JP2004315454A - 骨粗鬆症治療剤及び破骨細胞形成抑制剤 - Google Patents

骨粗鬆症治療剤及び破骨細胞形成抑制剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2004315454A
JP2004315454A JP2003112655A JP2003112655A JP2004315454A JP 2004315454 A JP2004315454 A JP 2004315454A JP 2003112655 A JP2003112655 A JP 2003112655A JP 2003112655 A JP2003112655 A JP 2003112655A JP 2004315454 A JP2004315454 A JP 2004315454A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
osteoporosis
bone
cordyceps
therapeutic agent
mycelium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003112655A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigetoshi Kadota
重利 門田
Yoshinobu Hashimoto
喜信 橋本
Kakin Kyo
嘉欽 許
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamato Scientific Co Ltd
Simpson Biotech Co Ltd
Original Assignee
Yamato Scientific Co Ltd
Simpson Biotech Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamato Scientific Co Ltd, Simpson Biotech Co Ltd filed Critical Yamato Scientific Co Ltd
Priority to JP2003112655A priority Critical patent/JP2004315454A/ja
Priority to TW093110344A priority patent/TWI259087B/zh
Priority to US10/825,585 priority patent/US7387781B2/en
Priority to CNA2004100348482A priority patent/CN1541704A/zh
Publication of JP2004315454A publication Critical patent/JP2004315454A/ja
Priority to US11/533,665 priority patent/US7311919B2/en
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K36/00Medicinal preparations of undetermined constitution containing material from algae, lichens, fungi or plants, or derivatives thereof, e.g. traditional herbal medicines
    • A61K36/06Fungi, e.g. yeasts
    • A61K36/062Ascomycota
    • A61K36/066Clavicipitaceae
    • A61K36/068Cordyceps
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P19/00Drugs for skeletal disorders
    • A61P19/08Drugs for skeletal disorders for bone diseases, e.g. rachitism, Paget's disease
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P19/00Drugs for skeletal disorders
    • A61P19/08Drugs for skeletal disorders for bone diseases, e.g. rachitism, Paget's disease
    • A61P19/10Drugs for skeletal disorders for bone diseases, e.g. rachitism, Paget's disease for osteoporosis
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/12Drugs for disorders of the metabolism for electrolyte homeostasis
    • A61P3/14Drugs for disorders of the metabolism for electrolyte homeostasis for calcium homeostasis
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00

