JP2004357359A - 鉄塔建て替え工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一側架空線21に通電し、他側架空線22を断電し、他側架空線22を他側既設アーム12の先端側へI吊り形態架空線として移動させる工程と、他側架空線22に通電し、一側架空線21を断電し、既設鉄塔間に新設鉄塔30の塔体30aと、一側新設アーム31とを建築する工程と、一側架空線を一側新設アームの先端側にI吊り形態架空線として移設する工程と、一側架空線に通電し、他側架空線を断電し、新設鉄塔に他側新設アーム32を建築する工程と、他側新設アームに懸垂碍子装置13を介して他側架空線をV吊り形態架空線として移設する工程と、他側架空線に通電し、一側架空線を断電し、一側架空線を懸垂碍子装置を介してV吊り形態架空線として架線する第6工程とを含む。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄塔建て替え工法に関し、特に、送電線等の架空線をV吊り形態で架線する懸垂碍子装置を用いた既設鉄塔の建て替え工法として好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
送電線鉄塔の建て替え工法として、従来から、図14に示すような工法が広く採用されていた。この工法は、系統運用上、1回線停止条件の場合に、1回線仮設工事(仮設鉄塔の建築)を実施して建て替える方法である。
【0003】
即ち、図14に示すように、鉄塔1、2間の既設鉄塔3を建て替える際に、同図(a)〜(d)の手順を行う。
【0004】
まず、図14(a)に示すように、他側送電線5に通電し、一側送電線4を断電した状態で、一側送電線4及び他側送電線5の線間方向において既設鉄塔3から充分に離れた位置に仮設鉄塔6を建築し、その仮設鉄塔6のアームに仮送電線7を架線する。
【0005】
次に、図14(b)に示すように、既設鉄塔3から一側送電線4を切り離し、仮送電線7に通電し、他側送電線5を断電した状態で、既設鉄塔3を撤去する。
【0006】
次に、図14(c)に示すように、鉄塔1、2間の目的の位置に新設鉄塔8を建築し、その新設鉄塔8のアームに他側送電線5を架線する。
【0007】
次に、図14(d)に示すように、他側送電線5に通電し、一側送電線4を断電した状態で、その一側送電線4を仮設鉄塔6から新設鉄塔8へ移設した後、一側送電線4にも通電する。
【0008】
この鉄塔建て替え工法では、仮設鉄塔6および仮送電線7等の仮設工事を必要とする。そのため、施工費が嵩む問題、仮設鉄塔建築用地を確保し難い問題等があった。
【0009】
そこで、最近の1回線交互停止による鉄塔建て替え工法として、2脚1/2面包み込み工法(特許文献1参照)、ケーブルジャンパー工法(特許文献2、図13等参照)、長大ジャンパーによる仮設工事の簡略化工法(図14参照)などが開発されている。
【0010】
図15に示すケーブルジャンパー工法は、鉄塔1、2間の既設鉄塔3を新設鉄塔8に建て替える際に、その建て替え工事に必要な区間の送電線5に代わるケーブルジャンパー線(絶縁被覆電線)9aを平行に設けることで、建て替え工事区間の送電線(裸線)5を断電し、電気的安全性を図る工法である。
【0011】
図16に示す長大ジャンパー工法は、鉄塔1、2間の既設鉄塔3を新設鉄塔8に建て替える際に、鉄塔敷地の外に仮の支持柱1a、1bを建て、これらの支持柱1a、1bを利用して、鉄塔建て替え工事に必要な区間の送電線5よりも外側に大きく迂回する仮送電線9bを設けることで、建て替え工事区間の電気的安全性を図る工法である。
【0012】
【特許文献1】
特開2000−345740号公報
【特許文献2】
特開2000−270454号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような1回線交互停止による鉄塔建て替え工法では、以下のような点で解決すべき課題がある。
(1) 2脚1/2面包み込み工法では、既設鉄塔に強度を負担させているものの、既設鉄塔強度の裕度は少ないという問題がある。したがって、台風、強風が予想される時期は採用できない。この問題は嵩上げ工法でも同様である。
