JP2004503905A - 改善された酸化物被覆陰極及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、支持体(1)と支持体の上の酸化物層(3)とを含む酸化物被覆陰極(2)に関する。陰極は更に、導電材料の粒子(8)を含み、粒子は支持体内に入り込む第1の端(8a)と酸化物層内に入り込む第2の端(8b)を有し、それにより、支持体と酸化物層との間に形成される境界層(6)を貫通する導電ブリッジを形成する。本発明は更に、このような陰極を製造する方法に関する。導電粒子によって、酸化物層と境界層における導電性を改善する。
Description
【0001】
本発明は電子管の分野に係り、より詳細には、陰極に係り、この陰極の電子管における機能は電子を放出し、電子電流源となることである。
【0002】
より具体的には、本発明は、いわゆる酸化物陰極に関する。これらの陰極は、最も一般的に使用されているが、酸化物の層を含み、酸化物の層は、金属支持体の1つの面上にある強い電子エミッタである。金属支持体は、周囲の電位に対し負である電位に接続され、それにより、その酸化物層から電子フラックスが放出されることが可能となる。
【0003】
図1は、従来の酸化物陰極2の断面を示す断面略図である。支持体1は、ピルを構成するニッケルメッキからなり、ニッケルメッキはウォッシュコートの形状である酸化物層3によって覆われる面1aを有する。ウォッシュコートは、活性化合物充填剤及び結合剤からなる被膜である。活性化合物は一般的に、炭酸バリウム(BaCO3)及び他の元素の炭酸塩をベースにしており、これらは、その後、酸化バリウム(BaO)及び他の元素の酸化物に転化される。
【0004】
酸化物層は、通常、電子を放出するためには比較的高い温度になければならない。いわゆる従来の傍熱陰極の場合では、フィラメントのような熱源は、支持体の付近に設けられ、低電圧電流源に接続される。
【0005】
動作時は、電子電流は、周囲の電界の効果によって酸化物層3の厚さ方向(矢印I)に流れる。電界は、支持体1と酸化物層3の外面3aの付近に配置される電極5との間に電位差を形成することによって発生する。この例では、支持体は、地電流に基準が取られており、その一方で、電極5は高い正の電圧+Vによってバイアスされている。陰極2によって得られる電子フラックスは、電子電流Iの強さに比例する。
【0006】
図2は、時間が経過して変化した陰極2の同一の断面図を示す。境界層と称される抵抗層6が、金属支持体1とウォッシュコート層3との間に成長していることが分かる。
【0007】
幾つかの適用では、できるだけ高い陰極内の電子電流を得ることを必要とする。これは、特に、「マルチメディア」及び「高解像度」ディスプレイスクリーン及びビデオプロジェクタに使用される陰極線管、さらには、マイクロ波分野に使用される電子管といった場合に必要となる。
【0008】
酸化物陰極から得られる電子電流の強度は、その陰極が十分に高い導電率を有さないために制限されることはよく知られている。ここでいう導電率とは、本質的に、酸化物層3の厚さ及び境界層6の厚さ方向における導電率であり、支持体1を通る導電率は本質的に無視され得る。尚、層の導電率はその抵抗率と反比例する。
【0009】
更に、酸化物陰極はあまり高い電流密度には良好な耐性がなく、これは特に、電流が長い時間に亘って一定である場合に言え、これは、酸化物陰極の不十分な導電率に基づく。
【0010】
この酸化物陰極の不十分な導電率には、2つのパラメータが寄与していることが一般的に理解されている。1つは、電子放出ウォッシュコート3は酸化物をベースにしており、酸化物は元来あまり導電性は良くないことである。もう1つは、金属支持体1とウォッシュコート3との間の抵抗境界層6が成長することである。
【0011】
図3は、それぞれ電子放出ウォッシュコート3及び境界層6から得られる、酸化物陰極の電気抵抗の成分R1及びR2を示す電気回路である。これらの2つの層が重ねられることにより、これら2つの抵抗成分R1及びR2は、直列式の抵抗器のように組み合わされる。
【0012】
ウォッシュコート層3の電気抵抗への寄与は、陰極の耐用年数に亘って変化する。これは、酸化物層内に、酸化バリウム(BaO)とニッケルから拡散される還元要素との間の反応によって金属バリウムが形成されるからである。この金属バリウムは、その主な役割はウォッシュコートの表面に移動し、それにより電子放出を可能にし、ウォッシュコートに導電性を与えることである。しかし、金属バリウムの量は以下の2点の理由から減少する。
【0013】
1つの理由は、ニッケルのより深いところから還元元素が拡散されるようになるので金属バリウムの発生が疲労してくることである。
【0014】
もう1つの理由は、境界層6自体が、これらの還元元素に対し拡散バリアとして作用することである。
【0015】
境界層6の導電性への寄与が耐用年数の経過とともに変化するのは、この境界層が成長することによる。この境界層は、ウォッシュコートとニッケルに含まれる還元元素(例えば、Mg、Si、Al、Zr、W等)との間の化学反応によって成長し、境界層に化合物が堆積される。これらの化合物は、特に、MgO、Al2O3、SiO2、Ba2SiO4、BaZrO3、Ba3WO6等といった酸化物であるのでその導電率は低い。
【0016】
酸化物陰極の電気抵抗の原因及びその時間的な経過に伴う変化は、持続することが可能である電子電流密度を増加するために、従来技術において研究されてきている。
【0017】
酸化物層3の抵抗を減少するために採られている1つの解決策として、一般的に酸化物層に導電性充填剤を混合することが公知である。例えば、
‐米国特許第4,369,392号では、ウォッシュコートにニッケル粉末を混合することが提案されており、この場合、粉末の混合は、加圧及び焼結によって行われる。
【0018】
‐米国特許第4,797,593号は、ウォッシュコートに酸化スカンジウム又は酸化イットリウムを添加する解決策を提供しており、このことによる効果の1つとして、導電性が改善される。
【0019】
‐米国特許第5,592,043号は、金属(W、Ni、Mg、Re、Mo、Pt)及び(Ba、Ca、Al、Sc、Sr、Th、Laの)酸化物を含む固体の形態であるウォッシュコートを提案し、これは、「パーコレーション」効果によって導電性を増加する。
【0020】
‐米国特許第5,925,976号は、ウォッシュコートに金属(Ti、Hf、Ni、Zr、V、Nb、Ta)を添加することを提案する。
【0021】
他の解決策としては、境界層6の効果を弱めることを目的とする。例えば、
‐米国特許第4,273,683号は、特に、Ba3WO6から形成される境界層に関する。ニッケル粉末の層が、ウォッシュコートが付着される前にニッケル支持体に付着され、さらに、ウォッシュコートの厚さに炭酸バリウムの濃度勾配が形成される。BaCO3の濃度は境界面に接触している領域では低いので、形成されるBa3WO6化合物は少ない。
【0022】
‐米国特許第5,519,280号は、インジウム酸化スズ(In2O3及びSnO2をベースにする複合体)をウォッシュコートに混合し、導電性を与え且つ境界層の成長を制限することによって作用する解決策を記載する。
