JP2004322911A - 鉄道車両の車体支持構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】鉄道車両の車輪を軸支する軸支部材に、ばね部材を介して車体が載せられた、鉄道車両の車体支持構造に関し、柔らかいばね部材を使用して車両の乗り心地を向上できるようにしながら、車体の高さを適切に保つことができるようにする。
【解決手段】軸支部材3と車体1との間に、軸支部材3に対する車体1の高さ方向位置を調整する高さ調整装置7a,7bを、ばね部材4,5と直列に備えるようにする。これにより、ばね部材4,5の特性を損なうことなく車体1の高さを調整できるようになり、柔らかいばね部材4,5を採用して鉄道車両の乗り心地を向上できる。
【選択図】 図1
【解決手段】軸支部材3と車体1との間に、軸支部材3に対する車体1の高さ方向位置を調整する高さ調整装置7a,7bを、ばね部材4,5と直列に備えるようにする。これにより、ばね部材4,5の特性を損なうことなく車体1の高さを調整できるようになり、柔らかいばね部材4,5を採用して鉄道車両の乗り心地を向上できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両の車輪を軸支する軸支部材に、ばね部材を介して車体が載せられた、鉄道車両の車体支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えばLRT(Light Rail Transit)等と称される超低床型の鉄道車両が開発・研究されている。
このような鉄道車両では、一般に、例えば図10に示すような車体支持構造がそなえられている。つまり、鉄道車両の左右車輪2,2を軸支する軸支部材としてのスタッブアクスル3をそなえ、このスタッブアクスル3には台車枠6が軸ばね4を介して備えられている。そして、車体1は、この台車枠6に枕ばね5を介して備えられている。また、上記の軸ばね4及び枕ばね5としては、コイルばね,板ばね,ゴムばね,空気ばね等が用いられる。さらに、振動減衰装置としてのダンパ9が、台車枠6と車体1との間に介装された枕ばね5に並列に設けられる場合もある。このような構造により、車体1の上下振動は上記の軸ばね4及び枕ばね5により吸収されるようになっている。
【0003】
また、特許文献1には、台車と車体との間に空気ばねを用いた鉄道車両において、高さ調整シリンダを空気ばねと並列に設け、アクティブダンパや車体傾斜シリンダ等のアクティブ制御用の油圧源を用いて高さ調整シリンダの伸縮動作を制御することで、乗員重量の変化に対する車体の高さ制御を行なう技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−76941号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来から、車体1の上下振動を極力低減して車両走行中の乗員に対する乗り心地を向上させたいという要望がある。このため、スタッブアクスル3と台車枠6との間の軸ばね4や台車枠6と車体1との間の枕ばね5等のばね部材を柔らかくすること(即ち、ばね定数を小さくすること)が望まれる。
【0006】
しかしながら、ばね部材を柔らかくすると、乗員の重量が増加した場合、車体1が沈みやすくなってしまうため車体1の高さ調整が困難となる。また、スペース上の制約からばねの撓み量は制限されるため、ばね部材を柔らかくするには限界がある。
特許文献1の技術では、高さ調整シリンダが設けられており車体の高さを調整することは可能であるが、この高さ調整シリンダは空気ばねと並列に設けられているので、空気ばねの伸縮動作が制限されるおそれがある。つまり、特許文献1の技術では、高さ調整を行なうことはできても、車両走行中の車体の上下振動を十分に低減できないおそれがあり、車両走行中の乗員に対する乗り心地を確実に向上させることは困難と考えられる。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、柔らかいばね部材を使用して車両の乗り心地を向上できるようにしながら、車体の高さを適切に保つことができるようにした、鉄道車両の車体支持構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明の鉄道車両の車体支持構造(請求項1)は、鉄道車両の車輪を軸支する軸支部材に、ばね部材を介して車体が載せられた鉄道車両の車体支持構造であって、該軸支部材と該車体との間に、該軸支部材に対する該車体の高さ方向位置を調整する高さ調整装置が、該ばね部材と直列に備えられていることを特徴としている。
【0009】
また、該高さ調整装置は、該ばね部材よりも上側の位置に配置されていることが好ましい(請求項2)。
さらに、該軸支部材に対する該車体の高さ又は該車体の高さに対応したパラメータの値を検出する高さ検出センサと、該高さ検出センサにより検出された該車体の高さ情報に基づいて、該車体の高さが予め設定された所定の高さとなるように該高さ調整装置を制御する制御装置とが備えられていることが好ましい(請求項3)。また、該制御装置は、該鉄道車両の停止時に該高さ調整装置を制御することが好ましい(請求項4)。
【0010】
また、該軸支部材と該車体との間に台車枠が介装されるとともに、該軸支部材と該台車枠との間には該ばね部材としての軸ばねが、該台車枠と該車体との間には該ばね部材としての枕ばねが、それぞれ介装されて、該高さ調整装置は、該軸支部材と該台車枠との間及び該台車枠と該車体との間のうちの少なくとも何れかに介装されていることが好ましい(請求項5)。
【0011】
また、該ばね部材は、固体の弾性を利用した機械式ばねであることが好ましい(請求項6)。
さらに、該高さ調整装置は、モータと、該モータの回転を高さ調整方向の直線移動に変換する変換機構とを備えたモータ式高さ調整装置であることが好ましい(請求項7)。なお、ここでいうモータは、電動モータ及び油圧モータのどちらでもよい。
【0012】
