JP2004350086A - 通信制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の端末が1つの通信路を共有するネットワークにおいて、信号の衝突を回避すると共に所定の信号を優先して送信する。
【解決手段】ネットワーク上の各ノード(端末および中継器を含む)が送信する全てのパケットに共通した優先度を定義する。優先度毎に、パケットを送信するタイミングを規定するスロットを割当てる。各スロットは、通信路上で行われているパケットの転送が終了したタイミングを基準に定められる。優先度のスロットへの割当ては、優先度の高いパケットほど(優先的に送信したいパケットほど)、早いタイミングのスロットに割当てられるようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】ネットワーク上の各ノード(端末および中継器を含む)が送信する全てのパケットに共通した優先度を定義する。優先度毎に、パケットを送信するタイミングを規定するスロットを割当てる。各スロットは、通信路上で行われているパケットの転送が終了したタイミングを基準に定められる。優先度のスロットへの割当ては、優先度の高いパケットほど(優先的に送信したいパケットほど)、早いタイミングのスロットに割当てられるようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の端末が通信路を共有するネットワークの通信制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、LAN(Local Area Network)等のネットワーク上にある複数の通信端末が1つの通信路を共有する場合、当該通信路に対して複数の端末が同時に信号(パケット)を送信しようとしたときに信号の衝突(collision)が発生する。この衝突を防止するために、複数の端末間で信号の送信タイミングを調整して送信チャネルを確保することを送信権の調停という。
【0003】
従来の調停の技術としては、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)方式が知られている(例えば特許文献1)。このCSMA/CD方式では、各端末は送信を行う前に伝送路が使用可能かどうかを調べ、使用可能であると判断した時のみ信号を送信する。また、個々の端末は信号の衝突の発生を検出する機能を有する。そして衝突が発生した場合は衝突の原因となった全ての端末が送信を停止し、乱数によって決定する待機時間だけ送信を控えた後、再送を試みる。
【0004】
しかし、例えば無線LANのように、個々の端末が通信路上の衝突の発生を検出することができないネットワークでは、上記CSMA/CD方式を適用することは困難である。そのようなネットワークに適用可能な調停の技術としては、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)方式が知られている。この方式では、各端末は信号の送信を開始する前に通信路をモニタして、当該通信路上で他の端末により信号転送が行われていないかどうかを確認する。そして、所定の待機時間以上継続して通信路上を信号が転送されていなければ、信号の送信を開始する。この待機時間は、一定の時間にランダムな長さの時間を加えたものであり、直前の信号転送の終了時から一定時間経過した後に、複数の端末が一斉に送信を開始して衝突が発生する事態を防止している。
【0005】
さらに、送信した信号が受信側の端末に受信されると、受信側の端末は信号を正しく受信したことを示す確認応答であるACK(Acknowledge)信号を返信する。送信側の端末は、そのACK信号の有無によって送信信号が正常に送信されたか否かを判断し、ACK信号による応答が無ければ衝突や混信等の通信障害により送信が失敗したものとみなし、信号の再送信を行なう。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−251332号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記CSMA/CD方式では、各端末が送信する信号(パケット)に優先順位はなく、全ての信号が平等に扱われる。しかし実際のところ、送信されるパケットの内容によっては、優先的に送信させたいパケットが存在する場合がある。例えば、動画や音声のリアルタイム配信など、信号の遅延や停止が許されない通信におけるQoS(Quality of Service)の実現のためには、データ通信の等時性(Isochronous)が求められ、そのような通信に係るパケットは優先的に送信/再送信されるべきである。
【0008】
また、通信路を全てのノードが共有するいわゆるシェアードメディアであるネットワークにおいては、基本的に当該ネットワーク上の各ノードにも優先順位はなく平等である。例えば、ネットワークにおける通信距離を延ばす目的で端末間の通信を中継する中継器を導入した場合、中継器も他の端末と同等のノードとみなされる。よって、中継器が中継を行うために送信したパケットと、他の端末が送信したパケットとの衝突が発生することもあり、中継が成功しにくい。そのため中継器の導入が困難であり、通信距離が制限されてしまう欠点もあった。
【0009】
本発明は以上のような問題を解決するためになされたものであり、複数の端末が1つの通信路を共有するネットワークにおいて、信号の衝突を回避すると共に所定の信号を優先して送信することが可能であり、さらにネットワークへの中継器の導入が容易に可能である通信制御方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る通信制御方法は、複数の端末が共有の通信路を介して接続したネットワークの通信制御方法であって、前記複数の端末のそれぞれにおいて、(a)前記通信路を介して他の端末へ送信しようとする第1の信号に対し、前記ネットワークにおいて規定されている優先度を与える工程と、(b)前記優先度に対応付けられた長さの第1の待機時間を決定する工程と、(c)前記通信路をモニタして、前記通信路上における信号転送の有無を確認する工程と、(d)前記工程(c)で前記第1の待機時間の間に前記信号転送が検出されなかった場合に、前記第1の信号を送信する工程と、(e)前記工程(c)で第1の待機時間の間に前記信号転送が検出された場合に、前記工程(b)に戻る工程とが実行される。
【0011】
【発明の実施の形態】
<実施の形態1>
実施の形態1に係る通信制御方法を説明する。ここでは、例えば無線LANやPLC(Power Line Communication)によるLAN環境のような、1つの通信路を全てのノードが共有するシェアードメディアのネットワークを想定する。
【0012】
まず、ネットワーク上の各ノード(端末および中継器を含む)が送信する全ての信号(パケット)に割当てられるべき優先度をネットワーク上に共通に定義する。この優先度は、各端末毎に与えられるもの(即ち1つの端末が送信するパケットは常に同じ優先度である)であってもよいし、それぞれのパケット毎にアダプディブに与えられるもの(即ち1つの端末があらゆる優先度のパケットを送信する)であってもよい。
【0013】
そして、上記優先度毎に、パケットを送信するタイミングを規定するタイムスロット(以下「スロット」)を割当てる。各スロットは、通信路上で行われているパケットの転送が終了したタイミングを基準に定められる。優先度のスロットへの割当ては、優先度の高いパケットほど(優先的に送信したいパケットほど)、早いタイミングのスロットに割当てられるようにする。
【0014】
つまり図1の如く、最も優先度の高い“優先度1”のパケットは、通信路上での前のパケット転送が終了したタイミングを起点として最も早いスロットに割当てられる、その後に続く各スロットには、優先度の高い順番で“優先度2”,“優先度3”・・・のパケットが割当てられる。さらに図1に示した各スロットは、図2の如く、同じ優先度を有するn個の要素スロットから成る。なお、以下の説明において、通信路上の前のパケット転送が終了したタイミングを起点とし、次のパケット送信されるまでの所定の待機時間(図1中の時間TB1、TB2、TB3・・・)を、「バックオフ(Backoff)時間」と称する。
【0015】
また、上記CSMA/CA方式と同様に、受信側の端末は自分宛てのパケットを受信すると、当該パケットを信号を正しく受信したことを示す確認応答であるACK(Acknowledge)信号のパケットを返信する。送信側の端末は、そのACK信号による応答の有無によって、送信したパケットが受信側の端末へ正常に送信されたか否かを判断する。そして、ACK信号による応答が無ければ送信が失敗したものとみなし、信号の再送信を行なう。本実施の形態においては、ACK信号には、最も優先度の高いパケットとして扱われる。よって、図3に示すように、ACK信号用のスロットは最も早いタイミングのスロットに割当てられる。即ち、ACK信号用のスロットに対応したバックオフ時間は、他のパケットのスロットのものよりも短く設定される。
