JP2004346550A - シールド掘進機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シールド掘進機10は、掘進機本体12と、カッターヘッド14と、隔壁16と、チャンバー18と、破砕装置30とを備えている。破砕装置30は、カッタースポーク14aの背面側、または、隔壁16のいずれか一方、若しくは双方に配置することが可能であり、チャンバー18側に突出して、チャンバー18内に取り込まれた硬質塊状物を破砕する。破砕装置30は、カッタースポーク14aの背面側と、隔壁16側の双方に配置されている。各破砕装置30は、チャンバー18内に出没自在に設置される破砕ロッド30aと、破砕ロッド30aの出没機構とから構成されている。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、シールド掘進機に関し、特に、礫地盤や岩盤の掘削に適したシールド掘進機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
泥土圧式のシールド掘進機で礫地盤や岩盤を掘削する際には、公知文献の存在は確認していないが、実施工に用いられている掘進機では、礫や岩盤を先端に設けられたローラーカッタで破砕して、排土できる粒径まで小さくする必要があった。
【0003】
このような場合のシールド掘進機のカッターフェイスは、面版付き構造の場合には、排土可能な粒径にあわせて、スリット幅を設定し、チャンバー内に取り込む粒径を制限する構造としていた。
【0004】
また、面版を設けずに、スリットを規制しないスポーク構造の場合には、取り込んだ大径礫の排土が可能な大きさのスクリューコンベアを設けていた。
しかしながら、このような従来のシールド掘進機には、以下に説明する技術的な課題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、シールド掘進機のカッターフェイスを面版構造として、スリット幅を制限すると、幅規制されたスリット内に取り込むまでに、掘削時間がかかり、掘削能率の低下を招くし、面版に土砂が居着いて、掘削土砂の流れが悪くなり、掘削速度が遅くなる。
【0006】
また、チャンバー内に取り込むことができる粒径まで破砕すると、破砕に用いるローラーカッタ,ティースビット,特殊ビットなどの破砕負荷が大きくなって、その磨耗,破損が激しくなるという問題があった。
【0007】
さらに、スリット幅を制限すると、この部分に土砂が付着堆積して、掘削土砂をチャンバー内に取り込めず、掘削不能になることが発生し易いという問題もあった。
【0008】
一方、スポーク構造の場合には、排土用のスクリューコンベアの規模を、大径礫に合わせるため、大きなものが必要になるとともに、予測外のより大径礫が取り込まれると、スクリューコンベアでの排土ができなくなり、このような礫が複数個滞留すると、掘削不能に陥るという問題があった。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、チャンバー内に取り込むことができる硬質塊状物の粒径に制限をなくし、破砕用のローラーカッタなどの磨耗や破損を低減しつつ、掘削能率を向上することができるシールド掘進機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、筒状の掘進機本体と、前記掘進機本体の先端側に回転自在に支持され、回転駆動されるスポーク形状のカッターと、前記カッターの背面側に設けられた隔壁と、前記隔壁により隔成され、前記カッターで掘削された掘削土砂を収容するチャンバーと、前記チャンバー内の前記掘削土砂を排出する排土機構とを有するシールド掘進機において、前記カッターの背面側、または、前記隔壁のいずれか一方、または、双方に、前記チャンバー内に突出して、取り込まれた礫や岩盤塊などの硬質塊状物を破砕する破砕装置を設けた。
【0011】
このように構成したシールド掘進機によれば、チャンバー内に取り込まれた礫や岩盤塊などの硬質塊状物を破砕する破砕装置を、カッターの背面側、または、隔壁のいずれか一方、または、双方に設けているので、チャンバー内に取り込んだ硬質塊状物は、カッターが回転している間に、破砕装置の間に引っ掛かり、挟み込まれ、挟み込まれた状態での回転などを複数回繰り返すことで、排土可能な大きさまで破砕される。
【0012】
この場合、カッターは、スポーク形状なので、面版構造の場合のように、チャンバー内に取り込む礫や岩盤塊などの硬質塊状物の粒径を制限する必要がなく、このため、掘削土砂の流れが良くなり、掘削速度が早くなるとともに、破砕に用いるローラーカッタ,ティースビット,特殊ビットなどの破砕負荷を小さくするができ、これらの磨耗,破損を低減することができる。
【0013】
また、排土用のスクリューコンベアは、例えば、掘進距離100mに対して、数個程度しか発生しない大径礫の大きさに対応した大規模のものを設ける必要がなくなり、小規模のもので済む。
【0014】
前記破砕装置は、前記カッターの背面側、または、前記隔壁の前面側に一端が固設される破砕ロッドから構成することができる。
【0015】
