JP2004347510A - 電子線照射装置、電子線照射方法、および電子線被照射物 - Google Patents
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Abstract
【課題】種々の被照射物に対して所望の電子線照射することができる電子線照射装置および電子線照射方法を提供すること。
【解決手段】被照射物Sを搬送する搬送ライン1と、搬送ライン1の途中に設けられ、搬送ライン1の幅方向に沿って複数の電子線照射源3が配置された電子線照射部2とを有し、複数の電子線照射源3は、それぞれ、電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つが被照射物の被照射部位に応じて別個に調整される。また、搬送ライン1に同期して電子電流や加速電圧を変化させる。
【選択図】 図1
【解決手段】被照射物Sを搬送する搬送ライン1と、搬送ライン1の途中に設けられ、搬送ライン1の幅方向に沿って複数の電子線照射源3が配置された電子線照射部2とを有し、複数の電子線照射源3は、それぞれ、電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つが被照射物の被照射部位に応じて別個に調整される。また、搬送ライン1に同期して電子電流や加速電圧を変化させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、表示パネル、光ディスク、メガネレンズ、IDカード等の基材表面に形成された、印刷インキ、塗料、接着剤、粘着剤、保護膜等の被覆物の硬化・架橋、または、基材表面の殺菌や改質等の処理のために電子線を照射する電子線照射装置、電子線照射方法、および電子線被照射物に関する。
【0002】
【従来の技術】
基材に施された塗料、印刷インキ、接着剤、粘着剤、保護膜等の被覆剤、およびその他の樹脂製品の架橋または硬化方法として電子線照射によるものが提案されており、これまでに多くの検討がなされている(特許文献1等)。この方法は、真空中で電子を加速電圧にて加速し、この加速された電子線を真空中や大気中等の常圧雰囲気中に置かれた被照射物に照射する方法である。
【0003】
電子線照射による硬化および架橋の利点としては、次のようなものが挙げられる。
【0004】
(1)希釈剤として有機溶剤を含有させる必要がないので環境に優しい。
【0005】
(2)硬化速度が速い(生産性大)。
【0006】
(3)熱乾燥よりも硬化作業面積が少なくてすむ。
【0007】
(4)基材に熱がかからない(熱に弱いものにも適用可能)。
【0008】
(5)後加工がすぐできる(冷却、エージング等が不要である)。
【0009】
(6)電気的作業条件を管理すればよいから、熱乾燥の際の温度管理よりも管理しやすい。
【0010】
(7)開始剤、増感剤がなくてもよいので、不純物の少ないものができる(品質の向上)。
【0011】
しかし、上記特許文献1の電子線硬化技術は、高エネルギーの電子線を照射して高速で被照射物を架橋および硬化するものであり、エネルギー効率の点は全く考慮されておらず、実用上十分なものとはいえない。
【0012】
これに対して、特許文献2には、電子線照射窓の材料を工夫することにより、従来よりも低加速電圧で電子線を有効に取り出すことができ、電子線照射装置の飛躍的な小型化を図ることができる技術が開示されている。この技術によれば、小型の電子線照射管をインライン化して搬送されている被照射物に低エネルギーの電子線を制御性よく照射することができ、実用的な硬化・架橋処理を実現することができる。
【0013】
【特許文献1】
特開平2−208325号公報
【0014】
【特許文献2】
米国特許第5,414,267号
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献2には、真空管型の電子線照射管を複数本配列して電子線照射アレイを構成し、被照射物としては連続体であるウェブを直線的に搬送して電子線照射アレイからウェブの幅方向に均一な条件で電子線を照射することが開示されているが、被照射物としては連続体であるウェブのみならず、表示パネル、光ディスク、メガネレンズ、IDカードのような枚葉体等、種々雑多なものが存在し、また、被照射物の搬送態様も種々のものが存在し、特許文献2に記載されているような電子線照射技術では、十分に均一な硬化・架橋処理を行うことができない。また、被照射物に局部的に異なる樹脂が用いられているような場合にも、特許文献2の技術では十分に対応することができない。
【0016】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、種々の被照射物に対して所望の電子線を照射することができる電子線照射装置および電子線照射方法を提供することを目的とする。また、この電子線照射方法により得られた電子線照射物を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点では、被照射物を搬送する搬送ラインと、前記搬送ラインの途中に幅方向に配置された、複数の電子線照射源を有する電子線照射部とを備え、前記複数の電子線照射源は、それぞれ、電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つが被照射物の被照射部位に応じて別個に調整されていることを特徴とする電子線照射装置を提供する。
【0018】
ここで、搬送ラインが例えば円弧状に搬送される場合のように、部位により搬送速度が異なる場合に、前記複数の電子線照射源は、電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つを、前記被照射物の搬送速度に対応させて調整されるように構成することができる。
【0019】
本発明の第2の観点では、被照射物を搬送する搬送ラインと、前記搬送ラインの途中に幅方向に配置された、複数の電子線照射源を有する電子線照射部とを備え、前記複数の電子線照射源は被照射物の被照射部位に応じてその配置密度が調整されていることを特徴とする電子線照射装置を提供する。
【0020】
この場合も第1の観点と同様、搬送ラインが例えば円弧状に搬送される場合のように、部位により搬送速度が異なる場合に、前記複数の電子線照射源は、前記被照射物の搬送速度に対応させて、その配置密度が調整されるように構成することができる。
【0021】
本発明の第3の観点では、被照射物を搬送する搬送ラインと、前記搬送ラインの途中に幅方向に配置された、複数の電子線照射源を有する電子線照射部とを備え、前記複数の電子線照射源は、電子電流もしくは加速電圧もしくはその両方を前記搬送ラインに同期して、別個に変化させる機能を有することを特徴とする電子線照射装置を提供する。
【0022】
本発明の第4の観点では、搬送ラインで搬送している被照射物に対して、前記搬送ラインの幅方向に配置された複数の電子線照射源から電子線を照射する電子線照射方法であって、被照射物の被照射部位に応じて前記複数の電子線照射源の電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つを電子線照射源毎に別個に調整することを特徴とする電子線照射方法を提供する。
【0023】
ここで、搬送ラインが例えば円弧状に搬送される場合のように、部位により搬送速度が異なる場合に、前記複数の電子線照射源は、電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つを、前記被照射物の搬送速度に対応させて調整することができる。
