JP2004341833A - 車両の運動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】道路データの精度や情報量が多少劣るものであったとしても違和感なく自動減速を行うことができるようにし、しかも半径が異なる複数の道路部分からなるコーナーにも的確に対応して自動減速を行うことができるようにする。
【解決手段】相互に間隔をあけて設定される複数のノード点で構成される道路データが道路データ記憶手段41で記憶され、自車位置検出手段43で検出された自車位置と、ノード点半径検出手段42で検出される各ノード点での半径と、コーナーを適切に通過するために基準横加速度設定手段47で設定される基準横加速度とに基づいて、次のノード点での基準速度が基準速度算出手段48で各ノード点毎に演算され、その基準速度と、車速検出手段30で得られた車速との比較により、減速必要性判断手段50が減速の必要性を判断する。
【選択図】 図2
【解決手段】相互に間隔をあけて設定される複数のノード点で構成される道路データが道路データ記憶手段41で記憶され、自車位置検出手段43で検出された自車位置と、ノード点半径検出手段42で検出される各ノード点での半径と、コーナーを適切に通過するために基準横加速度設定手段47で設定される基準横加速度とに基づいて、次のノード点での基準速度が基準速度算出手段48で各ノード点毎に演算され、その基準速度と、車速検出手段30で得られた車速との比較により、減速必要性判断手段50が減速の必要性を判断する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自車の前方にあるコーナーを安定して通過するにあたり、減速が必要であるときには車両を自動的に減速させるようにした車両の運動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コーナーの進入前に、該コーナーを適切に通過するための適正速度まで自動的に減速するようにしたものが、たとえば特許文献1等で既に知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開2003−63370号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記従来のものでは、道路データ上での直線部分および曲線部分の変曲点をコーナー開始位置として捉え、そのコーナー開始位置からの旋回運動を無理なく行うように自動的に減速させるようにしており、道路データの精度が低い場合や情報量が少ない場合には実際の道路形状との不整合が生じてしまい、自動減速によって車両運転者が違和感を感じてしまうことがある。またコーナー開始点までに減速を完了させるものであるので、半径が異なる複数の道路部分が複合して成るコーナーでの車両の旋回運動時に、的確に対応した制御を行うことが困難である。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、道路データの精度や情報量が多少劣るものであったとしても違和感なく自動減速を行うことができるようにし、しかも半径が異なる複数の道路部分からなるコーナーにも的確に対応して自動減速を行うことができるようにした車両の運動制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、相互に間隔をあけて設定される複数のノード点で構成される道路データを記憶する道路データ記憶手段と、少なくとも相互に隣接するノード点の位置情報に基づく演算または予め記憶した記憶データによって前記道路データ上の各ノード点での半径を検出するノード点半径検出手段と、前記道路データ上での自車位置を検出する自車位置検出手段と、車速を検出する車速検出手段と、コーナーを適切に通過する際の基準横加速度を定める基準横加速度設定手段と、前記自車位置検出手段で検出された自車位置、前記ノード点半径検出手段で得られる半径、ならびに前記基準横加速度設定手段で設定される基準横加速度に基づいて次のノード点での基準速度を各ノード点毎に演算する基準速度算出手段と、該基準速度算出手段で算出された基準速度ならびに前記車速検出手段で得られた車速の比較によって減速の必要性を判断する減速必要性判断手段と、作動時に車両を減速させ得る減速アクチュエータと、前記減速必要性判断手段で減速が必要と判断されたときに前記減速アクチュエータを作動せしめるようにして前記減速アクチュエータの作動を制御する減速制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
このような請求項1記載の発明の構成によれば、道路データを構成する各ノード点毎に次のノード点が減速を必要とするコーナーか否かを判断するようにし、減速が必要であるときには減速アクチュエータを作動せしめるようにしており、各ノード点毎に基準速度が定められるので、道路データの精度や情報量が多少劣るものであったとしても違和感なく自動減速を行うことができ、しかも半径が異なる複数の道路部分から成るコーナーにも的確に対応して自動減速を行うことができる。
【0008】
また請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、前記自車位置検出手段で検出された自車位置から次のノード点までの距離を求める距離算出手段と、前記自車位置検出手段で検出された自車位置から次のノード点までの基準減速度を設定する基準減速度設定手段と、前記自車位置検出手段で検出された自車位置、前記距離算出手段で算出された距離、ならびに前記基準減速度設定手段で設定された基準減速度を用いて次のノード点での車速を予測する車速予測手段とを含み、前記減速必要性判断手段は、ノード点で減速が必要であると判断した後では前記自車位置検出手段が自車位置を検出する毎に前記車速予測手段で予測した車速ならびに前記基準速度算出手段で得られた基準速度の比較によって減速の必要性を判断することを特徴とし、かかる構成によれば、現在のノード点から次のノード点に達するまでに、次のノード点までの距離の変化および基準減速度に基づいて次のノード点での車速を予測し、予測した車速および基準速度の比較に基づいて減速の必要性を判断するようにしているので、隣接ノード間での車両の走行途中で車両運転者によってブレーキ操作が行われたときや、各ノード点での減速の必要性判断時に基準速度ならびに車速検出手段で検出された車速間の差がごく小さなものであったりしたときに、無闇にブレーキアクチュエータを作動せしめることを回避し、頻繁なブレーキ制御が生じるのを防止することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0010】
