JP2004332551A - 液体ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】装置全体の大型化を招くことなく、所望の低周波数域の脈圧を確実に低減できるようにする。
【解決手段】ベースブロック2と周壁ブロック3の孔によって凹状部4を形成し、その凹状部4にギヤポンプのギヤ7等を収容すると共に、凹状部4を閉塞するように周壁ブロック3にサイドブロック5を結合する。周壁ブロック3からベースブロック2にかけては凹状部4の周域に位置されるように脈圧低減用のチャンバ19を形成する。このような液体ポンプにおいて、周壁ブロック3とサイドブロック5の間に弾性を有する薄肉プレート15を介装し、その薄肉プレート15によってチャンバ16の底壁を構成する。サイドブロック5のチャンバ19に対応する位置に、薄肉プレート15の背面側を低圧室25に導通させる導通孔24を設け、その導通孔24によって薄肉プレート15の自由な変動を許容する。
【選択図】 図1
【解決手段】ベースブロック2と周壁ブロック3の孔によって凹状部4を形成し、その凹状部4にギヤポンプのギヤ7等を収容すると共に、凹状部4を閉塞するように周壁ブロック3にサイドブロック5を結合する。周壁ブロック3からベースブロック2にかけては凹状部4の周域に位置されるように脈圧低減用のチャンバ19を形成する。このような液体ポンプにおいて、周壁ブロック3とサイドブロック5の間に弾性を有する薄肉プレート15を介装し、その薄肉プレート15によってチャンバ16の底壁を構成する。サイドブロック5のチャンバ19に対応する位置に、薄肉プレート15の背面側を低圧室25に導通させる導通孔24を設け、その導通孔24によって薄肉プレート15の自由な変動を許容する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、パワーステアリング装置の圧力源等に用いられる液体ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の液体ポンプは吸入・吐出の際に脈圧が発生することが知られており、この脈圧を抑制するために各種の工夫が為されている。
【0003】
この脈圧の低減には、例えば、通路途中にチャンバを設けることが有効であるが、チャンバはある程度以上の占有スペースを必要とするため装置全体の大型化を招き易い。そこで、この点を改善した液体ポンプとして以下のようなものが案出されている(特許文献1参照。)。
【0004】
この液体ポンプは、凹状部を有するポンプボディにサイドブロックを結合し、凹状部とサイドブロックに囲まれた空間部にポンプ本体を収容すると共に、ポンプボディの凹状部の周域に脈圧低減用のチャンバを形成したものである。このポンプにおいては、ポンプボディの凹状部の周域のデッドスペースを有効利用してチャンバを形成しているため、装置全体の小型化を図ることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−105385号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この従来の液体ポンプにおいては、ポンプボディの凹状部の周域にチャンバを形成するにしても確保できる容積には限界があり、より低周波域の脈圧を吸収しようとすると、チャンバ容積を確保するためにポンプボディ自体を大型化せざるを得なくなる。
【0007】
そこでこの出願の発明は、装置全体の大型化を招くことなく、所望の低周波数域の脈圧を確実に低減できるようにして、装置の小型化と脈圧低減性能の両立を図ることのできる液体ポンプを提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するための手段として、この出願の発明は、ポンプボディとサイドブロックの間に弾性を有する薄肉プレートを介装し、その薄肉プレートによって脈圧低減用のチャンバの底壁を構成すると共に、サイドブロックの前記チャンバに対応する位置に薄肉プレートの変動を許容する変動許容空間を設けるようにした。
【0009】
この発明の場合、チャンバの底壁が薄肉プレートによって構成されると共に、その薄肉プレートの外側面が変動許容空間に臨むため、チャンバ内の圧力変動が薄肉プレートによって許容されることとなる。したがって、チャンバは実質的に容積を拡大したと同様の機能をもつこととなり、その結果、装置全体を大型化することなく、所望の周波数域の脈圧を確実に低減することが可能となる。
【0010】
前記薄肉プレートは、ポンプ本体の軸受部からの作動液の漏出を防止するためのシール用プレートであることが望ましく、このようにした場合、チャンバ壁を形成するための専用の薄肉プレートを設ける必要がなく、単にサイドブロック側に変動許容空間を設けるだけで良いこととなる。したがって、部品点数を削減して、製造コストの削減を図ることができる。
