JP2004363762A - 折り畳み可能なアンテナ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】必要に応じて折り畳むことが可能なアンテナ装置において、複数のアンテナと無線モジュールの間を伸びる複数本のケーブルが折り畳みに伴って互いに絡み合うことのないアンテナ装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るアンテナ装置においては、下部キャビネット4にヒンジ機構3を介して上部キャビネット2が枢支され、下部キャビネット4には無線モジュール41が収容されると共に、上部キャビネット2には複数のアンテナ21が配備されている。ヒンジ機構3は、両キャビネット2、4を互いに開閉可能に連結する円筒状の軸部材31を具え、該軸部材31の外周面には、複数の溝部32が軸方向に間隔をおいて形成されている。複数本のケーブル22は、複数の溝部32にそれぞれ嵌まった状態で軸部材31の外周面に巻き付けられている。
【選択図】 図3
【解決手段】本発明に係るアンテナ装置においては、下部キャビネット4にヒンジ機構3を介して上部キャビネット2が枢支され、下部キャビネット4には無線モジュール41が収容されると共に、上部キャビネット2には複数のアンテナ21が配備されている。ヒンジ機構3は、両キャビネット2、4を互いに開閉可能に連結する円筒状の軸部材31を具え、該軸部材31の外周面には、複数の溝部32が軸方向に間隔をおいて形成されている。複数本のケーブル22は、複数の溝部32にそれぞれ嵌まった状態で軸部材31の外周面に巻き付けられている。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイバーシチ方式によって電波を受信するアンテナ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、受信特性や指向性の異なる複数のアンテナを配備し、その中から通信状態の最も良好なアンテナを選択して電波の受信を行なうダイバーシチ方式のアンテナ装置が知られている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
ダイバーシチ方式のアンテナ装置においては、複数のアンテナが同軸ケーブルを介して無線モジュールに接続されており、無線モジュールによって通信状態の良好な1つ以上のアンテナが選択される。従って、周辺環境によって受信電波の到来方向が変化する場合や電波の反射波や回折波を受信する場合にも、良好な受信状態を得ることが出来る。
【0003】
ところで、アンテナが筐体に収容可能に取り付けられ、必要に応じてアンテナを筐体から出し入れすることが出来るアンテナ装置が知られている(特許文献3参照)。
特許文献3に記載のアンテナ装置は、図7に示す如く、筐体(8)の端部に伸縮式のアンテナ(9)を摺動可能に突設して構成されており、筐体(8)の端部には凹部(81)が形成され、該凹部(81)の底面には開口部(82)が形成されており、筐体(8)の内部には、開口部(82)と対向する位置に円筒状のアンテナホルダー(83)が取り付けられている。アンテナ(9)は、伸縮式の複数のロッド部(91)の最大径部となる第1段目のロッド部(91l)をヒンジ機構(92)を介してアンテナベース(93)に連結して構成され、該アンテナベース(93)は、前記アンテナホルダー(83)に摺動可能に保持されると共に、該摺動方向を回転軸として回転することが出来る。
【0004】
該アンテナ装置においては、電波の送受信が必要でない場合には、アンテナ(9)を筐体(8)の内部に収容する。電波の送受信が必要な場合には、先ずアンテナ(9)の全体を筐体(8)から露出させ、次にロッド部(91)をヒンジ機構(92)の回転軸を中心に回転させた後にロッド部(91)を伸張させる。これによってアンテナ(9)が電波送受信の可能な状態となる。この状態で、ヒンジ機構(92)によってアンテナ(9)を筐体(8)に対して近接離間可能に回転させると共に、アンテナ(9)をその中心軸回りに回転させてヒンジ機構(92)の回転軸の向きを変化させることにより、アンテナ(9)を最も受信感度の高い方向に向けることが出来、これによって良好な受信状態を得ることが出来る。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−237773号公報[H04B7/08]
【特許文献2】
特開2002−271125号公報[H01Q3/24]
【特許文献3】
特開平9−246824号公報[H01Q1/10](
【0013】〜
【0017】
、
