JP2004502435A - クローン苗及び挿し木の生産方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、木質植物のクローンを生産する方法に関するものである。前記方法では、まず最初に根挿しを生産するために選別したクローンから親株を選別し、該親株を強い根系を形成するのに十分な期間生育する。前記の生育期間の後、成長した親株を休眠状態で放置する。親株の根系を回収し、該根系の最も薄い部分は取り除き、根を切断する。前記の根の切断部、すなわち根挿しを適切な成長培地中で発根状態にして発根させるか、又は必要に応じて該根挿しを前処理する。前記の発根した根挿し及び/又は苗条を成長させ始めた根挿しを選別、回収、及び生育し、植物体とする。あるいは、根を切断するか又は前処理することにより得られた根挿しを選別し、選別した森林栽培地に直接植え付ける。
Description
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の木質植物のクローン及び挿し木(cutting)を生産する方法に関するものである。
【0002】
多数の良質な挿し木が森林植林に必要とされている。しかしながら、現在挿し木を生産するには多大な手作業が必要であり、挿し木の生産工程を機械化することにかなり成功したという例は未だない。
【0003】
Lepistoの1995年の刊行物には、クローニングのために最良のヤマナラシ(aspen)の一個体を選別する方法についての記載がある。またLepistoの1996年の刊行物には、休眠中の雑種ヤマナラシ(hybrid aspen)の芽を材料として使用してミクロ繁殖法を行うことにより、選別したヤマナラシの一個体由来の枝挿し(stem cutting)のクローンを培養する方法についての記載がある。
【0004】
ヤマナラシを分裂組織及び枝挿しから大量に繁殖できることは、既知である。しかしながら、ヤマナラシの分裂組織を使用してミクロ繁殖法を行うには、挿し木の生産に高額の費用がかかることから、その適用は制限される。前記の高額な費用は、実験室施設及び労働力の必要性を主な原因とするものである。枝挿しも、繁殖率及び発根が低水準であって、それによってやはり挿し木の生産費用が高額なことから、その適用は制限される。
【0005】
Reimの1930年の刊行物では、ヤマナラシの根系を地面から持ち上げ、それを切断して根挿し(root cutting)を作り、その後に該根挿しを温室又は苗床に植え付ける方法が提案されている。該Reimの刊行物では、土を掘り起こして根を植え付けることは難しく高額の費用がかかるとみなされている。公開SU A 1079215では、親株の根系を切断し屋外で植え付けて栽培する、ポプラの繁殖方法が提案されている。前記公開では、親株を選別し該親株を用いて本来不純物を含まないクローンの挿し木部分を生産するという記載は全く無く、また挿し木を生産し選別するという記載も無い。
【0006】
ヤマナラシは製紙の原材料として使用される。しかしながら、異なるヤマナラシのクローンではその特性に大きな相違があることが既知であり、それ故、製紙業の立場からは、特定の所望のヤマナラシのクローンから原材料を得ることが望まれる。例えば、雑種ヤマナラシは25年〜35年程度の短期間に用材規模の大きさに達するため、他の樹種と比較して、ヤマナラシを栽培することは木材の製造業者にとって良い選択肢ともなるであろう。しかしながら、所望のヤマナラシのクローンからクローン及び挿し木を生産する、信頼性があり費用的にも有効な方法が無いという問題がある。
【0007】
本発明は、従来技術の欠点を解消し、木製植物のクローン及び挿し木、特にポプラ(Populus)属の樹種又は発根がポプラ属の樹種に類似する樹種のクローン及び挿し木の生産について、全く新しい解決方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、植え付けられる植物体として選抜されたクローンである親株の根系を機械により切り離した部分から、根挿しを生産することができるという発見に基づくものである。前記根挿しのうち発根可能であるとして選別した根挿しは、成長して植物体となり、該植物体をさらに木材の栽培者に届けるか、又は該根挿しを直接土地に植え付けることも出来る。
【0009】
本発明に係る方法は異なる植物種にも適用することが出来る。しかし、前記方法は、木質植物のクローンを生産することに特に適している。木質植物は、発根状態がポプラ属の樹種に類似しているからである。前記方法は、特にヨーロッパヤマナラシ(Populus tremula)や、フィンランドヤマナラシとアメリカヤマナラシ(Populus tremuloides)の間の雑種である雑種ヤマナラシのようなポプラ属の樹種のクローンを生産すること、又はポプラ属のうち他の樹種のクローンを生産することに適している。
【0010】
本発明は、多数の長所を有している。それにより、特定の選別されたクローンから多大な数の相互同一な植物体を非常に有利な生産費用で生産するために、本明細書に記載の方法を使用することが出来る。前記方法はミクロ繁殖法と同じくらい信頼性が高いが、植物体当たりにかかる費用は少なくとも20%低い。該費用削減は主に挿し木の生産を実験室から苗床に移すことができるという事実によるものである。前記方法は迅速であり、挿し木は一成長期間で生産することさえ可能である。さらに、本発明に係る方法は、容易に自動化及び機械化するとこが可能である。
【0011】