【0011】
また、前記チャンバを、吐出通路または吸入通路に対して絞り通路を介して接続し、その絞り通路とチャンバによってレゾネータを構成するようにしても良い。この場合には、ポンプボディ部分にレゾネータをコンパクトに設けることができるため、装置全体の大型化を招くことなく、狙いとする周波数域の脈圧を確実に低減することが可能となる。
【0012】
前記変動許容空間は、例えば、大気圧とほぼ同圧の低圧室に導通させれば、薄肉プレートの変動を確実に許容することが可能となる。
【0013】
このとき変動許容空間と低圧室の間には絞り通路を設けるようにしても良い。この場合、薄肉プレートの変動によって変動許容空間と低圧室の間を作動液が流通するときに、絞り通路部分で減衰効果を得ることができる。したがって、チャンバが接続される通路の脈圧をより効果的に低減することが可能となる。
【0014】
また、前記変動許容空間を密閉して、その内部に気体を封入するようにしても良い。この場合、薄肉プレートの変動を封入気体の弾性によって許容することができるうえ、チャンバの底壁に密封気体による弾発力を持たせることができる。したがって、変動許容空間に封入する気体の種類や圧力を変更することによって幅広い周波数域の脈圧に対して容易に対応することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、この出願の発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
まず、図1〜図6に示す第1の実施形態について説明する。この実施形態の液体ポンプは、車両のパワーステアリング装置の圧力源として用いられる可逆式のギヤポンプであり、ステアリングホイールの操舵に応じて駆動モータ1が正逆いずれかに回転駆動され、そのモータ1の回転を受けて作動液を左右のパワーシリンダに選択的に吸排するようになっている。
【0017】
この液体ポンプは、図2に示すように、後端部(図中左側の端部)に駆動モータ1が連結される断面方形状のベースブロック2の前面に厚肉円板状の周壁ブロック3が結合され、この周壁ブロック3に形成された繭形状の孔とベースブロック2の前端面によってポンプ本体を収容する凹状部4が形成されている。そして、周壁ブロック3の前面には、凹状部4を閉塞するように周壁ブロック3とほぼ同外径の円板状のサイドブロック5が結合され、ベースブロック2の前面外縁部には、周壁ブロック3とサイドブロック5の周域を囲繞するポンプカバー6が結合されている。尚、この実施形態の場合、この発明におけるポンプボディはベースブロック2と周壁ブロック3によって主として構成されている。
【0018】
ポンプ本体は、相互に噛み合う駆動ギヤ7と従動ギヤ8によって構成され、駆動ギヤ7が前記駆動モータ1の軸1aに連結されている。この両ギヤ7,8の軸7a,8aは軸方向両側に張り出し、夫々の端部はベースブロック2とサイドブロック5にニードルベアリング9を介して支持されている。そして、両ギヤ7,8の噛み合い位置を挟んで回転方向手前側の領域はポンプ吸入部とされ、回転方向前方側の領域はポンプ吐出部とされている。ただし、このポンプ吸入部とポンプ吐出部は駆動ギヤ7(駆動モータ1)の回転方向の変化によって入れ替わるため、以下では、これらを「第1吸排室10」と「第2吸排室11」と呼ぶものとする(図4参照。)。
【0019】
ベースブロック2には、図3,図4に示すように、第1,第2吸排室10,11に夫々接続される第1の吸排通路12と第2の吸排通路13が形成されている。これらの吸排通路12,13は周壁ブロック3の凹状部4に対して左右対称に形成され、ベースブロック2の外面側の各ポート12a,13aを通してパワーシリンダの左右の液室に接続されている。
【0020】
また、前記ベースブロック2と周壁ブロック3、周壁ブロック3とサイドブロック5の各接合面間には弾性を有する金属製の薄肉プレート14,15が介装されている。これらの薄肉プレート14,15は周壁ブロック3とほぼ同外径の円板状に形成され、夫々図5,図6に示すように、中心部とその中心部よりも図中若干上方に編寄した位置に、駆動ギヤ7と従動ギヤ8の軸部7a,8aが挿入される貫通孔16,17が形成されている。これらの貫通孔16,17の縁部は駆動ギヤ7と従動ギヤ8の軸方向の端面に摺動自在に密接し、吸排室10,11から軸受部(ニードルベアリング9の収容部)への作動液の漏出を防止する。また、両薄肉プレート14,15の外周縁部には複数のボルト孔18が形成され、両プレート14,15は、これらのボルト孔18に締結ボルト(図示せず)が挿入され、周壁ブロック3とサイドブロック5と共にベースブロック2に共締めされている。尚、図5中、30,31は、給排室10,11と給排通路12,13を夫々接続するために薄肉プレート14に形成された給排孔である。