図1〜図3は本発明の一実施例を示すものであり、図1は車両のブレーキ装置の構成を示す液圧系統図、図2は車両の運動制御装置の構成を示すブロック図、図3は道路データの一例を示す図である。
【0011】
先ず図1において、たとえば四輪車両に搭載されるマスタシリンダ1には、負圧ブースタ2を介してブレーキペダル4からブレーキ操作力が入力される。このマスタシリンダ1は、タンデム型に構成されるものであり、たとえば左前輪用車輪ブレーキBFおよび右後輪用車輪ブレーキBRに対応した第1出力ポート5と、たとえば右前輪用車輪ブレーキ(図示せず)および左後輪用車輪ブレーキ(図示せず)に対応した第2出力ポート6とを備え、第1および第2出力ポート5,6には出力液圧路7,8がそれぞれ個別に接続される。
【0012】
前記第1出力ポート5側のブレーキ装置と、前記第2出力ポート6側のブレーキ装置とは同一の構成を有するものであり、以下、第1出力ポート5側のブレーキ装置に関する部分だけについて説明し、第2出力ポート6側のブレーキ装置に関する部分についての説明を省略する。
【0013】
前記マスタシリンダ1の出力液圧は、吸入弁11および吐出弁12を備えるとともにモータ9で駆動されるポンプ10で増圧可能であり、該ポンプ10の吐出側すなわち吐出弁12は液圧路13に接続される。
【0014】
前記液圧路13および両車輪ブレーキBF,BR間には調圧手段14が設けられており、この調圧手段14は、左前輪用車輪ブレーキBFおよび液圧路13間に設けられる常開型電磁弁15と、右後輪用車輪ブレーキBRおよび液圧路13間に設けられる常開型電磁弁16と、各車輪ブレーキBF,BR側から前記液圧路13側へのブレーキ液の流通を許容して両常開型電磁弁15,16にそれぞれ並列に接続される一対の一方向弁17,18と、両車輪ブレーキBF,BRに共通である単一のリザーバ19と、各車輪ブレーキBF,BRおよびリザーバ19間にそれぞれ設けられる常閉型電磁弁20,21とを備え、リザーバ19は、ポンプ10の吸入側すなわち吸入弁11にチェック弁22を介して接続される。
【0015】
このような調圧手段14は、常開型電磁弁15,16を開弁するとともに常閉型電磁弁20,21を閉弁することにより液圧路13の液圧を各車輪ブレーキBF,BRにそれぞれ作用せしめる状態と、常開型電磁弁15,16を閉弁するとともに常閉型電磁弁20,21を閉弁することにより各車輪ブレーキBF,BRにのブレーキ液圧を保持する状態と、常開型電磁弁15,16を閉弁するとともに常閉型電磁弁20,21を開弁することにより各車輪ブレーキBF,BRのブレーキ液圧をリザーバ19に解放する状態とを切換可能であり、各常開型電磁弁15,16および各常閉型電磁弁20,21の開閉を制御することにより液圧路13の液圧を制御して車輪ブレーキBF,BRに作用せしめることができる。
【0016】
出力液圧路7は常閉型電磁弁23を介して前記ポンプ10の吸入側すなわち吸入弁11およびチェック弁22間に接続されるとともに、常開型電磁弁24を介して前記液圧路13に接続される。
【0017】
常開型電磁弁24には、出力液圧路7から液圧路13側へのブレーキ液の流通を許容する一方向弁26が並列に接続されるとともに、液圧路13の液圧がリリーフ圧よりも高いときに開弁して液圧路13から出力液圧路7側に液圧を解放するリリーフ弁27が並列に接続されており、該リリーフ弁27のリリーフ圧は調節可能である。
【0018】
前記常閉型電磁弁23、常開型電磁弁24、一方向弁26およびリリーフ弁27は、減速アクチュエータとしてのブレーキアクチュエータ28を共働して構成するものであり、このブレーキアクチュエータ28においては、常閉型電磁弁23を開くとともに常開型電磁弁24を閉じた状態で、リリーフ弁27のリリーフ圧を調節することにより、車両運転者のブレーキ操作入力に対するブレーキ出力の比であるブレーキ出力ゲイン{(液圧路13のブレーキ液圧/ブレーキペダル4の操作力)または(車両減速度/ブレーキペダル4の操作力)}を変更することを可能として、車輪ブレーキBF,BRに作用せしめるブレーキ圧、すなわち車輪ブレーキBF,BRが発揮するブレーキ力を調節することができる。また車両運転者の非ブレーキ操作時にも常閉型電磁弁23を開くとともに常開型電磁弁24を閉じた状態で、リリーフ弁27のリリーフ圧を調節することにより、車輪ブレーキBF,BRに調圧したブレーキ圧を作用せしめ、車輪ブレーキBF,BRを自動的に作動せしめることが可能である。
【0019】
前記ポンプ10を駆動するモータ9のオン・オフ作動、前記調圧手段14における各常開型電磁弁15,16および各常閉型電磁弁20,21の開閉作動、前記ブレーキアクチュエータ28における常閉型電磁弁23および常開型電磁弁24の開閉作動、ならびに前記リリーフ弁27のリリーフ圧は、減速制御手段としてのブレーキ制御ECU29により制御されるものであり、このブレーキ制御ECU29には、車速を検出する車速検出手段30、車両運転者によるブレーキペダル4の踏込み操作を検出するブレーキ操作検出手段31、マスタシリンダ1の出力圧である出力液圧路7の液圧を検出するブレーキマスタ圧検出手段32、ならびに車輪ブレーキBF,BRのブレーキ圧を検出する車輪ブレーキ圧検出手段33,34の各検出信号が入力される。
【0020】
図2を併せて参照して、車両が自車の前方にあるコーナーを安定して通過するにあたって減速が必要であるときには、車両運転者のブレーキ操作の有無にかかわらず、ブレーキアクチュエータ28の作動がブレーキ制御ECU29により制御されるのであるが、このブレーキ制御ECU29には、コーナー進入前の自動減速が必要であるか否かの判断、ならびに減速が必要であるときの減速度を示す信号がナビゲーションシステムECU35から入力される。
【0021】
ナビゲーションシステムECU35には、前記車速検出手段30およびブレーキ操作検出手段31からの検出信号が入力されるとともに、車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段36、GPSアンテナ37、車体横滑り角検出手段38、タイヤ横滑り角検出手段39およびタイヤスリップ率検出手段40等からの信号も入力される。
