JP2004314251A - 薄膜梁及びその成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】薄膜梁の製造時或いは駆動動作時における破損等の不具合をなくし信頼性を向上させる。
【解決手段】ガラス基板13上にパターニングされたアルミニウム成膜からなる犠牲層とこの犠牲層を跨ぐ薄膜層とを順に積層させ、犠牲層を除去することにより、ガラス基板13に固定された固定部15aと、固定部15aから立設された一対の支持部15bと、これら支持部15bによって両端が支持されてガラス基板13との間に所定の隙間をあけて支持された可動部15cとを有する薄膜梁15を成形する。このとき、固定部15aと支持部15bとの連結点A及び可動部15cと支持部15bとの連結点Bをそれぞれ結ぶ直線Lと、ガラス基板13の表面とのなす角度αを60°以下とする。
【選択図】 図2
【解決手段】ガラス基板13上にパターニングされたアルミニウム成膜からなる犠牲層とこの犠牲層を跨ぐ薄膜層とを順に積層させ、犠牲層を除去することにより、ガラス基板13に固定された固定部15aと、固定部15aから立設された一対の支持部15bと、これら支持部15bによって両端が支持されてガラス基板13との間に所定の隙間をあけて支持された可動部15cとを有する薄膜梁15を成形する。このとき、固定部15aと支持部15bとの連結点A及び可動部15cと支持部15bとの連結点Bをそれぞれ結ぶ直線Lと、ガラス基板13の表面とのなす角度αを60°以下とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光変調素子などの可動部分である薄膜梁及びその成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、フォトリソグラフィー工程に使用されるオンディマンドのデジタル露光装置、デジタル露光による画像形成装置、プロジェクタ等の投影表示装置、ヘッドマウントディスプレイ等のマイクロディスプレイ装置などに搭載される光変調素子として、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて作製した光変調素子が知られている(例えば特許文献1参照)。
この光変調素子は、透明基板上に可撓性を有する薄膜梁を設けた構造とされており、透明基板側及び薄膜梁側に、それぞれ薄膜の電極を備えている。そして、これらの電極間に電圧が印加されると、静電気力が生じ、薄膜梁が透明基板側へ引き寄せられて密着して透明基板界面における全反射条件が変化して入射光の光路が変化する。これにより、入射光を遮光状態と透過状態に変調させている。
【0003】
上記のような光変調素子を構成する薄膜梁を成形するには、例えば図7に示すように、まず、ガラス基板1の絶縁膜2上に端部が犠牲層3を成膜してパターニングし、その後、端部がテーパ状にされた犠牲層3の上部に薄膜梁4となる薄膜を成膜し、最後に犠牲層3を除去する。
このようにすると、ガラス基板1側に固定された固定部4aからテーパ角を有して立設された支持部4bによって両端部が支持され、ガラス基板1に対して隙間をあけて配設された可動部4cを有する薄膜梁4が成形される。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−305441号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような薄膜梁4を形成する場合には、通常、ウェットエッチング法で犠牲層が形成されるが、通常のウェットエッチング法では、犠牲層のパターニング時に用いるエッチング液の容量比は、燐酸:酢酸:硝酸=16:2:1程度に調製されている。このようなエッチング液では、エッチングが等方的に行われるため、犠牲層3の端部におけるテーパ角が60゜を上回る角度となっていた。このため、犠牲層3に沿って形成される薄膜梁4は、その端部における傾斜角(図2の角度α)も同様に60゜を上回る角度にされていた。薄膜梁4の端部の傾斜角が大きくなると、薄膜梁4の成膜時における膜厚が薄くなり、機械的強度が乏しくなる。その上、この端部は薄膜梁4の駆動動作時に繰り返し変形を受ける部位であるため、図8に示すように、薄膜梁4の端部が製造時或いは駆動動作時に破損してしまうことがあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、製造時或いは駆動動作時において破損等の不具合が生じることのない薄膜梁及びその成形方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の薄膜梁は、基板上にパターニングされた犠牲層と該犠牲層を跨ぐ薄膜層とをこの順で積層した後に前記犠牲層を除去して形成された可撓性を有する薄膜梁であって、前記薄膜梁が、前記基板に固定された固定部と、該固定部から立設された一対の支持部と、該支持部によって両端が支持されて前記基板との間に所定の隙間をあけて支持された可動部とを有し、前記固定部と前記支持部との連結点及び前記可動部と前記支持部との連結点をそれぞれ結んだ直線と、前記基板の表面とのなす角度が60°以下とされていることを特徴とする。
