JP2004335393A - メタルマスクおよびそれを用いた有機el表示装置の製法 - Google Patents

メタルマスクおよびそれを用いた有機el表示装置の製法 Download PDF

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Abstract

【課題】アディティブ法を用いることにより高精細なメタルマスクを形成しながら、成膜する際に熱膨張によるパターンのずれの影響を小さくすることができるメタルマスクを提供する。
【解決手段】パターン成形に適した金属材料からなり、所望のパターンの開口部13が形成された第1金属膜11の開口部13以外の一面側に第2金属膜12が付着して設けられている。そして、第2金属膜12は、その熱膨張係数が第1金属膜11の熱膨張係数の30〜70%である材料からなり、かつ、第1金属膜11よりも薄く形成されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機物のエレクトロルミネッセンス(EL)を利用した有機EL表示装置を製造する場合などに用いられるメタルマスクおよびそれを用いた有機EL表示装置の製法に関する。さらに詳しくは、たとえばアディティブ法でメタルマスクを作製する場合のように、その材料として任意に選定することができず、熱膨張係数の大きい材料を使用しなければならない場合でも、マスクとして使用する場合に、その熱膨張係数によるパターンの誤差を小さくできるようにしたメタルマスクおよびそれを用いた有機EL表示装置の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL表示装置などを製造する場合に、画素間などで分離する必要があるときに、有機層や上部電極層をパターニングするのが困難なため、基板上にメタルマスクを設けて有機層や上部電極層を真空蒸着法などにより成膜する方法が用いられている。この有機EL表示装置用の有機層や電極層を形成する場合、基板側は殆ど温度を上昇させないで蒸着することができるが、蒸着する材料は温度を上げて蒸発させ、基板側に飛散させることにより行われるため、成膜用の材料源としては、350〜450℃程度に温度が上げられ、輻射熱により基板側も温度が多少上昇し、メタルマスクの温度も50〜70℃程度に上昇する。
【0003】
このようなメタルマスクは、従来、単一の金属板が用いられ、開口パターンは、レーザ法、エッチング法、アディティブ法(電気鋳造法)などにより形成されている。このメタルマスクは、薄いほど実際に成膜するパターンを正確に形成することができるため好ましいが、取扱いの際の機械的強度などの観点から、50μm程度以上は必要となり、この程度の厚さを有すると、斜めからこの開口パターンに有機材料などが蒸発してきた場合でも、メタルマスクにより影が形成されないようにするため、図3に示されるように、メタルマスク51の開口パターン53をメタルマスク51の厚さ方向に対して、テーパ状53aに形成しておく必要がある。この観点から、レーザ法では、垂直な開口部しか形成することができなかったり、メタルマスクの材料によっては、開口部53の切り口がミクロ的には凸凹し、またエッチング法でも、同様の問題があると共に、開口パターン53を一定に形成することが難しく、精密なパターンを形成することができないという問題がある。
【0004】
そのため、高精細なパターンを必要とするメタルマスクの場合には、アディティブ法が用いられるが、アディティブ法では、メッキのように、電気を流しながら薄膜を形成する方法で製造するため、その材料を自由に選択することができず、Ni系(NiまたはNiにCoなどの他の元素を僅かに添加したもの)材料に限定されてしまう。
【0005】
