JP2004346775A - プロペラファン並びにエンジン冷却装置及び建設機械 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プロペラファン1のボス2には、前縁部5、後縁部6および先端部7を有する各羽根4を設ける。そして、各羽根4の前縁部5のボス接続部分5Aには、ボス2の外周面2Aと連続した曲面形状で接続する凹円弧形状の前側切欠き部8を設ける。また、各羽根4の後縁部6のボス接続部分6Aにも、凹円弧形状の後側切欠き部9を設ける。これにより、例えば各羽根4を前進・前傾翼として形成した場合でも、前縁部5のボス接続部分5Aとボス2の外周面2Aとの間に大きな曲率半径Rを有する滑らかな湾曲面を形成でき、応力集中が生じ易いボス接続部分5Aの強度を簡単な構造によって高めることができる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば流体の吸込み、吐出し等を行うために建設機械を含めた各種の機器に好適に用いられるプロペラファン並びにエンジン冷却装置及び建設機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、プロペラファンとしては、円形状のボスと、前記ボスの外周面から径方向に突出する複数の羽根とにより構成された軸流ファンが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−115995号公報
【0004】
この種の従来技術によるプロペラファンは、例えばモータ、エンジン等の回転源にボスが連結されている。また、各羽根は、例えば樹脂板、金属板等により形成され、回転方向の前側に位置する前縁部と、回転方向の後側に位置する後縁部とを有している。この場合、従来技術では、ボスと各羽根とを一体に樹脂成形したものもある。
【0005】
そして、プロペラファンは、例えば建設機械の冷却ファン等として用いられており、この冷却ファンは、建設機械のエンジン等によって回転駆動されることにより、軸方向の一側から吸込んだ空気を軸方向の他側に向けて送風し、エンジンルーム内に冷却風を発生する構成となっている(特許文献2)。
【0006】
【特許文献2】
特開2002−201940号公報
【0007】
ここで、建設機械の冷却ファンに限らず、プロペラファンの回転時には、比較的大きな騒音が発生し易い。このため、従来技術では、例えば各羽根の先端側がボスとの接続部分よりも回転方向に前進した形状の羽根(所謂前進翼)を採用したり、各羽根の前縁部が後縁部よりも吸込側に傾いた形状の羽根(前傾翼)を採用することにより、低騒音化を図るようにしている。
【0008】
この場合、上述した前進翼や前傾翼においては、各羽根の回転時に発生する遠心力等によって羽根の前縁部とボスとの接合部分に応力集中が生じ易い。このため、従来技術では、例えば各羽根をボスとの接続部分の近傍で厚肉に形成したり、この厚肉部位に必要に応じて薄肉部とリブとを形成する構成としている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術では、各羽根の強度を高めるために、ボスとの接続部分の近傍を厚肉に形成したり、この厚肉部位に必要に応じて薄肉部、リブ等を形成する構成としている。しかし、この場合には、各羽根の厚肉部位等によってファン全体の重量や材料費が増加するという問題がある。
【0010】
また、プロペラファンを樹脂成形する場合には、例えば樹脂型内に注入した樹脂材料を冷却するときに、各羽根の厚肉部位等で余分な冷却時間が必要となり、ファンを効率よく形成できない。そして、この厚肉部位で樹脂材料が固化するときには、熱収縮等による変形(ヒケ)が発生し易くなり、加工精度が低下するという問題がある。
【0011】
さらに、各羽根の厚肉部位に薄肉部、リブ等を形成する構成とした場合には、薄肉部、リブ等の複雑な凹凸形状によって樹脂型の加工工数、コスト等が増大する。しかも、プロペラファンの作動時には、これらの凹凸形状によって空気の乱流等が発生し、騒音が増大し易いばかりでなく、複雑な形状の薄肉部やリブには、想定していない部位に応力集中が生じる虞れがある。
【0012】
特に、建設機械の冷却ファン等として用いられるプロペラファンは、例えば数十センチから1メートル程度の大きな外径を有し、比較的高い回転数で駆動されることが多い。このような大型のプロペラファンにあっては、各羽根の僅かな重量増、凹凸形状等によってもファン全体の重量や騒音が増大し易いため、重量や騒音を抑えつつ、耐久性を向上させるのが難しいという問題がある。
【0013】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、簡単な形状により各羽根での応力集中を防止でき、その加工成形を容易に実行できると共に、重量や騒音を抑えつつ、耐久性を向上できるようにしたプロペラファン並びにエンジン冷却装置及び建設機械を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために請求項1の発明は、円形状のボスと、前記ボスの外周面から径方向に突出し回転方向の前側に位置する前縁部と回転方向の後側に位置する後縁部とを有する複数の羽根とを備えたプロペラファンにおいて、各羽根の前縁部側のボス接続部分には、凹円弧形状に切欠いた前側切欠き部を設け、前記前側切欠き部は前記ボスの外周面と連続した曲面形状で接続する構成としたことにある。
【0015】
このように構成することにより、各羽根の前縁部のうちボスと接続されるボス接続部分には、例えば大きな曲率半径をもつ凹円弧形状の前側切欠き部を配設でき、この前側切欠き部によって羽根の前縁部とボスの外周面とを滑らかな曲面形状で連続して接続することができる。