あるいは、該高さ調整装置は、高さ調整方向に伸縮する油圧アクチュエータを備えた油圧式高さ調整装置であることが好ましい(請求項8)。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
〔1〕第1実施形態
図1〜図3は本発明の第1実施形態としての鉄道車両の車体支持構造を説明するためのもので、図1はその車両幅方向の断面図、図2(a)は図1のA−A矢視断面図、図2(b)は図1のB−B矢視断面図、図3は高さ調整装置を模式的に示す構成図である。
【0014】
図1,図2(a)及び(b)に示すように、本実施形態にかかる鉄道車両の車体支持構造は、例えばLRT(Light Rail Transit)等と称される超低床型の鉄道車両に適用されるものであって、車両の左右の車輪2は、車体1の床面1aを極力低くすべくコの字状に形成されたスタッブアクスル(軸支部材)3により軸支されている。そして、このスタッブアクスル3の左右両端部の左右車輪2,2近傍に、ばね部材としての軸ばね4,台車枠6,ばね部材としての枕ばね5を介して車体1が載せられた構造となっている。なお、本実施形態に係る軸ばね4及び枕ばね5としては、コイルばね,板ばね,ゴムばね,空気ばね等の種々のばね部材が適用可能であるが、構造の簡素化やコストを考慮した場合、固体の弾性を利用した機械式ばね、即ち、上記のコイルばね,板ばね,ゴムばねのいずれかであるのが好ましい。
【0015】
具体的に説明すると、スタッブアクスル3と車体1との間には台車枠6が備えられている。そして、スタッブアクスル3と台車枠6との間に軸ばね4及び高さ調整装置(これについては後述する)7aが介装され、台車枠6と車体1との間に枕ばね5及び上記と同様の高さ調整装置7bが介装されている。
また、軸ばね4及び高さ調整装置7a、枕ばね5及び高さ調整装置7bはそれぞれ車体1の高さ方向に直列に且つ略鉛直に並んで備えられている。なお、図示するように、高さ調整装置7a,7bはそれぞれ軸ばね4及び枕ばね5の上側に設けられており、このように配置されることで、高さ調整装置7a,7bが軸ばね4及び枕ばね5の下側に設けられる場合よりもレール8からの上下振動の衝撃を直接受けにくくなっている(即ち、高さ調整装置7a,7bに加わる衝撃を低減することができる)。これにより、高さ調整装置7a,7bの振動耐久性を向上させることができる。
【0016】
また、本実施形態では、振動減衰装置としてのダンパ9が、台車枠6と車体1との間に枕ばね5と並列に設けられている。なお、図2(a),(b)中、符号6aは車両左右側の台車枠6を接続する横はり部材である。
さらに、本車体支持構造では、台車枠6に設けられスタッブアクスル3に対する台車枠6の高さ(即ち、スタッブアクスル3と台車枠6との間の距離)を検出する高さ検出センサ14aと、車体1に設けられ台車枠6に対する車体1の高さ(即ち、台車枠6と車体1との間の距離)を検出する高さ検出センサ14bとがそなえられている。また、高さ検出センサ14aにより軸ばね4の撓み量、高さ検出センサ14bにより枕ばね5の撓み量が推定できるようになっている。
【0017】
なお、高さ検出センサ14a,14bとしては、超音波等を利用した非接触式センサや、車体床面1aとスタッブアクスル3とのいずれか一方に基端を枢支され他方に先端を当接させたレバーをそなえ、レバー角度から相対距離(高さ)を検出する機械式センサなど種々のものを適用できる。また、例えば車体1の荷重を検出し、この荷重変位から車体1の高さを推測するセンサなど、車体1の高さに対応したパラメータの値を検出するセンサを用いてもよい。
【0018】
また、本実施形態では、図3に示すように、車両の停止時に、高さ検出センサ14a,14bにより検出された高さ情報に基づいて、車体1の高さが予め設定された所定の高さとなるように高さ調整装置7a,7bを制御するコントローラ(制御装置)15が備えられている。
【0019】
図3は台車枠6と車体1との間の高さ調整装置7bを示しており、以下ではこの高さ調整装置7bを一例として、本実施形態に係る高さ調整制御を説明する。
高さ調整装置7bは、例えば、モータ(高さ調整用モータ)16と、このモータ16の回転を高さ調整方向の直線移動に変換する変換機構17とを備えたモータ式高さ調整装置として構成されている。また、ここではモータ16は比較的小さいモータで構成されており、小さい動力で車体1の高さを高精度に調整できるようになっている。さらに、変換機構17は、ボールねじ構造又はすべりねじ構造で構成されており、変換機構17の伸縮可動面17aが高さ方向に伸縮するようになっている。また、図3では、枕ばね5としてコイルばねを用いた例を示している。
【0020】
このような構成により、コントローラ15は、車両の停止時に、高さ検出センサ14bから得られた値が所定値よりも小さい場合、伸縮可動面17aが図3中の下方向へ伸びるように高さ調整装置7aを制御して台車枠6と車体1との間の距離を大きくし、また、高さ検出センサ14bから得られた値が所定値よりも大きい場合、伸縮可動面17aが図3中の上方向へ縮むように高さ調整装置7aを制御して台車枠6と車体1との間の距離を小さくして、台車枠6と車体1との間の距離(即ち、台車枠6に対する車体1の高さ)が常に所定値(所定高さ)になるようにしている。なお、本実施形態では、上記の制御を、より正確に台車枠6と車体1との間の距離を検出してこの距離を調整するために車両停止時に行なうようにしているが、車両走行中に行なうこと(アクティブ制御)も可能である。
【0021】
また、上記では、台車枠6と車体1との間に設置された高さ調整装置7bについて説明したが、スタッブアクスル3と台車枠6との間に設置された高さ調整装置7aも高さ調整装置7bと同様に構成されており、高さ調整装置7aは、高さ検出センサ14aからの検出情報に基づいてコントローラ15によりスタッブアクスル3と台車枠6との間の距離の調整を行なうようになっている。
このように、コントローラ15により、高さ調整装置7a及び高さ調整装置7bのいずれか一方又は両方を制御することで、スタッブアクスル3に対する車体1の高さが所定高さになるように調整できるようになっている。