【図2】)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ダイバーシチ方式のアンテナ装置を例えばテレビジョン受像機のキャビネットに取り付けて使用する場合、複数のアンテナの電波受信状態を良好なものとするために、アンテナ装置はキャビネットから突出した位置に取り付けられることになるので、電波の送受信を必要としない場合においても、常にアンテナ装置がキャビネットから突出して、邪魔になる問題があった。
そこで、図7のアンテナ装置に装備されているヒンジ機構と同様のヒンジ機構を介して一対の筐体を開閉可能に連結し、一方の筐体に複数のアンテナを収容すると共に、他方の筐体に無線モジュールを収容して、該他方の筐体をキャビネットに固定する、折り畳み可能なアンテナ装置が考えられる。
該アンテナ装置においては、電波の送受信時には両筐体を開くことによってアンテナをキャビネットから突出した位置に設定することが出来、電波の送受信が必要でないときには両筐体を閉じることによってアンテナを折り畳むことが出来る。
【0007】
しかしながら、上述の如きアンテナ装置においては、複数のアンテナを無線モジュールに接続するための複数本のケーブルが、ヒンジ機構を通過することになるので、両筐体の開閉動作に伴うヒンジ機構の回転動作によって、複数本のケーブルが互いに絡まり合い、これによって両筐体の回転動作に支障をきたす虞があった。
そこで本発明の目的は、必要に応じて折り畳むことが可能なアンテナ装置において、複数のアンテナと無線モジュールの間を伸びる複数本のケーブルが折り畳みに伴って互いに絡み合うことのないアンテナ装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決する為の手段】
本発明に係るアンテナ装置においては、複数のアンテナ(21)がそれぞれケーブルを介して無線モジュール(41)に接続され、該無線モジュール(41)によって通信状態の良好な1つ以上のアンテナ(21)を選択することが可能であって、ベース筐体にヒンジ機構(3)を介して可動筐体が枢支され、ベース筐体に前記無線モジュール(41)が収容されると共に、可動筐体に前記複数のアンテナ(21)が配備され、前記ヒンジ機構(3)は、ベース筐体と可動筐体を互いに開閉可能に連結する円筒状の軸部材(31)を具え、該軸部材(31)の外周面には、周方向に伸びる複数の溝部(32)が軸方向に間隔をおいて凹設され、前記複数のアンテナ(21)と無線モジュール(41)の間を伸びる複数本のケーブルは、前記軸部材(31)の複数の溝部(32)にそれぞれ嵌まった状態で軸部材(31)の外周面に巻き付けられている。
【0009】
上記本発明のアンテナ装置において、ベース筐体は例えばテレビジョン受像機のキャビネットの一部によって構成され、或いは、テレビジョン受像機のキャビネットに固定された別体のキャビネットによって構成される。ここで、両筐体はヒンジ機構(3)により開閉可能に連結されているので、ベース筐体を固定した状態で可動筐体をベース筐体に対して開くことにより、可動筐体に配備されている複数のアンテナ(21)をベース筐体よりも高い位置に設定することが出来る。又、可動筐体をベース筐体に対して閉じることにより、複数のアンテナ(21)をベース筐体と同じ高さに設定することが出来る。
【0010】
上記本発明のアンテナ装置において、軸部材(31)の溝部(32)は互いに間隔をおいて凹設されているので、複数本のケーブルは、溝部(32)に嵌まった状態で、軸部材(31)の外周面に互いに間隔をおいて整然と配列される。又、各ケーブルが軸部材(31)の溝部(32)に嵌まっている状態で両筐体を開閉させることが可能であるので、ヒンジ機構(3)の回転動作時に各ケーブルが軸部材(31)の溝部(32)から外れることはなく、互いに離間した位置関係が維持される。
従って、複数本のケーブルは、両筐体の開閉動作に伴って互いに絡み合うことはない。
【0011】
又、具体的構成においては、前記軸部材(31)の外周面に、螺旋状に伸びる1本の溝(33)が凹設され、該溝(33)によって前記複数の溝部(32)が形成されており、各ケーブルは、該溝(33)に360度以上の角度範囲に亘って巻き付けられている。
【0012】
該具体的構成においては、螺旋状に伸びる1本の溝(33)によって複数の溝部(32)が形成されているので、複数の溝部(32)も螺旋状に伸びることとなる。従って、各ケーブルを各溝部(32)に360度以上の角度範囲に亘って巻き付けても、各ケーブルが重なることはなく、然も隣接するケーブルどうしが互いに接触することはない。
又、複数本のケーブルが軸部材(31)に360度以上の角度範囲に亘って巻き付けられることにより、各ケーブルは、両筐体の開閉に拘わらず常に軸部材(31)に巻き付けられた状態を保つ。従って、両筐体の開閉動作に伴ってケーブルが軸部材(31)の溝部(32)から外れることはなく、互いに離間した位置関係が維持される。
【0013】
