JP2004351039A - 超音波診断装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】移動量演算部22は、フリーズ画像とリアルタイム画像を接合する際に必要な両画像間における移動量を演算する。接合位置演算部24は、リアルタイム画像の各フレーム画像ごとに算出される移動量に基づいて、各フレーム画像ごとにフリーズ画像を基準とした接合位置を演算する。画像接合部26は、フリーズ画像とリアルタイム画像の各フレーム画像とを位置合わせして接合した接合画像を形成し表示部28に表示する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の超音波画像を接合して表示する超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波探触子を生体表面上で移動させながら得られる複数の断層画像に対して、複数の断層画像の相対的な位置関係に基づいた位置合わせを行って、複数の断層画像を接合した広域的な断層画像(接合断層画像)を表示する超音波診断装置が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。このような超音波診断装置は、例えば血管のように、一枚の断層画像内には全貌が収まりにくい対象組織に対する診断に有効である。つまり、血管などの対象組織について基準となる断層画像を取得した後、所望の方向に位置をずらした別の断層画像を取得することで、複数の断層画像の接合により形成される接合断層画像が、あたかも一枚の断層画像のように表示され、表示された広域的な接合断層画像に基づいて対象組織のサイズに関する計測などを行うことができる。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−280688号公報
【特許文献2】
特開2000−217815号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、二つの断層画像を接合して表示する、いわゆる2B表示機能を有する超音波診断装置においては、検査者は、基準となる断層画像をディスプレイに静止表示させた上で、その断層画像の隣に映し出されるリアルタイム断層画像を肉眼で確認しながら、探触子を移動させて位置合わせを行い、静止表示された断層画像とリアルタイム表示された断層画像による接合断層画像を形成していた。このように、従来の2B表示機能を有する超音波診断装置による断層画像の接合は、検査者の技量に頼らざるを得ないため、接合精度のよい接合断層画像の形成が困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、接合精度のよい画像を容易に形成できる超音波診断装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明に係る超音波診断装置は、表示画面上に少なくとも第一および第二表示領域が並んで設定され、各表示領域に超音波画像が表示される超音波診断装置であって、第一位置において取得される第一画像データ、および、前記第一位置から移動した第二位置において取得される第二画像データに基づいて、前記第一画像データに対応する第一画像と前記第二画像データに対応する第二画像との間における位置的つながり関係を演算する演算手段と、前記位置的つながり関係に基づいて、前記第一画像および前記第二画像をそれぞれ前記第一および第二表示領域に表示するための処理を実行し、前記表示画面上に前記第一画像と前記第二画像とがつながった広域表示画像を形成する表示処理手段とを有するものとする。
【0007】
上記構成において、第一および第二表示領域は、例えば、一つのディスプレイを左右半分に分断して形成される。もちろん、二つのディスプレイを並べて、一方のディスプレイに第一表示領域を、他方のディスプレイに第二表示領域を形成してもよい。この場合、第一表示領域と第二表示領域との間にブランク領域が存在してもよい。つまり、演算手段においてブランク領域を跨いだ位置的つながり関係が演算されてもよい。また、表示領域は二つに限定されず、第三、第四の表示領域を伴って、全ての画像領域に画像が表示されてもよい。上記構成によれば、演算手段が演算する画像間の位置的つながり関係に基づいて第一画像と第二画像とが接合されるため、接合精度のよい画像を容易に形成できる。
【0008】
望ましくは、前記第一画像データおよび前記第二画像データは、画像メモリに格納された静止画像データとする。
