JP2004339207A - 新規ラクタムアルコール誘導体、ラクタムアルコール誘導体から調製される不斉還元触媒溶液、その調製方法並びにそれを用いた光学活性アルコール類の製造方法 - Google Patents
新規ラクタムアルコール誘導体、ラクタムアルコール誘導体から調製される不斉還元触媒溶液、その調製方法並びにそれを用いた光学活性アルコール類の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 工業的に有用な不斉還元触媒溶液及びそれを用いた光学活性アルコール類の製造方法を提供する。
【解決手段】 下記一般式(3)又は一般式(4)で示される光学活性ラクタム誘導体とボラン類を反応させ不斉還元触媒溶液を調製し、これを用い非対称ケトン類を不斉還元し、光学活性アルコール類を得る。
【化1】
(式中、R1、R2は各々独立して、水素、メチル基、エチル基、炭素数3〜10の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜10の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルコキシ基、又はハロゲン原子を示し、m及びnは各々独立して0〜5の整数を示す。)
【化2】
(式中、R1、R2は上記と同じ定義である。)
【選択図】 なし
【解決手段】 下記一般式(3)又は一般式(4)で示される光学活性ラクタム誘導体とボラン類を反応させ不斉還元触媒溶液を調製し、これを用い非対称ケトン類を不斉還元し、光学活性アルコール類を得る。
【化1】
(式中、R1、R2は各々独立して、水素、メチル基、エチル基、炭素数3〜10の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜10の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルコキシ基、又はハロゲン原子を示し、m及びnは各々独立して0〜5の整数を示す。)
【化2】
(式中、R1、R2は上記と同じ定義である。)
【選択図】 なし
Description
本発明は不斉還元触媒溶液及びそれを用いた光学活性アルコール類の製造方法に関する。不斉還元により得られる光学活性アルコール類は医農薬の製造中間体として有用である。
従来、光学活性プロリンよる誘導される下記式(5)
一方、ラセミ体のピログルタミン酸を原料とし、メチルエステルへ誘導、ジフェニル化、ボラン還元、次いで光学活性なO−アセチルマンデル酸で分別再結晶することにより光学活性な下記式(6)
E.J.Corey,et.,al.,J.Org.Chem.,53,2861−2863(1988)
E.J.Corey,et.,al.,J.Am.Chem.Soc.,109,5551−5553(1987)
E.J.Corey,et.,al.,J.Am.Chem.Soc.,109,7925−7926(1987)
しかしながら、上記式(5)で示される不斉還元触媒は、プロリンより誘導される上記式(6)で示されるラクタムアルコールと過剰のボラン−THF溶液とを加熱下、48時間反応することにより調製され、また過剰のボランを除去、単離後に得ており、簡便に得られる触媒とはいえない。
また、ラセミ体のピログルタミン酸より上記式(6)で示される化合物又はその鏡像体を得る方法は、その製造の過程でボラン還元を行っているが、その溶液が不斉還元性能を持つことは知られていない。
本発明者らは、光学活性なピログルタミン酸より誘導されるラクタムアルコール誘導体を原料とし、ボラン類で容易に不斉還元触媒を含有する溶液が製造可能であることを見出し、さらに不斉還元触媒を単離精製することなく、非対称ケトン類の不斉還元反応が行え、高光学純度の光学活性アルコール類が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下に示される、新規ラクタムアルコール誘導体、不斉還元触媒溶液、その調製方法並びにそれを用いた光学活性アルコール類の製造方法である。
(1)下記一般式(1)又は一般式(2)で示されるラクタムアルコール誘導体。
(2)一般式(1)又は一般式(2)において、R1、R2が各々独立して、メチル基、メトキシ基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基、又はフッ素原子を示し、m及びnは1又は2の整数を示すことを特徴とする上記(1)に記載のラクタムアルコール誘導体。
(3)下記一般式(3)又は一般式(4)で示されるラクタムアルコール誘導体とボラン類より調製される不斉還元触媒溶液。