更に具体的な構成において、前記複数の溝部(32)は、軸部材(31)の中心軸を含む断面における形状がV字状を呈している。
該具体的構成においては、溝部(32)が、軸部材(31)の表面側から底部に向かうにつれて間隔が狭まる一対の斜面を有しているので、両筐体の開閉動作に伴ってケーブルが溝部(32)の底部から浮き上がったとしても、該ケーブルは前記斜面に案内されて、再び底部の元の位置に戻ることになる。
従って、ケーブルに多少の緩みがあったとしても該ケーブルが溝部(32)から外れることはない。
【0014】
【発明の効果】
本発明に係る折り畳み可能なアンテナ装置によれば、折り畳みに伴って複数本のケーブルが互いに絡み合うことはない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をテレビジョン受像機のアンテナ装置に実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明に係るテレビジョン受像機は、図1に示す如く扁平な本体(1)を具え、該本体(1)は、台座(13)によって支持されている。該本体(1)の表面には、平面型のディスプレイ(11)が配備されると共に、該ディスプレイ(11)の下方には、一対のスピーカ(12)(12)が配備されている。
又、本体(1)の背面には、テレビジョン放送波を受信するためのアンテナユニット(10)が取り付けられている。
【0016】
該テレビジョン受像機は、室内に設置されたテレビジョン放送受信装置(図示省略)と無線LANによって接続されており、テレビジョン放送受信装置から送信されてくるテレビジョン放送波をアンテナユニット(10)によって受信することにより、テレビジョン放送の映像及び音声をディスプレイ(11)及びスピーカ(12)(12)から出力することが可能である。
【0017】
アンテナユニット(10)は、図1及び図2に示す如く、それぞれ直方体状の上部キャビネット(2)と下部キャビネット(4)を具え、両キャビネット(2)(4)は、ヒンジ機構(3)によって互いに連結されており、これによって、上部キャビネット(2)は下部キャビネット(4)に開閉可能に枢支されることとなり、ユーザは、図1の如く上部キャビネット(2)を下部キャビネット(4)に対して開き、或いは、図2の如く上部キャビネット(2)を下部キャビネット(4)に対して閉じることが可能である。
尚、アンテナユニット(10)は、図1の如く、下部キャビネット(4)をテレビジョン受像機の本体(1)の背面に固定して取り付けられており、図1の開き状態では、上部キャビネット(2)の全体が本体(1)の上面から突出し、図2の閉じ状態では、上部キャビネット(2)の全体が本体(1)の後ろに隠れることとなる。
【0018】
図3及び図4に示す如く、上部キャビネット(2)の内部には、底面を除く5つの面に対向して、受信特性と指向性の異なる5つの扁平なアンテナ(21)が取り付けられている。該アンテナ(21)にはそれぞれ、高周波特性の優れた同軸ケーブル(22)が接続されている。
【0019】
ヒンジ機構(3)は、円筒状の軸部材(31)を具え、該軸部材(31)の両端面には、ヒンジ機構(3)の回転軸となるべき一対の枢支ピン(38)(38)が突設されている。
又、図3に示す如く、上部キャビネット(2)の下端部には、左右一対となる第1リング状駒片(25)と第2リング状駒片(26)が突設され、下部キャビネット(4)の上端部には、左右一対となる第1リング状駒片(45)と第2リング状駒片(46)が突設されている。
そして、上部キャビネット(2)の第1リング状駒片(25)と下部キャビネット(4)の第1リング状駒片(45)は、軸部材(31)の一方の枢支ピン(38)によって互いに相対回転可能に連結されている。又、上部キャビネット(2)の第2リング状駒片(26)と下部キャビネット(4)の第2リング状駒片(46)は、軸部材(31)の他方の枢支ピン(38)によって互いに相対回転可能に連結されている。これによって、両キャビネット(2)(4)は、ヒンジ機構(3)の一対の枢支ピン(38)(38)を中心として相対回転し、開閉することになる。
【0020】
図5に示す如く、軸部材(31)の外周面には、螺旋状に伸びる1本のV字溝(33)が一定のピッチで凹設されており、該V字溝(33)によって、互いに繋がった複数の溝部(32)が形成されている。
【0021】
5つのアンテナ(21)から伸びる5本の同軸ケーブル(22)はそれぞれ、図4及び図6に示す如く、軸部材(31)のV字溝(33)の各溝部(32)に巻き付けられており、その巻き付け角は、両キャビネット(2)(4)が開き状態のときは略360度となり、両キャビネット(2)(4)が閉じ状態のときは略540度となる。又、5本の同軸ケーブル(22)は互いに接触することのない様、一定の間隔をおいて軸部材(31)に巻き付けられている。