【0016】
以下、具体的な例を用いて、本実施の形態に係るネットワークの通信制御方法を説明する。1つの通信路を全てのノードが共有するシェアードメディアのネットワークとしては、PLC(Power Line Communication)によるLAN環境がある。図4は、PLCによるLANの構成例を示す図である。PLCでは、一般住宅やオフィス等に電源を供給するために配線された電力線を通信路として利用する。図4に示すようにPC(パーソナルコンピュータ)、FAX、テレビ、照明装置等のスイッチ、インターホンのモニタなどは、PLCモデムを接続(あるいは内蔵)することで、通信端末として機能する。それぞれの端末は、通信路である電力線を介して互いに接続しており、相互に制御信号等の情報を送受信可能である。例えば、PCを用いて、その他の装置の動作を制御することも可能になる。
【0017】
PLCによれば一般の電源コンセントをネットワークへの接続コネクタとして使用することが可能となるため、情報通信ネットワークを家庭やオフィスに浸透させる技術として注目されている。例えば家庭内において、電源コンセントはほぼ全ての部屋に備わっているため、それらをLANへの接続コネクタとして利用できるとなると非常に便利である。
【0018】
本実施の形態では説明の簡単のため、図5(a)に示すように3つの端末A,B,Cが共有の通信路(PLCでは電力線に相当)に接続されたネットワークを想定する。端末A,B,Cは、中継器を介することなく互いに通信可能な距離にある。当該ネットワークはシェアードメディアであるので、ある端末がパケットの転送を行っている間、それ以外の端末はパケットの送信を行うことができない。例えば、端末Aと端末Cとが同時にパケット送信を行おうとすると図5(b)の如く衝突が発生してしまい、正常なデータ通信を行うことができない。また、端末A,B,Cは、他の端末からのパケットを正常に受信すると、その確認応答としてACK信号のパケットを返信する。
【0019】
図6は本実施の形態に係る端末におけるパケット送信動作を示すフローチャートである。端末が送信の対象である第1の信号としてのパケットを、通信路を介して他の端末に送信する場合、まず当該パケットを準備し(ST1)、そのパケットに対して、当該ネットワークにおいて規定されている優先度を与える(ST2)。ここで、優先度が端末毎に与えられる場合は、優先度を示すデータが予め各端末内のROMに記憶されており、この記憶データを端末自身が参照することにより、ステップST2の処理が行われる。また、優先度がパケット毎にアダプティブに与えられる場合は、例えば送信するパケットを扱うアプリケーション(ソフト)を特定することで、ステップST2の処理が行われる。つまり、パケットがどのアプリケーションによって扱われるのかにより、そのパケットのリアルタイム性などの重要性が分かるので、予め各アプリケーション毎に優先度を定めておき、送信するパケットに対してはそれを扱うアプリケーションに応じた優先度を割当てる。
【0020】
続いて、通信路をモニタして当該通信路上のパケット転送の有無を確認する(ST3)。このとき通信路上でパケット転送が検出されない場合(即ち通信路がアイドル状態である場合)、端末は即座にパケットの送信を行う(ST8)。
【0021】
一方、ステップST3で、通信路上でパケット転送が検出された場合(即ち、通信路が使用状態である場合)は、それが終了するのを待つ(ST4)。そして、当該パケットを送信するためのスロットおよび要素スロットを割当てる(ST5)。このとき、まず当該パケットの優先度に対応したスロットを割当て、さらにそのスロット内で、乱数に基づいて(ランダムに)選択された要素スロットを割当てる。
【0022】
その後、端末は、自己が送信するパケットに割当てた要素スロット(以下「自己の送信スロット」)になるまで通信路上のモニタを続け(ST6,ST7)、当該自己の送信スロットまでに他の端末によるパケット転送が検出されなければ、当該パケット送信を行う(ST8)。即ち、前のパケット転送の終了時点から自己の送信スロットまでの間(即ち自己の送信スロットのバックオフ時間)は、第1の待機時間に相当する。
【0023】
自己の送信スロットまでに他の端末によるパケット転送が検出された場合は、それが終了するまでパケット送信はできないので(パケット送信を行うと衝突が発生する)、パケット送信は行わずに上記ステップST4に戻る。そして、パケットを送信できるまで上記ステップST4〜ST7を繰り返す。
【0024】
第1の待機時間である自己の送信スロットのバックオフ時間は、優先度ごとに定められたスロットの一定のバックオフ時間(第1の要素時間)と、そのスロットに入って所定の要素スロットに至るまでの時間(第2の要素時間)との和である。スロット内の要素スロットは乱数に基づいて選択されるので、第2の要素時間の長さは乱数に基づいて決定される。
【0025】
各端末におけるパケットの送信タイミングは、優先度が高いものから順番に早いタイミングのスロットに割当てられているので、優先度の高いパケットから順番に転送されることとなる。また、同じ優先度のパケットが複数個ある場合でも、各パケットはランダムに決められた要素スロットに割当てられるため、衝突の発生は抑制される。
【0026】
パケットを送信した端末は、受信側端末からのACK信号による応答を、所定のACK信号待機時間(第2の待機時間)だけ待つ(ST9,ST10)。ACK信号待機時間は、正常にパケット送信が行われた場合にACK信号が受信されるべきタイミングを含む期間とする。本実施の形態においてACK信号待機時間は、パケット送信後の優先度1のスロットのバックオフ時間とする。
【0027】
ACK信号待機時間にACK信号が受信されるとパケット送信に係る動作を終了する。逆に、ACK信号が受信されなければ、先の送信は失敗したものとみなし、ステップST4に戻ってパケットの再送信を試みる。このとき、当該パケットに対して再送信時の優先度を与える(ST11)。再送信時の優先度は前回の送信の際の優先度と同じとする。
【0028】
このように各端末は、通信路が他の端末により使用されている場合は、その通信(パケット転送)が終了して当該通信路が使用可能な状態になるまで待機し、その後にパケットの送信を行う。多くの場合、この動作により衝突は避けることができる。しかし、通信路が輻輳状態である場合には、複数の端末が互いに同じタイミングでパケットの送信を開始して衝突が発生する場合がある。例えば、複数の端末が同じタイミングでステップST3の判断を行った場合や、複数の端末が自己の送信スロットとして偶然同じ要素スロットを割当ててしまった場合には衝突が発生する。
【0029】
本実施の形態に係る端末は、そのような衝突が発生した場合でも、再送信により衝突を回避することができる。例えば、図5(a)に示したネットワークにおいて、図7のようにタイミングt0で、端末Aによる端末Bへパケット(優先度1)の送信と、端末Cによる端末Bへのパケット(優先度2)の送信が同時に行われ、衝突が発生したと仮定する。この衝突により、端末Bは、端末Aからのパケットも端末Cからのパケットも正常に受信することができない。よって、端末BはACK信号の送信を行わない。ここで、同図おいて、期間WAはACK信号用のスロット、期間W0は当該スロットWAのバックオフ時間を示しており、期間W1は優先度1のパケット用のスロット、期間W2は優先度2のパケット用のスロットを示している。
【0030】
端末Aおよび端末Cのそれぞれは、パケットを送信した後ACK信号待機時間(スロットW1のバックオフ時間)の間、ACK信号を待つ(ST9,ST10)。しかし、ACK信号待機時間内のACK信号用のスロットWAになっても端末BからのACK信号が受信されないため、端末Aおよび端末Cは、再送信のための処理を行う。その際、再送信するパケットに対して、先の送信時と同じ優先度が与えられる(ST11)。
【0031】
端末は再送信をするために、上記ステップST4の動作に戻る。図7に示すように、端末A,Cの送信が終了したタイミングt1後は通信路がアイドル状態であるので、端末A,Cのそれぞれは、再送信のためのスロットおよび要素スロットを決定する(ST5)。再送信の際にも前回の送信と同じ優先度が与えられているので、端末Aは優先度1のスロットW1を割当て、端末Cは優先度2のスロットW2を割当てる。なお、スロットW1,W2内の要素スロットは乱数に基づいて決められるが、説明の簡単のため省略する。
【0032】