(2) ケーブルジャンパー工法は、超高圧送電線には設備容量的に採用できない。
(3) 長大ジャンパー工法は簡易な支持柱が必要で、超高圧送電線ではジャンパーからのクリアランスが大きく、支持柱が過大となる。
【0014】
よって、本発明の課題は、1回線交互停止による鉄塔建て替えが可能で、充分な離隔距離の確保により電気的安全性を確保でき、しかも仮設物や特別なスペースが不要で、施工性並びに経済性に優れた鉄塔建て替え工法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明では以下の手段を採用した。
本発明は、既設鉄塔の一側及び他側に延びる一側既設アーム及び他側既設アームを有し、それら一側既設アーム及び他側既設アームに、V吊り形態となる懸垂碍子装置を介して一側架空線及び他側架空線がそれぞれ架線された鉄塔の建て替え工法であって、
前記一側架空線に通電し、他側架空線を断電した状態で、その他側架空線を他側既設アームの先端側へI吊り形態架空線として移動させる第1工程と、
他側架空線に通電し、一側架空線を断電した状態で、既設鉄塔間に新設鉄塔の塔体と、一側既設アームに対応する一側新設アームとを建築する第2工程と、
一側架空線を一側新設アームの先端側にI吊り形態架空線として移設する第3工程と、
一側架空線に通電し、他側架空線を断電した状態で、新設鉄塔に他側既設アームに対応する他側新設アームを建築する第4工程と、
他側新設アームに懸垂碍子装置を介して他側架空線をV吊り形態架空線として移設する第5工程と、
他側架空線に通電し、一側架空線を断電した状態で、その一側架空線を懸垂碍子装置を介してV吊り形態架空線として架線する第6工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、既設鉄塔と新設鉄塔のV吊り形態架空線を左右交互にI吊り形態としながら、新設鉄塔建築に必要な作業空間を確保しつつ、新設鉄塔に順次移設する工法を採用している。これは、通電側架空線(充電部)との離隔距離(電気的安全距離)を確保する方法として、架空線をV吊り形態とする懸垂碍子装置が碍子の片寄りを考慮した鉄塔設計となっていることに着目したものである。
【0017】
即ち、V吊り懸垂碍子をI吊り懸垂碍子に変更して鉄塔アームの先端側へ架空線を移動させても、鉄塔強度は問題なく、新設・既設鉄塔の塔体との離隔距離を増やすことができるからである。これにより、1回線交互停止による鉄塔建て替えが可能で、電気的安全性を確保でき、しかも仮設物や特別なスペースが不要で、施工性並びに経済性に優れた鉄塔建て替え工法とすることができる。この工法では、既設鉄塔の近くに新設鉄塔を建築する建て替え工法として好適である。
【0018】
本発明では、前記一側架空線及び他側架空線がそれぞれ複数ある場合、それら一側架空線群及び他側架空線群ごとに前記各工程を行うことが望ましい。片側の架空線群ごとに分けて作業を進めることで、その作業性及び安全性の向上を図ることができるからである。
【0019】
前記第3工程において、既設鉄塔の各一側既設アームを撤去し、前記第5工程において、既設鉄塔の各他側既設アーム及び塔体の少なくとも一部を撤去することが望ましい。そうすることで、一度に撤去する場合に比べて、既設鉄塔の撤去作業を安全に無理なく行うことが可能になる。
【0020】
前記課題を解決する別の観点から、本発明は、既設鉄塔の一側及び他側に延びる一側既設アーム及び他側既設アームを有し、それら一側既設アーム及び他側既設アームに、V吊り形態となる懸垂碍子装置を介して一側架空線及び他側架空線がそれぞれ架線された鉄塔の建て替え工法であって、
前記一側架空線に通電し、他側架空線を断電した状態で、その他側架空線を他側既設アームの先端側へI吊り形態架空線として移動させる第1工程と、
前他側架空線に通電し、一側架空線を断電した状態で、既設鉄塔を囲む形態の塔体と、一側既設アームに対応する一側新設アームとを建築する第2工程と、
一側架空線を一側新設アームの先端側にI吊り形態架空線として移設する第3工程と、
一側架空線に通電し、他側架空線を断電した状態で、新設鉄塔に他側既設アームに対応する他側新設アームを建築する第4工程と、