【0023】
‐米国特許第5,977,699号は、支持体のニッケルとウォッシュコートとの間に、ジルコニウム(Zr)をベースにした層を挿入することを提案する。この層は、その還元剤特性によって境界層を減少する。
【0024】
‐1998年7月7日から10日の間、日本の筑波で開催された「International Vacuum Electron Sources Conferences」IVESC98の議事録におけるTakuya Ohira外による「An analysis of the surface of the NiW layer of tungsten film coating cathode」なる名称の発表には、タングステン粉末の層が、ウォッシュコートが付着される前に支持体のニッケルに付着される解決策が記載される。この層は還元元素(Si及びMg)を拡散する効果を有し、それにより、境界層における化学反応によってもたらされる化合物(特に、BaSiO4)はあまり蓄積せず、従って、あまりバリアとして作用しない境界層が得られることを説明する。
【0025】
‐米国特許第4,924,137号には更に、酸化物層と支持体との間の化学反応によって形成されるバリウムが、蒸発によって消えるのではなく、ウォッシュコートに吸収されることを確実にするよう提案される。このために、酸化スカンジウムと、Al、Si、Ta、V、Cr、Fe、Zr、Nb、Hf、Mo、又はWの酸化物がウォッシュコートに混合される。
【0026】
最後に、いわゆる直熱陰極のコンテキストにおいても解決策が提案されている。例として、米国特許第4,310,777号は、大量のタングステンを有するニッケル支持体の場合、比較的狭い範囲におけるニッケルにジルコニウムを集中させることを提案する。同様に、米国特許第4,313,854号は、ニッケル支持体が高い割合で超硬合金を含む場合、金属(Si、B、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、又は、V)炭化物の層をニッケルとウォッシュコートとの間に挿入し、それにより、境界層の成長を阻止することを提案する。
【0027】
尚、従来技術の解決策は、単一的に酸化物層に関連する特性及び境界層に関連する特性を考慮していない。
【0028】
更に、含浸型陰極と称される他の種類の陰極も存在し、これは、高い電子電流が長い時間に亘って一定であっても、高い電子電流を有する安定した状態を維持することが可能である。この陰極は、電子放出材料に含浸される多孔金属ピルを含む。しかし、この陰極は複雑であり且つ製造費は高いので、多くの応用、特に、商業市場に向けた陰極線管には適していない。
【0029】
上記を鑑みて、本発明は、支持体と、支持体上の酸化物層とを含む酸化物陰極を提供することを目的とする。
【0030】
本発明の酸化物陰極は更に、導電材料の粒子を含み、この粒子は、支持体内に入り込む第1の端と、酸化物内に入り込む第2の端とを有し、それにより、支持体と酸化物層との間に形成される境界層を貫通する導電ブリッジが形成される。
【0031】
粒子の導電材料は、以下のような1つ以上の金属の炭化物であることが有利である。
【0032】
‐IVB族の金属、好適には、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、及び、ハフニウム(Hf)のうちの少なくとも1つの金属;
‐VB族の金属、好適には、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、及び、タンタル(Ta)のうちの少なくとも1つの金属;
−VIB族の金属、好適には、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、及び、タングステン(W)のうちの少なくとも1つの金属.
支持体は金属から形成され、好適には、ニッケルベースの金属である。
【0033】
本発明は更に、上述したような酸化物陰極を含む、例えば、陰極線管といった電子管に関する。この陰極線管は、いわゆる「マルチメディア」テレビジョン適用に使用され得る。
【0034】
本発明は更に、酸化物陰極を製造する方法に係り、この方法では、酸化物層は支持体上に付着される。この方法は更に、以下の段階を含む。
【0035】
‐酸化物層を受容する支持体の表面に導電材料の粒子を供給し、粒子の第1の端が支持体内に入り込み、第2の端が露出される段階と、
‐上記表面を酸化物層によって覆う段階とを含む。
【0036】
本発明の第1の製造方法では、導電材料の粒子を供給する段階では、表面全体に粒子を噴霧し、粒子に力を付加し、それにより粒子の第1の端が支持体内に入り込む。
【0037】
本発明の第2の製造方法では、導電材料の粒子を供給する段階では、支持体内に粒子を混合し、例えば、選択的な化学エッチング処理といった表面処理によって支持体から粒子の第2の端が外側に出るようにする。
【0038】
粒子は、支持体の冶金加工の際に支持体に混合されてよい。
【0039】
引抜き加工によって支持体が形成され、粒子の第2の端は、引抜き加工の前又は後に露出される。
【0040】
本発明の利点は、添付図面を参照しながら、例示的な目的として挙げられる好適な実施例の説明を読むことによりより明らかとなろう。
【0041】
図4は、本発明の陰極2の基本的な構造を示す断面略図である。この図面は、図2と同様であり、2つの図面に共通する部分は同一の参照番号を有する。
【0042】
従って、図4は、ニッケルベースの導電支持体1を示し、その表面1aにはウォッシュコートの形状である酸化物層3が付着される。使用時には、表面1aと酸化物層3との間に境界層6が形成され、このことは、図2を参照して説明した。
【0043】
以下に示す実施例は、間接的に加熱される酸化物層、つまり、例えば、支持体の付近にあり、低電圧電流源に接続されるフィラメントといった手段のような支持体1の外部にある熱源によってある温度にまで加熱される陰極を考慮する。しかし、本発明は、直熱陰極にも同様に適用することが可能である。
【0044】
本発明では、陰極2は、支持体1と酸化物層3との間の境界に配置される導電材料の粒子8を含む。粒子8は、酸化物層3によって覆われる表面全体(又は少なくとも一部)に亘って略均一に分布される。
【0045】
図4aにより詳細に示されるように、各粒子8は、支持体1の表面1aを通り、それにより支持体内に入り込む1つの端8aと、酸化物層3の厚さ内に入り込む第2の端8bを有する。2つの端8a及び8bは、粒子形状の不規則性の範囲内であり、支持体1の表面1aに対し垂直である軸A上の両端となる。
【0046】
粒子の中間部8cは、境界層6の厚さを端から端まで通る。従って、粒子8は、導電ブリッジを形成し、これは、支持体1の本体を第2の端8b、即ち、酸化物層3内の終端点に接続する導電リンクを確立する。
【0047】
尚、酸化物層3の厚さと比較した際の平均粒子径は、上述した軸Aに沿っての粒子の突起P、即ち、酸化物層3内に入り込む突起Pは、所望する特性に応じて、酸化物層3の厚さEに対し大きい割合又は小さい割合を有してよい。
【0048】
粒子8の存在によって、酸化物層3及び境界層6による電気抵抗を下げる効果を、図5を参照しながら説明する。