例えば、スロットWAの長さを0.8ms、そのバックオフ時間W0を1.0ms、スロットW1およびW2の長さをそれぞれ1.6msと仮定する。この場合、端末Aは自己の送信スロットのバックオフ時間を3.4msと定め、同じく端末Cは5.0msと定める。
【0033】
その後、端末A,Cは、自己の送信スロットになるまで通信路上のモニタを続ける(ST6,ST7)。端末Aは、自己の送信スロットW1のバックオフ時間に他の端末によるパケット転送が検出されないので、パケットの再送信を行う(ST8)。一方、端末Cは、端末Aの再送信によるパケット転送を検出するのでステップST4に戻る。
【0034】
端末Aからのパケットを受信した端末Bは、そのパケットの転送が終わったタイミングt2の後のスロットWAでACK信号のパケットを送信する。このときACK信号は他の信号よりも優先度が高いので、他の信号のスロットよりも早く送信される。そのため、ACK信号の送信の際には衝突は発生せず、ACK信号は確実に端末Aに受信される。端末Aは、端末BからのACK信号を受け、パケット送信に係る動作を終了する。このとき端末Cは、タイミングt2で一旦通信路がアイドル状態になるので、ステップST5〜ST7の動作に入る。しかし、スロットW2になる前のスロットWAの期間に、ACK信号のパケット転送が検出されるので(ST6)、再びステップST4に戻り、通信路がアイドル状態になるまで待機する。
【0035】
そして、端末BがACK信号の送信を終了したタイミングt3の後、端末Cは自己のスロットW2のバックオフ時間の間、通信路をモニタし(ST5〜ST7)、パケット送信が検出されないのでスロットW2でパケットを再送信する(ST8)。
【0036】
端末Cからのパケットを受信した端末Bは、そのパケットの転送が終わったタイミングt4の後、スロットWAでACK信号のパケットを送信する。端末Cは、端末BからのACK信号を受け、パケット送信に係る動作を終了する。以上のように、一旦衝突が発生してもその後の再送時において衝突を避けることができるので、各端末間で確実にパケット通信を行うことができる。
【0037】
次に、図8のようにタイミングt0で、共に優先度が1であるパケット同士により、衝突が発生したと仮定する。このときも、端末Aおよび端末Cのそれぞれは、パケット送信が終了したタイミングt1の後、ACK信号用のスロットWAになっても端末BからのACK信号が受信されないため、再送信処理を行う。ここでも、再送信するパケットに対して、前回の送信と同じ優先度が与えられる。
【0038】
端末A,Cが送信するパケットは共に優先度1であるので、再送信の際、端末A,Cは共にスロットW1を自己のスロットに割当てる。さらに、端末A,Cは、スロットW1内の要素スロットをそれぞれ乱数に基づいて割当てる。
【0039】
例えば、スロットWAの長さを0.8ms、そのバックオフ時間W0を1.0ms、スロットW1の長さを1.6msと仮定する。そして、スロットW1内には0.4msごとに区分された4つの要素スロットが存在すると仮定する。端末A,Cは、それらの優先度1のスロットW1内の4つの要素スロットの中からランダムに1つを選択するので、各要素スロットのバックオフ時間は、1.8ms+0.4ms×Nにより与えられる(Nは0〜3の整数)。Nは乱数であるが、ここでは端末AにおいてはN=1、端末BにおいてはN=2に対応した要素スロットがそれぞれ選択されたとする。
【0040】
端末A,Cは、自己の送信スロットになるまで通信路をモニタする(ST6,ST7)。端末Aはタイミングt1の後、自己の送信スロットのバックオフ時間(1.8ms+0.4ms)の間通信路上のパケット転送が検出されないので、再送信を行う(ST8)。一方、端末Cは、端末Aの再送信によるパケット転送を検出してステップST4に戻る。
【0041】
端末Aからのパケットを受信した端末Bは、そのパケットの転送が終わったタイミングt2の後、スロットWAでACK信号を送信する。端末Aは、端末BからのACK信号を受け、パケット送信に係る動作を終了する。このとき端末Cは、タイミングt2で一旦通信路がアイドル状態になるので、ステップST5〜ST7の動作に入る。しかし、自己の送信スロットになる前に通信路上でACK信号のパケット転送が検出されるので、再びステップST4に戻り、通信路がアイドル状態になるまで待機する。
【0042】
そして、端末Cは、端末BがACK信号の送信を終了したタイミングt3から、自己の送信スロットのバックオフ時間(1.8ms+0.8ms)の間通信路上のパケット送信が検出されないので再送信を行う。
【0043】
端末Cからのパケットを受信した端末Bは、そのパケットの転送が終わったタイミングt4から、バックオフ時間W0だけ待機した後、スロットWAでACK信号を送信する。端末Cは、端末BからのACK信号を受け、パケット送信に係る動作を終了する。
【0044】
このように、同じ優先度のパケット同士が衝突を起こした場合でも、1つの優先度に対応したスロット内に複数の要素スロットを備え、その要素スロットを乱数に基づいて選択することにより、再送時の衝突の発生は抑制される。この各スロット内の要素スロットの数は、多いほど衝突の確率は低くなる。よって、例えば再送信時には、端末が選択できる要素スロットの数を増やすようにすると、パケットの再送信時における衝突の発生が抑えられ、総再送回数を低減することができる。
【0045】
ところで、本実施の形態において通信線の輻輳状態が長く続くと、優先度の低いパケットがいつまで経っても送信されないという状態が生じることも考えられる。それを回避するために、例えば図9のように異なる優先度のスロットの一部が互いに重複するようにし、優先度の高いスロット期間中に、それより優先度の低いパケットにも送信可能な機会を与えるようにしてもよい。
【0046】
図9の例では、優先度2のスロットは、優先度1のスロットと一部の期間で、タイミングが重複している。つまり、その重複した期間であるタイミングta1〜ta2の間で、優先度1の要素スロットi1〜要素スロットnは、優先度2の要素スロット1〜要素スロット(n−i1+1)とそれぞれ重複する。同様に、優先度3のスロットは、優先度2のスロットとタイミングtb1〜tb2の間で重複する。つまりその期間は、優先度2の要素スロットi2〜要素スロットnは、優先度3の要素スロット1〜要素スロット(n−i2+1)とそれぞれ重複する。
【0047】
それによって、優先度1のスロットの期間内にも優先度2のパケットを送信する機会が与えられ、また、優先度2のスロットの期間内にも優先度3のパケットを送信する機会が与えられる。従って、優先度の低いパケットがいつまで経っても送信されないという状態の発生は抑制される。なお、このようにした場合、互いに優先度の異なるパケット同士の衝突が発生するケースが考えられるが、図6のフローチャートで説明した本実施の形態に係る通信制御方法によれば、そのケースでも再送信により衝突は回避される。つまり、互いに優先度の異なるパケット同士の衝突した場合も、それらのパケットを送信した端末には、ステップST9でACK信号は返ってこないので、ステップST11に移行し再送信処理が行われる。
【0048】
以上のように本実施の形態によれば、パケット送信時における衝突が発生しても再送信によりそれを回避できると共に、優先度の高いパケットを優先して送信することが可能である。また、通信路における信号の衝突を検出する機能を有さない端末にも適用可能である。さらに、各端末間のデータ転送の調停を担当する基地局やサーバー等の機器をネットワークに設ける必要も無い。
【0049】
また、ACK信号の優先度を他の信号よりも高くすることで、ACK信号の送受信を確実に行うことができ、通信の信頼性が向上する。例えば、PLCによるLANは、大きなノイズが発生しやすいために比較的通信品質は低い(エラーが多い)が、本発明を適用することにより、通信品質の高いEthernet(登録商標)等と同様に扱うことも可能である。例えば、OSI(Open Systems Interconnection)基本参照モデルにおいて、レイヤー2 以下(例えばPLCモデムなど)でACK信号が確実に送受信されて通信の信頼性を高くできれば、レイヤー3以上で確認応答を出す必要が無くなる。
【0050】
<実施の形態2>
実施の形態1では、ネットワーク上の各端末が、中継器を介することなく互いに通信可能な距離にある場合について説明した。本実施の形態においては、本発明に係るネットワークに中継器が導入されるケースを考える。PLCによるLANのようなシェアードメディアのネットワークでは、中継器も端末と同等のノードとみなされる。つまり中継器がパケットを中継するためには、通常の端末と同様に一旦パケットを完全に受け取ってから、それを送信する必要がある。
【0051】