【0022】
ナビゲーションシステムECU35は、道路データを予め記憶するCD−ROM等の道路データ記憶手段41と、前記道路データ上に設定される複数のノード点での半径を検出するノード点半径検出手段42と、道路データ記憶手段41から読み出した道路データにGPSアンテナ37で受信した自車位置データを重ね合わせて前記道路データ上での自車位置を検出する自車位置検出手段43と、車体横滑り角検出手段38、タイヤ横滑り角検出手段39およびタイヤスリップ率検出手段40および車速検出手段30の検出値に基づいて走行路面の摩擦係数を推定する摩擦係数推定手段44と、前記自車位置検出手段43で検出される前記道路データ上での自車位置および次のノード点までの距離を算出する距離算出手段45と、基準減速度を設定する基準減速度設定手段46と、前記道路データ上のノード点での基準横加速度を設定する基準横加速度設定手段47と、前記ノード点上での基準速度を算出する基準速度算出手段48と、前記ノード点上での車速を予測する車速予測手段49と、次のノード点までの減速の必要性判断を行なう減速必要性判断手段50とを備える。
【0023】
道路データ記憶手段41では、図3で示すように、相互に間隔L0,L1…Lnをあけた複数のノード点N1,N2…Nn…から成る道路データが記憶されており、ノード点半径検出手段42では、少なくとも相互に隣接するノード点N1,N2…Nnの位置情報に基づく演算によって道路データ上の各ノード点N1,N2…Nnでの半径が検出される。すなわち各ノード点N1,N2…Nnのリンク交差角をθ1,θ2…θn(ラジアン)、ノード点Nnの両側の間隔をL(n−1)、Lnとしたときに、ノード点Nnにおける半径Rnが第(1)式に基づいて算出される。
【0024】
基準横加速度設定手段47では、コーナーを適切に通過する際の基準横加速度が設定されるのであるが、前記摩擦係数推定手段44で推定された摩擦係数の路面での限界横加速度に余裕をもたせた値が基準横加速度として基準横加速度設定手段47で設定されるものであり、路面の変化およびタイヤグリップ力の変化を考慮して、たとえば推定路面摩擦係数が低い場合には0.1G、推定路面摩擦係数が高い場合には0.2〜0.3G程度の値が、限界横加速度として基準横加速度設定手段47で設定される。
【0025】
基準速度算出手段48は、前記自車位置検出手段43で検出された自車位置、前記ノード点半径検出手段42で得られる半径、ならびに前記基準横加速度設定手段47で設定される基準横加速度に基づいて次のノード点での基準速度を各ノード点毎に演算するものであり、たとえばノード点N1で基準速度算出手段48は、次のノード点N2での基準速度を算出することになる。
【0026】
ここで、前記基準横加速度設定手段47で設定される基準横加速度をα、ノード点半径検出手段42で得られる半径をR、基準速度をVchとしたときに、
Vch=(α×R)1/2 ……(2)
によって基準速度Vchが基準速度算出手段48で得られることになる。
【0027】
減速必要性判断手段50は、各ノード点N1,N2…Nnにおいて、前記基準速度算出手段48で算出された基準速度Vchならびに前記車速検出手段30で得られた車速Vの比較によって、次のノード点までの減速の必要性を判断するとともに、減速が必要であると判断したときには、次のノード点に基準速度Vchで進入するのに必要となる必要減速度を算出するものであり、現在の自車の速度をVとし、基準速度をVchとし、次のノード点までの距離をLnとしたときに、減速必要性判断手段50は、必要減速度を{(V−Vch)2 /2Ln}として算出する。
【0028】
再び図2において、ブレーキ制御ECU29には、減速が必要であると減速必要性判断手段50が判断するのに応じた信号がナビゲーションシステムECU35から入力されるものであり、該ブレーキ制御ECU29は、減速必要性判断手段50で算出された必要減速度となるようにブレーキアクチュエータ28を作動せしめる。而してブレーキ制御ECU29は、非ブレーキ操作時にはブレーキアクチュエータ28による自動ブレーキで車両を減速させるものであり、ブレーキ操作時には、ブレーキ出力ゲインを変更しつつ必要な減速度が得られるようにブレーキアクチュエータ28を作動せしめることによる減速支援を実行することになる。
【0029】
ところで、ナビゲーションシステムECU35において、距離算出手段45、基準減速度設定手段46および車速予測手段49は、減速必要性判断手段50が各ノード点において減速が必要であると判断したときに有効に機能するものであり、距離算出手段45は、自車位置検出手段43で検出された自車位置から次のノード点までの距離を、隣接するノード点間を走行する間での演算サイクルC1,C2…Cn毎に、車速検出手段30で得られる車速、演算周期および道路データ記憶手段41の道路データおよび減速度に基づいて算出する。
【0030】
また基準減速度設定手段46は、自車位置検出手段43で検出された自車位置から次のノード点までの基準減速度を設定するものであり、ブレーキアクチュエータ28の作動によって簡単に得られる値であって車両運転者に違和感を与えることのない減速度が摩擦係数推定手段44による推定摩擦係数に応じて基準減速度設定手段46で設定されるものであり、たとえば0.1〜0.2G程度の減速度が基準減速度として基準減速度設定手段46で設定される。
【0031】
車速予測手段49は、前記自車位置検出手段43で検出された自車位置、前記距離算出手段45で算出された距離、ならびに前記基準減速度設定手段46で設定された基準減速度を用いて、次のノード点での車速を予測するものである。
【0032】
さらに減速必要性判断手段50は、ノード点N1,N2…のいずれかで減速が必要であると判断した後では自車位置検出手段43が自車位置を検出するたびに、すなわち演算サイクルC1,C2…Cn毎に、車速予測手段49で予測した車速ならびに基準速度算出手段48で得られた基準速度を比較することで減速の必要性を判断し、減速が必要であると判断したときには、前記距離算出手段45で算出した距離をLdとしたときに、必要減速度を{(V−Vch)2 /2Ld}として算出する。
【0033】
