JP2004353345A - 既存建物と昇降路構造物との接合構造 - Google Patents

既存建物と昇降路構造物との接合構造 Download PDF

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雅明 安井
Katsuyoshi Itagaki
勝善 板垣
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Abstract

【課題】エレベータシャフトなどの増設により既存建物に与える影響を小さくすることができ、また地震時におけるエレベータシャフトそのものの損傷も未然に防止することである。
【解決手段】既存中高層建物12に隣接して増設され、その各階床部22に連通する接続通路24及び屋根部20を形成した内部中空の昇降路構造物10において、前記昇降路構造物10の固有周期に応じて屋根部20または任意の階の接続通路24の一カ所を既存建物12に連結し、他の階は非連結状態とする。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐震性を考慮した既存建物と昇降路構造物の接合構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
3〜5階建ての既存中高層住宅には、エレベータが設置されていないものがある。一方、高齢化が急速に進みつつある現代社会では、バリアフリー化に対する要求が大きく、既存の中高層住宅でもエレベータを設置することが強く望まれている。
【0003】
そこで、複数のプレキャストコンクリート製のエレベータシャフトユニットを予め製作しておき、増築現場にて前記シャフトユニットを積上げて互いに接合するとともに、既存建物の床面を前記エレベータシャフトユニットの出入口部に接続するエレベータシャフトの増築方法が開発されている(特許文献1)。
【0004】
この方法においては、図3に示すように、既存建物1の各階踊場床面1aとエレベータシャフト2の各階出入口部とを床パネル2aを介して連結し、またエレベータシャフト2の最上部に配置される屋根部2bを既存建物1の最上部に連結している。
【0005】
この構造における耐震検討は、エレベータシャフトの重量を既存建物に付加して行っていたが、エレベータが設置されていない既存建物は昭和55年以前の古い建物が多く、前記のように連結すると、既存建物の耐震性を確保するためには、別途、耐震補強を行う必要があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−199560号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実際の既存建物1は、建設当時の設計図書も残っていない場合が多く、また、躯体内部の配筋など不明なものも多く、耐震診断が困難を極めることが多い。また、既存建物1の地震時における揺れは比較的短周期である反面、前記エレベータシャフト2の揺れは縦長であることに起因して比較的長周期であるため、地震時に既存建物1の層間変形にともなう強制変形をエレベータシャフト2が受けやすく、エレベータシャフト2あるいは各階接続通路2aや屋根部2bなどが損傷しないように補強する必要がある。
【0008】
本発明は、以上の課題を解決するものであり、その目的は、エレベータシャフトなどの増設により既存建物に与える影響を小さくすることができ、また地震時におけるエレベータシャフトそのものの損傷も未然に防止できるようにした既存建物と昇降路構造物の接合構造を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明は、既存中高層建物に隣接して増設され、その各階床部に連通する接続通路及び屋根部を形成した内部中空の昇降路構造物において、前記昇降路構造物の固有周期に応じて屋根部またはいずれか任意の階の接続通路を既存建物に連結し、他の階は非連結状態とすることを特徴とするものである。
【0010】
従って、本発明では、いずれか任意の階の昇降路構造物のみが既存建物に連結されているため、地震時には昇降路構造物はその連結点を基点に最適周期で揺れ、既存建物にその揺れによる耐震性低下をもたらすことや、強制振動による昇降路構造物自体の損傷を防止できる。
【0011】
また、本発明では、請求項1において、前記連結部位が屋根部または上層階接続通路であることにより、その下部の各接続通路と床部分との相対変位量を小さくすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明が適用されるユニット式エレベータシャフトの全体構造を示し、図2(a)は同エレベータシャフトと既存建物に対する取付け状態を示す側面図である。
【0013】
同図におけるエレベータシャフト10は、例えば、二世帯1共同階段方式の5階建ての既存建物12に増設されるものであり、既存建物12の階段位置の外側に対向してエレベータシャフト10が増築される。
【0014】
エレベータシャフト10は、現場施工される基礎土台14上にプレキャストコンクリート(以下PCaと略記する)製の基礎ユニット16を設置し、このPCa基礎ユニット16上に、同じく1階〜5階用PCaシャフトユニット18をそれぞれ連続して積上げ、最上部を既存建物12の庇20aなどに連続するPCa屋根ユニット20で覆い、さらに、2階〜4階用シャフトユニット18の上部に踊場など既存の床22と連通するPCa床パネル24を連結したものである。