【0016】
また、請求項2の発明によると、各羽根の後縁部のボス接続部分には、後側切欠き部を設ける構成としている。これにより、互いに隣接する各羽根の間の距離(任意の羽根の前縁側と、これに隣接する羽根の後縁側との間の距離)を後側切欠き部によって大きくすることができる。
【0017】
このため、例えば各羽根の前側切欠き部を、これと隣接する羽根の後縁側(後側切欠き部)に向けて延ばすことにより、前側切欠き部の曲率半径をより大きく形成でき、この状態でも各羽根の前縁側と後縁側とが軸方向で重なり合うのを避けることができる。
【0018】
また、請求項3の発明によると、羽根の前側切欠き部は、ボスの外周面に接続される接続端と、前側切欠き部のうち最も回転方向の後側に位置する底部とを有し、前側切欠き部の接続端とボスの回転中心とを結ぶ直線と、前側切欠き部を含めた前縁部のうち任意の半径位置上に位置する点とボスの回転中心とを結ぶ直線とが形成する角度を羽根の半径位置における前縁前進角とし、前縁前進角は前記任意の点が前側切欠き部の接続端よりも回転方向の前側に位置する場合を正として増加,減少する設定としたときに、前縁前進角は前側切欠き部の接続端から底部に近づくに従って順次減少し、前縁前進角は底部から径方向外側に離れるに従って順次増加する構成としている。
【0019】
これにより、羽根の前縁側では、前側切欠き部の接続端から底部に至る部位で前縁前進角を小さくすることができ、この部位の曲率半径を前側切欠き部によって大きくすることができる。また、前側切欠き部の底部よりも径方向外側の部位では、前縁前進角を増加させることができ、羽根の翼弦長を大きくする形成ことができる。
【0020】
また、請求項4の発明では、羽根の周方向の中間位置を通って径方向に延びる中心線を翼弦中心線とし、翼弦中心線がボスの外周面に対して交わる交点とボスの回転中心とを結ぶ直線と、翼弦中心線のうち任意の半径位置上に位置する点とボスの回転中心とを結ぶ直線とが形成する角度を羽根の半径位置における中心前進角とし、中心前進角は前記任意の点が前記交点よりも回転方向の前側に位置する場合を正として増加,減少する設定としたときに、中心前進角は前側切欠き部の接続端から底部に近づくに従って順次減少すると共に前縁前進角は中心前進角よりも小さな値を保持し、中心前進角は底部から径方向外側に離れるに従って順次増加する構成としている。
【0021】
これにより、各羽根のうちボスの近傍では、中心前進角を小さくすることができ、前側切欠き部によって前縁部等の曲率半径を大きくすることができる。また、各羽根の先端側では、中心前進角を増加させることができ、羽根の翼弦長を大きく形成することができる。
【0022】
また、請求項5の発明によると、ボスは流体の吸込み側に位置する軸方向一側を小径に形成し、前記流体の吐出し側に位置する軸方向他側を大径に形成する構成としている。
【0023】
これにより、例えばボスの外周面を略円錐状に形成でき、プロペラファンの作動時には、例えば流体の流れがファンの回転軸線に対して斜めに傾いている場合でも、この流体をボスの外周面に沿って円滑に流通させることができる。
【0024】
また、請求項6の発明によると、各羽根は、前縁部のうちボス接続部分よりも先端側を回転方向に前進させた前進翼として形成する構成としている。これにより、プロペラファンが作動するときの騒音を小さくすることができる。また、前進翼において特に応力が集中し易いボス接続部分の強度を前側切欠き部によって高めることができる。
【0025】
また、請求項7の発明では、動力源となるエンジンと、前記エンジンにより駆動されエンジンを冷却するプロペラファンとを備え、前記プロペラファンを、円形状のボスと、前記ボスの外周面から径方向に突出し回転方向の前側に位置する前縁部と回転方向の後側に位置する後縁部とを有する複数の羽根とにより構成してなるエンジン冷却装置において、前記各羽根の前縁部側のボス接続部分には、凹円弧形状に切欠いた前側切欠き部を設け、前記前側切欠き部は前記ボスの外周面と連続した曲面形状で接続する構成としている。これにより、エンジン冷却装置に用いるプロペラファンの強度を高めつつ、その騒音を小さくすることができる。
【0026】
さらに、請求項8の発明では、作業装置が設けられた車体と、前記車体に設けられ前記作業装置の動力源となるエンジンと、前記エンジンにより駆動されエンジンを冷却するプロペラファンとを備え、前記プロペラファンを、円形状のボスと、前記ボスの外周面から径方向に突出し回転方向の前側に位置する前縁部と回転方向の後側に位置する後縁部とを有する複数の羽根とにより構成してなる建設機械において、前記各羽根の前縁部側のボス接続部分には、凹円弧形状に切欠いた前側切欠き部を設け、前記前側切欠き部は前記ボスの外周面と連続した曲面形状で接続する構成としている。これにより、建設機械に用いるプロペラファンの強度を高めつつ、その騒音を小さくすることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態によるプロペラファン並びにエンジン冷却装置及び建設機械について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
まず、図1ないし図6は第1の実施の形態を示している。図中、1はプロペラファンを示し、このプロペラファン1は、例えば建設機械の熱交換器等を含めて各種の機器、装置等に用いられる軸流ファンからなり、図1中の軸線O−Oを中心として回転方向Aに向けて回転駆動されることにより、例えば空気等の流体の吸込み、吐出しを軸方向(矢示B方向)に行うものである。そして、プロペラファン1は、例えば金属材料、樹脂材料等により一体に形成され、後述のボス2、羽根4、切欠き部8,9等により構成されている。
【0029】