(4)一般式(3)又は一般式(4)において、R1、R2が各々独立して、メチル基、メトキシ基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基、又はフッ素原子を示し、m及びnは1又は2の整数を示すことを特徴とする上記(3)に記載の不斉還元触媒溶液。
(5)下記一般式(3)又は一般式(4)で示されるラクタムアルコール誘導体とボラン類を反応させることを特徴とする上記(3)又は(4)に記載の不斉還元触媒溶液の製造方法。
(6)一般式(3)又は一般式(4)において、R1、R2が各々独立して、メチル基、メトキシ基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基、又はフッ素原子を示し、m及びnは1又は2の整数を示すことを特徴とする上記(5)に記載の不斉還元触媒溶液の製造方法。
(7)上記(3)又は(4)に記載の不斉還元触媒溶液を用い、非対称ケトン類を還元することを特徴とする光学活性アルコール類の製造方法。
本発明を以下詳細に説明する。
本発明のラクタムアルコール誘導体は、上記一般式(1)又は一般式(2)で示される化合物であり、例えば、光学活性ピログルタミン酸エチルエステルと有機金属試薬を、溶剤存在下、−20〜50℃の温度範囲で1〜24時間反応させることにより調製される。
本発明の上記一般式(1)又は一般式(2)で示されるラクタムアルコール誘導体としては、特に限定するものではないが、具体的には、(S)−5−[ヒドロキシビス(3−メチルフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン、(S)−5−[ヒドロキシビス(4−メチルフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン、(S)−5−[ヒドロキシビス(3,5−ジメチルフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン、(S)−5−[ヒドロキシビス(3−エチルフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン、(S)−5−[ヒドロキシビス(4−エチルフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン、(S)−5−[ヒドロキシビス(3,5−ジエチルフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン、(S)−5−[ヒドロキシビス(3−i−プロピルフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン、(S)−5−[ヒドロキシビス(4−i−プロピルフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン、(S)−5−[ヒドロキシビス(3,5−ジ−i−プロピルフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン、(S)−5−[ヒドロキシビス(3−メトキシフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン、(S)−5−[ヒドロキシビス(4−メトキシフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン、(S)−5−[ヒドロキシビス(3,5−ジメトキシフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン、(S)−5−[ヒドロキシビス(3−エトキシフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン、(S)−5−[ヒドロキシビス(4−エトキシフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン、(S)−5−[ヒドロキシビス(3,5−ジエトキシフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン、(S)−5−[ヒドロキシビス(3−i−プロポキシフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン、(S)−5−[ヒドロキシビス(4−i−プロポキシフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン、(S)−5−[ヒドロキシビス(3,5−ジ−i−プロポキシフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン、(S)−5−[ヒドロキシビス(3−フルオロフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン、(S)−5−[ヒドロキシビス(4−フルオロフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン、(S)−5−[ヒドロキシビス(3,5−ジフルオロフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン、(S)−5−[ヒドロキシビス(3−トリフルオロメチルフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン、(S)−5−[ヒドロキシビス(4−トリフルオロメチルフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン、(S)−5−[ヒドロキシビス(4−ビフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン、(S)−5−[ヒドロキシビス(3,5−ジフェニルフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン等が例示され、これらの鏡像体である(R)体も含む。
本発明の不斉還元触媒溶液は、上記一般式(3)又は一般式(4)で示されるラクタムアルコール類とボラン類との反応により調製される。
本発明の不斉還元触媒溶液においては、上記一般式(3)又は一般式(4)で示されるラクタムアルコール類とボラン類との反応により、キラルなオキサザボロジン触媒が生成し、それにさらにボランが付加しているものと推定される。また、ボラン過剰ではオキサザボロリジンのボラン付加物までなっているものと考えられる(下式参照)
本発明の不斉還元触媒溶液の調製方法としては、例えば、前記一般式(3)又は一般式(4)で示されるラクタムアルコール誘導体をテトラヒドロフラン(以下、THFと略す)等に代表されるエーテル系溶剤の溶液とし、これににボランを添加し調製する。
本発明に適用可能なボラン類としては、特に限定するものではないが、具体的には、ジボラン、ボラン−アンモニア錯体、ボラン−tert−ブチルアミン錯体、ボラン−N,N−ジメチルアニリン錯体、ボラン−ジメチルアミン錯体、ボラン−ジフェニルフォスフィン錯体、ボラン−4−エチルモルフォリン錯体、ボラン−メチルスルフィド錯体、ボラン−ジオキサン錯体、ボラン−ピリジン錯体、ボラン−THF錯体、ボラン−トリエチルアミン錯体等が例示され、これら単独、又はこれらボラン類を反応に不活性な溶剤に希釈し溶液としたものを用いることができる。
本発明の不斉還元触媒溶液の調製に使用するボラン類としては、通常の市販品を用いることができる。また、調製に際して、ボランの使用量としては、特に限定するものではないが、反応に用いる上記一般式(3)又は一般式(4)で示されるラクタムアルコール誘導体1モルに対して1.60モル以上使用すれば良い。ボラン類の添加方法としては、次反応の非対称ケトン類の不斉還元に必要な量を一括で添加しても良いし、また分割して添加しても良い。
本発明の不斉還元触媒溶液の調製に当って、反応に用いる上記一般式(3)又は一般式(4)で示される基質の濃度は、特に限定するものではないが、0.01重量%〜50重量%の範囲で実施することが好ましい。
本発明の不斉還元触媒溶液の調製温度としては、特に限定するものではないが、−20℃〜50℃の反応温度にすれば、1分〜2時間の反応で容易に調製される。
本発明の不斉還元触媒溶液は、例えば、非対称ケトン類を還元して光学活性アルコール類を製造する方法において、不斉還元触媒として使用される。本発明においては、本発明の不斉還元触媒溶液を、調製後、直ちに次反応の非対称ケトン類の還元に用いても良いし、保存し、必要に応じて分割して用いても良い。
本発明の不斉還元に適用可能な非対称ケトン類としては、特に限定するものではないが、具体的には、メチルイソブチルケトン、メチル−tert−ブチルケトン、エチルイソブチルケトン、エチル−tert−ブチルケトン、n−プロピルイソブチルケトン、n−プロピル−tert−ブチルケトン、シクロヘキシルメチルケトン、3−フェニルブタン−2−オン、アセトフェノン、フェニルエチルケトン、(4−クロロフェニル)メチルケトン、フェニル(クロロメチル)ケトン、1−インダノン、α−テトラロン等が例示される。
本発明の不斉還元反応の実施にあたり、不斉触媒溶液の調製に使用する上記一般式(3)又は一般式(4)で示される化合物の量としては、反応に使用する非対称ケトン類に対して、0.1モル%〜100モル%の範囲で使用可能である。
また、不斉還元時に使用するボラン類の量としては、反応に使用する非対称ケトン類1モルに対して、理論的には0.33モルの使用で充分であるが、安定に反応を行うためには、通常0.5〜10モルの範囲で用いることが好ましく、1〜5モルの範囲で用いることがさらに好ましい。不斉還元反応に用いるボラン類は、前記一般式(3)又は一般式(4)で示される化合物から、本発明の不斉還元触媒溶液を調製する際に、予め必要量を過剰に添加しておいてもよいし、また、調製した不斉還元触媒溶液にさらに必要量のボラン類を添加して反応を行ってもよい。