【0015】
基礎ユニット16及び各シャフトユニット18は角筒型をなし、その内側四隅に柱部16a,18aを一体に形成し、さらには、各シャフトユニット18の一側部には出入口用開口部18bを開口させている。これら各ユニット16,18はその柱部16a,18aの上部に突出する柱主筋26を介して一体に接合される。
【0016】
なお、2階用シャフトユニット18は他とは異なり、無開口タイプとしている。これは地上階及び各中間階の踊場からエレベータに出入りできるようにエレベータシャフト10が増築されるためで、中二階では半階分だけ下れば地上階におりることができるからである。
【0017】
そして、地震などによる既存建物12の水平周期は、各階毎に層間変位を生じさせる周期と仮定し、かつエレベータシャフト10がその2倍の周期を持つものと仮定し、これらの仮定を前提条件として、5階の床22と5階用PCa床パネル24のみを連結し(図2中○で示す)、PCa屋根ユニット20及び下階のPCa床パネル24は既存建物12とは全て切離しておく。
【0018】
なお、5階を除く各階のPCa床パネル24は、通常では既存建物と同一平面で水平に連続すべくフレキシブルジョイントなどにより各階床22と接続しておくことは勿論である。
【0019】
以上の構造において、実際に地震により、図2(b)に示すように水平力Fが作用し、所定の振幅Wで揺れが生じたとすると、既存建物12及びエレベータシャフト10が同一振幅Wで水平変位し、既存建物とエレベータシャフト10は5階床部分を共有点としてそれぞれの周期で揺れる。
【0020】
この場合、2階、4階の床部分及び5階の屋根部分ではエレベータシャフト10の振幅はほぼ1/2Wであり、揺れ方向は既存建物12と同一である。これに対し、3階部分ではエレベータシャフト10の振幅はWであって、既存建物12とは逆向きの揺れとなる。
【0021】
従って、3階部分の既存床22とPCa床パネル24との離間間隔を予期される振幅Wの二倍に設定しておくことにより、5階における連結点を共有点として、互いにそれぞれの固有周期により水平変位することになり、エレベータシャフト10の増設により、既存建物12に対する負荷をかけることなく、またその逆にエレベータシャフト10が損傷を受けることなく個々の周期で独立して水平変位することになる。
【0022】
以上に加え、既存建物10の耐震性が低い場合であっても、一カ所で現在の耐震強度に設計されたエレベータシャフト12で支えられ、いわばつっかい棒としての機能が発揮されるため、既存建物10単独の場合に比べて建物そのものの耐力も若干向上するものとなる。
【0023】
なお、以上の実施形態では、既存建物12の震動周期を各階毎の層間変位とし、エレベータシャフト10がその二倍の周期を持つものと仮定して説明したが、これは単なる説明のための便宜的なものであり、必ずしも整数値とはならない。それ故、実用化にあたっては実際の振動周期を予め測定したうえで、計算上互いに最も影響の少ない連結点を設定すればよい。
【0024】
さらには、実施形態で示したように、5階建て建物であれば、5階の床部あるいは屋根部位置を連結点とするなど、より高い階の一カ所の接続部分を連結点とすることで、下階におけるPCa床パネル24と既存床22の相対変位量を小さくすることができる。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明により明らかなように、本発明による既存建物と昇降路構造物との接合構造にあっては、エレベータシャフトなどの増設により既存建物に与える影響を小さくすることができ、また地震時におけるエレベータシャフトそのものの損傷も未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接合構造が適用されるエレベータシャフトの分解斜視図である。
【図2】(a)は同既存建物に対するエレベータシャフトの接合状態を示す側面図、(b)は同地震作用時の水平変位状態を示す側面図である。
【図3】従来の既存建物とエレベータシャフトの接合状態を示す側面図である。
【符号の説明】
10 エレベータシャフト
12 既存建物
20 PCa屋根ユニット(屋根部)
20a 庇
22 床面(既存構造物)
24 PCa床パネル(接続通路)

Claims (2)

  1. 既存中高層建物に隣接して増設され、その各階床部に連通する接続通路及び屋根部を形成した内部中空の昇降路構造物において、
    前記昇降路構造物の固有周期に応じて屋根部またはいずれか任意の階の接続通路を既存建物に連結し、他の階は非連結状態とすることを特徴とする既存建物と昇降路増設構造物との接合構造。
  2. 請求項1において、前記連結部位が屋根部または上層階の接続通路であることを特徴とする既存建物と昇降路構造物との接合構造。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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