JP2004347556A - 引張試験方法及び引張試験装置 - Google Patents

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Masashi Sakamoto
正史 坂本
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Abstract

【課題】被験電線の両端部における固着力を同時に試験することができ、装置の小型化を実現可能な引張試験方法及び引張試験装置を提供すること。
【解決手段】被験電線Wの両端末を保持する上端末保持部40、下端末保持部50と、各端末保持部40、50に保持される被験電線の途中部を把持可能な各チャック片23aと、チャック片23aを前後軸周りで駆動可能なモータと、このモータの回転駆動力を各チャック片23aに伝達する動力伝達部とを備え、上記モータの駆動軸を原点から終点までの範囲で回動させることにより、被験電線Wに張力を付与する引張試験装置において、上記動力伝達部は、モータの原点から切換点までの範囲内では駆動部材の回転駆動力を各チャック片23aが開閉する方向の力に変換して各チャック片23aに伝達するとともに、上記切換点から終点までの範囲においては、モ−タの回転駆動力をそのまま途中部チャック部材に伝達する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被験電線の一端末を端末保持部で保持し、保持された被験電線の途中部を途中部チャック部材で保持するとともに、保持された途中部を、当該被験電線の軸線と直交する軸周りの一方向に回動して被験電線に張力を付与して破壊強度を検査する引張試験方法及び引張試験装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
被覆電線の端部に圧着された端子の圧着強度を検査するため等の目的のため、被験電線に張力を付与して引張り強度を測定する様々な引張試験装置が提案されており、例えば、特許文献1に開示されるように、被覆電線の両端部に圧着された各端子と、被覆電線との圧着強度を個別に測定する固着力試験装置が知られている。
【0003】
この種の試験装置は、被覆電線の両端部に接続された端子を挟持する左右一対の電線端子挟持部と、これら電線端子挟持部の上方位置に配設され、被覆電線の途中部を挟持する電線挟持部と、これら電線端子挟持部と電線挟持部との間に配索される電線の長手方向と直交する軸周りに、電線挟持部を回転させる駆動部とを有している。上記電線挟持部は、上記駆動部の駆動に応じて回転する動力回動片と、この動力回動片と協働して、上記駆動部の正転に伴い被覆電線に対して一方の電線端子挟持部側へ向けて付与される引張力(以下、一方側の引張力と示す)に抗するように被覆電線を保持するとともに、上記駆動部の逆転に伴い被覆電線の他方の電線端子挟持部側へ向けて付与される引張力(以下、他方側の引張力と示す)に抗するように被覆電線を保持する自由回動片とを備えている。
【0004】
上記動力駆動片と自由回動片との間に被覆電線の途中部をセットして、駆動部を正転させると、動力回動片と自由回動片との間で被覆電線が一方側の引張力に抗して保持されるとともに、動力回動片が回動することにより、被覆電線は、電線挟持部と一方の電線端子挟持部との間の部分で一方向側へ引張られることとなる。このとき、他方の電線端子挟持部に保持された側の被覆電線は、当該電線端子挟持部と電線挟持部との間で弛んだ状態とされている。一方、上記駆動部を逆転させると、動力回動片と自由回動片との間で被覆電線が他方側の引張力に抗して保持されるとともに、動力回動片が回動することにより、被覆電線は、電線挟持部と他方の電線端子挟持部との間で他方向側へ引張られることとなる。
【0005】
【特許文献1】
特許第2633324号明細書
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1の固着力試験装置は、被覆電線の途中部を保持した状態で、上記駆動部が正転した場合に、被覆電線の一方の端末に圧着された端子の圧着強度を測定することができるとともに、駆動部が逆転した場合に、被覆電線の他方の端末に圧着された端子の圧着強度を測定することができるため、被覆電線の両端部における圧着強度を個別に検査することができる。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の固着力試験装置は、上記のように自由回動片が、駆動部の回転方向に依存した特定方向の引張力に抗するように被覆電線を保持するように構成されているため(すなわち、二方向の引張力に抗するように被覆電線を保持することができないため)、被覆電線の両端部に対する圧着強度を検査するためには、駆動部を双方向へ駆動させる必要があった。このことは、検査時間を長期化させてしまう結果、製品のコストを増大させる要因となっていた。
【0008】
また、上記特許文献1の固着力試験装置は、上記のような動作を実行する駆動部の構造が複雑になることを避けられず、このことは、装置の部品点数の増加、又は装置の大型化を引き起こす要因となっていた。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、被験電線の両端部における固着力を同時に試験することができ、装置の小型化を実現可能な引張試験方法及び引張試験装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、被験電線の両端末を一対の端末保持部で保持し、保持された被験電線の途中部を途中部チャック部材で保持するとともに、保持された途中部を、当該被験電線の軸線と直交する軸周りの一方向に回動して被験電線に張力を付与する引張試験方法において、
上記各端末保持部によって被験電線の両端部をクランプする端末クランプ工程と、
クランプされた被験電線の途中部を上記途中部チャック部材に案内するクランプ準備工程と、
クランプ準備がなされた途中部チャック部材に上記軸周りにおいて回転駆動力を付与する駆動工程と、