【0007】
この薄膜梁によれば、固定部と支持部との連結点及び可動部と支持部との連結点をそれぞれ結ぶ直線と、基板の表面とのなす角度を、成膜時に十分な厚みを得ることができる60°以下としたので、製造時或いは可動時における支持部の破損のない十分な強度を備え、信頼性の高い薄膜梁とすることができる。
【0008】
請求項2記載の薄膜梁の成形方法は、請求項1記載の薄膜梁の成形方法であって、アルミニウム成膜からなる前記犠牲層のパターニングを、燐酸、酢酸及び硝酸を含有したエッチング液を用いたエッチング除去により行い、前記エッチング液の容量比を燐酸:酢酸:硝酸=16:2:Xとしたときに硝酸の容量比Xを8<X<16の範囲で調製し、前記犠牲層の端面の基板面からの傾斜角を60°以下に制御することを特徴とする。
【0009】
この薄膜梁の成形方法によれば、犠牲層のパターニング時に用いるエッチング液の容量比を燐酸:酢酸:硝酸=16:2:Xとしたときに硝酸の容量比Xを8<X<16の範囲で調製することにより、極めて容易に、犠牲層の端面における傾斜角度を60°以下に制御することができる。これにより、薄膜梁の端部における成膜の膜厚を十分に確保することができ、製造時或いは可動時における支持部の破損のない、信頼性の高い薄膜梁を成形することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る薄膜梁及びその成形方法について図面を参照して説明する。
図1は薄膜梁を備えた光変調素子の構造を示す斜視図である。
この光変調素子100は、上面に絶縁膜11を有するガラス基板13上に、可撓性を有する薄膜梁15が配設された構造とされている。ガラス基板13側及び薄膜梁15側には、それぞれ屈折率の異なる材料を交互に重ねた多層膜からなるハーフミラー(図示略)が設けられている。
【0011】
また、ガラス基板13及び薄膜梁15は、それぞれ薄膜の電極17を有している。そして、この光変調素子100では、電極17間に電圧が印加されると、静電気力が生じ、薄膜梁15がガラス基板13側へ引き寄せられてハーフミラー同士が密着して所定の波長の光が透過し、電極17間への電圧の印加がなくなると、静電気力がなくなり、薄膜梁15がガラス基板13から離間して遮光状態となる。
【0012】
図2は薄膜梁15の形状を説明する概略断面図である。
この薄膜梁15は、ガラス基板13側に固定された固定部15aと、固定部15aからガラス基板13に対して傾斜角を有して立設された一対の支持部15bと、これら支持部15bに両端部が支持されてガラス基板13との間に所定の隙間を空けて配設された可動部15cとを有している。
また、薄膜梁15は、固定部15aと支持部15bとの連結点をAとし、可動部15cと支持部15bとの連結点をBとした場合に、これら連結点A、Bを結ぶ直線Lとガラス基板13の表面とのなす角度αが60°以下とされている。
【0013】
ここで、この光変調素子100の作製プロセスの一例を図3に示した。以下、図3に基づいて光変調素子100の作製プロセスを順次説明する。
【0014】
(1)透明導電膜の成膜
透明なガラス基板13上にスパッタ等の真空成膜法により透明導電膜ITOを厚さ0.15μmとして成膜する。
【0015】
(2)透明導電膜のパターニング
成膜された透明導電膜上にフォトレジストを塗布し、フォトマスクのパターンをこのフォトレジストに露光転写する。そして、パターン部以外のフォトレジストを除去してエッチング処理(ウェットエッチング等)し、その後、フォトレジストを除去することで帯状の透明導電膜からなる固定側の電極17を形成する。
【0016】
(3)絶縁膜の成膜
帯状の電極17が形成されたガラス基板13上に、SiO2等の絶縁膜11を厚さ0.5μmにスパッタにより成膜する。
【0017】
(4)犠牲層の成膜とパターニング
絶縁膜11上にフォトレジストを形成してパターニングすることで、薄膜梁15の空隙部分となる犠牲層21を厚さ0.4μmで成膜する。この犠牲層21は、固定側の電極17に対応して帯状に形成する。
【0018】
(5)薄膜梁の成膜
絶縁膜11と犠牲層21との上面に薄膜梁15となるSiNxの薄膜層を、例えば、プラズマCVD成膜法により厚さ0.4μmで成膜する。
【0019】
(6)透明導電膜の成膜
薄膜梁15となるSiNxの薄膜層の上面に、透明導電膜ITOを厚さ0.15μmで真空成膜法により成膜する。
【0020】
(7)薄膜梁のパターニング
