JP2004317544A - Icチップ実装体付きラベル - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストで破壊しにくいICチップ実装体付きラベルの提供。
【解決手段】ICチップ実装体22のラベルの長手方向の長さと実質的に少なくとも同等の長さを有するICチップ実装体対向剥離部分3yを設け、該部分の剥離紙を取り除き露出した粘着剤面とICチップ実装体を接合した剥離紙部分のICチップ実装体の接合した面の実質的に反対側の面1yを接合したICチップ実装体付きラベルはICチップ実装体対向剥離部分の少なくとも近傍において、剥離紙がスリットを有しないので破壊しにくい。
【選択図】図5
【解決手段】ICチップ実装体22のラベルの長手方向の長さと実質的に少なくとも同等の長さを有するICチップ実装体対向剥離部分3yを設け、該部分の剥離紙を取り除き露出した粘着剤面とICチップ実装体を接合した剥離紙部分のICチップ実装体の接合した面の実質的に反対側の面1yを接合したICチップ実装体付きラベルはICチップ実装体対向剥離部分の少なくとも近傍において、剥離紙がスリットを有しないので破壊しにくい。
【選択図】図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明のICチップ実装体付きラベルは、荷物タグ等に使用されデータの交信等を外部電波により行なう非接触型ICチップ実装体を使用したラベルに関するものである。
【0002】
ICチップ実装体はいわゆるデータキャリアとも呼ばれており、通称ICカードと呼ばれるが、必ずしもカード形態をとるものだけでなく、物に貼り付けられるシート状のタグや容器に封入されたタグや腕時計型等種々の形態のキャリアも含んでいる。この明細書のICチップ実装体付きラベルに使用されるのは、ICカードやカード状以外の形態のICチップ実装体も含んでいる。
【0003】
【従来の技術】
近年、個人の情報管理や物流管理または通勤通学等に使用される定期券等に新しい情報記録媒体としてICチップを搭載した小型電子機器が普及しつつある。特に携帯用として便利なICカードと称されるカード型大容量可変情報記録媒体が広く普及し始めている。
ICカードは大きく、接触型、非接触型およびこれら両者の機能を有するコンビ型の3種類に分類することができる。接触型ICカードは、カード表面にICチップに電気的に接続されているデータ交換用の金属端子が設けられており、その端子を通じて外部読み取り機とデータ交換を行っている事を特徴とする物である。現在使い捨てタイプは欧州等でテレホンカードとして広く流通しており、、情報の書き換え可能なタイプをマネーカードとして使用する実験が各国で行われている。特に、金融関係で使用されるカードとして注目されている。
【0004】
一方、非接触型ICカードは、データの交換は電波を介して非接触により行うため、たとえば従来の切符、定期券等、磁気記録層が片面に設けられている乗車券に代わる記録媒体として注目されている。特に、改札通過の際に、一々乗車券を取り出す必要がなく、定期入れや鞄等の中からでもデータ交換できるため、利便性が大きく向上するものと期待されている。
物流分野においてもバーコードや磁気記録に取って代わり、移動体とのデータ交換を電波にて行うRFID(Radio Frequency Identification:無線自動識別)タグと称されるICキャリアーによる管理が主流になりつつある。
【0005】
流通用に使用されるRFIDタグの有力な候補としては、航空手荷物用タグや宅配用タグが挙げられる。しかしながらこれらのタグは利便性を追求した結果、粘着紙、ハーフカット、バックスリット、感圧複写紙等で構成されており構造が複雑である。現行の形式を踏襲し、ICチップ実装体付きラベルとして作製すると、これらの加工の途中又は後工程でICチップ実装体を組み込む必要があり、製造装置の大幅な改造が必要で有るのと同時に、加工途中での不良品の発生、後加工にする場合においては不必要な応力による不良品の発生の多発が懸念される。特に長尺の連続したRFIDタグの途中で不良品があるのは使用上好ましくない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような非接触ICチップ実装体付きラベルは、製造工程が複雑になり製造コストが高い問題があった。
本発明の目的は単純な構造のシールタイプのICチップ実装体付きラベルを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るICチップ実装体付きラベルは、剥離紙と、その上に粘着剤を設けた上紙を備えたラベルであって、ラベルの少なくとも一部分に上紙の存在しない剥離紙の一部が露出した露出剥離面を有し、その露出剥離面上に、実装体部粘着剤を有するICチップ実装体を該実装体部粘着剤を介して接合して備える。
更に、前記一部分の剥離面の少なくとも一部に剥離性を減少させる加工を施すことが好ましい。
また、ICチップ実装体のラベルの長手方向の長さと実質的に少なくとも同等の長さを有するICチップ実装体対向剥離部分を設けるように剥離用予備切断線を剥離紙に加工することも好ましい。
また、ICチップ実装体のラベルの長手方向の長さと実質的に少なくとも同等の長さを有するICチップ実装体対向剥離部分を設け、該部分の剥離紙を取り除き露出した粘着剤面とICチップ実装体を接合した剥離紙部分のICチップ実装体の接合した面の反対側の面を接合すようにして使用することも好ましい。
また、ICチップ実装体とICチップ実装体対向剥離部分のラベルの長手方向の離間距離が150mm以上とすることも好ましい。
また、前記ICチップ実装体対向剥離部分の少なくとも近傍において、剥離紙がスリットを有しないようにすることが更に好ましい。
【0008】
結局、簡単に表現すると、アンテナ回路およびICを備えたICチップ実装体であって、タック紙に使用されている剥離紙上にICチップ実装体を貼る事によって、従来の利便性を残しながらICチップ実装体付きラベルの製造工程を簡略化することができる。
又、ループ状に貼り合わせて使用する航空手荷物用タグ等に使用する場合においては、従来取られてきたように剥離紙側からインレットを挿入する必要が無く、従って剥離紙にインレット挿入するためのバックスリットをいれる必要が無いため、ループ状に貼り合わせた後に粘着剤と剥離紙が剥がれることがなく、耐久性が向上した。
更にICチップ実装体を再度宅配便等の別の伝票などに貼る事で、データの再利用が可能となり、コストダウン、利便性が可能となった。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、複雑な加工を行った粘着タグの剥離紙の一部に、粘着剤を有するラベル化したICチップ実装体を貼り付けることで、ラベル製造機に大きな改造を加えることなく本発明のICチップ実装体付きラベルを提供できることに至った。結局、その製造工程も簡略化出来、更に粘着剤を有するICチップ実装体を貼り換えて使用することも合わせて可能となるものとなった。
以下に本発明で使用される、▲1▼非接触型ICチップ実装体ラベルの主要構成部品である、支持体上にコイル状等の回路パターンを形成し信号・電力のやり取りを行なうアンテナ回路部分に、ICチップやコンデンサなどの電子部品を搭載または形成した「インレットシート」と呼ばれるもの、▲2▼このインレットシートと粘着剤、上紙等を用いた「ICチップ実装体」と呼ばれるもの、▲3▼ICチップ実装体を用いた「ICチップ実装体ラベル」と呼ばれるものの組み立てについて説明する。
【0010】
1.インレットシートの製造・工程
〔インレットシート用支持体〕
インレットシート用支持体は電気絶縁性の材料から選択される。支持体には大きく分けてリジット基板とフレキシブル基板とに分けることが出来る。
本発明では使用するのはフレキシブル基板であり、フィルム状の支持体に回路が設けられているものであって、プリンターのヘッドや車の中の配線等に使用されており、形の変わるもの、動くものに対して多く使用されている。
【0011】
〔インレットシート〕
上記支持体と金属箔を接着して得られた回路基材の金属箔の一部をエッチングにより取り除いて必要なアンテナ回路を含む回路パターンを形成した後、ICチップを回路パターンが形成された基材に装着してインレットシートを得ることができる。インレットシートは以下に説明する非接触型ICチップ実装体付きラベルの組立て時の心臓部品となる。
【0012】
〔金属箔〕
使用される金属箔は、電解法、圧延法、精密圧延法、打箔法(主に美術工芸用)で製造された、アルミ箔、銅箔、金箔、銀箔、亜鉛箔、ニッケル箔、錫箔、合金箔等が好ましい。
その他以下の様な方法でインレットシートの回路パターンを作製することが可能である。
(導電性インク)
銀または銅などの金属粉と樹脂を混ぜ合わせ、スクリーン印刷等で印刷してアンテナ回路等を形成する方法である。同じ断面積での抵抗値が金属箔と比較して10倍程度高いので、使用するICチップによっては使用できない場合もある。
【0013】
(金属線)
材料的には最も安価なものであるが、ベアチップの実装は高度な技術が必要であり、なおかつエッチング回路と同程度の抵抗値とする場合、線径がかなり太くなることが問題となる。
【0014】
(メッキ)
不織布やナイロンメッシュなどの基材の中を通して回路が形成される為、金属の厚さは厚くすることが可能であるが、基本的には片面エッチングと同じとなり、最近小型化が進んでいるベアチップの直接実装が回路の取りまわし上難しく、平面コンデンサを設けられない欠点はあるが、コストが比較的安く、今後普及する可能性が有る。
【0015】
(金属粉)
金属粉を直接回路パターン状に塗布していく方法であるが、生産性が低くコストが高い。
【0016】
(蒸着)
高真空中で金属を熱して蒸気にし、フィルム等に蒸着する方法であるが、金属皮膜の厚さが薄く、現在使用されているICチップではアンテナの抵抗値が高すぎ、通信距離が出にくい問題点がある。