駆動工程により回転駆動力を平行運動力に変換して途中部チャック部材を自動的に閉塞して、当該被験電線の途中部の軸線方向への移動を規制するとともに、途中部チャック部材が閉塞した後、上記回転駆動力をそのまま当該途中部チャック部材に伝達して上記被験電線に張力を付与する張力付与工程とを備えていることを特徴とするものである。
【0011】
この発明によれば、上記駆動工程において途中部チャック部材を閉塞して、当該被験電線の途中部の軸線方向への移動を規制するとともに、張力付与工程で当該途中部チャック部材に対して回転駆動力を伝達することとしているため、端末クランプ工程で両端末の保持された被験電線は、その途中部が確実にクランプされた状態で、回転駆動力が付与されることとなる結果、各端末保持部と途中部保持部との間で被験電線の両端部に対して同時に張力を付与することができ、同時に引張試験を行うことができる。
【0012】
上記引張試験方法において、張力付与工程終了後に途中部チャック部材を逆方向に回動する原点復帰工程と、この原点復帰工程の過程で実行され、途中部チャック部材の逆方向への回転運動を平行運動に変換して上記端末保持部及び途中部チャック部材を開くクランプ解除工程とをさらに備えていることが好ましい。
【0013】
上記方法によれば、原点復帰工程で途中部チャック部材が逆方向に駆動する過程、すなわち、駆動部材が初期位置に復帰する過程において、途中部チャック部材の逆方向への回転運動を平行運動に変換して端末保持部及び途中部チャック部材を開くこととしているため、引張試験の終了に伴い被験電線の端末部分及び途中部のクランプが解除される結果、当該端末部分及び途中部を取り外すといった手間を軽減させることができる。
【0014】
本発明の別の態様は、特定の試験面上にて被験電線の両端末を保持する一対の端末保持部と、これら端末保持部に保持される被験電線の途中部を把持可能な途中部チャック部材と、この途中部チャック部材を上記試験面と垂直な軸周りで双方向に駆動可能な駆動部材と、この駆動部材と前記途中部チャック部材との間に設けられ、駆動部材の回転駆動力を途中部チャック部材に伝達する動力伝達部とを備え、上記駆動部材の駆動軸を原点から終点までの範囲で双方向に回動させることにより、被験電線に張力を付与する引張試験装置において、
上記動力伝達部は、上記駆動軸の原点から予め設定された切換点までのストローク範囲内では駆動部材の回転駆動力を被験電線の途中部の軸線方向への移動を規制及び解除するために途中部チャック部材が開閉する方向の力に変換して当該途中部チャック部材に伝達するとともに、上記切換点から終点までのストローク範囲においては、上記駆動部材の回転駆動力をそのまま途中部チャック部材に伝達するように構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
この態様によれば、上記動力伝達部が、駆動軸の原点から切換点までのストローク範囲内で途中部チャック部材を被験電線の途中部の軸線方向への移動を規制及び解除するために開閉させるとともに、駆動軸の切換点から終点までのストローク範囲で途中部チャック部材を回動させるように途中部チャック部材に対して力を伝達するため、駆動部材の駆動軸が原点から切換点まで回転する過程において、各端末保持部により両端末の保持された被験電線の途中部を確実にクランプし、この状態で駆動軸が切換点から終点まで回転する過程において、当該被験電線の途中部を回動することが可能となる結果、各端末保持部と途中部保持部との間で被験電線の両端末に対して同時に張力を付与することができ、同時に引張試験を行うことができる。
【0016】
一方、上記駆動部材の駆動軸が切換点から原点まで回転する過程において、途中部チャック部材を開くことが可能となるため、引張試験の終了した被験電線の途中部分の保持状態を自動的に解除することが可能となる結果、当該途中部分を途中部チャック部材から取り外すといった手間を軽減させることができる。
【0017】
上記引張試験装置において、上記動力伝達部に設けられ、上記駆動軸が切換点から原点に復帰する過程における回転駆動力を各端末保持部が開く方向の力に変換して各端末保持部に伝達する端末リンク部材をさらに備えていることを好ましい。
【0018】
上記構成によれば、上記端末リンク部材は、駆動軸が切換点から原点に復帰する過程における回転駆動力を各端末保持部が開く力に変換して各端末保持部に伝達するように構成されているため、引張試験の終了した被験電線の端末部分の保持状態を自動的に解除することが可能となる結果、当該端末部分を各端末保持部から取り外すといった手間を軽減させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る引張試験装置の外観を示す斜視図である。
【0021】
図1を参照して、引張試験装置1は、各構成を収容する筐体2を備えている。この筐体2は、略矩形の本体3と、この本体3の上端部から突出する突出部4とを備えている。なお、上記本体3から突出部4が突出する方向を仮に前方とし、この前方側から引張試験装置1を見たときの左右方向を仮に左右方向として、以下説明する。
【0022】
上記突出部4には、前方側へ向けて操作部10が設けられている。この操作部10は、引張試験の測定値や引張試験装置1に異常がある場合にその旨を表示する液晶ディスプレイ11と、引張試験を開始するためのスタートスイッチ12と、後述するロードセル61の零点をリセットするためのリセットスイッチ13と、引張試験装置1の電源のON時に点灯する電源ランプ14とを備えている。
【0023】
一方、上記本体3には、その上下略中央位置に配設され、被験電線Wの略中間部(途中部)を挟持する途中部保持部20と、この途中部保持部の上方位置に配設され、被験電線Wの上端部に接続された端子を挟持する上端末保持部40と、上記途中部保持部20の下方位置に配設され、被験電線Wの下端部に接続された端子を挟持する下端末保持部50が設けられている。また、上記本体3には、上記途中部保持部20を前後方向の軸を中心として回転させる駆動部材としてのモータ60(図9参照)が内蔵されている。
【0024】