Abstract

【課題】骨量の異常な減少に伴い骨密度及び骨強度が低下して骨折や骨破壊等の症状が伴う病気である骨粗鬆症の予防に有効な骨粗鬆症治療剤及び破骨細胞形成抑制剤を得る。
【解決手段】冬虫夏草又はその処理物を有効成分とする骨粗鬆症治療剤及び破骨細胞形成抑制剤。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、骨粗鬆症の治療に有効な冬虫夏草、特に、培養した冬虫夏草の菌糸体を有効成分とした骨粗鬆症治療剤及び破骨細胞形成抑制剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
骨は、重力に抗して身体を支え運動機能を保持すると共に、体内最大のカルシウムの貯蔵庫としてCaホメオスタシスの維持に必須の役割を果たしている。運動機能およびCaホメオスタシス維持機能の2つの機能を果たすために、通常、骨は骨形成と骨吸収とを繰り返しており、現状を維持しながら新しく生まれ変わり、再構築を繰り返している。
【0003】
以下、骨が骨形成と骨吸収とにより再構築を繰り返す骨のライフサイクルについて説明する。
【0004】
骨の代謝過程は、軟骨細胞、骨芽細胞及び破骨細胞の3つの細胞要素が機能的な分業を行い、これらの各細胞が骨の代謝を制御している。骨の代謝は、主に3過程に分類することができ、分類された3過程は、(1)軟骨内骨化による骨新生と成長、(2)骨形成・骨吸収のサイクルから成るリモデリングによる質・量的な維持、(3)骨折等の損傷における骨再生、である。
【0005】
上記の主に3過程における骨の代謝は、種々のCa代謝ホルモンやサイトカイン、および個々の細胞の内在的な情報伝達機構や転写因子などを介して、上記の3つの細胞系の分化・機能および細胞間の相互作用を調節することにより制御されている。
【0006】
例えば、骨の吸収は、休止期にある骨の表面がホルモンやサイトカイン等の刺激物質により刺激を受けると、破骨細胞に情報伝達されて骨の吸収が開始される。一方、破骨細胞により吸収されて破壊された骨は、骨芽細胞によって修復され、骨の形成が行われる。このように破骨細胞及び骨芽細胞が並行して働き骨の吸収及び骨の形成が行われ、正常な状態にある生体内においては、骨の吸収量と骨の形成量とが並行しており、生体内の調和により骨は現状を維持しつつ新しく生まれ変わっている。
【0007】
近年の高齢化社会に伴い、壮年期以降の人に発現するとされる骨粗鬆症が注目を浴びている。骨粗鬆症は、骨自体の化学的成分の変化によるものではなく、骨量の異常な減少に伴い、骨密度及び骨強度が低下して骨折や骨破壊等を生じさせる病気であり、骨粗鬆症は、上述した骨の代謝平衡のバランスが崩れて発症する。そして、特に、閉経などに伴う性ホルモンの低下や加齢などにより骨粗鬆症が発症するケースが多くみられるため、性ホルモンの低下等に起因して骨の代謝平衡のバランスが崩れて発症するものと考えられている。
【0008】
骨粗鬆症を防止する治療剤として、各種の薬剤が研究されている。例えば、エストロゲンは骨粗鬆症の治療作用を有するため、エストロゲンに化学構造が類似したステロイド系ホルモン及びこの誘導体に骨粗鬆症治療作用を維持し、かつ、エストロゲンが有する副作用を軽減する物質の開発が行われた。しかし、実質的な研究がなされるに至っていない。
【0009】
また、ステロイド系ホルモンを化学構造の一部として有するビスホスホネート誘導体が骨疾患の治療に有用であることが開示されている(特許文献1参照)。しかし、ビスホスホネート誘導体は、骨疾患治療作用としてどの程度の効果を有するかについての具体的な実験データが挙げられていない。また、メピチオスタン及びエピチオスタノールのうちの少なくとも1つを有効成分とした骨粗鬆症治療剤が開示されている(特許文献2参照)。
【0010】
さらに、活性型ビタミンD類およびその誘導体を有効成分として含有する薬剤は、骨延長、骨折、骨欠損など、骨組織の破壊を伴う疾患の治療あるいは再発防止等のより積極的な治療に非常に有用であるという報告がなされている(特許文献3参照)。
【0011】
また、1α−ヒドロキシビタミンD(1α−OH−D)、1α,24−ジヒドロキシビタミンD、1α,25−ジヒドロキシビタミンD等の活性ビタミンD類は、骨吸収、骨形成を調節するなどの作用を有するため骨粗鬆症治療剤などの治療剤として使用されている。例えば、活性型ビタミンD類とビスホスフォン酸類とを併用することにより、骨密度及び骨強度を向上させ、かつ、血中カルシウム濃度を上昇させないバランスのとれた骨粗鬆症治療剤が開示されている(特許文献4参照)。
【0012】
【特許文献1】
特開平4−352795号公報
【0013】
【特許文献2】
特開平7−215878号公報
【0014】
【特許文献3】
特開平8−12580号公報
【0015】
【特許文献4】
特開平11−60489号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した骨粗鬆症治療剤は、いずれも化学物質から成る治療剤であり、骨粗鬆症に対する十分な治療効果が得られていなかった。
【0017】
本発明は、骨粗鬆症の予防に有効な骨粗鬆症治療剤及び破骨細胞形成抑制剤を提供することを目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者らは種々研究し、漢方薬として使用されている冬虫夏草に着目した。冬虫夏草は、世界でも約300種が知られており、寄生する宿主も多種類である。宿主は、主として昆虫であるが、菌類に寄生する場合もあり、寄生する宿主の種類によって、生育する菌の種類もそれぞれ異なり、極端な例では同一種類の昆虫であっても、成虫と幼虫では違う菌種が生えている場合もある。