【0021】
ところで、ベースブロック2の第1の吸排通路12と第2の吸排通路13の途中には脈圧低減用の二つのチャンバ19,20が介装されている。以下、これらのチャンバ19,20とその周辺部の構成について説明するが、第1の吸排通路12と第2の吸排通路13はこれらのチャンバ19,20も含めてほぼ同構成となっているため、以下では第2の吸排通路13側についてのみ説明し、第1の吸排通路12側の説明は省略するものとする。
【0022】
吸排通路13の両チャンバ19,20は、図1に示すように、いずれもベースブロック2から周壁ブロック3にかけて略円柱状に形成されている。具体的には、チャンバ19,20は、周壁ブロック3側に開口するようにベースブロック2に形成されたベース穴21(図3参照。)と、周壁ブロック3上のベース穴21と対応する位置に形成されたチャンバ孔22(図4参照。)と、ベース穴21とチャンバ孔22を接続するように一方の薄肉プレート14に形成された接続孔23(図5参照。)と、チャンバ孔22のサイドブロック5側の端面を閉塞する他方の薄肉プレート15(図6参照。)とによって構成されている。したがって、各チャンバ19,20の底壁は薄肉プレート15によって構成されている。
【0023】
また、サイドブロック5は、周壁ブロック3の各チャンバ孔22に対応する位置に同チャンバ孔22と同径の導通孔24が形成されている。この導通孔24は、ポンプカバー6内の低圧室25の圧力を他方の薄肉プレート15の背面(チャンバ19,20に臨む部分の背面)側に導入することで、チャンバ19,20部分での薄肉プレート15の自由な変動を許容するものであり、この発明における変動許容空間を構成している。尚、この実施形態の場合、ポンプカバー6内の低圧室25は油圧回路内のリザーバタンクを兼ね、その内部には常時ほぼ大気圧と同圧の作動液が充填されている。
【0024】
この液体ポンプは以上のような構成であるため、操舵トルクに応じた駆動モータ1の制御によって駆動ギヤ7が一方に回転駆動されると、これに噛み合った従動ギヤ8が反対方向に回転して両ギヤ7,8の歯面間でポンプ作動が行われる。
【0025】
このとき、例えば、パワーシリンダの一方の液室の作動液が第1の吸排通路12側に戻されたとすると、その作動液は同通路12内の二つのチャンバ20,19を通過して第1吸排室10に吸入され、前記両ギヤ7,8によって加圧されつつ第2吸排室11側に吐出される。そして、その作動液は第2の吸排通路13内の二つのチャンバ19,20を通過し、同通路13のポート13aからパワーシリンダの他方の液室へと供給される。
【0026】
また、このポンプ作動が行われる間、吸排通路12,13内に発生した脈圧は各チャンバ19,20を通過する際にその容積によって吸収され低減される。
【0027】
この液体ポンプは、脈圧低減用の各チャンバ19,20が周壁ブロック3とベースブロック2の凹状部4の周域に形成されていることに加え、各チャンバ19,20の底壁が薄肉プレート15で構成されると共に、その薄肉プレート15部分の背面が導通孔24を通して低圧に維持されているため、ベースブロック2等を大型化することなく、所望の周波数域の脈圧を確実に低減することができる。
【0028】
つまり、この液体ポンプの場合、凹状部4の周域のデッドスペースを有効利用することができるうえ、各チャンバ19,20の底壁が脈圧に対して柔軟に変動することで実質容積以上に低周波寄りの脈圧低減を行うことができ、これらのことから脈圧低減性能を確保しつつも装置の小型化が可能となっている。
【0029】
また、この液体ポンプの場合、各チャンバ19,20の底壁を成す薄肉プレート15は軸受部からの作動液の漏れを防止するシール用プレートをそのまま利用することができるため、部品点数の増加を無くし、製造コストの低減を図ることができるという利点がある。
【0030】
さらに、この実施形態においては、サイドブロック5に臨むポンプカバー6の内側空間をリザーバタンクとし、そのリザーバタンクを低圧室25として利用したため、サイドブロック5の各チャンバ19,20に対応する位置に単純に導通孔24を形成するだけで薄肉プレート15をチャンバ19,20の変動可能な壁として用いることができる。したがって、構造が簡単になり、低コストでの製造が可能になると共に、ポンプ全体のさらなる小型化も可能となる。
【0031】
つづいて、この発明の他の実施形態について説明する。尚、これらの実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同一部分には同一符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
【0032】