図2は、図1の途中部保持部20の構造を示す分解斜視図である。
【0025】
図1及び、図2を参照して、上記途中部保持部20は、上記本体3の前面を被覆するように取付けられる途中部ベース21を備えている。この途中部ベース21は、正面視略長方形の板部材であり、その略中央位置には、前後方向へ貫通する挿通孔21aが設けられている。この挿通孔21aには、回転盤22が前後方向の軸周りに回転可能な状態で嵌装されている。この回転盤22は、正面視略円形の板状部材であり、その一直径方向に対向する周縁部には、後方へ延びる一対の舌部22aが設けられている。
【0026】
図3は、図2の回転盤22を後方側から見た斜視図である。
【0027】
図3を参照して、上記各舌部22aは、上記回転盤22から後方側へ突出し、各舌部22aの一方の側面には、回転盤22の直径方向の外側へ向けて抜け止め部材22bが取付けられている。この抜け止め部材22bは、上記舌部22aの外側へ突出することにより、回転盤22が途中部ベース21に対して前方側へ移動するのを規制するとともに、当該回転盤22が回転した場合に途中部ベース21に設けられたカバースイッチ21bを押下するように構成されている。具体的には、本実施形態では、上記回転盤22が前後軸周りで左方向に回転することに伴い、抜け止め部材22bが途中部ベース21に配設された摺動レバー21cの右端部と当接し、さらに回転盤22が同方向へ回転して抜け止め部材22bが上方に変位した時点で、抜け止め部材22bが摺動レバー21cを途中部ベース21に対して左側へ摺動させる結果、当該摺動レバー21cの左端部がカバースイッチ21bを押下することとなる。
【0028】
再び図1及び、図2を参照して、上記回転盤22の中心位置には、前後方向へ貫通する支持孔22cが設けられている。この支持孔22cを挟んで平行に対をなす回転盤22の一対の弦線上には、前後方向へ貫通する一対の長孔22dがそれぞれ形成されている。これら長孔22dは、回転盤22の正面視において、支持孔22cの中心を通る上下線、左右線に対してそれぞれ線対称となる位置で、かつ支持孔22aの中心に対する点対称となる位置に配置されている。本実施形態において、各長孔22dは、上記抜け止め部材22bが上方位置に変位した状態で、それらの長手方向が左右方向に沿うように形成されている。また、上記各長孔22dには、前後方向に向かうボルトJ1の途中部がそれぞれ挿通しており、これらボルトJ1は、その前端部が上記回転盤22の前方に配設された途中部チャック部材23に対して後方への変位が規制された状態で挿通されている一方、その後端部が上記回転盤22の後方に配設された変位部材24に螺合固定されている。
【0029】
上記途中部チャック部材23は、一対のチャック片23aを備えている。これらチャック片23aは、それぞれ正面視で円を半割にした形状を有するブロック体であり、その割面は、それぞれ相対向した状態で配設されるとともに、被験電線Wを挟持するための挟持面23bとして機能するようになっている。これら挟持面23bには、前後方向に沿った複数の溝を備えており、これらの溝を有する各挟持面23bが被験電線Wを挟持することにより、当該被験電線Wは、上下方向の移動を規制された状態で各挟持面23bに保持されることとなる。また、上記各チャック片23aは、前後方向に貫通して、各ボルトJ1の前端部が所定の後方位置まで挿通される一対の挿通孔23cを備えている。本実施形態において、これら挿通孔23cは、上記抜け止め部材22bが上方位置とされた回転盤22における左側の一対の長孔22dに挿通する一対のボルトJ1に対して一方のチャック片23aの各挿通孔23cが固定され、右側の一対の長孔22dに挿通する一対のボルトJ1に対して他方のチャック片23aの各挿通孔23cが固定されている。
【0030】
一方、上記変位部材24は、一対の変位ブロック24aを備えている。これら変位ブロック24aは、それぞれ上記ボルトJ1が嵌装される一対の嵌装孔24bを備えており、これら嵌装孔24bは、それぞれ各チャック片23aと一対一対応となるように各ボルトJ1の後端部に対して固定されている。上記各変位ブロック24aは、正面視略長方形のブロック体であり、その長手方向の両端部には、それぞれ架設ピン24cが立設されている。これら架設ピン24cの内、相対向する架設ピン24c、24cの間には、それぞれ引張バネH1が架設され、この引張バネH1により各変位ブロック24aは、互いに近接する方向へ付勢されている。また、各変位ブロック24aの相対向する側面には、前後方向へ貫通する平面視半円形の貫通溝24dが設けられている。すなわち、上記引張バネH1により各変位ブロック24aが互いに近接した場合に、上記各貫通溝24dが正面視で略円形の孔を構成するようになっている。さらに、上記各変位ブロック24aには、それぞれ後方へ向けてスライドピン24eが立設され、これらスライドピン24eは、回動板25の偏心溝25aに対してそれぞれ摺動可能に挿通している。
【0031】
上記回動板25は、正面視略円形の板状部材であり、その直径方向の外側へ向けて延びる一対の突起部25bを備えている。上記偏心溝25aは、上記回動板25を前後方向に貫通する溝であり、正面視で、それぞれが回動板25の中心位置と異なる中心位置を有する略1/4の円弧状に形成されるとともに、回動板25の中心に対する点対称の位置に配置されている。また、上記回動板25には、左右一対の雌ねじ部25dが設けられている。さらに、上記回動板25の正面視略中心位置には、前後方向へ貫通する挿通孔25cが形成され、この挿通孔25cには、ロータリーエンコーダ26のボス26aが嵌入されている。
【0032】
上記ロータリーエンコーダ26は、正面視略円形の円盤部26bと、この円盤部26bの略中央位置から前方へ向けて突出するスリーブ状のボス26aとを備えている。上記円盤部26bは、上記回動板25の各雌ねじ部25dに対応する位置に雌ねじ部26cが形成され、これら雌ねじ部26cと、上記各雌ねじ部25cとが図略のボルトにより連結されることにより、ロータリーエンコーダ26は、上記モータ60(図9参照)の回転駆動に同期して、上記ボス26aを回転駆動するようになっている。このようにロータリーエンコーダ26と上記回動板25とが固定される一方、ボス26aが各変位部材24の貫通溝24dを挿通し、さらに、回転盤22の支持孔22cに対して挿通した状態で配設される結果、各変位部材24及び、回転盤22がロータリーエンコーダ26に対して回転方向で変位可能となるように支持されることとなる。