この様に、5本の同軸ケーブル(22)は、軸部材(31)の溝部(32)に嵌まった状態で軸部材(31)の外周面に巻き付けられているので、図4に示す如く互いに一定の間隔をおいて整然と配列されることとなり、一定の間隔を保った状態でヒンジ機構(3)を通過して、下部キャビネット(4)に向かって伸びることになる。
【0022】
下部キャビネット(4)の内部には、無線モジュール(41)が配備されており、該無線モジュール(41)の上端部には、5つの端子部(42)が形成されている。該端子部(42)にはそれぞれ同軸ケーブル(22)の先端部が接続されており、これによって、5つのアンテナ(21)が5本の同軸ケーブル(22)を介して無線モジュール(41)に接続されている。
【0023】
上記本発明のアンテナ装置において、テレビジョン放送受信装置からのテレビジョン放送波を受信する際には、図1の如く上部キャビネット(2)を開く。これによって、上部キャビネット(2)がテレビジョン受像機の本体(1)の上面から突出し、図3に示す5つのアンテナ(21)が本体(1)の上面よりも高い位置に配置されることになる。この状態で、無線モジュール(41)によって、5つのアンテナ(21)の中から通信状態の良好な1つ以上のアンテナ(21)が選択され、該アンテナ(21)によってテレビジョン放送受信装置からのテレビジョン放送波が受信される。
この結果、テレビジョン受像機のディスプレイ(11)には高画質の映像が映し出されると共に、一対のスピーカ(12)(12)からは高音質の音声が放出される。
【0024】
テレビジョン放送波の受信を終了した後は、図2の如く上部キャビネット(2)を閉じて、上部キャビネット(2)をテレビジョン受像機の本体(1)の背部に収容する。これによって、アンテナユニット(10)の上部キャビネット(2)は正面からは見えない位置に隠れることになり、アンテナユニット(10)が邪魔になることはない。
【0025】
上記本発明のアンテナ装置においては、5つのアンテナ(21)から無線モジュール(41)へ伸びる5本の同軸ケーブル(22)が、軸部材(31)の複数の溝部(32)に嵌まった状態で軸部材(31)の外周面に巻き付けられており、その巻き付け角は360度を越える十分な角度範囲に亘っているので、上部キャビネット(2)を開閉したとしても、常に十分な角度範囲で各同軸ケーブル(22)が各溝部(32)に嵌まったままとなり、溝部(32)から外れる虞はない。
【0026】
又、軸部材(31)のV字溝(33)の各溝部(32)は、軸部材(31)の表面側から底部に向かうにつれて間隔が狭まる一対の斜面を有しているので、両キャビネット(2)(4)の開閉動作に伴って、同軸ケーブル(22)が溝部(32)の底部から浮き上がって軸部材(31)の外周面側に移動したとしても、該ケーブルは溝部(32)の斜面に案内されて、再び底部の元の位置に戻る。従って、上部キャビネット(2)を閉じ状態から開く過程で同軸ケーブル(22)に多少の緩みが生じ、該同軸ケーブル(22)が溝部(32)の底部から浮き上がった状態になったとしても、上部キャビネット(2)を閉じる過程で、該同軸ケーブル(22)は再び溝部(32)の底部に収容される。この様に、各同軸ケーブル(22)は常に溝部(32)に嵌まった状態に保たれ、溝部(32)から外れることはない。
【0027】
上述の如く本発明に係るアンテナ装置によれば、上部キャビネット(2)の開閉状態に拘わらず、5本の同軸ケーブル(22)は常に整然と配列された状態に保たれ、上部キャビネット(2)の開閉動作時においても、常に整然と配列された状態が維持される。従って、上部キャビネット(2)の開閉に伴って5本の同軸ケーブル(22)が互いに絡み合うことはなく、よって5本の同軸ケーブル(22)が上部キャビネット(2)の開閉動作に支障をきたす虞はない。
【0028】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、無線モジュール(41)をテレビジョン受像機の本体(1)に内蔵し、該本体(1)に対して上部キャビネット(2)を開閉可能に連結した構成によっても、上記実施例と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアンテナ装置の開き状態を示す斜視図である。
【図2】該アンテナ装置の閉じ状態を示す斜視図である。
【図3】該アンテナユニットの断面図である。
【図4】該アンテナユニットの内部構成を示す斜視図である。
【図5】軸部材の正面図である。
【図6】該軸部材に同軸ケーブルを巻き付けた状態を示す断面図である。
【図7】従来のアンテナ装置の一部破断側面図である。
【符号の説明】
(1) 本体
(10) アンテナユニット
(2) 上部キャビネット
(21) アンテナ
(22) 同軸ケーブル
(3) ヒンジ機構
(31) 軸部材
(32) 溝部
(33) V字溝