本実施の形態では、実施の形態1で説明した通信制御方法に対し、さらに中継器が送信するパケット用の一定の優先度(中継器用優先度)を設ける。中継器用優先度は、ACK信号の次に高い優先度とする。つまり、中継器が送信するパケットは、ACK信号のパケットの次に優先度の高いパケットとして扱われる。つまり、図10に示すように、中継器がパケットを送信するスロットは、ACK信号用のスロットの次に早いタイミングのスロットに割当てられる。即ち、中継器用のスロットに対応したバックオフ時間は、ACK信号を除く他のパケットのスロットのものよりも短く設定される。
【0052】
本実施の形態では説明の簡単のため、図11(a)に示すように端末A,B,Cおよび中継器Dが共有の通信路に接続されたネットワークを想定する。端末A,Bは、中継器Dを介することなく互いに通信可能な距離にあるが、端末Cとの通信には中継器Dによる中継が必要である。また、中継器Dが中継のために送信したパケットは他の端末が送信するパケットとの区別は無く、他の端末と同じタイミングで送信されると図11(b)のように衝突が発生する。
【0053】
図12および図13はそれぞれ、本実施の形態に係る端末および中継器の動作を示すフローチャートである。図12において、図6と同様のステップには同一符号を付してある。図12から分かるように、ステップST1〜ST8までの動作は、実施の形態1と同様であるのでここでの説明は省略し、ステップST8によりパケットを送信した後の動作について説明する。
【0054】
例えば、図11(a)に示したネットワークにおいて、図14のようにタイミングt0で、端末Aによる端末Cへパケットの送信が行われたとする。同図おいて、期間WAはACK信号用のスロット、期間W0は当該スロットWAのバックオフ時間を示しており、期間WRは中継器用のスロット、期間W1は優先度1のパケット用のスロット、期間W2は優先度2のパケット用のスロットを示している。
【0055】
端末Aから送信されたパケットは、端末Cには到達しないが、中継器Dに受信される。図13に示すように、中継器Dは、パケットを受信すると(ST21)、パケット転送が終了したタイミングt1の後、中継器用のスロットWRのバックオフ時間の間(第3の待機時間)、通信路をモニタしてACK信号の有無を検出する(ST22)。端末Aの送信パケットは端末Cには到達しないので、受信側の端末CはACK信号を送信しない。よって、中継器DはACK信号を検出せず、中継器用のスロットになると先に受信したパケットを送信する(ST23,ST24)。
【0056】
一方、端末Aは、パケットを送信した後、所定のACK信号待機時間(第4の待機時間)だけACK信号を待つ。この時点では、端末AはACK信号待機時間を、パケット送信後の優先度1のスロットのバックオフ時間とする。端末Aには、ACK信号待機時間内のACK信号用スロットWAになってもACK信号は受信されなず、代わりに中継器用のスロットWRに、中継器が送信したパケット(即ち、先に自己が送信したパケット)が受信される。図12に示すように、端末AはACK信号待機時間の間に自己が送信したパケットを受信すると(ST12)、当該ACK信号待機時間を所定の時間だけ延長して(ST13)、さらにACK信号を待つ。このときACK信号待機時間は、少なくとも、中継器を介したパケット送信の応答としてのACK信号が送信側端末に受信されるべきタイミングまで延長される。
【0057】
中継器Dが送信したパケットは端末Cにより受信され、端末CはスロットWAでACK信号のパケットを送信する。端末CからのACK信号のパケットは中継器Dに受信され、中継器Dは当該ACK信号のパケットを、中継器用のスロットWRで送信する。つまり、端末Aは前述のステップST13において、少なくともタイミングt3後の中継器用のスロットWRのタイミングまでACK信号待機時間を延長しておく必要がある。中継器DからのACK信号を受信した端末Aは、先に送信したパケットが端末Cにより正常に受信されたと判断して、パケット送信に係る動作を終了する。
【0058】
次に、中継器が、中継の必要が無いパケットを受信した場合の動作を説明する。例えば図11(a)に示したネットワークにおいて、図15のように、端末Aによる端末Bへパケットの送信が行われたとする。端末Aから送信されたパケットは、中継器を介することなく端末Bに受信される。一方、当該パケットは中継器Dにも受信される。図13に示すように、中継器Dは、パケットを受信すると(ST21)、パケット転送が終了したタイミングt1の後、中継器用のスロットWRのバックオフ時間の間、通信路をモニタしてACK信号の有無を検出する(ST22)。図15の例の場合、端末Bはパケットを受信するとACK信号を送信する。よって、中継器DはステップST22でACK信号を検出し、先に受信したパケットには中継が不要であると判断して、当該パケットを送信せずに動作を終了する。
【0059】
以上のように、本実施の形態によれば、中継器を導入したケースにおいても、実施の形態と同様に、再送信における衝突を回避すると共に、優先度の高いパケットを優先して送信可能である。つまり、中継器の導入することにより、容易に通信距離を伸ばすことが可能である。また、中継器はパケットの送信前に、ACK信号を受信すると中継が不要であると判断してパケットの送信を行わないので、不要な中継動作によって信号の衝突が発生したり、通信路が輻輳状態になることを抑制できる。
【0060】
なお、以上の実施の形態においては、ネットワークとしてPLCによるLANを例に挙げたが、本発明はそれ以外の種類のネットワーク(例えば無線LAN等)にも適用可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る通信制御方法によれば、信号送信時における衝突が発生しても再送信によりそれを回避できると共に、優先度の高い信号を優先して送信することが可能である。また、通信路における信号の衝突を検出する機能を有さない端末にも適用可能である。さらに、各端末間のデータ転送の調停を担当する基地局やサーバー等の機器をネットワークに設ける必要も無い。また、ACK信号の優先度を他の信号よりも高くすることで、ACK信号の送受信を確実に行うことができ、通信の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1におけるパケットの優先度とスロットの関係示す図である。
【図2】実施の形態1に係るスロット内の要素スロットを説明するための図である。
【図3】実施の形態1におけるACK信号のスロットを説明するための図である。
【図4】PLCによるLANの構成例を示す図である。
【図5】実施の形態1に係る通信制御方法を説明するための図である。
【図6】実施の形態1に係る端末におけるパケット送信動作を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態1に係る通信制御方法を説明するための図である。
【図8】実施の形態1に係る通信制御方法を説明するための図である。
【図9】実施の形態1に係る通信制御方法を説明するための図である。
【図10】実施の形態2における中継器用のスロットを説明するための図である。
【図11】実施の形態2に係る通信制御方法を説明するための図である。
【図12】実施の形態2に係る端末におけるパケット送信動作を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態2に係る中継器の動作を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態2に係る通信制御方法を説明するための図である。
【図15】実施の形態2に係る通信制御方法を説明するための図である。
【符号の説明】
W0 ACK信号用スロットのバックオフ時間、W1 優先度1のパケット用のスロット、W2 優先度2のパケット用のスロット、WA ACK信号用のスロット、WR 中継器用のスロット。
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の端末が通信路を共有するネットワークの通信制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、LAN(Local Area Network)等のネットワーク上にある複数の通信端末が1つの通信路を共有する場合、当該通信路に対して複数の端末が同時に信号(パケット)を送信しようとしたときに信号の衝突(collision)が発生する。この衝突を防止するために、複数の端末間で信号の送信タイミングを調整して送信チャネルを確保することを送信権の調停という。
【0003】