本発明では、根挿しを生産するためにクローン及び該クローン由来の親株を最初に選別する。前記親株は適切な方法を用いて生産したものとする。前記親株は、例えばミクロ繁殖法のようなクローニング方法により生産することが出来る。前記親株として選別した植物体のクローンは、目的に適したゲノムを有していなければならず、かつそれによりクローンの由来を確実に知ることを可能にしなければならない。目的に適したゲノムを有するクローンとは、最終ユーザーの立場から考えて所望の好ましい特性を有するクローンをいうが、特に使用する方法に適したクローンをいう。前記の使用する方法には、特に多量の根塊を生産するクローン及び苗条及び根によく分化するクローンが適している。裸根又は0.5〜1年の根のついた植物体(balled plants)を親株として選別する。選別時には注意を払い、病気や害虫のような環境要因により植物が任意の被害を受けないようにする。親株を少なくとも一自然成長期間、又はその一部の期間生育し、苗条及び根系を形成する。一自然成長期間は0.5〜1.5年とすることができる。前記期間は0.5〜1.5年よりも短くするか又は長くすることができる。成長期間中に、良質な苗条及び強力で大きい根系を形成することが親株にとって重要である。
【0012】
親株の生育に空地を使用する場合には、クローンが他のクローン又は近縁の植物が存在しない状態あることを保証するために、該空地は完全に休閑中でなければならない。
【0013】
本発明の実施例では、親株を互いに40〜100cmの幅で配置している。また、親株を少なくとも2列に配置し、列間の幅をおよそ100〜500cmとして、該列間に肥料線を配置することが好ましい。根の生育を促進するために、窒素性の肥料を使用することができる。この実施例は、根が完全に直立して成長するという長所を有し、それにより該根を容易に処理することができる。
【0014】
成長期の後、栽培した親株を休眠状態で放置する。休眠状態とは、植物体の光合成量、呼吸量、及び水消費量が最小な状態をいう。温室においては、前記休眠状態は、植物体が最小照度で、冷室で、それほど頻繁に水を与えられていない状態で保たれていることを意味する。自然においては、前記休眠状態は、成長期の後に照度及び温度が降下して植物の生体機能が低速することを意味する。休眠状態に入る時、植物体の栄養素は根系に蓄積され、苗条の切断、該植物体の運搬、又は根の短縮などの種々の処理に対し、該植物体はより強い耐性を有する。この場合、植物体の根系が必要とされる機械的処理に対し強い耐性を有することが重要である。
【0015】
親株が完全に休眠状態に達した後、植物体の苗条を切断する。苗条を切断しない場合には、苗条の成長のために植物体は根系に蓄積された栄養素を使用するかもしれず、すると根系の発根能力が弱まる。前記切断は、5〜40cmの高さ、好ましくは約20cmの高さで行う。根系を処理する場合には、掴む部分として親株に残存する約20cmの切り株が適している。親株の根系は、植物栽培の初期の段階に回収することが望ましい。これは、親株を掘り出すか又は該親株を温室若しくは冷蔵庫から移した後の成長の初期の段階に、該根系をさらに処理することを意味する。前記親株の最薄部分は根系から取り除き、3mm以上の直径の根を切断して挿し木を形成する。3mm未満の直径の根を含んでもよいが、該根は処理することがより難しく、新しい根系及び苗条を形成する能力が制限される。さらに、根挿しとして根の根元部分又は中間部分を選別することが望ましい。根の断片の長さは約2〜10cm、好ましくは約3〜6cmとすることができる。機械により親株の根を消毒し、選別し、切断して断片を作ることが最も実用的であり迅速である。
【0016】
本明細書では根の断片を根挿しと呼ぶが、該根挿しを発根状態となるようにし、適切な成長培地に植え付ける。前記の適切な成長培地は例えば泥炭土とすることができる。成長培地は、例えばセルの中に置くこともできる。(例えば1cmの)成長培地の薄層を、根断片の上部に広げることもできる。
【0017】
根挿しを実質水平な位置に置くことが特に望ましい。実際には、これは根挿しの縦軸が水平面に関して45℃未満の角度となる位置を意味する。
【0018】
成長培地に挿した根挿しは、温室のように温度及び湿度が適切な状態に保たれた状態で発根する。例えば自然光から成る光を照明とすることができる。
【0019】
根挿しは、苗条及び/又は根が成長開始の兆候を示すのに十分な期間、発根状態で保つ。その時に、苗条が例えば3〜10cmの大きさに達し、根が成長を開始するか又は成長を開始しようとする。前記期間は、約4〜8週間、実際には特定のクローンにおいて又は特定の成長状態においては、この期間は12週間とすることができる。この期間は、成長状態、クローン並びに根断片の長さ及び薄さにより影響を受ける。前記期間の後、植え付けをした根挿し又は苗条を形成した根挿しを移植、すなわち根鉢と共に移し新しい成長培地(例えばほぼ純粋な園芸用泥炭培地)中で生育する。前記の新しい成長培地では空間に余裕があるため、苗条及び根は成長し、所望の大きさの挿木苗(より大きい根鉢)となる。
【0020】
根挿しを階層化すること、すなわち根挿しを成長培地に挿す前に前記の発根状態に相当する条件下で該根挿しを前処理して、発根している挿し木又は発根する可能性のある挿し木を同定することにより、前記方法の信頼性及び有効性をさらに高めることができる。光、水分及び必要に応じてサイトカイニンのようなホルモンを用いて前記の前処理を行うことにより、特別に萌芽に寄与する状態を作り出すことができる。前記の前処理では、好ましくは適切な培地の上部の水平面に互いに密集して隣合うように根断片を植え、該根断片が成長培地に埋もれないようにする。前記根断片を軽いガーゼ又は紙で覆い、適切な湿度を保つこともできる。根挿しにおいて、苗条の分化は根断片の近接端部から開始し、該分化は根の表面に膨らみとして現れる。根挿しを前記の状態で約10〜15日間保ち、それにより、例えば根の根皮が目に見て分かる程度の塊に成長し始める。そのことは、苗条及び/根が成長し始めたことを示している。前記の兆候に基づき、よく発根する根挿しをゆっくり発根するか全く発根しない根挿しと区別することができる。上記の状態で、数週間以内に、すなわち苗条を作り始めた根挿しを移植しさらに生育する期間の内に、萌芽が起こる。移植工程で、根の形成を促進するために、移植する根挿しをオーキシンのようなホルモンで処理することができる。
【0021】