【0019】
上述したように多種類の冬虫夏草は、その薬理作用として、精力増強、滋養強壮及び貧血症等に効果があるとされている。また、近年の研究では、結核菌に対する抗菌作用や気管支拡張作用、アドレナリン作用強化等が各種報告されている。しかし、冬虫夏草には、まだ知られていない未知の薬理作用があると考えられている。そこで、本発明者らは、独自の製法により発酵培養した冬虫夏草の菌糸体を使用し、かつ、冬虫夏草の菌糸体を抽出して冬虫夏草菌糸体の粉末を有効成分とした薬剤を所定量服用することにより、破骨細胞形成が抑制されるという薬理作用を見出した。そして、破骨細胞形成を抑制し、骨吸収と骨形成骨との代謝平衡のバランスを保つことにより骨密度の減少を防止し、冬虫夏草の菌糸体を有効成分とした薬剤が骨粗鬆症の治療に有効であることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0020】
すなわち、本発明は、冬虫夏草又はその処理物を有効成分とする骨粗鬆症治療剤である。
【0021】
また、本発明は、冬虫夏草又はその処理物を有効成分とする破骨細胞形成抑制剤である。
【0022】
上記冬虫夏草としては、培養された冬虫夏草の菌糸体を使用することが望ましく、水エキスに冬虫夏草菌糸体を溶かした場合には、水エキス濃度を30μg/ml以上の濃度とすることが望ましい。水エキスの濃度が30μg/ml未満になると、破骨細胞に対しての抑制作用が低下し、骨粗鬆症を効果的に予防できないからである。より好ましい濃度は、30〜3000μg/mlの範囲であり、特に好ましい濃度は、300〜3000μg/mlである。
【0023】
また、本発明における冬虫夏草菌糸体を骨粗鬆症治療剤および破骨細胞形成抑制剤等の医薬として投与する場合には、医薬的に許容される無毒性かつ不活性の担体中に、所定の割合を添加して調整した処理物として、人を含む動物に投与することが望ましい。担体としては、固形、半固形、または液状の希釈剤、充填剤、及びその他の処方用の助剤一種以上が用いられる。
また、本発明の骨粗鬆症治療剤および破骨細胞形成抑制剤は、静脈内投与、経口投与、組織内投与、点鼻および点眼投与等の局所投与、あるいは経直腸に投与することができるが、特に、経口投与することが望ましい。
【0024】
経口投与は、固形又は液状の用量単位、例えば、末剤、散剤、錠剤、糖衣剤、カプセル剤、顆粒剤、懸濁剤、液剤、シロップ剤、ドロップ剤、舌下錠そやその他の剤型によって行うこともできるが、特に、顆粒剤の粉末とすることが好ましい。
【0025】
骨粗鬆症治療剤及び破骨細胞形成抑制剤としての用量は、年齢や体重などの患者に応じて、また、患者の状態や投与経路等を考慮した上で設定することが望ましいが、通常、成人に対して、本発明の有効成分量として、経口投与する場合、1日あたり、25〜250mg/kgヒトの範囲、より好ましくは125〜250mg/kgヒトの範囲とすることが好ましい。なお、この範囲に限定されるものではなく、これ以上の用量であっても良く、また、1日に2回から4回に分割して投与しても良い。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、表1〜表8及び図1〜図2を用いて説明する。
【0027】
まず、骨粗鬆症の治療剤として使用される本発明における冬虫夏草菌糸体の製造方法について説明する。次に、製造された冬虫夏草菌糸体を使用して、In vitroの実験系を用いて破骨細胞形成能の抑制に関する評価を行い、in vivoの実験系においては、DEXA (Dual energy X−ray absorptiometry)及びpQCT (peripheral quantitative computed tomography) を使用して、冬虫夏草菌糸体の骨密度に対する活性を評価した。
【0028】
[冬虫夏草菌糸体の培養方法]
本実施形態で使用する冬虫夏草の菌糸体(Cordyceps Sinensis Mycellium)は、斜面培養または平板培養して培養した。
【0029】
まず、さいの目に切ったジャガイモ300. 0g、グルコース20.0g及び寒天15.0gに蒸留水1.0Lを加え、ジャガイモデキストロース培地 (PDA:Potate Dextrose Agar)とした。
【0030】
(斜面培養)
39gのPDAを1Lの水に入れて、熱水中で培地が完全に溶けるまでPDAを溶解した。次に、サイズ16×160mmの試験管内に、培地を各8mlずつ分けて加えた後、121℃の温度で約20分間滅菌した。
【0031】
滅菌処理したナイフを使用して約0.5平方の菌種を切り取り、接種針を用いて斜面培地に菌種を植え込んだ。その後、28℃で培養した。
【0032】
(平板培養)
39gのPDAを1Lの水に入れて、5本の培養瓶に分けた。その後、121℃の温度で約20分間滅菌し、平板に約20mlの培地を入れた。
【0033】
滅菌処理したナイフで約0.5平方の菌種を切り取り、接種針を用いて平板培地に菌種を植え込んだ。その後、28℃で培養した。
【0034】
上記斜面培養または平板培養した冬虫夏草菌糸体を低温処理して、冬虫夏草菌糸体を培地から分離した。分離した冬虫夏草菌糸体を乾燥した後、粉砕し、冬虫夏草菌糸体の粉末を得た。
【0035】
(大量発酵培養)
大量生産方法は、まず菌種を保存または篩選し、三角瓶培養あるいは接種した。次に、第1次槽で発酵し、第2次槽で発酵した後、さらに生産槽にて量産した。その後、菌糸と発酵液とを分離して菌糸を乾燥した。その後、乾燥させた菌糸を粉砕し、これを充填、封口、包装して貯存して、菌糸の大量発酵培養を行った。生産槽での量産は、空気流速0.2〜0.3(vvm)、温度範囲25〜28℃、発酵時間96〜136時間、pH5.5〜6.0の条件とし、その後、振とう速度150〜180(rpm)、温度範囲25〜28℃、発酵時間8〜10日、pH5.5〜6.0の条件として、2段階に亘って量産した。また、発酵媒体として、水、食用澱粉、グルコース、動物及び植物タンパク抽出物を使用した。