従来の調停の技術としては、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)方式が知られている(例えば特許文献1)。このCSMA/CD方式では、各端末は送信を行う前に伝送路が使用可能かどうかを調べ、使用可能であると判断した時のみ信号を送信する。また、個々の端末は信号の衝突の発生を検出する機能を有する。そして衝突が発生した場合は衝突の原因となった全ての端末が送信を停止し、乱数によって決定する待機時間だけ送信を控えた後、再送を試みる。
【0004】
しかし、例えば無線LANのように、個々の端末が通信路上の衝突の発生を検出することができないネットワークでは、上記CSMA/CD方式を適用することは困難である。そのようなネットワークに適用可能な調停の技術としては、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)方式が知られている。この方式では、各端末は信号の送信を開始する前に通信路をモニタして、当該通信路上で他の端末により信号転送が行われていないかどうかを確認する。そして、所定の待機時間以上継続して通信路上を信号が転送されていなければ、信号の送信を開始する。この待機時間は、一定の時間にランダムな長さの時間を加えたものであり、直前の信号転送の終了時から一定時間経過した後に、複数の端末が一斉に送信を開始して衝突が発生する事態を防止している。
【0005】
さらに、送信した信号が受信側の端末に受信されると、受信側の端末は信号を正しく受信したことを示す確認応答であるACK(Acknowledge)信号を返信する。送信側の端末は、そのACK信号の有無によって送信信号が正常に送信されたか否かを判断し、ACK信号による応答が無ければ衝突や混信等の通信障害により送信が失敗したものとみなし、信号の再送信を行なう。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−251332号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記CSMA/CD方式では、各端末が送信する信号(パケット)に優先順位はなく、全ての信号が平等に扱われる。しかし実際のところ、送信されるパケットの内容によっては、優先的に送信させたいパケットが存在する場合がある。例えば、動画や音声のリアルタイム配信など、信号の遅延や停止が許されない通信におけるQoS(Quality of Service)の実現のためには、データ通信の等時性(Isochronous)が求められ、そのような通信に係るパケットは優先的に送信/再送信されるべきである。
【0008】
また、通信路を全てのノードが共有するいわゆるシェアードメディアであるネットワークにおいては、基本的に当該ネットワーク上の各ノードにも優先順位はなく平等である。例えば、ネットワークにおける通信距離を延ばす目的で端末間の通信を中継する中継器を導入した場合、中継器も他の端末と同等のノードとみなされる。よって、中継器が中継を行うために送信したパケットと、他の端末が送信したパケットとの衝突が発生することもあり、中継が成功しにくい。そのため中継器の導入が困難であり、通信距離が制限されてしまう欠点もあった。
【0009】
本発明は以上のような問題を解決するためになされたものであり、複数の端末が1つの通信路を共有するネットワークにおいて、信号の衝突を回避すると共に所定の信号を優先して送信することが可能であり、さらにネットワークへの中継器の導入が容易に可能である通信制御方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る通信制御方法は、複数の端末が共有の通信路を介して接続したネットワークの通信制御方法であって、前記複数の端末のそれぞれにおいて、(a)前記通信路を介して他の端末へ送信しようとする第1の信号に対し、前記ネットワークにおいて規定されている優先度を与える工程と、(b)前記優先度に対応付けられた長さの第1の待機時間を決定する工程と、(c)前記通信路をモニタして、前記通信路上における信号転送の有無を確認する工程と、(d)前記工程(c)で前記第1の待機時間の間に前記信号転送が検出されなかった場合に、前記第1の信号を送信する工程と、(e)前記工程(c)で第1の待機時間の間に前記信号転送が検出された場合に、前記工程(b)に戻る工程とが実行される。
【0011】
【発明の実施の形態】
<実施の形態1>
実施の形態1に係る通信制御方法を説明する。ここでは、例えば無線LANやPLC(Power Line Communication)によるLAN環境のような、1つの通信路を全てのノードが共有するシェアードメディアのネットワークを想定する。
【0012】
まず、ネットワーク上の各ノード(端末および中継器を含む)が送信する全ての信号(パケット)に割当てられるべき優先度をネットワーク上に共通に定義する。この優先度は、各端末毎に与えられるもの(即ち1つの端末が送信するパケットは常に同じ優先度である)であってもよいし、それぞれのパケット毎にアダプディブに与えられるもの(即ち1つの端末があらゆる優先度のパケットを送信する)であってもよい。
【0013】
そして、上記優先度毎に、パケットを送信するタイミングを規定するタイムスロット(以下「スロット」)を割当てる。各スロットは、通信路上で行われているパケットの転送が終了したタイミングを基準に定められる。優先度のスロットへの割当ては、優先度の高いパケットほど(優先的に送信したいパケットほど)、早いタイミングのスロットに割当てられるようにする。
【0014】
つまり図1の如く、最も優先度の高い“優先度1”のパケットは、通信路上での前のパケット転送が終了したタイミングを起点として最も早いスロットに割当てられる、その後に続く各スロットには、優先度の高い順番で“優先度2”,“優先度3”・・・のパケットが割当てられる。さらに図1に示した各スロットは、図2の如く、同じ優先度を有するn個の要素スロットから成る。なお、以下の説明において、通信路上の前のパケット転送が終了したタイミングを起点とし、次のパケット送信されるまでの所定の待機時間(図1中の時間TB1、TB2、TB3・・・)を、「バックオフ(Backoff)時間」と称する。
【0015】
また、上記CSMA/CA方式と同様に、受信側の端末は自分宛てのパケットを受信すると、当該パケットを信号を正しく受信したことを示す確認応答であるACK(Acknowledge)信号のパケットを返信する。送信側の端末は、そのACK信号による応答の有無によって、送信したパケットが受信側の端末へ正常に送信されたか否かを判断する。そして、ACK信号による応答が無ければ送信が失敗したものとみなし、信号の再送信を行なう。本実施の形態においては、ACK信号には、最も優先度の高いパケットとして扱われる。よって、図3に示すように、ACK信号用のスロットは最も早いタイミングのスロットに割当てられる。即ち、ACK信号用のスロットに対応したバックオフ時間は、他のパケットのスロットのものよりも短く設定される。
【0016】
以下、具体的な例を用いて、本実施の形態に係るネットワークの通信制御方法を説明する。1つの通信路を全てのノードが共有するシェアードメディアのネットワークとしては、PLC(Power Line Communication)によるLAN環境がある。図4は、PLCによるLANの構成例を示す図である。PLCでは、一般住宅やオフィス等に電源を供給するために配線された電力線を通信路として利用する。図4に示すようにPC(パーソナルコンピュータ)、FAX、テレビ、照明装置等のスイッチ、インターホンのモニタなどは、PLCモデムを接続(あるいは内蔵)することで、通信端末として機能する。それぞれの端末は、通信路である電力線を介して互いに接続しており、相互に制御信号等の情報を送受信可能である。例えば、PCを用いて、その他の装置の動作を制御することも可能になる。
【0017】
PLCによれば一般の電源コンセントをネットワークへの接続コネクタとして使用することが可能となるため、情報通信ネットワークを家庭やオフィスに浸透させる技術として注目されている。例えば家庭内において、電源コンセントはほぼ全ての部屋に備わっているため、それらをLANへの接続コネクタとして利用できるとなると非常に便利である。
【0018】
本実施の形態では説明の簡単のため、図5(a)に示すように3つの端末A,B,Cが共有の通信路(PLCでは電力線に相当)に接続されたネットワークを想定する。端末A,B,Cは、中継器を介することなく互いに通信可能な距離にある。当該ネットワークはシェアードメディアであるので、ある端末がパケットの転送を行っている間、それ以外の端末はパケットの送信を行うことができない。例えば、端末Aと端末Cとが同時にパケット送信を行おうとすると図5(b)の如く衝突が発生してしまい、正常なデータ通信を行うことができない。また、端末A,B,Cは、他の端末からのパケットを正常に受信すると、その確認応答としてACK信号のパケットを返信する。