移植後、ビニール・ハウス中で、根挿しから成長したいわゆる挿木苗の植え付けを行うことができる。通常は、例えば根細胞から移植したヤマナラシの挿し木については数日間(3〜6日間)しかかからないが、階層化した根から移植した挿し木についてはより長期間(6〜10日間)がかかる。その場合、移植した植物体は新しい成長培地中で発根し、野外、特に実際に生育する場所への移植に耐性を有する。野外の生育場では、肥料散布及び害虫駆除のために良質のイリガトール及び有効な機械装置が必要である。
【0022】
根挿しは、移植に使用した成長培地に直接植え付け、3〜8週間又はそれより長期間発根状態に保ち、その後植え付けした根挿しを移し野外で生育することもできる。移植では、通常当該植物に適した肥沃な園芸用の泥炭土を成長培地として使用することができる。階層化した根挿しを使用するか、又は階層化していない根挿しを使用するかにより必要な期間が決まる。この方法には、上記の移植工程の場合よりもより大きい空間がグリーン・ハウス中に必要である。
【0023】
根挿しから成長した任意の植物体を、冬を過ごした後に堀出す。本明細書では、冬とは植物体が休眠状態に達した時、すなわち成長が停止し、例えば芽が形成し、葉が黄色に変わり落ちた時を意味する。森林栽培に使用する予定であるヤマナラシのクローンの植物体を分類する時には、例えば樺の分類基準を用いることができる。前記の樺の分類基準は、Commercial Code 684/79 on Forest Reproductive Material及びResolutions 271/91 and 1210/94 of Ministry of Agriculture and Forestry on the Marketing of Forest Reproductive Materialにより定義されたものとする。植物体の在庫目録化はクローン毎に行うが、もちろん梱包に印を付すことが望ましい。
【0024】
前記方法の全ての操作及び生育工程において、最終工程までクローンを互いに離して保持しなければならないことに留意すべきである。
【0025】
植物体は冬の間冷蔵庫で保存するか、又は植物体を入れた袋を野外の冬用保管庫で保存することができる。
【0026】
秋の森林植林には、成長の最終段階に向けて、夏の終わり(フィンランドではおよそ8月中旬)に配達することができる。配達時には、植物体を傷つけないように該植物体を運搬する時及び取り扱う時に細心の注意を払わなければならない。
【0027】
春の植林には、運搬及び植林前に植物体を入れた袋を溶かさなければならない。植物体を冷蔵庫で保管していたのであれば、該植物体を植林前に約1日間水に浸し、該植物体に新たな水を供給しなければならない。
【0028】
植林地は目的に適した場とし、土を準備しなければならない。クローンの数は規定に従わなければならない。植林に関しては、モグラ(mole)避け及びノウサギ(hare)避けを取り付けなければならない。シカ(deer)及びオオジカ(elk)による被害に曝された場所では、代わりに電気又はワイヤー製のネットフェンスを建てなければならない。
【0029】
根挿しから植物体まで生育し、該植物体を栽培地まで配達する方法は、上記の通りである。別の可能性としては、良質で暖かい土を有する土地のような精選した良い栽培地域に、直接根挿しを植え付ける方法がある。その場合、植物体の生育工程は省略する。根を切断し、発根した挿し木を選別することにより、又は前処理、すなわち階層化を行うことにより得た根挿しを選別し、熱、水分及び振動による欠点を最小限に抑えて作成した配達の目的で開発された箱に詰め、該根挿しを直接栽培地まで送る。
【0030】
根挿しを栽培地に運搬する時には、買い手と売り手との間に厳密な配達計画が必要とされる。根挿しは2ヘクタールの領域内であれば小包郵便で届けることができ、その場合には重さは20kg未満とする。運搬の時間は1日を越えてはならない。
【0031】
根を栽培地に植え付けるか又は“挿し木”する。前記栽培地は、土が好ましくは優れた水分特性、すなわち3〜6%の有機物を含み暖かい土となるように作成する。挿し木を土地に挿すのに最も好ましい時期は、成長期の初期段階、すなわち晩春から初夏の間(フィンランドでは5月中旬から6月中旬の間、5月20日から6月10日の間)、土地が適切な暖かさであり乾燥していない時である。挿し木を植え付ける場所の栽培地の基礎土と森林培地を混ぜることが望ましい。根挿しは、指示に正確に従い培地に植え付けなければならず、植物用の網を該根挿しの上に被せなければならない。
【0032】
後に、すなわち約1〜1.5ヶ月後(フィンランドでは7月上旬)に、前記挿し木がどのようにして成長し始めるかを調べ、さらに植林が必要か否かについて判断することができる。好ましくは植林から数ヶ月後(フィンランドでは7月から8月の変わり目)の挿し木を用いてさらなる植林を行う。
【0033】
本発明に係る方法は、特にポプラ属の樹種のクローンを生産するために使用することができる。前記クローンは、例えば、ヨーロッパヤマナラシ(P. tremula)、アメリカヤマナラシ(P. tremuloides)、ポプラ・バルサメア(P. balsamea)、ドロヤナギ(P. balsamifera)、ポプラ・トリコカーパ(P. trichocarpa)、ポプラ・ヘテロフィラ(P. heterophylla)、ポプラ・デルトイデス(P. deltoides)、ポプラ・グランディデンタタ(P. grandidentata)のクローン;ヨーロッパヤマナラシxアメリカヤマナラシ(P. tremula x tremuloides)、ヨーロッパヤマナラシxヨーロッパヤマナラシ(P. tremula x tremula)、ポプラ・デルトイデスxポプラ・トリコカーパ(P. deltoids x trichocarpa)、ポプラ・トリコカーパxポプラ・デルトイデス(P. trichocarpa x deltoides)、ポプラ・デルトイデスxポプラ・ニグラ(P. deltoids x nigra)、ポプラ・マキシモウィックジxポプラ・トリコカーパ(P. maximowiczii x trichocarpa)のような貯蔵したヤマナラシ株の交配により作成された雑種ヤマナラシの樹種若しくは遺伝子技術により作成した他の樹種のクローン、又はポプラのクローンとすることができる。