前記破砕装置は、前記カッターの背面側、または、前記隔壁の前面側に配置され、前記チャンバー内に出没自在に設置される破砕ロッドと、前記破砕ロッドの出没機構とから構成することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1から図5は、本発明にかかるシールド掘進機の一実施例を示している。同図に示した実施例では、本発明を泥土圧式シールド掘進機に適用した場合を例示している。
【0017】
図1に示したシールド掘進機10は、掘進機本体12と、カッター14と、隔壁16と、チャンバー18とを備えている。掘進機本体12は、両端が開口した円筒状に形成されていて、後端側の内周面には、土砂や水が内部に浸入することを防止するテールシール19が設けられている。
【0018】
カッター14は、スポーク構造のものであって、掘進機本体12の先端側に回転自在に支持されている。本実施例のカッター14は、図2にその正面側の詳細を示すように、中心から放射状に延設された複数のカッタースポーク14aと、このカッタースポーク14aの中心に突設されたセンタービット14bと、カッタースポーク14aの一端側が集合した中心部の背面側に設けられた回転軸14cとを備えている。
【0019】
そして、この回転軸14cを中心とする円周上に沿って、カツタースポーク14aの背面側には、周方向に所定間隔を隔ててカッターサポート14dが複数設けられている。
【0020】
カッタースポーク14aの側面と上面には、ローラーカッタ,ティースビット,特殊ビットなどの破砕用を含むメインビット14eが、列状に突設されており、周方向に隣接する一対のカッタースポーク14a間の側面に設けられたメインビット14dの両側が、掘削土砂の取込み部分になっている。
【0021】
また、カッタースポーク14aの内部には、径方向に出没するコピーカッタ14fが内蔵されている。コピーカッタ14fは、カッタースポーク14a内に設けられたジャッキ14gにより出没され、突出状態においては、掘進機本体12の直径よりも大きな径での掘削が可能になる。
【0022】
回転軸14cは、チャンバー18を貫通するようにして、隔壁16側に延設され、延設端が隔壁16の中心部分に回転自在に支持されている。カッターサポート14dは、チャンバー18を貫通するようにして、隔壁16側に延設され、隔壁16に回転自在に支持されたリングギア14hに結合されている。
【0023】
リングギア14hには、駆動モータ14iの回転軸に連結されたギアが歯合していて、駆動モータ14iを回転駆動することにより、カッター14が回転される。
【0024】
隔壁16は、カッターヘッド14の背面側にあって、掘削土砂を収容するチャンバー18を隔成するものであり、本実施例の場合には、掘進機本体12と同じ直径の円板状に形成され、掘進機本体12の先端から所定間隔だけ後方に後退した位置にあって、本体12の長手軸と直交するようにして、その内周面に外周縁が固設されている。
【0025】
隔壁16によりカッターヘッド14の背面側隔成されたチャンバー18には、カッタースポーク14aが駆動モータ14iにより回転駆動されて、ビット14b,14eにより掘削された土砂が内部に取り込まれる。
【0026】
隔壁16の下端側には、チャンバー18内に取込まれた掘削土砂を外部に排出する排土機構が配置されている。本実施例の排土機構は、スクリューコンベア20で構成されている。
【0027】
スクリューコンベア20は、隔壁16の下端に貫通形成された排土口22に先端が開口しており、スクリューコンベア20を回転駆動すると、この排土口22からチャンバー18内の掘削土砂を、切羽の崩壊を防止しつつ外部に排出する。
【0028】
掘進機本体12内には、掘進用のシールドジャッキ24が、周方向に所定の間隔を隔てて複数設けられている。
【0029】
このシールドジャッキ24は、掘削の進行に伴って、掘進機本体12の後端側に順次環状に組み立てられるセグメント26に反力を取って、掘進機本体12を前進させる。なお、図1に符号28で示した装置は、セグメント26の組立てに用いるエレクタである。
【0030】
以上のような泥土圧式シールド掘進機としての基本的な構成は、従来のこの種のマシンと同じであるが、本実施例のシールド掘進機10は、以下に説明する点に顕著な特徴がある。
【0031】
すなわち、本実施例のシールド掘進機10では、チャンバー18内に取り込まれた礫や岩盤塊などの硬質塊状物を破砕する破砕装置30を設けている。この破砕装置30は、カッタースポーク14aの背面側、または、隔壁16のいずれか一方、若しくは双方に配置することが可能であり、チャンバー18側に突出して、チャンバー18内に取り込まれた硬質塊状物を破砕する。
【0032】
本実施例の場合、破砕装置30は、図3,4にその詳細を示すように、カッタースポーク14aの背面側と、隔壁16側の双方に配置されている。各破砕装置30は、チャンバー18内に出没自在に設置される破砕ロッド30aと、破砕ロッド30aの収納部30bと、破砕ロッド30aの出没機構とから構成構成されている。
【0033】
本実施例の場合、隔壁16側に設けられた破砕装置30は、回転軸14cの貫通個所の外側に、所定の間隔を隔てて一対配置されている。この破砕装置30は、周方向に180°の角度間隔を隔てて、同一円周上に設けられている。
【0034】
なお、各破砕装置30の配置位置は、破砕ロッド30aをチャンバー18側に突出された際に、カッターサポート14dや、チャンバー18内に複数設けられている攪拌ロッド14jと干渉しない場所に設けられている。