(4) 下部キャビネット
(41) 無線モジュール
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイバーシチ方式によって電波を受信するアンテナ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、受信特性や指向性の異なる複数のアンテナを配備し、その中から通信状態の最も良好なアンテナを選択して電波の受信を行なうダイバーシチ方式のアンテナ装置が知られている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
ダイバーシチ方式のアンテナ装置においては、複数のアンテナが同軸ケーブルを介して無線モジュールに接続されており、無線モジュールによって通信状態の良好な1つ以上のアンテナが選択される。従って、周辺環境によって受信電波の到来方向が変化する場合や電波の反射波や回折波を受信する場合にも、良好な受信状態を得ることが出来る。
【0003】
ところで、アンテナが筐体に収容可能に取り付けられ、必要に応じてアンテナを筐体から出し入れすることが出来るアンテナ装置が知られている(特許文献3参照)。
特許文献3に記載のアンテナ装置は、図7に示す如く、筐体(8)の端部に伸縮式のアンテナ(9)を摺動可能に突設して構成されており、筐体(8)の端部には凹部(81)が形成され、該凹部(81)の底面には開口部(82)が形成されており、筐体(8)の内部には、開口部(82)と対向する位置に円筒状のアンテナホルダー(83)が取り付けられている。アンテナ(9)は、伸縮式の複数のロッド部(91)の最大径部となる第1段目のロッド部(91l)をヒンジ機構(92)を介してアンテナベース(93)に連結して構成され、該アンテナベース(93)は、前記アンテナホルダー(83)に摺動可能に保持されると共に、該摺動方向を回転軸として回転することが出来る。
【0004】
該アンテナ装置においては、電波の送受信が必要でない場合には、アンテナ(9)を筐体(8)の内部に収容する。電波の送受信が必要な場合には、先ずアンテナ(9)の全体を筐体(8)から露出させ、次にロッド部(91)をヒンジ機構(92)の回転軸を中心に回転させた後にロッド部(91)を伸張させる。これによってアンテナ(9)が電波送受信の可能な状態となる。この状態で、ヒンジ機構(92)によってアンテナ(9)を筐体(8)に対して近接離間可能に回転させると共に、アンテナ(9)をその中心軸回りに回転させてヒンジ機構(92)の回転軸の向きを変化させることにより、アンテナ(9)を最も受信感度の高い方向に向けることが出来、これによって良好な受信状態を得ることが出来る。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−237773号公報[H04B7/08]
【特許文献2】
特開2002−271125号公報[H01Q3/24]
【特許文献3】
特開平9−246824号公報[H01Q1/10](
【0013】〜
【0017】
、
【図2】)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ダイバーシチ方式のアンテナ装置を例えばテレビジョン受像機のキャビネットに取り付けて使用する場合、複数のアンテナの電波受信状態を良好なものとするために、アンテナ装置はキャビネットから突出した位置に取り付けられることになるので、電波の送受信を必要としない場合においても、常にアンテナ装置がキャビネットから突出して、邪魔になる問題があった。
そこで、図7のアンテナ装置に装備されているヒンジ機構と同様のヒンジ機構を介して一対の筐体を開閉可能に連結し、一方の筐体に複数のアンテナを収容すると共に、他方の筐体に無線モジュールを収容して、該他方の筐体をキャビネットに固定する、折り畳み可能なアンテナ装置が考えられる。
該アンテナ装置においては、電波の送受信時には両筐体を開くことによってアンテナをキャビネットから突出した位置に設定することが出来、電波の送受信が必要でないときには両筐体を閉じることによってアンテナを折り畳むことが出来る。
【0007】
しかしながら、上述の如きアンテナ装置においては、複数のアンテナを無線モジュールに接続するための複数本のケーブルが、ヒンジ機構を通過することになるので、両筐体の開閉動作に伴うヒンジ機構の回転動作によって、複数本のケーブルが互いに絡まり合い、これによって両筐体の回転動作に支障をきたす虞があった。
そこで本発明の目的は、必要に応じて折り畳むことが可能なアンテナ装置において、複数のアンテナと無線モジュールの間を伸びる複数本のケーブルが折り畳みに伴って互いに絡み合うことのないアンテナ装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決する為の手段】