本発明の不斉還元反応の反応温度としては、特に限定するものではないが、通常−30℃〜50℃の範囲で実施可能で、反応時間としては反応に用いる基質の種類により異なり、特に限定するものではないが、通常6〜48時間で反応は完結する。
反応終了後の後処理としては、特に限定するものではないが、例えば、塩酸水溶液を添加の後、有機溶剤で抽出、乾燥、シリカゲルカラム等で精製することにより目的物の光学活性アルコール類を得る。
本発明によれば、不斉還元触媒溶液を調製するための新規化合物が提供される。
また、本発明によれば、不斉還元触媒溶液を従来法に比べ簡便に得ることができる。
そして、本発明の不斉還元触媒溶液を用いれば、非対称ケトン類の不斉還元反応を行うことにより、高純度の光学活性アルコール類を容易に得ることが可能となる。
したがって、本発明は工業的に極めて有用である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
なお、光学純度の測定に当っては、ダイセル化学製キラルセルODカラムを用い、HPLCで測定した。絶対構造について、HPLC分析値、比旋光度測定値、及び文献既知の値より決定した。
また、実施例における各種測定には以下に示す分析機器を用いた。
(1H−NMR及び13C−NMR測定)
Varian製Gemini−200を使用。
Varian製Gemini−200を使用。
(赤外吸光測定)
Perkin Elmer製2000FT−IRを使用。
(質量分析 EI−MS)
日立製M−80Bを使用。
(比旋光度)
堀場製作所製SEPA−300を使用。
Perkin Elmer製2000FT−IRを使用。
(質量分析 EI−MS)
日立製M−80Bを使用。
(比旋光度)
堀場製作所製SEPA−300を使用。
[実施例1] (S)−5−[ヒドロキシビス(4−フルオロフェニル)メチル]ピロリジン−2−オンの調製
滴下ロート及び攪拌子を備えた50mlの3つ口丸底フラスコにマグネシウム(1.24g,50.9mmol)を入れ、窒素置換した後、これに少量のヨウ素及びジエチルエーテル(9ml)を入れ、室温下、30分攪拌した。次いで、0℃に冷却の後、滴下ロートより、1−ブロモ−4−フルオロベンゼン(8.91g,50.9mmol)のジエチルエーテル(8ml)溶液を1時間かけて滴下した後、40℃に昇温し、4時間反応を行った。
滴下ロート及び攪拌子を備えた50mlの3つ口丸底フラスコにマグネシウム(1.24g,50.9mmol)を入れ、窒素置換した後、これに少量のヨウ素及びジエチルエーテル(9ml)を入れ、室温下、30分攪拌した。次いで、0℃に冷却の後、滴下ロートより、1−ブロモ−4−フルオロベンゼン(8.91g,50.9mmol)のジエチルエーテル(8ml)溶液を1時間かけて滴下した後、40℃に昇温し、4時間反応を行った。
反応終了後、0℃に冷却した後、水(32ml)、酢酸(5ml)、次いで水(30ml)を添加、ジエチルエーテル(20ml×3回)の後、抽出液を合わせて、硫酸マグネシウム上で乾燥、ろ過、濃縮、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/酢酸エチル=2/1vol/vol)で精製することにより目的物の(S)−5−[ヒドロキシビス(4−フルオロフェニル)メチル]ピロリジン−2−オン(1.49g、収率39%)を淡褐色固体として得た。
1H−NMR(CDCl3)δ1.86−2.00(m,1H),2.00−2.26(m,3H),4.21(m,1H),4.71(dd,1H,J=7.6、8.0Hz),6.11(s,1H),7.40−7.90(m,8H)。
13C−NMR(CDCl3)δ179.8,148.8,146.6,130.2,129.9,129.2,126.4,125.7,125.4,97.3,78.5,60.3,30.2,21.5。
[実施例2] (S)−5−[ヒドロキシビス(4−トリフルオロメチルフェニル)メチル]ピロリジン−2−オンの調製
実施例1と同じ反応装置を用い、1−ブロモ−4−フルオロベンゼンに替えて1−ブロモ−4−トリフルオロメチルベンゼンに替えた以外、実施例1と同じ操作で目的物の(S)−5−[ヒドロキシビス(4−トリフルオロメチルフェニル)メチル]ピロリジン−2−オンを得た(収率30%,微黄色粉末)。
実施例1と同じ反応装置を用い、1−ブロモ−4−フルオロベンゼンに替えて1−ブロモ−4−トリフルオロメチルベンゼンに替えた以外、実施例1と同じ操作で目的物の(S)−5−[ヒドロキシビス(4−トリフルオロメチルフェニル)メチル]ピロリジン−2−オンを得た(収率30%,微黄色粉末)。
