86は、巻上機74から上向きに延びて、昇降路78の頂部に取り付けられた一対のそらせ車88と係合する。ロープ86は、ここから下向きに延びて、かご76および釣合いおもり90と係合する。この構成では、図1の実施例に比べて追加のローピングとそらせ車が必要となるが、必要な昇降路の垂直空間を最小化するという目的は達成される。
【0025】
図6a,図6bは、本発明のエレベータ装置の他のローピング方式を示している。図6aでは、ロープ18’は、図1と同様に2:1ローピング方式でかご14’と係合しているが、かご14’のつり車58’は、かご14’の屋根に設けられている。すなわち、かご14’はオーバスラング方式で懸吊されている。この構成では、図1の実施例よりもかご14’の上部に必要な空間が大きくなるが、この追加の空間は、つり車58’の直径を最小化するために平形ロープを使用することで最小化することができる。図6bでは、ロープ18”は、かご14”に直接連結されている。この実施例では、つり車がかごから完全に取り除かれるが、図1に比べて巻上機16に要求される出力が増加する。
【0026】
図7には、本発明のまた他の実施例が示されている。この実施例では、巻上機92の回転軸94に沿った巻上機92の厚みを最小化するために、ディスク型モータ93を備える巻上機92が使用されている。この結果、巻上機92は、その回転軸94が垂直に方向づけられた状態で天井スラブ96のリセス95内に設けられている。巻上機92の向きによって、ロープ97は、巻上機92から水平でかつ外向きに延びるので、一対のそらせ車98がロープ97と係合してロープ97をかごおよび釣合いおもり(図示省略)まで下向きに導くように設けられている。図7に示すように、そらせ車98も屋根スラブのリセス95内に設けられている。
【0027】
本発明は、例示的な実施例に関して開示および説明されているが、当業者であれば分かるように、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の変更、省略、および追加を行うことができる。例えば、図では、牽引式巻上機として示しているが、ドラム式や油圧式の装置などの他の種類の巻上機を本発明と共に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に係るエレベータ装置の説明図である。
【図2】
図2aは、エレベータ巻上機の据付配置の側面図、図2bは、この据付配置の平面図である。
【図3】
エレベータ巻上機の他の据付配置の側面図である。
【図4】
図4aは、エレベータ巻上機のさらに他の据付配置の側面図であり、図4bは、この据付配置の平面図である。
【図5】
かごの昇降通路より下に巻上機を設けたエレベータ装置の他の実施例の説明図である。
【図6】
エレベータ装置の他のローピング方式の説明図であり、図5aでは、ロープがかごの上部に取り付けられたつり車と係合しており、図5bでは、ロープがかごに直接取り付けられている。
【図7】
平らなディスク型モータを含むとともに、ロープが巻上機から水平方向に延びるように据え付けられている巻上機を有する、エレベータ装置の他の実施例の説明図である。
【技術分野】
本発明は、エレベータ装置に関し、特に、独立した機械室がないエレベータ装置に関する。
【0002】
【背景技術】
一般的な牽引式エレベータ装置は、昇降路内に配置されたかごおよび釣合いおもりと、これらのかごと釣合いおもりを連結する複数のロープと、これらのロープと係合する駆動綱車を有する巻上機と、を含む。ロープは、駆動綱車の回転によって駆動され、これに伴ってかごおよび釣合いおもりも駆動綱車の回転によって駆動される。巻上機とこれに関連する電子機器とは、ガバナなどのエレベータの周辺部品とともに、昇降路の上部に、もしくは昇降路に隣接すなわち近接して設けられた独立した機械室に収容される。
【0003】
エレベータ産業における最近の傾向は、独立した機械室をなくし、エレベータの種々の機器および部品を拡張した昇降路内に配置することである。1つの例としては、かごの昇降空間と昇降路壁との間に設けられた巻上機を使用することを開示したJP4−50297が挙げられる。この文献に開示された実施例では、巻上機を据え付けるために昇降路の断面積を拡張することが必要である。
【0004】
このようなエレベータの他の例には、米国特許第5,429,211号があり、この特許は、同様の位置に設けられており、かつディスク型ロータを備えたモータを有する巻上機を使用することを開示している。この構成では、このような平らな巻上機を利用して、巻上機のために必要な昇降路の断面空間の拡張を最小化している。しかし、このような種類の巻上機は、積載荷重および速度が比較的低く制限される。
【0005】
実際には、これらの種類のエレベータでは、巻上機および他の機器を据え付けるために、昇降路を垂直方向に延長することも必要となる。これらの構成は、共にエレベータ装置を設置する建設費を増加させるおそれがある。これに加えて、巻上機および他の典型的な機械室機器を昇降路内に設置することは、機器の保守を行うために特別な手順や注意を要する。