【0024】
本発明の第5の観点では、搬送ラインで搬送している被照射物に対して、前記搬送ラインの幅方向に配置された複数の電子線照射源から電子線を照射する電子線照射方法であって、被照射物の被照射部位に応じて前記複数の電子線照射源の配置密度を調整することを特徴とする電子線照射方法を提供する。
【0025】
この場合も第4の観点と同様、搬送ラインが例えば円弧状に搬送される場合のように、部位により搬送速度が異なる場合に、前記被照射物の搬送速度に対応させて、前記複数の電子線照射源の配置密度を調整することができる。
【0026】
本発明の第6の観点では、搬送ラインで搬送している被照射物に対して、前記搬送ラインの幅方向に配置された複数の電子線照射源から電子線を照射する電子線照射方法であって、前記複数の電子線照射源の電子電流もしくは加速電圧もしくはその両方を前記搬送ラインに同期して、別個に変化させることを特徴とする電子線照射方法を提供する。
【0027】
第1〜第6の観点において、前記電子線照射源は、真空管型であることが好ましい。
【0028】
本発明の第7の観点では、上記いずれかの電子線照射方法で電子線が照射された電子線照射物を提供する。
【0029】
本発明の第1および第4の観点によれば、複数の電子線照射源は、それぞれ、電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つを被照射物の被照射部位に応じて別個に調整するので、被照射部位によって搬送速度が異なる場合や、硬化・架橋すべき材料が異なる場合等であっても所望の電子線照射を行うことができる。
【0030】
例えば、搬送ラインが直線的に搬送される場合に、各電子線照射源から均一な条件で被照射物に照射することは勿論、幅方向に特殊な硬化・架橋すべき材料がある場合には、その照射部位に対応した電子線照射源の電子電流や加速電圧や電子線射出部位から被照射物までの距離を調整することで、所望の硬化・架橋反応を達成することができる。
【0031】
一般的に、電子電流を調整するのは、基材に施された被覆剤により、硬化・架橋反応に必要な電子線吸収線量は異なるので、この調整に適応できるし、また、搬送ラインの搬送速度により電子線吸収線量は変わるので、この調整に利用される。一方加速電圧は、電子線吸収の深さが変化するので、基材に施された被覆剤の厚みや材質、並びに基材への電子線による劣化等を考慮して調整することができ、電子線射出部位から被照射物までの距離は線量と深さの両方を調整することができる。
【0032】
また、例えばターンテーブルのように、搬送ラインが円弧状に搬送される場合、搬送ラインの照射部位は、その内側部分と外側部分とは搬送速度が異なるので、各電子線照射源から均一な条件で電子線を照射した場合には、内側部分よりも外側部分の方が電子線照射時間は短くなるので、結果として電子線吸収線量が小さくなってしまい、均一な電子線照射を行うことができない。従ってこのような場合には、搬送ラインの幅方向に配置された複数の電子線照射源を、例えば電子電流等に勾配を持たせることにより、内側部分と外側部分との電子線吸収線量を均一にすることができる。
【0033】
本発明の第2および第5の観点によれば、複数の電子線照射源は、電子線照射源の配置密度を被照射物の被照射部位に応じて調整するので、電子線照射部を構成する複数の電子線照射源は、被照射部位によって搬送速度が異なる場合や、硬化・架橋すべき材料が異なる場合等であっても所望の電子線照射を行うことができる。
【0034】
本発明の第3および第6の観点によれば、被照射物を搬送する搬送ラインと、前記搬送ラインの途中に幅方向に配置された、複数の電子線照射源を有する電子線照射部とを備え、前記複数の電子線照射源は、電子電流もしくは加速電圧もしくはその両方を前記搬送ラインに同期して、別個に変化させることにより、搬送ラインが一定速度でない場合への対応や、搬送方向で硬化・架橋すべき材料が異なる場合等であっても所望の電子線照射が可能となる。
【0035】
この第3および第6の観点と、前記の第1および第4の観点とを併用することにより、搬送ラインの幅方向と搬送方向との両方、すなわち2次元的に電子線の照射線量や照射エネルギーを調整することが可能となる。
【0036】
本発明において、前記電子線照射源として、真空管型のものを用いることにより、小型なので電子線照射部として複数の電子線照射源として構成することが可能である。また、100kV以下という低加速電圧でも電子線を有効に照射することができるので、大がかりなX線遮蔽を必要としないので、装置の小型化も可能となる。更に、低加速電圧であるため、被照射物に対して浅い深度で硬化・架橋の反応させることが可能となり、基材への損傷も防止できる。
【0037】
なお、上記特許文献2においては、本発明のように、被照射物の被照射部位または被照射面に、全体的に均一に電子線を照射することは開示されておらず、意図してもいない。さらに、特許文献2には、被照射部位の同一部分または位置に、異なる条件で電子線を照射することは記載されているが、本発明のように被照射部位の異なる場所または部分を異なる条件で照射することは開示されておらず、意図してもいない。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
【0039】
先ず、第1の実施形態について説明する。ここでは、枚葉体であるディスク状の被照射物に対する電子線の照射について説明する。
【0040】
図1は、第1の実施形態に係る電子線照射装置の概略平面図である。この装置は、表面に印刷インキ、塗料、接着剤、反射防止膜等の樹脂層が被覆された枚葉体である複数の被照射物Sを連続的に搬送するための搬送ライン1と、搬送ライン1の途中に設けられ、搬送ラインの幅方向に沿って6本の電子線照射源3が配置された電子線照射部2とを有している。6本の電子線照射源3は被照射物Sに電子線が照射されない部分が生じることを防止するために、千鳥状に配置されている。これら電子線照射源3は、それぞれ、電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つが被照射物Sの被照射部位に応じて別個に調整される。
【0041】
具体的には、搬送ライン1がターンテーブル状の場合、電子線照射部2は、円弧状の搬送ライン1のところに配置されることになり、搬送ライン1の内周部1aよりも外周部1bの方が周速度つまり搬送速度が速いため、電子線照射部2から受ける電子線照射時間は短くなる。従って、電子線照射部2から均一に電子線が照射されると、外周部1bに近い被照射物Sの方ほど電子線吸収線量が減ってしまう。そのために、電子線照射源3の配置方向に沿って、つまり内周部1a側から外周部1bにいくにつれて、電子線照射源3の電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つが勾配を有するようにこれらが調整され、被照射物Sに吸収される電子線吸収線量が全体的に均一になるようになっている。
【0042】
つまり、電子電流が大きいほど電子線照射線量は大きくなり、また加速電圧が高いほど照射される電子線エネルギーが大きくなり、また、電子線射出部位から被照射物までの距離が大きいほど電子線の散乱による減衰が大きくなって照射される電子線照射線量や電子線エネルギーが小さくなるから、これらの少なくとも一つを調整することにより照射部位に応じて電子線照射線量や電子線エネルギーを調整することができる。
【0043】
電子電流、加速電圧を調整する場合には、図2のように、電子線照射源3の高さ位置は同じであり、電子電流、加速電圧のいずれかまたは両方が内周部1aから外周部1bに行くにつれて大きくなる勾配が形成される。また、電子線射出部位から被照射物Sまでの距離dを変化させる場合には、図3に示すように、内周部1aから外周部1bに行くにつれて、電子線照射源3の距離dが小さくなる勾配が形成される。
【0044】
図4は図2の実施形態において、6本の電子線照射源3の電子電流に勾配を持たしたときの電子線照射線量を示す図で、1本毎の電子電流を調整することで、総合した電子線照射量に勾配を持たせている。これにより、図1の内周部1aから外周部1bに対応させることで、被照射物Sには均等な電子線が吸収されることになる。
【0045】
図5は加速電圧50〜80kVにおける電子線到達深度と吸収線量(任意スケール)との関係を示す図である。この図から、電子線の加速電圧によりその到達深度が異なることがわかる。したがって、加速電圧で電子線エネルギーを調整する場合には、この点を考慮する必要がある。
【0046】
次に、第2の実施形態について説明する。
【0047】
第1の実施例(実施形態)では、複数の電子線照射源3の電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つが被照射物の被照射部位に応じて別個に調整された電子線照射装置と電子線照射方法を説明したが、電子線照射量を調整するためには、上述のように各電子線照射源3のパラメータを調整するばかりでなく、図6に示すように、電子線照射源3の配置密度を調整した電子線照射部2′を用いてもよい。図6の例では、電子線照射源3が搬送ライン1の幅方向に沿って7列あり、搬送ライン1の内側部1aから3列目までは電子線照射源3が1本対応しているのに対し、4列目、5列目は2本の電子線照射源3が対応しており、外側部1b側の6列目、7列目は3本の電子線照射源3が対応している。したがって、電子線照射源3の配置方向に沿って、つまり内周部1a側から外周部1bにいくにつれて、電子線線量を多くすることができ、被照射物Sに蓄積される電子線吸収線量を全体的に均一にすることができる。
【0048】
第3の実施形態について説明する。
【0049】
図7は、第3の実施形態に係る電子線照射装置を示す平面図である。
この装置は、表面に印刷インキ、塗料、接着剤、反射防止膜等の樹脂層が被覆された枚葉体である複数の被照射物Sの搬送ラインとして機能するターンテーブル21と、ターンテーブル21上の被照射物Sに電子線を照射する、電子線照射源23が配置された電子線照射部22と、を備えている。電子線照射部22はターンテーブル21の内周部から外周部にかけて電子線照射源23が千鳥状に配列されており、ターンテーブル21を回転しながら被照射物Sに電子線を照射する。
【0050】
この実施形態においては、ターンテーブル21を回転させながら電子線を照射するので、被照射物Sの内側部分と外側部分とでは搬送速度が異なり、電子線照射部22から均一に電子線が照射されると、被照射物Sの外側部分のほうが内側部分よりも単位面積当たりに照射される電子線照射エネルギーが小さくなる。したがって、本実施形態においても第1の実施形態と同様に、電子線照射源23の配列方向に沿って、つまり内側から外側にいくにつれて、電子線照射源23の電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つが勾配を有するようにこれらが調整される。これにより、被照射物Sに照射される電子線エネルギーが全体的に均一にすることができる。また、図6と同様に電子線照射源23の配列密度を調整して照射される電子線エネルギーが全体的に均一になるようにしてもよい。
【0051】
電子線照射源3、23としては、上述した米国特許第5,414,267号に開示されている真空管型のものを用いることが好ましい。このような真空管型の電子線照射源は、電子線発生部としての照射管10が図8のように構成されている。すなわち、図8の(a)に示すように、円筒状をなすガラスまたはセラミック製の真空管(チューブ)11と、その真空管(チューブ)11内に設けられ、陰極から放出された電子を電子線として取り出してこれを加速する電子線発生部12と、真空管11の端部に設けられ、電子線を射出する電子線射出部13と、図示しない給電部より給電するためのピン部14とを有する。電子線射出部13には薄膜状の照射窓15が設けられている。電子線射出部13の照射窓15は、ガスは透過せずに電子線を透過する機能を有しており、図8の(b)に示すように、スリット状をなしている。そして、照射室内に配置された被照射物に照射窓15から射出された電子線が照射される。
【0052】
このような真空管型の電子線照射源は、従来のドラム型の電子線照射源とは根本的に異なっている。従来のドラム型電子線照射源は、ドラム内を常に真空引きしながら電子線を照射するタイプのものである。従来のドラム型の電子線発生源は大型であり、上述したように搬送ラインに組み込んで用いることも、上述のようにして電子電流、加速電圧、距離等を調整することも困難であるが、このような構成の照射管を有する電子線発生源は小型であり、容易にインライン化することができるとともに、低加速電圧でも有効に電子線を取り出すことができ、制御性も良好であるから、上述した調整を容易に行うことができる。
【0053】
また、照射窓でのエネルギー損失が少ないので、低加速電圧でも大きな電子線照射線量を発生できるので、必要以上に基材への悪影響を与えることがなく、また、低加速電圧であるために、X線遮蔽に必要な金属板厚を薄くすることができるので、装置全体を小型に構成することができる。さらに真空管型電子線照射源は、電子線照射源(照射管)を1本1本独立に制御することができるため、個々の高さ調整は勿論、電子電流や加速電圧の調整が容易となる。
【0054】
通常、電子線照射は窒素などの不活性ガスで置換された雰囲気で行うが、これは樹脂の架橋重合反応時の酸素阻害防止やオゾンによる照射窓の劣化防止、加えて照射窓の冷却を目的としている。上記の真空管型の電子線照射源の特徴で照射窓での発熱が少ないことから、この不活性ガスの流量も低減することができる。
【0055】
次に、第4の実施形態について説明する。
【0056】
以上の実施形態では、もっぱら非直線的に搬送される被照射物に対して均一な電子線吸収線量を得る場合を中心に説明したが、本発明は、被照射物の状態に応じて電子線照射線量や電子線エネルギーが異なる部分を形成する場合についても適用可能であり、本実施形態はそのような場合を示すものである。
【0057】
図9は、本発明の第4の実施形態に係る電子線照射装置を示す平面図であり、直線的に搬送する場合を例としている。この電子線照射装置は、表面に印刷インキ、塗料、接着剤、保護層等の樹脂層が被覆された被照射物である連続体のウェブWが搬送される搬送ライン41と、搬送ライン41上を搬送されるウェブWに電子線を照射する電子線照射部42とを備えている。この実施形態例では搬送ライン41上をウェブWが搬送されるように示してあるが、一般的な印刷機械のように、ウェブW自体が搬送される形態でも良い。電子線照射部42は搬送ライン41の幅方向に沿って5本の電子線照射源43が千鳥状に配置されており、この電子線照射源43からウェブWに電子線を照射する。
【0058】