図7に示す第2の実施形態は、チャンバ19(20)と吸排通路13(12)を絞り通路26を介して接続し、その絞り通路26とチャンバ19(20)によってレゾネータを構成している点のみが第1の実施形態と異なり、他の構成はすべて同様となっている。
【0033】
この実施形態の場合、チャンバ19,20の底壁を変動可能な薄肉プレート15で構成したことと相俟ってベースブロック2と周壁ブロック3部分にレゾネータをコンパクに設けることが可能となり、このことから装置の大型化を招くことなく、狙いとする周波数域の脈圧をレゾネータによって確実に低減することができる。
【0034】
図8に示す第3の実施形態は、サイドブロック5のチャンバ19(20)に対応する位置に、薄肉プレート15に臨む断面円形状の凹部27(変動許容空間)を形成し、その凹部27と低圧室25を絞り通路28を介して接続している。その他の部分は第2の実施形態と同様の構成となっている。
【0035】
この実施形態は、薄肉プレート15の変動許容空間である凹部27と低圧室25が絞り通路28を通して連通するため、脈圧によって薄肉プレート15が変動するときに作動液が絞り通路28内を流通し、このときの絞り抵抗によって脈圧減衰効果を得ることができる。したがって、脈圧をより効果的に低減することができる。
【0036】
図9に示す第4の実施形態は、サイドブロック5のチャンバ19(20)に対応する位置に、薄肉プレート15に臨む断面円形状の凹部29を形成し、その凹部29と薄肉プレート15の間を密閉して、その密閉空間33(変動許容空間)に気体を封入するようにしている。
【0037】
この実施形態の場合、薄肉プレート15の変動を密閉空間33内の気体の弾性によって許容することができる。また、この気体の弾性は封入する気体の種類や圧力を変えることによって容易に調整することができるため、脈圧低減周波数のチューニングの自由度が高いという利点がある。
【0038】
尚、この発明の実施形態は以上で説明したものに限るものでなく、例えば、ポンプ本体の構成はギヤポンプに限らず、ベーンポンプやトロコイドポンプ等の他のポンプ形態であっても良く、また、液体ポンプの作動タイプも可逆式ではない通常の一方向作動のものであっても良い。
【0039】
次に、上記の各実施形態から把握し得る請求項に記載以外の発明について、以下にその作用効果と共に記載する。
【0040】
(イ) サイドブロックの周域にリザーバタンクを形成し、そのリザーバタンクを低圧室として前記変動許容空間に導通させたことを特徴とする請求項4に記載の液体ポンプ。
【0041】
この場合、変動許容空間と周域のリザーバタンクを導通させるための孔をサイドブロックに単純に形成するだけで良いため、構造が簡単になり、低コストでの製造が可能になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の第1の実施形態を示す図3のA−A断面に対応する要部の断面図。
【図2】同実施形態を示す縦断面図。
【図3】同実施形態を示す図2のB−B線に沿う端面図
【図4】同実施形態を示す部品の正面図。
【図5】同実施形態を示す部品の正面図。
【図6】同実施形態を示す部品の正面図。
【図7】この出願の発明の第2の実施形態を示す要部の断面図。
【図8】この出願の発明の第3の実施形態を示す要部の断面図。
【図9】この出願の発明の第4の実施形態を示す要部の断面図。
【符号の説明】
2…ベースブロック(ポンプボディ)
3…周壁ブロック(ポンプボディ)
4…凹状部
5…サイドブロック
7…駆動ギヤ(ポンプ本体)
8…従動ギヤ(ポンプ本体)
10…第1吸排室(ポンプ吸入部,ポンプ吐出部)
11…第2吸排室(ポンプ吸入部,ポンプ吐出部)
15…薄肉プレート
19,20…チャンバ
24…導通孔(変動許容空間)
25…低圧室
26…絞り通路
27…凹部(変動許容空間)
28…絞り通路
33…密閉空間(変動許容空間)
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、パワーステアリング装置の圧力源等に用いられる液体ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の液体ポンプは吸入・吐出の際に脈圧が発生することが知られており、この脈圧を抑制するために各種の工夫が為されている。
【0003】
この脈圧の低減には、例えば、通路途中にチャンバを設けることが有効であるが、チャンバはある程度以上の占有スペースを必要とするため装置全体の大型化を招き易い。そこで、この点を改善した液体ポンプとして以下のようなものが案出されている(特許文献1参照。)。
【0004】