一方、基板温度を150℃以上の高温にし、金属多層膜を蒸着により形成する場合に、メタルマスクの反りの増大により、基板上に形成された薄膜パターンにキズがつくのを防止するため、メタルマスクの基板側に熱膨張係数の小さい合成樹脂層を設け、メタルマスクの反対側、すなわち蒸着材料源側に熱膨張係数の大きい合成樹脂をコーティングしたメタルマスクも提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−25561号公報(図2)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、メタルマスクを製造する場合、有機EL表示装置用の高精細なマスクを形成するにはアディティブ法を用いる必要があるが、アディティブ法では、メタルマスクの母材として、その材料がNi系に限定されてしまう。しかし、Ni系材料は、熱膨張係数が大きく(純Niの線膨張率は15.0×10−6/K)、42合金(Niが42at%、Feが58at%)やインバー(NiとFeとCoの合金)などの熱膨張係数の小さい材料に比べて、2倍か1桁程度大きい。
【0008】
このメタルマスクは、通常成膜する基板と僅かな隙間を設けて、成膜材料源と対向するように配置され、材料源の温度を上昇させて蒸発させることにより成膜されるため、材料源の温度は350〜450℃程度になり、その材料源と対向して設けられるメタルマスクも50〜70℃程度まで上昇する。そのため、メタルマスクの熱膨張係数が大きいと、メタルマスクが膨張し、メタルマスクの開口パターンのずれが生じ、正確なパターンで有機半導体層や電極層を形成することができないという問題がある。一方、熱膨張係数の小さい材料を用いようとすると、前述のように、アディティブ法を用いることができず、レーザ法またはエッチング法では高精細なパターンを形成することができない。そのため、メタルマスクを用いる方法では、いずれの方法でも高精細なパターンを形成することができないという問題がある。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、アディティブ法を用いることにより高精細なメタルマスクを形成しながら、成膜する際に熱膨張によるパターンのずれの影響を小さくすることができるメタルマスクを提供することを目的とする。
【0010】
本発明の他の目的は、このメタルマスクを用いながら、高精細なパターンを有する有機EL表示装置を製造することができる有機EL表示装置の製法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、メタルマスクを用いて有機半導体層や電極層を高精細なパターンで形成するため鋭意検討を重ねた結果、成膜の際にメタルマスクが温度上昇するのは、成膜材料源からの輻射熱に起因しており、アディティブ法に適した熱膨張係数の大きい材料によりマスクを形成しても、成膜用の材料源と対向する側に熱膨張係数の小さい材料を設けることにより、メタルマスクの熱膨張によるパターンずれの問題を解消できることを見出した。すなわち、メタルマスクを第1金属膜と第2金属膜の2層構造とし、材料源側の第2金属膜を熱膨張係数の小さい材料とすることにより、材料源側と反対側の第1金属膜は温度の上昇が小さく、熱膨張係数が大きくても熱膨張は第2金属膜の熱膨張とほぼ同程度に抑えることができ、全体として熱膨張を小さく抑えることができることを見出した。
【0012】
この2層構造にすることにより、第1金属膜によりアディティブ法などを用いた高精細なパターンを形成することができ、その第1金属膜の一方の面(蒸着の際の材料源側)に第2金属膜を真空蒸着などにより設ける構造にすることができる。この第2金属膜は、パターンの開口部には付着せず、開口部以外の部分に第2金属膜が付着するため、第1金属膜により形成された高精細な所望のパターンのままで2層構造のメタルマスクを得ることができる。しかも、蒸着の際には、温度上昇の原因となる熱源である材料源側には熱膨張係数の小さい第2金属膜を配置する構成にすることができるため、熱膨張によるパターンずれを非常に小さく抑えることができる。この第2金属膜は、その熱膨張係数を余り小さくすると第1金属膜との間で剥離力が働き、余り大きいとメタルマスクの熱膨張に基づくパターンずれを防止することができないため、パターンの大きさにも依存するが、通常のパターンでは、第1金属膜の30〜70%程度の熱膨張係数を有する材料を用いることが好ましかった。
【0013】
本発明によるメタルマスクは、パターン成形に適した金属材料からなり、所望のパターンの開口部が形成された第1金属膜と、該第1金属膜の前記開口部以外の一面側に付着して設けられる第2金属膜とからなり、前記第2金属膜は、その熱膨張係数が前記第1金属膜の熱膨張係数の30〜70%である材料からなり、かつ、前記第1金属膜よりも薄く形成されている。