【0036】
[冬虫夏草菌糸体水抽出エキスのin vitroの破骨細胞形成能実験]
In vitroの実験系では、骨髄細胞と骨芽細胞様細胞による共存培養法を用い、破骨細胞形成能の実験を行った。骨髄細胞と骨芽細胞様細胞を活性ビタミンDの存在下で共存培養すると、酒石酸耐性酸性抵抗性ホスファターゼ(TRAP:tartrate resisted acidic phosphatase)を有する破骨様多核細胞(破骨細胞)に分化し、破骨様多核細胞(破骨細胞)はTRAP染色で陽性を示す。これを利用し、骨髄細胞と骨芽細胞様細胞の共存培養法により培養し、破骨細胞を計数し、破骨細胞形成能を評価した。
【0037】
(冬虫夏草菌糸体の水抽出エキスの調製)
図1は、水抽出エキスを調整する手順を示す図である。図1に示すように、まず、前述した製造方法から得られた冬虫夏草菌糸体の粉末80gをエーテル1200 mlで還流し、エーテル抽出した。これを2回行った。次に、残渣をメタノール1200 mlで還流し、同様にメタノールエキスを調製した。さらに残渣に蒸留水1200 mlを加えて環流した後、同様に水抽出エキスを調製した。
【0038】
(共存培養法)
骨芽細胞と骨髄細胞を24穴プレートの中で共存培養した。共存培養液の中には、PTH (100 ng/ml), 1α,25(OH)VD(10−8 M)と被験物質(冬虫夏草菌糸体水抽出エキス;3 mg/ml, 300μg/ml , 30μg/ml, 3μg/ml, Elcatonin; 2 U/ml)を各々添加して、試料No.1〜試料No.6とした。各々は4穴を用いて培養したものであり、2日ごとに培養液を交換して6日間培養した。
【0039】
[形成された破骨細胞の同定]
培養終了後、染色液を用いて酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ陽性細胞を暗赤色に染色した。染色後、3核以上のTRAP陽性破骨様多核細胞を計数した。破骨細胞数をサンプル毎に計数した後、4つのサンプルにおける破骨細胞数の平均を求めて破骨細胞数とした。
【0040】
形成率は1α,25(OH)の破骨細胞数を100%とした場合に、形成される破骨細胞数を計数したときの割合を形成率としたものであり、具体的には、以下の式1を用いて求めた。その結果を表1に示す。なお、統計処理として、有意差検定にはStudent’s t−testを用いて計算した。
【0041】
(式1)形成率(%)=サンプルの破骨細胞数/1α,25(OH)の破骨細胞数×100
【表1】
Figure 2004315454
表1に示すように、本実験系では、医薬品で使用されているElcatoninが、無添加のコントロール群と比較して有意差を示していることから正当であることが証明された。また、冬虫夏草菌糸体の水抽出エキスを添加した実施例では、30μg/ml, 300μg/ml, 3 mg/mlの各濃度において、破骨細胞形成率がそれぞれ58.4%, 62.1%, 0.0%であり、破骨細胞の形成を有意に抑制していることが判った。また、特に、濃度3 mg/mlの冬虫夏草菌糸体を添加した実施例では、医薬品であるElcatoninより強い活性を示していた。従って、in vitroの実験系において、本発明の冬虫夏草菌糸体水抽出エキスは、抗骨粗鬆症活性を有することが示唆された。
【0042】
次に、被検体としてラットを用いたin vivoの実験系について説明する。
【0043】
[冬虫夏草菌糸体のin vivo二重エネルギX線吸収法(Dual energy X−ray absorptiometry, DEXA) を用いた実験]
卵巣を摘出した骨粗鬆症モデルラットを作成した。偽手術を施した群をコントロール群、卵巣を摘出した群を骨粗鬆症モデル群、骨粗鬆症モデルに被験物質を投与した群の3種類の群に分けた。各群における各ラットの腰椎の総骨密度を測定することにより、骨粗鬆症の主症状である骨密度の減少について、骨密度について直接比較検討を行った。なお、総骨密度の測定には、医療分野で骨粗鬆症の診断に用いられている二重エネルギX線吸収法(Dual energy X−ray absorptiometry, DEXA)を用いた。
【0044】
(二重エネルギX線吸収法(DEXA)を用いた骨密度の比較実験)
1. 8ヶ月齢ラットを卵巣摘出グループ(OVX)、偽手術を施したグループ(Sham)、卵巣摘出グループに冬虫夏草菌糸体を投与したグループに分けて、各グループでは各々7匹のラットを使用した。
【0045】
2. 各グループのラットをペントバルビタールの腹腔内投与で麻酔し、両側の卵巣摘出手術を行った。偽手術は、ペントバルビタールで麻酔し、両側の卵巣をピンセットでさわり、偽手術を行った。
【0046】
3. 冬虫夏草菌糸体は、10 mg/kg、50 mg/kg、100 mg/kgの濃度で、カニューレにより経口投与した。投与は、2日に1回とし、期間は5週間とした。
【0047】
4. 5週間後、再びラットをペントバルビタールを用いて麻酔した。そして、二重エネルギX線吸収法(Dual energy X−ray absorptiometry, DEXA)を用いて、平均骨密度(BMD)を測定した。
【0048】