【0033】
以上のように構成された途中部保持部20は、モータ60(図9参照)の回転駆動に応じて以下のような動作を行うこととなる。
【0034】
図4は、図2の途中部保持部20の動作を示す概略正面図であり、(a)は初期状態、(b)はチャック片23aの閉じ動作、(c)は被験電線Wの引張動作をそれぞれ示している。
【0035】
図5は、図2の途中部保持部20の動作を示す概略正面図であり、(a)は復帰動作、(b)はチャック片23aの開放動作をそれぞれ示している。
【0036】
図4の(a)を参照して、初期状態において、上記回動板25は、各偏心溝25aの外側に広がる部分がそれぞれ左右方向と平行となる直線上に位置している。そのため、各偏心溝25aに挿通する上記各スライドピン24eが外側に広がった状態とされ、その結果、各変位部材24は、引張バネH1の付勢力に抗して、それぞれ離間して配置されている。これに伴い、各変位部材24の嵌装孔24bに固定された各ボルトJ1も左右方向で互いに離間した状態とされているため、これらボルトJ1に接続された各チャック片23aも互いに離間して配置されている。なお、上記初期状態において、上記回転盤22の抜け止め部材22bは、上記摺動レバー21cを摺動させてカバースイッチ21b(図3参照)を押下する上方位置に配置されている。上記のような初期状態からモータ60が右方向へ回転して、途中部保持部20の動作が開始される。
【0037】
図4の(b)を参照して、上記モータ60が右方向へ略90°回転すると、回動板25は、各偏心溝25aの内側に窄まる部分が左右方向と平行となる直線上に配置される回転位置まで駆動されることとなる。そのため、各偏心溝25aに挿通する各スライドピン24eが左右方向で互いに近接する方向へ移動する結果、各変位部材24は、互いに相密着した状態へ変位する。これに伴い、各変位部材24の嵌装孔24bに固定された各ボルトJ1も左右方向で互いに近接する方向へ変位するため、これらボルトJ1に接続された各チャック片23aも互いに近接した状態、すなわち、上記各挟持面23bが近接した状態へ変位することとなる。なお、この変位の過程においては、上記ボルトJ1が回転盤22の長孔22dに沿って左右方向へ変位するため、当該回転盤22は、上記初期状態から変位することなく、回転方向を維持することとなる。
【0038】
図4の(c)を参照して、上記モータ60がさらに右方向へ回転すると、上記各スライドピン24eが各偏心溝25aの内窄まりの端部に当接し、当該各偏心溝25a内で行き場を失うこととなる。そのため、各スライドピン24eが回動板25の回転に伴い右方向へ回転する結果、各スライドピン24eに固定された各変位部材24も右方向へ回転することとなる。これに伴い、各変位部材24の各嵌装孔24bに固定された各ボルトJ1も右方向へ回転するため、これら各ボルトJ1が挿通する回転盤22及び、各ボルトJ1が固定される各チャック片23aも右方向へ回転することとなる。なお、この状態において、各チャック片23aに挟持された被験電線Wは、その途中部が回動され、その非挟持部分が上端末保持部40及び下端末保持部50と途中部保持部20との間で引張られることとなる。
【0039】
上記のように被験電線Wに対して張力を付与し、引張試験が終了すると、上記モータ60が一旦駆動を停止して、左方向への回転を開始する。上記モータ60が左方向へ回転すると、上記回動板25が左方向へ回転し、この回動板25に追従して各変位部材24、回転盤22及び、各チャック片23aも左方向へ回転する。すなわち、上記各変位部材24は、図4の(c)の状態で、引張バネH1によりそれぞれ近接する方向へ付勢されているため、当該各変位部材24のスライドピン24eもそれぞれ近接する方向へ付勢されている。その結果、各スライドピン24eが上記偏心溝25aの内側面を挟持した状態で回動板25が回転するため、各スライドピン24eも回動板25に追従して回転することとなる。このように回動板25に追従して回転する各変位部材24は、各ボルトJ1を介して回転盤22及び、各チャック片23aに連結されているため、これらも追従して左方向へ回転することとなる。
【0040】
そして、モータ60が左方向へさらに回転すると、図5の(a)のように、回転盤22の抜け止め部材22bが摺動レバー21cと当接し、上記カバースイッチ21bを押下することとなるため、この状態で当該回転盤22の左方向への回転が規制される。この状態でさらにモータ60が左方向に移動すると、回転盤22の回転位置が維持された状態で回動板25が左方向に回転し、図5の(b)に示すように、回動板25の偏心溝25aの外側へ広がる部分が左右方向と平行となる直径に沿って配設された状態となる。このように回動板25が回転する過程においては、スライドピン24eが偏心溝25aに沿って互いに離間する方向へ移動するため、途中部保持部20は、各変位部材24及び、各チャック片23aが互いに離間した図4の(a)に示す初期状態へ復帰することとなる。
【0041】
一方、上記上端末保持部40は、図6に示されるような構造を備えている。
【0042】
図6は、図1の上端末保持部40の構造を示す分解斜視図である。
【0043】
図1及び、図6を参照して、上端末保持部40は、上記本体3の前面を被覆するように取付けられる保持ベース41を備えている。この保持ベース41は、正面視略長方形の板部材であり、略中央位置に前後方向へ貫通する雌ねじ部41aが形成されている。この雌ねじ部41aには、ボルトB3が後方へ延びた状態で螺合されている。また、上記上端末保持部40には、正面視で、略円形に形成された左右一対の挿通孔41bと、これら挿通孔41bの上方位置で当該各挿通孔41bを中心とする円弧状に形成された左右一対の円弧溝41cがそれぞれ前後方向に貫通している。これら挿通孔41b及び、円弧溝41cには、噛合い部材42に立設された揺動軸42a及び、摺動ピン42bがそれぞれ揺動及び、回転可能に挿通され、これら揺動軸42a及び、摺動ピン42bの前端部には、上側チャック部材43が固定されている。