2は例えばモータ、エンジン等の回転源(図示せず)に取付けられるボスで、前記ボス2は、例えば軸線O−Oを中心とする円柱状または円筒状に形成され、その外周面2Aは円筒面となっている。また、ボス2の中心部位には、回転源の出力軸等を嵌合する嵌合孔3が設けられている。
【0030】
4はボス2の外周面2Aに一定の間隔をもって放射状に設けられた複数枚(例えば5枚)の羽根で、前記各羽根4は、図1ないし図3に示す如く、例えば略四角形状の金属板、樹脂板等からなり、ボス2の外周面2Aから径方向に突出すると共に、その基端側(根元側)がボス2の外周面2Aに接続されている。
【0031】
ここで、羽根4は、回転方向Aの前側に位置する前縁部5と、回転方向Aの前側に位置する後縁部6と、羽根4の先端側に位置して前縁部5と後縁部6との間を略円弧状に連結する先端部7とを有している。
【0032】
そして、前縁部5は、例えば先端側が回転方向Aの前側に向けて緩やかに湾曲した略弓形状に形成されている。また、前縁部5のうち羽根4の根元側に位置する部位は、ボス2の外周面2Aに接続されるボス接続部分5Aとなっている。そして、羽根4は、前縁部5の先端側がボス接続部分5Aよりも回転方向Aに前進した形状を有し、所謂前進翼として形成されている。
【0033】
また、前縁部5はボス2の軸方向一側(吸込み側)に配置され、後縁部6は軸方向他側(吐出し側)に配置されている。これにより、各羽根4は、前縁部5寄りの部位が吸込み側に向けて一定の角度で傾斜(前傾)し、所謂前傾翼として形成されている。即ち、各羽根4は、前進・前傾翼として形成されているものである。一方、後縁部6のうち羽根4の根元側に位置する部位は、ボス2の外周面2Aに接続されるボス接続部分6Aとなっている。
【0034】
8は各羽根4の前縁部5のボス接続部分5Aに設けられた凹円弧形状の前側切欠き部で、前記各前側切欠き部8は、図4に示す如く、前縁部5のボス接続部分5Aを凹円弧形状に切欠くことにより形成され、ボス2の外周面2Aと滑らかな曲面形状で連続すると共に、これによってボス接続部分5Aに応力集中が生じるのを緩和するものである。
【0035】
ここで、前側切欠き部8は、図4中に仮想線で示す従来(前側切欠き部8がない場合)のボス接続部分5A′に対して、回転方向Aの後側に窪んだ凹窪部となっている。そして、前側切欠き部8は、ボス2の外周面2Aに接続される根元側接続端8Aと、前側切欠き部8のうち最も回転方向Aの後側に位置する底部8Bと、前縁部5に接続される先端側接続端8Cとを有している。
【0036】
この場合、前側切欠き部8の周壁は、所定の曲率半径Rを有する滑らかな湾曲面として形成され、この曲率半径Rは、根元側接続端8Aを従来のボス接続部分5A′と同じ位置でボス2の外周面2Aに接続した状態でも、ボス接続部分5A′の曲率半径R′よりも大きな値に形成されている(R>R′)。
【0037】
これにより、プロペラファン1は、図1、図2に示すように各羽根4を大きく前進および前傾させた形状であっても、前側切欠き部8により前縁部5のボス接続部分5Aに十分に大きな曲率半径Rを確保でき、ボス接続部分5Aを高い強度に形成できるものである。
【0038】
9は各羽根4の後縁部6のボス接続部分6Aに設けられた後側切欠き部で、前記各後側切欠き部9は、前側切欠き部8とほぼ同様に、例えばボス接続部分6Aを凹円弧形状に切欠くことにより形成されている。
【0039】
ここで、後側切欠き部9は、ボス2の外周面2Aに接続される根元側接続端9Aを有し、この根元側接続端9Aは、図4中に仮想線で示す従来(後側切欠き部9がない場合)のボス接続部分6A′と比較して、回転方向Aの前側に配置されている。このため、互いに隣接する各羽根4の根元側接続端8A,9A間の距離dは、後側切欠き部9の分だけ従来の距離d′よりも大きく形成されている(d>d′)。
【0040】
これにより、例えば前縁部5のボス接続部分5Aに高い強度が要求される場合等には、前側切欠き部8の根元側接続端8Aを、図4中に実線で示す位置から距離dの範囲内でさらに回転方向Aに前進させることができる。この結果、互いに隣接する2枚の羽根4を軸方向で重なり合うように配置しなくても、前側切欠き部8の曲率半径Rを容易に増大させることできる。この場合、後側のボス接続部分6Aには、前側のボス接続部分5Aのように応力集中が生じないので、後側切欠き部9を形成したとしても、強度的には問題ないものである。
【0041】
ここで、図5、図6を参照しつつ、各羽根4の形状と前側切欠き部8との関係について述べる。
【0042】
まず、図5中のθfは、羽根4の前縁前進角θfを示している。ここで、前縁前進角θfは、前側切欠き部8の接続端8Aとファン1の回転中心O(軸線O−O)とを結ぶ直線10と、前側切欠き部8を含めた前縁部5のうち任意の半径位置r上に位置する点P1と回転中心Oとを結ぶ直線11とを用いて、これらの直線10,11が回転中心Oを挟んで形成する角度(中心角)として定義されるものである。なお、半径位置rとは、ボス2の外周面2Aを基準位置(r=0)とした点P1の径方向の位置を示し、羽根4の先端部7で所定の最大値rmaxとなる。
【0043】
そして、前縁前進角θfは、任意の点P1が前側切欠き部8の接続端8Aよりも回転方向Aの前側に位置する場合を正として増加,減少する設定としたときに、前縁部5または前側切欠き部8上に位置する点P1の半径位置rに応じて図6中の特性線12に示すように変化する。
【0044】
また、図5中のθoは、羽根4の中心前進角θoを示している。ここで、羽根4各部位における周方向の中間位置を通って径方向に延びる中心線を翼弦中心線13とし、この翼弦中心線13がボス2の外周面2Aと交わる点を交点P2として定義する。この場合、中心前進角θoは、交点P2と回転中心Oとを結ぶ直線14と、翼弦中心線13のうち任意の半径位置r上に位置する点P3と回転中心Oとを結ぶ直線15とを用いて、これらの直線14,15が回転中心Oを挟んで形成する角度(中心角)として定義されるものである。