測定方法は、ラットをペントバルビタールで麻酔し、ラットをうつ伏せで測定台に乗せた後、small animal program (line specing と point resolution, 0.5 x 0.5 mm, scan speed, 15 mm/sec)にて腰椎をスキャンし、第2腰椎から第4腰椎まで[lumbar spine (L2−L4)]の平均骨密度を測定したものである。なお、統計処理として、有意差検定にStudent’s t−testを用いて計算した。
【0049】
5. 骨密度測定後、安楽死させ、子宮を摘出し、重量を測定した。
【0050】
得られた結果を図2及び表2に示す。
【0051】
【表2】
Figure 2004315454
図2及び表2に示すように、卵巣を摘出したグループと偽手術を施したグループの体重に有意な差がみられ、子宮重量にも有意な差がみられた。このためこのモデルの正当性が確認された。
【0052】
図2に示すように、冬虫夏草菌糸体を経口投与したグループと卵巣を摘出したグループに顕著な差が認められた。また、表2に示すように、濃度依存的な効果を示していないが、体重と子宮の重量に影響すること無く、腰椎の骨密度の減少を抑制することができた。従って、in vivo の実験系においても抗骨粗鬆症活性を有すると考えられる。
【0053】
[冬虫夏草菌糸体のin vivoの pQCT (peripheral quantitative computed tomography) を用いた骨密度の比較実験]
前述した二重エネルギX線吸収法(DEXA)を用いた実験と同様に、卵巣摘出モデルラットを作成し、それぞれの被験物質を投与した。
【0054】
各モデルラットの脛骨について、皮質骨、海綿骨を区別した骨密度を測定し、それぞれ比較検討した。また、骨動態に影響する骨外膜長、骨毎膜長、骨強度の指標であるSSIを求めて、抗骨粗鬆症活性を評価した。なお、骨密度測定装置として、医療分野で骨粗鬆症の診断に用いられているDEXAより高精度なpQCT (peripheral quantitative computed tomography)を使用した。以下、その方法を説明する。
【0055】
1. 6ヶ月齢Wistar雌ラットを購入した後、適用させるため1週間飼育した。
【0056】
2. 1週間後、ラットを卵巣摘出群、偽手術群に分け、卵巣摘出手術及び偽手術をそれぞれ施した。なお、それぞれのグループには、7匹のラットを使用した。
【0057】
3. 手術1週間後、100 mg/kgの冬虫夏草菌糸体粉末の懸濁液を1週間に3回、経口投与した。
【0058】
4. 1ヶ月後、ペントバルビタール 50 mg/kgで麻酔し、pQCTで骨動態のデータを測定した。
【0059】
5. 測定終了後、体重を測定した。さらに、ラットをペントバルビタールで安楽死させ、血液を採取した。採取した血液を遠心分離し、血清を抽出し−80℃で保存した。
【0060】
6. 血液採取後、子宮を摘出し、計量した。
【0061】
7. それぞれ得られたデータを解析、統計処理を行った。
【0062】
得られた結果を表3から表8までに各々示す。なお、表3は、体重及び子宮重量を示し、表4は、総骨量、総骨密度及び断面積を示し、表5は海綿骨量及び海綿骨密度、表6は骨外膜長及び骨内膜長、表7はラット近位頸骨の皮質骨量、皮質骨密度及び皮質骨の厚さをそれぞれ示し、表8は骨強度の指標を示す。
【0063】
【表3】
Figure 2004315454
【表4】
Figure 2004315454
【表5】
Figure 2004315454
【表6】
Figure 2004315454
【表7】
Figure 2004315454
【表8】
Figure 2004315454
卵巣摘出モデルラットを用いた冬虫夏草菌糸体の粉末の抗骨粗鬆症活性を検討した結果、表3に示すように、各グループの体重、子宮重量が卵巣摘出グループ(Control )と偽手術グループ(Sham)で有意差があることからモデルが作成できていると考えられる。また、表4に示すように、ラット近位脛骨の総骨量・総骨密度は、Controlと冬虫夏草菌糸体投与群(T−100)において有意差は見られなかった。しかしながら、総骨密度は増加傾向が見られた。
【0064】
また、表6に示す骨外膜長・骨内膜長、表7に示す皮質骨量・皮質骨密度・皮質骨の厚さ及び表8に示す骨強度の指標については、いずれも有意差が見られなかった。
【0065】
さらに、表5に示すように、骨粗鬆症の主症状である海綿骨密度の低下に対して有意な差が見られた。このことから、冬虫夏草菌糸体の粉末は強くはないが抗骨粗鬆症活性を有するものと考えられる。
【0066】
上述した実験結果から冬虫夏草菌糸体の抗骨粗鬆症活性を検討した結果、in vitroの破骨細胞形成抑制を示すことから骨代謝における骨吸収(骨の溶解)を妨げることが示唆される。また、pQCTを用いた実験では、骨粗鬆症の症状である海綿骨密度の減少を抑制しているため、骨粗鬆症活性に有効であることが推測される。また、in vivoの実験系におけるDEXA, pQCTを用いた骨密度の比較実験についても、有意な差を示していることが判明した。従って、冬虫夏草菌糸体はin vivo, in vitroの実験結果により抗骨粗鬆症活性を有すると考えられる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の冬虫夏草である、特に、培養した冬虫夏草の菌糸体を含有した薬剤を投与することにより、破骨細胞の形成を抑制し、この結果、骨密度の減少を防止し、骨粗鬆症の発症を予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における、水抽出エキスを調整する手順を示す図。
【図2】本発明における、卵巣を摘出したグループと偽手術を施したグループとの比較を示す図。