成膜された透明導電膜ITOをウェットエッチング処理してパターンニングし、SiNxの薄膜層をCF4ガスによってドライエッチング処理してパターニングし、さらに、パターニングに用いたフォトレジストをO2ガスによってドライエッチング処理して除去し、固定側の電極17及び犠牲層21に対して直交方向に帯状の薄膜梁15を形成する。これにより、上部に可動側の電極17が設けられた薄膜梁15が形成される。
【0021】
(8)犠牲層除去
薄膜梁15と絶縁膜11との間の犠牲層21をエッチング処理(ドライエッチング又はウェットエッチング)により除去し、その後、リンスして二酸化炭素(CO2)によって超臨界洗浄乾燥を行う。
【0022】
このようにすると、ガラス基板13側に固定された固定部15aから立設された支持部15bによって両端部が支持され、ガラス基板13に対して隙間を空けて配設された可動部15cを有する薄膜梁15が成形される。
【0023】
ここで、薄膜梁15を成形するためのパターニングした犠牲層21は、その端部におけるガラス基板13とのテーパ角が大きいと、この犠牲層21の端部におけるSiNxの薄膜層の膜厚が薄くなり、製造時或いは薄膜梁15の駆動動作時に、膜の強度不足のために支持部15bが破損してしまうことがある。
【0024】
このため、本実施形態では、上記(4)における犠牲層21の成膜とパターニングを次のように行う。
図4は犠牲層21の成膜とパターニングの工程を示す工程毎の断面図である。
【0025】
図4(a)に示すように、まず、ガラス基板13の絶縁膜11上に、アルミニウム薄膜からなる犠牲層21を全面に堆積させる。堆積方法としては、スパッタ法や電子ビーム蒸着法などが用いられる。
【0026】
図4(b)に示すように、通常のフォトリソグラフィー法を用いて、アルミニウム薄膜からなる犠牲層21の上に所望のレジストパターン23を形成する。
【0027】
図4(c)に示すように、犠牲層21のエッチングを行う。
ここで、本実施形態は、エッチング液として、燐酸、酢酸、及び硝酸を含有したエッチング液を用い、エッチング液の各成分の容量比を燐酸:酢酸:硝酸=16:2:Xとしたときに、硝酸の容量比Xを1〜16(好ましくは8〜16)として、犠牲層21の端面21aにおけるテーパ角を60°以下に制御する。
【0028】
具体的には、エッチングに用いるエッチング液としては、濃度85%の燐酸(H3PO4)、酢酸(CH3COOH)、濃度61%の硝酸(HNO3)、水(H2O)をそれぞれ、16:2:4:1に容量混合したものを用い、このエッチング液によって40℃で犠牲層21をパターニングする。
【0029】
図4(d)に示すように、エッチング終了後に、レジストパターン23を除去すると、端面21aのテーパ角θが60°以下とされた犠牲層21が形成される。
【0030】
そして、上記のように犠牲層21を形成すると、犠牲層21の端面21aのテーパ角θが比較的なだらかな60°以下とすることができるので、この犠牲層21の上部から薄膜梁15となるSiNxの薄膜層を成膜した際に、犠牲層21の端面21aの部分にも確実かつ十分な厚みで成膜が施され、機械的強度の高い薄膜梁15の構造にできる。
このような犠牲層21によって成形された薄膜梁15は、固定部15aと支持部15bとの連結点Aと、可動部15cと支持部15bとの連結点Bとを結ぶ直線Lとガラス基板13の表面とのなす傾斜角αが、犠牲層21のテーパ角θに対応して60°以下とされる。
【0031】
このように、上記実施形態に係る薄膜梁15によれば、ガラス基板13に固定された固定部15aと支持部15bとの連結点A及び可動部15cと支持部15bとの連結点Bをそれぞれ結ぶ直線Lと、ガラス基板13の表面とのなす傾斜角αを60°以下としたので、製造時或いは駆動動作時における支持部15bの破損の生じない十分な強度を備えた、信頼性の高い薄膜梁15とすることができ、これにより、この薄膜梁15を備えた光変調素子100の品質を向上させることができる。
【0032】
また、本実施形態に係る薄膜梁の成形方法によれば、犠牲層21のパターニング時に用いるエッチング液の容量比を燐酸:酢酸:硝酸=16:2:Xとしたときに硝酸の容量比Xを8<X<16の範囲で調整することにより、極めて容易に、犠牲層21の端面21aにおけるテーパ角θを60°以下に制御することができる。これにより、犠牲層21の端面21aに対する膜厚を十分に確保することができ、製造時或いは可動時における支持部15bの破損のない、信頼性の高い薄膜梁15を成形することができる。
【0033】
なお、上記の例では、H3PO4(85%):CH3COOH:HNO3(61%):H2O=16:2:4:1としたエッチング液を用いたが、使用可能なエッチング液としては、この混合比のものに限定されない。また、上記の例では、エッチング液を用いて犠牲層21の端面21aのテーパ角θを60°以下としたが、ドライエッチングによって犠牲層21の端面21aのテーパ角θを60°以下としても良く、この場合は、等方的なプラズマ下にて、エッチングガスのガス圧を調整することによりテーパ角θの制御を行う。
【0034】