【0022】
本発明の第1実施形態としての鉄道車両の車体支持構造は、上述のように構成されているので、例えば乗員の乗降時に車体1の高さが変動しても、高さ調整装置7a,7bが車体1の高さを適切に調整するので、乗員の重量変化等による車体1の基準以上の沈み又は浮き上がりを防止することができる。これにより、乗員はスムーズな乗り降りが可能となる。
【0023】
このように、高さ調整装置7a,7bにより乗員重量の増減等の静的荷重によるばね撓みによる車体上下変動を吸収できるので、軸ばね4及び枕ばね5は車両走行中における車体1の上下振動等の動的荷重による撓みを所定の撓み量範囲内で吸収すればよい。つまり、軸ばね4及び枕ばね5の特性を損なうことなく車体1の高さを調整できるようになり、柔らかい(ばね定数が小さい)軸ばね4及び枕ばね5を採用して鉄道車両の乗り心地を向上させることができる。
【0024】
図4は、振動周波数〔横軸,Frequency(Hz)〕に対する加速度〔即ち、車体の上下振動の大きさを計算したものである。縦軸,Acceleration(m/s2/mm)〕の特性を示すグラフであって、実線は本発明(即ち、従来よりも柔らかい軸ばね4及び枕ばね5を用いるとともに、軸ばね4及び枕ばね5のそれぞれに高さ調整装置7a,7bを直列に配置した場合)、破線は従来技術(即ち、高さ調整装置7a,7bを設けずに、通常の硬質軸ばね及び硬質枕ばねを使用した場合)を示している。
【0025】
この図4に示すように、軸ばね4及び枕ばね5の各共振点付近で加速度のピークP1,P2が発生する。比較的柔らかい枕ばね5の共振点は低周波側に、比較的硬い軸ばね4の共振点は高周波側にあり、加速度はそれぞれこの付近でピークP1,P2となる。これに対して、本発明によれば、各ばね4,5とも柔らかく設定されているので、低周波側及び高周波側の両方のピークP1′,P2′が低周波側にシフトするとともに各ピーク値P1′,P2′が小さくなり、略全周波数にわたって加速度を低くすることができ、車体1の上下振動を低減することができる。
【0026】
なお、本実施形態では、高さ検出センサ14a,14bに基づいて高さ調整装置7a,7bをそれぞれ制御するように構成したが、例えば図1に示すように、高さ検出センサ14a,14bに代えて、スタッブアクスル3と車体1との間の距離(即ち、車体1の高さであり、軸ばね4及び枕ばね5の撓み量でもある)を検出する高さ検出センサ14cを設け、この高さ検出センサ14cから得られる検出情報に基づいて、車体1の高さが所定高さになるように高さ調整装置7a,7bを制御するようにしてもよい。
【0027】
また、この場合、例えばまず高さ調整装置7bにより高さ調整を行ない、これで足りない場合は高さ調整装置7aを用いて更なる高さ調整を行なうようにしたり、速やかに高さ調整を行なうために、常に、高さ調整量の一部を高さ調整装置7bが分担し、残りを高さ調整装置7aが分担するように制御ロジックを設定し、高さ調整装置7a,7bを同時作動させたりすることが考えられる。
【0028】
また、高さ検出センサ14a,14b,14cのすべてをそなえ、制御に応じてこれらの組み合わせ又は全部のセンサからの検出情報に基づいて高さ調整装置7a,7bの少なくとも一方を作動させるようにしてもよい。
【0029】
〔2〕第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態としての鉄道車両の車体支持構造について説明すると、本実施形態では、図5に示すように、第1実施形態に係る高さ調整装置7bの変換機構17をパンタジャッキ構造にしている。つまり、高さ検出センサ14bからの検出情報に基づいてコントローラ15によりモータ16の回転駆動を制御することで、パンタジャッキ20の高さを制御して車体1の高さを調整する。
このように構成しても、第1実施形態と同様の効果が得られる。なお、高さ調整装置7aも、本実施形態に係る高さ調整装置7bと同様に構成してもよい。
【0030】
〔3〕第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態としての鉄道車両の車体支持構造について説明すると、本実施形態では、図6(a),(b)に示すように、第1実施形態に係る高さ調整装置7bのモータ15及び変換機構17の代わりに、油圧源18と、この油圧源18から作動油を供給されることで高さ方向に伸縮するアクチュエータ19とからなる油圧式高さ調整装置をそなえている。つまり、高さ検出センサ14からの検出情報に基づいてコントローラ15により油圧源18からの作動油供給量を制御することで、アクチュエータ19の伸縮動作を制御して車体1の高さを調整する。このように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られるとともに、油圧により高い動力ですばやく車体の高さを調整することができる。
【0031】
なお、高さ調整装置7aも、本実施形態に係る高さ調整装置7bと同様に構成してもよい。また、図6(a)はアクチュエータ19の伸縮可動面19aを上面側(即ち、車体1側)に向けて設置した例、図6(b)はアクチュエータ19の伸縮可動面19aを下面側(即ち、台車枠6側)に向けて設置した例を示している。また、高さ調整装置7aも、本実施形態に係る高さ調整装置7bと同様に構成してもよい。
【0032】
〔4〕その他
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上記の実施形態では各車輪2,2に1組の軸ばね4及び高さ調整装置7aを設ける構成としたが、図7に示すように、各車輪2,2又は一部の車輪2,2について車両前後方向に2組の軸ばね4及び高さ調整装置7aを設ける構成としてもよい。
【0033】