次にこの実施例の作用について説明すると、相互に間隔をあけて設定される複数のノード点N1,N2…Nn…で構成される道路データが道路データ記憶手段41で記憶されており、自車位置検出手段43で検出された自車位置と、ノード点半径検出手段42で検出される各ノード点N1,N2…Nn…での半径と、コーナーを適切に通過するために摩擦係数推定手段44で推定された摩擦係数に応じて基準横加速度設定手段47で設定される基準横加速度とに基づいて、次のノード点での基準速度が基準速度算出手段48で各ノード点毎に演算され、その基準速度と、車速検出手段30で得られた車速との比較により、減速必要性判断手段50が減速の必要性を判断するようにしている。
【0034】
すなわち道路データを構成する各ノード点N1,N2…Nn…毎に次のノード点が減速を必要とするコーナーか否かを判断することになり、減速が必要であるときにはコーナーを適切に通過するための基準横加速度以下となるように基準速度まで減速すべくブレーキアクチュエータ29を作動せしめるようにしており、各ノード点毎に基準速度が定められるので、道路データの精度や情報量が多少劣るものであったとしても違和感なく自動減速を行うことがでる。しかも半径が異なる複数の道路部分から成るコーナーにも的確に対応して自動減速を行うことが可能となる。
【0035】
また自車位置検出手段43で検出された自車位置から次のノード点までの距離が距離算出手段45で算出され、自車位置検出手段43で検出された自車位置から次のノード点までの基準減速度が基準減速度設定手段46で設定され、自車位置検出手段43で検出された自車位置、距離算出手段45で算出された距離、ならびに基準減速度設定手段46で設定された基準減速度を用いて次のノード点での車速が車速予測手段49で予測され、減速必要性判断手段50は、減速が必要であると判断した後では自車位置検出手段43が自車位置を検出するたびに前記車速予測手段49で予測した車速ならびに前記基準速度算出手段48で得られた基準速度の比較によって減速の必要性を判断している。
【0036】
したがって現在のノード点から次のノード点に達するまでに、次のノード点までの距離の変化および基準減速度に基づいて次のノード点での車速を予測し、予測した車速および基準速度の比較に基づいて減速の必要性を判断することになり、隣接ノード間での車両の走行途中で車両運転者によってブレーキ操作が行われたときや、各ノード点での減速の必要性判断時に基準速度ならびに車速検出手段30で検出された車速間の差がごく小さなものであったりしたときに、無闇にブレーキアクチュエータ28を作動せしめることを回避し、頻繁なブレーキ制御が生じるのを防止することができる。
【0037】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0038】
たとえば上記実施例では、減速アクチュエータとして、車輪ブレーキBF,BRのブレーキ液圧を調圧するブレーキアクチュエータ28を用いたが、スロットル開度を変化させるアクチュエータや、変速機のシフト位置を変化させるアクチュエータを減速アクチュエータとして用いるものにも本発明を適用することができ、それらのアクチュエータを並列して用いるようにしてもよい。
【0039】
また上記実施例では、ノード点半径検出手段42が、少なくとも相互に隣接するノード点N1,N2…Nnの位置情報に基づく演算により各ノード点N1,N2…Nnでの半径を検出するようにしたが、予め記憶した記憶データによって道路データ上の各ノード点N1,N2…Nnでの半径をノード点半径検出手段42で検出するようにしてもよい。
【0040】
さらに上記実施例では、摩擦係数推定手段44、距離算出手段45、基準減速度設定手段46、基準横加速度設定手段47、基準速度算出手段48、車速予測手段49および減速必要性判断手段50がナビゲーションシステムECU35に含まれるものとして説明したが、ブレーキ制御ECU29に、摩擦係数推定手段44、距離算出手段45、基準減速度設定手段46、基準横加速度設定手段47、基準速度算出手段48、車速予測手段49および減速必要性判断手段50が含まれていてもよく、ナビゲーションシステムECU35およびブレーキ制御ECU29を単一のECUに統合するようにしてもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の発明によれば、道路データの精度や情報量が多少劣るものであったとしても違和感なく自動減速を行うことができ、しかも半径が異なる複数の道路部分からなるコーナーにも的確に対応して自動減速を行うことができる。
【0042】
また請求項2記載の発明によれば、無闇に減速アクチュエータを作動せしめることを回避し、頻繁な減速制御が生じるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両のブレーキ装置の構成を示す液圧系統図である。
【図2】車両の運動制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】道路データの一例を示す図である。
【符号の説明】
28・・・減速アクチュエータとしてのブレーキアクチュエータ
29・・・減速制御手段としてのブレーキ制御ECU
30・・・車速検出手段
41・・・道路データ記憶手段
42・・・ノード点半径検出手段
43・・・自車位置検出手段
45・・・距離算出手段
46・・・基準減速度設定手段
47・・・基準横加速度設定手段
48・・・基準速度算出手段
49・・・車速予測手段
50・・・減速必要性判断手段
N1,N2,Nn・・・ノード点
【発明の属する技術分野】