ウェブWの異なる樹脂被覆部W′は、他の部分とは異なる樹脂が被覆されており、硬化または架橋の条件が異なっている。そこで、電子線照射源43のうち、異なる樹脂被覆部W′に対応した電子線照射源43aの電子線照射線量や電子線エネルギーを他の電子線照射源43と異ならせるため、電子線照射源43aの電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つを調整する。これにより、ウェブW全体を適切に硬化または架橋することができる。特に、塗料が被覆されたウェブWにおいて異なる樹脂被覆部W′にTi、AgやAl等のメタル、その酸化物等の比重の大きい成分が多いような場合には、異なる樹脂被膜部W′を十分に硬化させるためには電子線エネルギーを他の部分に比べて高くする必要があり、したがって、電子線照射源43aの加速電圧を他の電子線照射源43よりも大きくすることが有効である。
【0059】
このような各電子線照射源の電子電流等の調整を行う代わりに、図10に示すように、異なる樹脂被膜部W′に対応して電子線照射源43を2列に配置するなど、電子線照射源の配列密度を高めるようにした電子線照射部42′を用いても同様の効果が得られる。
【0060】
次に、第5の実施形態について説明する。
【0061】
第4の実施形態で搬送ライン41の幅方向で異なる樹脂が被覆されている場合の調整について説明したが、異なる樹脂は必ずしも縞状とは限らず、平面上の任意の位置に存在する場合も多い。この課題に対処したものが第4の実施形態で、図11(a)に概略平面図を、図11(b)に搬送ラインに同期した電子電流を示している。
【0062】
図11に示したように、異なる樹脂被覆部W′が搬送方向に一定でない場合でも、その部位に対応した電子線照射源43a、43bの電子電流を搬送ライン41に同期させて変化させることで、任意の形状の異なる樹脂被覆部W′を所望の電子線照射をすることが可能となる。
【0063】
電子電流を変化させるには、例えば熱電子を放出させるフィラメント電流を制御すれば容易に変化させることができる。また、図11(b)では電子電流を変化させる例を示したが、電子電流の代わりに加速電圧を変化させたり、電子電流と加速電圧の両方を変化させることもできる。
【0064】
第4および第5の実施形態では、直線的に搬送されるウェブの場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこれに限らず、図1に示したような円弧状に搬送される場合についても全く同様に適用することができる。
【0065】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、被照射物として表面に印刷インキ、塗料、接着剤、保護層等の樹脂層が被覆されものを用い、電子線照射により樹脂層を硬化・架橋する場合を例にとって説明したが、これに限らず、物体の殺菌や改質等の処理に適用することもできる。
【0066】
上記実施形態では、電子線照射源として真空管型を用いたが、同様な調整が可能であればそれに限るものではない。ただし、上述したように、真空管型のものが制御性の観点から好ましい。すなわち、Min−EB(東洋インキ製造株式会社製)に代表される真空管型電子線照射装置は、上述したように、X線遮蔽の小型化および不活性ガスで置換する、いわゆるイナーティング消費の低減化を図ることができ、また低加速電圧であるため電子線発生部分の小型化が可能となることから、電子線照射装置の飛躍的な小型化が可能となるため極めて好ましい。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数の電子線照射源は、それぞれ、電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つを被照射物の被照射部位に応じて別個に調整するので、被照射部位によって搬送速度が異なる場合でも均一に電子線を照射したり、硬化・架橋すべき材料が異なったり被覆剤の厚みが照射部位によって異なる場合でも所望の電子線照射を行うことができる。
【0068】
更に、複数の電子線照射源の電子電流もしくは加速電圧もしくはその両方を搬送ラインに同期して、別個に変化させることにより搬送方向にも電子線照射線量や電子線エネルギーを変化させることができるので、搬送方向に異なる被覆剤や厚みであっても所望の電子線照射を行うことができ、上記の複数の別個に調整された複数の電子線照射源と併せて、2次元的に照射線量や照射エネルギーを制御することが可能となり、極めて自由度の高い適用が可能となる。
【0069】
さらに、複数の電子線照射源を、その配置密度を被照射物の被照射部位に応じて調整するので、被照射部位によって搬送速度が異なる場合や、硬化・架橋すべき材料が異なる場合等であっても所望の電子線照射を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電子線照射装置を示す概略平面図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る電子線照射装置を示す断面図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る電子線照射装置において電子線照射源の電子線照射部位から被照射物までの距離を電子線照射源毎に変えた例を示す断面図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る電子線照射装置において6本の電子線照射源の電子電流に勾配を持たしたときの照射線量を示す図。
【図5】電子線の加速電圧50〜80kVにおける電子線到達深度と照射線量との関係を示す図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る電子線照射装置を示す概略平面図。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る電子線照射装置を示す概略平面図。
【図8】真空管型の電子線照射源の構造を示す図。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る電子線照射装置を示す概略平面図。
【図10】本発明の第43の実施形態に係る電子線照射装置の他の例を示す概略平面図。
【図11】本発明の第5の実施形態に係る電子線照射装置を示す概略平面図および電子電流のタイムチャート図。
【符号の説明】
1、41……搬送ライン
2、2′、22、42、42′……電子線照射部
3、23、43、43a、43b……電子線照射源
S……被照射物
W……ウェブ
W′……異なる樹脂被覆部
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、表示パネル、光ディスク、メガネレンズ、IDカード等の基材表面に形成された、印刷インキ、塗料、接着剤、粘着剤、保護膜等の被覆物の硬化・架橋、または、基材表面の殺菌や改質等の処理のために電子線を照射する電子線照射装置、電子線照射方法、および電子線被照射物に関する。
【0002】
【従来の技術】
基材に施された塗料、印刷インキ、接着剤、粘着剤、保護膜等の被覆剤、およびその他の樹脂製品の架橋または硬化方法として電子線照射によるものが提案されており、これまでに多くの検討がなされている(特許文献1等)。この方法は、真空中で電子を加速電圧にて加速し、この加速された電子線を真空中や大気中等の常圧雰囲気中に置かれた被照射物に照射する方法である。
【0003】
電子線照射による硬化および架橋の利点としては、次のようなものが挙げられる。
【0004】
(1)希釈剤として有機溶剤を含有させる必要がないので環境に優しい。
【0005】
(2)硬化速度が速い(生産性大)。
【0006】
(3)熱乾燥よりも硬化作業面積が少なくてすむ。
【0007】