図5は他のエッチング液を用いたときの犠牲層21の端面形状を示したものである。
この犠牲層21は、その端面21aが、一段目のテーパと二段目のテーパとを有し、それぞれが異なる角度の二段階のテーパ角θ1、θ2として形成されている。このような端面形状の犠牲層21を形成する際には、例えば85%H3PO4(1600ml)、CH3COOH(200ml)、HNO3(200ml)から構成されるベース液に、HNO3を300ml追加して混合したエッチング液を用いる。
【0035】
このようなエッチング液を用いることにより、レジストパターン23の密着性が硝酸の濃度に依存する犠牲層21の端面におけるテーパ角θを、約10゜〜60°の範囲で制御することができる。
さらに、硝酸の混合量を増加させることにより、二段のテーパ角θ1、θ2が形成される傾向をより強めることができる。
【0036】
つまり、硝酸の混合量が増加すると、犠牲層21へのレジストパターン23の密着性が悪くなってレジストパターン23が反り返ることにより、ガラス基板13の界面とレジストパターン23の界面のエッチング速度に大きな差が生じて二段のテーパ角θ1、θ2が生じやすくなることとなる。
【0037】
【実施例】
ここで、容量比が燐酸:酢酸:硝酸=16:2:10のエッチング液及び燐酸:酢酸:硝酸=16:2:16のエッチング液を用い、アルミニウム成膜からなる犠牲層21をエッチングし、犠牲層21の端面21aにおけるテーパ角θの大きさを測定した。
【0038】
なお、測定を行った犠牲層21であるアルミニウム成膜としては、常温で真空成膜したものと、240℃で真空成膜したものを用いた。また、エッチング液の温度を、常温及び40℃としてそれぞれエッチングを行った。
上記の条件による犠牲層21の端面21aにおけるテーパ角θの測定結果を表1及び図6に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
(アルミニウムを常温で成膜した場合)
エッチング液が常温の場合は、硝酸の容量比が10のとき、テーパ角θが30.1°となり、硝酸の容量比が16のとき、テーパ角θが29.7°となった。
また、エッチング液を40℃とした場合は、硝酸の容量比が10のとき、テーパ角θが20.1°となり、硝酸の容量比が16のとき、テーパ角θが13.6°となった。
【0041】
(アルミニウムを240℃で成膜した場合)
エッチング液が常温の場合は、硝酸の容量比が10のとき、テーパ角θが49.9°となり、硝酸の容量比が16のとき、テーパ角θが54.5°となった。また、エッチング液を40℃とした場合は、硝酸の容量比が16のとき、テーパ角θが8.7°となった。
【0042】
このように、従来の通常のウェットエッチング(容量比が燐酸:酢酸:硝酸=16:2:1程度のエッチング液を用いた場合)では、等法エッチングのために、犠牲層21の端面21aのテーパ角θが60を超える角度となり、この犠牲層21により形成される薄膜梁15の強度が大きく低下していたが、上記したいずれの容量比のエッチング液を用いた場合も、犠牲層21の端面21aにおけるテーパ角θが60°以下となって薄膜梁15の機械的強度が向上し、薄膜梁15の損傷が生じにくくなった。なお、容量比が燐酸:酢酸:硝酸=16:2:8のエッチング液を用いた場合も、犠牲層21の端面21aのテーパ角θが60゜以下となって、十分な機械的強度を有する薄膜梁15を形成できた。
【0043】
【発明の効果】
本発明の薄膜梁によれば、固定部と支持部との連結点及び可動部と支持部との連結点をそれぞれ結ぶ直線と、基板の表面とのなす角度を、十分な機械的強度が得られる60°以下としたので、製造時或いは駆動動作時における支持部の破損のない、信頼性の高い薄膜梁とすることができる。
また、本発明の薄膜梁の成形方法によれば、犠牲層のパターニング時に用いるエッチング液の容量比を燐酸:酢酸:硝酸=16:2:Xとしたときに硝酸の容量比Xを8<X<16の範囲で調整することにより、極めて容易に、犠牲層の端面のテーパ角を60°以下に制御することができる。これにより、薄膜梁の端部における成膜の膜厚を十分に確保することができ、製造時或いは駆動動作時における支持部の破損のない、信頼性の高い薄膜梁を成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る薄膜梁を備えた光変調素子の構造を示す斜視図である。
【図2】薄膜梁の断面形状を示す薄膜梁の断面図である。
【図3】薄膜梁を備えた光変調素子の製造工程を説明する説明図である。
【図4】薄膜梁を成形する犠牲層の形成手順を示す説明図である。
【図5】犠牲層の他の形成手順を説明する形成途中の犠牲層の断面図である。
【図6】硝酸の容量比の異なるエッチング液によりパターニングを行った犠牲層の端面のテーパ角を示すグラフである。
【図7】従来の薄膜梁の成形手順を説明する説明図である。
【図8】薄膜梁の支持部の破断状況を示す説明図である。