【0045】
そして、中心前進角θoは、任意の点P3が翼弦中心線13とボス2との交点P2よりも回転方向Aの前側に位置する場合を正として増加,減少する設定としたときに、翼弦中心線13上に位置する点P3の半径位置rに応じて図6中の特性線16に示すように変化する。
【0046】
この図6から判るように、前縁前進角θfと中心前進角θoとは、前側切欠き部8の根元側接続端8Aから底部8Bに近づくに従って順次減少し、底部8Bの位置(r=ra)で最小値となる。
【0047】
この場合、前縁部5の基端側には、大きな曲率半径Rをもって回転方向Aの後側に窪んだ前側切欠き部8が形成されているため、前縁前進角θfは、根元側接続端8Aと底部8Bとの間で減少の割合が大きくなっている。また、根元側接続端8Aは、前側切欠き部8の曲率半径Rを大きくするために回転方向Aに前進した位置に配置されているため、前縁前進角θfは、この根元側接続端8Aを角度の基準位置とすると負の値となり、中心前進角θoよりも小さな値を保持している。一方、中心前進角θoは、前側切欠き部8の影響が小さいので、根元側接続端8Aと底部8Bとの間では、前縁前進角θfよりも小さな減少割合をもって比較的緩やかに減少している。
【0048】
また、羽根4は前進・前傾翼として形成されているため、前縁前進角θfと中心前進角θoとは、前側切欠き部8の底部8Bから径方向外側に離れるに従って順次増加している。これらの前進角θf,θoは、前側切欠き部8の先端側接続端8C(r=rb)で変曲点を有するが、その径方向外側においても前縁部5および後縁部6の位置で単調に増加し続ける。そして、中心前進角θoは、径方向外側(r=rmaxに近い位置)で正の値となっている。
【0049】
この場合、前縁前進角θfが増加する割合は、中心前進角θoの増加割合とほぼ等しいか、これよりも僅かに大きくなり、前縁部5と後縁部6との間には、十分な長さの翼弦長Cが確保されている。ここで、羽根4の翼弦長Cとは、図1に示す如く、羽根4の円筒断面(ファン1の軸線O−Oを中心とする円筒面に沿った断面)上で、前縁部5と後縁部6とを結んだ直線の長さである。
【0050】
従って、本実施の形態によるプロペラファン1は、羽根4のボス2側で前側切欠き部8の曲率半径Rを確保しつつ、羽根4の先端側では、その翼弦長Cを十分に長く形成する構成となっている。このため、羽根4のボス2側では、前縁前進角θfが僅かに小さくなるとしても、前側切欠き部8の曲率半径Rを適切な大きさに設定でき、羽根4とボス2との接続強度を高めることができる。
【0051】
また、羽根4の先端側では、ファン1の作動時に流体が羽根4に沿って前縁部5から後縁部6に向けて流れることにより、流体の圧力が一定の状態に上昇するものとして考えると、翼弦長Cを長くすることによって前縁部5と後縁部6との間で流体の圧力勾配を緩やかにすることができる。これにより、流体の流れが安定して羽根4から剥離し難くなるため、乱流等を抑えてファン1の騒音を小さくすることができる。
【0052】
本実施の形態によるプロペラファン1は上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
【0053】
まず、プロペラファン1を図1中の回転方向Aに回転させると、各羽根4により矢示B方向に流体の吸込み、吐出しが行われる。この場合、各羽根4は、前進・前傾翼として形成されているため、その作動音を低減することができる。
【0054】
また、プロペラファン1の回転時には、例えば遠心力や流体からの反力等により各羽根4に応力が加わると、前進・前傾翼である各羽根4には、特に前縁部5のボス接続部分5Aに応力が集中する。この場合、遠心力や流体からの反力等は、羽根4が大きい程、またファン1の回転数が高い程大きくなる上に、ボス接続部分5Aには、羽根4の前進や前傾の度合い(前進角または前傾角)が大きい程、極端な応力集中が生じ易い。従って、例えば前進・前傾翼を有するプロペラファン1の外径を大きく形成し、これを高回転で駆動する場合には、各羽根4のボス接続部分5Aに亀裂、破断等が生じることがある。
【0055】
このため、従来技術では、例えば大型で高回転用のプロペラファンを設計するときに、各羽根のボス接続部分を厚肉に形成することにより強度を確保していた。しかし、この場合には、ファンの重量や材料費が増大するだけでなく、例えばファンを樹脂成形するときに、その冷却時間が長くなったり、冷却時の変形等が生じ易い。また、従来技術では、例えば羽根のボス接続部分を隣接する羽根の位置まで延ばしてボス接続部分の曲率半径を大きくし、強度を確保することもあった。しかし、この場合には、互いに隣接する羽根の前縁側と後縁側とが軸方向で重なり合うように配置されるため、例えばプロペラファンを樹脂成形するときに各羽根を樹脂型等から引抜く工程が複雑化し、ファンの型抜き性が悪くなる。
【0056】
このように、従来技術では、大型で高回転用のプロペラファンに対して、重量の増加やコストアップ、生産性の低下等を伴う方法によって強度を確保しない限り、強度上の制約等によって極端な前進・前傾翼を採用できず、各羽根の前進角や前傾角を大きくしてファンの騒音を小さくするのが困難であった。
【0057】
然るに、本実施の形態によれば、プロペラファン1の各羽根4には、前縁部5のボス接続部分5Aに凹円弧形状の前側切欠き部8を設ける構成としたので、羽根4の前縁部5とボス2の外周面2Aとの間に大きな曲率半径Rをもつ前側切欠き部8を配置でき、これらの間を前側切欠き部8の滑らかな湾曲面によって接続することができる。
【0058】