(4)基材に熱がかからない(熱に弱いものにも適用可能)。
【0008】
(5)後加工がすぐできる(冷却、エージング等が不要である)。
【0009】
(6)電気的作業条件を管理すればよいから、熱乾燥の際の温度管理よりも管理しやすい。
【0010】
(7)開始剤、増感剤がなくてもよいので、不純物の少ないものができる(品質の向上)。
【0011】
しかし、上記特許文献1の電子線硬化技術は、高エネルギーの電子線を照射して高速で被照射物を架橋および硬化するものであり、エネルギー効率の点は全く考慮されておらず、実用上十分なものとはいえない。
【0012】
これに対して、特許文献2には、電子線照射窓の材料を工夫することにより、従来よりも低加速電圧で電子線を有効に取り出すことができ、電子線照射装置の飛躍的な小型化を図ることができる技術が開示されている。この技術によれば、小型の電子線照射管をインライン化して搬送されている被照射物に低エネルギーの電子線を制御性よく照射することができ、実用的な硬化・架橋処理を実現することができる。
【0013】
【特許文献1】
特開平2−208325号公報
【0014】
【特許文献2】
米国特許第5,414,267号
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献2には、真空管型の電子線照射管を複数本配列して電子線照射アレイを構成し、被照射物としては連続体であるウェブを直線的に搬送して電子線照射アレイからウェブの幅方向に均一な条件で電子線を照射することが開示されているが、被照射物としては連続体であるウェブのみならず、表示パネル、光ディスク、メガネレンズ、IDカードのような枚葉体等、種々雑多なものが存在し、また、被照射物の搬送態様も種々のものが存在し、特許文献2に記載されているような電子線照射技術では、十分に均一な硬化・架橋処理を行うことができない。また、被照射物に局部的に異なる樹脂が用いられているような場合にも、特許文献2の技術では十分に対応することができない。
【0016】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、種々の被照射物に対して所望の電子線を照射することができる電子線照射装置および電子線照射方法を提供することを目的とする。また、この電子線照射方法により得られた電子線照射物を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点では、被照射物を搬送する搬送ラインと、前記搬送ラインの途中に幅方向に配置された、複数の電子線照射源を有する電子線照射部とを備え、前記複数の電子線照射源は、それぞれ、電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つが被照射物の被照射部位に応じて別個に調整されていることを特徴とする電子線照射装置を提供する。
【0018】
ここで、搬送ラインが例えば円弧状に搬送される場合のように、部位により搬送速度が異なる場合に、前記複数の電子線照射源は、電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つを、前記被照射物の搬送速度に対応させて調整されるように構成することができる。
【0019】
本発明の第2の観点では、被照射物を搬送する搬送ラインと、前記搬送ラインの途中に幅方向に配置された、複数の電子線照射源を有する電子線照射部とを備え、前記複数の電子線照射源は被照射物の被照射部位に応じてその配置密度が調整されていることを特徴とする電子線照射装置を提供する。
【0020】
この場合も第1の観点と同様、搬送ラインが例えば円弧状に搬送される場合のように、部位により搬送速度が異なる場合に、前記複数の電子線照射源は、前記被照射物の搬送速度に対応させて、その配置密度が調整されるように構成することができる。
【0021】
本発明の第3の観点では、被照射物を搬送する搬送ラインと、前記搬送ラインの途中に幅方向に配置された、複数の電子線照射源を有する電子線照射部とを備え、前記複数の電子線照射源は、電子電流もしくは加速電圧もしくはその両方を前記搬送ラインに同期して、別個に変化させる機能を有することを特徴とする電子線照射装置を提供する。
【0022】
本発明の第4の観点では、搬送ラインで搬送している被照射物に対して、前記搬送ラインの幅方向に配置された複数の電子線照射源から電子線を照射する電子線照射方法であって、被照射物の被照射部位に応じて前記複数の電子線照射源の電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つを電子線照射源毎に別個に調整することを特徴とする電子線照射方法を提供する。
【0023】
ここで、搬送ラインが例えば円弧状に搬送される場合のように、部位により搬送速度が異なる場合に、前記複数の電子線照射源は、電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つを、前記被照射物の搬送速度に対応させて調整することができる。
【0024】
本発明の第5の観点では、搬送ラインで搬送している被照射物に対して、前記搬送ラインの幅方向に配置された複数の電子線照射源から電子線を照射する電子線照射方法であって、被照射物の被照射部位に応じて前記複数の電子線照射源の配置密度を調整することを特徴とする電子線照射方法を提供する。
【0025】
この場合も第4の観点と同様、搬送ラインが例えば円弧状に搬送される場合のように、部位により搬送速度が異なる場合に、前記被照射物の搬送速度に対応させて、前記複数の電子線照射源の配置密度を調整することができる。
【0026】
本発明の第6の観点では、搬送ラインで搬送している被照射物に対して、前記搬送ラインの幅方向に配置された複数の電子線照射源から電子線を照射する電子線照射方法であって、前記複数の電子線照射源の電子電流もしくは加速電圧もしくはその両方を前記搬送ラインに同期して、別個に変化させることを特徴とする電子線照射方法を提供する。
【0027】
第1〜第6の観点において、前記電子線照射源は、真空管型であることが好ましい。
【0028】
本発明の第7の観点では、上記いずれかの電子線照射方法で電子線が照射された電子線照射物を提供する。
【0029】
本発明の第1および第4の観点によれば、複数の電子線照射源は、それぞれ、電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つを被照射物の被照射部位に応じて別個に調整するので、被照射部位によって搬送速度が異なる場合や、硬化・架橋すべき材料が異なる場合等であっても所望の電子線照射を行うことができる。
【0030】
例えば、搬送ラインが直線的に搬送される場合に、各電子線照射源から均一な条件で被照射物に照射することは勿論、幅方向に特殊な硬化・架橋すべき材料がある場合には、その照射部位に対応した電子線照射源の電子電流や加速電圧や電子線射出部位から被照射物までの距離を調整することで、所望の硬化・架橋反応を達成することができる。
【0031】
一般的に、電子電流を調整するのは、基材に施された被覆剤により、硬化・架橋反応に必要な電子線吸収線量は異なるので、この調整に適応できるし、また、搬送ラインの搬送速度により電子線吸収線量は変わるので、この調整に利用される。一方加速電圧は、電子線吸収の深さが変化するので、基材に施された被覆剤の厚みや材質、並びに基材への電子線による劣化等を考慮して調整することができ、電子線射出部位から被照射物までの距離は線量と深さの両方を調整することができる。
【0032】