また、上記の実施形態では、スタッブアクスル3と台車枠6との間に高さ調整装置7a、台車枠6と車体1との間に高さ調整装置7bを備える構成としたが、いずれか一方にのみ高さ調整装置を設けるようにしてもよい。例えばスタッブアクスル3と台車枠6との間(軸ばね4)のみに高さ調整装置7aを設けると(変形例A)、加速度変化のグラフは図8中実線で示す曲線となり、従来(破線)と比べて特に高周波側における車体1の上下振動を低減することが可能である。また、台車枠6と車体1との間(枕ばね5)のみに高さ調整装置7bを設けると(変形例B)、加速度変化のグラフは図9中実線で示す曲線となり、従来(破線)と比べて特に低周波側における振動を低減することが可能である。
【0034】
また、第1実施形態及び第2実施形態では電動モータを用いて高さ調整を行なったが、この電動モータの代わりに油圧モータを用いてもよい。
【0035】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の本発明の鉄道車両の車体支持構造によれば、軸支部材と車体との間に、軸支部材に対する車体の高さ方向位置を調整する高さ調整装置が、ばね部材と直列に備えられているので、乗員重量の増減等の静的荷重によるばね撓みによる車体の上下変動を高さ調整装置により吸収できる。したがって、ばね部材は車体の上下振動等の動的荷重による撓みを所定の撓み量範囲内で吸収すればよいので、ばね部材の特性を損なうことなく車体の高さを調整できるようになり、柔らかいばね部材を採用して鉄道車両の乗り心地を向上することができる。
【0036】
請求項2記載の本発明の鉄道車両の車体支持構造によれば、高さ調整装置は、ばね部材よりも上側の位置に配置されているので、車体の上下振動の衝撃を低減することができる。これにより、高さ調整装置の振動耐久性を向上させることができる。
請求項3記載の本発明の鉄道車両の車体支持構造によれば、制御装置が、高さ検出センサにより検出された車体の高さ情報に基づいて、車体の高さが予め設定された所定の高さとなるように高さ調整装置を制御するので、車体の高さを常に所定の高さに維持することが可能である。従って、例えば乗員の乗降時等における重量変化により生じる車体の高さ変動を防止することができる。これにより、乗員はスムーズな乗り降りが可能となる。
【0037】
請求項4記載の本発明の鉄道車両の車体支持構造によれば、鉄道車両の停止時に高さ調整装置を制御するので、より正確に車体の高さを検出して車体の高さを調整することができる。
請求項5記載の本発明の鉄道車両の車体支持構造によれば、高さ調整装置は、軸支部材と台車枠との間及び台車枠と車体との間のうちの少なくとも何れかに介装されているので、軸支部材と台車枠との間や台車枠と車体との間で乗員重量等の静的荷重によるばね撓み量を吸収することができ、車体の高さを常に所定の高さに維持することが可能である。
【0038】
請求項6記載の本発明の鉄道車両の車体支持構造によれば、ばね部材は、固体の弾性を利用した機械式ばねであるので、ばね部材を簡素化できる。
請求項7記載の本発明の鉄道車両の車体支持構造によれば、高さ調整装置は、モータと、モータの回転を高さ調整方向の直線移動に変換する変換機構とを備えたモータ式高さ調整装置であるので、小さい動力(小さいモータ)で高精度に車体の高さを調整することができる。
【0039】
請求項8記載の本発明の鉄道車両の車体支持構造によれば、高さ調整装置は、高さ調整方向に伸縮する油圧アクチュエータを備えた油圧式高さ調整装置であるので、油圧により高い動力ですばやく車体の高さを調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としての鉄道車両の車体支持構造を模式的に示す車両幅方向の断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態としての鉄道車両の車体支持構造を模式的に示すもので、(a)は図1のA−A矢視断面図、(b)は図1のB−B矢視断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る高さ調整装置を模式的に示す構成図である。
【図4】本発明の第1実施形態としての鉄道車両の車体支持構造の振動周波数(横軸)に対する車体の上下振動(縦軸)の特性を示すグラフである。
【図5】本発明の第2実施形態に係る高さ調整装置を模式的に示す構成図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る高さ調整装置を模式的に示すものであって、(a)はアクチュエータの伸縮可動面を上方に向けて設置した場合の構成図、(b)はアクチュエータの伸縮可動面を下方に向けて設置した場合の構成図である。
【図7】本発明の変形例に係る鉄道車両の車体支持構造を模式的に示す構成図である。
【図8】本発明の変形例Aとしての鉄道車両の車体支持構造の振動周波数(横軸)に対する車体の上下振動(縦軸)の特性を示すグラフである。
【図9】本発明の変形例Bとしての鉄道車両の車体支持構造の振動周波数(横軸)に対する車体の上下振動(縦軸)の特性を示すグラフである。
【図10】従来の鉄道車両の車体支持構造を模式的に示す構成図である。
【符号の説明】
1 車体
2 車輪
3 スタッブアクスル(軸支部材)
4 軸ばね
5 枕ばね
6 台車枠
6a 横はり部材
7a,7b 高さ調整装置
8 レール
9 ダンパ
14a,14b,14c 高さ検出センサ
15 コントローラ(制御装置)
16 モータ(高さ調整用モータ)
17 変換機構
17a 伸縮可動面
18 油圧源
19 アクチュエータ
19a 伸縮可動面
20 パンタジャッキ
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両の車輪を軸支する軸支部材に、ばね部材を介して車体が載せられた、鉄道車両の車体支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えばLRT(Light Rail Transit)等と称される超低床型の鉄道車両が開発・研究されている。