【0009】
(2)また、上記目的を達成するために、本発明に係る超音波診断装置は、表示画面上に基準表示領域および拡張表示領域が並んで設定され、各表示領域に超音波画像が表示される超音波診断装置であって、所定位置においてビーム走査を行うことにより基準画像データを取得し、前記所定位置から移動した各移動位置においてビーム走査を行うことにより各移動位置ごとに拡張画像データを取得する画像データ取得手段と、前記基準画像データに対応する基準画像と、前記各拡張画像データの各々に対応する各拡張画像との間における接合関係を演算する演算手段と、前記基準画像を前記基準表示領域に表示するための処理を実行し、前記各拡張画像を前記拡張表示領域に表示するための処理を実行する表示処理手段であって、前記接合関係に基づいて前記基準画像と前記各拡張画像とが接合された広域表示画像を前記表示画面上に形成する表示処理手段とを有するものとする。上記構成において、基準画像および各拡張画像は、必ずしも位置的に接触している必要はなく、例えば、基準画像および各拡張画像の間にブランク領域が存在し、ブランク領域を跨いで接合されてもよい。
【0010】
望ましくは、前記基準画像と前記各拡張画像との間における位置関係が所定条件を満たす場合に移動終了判定を行う終了判定手段をさらに有し、前記表示処理手段は、前記各拡張画像の各々に対応する広域表示画像を前記表示画面上に更新表示させ、前記移動終了判定がなされた場合には、前記所定条件を満たす拡張画像に対応する広域表示画像を前記表示画面上に継続表示させるものとする。上記構成において、継続表示とは、同じ広域表示画像を一定期間表示し続けることであり、例えば、対応する広域表示画像が最終画像として表示される。
【0011】
望ましくは、前記表示処理手段は、前記基準画像、および、前記所定条件を満たす拡張画像に対応する広域表示画像を、前記表示画面上に静止画像表示させるものとする。また望ましくは、前記表示処理手段は、前記各拡張画像の各々に対応する広域表示画像を前記表示画面上に更新表示させ、ユーザによる指定がなされた場合には、ユーザが指定した広域表示画像を前記表示画面上に継続表示させるものとする。また望ましくは、前記表示処理手段は、前記基準画像を前記基準領域に静止表示させつつ、前記接合関係に基づいた配置で前記各拡張画像を前記拡張表示領域に表示するものとする。また望ましくは、前記表示処理手段は、前記基準画像と前記各拡張画像との接合による両画像間における重なり画素に対して、各重なり画素の画素データとして、当該重なり画素に対応する前記基準画像および前記各拡張画像の両画素データを重み付け加算したデータを設定するものとする。
【0012】
望ましくは、前記演算手段は、前記基準画像および前記各拡張画像の二つの画像間において、一方画像と他方画像との間の移動量を演算する手段であって、一方画像上の参照領域に対応する他方画像上の領域を逐次移動させつつ、各移動位置で前記他方画像上の領域と前記一方画像上の参照領域とのマッチング演算を行うことにより前記移動量を演算するものとする。
【0013】
望ましくは、前記マッチング演算は、前記参照領域内の複数画素データと前記対応領域内の複数画素データとの相関関係に基づいた演算とする。また望ましくは、前記参照領域は矩形領域とする。前記参照領域はユーザにより設定されてもよい。また望ましくは、前記演算手段は、各拡張画像ごとに所定位置に設定されたサーチ領域内において前記参照領域を逐次移動させるものとする。前記サーチ領域はユーザにより設定されてもよい。
【0014】
(3)また、上記目的を達成するために、本発明に係る超音波診断装置は、所定位置において対象組織に対して超音波を送受波することにより基準画像データを取得し、前記所定位置から移動した移動位置において対象組織に対して超音波を送受波することにより拡張画像データを取得する画像データ取得手段と、前記基準画像データに対応する基準画像と、前記拡張画像データに対応する拡張画像との間における接合関係を演算する演算手段と、前記基準画像データ、前記拡張画像データおよび前記接合関係に基づいて、前記基準画像と前記拡張画像とが接合された広域表示画像に対応する広域画像データを生成する広域画像データ生成手段と、前記広域画像データに基づいて、前記対象組織のサイズを計測する計測手段とを有するものとする。
【0015】