また、例えばターンテーブルのように、搬送ラインが円弧状に搬送される場合、搬送ラインの照射部位は、その内側部分と外側部分とは搬送速度が異なるので、各電子線照射源から均一な条件で電子線を照射した場合には、内側部分よりも外側部分の方が電子線照射時間は短くなるので、結果として電子線吸収線量が小さくなってしまい、均一な電子線照射を行うことができない。従ってこのような場合には、搬送ラインの幅方向に配置された複数の電子線照射源を、例えば電子電流等に勾配を持たせることにより、内側部分と外側部分との電子線吸収線量を均一にすることができる。
【0033】
本発明の第2および第5の観点によれば、複数の電子線照射源は、電子線照射源の配置密度を被照射物の被照射部位に応じて調整するので、電子線照射部を構成する複数の電子線照射源は、被照射部位によって搬送速度が異なる場合や、硬化・架橋すべき材料が異なる場合等であっても所望の電子線照射を行うことができる。
【0034】
本発明の第3および第6の観点によれば、被照射物を搬送する搬送ラインと、前記搬送ラインの途中に幅方向に配置された、複数の電子線照射源を有する電子線照射部とを備え、前記複数の電子線照射源は、電子電流もしくは加速電圧もしくはその両方を前記搬送ラインに同期して、別個に変化させることにより、搬送ラインが一定速度でない場合への対応や、搬送方向で硬化・架橋すべき材料が異なる場合等であっても所望の電子線照射が可能となる。
【0035】
この第3および第6の観点と、前記の第1および第4の観点とを併用することにより、搬送ラインの幅方向と搬送方向との両方、すなわち2次元的に電子線の照射線量や照射エネルギーを調整することが可能となる。
【0036】
本発明において、前記電子線照射源として、真空管型のものを用いることにより、小型なので電子線照射部として複数の電子線照射源として構成することが可能である。また、100kV以下という低加速電圧でも電子線を有効に照射することができるので、大がかりなX線遮蔽を必要としないので、装置の小型化も可能となる。更に、低加速電圧であるため、被照射物に対して浅い深度で硬化・架橋の反応させることが可能となり、基材への損傷も防止できる。
【0037】
なお、上記特許文献2においては、本発明のように、被照射物の被照射部位または被照射面に、全体的に均一に電子線を照射することは開示されておらず、意図してもいない。さらに、特許文献2には、被照射部位の同一部分または位置に、異なる条件で電子線を照射することは記載されているが、本発明のように被照射部位の異なる場所または部分を異なる条件で照射することは開示されておらず、意図してもいない。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
【0039】
先ず、第1の実施形態について説明する。ここでは、枚葉体であるディスク状の被照射物に対する電子線の照射について説明する。
【0040】
図1は、第1の実施形態に係る電子線照射装置の概略平面図である。この装置は、表面に印刷インキ、塗料、接着剤、反射防止膜等の樹脂層が被覆された枚葉体である複数の被照射物Sを連続的に搬送するための搬送ライン1と、搬送ライン1の途中に設けられ、搬送ラインの幅方向に沿って6本の電子線照射源3が配置された電子線照射部2とを有している。6本の電子線照射源3は被照射物Sに電子線が照射されない部分が生じることを防止するために、千鳥状に配置されている。これら電子線照射源3は、それぞれ、電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つが被照射物Sの被照射部位に応じて別個に調整される。
【0041】
具体的には、搬送ライン1がターンテーブル状の場合、電子線照射部2は、円弧状の搬送ライン1のところに配置されることになり、搬送ライン1の内周部1aよりも外周部1bの方が周速度つまり搬送速度が速いため、電子線照射部2から受ける電子線照射時間は短くなる。従って、電子線照射部2から均一に電子線が照射されると、外周部1bに近い被照射物Sの方ほど電子線吸収線量が減ってしまう。そのために、電子線照射源3の配置方向に沿って、つまり内周部1a側から外周部1bにいくにつれて、電子線照射源3の電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つが勾配を有するようにこれらが調整され、被照射物Sに吸収される電子線吸収線量が全体的に均一になるようになっている。
【0042】
つまり、電子電流が大きいほど電子線照射線量は大きくなり、また加速電圧が高いほど照射される電子線エネルギーが大きくなり、また、電子線射出部位から被照射物までの距離が大きいほど電子線の散乱による減衰が大きくなって照射される電子線照射線量や電子線エネルギーが小さくなるから、これらの少なくとも一つを調整することにより照射部位に応じて電子線照射線量や電子線エネルギーを調整することができる。
【0043】
電子電流、加速電圧を調整する場合には、図2のように、電子線照射源3の高さ位置は同じであり、電子電流、加速電圧のいずれかまたは両方が内周部1aから外周部1bに行くにつれて大きくなる勾配が形成される。また、電子線射出部位から被照射物Sまでの距離dを変化させる場合には、図3に示すように、内周部1aから外周部1bに行くにつれて、電子線照射源3の距離dが小さくなる勾配が形成される。
【0044】
図4は図2の実施形態において、6本の電子線照射源3の電子電流に勾配を持たしたときの電子線照射線量を示す図で、1本毎の電子電流を調整することで、総合した電子線照射量に勾配を持たせている。これにより、図1の内周部1aから外周部1bに対応させることで、被照射物Sには均等な電子線が吸収されることになる。
【0045】
図5は加速電圧50〜80kVにおける電子線到達深度と吸収線量(任意スケール)との関係を示す図である。この図から、電子線の加速電圧によりその到達深度が異なることがわかる。したがって、加速電圧で電子線エネルギーを調整する場合には、この点を考慮する必要がある。
【0046】
次に、第2の実施形態について説明する。
【0047】
第1の実施例(実施形態)では、複数の電子線照射源3の電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つが被照射物の被照射部位に応じて別個に調整された電子線照射装置と電子線照射方法を説明したが、電子線照射量を調整するためには、上述のように各電子線照射源3のパラメータを調整するばかりでなく、図6に示すように、電子線照射源3の配置密度を調整した電子線照射部2′を用いてもよい。図6の例では、電子線照射源3が搬送ライン1の幅方向に沿って7列あり、搬送ライン1の内側部1aから3列目までは電子線照射源3が1本対応しているのに対し、4列目、5列目は2本の電子線照射源3が対応しており、外側部1b側の6列目、7列目は3本の電子線照射源3が対応している。したがって、電子線照射源3の配置方向に沿って、つまり内周部1a側から外周部1bにいくにつれて、電子線線量を多くすることができ、被照射物Sに蓄積される電子線吸収線量を全体的に均一にすることができる。
【0048】
第3の実施形態について説明する。
【0049】
図7は、第3の実施形態に係る電子線照射装置を示す平面図である。
この装置は、表面に印刷インキ、塗料、接着剤、反射防止膜等の樹脂層が被覆された枚葉体である複数の被照射物Sの搬送ラインとして機能するターンテーブル21と、ターンテーブル21上の被照射物Sに電子線を照射する、電子線照射源23が配置された電子線照射部22と、を備えている。電子線照射部22はターンテーブル21の内周部から外周部にかけて電子線照射源23が千鳥状に配列されており、ターンテーブル21を回転しながら被照射物Sに電子線を照射する。