本発明は、自車の前方にあるコーナーを安定して通過するにあたり、減速が必要であるときには車両を自動的に減速させるようにした車両の運動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コーナーの進入前に、該コーナーを適切に通過するための適正速度まで自動的に減速するようにしたものが、たとえば特許文献1等で既に知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開2003−63370号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記従来のものでは、道路データ上での直線部分および曲線部分の変曲点をコーナー開始位置として捉え、そのコーナー開始位置からの旋回運動を無理なく行うように自動的に減速させるようにしており、道路データの精度が低い場合や情報量が少ない場合には実際の道路形状との不整合が生じてしまい、自動減速によって車両運転者が違和感を感じてしまうことがある。またコーナー開始点までに減速を完了させるものであるので、半径が異なる複数の道路部分が複合して成るコーナーでの車両の旋回運動時に、的確に対応した制御を行うことが困難である。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、道路データの精度や情報量が多少劣るものであったとしても違和感なく自動減速を行うことができるようにし、しかも半径が異なる複数の道路部分からなるコーナーにも的確に対応して自動減速を行うことができるようにした車両の運動制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、相互に間隔をあけて設定される複数のノード点で構成される道路データを記憶する道路データ記憶手段と、少なくとも相互に隣接するノード点の位置情報に基づく演算または予め記憶した記憶データによって前記道路データ上の各ノード点での半径を検出するノード点半径検出手段と、前記道路データ上での自車位置を検出する自車位置検出手段と、車速を検出する車速検出手段と、コーナーを適切に通過する際の基準横加速度を定める基準横加速度設定手段と、前記自車位置検出手段で検出された自車位置、前記ノード点半径検出手段で得られる半径、ならびに前記基準横加速度設定手段で設定される基準横加速度に基づいて次のノード点での基準速度を各ノード点毎に演算する基準速度算出手段と、該基準速度算出手段で算出された基準速度ならびに前記車速検出手段で得られた車速の比較によって減速の必要性を判断する減速必要性判断手段と、作動時に車両を減速させ得る減速アクチュエータと、前記減速必要性判断手段で減速が必要と判断されたときに前記減速アクチュエータを作動せしめるようにして前記減速アクチュエータの作動を制御する減速制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
このような請求項1記載の発明の構成によれば、道路データを構成する各ノード点毎に次のノード点が減速を必要とするコーナーか否かを判断するようにし、減速が必要であるときには減速アクチュエータを作動せしめるようにしており、各ノード点毎に基準速度が定められるので、道路データの精度や情報量が多少劣るものであったとしても違和感なく自動減速を行うことができ、しかも半径が異なる複数の道路部分から成るコーナーにも的確に対応して自動減速を行うことができる。
【0008】
また請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、前記自車位置検出手段で検出された自車位置から次のノード点までの距離を求める距離算出手段と、前記自車位置検出手段で検出された自車位置から次のノード点までの基準減速度を設定する基準減速度設定手段と、前記自車位置検出手段で検出された自車位置、前記距離算出手段で算出された距離、ならびに前記基準減速度設定手段で設定された基準減速度を用いて次のノード点での車速を予測する車速予測手段とを含み、前記減速必要性判断手段は、ノード点で減速が必要であると判断した後では前記自車位置検出手段が自車位置を検出する毎に前記車速予測手段で予測した車速ならびに前記基準速度算出手段で得られた基準速度の比較によって減速の必要性を判断することを特徴とし、かかる構成によれば、現在のノード点から次のノード点に達するまでに、次のノード点までの距離の変化および基準減速度に基づいて次のノード点での車速を予測し、予測した車速および基準速度の比較に基づいて減速の必要性を判断するようにしているので、隣接ノード間での車両の走行途中で車両運転者によってブレーキ操作が行われたときや、各ノード点での減速の必要性判断時に基準速度ならびに車速検出手段で検出された車速間の差がごく小さなものであったりしたときに、無闇にブレーキアクチュエータを作動せしめることを回避し、頻繁なブレーキ制御が生じるのを防止することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0010】
図1〜図3は本発明の一実施例を示すものであり、図1は車両のブレーキ装置の構成を示す液圧系統図、図2は車両の運動制御装置の構成を示すブロック図、図3は道路データの一例を示す図である。
【0011】
先ず図1において、たとえば四輪車両に搭載されるマスタシリンダ1には、負圧ブースタ2を介してブレーキペダル4からブレーキ操作力が入力される。このマスタシリンダ1は、タンデム型に構成されるものであり、たとえば左前輪用車輪ブレーキBFおよび右後輪用車輪ブレーキBRに対応した第1出力ポート5と、たとえば右前輪用車輪ブレーキ(図示せず)および左後輪用車輪ブレーキ(図示せず)に対応した第2出力ポート6とを備え、第1および第2出力ポート5,6には出力液圧路7,8がそれぞれ個別に接続される。
【0012】
前記第1出力ポート5側のブレーキ装置と、前記第2出力ポート6側のブレーキ装置とは同一の構成を有するものであり、以下、第1出力ポート5側のブレーキ装置に関する部分だけについて説明し、第2出力ポート6側のブレーキ装置に関する部分についての説明を省略する。
【0013】
前記マスタシリンダ1の出力液圧は、吸入弁11および吐出弁12を備えるとともにモータ9で駆動されるポンプ10で増圧可能であり、該ポンプ10の吐出側すなわち吐出弁12は液圧路13に接続される。
【0014】
前記液圧路13および両車輪ブレーキBF,BR間には調圧手段14が設けられており、この調圧手段14は、左前輪用車輪ブレーキBFおよび液圧路13間に設けられる常開型電磁弁15と、右後輪用車輪ブレーキBRおよび液圧路13間に設けられる常開型電磁弁16と、各車輪ブレーキBF,BR側から前記液圧路13側へのブレーキ液の流通を許容して両常開型電磁弁15,16にそれぞれ並列に接続される一対の一方向弁17,18と、両車輪ブレーキBF,BRに共通である単一のリザーバ19と、各車輪ブレーキBF,BRおよびリザーバ19間にそれぞれ設けられる常閉型電磁弁20,21とを備え、リザーバ19は、ポンプ10の吸入側すなわち吸入弁11にチェック弁22を介して接続される。