【0019】
図6は本実施の形態に係る端末におけるパケット送信動作を示すフローチャートである。端末が送信の対象である第1の信号としてのパケットを、通信路を介して他の端末に送信する場合、まず当該パケットを準備し(ST1)、そのパケットに対して、当該ネットワークにおいて規定されている優先度を与える(ST2)。ここで、優先度が端末毎に与えられる場合は、優先度を示すデータが予め各端末内のROMに記憶されており、この記憶データを端末自身が参照することにより、ステップST2の処理が行われる。また、優先度がパケット毎にアダプティブに与えられる場合は、例えば送信するパケットを扱うアプリケーション(ソフト)を特定することで、ステップST2の処理が行われる。つまり、パケットがどのアプリケーションによって扱われるのかにより、そのパケットのリアルタイム性などの重要性が分かるので、予め各アプリケーション毎に優先度を定めておき、送信するパケットに対してはそれを扱うアプリケーションに応じた優先度を割当てる。
【0020】
続いて、通信路をモニタして当該通信路上のパケット転送の有無を確認する(ST3)。このとき通信路上でパケット転送が検出されない場合(即ち通信路がアイドル状態である場合)、端末は即座にパケットの送信を行う(ST8)。
【0021】
一方、ステップST3で、通信路上でパケット転送が検出された場合(即ち、通信路が使用状態である場合)は、それが終了するのを待つ(ST4)。そして、当該パケットを送信するためのスロットおよび要素スロットを割当てる(ST5)。このとき、まず当該パケットの優先度に対応したスロットを割当て、さらにそのスロット内で、乱数に基づいて(ランダムに)選択された要素スロットを割当てる。
【0022】
その後、端末は、自己が送信するパケットに割当てた要素スロット(以下「自己の送信スロット」)になるまで通信路上のモニタを続け(ST6,ST7)、当該自己の送信スロットまでに他の端末によるパケット転送が検出されなければ、当該パケット送信を行う(ST8)。即ち、前のパケット転送の終了時点から自己の送信スロットまでの間(即ち自己の送信スロットのバックオフ時間)は、第1の待機時間に相当する。
【0023】
自己の送信スロットまでに他の端末によるパケット転送が検出された場合は、それが終了するまでパケット送信はできないので(パケット送信を行うと衝突が発生する)、パケット送信は行わずに上記ステップST4に戻る。そして、パケットを送信できるまで上記ステップST4〜ST7を繰り返す。
【0024】
第1の待機時間である自己の送信スロットのバックオフ時間は、優先度ごとに定められたスロットの一定のバックオフ時間(第1の要素時間)と、そのスロットに入って所定の要素スロットに至るまでの時間(第2の要素時間)との和である。スロット内の要素スロットは乱数に基づいて選択されるので、第2の要素時間の長さは乱数に基づいて決定される。
【0025】
各端末におけるパケットの送信タイミングは、優先度が高いものから順番に早いタイミングのスロットに割当てられているので、優先度の高いパケットから順番に転送されることとなる。また、同じ優先度のパケットが複数個ある場合でも、各パケットはランダムに決められた要素スロットに割当てられるため、衝突の発生は抑制される。
【0026】
パケットを送信した端末は、受信側端末からのACK信号による応答を、所定のACK信号待機時間(第2の待機時間)だけ待つ(ST9,ST10)。ACK信号待機時間は、正常にパケット送信が行われた場合にACK信号が受信されるべきタイミングを含む期間とする。本実施の形態においてACK信号待機時間は、パケット送信後の優先度1のスロットのバックオフ時間とする。
【0027】
ACK信号待機時間にACK信号が受信されるとパケット送信に係る動作を終了する。逆に、ACK信号が受信されなければ、先の送信は失敗したものとみなし、ステップST4に戻ってパケットの再送信を試みる。このとき、当該パケットに対して再送信時の優先度を与える(ST11)。再送信時の優先度は前回の送信の際の優先度と同じとする。
【0028】
このように各端末は、通信路が他の端末により使用されている場合は、その通信(パケット転送)が終了して当該通信路が使用可能な状態になるまで待機し、その後にパケットの送信を行う。多くの場合、この動作により衝突は避けることができる。しかし、通信路が輻輳状態である場合には、複数の端末が互いに同じタイミングでパケットの送信を開始して衝突が発生する場合がある。例えば、複数の端末が同じタイミングでステップST3の判断を行った場合や、複数の端末が自己の送信スロットとして偶然同じ要素スロットを割当ててしまった場合には衝突が発生する。
【0029】
本実施の形態に係る端末は、そのような衝突が発生した場合でも、再送信により衝突を回避することができる。例えば、図5(a)に示したネットワークにおいて、図7のようにタイミングt0で、端末Aによる端末Bへパケット(優先度1)の送信と、端末Cによる端末Bへのパケット(優先度2)の送信が同時に行われ、衝突が発生したと仮定する。この衝突により、端末Bは、端末Aからのパケットも端末Cからのパケットも正常に受信することができない。よって、端末BはACK信号の送信を行わない。ここで、同図おいて、期間WAはACK信号用のスロット、期間W0は当該スロットWAのバックオフ時間を示しており、期間W1は優先度1のパケット用のスロット、期間W2は優先度2のパケット用のスロットを示している。
【0030】
端末Aおよび端末Cのそれぞれは、パケットを送信した後ACK信号待機時間(スロットW1のバックオフ時間)の間、ACK信号を待つ(ST9,ST10)。しかし、ACK信号待機時間内のACK信号用のスロットWAになっても端末BからのACK信号が受信されないため、端末Aおよび端末Cは、再送信のための処理を行う。その際、再送信するパケットに対して、先の送信時と同じ優先度が与えられる(ST11)。
【0031】
端末は再送信をするために、上記ステップST4の動作に戻る。図7に示すように、端末A,Cの送信が終了したタイミングt1後は通信路がアイドル状態であるので、端末A,Cのそれぞれは、再送信のためのスロットおよび要素スロットを決定する(ST5)。再送信の際にも前回の送信と同じ優先度が与えられているので、端末Aは優先度1のスロットW1を割当て、端末Cは優先度2のスロットW2を割当てる。なお、スロットW1,W2内の要素スロットは乱数に基づいて決められるが、説明の簡単のため省略する。
【0032】
例えば、スロットWAの長さを0.8ms、そのバックオフ時間W0を1.0ms、スロットW1およびW2の長さをそれぞれ1.6msと仮定する。この場合、端末Aは自己の送信スロットのバックオフ時間を3.4msと定め、同じく端末Cは5.0msと定める。
【0033】
その後、端末A,Cは、自己の送信スロットになるまで通信路上のモニタを続ける(ST6,ST7)。端末Aは、自己の送信スロットW1のバックオフ時間に他の端末によるパケット転送が検出されないので、パケットの再送信を行う(ST8)。一方、端末Cは、端末Aの再送信によるパケット転送を検出するのでステップST4に戻る。
【0034】
端末Aからのパケットを受信した端末Bは、そのパケットの転送が終わったタイミングt2の後のスロットWAでACK信号のパケットを送信する。このときACK信号は他の信号よりも優先度が高いので、他の信号のスロットよりも早く送信される。そのため、ACK信号の送信の際には衝突は発生せず、ACK信号は確実に端末Aに受信される。端末Aは、端末BからのACK信号を受け、パケット送信に係る動作を終了する。このとき端末Cは、タイミングt2で一旦通信路がアイドル状態になるので、ステップST5〜ST7の動作に入る。しかし、スロットW2になる前のスロットWAの期間に、ACK信号のパケット転送が検出されるので(ST6)、再びステップST4に戻り、通信路がアイドル状態になるまで待機する。
【0035】
そして、端末BがACK信号の送信を終了したタイミングt3の後、端末Cは自己のスロットW2のバックオフ時間の間、通信路をモニタし(ST5〜ST7)、パケット送信が検出されないのでスロットW2でパケットを再送信する(ST8)。
【0036】
端末Cからのパケットを受信した端末Bは、そのパケットの転送が終わったタイミングt4の後、スロットWAでACK信号のパケットを送信する。端末Cは、端末BからのACK信号を受け、パケット送信に係る動作を終了する。以上のように、一旦衝突が発生してもその後の再送時において衝突を避けることができるので、各端末間で確実にパケット通信を行うことができる。
【0037】