【0006】
上述の技術の存在にかかわらず、本出願人の指示のもとにある科学者および技術者は、ビル内の有効な空間を効率的に利用するエレベータ装置を開発しようと努力している。
【0007】
【発明の開示】
本発明の一実施例では、エレベータ装置は、リセスを含む垂直方向に隣接する構造プラットホームを有する昇降路と、このリセス内に据付可能な巻上機と、を有する。垂直方向に隣接する構造プラットホームは、昇降路の天井もしくは床のいずれかを定める。
【0008】
巻上機を昇降路のリセス内に据え付けることで、巻上機が昇降路から取り除かれ、巻上機を収容するために昇降路を水平方向および垂直方向のいずれにも拡張する必要がなくなる。これにより、必要な昇降路空間が、かご、釣合いおもり、ガイドレール、およびロープを収容するのに充分な大きさまで減少する。
【0009】
本発明の特定の実施例では、巻上機は、牽引式の巻上機であり、エレベータ装置は、かごおよび釣合いおもり用の牽引ロープとして平形ロープを使用する。平形ロープの使用によって駆動綱車の直径が最小化され、これに応じて巻上機の寸法も最小化されるので、この実施例は特に有用である。実際には、巻上機の直径は、200〜300mmの範囲とすることができる。多くのビルの屋根スラブは、200〜300mmの厚みを有するので、本実施例の巻上機は、ビルの屋根の上に延長部を設けることなく、屋根スラブのリセス内に据え付けることができる。
【0010】
本発明の主な特徴は、平形ロープを使用することである。本明細書において、平形ロープとは、幅w対厚みtの比率として定義されるアスペクト比が、実質的に1よりも大きいロープを含むと定められる。このようなロープの一例に関するより詳細な説明は、本出願人が有するとともに継続中の、1998年2月26日出願の米国特許出願第09/031,108号、名称「エレベータ用の引張部材」、および1998年12月22日出願の米国特許出願第09/218,990号、名称「エレベータ用の引張部材」に含まれている。
【0011】
本発明の他の実施例では、エレベータ装置は、かごの下を通過するようにかごのつり車と係合するロープと、かごの屋根の線よりも下に配置された小型のドア作動装置と、を含む。この実施例では、かごの屋根が昇降路の天井に隣接する(最小の安全距離を含む)高さまでかごを昇降路内で上昇させることが可能となる。この実施例の利点は、最上階の乗場と昇降路の天井との間の垂直距離が最小化される点である。実際には、約2.2メートルの従来のかご高さに対する、(以下で“オーバヘッド”と呼ぶ)最上階の乗場から昇降路の天井までの距離は、2.5〜2.8メートルとすることができる。この構成では、ビルの全ての階を同じ高さ、すなわち2.5〜2.8メートルとすることが可能となるので、ビルの設計および建設に関する利点がさらに提供される。
【0012】
上述およびその他の本発明の目的、特徴、および利点は、以下の例示的な実施例の詳細な説明および添付図面によってより明らかとなる。
【0013】
【発明を実施するための最良の形態】
図1には、本発明のエレベータ装置12が示されている。このエレベータ装置は、かご14、巻上機16、釣合いおもり(図示省略)、およびかご14と釣合いおもりとを連結する1つまたは複数のロープ18を含む。かご14は、壁22,24と天井26とによって画成される昇降路20を通って昇降する。図1には明瞭化のために示されていないが、かご14と釣合いおもりは、従来のガイドレールなどのガイド面に沿って昇降する。
【0014】
昇降路20は、ビルの各々の乗場28に沿って垂直に延びる。各乗場28は、構造プラットホームすなわちスラブ30を含む。ビルの屋根は、昇降路20の天井26を定める他の構造プラットホームすなわちスラブ32である。昇降路20の天井26は、かご14の最上の昇降地点である。屋根スラブ32は、天井26から上向きに延びるリセス34を含む。このリセス34は、巻上機16を収容する大きさに設けられている。さらに、ロープ18用の終端装置36が屋根スラブ32に取り付けられている。
【0015】
巻上機16は、屋根スラブ32のリセス34内に設けられている。ロープ18は、巻上機16から下向きに延びて、かご14および釣合いおもりと係合する。巻上機16は、屋根スラブのリセス内でかつ実質的に天井26より上に設けられていることで、かご14の昇降通路の内部にも昇降通路に隣接する位置にもない。この特徴によって、エレベータ装置12で必要な水平方向断面積が最小化される。さらに、かご14の昇降通路は、昇降路20の天井26まで延びることが可能となり、安全距離を含むかご14の昇降に必要な空間以外に、かご14の上部に追加のオーバヘッド空間OHは不要となる。
【0016】
図2a,図2bには、1つの種類の据付配置が示されている。この据付配置38は、巻上機16を支持するベッドプレート40を含む。このベッドプレート40は、釣合いおもり用レール44に固定された一対のビーム42によって支持されている。これにより、巻上機16の荷重は、昇降路20のピットに伝達される。