【符号の説明】
13 ガラス基板(基板)
15 薄膜梁
15a 固定部
15b 支持部
15c 可動部
21 犠牲層
21a 端面
A、B 連結点
L 直線
α 傾斜角
θ、θ1、θ2 テーパ角
【発明の属する技術分野】
本発明は、光変調素子などの可動部分である薄膜梁及びその成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、フォトリソグラフィー工程に使用されるオンディマンドのデジタル露光装置、デジタル露光による画像形成装置、プロジェクタ等の投影表示装置、ヘッドマウントディスプレイ等のマイクロディスプレイ装置などに搭載される光変調素子として、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて作製した光変調素子が知られている(例えば特許文献1参照)。
この光変調素子は、透明基板上に可撓性を有する薄膜梁を設けた構造とされており、透明基板側及び薄膜梁側に、それぞれ薄膜の電極を備えている。そして、これらの電極間に電圧が印加されると、静電気力が生じ、薄膜梁が透明基板側へ引き寄せられて密着して透明基板界面における全反射条件が変化して入射光の光路が変化する。これにより、入射光を遮光状態と透過状態に変調させている。
【0003】
上記のような光変調素子を構成する薄膜梁を成形するには、例えば図7に示すように、まず、ガラス基板1の絶縁膜2上に端部が犠牲層3を成膜してパターニングし、その後、端部がテーパ状にされた犠牲層3の上部に薄膜梁4となる薄膜を成膜し、最後に犠牲層3を除去する。
このようにすると、ガラス基板1側に固定された固定部4aからテーパ角を有して立設された支持部4bによって両端部が支持され、ガラス基板1に対して隙間をあけて配設された可動部4cを有する薄膜梁4が成形される。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−305441号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような薄膜梁4を形成する場合には、通常、ウェットエッチング法で犠牲層が形成されるが、通常のウェットエッチング法では、犠牲層のパターニング時に用いるエッチング液の容量比は、燐酸:酢酸:硝酸=16:2:1程度に調製されている。このようなエッチング液では、エッチングが等方的に行われるため、犠牲層3の端部におけるテーパ角が60゜を上回る角度となっていた。このため、犠牲層3に沿って形成される薄膜梁4は、その端部における傾斜角(図2の角度α)も同様に60゜を上回る角度にされていた。薄膜梁4の端部の傾斜角が大きくなると、薄膜梁4の成膜時における膜厚が薄くなり、機械的強度が乏しくなる。その上、この端部は薄膜梁4の駆動動作時に繰り返し変形を受ける部位であるため、図8に示すように、薄膜梁4の端部が製造時或いは駆動動作時に破損してしまうことがあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、製造時或いは駆動動作時において破損等の不具合が生じることのない薄膜梁及びその成形方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の薄膜梁は、基板上にパターニングされた犠牲層と該犠牲層を跨ぐ薄膜層とをこの順で積層した後に前記犠牲層を除去して形成された可撓性を有する薄膜梁であって、前記薄膜梁が、前記基板に固定された固定部と、該固定部から立設された一対の支持部と、該支持部によって両端が支持されて前記基板との間に所定の隙間をあけて支持された可動部とを有し、前記固定部と前記支持部との連結点及び前記可動部と前記支持部との連結点をそれぞれ結んだ直線と、前記基板の表面とのなす角度が60°以下とされていることを特徴とする。
【0007】
この薄膜梁によれば、固定部と支持部との連結点及び可動部と支持部との連結点をそれぞれ結ぶ直線と、基板の表面とのなす角度を、成膜時に十分な厚みを得ることができる60°以下としたので、製造時或いは可動時における支持部の破損のない十分な強度を備え、信頼性の高い薄膜梁とすることができる。
【0008】
請求項2記載の薄膜梁の成形方法は、請求項1記載の薄膜梁の成形方法であって、アルミニウム成膜からなる前記犠牲層のパターニングを、燐酸、酢酸及び硝酸を含有したエッチング液を用いたエッチング除去により行い、前記エッチング液の容量比を燐酸:酢酸:硝酸=16:2:Xとしたときに硝酸の容量比Xを8<X<16の範囲で調製し、前記犠牲層の端面の基板面からの傾斜角を60°以下に制御することを特徴とする。
【0009】