【0015】
このような調圧手段14は、常開型電磁弁15,16を開弁するとともに常閉型電磁弁20,21を閉弁することにより液圧路13の液圧を各車輪ブレーキBF,BRにそれぞれ作用せしめる状態と、常開型電磁弁15,16を閉弁するとともに常閉型電磁弁20,21を閉弁することにより各車輪ブレーキBF,BRにのブレーキ液圧を保持する状態と、常開型電磁弁15,16を閉弁するとともに常閉型電磁弁20,21を開弁することにより各車輪ブレーキBF,BRのブレーキ液圧をリザーバ19に解放する状態とを切換可能であり、各常開型電磁弁15,16および各常閉型電磁弁20,21の開閉を制御することにより液圧路13の液圧を制御して車輪ブレーキBF,BRに作用せしめることができる。
【0016】
出力液圧路7は常閉型電磁弁23を介して前記ポンプ10の吸入側すなわち吸入弁11およびチェック弁22間に接続されるとともに、常開型電磁弁24を介して前記液圧路13に接続される。
【0017】
常開型電磁弁24には、出力液圧路7から液圧路13側へのブレーキ液の流通を許容する一方向弁26が並列に接続されるとともに、液圧路13の液圧がリリーフ圧よりも高いときに開弁して液圧路13から出力液圧路7側に液圧を解放するリリーフ弁27が並列に接続されており、該リリーフ弁27のリリーフ圧は調節可能である。
【0018】
前記常閉型電磁弁23、常開型電磁弁24、一方向弁26およびリリーフ弁27は、減速アクチュエータとしてのブレーキアクチュエータ28を共働して構成するものであり、このブレーキアクチュエータ28においては、常閉型電磁弁23を開くとともに常開型電磁弁24を閉じた状態で、リリーフ弁27のリリーフ圧を調節することにより、車両運転者のブレーキ操作入力に対するブレーキ出力の比であるブレーキ出力ゲイン{(液圧路13のブレーキ液圧/ブレーキペダル4の操作力)または(車両減速度/ブレーキペダル4の操作力)}を変更することを可能として、車輪ブレーキBF,BRに作用せしめるブレーキ圧、すなわち車輪ブレーキBF,BRが発揮するブレーキ力を調節することができる。また車両運転者の非ブレーキ操作時にも常閉型電磁弁23を開くとともに常開型電磁弁24を閉じた状態で、リリーフ弁27のリリーフ圧を調節することにより、車輪ブレーキBF,BRに調圧したブレーキ圧を作用せしめ、車輪ブレーキBF,BRを自動的に作動せしめることが可能である。
【0019】
前記ポンプ10を駆動するモータ9のオン・オフ作動、前記調圧手段14における各常開型電磁弁15,16および各常閉型電磁弁20,21の開閉作動、前記ブレーキアクチュエータ28における常閉型電磁弁23および常開型電磁弁24の開閉作動、ならびに前記リリーフ弁27のリリーフ圧は、減速制御手段としてのブレーキ制御ECU29により制御されるものであり、このブレーキ制御ECU29には、車速を検出する車速検出手段30、車両運転者によるブレーキペダル4の踏込み操作を検出するブレーキ操作検出手段31、マスタシリンダ1の出力圧である出力液圧路7の液圧を検出するブレーキマスタ圧検出手段32、ならびに車輪ブレーキBF,BRのブレーキ圧を検出する車輪ブレーキ圧検出手段33,34の各検出信号が入力される。
【0020】
図2を併せて参照して、車両が自車の前方にあるコーナーを安定して通過するにあたって減速が必要であるときには、車両運転者のブレーキ操作の有無にかかわらず、ブレーキアクチュエータ28の作動がブレーキ制御ECU29により制御されるのであるが、このブレーキ制御ECU29には、コーナー進入前の自動減速が必要であるか否かの判断、ならびに減速が必要であるときの減速度を示す信号がナビゲーションシステムECU35から入力される。
【0021】
ナビゲーションシステムECU35には、前記車速検出手段30およびブレーキ操作検出手段31からの検出信号が入力されるとともに、車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段36、GPSアンテナ37、車体横滑り角検出手段38、タイヤ横滑り角検出手段39およびタイヤスリップ率検出手段40等からの信号も入力される。
【0022】
ナビゲーションシステムECU35は、道路データを予め記憶するCD−ROM等の道路データ記憶手段41と、前記道路データ上に設定される複数のノード点での半径を検出するノード点半径検出手段42と、道路データ記憶手段41から読み出した道路データにGPSアンテナ37で受信した自車位置データを重ね合わせて前記道路データ上での自車位置を検出する自車位置検出手段43と、車体横滑り角検出手段38、タイヤ横滑り角検出手段39およびタイヤスリップ率検出手段40および車速検出手段30の検出値に基づいて走行路面の摩擦係数を推定する摩擦係数推定手段44と、前記自車位置検出手段43で検出される前記道路データ上での自車位置および次のノード点までの距離を算出する距離算出手段45と、基準減速度を設定する基準減速度設定手段46と、前記道路データ上のノード点での基準横加速度を設定する基準横加速度設定手段47と、前記ノード点上での基準速度を算出する基準速度算出手段48と、前記ノード点上での車速を予測する車速予測手段49と、次のノード点までの減速の必要性判断を行なう減速必要性判断手段50とを備える。
【0023】
道路データ記憶手段41では、図3で示すように、相互に間隔L0,L1…Lnをあけた複数のノード点N1,N2…Nn…から成る道路データが記憶されており、ノード点半径検出手段42では、少なくとも相互に隣接するノード点N1,N2…Nnの位置情報に基づく演算によって道路データ上の各ノード点N1,N2…Nnでの半径が検出される。すなわち各ノード点N1,N2…Nnのリンク交差角をθ1,θ2…θn(ラジアン)、ノード点Nnの両側の間隔をL(n−1)、Lnとしたときに、ノード点Nnにおける半径Rnが第(1)式に基づいて算出される。
【0024】
基準横加速度設定手段47では、コーナーを適切に通過する際の基準横加速度が設定されるのであるが、前記摩擦係数推定手段44で推定された摩擦係数の路面での限界横加速度に余裕をもたせた値が基準横加速度として基準横加速度設定手段47で設定されるものであり、路面の変化およびタイヤグリップ力の変化を考慮して、たとえば推定路面摩擦係数が低い場合には0.1G、推定路面摩擦係数が高い場合には0.2〜0.3G程度の値が、限界横加速度として基準横加速度設定手段47で設定される。