【0035】
また、カッタースポーク14aの背面側に設けられた破砕装置30は、隔壁16側のものより小型のものであって、本実施例の場合には、1個配置されている。各破砕装置30の出没機構は、図面上には示していないが、破砕ロッド30aを直線的に前後移動させる形式のものであれば種類を問わないが、例えば、油圧ないしは空圧駆動のジャッキやシリンダーなどを好適に用いることができる。
【0036】
破砕装置30は、大礫などの硬質塊状物Xの破砕が不要の場合には、図3に示すように、各破砕ロッド30aを収納部30b内に没入させて、チャンバー18側への突出を規制する。
【0037】
一方、大径礫などの破砕が必要な硬質塊状物Xがチャンバー18内に取り込まれた場合には、図4に示すように、各破砕装置30の破砕ロッド30aをチャンバー18内に突出させる。
【0038】
この場合の破砕ロッド30aの突出量は、対向する隔壁16やカッタースポーク14aとの間に、所定の間隔が保たれて、カッター14の回転を阻害しないように設定する。
【0039】
このような状態で、カッター14の回転を継続すると、チャンバー18内に取り込んだ硬質塊状物Xは、カッター14が回転している間に、破砕装置30の破砕ロッド30a間や、破砕ロッド30aとカッターサポート14dとの間などにに引っ掛かり、挟み込まれ、挟み込まれた状態での回転を複数回繰り返すことで、排土可能な大きさまで破砕される。このようにして破砕された硬質塊状物Xは、その後スクリューコンベア20を介して、チャンバー18内から排出される。
【0040】
さて、以上のように構成したシールド掘進機10によれば、チャンバー18内に取り込まれた礫や岩盤塊などの硬質塊状物Xを破砕する複数の破砕装置30を、カッター14の背面側と、隔壁16との双方に設けているので、チャンバー18内に取り込んだ硬質塊状物Xは、カッター14が回転している間に、破砕装置30の破砕ロッド30aの間に引っ掛かり、挟み込まれ、このような状態を複数回繰り返すことで、排土可能な大きさまで破砕される。
【0041】
この場合、カッター14は、スポーク形式なので、面版構造の場合のように、チャンバー18内に取り込む礫や岩盤塊などの硬質塊状物Xの粒径を制限する必要がなく、このため、掘削土砂の流れが良くなり、掘削速度が早くなるとともに、破砕に用いるローラービットや特殊ビットなどの破砕負荷を小さくするができ、これらの磨耗,破損を低減することができる。
【0042】
また、排土用のスクリューコンベア20は、例えば、掘進距離100mに対して、数個程度しか発生しない大径礫の大きさに対応した大規模のものを設ける必要がなくなり、小規模のもので済む。
【0043】
なお、上記実施例では、破砕装置30を、カッター14の背面側と、隔壁16との双方に設け場合を例示したが、本発明の実施は、これに限定されることはなく、これらのいずれか一方に設けることもできる。
【0044】
また、上記実施例では、破砕装置30は、出没自在な破砕ロッド30aと、その出没機構とで構成した場合を例示したが、本発明の実施は、これに限定されることはなく、カッター14の背面側、または、隔壁16の前面側のいずれか一方若しくは双方に配置されて、チャンバー18内に突出する固定構造の破砕ロッドを設けて、硬質塊状物Xを破砕するようにしても良い。
【0045】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明にかかるシールド掘進機によれば、チャンバー内に取り込むことができる硬質塊状物の粒径に制限をなくし、破砕用のローラーカッタなどの磨耗や破損を低減しつつ、掘削能率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるシールド掘進機の一実施例を示す縦断面である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図1の要部拡大図である。
【図4】図1の要部拡大図である。
【符号の説明】
10 シールド掘進機
12 掘進機本体
14 カッター
16 隔壁
18 チャンバー
30 破砕装置
30a 破砕ロッド
Claims (3)
- 筒状の掘進機本体と、
前記掘進機本体の先端側に回転自在に支持され、回転駆動されるスポーク形状のカッターと、
前記カッターの背面側に設けられた隔壁と、
前記隔壁により隔成され、前記カッターで掘削された掘削土砂を収容するチャンバーと、
前記チャンバー内の前記掘削土砂を排出する排土機構とを有するシールド掘進機において、
前記カッターの背面側、または、前記隔壁のいずれか一方、または、双方に、前記チャンバー内に突出して、取り込まれた礫や岩盤塊などの硬質塊状物を破砕する破砕装置を設けたことを特徴とするシールド掘進機。 - 前記破砕装置は、前記カッターの背面側、または、前記隔壁の前面側に一端が固設される破砕ロッドから構成することを特徴とする請求項1記載のシールド掘進機。
- 前記破砕装置は、前記カッターの背面側、または、前記隔壁の前面側に配置され、前記チャンバー内に出没自在に設置される破砕ロッドと、前記破砕ロッドの出没機構とから構成することを特徴とする請求項1記載のシールド掘進機。
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