この薄膜梁の成形方法によれば、犠牲層のパターニング時に用いるエッチング液の容量比を燐酸:酢酸:硝酸=16:2:Xとしたときに硝酸の容量比Xを8<X<16の範囲で調製することにより、極めて容易に、犠牲層の端面における傾斜角度を60°以下に制御することができる。これにより、薄膜梁の端部における成膜の膜厚を十分に確保することができ、製造時或いは可動時における支持部の破損のない、信頼性の高い薄膜梁を成形することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る薄膜梁及びその成形方法について図面を参照して説明する。
図1は薄膜梁を備えた光変調素子の構造を示す斜視図である。
この光変調素子100は、上面に絶縁膜11を有するガラス基板13上に、可撓性を有する薄膜梁15が配設された構造とされている。ガラス基板13側及び薄膜梁15側には、それぞれ屈折率の異なる材料を交互に重ねた多層膜からなるハーフミラー(図示略)が設けられている。
【0011】
また、ガラス基板13及び薄膜梁15は、それぞれ薄膜の電極17を有している。そして、この光変調素子100では、電極17間に電圧が印加されると、静電気力が生じ、薄膜梁15がガラス基板13側へ引き寄せられてハーフミラー同士が密着して所定の波長の光が透過し、電極17間への電圧の印加がなくなると、静電気力がなくなり、薄膜梁15がガラス基板13から離間して遮光状態となる。
【0012】
図2は薄膜梁15の形状を説明する概略断面図である。
この薄膜梁15は、ガラス基板13側に固定された固定部15aと、固定部15aからガラス基板13に対して傾斜角を有して立設された一対の支持部15bと、これら支持部15bに両端部が支持されてガラス基板13との間に所定の隙間を空けて配設された可動部15cとを有している。
また、薄膜梁15は、固定部15aと支持部15bとの連結点をAとし、可動部15cと支持部15bとの連結点をBとした場合に、これら連結点A、Bを結ぶ直線Lとガラス基板13の表面とのなす角度αが60°以下とされている。
【0013】
ここで、この光変調素子100の作製プロセスの一例を図3に示した。以下、図3に基づいて光変調素子100の作製プロセスを順次説明する。
【0014】
(1)透明導電膜の成膜
透明なガラス基板13上にスパッタ等の真空成膜法により透明導電膜ITOを厚さ0.15μmとして成膜する。
【0015】
(2)透明導電膜のパターニング
成膜された透明導電膜上にフォトレジストを塗布し、フォトマスクのパターンをこのフォトレジストに露光転写する。そして、パターン部以外のフォトレジストを除去してエッチング処理(ウェットエッチング等)し、その後、フォトレジストを除去することで帯状の透明導電膜からなる固定側の電極17を形成する。
【0016】
(3)絶縁膜の成膜
帯状の電極17が形成されたガラス基板13上に、SiO2等の絶縁膜11を厚さ0.5μmにスパッタにより成膜する。
【0017】
(4)犠牲層の成膜とパターニング
絶縁膜11上にフォトレジストを形成してパターニングすることで、薄膜梁15の空隙部分となる犠牲層21を厚さ0.4μmで成膜する。この犠牲層21は、固定側の電極17に対応して帯状に形成する。
【0018】
(5)薄膜梁の成膜
絶縁膜11と犠牲層21との上面に薄膜梁15となるSiNxの薄膜層を、例えば、プラズマCVD成膜法により厚さ0.4μmで成膜する。
【0019】
(6)透明導電膜の成膜
薄膜梁15となるSiNxの薄膜層の上面に、透明導電膜ITOを厚さ0.15μmで真空成膜法により成膜する。
【0020】
(7)薄膜梁のパターニング
成膜された透明導電膜ITOをウェットエッチング処理してパターンニングし、SiNxの薄膜層をCF4ガスによってドライエッチング処理してパターニングし、さらに、パターニングに用いたフォトレジストをO2ガスによってドライエッチング処理して除去し、固定側の電極17及び犠牲層21に対して直交方向に帯状の薄膜梁15を形成する。これにより、上部に可動側の電極17が設けられた薄膜梁15が形成される。
【0021】
(8)犠牲層除去
薄膜梁15と絶縁膜11との間の犠牲層21をエッチング処理(ドライエッチング又はウェットエッチング)により除去し、その後、リンスして二酸化炭素(CO2)によって超臨界洗浄乾燥を行う。
【0022】
このようにすると、ガラス基板13側に固定された固定部15aから立設された支持部15bによって両端部が支持され、ガラス基板13に対して隙間を空けて配設された可動部15cを有する薄膜梁15が成形される。
【0023】
ここで、薄膜梁15を成形するためのパターニングした犠牲層21は、その端部におけるガラス基板13とのテーパ角が大きいと、この犠牲層21の端部におけるSiNxの薄膜層の膜厚が薄くなり、製造時或いは薄膜梁15の駆動動作時に、膜の強度不足のために支持部15bが破損してしまうことがある。
【0024】
このため、本実施形態では、上記(4)における犠牲層21の成膜とパターニングを次のように行う。
図4は犠牲層21の成膜とパターニングの工程を示す工程毎の断面図である。
【0025】