他側新設アームに懸垂碍子装置を介して他側架空線をV吊り形態架空線として移設する第5工程と、
他側架空線に通電し、前一側架空線を断電した状態で、その一側架空線を懸垂碍子装置を介してV吊り形態架空線として架線する第6工程と、を含むことを特徴とする。
【0021】
この工法では、既設鉄塔と同じ場所に新設鉄塔を建築する建て替え工法として好適である。この発明では、既設鉄塔を囲む新設鉄塔を建築して既設鉄塔の全てを撤去する場合、既設鉄塔の一部を利用して新設鉄塔を建てる場合、既設鉄塔を嵩上げする場合、の何れをも含むものとする。
【0022】
前記第3工程において、既設鉄塔の各一側既設アームを撤去し、前記第5工程において、既設鉄塔の各他側既設アーム及び塔体を撤去することが望ましい。この場合も、既設鉄塔の撤去作業を安全に無理なく行うことが可能になる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1(a)、(b)〜図4(a)、(b)は、鉄塔建て替え工法の第1の実施形態を示す工程図である。図5は図2に対応する斜視図である。図6(a)〜(d)は同じく第1の実施形態を示す平面工程図である。
【0024】
この実施の形態では、既設鉄塔10の一側及び他側に延びる一側既設アーム11及び他側既設アーム12を有し、それら一側既設アーム11及び他側既設アーム12に、V吊り形態となる懸垂碍子装置13を介して一側架空線21及び他側架空線22がそれぞれ架線された鉄塔の建て替え工法に適用した例を示している。
【0025】
なお、ここでは、既設鉄塔10の近くに新設鉄塔30を建築する建て替え工法例として説明する。その際、通電(充電)されている架空線(送電線)を黒丸で示し、断電(停止)されている架空線を白丸で示す。
【0026】
まず、図1(a)、(b)及び図6(a)に示すように、三相交流として3段に架線された図中左側の一側架空線21に通電し、同じく3段に架線された図中右側の他側架空線22を断電した状態で、各他側架空線22を他側既設アーム12の先端側へI吊り形態架空線としてそれぞれ移動させる工程を行う(第1工程)。
【0027】
この工程において、V吊り形態架空線をI吊り形態架空線とするには、懸垂碍子装置13のV字状に懸垂した一対の絶縁碍子を外した後、アーム先端へI吊り形態の懸垂碍子装置に変更し、他側架空線22を吊り下げる形態とすることで実現できる。これにより他側架空線22を外側(他側既設アーム12の先端側)へ移動させて、新設鉄塔30を建築するための作業空間(離隔距離)を確保する。
【0028】
次に、図2(a)、(b)、図5及び図6(b)に示すように、他側架空線22に通電し、一側架空線21を断電した状態で、建て替え用既設鉄塔10の近くに、図中実線で示す新設鉄塔30の塔体30aと、一側既設アーム11に対応する図2中左側の一側新設アーム31とを建築する工程を行う(第2工程)。
【0029】
なお、新設鉄塔30の建築位置は、図2(b)、図5及び図6にそれぞれ示すように、建て替え用既設鉄塔10の近くで、かつ、鉄塔1、2間(径間)方向にほぼ一列に並ぶように配慮される。
【0030】
次に、同図に示すように、一側架空線21を一側新設アーム31の先端側にI吊り形態架空線として移設する工程を行う(第3工程)。この工程において、V吊り形態架空線をI吊り形態架空線とするには、前述のように、懸垂碍子装置13のV字状に懸垂した一対の絶縁碍子を外した後、アーム先端へI吊り形態の懸垂碍子装置に変更し、一側架空線21を吊り下げつつ、一側新設アーム31に移設することで実現できる。
【0031】
勿論、先に懸垂碍子装置13を一側新設アーム31に移設または新設し、その後に一側架空線21のみを移設する作業手順としてもよい。これにより一側架空線21を外側(一側新設アーム31の先端側)へ移動させて、新設鉄塔30の残りの部分を建築するためおよび既設鉄塔の少なくとも一部を撤去するための作業空間(離隔距離)を確保する。この後、既設鉄塔10の各一側既設アーム11を撤去する。
【0032】