【0014】
この構造にすることにより、熱膨張係数の異なる2種類の金属膜が接合されていても、第1および第2の金属膜間に温度勾配があり、熱膨張係数の大きい第1金属膜の温度が低くなるため、両者の温度上昇による熱膨張は近づく方向にあり、両者間に剥離力は働かず、しかも熱膨張は小さく抑えられるため、メタルマスクの熱膨張により影響を殆ど受けることなく成膜することができる。一方、第1金属膜としては、熱膨張係数が大きくてもNi系などを用いることができ、アディティブ法などにより非常に高精細なパターンを形成することができる。その結果、メタルマスクを用いながら、非常に高精細なパターンの有機半導体層や電極層の成膜を行うことができる。
【0015】
本発明による有機EL表示装置の製法は、基板と成膜用の材料源とを、所望のパターンが形成されたメタルマスクを介して対向させ、前記基板上に前記材料源から蒸発させた材料からなる有機層および/または電極層を前記所望のパターンで成膜する有機EL表示装置の製法であって、前記メタルマスクとして、前記所望のパターンが形成された第1金属膜の一面側に該第1金属膜より熱膨張係数の小さい材料からなる第2金属膜を付着したメタルマスクを用い、該メタルマスクの前記第2金属膜側が前記材料源側に面するように前記メタルマスクを配置して前記有機層および/または電極層を成膜することを特徴とする。
【0016】
この構成にすることにより、メタルマスクが熱膨張係数の異なる金属膜の積層構造で形成されながら、メタルマスクのうち、熱源である材料源に面する側に熱膨張係数の小さい第2金属膜がくるように配置されているため、異なる金属膜間での引張力や圧縮力は殆ど働かず、剥離や反りなどが殆どなく、しかも小さい熱膨張で、パターンずれも殆どなく高精細パターンの成膜を正確な精度で得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明のメタルマスクおよびそれを用いた有機EL表示装置の製法について、図面を参照しながら説明をする。本発明のメタルマスクは、その一実施形態の模式化した平面説明図およびそのB−B線、C−C線の断面明図が図1に示されるように、パターン成形に適した金属材料からなり、所望のパターンの開口部13が形成された第1金属膜11の開口部13以外の一面側に第2金属膜12が付着して設けられている。そして、第2金属膜12は、その熱膨張係数が第1金属膜11の熱膨張係数の30〜70%である材料からなり、かつ、第1金属膜11よりも薄く形成されている。
【0018】
第1金属膜11は、たとえばアディティブ法で成形し得る材料、たとえばNiまたはNiにCoなどの添加物を、たとえば5at%程度含有させたものなどのNi系材料(NiおよびNiに添加物が含有されたものを総称してNi系材料という)が用いられる。アディティブ法は、開口部形状に合せた絶縁物のパターンが形成された基台上に、メッキのように通電により薄膜を形成する方法であるため、材料的に何でも使用できる訳ではなく、前述のようなNi系の材料が便利に用いられる。このNiは、線膨張率が15.0×10−6/K程度で、42合金などに比べて大きい。しかし、42合金などの熱膨張係数の小さい材料を用いて、アディティブ法でメタルマスクを形成することができないため、熱膨張係数をある程度犠牲にしてアディティブ法で高精細なパターンを形成することができる材料が用いられている。
【0019】
第1金属膜11には、所望のパターンの開口部13が、前述の絶縁物パターンに沿って金属膜が付着しないことにより形成されているが、この開口部13は、図1(b)に断面説明図が示されるように、テーパ形状に形成されている。これは、材料源から蒸発する材料が開口部の正面から照射される場合には問題ないが、斜め方向から蒸着材料が照射される場合には、金属膜の厚さにより影が生じて正確なパターンで有機半導体層などを成膜することができないからである。すなわち、このテーパ形状の広い側が材料源(蒸発源)で、狭い側が成膜する基板側になるように配置してマスクとして使用される。なお、開口部13は、目的に応じて、画素を列方向に連結した帯状の形状であったり、画素毎に分離された画素形状など任意の形状に形成される。