上記構成によれば、接合精度のよい広域画像データに基づいて対象組織のサイズが計測されるため、サイズの計測精度が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1には、本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示すブロック図である。探触子10は、生体体表に当接されて目標組織、例えば血管を含む生体内の空間に対して超音波を送受波する。送受信部12は、探触子10を介して生体内からエコーデータを取得する。エコーデータの取得は、探触子10を生体体表上で、例えば血管に沿って移動しながら行われる。なお、探触子10の移動は、ユーザにより手動で行われてもよく、あるいは機械的に行われてもよい。
【0018】
信号処理部14は、送受信部12が取得するエコーデータに対してBモード用信号処理を実行することで、二次元Bモード画像データ(断層画像データ)をフレーム単位で形成する。信号処理部14は、その他の各種動作モードに応じた所定の信号処理を実行してもよい。具体的には、ドプラ用信号処理、カラードプラ信号処理などを実行してもよい。信号処理部14からフレーム単位で次々に出力される断層画像データは、リアルタイム画像データとしてリアルタイム画像メモリ20に記録される。リアルタイム画像メモリ20には、各フレームを構成する全画素データが、各画素位置に対応するアドレスが付されて記録される。
【0019】
信号処理部14からフレーム単位で出力される断層画像データは、フリーズ画像抽出部16にも出力される。フリーズ画像抽出部16は、信号処理部14からフレーム単位で出力される断層画像データの中から、フリーズ画像データ(基準画像データ)を抽出する。つまり、探触子10が生体体表上を移動する際、ユーザが所望の位置でフリーズ画像の取得指示を行い、フリーズ画像抽出部16はユーザの指示に基づいてフリーズ画像データを抽出する。ユーザの指示は、例えば図示しないフリーズボタンにより入力され、制御部30を介してフリーズ画像抽出部16に伝えられる。抽出されたフリーズ画像データはフリーズ画像メモリ18に記録される。フリーズ画像メモリ18には、フリーズ画像を構成する全画素データが、各画素位置に対応するアドレスが付されて記録される。
【0020】
移動量演算部22は、フリーズ画像とリアルタイム画像を接合する際に必要な両画像間における移動量を演算する。探触子10の移動に伴い、フリーズ画像とリアルタイム画像は、異なる位置に対応する断層画像として取得される。したがって、フリーズ画像とリアルタイム画像を位置合わせして接合するためには、フリーズ画像とリアルタイム画像との間の位置的なずれ、つまり移動量が必要となる。移動量演算部22は、この移動量として、フリーズ画像とリアルタイム画像の各フレーム画像との間における並進移動量(ΔX,ΔY)および回転移動量(θ)を算出し、接合位置演算部24に出力する。なお、移動量演算部22による移動量の演算については、後に図3を利用して詳述する。
【0021】
接合位置演算部24は、リアルタイム画像の各フレーム画像ごとに算出される並進移動量(ΔX,ΔY)および回転移動量(θ)に基づいて、各フレーム画像ごとにフリーズ画像を基準とした接合位置を演算する。上述のとおり、並進移動量および回転移動量は、フリーズ画像と各フレーム画像との間の位置的なずれを示している。つまり、各フレーム画像に対して移動量に基づく位置的な補正を施して各フレーム画像をフリーズ画像に接合(合成)することにより、両画像間の位置合わせが可能になる。
【0022】
そこで、接合位置演算部24は、フレーム画像を構成する各画素データの画素位置を(X,Y)として、次式に基づく画素位置の変換を実施する。
【数1】
数1で算出される画素位置(X´,Y´)は、画素位置(X,Y)を、原点を回転軸としてθ回転移動させ、X軸方向にΔX、Y軸方向にΔY並進移動させたものである。つまり、変換後のフレーム画像の各画素位置(X´,Y´)は、フリーズ画像に対して位置合わせが施された画素位置に相当する。接合位置演算部24は、各フレーム画像ごとに、各フレーム画像を構成する全画素についての変換後の画素位置を画像接合部26へ出力する。
【0023】