これにより、各羽根4のボス接続部分5Aに加わる応力を前側切欠き部8によって安定的に分散でき、ボス接続部分5Aが応力集中等により損傷するのを確実に防止できると共に、その強度を確実に高めることができる。
【0059】
従って、プロペラファン1には、例えば厚肉部やリブ等を設けることなく、従来実現し得なかったような大きな前進形状および前傾形状をもつ各羽根4を採用でき、これらの羽根4のボス接続部分5Aに簡単な形状の前側切欠き部8を設けるだけで、プロペラファン1の耐久性を高めることができる。そして、厚肉部やリブ等を用いる必要がないから、特に大型で高回転用のプロペラファンにおいては、これらの凹凸部位による空気の乱流等を抑えて低騒音化を促進できると共に、各羽根4を含めてファン全体の重量やコストを抑制でき、軽量で静音性が高いプロペラファン1を実現することができる。
【0060】
また、例えばプロペラファン1を樹脂成形等により形成する場合には、厚肉部やリブ等を廃止することにより、樹脂型等の形状を簡略化することができる。また、厚肉部に余分な冷却時間が必要となったり、熱収縮等の変形が生じるのを防止でき、プロペラファン1を高い精度で効率よく樹脂成形することができる。
【0061】
また、例えば各羽根4の前進および前傾の度合いを従来程度に設定し、これらを極端な前進・前傾翼として形成しない場合でも、前側切欠き部8により応力を分散して強度を高めることにより、信頼性を向上させることができる。
【0062】
一方、各羽根4の後縁部6のボス接続部分6Aには、凹円弧形状の後側切欠き部9を設けたので、各羽根4間の距離dを後側切欠き部9の分だけ大きくすることができる。従って、例えば前側のボス接続部分5Aに高い強度が要求される場合等には、前側切欠き部8の根元側接続端8Aを、距離dの範囲内で隣接する羽根4に向けて前進させることができ、これによって前側切欠き部8の曲率半径Rをさらに大きくすることができる。従って、ボス接続部分5Aの強度をより高めるような設計変更を必要に応じて容易に行うことができる。
【0063】
そして、このような設計変更を行う場合に、互いに隣接する2枚の羽根4を軸方向で重なり合うように配置しなくて済むから、例えばプロペラファン1を樹脂成形するときには、各羽根4を樹脂型等から引抜き易い形状とすることができ、ファンの型抜き性を良好に保持することができる。
【0064】
次に、図7は本発明による第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、プロペラファンのボスを略円錐状に構成したことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0065】
21はプロペラファンで、このプロペラファン21は、第1の実施の形態とほぼ同様に、後述のボス22と、各羽根4、前側切欠き部8、後側切欠き部9等とにより構成されている。
【0066】
22はプロペラファン21の中央部を構成するボスで、前記ボス22は、例えば金属材料、樹脂材料等により略円錐状または円錐台状に形成され、軸方向の一側(吸込み側)が縮径した小径部22Aとなり、軸方向の他側(吐出し側)が拡径した大径部22Bとなっている。
【0067】
ここで、小径部22Aの半径Raは、大径部22Bの半径Rbよりも小さく形成されている(Ra<Rb)。そして、ボス22の外周面22Cは、小径部22Aから大径部22Bに向けて略円錐状に傾斜し、この外周面22Cには各羽根4が設けられている。また、ボス22の中央には、回転源を取付ける嵌合孔23が形成されている。
【0068】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、ボス22を小径部22Aと大径部22Bとにより構成したので、ボス22の外周面22Cを流体の吸込み側から吐出し側に向けて略円錐状に傾斜させることができる。
【0069】
これにより、例えばプロペラファン21により流体を高い圧損状態で流通させる場合等のように、流体の流れがファン21の回転軸線O−Oに対して斜めに傾いている場合でも、この流体をボス22の外周面22Cに沿って円滑に流通させることができる。従って、外周面22Cの近傍等で流体の流れをより安定させることができ、乱流を抑えて低騒音化を促進することができる。
【0070】
次に、図8は本発明による第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、羽根の枚数を少なくする構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0071】
31はプロペラファンで、このプロペラファン31は、第1の実施の形態とほぼ同様に、ボス2と、後述の羽根32等とにより構成されている。
【0072】
32はボス2の外周面2Aに設けられた例えば2枚の羽根で、前記各羽根32は、例えば略扇形状の金属板、樹脂板等からなり、ボス2の外周面2Aから径方向に突出すると共に、ボス2の直径方向両側に離間している。
【0073】
ここで、各羽根32は、第1の実施の形態とほぼ同様に、前縁部33、後縁部34、先端部35をもって形成され、前縁部33のボス接続部分33Aには、ボス2の外周面2Aと連続した曲面形状で接続する凹円弧形状の前側切欠き部36が設けられている。
【0074】
しかし、プロペラファン31は、全体として2枚の羽根32により構成されているため、これらの羽根32は、第1の実施の形態と比較して、例えば翼面積、翼弦長および前進の度合い(前進角)が大きく形成され、直径方向の両側に離間している。
【0075】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、騒音源となる羽根32の枚数を減らすことができ、しかも各羽根32毎に大きな翼弦長を確保できるので、ファン作動時の騒音をより低減することができる。