【0020】
第1金属膜11の厚さは、たとえば50〜100μm程度の厚さに形成される。前述のように、開口部13にはテーパが形成されており、斜め方向からの蒸着材料の照射がされても厚さに伴う影が形成されないように考慮されているが、それでもあまり厚くなると斜め方向から蒸着材料が照射されると影ができやすいため、機械的強度が得られる程度で、できるだけ薄い方が好ましいためである。
【0021】
第2金属膜12は、たとえばTiのように、第1金属膜11よりも熱膨張係数の小さい材料からなり、たとえば真空蒸着法などにより付着させることにより形成されている。この第2金属膜12は、メタルマスクの蒸着材料源側に面する第1金属膜11の表面に付着されている。すなわち、前述のテーパ状に形成される開口部13の幅の広い側の面に付着されている。そのため、テーパ状開口部13内にも第2金属膜12が若干付着することになる。この第2金属膜12の厚さがあまり厚くなると、テーパ状に形成された開口部13の先端部(開口部の幅が一番狭い部分)の肉厚が厚くなることになり、斜め方向から蒸発材料が照射される場合に、厚さ分が影になるため、できるだけ薄い方が好ましく、一方で、余り薄いと蒸発源からの熱によるメタルマスクの膨張を阻止することができないため、第1金属膜11の1/5〜1/4程度の厚さに形成される。すなわち、10〜25μm程度の厚さに形成される。
【0022】
第2金属膜12は、前述のように、第1金属膜11より熱膨張係数の小さい材料が用いられる。具体的には、メタルマスクの温度上昇は、前述のように、材料源(蒸着源)からの輻射熱によるところが大きい。すなわち、有機EL表示装置を製造する場合、成膜する基板の温度は殆ど上昇させないで成膜するため、成膜する基板側よりも材料源側の方で温度上昇が大きい。本発明は、この点に着目し、メタルマスクの材料源側に熱膨張係数の小さい第2金属膜が設けられており、温度が高くて小さい熱膨張係数による熱膨張と、温度が低くて熱膨張係数の大きい第1金属膜11の熱膨張とが剥離力や反りの生じない程度に近くなるように設定されている。したがって、第2金属膜12の熱膨張係数を第1金属膜11の熱膨張係数の30〜70%程度、好ましくは40〜70%にすることにより、通常の有機EL表示装置を製造する場合には、両者間の剥離や反りなどを生じることなくパターンずれの問題を生じさせないで、成膜することができた。
【0023】
たとえば、第1金属膜11を、Niにより100μm厚で所望のパターンの開口部13を有するように形成し、その材料源側の一面に第2金属膜12として、Tiを真空蒸着により20μm形成した。真空蒸着により第2金属膜12を設けているため、第1金属膜11のパターンである開口部13には付着せず、開口部13以外の全面に第2金属膜12が形成される。Tiの線膨張率は、8.4×10−6/K程度であり、Niの場合の約56%程度である。このメタルマスクを用いて、有機EL層を成膜した結果、第1金属膜11と第2金属膜12間の剥離や反りは全然現れず、また、パターンずれの問題も生じないで、高精度の有機EL層を成膜することができた。
【0024】
第2金属膜12としては、前述のように、第1金属膜の熱膨張との差を剥離力や反りが発生しない程度の同程度に抑えるため、第1金属膜11の材料に制約され、前述のように、第1金属膜の熱膨張係数の30〜70%程度、さらに好ましくは、40〜70%程度のものが好ましく、第1金属膜11としてNi系の金属を用いると、前述のTiの他、42合金(線膨張率4.6×10−6/K程度)などを用いることができるが、熱膨張係数が小さすぎると剥離が生じ好ましくなかった。もちろん熱膨張係数が大き過ぎるものでは、メタルマスクの熱膨張抑制の効果がなく、2層構造にする意味がない。
【0025】