Claims (3)

  1. 冬虫夏草又はその処理物を有効成分とする骨粗鬆症治療剤。
  2. 冬虫夏草又はその処理物を有効成分とする破骨細胞形成抑制剤。
  3. 前記冬虫夏草は、培養された菌糸体であり、かつ、海綿骨密度の減少を抑制するものであることを特徴とする請求項1記載の骨粗鬆症治療剤。
JP2003112655A 2003-04-17 2003-04-17 骨粗鬆症治療剤及び破骨細胞形成抑制剤 Pending JP2004315454A (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003112655A JP2004315454A (ja) 2003-04-17 2003-04-17 骨粗鬆症治療剤及び破骨細胞形成抑制剤
TW093110344A TWI259087B (en) 2003-04-17 2004-04-14 Agents for treating osteoporosis and inhibiting osteoclast formation
US10/825,585 US7387781B2 (en) 2003-04-17 2004-04-16 Agents for treating osteoporosis and inhibiting osteoclast formation
CNA2004100348482A CN1541704A (zh) 2003-04-17 2004-04-16 骨质疏松症治疗剂及破骨细胞形成抑制剂
US11/533,665 US7311919B2 (en) 2003-04-17 2006-09-20 Agents for treating osteoporosis and inhibiting osteoclast formation