次に、図8のようにタイミングt0で、共に優先度が1であるパケット同士により、衝突が発生したと仮定する。このときも、端末Aおよび端末Cのそれぞれは、パケット送信が終了したタイミングt1の後、ACK信号用のスロットWAになっても端末BからのACK信号が受信されないため、再送信処理を行う。ここでも、再送信するパケットに対して、前回の送信と同じ優先度が与えられる。
【0038】
端末A,Cが送信するパケットは共に優先度1であるので、再送信の際、端末A,Cは共にスロットW1を自己のスロットに割当てる。さらに、端末A,Cは、スロットW1内の要素スロットをそれぞれ乱数に基づいて割当てる。
【0039】
例えば、スロットWAの長さを0.8ms、そのバックオフ時間W0を1.0ms、スロットW1の長さを1.6msと仮定する。そして、スロットW1内には0.4msごとに区分された4つの要素スロットが存在すると仮定する。端末A,Cは、それらの優先度1のスロットW1内の4つの要素スロットの中からランダムに1つを選択するので、各要素スロットのバックオフ時間は、1.8ms+0.4ms×Nにより与えられる(Nは0〜3の整数)。Nは乱数であるが、ここでは端末AにおいてはN=1、端末BにおいてはN=2に対応した要素スロットがそれぞれ選択されたとする。
【0040】
端末A,Cは、自己の送信スロットになるまで通信路をモニタする(ST6,ST7)。端末Aはタイミングt1の後、自己の送信スロットのバックオフ時間(1.8ms+0.4ms)の間通信路上のパケット転送が検出されないので、再送信を行う(ST8)。一方、端末Cは、端末Aの再送信によるパケット転送を検出してステップST4に戻る。
【0041】
端末Aからのパケットを受信した端末Bは、そのパケットの転送が終わったタイミングt2の後、スロットWAでACK信号を送信する。端末Aは、端末BからのACK信号を受け、パケット送信に係る動作を終了する。このとき端末Cは、タイミングt2で一旦通信路がアイドル状態になるので、ステップST5〜ST7の動作に入る。しかし、自己の送信スロットになる前に通信路上でACK信号のパケット転送が検出されるので、再びステップST4に戻り、通信路がアイドル状態になるまで待機する。
【0042】
そして、端末Cは、端末BがACK信号の送信を終了したタイミングt3から、自己の送信スロットのバックオフ時間(1.8ms+0.8ms)の間通信路上のパケット送信が検出されないので再送信を行う。
【0043】
端末Cからのパケットを受信した端末Bは、そのパケットの転送が終わったタイミングt4から、バックオフ時間W0だけ待機した後、スロットWAでACK信号を送信する。端末Cは、端末BからのACK信号を受け、パケット送信に係る動作を終了する。
【0044】
このように、同じ優先度のパケット同士が衝突を起こした場合でも、1つの優先度に対応したスロット内に複数の要素スロットを備え、その要素スロットを乱数に基づいて選択することにより、再送時の衝突の発生は抑制される。この各スロット内の要素スロットの数は、多いほど衝突の確率は低くなる。よって、例えば再送信時には、端末が選択できる要素スロットの数を増やすようにすると、パケットの再送信時における衝突の発生が抑えられ、総再送回数を低減することができる。
【0045】
ところで、本実施の形態において通信線の輻輳状態が長く続くと、優先度の低いパケットがいつまで経っても送信されないという状態が生じることも考えられる。それを回避するために、例えば図9のように異なる優先度のスロットの一部が互いに重複するようにし、優先度の高いスロット期間中に、それより優先度の低いパケットにも送信可能な機会を与えるようにしてもよい。
【0046】
図9の例では、優先度2のスロットは、優先度1のスロットと一部の期間で、タイミングが重複している。つまり、その重複した期間であるタイミングta1〜ta2の間で、優先度1の要素スロットi1〜要素スロットnは、優先度2の要素スロット1〜要素スロット(n−i1+1)とそれぞれ重複する。同様に、優先度3のスロットは、優先度2のスロットとタイミングtb1〜tb2の間で重複する。つまりその期間は、優先度2の要素スロットi2〜要素スロットnは、優先度3の要素スロット1〜要素スロット(n−i2+1)とそれぞれ重複する。
【0047】
それによって、優先度1のスロットの期間内にも優先度2のパケットを送信する機会が与えられ、また、優先度2のスロットの期間内にも優先度3のパケットを送信する機会が与えられる。従って、優先度の低いパケットがいつまで経っても送信されないという状態の発生は抑制される。なお、このようにした場合、互いに優先度の異なるパケット同士の衝突が発生するケースが考えられるが、図6のフローチャートで説明した本実施の形態に係る通信制御方法によれば、そのケースでも再送信により衝突は回避される。つまり、互いに優先度の異なるパケット同士の衝突した場合も、それらのパケットを送信した端末には、ステップST9でACK信号は返ってこないので、ステップST11に移行し再送信処理が行われる。
【0048】
以上のように本実施の形態によれば、パケット送信時における衝突が発生しても再送信によりそれを回避できると共に、優先度の高いパケットを優先して送信することが可能である。また、通信路における信号の衝突を検出する機能を有さない端末にも適用可能である。さらに、各端末間のデータ転送の調停を担当する基地局やサーバー等の機器をネットワークに設ける必要も無い。
【0049】
また、ACK信号の優先度を他の信号よりも高くすることで、ACK信号の送受信を確実に行うことができ、通信の信頼性が向上する。例えば、PLCによるLANは、大きなノイズが発生しやすいために比較的通信品質は低い(エラーが多い)が、本発明を適用することにより、通信品質の高いEthernet(登録商標)等と同様に扱うことも可能である。例えば、OSI(Open Systems Interconnection)基本参照モデルにおいて、レイヤー2 以下(例えばPLCモデムなど)でACK信号が確実に送受信されて通信の信頼性を高くできれば、レイヤー3以上で確認応答を出す必要が無くなる。
【0050】
<実施の形態2>
実施の形態1では、ネットワーク上の各端末が、中継器を介することなく互いに通信可能な距離にある場合について説明した。本実施の形態においては、本発明に係るネットワークに中継器が導入されるケースを考える。PLCによるLANのようなシェアードメディアのネットワークでは、中継器も端末と同等のノードとみなされる。つまり中継器がパケットを中継するためには、通常の端末と同様に一旦パケットを完全に受け取ってから、それを送信する必要がある。
【0051】
本実施の形態では、実施の形態1で説明した通信制御方法に対し、さらに中継器が送信するパケット用の一定の優先度(中継器用優先度)を設ける。中継器用優先度は、ACK信号の次に高い優先度とする。つまり、中継器が送信するパケットは、ACK信号のパケットの次に優先度の高いパケットとして扱われる。つまり、図10に示すように、中継器がパケットを送信するスロットは、ACK信号用のスロットの次に早いタイミングのスロットに割当てられる。即ち、中継器用のスロットに対応したバックオフ時間は、ACK信号を除く他のパケットのスロットのものよりも短く設定される。
【0052】
本実施の形態では説明の簡単のため、図11(a)に示すように端末A,B,Cおよび中継器Dが共有の通信路に接続されたネットワークを想定する。端末A,Bは、中継器Dを介することなく互いに通信可能な距離にあるが、端末Cとの通信には中継器Dによる中継が必要である。また、中継器Dが中継のために送信したパケットは他の端末が送信するパケットとの区別は無く、他の端末と同じタイミングで送信されると図11(b)のように衝突が発生する。
【0053】
図12および図13はそれぞれ、本実施の形態に係る端末および中継器の動作を示すフローチャートである。図12において、図6と同様のステップには同一符号を付してある。図12から分かるように、ステップST1〜ST8までの動作は、実施の形態1と同様であるのでここでの説明は省略し、ステップST8によりパケットを送信した後の動作について説明する。
【0054】
例えば、図11(a)に示したネットワークにおいて、図14のようにタイミングt0で、端末Aによる端末Cへパケットの送信が行われたとする。同図おいて、期間WAはACK信号用のスロット、期間W0は当該スロットWAのバックオフ時間を示しており、期間WRは中継器用のスロット、期間W1は優先度1のパケット用のスロット、期間W2は優先度2のパケット用のスロットを示している。
【0055】