画像接合部26は、フリーズ画像とリアルタイム画像の各フレーム画像とを位置合わせして接合した接合画像を形成する。つまり、画像接合部26は、フリーズ画像メモリ18に記録されているフリーズ画像の画素データと、リアルタイム画像メモリ20に記録されている各フレーム画像の画素データとに基づいて、接合画像の画素データを演算する。フリーズ画像メモリ18には、フリーズ画像の各画素データがその画素位置に対応するアドレスに格納されている。同様に、リアルタイム画像メモリ20には、リアルタイム画像の各フレーム画像の画素データがその画素位置に対応するアドレスに格納されている。画像接合部26は、リアルタイム画像の各フレーム画像の画素位置を、接合位置演算部24で算出された画素位置に変換してフリーズ画像と合成する。合成により、フリーズ画像には存在しない画素位置の画像がフリーズ画像に接合され、広域的な接合画像が形成される。
【0024】
なお、フリーズ画像と各フレーム画像との接合において両画像による重なり画素が存在する場合には、重なり画素の画素データとして、フリーズ画像の画素データと各フレーム画像の画素データとの両画素データに重み付け加算した値を設定する。その結果、例えば、フリーズ画像の画素データを優先することや、フリーズ画像と各フレーム画像の画素データの平均値をとることなどが可能になる。また、接合される二つの画像として、フリーズ画像メモリ18に記録されている二つのフリーズ画像を抽出し、抽出した二つのフリーズ画像が画像接合部26で接合されてもよい。
【0025】
計測部29は、画像接合部26において形成された接合画像に基づいて、対象組織のサイズに関する計測を行う。例えば、対象組織の長さや太さ、あるいは、断面積などの計測を実施する。
【0026】
表示部28は、画像接合部26において形成された接合画像を画面表示する。表示部28は、通常の一画面による断層画像の表示モードと接合画像の表示モードとが、ユーザによる指示に基づいて切り替え可能になっている。ユーザによる指示は制御部30を介して入力される。接合画像の表示モードの場合、表示部28の画面には、フリーズ画像領域とリアルタイム画像領域が形成される。つまり、通常の一画面による矩形の表示領域が、左右に分断され、左画面領域にフリーズ画像が、右画面領域にリアルタイム画像が表示される。そして、画像接合部26で形成された接合画像のうち、フリーズ画像部分が左画面領域に、リアルタイム画像部分が右画面領域に表示される。
【0027】
図2は、表示部(図1の符号28)に表示される接合画像を示す図である。表示画面領域40の左画面領域にはフリーズ画像42が表示され、右画面領域にはリアルタイム画像44が表示されている。画像接合部(図1の符号26)において位置合わせが行われているため、対象組織46の画像は、フリーズ画像42とリアルタイム画像44との連結部分で自然に連結され、接合画像は対象組織46に関する一枚の画像のように表示されている。
【0028】
図3は、移動量演算部(図1の符号22)で実施される移動量の演算を説明するための図である。図3(A)には、フリーズ画像メモリ(図1の符号18)に記録されているフリーズ画像が示され、図3(B)および図3(C)には、リアルタイム画像メモリ(図1の符号20)に記録されているリアルタイム画像の中の二つのフレーム画像が示されている。
【0029】
移動量演算部は、図3(A)に示されるように、フリーズ画像内に矩形の参照領域50を設定する。参照領域50は、例えば、ユーザ操作に基づいてフリーズ画像の右端部に設定される。参照領域50は装置により自動設定されてもよい。次に、移動量演算部は、図3(B)に示されるように、フレーム画像1内においてサーチ領域52を設定する。サーチ領域52は、例えば、ユーザ操作に基づいて設定され、フレーム画像1の右端部に位置する参照領域位置に相当する矩形領域54を囲むように設定される。サーチ領域52は装置により自動設定されてもよい。
【0030】
移動量演算部は、設定されたサーチ領域52内において参照領域50に相当する矩形領域54を移動させ、矩形領域54の各移動位置において参照領域50内の画像と矩形領域54内の画像とのマッチング演算を行い、マッチ領域56を特定する。マッチング演算としては、MSAD(Minimum−Sum−Absolute−Difference:最小和絶対差)法が用いられる。
【0031】
移動量演算部は、まず、図3(B)に示されるサーチ領域52内において、矩形領域54を上下左右に並進移動させて、各移動位置においてSAD(Sum−Absolute−Difference:和絶対差)値を算出し、SAD値が最小となる領域を並進マッチ領域58として特定する。
【0032】