【0049】
図5では、陰極2は、図1及び図3と同様に地電位に基準がとられ、良好な導電体である支持体の電気抵抗は無視される。ここで、陰極2の長手方向について垂直である軸Aの方向における支持体の1aから酸化物層3の外面3aまでの部分についての電気抵抗を考慮する。この部分は2つのパートに分けられる。第1のパートは酸化物層3の厚さを含み、第2のパートは境界層6の厚さを含む。これらのパートは重なり合わされているので、これらの抵抗は加法的に組み合わされる。第1のパートの抵抗をR3(図3のR1と比較されたい)と示し、第2のパートの抵抗をR4(図3のR2と比較されたい)と示す。
【0050】
境界層6を含む陰極2の第2のパートの抵抗R4は無視していいように思われる。というのは、粒子8が良好な導電体となっているので、この層は、各粒子が与える導電ブリッジ効果によって効果的に短絡されるからである。更に、全ての粒子8はともに、酸化物層の活性面全体に亘って分布される並列接続の組を形成する。
【0051】
酸化物層3を含む陰極2の第1のパートの電気抵抗R3を考慮するに、これも、粒子材料のない従来の陰極の抵抗R1と比較すると低くなっている。これは、酸化物層3内に粒子8が或る割合で入り込むことによって、酸化物層3内に導電ブリッジ効果が形成されるからである。従ってこの割合の部分において、電気抵抗が改善される。
【0052】
従って、本発明のインブリケート配列を有する導電粒子8を設けることによって、境界層6の抵抗(これは実質的にゼロとなる)及び酸化物層3の抵抗の減少を、このユニークな手段によって達成することが可能となる。
【0053】
粒子8の材料は、幾つかの基準を満足するものが選択されることが好適である。基準としては、支持体1のニッケル(又は他の金属)内に入り込むことが可能となるよう十分に硬いこと、陰極2からの電子放出に悪影響を与えないこと、導電体となること、酸化(特に、炭酸塩から酸化物への転化によって引き起こされる酸化)に耐性があること、化学的に安定している、特に、陰極の元素と反応しないこと、陰極の動作時に過度に蒸発又は拡散しないことが挙げられる。
【0054】
比較的高い融点を有する金属は、ニッケルよりも酸化し、従って、これは良好な解決策とはならない。更に、金属酸化物は十分に電気的に導電しないことが分かっている。その一方で、金属炭化物を用いることにより最適に実現され得る。金属炭化物のうち、以下から1つ以上を選択することが有利である。
【0055】
‐IVB族の炭化物、特に、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、及び、ハフニウム(Hf)の炭化物;
‐VB族の炭化物、特に、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)の炭化物;
‐VIB族の炭化物、特に、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)の炭化物;
列挙した金属炭化物は以下の全ての基準を満足するので好適である。
【0056】
a)非常に硬い(ビッカース硬度 >1000HV);
b)化学的に安定しており、且つ、不活性であり、陰極の電子放出に悪影響を与えない;
c)良好な導電体である(電気抵抗 <1センチメートルあたり100μオーム);
d)非常に高い耐酸化性である(例えば、炭化タンタル(TaC)、炭化ニオブ(NbC)、及び、炭化ジルコニウム(ZrC)は、空気中の酸化に最大800℃まで耐えることが可能である);
e)高い融点を有するので非常に熱安定性が高く、ほとんど蒸発しない(例えば、炭化ハフニウム(HfC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タンタル(TaC)、炭化チタン(TiC)、及び、炭化ジルコニウム(ZrC)は、3000℃より高い融点を有し、これらは他の材料の中でも最も高い)。
【0057】
本発明の酸化物陰極を製造する第1の方法を、図6a乃至6cを参照しながら説明する。
【0058】
初めに、導電支持体1を単に含む陰極プリフォームを用意する。ここにおける例では、導電支持体は、ニッケルベースの材料1の連続ストリップを、支持体の最終的な寸法となるよう切断し引抜き加工されたものである。図6aに示されるように、上述した組成による1つ以上の金属炭化物の粒子8を含む粉末が、ストリップの表面1a上に散布される。
【0059】
次に、粒子8の一部8aは表面1aに接触する1つの端を形成し、この端8aは、粒子8の反対の端8bから、矢印F(図6b参照)の方向に圧縮力が加えられることにより、支持体1の材料内入り込む。このエンクラステーション圧力を付加するために幾つかの技術が用いられ得る。図示される例では、エンクラステーション圧力は、粒子の上方に配置される垂直プレス10によって得られ、これは、所望する度合いの入り込み(エンクラステーション)度合いを得るよう制御される。更に、同様の技術的な効果が得られるようその表面に粉末が付着されるストリップ1を一対の圧縮ローラの間を通すことも考えられる。必要である場合には、支持体1は粒子8の良好な侵入を可能にするよう加熱されてもよい。
【0060】
一旦、粒子8が入り込むと、酸化物層3がその上に付着され、それによりストリップの表面1aと粒子8の露出している部分が覆われる。ここにおける例では、酸化物層には完全に粒子の露出している部分が埋め込まれる。従って、粒子は、その一端8aはニッケル内に入り込み、他端8bはウォッシュコートに入り込み、上述したような導電ブリッジを形成する。
【0061】
酸化物層3は1つ以上の炭酸塩と結合剤を含むウォッシュコートの形で用意される。一般的に、炭酸塩として、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、更には、炭酸カルシウムが使用される。図面には、境界層6は示されていないが、これは、境界層6は、陰極2のエージングとともに酸化物層の支持体の表面1aの付近における転化によって発達するからである。境界層の厚さを予め決定することが可能であり、従って、粒子8の入り込まない部分の高さがこの厚さを十分に越えるような大きさを有し、導電ブリッジとしての機能を満足することを保証することが可能である。
【0062】
本発明の酸化物陰極2を製造するもう1つの方法を、図7a乃至図7dを参照しながら説明する。この方法では、粒子8は支持体の構成材料内に支持体の冶金加工の際に混合される。この例の場合も、支持体はニッケルベースの支持体である。
【0063】
図7aに示す例は、粒子8が、金属テープの形状である支持体に混合される様子を示す。金属テープは後に切断され且つ引抜き加工され、支持体の最終的な形状にされる。
【0064】
テープ1は、ローラ12によって矢印Gの方向に動かされ、その上に酸化物層を受容するテープの表面1aは、続けて熱源14及び銃16を通され、銃16は粒子8を噴霧する。この技術に使用される粒子の組成は、第1の方法において使用したものと同一であってよい。
【0065】
この熱源14の役割は、金属ストラップの表面1aを十分に柔らかくなる(塑性相)ような温度に上昇させることである。熱源は、渦電流を金属ストリップ1内に流す装置であってよい。