1H−NMR(CDCl3)δ1.90−2.02(m,1H),2.02−2.36(m,3H),4.41(s,1H),4.65(dd,1H,J=4.8,8.2Hz),6.01(s,1H),6.80−7.60(m,8H)。
13C−NMR(CDCl3)δ179.5,164.1,164.0,159.2,159.1,141.0,139.0,127.4,115.2,48.0,60.6,30.2,21.5。
[実施例3] (S)−5−[ヒドロキシビス(4−メチルフェニル)メチル]ピロリジン−2−オンの調製
実施例1と同じ反応装置を用い、1−ブロモ−4−フルオロベンゼンに替えて4−ブロモトルエンに替えた以外、実施例1と同じ操作で目的物の(S)−5−[ヒドロキシビス(4−メチルフェニル)メチル]ピロリジン−2−オンを得た(収率33%,淡褐色粉末)。
実施例1と同じ反応装置を用い、1−ブロモ−4−フルオロベンゼンに替えて4−ブロモトルエンに替えた以外、実施例1と同じ操作で目的物の(S)−5−[ヒドロキシビス(4−メチルフェニル)メチル]ピロリジン−2−オンを得た(収率33%,淡褐色粉末)。
1H−NMR(CDCl3)δ1.90−2.00(m,1H),2.00−2.20(m,1H),2.20−2.50(m,2H),2.28(s,3H),2.30(s,3H),4.21(s,1H),4.68(dd,1H,J=4.8,8.0Hz),5.70(s,1H),7.00−7.20(m,8H)。
13C−NMR(CDCl3)δ179.3,142.4,140.5,137.0,136.6,129.4,128.9,125.6,125.5,78.6,60.7,30.4,21.7,21.0。
[実施例4] (S)−5−[ヒドロキシビス(4−メトキシフェニル)メチル]ピロリジン−2−オンの調製
実施例1と同じ反応装置を用い、1−ブロモ−4−フルオロベンゼンに替えて4−ブロモアニソールに替えた以外、実施例1と同じ操作で目的物の(S)−5−[ヒドロキシビス(4−メトキシフェニル)メチル]ピロリジン−2−オンを得た(収率27%,淡褐色粉末)。
実施例1と同じ反応装置を用い、1−ブロモ−4−フルオロベンゼンに替えて4−ブロモアニソールに替えた以外、実施例1と同じ操作で目的物の(S)−5−[ヒドロキシビス(4−メトキシフェニル)メチル]ピロリジン−2−オンを得た(収率27%,淡褐色粉末)。
1H−NMR(CDCl3)δ1.90−2.00(m,1H),2.00−2.18(m,1H),2.18−2.42(m,2H),3.61(s,1H),3.76(s,3H),3.78(s,3H),4.62(dd,1H,J=4.0,5.2Hz),5.62(s,1H),6.75−7.25(m,8H)。
13C− NMR(CDCl3)δ179.0,158.2,137.3,135.6,126.8,113.9,113.4,78.1,60.7,30.3,21.6。
[実施例5] (S)−5−[ヒドロキシビス(4−ビフェニル)メチル]ピロリジン−2−オンの調製
実施例1と同じ反応装置を用い、1−ブロモ−4−フルオロベンゼンに替えて4−ブロモビフェニルに替えた以外、実施例1と同じ操作で目的物の(S)−5−[ヒドロキシビス(4−ビフェニル)メチル]ピロリジン−2−オンを得た。
実施例1と同じ反応装置を用い、1−ブロモ−4−フルオロベンゼンに替えて4−ブロモビフェニルに替えた以外、実施例1と同じ操作で目的物の(S)−5−[ヒドロキシビス(4−ビフェニル)メチル]ピロリジン−2−オンを得た。
比旋光度[α]D 19=−29.4(c 1.00,EtOH)。
mp228−229℃。
IR(KBr)3370,1692,1486,1405,1007,836,767,745,696cm−1。
1H−NMR(CDCl3)δ1.98−2.07(m,1H),2.13−2.22(m,1H),2.25−2.43(m,2H),3.53(s,1H),4.80(dd,1H,J=5.0,7.9Hz),5.54(s,1H),7.31−7.45(m,6H),7.54−7.60(m,12H)。
13C− NMR(CDCl3)δ179.5,144.3,142.2,140.7,140.6,140.4,140.2,129.0,128.9,127.8,127.7,127.5,127.3,127.2,126.3,126.3,78.7,60.8,30.3,21.7。
EI−MS C29H25NO2(M+):334(6%),306(15%),181(100%),152(83%)。
[実施例6] (S)−5−[ヒドロキシビス(4−tert−ブチルフェニル)メチル]ピロリジン−2−オンの調製