図4(a)に示すように、まず、ガラス基板13の絶縁膜11上に、アルミニウム薄膜からなる犠牲層21を全面に堆積させる。堆積方法としては、スパッタ法や電子ビーム蒸着法などが用いられる。
【0026】
図4(b)に示すように、通常のフォトリソグラフィー法を用いて、アルミニウム薄膜からなる犠牲層21の上に所望のレジストパターン23を形成する。
【0027】
図4(c)に示すように、犠牲層21のエッチングを行う。
ここで、本実施形態は、エッチング液として、燐酸、酢酸、及び硝酸を含有したエッチング液を用い、エッチング液の各成分の容量比を燐酸:酢酸:硝酸=16:2:Xとしたときに、硝酸の容量比Xを1〜16(好ましくは8〜16)として、犠牲層21の端面21aにおけるテーパ角を60°以下に制御する。
【0028】
具体的には、エッチングに用いるエッチング液としては、濃度85%の燐酸(H3PO4)、酢酸(CH3COOH)、濃度61%の硝酸(HNO3)、水(H2O)をそれぞれ、16:2:4:1に容量混合したものを用い、このエッチング液によって40℃で犠牲層21をパターニングする。
【0029】
図4(d)に示すように、エッチング終了後に、レジストパターン23を除去すると、端面21aのテーパ角θが60°以下とされた犠牲層21が形成される。
【0030】
そして、上記のように犠牲層21を形成すると、犠牲層21の端面21aのテーパ角θが比較的なだらかな60°以下とすることができるので、この犠牲層21の上部から薄膜梁15となるSiNxの薄膜層を成膜した際に、犠牲層21の端面21aの部分にも確実かつ十分な厚みで成膜が施され、機械的強度の高い薄膜梁15の構造にできる。
このような犠牲層21によって成形された薄膜梁15は、固定部15aと支持部15bとの連結点Aと、可動部15cと支持部15bとの連結点Bとを結ぶ直線Lとガラス基板13の表面とのなす傾斜角αが、犠牲層21のテーパ角θに対応して60°以下とされる。
【0031】
このように、上記実施形態に係る薄膜梁15によれば、ガラス基板13に固定された固定部15aと支持部15bとの連結点A及び可動部15cと支持部15bとの連結点Bをそれぞれ結ぶ直線Lと、ガラス基板13の表面とのなす傾斜角αを60°以下としたので、製造時或いは駆動動作時における支持部15bの破損の生じない十分な強度を備えた、信頼性の高い薄膜梁15とすることができ、これにより、この薄膜梁15を備えた光変調素子100の品質を向上させることができる。
【0032】
また、本実施形態に係る薄膜梁の成形方法によれば、犠牲層21のパターニング時に用いるエッチング液の容量比を燐酸:酢酸:硝酸=16:2:Xとしたときに硝酸の容量比Xを8<X<16の範囲で調整することにより、極めて容易に、犠牲層21の端面21aにおけるテーパ角θを60°以下に制御することができる。これにより、犠牲層21の端面21aに対する膜厚を十分に確保することができ、製造時或いは可動時における支持部15bの破損のない、信頼性の高い薄膜梁15を成形することができる。
【0033】
なお、上記の例では、H3PO4(85%):CH3COOH:HNO3(61%):H2O=16:2:4:1としたエッチング液を用いたが、使用可能なエッチング液としては、この混合比のものに限定されない。また、上記の例では、エッチング液を用いて犠牲層21の端面21aのテーパ角θを60°以下としたが、ドライエッチングによって犠牲層21の端面21aのテーパ角θを60°以下としても良く、この場合は、等方的なプラズマ下にて、エッチングガスのガス圧を調整することによりテーパ角θの制御を行う。
【0034】
図5は他のエッチング液を用いたときの犠牲層21の端面形状を示したものである。
この犠牲層21は、その端面21aが、一段目のテーパと二段目のテーパとを有し、それぞれが異なる角度の二段階のテーパ角θ1、θ2として形成されている。このような端面形状の犠牲層21を形成する際には、例えば85%H3PO4(1600ml)、CH3COOH(200ml)、HNO3(200ml)から構成されるベース液に、HNO3を300ml追加して混合したエッチング液を用いる。
【0035】
このようなエッチング液を用いることにより、レジストパターン23の密着性が硝酸の濃度に依存する犠牲層21の端面におけるテーパ角θを、約10゜〜60°の範囲で制御することができる。
さらに、硝酸の混合量を増加させることにより、二段のテーパ角θ1、θ2が形成される傾向をより強めることができる。
【0036】
つまり、硝酸の混合量が増加すると、犠牲層21へのレジストパターン23の密着性が悪くなってレジストパターン23が反り返ることにより、ガラス基板13の界面とレジストパターン23の界面のエッチング速度に大きな差が生じて二段のテーパ角θ1、θ2が生じやすくなることとなる。
【0037】
【実施例】
ここで、容量比が燐酸:酢酸:硝酸=16:2:10のエッチング液及び燐酸:酢酸:硝酸=16:2:16のエッチング液を用い、アルミニウム成膜からなる犠牲層21をエッチングし、犠牲層21の端面21aにおけるテーパ角θの大きさを測定した。