端末Aから送信されたパケットは、端末Cには到達しないが、中継器Dに受信される。図13に示すように、中継器Dは、パケットを受信すると(ST21)、パケット転送が終了したタイミングt1の後、中継器用のスロットWRのバックオフ時間の間(第3の待機時間)、通信路をモニタしてACK信号の有無を検出する(ST22)。端末Aの送信パケットは端末Cには到達しないので、受信側の端末CはACK信号を送信しない。よって、中継器DはACK信号を検出せず、中継器用のスロットになると先に受信したパケットを送信する(ST23,ST24)。
【0056】
一方、端末Aは、パケットを送信した後、所定のACK信号待機時間(第4の待機時間)だけACK信号を待つ。この時点では、端末AはACK信号待機時間を、パケット送信後の優先度1のスロットのバックオフ時間とする。端末Aには、ACK信号待機時間内のACK信号用スロットWAになってもACK信号は受信されなず、代わりに中継器用のスロットWRに、中継器が送信したパケット(即ち、先に自己が送信したパケット)が受信される。図12に示すように、端末AはACK信号待機時間の間に自己が送信したパケットを受信すると(ST12)、当該ACK信号待機時間を所定の時間だけ延長して(ST13)、さらにACK信号を待つ。このときACK信号待機時間は、少なくとも、中継器を介したパケット送信の応答としてのACK信号が送信側端末に受信されるべきタイミングまで延長される。
【0057】
中継器Dが送信したパケットは端末Cにより受信され、端末CはスロットWAでACK信号のパケットを送信する。端末CからのACK信号のパケットは中継器Dに受信され、中継器Dは当該ACK信号のパケットを、中継器用のスロットWRで送信する。つまり、端末Aは前述のステップST13において、少なくともタイミングt3後の中継器用のスロットWRのタイミングまでACK信号待機時間を延長しておく必要がある。中継器DからのACK信号を受信した端末Aは、先に送信したパケットが端末Cにより正常に受信されたと判断して、パケット送信に係る動作を終了する。
【0058】
次に、中継器が、中継の必要が無いパケットを受信した場合の動作を説明する。例えば図11(a)に示したネットワークにおいて、図15のように、端末Aによる端末Bへパケットの送信が行われたとする。端末Aから送信されたパケットは、中継器を介することなく端末Bに受信される。一方、当該パケットは中継器Dにも受信される。図13に示すように、中継器Dは、パケットを受信すると(ST21)、パケット転送が終了したタイミングt1の後、中継器用のスロットWRのバックオフ時間の間、通信路をモニタしてACK信号の有無を検出する(ST22)。図15の例の場合、端末Bはパケットを受信するとACK信号を送信する。よって、中継器DはステップST22でACK信号を検出し、先に受信したパケットには中継が不要であると判断して、当該パケットを送信せずに動作を終了する。
【0059】
以上のように、本実施の形態によれば、中継器を導入したケースにおいても、実施の形態と同様に、再送信における衝突を回避すると共に、優先度の高いパケットを優先して送信可能である。つまり、中継器の導入することにより、容易に通信距離を伸ばすことが可能である。また、中継器はパケットの送信前に、ACK信号を受信すると中継が不要であると判断してパケットの送信を行わないので、不要な中継動作によって信号の衝突が発生したり、通信路が輻輳状態になることを抑制できる。
【0060】
なお、以上の実施の形態においては、ネットワークとしてPLCによるLANを例に挙げたが、本発明はそれ以外の種類のネットワーク(例えば無線LAN等)にも適用可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る通信制御方法によれば、信号送信時における衝突が発生しても再送信によりそれを回避できると共に、優先度の高い信号を優先して送信することが可能である。また、通信路における信号の衝突を検出する機能を有さない端末にも適用可能である。さらに、各端末間のデータ転送の調停を担当する基地局やサーバー等の機器をネットワークに設ける必要も無い。また、ACK信号の優先度を他の信号よりも高くすることで、ACK信号の送受信を確実に行うことができ、通信の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1におけるパケットの優先度とスロットの関係示す図である。
【図2】実施の形態1に係るスロット内の要素スロットを説明するための図である。
【図3】実施の形態1におけるACK信号のスロットを説明するための図である。
【図4】PLCによるLANの構成例を示す図である。
【図5】実施の形態1に係る通信制御方法を説明するための図である。
【図6】実施の形態1に係る端末におけるパケット送信動作を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態1に係る通信制御方法を説明するための図である。
【図8】実施の形態1に係る通信制御方法を説明するための図である。
【図9】実施の形態1に係る通信制御方法を説明するための図である。
【図10】実施の形態2における中継器用のスロットを説明するための図である。
【図11】実施の形態2に係る通信制御方法を説明するための図である。
【図12】実施の形態2に係る端末におけるパケット送信動作を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態2に係る中継器の動作を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態2に係る通信制御方法を説明するための図である。
【図15】実施の形態2に係る通信制御方法を説明するための図である。
【符号の説明】
W0 ACK信号用スロットのバックオフ時間、W1 優先度1のパケット用のスロット、W2 優先度2のパケット用のスロット、WA ACK信号用のスロット、WR 中継器用のスロット。
Claims (6)
- 複数の端末が共有の通信路を介して接続したネットワークの通信制御方法であって、
前記複数の端末の各々において、
(a)前記通信路を介して他の端末へ送信しようとする第1の信号に対し、前記ネットワークにおいて規定されている優先度を与える工程と、
(b)前記優先度に対応付けられた長さの第1の待機時間を決定する工程と、
(c)前記通信路をモニタして、前記通信路上における信号転送の有無を確認する工程と、
(d)前記工程(c)で前記第1の待機時間の間に前記信号転送が検出されなかった場合に、前記第1の信号を送信する工程と、
(e)前記工程(c)で第1の待機時間の間に前記信号転送が検出された場合に、前記工程(b)に戻る工程とが実行される
ことを特徴とする通信制御方法。 - 請求項1に記載の通信制御方法であって、
前記第1の待機時間は、前記優先度ごとに定められた一定の第1の要素時間と、乱数に基づいて決定される第2の要素時間との和である
ことを特徴とする通信制御方法。 - 請求項1または請求項2に記載の通信制御方法であって、
前記端末は、他の端末からの信号を受信したこと示す確認応答であるACK(Acknowledge)信号を、前記第1の信号として送信可能であり、
前記ACK信号の前記優先度に対応する前記第1の待機時間は、他の信号の優先度のものよりも短い
ことを特徴とする通信制御方法。 - 請求項3に記載の通信制御方法であって、
前記端末において、さらに、
(f)前記工程(d)で前記第1の信号(ACK信号を除く)を送信した後、所定の第2の待機時間だけ経過しても他の端末からのACK信号が受信されない場合、前記工程(a)または前記工程(b)に戻る工程が実行される
ことを特徴とする通信制御方法。 - 請求項3に記載の通信制御方法であって、
前記通信路には、一の端末から受信した信号を他の端末へ送信する中継器がさらに接続され、
前記中継器において、
(g)前記一の端末からの第2の信号を受信した後、前記通信路をモニタして、前記通信路上におけるACK信号の有無を確認する工程と、
(h)前記工程(g)で所定の第3の待機時間の間にACK信号が検出されなかった場合に前記第2の信号を前記他の端末に送信する工程とが実行され、
前記第3の待機時間は、ACK信号を除く他の信号の優先度に対応する前記第1の待機時間よりも短い
ことを特徴とする通信制御方法。 - 請求項5に記載の通信制御方法であって、
前記端末において、
(i)前記工程(d)で前記第1の信号(ACK信号を除く)を送信した後、所定の第4の待機時間だけ経過しても他の端末からのACK信号が受信されない場合、前記工程(a)または前記工程(b)に戻る工程と、
(j)前記第4の待機時間の間に前記工程(d)で自己が送信した信号を受信した場合、前記第4の待機時間を所定の時間だけ延長する工程とがさらに実行される
ことを特徴とする通信制御方法。
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