ここでSAD値とは、フリーズ画像の参照領域50とフレーム画像1内において移動される矩形領域54との間における、互いに相当する画素同士の画素データ間の絶対差の和である。つまり、SAD値は、参照領域50内の各画素データと、矩形領域54内の相当する画素データとの差の絶対値を、領域内全ての画素に対して総和した結果となる。このため、参照領域50内の画像と矩形領域54内の画像が完全に一致すればSAD値は0となり、一般的にSAD値が小さくなるほど両画像の近似度が高いことになる。なお、移動量演算部において行われるマッチング演算は、MSAD法に限定されるものではなく、一般的に画像のマッチングに利用される相関法を利用して最も相関の高い矩形領域54を並進マッチ領域58と判断してもよい。
【0033】
並進マッチ領域58が設定されると、移動量演算部は、図3(B)に示されるように、フレーム画像1内において、並進マッチ領域58を回転移動させ、各回転移動位置において参照領域50内の画像と回転移動した並進マッチ領域58内の画像とのマッチング演算を行い、マッチ領域56を特定する。移動量演算部は、並進マッチ領域58を、その重心点60を回転中心点として+θ方向および−θ方向に所定単位角度、例えば、+3°から−3°のサーチ範囲内に0.1°単位で回転させ、各回転位置において、参照領域50内の画像とのマッチング演算を行う。マッチング演算としては、前述のMSAD法が用いられる。
【0034】
そして、移動量演算部は、参照領域位置に相当する移動前の矩形領域54と並進マッチ領域58との間の並進移動量(ΔX,ΔY)、および、並進マッチ領域58に対するマッチ領域56の回転移動量(θ)を出力する。なお、マッチ領域56は、SAD値が最小となる領域として決定されるが、SAD値が所定値より大きい場合には、マッチ領域が存在しないものと判断してもよい。つまり、SAD値が所定値よりも大きい場合には、フリーズ画像内の参照領域50に相当する画像がフレーム画像内に存在しないものと判断して、例えば、ユーザに対して接合不可能である旨を警告する。
【0035】
なお、上記説明では並進移動量を決定した後に回転移動量を決定したが、回転移動量を決定した後に並進移動量を決定してもよい。あるいは、並進移動と回転移動の両移動を含めたマッチング演算を行うことで、並進移動量と回転移動量を一度に決定してもよい。上記説明のように並進移動量を決定した後に回転移動量を決定することによる利点は、既に演算された並進移動量が考慮された状態で参照領域50を逐次回転移動させつつ回転移動量のマッチング演算が行われるため、不必要な並進移動位置における回転移動量のマッチング演算が無くなり、回転移動量のマッチング演算の演算量を少なくすることができ、延いては移動量演算の演算量を少なくすることができることにある。
【0036】
移動量演算部による並進移動量および回転移動量の演算は、各フレーム画像ごとに実施される。図3(C)に示すフレーム画像2は、図3(B)に示すフレーム画像1に対して、探触子を画像の右方向に移動させた際に得られる画像に相当する。移動量演算部は、フレーム画像1におけるマッチ領域56の特定と同じ手法で、フレーム画像2におけるマッチ領域56´を設定する。つまり、フレーム画像2内においてサーチ領域52´を設定し、サーチ領域52´内において参照領域50に相当する矩形領域54´を移動させながらマッチング演算を実施して、マッチ領域56´を特定する。この際、フレーム画像2内に設定されるサーチ領域52´は、フレーム画像1におけるサーチ領域52よりも画像の左方向に移動した位置に設定されることが望ましい。つまり、フレーム画像2はフレーム画像1に対して探触子を右方向に移動させた画像であり、参照領域50に対応する領域(マッチ領域56´として抽出される領域)は、画像の左方向に移動するためである。もちろん、サーチ領域52(52´)を設定せずに、画像内全域において矩形領域54(54´)を移動させてマッチング演算を実施してもよい。サーチ領域52(52´)を設定する意味は、マッチング演算を領域内に限定することで演算量を削減することにある。
【0037】
次に、図4を利用して図1の超音波診断装置による接合画像の形成動作を説明する。以下、図1に記載した部分には図1の符号を付して説明する。
【0038】
ユーザによる指示(例えばボタン操作)に基づいて、表示部28は表示画面を接合画像の表示モードに切り替える。ユーザは表示部28に映し出される画像を見ながら、探触子10を移動させて対象組織の画像を映し出し、所望の位置においてフリーズ指示(例えばボタン操作)を行ってフリーズ画像を決定する。図4(A)は、フリーズ画像を決定した際の画像であり、表示領域40の左画面領域にフリーズ画像42が静止表示される。
【0039】