本発明のメタルマスクによれば、メタルマスクのメイン材料となる第1金属膜に、第1金属膜の熱膨張係数の30〜70%という小さい熱膨張係数を有する第2金属膜がコーティングにより形成されているため、高精細なパターンを形成するのに都合のよいアディティブ法に適した材料からなる第1金属膜により精密な開口部パターンを形成することができながら、熱源側に熱膨張係数の小さい第2金属膜を対向させて用いることにより、メタルマスクの熱膨張を抑制することができる。しかも、熱膨張係数の小さい第2金属膜を熱源側に設けることにより、メタルマスクの第2金属膜と第1金属膜との間に温度勾配も形成されると共に、第2金属膜の熱膨張係数が第1金属膜の熱膨張係数と一定の関係にあるため、温度勾配と熱膨張係数の差とで、第1および第2の金属膜の熱膨張を両者間で歪が生じない程度に近づけることができ、第1および第2の金属膜間で剥離が生じたり、反りが生じることもない。
【0026】
つぎに、このメタルマスクを用いて、有機EL表示装置を製造する方法について、図2を参照しながら説明する。
【0027】
まず、図2(a)に示されるように、通常の有機EL表示装置の製法と同様に、たとえばガラス基板2などの透明基板に蒸着などにより陽極電極とするITO(Indium Tin Oxide)層3を、たとえば0.2μm程度成膜し、帯状にパターニングすると共に、その間隙部および帯状に形成されたITO膜3上の発光させない(画素とならない)領域に、たとえばポジ型レジストなどからなる絶縁膜4を形成し、さらにその絶縁膜4上に、たとえばネガ型レジストなどの塗布とパターニングにより隔壁5を形成する。そして、真空蒸着装置内にセッティングし、前述の図1に示されるようなメタルマスク1を第2金属膜12がガラス基板2と反対側(図示しない坩堝(材料源)側)を向くようにガラス基板2に形成されたパターンと位置合せをして隔壁5を台として固定する。なお、図示されていないが、図の上方側に成膜する材料が入れられた坩堝が設けられ、坩堝から材料を蒸発させてガラス基板2側に飛ばせるようになっている。
【0028】
そして、真空蒸着装置内を真空引きし、たとえば1×10−4〜1×10−5Pa程度の真空度にして、成膜する材料の坩堝の温度を上昇させ、所望の有機層6を積層する。有機層6としては、たとえばNPDからなる正孔輸送層を60nm程度、キナクリドンを1wt%程度ドーピングしたAlqからなる発光層を30nm程度、Alqからなる電子輸送層を30nm程度、LiFからなる電子注入層を0.5nm程度、それぞれ順次積層した積層構造で構成する。しかし、このような積層構造にしなくても、最低限発光層を有すればよい。
【0029】
その後、図2(b)に示されるように、メタルマスク1を除去し、たとえばAlを真空蒸着装置で0.15μm程度の厚さ蒸着させることにより、陰極電極層7がITOからなる陽極電極層2と直交する方向の画素を連結するように帯状に連結して形成される。なお、陰極材料は隔壁5の上にも積層されて金属膜7aが形成されるが、有機層6上の陰極電極層7とは段差があり、隣接する陰極電極層7をショートさせることはなく、隔壁5により各陰極電極層9は分離される。
【0030】
なお、フルカラーの有機ELディスプレイを構成する場合、前述の有機層6の発光層としての材料を成膜する際に、R画素列には、たとえばDCJTBを、G画素列には、たとえばAlqなどを、B画素列には、たとえばDSA系などをそれぞれ用い、メタルマスクをそれぞれR、G、Bの画素列にずらせて成膜することにより、フルカラーの有機EL表示装置を構成することができる。
【0031】
正孔輸送層は、一般的には発光層への正孔注入性と正孔の安定な輸送向上のため、イオン化エネルギーがある程度小さく、発光層への電子の閉込め(エネルギー障壁)が可能であることが求められており、アミン系の材料、たとえばトリフェニルジアミン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族縮合環をもつアミン誘導体などが用いられ、電子輸送層は、陰極電極からの電子の注入性を向上させる機能および電子を安定に輸送する機能を有するもので、上記材料の他に、キノリン誘導体、8−キノリノールないしその誘導体を配位子とする金属錯体、フェニルアントラセン誘導体、テトラアリールエテン誘導体などを用いることができる。この層が余り厚くなると、発光層ではなくこの層で発光するため、余り厚くはしないで、通常は10〜80nm、好ましくは20〜50nm程度の厚さに設けられ、正孔輸送層も同程度の厚さに設けられる。
【0032】