一方、スパッタリングで金属を基板に付着させる方法を使用すると蒸着法に比較して、ICチップを駆動させるに充分厚みの有る金属膜を得ることが可能である。
【0017】
[IC]
本発明で使用されるICチップとしては135KHz、4.9MHz、6.5MHz、13.56MHz、2.54GHz帯等のバンプ付きベアチップが挙げられる。最近ではベアチップに似た形状のCSP(チップサイズパッケージ)と呼ばれるICの開発が進んでいる。ベアチップを樹脂封止し、新たに電極を設けたこのCSPは、最近の半導体の集積度が向上したため考えだされた技術であり、CSPも本発明のICチップとして使用することができる。
【0018】
[ICと回路パターンとの接続]
本発明はベアチップをACF(異方導電性フィルム)、ACP(異方導電性ペースト)、NCP(非導電性ペースト)などの接続樹脂で熱圧着する方法や、ハンダ等の金属を使用して加熱接続する方法や、銀、銅などの金属粉末を含有する導電性接着剤で接続する方法や、超音波接合、溶接、金属同士の熱圧着など定法の接続方法が使用可能である。
又、金属製のリードフレーム上にチップを設け樹脂封止したパッケージチップを使用した場合、アンテナ回路との接続は上記に述べたものと同様に、ハンダ等の金属を使用して加熱接続する方法や、銀、銅などの金属粉末を含有する導電性接着剤で接続する方法や、超音波接合、溶接、金属同士の熱圧着など定法の接続方法が使用可能である。
【0019】
2.ICチップ実装体集合体シートの組み立て
以上説明したインレットシートからICチップ実装体になるまでに使用される材料・工程を以下に述べる。
本発明のラベルに使用されるICチップ実装体22の構成を図4(1)にした。図4(1)はICチップ実装体22の断面図である。図に示すように、インレットシート4(支持体、回路パターン、IC等から主に構成されている)の片面に粘着剤3aを介して被覆層2a’が接合されている。被覆層2a’が積層されていないインレットシートの反対面側には粘着剤3bがある。このようなICチップ実装体22の取扱の利便性等を考慮して、図4(2)に示すように複数のICチップ実装体22a、22b…が剥離紙1c上に積層されて後述の装置に供給されるように構成されている。図4(2)は複数のICチップ実装体を扱うICチップ実装体22の集合体シートの断面図である。
【0020】
〔被覆層〕
被覆層2a’は、ICチップ実装体の最外殻の基材であり、さらに必要に応じて感熱・熱転写・インクジェット等の機能性の表面コートが施されたり印刷層、磁気層、シール、保護層等を設けたりすることができる。被覆層の基材としてフィルム状或いはシート状のポリエステル、ポリカーボネート、ABS、PET−G、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリイミド、ポリスチレン、ポリマ―アロイ、エンジニアリングプラスチック等のプラスチックフィルム、紙、網、不織布などの単体或いは複合体、ガラス繊維や紙をエポキシ樹脂等で含浸した基材等が使用できる。被覆層は用途によって透明、半透明、不透明のものが使用できる。これらの半透明、不透明のプラスチックフィルムは、流通しているほとんどのものが酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ、有機顔料などの白色顔料が樹脂中に練り込まれているか、表面に印刷や塗工で隠蔽層が設けられている。
【0021】
なお、被覆層には、罫線、説明書、サービスマーク等の一般情報を印刷することができる。この印刷方法としては、例えばオフセット印刷、グラビア印刷、活版印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷等の印刷方法と印刷機が挙げられ、印刷インキとその乾燥は各種の方法が使用できるが、UVインキを用いて紫外線照射乾燥するUV印刷が好まれる。
【0022】
また、この被覆層には、名称、シリアル番号、配送先等必要情報を表示する方法として、記録機器を使用してプリントすることができる。記録機器としては、例えばインクジェット方式、インクリボン方式、熱転写方式、電子写真方式、感熱記録方式、感圧記録方式等のプリンタやインパクト方式のドットプリンタや複写機、レーザー刻印機等が挙げられる。
【0023】
〔粘着剤〕
粘着剤3a、3bはインレットシート4、被覆層2a’、剥離紙1cを接着する機能をもつ層である。粘着剤に使用する樹脂は、エポキシ樹脂などの熱硬化型樹脂、ポリエステル、ABS、アクリル、ポリウレタン等の一般に使用されているドライラミネート用粘着剤や、ホットメルト樹脂で且つ熱硬化型樹脂、吸湿硬化型樹脂、及び線硬化樹脂が好ましい。粘着剤は場合によってはウェットラミネート用粘着剤で各フィルムを接着させることも可能である。
又、ICチップ実装体22を物品、伝票表面等に貼りつける場合は、粘着剤3bに、より粘着性の強い粘着剤を使用することも可能である。
【0024】
粘着剤は、ゴム系、アクリル系、シリコーン系等、型体としては、溶剤型、エマルジョン型、ホットメルト型等が使用される。粘着剤を形成させるには、剥離紙へ前記粘着剤を塗布し、必要により乾燥して粘着剤を形成し、その後表面基材と貼り合わせるとよいし、直接表面基材に塗布してもよい。表面基材として感熱記録層を有する場合は、剥離紙に一旦塗布する方法が好ましい。
【0025】
この粘着剤の塗被装置としては、例えばロールコーター、ナイフコーター、バーコーター、ダイコーター、コンマコーター、リップコーター、リバースグラビアコーター、バリオグラビアコーター等が適宜使用され、粘着剤の塗被量は、乾燥重量で5〜50g/m2程度の範囲で調節されるが、被着体に貼り付けたときに剥がれ落ちない程度の接着力を基材シートと被着体間に持たせることが必要である。
また、より接着力を強くする方法の一つとして、粘着剤を厚くする方法があるが、厚くする場合の一つの方法としては、不織布に粘着剤を塗布することで達成することが可能である。
【0026】
〔剥離紙〕
粘着剤を覆う剥離紙1cの基材としては、グラシン紙の如き高密度原紙、クレーコート紙、クラフト紙、または上質紙等に、例えばカゼイン、デキストリン、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸エステル共重合体等の天然高分子、または合成樹脂と、顔料とを主成分とした目止め層を設けた剥離基材、または、クラフト紙または上質紙等にポリエチレン等をラミネートしたポリラミ紙、またはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートのフィルム等が使用でき、水分散型、溶剤型あるいは無溶剤型のシリコーン樹脂やフッ素樹脂等の剥離剤を乾燥重量で0.05〜3g/m2程度塗被後、熱硬化あるいは電離放射線硬化等によって剥離剤層を形成したものが使用される。
【0027】
この剥離剤としては、水分散性の剥離剤が好ましく、例えば、ポリブタジエンゴム系、スチレン−ブタジエン共重合体系、アルキド−シリコ−ン共重合体、アクリル−シリコーン共重合体系の離型処理剤、剥離ワニス、メジウム等の剥離剤を成分とするインキのほか、アクリル酸エステル樹脂ラテックス、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アミド、エチレン−ビスステアリン酸アミド、パラフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン等のワックス類、および上記ワックス類とポリビニルアルコール等の水溶性高分子等との混合物等が挙げられる。これら剥離剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
なお、剥離剤を塗被する塗被装置としては、特に限定されるものではないが、例えば、バーコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、エアーナイフコーター、多段ロールコーター等が適宜使用される。
【0028】
以上説明したICチップ実装体からICチップ実装体ラベルになるまでに使用される材料・工程を以下に述べる。
【0029】
3.従来のICチップ実装体付きラベルの組み立て過程
本発明のICチップ実装体付きラベルが用いられる一例として、航空手荷物に貼り付けて用いられる例があげられる。この例は航空会社、荷物の認識番号、出発空港、乗り換え空港、到着空港等の情報が感熱ラベル紙に記録されるバゲージタグと呼ばれるものの例である。これらの情報は、一部は容易に剥離して管理する様な手法が取られるために、各種ハーフカット、ミシン目、プレ印刷、バックスリット等の複雑な加工を施したラベルとして用いられている。
【0030】
従来のICチップ実装体付きラベルを作製することについて図1および図2を用いて説明する。図1はシール印刷機によって従来のICチップ実装体付きラベルを加工する状態を示す斜視図である。図2はシール印刷機によって前加工を施したラベルにIC実装体を貼り付ける加工を行う状態を示す断面図である。図2(1)は感熱タック紙10にICチップ実装体4を貼り付ける状態を示す断面図である。図中、感熱タック紙10は離型剤を塗布した基材1に粘着剤3を塗布・乾燥して形成し、感熱層を基材に塗工した基材2と貼り合わせて構成されている。この感熱タック紙10に先のシール印刷機11により、印刷、ハーフカット13、バックスリット12等が設けられる。次にICチップ実装体を入れるために、剥離紙1のバックスリット12aがある部分から剥離紙1の一部をめくり、インレットシート4と粘着剤3bからなるICチップ実装体23を挿入する。このICチップ実装体23は先に説明したICチップ実装体22に較べると上紙2a’と粘着剤3aが無いことが相違する。ここでICチップ実装体23のICチップ実装体ラベルの剥離紙1側に来る面にはICチップ実装体22と同様に粘着剤が予め設けられていてもよいし、剥離紙1を貼り込む直前に粘着剤を設ける事も出来る。いずれにしても、この従来の例では剥離紙を一旦めくり、ICチップ実装体23を貼着し、また剥離紙を元に戻す工程が必用となり加工装置の複雑化や、加工途中のトラブルになり易い。また加工工程で往復運動があり、製造の高速化が難しい等の問題点がある。