【0076】
この場合、本実施の形態のように枚数が少なく翼弦長が長い羽根32を採用することにより、各羽根32の前縁部33のボス接続部分33Aには、さらに大きな応力が加わり易くなる。しかし、本実施の形態では、ボス接続部分33Aに前側切欠き部36を設けているので、その強度を簡単な構造によって高めることができ、静音性が高いプロペラファン31を容易に実現することができる。
【0077】
次に、図9および図10は本発明による第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、プロペラファンを建設機械に適用したことにある。
【0078】
41は本実施の形態による建設機械としての油圧ショベルで、この油圧ショベル41は、下部走行体42上に上部旋回体43が旋回可能に搭載され、前記上部旋回体43の旋回フレーム43Aには、キャブ44、建屋カバー45、カウンタウェイト46等が搭載されている。また、上部旋回体43の前部側には、作業装置47が俯仰動可能に取付けられている。
【0079】
48は建屋カバー45内に位置して上部旋回体43の旋回フレーム43Aに搭載されたエンジンで、前記エンジン48は、図10に示す如く、油圧ポンプ49を駆動することにより、車両に搭載された走行モータ、旋回モータ、作業装置の各シリンダ等の油圧アクチュエータに圧油を給排し、これらの動力源となって油圧ショベル41を作動させるものである。
【0080】
また、建屋カバー45内には、エンジン48との間で冷却水を循環させるラジエータ50と、油圧アクチュエータからタンク側に戻される作動油が流通するオイルクーラ51と、エンジンの過給機(図示せず)により吸込んだ吸入空気が流通するインタークーラ52等とが収容され、これらは熱交換器を構成している。
【0081】
そして、ラジエータ50、オイルクーラ51、インタークーラ52は、それぞれエンジン冷却水、作動油、吸入空気中の熱を冷却風に放熱することにより、これらを冷却するものである。
【0082】
53はエンジンの冷却装置を構成する冷却ファンを示し、この冷却ファン53は、建屋カバー45内にエンジン48を冷却する冷却風を発生するものである。ここで、冷却ファン53は、第1ないし第3の実施の形態によるプロペラファン1,21,31のいずれかを用いて構成され、エンジン48のクランク軸にファンベルト(図示せず)等を介して連結されている。この場合、冷却ファン53は、車両の大きさに応じて例えば数十センチから1メートル程度の大きな外径を有し、1000〜3000rpm程度の比較的高い回転数で駆動される構成となっている。
【0083】
そして、冷却ファン53は、エンジン48により駆動され、建屋カバー45の冷却風取入口45Aから空気を冷却風として吸込むと共に、この冷却風をエンジン48、ラジエータ50、オイルクーラ51、インタークーラ52等の近傍に流通させることにより、これらの部材を冷却するものである。また、建屋カバー45内を冷却した冷却風は、冷却風排出口45Bから外部に排出される。
【0084】
本実施の形態による油圧ショベル41は上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
【0085】
まず、エンジン48が作動すると、エンジン48により油圧ポンプ49が駆動され、オペレータの運転操作に応じて油圧ポンプ49から各油圧アクチュエータに圧油が給排される。これにより、オペレータは、車両の走行、上部旋回体43の旋回等を行ったり、作業装置47を作動させて掘削作業等を行う。
【0086】
また、エンジン48の作動時には、エンジン48により冷却ファン53が回転駆動されると、冷却ファン53により建屋カバー45の冷却風取入口45Aから冷却風が吸込まれ、この冷却風によってエンジン48、ラジエータ50、オイルクーラ51、インタークーラ52等を冷却することができる。
【0087】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1ないし第3の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、油圧ショベル41等の建設機械では、ラジエータ50、オイルクーラ51、インタークーラ52等からなる複数の熱交換器を冷却するために多量の冷却風が必要となり、冷却風の圧力損失も大きくなる。しかも、例えば自動車等のように走行時に冷却風を受けることがないため、建屋カバー45内には、大型の冷却ファン53を高い回転数で駆動することによって多量の冷却風を大きな風圧で発生する必要がある。
【0088】
この場合、本実施の形態では、冷却ファン53として、プロペラファン1,21,31のいずれかを用いる構成としている。これにより、高い回転数で駆動される大型の冷却ファン53に対しても、従来実現し得なかったような大きな前進形状および前傾形状をもつ前進・前傾翼を採用でき、冷却ファン53の羽根には、前側切欠き部により簡単な形状で十分な強度を与えることができる。
【0089】
これにより、軽量で静音性が高い冷却ファン53を油圧ショベル41に搭載でき、油圧ショベル41の騒音を低減できると共に、冷却ファン53の冷却性能や耐久性を高めることができる。
【0090】
なお、前記第1の実施の形態では、羽根4の前縁部5のボス接続部分5Aに凹円弧形状の前側切欠き部8を設ける構成とした。この場合、本発明では、前縁部5と前側切欠き部8との間に尖った先端側接続端8C等を設ける必要はなく、例えば図3中に仮想線で示す変形例のように構成してもよい。この場合、前縁部5″は、前側切欠き部8の底部8Bと滑らかに連続して形成されている。
【0091】