【0050】
この実施形態においては、ターンテーブル21を回転させながら電子線を照射するので、被照射物Sの内側部分と外側部分とでは搬送速度が異なり、電子線照射部22から均一に電子線が照射されると、被照射物Sの外側部分のほうが内側部分よりも単位面積当たりに照射される電子線照射エネルギーが小さくなる。したがって、本実施形態においても第1の実施形態と同様に、電子線照射源23の配列方向に沿って、つまり内側から外側にいくにつれて、電子線照射源23の電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つが勾配を有するようにこれらが調整される。これにより、被照射物Sに照射される電子線エネルギーが全体的に均一にすることができる。また、図6と同様に電子線照射源23の配列密度を調整して照射される電子線エネルギーが全体的に均一になるようにしてもよい。
【0051】
電子線照射源3、23としては、上述した米国特許第5,414,267号に開示されている真空管型のものを用いることが好ましい。このような真空管型の電子線照射源は、電子線発生部としての照射管10が図8のように構成されている。すなわち、図8の(a)に示すように、円筒状をなすガラスまたはセラミック製の真空管(チューブ)11と、その真空管(チューブ)11内に設けられ、陰極から放出された電子を電子線として取り出してこれを加速する電子線発生部12と、真空管11の端部に設けられ、電子線を射出する電子線射出部13と、図示しない給電部より給電するためのピン部14とを有する。電子線射出部13には薄膜状の照射窓15が設けられている。電子線射出部13の照射窓15は、ガスは透過せずに電子線を透過する機能を有しており、図8の(b)に示すように、スリット状をなしている。そして、照射室内に配置された被照射物に照射窓15から射出された電子線が照射される。
【0052】
このような真空管型の電子線照射源は、従来のドラム型の電子線照射源とは根本的に異なっている。従来のドラム型電子線照射源は、ドラム内を常に真空引きしながら電子線を照射するタイプのものである。従来のドラム型の電子線発生源は大型であり、上述したように搬送ラインに組み込んで用いることも、上述のようにして電子電流、加速電圧、距離等を調整することも困難であるが、このような構成の照射管を有する電子線発生源は小型であり、容易にインライン化することができるとともに、低加速電圧でも有効に電子線を取り出すことができ、制御性も良好であるから、上述した調整を容易に行うことができる。
【0053】
また、照射窓でのエネルギー損失が少ないので、低加速電圧でも大きな電子線照射線量を発生できるので、必要以上に基材への悪影響を与えることがなく、また、低加速電圧であるために、X線遮蔽に必要な金属板厚を薄くすることができるので、装置全体を小型に構成することができる。さらに真空管型電子線照射源は、電子線照射源(照射管)を1本1本独立に制御することができるため、個々の高さ調整は勿論、電子電流や加速電圧の調整が容易となる。
【0054】
通常、電子線照射は窒素などの不活性ガスで置換された雰囲気で行うが、これは樹脂の架橋重合反応時の酸素阻害防止やオゾンによる照射窓の劣化防止、加えて照射窓の冷却を目的としている。上記の真空管型の電子線照射源の特徴で照射窓での発熱が少ないことから、この不活性ガスの流量も低減することができる。
【0055】
次に、第4の実施形態について説明する。
【0056】
以上の実施形態では、もっぱら非直線的に搬送される被照射物に対して均一な電子線吸収線量を得る場合を中心に説明したが、本発明は、被照射物の状態に応じて電子線照射線量や電子線エネルギーが異なる部分を形成する場合についても適用可能であり、本実施形態はそのような場合を示すものである。
【0057】
図9は、本発明の第4の実施形態に係る電子線照射装置を示す平面図であり、直線的に搬送する場合を例としている。この電子線照射装置は、表面に印刷インキ、塗料、接着剤、保護層等の樹脂層が被覆された被照射物である連続体のウェブWが搬送される搬送ライン41と、搬送ライン41上を搬送されるウェブWに電子線を照射する電子線照射部42とを備えている。この実施形態例では搬送ライン41上をウェブWが搬送されるように示してあるが、一般的な印刷機械のように、ウェブW自体が搬送される形態でも良い。電子線照射部42は搬送ライン41の幅方向に沿って5本の電子線照射源43が千鳥状に配置されており、この電子線照射源43からウェブWに電子線を照射する。
【0058】
ウェブWの異なる樹脂被覆部W′は、他の部分とは異なる樹脂が被覆されており、硬化または架橋の条件が異なっている。そこで、電子線照射源43のうち、異なる樹脂被覆部W′に対応した電子線照射源43aの電子線照射線量や電子線エネルギーを他の電子線照射源43と異ならせるため、電子線照射源43aの電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つを調整する。これにより、ウェブW全体を適切に硬化または架橋することができる。特に、塗料が被覆されたウェブWにおいて異なる樹脂被覆部W′にTi、AgやAl等のメタル、その酸化物等の比重の大きい成分が多いような場合には、異なる樹脂被膜部W′を十分に硬化させるためには電子線エネルギーを他の部分に比べて高くする必要があり、したがって、電子線照射源43aの加速電圧を他の電子線照射源43よりも大きくすることが有効である。
【0059】
このような各電子線照射源の電子電流等の調整を行う代わりに、図10に示すように、異なる樹脂被膜部W′に対応して電子線照射源43を2列に配置するなど、電子線照射源の配列密度を高めるようにした電子線照射部42′を用いても同様の効果が得られる。
【0060】
次に、第5の実施形態について説明する。
【0061】
第4の実施形態で搬送ライン41の幅方向で異なる樹脂が被覆されている場合の調整について説明したが、異なる樹脂は必ずしも縞状とは限らず、平面上の任意の位置に存在する場合も多い。この課題に対処したものが第4の実施形態で、図11(a)に概略平面図を、図11(b)に搬送ラインに同期した電子電流を示している。
【0062】
図11に示したように、異なる樹脂被覆部W′が搬送方向に一定でない場合でも、その部位に対応した電子線照射源43a、43bの電子電流を搬送ライン41に同期させて変化させることで、任意の形状の異なる樹脂被覆部W′を所望の電子線照射をすることが可能となる。
【0063】
電子電流を変化させるには、例えば熱電子を放出させるフィラメント電流を制御すれば容易に変化させることができる。また、図11(b)では電子電流を変化させる例を示したが、電子電流の代わりに加速電圧を変化させたり、電子電流と加速電圧の両方を変化させることもできる。
【0064】
第4および第5の実施形態では、直線的に搬送されるウェブの場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこれに限らず、図1に示したような円弧状に搬送される場合についても全く同様に適用することができる。
【0065】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、被照射物として表面に印刷インキ、塗料、接着剤、保護層等の樹脂層が被覆されものを用い、電子線照射により樹脂層を硬化・架橋する場合を例にとって説明したが、これに限らず、物体の殺菌や改質等の処理に適用することもできる。