【0066】
銃16は、テープの表面1aに強制的に粒子8を噴霧する。この表面は柔らかくされているので、粒子は、ストリップ本体の全体又は略全体に入り込み、且つ、本体内の表面1a付近において完全に埋め込まれる。このことは、図7bにより詳細に示す。
【0067】
次に、ストリップ1に、粒子の組成を変更することなくその表面1aにおけるストリップの構成材料を取り除くために選択的な化学エッチング処理を行う。この例では、エッチング処理はテープの表面1aに液相である酸18を付着することによって行われる(図7b参照)。蒸気エッチング、又は、プラズマエッチングといった他の技術も想到することが可能である。
【0068】
化学エッチング処理の後に、粒子8の外側に向いている端8bは表面から外側に出、その一方で反対の端8aはストリップ1の構成材料内にインブリケート配列されているか又は構成材料と一体の状態にある。このことは図7cに示す。このような状態は、ここではニッケルである支持体1の金属が、粒子を構成する金属酸化物よりも化学エッチング処理又はプラズマエッチング処理に対し耐性が弱いことによって得られる。
【0069】
次に、図7dに示すように、炭酸塩、特に、炭酸バリウムを含み、陰極の電子放出部を形成するウォッシュコート層3が、表面1a及び粒子8の突出している部分に付着される。
【0070】
第1の製造方法(図6bを参照)と同様に、化学エッチング処理後の粒子8の露出している部分は、表面1aから任意の境界層を貫通し、陰極の酸化物層に達するよう十分に外側に出ている。
【0071】
最後に、このように用意されたストリップは、陰極支持体プリフォームに切断され、陰極の本体が得られるよう引抜き加工される。
【0072】
この第2の製造方法の処理の変形では、ストリップの切断及び引抜き加工は、化学エッチング処理又は同様の処理の前に行われる。つまり、粒子8の端8bは、支持体1がそのプリフォームの状態にある又は最終状態にある際に露出される。
【0073】
最後に、第1の製造方法のもう1つの変形として、ストリップの製造過程の1つの段階において支持体1の厚さの全体に粒子を混合することを含む。この場合、表面の付近にある粒子が、それらの端8aがウォッシュコート3に埋め込まれると導電ブリッジとして作用し、その他の粒子は不活性となり、陰極の動作を阻止することはない。
【0074】
本発明の酸化物陰極は、酸化物陰極が通常使用される全ての分野、例えば、表示管(CRT)、マイクロ波管、グリッド管等を含む幅広い分野に適用されることが可能であることを理解するものとする。
【0075】
本発明は、本願に記載されないが、当業者の能力及び特許請求の範囲内にある多くの様々な変形に、特に、材料の選択、寸法パラメータ、及び製造処理に関して適用することが可能であることを理解するものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】
従来の酸化物陰極及び電子放出に寄与する電界の発生のために使用する電極の一部を示す断面略図である。
【図2】
境界層が形成された従来の酸化物陰極の一部を示す断面略図である。
【図3】
酸化物層及び境界層による図2の陰極への電気抵抗の寄与を示す理論的電気回路図である。
【図4】
本発明の酸化物陰極の一部を示す断面略図である。
【図4a】
図4の陰極の導電材料の粒子のインブリケート配列の詳細を示す拡大図である。
【図5】
図4の陰極の電気抵抗に寄与する素子の示す理論的電気回路図である。
【図6a】
本発明の第1の陰極製造方法における1つの段階を示す図である。
【図6b】
本発明の第1の陰極製造方法における1つの段階を示す図である。
【図6c】
本発明の第1の陰極製造方法における1つの段階を示す図である。
【図7a】
本発明の第2の陰極製造方法における1つの段階を示す図である。
【図7b】
本発明の第2の陰極製造方法における1つの段階を示す図である。
【図7c】
本発明の第2の陰極製造方法における1つの段階を示す図である。
【図7d】
本発明の第2の陰極製造方法における1つの段階を示す図である。
本発明は電子管の分野に係り、より詳細には、陰極に係り、この陰極の電子管における機能は電子を放出し、電子電流源となることである。
【0002】
より具体的には、本発明は、いわゆる酸化物陰極に関する。これらの陰極は、最も一般的に使用されているが、酸化物の層を含み、酸化物の層は、金属支持体の1つの面上にある強い電子エミッタである。金属支持体は、周囲の電位に対し負である電位に接続され、それにより、その酸化物層から電子フラックスが放出されることが可能となる。
【0003】
図1は、従来の酸化物陰極2の断面を示す断面略図である。支持体1は、ピルを構成するニッケルメッキからなり、ニッケルメッキはウォッシュコートの形状である酸化物層3によって覆われる面1aを有する。ウォッシュコートは、活性化合物充填剤及び結合剤からなる被膜である。活性化合物は一般的に、炭酸バリウム(BaCO3)及び他の元素の炭酸塩をベースにしており、これらは、その後、酸化バリウム(BaO)及び他の元素の酸化物に転化される。
【0004】
酸化物層は、通常、電子を放出するためには比較的高い温度になければならない。いわゆる従来の傍熱陰極の場合では、フィラメントのような熱源は、支持体の付近に設けられ、低電圧電流源に接続される。
【0005】
動作時は、電子電流は、周囲の電界の効果によって酸化物層3の厚さ方向(矢印I)に流れる。電界は、支持体1と酸化物層3の外面3aの付近に配置される電極5との間に電位差を形成することによって発生する。この例では、支持体は、地電流に基準が取られており、その一方で、電極5は高い正の電圧+Vによってバイアスされている。陰極2によって得られる電子フラックスは、電子電流Iの強さに比例する。
【0006】
図2は、時間が経過して変化した陰極2の同一の断面図を示す。境界層と称される抵抗層6が、金属支持体1とウォッシュコート層3との間に成長していることが分かる。
【0007】
幾つかの適用では、できるだけ高い陰極内の電子電流を得ることを必要とする。これは、特に、「マルチメディア」及び「高解像度」ディスプレイスクリーン及びビデオプロジェクタに使用される陰極線管、さらには、マイクロ波分野に使用される電子管といった場合に必要となる。
【0008】
酸化物陰極から得られる電子電流の強度は、その陰極が十分に高い導電率を有さないために制限されることはよく知られている。ここでいう導電率とは、本質的に、酸化物層3の厚さ及び境界層6の厚さ方向における導電率であり、支持体1を通る導電率は本質的に無視され得る。尚、層の導電率はその抵抗率と反比例する。
【0009】
更に、酸化物陰極はあまり高い電流密度には良好な耐性がなく、これは特に、電流が長い時間に亘って一定である場合に言え、これは、酸化物陰極の不十分な導電率に基づく。
【0010】
この酸化物陰極の不十分な導電率には、2つのパラメータが寄与していることが一般的に理解されている。1つは、電子放出ウォッシュコート3は酸化物をベースにしており、酸化物は元来あまり導電性は良くないことである。もう1つは、金属支持体1とウォッシュコート3との間の抵抗境界層6が成長することである。
【0011】