この液体ポンプは、凹状部を有するポンプボディにサイドブロックを結合し、凹状部とサイドブロックに囲まれた空間部にポンプ本体を収容すると共に、ポンプボディの凹状部の周域に脈圧低減用のチャンバを形成したものである。このポンプにおいては、ポンプボディの凹状部の周域のデッドスペースを有効利用してチャンバを形成しているため、装置全体の小型化を図ることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−105385号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この従来の液体ポンプにおいては、ポンプボディの凹状部の周域にチャンバを形成するにしても確保できる容積には限界があり、より低周波域の脈圧を吸収しようとすると、チャンバ容積を確保するためにポンプボディ自体を大型化せざるを得なくなる。
【0007】
そこでこの出願の発明は、装置全体の大型化を招くことなく、所望の低周波数域の脈圧を確実に低減できるようにして、装置の小型化と脈圧低減性能の両立を図ることのできる液体ポンプを提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するための手段として、この出願の発明は、ポンプボディとサイドブロックの間に弾性を有する薄肉プレートを介装し、その薄肉プレートによって脈圧低減用のチャンバの底壁を構成すると共に、サイドブロックの前記チャンバに対応する位置に薄肉プレートの変動を許容する変動許容空間を設けるようにした。
【0009】
この発明の場合、チャンバの底壁が薄肉プレートによって構成されると共に、その薄肉プレートの外側面が変動許容空間に臨むため、チャンバ内の圧力変動が薄肉プレートによって許容されることとなる。したがって、チャンバは実質的に容積を拡大したと同様の機能をもつこととなり、その結果、装置全体を大型化することなく、所望の周波数域の脈圧を確実に低減することが可能となる。
【0010】
前記薄肉プレートは、ポンプ本体の軸受部からの作動液の漏出を防止するためのシール用プレートであることが望ましく、このようにした場合、チャンバ壁を形成するための専用の薄肉プレートを設ける必要がなく、単にサイドブロック側に変動許容空間を設けるだけで良いこととなる。したがって、部品点数を削減して、製造コストの削減を図ることができる。
【0011】
また、前記チャンバを、吐出通路または吸入通路に対して絞り通路を介して接続し、その絞り通路とチャンバによってレゾネータを構成するようにしても良い。この場合には、ポンプボディ部分にレゾネータをコンパクトに設けることができるため、装置全体の大型化を招くことなく、狙いとする周波数域の脈圧を確実に低減することが可能となる。
【0012】
前記変動許容空間は、例えば、大気圧とほぼ同圧の低圧室に導通させれば、薄肉プレートの変動を確実に許容することが可能となる。
【0013】
このとき変動許容空間と低圧室の間には絞り通路を設けるようにしても良い。この場合、薄肉プレートの変動によって変動許容空間と低圧室の間を作動液が流通するときに、絞り通路部分で減衰効果を得ることができる。したがって、チャンバが接続される通路の脈圧をより効果的に低減することが可能となる。
【0014】
また、前記変動許容空間を密閉して、その内部に気体を封入するようにしても良い。この場合、薄肉プレートの変動を封入気体の弾性によって許容することができるうえ、チャンバの底壁に密封気体による弾発力を持たせることができる。したがって、変動許容空間に封入する気体の種類や圧力を変更することによって幅広い周波数域の脈圧に対して容易に対応することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、この出願の発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
まず、図1〜図6に示す第1の実施形態について説明する。この実施形態の液体ポンプは、車両のパワーステアリング装置の圧力源として用いられる可逆式のギヤポンプであり、ステアリングホイールの操舵に応じて駆動モータ1が正逆いずれかに回転駆動され、そのモータ1の回転を受けて作動液を左右のパワーシリンダに選択的に吸排するようになっている。
【0017】
この液体ポンプは、図2に示すように、後端部(図中左側の端部)に駆動モータ1が連結される断面方形状のベースブロック2の前面に厚肉円板状の周壁ブロック3が結合され、この周壁ブロック3に形成された繭形状の孔とベースブロック2の前端面によってポンプ本体を収容する凹状部4が形成されている。そして、周壁ブロック3の前面には、凹状部4を閉塞するように周壁ブロック3とほぼ同外径の円板状のサイドブロック5が結合され、ベースブロック2の前面外縁部には、周壁ブロック3とサイドブロック5の周域を囲繞するポンプカバー6が結合されている。尚、この実施形態の場合、この発明におけるポンプボディはベースブロック2と周壁ブロック3によって主として構成されている。
【0018】