実施例1と同じ反応装置を用い、1−ブロモ−4−フルオロベンゼンに替えて1−ブロモ−4−tert−ブチルベンゼンに替えた以外、実施例1と同じ操作で目的物の(S)−5−[ヒドロキシビス(4−tert−ブチルフェニル)メチル]ピロリジン−2−オンを得た。
実施例1と同じ反応装置を用い、1−ブロモ−4−フルオロベンゼンに替えて1−ブロモ−4−tert−ブチルベンゼンに替えた以外、実施例1と同じ操作で目的物の(S)−5−[ヒドロキシビス(4−tert−ブチルフェニル)メチル]ピロリジン−2−オンを得た。
比旋光度[α]D 19=−36.0(c 1.00,EtOH)
mp239−247℃。
mp239−247℃。
IR(KBr)3393,2963,1695,1509,1407,1362,1269,1109,1018,822,581cm−1。
1H−NMR(CDCl3)δ1.27(s,9H),1.30(s,9H),1.98−2.04(m,1H),2.07−2.15(m,1H),2.19−2.34(m,2H),3.07(s,1H),4.67(dd,1H,J=4.9,7.8Hz),5.38(s,1H),7.26−7.40(m,8H)。
13C−NMR(CDCl3)δ179.0,150.4,149.9,142.1,140.0,125.8,125.4,125.3,125.2,78.6,60.8,34.4,34.4,31.3,30.2,21.7。
EI−MS C25H33NO2 (M+):379(0.8%),361(5%),295(100%),161(35%)。
[実施例7] (S)−5−[ヒドロキシビス(3,5−ジメチルフェニル)メチル]ピロリジン−2−オンの調製
実施例1と同じ反応装置を用い、1−ブロモ−4−フルオロベンゼンに替えて1−ブロモ−3,5−ジメチルベンゼンに替えた以外、実施例1と同じ操作で目的物の(S)−5−[ヒドロキシビス(3,5−ジメチルフェニル)メチル]ピロリジン−2−オンを得た。
実施例1と同じ反応装置を用い、1−ブロモ−4−フルオロベンゼンに替えて1−ブロモ−3,5−ジメチルベンゼンに替えた以外、実施例1と同じ操作で目的物の(S)−5−[ヒドロキシビス(3,5−ジメチルフェニル)メチル]ピロリジン−2−オンを得た。
比旋光度[α]D 19=−35.3(c 1.00,EtOH)。
mp182−183℃。
IR(KBr)3453,2915,1683,1604,1458,1287,1146,849,716cm−1。
1H−NMR(CDCl3)δ1.8−2.02(m,1H)2.08−2.16(m,1H),2.24−2.36(m,2H),2.29(s,6H),2.30(s,6H),2.45(s,1H),4.71(dd,1H,J=5.5,8.2Hz),5.44(s,1H),6.86(s,1H),6.89(s,1H),7.04(s,2H),7.07(s,2H)。
13C−NMR(CDCl3)δ179.0,145.2,143.0,138.4,137.7,129.2,128.8,123.3,123.3,78.5,60.6,30.3,21.5。
EI−MS C21H25NO2(M+):323(7%),305(9%),239(100%),133(100%),105(100%)。
[実施例8]
攪拌子を備えた10mlの丸底フラスコに、(−)−(S)−5−(ヒドロキシジフェニルメチル)ピロリジン−2−オン(26.7mg,0.5mmol,10%/アセトフェノン)及び乾燥THF(2ml)を入れ攪拌し、溶解させた。次いでこれにボラン−THF錯体溶液(1M,1ml)を入れ、アルゴン気流下、室温で5分攪拌し不斉還元触媒及び過剰のボラン−THFからなる溶液を調製した。
攪拌子を備えた10mlの丸底フラスコに、(−)−(S)−5−(ヒドロキシジフェニルメチル)ピロリジン−2−オン(26.7mg,0.5mmol,10%/アセトフェノン)及び乾燥THF(2ml)を入れ攪拌し、溶解させた。次いでこれにボラン−THF錯体溶液(1M,1ml)を入れ、アルゴン気流下、室温で5分攪拌し不斉還元触媒及び過剰のボラン−THFからなる溶液を調製した。
さらにこれに、アセトフェノン(120mg,1mmol)のTHF(1ml)溶液を滴下し、反応を行った。
シリカゲル薄層クロマトグラフィーで10分後に原料のアセトフェノンの消失を確認の後、2N−HCl水4mlを添加、酢酸エチル(5ml×3回)抽出、硫酸マグネシウム上で乾燥、シリカゲルカラムで原点成分を除去した後、目的物1−フェニルエタノール(118mg,97%)を得た。HPLC測定の結果、生成物は(R)−体で、光学純度は97%eeであった。
[実施例9〜実施例15]
実施例8と同じ操作で不斉還元触媒及び過剰のボラン−THF錯体溶液からなる溶液を調製し、アセトフェノンを表1中に示した非対称ケトンに替え、表1中に示した条件下反応を行った。結果を表1中にあわせて示す。なお、実施例13の還元生成物についてはp−ニトロ安息香酸エステルに誘導し、実施例8と同様にHPLCにより光学純度を測定した。