【0044】
上記上側チャック部材43は、左側の挿通孔41b及び円弧溝41cと、右側の挿通孔41b及び円弧溝41cにそれぞれ対応して配設された左右一対の上側チャック片44を備えている。これら上側チャック片44は、略矩形の揺動ブロック44aと、これら揺動ブロック44aの内側に向けて延びる挟持ブロック44bとを備えている。これら揺動ブロック44aは、上記揺動軸42aが嵌入される軸嵌入孔44cと、上記摺動ピン42bが嵌入されるピン嵌入孔44dとを備えている。上記各挟持ブロック44bの相対向する面には、前後方向に延びる挟持溝44eが形成され、これら挟持溝44eの形成された面の間で被験電線Wを挟持することにより、各挟持ブロック44bは、被験電線Wの上下方向の移動を規制しつつ、当該被験電線Wを挟持することができるようになっている。また、本実施形態において、左側の揺動ブロック44aの左側面には、揺動レバー44fが設けられている。この揺動レバー44fは、上記揺動ブロック44aの左側面から左方へ向けて延びる棒状の部材であり、詳しくは後述するが、上記各挟持ブロック44bによる被験電線Wの挟持状態を手動で解除するためのものである。
【0045】
一方、上記噛み合い部材42は、正面視で略L字形に形成された左右一対のギヤ板42cを備え、これらギヤ板42cは、正面視で上方へ開くチャネル状となるように互いに当接した状態で配置されている。各ギヤ板42cの当接部分には、それぞれ噛み合い可能なギヤ42dが形成されている。また、各ギヤ板42cには、上記挿通孔41b及び円弧溝41cの位置に対応して上記揺動軸42aと摺動ピン42bが前方へ向けて設けられている。さらに、各ギヤ板42cの上端部には、それぞれ架設ピン42eが立設され、これら架設ピン42eには、それぞれ引張バネH2が架設されている。この引張バネH2によって、各ギヤ板42cの上端部が互いに近接する方向へ付勢される結果、各ギヤ板42cは、上記揺動軸42aを中心として互いに摺動ピン42bを内側へ巻き込むように揺動する方向へ付勢されることとなる。また、右側に配置されるギヤ板42cにおいて、上記ギヤ42dの近接位置には、前後方向に貫通する雌ねじ部42fが形成される一方、当該ギヤ板42cの右下方部には、前後方向に貫通する雌ねじ部42gが形成され、これら雌ねじ部42f、42gには、端末リンク部45のボルトB1、B2が螺合されている。
【0046】
上記端末リンク部45は、上記ボルトB1によりギヤ板42cに対して揺動可能に軸支されるリンクレバー45aと、このリンクレバー45aとの間で圧縮ばねH3を縮設するために上記ボルトB2によりギヤ板42cに対して固定される固定ブロック45bとを備えている。すなわち、上記リンクレバー45aは、圧縮ばねH3によって、その上端部がボルトB1を中心として右側へ揺動するように付勢された状態でギヤ板42cに対して軸支されている。上記リンクレバー45aの上端部の右側面には、当該上端部が先窄まりとなるように、上方へ向かうにつれて左側に傾斜する傾斜面45cが形成されている。この傾斜面45cは、上記保持ベース41に螺合されたボルトB3と当接可能な前後位置に配設されている。一方、上記リンクレバー45aの下端部は、上記途中部保持部20の回動板25の周縁部近傍まで延びている(図7参照)。
【0047】
以上のように構成された上端末保持部40は、以下のような動作を行うこととなる。
【0048】
図7は、図6の上端末保持部40の動作を示す概略正面図であり、(a)はモータ60が駆動して復帰動作を実行している状態、(b)はリンクレバー45aにより各挟持ブロック44bが若干開いた状態、(c)は各挟持ブロック44bが完全に開いた状態をそれぞれ示している。
【0049】
図8は、図6の上端末保持部40の動作を示す概略正面図であり、(a)はリンクレバー45aと回動板25との係止が解除された状態、(b)はモータ60が初期状態に復帰した状態、(c)は揺動レバー44を揺動して各挟持ブロック44bを開いた状態をそれぞれ示している。
【0050】
図7の(a)の状態は、上記回動板25の各突起部25bが左右方向に沿って配置された状態、すなわち、図5の(a)に示す各チャック片23aが解放する直前の状態であり、このとき、モータ60は、左方向へ回転している。また、この状態で上記リンクレバー45aの下端部は、回動板25における右側の突起部25bの上面と当接した位置に配設されている。一方、引張バネH2により各ギヤ板42cの上端部が互いに内側へ向けて付勢される結果、この各ギヤ板42cと各揺動軸42aを介して連結された各上側チャック片44の上端部も互いに内側へ揺動して、各挟持ブロック44bが互いに当接した状態、すなわち被験電線Wを各挟持ブロック44b間に挟持した状態とされている。
【0051】
上記モータ60がさらに左方向に回転すると、図7の(b)に示すように、回動板25の突起部25bがリンクレバー45aを押し上げるため、当該リンクレバー45aとボルトB1で連結されたギヤ板42cは、揺動軸42aを中心として、その上端部が互いに離間する方向へ揺動し、この揺動に伴い、各挟持ブロック44bが互いに離間する方向へ揺動することとなる。なお、この状態において、各挟持ブロック44bに挟持された被験電線Wの保持状態が解除されることとなる。
【0052】
上記の状態からさらに、モータ60が左方向に回転すると、図7の(c)に示すように、回動板25によりリンクレバー45aの下端部をさらに押し上げる一方、リンクレバー45aの傾斜面45cとボルトB3の側面とが当接することとなる。このように傾斜面45cとボルトB3とが当接した状態で、モータ60の駆動がさらに進行すると、図8の(a)に示すように、ボルトB3に対してリンクレバー45aが押し上げられることに伴い、固定されたボルトB3に対して傾斜面45cが左方向へ摺動しようとする結果、当該リンクレバー45aがボルトB1を中心として左方向へ揺動し、その下端部が回動板25の突起部25bに対する右方向へ変位することとなる。