このような鉄道車両では、一般に、例えば図10に示すような車体支持構造がそなえられている。つまり、鉄道車両の左右車輪2,2を軸支する軸支部材としてのスタッブアクスル3をそなえ、このスタッブアクスル3には台車枠6が軸ばね4を介して備えられている。そして、車体1は、この台車枠6に枕ばね5を介して備えられている。また、上記の軸ばね4及び枕ばね5としては、コイルばね,板ばね,ゴムばね,空気ばね等が用いられる。さらに、振動減衰装置としてのダンパ9が、台車枠6と車体1との間に介装された枕ばね5に並列に設けられる場合もある。このような構造により、車体1の上下振動は上記の軸ばね4及び枕ばね5により吸収されるようになっている。
【0003】
また、特許文献1には、台車と車体との間に空気ばねを用いた鉄道車両において、高さ調整シリンダを空気ばねと並列に設け、アクティブダンパや車体傾斜シリンダ等のアクティブ制御用の油圧源を用いて高さ調整シリンダの伸縮動作を制御することで、乗員重量の変化に対する車体の高さ制御を行なう技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−76941号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来から、車体1の上下振動を極力低減して車両走行中の乗員に対する乗り心地を向上させたいという要望がある。このため、スタッブアクスル3と台車枠6との間の軸ばね4や台車枠6と車体1との間の枕ばね5等のばね部材を柔らかくすること(即ち、ばね定数を小さくすること)が望まれる。
【0006】
しかしながら、ばね部材を柔らかくすると、乗員の重量が増加した場合、車体1が沈みやすくなってしまうため車体1の高さ調整が困難となる。また、スペース上の制約からばねの撓み量は制限されるため、ばね部材を柔らかくするには限界がある。
特許文献1の技術では、高さ調整シリンダが設けられており車体の高さを調整することは可能であるが、この高さ調整シリンダは空気ばねと並列に設けられているので、空気ばねの伸縮動作が制限されるおそれがある。つまり、特許文献1の技術では、高さ調整を行なうことはできても、車両走行中の車体の上下振動を十分に低減できないおそれがあり、車両走行中の乗員に対する乗り心地を確実に向上させることは困難と考えられる。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、柔らかいばね部材を使用して車両の乗り心地を向上できるようにしながら、車体の高さを適切に保つことができるようにした、鉄道車両の車体支持構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明の鉄道車両の車体支持構造(請求項1)は、鉄道車両の車輪を軸支する軸支部材に、ばね部材を介して車体が載せられた鉄道車両の車体支持構造であって、該軸支部材と該車体との間に、該軸支部材に対する該車体の高さ方向位置を調整する高さ調整装置が、該ばね部材と直列に備えられていることを特徴としている。
【0009】
また、該高さ調整装置は、該ばね部材よりも上側の位置に配置されていることが好ましい(請求項2)。
さらに、該軸支部材に対する該車体の高さ又は該車体の高さに対応したパラメータの値を検出する高さ検出センサと、該高さ検出センサにより検出された該車体の高さ情報に基づいて、該車体の高さが予め設定された所定の高さとなるように該高さ調整装置を制御する制御装置とが備えられていることが好ましい(請求項3)。また、該制御装置は、該鉄道車両の停止時に該高さ調整装置を制御することが好ましい(請求項4)。
【0010】
また、該軸支部材と該車体との間に台車枠が介装されるとともに、該軸支部材と該台車枠との間には該ばね部材としての軸ばねが、該台車枠と該車体との間には該ばね部材としての枕ばねが、それぞれ介装されて、該高さ調整装置は、該軸支部材と該台車枠との間及び該台車枠と該車体との間のうちの少なくとも何れかに介装されていることが好ましい(請求項5)。
【0011】
また、該ばね部材は、固体の弾性を利用した機械式ばねであることが好ましい(請求項6)。
さらに、該高さ調整装置は、モータと、該モータの回転を高さ調整方向の直線移動に変換する変換機構とを備えたモータ式高さ調整装置であることが好ましい(請求項7)。なお、ここでいうモータは、電動モータ及び油圧モータのどちらでもよい。
【0012】
あるいは、該高さ調整装置は、高さ調整方向に伸縮する油圧アクチュエータを備えた油圧式高さ調整装置であることが好ましい(請求項8)。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
〔1〕第1実施形態
図1〜図3は本発明の第1実施形態としての鉄道車両の車体支持構造を説明するためのもので、図1はその車両幅方向の断面図、図2(a)は図1のA−A矢視断面図、図2(b)は図1のB−B矢視断面図、図3は高さ調整装置を模式的に示す構成図である。
【0014】
図1,図2(a)及び(b)に示すように、本実施形態にかかる鉄道車両の車体支持構造は、例えばLRT(Light Rail Transit)等と称される超低床型の鉄道車両に適用されるものであって、車両の左右の車輪2は、車体1の床面1aを極力低くすべくコの字状に形成されたスタッブアクスル(軸支部材)3により軸支されている。そして、このスタッブアクスル3の左右両端部の左右車輪2,2近傍に、ばね部材としての軸ばね4,台車枠6,ばね部材としての枕ばね5を介して車体1が載せられた構造となっている。なお、本実施形態に係る軸ばね4及び枕ばね5としては、コイルばね,板ばね,ゴムばね,空気ばね等の種々のばね部材が適用可能であるが、構造の簡素化やコストを考慮した場合、固体の弾性を利用した機械式ばね、即ち、上記のコイルばね,板ばね,ゴムばねのいずれかであるのが好ましい。
【0015】
具体的に説明すると、スタッブアクスル3と車体1との間には台車枠6が備えられている。そして、スタッブアクスル3と台車枠6との間に軸ばね4及び高さ調整装置(これについては後述する)7aが介装され、台車枠6と車体1との間に枕ばね5及び上記と同様の高さ調整装置7bが介装されている。