【0034】
本発明に係る方法は、ポプラ属の樹種に類似した発根特性を有する他の木質植物(例えば栽培根を有するプラム又はチェリー)のクローンを生産するためにも使用することができる。該方法は、例えば種々の公園の低木若しくは木のクローン又はラズベリーのクローンを生産するために使用することができる。
【0035】
下記の非限定的な実施例は本発明を詳細に示したものである。
【0036】
(実施例1)
試験では、雑種ヤマナラシの根を種々に配置し、該配置についての比較を行った。根挿しの植え付けを5月中旬(5月11日〜18日)に行った場合には、発根率(全根挿しのうち苗条及び根を形成した根挿しの割合)は6月下旬(6月21日〜22日)の発根の結果とし、全発根率(%)は約1ヶ月後(7月19日まで)の結果とする。表1に示すように、完全に水平に配置した根が最も良い結果を示した。
【0037】
【表1】
【0038】
(実施例2)
試験では、成長期に親株に種々の肥料を与え、雑種ヤマナラシの根挿しの発根について調べ、該肥料についての比較を行った。ケッキラ・スーパーX5(Kekkila Super X 5)及びスーパーX 7(Super X 7)はどちらも混合栄養を含む肥料であるが、ケッキラ・スーパーX 7は窒素を含まない。発根率(%)及び全発根率(%)は、実施例1に定義した通りである。
【0039】
【表2】
【0040】
表2の結果は、特に窒素性の肥料で施肥を行うと全発根率が上がることを示している。
【0041】
(実施例3)
雑種ヤマナラシの根の種々の部分が発根する能力を比較した場合、表3に示すように、該根の根元部分及び中間部分が最も効果的に発根することが分かった。発根率(%)及び全発根率(%)は、実施例1に定義した通りである。
【0042】
【表3】
【0043】
無肥料で育てた親株である雑種ヤマナラシの苗条を切断する時間が発根の性質に及ぼす影響を調べたところ、切断は明らかに発根に有利な影響を及ぼすことが分かった。発根率(%)及び全発根率(%)は、実施例1に定義した通りである。表4に示すように、完全に植物が休眠状態にある時(12月10日)に苗条の切断を行った場合に、最も良い結果が得られた。
【0044】
【表4】
本発明は、請求項1の前文に記載の木質植物のクローン及び挿し木(cutting)を生産する方法に関するものである。
【0002】
多数の良質な挿し木が森林植林に必要とされている。しかしながら、現在挿し木を生産するには多大な手作業が必要であり、挿し木の生産工程を機械化することにかなり成功したという例は未だない。
【0003】
Lepistoの1995年の刊行物には、クローニングのために最良のヤマナラシ(aspen)の一個体を選別する方法についての記載がある。またLepistoの1996年の刊行物には、休眠中の雑種ヤマナラシ(hybrid aspen)の芽を材料として使用してミクロ繁殖法を行うことにより、選別したヤマナラシの一個体由来の枝挿し(stem cutting)のクローンを培養する方法についての記載がある。
【0004】
ヤマナラシを分裂組織及び枝挿しから大量に繁殖できることは、既知である。しかしながら、ヤマナラシの分裂組織を使用してミクロ繁殖法を行うには、挿し木の生産に高額の費用がかかることから、その適用は制限される。前記の高額な費用は、実験室施設及び労働力の必要性を主な原因とするものである。枝挿しも、繁殖率及び発根が低水準であって、それによってやはり挿し木の生産費用が高額なことから、その適用は制限される。
【0005】
Reimの1930年の刊行物では、ヤマナラシの根系を地面から持ち上げ、それを切断して根挿し(root cutting)を作り、その後に該根挿しを温室又は苗床に植え付ける方法が提案されている。該Reimの刊行物では、土を掘り起こして根を植え付けることは難しく高額の費用がかかるとみなされている。公開SU A 1079215では、親株の根系を切断し屋外で植え付けて栽培する、ポプラの繁殖方法が提案されている。前記公開では、親株を選別し該親株を用いて本来不純物を含まないクローンの挿し木部分を生産するという記載は全く無く、また挿し木を生産し選別するという記載も無い。
【0006】
ヤマナラシは製紙の原材料として使用される。しかしながら、異なるヤマナラシのクローンではその特性に大きな相違があることが既知であり、それ故、製紙業の立場からは、特定の所望のヤマナラシのクローンから原材料を得ることが望まれる。例えば、雑種ヤマナラシは25年〜35年程度の短期間に用材規模の大きさに達するため、他の樹種と比較して、ヤマナラシを栽培することは木材の製造業者にとって良い選択肢ともなるであろう。しかしながら、所望のヤマナラシのクローンからクローン及び挿し木を生産する、信頼性があり費用的にも有効な方法が無いという問題がある。
【0007】
本発明は、従来技術の欠点を解消し、木製植物のクローン及び挿し木、特にポプラ(Populus)属の樹種又は発根がポプラ属の樹種に類似する樹種のクローン及び挿し木の生産について、全く新しい解決方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、植え付けられる植物体として選抜されたクローンである親株の根系を機械により切り離した部分から、根挿しを生産することができるという発見に基づくものである。前記根挿しのうち発根可能であるとして選別した根挿しは、成長して植物体となり、該植物体をさらに木材の栽培者に届けるか、又は該根挿しを直接土地に植え付けることも出来る。
【0009】