ポンプ本体は、相互に噛み合う駆動ギヤ7と従動ギヤ8によって構成され、駆動ギヤ7が前記駆動モータ1の軸1aに連結されている。この両ギヤ7,8の軸7a,8aは軸方向両側に張り出し、夫々の端部はベースブロック2とサイドブロック5にニードルベアリング9を介して支持されている。そして、両ギヤ7,8の噛み合い位置を挟んで回転方向手前側の領域はポンプ吸入部とされ、回転方向前方側の領域はポンプ吐出部とされている。ただし、このポンプ吸入部とポンプ吐出部は駆動ギヤ7(駆動モータ1)の回転方向の変化によって入れ替わるため、以下では、これらを「第1吸排室10」と「第2吸排室11」と呼ぶものとする(図4参照。)。
【0019】
ベースブロック2には、図3,図4に示すように、第1,第2吸排室10,11に夫々接続される第1の吸排通路12と第2の吸排通路13が形成されている。これらの吸排通路12,13は周壁ブロック3の凹状部4に対して左右対称に形成され、ベースブロック2の外面側の各ポート12a,13aを通してパワーシリンダの左右の液室に接続されている。
【0020】
また、前記ベースブロック2と周壁ブロック3、周壁ブロック3とサイドブロック5の各接合面間には弾性を有する金属製の薄肉プレート14,15が介装されている。これらの薄肉プレート14,15は周壁ブロック3とほぼ同外径の円板状に形成され、夫々図5,図6に示すように、中心部とその中心部よりも図中若干上方に編寄した位置に、駆動ギヤ7と従動ギヤ8の軸部7a,8aが挿入される貫通孔16,17が形成されている。これらの貫通孔16,17の縁部は駆動ギヤ7と従動ギヤ8の軸方向の端面に摺動自在に密接し、吸排室10,11から軸受部(ニードルベアリング9の収容部)への作動液の漏出を防止する。また、両薄肉プレート14,15の外周縁部には複数のボルト孔18が形成され、両プレート14,15は、これらのボルト孔18に締結ボルト(図示せず)が挿入され、周壁ブロック3とサイドブロック5と共にベースブロック2に共締めされている。尚、図5中、30,31は、給排室10,11と給排通路12,13を夫々接続するために薄肉プレート14に形成された給排孔である。
【0021】
ところで、ベースブロック2の第1の吸排通路12と第2の吸排通路13の途中には脈圧低減用の二つのチャンバ19,20が介装されている。以下、これらのチャンバ19,20とその周辺部の構成について説明するが、第1の吸排通路12と第2の吸排通路13はこれらのチャンバ19,20も含めてほぼ同構成となっているため、以下では第2の吸排通路13側についてのみ説明し、第1の吸排通路12側の説明は省略するものとする。
【0022】
吸排通路13の両チャンバ19,20は、図1に示すように、いずれもベースブロック2から周壁ブロック3にかけて略円柱状に形成されている。具体的には、チャンバ19,20は、周壁ブロック3側に開口するようにベースブロック2に形成されたベース穴21(図3参照。)と、周壁ブロック3上のベース穴21と対応する位置に形成されたチャンバ孔22(図4参照。)と、ベース穴21とチャンバ孔22を接続するように一方の薄肉プレート14に形成された接続孔23(図5参照。)と、チャンバ孔22のサイドブロック5側の端面を閉塞する他方の薄肉プレート15(図6参照。)とによって構成されている。したがって、各チャンバ19,20の底壁は薄肉プレート15によって構成されている。
【0023】
また、サイドブロック5は、周壁ブロック3の各チャンバ孔22に対応する位置に同チャンバ孔22と同径の導通孔24が形成されている。この導通孔24は、ポンプカバー6内の低圧室25の圧力を他方の薄肉プレート15の背面(チャンバ19,20に臨む部分の背面)側に導入することで、チャンバ19,20部分での薄肉プレート15の自由な変動を許容するものであり、この発明における変動許容空間を構成している。尚、この実施形態の場合、ポンプカバー6内の低圧室25は油圧回路内のリザーバタンクを兼ね、その内部には常時ほぼ大気圧と同圧の作動液が充填されている。
【0024】
この液体ポンプは以上のような構成であるため、操舵トルクに応じた駆動モータ1の制御によって駆動ギヤ7が一方に回転駆動されると、これに噛み合った従動ギヤ8が反対方向に回転して両ギヤ7,8の歯面間でポンプ作動が行われる。
【0025】
このとき、例えば、パワーシリンダの一方の液室の作動液が第1の吸排通路12側に戻されたとすると、その作動液は同通路12内の二つのチャンバ20,19を通過して第1吸排室10に吸入され、前記両ギヤ7,8によって加圧されつつ第2吸排室11側に吐出される。そして、その作動液は第2の吸排通路13内の二つのチャンバ19,20を通過し、同通路13のポート13aからパワーシリンダの他方の液室へと供給される。
【0026】