【0017】
図3には、他の据付配置が示されている。この据付配置46は、リセス34より上に配置され、かつ屋根スラブ32の頂部と係合する取付ビームすなわちプラットホーム48を含む。巻上機16は、ビーム48から懸吊される。ビーム48がリセス34より上に配置されているために、リセス34は、屋根スラブ32を貫通して設けられている。
【0018】
図4a,図4bには、さらに他の据付配置50が示されている。この据付配置は、ベッドプレート54を支持する一対のビーム52を含む。巻上機16は、ベッドプレート54上に位置する。ビーム52は、巻上機16の荷重がビルに伝達されるように屋根スラブ32に固定されている。図3に示した上述の据付配置と同様に、この据付配置では、屋根スラブ32を貫通するようにリセス34を設ける必要がありうる。このため、環境的な妨害物からリセス34を封止するためにカバー56を使用することができる。
【0019】
図1を再び参照すると、ロープ18は、かごの底部に設けられた一対のつり車58によって2:1ローピング方式、すなわち従来のアンダスラング方式でかご14と係合している。この種類の2:1ローピング方式では、要求されるトルクが減少するとともにモータの回転速度が増加するという利点が提供され、これにより、巻上機14に要求される出力および寸法が最小化される。この結果、リセス34に必要な空間が小さくなる。これに加えて、つり車58がかご14の底部に設けられていることによって、昇降路20の頂部においてかご14の上部に設ける必要がある昇降空間およびオーバヘッド空間の大きさがさらに最小化される。
【0020】
好適実施例では、ロープ18は、平形ロープである。平形ロープ18を使用することで、ロープ18と係合するつり車58の寸法を最小化することができる。巻上機16では、これによって駆動綱車60の直径が最小化されるとともに、巻上機16で必要なトルクが最小化される。これにより、巻上機16を非常に小型のものとし、かつリセス34に必要な空間を最小とすることができる。さらに、つり車58を最小化することもでき、これにより、かご14および釣合いおもりのために必要となる空間、そして昇降路20の断面積が減少する。この実施例では、エレベータ装置12を懸吊して駆動するために平形ロープを使用しているが、鋼または非金属材料によって構成される従来の円形ロープなどの他の種類のロープを使用することもできる。
【0021】
かご14は、一対の両引き戸62とドア作動装置64とを含んでいる。図1では、両引き戸を示しているが、片引き戸および/またはテレスコーピングドア装置などの他のドア装置を本発明と共に使用することもできる。図1に示すように、ドア作動装置64は、電子制御装置66と、ドアガイドレール69と係合した複数の電動ドアローラ68と、を含む。このような小型のドア作動装置64を使用することで、典型的なエレベータかごの屋根36に設置された従来のドア作動装置などのような機器がない状態にかごの屋根を保つことができる。電動ローラ68を有するように図示されているが、かごに取り付けられているとともに牽引コードを介してドアと係合する電動プーリや、リニアモータ式ドア装置などの他の小型ドア装置を本発明と共に使用することもできる。さらに、追加のオーバヘッド空間が利用可能な場合には、従来のドア作動装置を本発明と共に使用することもできる。また、昇降路の底部にドア作動装置に利用可能な充分な昇降空間があれば、ドア作動装置をかごの底部に取り付けることもできる。
【0022】
屋根スラブ32のリセス内に巻上機16を設けることによって得られる効果は、屋根スラブ32と最上の乗場スラブ28との間に要求される垂直空間すなわちオーバヘッドOHの大きさが最小化されることである。この距離OHは、かご14の垂直高さhと、エレベータ装置12の安全運行のために要求されるかご14の安全距離dの必要な大きさと、に限定することができる。かご14の安全距離dの大きさは、該当する安全基準によって僅かに変化するが、典型的には、(かご速度の関数である)かごのジャンプと、(約50mmである)かごの許容される超過昇降距離と、釣合いおもりと接触した場合における釣合いおもり緩衝器の最大垂直移動距離である釣合いおもり緩衝器のストロークと、の和である。秒速約1メートルで昇降するかごでは、要求されるかごの安全距離dは一般に約300mmである。
【0023】
例えば、従来のかごは、約2.2メートルの高さhを有する。上述のエレベータ装置12の安全運行のために、最上の乗場スラブ28と昇降路20の天井26との間に必要な総オーバヘッドOHは、約2.5メートルである。住居用ビルにおける一般的な階床間隔も約2.5メートルなので、この距離OHは、商業的に重要である。オフィス用ビルでは、階床間の間隔がより大きく、一般に2.8メートル程度である。このため、本発明のエレベータ装置を備えるいずれの種類のビルでも、ビルを通して階床間隔を一定とすることができる。この特徴は、建築家や建設業者により大きな自由度を提供し、また、最上階に追加の垂直空間を設ける必要がなくなるので、ビルの所有者にコスト削減を提供する。さらに、巻上機が昇降路内もしくはかごの昇降通路に水平方向に隣接して配置されていないので、エレベータ装置で必要な断面空間も最小化され、これによりビルの建設コストがさらに減少する。