本発明に係る方法は異なる植物種にも適用することが出来る。しかし、前記方法は、木質植物のクローンを生産することに特に適している。木質植物は、発根状態がポプラ属の樹種に類似しているからである。前記方法は、特にヨーロッパヤマナラシ(Populus tremula)や、フィンランドヤマナラシとアメリカヤマナラシ(Populus tremuloides)の間の雑種である雑種ヤマナラシのようなポプラ属の樹種のクローンを生産すること、又はポプラ属のうち他の樹種のクローンを生産することに適している。
【0010】
本発明は、多数の長所を有している。それにより、特定の選別されたクローンから多大な数の相互同一な植物体を非常に有利な生産費用で生産するために、本明細書に記載の方法を使用することが出来る。前記方法はミクロ繁殖法と同じくらい信頼性が高いが、植物体当たりにかかる費用は少なくとも20%低い。該費用削減は主に挿し木の生産を実験室から苗床に移すことができるという事実によるものである。前記方法は迅速であり、挿し木は一成長期間で生産することさえ可能である。さらに、本発明に係る方法は、容易に自動化及び機械化するとこが可能である。
【0011】
本発明では、根挿しを生産するためにクローン及び該クローン由来の親株を最初に選別する。前記親株は適切な方法を用いて生産したものとする。前記親株は、例えばミクロ繁殖法のようなクローニング方法により生産することが出来る。前記親株として選別した植物体のクローンは、目的に適したゲノムを有していなければならず、かつそれによりクローンの由来を確実に知ることを可能にしなければならない。目的に適したゲノムを有するクローンとは、最終ユーザーの立場から考えて所望の好ましい特性を有するクローンをいうが、特に使用する方法に適したクローンをいう。前記の使用する方法には、特に多量の根塊を生産するクローン及び苗条及び根によく分化するクローンが適している。裸根又は0.5〜1年の根のついた植物体(balled plants)を親株として選別する。選別時には注意を払い、病気や害虫のような環境要因により植物が任意の被害を受けないようにする。親株を少なくとも一自然成長期間、又はその一部の期間生育し、苗条及び根系を形成する。一自然成長期間は0.5〜1.5年とすることができる。前記期間は0.5〜1.5年よりも短くするか又は長くすることができる。成長期間中に、良質な苗条及び強力で大きい根系を形成することが親株にとって重要である。
【0012】
親株の生育に空地を使用する場合には、クローンが他のクローン又は近縁の植物が存在しない状態あることを保証するために、該空地は完全に休閑中でなければならない。
【0013】
本発明の実施例では、親株を互いに40〜100cmの幅で配置している。また、親株を少なくとも2列に配置し、列間の幅をおよそ100〜500cmとして、該列間に肥料線を配置することが好ましい。根の生育を促進するために、窒素性の肥料を使用することができる。この実施例は、根が完全に直立して成長するという長所を有し、それにより該根を容易に処理することができる。
【0014】
成長期の後、栽培した親株を休眠状態で放置する。休眠状態とは、植物体の光合成量、呼吸量、及び水消費量が最小な状態をいう。温室においては、前記休眠状態は、植物体が最小照度で、冷室で、それほど頻繁に水を与えられていない状態で保たれていることを意味する。自然においては、前記休眠状態は、成長期の後に照度及び温度が降下して植物の生体機能が低速することを意味する。休眠状態に入る時、植物体の栄養素は根系に蓄積され、苗条の切断、該植物体の運搬、又は根の短縮などの種々の処理に対し、該植物体はより強い耐性を有する。この場合、植物体の根系が必要とされる機械的処理に対し強い耐性を有することが重要である。
【0015】
親株が完全に休眠状態に達した後、植物体の苗条を切断する。苗条を切断しない場合には、苗条の成長のために植物体は根系に蓄積された栄養素を使用するかもしれず、すると根系の発根能力が弱まる。前記切断は、5〜40cmの高さ、好ましくは約20cmの高さで行う。根系を処理する場合には、掴む部分として親株に残存する約20cmの切り株が適している。親株の根系は、植物栽培の初期の段階に回収することが望ましい。これは、親株を掘り出すか又は該親株を温室若しくは冷蔵庫から移した後の成長の初期の段階に、該根系をさらに処理することを意味する。前記親株の最薄部分は根系から取り除き、3mm以上の直径の根を切断して挿し木を形成する。3mm未満の直径の根を含んでもよいが、該根は処理することがより難しく、新しい根系及び苗条を形成する能力が制限される。さらに、根挿しとして根の根元部分又は中間部分を選別することが望ましい。根の断片の長さは約2〜10cm、好ましくは約3〜6cmとすることができる。機械により親株の根を消毒し、選別し、切断して断片を作ることが最も実用的であり迅速である。
【0016】
本明細書では根の断片を根挿しと呼ぶが、該根挿しを発根状態となるようにし、適切な成長培地に植え付ける。前記の適切な成長培地は例えば泥炭土とすることができる。成長培地は、例えばセルの中に置くこともできる。(例えば1cmの)成長培地の薄層を、根断片の上部に広げることもできる。
【0017】
根挿しを実質水平な位置に置くことが特に望ましい。実際には、これは根挿しの縦軸が水平面に関して45℃未満の角度となる位置を意味する。
【0018】
成長培地に挿した根挿しは、温室のように温度及び湿度が適切な状態に保たれた状態で発根する。例えば自然光から成る光を照明とすることができる。
【0019】
根挿しは、苗条及び/又は根が成長開始の兆候を示すのに十分な期間、発根状態で保つ。その時に、苗条が例えば3〜10cmの大きさに達し、根が成長を開始するか又は成長を開始しようとする。前記期間は、約4〜8週間、実際には特定のクローンにおいて又は特定の成長状態においては、この期間は12週間とすることができる。この期間は、成長状態、クローン並びに根断片の長さ及び薄さにより影響を受ける。前記期間の後、植え付けをした根挿し又は苗条を形成した根挿しを移植、すなわち根鉢と共に移し新しい成長培地(例えばほぼ純粋な園芸用泥炭培地)中で生育する。前記の新しい成長培地では空間に余裕があるため、苗条及び根は成長し、所望の大きさの挿木苗(より大きい根鉢)となる。