【0031】
4.本発明のICチップ実装体付きラベルの組み立て過程
本発明のICチップ実装体ラベル21の基本的な構成図を図5に示す。図5(1)〜(3)は本発明にかかる非接触ICチップ実装体ラベルの製造過程の一部の断面図である。基本的な構成としては図5(1)に示す様に上紙2と剥離紙1が粘着剤3によって貼り合わされてラベル21が形成される。次に図5(2)に示す様に上紙側からハーフカット13、ハーフミシン13、剥離紙側からバックスリット12等の加工がされている。ICチップ実装体22が貼り合わされるための剥離紙1の1a部分の上部の上紙部分は矢印Bで示すように従来行なわれている周りのかす上げに加えて上紙2及び粘着剤3が大きくかす上げされている。このようなかすあげや、スリット加工等はシール印刷機によって行う。このような状態の加工途中の本発明のICチップ実装体付きラベルの断面を図5(2)に示している。なお、図3はシール印刷機によってこのような加工を行っている状態を示す斜視図である。
【0032】
図3および図5(2)に示したラベル21のIC実装体22を貼り込む部分である剥離紙部分1aに剥離力を減少させる、言い換えれば接着力を向上させるような表面加工を行うことがより好ましい。この剥離紙部分1aに粘着剤を有している図4(1)に示したICチップ実装体22を通常のラベラーによって貼り込んだ構成することによって本発明の非接触ICチップ実装体ラベルが得られる。図4(1)は本発明に使用されるICチップ実装体22の断面図である。この非接触ICチップ実装体ラベルの断面図を図5(3)に示す。この非接触ICチップ実装体ラベルは実際に荷物等に付けて使用する前、例えば航空会社に販売する状態のものとなる。このような製造方法で作製したICチップ実装体付きラベルは、従来の方法で作製した従来のICチップ実装体付きラベルとは異なり、剥離紙を図2に示すように一旦めくり、また元のように貼り直すような工程が無いので、製造工程が簡略化出来、大幅なコストダウンが期待出来る。又ICチップ実装体22が従来品のように剥離紙に覆われていないので、剥離紙から再度剥がして別の伝票や物品に貼る事も容易に出来るようになり、利便性が飛躍的に改善することが出来る。
【0033】
尚、ICチップ実装体ラベル21の構成部品である剥離紙1、上紙2、粘着剤3は、ICチップ実装体22を作製する際に説明した材料が同様に使用できる。ICチップ実装体に使用したものと同じ物でも相違するものでもいずれであっても使用可能である。
このようにして加工されたICチップ実装体付きラベルは、図6、図7に示すように荷物に取り付ける場合荷物の取っ手等を巻くようにしてループ状にする場合がある。図6(1)は従来のICチップ実装体付きラベルをループ状にして使用中の断面図であり、(2)はその一部の拡大図。図7は本発明のICチップ実装体付きラベルをループ状にして使用中の断面図である。この場合ループ状になる部分15にICチップ実装体22、23のインレット部分があると、ループの具合によってはインレットのアンテナの一部が重なりアンテナとしての性能が発揮できず、通信が不良となる恐れがある。このため、ICチップ実装体付きラベルのインレットシートはループ状になる部分15以外の場所に設置するのが好ましい。
【0034】
ところで、従来の方法で組み上げられたICチップ実装体付きラベルは、荷物の取っ手にループ状に貼り込んだ場合、剥離紙1のバックスリット12b、12cにて区画された部分をはがして露出した粘着剤3x部分を剥離紙の離型性のない面1x部分に貼ってループ形状をとることとなる。この貼り付ける個所やループ形状になった状態は図2(2)および図6に示した。
図6(1)に示すように従来のICチップ実装体付きラベルをループ状に貼り込む場合、粘着剤3はバックスリット12aをまたいで離型性のない剥離紙面(C部分)と接着するが、図6(1)を部分的に拡大した図6(2)に示すようにバックスリットから接着の端までの接着面Eが少ないため、タグの両端を矢印Dで示すように引っ張った場合接着面Eでの接着力が十分でなく、スリット部分から粘着剤3と剥離紙1の界面Gが矢印Aで示すように分離することが発生しやすい。これは元々剥離紙1のG面側が所謂剥離しやすい離型性のある面となっているためである。この望ましからざる分離がループ部まで達し、結果的にはループが壊れ、そのラベルが他の荷物に貼り付いたり、搬送用のベルトコンベアーに貼り付いたりして、荷物から外れてしまう可能性があり、実用上大きな問題がある。
【0035】
なお、図6に示したように矢印D付近のラベルの端部が接着されていないので、以上のような分離が発生しやすいと考えられる。このような分離を簡単に防ぐためには、接着を強固にするためにICチップ実装体の挿入部からラベルの両端まで全域を接着する方法も考えられる。しかし、ラベル14等を部分的に剥がして荷物や航空券に貼り付け、照合用の半券とするため両端まで剥離紙が必要であり、このような構成にすることも出来ないのが現状である。
【0036】
一方、本発明のICチップ実装体付きラベルでは図5(3)および図7に示したように、荷物の取っ手にループ状に貼り込んだ場合、剥離紙1のバックスリット12b、12cにて区画された部分をはがして露出した粘着剤3y部分、この部分が実装体対向剥離部分となる、を剥離紙の離型性のない面の1y部分に貼ることとなる。図7から明らかなようにICチップ実装体22の載っている剥離紙1がICチップ実装体22の近傍において先の図6に見られるようなバックスリット12aを形成すること無しに、ループ状に接着されている。したがって上記のような従来の例に見られる望ましからざら剥離の問題は、ループを形成する貼り合わせ部分のICチップ実装体22の載っている近傍の剥離紙にバックスリットが無いため起こらない。
【0037】
尚、ループを形成するための貼り合わせ部分とICチップ実装体の載っている剥離紙部分が同一部分に来ることが好ましい。これは以下のようなことが懸念されるからである。先ず第1に荷物の取っ手等に巻かれるループ部分にインレットシートが配置されると、その荷物の取っ手に機械的にぶつかったりすることによりインレットの破壊につながる恐れが高いためである。第2には取っ手に使用される可能性の高い金属材料の電磁的影響のために通信性能に悪影響がでることも考えられる。また、第3には、ループになることによってアンテナの形状が空間的に変化し、インレットの裏と表が部分的に重なるような形に変形したりする可能性があり、そのような場合アンテナとして設計されている通信性能に悪影響がでることが懸念される。このような理由から、そのような配置になることが好ましいと考えられるからである。
そのため本発明のICチップ実装体付きラベルは以上のような条件を満足する配置の距離を考えると、取っ手などにループ状に取り付ける場合、取っ手の太さや貼り付け作業のし易さからループの直径が最低でも50mm程度必要であり、従ってループの円周の長さは約150mm程度必要になる。すなわち図5(2)に示したICチップ実装体とICチップ実装体対向剥離部分3yとのラベルの長手方向の距離Fがその150mm以上必要となるというわけである。尚この長さの上限的にはあまり長いとループが大きくなりすぎ取扱上他の物品にひっかかったりするので350mm程度以下とするのが普通である。
【0038】
なお、本発明のラベルの断面を示す各図面においてラベルのICチップ実装体を貼り込んだ部分とそうでないラベル部分の厚さに段差が見られるが、誇張して示したものであり、実際のラベルはこのように大きな段差があるわけではない。中でも特に図2(2)と図6(1)ではIC実装体23によって剥離紙1側に膨らんだり(図2(2)参照)、上紙2側に膨らんだり(図6(1)参照)した状態で描かれているが実際はそのような顕著な段差があるわけではなく、ほとんど平面状であるということである。
【0039】
ICチップ実装体22を貼り込む剥離紙1aの部分は以下の方法で離型剤の効果を減少させることが好ましい。
【0040】
〔剥離紙の加工〕
ラベル21にICチップ実装体22を貼り込む部分1aの剥離紙表面は、実装体側の粘着剤の選択によってはなにも加工しない場合もあるが、剥離紙のシリコーンや長鎖アルキル基等の離型性を色々な方法で減少させる事が好ましい。
一般的には粘着剤を剥離紙に塗工・乾燥し(ホットメルトの場合は冷却、線硬化樹脂の場合は例えばUV照射、湿気硬化等を含む)上紙を貼り合わせることで粘着ラベルを作製する。剥離紙は元来粘着剤が接着しにくい様にシリコン加工等の離型処理がされているのでこのような方法を使用しており、粘着剤を設けた上紙を剥離紙に貼り合わせると、一般的に十分な接着力は得られない。
本発明では、剥離紙に粘着剤を設けたICチップ実装体を貼り付ける一般的には用いられていない方法を選択することで、加工が容易に出来且つ十分な強度を持つICチップ実装体付きラベルを製造することが可能となった。更にこの方法で作製されたICチップ実装体付きラベルは、再度IC実装体部分を剥離・接着することができる。
【0041】
剥離紙に十分な接着力で上紙を貼り付ける方法として、現在ハーフカット後に残っている上紙と剥離紙の間に使用されている粘着剤より接着力を強くする方法と剥離紙の離型性を弱める方法があり、両者を併用したり、一方の方法をとることもできる。
接着力を強くする方法としては、粘着剤の接着を高くする方法と粘着剤の量を増やして離型紙との接着面を増加して接着力を向上させる方法がある。具体的には粘着剤の厚さを厚くすることで粘着剤の量を増やすことであり、一般的に20μm以上の粘着剤を使用する場合、不織布等に粘着剤を染み込ませて使用する場合が多い。また、粘着剤の材質はいろいろあるが、ガラス転移点を下げることで接着力を向上させる。但し粘着剤の量を増やすことによって断面に粘着剤が顕著になったり、ガラス転移点を下げることで粘着剤がはみ出したりするので必要以上の対応には注意が必要である。