本発明に係るアンテナ装置においては、複数のアンテナ(21)がそれぞれケーブルを介して無線モジュール(41)に接続され、該無線モジュール(41)によって通信状態の良好な1つ以上のアンテナ(21)を選択することが可能であって、ベース筐体にヒンジ機構(3)を介して可動筐体が枢支され、ベース筐体に前記無線モジュール(41)が収容されると共に、可動筐体に前記複数のアンテナ(21)が配備され、前記ヒンジ機構(3)は、ベース筐体と可動筐体を互いに開閉可能に連結する円筒状の軸部材(31)を具え、該軸部材(31)の外周面には、周方向に伸びる複数の溝部(32)が軸方向に間隔をおいて凹設され、前記複数のアンテナ(21)と無線モジュール(41)の間を伸びる複数本のケーブルは、前記軸部材(31)の複数の溝部(32)にそれぞれ嵌まった状態で軸部材(31)の外周面に巻き付けられている。
【0009】
上記本発明のアンテナ装置において、ベース筐体は例えばテレビジョン受像機のキャビネットの一部によって構成され、或いは、テレビジョン受像機のキャビネットに固定された別体のキャビネットによって構成される。ここで、両筐体はヒンジ機構(3)により開閉可能に連結されているので、ベース筐体を固定した状態で可動筐体をベース筐体に対して開くことにより、可動筐体に配備されている複数のアンテナ(21)をベース筐体よりも高い位置に設定することが出来る。又、可動筐体をベース筐体に対して閉じることにより、複数のアンテナ(21)をベース筐体と同じ高さに設定することが出来る。
【0010】
上記本発明のアンテナ装置において、軸部材(31)の溝部(32)は互いに間隔をおいて凹設されているので、複数本のケーブルは、溝部(32)に嵌まった状態で、軸部材(31)の外周面に互いに間隔をおいて整然と配列される。又、各ケーブルが軸部材(31)の溝部(32)に嵌まっている状態で両筐体を開閉させることが可能であるので、ヒンジ機構(3)の回転動作時に各ケーブルが軸部材(31)の溝部(32)から外れることはなく、互いに離間した位置関係が維持される。
従って、複数本のケーブルは、両筐体の開閉動作に伴って互いに絡み合うことはない。
【0011】
又、具体的構成においては、前記軸部材(31)の外周面に、螺旋状に伸びる1本の溝(33)が凹設され、該溝(33)によって前記複数の溝部(32)が形成されており、各ケーブルは、該溝(33)に360度以上の角度範囲に亘って巻き付けられている。
【0012】
該具体的構成においては、螺旋状に伸びる1本の溝(33)によって複数の溝部(32)が形成されているので、複数の溝部(32)も螺旋状に伸びることとなる。従って、各ケーブルを各溝部(32)に360度以上の角度範囲に亘って巻き付けても、各ケーブルが重なることはなく、然も隣接するケーブルどうしが互いに接触することはない。
又、複数本のケーブルが軸部材(31)に360度以上の角度範囲に亘って巻き付けられることにより、各ケーブルは、両筐体の開閉に拘わらず常に軸部材(31)に巻き付けられた状態を保つ。従って、両筐体の開閉動作に伴ってケーブルが軸部材(31)の溝部(32)から外れることはなく、互いに離間した位置関係が維持される。
【0013】
更に具体的な構成において、前記複数の溝部(32)は、軸部材(31)の中心軸を含む断面における形状がV字状を呈している。
該具体的構成においては、溝部(32)が、軸部材(31)の表面側から底部に向かうにつれて間隔が狭まる一対の斜面を有しているので、両筐体の開閉動作に伴ってケーブルが溝部(32)の底部から浮き上がったとしても、該ケーブルは前記斜面に案内されて、再び底部の元の位置に戻ることになる。
従って、ケーブルに多少の緩みがあったとしても該ケーブルが溝部(32)から外れることはない。
【0014】
【発明の効果】
本発明に係る折り畳み可能なアンテナ装置によれば、折り畳みに伴って複数本のケーブルが互いに絡み合うことはない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をテレビジョン受像機のアンテナ装置に実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明に係るテレビジョン受像機は、図1に示す如く扁平な本体(1)を具え、該本体(1)は、台座(13)によって支持されている。該本体(1)の表面には、平面型のディスプレイ(11)が配備されると共に、該ディスプレイ(11)の下方には、一対のスピーカ(12)(12)が配備されている。
又、本体(1)の背面には、テレビジョン放送波を受信するためのアンテナユニット(10)が取り付けられている。
【0016】