【0020】
根挿しを階層化すること、すなわち根挿しを成長培地に挿す前に前記の発根状態に相当する条件下で該根挿しを前処理して、発根している挿し木又は発根する可能性のある挿し木を同定することにより、前記方法の信頼性及び有効性をさらに高めることができる。光、水分及び必要に応じてサイトカイニンのようなホルモンを用いて前記の前処理を行うことにより、特別に萌芽に寄与する状態を作り出すことができる。前記の前処理では、好ましくは適切な培地の上部の水平面に互いに密集して隣合うように根断片を植え、該根断片が成長培地に埋もれないようにする。前記根断片を軽いガーゼ又は紙で覆い、適切な湿度を保つこともできる。根挿しにおいて、苗条の分化は根断片の近接端部から開始し、該分化は根の表面に膨らみとして現れる。根挿しを前記の状態で約10〜15日間保ち、それにより、例えば根の根皮が目に見て分かる程度の塊に成長し始める。そのことは、苗条及び/根が成長し始めたことを示している。前記の兆候に基づき、よく発根する根挿しをゆっくり発根するか全く発根しない根挿しと区別することができる。上記の状態で、数週間以内に、すなわち苗条を作り始めた根挿しを移植しさらに生育する期間の内に、萌芽が起こる。移植工程で、根の形成を促進するために、移植する根挿しをオーキシンのようなホルモンで処理することができる。
【0021】
移植後、ビニール・ハウス中で、根挿しから成長したいわゆる挿木苗の植え付けを行うことができる。通常は、例えば根細胞から移植したヤマナラシの挿し木については数日間(3〜6日間)しかかからないが、階層化した根から移植した挿し木についてはより長期間(6〜10日間)がかかる。その場合、移植した植物体は新しい成長培地中で発根し、野外、特に実際に生育する場所への移植に耐性を有する。野外の生育場では、肥料散布及び害虫駆除のために良質のイリガトール及び有効な機械装置が必要である。
【0022】
根挿しは、移植に使用した成長培地に直接植え付け、3〜8週間又はそれより長期間発根状態に保ち、その後植え付けした根挿しを移し野外で生育することもできる。移植では、通常当該植物に適した肥沃な園芸用の泥炭土を成長培地として使用することができる。階層化した根挿しを使用するか、又は階層化していない根挿しを使用するかにより必要な期間が決まる。この方法には、上記の移植工程の場合よりもより大きい空間がグリーン・ハウス中に必要である。
【0023】
根挿しから成長した任意の植物体を、冬を過ごした後に堀出す。本明細書では、冬とは植物体が休眠状態に達した時、すなわち成長が停止し、例えば芽が形成し、葉が黄色に変わり落ちた時を意味する。森林栽培に使用する予定であるヤマナラシのクローンの植物体を分類する時には、例えば樺の分類基準を用いることができる。前記の樺の分類基準は、Commercial Code 684/79 on Forest Reproductive Material及びResolutions 271/91 and 1210/94 of Ministry of Agriculture and Forestry on the Marketing of Forest Reproductive Materialにより定義されたものとする。植物体の在庫目録化はクローン毎に行うが、もちろん梱包に印を付すことが望ましい。
【0024】
前記方法の全ての操作及び生育工程において、最終工程までクローンを互いに離して保持しなければならないことに留意すべきである。
【0025】
植物体は冬の間冷蔵庫で保存するか、又は植物体を入れた袋を野外の冬用保管庫で保存することができる。
【0026】
秋の森林植林には、成長の最終段階に向けて、夏の終わり(フィンランドではおよそ8月中旬)に配達することができる。配達時には、植物体を傷つけないように該植物体を運搬する時及び取り扱う時に細心の注意を払わなければならない。
【0027】
春の植林には、運搬及び植林前に植物体を入れた袋を溶かさなければならない。植物体を冷蔵庫で保管していたのであれば、該植物体を植林前に約1日間水に浸し、該植物体に新たな水を供給しなければならない。
【0028】
植林地は目的に適した場とし、土を準備しなければならない。クローンの数は規定に従わなければならない。植林に関しては、モグラ(mole)避け及びノウサギ(hare)避けを取り付けなければならない。シカ(deer)及びオオジカ(elk)による被害に曝された場所では、代わりに電気又はワイヤー製のネットフェンスを建てなければならない。
【0029】
根挿しから植物体まで生育し、該植物体を栽培地まで配達する方法は、上記の通りである。別の可能性としては、良質で暖かい土を有する土地のような精選した良い栽培地域に、直接根挿しを植え付ける方法がある。その場合、植物体の生育工程は省略する。根を切断し、発根した挿し木を選別することにより、又は前処理、すなわち階層化を行うことにより得た根挿しを選別し、熱、水分及び振動による欠点を最小限に抑えて作成した配達の目的で開発された箱に詰め、該根挿しを直接栽培地まで送る。
【0030】
根挿しを栽培地に運搬する時には、買い手と売り手との間に厳密な配達計画が必要とされる。根挿しは2ヘクタールの領域内であれば小包郵便で届けることができ、その場合には重さは20kg未満とする。運搬の時間は1日を越えてはならない。
【0031】
根を栽培地に植え付けるか又は“挿し木”する。前記栽培地は、土が好ましくは優れた水分特性、すなわち3〜6%の有機物を含み暖かい土となるように作成する。挿し木を土地に挿すのに最も好ましい時期は、成長期の初期段階、すなわち晩春から初夏の間(フィンランドでは5月中旬から6月中旬の間、5月20日から6月10日の間)、土地が適切な暖かさであり乾燥していない時である。挿し木を植え付ける場所の栽培地の基礎土と森林培地を混ぜることが望ましい。根挿しは、指示に正確に従い培地に植え付けなければならず、植物用の網を該根挿しの上に被せなければならない。
【0032】