【0024】
図5は、本発明の他の構成を示している。このエレベータ装置72では、かご76の昇降通路より下に巻上機74が配置されている。図5に示すように、昇降路78は、昇降路78の床82を定めるとともにリセス84を有する基礎すなわちピットスラブ80を含む。巻上機74は、かご76の昇降通路よりも下に位置するようにリセス84内に設けられている。ロープ86は、巻上機74から上向きに延びて、昇降路78の頂部に取り付けられた一対のそらせ車88と係合する。ロープ86は、ここから下向きに延びて、かご76および釣合いおもり90と係合する。この構成では、図1の実施例に比べて追加のローピングとそらせ車が必要となるが、必要な昇降路の垂直空間を最小化するという目的は達成される。
【0025】
図6a,図6bは、本発明のエレベータ装置の他のローピング方式を示している。図6aでは、ロープ18’は、図1と同様に2:1ローピング方式でかご14’と係合しているが、かご14’のつり車58’は、かご14’の屋根に設けられている。すなわち、かご14’はオーバスラング方式で懸吊されている。この構成では、図1の実施例よりもかご14’の上部に必要な空間が大きくなるが、この追加の空間は、つり車58’の直径を最小化するために平形ロープを使用することで最小化することができる。図6bでは、ロープ18”は、かご14”に直接連結されている。この実施例では、つり車がかごから完全に取り除かれるが、図1に比べて巻上機16に要求される出力が増加する。
【0026】
図7には、本発明のまた他の実施例が示されている。この実施例では、巻上機92の回転軸94に沿った巻上機92の厚みを最小化するために、ディスク型モータ93を備える巻上機92が使用されている。この結果、巻上機92は、その回転軸94が垂直に方向づけられた状態で天井スラブ96のリセス95内に設けられている。巻上機92の向きによって、ロープ97は、巻上機92から水平でかつ外向きに延びるので、一対のそらせ車98がロープ97と係合してロープ97をかごおよび釣合いおもり(図示省略)まで下向きに導くように設けられている。図7に示すように、そらせ車98も屋根スラブのリセス95内に設けられている。
【0027】
本発明は、例示的な実施例に関して開示および説明されているが、当業者であれば分かるように、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の変更、省略、および追加を行うことができる。例えば、図では、牽引式巻上機として示しているが、ドラム式や油圧式の装置などの他の種類の巻上機を本発明と共に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に係るエレベータ装置の説明図である。
【図2】
図2aは、エレベータ巻上機の据付配置の側面図、図2bは、この据付配置の平面図である。
【図3】
エレベータ巻上機の他の据付配置の側面図である。
【図4】
図4aは、エレベータ巻上機のさらに他の据付配置の側面図であり、図4bは、この据付配置の平面図である。
【図5】
かごの昇降通路より下に巻上機を設けたエレベータ装置の他の実施例の説明図である。
【図6】
エレベータ装置の他のローピング方式の説明図であり、図5aでは、ロープがかごの上部に取り付けられたつり車と係合しており、図5bでは、ロープがかごに直接取り付けられている。
【図7】
平らなディスク型モータを含むとともに、ロープが巻上機から水平方向に延びるように据え付けられている巻上機を有する、エレベータ装置の他の実施例の説明図である。
Claims (25)
- 昇降路の頂部を定める面を有するとともに、この面から上向きに延びるリセスを備える上部構造プラットホームを含む昇降路と、
かごと、
前記かごと係合する1つまたは複数のロープと、
前記ロープと係合するとともに前記リセス内に配置された巻上機と、を有することを特徴とするエレベータ装置。 - 前記巻上機を支持するベッドプレートをさらに含み、このベッドプレートは、前記上部構造プラットホームに取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置。
- 前記ベッドプレートは、前記リセス内に配置されていることを特徴とする請求項2記載のエレベータ装置。
- 前記1つまたは複数のロープは、前記かごに取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置。
- 前記かごは、1つまたは複数のつり車を含み、前記1つまたは複数のロープは、前記1つまたは複数のつり車と係合していることを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置。
- 前記1つまたは複数のつり車は、前記ロープが前記かごの下を通過するように配置されていることを特徴とする請求項5記載のエレベータ装置。