【0038】
なお、測定を行った犠牲層21であるアルミニウム成膜としては、常温で真空成膜したものと、240℃で真空成膜したものを用いた。また、エッチング液の温度を、常温及び40℃としてそれぞれエッチングを行った。
上記の条件による犠牲層21の端面21aにおけるテーパ角θの測定結果を表1及び図6に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
(アルミニウムを常温で成膜した場合)
エッチング液が常温の場合は、硝酸の容量比が10のとき、テーパ角θが30.1°となり、硝酸の容量比が16のとき、テーパ角θが29.7°となった。
また、エッチング液を40℃とした場合は、硝酸の容量比が10のとき、テーパ角θが20.1°となり、硝酸の容量比が16のとき、テーパ角θが13.6°となった。
【0041】
(アルミニウムを240℃で成膜した場合)
エッチング液が常温の場合は、硝酸の容量比が10のとき、テーパ角θが49.9°となり、硝酸の容量比が16のとき、テーパ角θが54.5°となった。また、エッチング液を40℃とした場合は、硝酸の容量比が16のとき、テーパ角θが8.7°となった。
【0042】
このように、従来の通常のウェットエッチング(容量比が燐酸:酢酸:硝酸=16:2:1程度のエッチング液を用いた場合)では、等法エッチングのために、犠牲層21の端面21aのテーパ角θが60を超える角度となり、この犠牲層21により形成される薄膜梁15の強度が大きく低下していたが、上記したいずれの容量比のエッチング液を用いた場合も、犠牲層21の端面21aにおけるテーパ角θが60°以下となって薄膜梁15の機械的強度が向上し、薄膜梁15の損傷が生じにくくなった。なお、容量比が燐酸:酢酸:硝酸=16:2:8のエッチング液を用いた場合も、犠牲層21の端面21aのテーパ角θが60゜以下となって、十分な機械的強度を有する薄膜梁15を形成できた。
【0043】
【発明の効果】
本発明の薄膜梁によれば、固定部と支持部との連結点及び可動部と支持部との連結点をそれぞれ結ぶ直線と、基板の表面とのなす角度を、十分な機械的強度が得られる60°以下としたので、製造時或いは駆動動作時における支持部の破損のない、信頼性の高い薄膜梁とすることができる。
また、本発明の薄膜梁の成形方法によれば、犠牲層のパターニング時に用いるエッチング液の容量比を燐酸:酢酸:硝酸=16:2:Xとしたときに硝酸の容量比Xを8<X<16の範囲で調整することにより、極めて容易に、犠牲層の端面のテーパ角を60°以下に制御することができる。これにより、薄膜梁の端部における成膜の膜厚を十分に確保することができ、製造時或いは駆動動作時における支持部の破損のない、信頼性の高い薄膜梁を成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る薄膜梁を備えた光変調素子の構造を示す斜視図である。
【図2】薄膜梁の断面形状を示す薄膜梁の断面図である。
【図3】薄膜梁を備えた光変調素子の製造工程を説明する説明図である。
【図4】薄膜梁を成形する犠牲層の形成手順を示す説明図である。
【図5】犠牲層の他の形成手順を説明する形成途中の犠牲層の断面図である。
【図6】硝酸の容量比の異なるエッチング液によりパターニングを行った犠牲層の端面のテーパ角を示すグラフである。
【図7】従来の薄膜梁の成形手順を説明する説明図である。
【図8】薄膜梁の支持部の破断状況を示す説明図である。
【符号の説明】
13 ガラス基板(基板)
15 薄膜梁
15a 固定部
15b 支持部
15c 可動部
21 犠牲層
21a 端面
A、B 連結点
L 直線
α 傾斜角
θ、θ1、θ2 テーパ角
Claims (2)
- 基板上にパターニングされた犠牲層と該犠牲層を跨ぐ薄膜層とをこの順で積層した後に前記犠牲層を除去して形成された可撓性を有する薄膜梁であって、
前記薄膜梁が、前記基板に固定された固定部と、該固定部から立設された一対の支持部と、該支持部によって両端が支持されて前記基板との間に所定の隙間をあけて支持された可動部とを有し、
前記固定部と前記支持部との連結点及び前記可動部と前記支持部との連結点をそれぞれ結んだ直線と、前記基板の表面とのなす角度が60°以下とされていることを特徴とする薄膜梁。 - 請求項1記載の薄膜梁の成形方法であって、
アルミニウム成膜からなる前記犠牲層のパターニングを、燐酸、酢酸及び硝酸を含有したエッチング液を用いたエッチング除去により行い、
前記エッチング液の容量比を燐酸:酢酸:硝酸=16:2:Xとしたときに硝酸の容量比Xを8<X<16の範囲で調製し、前記犠牲層の端面の基板面からの傾斜角を60°以下に制御することを特徴とする薄膜梁の成形方法。
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