後に、すなわち約1〜1.5ヶ月後(フィンランドでは7月上旬)に、前記挿し木がどのようにして成長し始めるかを調べ、さらに植林が必要か否かについて判断することができる。好ましくは植林から数ヶ月後(フィンランドでは7月から8月の変わり目)の挿し木を用いてさらなる植林を行う。
【0033】
本発明に係る方法は、特にポプラ属の樹種のクローンを生産するために使用することができる。前記クローンは、例えば、ヨーロッパヤマナラシ(P. tremula)、アメリカヤマナラシ(P. tremuloides)、ポプラ・バルサメア(P. balsamea)、ドロヤナギ(P. balsamifera)、ポプラ・トリコカーパ(P. trichocarpa)、ポプラ・ヘテロフィラ(P. heterophylla)、ポプラ・デルトイデス(P. deltoides)、ポプラ・グランディデンタタ(P. grandidentata)のクローン;ヨーロッパヤマナラシxアメリカヤマナラシ(P. tremula x tremuloides)、ヨーロッパヤマナラシxヨーロッパヤマナラシ(P. tremula x tremula)、ポプラ・デルトイデスxポプラ・トリコカーパ(P. deltoids x trichocarpa)、ポプラ・トリコカーパxポプラ・デルトイデス(P. trichocarpa x deltoides)、ポプラ・デルトイデスxポプラ・ニグラ(P. deltoids x nigra)、ポプラ・マキシモウィックジxポプラ・トリコカーパ(P. maximowiczii x trichocarpa)のような貯蔵したヤマナラシ株の交配により作成された雑種ヤマナラシの樹種若しくは遺伝子技術により作成した他の樹種のクローン、又はポプラのクローンとすることができる。
【0034】
本発明に係る方法は、ポプラ属の樹種に類似した発根特性を有する他の木質植物(例えば栽培根を有するプラム又はチェリー)のクローンを生産するためにも使用することができる。該方法は、例えば種々の公園の低木若しくは木のクローン又はラズベリーのクローンを生産するために使用することができる。
【0035】
下記の非限定的な実施例は本発明を詳細に示したものである。
【0036】
(実施例1)
試験では、雑種ヤマナラシの根を種々に配置し、該配置についての比較を行った。根挿しの植え付けを5月中旬(5月11日〜18日)に行った場合には、発根率(全根挿しのうち苗条及び根を形成した根挿しの割合)は6月下旬(6月21日〜22日)の発根の結果とし、全発根率(%)は約1ヶ月後(7月19日まで)の結果とする。表1に示すように、完全に水平に配置した根が最も良い結果を示した。
【0037】
【表1】
【0038】
(実施例2)
試験では、成長期に親株に種々の肥料を与え、雑種ヤマナラシの根挿しの発根について調べ、該肥料についての比較を行った。ケッキラ・スーパーX5(Kekkila Super X 5)及びスーパーX 7(Super X 7)はどちらも混合栄養を含む肥料であるが、ケッキラ・スーパーX 7は窒素を含まない。発根率(%)及び全発根率(%)は、実施例1に定義した通りである。
【0039】
【表2】
【0040】
表2の結果は、特に窒素性の肥料で施肥を行うと全発根率が上がることを示している。
【0041】
(実施例3)
雑種ヤマナラシの根の種々の部分が発根する能力を比較した場合、表3に示すように、該根の根元部分及び中間部分が最も効果的に発根することが分かった。発根率(%)及び全発根率(%)は、実施例1に定義した通りである。
【0042】
【表3】
【0043】
無肥料で育てた親株である雑種ヤマナラシの苗条を切断する時間が発根の性質に及ぼす影響を調べたところ、切断は明らかに発根に有利な影響を及ぼすことが分かった。発根率(%)及び全発根率(%)は、実施例1に定義した通りである。表4に示すように、完全に植物が休眠状態にある時(12月10日)に苗条の切断を行った場合に、最も良い結果が得られた。
【0044】
【表4】
Claims (25)
- 木質植物のクローンの生産方法であって、
‐根挿し(root cutting)を生産するために選別したクローンから親株を選別すること、
‐苗条及び根系を形成するために、前記親株を少なくとも一自然成長期間又はその一部の期間生育すること、
‐前記親株を前記成長期間後休眠状態で放置すること、
‐前記親株が完全に休眠期に達した後、該親株の苗条を切断すること、
‐前記親株の根系を回収すること、
‐前記親株の最薄部分を取り除き、かつ3cm以上の直径の根を切断して根挿しとし、該根挿しを必要に応じて階層化すること、
‐前記根挿しを発根状態にし、適切な培地中で発根させること、
‐植付から8週間以内に苗条の成長を開始し発根した根挿し、又は苗条及び/又は根の成長開始の兆候を示した根挿しを選別し、かつ回収すること、及び
‐選別した根挿しを生育し、植物体とすること
を特徴とする前記方法。 - 前記親株の苗条を5〜40cmの高さ、好ましくは約20cmの高さで切断することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 植物栽培の初期において、前記親株の根系を回収することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
- ミクロ繁殖法又は何らかの他の確実なクローニング法により、前記親株を生産することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つの請求項に記載の方法。
- 親株として、裸根を有する植物体又は0.5〜1年の根のついた植物体(ball plant)を選別すること特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つの請求項に記載の方法。
- 前記親株の前記成長期間が0.5〜1.5年間であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つの請求項に記載の方法。