図3は、それぞれ電子放出ウォッシュコート3及び境界層6から得られる、酸化物陰極の電気抵抗の成分R1及びR2を示す電気回路である。これらの2つの層が重ねられることにより、これら2つの抵抗成分R1及びR2は、直列式の抵抗器のように組み合わされる。
【0012】
ウォッシュコート層3の電気抵抗への寄与は、陰極の耐用年数に亘って変化する。これは、酸化物層内に、酸化バリウム(BaO)とニッケルから拡散される還元要素との間の反応によって金属バリウムが形成されるからである。この金属バリウムは、その主な役割はウォッシュコートの表面に移動し、それにより電子放出を可能にし、ウォッシュコートに導電性を与えることである。しかし、金属バリウムの量は以下の2点の理由から減少する。
【0013】
1つの理由は、ニッケルのより深いところから還元元素が拡散されるようになるので金属バリウムの発生が疲労してくることである。
【0014】
もう1つの理由は、境界層6自体が、これらの還元元素に対し拡散バリアとして作用することである。
【0015】
境界層6の導電性への寄与が耐用年数の経過とともに変化するのは、この境界層が成長することによる。この境界層は、ウォッシュコートとニッケルに含まれる還元元素(例えば、Mg、Si、Al、Zr、W等)との間の化学反応によって成長し、境界層に化合物が堆積される。これらの化合物は、特に、MgO、Al2O3、SiO2、Ba2SiO4、BaZrO3、Ba3WO6等といった酸化物であるのでその導電率は低い。
【0016】
酸化物陰極の電気抵抗の原因及びその時間的な経過に伴う変化は、持続することが可能である電子電流密度を増加するために、従来技術において研究されてきている。
【0017】
酸化物層3の抵抗を減少するために採られている1つの解決策として、一般的に酸化物層に導電性充填剤を混合することが公知である。例えば、
‐米国特許第4,369,392号では、ウォッシュコートにニッケル粉末を混合することが提案されており、この場合、粉末の混合は、加圧及び焼結によって行われる。
【0018】
‐米国特許第4,797,593号は、ウォッシュコートに酸化スカンジウム又は酸化イットリウムを添加する解決策を提供しており、このことによる効果の1つとして、導電性が改善される。
【0019】
‐米国特許第5,592,043号は、金属(W、Ni、Mg、Re、Mo、Pt)及び(Ba、Ca、Al、Sc、Sr、Th、Laの)酸化物を含む固体の形態であるウォッシュコートを提案し、これは、「パーコレーション」効果によって導電性を増加する。
【0020】
‐米国特許第5,925,976号は、ウォッシュコートに金属(Ti、Hf、Ni、Zr、V、Nb、Ta)を添加することを提案する。
【0021】
他の解決策としては、境界層6の効果を弱めることを目的とする。例えば、
‐米国特許第4,273,683号は、特に、Ba3WO6から形成される境界層に関する。ニッケル粉末の層が、ウォッシュコートが付着される前にニッケル支持体に付着され、さらに、ウォッシュコートの厚さに炭酸バリウムの濃度勾配が形成される。BaCO3の濃度は境界面に接触している領域では低いので、形成されるBa3WO6化合物は少ない。
【0022】
‐米国特許第5,519,280号は、インジウム酸化スズ(In2O3及びSnO2をベースにする複合体)をウォッシュコートに混合し、導電性を与え且つ境界層の成長を制限することによって作用する解決策を記載する。
【0023】
‐米国特許第5,977,699号は、支持体のニッケルとウォッシュコートとの間に、ジルコニウム(Zr)をベースにした層を挿入することを提案する。この層は、その還元剤特性によって境界層を減少する。
【0024】
‐1998年7月7日から10日の間、日本の筑波で開催された「International Vacuum Electron Sources Conferences」IVESC98の議事録におけるTakuya Ohira外による「An analysis of the surface of the NiW layer of tungsten film coating cathode」なる名称の発表には、タングステン粉末の層が、ウォッシュコートが付着される前に支持体のニッケルに付着される解決策が記載される。この層は還元元素(Si及びMg)を拡散する効果を有し、それにより、境界層における化学反応によってもたらされる化合物(特に、BaSiO4)はあまり蓄積せず、従って、あまりバリアとして作用しない境界層が得られることを説明する。
【0025】
‐米国特許第4,924,137号には更に、酸化物層と支持体との間の化学反応によって形成されるバリウムが、蒸発によって消えるのではなく、ウォッシュコートに吸収されることを確実にするよう提案される。このために、酸化スカンジウムと、Al、Si、Ta、V、Cr、Fe、Zr、Nb、Hf、Mo、又はWの酸化物がウォッシュコートに混合される。
【0026】
最後に、いわゆる直熱陰極のコンテキストにおいても解決策が提案されている。例として、米国特許第4,310,777号は、大量のタングステンを有するニッケル支持体の場合、比較的狭い範囲におけるニッケルにジルコニウムを集中させることを提案する。同様に、米国特許第4,313,854号は、ニッケル支持体が高い割合で超硬合金を含む場合、金属(Si、B、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、又は、V)炭化物の層をニッケルとウォッシュコートとの間に挿入し、それにより、境界層の成長を阻止することを提案する。
【0027】
尚、従来技術の解決策は、単一的に酸化物層に関連する特性及び境界層に関連する特性を考慮していない。
【0028】
更に、含浸型陰極と称される他の種類の陰極も存在し、これは、高い電子電流が長い時間に亘って一定であっても、高い電子電流を有する安定した状態を維持することが可能である。この陰極は、電子放出材料に含浸される多孔金属ピルを含む。しかし、この陰極は複雑であり且つ製造費は高いので、多くの応用、特に、商業市場に向けた陰極線管には適していない。
【0029】
上記を鑑みて、本発明は、支持体と、支持体上の酸化物層とを含む酸化物陰極を提供することを目的とする。
【0030】
本発明の酸化物陰極は更に、導電材料の粒子を含み、この粒子は、支持体内に入り込む第1の端と、酸化物内に入り込む第2の端とを有し、それにより、支持体と酸化物層との間に形成される境界層を貫通する導電ブリッジが形成される。
【0031】
粒子の導電材料は、以下のような1つ以上の金属の炭化物であることが有利である。
【0032】
‐IVB族の金属、好適には、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、及び、ハフニウム(Hf)のうちの少なくとも1つの金属;
‐VB族の金属、好適には、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、及び、タンタル(Ta)のうちの少なくとも1つの金属;
−VIB族の金属、好適には、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、及び、タングステン(W)のうちの少なくとも1つの金属.