【0053】
上記のように回動板25の突起部25bとリンクレバー45aの下端部との係止が解除される結果、図8の(b)に示すように、各ギヤ板42c及び、各挟持ブロック44bが引張バネH2(図6参照)により互いに近接する方向へ変位し、さらにモータ60が左方向へ駆動して初期位置へ復帰する。この初期状態において、再び被験電線Wの端末を各挟持ブロック44b間に保持させる場合には、上記揺動レバー44fを下方へ向けて操作することにより、図8の(c)に示すように、揺動軸42aを中心として各挟持ブロック44bの上端部を互いに離間する方向へ変位させ、これら挟持ブロック44b間に被験電線Wをセットすることとなる。
【0054】
一方、図1を参照して、上記下端末保持部50は、正面視で上記回転盤22の中心位置に対する点対称となる下方位置に上端末保持部40と同一の構成を配設したものであるため、これら各構成には、上側端末保持部40と同符号を付すとともに、ここでは、詳しい説明を省略する。なお、下端末保持部50のリンクレバー45cの上端部は、図5の(a)に示すように、復帰動作時において、上記上端末保持部40のリンクレバー45cが非当接となる突起部25bの下面と当接するように配置されている。
【0055】
また、上記上端末保持部40及び、下端末保持部50の保持ベース41、41は、それぞれ上記本体3内に配設されたロードセル61(図9参照)に接続されている。これらロードセル61は、各保持ベース41、41の上下方向の歪みを、当該各保持ベース41、41に付加された張力として出力可能に構成されている。また、ロードセル61は、上記リセットスイッチ13が押下されることにより、現時点での歪みを零点に設定可能となるように当該リセットスイッチ13と接続されている。なお、各ロードセル61の内、上端末保持部40に接続されたものをロードセル(A端)61aと、下側保持部50に接続されたものをロードセル(B端)61bと称することとする。
【0056】
ここで、上述した構成を整理すると、上記本体3の前面を被覆するように取付けられた途中部ベース21及び、保持ベース41、41の前面が試験面の一例を構成し、上記上端末保持部40及び下端末保持部50が端末保持部の一例を構成し、上記チャック片23aが途中部チャック部材の一例を構成し、上記モータ60が駆動部材の一例を構成し、上記途中部ベース21、回転盤22、変位部材24、回動板25及び、ロータリーエンコーダ26が動力伝達部の一例を構成し、上記端末リンク部45が端末リンク部材の一例を構成することとなる。
【0057】
さらに、上記本体3には、図略の制御部70が設けられ、この制御部70が上述した構成の駆動を制御するようになっている。
【0058】
図9は、図1の引張試験装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
【0059】
図9を参照して、上記制御部70は、各種演算処理を実行可能な演算手段や、設定等を記憶可能な記憶手段を備え、この記憶手段に記憶された設定に応じて、接続された各構成に対する駆動制御を実行するようになっている。具体的に、上記制御部70は、上記スタートスイッチ12、カバースイッチ21b、ロードセル(A端)61a及び、ロードセル(B端)61bに接続され、これらの出力信号に応じて、上記モータ60を回転駆動させるとともに、引張試験結果を上記液晶ディスプレイ11に表示させるようになっている。また、上記制御部70は、I/F(Inter Face)部62と接続され、このI/F部62を介してPC等の他の機器と接続することにより、上記ロードセル61からの出力信号(すなわち、引張試験結果)を当該他の機器へ送信する一方、他の機器から送信された設定情報を受信して、上記記憶手段に記憶された設定情報を更新するようになっている。このように構成された制御部70は、以下説明するような駆動制御を実行することとなる。
【0060】
図10は、図9の制御部70による駆動制御を示すタイミングチャートである。
【0061】
図1及び、図10を参照して、上端末保持部40及び下端末保持部50に対して被験電線Wの端末を挟持させた後(端末クランプ工程の後)、当該被験電線Wの途中部を上記各チャック片23a間に案内して(クランプ準備工程)、スタートボタン12を押下することによって、制御部70は、駆動制御を開始する。具体的に、スタートボタン12が押下されると、制御部70は、予め設定された原点位置からモータ60を右方向に正転して(駆動工程)、図4の(a)に示す初期位置から図4の(b)に示すように各チャック片23aが閉じた状態まで変位させる。さらに、モータ60が正転することに伴い、図4の(c)に示す引張試験動作が開始される(張力付与工程)。すなわち、被験電線Wの途中部を挟持した各チャック片23a自体が回転を開始することにより、当該各チャック片23a周りに被験電線の非挟持部分が巻き付けられるように案内される結果、当該非挟持部分に対して、各チャック片23aと上端末保持部40、又は下端末保持部50との間で張力が付与されることとなる。
【0062】
上記のように引張試験動作が開始されると、被験電線Wの端部を挟持する上端末保持部40及び、下端末保持部50がそれぞれ途中部保持部20側へ引き寄せられる方向へ力を受けることとなり、この力は、モータ60が正転することに応じて徐々に増大する。そして、引張られた被験電線Wの非挟持部分が破断することにより、上記上端末保持部40及び、下端末保持部50は、それぞれ途中部保持部20側へ引き寄せられる力から解放され、このときのピーク張力、すなわち被験電線Wを破断するのに要した張力を制御部70が上記液晶ディスプレイ11に表示する。ここで、上記液晶ディスプレイ11には、上記ロードセル(A端)61a及びロードセル(B端)61bから出力されたピーク張力が個別に表示されることとなる。このように被験電線Wの両端部が破断することにより、上記ロードセル61による検出値が低下することとなり、制御部70は、この検出値の低下に応じてモータ60を一旦停止させるとともに、逆転させて、復帰動作(原点復帰工程)を開始させることとなる。