【0042】
剥離紙の離型性を低下させる方法としては、以下の色々な方法がある。
非接触で剥離紙を加工する場合、レーザー、紫外線、電子線、コロナ放電などの光/電気的処理が可能である。図8にレーザー処理する一例の概念図を示した。図8は剥離紙の剥離面をレーザー処理する例の概念的断面図である。レーザー光源123を走査させて剥離面1aを処理するものである。レーザー照射は手軽に精度を高く、離型剤を全部又は部分的に劣化・除去させることが出来る。簡単にICチップ実装体22の接着力を向上させることが可能となる。
最も原始的な方法としては物理的に接触させる方法があり、図9にはエンボス加工や、砥石等による粗面処理を施した例の概念的断面図を示した。図9はエンボス加工により剥離紙の剥離面を処理する例の概念的断面図である。また刃型を利用して一種の粗面化処理を行う例を図10に示した。図10は剥離紙の剥離面を刃型によって処理する例の概念的断面図である。図10では刃型124を押し当てて粗面を形成しているものである。他にも剛直なブラシ等で擦って離型剤を落とすことにより粗面化処理が出来る。
又、離型剤にオゾン、酸性ガス等のガスを接触させることで離型剤の効果を減少させることも可能である。
又、離型剤の塗布面に、溶剤、粘着剤、ホットメルト樹脂等を塗布加工、或いはオフセット、グラビア、凸版等で印刷することによって離型性を減少させることすることも可能である。図10は剥離紙の剥離面に粘着剤を塗布することによって処理する例の概念的断面図である。
【0043】
本発明のICチップ実装体付きラベルは、剥離紙の途中でスリット(図2及び図6に示したスリット12a)が入っていないので、従来のICチップ実装体付きラベルと異なりインレット挿入部分に設けたスリットから剥離紙と上紙が分解することがなく、又剥離紙にスリットがないので感熱プリンターと組み合わされているICチップ実装体付きラベル発行機内で、ICチップ実装体付きラベルが熱ヘッドや通紙ロール等で剥離することがない程度に強度が十分である。更にこのようなラベル21とICチップ実装体22を組み合わせた本発明のICチップ実装体付きラベルは、一旦バゲージタグとして役割を終了した後にICチップ実装体22を再度剥がして利用することが可能である。ICチップ実装体を再度使用する利点としては、一例として空港から自宅への宅配便等に貼り付けることで、ICチップ実装体に格納してある氏名、住所等のデータをそのまま引き継ぐことが可能となり、面倒な手続きをする必要がなく別のサービスを利用することが可能となる。
【0044】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明はこれによって限定されるものではない。
【0045】
(実施例1)
[ICチップ実装体22集合体シートの作成]
本実施例1では先ず図4に示したようなICチップ実装体22及びICチップ実装体集合体シートを作製した。エッチング法によりPETを使用したインレットシート用基材(厚み50μm)上に連続してアルミ箔製のループアンテナを含む回路パターンを設け、さらにスルーホール部を設け回路基板とし、回路基板の電気的接続用端子上にフィルム状の硬化性樹脂製層を仮貼り付けし、その上にフェースダウン方式によりISO15693準拠のベアICチップ(商品名:i−code SLI、フィリップス社製)を順次仮置きした後、硬化性樹脂製層を加圧・熱硬化させた構成のインレットシート4を得た。
前述の連続したインレットシートのチップを実装していない面に、感熱紙とポリエチレンフィルムを貼り合わせて構成した被覆層2a’と粘着剤3a(厚さ20μm、サイビノールAT−560/強粘着アクリルエマルジョン、サイデン化学社製)を組み合わせた構成を設けた。インレットのチップを実装した面には粘着剤3bとして不織布を芯材とした両面テープ(名称:NO.500、日東電工社製、厚み80μm)を片面の剥離紙1cを残して貼り合わせた。連続したインレットを含んだ粘着テープ状のインレットシートに対して、図4(2)に示したように99mm×50.8mmサイズにハーフカット及びカス上げを行い剥離紙上にICチップ実装体が1個1個連続して設けられたICチップ実装体22集合体シートにして次の組み立て工程に供した。図4(2)はICチップ実装体が1個1個連続して設けられたICチップ実装体22集合体シートの断面図である。
【0046】
[ICチップ実装体付きラベルの組み立て]
次に、図5(1)から(3)に示すように、ラベルに上記のICチップ実装体を貼りこんでICチップ実装体付きラベルを組み立てた。感熱紙にポリエチレンフィルムを貼り合わせて構成した被覆層2のポリエチレンフィルム面と、剥離紙1上に設けた粘着剤3(サイビノールAT−560/強粘着アクリルエマルジョン、サイデン化学社製)を貼り合わせたラベル基材(幅53.8mm×長さ200m、上紙部厚み80μm、粘着剤厚み20μm、王子タック社製)を、長さ20インチの航空タグ形式の印刷・ハーフカット13、バックスリット12等の加工を行った。この加工は図3に示すようなシール印刷機によって行った。この加工によって図5(2)に示すようなラベル21とした。この加工の中で、この際のバックスリット12b,12cにより、ループ状に貼り合わせるための粘着剤3y部を露出させるために取り除く部分になる剥離紙1b部分を形成している。また更に、ICチップ実装体22を貼り込む剥離紙の1a部分を露出させるために、トムソン刃によって100mm×50.8mmのサイズにハーフカット13f、13gを行いカス上げも同時に行っている。
ラベル21にICチップ実装体22をラベル貼り込み機を用いて、図5(3)に示すように所定の位置に貼り込み、本発明のICチップ実装体付きラベルを組み立てた。
尚、図では各層が平行に描かれているが、特にICチップの近傍ではICチップの厚さがあり実際は平行でない。
【0047】
(実施例2)
図8に示す様に剥離紙が露出した部分1aに出力12WのCO2レーザー光源123(ML−9110、キーエンス社製)により表面の剥離性層を破壊し剥離性を減少させる加工を特別に付加した以外は実施例1と同様にしてICチップ実装体付きラベルを得た。
【0048】
(実施例3)
図10に示す様に剥離紙の剥離性減少加工として、加工流れ方向に1mm間隔に刃を設けたトムソン刃型124を使用し剥離紙の表面を10μm程度に浅く溝を切る加工を特別に付加した以外は実施例1と同様にしてICチップ実装体付きラベルを得た。
【0049】
(実施例4)
図11に示す様に剥離紙の剥離性減少加工として、UV硬化型粘着剤インク(FC580G、東洋紡社製)をスクリーン印刷で塗布した以外は実施例1と同様にしてICチップ実装体付きラベルを得た。図11は剥離紙の剥離面を粘着剤を塗布することによって処理する例の概念的断面図である。
【0050】
(比較例1)
実施例1に説明したICチップ実装体付きラベルの作製と同じ構成部品を使用して、先に説明した「3.従来のICチップ実装体付きラベルの組み立て過程」のとおりに、図1及び2に図解した方法により従来のICチップ実装体付きラベルを作製した。
【0051】
(評価)
実施例及び比較例で作成したサンプルは以下の方法で評価を行なった。
【0052】
[引き剥がしテスト]
作製した実施例及び比較例のICチップ実装体付きラベルサンプルの、ループ状に貼り合わせるために設けて有る部分の剥離紙1b部分を剥がし、露出した粘着剤3xを図6又は図7に示した様にループ状15になるように剥離紙1xの部分(インレットシートが設けられている近傍)に貼り合わせた。
次に図6又は図7において矢印Dに示したように、ループ状15になったタグの両端を9.8N(1kgf)の力で30秒間引っ張りタグの強度を評価した。
実施例の各サンプルではタグが分解することはなかったが、比較例のサンプルでは図6に示したようにEの部分がまず分離し、そのあと3cと1cの分離が発生しタグが分解した。
【0053】
[印字テスト]
非接触のリーダーライターが組み込まれた感熱プリンターの発行機で印字・走行テストを行った
各テストの結果を以下の表1にまとめて示した。
【0054】
【表1】
【0055】
【発明の効果】
本発明は、アンテナ回路およびICを備えたICチップ実装体において、剥離紙表面にICチップ実装体貼り付けることで低コストでを製造することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】シール印刷機によって従来のICチップ実装体付きラベルを加工する状態を示す斜視図。
【図2】(1)〜(2)は従来の非接触ICチップ実装体ラベルの製造過程の一部における断面図。
【図3】シール印刷機によってカット、かす上げ等の加工を行っている状態を示す斜視図。
【図4】(1)は本発明に使用されるICチップ実装体22の断面図。(2)はICチップ実装体が1個1個連続して設けられたICチップ実装体22集合体シートの断面図。
【図5】(1)〜(3)は本発明にかかる非接触ICチップ実装体ラベルの製造過程の一部における断面図。
【図6】(1)は従来のICチップ実装体付きラベルをループ状にして使用中の断面図であり、(2)はその一部の拡大図。
【図7】本発明のICチップ実装体付きラベルをループ状にして使用中の断面図。
【図8】剥離紙の剥離面をレーザー処理する例の概念的断面図。
【図9】エンボス加工により剥離紙の剥離面を処理する例の概念的断面図。
【図10】剥離紙の剥離面を刃型によって処理する例の概念的断面図。
【図11】剥離紙の剥離面を粘着剤を塗布することによって処理する例の概念的断面図。
【符号の説明】
1 剥離紙
2 上紙
3 粘着剤
4 インレットシート
22 ICチップ実装体
【発明の属する技術分野】