該テレビジョン受像機は、室内に設置されたテレビジョン放送受信装置(図示省略)と無線LANによって接続されており、テレビジョン放送受信装置から送信されてくるテレビジョン放送波をアンテナユニット(10)によって受信することにより、テレビジョン放送の映像及び音声をディスプレイ(11)及びスピーカ(12)(12)から出力することが可能である。
【0017】
アンテナユニット(10)は、図1及び図2に示す如く、それぞれ直方体状の上部キャビネット(2)と下部キャビネット(4)を具え、両キャビネット(2)(4)は、ヒンジ機構(3)によって互いに連結されており、これによって、上部キャビネット(2)は下部キャビネット(4)に開閉可能に枢支されることとなり、ユーザは、図1の如く上部キャビネット(2)を下部キャビネット(4)に対して開き、或いは、図2の如く上部キャビネット(2)を下部キャビネット(4)に対して閉じることが可能である。
尚、アンテナユニット(10)は、図1の如く、下部キャビネット(4)をテレビジョン受像機の本体(1)の背面に固定して取り付けられており、図1の開き状態では、上部キャビネット(2)の全体が本体(1)の上面から突出し、図2の閉じ状態では、上部キャビネット(2)の全体が本体(1)の後ろに隠れることとなる。
【0018】
図3及び図4に示す如く、上部キャビネット(2)の内部には、底面を除く5つの面に対向して、受信特性と指向性の異なる5つの扁平なアンテナ(21)が取り付けられている。該アンテナ(21)にはそれぞれ、高周波特性の優れた同軸ケーブル(22)が接続されている。
【0019】
ヒンジ機構(3)は、円筒状の軸部材(31)を具え、該軸部材(31)の両端面には、ヒンジ機構(3)の回転軸となるべき一対の枢支ピン(38)(38)が突設されている。
又、図3に示す如く、上部キャビネット(2)の下端部には、左右一対となる第1リング状駒片(25)と第2リング状駒片(26)が突設され、下部キャビネット(4)の上端部には、左右一対となる第1リング状駒片(45)と第2リング状駒片(46)が突設されている。
そして、上部キャビネット(2)の第1リング状駒片(25)と下部キャビネット(4)の第1リング状駒片(45)は、軸部材(31)の一方の枢支ピン(38)によって互いに相対回転可能に連結されている。又、上部キャビネット(2)の第2リング状駒片(26)と下部キャビネット(4)の第2リング状駒片(46)は、軸部材(31)の他方の枢支ピン(38)によって互いに相対回転可能に連結されている。これによって、両キャビネット(2)(4)は、ヒンジ機構(3)の一対の枢支ピン(38)(38)を中心として相対回転し、開閉することになる。
【0020】
図5に示す如く、軸部材(31)の外周面には、螺旋状に伸びる1本のV字溝(33)が一定のピッチで凹設されており、該V字溝(33)によって、互いに繋がった複数の溝部(32)が形成されている。
【0021】
5つのアンテナ(21)から伸びる5本の同軸ケーブル(22)はそれぞれ、図4及び図6に示す如く、軸部材(31)のV字溝(33)の各溝部(32)に巻き付けられており、その巻き付け角は、両キャビネット(2)(4)が開き状態のときは略360度となり、両キャビネット(2)(4)が閉じ状態のときは略540度となる。又、5本の同軸ケーブル(22)は互いに接触することのない様、一定の間隔をおいて軸部材(31)に巻き付けられている。
この様に、5本の同軸ケーブル(22)は、軸部材(31)の溝部(32)に嵌まった状態で軸部材(31)の外周面に巻き付けられているので、図4に示す如く互いに一定の間隔をおいて整然と配列されることとなり、一定の間隔を保った状態でヒンジ機構(3)を通過して、下部キャビネット(4)に向かって伸びることになる。
【0022】
下部キャビネット(4)の内部には、無線モジュール(41)が配備されており、該無線モジュール(41)の上端部には、5つの端子部(42)が形成されている。該端子部(42)にはそれぞれ同軸ケーブル(22)の先端部が接続されており、これによって、5つのアンテナ(21)が5本の同軸ケーブル(22)を介して無線モジュール(41)に接続されている。
【0023】
上記本発明のアンテナ装置において、テレビジョン放送受信装置からのテレビジョン放送波を受信する際には、図1の如く上部キャビネット(2)を開く。これによって、上部キャビネット(2)がテレビジョン受像機の本体(1)の上面から突出し、図3に示す5つのアンテナ(21)が本体(1)の上面よりも高い位置に配置されることになる。この状態で、無線モジュール(41)によって、5つのアンテナ(21)の中から通信状態の良好な1つ以上のアンテナ(21)が選択され、該アンテナ(21)によってテレビジョン放送受信装置からのテレビジョン放送波が受信される。
この結果、テレビジョン受像機のディスプレイ(11)には高画質の映像が映し出されると共に、一対のスピーカ(12)(12)からは高音質の音声が放出される。
【0024】