また、軸ばね4及び高さ調整装置7a、枕ばね5及び高さ調整装置7bはそれぞれ車体1の高さ方向に直列に且つ略鉛直に並んで備えられている。なお、図示するように、高さ調整装置7a,7bはそれぞれ軸ばね4及び枕ばね5の上側に設けられており、このように配置されることで、高さ調整装置7a,7bが軸ばね4及び枕ばね5の下側に設けられる場合よりもレール8からの上下振動の衝撃を直接受けにくくなっている(即ち、高さ調整装置7a,7bに加わる衝撃を低減することができる)。これにより、高さ調整装置7a,7bの振動耐久性を向上させることができる。
【0016】
また、本実施形態では、振動減衰装置としてのダンパ9が、台車枠6と車体1との間に枕ばね5と並列に設けられている。なお、図2(a),(b)中、符号6aは車両左右側の台車枠6を接続する横はり部材である。
さらに、本車体支持構造では、台車枠6に設けられスタッブアクスル3に対する台車枠6の高さ(即ち、スタッブアクスル3と台車枠6との間の距離)を検出する高さ検出センサ14aと、車体1に設けられ台車枠6に対する車体1の高さ(即ち、台車枠6と車体1との間の距離)を検出する高さ検出センサ14bとがそなえられている。また、高さ検出センサ14aにより軸ばね4の撓み量、高さ検出センサ14bにより枕ばね5の撓み量が推定できるようになっている。
【0017】
なお、高さ検出センサ14a,14bとしては、超音波等を利用した非接触式センサや、車体床面1aとスタッブアクスル3とのいずれか一方に基端を枢支され他方に先端を当接させたレバーをそなえ、レバー角度から相対距離(高さ)を検出する機械式センサなど種々のものを適用できる。また、例えば車体1の荷重を検出し、この荷重変位から車体1の高さを推測するセンサなど、車体1の高さに対応したパラメータの値を検出するセンサを用いてもよい。
【0018】
また、本実施形態では、図3に示すように、車両の停止時に、高さ検出センサ14a,14bにより検出された高さ情報に基づいて、車体1の高さが予め設定された所定の高さとなるように高さ調整装置7a,7bを制御するコントローラ(制御装置)15が備えられている。
【0019】
図3は台車枠6と車体1との間の高さ調整装置7bを示しており、以下ではこの高さ調整装置7bを一例として、本実施形態に係る高さ調整制御を説明する。
高さ調整装置7bは、例えば、モータ(高さ調整用モータ)16と、このモータ16の回転を高さ調整方向の直線移動に変換する変換機構17とを備えたモータ式高さ調整装置として構成されている。また、ここではモータ16は比較的小さいモータで構成されており、小さい動力で車体1の高さを高精度に調整できるようになっている。さらに、変換機構17は、ボールねじ構造又はすべりねじ構造で構成されており、変換機構17の伸縮可動面17aが高さ方向に伸縮するようになっている。また、図3では、枕ばね5としてコイルばねを用いた例を示している。
【0020】
このような構成により、コントローラ15は、車両の停止時に、高さ検出センサ14bから得られた値が所定値よりも小さい場合、伸縮可動面17aが図3中の下方向へ伸びるように高さ調整装置7aを制御して台車枠6と車体1との間の距離を大きくし、また、高さ検出センサ14bから得られた値が所定値よりも大きい場合、伸縮可動面17aが図3中の上方向へ縮むように高さ調整装置7aを制御して台車枠6と車体1との間の距離を小さくして、台車枠6と車体1との間の距離(即ち、台車枠6に対する車体1の高さ)が常に所定値(所定高さ)になるようにしている。なお、本実施形態では、上記の制御を、より正確に台車枠6と車体1との間の距離を検出してこの距離を調整するために車両停止時に行なうようにしているが、車両走行中に行なうこと(アクティブ制御)も可能である。
【0021】
また、上記では、台車枠6と車体1との間に設置された高さ調整装置7bについて説明したが、スタッブアクスル3と台車枠6との間に設置された高さ調整装置7aも高さ調整装置7bと同様に構成されており、高さ調整装置7aは、高さ検出センサ14aからの検出情報に基づいてコントローラ15によりスタッブアクスル3と台車枠6との間の距離の調整を行なうようになっている。
このように、コントローラ15により、高さ調整装置7a及び高さ調整装置7bのいずれか一方又は両方を制御することで、スタッブアクスル3に対する車体1の高さが所定高さになるように調整できるようになっている。
【0022】
本発明の第1実施形態としての鉄道車両の車体支持構造は、上述のように構成されているので、例えば乗員の乗降時に車体1の高さが変動しても、高さ調整装置7a,7bが車体1の高さを適切に調整するので、乗員の重量変化等による車体1の基準以上の沈み又は浮き上がりを防止することができる。これにより、乗員はスムーズな乗り降りが可能となる。
【0023】
このように、高さ調整装置7a,7bにより乗員重量の増減等の静的荷重によるばね撓みによる車体上下変動を吸収できるので、軸ばね4及び枕ばね5は車両走行中における車体1の上下振動等の動的荷重による撓みを所定の撓み量範囲内で吸収すればよい。つまり、軸ばね4及び枕ばね5の特性を損なうことなく車体1の高さを調整できるようになり、柔らかい(ばね定数が小さい)軸ばね4及び枕ばね5を採用して鉄道車両の乗り心地を向上させることができる。
【0024】
図4は、振動周波数〔横軸,Frequency(Hz)〕に対する加速度〔即ち、車体の上下振動の大きさを計算したものである。縦軸,Acceleration(m/s2/mm)〕の特性を示すグラフであって、実線は本発明(即ち、従来よりも柔らかい軸ばね4及び枕ばね5を用いるとともに、軸ばね4及び枕ばね5のそれぞれに高さ調整装置7a,7bを直列に配置した場合)、破線は従来技術(即ち、高さ調整装置7a,7bを設けずに、通常の硬質軸ばね及び硬質枕ばねを使用した場合)を示している。
【0025】
この図4に示すように、軸ばね4及び枕ばね5の各共振点付近で加速度のピークP1,P2が発生する。比較的柔らかい枕ばね5の共振点は低周波側に、比較的硬い軸ばね4の共振点は高周波側にあり、加速度はそれぞれこの付近でピークP1,P2となる。これに対して、本発明によれば、各ばね4,5とも柔らかく設定されているので、低周波側及び高周波側の両方のピークP1′,P2′が低周波側にシフトするとともに各ピーク値P1′,P2′が小さくなり、略全周波数にわたって加速度を低くすることができ、車体1の上下振動を低減することができる。