発光層は、有機物蛍光材料をドーピングすることにより、ドーピング材料固有の発光色を得ることができ、また、発光効率や安定性を向上させることができる。このドーピングは、発光材料に対して数重量(wt)%程度(0.1〜20wt%)で行われる。蛍光性物質としては、キナクリドン、ルブレン、スチリル系色素などを用いることができる。また、キノリン誘導体、テトラフェニルブタジエン、アントラセン、ペリレン、コロネン、12−フタロペリノン誘導体、フェニルアントラセン誘導体、テトラアリールエテン誘導体などを用いることができる。また、それ自体で発光が可能なホスト物質と組み合せて使用することが好ましく、ホスト物質としては、キノリノラト錯体が好ましく、8−キノリノールまたはその誘導体を配位子とするアルミニウム錯体が好ましく、その他に、フェニルアントラセン誘導体やテトラアリールエテン誘導体などを用いることができる。
【0033】
陰極電極としては、電子注入性を向上させるため、仕事関数の小さい、たとえばMg、K、Li、Na、Ca、Sr、Ba、Al、Ag、In、Sn、Zn、Zrなどが一般には用いられる。また、酸化インジウムのような透明膜を用いることもできる。
【0034】
本発明の製法によれば、メタルマスク1の熱膨張係数の小さい第2金属膜12側を坩堝側にしているため、坩堝の温度上昇により輻射熱がガラス基板2側に輻射されても、メタルマスク1の第2金属膜12によりその熱を受け止めることになり、第2金属膜12の温度が50〜70℃程度に上昇する。この第2金属膜12の温度上昇は、第2金属膜12から第1金属膜11への熱伝導をもたらすが、両者間には温度勾配が生じる。しかも、第2金属膜12の熱膨張係数が第1金属膜11よりも半分程度に小さくされているため、温度差と熱膨張率の差とにより、両者の熱膨張の差が小さくなり、全体としての熱膨張を小さくすることができる。その結果、非常に高精度なパターンが形成されたメタルマスクを用いて、成膜することができ、しかも成膜中の温度上昇による熱膨張も小さく、非常に高精度なパターンで有機EL層を形成することができ、高精度な有機EL表示装置を得ることができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、非常に高精度なパターンを有し、かつ、マスクとして使用する場合の熱膨張によるパターンずれを起こさないメタルマスクを得ることができる。その結果、フルカラーの有機ELディスプレイ(表示装置)を構成する場合でも、非常に高精細な画素を形成することができ、有機EL層を用いながら、非常に繊細なディスプレイを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のメタルマスクの一実施形態を示す平面および断面の説明図である。
【図2】本発明によるメタルマスクを用いて有機EL表示装置を製造する方法の説明図である。
【図3】メタルマスクの開口部パターンを形成する場合の断面形状の説明である。
【符号の説明】
1 メタルマスク
2 ガラス基板
3 ITO(陽極電極)
4 絶縁膜
5 隔壁
6 有機層
7 陰極電極
11 第1金属膜
12 第2金属膜
13 開口部パターン

Claims (2)

  1. パターン成形に適した金属材料からなり、所望のパターンの開口部が形成された第1金属膜と、該第1金属膜の前記開口部以外の一面側に付着して設けられる第2金属膜とからなり、前記第2金属膜は、その熱膨張係数が前記第1金属膜の熱膨張係数の30〜70%である材料からなり、かつ、前記第1金属膜よりも薄く形成されてなるメタルマスク。
  2. 基板と成膜用の材料源とを、所望のパターンが形成されたメタルマスクを介して対向させ、前記基板上に前記材料源から蒸発させた材料からなる有機層および/または電極層を前記所望のパターンで成膜する有機EL表示装置の製法であって、
    前記メタルマスクとして、前記所望のパターンが形成された第1金属膜の一面側に該第1金属膜より熱膨張係数の小さい材料からなる第2金属膜を付着したメタルマスクを用い、該メタルマスクの前記第2金属膜側が前記材料源側に面するように前記メタルマスクを配置して前記有機層および/または電極層を成膜することを特徴とする有機EL表示装置の製法。
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