【0063】
上記復帰動作を実行して、モータ60が逆転することに伴い、図5の(a)に示すように、上記回転盤22の抜け止め部材22bが摺動レバー21cに当接して、カバースイッチ21bを押下するとともに、回動板25の各突起部25bが各リンクレバー45a、45aの端部と当接することとなる。この状態からさらにモータ60が逆転すると、図5の(b)に示すように、各チャック片23aが解放するとともに、図7の(b)に示すように、各挟持ブロック44bが離間して被験電線Wの途中部及び両端部に対する保持を解除するチャック解放動作(クランプ解除工程)が開始され、モータ60が上記原点位置へ駆動して、図4の(a)及び図8の(b)に示す初期位置へ復帰する。
【0064】
なお、上記チャック解放動作中には、以下説明するような処理が実行され、引張検査毎にモータ60の原点が調整されることとなる。具体的に、上記制御部70には、回動板25の各偏心溝25aに対して各変位ブロック24aのスライドピン24eが摺動可能なストローク範囲に対応する位相差、すなわち、本来チャック閉じ動作で発生すべき回動板25に対する回転盤22の位相差が予め記憶されている。そして、上記チャック解放動作時において、制御部70は、上記カバースイッチ21bが押下された位置から原点まで復帰するのに要するモータ60の位相差を算出し、この位相差よりも予め記憶された位相差の方が大きい場合に、この予め記憶された位相差だけモータ60を駆動し、このモータ60の停止位置を、新たな原点として記憶するようになっている。このように原点を調整することにより、上記回動板25と各変位ブロック24aとの位相差を適性に維持することが可能となる結果、引張試験毎に各チャック片23aを適正な間隔に解放、閉鎖することが可能となる。
【0065】
上述したように引張試験装置1のモータ60は、その駆動軸を原点(初期状態に対応する位置)から終点(引張試験が終了した位置)まで回転する過程において、途中部保持部20、上端末保持部40及び、下端末保持部50を解放、閉塞し、さらに途中部保持部20を前後軸周りに回転させる駆動力を発生する。具体的には図11に示すように、原点から所定の切換点までの間、すなわち、図4の(a)の状態から図4の(b)の状態までの間で、モータ60の駆動により発生する回転駆動力が平行運動力に変換されて、この力が各チャック片23aに伝達される。そして、上記所定の切換点から終点までの間で、モータ60の駆動により発生する回転駆動力は、図4の(c)に示すように、そのまま各チャック片23aに伝達される。
【0066】
一方、上記モータ60が逆転して、上記終点から所定の切換点までの間で、モータ60の駆動により発生する回転駆動力は、そのまま各チャック片23aに伝達される。そして、所定の切換点から上記原点までの間、すなわち、図5の(a)の状態から図5の(b)の状態までの間、及び、図7の(a)の状態から図7の(c)の状態までの間で、モータ60の駆動により発生する回転駆動力は、平行運動力に変換されて、この力が各チャック片23a及び、リンクレバー45cに伝達される。
【0067】
以上のように構成された引張試験装置1によれば、動力伝達部(途中部ベース21、回転盤22、変位部材24、回動板25及び、ロータリーエンコーダ26)が、モータ60の駆動軸の原点から切換点までのストローク範囲内で被覆電線Wの途中部の軸線方向への移動を規制及び解除するために各チャック片23aを開閉させるとともに、駆動軸の切換点から終点までのストローク範囲で各チャック片23aを回動させるように各チャック片23aに対して力を伝達するため、モータ60の駆動軸が原点から切換点まで回転する過程において、上端末保持部40及び、下端末保持部50により両端部の保持された被験電線Wの途中部を確実にクランプし、この状態で駆動軸が切換点から終点まで回転する過程において、当該被験電線Wの途中部を回動することが可能となる結果、各チャック片23aと上端末保持部40及び下端末保持部50との間で被験電線Wの両端末に対して同時に張力を付与することができ、同時に引張試験を行うことができる。
【0068】
このように、上記引張試験装置1は、モータ60を正転させることにより、被験電線Wの両端部に対して同時に張力を付与することができるため、例えば、特許第2633324号公報に開示される試験装置のようにモータが正転する際に被験電線の一端部側に張力を付与し、モータが逆転する際に被験電線の他端部側に張力を付与するといった方式と比較して、引張試験に要する時間を短縮することが可能となる。その結果、被験電線Wの両端部の圧着端子の引張強度を確認する作業を、圧着端子の圧着作業中に必要に応じて随時行なうことができるため、当該圧着作業時に施された圧着の強度が不足している場合に、このことを迅速に認知することができる結果、圧着強度の不足した製品が次工程へ移行してしまうといった事態を抑制することができる。
【0069】
一方、上記モータ60の駆動軸が切換点から原点まで回転する過程において、各チャック片23aを開くことが可能となるため、引張試験の終了した被験電線Wの途中部分の保持状態を自動的に解除することが可能となる結果、当該途中部分を各チャック片23aから取り外すといった手間を軽減させることができる。
【0070】
上記動力伝達部には、モータ60の駆動軸が切換点から原点に復帰する過程における回転駆動力を上端末保持部40及び、下端末保持部50が開く力に変換して当該上端末保持部40及び、下端末保持部50に伝達する端末リンク部45が設けられているため、引張試験の収容した被験電線Wの端末部分の保持状態を自動的に解除することが可能となる結果、当該端末部分を上端末保持部40及び、下端末保持部50から取り外すといった手間を軽減させることができる。
【0071】
さらに、上記I/F部62を介してPC等の他の機器へ圧着力の試験結果を送信することができるため、上記のような圧着強度を検査するために引張試験装置1を使用する場合には、例えば、この試験結果を被験電線Wと圧着端子とを圧着する圧着装置の制御を司る制御装置へ送信することにより、この試験結果に応じて圧着強度を調整して、以後の圧着作業を実行させることが可能となる結果、引張検査から製造工程へのフィードバックを迅速かつ、自動的に行うことが可能となる。