【0026】
なお、本実施形態では、高さ検出センサ14a,14bに基づいて高さ調整装置7a,7bをそれぞれ制御するように構成したが、例えば図1に示すように、高さ検出センサ14a,14bに代えて、スタッブアクスル3と車体1との間の距離(即ち、車体1の高さであり、軸ばね4及び枕ばね5の撓み量でもある)を検出する高さ検出センサ14cを設け、この高さ検出センサ14cから得られる検出情報に基づいて、車体1の高さが所定高さになるように高さ調整装置7a,7bを制御するようにしてもよい。
【0027】
また、この場合、例えばまず高さ調整装置7bにより高さ調整を行ない、これで足りない場合は高さ調整装置7aを用いて更なる高さ調整を行なうようにしたり、速やかに高さ調整を行なうために、常に、高さ調整量の一部を高さ調整装置7bが分担し、残りを高さ調整装置7aが分担するように制御ロジックを設定し、高さ調整装置7a,7bを同時作動させたりすることが考えられる。
【0028】
また、高さ検出センサ14a,14b,14cのすべてをそなえ、制御に応じてこれらの組み合わせ又は全部のセンサからの検出情報に基づいて高さ調整装置7a,7bの少なくとも一方を作動させるようにしてもよい。
【0029】
〔2〕第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態としての鉄道車両の車体支持構造について説明すると、本実施形態では、図5に示すように、第1実施形態に係る高さ調整装置7bの変換機構17をパンタジャッキ構造にしている。つまり、高さ検出センサ14bからの検出情報に基づいてコントローラ15によりモータ16の回転駆動を制御することで、パンタジャッキ20の高さを制御して車体1の高さを調整する。
このように構成しても、第1実施形態と同様の効果が得られる。なお、高さ調整装置7aも、本実施形態に係る高さ調整装置7bと同様に構成してもよい。
【0030】
〔3〕第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態としての鉄道車両の車体支持構造について説明すると、本実施形態では、図6(a),(b)に示すように、第1実施形態に係る高さ調整装置7bのモータ15及び変換機構17の代わりに、油圧源18と、この油圧源18から作動油を供給されることで高さ方向に伸縮するアクチュエータ19とからなる油圧式高さ調整装置をそなえている。つまり、高さ検出センサ14からの検出情報に基づいてコントローラ15により油圧源18からの作動油供給量を制御することで、アクチュエータ19の伸縮動作を制御して車体1の高さを調整する。このように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られるとともに、油圧により高い動力ですばやく車体の高さを調整することができる。
【0031】
なお、高さ調整装置7aも、本実施形態に係る高さ調整装置7bと同様に構成してもよい。また、図6(a)はアクチュエータ19の伸縮可動面19aを上面側(即ち、車体1側)に向けて設置した例、図6(b)はアクチュエータ19の伸縮可動面19aを下面側(即ち、台車枠6側)に向けて設置した例を示している。また、高さ調整装置7aも、本実施形態に係る高さ調整装置7bと同様に構成してもよい。
【0032】
〔4〕その他
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上記の実施形態では各車輪2,2に1組の軸ばね4及び高さ調整装置7aを設ける構成としたが、図7に示すように、各車輪2,2又は一部の車輪2,2について車両前後方向に2組の軸ばね4及び高さ調整装置7aを設ける構成としてもよい。
【0033】
また、上記の実施形態では、スタッブアクスル3と台車枠6との間に高さ調整装置7a、台車枠6と車体1との間に高さ調整装置7bを備える構成としたが、いずれか一方にのみ高さ調整装置を設けるようにしてもよい。例えばスタッブアクスル3と台車枠6との間(軸ばね4)のみに高さ調整装置7aを設けると(変形例A)、加速度変化のグラフは図8中実線で示す曲線となり、従来(破線)と比べて特に高周波側における車体1の上下振動を低減することが可能である。また、台車枠6と車体1との間(枕ばね5)のみに高さ調整装置7bを設けると(変形例B)、加速度変化のグラフは図9中実線で示す曲線となり、従来(破線)と比べて特に低周波側における振動を低減することが可能である。
【0034】
また、第1実施形態及び第2実施形態では電動モータを用いて高さ調整を行なったが、この電動モータの代わりに油圧モータを用いてもよい。
【0035】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の本発明の鉄道車両の車体支持構造によれば、軸支部材と車体との間に、軸支部材に対する車体の高さ方向位置を調整する高さ調整装置が、ばね部材と直列に備えられているので、乗員重量の増減等の静的荷重によるばね撓みによる車体の上下変動を高さ調整装置により吸収できる。したがって、ばね部材は車体の上下振動等の動的荷重による撓みを所定の撓み量範囲内で吸収すればよいので、ばね部材の特性を損なうことなく車体の高さを調整できるようになり、柔らかいばね部材を採用して鉄道車両の乗り心地を向上することができる。
【0036】
請求項2記載の本発明の鉄道車両の車体支持構造によれば、高さ調整装置は、ばね部材よりも上側の位置に配置されているので、車体の上下振動の衝撃を低減することができる。これにより、高さ調整装置の振動耐久性を向上させることができる。
請求項3記載の本発明の鉄道車両の車体支持構造によれば、制御装置が、高さ検出センサにより検出された車体の高さ情報に基づいて、車体の高さが予め設定された所定の高さとなるように高さ調整装置を制御するので、車体の高さを常に所定の高さに維持することが可能である。従って、例えば乗員の乗降時等における重量変化により生じる車体の高さ変動を防止することができる。これにより、乗員はスムーズな乗り降りが可能となる。