本発明のICチップ実装体付きラベルは、荷物タグ等に使用されデータの交信等を外部電波により行なう非接触型ICチップ実装体を使用したラベルに関するものである。
【0002】
ICチップ実装体はいわゆるデータキャリアとも呼ばれており、通称ICカードと呼ばれるが、必ずしもカード形態をとるものだけでなく、物に貼り付けられるシート状のタグや容器に封入されたタグや腕時計型等種々の形態のキャリアも含んでいる。この明細書のICチップ実装体付きラベルに使用されるのは、ICカードやカード状以外の形態のICチップ実装体も含んでいる。
【0003】
【従来の技術】
近年、個人の情報管理や物流管理または通勤通学等に使用される定期券等に新しい情報記録媒体としてICチップを搭載した小型電子機器が普及しつつある。特に携帯用として便利なICカードと称されるカード型大容量可変情報記録媒体が広く普及し始めている。
ICカードは大きく、接触型、非接触型およびこれら両者の機能を有するコンビ型の3種類に分類することができる。接触型ICカードは、カード表面にICチップに電気的に接続されているデータ交換用の金属端子が設けられており、その端子を通じて外部読み取り機とデータ交換を行っている事を特徴とする物である。現在使い捨てタイプは欧州等でテレホンカードとして広く流通しており、、情報の書き換え可能なタイプをマネーカードとして使用する実験が各国で行われている。特に、金融関係で使用されるカードとして注目されている。
【0004】
一方、非接触型ICカードは、データの交換は電波を介して非接触により行うため、たとえば従来の切符、定期券等、磁気記録層が片面に設けられている乗車券に代わる記録媒体として注目されている。特に、改札通過の際に、一々乗車券を取り出す必要がなく、定期入れや鞄等の中からでもデータ交換できるため、利便性が大きく向上するものと期待されている。
物流分野においてもバーコードや磁気記録に取って代わり、移動体とのデータ交換を電波にて行うRFID(Radio Frequency Identification:無線自動識別)タグと称されるICキャリアーによる管理が主流になりつつある。
【0005】
流通用に使用されるRFIDタグの有力な候補としては、航空手荷物用タグや宅配用タグが挙げられる。しかしながらこれらのタグは利便性を追求した結果、粘着紙、ハーフカット、バックスリット、感圧複写紙等で構成されており構造が複雑である。現行の形式を踏襲し、ICチップ実装体付きラベルとして作製すると、これらの加工の途中又は後工程でICチップ実装体を組み込む必要があり、製造装置の大幅な改造が必要で有るのと同時に、加工途中での不良品の発生、後加工にする場合においては不必要な応力による不良品の発生の多発が懸念される。特に長尺の連続したRFIDタグの途中で不良品があるのは使用上好ましくない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような非接触ICチップ実装体付きラベルは、製造工程が複雑になり製造コストが高い問題があった。
本発明の目的は単純な構造のシールタイプのICチップ実装体付きラベルを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るICチップ実装体付きラベルは、剥離紙と、その上に粘着剤を設けた上紙を備えたラベルであって、ラベルの少なくとも一部分に上紙の存在しない剥離紙の一部が露出した露出剥離面を有し、その露出剥離面上に、実装体部粘着剤を有するICチップ実装体を該実装体部粘着剤を介して接合して備える。
更に、前記一部分の剥離面の少なくとも一部に剥離性を減少させる加工を施すことが好ましい。
また、ICチップ実装体のラベルの長手方向の長さと実質的に少なくとも同等の長さを有するICチップ実装体対向剥離部分を設けるように剥離用予備切断線を剥離紙に加工することも好ましい。
また、ICチップ実装体のラベルの長手方向の長さと実質的に少なくとも同等の長さを有するICチップ実装体対向剥離部分を設け、該部分の剥離紙を取り除き露出した粘着剤面とICチップ実装体を接合した剥離紙部分のICチップ実装体の接合した面の反対側の面を接合すようにして使用することも好ましい。
また、ICチップ実装体とICチップ実装体対向剥離部分のラベルの長手方向の離間距離が150mm以上とすることも好ましい。
また、前記ICチップ実装体対向剥離部分の少なくとも近傍において、剥離紙がスリットを有しないようにすることが更に好ましい。
【0008】
結局、簡単に表現すると、アンテナ回路およびICを備えたICチップ実装体であって、タック紙に使用されている剥離紙上にICチップ実装体を貼る事によって、従来の利便性を残しながらICチップ実装体付きラベルの製造工程を簡略化することができる。
又、ループ状に貼り合わせて使用する航空手荷物用タグ等に使用する場合においては、従来取られてきたように剥離紙側からインレットを挿入する必要が無く、従って剥離紙にインレット挿入するためのバックスリットをいれる必要が無いため、ループ状に貼り合わせた後に粘着剤と剥離紙が剥がれることがなく、耐久性が向上した。
更にICチップ実装体を再度宅配便等の別の伝票などに貼る事で、データの再利用が可能となり、コストダウン、利便性が可能となった。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、複雑な加工を行った粘着タグの剥離紙の一部に、粘着剤を有するラベル化したICチップ実装体を貼り付けることで、ラベル製造機に大きな改造を加えることなく本発明のICチップ実装体付きラベルを提供できることに至った。結局、その製造工程も簡略化出来、更に粘着剤を有するICチップ実装体を貼り換えて使用することも合わせて可能となるものとなった。
以下に本発明で使用される、▲1▼非接触型ICチップ実装体ラベルの主要構成部品である、支持体上にコイル状等の回路パターンを形成し信号・電力のやり取りを行なうアンテナ回路部分に、ICチップやコンデンサなどの電子部品を搭載または形成した「インレットシート」と呼ばれるもの、▲2▼このインレットシートと粘着剤、上紙等を用いた「ICチップ実装体」と呼ばれるもの、▲3▼ICチップ実装体を用いた「ICチップ実装体ラベル」と呼ばれるものの組み立てについて説明する。
【0010】
1.インレットシートの製造・工程
〔インレットシート用支持体〕
インレットシート用支持体は電気絶縁性の材料から選択される。支持体には大きく分けてリジット基板とフレキシブル基板とに分けることが出来る。
本発明では使用するのはフレキシブル基板であり、フィルム状の支持体に回路が設けられているものであって、プリンターのヘッドや車の中の配線等に使用されており、形の変わるもの、動くものに対して多く使用されている。
【0011】
〔インレットシート〕
上記支持体と金属箔を接着して得られた回路基材の金属箔の一部をエッチングにより取り除いて必要なアンテナ回路を含む回路パターンを形成した後、ICチップを回路パターンが形成された基材に装着してインレットシートを得ることができる。インレットシートは以下に説明する非接触型ICチップ実装体付きラベルの組立て時の心臓部品となる。
【0012】
〔金属箔〕
使用される金属箔は、電解法、圧延法、精密圧延法、打箔法(主に美術工芸用)で製造された、アルミ箔、銅箔、金箔、銀箔、亜鉛箔、ニッケル箔、錫箔、合金箔等が好ましい。
その他以下の様な方法でインレットシートの回路パターンを作製することが可能である。
(導電性インク)
銀または銅などの金属粉と樹脂を混ぜ合わせ、スクリーン印刷等で印刷してアンテナ回路等を形成する方法である。同じ断面積での抵抗値が金属箔と比較して10倍程度高いので、使用するICチップによっては使用できない場合もある。
【0013】
(金属線)
材料的には最も安価なものであるが、ベアチップの実装は高度な技術が必要であり、なおかつエッチング回路と同程度の抵抗値とする場合、線径がかなり太くなることが問題となる。
【0014】
(メッキ)
不織布やナイロンメッシュなどの基材の中を通して回路が形成される為、金属の厚さは厚くすることが可能であるが、基本的には片面エッチングと同じとなり、最近小型化が進んでいるベアチップの直接実装が回路の取りまわし上難しく、平面コンデンサを設けられない欠点はあるが、コストが比較的安く、今後普及する可能性が有る。
【0015】
(金属粉)
金属粉を直接回路パターン状に塗布していく方法であるが、生産性が低くコストが高い。
【0016】
(蒸着)
高真空中で金属を熱して蒸気にし、フィルム等に蒸着する方法であるが、金属皮膜の厚さが薄く、現在使用されているICチップではアンテナの抵抗値が高すぎ、通信距離が出にくい問題点がある。
一方、スパッタリングで金属を基板に付着させる方法を使用すると蒸着法に比較して、ICチップを駆動させるに充分厚みの有る金属膜を得ることが可能である。
【0017】
[IC]
本発明で使用されるICチップとしては135KHz、4.9MHz、6.5MHz、13.56MHz、2.54GHz帯等のバンプ付きベアチップが挙げられる。最近ではベアチップに似た形状のCSP(チップサイズパッケージ)と呼ばれるICの開発が進んでいる。ベアチップを樹脂封止し、新たに電極を設けたこのCSPは、最近の半導体の集積度が向上したため考えだされた技術であり、CSPも本発明のICチップとして使用することができる。
【0018】
[ICと回路パターンとの接続]
本発明はベアチップをACF(異方導電性フィルム)、ACP(異方導電性ペースト)、NCP(非導電性ペースト)などの接続樹脂で熱圧着する方法や、ハンダ等の金属を使用して加熱接続する方法や、銀、銅などの金属粉末を含有する導電性接着剤で接続する方法や、超音波接合、溶接、金属同士の熱圧着など定法の接続方法が使用可能である。
又、金属製のリードフレーム上にチップを設け樹脂封止したパッケージチップを使用した場合、アンテナ回路との接続は上記に述べたものと同様に、ハンダ等の金属を使用して加熱接続する方法や、銀、銅などの金属粉末を含有する導電性接着剤で接続する方法や、超音波接合、溶接、金属同士の熱圧着など定法の接続方法が使用可能である。