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003112655A JP2004315454A (ja) 2003-04-17 2003-04-17 骨粗鬆症治療剤及び破骨細胞形成抑制剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004315454A true JP2004315454A (ja) 2004-11-11

Family

ID=33472795

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003112655A Pending JP2004315454A (ja) 2003-04-17 2003-04-17 骨粗鬆症治療剤及び破骨細胞形成抑制剤

Country Status (4)

Country Link
US (2) US7387781B2 (ja)
JP (1) JP2004315454A (ja)
CN (1) CN1541704A (ja)
TW (1) TWI259087B (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100932836B1 (ko) 2003-03-06 2009-12-21 주식회사한국야쿠르트 카뎁신 케이의 활성을 저해하는 눈꽃 동충하초 추출물
KR100932835B1 (ko) 2003-03-21 2009-12-21 주식회사한국야쿠르트 카뎁신 케이의 활성을 저해하는 번데기동충하초 추출물

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2299991B1 (en) * 2008-06-03 2017-07-26 John Ray Biffin A method for increasing bone density and/or reducing any osteochondral defects in an animal and a composition including vitamin k
CN101696390B (zh) * 2009-10-29 2010-12-08 南京农业大学资产经营有限公司 连作黄瓜、西瓜枯萎病的生物防治菌株及其微生物有机肥料
CN102846675B (zh) * 2011-06-28 2014-09-10 浙江泛亚生物医药股份有限公司 蝉花的用途
US8765188B2 (en) 2011-09-23 2014-07-01 Taipei Medical University Composition for treating and/or preventing osteoporosis

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5944016B2 (ja) * 1982-10-26 1984-10-26 常人 吉井 きのこ菌によるヨ−グルトの製造法
EP0496520A1 (en) 1991-01-22 1992-07-29 Merck & Co. Inc. Novel bone acting agents
JPH07215878A (ja) 1994-02-02 1995-08-15 Shionogi & Co Ltd 骨粗そう症治療剤及び骨形成促進剤
JP3789956B2 (ja) 1994-04-27 2006-06-28 中外製薬株式会社 骨癒合促進剤
DE69531782T2 (de) * 1994-06-30 2004-07-01 Meiji Dairies Corp. Heisswasser-Extrakt von Cordyceps sinensis
JPH1160489A (ja) 1997-06-12 1999-03-02 Teijin Ltd 骨粗鬆症予防剤または治療剤
CN1051471C (zh) 1997-09-29 2000-04-19 苏顺兴 一种治疗骨质疏松症的药物组合物
US6558943B1 (en) * 2000-09-05 2003-05-06 Sun Ten Pharmaceutical Co., Ltd. Method for propagating fungi using solid state fermentation
CN1356115A (zh) * 2001-01-11 2002-07-03 李方瑞 一种虫草牦牛壮骨冲剂