- 栽培において、前記親株を互いに40〜100cmの距離をおいて配置することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1つの請求項に記載の方法。
- 前記親株を少なくとも隣接する2列に配置し、該列間の距離を大体100〜500cmとし、それにより該列間に肥料線をつくることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1つの請求項に記載の方法。
- 根の生産時に窒素性の肥料を使用し、該根の成長を促進することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1つの請求項に記載の方法。
- 厚さが3mm未満である親株の根を切り取り、3mm以上の直径の根を切断して断片をつくることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1つの請求項に記載の方法。
- 根挿しとして、前記根の根元部分又は中間部分を選別することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
- 根挿しとして、約2〜10cm、好ましくは約3〜6cmの長さを有する根の断片を選別することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1つの請求項に記載の方法。
- 根挿しを泥炭土壌に置き発根させることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1つの請求項に記載の方法。
- 根挿しを実質水平な場所に置き発根させることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1つの請求項に記載の方法。
- 根挿しを成長培地に挿す前に、該根挿しを階層化することを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1つの請求項に記載の方法。
- 根挿しが苗条及び/又は根の成長開始の兆候を示すために十分な期間、該根挿しを発根状態に保つことを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1つの請求項に記載の方法。
- 選別した根挿しを移植し、生育して植物体とすることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1つの請求項に記載の方法。
- 根挿しから成長した植物体が冬の準備ができた時に、該植物体を掘り出すことを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1つの請求項に記載の方法。
- 精選した栽培地域に選別した根挿しを直接挿し木することを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1つの請求項に記載の方法。
- 挿し木を植付ける場所の栽培地の基礎土と植付用の培地を混ぜることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
- ポプラ属の樹種のクローンを生産することを特徴とする、請求項1〜20のいずれか1つの請求項に記載の方法。
- ヨーロッパヤマナラシ(P. tremula)、アメリカヤマナラシ(P. tremuloides)、ポプラ・バルサメア(P. balsamea)、ドロヤナギ(P. balsamifera)、ポプラ・トリコカーパ(P. trichocarpa)、ポプラ・ヘテロフィラ(P. heterophylla)、ポプラ・デルトイデス(P. deltoides)、ポプラ・グランディデンタタ(P. grandidentata)のクローン;ヨーロッパヤマナラシxアメリカヤマナラシ(P. tremula x tremuloides)、ヨーロッパヤマナラシxヨーロッパヤマナラシ(P. tremula x tremula)、ポプラ・デルトイデスxポプラ・トリコカーパ(P. deltoids x trichocarpa)、ポプラ・トリコカーパxポプラ・デルトイデス(P. trichocarpa x deltoides)、ポプラ・デルトイデスxポプラ・ニグラ(P. deltoids x nigra)、ポプラ・マキシモウィックジxポプラ・トリコカーパ(P. maximowiczii x trichocarpa)のような貯蔵したヤマナラシ株の交配により作成された雑種ヤマナラシの樹種若しくは遺伝子技術により作成した他の樹種のクローン、又はポプラのクローンを生産することを特徴とする、請求項21に記載の方法。
- 公園に生えた低木若しくは木のクローン、又はラズベリーのクローンを生産することを特徴とする、請求項1〜20のいずれか1つの請求項に記載の方法。
- 木質植物のクローン生産方法であって、
‐根挿しを生産するために選別したクローンから親株を選別すること、
‐苗条及び根系を形成するために、前記親株を少なくとも一自然成長期間又はその一部の期間生育すること、
‐前記親株を前記成長期間後休眠状態で放置すること、
‐前記親株が完全に休眠期に達した後、該親株の苗条を切断すること、
‐前記親株の根系を回収すること、
‐前記親株の最薄部分を取り除き、かつ3cm以上の直径の根を切断して根挿しとし、該根挿しを必要に応じて階層化すること、
‐前記根挿しを発根状態にし、適切な培地中で発根させること、
‐植付から8週間以内に苗条の成長を開始し発根した根挿し、又は苗条及び/又は根の成長開始の兆候を示した根挿しを選別し、かつ回収すること、及び
‐選別した根挿し又は階層化した根挿しを選別した栽培地に直接挿し木することを特徴とする方法。 - 挿し木の植付場所の栽培地の基礎土と植付用の培地を混ぜることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
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