【0019】
2.ICチップ実装体集合体シートの組み立て
以上説明したインレットシートからICチップ実装体になるまでに使用される材料・工程を以下に述べる。
本発明のラベルに使用されるICチップ実装体22の構成を図4(1)にした。図4(1)はICチップ実装体22の断面図である。図に示すように、インレットシート4(支持体、回路パターン、IC等から主に構成されている)の片面に粘着剤3aを介して被覆層2a’が接合されている。被覆層2a’が積層されていないインレットシートの反対面側には粘着剤3bがある。このようなICチップ実装体22の取扱の利便性等を考慮して、図4(2)に示すように複数のICチップ実装体22a、22b…が剥離紙1c上に積層されて後述の装置に供給されるように構成されている。図4(2)は複数のICチップ実装体を扱うICチップ実装体22の集合体シートの断面図である。
【0020】
〔被覆層〕
被覆層2a’は、ICチップ実装体の最外殻の基材であり、さらに必要に応じて感熱・熱転写・インクジェット等の機能性の表面コートが施されたり印刷層、磁気層、シール、保護層等を設けたりすることができる。被覆層の基材としてフィルム状或いはシート状のポリエステル、ポリカーボネート、ABS、PET−G、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリイミド、ポリスチレン、ポリマ―アロイ、エンジニアリングプラスチック等のプラスチックフィルム、紙、網、不織布などの単体或いは複合体、ガラス繊維や紙をエポキシ樹脂等で含浸した基材等が使用できる。被覆層は用途によって透明、半透明、不透明のものが使用できる。これらの半透明、不透明のプラスチックフィルムは、流通しているほとんどのものが酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ、有機顔料などの白色顔料が樹脂中に練り込まれているか、表面に印刷や塗工で隠蔽層が設けられている。
【0021】
なお、被覆層には、罫線、説明書、サービスマーク等の一般情報を印刷することができる。この印刷方法としては、例えばオフセット印刷、グラビア印刷、活版印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷等の印刷方法と印刷機が挙げられ、印刷インキとその乾燥は各種の方法が使用できるが、UVインキを用いて紫外線照射乾燥するUV印刷が好まれる。
【0022】
また、この被覆層には、名称、シリアル番号、配送先等必要情報を表示する方法として、記録機器を使用してプリントすることができる。記録機器としては、例えばインクジェット方式、インクリボン方式、熱転写方式、電子写真方式、感熱記録方式、感圧記録方式等のプリンタやインパクト方式のドットプリンタや複写機、レーザー刻印機等が挙げられる。
【0023】
〔粘着剤〕
粘着剤3a、3bはインレットシート4、被覆層2a’、剥離紙1cを接着する機能をもつ層である。粘着剤に使用する樹脂は、エポキシ樹脂などの熱硬化型樹脂、ポリエステル、ABS、アクリル、ポリウレタン等の一般に使用されているドライラミネート用粘着剤や、ホットメルト樹脂で且つ熱硬化型樹脂、吸湿硬化型樹脂、及び線硬化樹脂が好ましい。粘着剤は場合によってはウェットラミネート用粘着剤で各フィルムを接着させることも可能である。
又、ICチップ実装体22を物品、伝票表面等に貼りつける場合は、粘着剤3bに、より粘着性の強い粘着剤を使用することも可能である。
【0024】
粘着剤は、ゴム系、アクリル系、シリコーン系等、型体としては、溶剤型、エマルジョン型、ホットメルト型等が使用される。粘着剤を形成させるには、剥離紙へ前記粘着剤を塗布し、必要により乾燥して粘着剤を形成し、その後表面基材と貼り合わせるとよいし、直接表面基材に塗布してもよい。表面基材として感熱記録層を有する場合は、剥離紙に一旦塗布する方法が好ましい。
【0025】
この粘着剤の塗被装置としては、例えばロールコーター、ナイフコーター、バーコーター、ダイコーター、コンマコーター、リップコーター、リバースグラビアコーター、バリオグラビアコーター等が適宜使用され、粘着剤の塗被量は、乾燥重量で5〜50g/m2程度の範囲で調節されるが、被着体に貼り付けたときに剥がれ落ちない程度の接着力を基材シートと被着体間に持たせることが必要である。
また、より接着力を強くする方法の一つとして、粘着剤を厚くする方法があるが、厚くする場合の一つの方法としては、不織布に粘着剤を塗布することで達成することが可能である。
【0026】
〔剥離紙〕
粘着剤を覆う剥離紙1cの基材としては、グラシン紙の如き高密度原紙、クレーコート紙、クラフト紙、または上質紙等に、例えばカゼイン、デキストリン、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸エステル共重合体等の天然高分子、または合成樹脂と、顔料とを主成分とした目止め層を設けた剥離基材、または、クラフト紙または上質紙等にポリエチレン等をラミネートしたポリラミ紙、またはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートのフィルム等が使用でき、水分散型、溶剤型あるいは無溶剤型のシリコーン樹脂やフッ素樹脂等の剥離剤を乾燥重量で0.05〜3g/m2程度塗被後、熱硬化あるいは電離放射線硬化等によって剥離剤層を形成したものが使用される。
【0027】
この剥離剤としては、水分散性の剥離剤が好ましく、例えば、ポリブタジエンゴム系、スチレン−ブタジエン共重合体系、アルキド−シリコ−ン共重合体、アクリル−シリコーン共重合体系の離型処理剤、剥離ワニス、メジウム等の剥離剤を成分とするインキのほか、アクリル酸エステル樹脂ラテックス、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アミド、エチレン−ビスステアリン酸アミド、パラフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン等のワックス類、および上記ワックス類とポリビニルアルコール等の水溶性高分子等との混合物等が挙げられる。これら剥離剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
なお、剥離剤を塗被する塗被装置としては、特に限定されるものではないが、例えば、バーコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、エアーナイフコーター、多段ロールコーター等が適宜使用される。
【0028】
以上説明したICチップ実装体からICチップ実装体ラベルになるまでに使用される材料・工程を以下に述べる。
【0029】
3.従来のICチップ実装体付きラベルの組み立て過程
本発明のICチップ実装体付きラベルが用いられる一例として、航空手荷物に貼り付けて用いられる例があげられる。この例は航空会社、荷物の認識番号、出発空港、乗り換え空港、到着空港等の情報が感熱ラベル紙に記録されるバゲージタグと呼ばれるものの例である。これらの情報は、一部は容易に剥離して管理する様な手法が取られるために、各種ハーフカット、ミシン目、プレ印刷、バックスリット等の複雑な加工を施したラベルとして用いられている。
【0030】
従来のICチップ実装体付きラベルを作製することについて図1および図2を用いて説明する。図1はシール印刷機によって従来のICチップ実装体付きラベルを加工する状態を示す斜視図である。図2はシール印刷機によって前加工を施したラベルにIC実装体を貼り付ける加工を行う状態を示す断面図である。図2(1)は感熱タック紙10にICチップ実装体4を貼り付ける状態を示す断面図である。図中、感熱タック紙10は離型剤を塗布した基材1に粘着剤3を塗布・乾燥して形成し、感熱層を基材に塗工した基材2と貼り合わせて構成されている。この感熱タック紙10に先のシール印刷機11により、印刷、ハーフカット13、バックスリット12等が設けられる。次にICチップ実装体を入れるために、剥離紙1のバックスリット12aがある部分から剥離紙1の一部をめくり、インレットシート4と粘着剤3bからなるICチップ実装体23を挿入する。このICチップ実装体23は先に説明したICチップ実装体22に較べると上紙2a’と粘着剤3aが無いことが相違する。ここでICチップ実装体23のICチップ実装体ラベルの剥離紙1側に来る面にはICチップ実装体22と同様に粘着剤が予め設けられていてもよいし、剥離紙1を貼り込む直前に粘着剤を設ける事も出来る。いずれにしても、この従来の例では剥離紙を一旦めくり、ICチップ実装体23を貼着し、また剥離紙を元に戻す工程が必用となり加工装置の複雑化や、加工途中のトラブルになり易い。また加工工程で往復運動があり、製造の高速化が難しい等の問題点がある。
【0031】
4.本発明のICチップ実装体付きラベルの組み立て過程
本発明のICチップ実装体ラベル21の基本的な構成図を図5に示す。図5(1)〜(3)は本発明にかかる非接触ICチップ実装体ラベルの製造過程の一部の断面図である。基本的な構成としては図5(1)に示す様に上紙2と剥離紙1が粘着剤3によって貼り合わされてラベル21が形成される。次に図5(2)に示す様に上紙側からハーフカット13、ハーフミシン13、剥離紙側からバックスリット12等の加工がされている。ICチップ実装体22が貼り合わされるための剥離紙1の1a部分の上部の上紙部分は矢印Bで示すように従来行なわれている周りのかす上げに加えて上紙2及び粘着剤3が大きくかす上げされている。このようなかすあげや、スリット加工等はシール印刷機によって行う。このような状態の加工途中の本発明のICチップ実装体付きラベルの断面を図5(2)に示している。なお、図3はシール印刷機によってこのような加工を行っている状態を示す斜視図である。
【0032】