次に、図3(a)、(b)及び図6(c)に示すように、一側架空線21に通電し、他側架空線22を断電した状態で、新設鉄塔30に他側既設アーム12に対応する他側新設アーム32を建築する工程を行う(第4工程)。
【0033】
次に、同図にそれぞれ示すように、その他側新設アーム32に懸垂碍子装置13を介して他側架空線22をV吊り形態架空線22として移設する工程を行う(第5工程)。その後、既設鉄塔10の各他側既設アーム12と塔体10aの一部(上半部)を撤去する。
【0034】
次に、図4(a)、(b)及び図6(d)に示すように、他側架空線22に通電し、一側架空線21を断電した状態で、その一側架空線21を懸垂碍子装置13を介してV吊り形態架空線21として架線する工程を行う(第6工程)。しかる後、一側架空線21にも通電して、一側架空線21及び他側架空線22を送電状態に復帰させる。その後、既設鉄塔の残りの塔体10a部分も撤去する。
【0035】
この実施の形態によれば、既設鉄塔10のV吊り形態架空線21、22を左右交互にI吊り形態としながら、新設鉄塔建築および既設鉄塔撤去に必要な作業空間を確保しつつ、新設鉄塔30に順次移設する工法を採用している。これは、通電側架空線(充電部)との離隔距離(電気的安全距離)を確保する方法として、架空線をV吊り形態とする懸垂碍子装置13が碍子の片寄りを考慮した鉄塔設計となっていることに着目したもので、これにより鉄塔建て替え作業を安全かつ経済的に実施することができる。
【0036】
即ち、V吊り形態の懸垂碍子装置13を外した後、I吊り形態の懸垂碍子装置に変更して鉄塔アームの先端側へ架空線を移動させても、鉄塔強度に問題はなく、新設鉄塔30の塔体30a及び既設鉄塔10の塔体10aとの離隔距離を増やすことができるからである。これにより、1回線交互停止による鉄塔建て替えが可能で、作業者を含む電気的安全性を確保でき、しかも仮設物や特別なスペースが不要で、施工性並びに経済性に優れた鉄塔建て替え工法とすることができる。
【0037】
図7及び図8(a)、(b)は、実際のV吊り形態の送電線鉄塔において、離隔距離をどの程度確保できるかを示す説明図である。これらの図に示すように、たとえば、電圧500kVの鉄塔では、線間距離Aが20m、がいし(碍子)支点間距離Bが10m、鉄塔中心から腕金(アーム)先端までの距離が15m、塔体幅/2が2mのとき、塔体との離隔距離は11mである。
【0038】
これらの図及びデータから、がいし支点間距離Bについて、500kVの場合10mで5m、275kVの場合6mで3m、154kVの場合4mで2mの離隔距離増と、線間距離Aの半分により、塔体との離隔距離を確保できることになる。なお、図8(b)には、電圧500kV、275kV、154kVについて、クレーン車等の離隔距離、作業者、電気設備技術基準の離隔距離をそれぞれ示している。
【0039】
(第2の実施形態)
図9(a)、(b)〜図12(a)、(b)は、鉄塔建て替え工法の第2の実施形態を示す工程図である。図13は図10に対応する斜視図である。
【0040】
この実施の形態では、既設鉄塔10の一側及び他側に延びる一側既設アーム11及び他側既設アーム12を有し、それら一側既設アーム11及び他側既設アーム12に、V吊り形態となる懸垂碍子装置13を介して一側架空線21及び他側架空線22がそれぞれ架線された鉄塔の建て替え工法に適用した例を示している。
【0041】
なお、ここでは、既設鉄塔10を囲む形態で既設鉄塔10とほぼ同じ位置に新設鉄塔30を建築する建て替え工法例として説明する。その際、通電(充電)されている架空線(送電線)を黒丸で示し、断電(停止)されている架空線を白丸で示す。
【0042】
まず、図9(a)、(b)に示すように、三相交流として3段に架線された図中左側の一側架空線21に通電し、同じく3段に架線された図中右側の他側架空線22を断電した状態で、各他側架空線22を他側既設アーム12の先端側へI吊り形態架空線としてそれぞれ移動させる工程を行う(第1工程)。
【0043】
この工程において、V吊り形態架空線をI吊り形態架空線とするには、懸垂碍子装置13のV字状に懸垂した一対の絶縁碍子を外した後、アーム先端へI吊り形態の懸垂碍子装置に変更し、他側架空線22を吊り下げる形態とすることで実現できる。これにより他側架空線22を外側(他側既設アーム12の先端側)へ移動させて、新設鉄塔30を建築するための作業空間(離隔距離)を確保する。