【0037】
請求項4記載の本発明の鉄道車両の車体支持構造によれば、鉄道車両の停止時に高さ調整装置を制御するので、より正確に車体の高さを検出して車体の高さを調整することができる。
請求項5記載の本発明の鉄道車両の車体支持構造によれば、高さ調整装置は、軸支部材と台車枠との間及び台車枠と車体との間のうちの少なくとも何れかに介装されているので、軸支部材と台車枠との間や台車枠と車体との間で乗員重量等の静的荷重によるばね撓み量を吸収することができ、車体の高さを常に所定の高さに維持することが可能である。
【0038】
請求項6記載の本発明の鉄道車両の車体支持構造によれば、ばね部材は、固体の弾性を利用した機械式ばねであるので、ばね部材を簡素化できる。
請求項7記載の本発明の鉄道車両の車体支持構造によれば、高さ調整装置は、モータと、モータの回転を高さ調整方向の直線移動に変換する変換機構とを備えたモータ式高さ調整装置であるので、小さい動力(小さいモータ)で高精度に車体の高さを調整することができる。
【0039】
請求項8記載の本発明の鉄道車両の車体支持構造によれば、高さ調整装置は、高さ調整方向に伸縮する油圧アクチュエータを備えた油圧式高さ調整装置であるので、油圧により高い動力ですばやく車体の高さを調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としての鉄道車両の車体支持構造を模式的に示す車両幅方向の断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態としての鉄道車両の車体支持構造を模式的に示すもので、(a)は図1のA−A矢視断面図、(b)は図1のB−B矢視断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る高さ調整装置を模式的に示す構成図である。
【図4】本発明の第1実施形態としての鉄道車両の車体支持構造の振動周波数(横軸)に対する車体の上下振動(縦軸)の特性を示すグラフである。
【図5】本発明の第2実施形態に係る高さ調整装置を模式的に示す構成図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る高さ調整装置を模式的に示すものであって、(a)はアクチュエータの伸縮可動面を上方に向けて設置した場合の構成図、(b)はアクチュエータの伸縮可動面を下方に向けて設置した場合の構成図である。
【図7】本発明の変形例に係る鉄道車両の車体支持構造を模式的に示す構成図である。
【図8】本発明の変形例Aとしての鉄道車両の車体支持構造の振動周波数(横軸)に対する車体の上下振動(縦軸)の特性を示すグラフである。
【図9】本発明の変形例Bとしての鉄道車両の車体支持構造の振動周波数(横軸)に対する車体の上下振動(縦軸)の特性を示すグラフである。
【図10】従来の鉄道車両の車体支持構造を模式的に示す構成図である。
【符号の説明】
1 車体
2 車輪
3 スタッブアクスル(軸支部材)
4 軸ばね
5 枕ばね
6 台車枠
6a 横はり部材
7a,7b 高さ調整装置
8 レール
9 ダンパ
14a,14b,14c 高さ検出センサ
15 コントローラ(制御装置)
16 モータ(高さ調整用モータ)
17 変換機構
17a 伸縮可動面
18 油圧源
19 アクチュエータ
19a 伸縮可動面
20 パンタジャッキ
Claims (8)
- 鉄道車両の車輪を軸支する軸支部材に、ばね部材を介して車体が載せられた鉄道車両の車体支持構造であって、
該軸支部材と該車体との間に、該軸支部材に対する該車体の高さ方向位置を調整する高さ調整装置が、該ばね部材と直列に備えられている
ことを特徴とする、鉄道車両の車体支持構造。 - 該高さ調整装置は、該ばね部材よりも上側の位置に配置されている
ことを特徴とする、請求項1記載の鉄道車両の車体支持構造。 - 該軸支部材に対する該車体の高さ又は該車体の高さに対応したパラメータの値を検出する高さ検出センサと、
該高さ検出センサにより検出された該車体の高さ情報に基づいて、該車体の高さが予め設定された所定の高さとなるように該高さ調整装置を制御する制御装置とが、備えられている
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の鉄道車両の車体支持構造。 - 該制御装置は、該鉄道車両の停止時に該高さ調整装置を制御する
ことを特徴とする、請求項3記載の鉄道車両の車体支持構造。 - 該軸支部材と該車体との間に台車枠が介装されるとともに、
該軸支部材と該台車枠との間には該ばね部材としての軸ばねが、該台車枠と該車体との間には該ばね部材としての枕ばねが、それぞれ介装されて、
該高さ調整装置は、該軸支部材と該台車枠との間及び該台車枠と該車体との間のうちの少なくとも何れかに介装されている
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の鉄道車両の車体支持構造。 - 該ばね部材は、固体の弾性を利用した機械式ばねである
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の鉄道車両の車体支持構造。 - 該高さ調整装置は、モータと、該モータの回転を高さ調整方向の直線移動に変換する変換機構とを備えたモータ式高さ調整装置である
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の鉄道車両の車体支持構造。 - 該高さ調整装置は、高さ調整方向に伸縮する油圧アクチュエータを備えた油圧式高さ調整装置である
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の鉄道車両の車体支持構造。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060704 |