支持体は金属から形成され、好適には、ニッケルベースの金属である。
【0033】
本発明は更に、上述したような酸化物陰極を含む、例えば、陰極線管といった電子管に関する。この陰極線管は、いわゆる「マルチメディア」テレビジョン適用に使用され得る。
【0034】
本発明は更に、酸化物陰極を製造する方法に係り、この方法では、酸化物層は支持体上に付着される。この方法は更に、以下の段階を含む。
【0035】
‐酸化物層を受容する支持体の表面に導電材料の粒子を供給し、粒子の第1の端が支持体内に入り込み、第2の端が露出される段階と、
‐上記表面を酸化物層によって覆う段階とを含む。
【0036】
本発明の第1の製造方法では、導電材料の粒子を供給する段階では、表面全体に粒子を噴霧し、粒子に力を付加し、それにより粒子の第1の端が支持体内に入り込む。
【0037】
本発明の第2の製造方法では、導電材料の粒子を供給する段階では、支持体内に粒子を混合し、例えば、選択的な化学エッチング処理といった表面処理によって支持体から粒子の第2の端が外側に出るようにする。
【0038】
粒子は、支持体の冶金加工の際に支持体に混合されてよい。
【0039】
引抜き加工によって支持体が形成され、粒子の第2の端は、引抜き加工の前又は後に露出される。
【0040】
本発明の利点は、添付図面を参照しながら、例示的な目的として挙げられる好適な実施例の説明を読むことによりより明らかとなろう。
【0041】
図4は、本発明の陰極2の基本的な構造を示す断面略図である。この図面は、図2と同様であり、2つの図面に共通する部分は同一の参照番号を有する。
【0042】
従って、図4は、ニッケルベースの導電支持体1を示し、その表面1aにはウォッシュコートの形状である酸化物層3が付着される。使用時には、表面1aと酸化物層3との間に境界層6が形成され、このことは、図2を参照して説明した。
【0043】
以下に示す実施例は、間接的に加熱される酸化物層、つまり、例えば、支持体の付近にあり、低電圧電流源に接続されるフィラメントといった手段のような支持体1の外部にある熱源によってある温度にまで加熱される陰極を考慮する。しかし、本発明は、直熱陰極にも同様に適用することが可能である。
【0044】
本発明では、陰極2は、支持体1と酸化物層3との間の境界に配置される導電材料の粒子8を含む。粒子8は、酸化物層3によって覆われる表面全体(又は少なくとも一部)に亘って略均一に分布される。
【0045】
図4aにより詳細に示されるように、各粒子8は、支持体1の表面1aを通り、それにより支持体内に入り込む1つの端8aと、酸化物層3の厚さ内に入り込む第2の端8bを有する。2つの端8a及び8bは、粒子形状の不規則性の範囲内であり、支持体1の表面1aに対し垂直である軸A上の両端となる。
【0046】
粒子の中間部8cは、境界層6の厚さを端から端まで通る。従って、粒子8は、導電ブリッジを形成し、これは、支持体1の本体を第2の端8b、即ち、酸化物層3内の終端点に接続する導電リンクを確立する。
【0047】
尚、酸化物層3の厚さと比較した際の平均粒子径は、上述した軸Aに沿っての粒子の突起P、即ち、酸化物層3内に入り込む突起Pは、所望する特性に応じて、酸化物層3の厚さEに対し大きい割合又は小さい割合を有してよい。
【0048】
粒子8の存在によって、酸化物層3及び境界層6による電気抵抗を下げる効果を、図5を参照しながら説明する。
【0049】
図5では、陰極2は、図1及び図3と同様に地電位に基準がとられ、良好な導電体である支持体の電気抵抗は無視される。ここで、陰極2の長手方向について垂直である軸Aの方向における支持体の1aから酸化物層3の外面3aまでの部分についての電気抵抗を考慮する。この部分は2つのパートに分けられる。第1のパートは酸化物層3の厚さを含み、第2のパートは境界層6の厚さを含む。これらのパートは重なり合わされているので、これらの抵抗は加法的に組み合わされる。第1のパートの抵抗をR3(図3のR1と比較されたい)と示し、第2のパートの抵抗をR4(図3のR2と比較されたい)と示す。
【0050】
境界層6を含む陰極2の第2のパートの抵抗R4は無視していいように思われる。というのは、粒子8が良好な導電体となっているので、この層は、各粒子が与える導電ブリッジ効果によって効果的に短絡されるからである。更に、全ての粒子8はともに、酸化物層の活性面全体に亘って分布される並列接続の組を形成する。
【0051】
酸化物層3を含む陰極2の第1のパートの電気抵抗R3を考慮するに、これも、粒子材料のない従来の陰極の抵抗R1と比較すると低くなっている。これは、酸化物層3内に粒子8が或る割合で入り込むことによって、酸化物層3内に導電ブリッジ効果が形成されるからである。従ってこの割合の部分において、電気抵抗が改善される。
【0052】
従って、本発明のインブリケート配列を有する導電粒子8を設けることによって、境界層6の抵抗(これは実質的にゼロとなる)及び酸化物層3の抵抗の減少を、このユニークな手段によって達成することが可能となる。
【0053】
粒子8の材料は、幾つかの基準を満足するものが選択されることが好適である。基準としては、支持体1のニッケル(又は他の金属)内に入り込むことが可能となるよう十分に硬いこと、陰極2からの電子放出に悪影響を与えないこと、導電体となること、酸化(特に、炭酸塩から酸化物への転化によって引き起こされる酸化)に耐性があること、化学的に安定している、特に、陰極の元素と反応しないこと、陰極の動作時に過度に蒸発又は拡散しないことが挙げられる。
【0054】
比較的高い融点を有する金属は、ニッケルよりも酸化し、従って、これは良好な解決策とはならない。更に、金属酸化物は十分に電気的に導電しないことが分かっている。その一方で、金属炭化物を用いることにより最適に実現され得る。金属炭化物のうち、以下から1つ以上を選択することが有利である。
【0055】
‐IVB族の炭化物、特に、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、及び、ハフニウム(Hf)の炭化物;
‐VB族の炭化物、特に、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)の炭化物;
‐VIB族の炭化物、特に、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)の炭化物;
列挙した金属炭化物は以下の全ての基準を満足するので好適である。