【0044】
次に、図10(a)、(b)及び図13に示すように、他側架空線22に通電し、一側架空線21を断電した状態で、建て替え用既設鉄塔10を囲む形態で、図中実線で示す新設鉄塔30の塔体30aと、一側既設アーム11に対応する図2中左側の一側新設アーム31とを建築する工程を行う(第2工程)。
【0045】
この新設鉄塔30の建築に際しては、この実施形態では、先に2脚1面を組み立て、次に残りの2脚3面を組み立てる、公知の2脚1面3面組立工法を採用している。勿論、他の鉄塔建築工法を採用することもできる。いずれの場合も、先の実施形態と同様に、懸垂碍子装置13でV吊り形態からI吊り形態に変更し元に戻す工法を組み合わせて行う。
【0046】
次に、同図に示すように、一側架空線21を一側新設アーム31の先端側にI吊り形態架空線として移設する工程を行う(第3工程)。この工程において、V吊り形態架空線をI吊り形態架空線とするには、前述のように、懸垂碍子装置13のV字状に懸垂した一対の絶縁碍子を外した後、アーム先端へI吊り形態の懸垂碍子装置に変更し、一側架空線21を吊り下げつつ、一側新設アーム31に移設することで実現できる。
【0047】
勿論、先に懸垂碍子装置13を一側新設アーム31に移設または新設し、その後に一側架空線21のみを移設する作業手順としてもよい。これにより一側架空線21を外側(一側新設アーム31の先端側)へ移動させて、新設鉄塔30の残りの部分を建築するための作業空間(離隔距離)を確保する。この後、既設鉄塔10の各一側既設アーム11と不要な碍子を撤去する。
【0048】
次に、図11(a)、(b)に示すように、一側架空線21に通電し、他側架空線22を断電した状態で、新設鉄塔30に他側既設アーム12に対応する他側新設アーム32を建築する工程を行う(第4工程)。
【0049】
次に、同図に示すように、その他側新設アーム32に懸垂碍子装置13を介して他側架空線22をV吊り形態架空線22として移設する工程を行う(第5工程)。その後、既設鉄塔10の各他側既設アーム12および塔体の少なくとも一部を撤去する。
【0050】
次に、図12(a)、(b)に示すように、他側架空線22に通電し、一側架空線21を断電した状態で、その一側架空線21を懸垂碍子装置13を介してV吊り形態架空線21として架線する工程を行う(第6工程)。しかる後、一側架空線21にも通電して、一側架空線21及び他側架空線22を送電状態に復帰させる。その後、既設鉄塔の残りの部分も撤去する。
【0051】
この実施の形態によれば、既設鉄塔10と同じ場所に新設鉄塔30を建築する建て替え工法として好適であり、鉄塔建て替え作業を安全かつ経済的に実施することができる。その他の作用効果については、第1の実施形態とほぼ同様の作用効果を奏することができる。
【0052】
なお、この実施の形態では、既設鉄塔10と同じ場所に新設鉄塔30を建築する例について述べたが、既設鉄塔10と同じ場所に新設鉄塔30を建築して既設鉄塔10を完全に撤去する場合、既設鉄塔10の一部を利用して新設鉄塔30を建てる場合、既設鉄塔10を嵩上げする場合、の何れにも本発明を適用することができる。
【0053】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、1回線交互停止による鉄塔建て替えが可能で、充分な離隔距離の確保により、作業者を含む電気的安全性を確保でき、しかも仮設物や特別なスペースが不要で、施工性並びに経済性に優れた鉄塔建て替え工法を提供することができるといった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鉄塔建て替え工法の第1の実施形態を示す工程図である。
【図2】本発明に係る鉄塔建て替え工法の第1の実施形態を示す工程図である。
【図3】本発明に係る鉄塔建て替え工法の第1の実施形態を示す工程図である。
【図4】本発明に係る鉄塔建て替え工法の第1の実施形態を示す工程図である。
【図5】図2に対応する斜視図である。