また、第1,第2の実施の形態では、プロペラファン1,21に前側切欠き部8と後側切欠き部9とを設ける構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、前側切欠き部だけを設け、後側切欠き部を省略する構成としてもよい。
【0092】
また、第1ないし第3の実施の形態では、プロペラファン1,21,31に2枚または5枚の羽根4,32を設ける場合を例に挙げて述べた。しかし、本発明はこれに限らず、例えば3枚、4枚の羽根、または6枚以上の羽根を設けたプロペラファンに適用できるのは勿論である。
【0093】
さらに、第4の実施の形態では、油圧ショベル41の冷却ファン53に適用した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、流体の吸込み、吐出しを行う各種の軸流ファンや、これらの軸流ファンを用いる各種の機器、装置等に広く適用できるものである。この場合、本発明は、例えば自動車のエンジンルーム内に配置する冷却ファン等、建設機械以外の冷却ファンに適用してもよく、さらには空気調和機(エア・コンディショナー)の室外機の送風ファンや、他の送風機器等に適用してもよい。
【0094】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1の発明によれば、各羽根の前縁部のボス接続部分には、凹円弧形状の前側切欠き部を設ける構成としたので、各羽根のボス接続部分に加わる応力を曲率半径が大きな前側切欠き部によって安定的に分散でき、その強度を確実に高めることができる。これにより、プロペラファンには、例えば厚肉部やリブ等を設けることなく、従来実現し得なかったような大きな前進形状および前傾形状をもつ羽根を採用でき、これらの羽根の根元側に簡単な形状の前側切欠き部を設けるだけで、ファンの耐久性を高めることができる。そして、各羽根を含めてファン全体の重量やコストを抑制でき、軽量で静音性が高いプロペラファンを実現できると共に、特に建設機械に用いるような大型で高回転用のプロペラファンにおいて、その軽量化や低騒音化を促進することができる。
【0095】
また、請求項2の発明によれば、各羽根の後縁部のボス接続部分には、後側切欠き部を設ける構成としたので、例えば前側のボス接続部分に高い強度が要求される場合等には、この前側のボス接続部分を隣接する羽根の後縁側に向けて後側切欠き部の分だけ前進させることができ、これによって前側切欠き部の曲率半径をさらに大きくすることができる。従って、前側のボス接続部分の強度をより高めるような設計変更を容易に行うことができ、この場合にも、互いに隣接する2枚の羽根を軸方向で重なり合うように配置しなくて済むから、例えばプロペラファンを樹脂成形するときには、各羽根を樹脂型等から引抜き易い形状とすることができ、ファンの型抜き性を良好に保持することができる。
【0096】
また、請求項3の発明によれば、羽根の前縁前進角は、前側切欠き部の接続端から底部に近づくに従って順次減少し、底部から径方向外側に離れるに従って順次増加する構成としたので、羽根のボス接続部分では、前側切欠き部の曲率半径を適切な大きさに設定でき、羽根とボスとの接続強度を高めることができる。また、羽根の先端側では、翼弦長を長くすることによって前縁部と後縁部との間で流体の圧力勾配を緩やかにすることができる。これにより、流体の流れが安定して羽根から剥離し難くなり、乱流等を抑えて騒音を小さくすることができる。
【0097】
また、請求項4の発明によれば、羽根の中心前進角は、前側切欠き部の接続端から底部に近づくに従って順次減少すると共に前縁前進角は中心前進角よりも小さな値を保持し、中心前進角は底部から径方向外側に離れるに従って順次増加する構成としたので、羽根のボス接続部分の強度を前側切欠き部によって高めつつ、羽根の先端側で翼弦長を長くして流体の圧力勾配を緩やかにすることができ、プロペラファンの性能と耐久性を向上させることができる。
【0098】
また、請求項5の発明によれば、ボスは、流体の吸込み側に位置する軸方向一側を小径に形成し、前記流体の吐出し側に位置する軸方向他側を大径に形成する構成としたので、例えばプロペラファンにより流体を高い圧損状態で流通させる場合等のように、流体の流れがファンの回転軸線に対して斜めに傾いている場合でも、この流体をボスの略円錐状の外周面に沿って円滑に流通させることができる。従って、ボスの外周面等で流体の流れをより安定化でき、乱流を抑えて低騒音化を促進することができる。
【0099】
また、請求項6の発明によれば、各羽根を前進翼として構成したので、従来実現し得なかったような大きな前進形状をもつ羽根を前側切欠き部によって実現でき、プロペラファンの強度を確保しつつ、低騒音化を促進することができる。
【0100】
また、請求項7の発明によれば、プロペラファンを備えたエンジン冷却装置として構成したので、高い冷却性能と耐久性とを有する低騒音なエンジン冷却装置を実現することができる。
【0101】
さらに、請求項8の発明によれば、プロペラファンを備えた建設機械として構成したので、例えば建設機械の車体に大型で高回転用のプロペラファン等を搭載する場合でも、その軽量化や低騒音化を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるプロペラファンを示す斜視図である。
【図2】図1のプロペラファンを吸込側からみた正面図である。
【図3】図2中の羽根を拡大して示す部分拡大正面図である。
【図4】図2中の前側切欠き部と後側切欠き部とを拡大して示す要部拡大図である。
【図5】羽根の前縁前進角と中心前進角とを示す説明図である。