【0072】
なお、上記引張試験装置1は、上記のように被験電線Wと圧着端子との強度試験に適用するだけでなく、例えば、被覆電線の導体同士が溶接されたものに対して、その溶接強度を確認するといった場合にも適用可能である。
【0073】
また、上記途中部保持部20に対して被験電線Wの途中部を挟持させることとしているが、これに限定されることはなく、例えば、上端末保持部40に対して被験電線Wの一端部を保持させる一方、途中部保持部20に対して当該被験電線Wの他端部を保持させ、上端末保持部40と途中部保持部20との間で被験電線Wに対して張力を付与することも可能である。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、上記駆動工程において途中部チャック部材を閉塞して、当該被験電線の途中部の軸線方向への移動を規制するとともに、張力付与工程で当該途中部チャック部材に対して回転駆動力を伝達することとしているため、端末クランプ工程で両端末の保持された被験電線は、その途中部が確実にクランプされた状態で、回転駆動力が付与されることとなる結果、各端末保持部と途中部保持部との間で被験電線の両端部に対して同時に張力を付与することができ、同時に引張試験を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る引張試験装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1の途中部保持部の構造を示す分解斜視図である。
【図3】図2の回転盤を後方側から見た斜視図である。
【図4】図2の途中部保持部の動作を示す概略正面図であり、(a)は初期状態、(b)はチャック片の閉じ動作、(c)は被験電線Wの引張動作をそれぞれ示している。
【図5】図2の途中部保持部の動作を示す概略正面図であり、(a)は復帰動作、(b)はチャック片の開放動作をそれぞれ示している。
【図6】図1の上端末保持部の構造を示す分解斜視図である。
【図7】図6の上端末保持部の動作を示す概略正面図であり、(a)はモータが駆動して復帰動作を実行している状態、(b)はリンクレバーにより各挟持ブロックが若干開いた状態、(c)は各挟持ブロックが完全に開いた状態をそれぞれ示している。
【図8】図6の上端末保持部の動作を示す概略正面図であり、(a)はリンクレバーと回動板との係止が解除された状態、(b)はモータが初期状態に復帰した状態、(c)は揺動レバーを揺動して各挟持ブロックを開いた状態をそれぞれ示している。
【図9】図1の引張試験装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図10】図9の制御部による駆動制御を示すタイミングチャートである。
【図11】モータの駆動軸の位相と、この位相における回転駆動力の伝達状態とを示す概念図である。
【符号の説明】
20 途中部保持部
21 途中部ベース
22 回転盤
23a チャック片
24 変位部材
25 回動板
26 ロータリーエンコーダ
40 上端末保持部
45 端末リンク部
50 下端末保持部
60 モータ

Claims (4)

  1. 被験電線の両端末を一対の端末保持部で保持し、保持された被験電線の途中部を途中部チャック部材で保持するとともに、保持された途中部を、当該被験電線の軸線と直交する軸周りの一方向に回動して被験電線に張力を付与する引張試験方法において、
    上記各端末保持部によって被験電線の両端部をクランプする端末クランプ工程と、
    クランプされた被験電線の途中部を上記途中部チャック部材に案内するクランプ準備工程と、
    クランプ準備がなされた途中部チャック部材に上記軸周りにおいて回転駆動力を付与する駆動工程と、
    駆動工程により回転駆動力を平行運動力に変換して途中部チャック部材を自動的に閉塞して、当該被験電線の途中部の軸線方向への移動を規制するとともに、途中部チャック部材が閉塞した後、上記回転駆動力をそのまま当該途中部チャック部材に伝達して上記被験電線に張力を付与する張力付与工程とを備えていることを特徴とする引張試験方法。
  2. 請求項1に記載の引張試験方法において、張力付与工程終了後に途中部チャック部材を逆方向に回動する原点復帰工程と、この原点復帰工程の過程で実行され、途中部チャック部材の逆方向への回転運動を平行運動に変換して上記各端末保持部及び途中部チャック部材を開くクランプ解除工程とをさらに備えていることを特徴とする引張試験方法。
  3. 特定の試験面上にて被験電線の両端末を保持する一対の端末保持部と、これら端末保持部に保持される被験電線の途中部を把持可能な途中部チャック部材と、この途中部チャック部材を上記試験面と垂直な軸周りで双方向に駆動可能な駆動部材と、この駆動部材と前記途中部チャック部材との間に設けられ、駆動部材の回転駆動力を途中部チャック部材に伝達する動力伝達部とを備え、上記駆動部材の駆動軸を原点から終点までの範囲で双方向に回動させることにより、被験電線に張力を付与する引張試験装置において、
    上記動力伝達部は、上記駆動軸の原点から予め設定された切換点までのストローク範囲内では駆動部材の回転駆動力を被験電線の途中部の軸線方向への移動を規制及び解除するために途中部チャック部材が開閉する方向の力に変換して当該途中部チャック部材に伝達するとともに、上記切換点から終点までのストローク範囲においては、上記駆動部材の回転駆動力をそのまま途中部チャック部材に伝達するように構成されていることを特徴とする引張試験装置。
  4. 請求項3に記載の引張試験装置において、上記動力伝達部に設けられ、上記駆動軸が切換点から原点に復帰する過程における回転駆動力を各端末保持部が開く方向の力に変換して各端末保持部に伝達する端末リンク部材をさらに備えていることを特徴とする引張試験装置。
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