【0056】
a)非常に硬い(ビッカース硬度 >1000HV);
b)化学的に安定しており、且つ、不活性であり、陰極の電子放出に悪影響を与えない;
c)良好な導電体である(電気抵抗 <1センチメートルあたり100μオーム);
d)非常に高い耐酸化性である(例えば、炭化タンタル(TaC)、炭化ニオブ(NbC)、及び、炭化ジルコニウム(ZrC)は、空気中の酸化に最大800℃まで耐えることが可能である);
e)高い融点を有するので非常に熱安定性が高く、ほとんど蒸発しない(例えば、炭化ハフニウム(HfC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タンタル(TaC)、炭化チタン(TiC)、及び、炭化ジルコニウム(ZrC)は、3000℃より高い融点を有し、これらは他の材料の中でも最も高い)。
【0057】
本発明の酸化物陰極を製造する第1の方法を、図6a乃至6cを参照しながら説明する。
【0058】
初めに、導電支持体1を単に含む陰極プリフォームを用意する。ここにおける例では、導電支持体は、ニッケルベースの材料1の連続ストリップを、支持体の最終的な寸法となるよう切断し引抜き加工されたものである。図6aに示されるように、上述した組成による1つ以上の金属炭化物の粒子8を含む粉末が、ストリップの表面1a上に散布される。
【0059】
次に、粒子8の一部8aは表面1aに接触する1つの端を形成し、この端8aは、粒子8の反対の端8bから、矢印F(図6b参照)の方向に圧縮力が加えられることにより、支持体1の材料内入り込む。このエンクラステーション圧力を付加するために幾つかの技術が用いられ得る。図示される例では、エンクラステーション圧力は、粒子の上方に配置される垂直プレス10によって得られ、これは、所望する度合いの入り込み(エンクラステーション)度合いを得るよう制御される。更に、同様の技術的な効果が得られるようその表面に粉末が付着されるストリップ1を一対の圧縮ローラの間を通すことも考えられる。必要である場合には、支持体1は粒子8の良好な侵入を可能にするよう加熱されてもよい。
【0060】
一旦、粒子8が入り込むと、酸化物層3がその上に付着され、それによりストリップの表面1aと粒子8の露出している部分が覆われる。ここにおける例では、酸化物層には完全に粒子の露出している部分が埋め込まれる。従って、粒子は、その一端8aはニッケル内に入り込み、他端8bはウォッシュコートに入り込み、上述したような導電ブリッジを形成する。
【0061】
酸化物層3は1つ以上の炭酸塩と結合剤を含むウォッシュコートの形で用意される。一般的に、炭酸塩として、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、更には、炭酸カルシウムが使用される。図面には、境界層6は示されていないが、これは、境界層6は、陰極2のエージングとともに酸化物層の支持体の表面1aの付近における転化によって発達するからである。境界層の厚さを予め決定することが可能であり、従って、粒子8の入り込まない部分の高さがこの厚さを十分に越えるような大きさを有し、導電ブリッジとしての機能を満足することを保証することが可能である。
【0062】
本発明の酸化物陰極2を製造するもう1つの方法を、図7a乃至図7dを参照しながら説明する。この方法では、粒子8は支持体の構成材料内に支持体の冶金加工の際に混合される。この例の場合も、支持体はニッケルベースの支持体である。
【0063】
図7aに示す例は、粒子8が、金属テープの形状である支持体に混合される様子を示す。金属テープは後に切断され且つ引抜き加工され、支持体の最終的な形状にされる。
【0064】
テープ1は、ローラ12によって矢印Gの方向に動かされ、その上に酸化物層を受容するテープの表面1aは、続けて熱源14及び銃16を通され、銃16は粒子8を噴霧する。この技術に使用される粒子の組成は、第1の方法において使用したものと同一であってよい。
【0065】
この熱源14の役割は、金属ストラップの表面1aを十分に柔らかくなる(塑性相)ような温度に上昇させることである。熱源は、渦電流を金属ストリップ1内に流す装置であってよい。
【0066】
銃16は、テープの表面1aに強制的に粒子8を噴霧する。この表面は柔らかくされているので、粒子は、ストリップ本体の全体又は略全体に入り込み、且つ、本体内の表面1a付近において完全に埋め込まれる。このことは、図7bにより詳細に示す。
【0067】
次に、ストリップ1に、粒子の組成を変更することなくその表面1aにおけるストリップの構成材料を取り除くために選択的な化学エッチング処理を行う。この例では、エッチング処理はテープの表面1aに液相である酸18を付着することによって行われる(図7b参照)。蒸気エッチング、又は、プラズマエッチングといった他の技術も想到することが可能である。
【0068】
化学エッチング処理の後に、粒子8の外側に向いている端8bは表面から外側に出、その一方で反対の端8aはストリップ1の構成材料内にインブリケート配列されているか又は構成材料と一体の状態にある。このことは図7cに示す。このような状態は、ここではニッケルである支持体1の金属が、粒子を構成する金属酸化物よりも化学エッチング処理又はプラズマエッチング処理に対し耐性が弱いことによって得られる。
【0069】
次に、図7dに示すように、炭酸塩、特に、炭酸バリウムを含み、陰極の電子放出部を形成するウォッシュコート層3が、表面1a及び粒子8の突出している部分に付着される。
【0070】
第1の製造方法(図6bを参照)と同様に、化学エッチング処理後の粒子8の露出している部分は、表面1aから任意の境界層を貫通し、陰極の酸化物層に達するよう十分に外側に出ている。
【0071】
最後に、このように用意されたストリップは、陰極支持体プリフォームに切断され、陰極の本体が得られるよう引抜き加工される。
【0072】
この第2の製造方法の処理の変形では、ストリップの切断及び引抜き加工は、化学エッチング処理又は同様の処理の前に行われる。つまり、粒子8の端8bは、支持体1がそのプリフォームの状態にある又は最終状態にある際に露出される。
【0073】
最後に、第1の製造方法のもう1つの変形として、ストリップの製造過程の1つの段階において支持体1の厚さの全体に粒子を混合することを含む。この場合、表面の付近にある粒子が、それらの端8aがウォッシュコート3に埋め込まれると導電ブリッジとして作用し、その他の粒子は不活性となり、陰極の動作を阻止することはない。