【図6】羽根の前縁前進角、中心前進角と半径位置との関係を示す特性線図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態によるプロペラファンを示す斜視図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態によるプロペラファンを示す正面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態による油圧ショベルを示す斜視図である。
【図10】図9中の矢示X−X方向からみた油圧ショベルの横断面図である。
【符号の説明】
1,21,31 プロペラファン
2,22 ボス
2A,22C 外周面
4,32 羽根
5,33 前縁部
5A,6A,33A ボス接続部分
6,34 後縁部
7,35 先端部
8,36 前側切欠き部
8A,9A 根元側接続端
8B 底部
8C 先端側接続端
9 後側切欠き部
22A 小径部
22B 大径部
41 油圧ショベル(建設機械)
42 下部走行体(車体)
43 上部旋回体(車体)
45 建屋カバー
47 作業装置
48 エンジン
50 ラジエータ
51 オイルクーラ
52 インタークーラ
53 冷却ファン(プロペラファン)
Claims (8)
- 円形状のボス(2)と、前記ボス(2)の外周面から径方向に突出し回転方向(A)の前側に位置する前縁部(5)と回転方向(A)の後側に位置する後縁部(6)とを有する複数の羽根(4)とを備えたプロペラファンにおいて、
前記各羽根(4)の前縁部(5)側のボス接続部分(5A)には、凹円弧形状に切欠いた前側切欠き部(8)を設け、前記前側切欠き部(8)は前記ボス(2)の外周面(2A)と連続した曲面形状で接続する構成としたことを特徴とするプロペラファン。 - 前記各羽根(4)の後縁部(6)のボス接続部分(6A)には、後側切欠き部(9)を設けてなる請求項1に記載のプロペラファン。
- 前記羽根(4)の前側切欠き部(8)は、前記ボス(2)の外周面(2A)に接続される接続端(8A)と、前記前側切欠き部(8)のうち最も回転方向(A)の後側に位置する底部(8B)とを有し、
前記前側切欠き部(8)の接続端(8A)と前記ボス(2)の回転中心(O)とを結ぶ直線(10)と、前記前側切欠き部(8)を含めた前記前縁部(5)のうち任意の半径位置(r)上に位置する点(P1)と前記ボス(2)の回転中心(O)とを結ぶ直線(11)とが形成する角度を前記羽根(4)の半径位置(r)における前縁前進角(θf)とし、前記前縁前進角(θf)は前記任意の点(P1)が前記前側切欠き部(8)の接続端(8A)よりも回転方向(A)の前側に位置する場合を正として増加,減少する設定としたときに、
前記前縁前進角(θf)は前記前側切欠き部(8)の接続端(8A)から前記底部(8B)に近づくに従って順次減少し、前記前縁前進角(θf)は前記底部(8B)から径方向外側に離れるに従って順次増加する構成としてなる請求項1または2に記載のプロペラファン。 - 前記羽根(4)の周方向の中間位置を通って径方向に延びる中心線を翼弦中心線(13)とし、前記翼弦中心線(13)が前記ボス(2)の外周面(2A)に対して交わる交点(P2)と前記ボス(2)の回転中心(O)とを結ぶ直線(14)と、前記翼弦中心線(13)のうち任意の半径位置(r)上に位置する点(P3)と前記ボス(2)の回転中心(O)とを結ぶ直線(15)とが形成する角度を前記羽根(4)の半径位置(r)における中心前進角(θo)とし、前記中心前進角(θo)は前記任意の点(P3)が前記交点(P2)よりも回転方向(A)の前側に位置する場合を正として増加,減少する設定としたときに、
前記中心前進角(θo)は前記前側切欠き部(8)の接続端(8A)から前記底部(8B)に近づくに従って順次減少すると共に前記前縁前進角(θf)は前記中心前進角(θo)よりも小さな値を保持し、前記中心前進角(θo)は前記底部(8B)から径方向外側に離れるに従って順次増加する構成としてなる請求項3に記載のプロペラファン。 - 前記ボス(2)は、流体の吸込み側に位置する軸方向一側を小径に形成し、前記流体の吐出し側に位置する軸方向他側を大径に形成してなる請求項1,2,3または4に記載のプロペラファン。
- 前記各羽根(4)は、前記前縁部(5)のうち前記ボス接続部分(5A)よりも先端側を回転方向(A)に前進させた前進翼として形成してなる請求項1,2,3,4または5に記載のプロペラファン。
- 動力源となるエンジンと、前記エンジンにより駆動されエンジンを冷却するプロペラファンとを備え、前記プロペラファンを、円形状のボス(2)と、前記ボス(2)の外周面から径方向に突出し回転方向(A)の前側に位置する前縁部(5)と回転方向(A)の後側に位置する後縁部(6)とを有する複数の羽根(4)とにより構成してなるエンジン冷却装置において、
前記各羽根(4)の前縁部(5)側のボス接続部分(5A)には、凹円弧形状に切欠いた前側切欠き部(8)を設け、前記前側切欠き部(8)は前記ボス(2)の外周面(2A)と連続した曲面形状で接続する構成としたことを特徴とするエンジン冷却装置。 - 作業装置が設けられた車体と、前記車体に設けられ前記作業装置の動力源となるエンジンと、前記エンジンにより駆動されエンジンを冷却するプロペラファンとを備え、前記プロペラファンを、円形状のボス(2)と、前記ボス(2)の外周面から径方向に突出し回転方向(A)の前側に位置する前縁部(5)と回転方向(A)の後側に位置する後縁部(6)とを有する複数の羽根(4)とにより構成してなる建設機械において、
前記各羽根(4)の前縁部(5)側のボス接続部分(5A)には、凹円弧形状に切欠いた前側切欠き部(8)を設け、前記前側切欠き部(8)は前記ボス(2)の外周面(2A)と連続した曲面形状で接続する構成としたことを特徴とする建設機械。
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