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6009044666, 山口優他, 日本薬学会年会要旨集, 2001, Vol.121, No.3, p.72 *

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100932836B1 (ko) 2003-03-06 2009-12-21 주식회사한국야쿠르트 카뎁신 케이의 활성을 저해하는 눈꽃 동충하초 추출물
KR100932835B1 (ko) 2003-03-21 2009-12-21 주식회사한국야쿠르트 카뎁신 케이의 활성을 저해하는 번데기동충하초 추출물

Also Published As

Publication number Publication date
US20070014811A1 (en) 2007-01-18
US7311919B2 (en) 2007-12-25
CN1541704A (zh) 2004-11-03
US7387781B2 (en) 2008-06-17
US20050013830A1 (en) 2005-01-20
TWI259087B (en) 2006-08-01
TW200509953A (en) 2005-03-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Thomas et al. The in vitro fungicidal properties of Visco‐gel, alone and combined with nystatin and amphotericin B
JP5080284B2 (ja) 骨疾患の予防及び/又は治療用医薬組成物、その組成物を含有する機能性食品、健康食品及び医薬製剤、並びに歯根−歯周組織形成促進剤
JPH09511748A (ja) エクイリンの酸異性化によるエクイリン二重結合異性体
FI91877B (fi) Menetelmä osseiini-hydroksiapatiittiyhdisteen valmistamiseksi
US7311919B2 (en) Agents for treating osteoporosis and inhibiting osteoclast formation
TWI248359B (en) Food materials for metabolic bone diseases
DE60223707T2 (de) Calcium-l-threonat zur behandlung von knochenfrakturen
Pontiroli et al. Analgesic effect of intranasal and intramuscular salmon calcitonin in post-menopausal osteoporosis: a double-blind, double-placebo study
CN116869853A (zh) 鲟鱼籽肽粉及其制备方法、化妆品组合物
WO2008004118A2 (en) Carthamus tinctoris plant extracts for treating osteoporosis and the extraction process thereof
EP3626728A1 (en) Peptide for inhibiting bone resorption
CN101401804A (zh) 丹参酚酸b在制备防治骨质疏松症药物制剂中的应用
CN109966274B (zh) 愈创醇在制备抑制肿瘤相关m2型巨噬细胞的药物中的应用
CN111388761B (zh) 天麻素在糖尿病环境中医用钛金属使用中的应用
WO2008084283A2 (en) Andrographis paniculata plant extracts for treating osteoporosis and the extraction process thereof
Baban et al. Effects of oral supplementation of pomegranate peel extract on some serum biochemical parameters related with bone in rabbit
US8765188B2 (en) Composition for treating and/or preventing osteoporosis
RU2760674C1 (ru) Применение препаратов растения polyscias filicifolia или его фрагментов для лечения элементозов и их последствий
US10881634B2 (en) Method for treatment or prevention of a disease associated with a decrease in bone mass and method of improving bone architecture and bio mechanical strength of bone
TWI474826B (zh) 治療及/或預防骨質疏鬆症之組合物
RU2383348C1 (ru) Способ лечения хронического генерализованного пародонтита с агрессивным течением
WO2017175625A1 (ja) 骨代謝調節用組成物
KR20000019869A (ko) 홍화자 추출물을 포함하는 경조직 재생촉진제 조성물
CN117883439A (zh) 吲哚-3-丙酸在制备抑制破骨细胞分化药物中的应用
CN117085030A (zh) 松脂醇-4-O-β-D-吡喃葡萄糖苷在制备治疗或预防骨质疏松药物中的应用

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060404

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090901

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100608