【0025】
基準速度算出手段48は、前記自車位置検出手段43で検出された自車位置、前記ノード点半径検出手段42で得られる半径、ならびに前記基準横加速度設定手段47で設定される基準横加速度に基づいて次のノード点での基準速度を各ノード点毎に演算するものであり、たとえばノード点N1で基準速度算出手段48は、次のノード点N2での基準速度を算出することになる。
【0026】
ここで、前記基準横加速度設定手段47で設定される基準横加速度をα、ノード点半径検出手段42で得られる半径をR、基準速度をVchとしたときに、
Vch=(α×R)1/2 ……(2)
によって基準速度Vchが基準速度算出手段48で得られることになる。
【0027】
減速必要性判断手段50は、各ノード点N1,N2…Nnにおいて、前記基準速度算出手段48で算出された基準速度Vchならびに前記車速検出手段30で得られた車速Vの比較によって、次のノード点までの減速の必要性を判断するとともに、減速が必要であると判断したときには、次のノード点に基準速度Vchで進入するのに必要となる必要減速度を算出するものであり、現在の自車の速度をVとし、基準速度をVchとし、次のノード点までの距離をLnとしたときに、減速必要性判断手段50は、必要減速度を{(V−Vch)2 /2Ln}として算出する。
【0028】
再び図2において、ブレーキ制御ECU29には、減速が必要であると減速必要性判断手段50が判断するのに応じた信号がナビゲーションシステムECU35から入力されるものであり、該ブレーキ制御ECU29は、減速必要性判断手段50で算出された必要減速度となるようにブレーキアクチュエータ28を作動せしめる。而してブレーキ制御ECU29は、非ブレーキ操作時にはブレーキアクチュエータ28による自動ブレーキで車両を減速させるものであり、ブレーキ操作時には、ブレーキ出力ゲインを変更しつつ必要な減速度が得られるようにブレーキアクチュエータ28を作動せしめることによる減速支援を実行することになる。
【0029】
ところで、ナビゲーションシステムECU35において、距離算出手段45、基準減速度設定手段46および車速予測手段49は、減速必要性判断手段50が各ノード点において減速が必要であると判断したときに有効に機能するものであり、距離算出手段45は、自車位置検出手段43で検出された自車位置から次のノード点までの距離を、隣接するノード点間を走行する間での演算サイクルC1,C2…Cn毎に、車速検出手段30で得られる車速、演算周期および道路データ記憶手段41の道路データおよび減速度に基づいて算出する。
【0030】
また基準減速度設定手段46は、自車位置検出手段43で検出された自車位置から次のノード点までの基準減速度を設定するものであり、ブレーキアクチュエータ28の作動によって簡単に得られる値であって車両運転者に違和感を与えることのない減速度が摩擦係数推定手段44による推定摩擦係数に応じて基準減速度設定手段46で設定されるものであり、たとえば0.1〜0.2G程度の減速度が基準減速度として基準減速度設定手段46で設定される。
【0031】
車速予測手段49は、前記自車位置検出手段43で検出された自車位置、前記距離算出手段45で算出された距離、ならびに前記基準減速度設定手段46で設定された基準減速度を用いて、次のノード点での車速を予測するものである。
【0032】
さらに減速必要性判断手段50は、ノード点N1,N2…のいずれかで減速が必要であると判断した後では自車位置検出手段43が自車位置を検出するたびに、すなわち演算サイクルC1,C2…Cn毎に、車速予測手段49で予測した車速ならびに基準速度算出手段48で得られた基準速度を比較することで減速の必要性を判断し、減速が必要であると判断したときには、前記距離算出手段45で算出した距離をLdとしたときに、必要減速度を{(V−Vch)2 /2Ld}として算出する。
【0033】
次にこの実施例の作用について説明すると、相互に間隔をあけて設定される複数のノード点N1,N2…Nn…で構成される道路データが道路データ記憶手段41で記憶されており、自車位置検出手段43で検出された自車位置と、ノード点半径検出手段42で検出される各ノード点N1,N2…Nn…での半径と、コーナーを適切に通過するために摩擦係数推定手段44で推定された摩擦係数に応じて基準横加速度設定手段47で設定される基準横加速度とに基づいて、次のノード点での基準速度が基準速度算出手段48で各ノード点毎に演算され、その基準速度と、車速検出手段30で得られた車速との比較により、減速必要性判断手段50が減速の必要性を判断するようにしている。
【0034】
すなわち道路データを構成する各ノード点N1,N2…Nn…毎に次のノード点が減速を必要とするコーナーか否かを判断することになり、減速が必要であるときにはコーナーを適切に通過するための基準横加速度以下となるように基準速度まで減速すべくブレーキアクチュエータ29を作動せしめるようにしており、各ノード点毎に基準速度が定められるので、道路データの精度や情報量が多少劣るものであったとしても違和感なく自動減速を行うことがでる。しかも半径が異なる複数の道路部分から成るコーナーにも的確に対応して自動減速を行うことが可能となる。
【0035】
また自車位置検出手段43で検出された自車位置から次のノード点までの距離が距離算出手段45で算出され、自車位置検出手段43で検出された自車位置から次のノード点までの基準減速度が基準減速度設定手段46で設定され、自車位置検出手段43で検出された自車位置、距離算出手段45で算出された距離、ならびに基準減速度設定手段46で設定された基準減速度を用いて次のノード点での車速が車速予測手段49で予測され、減速必要性判断手段50は、減速が必要であると判断した後では自車位置検出手段43が自車位置を検出するたびに前記車速予測手段49で予測した車速ならびに前記基準速度算出手段48で得られた基準速度の比較によって減速の必要性を判断している。
【0036】
したがって現在のノード点から次のノード点に達するまでに、次のノード点までの距離の変化および基準減速度に基づいて次のノード点での車速を予測し、予測した車速および基準速度の比較に基づいて減速の必要性を判断することになり、隣接ノード間での車両の走行途中で車両運転者によってブレーキ操作が行われたときや、各ノード点での減速の必要性判断時に基準速度ならびに車速検出手段30で検出された車速間の差がごく小さなものであったりしたときに、無闇にブレーキアクチュエータ28を作動せしめることを回避し、頻繁なブレーキ制御が生じるのを防止することができる。