テレビジョン放送波の受信を終了した後は、図2の如く上部キャビネット(2)を閉じて、上部キャビネット(2)をテレビジョン受像機の本体(1)の背部に収容する。これによって、アンテナユニット(10)の上部キャビネット(2)は正面からは見えない位置に隠れることになり、アンテナユニット(10)が邪魔になることはない。
【0025】
上記本発明のアンテナ装置においては、5つのアンテナ(21)から無線モジュール(41)へ伸びる5本の同軸ケーブル(22)が、軸部材(31)の複数の溝部(32)に嵌まった状態で軸部材(31)の外周面に巻き付けられており、その巻き付け角は360度を越える十分な角度範囲に亘っているので、上部キャビネット(2)を開閉したとしても、常に十分な角度範囲で各同軸ケーブル(22)が各溝部(32)に嵌まったままとなり、溝部(32)から外れる虞はない。
【0026】
又、軸部材(31)のV字溝(33)の各溝部(32)は、軸部材(31)の表面側から底部に向かうにつれて間隔が狭まる一対の斜面を有しているので、両キャビネット(2)(4)の開閉動作に伴って、同軸ケーブル(22)が溝部(32)の底部から浮き上がって軸部材(31)の外周面側に移動したとしても、該ケーブルは溝部(32)の斜面に案内されて、再び底部の元の位置に戻る。従って、上部キャビネット(2)を閉じ状態から開く過程で同軸ケーブル(22)に多少の緩みが生じ、該同軸ケーブル(22)が溝部(32)の底部から浮き上がった状態になったとしても、上部キャビネット(2)を閉じる過程で、該同軸ケーブル(22)は再び溝部(32)の底部に収容される。この様に、各同軸ケーブル(22)は常に溝部(32)に嵌まった状態に保たれ、溝部(32)から外れることはない。
【0027】
上述の如く本発明に係るアンテナ装置によれば、上部キャビネット(2)の開閉状態に拘わらず、5本の同軸ケーブル(22)は常に整然と配列された状態に保たれ、上部キャビネット(2)の開閉動作時においても、常に整然と配列された状態が維持される。従って、上部キャビネット(2)の開閉に伴って5本の同軸ケーブル(22)が互いに絡み合うことはなく、よって5本の同軸ケーブル(22)が上部キャビネット(2)の開閉動作に支障をきたす虞はない。
【0028】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、無線モジュール(41)をテレビジョン受像機の本体(1)に内蔵し、該本体(1)に対して上部キャビネット(2)を開閉可能に連結した構成によっても、上記実施例と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアンテナ装置の開き状態を示す斜視図である。
【図2】該アンテナ装置の閉じ状態を示す斜視図である。
【図3】該アンテナユニットの断面図である。
【図4】該アンテナユニットの内部構成を示す斜視図である。
【図5】軸部材の正面図である。
【図6】該軸部材に同軸ケーブルを巻き付けた状態を示す断面図である。
【図7】従来のアンテナ装置の一部破断側面図である。
【符号の説明】
(1) 本体
(10) アンテナユニット
(2) 上部キャビネット
(21) アンテナ
(22) 同軸ケーブル
(3) ヒンジ機構
(31) 軸部材
(32) 溝部
(33) V字溝
(4) 下部キャビネット
(41) 無線モジュール
Claims (3)
- 複数のアンテナ(21)がそれぞれケーブルを介して無線モジュール(41)に接続され、該無線モジュール(41)によって通信状態の良好な1つ以上のアンテナ(21)を選択することが可能なアンテナ装置において、ベース筐体にヒンジ機構(3)を介して可動筐体が枢支され、ベース筐体に前記無線モジュール(41)が収容されると共に、可動筐体に前記複数のアンテナ(21)が配備され、前記ヒンジ機構(3)は、ベース筐体と可動筐体を互いに開閉可能に連結する円筒状の軸部材(31)を具え、該軸部材(31)の外周面には、周方向に伸びる複数の溝部(32)が軸方向に間隔をおいて凹設され、前記複数のアンテナ(21)と無線モジュール(41)の間を伸びる複数本のケーブルは、前記軸部材(31)の複数の溝部(32)にそれぞれ嵌まった状態で軸部材(31)の外周面に巻き付けられていることを特徴とする折り畳み可能なアンテナ装置。
- 前記軸部材(31)の外周面には螺旋状に伸びる1本の溝(33)が凹設され、該溝(33)によって前記複数の溝部(32)が形成されており、各ケーブルは、該溝(33)に360度以上の角度範囲に亘って巻き付けられている請求項1に記載の折り畳み可能なアンテナ装置。
- 前記複数の溝部(32)は、軸部材(31)の中心軸を含む断面における形状がV字状を呈している請求項1又は請求項2に記載の折り畳み可能なアンテナ装置。
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