【図6】本発明に係る鉄塔建て替え工法の第1の実施形態を示す平面工程図である。
【図7】本発明に係る鉄塔建て替え工法の第1の実施形態を示す鉄塔の説明図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る塔体からの離隔距離等を示す説明図である。
【図9】本発明に係る鉄塔建て替え工法の第2の実施形態を示す工程図である。
【図10】本発明に係る鉄塔建て替え工法の第2の実施形態を示す工程図である。
【図11】本発明に係る鉄塔建て替え工法の第2の実施形態を示す工程図である。
【図12】本発明に係る鉄塔建て替え工法の第2の実施形態を示す工程図である。
【図13】図10に対応する斜視図である。
【図14】従来の鉄塔建て替え工法を示す平面工程図である。
【図15】従来の鉄塔建て替え工法を示す平面工程図である。
【図16】従来の鉄塔建て替え工法を示す平面工程図である。
【符号の説明】
10 既設鉄塔
10a 塔体
11 一側既設アーム
12 他側既設アーム
13 V吊り形態の懸垂碍子装置
14、15 絶縁碍子
31 一側新設アーム
22 他側新設アーム
30 新設鉄塔
30a 塔体
Claims (6)
- 既設鉄塔の一側及び他側に延びる一側既設アーム及び他側既設アームを有し、それら一側既設アーム及び他側既設アームに、V吊り形態となる懸垂碍子装置を介して一側架空線及び他側架空線がそれぞれ架線された鉄塔の建て替え工法であって、
前記一側架空線に通電し、他側架空線を断電した状態で、その他側架空線を他側既設アームの先端側へI吊り形態架空線として移動させる第1工程と、
他側架空線に通電し、一側架空線を断電した状態で、既設鉄塔間に新設鉄塔の塔体と、一側既設アームに対応する一側新設アームとを建築する第2工程と、
一側架空線を一側新設アームの先端側にI吊り形態架空線として移設する第3工程と、
一側架空線に通電し、他側架空線を断電した状態で、新設鉄塔に他側既設アームに対応する他側新設アームを建築する第4工程と、
他側新設アームに懸垂碍子装置を介して他側架空線をV吊り形態架空線として移設する第5工程と、
他側架空線に通電し、一側架空線を断電した状態で、その一側架空線を懸垂碍子装置を介してV吊り形態架空線として架線する第6工程と、を含む鉄塔建て替え工法。 - 既設鉄塔の一側及び他側に延びる一側既設アーム及び他側既設アームを有し、それら一側既設アーム及び他側既設アームに、V吊り形態となる懸垂碍子装置を介して一側架空線及び他側架空線がそれぞれ架線された鉄塔の建て替え工法であって、
前記一側架空線に通電し、他側架空線を断電した状態で、その他側架空線を他側既設アームの先端側へI吊り形態架空線として移動させる第1工程と、
前他側架空線に通電し、一側架空線を断電した状態で、既設鉄塔を囲む形態の塔体と、一側既設アームに対応する一側新設アームとを建築する第2工程と、
一側架空線を一側新設アームの先端側にI吊り形態架空線として移設する第3工程と、
一側架空線に通電し、他側架空線を断電した状態で、新設鉄塔に他側既設アームに対応する他側新設アームを建築する第4工程と、
他側新設アームに懸垂碍子装置を介して他側架空線をV吊り形態架空線として移設する第5工程と、
他側架空線に通電し、前一側架空線を断電した状態で、その一側架空線を懸垂碍子装置を介してV吊り形態架空線として架線する第6工程と、を含む鉄塔建て替え工法。 - 前記一側架空線及び他側架空線はそれぞれ複数あり、それら一側架空線群及び他側架空線群ごとに前記各工程を行う、請求項1又は2記載の鉄塔建て替え工法。
- 前記新設鉄塔を建て替え用既設鉄塔の近くに建築する、請求項1記載の鉄塔建て替え工法。
- 前記第3工程において、既設鉄塔の各一側既設アームを撤去し、前記第5工程において、既設鉄塔の各他側既設アーム及び塔体の少なくとも一部を撤去する、請求項1記載の鉄塔建て替え工法。
- 前記第3工程において、既設鉄塔の各一側既設アームを撤去し、前記第5工程において、既設鉄塔の各他側既設アーム及び塔体の少なくとも一部を撤去する、請求項2記載の鉄塔建て替え工法。
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