【0037】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0038】
たとえば上記実施例では、減速アクチュエータとして、車輪ブレーキBF,BRのブレーキ液圧を調圧するブレーキアクチュエータ28を用いたが、スロットル開度を変化させるアクチュエータや、変速機のシフト位置を変化させるアクチュエータを減速アクチュエータとして用いるものにも本発明を適用することができ、それらのアクチュエータを並列して用いるようにしてもよい。
【0039】
また上記実施例では、ノード点半径検出手段42が、少なくとも相互に隣接するノード点N1,N2…Nnの位置情報に基づく演算により各ノード点N1,N2…Nnでの半径を検出するようにしたが、予め記憶した記憶データによって道路データ上の各ノード点N1,N2…Nnでの半径をノード点半径検出手段42で検出するようにしてもよい。
【0040】
さらに上記実施例では、摩擦係数推定手段44、距離算出手段45、基準減速度設定手段46、基準横加速度設定手段47、基準速度算出手段48、車速予測手段49および減速必要性判断手段50がナビゲーションシステムECU35に含まれるものとして説明したが、ブレーキ制御ECU29に、摩擦係数推定手段44、距離算出手段45、基準減速度設定手段46、基準横加速度設定手段47、基準速度算出手段48、車速予測手段49および減速必要性判断手段50が含まれていてもよく、ナビゲーションシステムECU35およびブレーキ制御ECU29を単一のECUに統合するようにしてもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の発明によれば、道路データの精度や情報量が多少劣るものであったとしても違和感なく自動減速を行うことができ、しかも半径が異なる複数の道路部分からなるコーナーにも的確に対応して自動減速を行うことができる。
【0042】
また請求項2記載の発明によれば、無闇に減速アクチュエータを作動せしめることを回避し、頻繁な減速制御が生じるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両のブレーキ装置の構成を示す液圧系統図である。
【図2】車両の運動制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】道路データの一例を示す図である。
【符号の説明】
28・・・減速アクチュエータとしてのブレーキアクチュエータ
29・・・減速制御手段としてのブレーキ制御ECU
30・・・車速検出手段
41・・・道路データ記憶手段
42・・・ノード点半径検出手段
43・・・自車位置検出手段
45・・・距離算出手段
46・・・基準減速度設定手段
47・・・基準横加速度設定手段
48・・・基準速度算出手段
49・・・車速予測手段
50・・・減速必要性判断手段
N1,N2,Nn・・・ノード点
Claims (2)
- 相互に間隔をあけて設定される複数のノード点(N1,N2…Nn)で構成される道路データを記憶する道路データ記憶手段(41)と、少なくとも相互に隣接するノード点(N1,N2…Nn)の位置情報に基づく演算または予め記憶した記憶データによって前記道路データ上の各ノード点(N1,N2…Nn)での半径を検出するノード点半径検出手段(42)と、前記道路データ上での自車位置を検出する自車位置検出手段(43)と、車速を検出する車速検出手段(30)と、コーナーを適切に通過する際の基準横加速度を定める基準横加速度設定手段(47)と、前記自車位置検出手段(43)で検出された自車位置、前記ノード点半径検出手段(42)で得られる半径、ならびに前記基準横加速度設定手段(47)で設定される基準横加速度に基づいて次のノード点での基準速度を各ノード点毎に演算する基準速度算出手段(48)と、該基準速度算出手段(48)で算出された基準速度ならびに前記車速検出手段(30)で得られた車速の比較によって減速の必要性を判断する減速必要性判断手段(50)と、作動時に車両を減速させ得る減速アクチュエータ(28)と、前記減速必要性判断手段(50)で減速が必要と判断されたときに前記減速アクチュエータ(28)を作動せしめることを可能として前記減速アクチュエータ(28)の作動を制御する減速制御手段(29)とを備えることを特徴とする車両の運動制御装置。
- 前記自車位置検出手段(43)で検出された自車位置から次のノード点までの距離を求める距離算出手段(45)と、前記自車位置検出手段(43)で検出された自車位置から次のノード点までの基準減速度を設定する基準減速度設定手段(46)と、前記自車位置検出手段(43)で検出された自車位置、前記距離算出手段(45)で算出された距離、ならびに前記基準減速度設定手段(46)で設定された基準減速度を用いて次のノード点での車速を予測する車速予測手段(49)とを含み、前記減速必要性判断手段(50)は、ノード点で減速が必要であると判断した後では前記自車位置検出手段(43)が自車位置を検出する毎に前記車速予測手段(49)で予測した車速ならびに前記基準速度算出手段(48)で得られた基準速度の比較によって減速の必要性を判断することを特徴とする請求項1記載の車両の運動制御装置。
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Cited By (2)
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JP2006193038A (ja) * | 2005-01-13 | 2006-07-27 | Honda Motor Co Ltd | 車両の運動状態制御装置 |
KR100781102B1 (ko) | 2005-02-18 | 2007-11-30 | 도요다 지도샤 가부시끼가이샤 | 차량의 감속 제어 장치 |
-
2003
- 2003-05-15 JP JP2003137799A patent/JP2004341833A/ja active Pending
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