【0074】
本発明の酸化物陰極は、酸化物陰極が通常使用される全ての分野、例えば、表示管(CRT)、マイクロ波管、グリッド管等を含む幅広い分野に適用されることが可能であることを理解するものとする。
【0075】
本発明は、本願に記載されないが、当業者の能力及び特許請求の範囲内にある多くの様々な変形に、特に、材料の選択、寸法パラメータ、及び製造処理に関して適用することが可能であることを理解するものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】
従来の酸化物陰極及び電子放出に寄与する電界の発生のために使用する電極の一部を示す断面略図である。
【図2】
境界層が形成された従来の酸化物陰極の一部を示す断面略図である。
【図3】
酸化物層及び境界層による図2の陰極への電気抵抗の寄与を示す理論的電気回路図である。
【図4】
本発明の酸化物陰極の一部を示す断面略図である。
【図4a】
図4の陰極の導電材料の粒子のインブリケート配列の詳細を示す拡大図である。
【図5】
図4の陰極の電気抵抗に寄与する素子の示す理論的電気回路図である。
【図6a】
本発明の第1の陰極製造方法における1つの段階を示す図である。
【図6b】
本発明の第1の陰極製造方法における1つの段階を示す図である。
【図6c】
本発明の第1の陰極製造方法における1つの段階を示す図である。
【図7a】
本発明の第2の陰極製造方法における1つの段階を示す図である。
【図7b】
本発明の第2の陰極製造方法における1つの段階を示す図である。
【図7c】
本発明の第2の陰極製造方法における1つの段階を示す図である。
【図7d】
本発明の第2の陰極製造方法における1つの段階を示す図である。
Claims (19)
- 支持体と、上記支持体上の酸化物層とを含む酸化物陰極であって、
上記支持体内に入り込む第1の端と、上記酸化物層内に入り込む第2の端とを有する導電材料の粒子を更に含み、それにより、上記支持体と上記酸化物層との間に形成される境界層を貫通する導電ブリッジが構成されることを特徴とする酸化物陰極。 - 上記粒子の上記導電材料は、1つ以上の金属の炭化物であることを特徴とする請求項1記載の酸化物陰極。
- 上記粒子の上記導電材料は、1つ以上のIVB族の金属の炭化物であり、好適には、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、及び、ハフニウム(Hf)のうちの少なくとも1つの金属の炭化物であることを特徴とする請求項2記載の酸化物陰極。
- 上記粒子の上記導電材料は、1つ以上のVB族の金属の炭化物であり、好適には、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、及び、タンタル(Ta)のうちの少なくとも1つの金属の炭化物であることを特徴とする請求項2又は3記載の酸化物陰極。
- 上記粒子の上記導電材料は、1つ以上のVIB族の金属の炭化物であり、好適には、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、及び、タングステン(W)のうちの少なくとも1つの金属の炭化物であることを特徴とする請求項2乃至4のうちいずれか一項記載の酸化物陰極。
- 上記支持体は金属、好適には、ニッケルベースの金属から形成されることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の酸化物陰極。
- 請求項1乃至6のうちいずれか一項記載の酸化物陰極を含むことを特徴とする電子管。
- 請求項1乃至6のうちいずれか一項記載の酸化物陰極を含むことを特徴とする陰極線管。
- 酸化物層が支持体上に付着される酸化物陰極を製造する方法であって、
上記酸化物層を受容する上記支持体の表面に、導電材料の粒子を供給し、それにより、上記粒子は上記支持体内に入り込む第1の端と、露出する第2の端とを含む段階と、
上記表面を酸化物層によって覆う段階とを含むことを特徴とする方法。 - 上記導電材料の上記粒子を供給する段階では、上記表面全体に上記粒子を噴霧し、且つ、上記粒子に力を付加し、それにより、上記粒子の上記第1の端が上記支持体内に入り込むことを特徴とする請求項9記載の方法。
- 上記導電材料の上記粒子を供給する段階では、上記支持体内に上記粒子を混合し、例えば、選択的な化学エッチング処理といった表面処理によって上記支持体から上記第2の端を外側に出すことを特徴とする請求項9記載の方法。
- 上記粒子は上記支持体内に、上記支持体の冶金加工の際に混合されることを特徴とする請求項11記載の方法。
- 上記支持体は引抜き加工によって形成され、
上記粒子の上記第2の端は、上記引抜き加工の前に外側に出るようにされることを特徴とする請求項11又は12記載の方法。 - 上記支持体は引抜き加工によって形成され、
上記粒子の上記第2の端は、上記引抜き加工の後で外側に出るようにされることを特徴とする請求項11又は12記載の方法。 - 上記粒子の上記導電材料は、1つ以上の金属の炭化物であることを特徴とする請求項9乃至14のうちいずれか一項記載の方法。
- 上記粒子の上記導電材料は、1つ以上のIVB族の金属の炭化物であり、好適には、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、及び、ハフニウム(Hf)のうちの少なくとも1つの金属の炭化物であることを特徴とする請求項15記載の方法。
- 上記粒子の上記導電材料は、1つ以上のVB族の金属の炭化物であり、好適には、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、及び、タンタル(Ta)のうちの少なくとも1つの金属の炭化物であることを特徴とする請求項15又は16記載の方法。
- 上記粒子の上記導電材料は、1つ以上のVIB族の金属の炭化物であり、好適には、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、及び、タングステン(W)のうちの少なくとも1つの金属の炭化物であることを特徴とする請求項15乃至17のうちいずれか一項記載の方法。
- 上記支持体は金属、好適には、ニッケルベースの金属から形成されることを特徴とする請求項9乃至18のうちいずれか一項記載の方法。
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