また、このポンプ作動が行われる間、吸排通路12,13内に発生した脈圧は各チャンバ19,20を通過する際にその容積によって吸収され低減される。
【0027】
この液体ポンプは、脈圧低減用の各チャンバ19,20が周壁ブロック3とベースブロック2の凹状部4の周域に形成されていることに加え、各チャンバ19,20の底壁が薄肉プレート15で構成されると共に、その薄肉プレート15部分の背面が導通孔24を通して低圧に維持されているため、ベースブロック2等を大型化することなく、所望の周波数域の脈圧を確実に低減することができる。
【0028】
つまり、この液体ポンプの場合、凹状部4の周域のデッドスペースを有効利用することができるうえ、各チャンバ19,20の底壁が脈圧に対して柔軟に変動することで実質容積以上に低周波寄りの脈圧低減を行うことができ、これらのことから脈圧低減性能を確保しつつも装置の小型化が可能となっている。
【0029】
また、この液体ポンプの場合、各チャンバ19,20の底壁を成す薄肉プレート15は軸受部からの作動液の漏れを防止するシール用プレートをそのまま利用することができるため、部品点数の増加を無くし、製造コストの低減を図ることができるという利点がある。
【0030】
さらに、この実施形態においては、サイドブロック5に臨むポンプカバー6の内側空間をリザーバタンクとし、そのリザーバタンクを低圧室25として利用したため、サイドブロック5の各チャンバ19,20に対応する位置に単純に導通孔24を形成するだけで薄肉プレート15をチャンバ19,20の変動可能な壁として用いることができる。したがって、構造が簡単になり、低コストでの製造が可能になると共に、ポンプ全体のさらなる小型化も可能となる。
【0031】
つづいて、この発明の他の実施形態について説明する。尚、これらの実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同一部分には同一符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
【0032】
図7に示す第2の実施形態は、チャンバ19(20)と吸排通路13(12)を絞り通路26を介して接続し、その絞り通路26とチャンバ19(20)によってレゾネータを構成している点のみが第1の実施形態と異なり、他の構成はすべて同様となっている。
【0033】
この実施形態の場合、チャンバ19,20の底壁を変動可能な薄肉プレート15で構成したことと相俟ってベースブロック2と周壁ブロック3部分にレゾネータをコンパクに設けることが可能となり、このことから装置の大型化を招くことなく、狙いとする周波数域の脈圧をレゾネータによって確実に低減することができる。
【0034】
図8に示す第3の実施形態は、サイドブロック5のチャンバ19(20)に対応する位置に、薄肉プレート15に臨む断面円形状の凹部27(変動許容空間)を形成し、その凹部27と低圧室25を絞り通路28を介して接続している。その他の部分は第2の実施形態と同様の構成となっている。
【0035】
この実施形態は、薄肉プレート15の変動許容空間である凹部27と低圧室25が絞り通路28を通して連通するため、脈圧によって薄肉プレート15が変動するときに作動液が絞り通路28内を流通し、このときの絞り抵抗によって脈圧減衰効果を得ることができる。したがって、脈圧をより効果的に低減することができる。
【0036】
図9に示す第4の実施形態は、サイドブロック5のチャンバ19(20)に対応する位置に、薄肉プレート15に臨む断面円形状の凹部29を形成し、その凹部29と薄肉プレート15の間を密閉して、その密閉空間33(変動許容空間)に気体を封入するようにしている。
【0037】
この実施形態の場合、薄肉プレート15の変動を密閉空間33内の気体の弾性によって許容することができる。また、この気体の弾性は封入する気体の種類や圧力を変えることによって容易に調整することができるため、脈圧低減周波数のチューニングの自由度が高いという利点がある。
【0038】
尚、この発明の実施形態は以上で説明したものに限るものでなく、例えば、ポンプ本体の構成はギヤポンプに限らず、ベーンポンプやトロコイドポンプ等の他のポンプ形態であっても良く、また、液体ポンプの作動タイプも可逆式ではない通常の一方向作動のものであっても良い。
【0039】
次に、上記の各実施形態から把握し得る請求項に記載以外の発明について、以下にその作用効果と共に記載する。
【0040】
(イ) サイドブロックの周域にリザーバタンクを形成し、そのリザーバタンクを低圧室として前記変動許容空間に導通させたことを特徴とする請求項4に記載の液体ポンプ。
【0041】
この場合、変動許容空間と周域のリザーバタンクを導通させるための孔をサイドブロックに単純に形成するだけで良いため、構造が簡単になり、低コストでの製造が可能になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の第1の実施形態を示す図3のA−A断面に対応する要部の断面図。