実施例8と同じ操作で不斉還元触媒及び過剰のボラン−THF錯体溶液からなる溶液を調製し、アセトフェノンを表1中に示した非対称ケトンに替え、表1中に示した条件下反応を行った。結果を表1中にあわせて示す。なお、実施例13の還元生成物についてはp−ニトロ安息香酸エステルに誘導し、実施例8と同様にHPLCにより光学純度を測定した。
実施例8と同じ反応装置を用い、ボラン−THF錯体をボラン−ジメチルスルフィド錯体に替えた以外、実施例8と同じ操作で反応を行った。得られた1−フェネチルアルコールの収率は82%、81%ee(R)であった。
[実施例17〜実施例23]
実施例8と同じ反応装置を用い、(S)−5−[ヒドロキシビス(フェニル)メチル]ピロリジン−2−オンに替えて、実施例1〜実施例7で調製したラクタムアルコールを用いた以外、実施例8と同じ操作で反応を行った。結果を表2中にあわせて示す。
実施例8と同じ反応装置を用い、(S)−5−[ヒドロキシビス(フェニル)メチル]ピロリジン−2−オンに替えて、実施例1〜実施例7で調製したラクタムアルコールを用いた以外、実施例8と同じ操作で反応を行った。結果を表2中にあわせて示す。
Claims (7)
- 一般式(1)又は一般式(2)において、R1、R2が各々独立して、メチル基、メトキシ基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基、又はフッ素原子を示し、m及びnは1又は2の整数を示すことを特徴とする請求項1に記載のラクタムアルコール誘導体。
- 一般式(3)又は一般式(4)において、R1、R2が各々独立して、メチル基、メトキシ基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基、又はフッ素原子を示し、m及びnは1又は2の整数を示すことを特徴とする請求項3に記載の不斉還元触媒溶液。
- 一般式(3)又は一般式(4)において、R1、R2が各々独立して、メチル基、メトキシ基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基、又はフッ素原子を示し、m及びnは1又は2の整数を示すことを特徴とする請求項5に記載の不斉還元触媒溶液の製造方法。
- 請求項3又は請求項4に記載の不斉還元触媒溶液を用い、非対称ケトン類を還元することを特徴とする光学活性アルコール類の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004122850A JP2004339207A (ja) | 2003-04-21 | 2004-04-19 | 新規ラクタムアルコール誘導体、ラクタムアルコール誘導体から調製される不斉還元触媒溶液、その調製方法並びにそれを用いた光学活性アルコール類の製造方法 |
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JP2003116234 | 2003-04-21 | ||
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008073591A (ja) * | 2006-09-20 | 2008-04-03 | Tosoh Corp | 不斉還元触媒、その溶液、その調製方法並びにそれを用いた光学活性アルコール類の製造方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04224556A (ja) * | 1990-04-18 | 1992-08-13 | Merck & Co Inc | ケトンの還元用キラル触媒とその製法 |
-
2004
- 2004-04-19 JP JP2004122850A patent/JP2004339207A/ja active Pending
Patent Citations (1)
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JPH04224556A (ja) * | 1990-04-18 | 1992-08-13 | Merck & Co Inc | ケトンの還元用キラル触媒とその製法 |
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JP2008073591A (ja) * | 2006-09-20 | 2008-04-03 | Tosoh Corp | 不斉還元触媒、その溶液、その調製方法並びにそれを用いた光学活性アルコール類の製造方法 |
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