図3および図5(2)に示したラベル21のIC実装体22を貼り込む部分である剥離紙部分1aに剥離力を減少させる、言い換えれば接着力を向上させるような表面加工を行うことがより好ましい。この剥離紙部分1aに粘着剤を有している図4(1)に示したICチップ実装体22を通常のラベラーによって貼り込んだ構成することによって本発明の非接触ICチップ実装体ラベルが得られる。図4(1)は本発明に使用されるICチップ実装体22の断面図である。この非接触ICチップ実装体ラベルの断面図を図5(3)に示す。この非接触ICチップ実装体ラベルは実際に荷物等に付けて使用する前、例えば航空会社に販売する状態のものとなる。このような製造方法で作製したICチップ実装体付きラベルは、従来の方法で作製した従来のICチップ実装体付きラベルとは異なり、剥離紙を図2に示すように一旦めくり、また元のように貼り直すような工程が無いので、製造工程が簡略化出来、大幅なコストダウンが期待出来る。又ICチップ実装体22が従来品のように剥離紙に覆われていないので、剥離紙から再度剥がして別の伝票や物品に貼る事も容易に出来るようになり、利便性が飛躍的に改善することが出来る。
【0033】
尚、ICチップ実装体ラベル21の構成部品である剥離紙1、上紙2、粘着剤3は、ICチップ実装体22を作製する際に説明した材料が同様に使用できる。ICチップ実装体に使用したものと同じ物でも相違するものでもいずれであっても使用可能である。
このようにして加工されたICチップ実装体付きラベルは、図6、図7に示すように荷物に取り付ける場合荷物の取っ手等を巻くようにしてループ状にする場合がある。図6(1)は従来のICチップ実装体付きラベルをループ状にして使用中の断面図であり、(2)はその一部の拡大図。図7は本発明のICチップ実装体付きラベルをループ状にして使用中の断面図である。この場合ループ状になる部分15にICチップ実装体22、23のインレット部分があると、ループの具合によってはインレットのアンテナの一部が重なりアンテナとしての性能が発揮できず、通信が不良となる恐れがある。このため、ICチップ実装体付きラベルのインレットシートはループ状になる部分15以外の場所に設置するのが好ましい。
【0034】
ところで、従来の方法で組み上げられたICチップ実装体付きラベルは、荷物の取っ手にループ状に貼り込んだ場合、剥離紙1のバックスリット12b、12cにて区画された部分をはがして露出した粘着剤3x部分を剥離紙の離型性のない面1x部分に貼ってループ形状をとることとなる。この貼り付ける個所やループ形状になった状態は図2(2)および図6に示した。
図6(1)に示すように従来のICチップ実装体付きラベルをループ状に貼り込む場合、粘着剤3はバックスリット12aをまたいで離型性のない剥離紙面(C部分)と接着するが、図6(1)を部分的に拡大した図6(2)に示すようにバックスリットから接着の端までの接着面Eが少ないため、タグの両端を矢印Dで示すように引っ張った場合接着面Eでの接着力が十分でなく、スリット部分から粘着剤3と剥離紙1の界面Gが矢印Aで示すように分離することが発生しやすい。これは元々剥離紙1のG面側が所謂剥離しやすい離型性のある面となっているためである。この望ましからざる分離がループ部まで達し、結果的にはループが壊れ、そのラベルが他の荷物に貼り付いたり、搬送用のベルトコンベアーに貼り付いたりして、荷物から外れてしまう可能性があり、実用上大きな問題がある。
【0035】
なお、図6に示したように矢印D付近のラベルの端部が接着されていないので、以上のような分離が発生しやすいと考えられる。このような分離を簡単に防ぐためには、接着を強固にするためにICチップ実装体の挿入部からラベルの両端まで全域を接着する方法も考えられる。しかし、ラベル14等を部分的に剥がして荷物や航空券に貼り付け、照合用の半券とするため両端まで剥離紙が必要であり、このような構成にすることも出来ないのが現状である。
【0036】
一方、本発明のICチップ実装体付きラベルでは図5(3)および図7に示したように、荷物の取っ手にループ状に貼り込んだ場合、剥離紙1のバックスリット12b、12cにて区画された部分をはがして露出した粘着剤3y部分、この部分が実装体対向剥離部分となる、を剥離紙の離型性のない面の1y部分に貼ることとなる。図7から明らかなようにICチップ実装体22の載っている剥離紙1がICチップ実装体22の近傍において先の図6に見られるようなバックスリット12aを形成すること無しに、ループ状に接着されている。したがって上記のような従来の例に見られる望ましからざら剥離の問題は、ループを形成する貼り合わせ部分のICチップ実装体22の載っている近傍の剥離紙にバックスリットが無いため起こらない。
【0037】
尚、ループを形成するための貼り合わせ部分とICチップ実装体の載っている剥離紙部分が同一部分に来ることが好ましい。これは以下のようなことが懸念されるからである。先ず第1に荷物の取っ手等に巻かれるループ部分にインレットシートが配置されると、その荷物の取っ手に機械的にぶつかったりすることによりインレットの破壊につながる恐れが高いためである。第2には取っ手に使用される可能性の高い金属材料の電磁的影響のために通信性能に悪影響がでることも考えられる。また、第3には、ループになることによってアンテナの形状が空間的に変化し、インレットの裏と表が部分的に重なるような形に変形したりする可能性があり、そのような場合アンテナとして設計されている通信性能に悪影響がでることが懸念される。このような理由から、そのような配置になることが好ましいと考えられるからである。
そのため本発明のICチップ実装体付きラベルは以上のような条件を満足する配置の距離を考えると、取っ手などにループ状に取り付ける場合、取っ手の太さや貼り付け作業のし易さからループの直径が最低でも50mm程度必要であり、従ってループの円周の長さは約150mm程度必要になる。すなわち図5(2)に示したICチップ実装体とICチップ実装体対向剥離部分3yとのラベルの長手方向の距離Fがその150mm以上必要となるというわけである。尚この長さの上限的にはあまり長いとループが大きくなりすぎ取扱上他の物品にひっかかったりするので350mm程度以下とするのが普通である。
【0038】
なお、本発明のラベルの断面を示す各図面においてラベルのICチップ実装体を貼り込んだ部分とそうでないラベル部分の厚さに段差が見られるが、誇張して示したものであり、実際のラベルはこのように大きな段差があるわけではない。中でも特に図2(2)と図6(1)ではIC実装体23によって剥離紙1側に膨らんだり(図2(2)参照)、上紙2側に膨らんだり(図6(1)参照)した状態で描かれているが実際はそのような顕著な段差があるわけではなく、ほとんど平面状であるということである。
【0039】
ICチップ実装体22を貼り込む剥離紙1aの部分は以下の方法で離型剤の効果を減少させることが好ましい。
【0040】
〔剥離紙の加工〕
ラベル21にICチップ実装体22を貼り込む部分1aの剥離紙表面は、実装体側の粘着剤の選択によってはなにも加工しない場合もあるが、剥離紙のシリコーンや長鎖アルキル基等の離型性を色々な方法で減少させる事が好ましい。
一般的には粘着剤を剥離紙に塗工・乾燥し(ホットメルトの場合は冷却、線硬化樹脂の場合は例えばUV照射、湿気硬化等を含む)上紙を貼り合わせることで粘着ラベルを作製する。剥離紙は元来粘着剤が接着しにくい様にシリコン加工等の離型処理がされているのでこのような方法を使用しており、粘着剤を設けた上紙を剥離紙に貼り合わせると、一般的に十分な接着力は得られない。
本発明では、剥離紙に粘着剤を設けたICチップ実装体を貼り付ける一般的には用いられていない方法を選択することで、加工が容易に出来且つ十分な強度を持つICチップ実装体付きラベルを製造することが可能となった。更にこの方法で作製されたICチップ実装体付きラベルは、再度IC実装体部分を剥離・接着することができる。
【0041】
剥離紙に十分な接着力で上紙を貼り付ける方法として、現在ハーフカット後に残っている上紙と剥離紙の間に使用されている粘着剤より接着力を強くする方法と剥離紙の離型性を弱める方法があり、両者を併用したり、一方の方法をとることもできる。
接着力を強くする方法としては、粘着剤の接着を高くする方法と粘着剤の量を増やして離型紙との接着面を増加して接着力を向上させる方法がある。具体的には粘着剤の厚さを厚くすることで粘着剤の量を増やすことであり、一般的に20μm以上の粘着剤を使用する場合、不織布等に粘着剤を染み込ませて使用する場合が多い。また、粘着剤の材質はいろいろあるが、ガラス転移点を下げることで接着力を向上させる。但し粘着剤の量を増やすことによって断面に粘着剤が顕著になったり、ガラス転移点を下げることで粘着剤がはみ出したりするので必要以上の対応には注意が必要である。
【0042】
剥離紙の離型性を低下させる方法としては、以下の色々な方法がある。
非接触で剥離紙を加工する場合、レーザー、紫外線、電子線、コロナ放電などの光/電気的処理が可能である。図8にレーザー処理する一例の概念図を示した。図8は剥離紙の剥離面をレーザー処理する例の概念的断面図である。レーザー光源123を走査させて剥離面1aを処理するものである。レーザー照射は手軽に精度を高く、離型剤を全部又は部分的に劣化・除去させることが出来る。簡単にICチップ実装体22の接着力を向上させることが可能となる。
最も原始的な方法としては物理的に接触させる方法があり、図9にはエンボス加工や、砥石等による粗面処理を施した例の概念的断面図を示した。図9はエンボス加工により剥離紙の剥離面を処理する例の概念的断面図である。また刃型を利用して一種の粗面化処理を行う例を図10に示した。図10は剥離紙の剥離面を刃型によって処理する例の概念的断面図である。図10では刃型124を押し当てて粗面を形成しているものである。他にも剛直なブラシ等で擦って離型剤を落とすことにより粗面化処理が出来る。
又、離型剤にオゾン、酸性ガス等のガスを接触させることで離型剤の効果を減少させることも可能である。