【図2】同実施形態を示す縦断面図。
【図3】同実施形態を示す図2のB−B線に沿う端面図
【図4】同実施形態を示す部品の正面図。
【図5】同実施形態を示す部品の正面図。
【図6】同実施形態を示す部品の正面図。
【図7】この出願の発明の第2の実施形態を示す要部の断面図。
【図8】この出願の発明の第3の実施形態を示す要部の断面図。
【図9】この出願の発明の第4の実施形態を示す要部の断面図。
【符号の説明】
2…ベースブロック(ポンプボディ)
3…周壁ブロック(ポンプボディ)
4…凹状部
5…サイドブロック
7…駆動ギヤ(ポンプ本体)
8…従動ギヤ(ポンプ本体)
10…第1吸排室(ポンプ吸入部,ポンプ吐出部)
11…第2吸排室(ポンプ吸入部,ポンプ吐出部)
15…薄肉プレート
19,20…チャンバ
24…導通孔(変動許容空間)
25…低圧室
26…絞り通路
27…凹部(変動許容空間)
28…絞り通路
33…密閉空間(変動許容空間)
Claims (6)
- ポンプ作用を為すポンプ本体と、このポンプ本体を収容する凹状部を有するポンプボディと、このポンプボディの凹状部の開口側に結合されるサイドブロックと、ポンプ吐出部またはポンプ吸入部に連通する脈圧低減用のチャンバとを備え、前記チャンバがポンプボディの前記凹状部の周域に形成された液体ポンプにおいて、
前記ポンプボディとサイドブロックの間に弾性を有する薄肉プレートを介装し、その薄肉プレートによって前記チャンバの底壁を構成すると共に、サイドブロックの前記チャンバに対応する位置に薄肉プレートの変動を許容する変動許容空間を設けたことを特徴とする液体ポンプ。 - 前記薄肉プレートは、ポンプ本体の軸受部からの作動液の漏出を防止するためのシール用プレートであることを特徴とする請求項1に記載の液体ポンプ。
- 前記チャンバを、吐出通路または吸入通路に対して絞り通路を介して接続し、その絞り通路とチャンバによってレゾネータを構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の液体ポンプ。
- 前記変動許容空間を大気圧とほぼ同圧の低圧室に導通させたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液体ポンプ。
- 前記変動許容空間と低圧室の間に絞り通路を設けたことを特徴とする請求項4に記載の液体ポンプ。
- 前記変動許容空間を密閉して、その内部に気体を封入したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液体ポンプ。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003125105A JP2004332551A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 液体ポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP2003125105A JP2004332551A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 液体ポンプ |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004332551A true JP2004332551A (ja) | 2004-11-25 |
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ID=33502470
Family Applications (1)
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| JP2003125105A Pending JP2004332551A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 液体ポンプ |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004332551A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN102619749A (zh) * | 2012-04-11 | 2012-08-01 | 涂雪龙 | 一种脉冲波齿轮泵 |
-
2003
- 2003-04-30 JP JP2003125105A patent/JP2004332551A/ja active Pending
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