フリーズ画像42が決定されると、ユーザは画像接合選択(例えばボタン操作)を行う。これにより、移動量演算部22、接合位置演算部24および画像接合部26による画像接合処理が実行される。画像接合処理はリアルタイム画像メモリ20に記録される各フレーム画像ごとに実行され、各フレーム画像がフリーズ画像に接合されて、表示部28に映し出される。図4(B)は、フリーズ画像42にリアルタイム画像44が接合(合成)された接合画像を示している。フリーズ画像42とリアルタイム画像44の接合は、参照領域50に対するマッチング演算に基づいて実行される。
【0040】
ユーザは表示部28に映し出される接合画像を見ながら、接合画像がなるべく広く映し出されるように、つまり、表示画面領域40の右画面領域にリアルタイム画像44が広く映し出されるように探触子10を移動させる。探触子10が移動して、リアルタイム画像44の左端のラインが参照領域50に達する時、または、マッチ領域(図3の符号56)がリアルタイム画像44の左端に達する時、制御部30は、探触子10の移動終了と判定し、表示部28は移動終了と判定された際のリアルタイム画像44をフリーズさせた最終接合画像を表示する。つまり、合成後のフリーズ画像42およびリアルタイム画像44が静止画像として画像表示される。図4(C)は、探触子10の移動終了を判定した際の最終接合画像を示している。最終接合画像の大きさは、参照領域50の形状や設定位置に依存するが、最終接合画像をより大きく得るためには、横幅の小さい細長い矩形の参照領域50をフリーズ画像42の右端部に設定すればよい。また、リアルタイム画像44が、ユーザにより、または自動で設定された表示領域に達した場合に最終接合画像としてもよい。探触子10の移動終了の判定はユーザが行ってもよい。
【0041】
上述した接合画像の形成動作の説明では、探触子の移動に伴う画像を右画面領域にリアルタイム画像として表示していたが、リアルタイム画像の表示は行わずに最終接合画像のみを表示させてもよい。また、接合画像は断層画像(Bモード画像)に限定されるものでなく、例えば、ハーモニック画像やカラードップラ画像を含む画像などにも適用できる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る超音波診断装置により、接合精度のよい画像を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】表示部に表示される接合画像を示す図である。
【図3】移動量演算部で実施される移動量の演算を説明するための図である。
【図4】図1の超音波診断装置による接合画像の形成動作を説明するための図である。
【符号の説明】
16 フリーズ画像抽出部、22 移動量演算部、24 接合位置演算部、26 画像合成部、29 計測部。
Claims (13)
- 表示画面上に少なくとも第一および第二表示領域が並んで設定され、各表示領域に超音波画像が表示される超音波診断装置であって、
第一位置において取得される第一画像データ、および、前記第一位置から移動した第二位置において取得される第二画像データに基づいて、前記第一画像データに対応する第一画像と前記第二画像データに対応する第二画像との間における位置的つながり関係を演算する演算手段と、
前記位置的つながり関係に基づいて、前記第一画像および前記第二画像をそれぞれ前記第一および第二表示領域に表示するための処理を実行し、前記表示画面上に前記第一画像と前記第二画像とがつながった広域表示画像を形成する表示処理手段と、
を有することを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項1に記載の超音波診断装置であって、
前記第一画像データおよび前記第二画像データは、画像メモリに格納された静止画像データである、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 表示画面上に基準表示領域および拡張表示領域が並んで設定され、各表示領域に超音波画像が表示される超音波診断装置であって、
所定位置においてビーム走査を行うことにより基準画像データを取得し、前記所定位置から移動した各移動位置においてビーム走査を行うことにより各移動位置ごとに拡張画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記基準画像データに対応する基準画像と、前記各拡張画像データの各々に対応する各拡張画像との間における接合関係を演算する演算手段と、