又、離型剤の塗布面に、溶剤、粘着剤、ホットメルト樹脂等を塗布加工、或いはオフセット、グラビア、凸版等で印刷することによって離型性を減少させることすることも可能である。図10は剥離紙の剥離面に粘着剤を塗布することによって処理する例の概念的断面図である。
【0043】
本発明のICチップ実装体付きラベルは、剥離紙の途中でスリット(図2及び図6に示したスリット12a)が入っていないので、従来のICチップ実装体付きラベルと異なりインレット挿入部分に設けたスリットから剥離紙と上紙が分解することがなく、又剥離紙にスリットがないので感熱プリンターと組み合わされているICチップ実装体付きラベル発行機内で、ICチップ実装体付きラベルが熱ヘッドや通紙ロール等で剥離することがない程度に強度が十分である。更にこのようなラベル21とICチップ実装体22を組み合わせた本発明のICチップ実装体付きラベルは、一旦バゲージタグとして役割を終了した後にICチップ実装体22を再度剥がして利用することが可能である。ICチップ実装体を再度使用する利点としては、一例として空港から自宅への宅配便等に貼り付けることで、ICチップ実装体に格納してある氏名、住所等のデータをそのまま引き継ぐことが可能となり、面倒な手続きをする必要がなく別のサービスを利用することが可能となる。
【0044】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明はこれによって限定されるものではない。
【0045】
(実施例1)
[ICチップ実装体22集合体シートの作成]
本実施例1では先ず図4に示したようなICチップ実装体22及びICチップ実装体集合体シートを作製した。エッチング法によりPETを使用したインレットシート用基材(厚み50μm)上に連続してアルミ箔製のループアンテナを含む回路パターンを設け、さらにスルーホール部を設け回路基板とし、回路基板の電気的接続用端子上にフィルム状の硬化性樹脂製層を仮貼り付けし、その上にフェースダウン方式によりISO15693準拠のベアICチップ(商品名:i−code SLI、フィリップス社製)を順次仮置きした後、硬化性樹脂製層を加圧・熱硬化させた構成のインレットシート4を得た。
前述の連続したインレットシートのチップを実装していない面に、感熱紙とポリエチレンフィルムを貼り合わせて構成した被覆層2a’と粘着剤3a(厚さ20μm、サイビノールAT−560/強粘着アクリルエマルジョン、サイデン化学社製)を組み合わせた構成を設けた。インレットのチップを実装した面には粘着剤3bとして不織布を芯材とした両面テープ(名称:NO.500、日東電工社製、厚み80μm)を片面の剥離紙1cを残して貼り合わせた。連続したインレットを含んだ粘着テープ状のインレットシートに対して、図4(2)に示したように99mm×50.8mmサイズにハーフカット及びカス上げを行い剥離紙上にICチップ実装体が1個1個連続して設けられたICチップ実装体22集合体シートにして次の組み立て工程に供した。図4(2)はICチップ実装体が1個1個連続して設けられたICチップ実装体22集合体シートの断面図である。
【0046】
[ICチップ実装体付きラベルの組み立て]
次に、図5(1)から(3)に示すように、ラベルに上記のICチップ実装体を貼りこんでICチップ実装体付きラベルを組み立てた。感熱紙にポリエチレンフィルムを貼り合わせて構成した被覆層2のポリエチレンフィルム面と、剥離紙1上に設けた粘着剤3(サイビノールAT−560/強粘着アクリルエマルジョン、サイデン化学社製)を貼り合わせたラベル基材(幅53.8mm×長さ200m、上紙部厚み80μm、粘着剤厚み20μm、王子タック社製)を、長さ20インチの航空タグ形式の印刷・ハーフカット13、バックスリット12等の加工を行った。この加工は図3に示すようなシール印刷機によって行った。この加工によって図5(2)に示すようなラベル21とした。この加工の中で、この際のバックスリット12b,12cにより、ループ状に貼り合わせるための粘着剤3y部を露出させるために取り除く部分になる剥離紙1b部分を形成している。また更に、ICチップ実装体22を貼り込む剥離紙の1a部分を露出させるために、トムソン刃によって100mm×50.8mmのサイズにハーフカット13f、13gを行いカス上げも同時に行っている。
ラベル21にICチップ実装体22をラベル貼り込み機を用いて、図5(3)に示すように所定の位置に貼り込み、本発明のICチップ実装体付きラベルを組み立てた。
尚、図では各層が平行に描かれているが、特にICチップの近傍ではICチップの厚さがあり実際は平行でない。
【0047】
(実施例2)
図8に示す様に剥離紙が露出した部分1aに出力12WのCO2レーザー光源123(ML−9110、キーエンス社製)により表面の剥離性層を破壊し剥離性を減少させる加工を特別に付加した以外は実施例1と同様にしてICチップ実装体付きラベルを得た。
【0048】
(実施例3)
図10に示す様に剥離紙の剥離性減少加工として、加工流れ方向に1mm間隔に刃を設けたトムソン刃型124を使用し剥離紙の表面を10μm程度に浅く溝を切る加工を特別に付加した以外は実施例1と同様にしてICチップ実装体付きラベルを得た。
【0049】
(実施例4)
図11に示す様に剥離紙の剥離性減少加工として、UV硬化型粘着剤インク(FC580G、東洋紡社製)をスクリーン印刷で塗布した以外は実施例1と同様にしてICチップ実装体付きラベルを得た。図11は剥離紙の剥離面を粘着剤を塗布することによって処理する例の概念的断面図である。
【0050】
(比較例1)
実施例1に説明したICチップ実装体付きラベルの作製と同じ構成部品を使用して、先に説明した「3.従来のICチップ実装体付きラベルの組み立て過程」のとおりに、図1及び2に図解した方法により従来のICチップ実装体付きラベルを作製した。
【0051】
(評価)
実施例及び比較例で作成したサンプルは以下の方法で評価を行なった。
【0052】
[引き剥がしテスト]
作製した実施例及び比較例のICチップ実装体付きラベルサンプルの、ループ状に貼り合わせるために設けて有る部分の剥離紙1b部分を剥がし、露出した粘着剤3xを図6又は図7に示した様にループ状15になるように剥離紙1xの部分(インレットシートが設けられている近傍)に貼り合わせた。
次に図6又は図7において矢印Dに示したように、ループ状15になったタグの両端を9.8N(1kgf)の力で30秒間引っ張りタグの強度を評価した。
実施例の各サンプルではタグが分解することはなかったが、比較例のサンプルでは図6に示したようにEの部分がまず分離し、そのあと3cと1cの分離が発生しタグが分解した。
【0053】
[印字テスト]
非接触のリーダーライターが組み込まれた感熱プリンターの発行機で印字・走行テストを行った
各テストの結果を以下の表1にまとめて示した。
【0054】
【表1】
【0055】
【発明の効果】
本発明は、アンテナ回路およびICを備えたICチップ実装体において、剥離紙表面にICチップ実装体貼り付けることで低コストでを製造することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】シール印刷機によって従来のICチップ実装体付きラベルを加工する状態を示す斜視図。
【図2】(1)〜(2)は従来の非接触ICチップ実装体ラベルの製造過程の一部における断面図。
【図3】シール印刷機によってカット、かす上げ等の加工を行っている状態を示す斜視図。
【図4】(1)は本発明に使用されるICチップ実装体22の断面図。(2)はICチップ実装体が1個1個連続して設けられたICチップ実装体22集合体シートの断面図。
【図5】(1)〜(3)は本発明にかかる非接触ICチップ実装体ラベルの製造過程の一部における断面図。
【図6】(1)は従来のICチップ実装体付きラベルをループ状にして使用中の断面図であり、(2)はその一部の拡大図。
【図7】本発明のICチップ実装体付きラベルをループ状にして使用中の断面図。
【図8】剥離紙の剥離面をレーザー処理する例の概念的断面図。
【図9】エンボス加工により剥離紙の剥離面を処理する例の概念的断面図。
【図10】剥離紙の剥離面を刃型によって処理する例の概念的断面図。
【図11】剥離紙の剥離面を粘着剤を塗布することによって処理する例の概念的断面図。
【符号の説明】
1 剥離紙
2 上紙
3 粘着剤
4 インレットシート
22 ICチップ実装体
Claims (6)
- 剥離紙と、その上に粘着剤を設けた上紙を備えたラベルであって、ラベルの少なくとも一部分に上紙の存在しない剥離紙の一部が露出した露出剥離面を有し、その露出剥離面上に、実装体部粘着剤を有するICチップ実装体を該実装体部粘着剤を介して接合して備えるICチップ実装体付きラベル。
- 前記一部分の剥離面の少なくとも一部に剥離性を減少させる加工を施した請求項1記載のICチップ実装体付きラベル。
- ICチップ実装体のラベルの長手方向の長さと実質的に少なくとも同等の長さを有するICチップ実装体対向剥離部分を設けるように剥離用予備切断線を剥離紙に加工した請求項1又は2記載のICチップ実装体付きラベル。
- ICチップ実装体のラベルの長手方向の長さと実質的に少なくとも同等の長さを有するICチップ実装体対向剥離部分を設け、該部分の剥離紙を取り除き露出した粘着剤面とICチップ実装体を接合した剥離紙部分のICチップ実装体の接合した面の反対側の面を接合した請求項1から3のいずれか一項に記載のICチップ実装体付きラベル。
- ICチップ実装体とICチップ実装体対向剥離部分のラベルの長手方向の離間距離が150mm以上である請求項3又は4記載のICチップ実装体付きラベル。
- 前記ICチップ実装体対向剥離部分の少なくとも近傍において、剥離紙がスリットを有しない請求項3から5のいずれか一項に記載のICチップ実装体付きラベル。
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