【0066】
上記実施形態では、電子線照射源として真空管型を用いたが、同様な調整が可能であればそれに限るものではない。ただし、上述したように、真空管型のものが制御性の観点から好ましい。すなわち、Min−EB(東洋インキ製造株式会社製)に代表される真空管型電子線照射装置は、上述したように、X線遮蔽の小型化および不活性ガスで置換する、いわゆるイナーティング消費の低減化を図ることができ、また低加速電圧であるため電子線発生部分の小型化が可能となることから、電子線照射装置の飛躍的な小型化が可能となるため極めて好ましい。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数の電子線照射源は、それぞれ、電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つを被照射物の被照射部位に応じて別個に調整するので、被照射部位によって搬送速度が異なる場合でも均一に電子線を照射したり、硬化・架橋すべき材料が異なったり被覆剤の厚みが照射部位によって異なる場合でも所望の電子線照射を行うことができる。
【0068】
更に、複数の電子線照射源の電子電流もしくは加速電圧もしくはその両方を搬送ラインに同期して、別個に変化させることにより搬送方向にも電子線照射線量や電子線エネルギーを変化させることができるので、搬送方向に異なる被覆剤や厚みであっても所望の電子線照射を行うことができ、上記の複数の別個に調整された複数の電子線照射源と併せて、2次元的に照射線量や照射エネルギーを制御することが可能となり、極めて自由度の高い適用が可能となる。
【0069】
さらに、複数の電子線照射源を、その配置密度を被照射物の被照射部位に応じて調整するので、被照射部位によって搬送速度が異なる場合や、硬化・架橋すべき材料が異なる場合等であっても所望の電子線照射を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電子線照射装置を示す概略平面図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る電子線照射装置を示す断面図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る電子線照射装置において電子線照射源の電子線照射部位から被照射物までの距離を電子線照射源毎に変えた例を示す断面図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る電子線照射装置において6本の電子線照射源の電子電流に勾配を持たしたときの照射線量を示す図。
【図5】電子線の加速電圧50〜80kVにおける電子線到達深度と照射線量との関係を示す図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る電子線照射装置を示す概略平面図。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る電子線照射装置を示す概略平面図。
【図8】真空管型の電子線照射源の構造を示す図。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る電子線照射装置を示す概略平面図。
【図10】本発明の第43の実施形態に係る電子線照射装置の他の例を示す概略平面図。
【図11】本発明の第5の実施形態に係る電子線照射装置を示す概略平面図および電子電流のタイムチャート図。
【符号の説明】
1、41……搬送ライン
2、2′、22、42、42′……電子線照射部
3、23、43、43a、43b……電子線照射源
S……被照射物
W……ウェブ
W′……異なる樹脂被覆部
Claims (13)
- 被照射物を搬送する搬送ラインと、前記搬送ラインの途中に幅方向に配置された、複数の電子線照射源を有する電子線照射部とを備え、前記複数の電子線照射源は、それぞれ、電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つが被照射物の被照射部位に応じて別個に調整されていることを特徴とする電子線照射装置。
- 前記被照射物の搬送速度が部位によって異なる前記搬送ラインからなり、前記複数の電子線照射源は、電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つが、前記被照射物の搬送速度に対応させて調整されていることを特徴とする請求項1に記載の電子線照射装置。
- 被照射物を搬送する搬送ラインと、前記搬送ラインの途中に幅方向に配置された、複数の電子線照射源を有する電子線照射部とを備え、前記複数の電子線照射源は被照射物の被照射部位に応じてその配置密度が調整されていることを特徴とする電子線照射装置。
- 前記被照射物の搬送速度が部位によって異なる前記搬送ラインからなり、前記複数の電子線照射源は、前記被照射物の搬送速度に対応させて、その配置密度が調整されていることを特徴とする請求項3に記載の電子線照射装置。
- 被照射物を搬送する搬送ラインと、前記搬送ラインの途中に幅方向に配置された、複数の電子線照射源を有する電子線照射部とを備え、前記複数の電子線照射源は、電子電流もしくは加速電圧もしくはその両方を前記搬送ラインに同期して、別個に変化させる機能を有することを特徴とする電子線照射装置。
- 前記電子線照射源は、真空管型であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電子線照射装置。
- 搬送ラインで搬送している被照射物に対して、前記搬送ラインの幅方向に配置された複数の電子線照射源から電子線を照射する電子線照射方法であって、被照射物の被照射部位に応じて前記複数の電子線照射源の電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つを電子線照射源毎に別個に調整することを特徴とする電子線照射方法。
- 前記被照射物の搬送速度が部位によって異なる前記搬送ラインで、前記複数の電子線照射源の電子電流、加速電圧、および電子線射出部位から被照射物までの距離の少なくとも一つを、前記被照射物の搬送速度に対応させて調整することを特徴とする請求項7に記載の電子線照射方法。
- 搬送ラインで搬送している被照射物に対して、前記搬送ラインの幅方向に配置された複数の電子線照射源から電子線を照射する電子線照射方法であって、被照射物の被照射部位に応じて前記複数の電子線照射源の配置密度を調整することを特徴とする電子線照射方法。
- 前記被照射物の搬送速度が部位によって異なる前記搬送ラインで、前記被照射物の搬送速度に対応させて、前記複数の電子線照射源の配置密度を調整することを特徴とする請求項9に記載の電子線照射方法。
- 搬送ラインで搬送している被照射物に対して、前記搬送ラインの幅方向に配置された複数の電子線照射源から電子線を照射する電子線照射方法であって、前記複数の電子線照射源の電子電流もしくは加速電圧もしくはその両方を前記搬送ラインに同期して、別個に変化させることを特徴とする電子線照射方法。
- 前記電子線照射源は、真空管型であることを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の電子線照射方法。
- 請求項7から請求項12のいずれかの電子線照射方法で電子線が照射された電子線被照射物。
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