前記基準画像を前記基準表示領域に表示するための処理を実行し、前記各拡張画像を前記拡張表示領域に表示するための処理を実行する表示処理手段であって、前記接合関係に基づいて前記基準画像と前記各拡張画像とが接合された広域表示画像を前記表示画面上に形成する表示処理手段と、
を有することを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項3に記載の超音波診断装置であって、
前記基準画像と前記各拡張画像との間における位置関係が所定条件を満たす場合に移動終了判定を行う終了判定手段をさらに有し、
前記表示処理手段は、前記各拡張画像の各々に対応する広域表示画像を前記表示画面上に更新表示させ、前記移動終了判定がなされた場合には、前記所定条件を満たす拡張画像に対応する広域表示画像を前記表示画面上に継続表示させる、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項4に記載の超音波診断装置であって、
前記表示処理手段は、前記基準画像、および、前記所定条件を満たす拡張画像に対応する広域表示画像を、前記表示画面上に静止画像表示させる、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項3に記載の超音波診断装置であって、
前記表示処理手段は、前記各拡張画像の各々に対応する広域表示画像を前記表示画面上に更新表示させ、ユーザによる指定がなされた場合には、ユーザが指定した広域表示画像を前記表示画面上に継続表示させる、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項3に記載の超音波診断装置であって、
前記表示処理手段は、前記基準画像を前記基準領域に静止表示させつつ、前記接合関係に基づいた配置で前記各拡張画像を前記拡張表示領域に表示する、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項3に記載の超音波診断装置であって、
前記表示処理手段は、前記基準画像と前記各拡張画像との接合による両画像間における重なり画素に対して、各重なり画素の画素データとして、当該重なり画素に対応する前記基準画像および前記各拡張画像の両画素データを重み付け加算したデータを設定する、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項3に記載の超音波診断装置であって、
前記演算手段は、前記基準画像および前記各拡張画像の二つの画像間において、一方画像と他方画像との間の移動量を演算する手段であって、一方画像上の参照領域に対応する他方画像上の領域を逐次移動させつつ、各移動位置で前記他方画像上の領域と前記一方画像上の参照領域とのマッチング演算を行うことにより前記移動量を演算する、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項9に記載の超音波診断装置であって、
前記マッチング演算は、前記参照領域内の複数画素データと前記対応領域内の複数画素データとの相関関係に基づいた演算であることを特徴とする超音波画像処理装置。 - 請求項9に記載の超音波診断装置であって、
前記参照領域は矩形領域であることを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項9に記載の超音波診断装置であって、
前記演算手段は、各拡張画像ごとに所定位置に設定されたサーチ領域内において前記参照領域を逐次移動させることを特徴とする超音波診断装置。 - 所定位置において対象組織に対して超音波を送受波することにより基準画像データを取得し、前記所定位置から移動した移動位置において対象組織に対して超音波を送受波することにより拡張画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記基準画像データに対応する基準画像と、前記拡張画像データに対応する拡張画像との間における接合関係を演算する演算手段と、
前記基準画像データ、前記拡張画像データおよび前記接合関係に基づいて、前記基準画像と前記拡張画像とが接合された広域表示画像に対応する広域画像データを生成する広域画像データ生成手段と、
前記広域画像データに基づいて、前記対象組織のサイズを計測する計測手段と、
を有することを特徴とする超音波診断装置。
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