- 前記1つまたは複数のつり車は、前記ロープが前記かごの上を通過するように配置されていることを特徴とする請求項5記載のエレベータ装置。
- 前記昇降路を通って延在する1つまたは複数のガイド部材をさらに含み、前記かごは、該かごが昇降中に案内されるように前記ガイド部材と係合しており、前記巻上機は、前記1つまたは複数のガイド部材によって支持されていることを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置。
- 前記巻上機を支持するベッドプレートをさらに含み、このベッドプレートは、前記1つまたは複数のガイド部材に取り付けられていることを特徴とする請求項8記載のエレベータ装置。
- 前記1つまたは複数のロープは、平形ロープを含むことを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置。
- 前記1つまたは複数のロープは、非金属材料から構成された耐荷重ストランドを有するロープを含むことを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置。
- 前記上部構造部材は、屋根を定める上面を含むことを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置。
- 前記上部構造部材は、上面を備えるとともに300mm以下の厚みを有し、この厚みは、前記昇降路の頂部を定める面から前記上面までを測定したものであり、前記巻上機は、前記上部構造部材の厚みの範囲内に据付可能であることを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置。
- 前記1つまたは複数のロープは、前記かごに均衡のとれたつり上げ力を提供するように該かごと係合していることを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置。
- 前記1つまたは複数のロープは、前記かごに不均衡な吊り上げ力を提供するように該かごと係合していることを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置。
- 前記昇降路を通って延在する1つまたは複数のガイド部材をさらに含み、前記かごは、該かごが昇降中に案内されるように前記ガイド部材と係合しており、前記昇降路は、壁を含み、前記1つまたは複数のガイドレールは、前記かごがカンチレバー式に案内されるように前記昇降路の壁に沿って配置されていることを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置。
- 前記巻上機は、ディスク型の巻上機であることを特徴とする請求項1記載のエレベータ装置。
- 前記ロープは、前記巻上機から水平方向に延びていることを特徴とする請求項17記載のエレベータ装置。
- ビルを通って延びるとともに、最上の乗場を含む複数の離間された乗場と、昇降路の頂部を定める面を有する上部構造プラットホームと、を含み、前記最上の乗場と前記昇降路の頂部との距離が、他の1つまたは複数の隣接する乗場間の距離に実質的に等しい昇降路と、
前記昇降路内で昇降するように設けられたかごと、
前記かごと係合する1つまたは複数のロープと、
前記ロープと係合するとともに前記かごよりも上に配置された巻上機と、を有することを特徴とするエレベータ装置。 - 前記上部構造プラットホームは、前記面から上向きに延びるリセスを含み、前記巻上機は、前記リセス内に延在していることを特徴とする請求項19記載のエレベータ装置。
- 前記巻上機は、前記リセス内の固定位置に配置されていることを特徴とする請求項20記載のエレベータ装置。
- 昇降路の天井または床のいずれかを定める面を有し、かつこの面からプラットホーム内に延びるリセスを備える垂直方向に隣接する構造プラットホームを含む昇降路と、
かごと、
前記かごと係合する1つまたは複数のロープと、
前記ロープと係合するとともに前記リセス内に配置された巻上機と、を有することを特徴とするエレベータ装置。 - 前記構造プラットホームは、前記面が前記昇降路の天井を定める上部構造プラットホームであり、前記巻上機は、前記昇降路よりも上に配置されていることを特徴とする請求項22記載のエレベータ装置。
- 前記構造プラットホームは、前記面が前記昇降路の床を定める下部構造プラットホームであり、前記巻上機は、前記昇降路よりも下に配置されていることを特徴とする請求項22記載のエレベータ装置。
- 昇降路の天井または床のいずれかを定める面を有し、かつこの面からプラットホーム内に延びるリセスを備える垂直方向に隣接する構造プラットホームを含む昇降路と、
かごと、
前記昇降路を通って前記かごを昇降させるように前記かごと係合しているとともに前記リセス内に配置された巻上機と、を有することを特徴とするエレベータ装置。
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