JP2004313770A - 複数のフィルタ要素を有するエアフィルタユニット - Google Patents

Abstract

【課題】有害物質による環境の汚染に対処するため、有害物質、有毒物、悪臭物質等を、十分な吸着容量と、負荷容量を持って吸着し、同時に優れた破過挙動を示す吸着フィルタユニットを提供する。
【解決手段】粒状の、特に球状の活性炭５を吸着材料として含有する第一フィルタ要素２を少なくとも含有し、そして、粒状の、特に球状の活性炭５及び活性炭繊維６の組合わせを吸着材料として含有する第二フィルタ要素３を少なくとも含有するフィルタユニット１を、換気プラント、換気システム、空気調和システムなどに使用する。
【効果】本フィルタユニットは、吸着特性に優れ、広い範囲の有害物質、有毒物質、悪臭物質を吸着させるのに適し、清浄な空気の環境を達成することができる。
【選択図】図１

Description

発明の詳細な説明

発明の背景
１．発明の分野
本発明は、複数の吸着フィルタ要素（すなわち少なくとも二つのフィルタ要素）を有するフィルタユニット、特に空気清浄フィルタユニットに関し、そのフィルタ要素は各々吸着材料として活性炭を含有している。

また本発明は、この空気清浄フィルタユニットの用途に関し、特に極めて清浄な空気を生成する用途及び換気プラント、換気システム又は空気調和システムなどの空気流から気体物質、悪臭物質及び有毒物質を除く用途に関する。

最後に本発明は、上記フィルタユニットを有するプラント又はシステム、特に空気を清浄にするか又は空気を生成するかまたは空気を調和させるための換気プラント、換気システム又は空気調和システムに関する。

２．関連技術の説明
有害物質による環境の汚染は、環境意識が高まりかつ高感度の分析法が利用可能になったため、ますます社会的に注目されている。

さらに、工業化が進んで大気が広範囲にわたって汚染されるに至った。例えば発電所、自動車のエンジン、加熱システムなどのあらゆるタイプの燃焼プロセスは、望ましくない燃焼生成物、特に酸化炭素化合物、窒素酸化物類、不完全燃焼炭化水素などを生成する。

その他の有害物質源としては、有害物質を含有する建築材料（例えばＰＣＢ類などを含有する建築材料）を内蔵する汚染された部屋がある。また有毒物質は、複数の家具、壁塗料、カーペット接着剤などから放出されることがある。

加えて、現在、ビルディングの空気調和システム、地下鉄の換気システムなどに有毒物質を計画的に導入しようとするテロリストの攻撃の危険が高まっている。

したがって、全体として、非常に種類の多い空気汚染物質、特に有害物質もしくは厄介な健康に良くない物質、有毒物質又は悪臭物質を空気から除くことが強く要望されている。このような物質を除くのに、現在の多くの方法を利用できる。ここで挙げることができる例としては、機械的濾過法があるが、この方法は吸収法と吸着法のみならず有害物質又は厄介な物質の反応又は分解を含んでいる。

吸着法は吸着作用で作動するフィルタユニットを使用する。この場合の問題点は、現在のフィルタユニットの吸着容量が不十分であることが多いため比較的速く消耗するのでフィルタ材料を取り替えねばならないことである。さらに現在の吸着フィルタユニットは「自発性（ｓｐｏｎｔａｎｅｉｔｙ）」又は吸着の動力学が不十分なので破過を起こすことがある。加えて、現在の吸着フィルタユニットは吸着効率が不十分であるので、非常に種類の多い有害物質や有毒物質を吸着するのに普遍的に適しているわけではない。

発明の要約
したがって、本発明の目的は、特に空気を清浄にするのに適したフィルタユニットを入手できるようにすることである。

本発明のさらなる目的は、現在の上記問題点を少なくとも一部回避する、空気を清浄にしかつ調和させるフィルタユニットを利用できるようにすることである。特にこの種のフィルタユニットは、吸着すべき有害物質、有毒物質及び悪臭物質に対し十分な吸着容量又は負荷容量をもっていなければならず同時に優れた破過挙動を示さねばならない。

かくして本発明の目的は、複数の吸着フィルタ要素（すなわち少なくとも二つのフィルタ要素）を備え、それらのフィルタ要素の各々が活性炭に基づいた吸着剤を吸着材料として含有する、特に空気を清浄にするのに使用するフィルタユニットであって、
（ｉ）粒状の、特に球状の活性炭を吸着材料として含有する第一フィルタ要素を少なくとも含有し、そして
（ｉｉ）一方が粒状の、特に球状の活性炭で他方が活性炭繊維の組合わせを吸着材料として含有する第二フィルタ要素を少なくとも含有する、
フィルタユニットである。

上記第二フィルタ要素は好ましくは上記第一フィルタ要素の下流に配置される。このことは、清浄にすべき空気流が最初に第一フィルタ要素を通過するように、第一フィルタ要素と第二フィルタ要素が、フィルタ要素中に又はフィルタ要素の方へ流れる空気の流動方向へ順に配置されていることを意味する。

本発明のフィルタユニットの高い吸着効率と吸着容量及び同時に優れた破過挙動を得るために、第一フィルタ要素の粒状活性炭の平均粒径を第二フィルタ要素の粒状活性炭の平均粒径より、一般に少なくとも０．０５ｍｍ、好ましくは少なくとも０．１ｍｍ、より好ましくは少なくとも０．１５ｍｍ、さらにより好ましくは少なくとも０．２ｍｍ、最も好ましくは少なくとも０．２５ｍｍ大きくすることが有利である。
必要に応じて、本発明のフィルタユニットの吸着効率をさらに高めるため、本発明の一実施態様によれば、粒状の、特に球状の活性炭を吸着材料として含有する少なくとも一つの追加のフィルタ要素を、第一フィルタ要素と第二フィルタ要素の間に配置又は設置することができる。本発明のこの特別の実施態様を、図面に例示する実施態様を参照して以下により詳細に説明する。

本発明のさらなる利点、特性、側面及び特徴を図面に例示する好ましい実施態様を参照して以下に説明する。

本発明の他の目的と特徴は、添付図面とともに検討される以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかし図面は本発明を例示することだけを目的とし本発明の限界を規定するものではなくその規定については本願の特許請求の範囲を参照すべきであると解すべきである。さらに図面は、必ずしも定尺で画かれているわけではなく、特にことわらないかぎり本願に記載の構造と手順を概念的に例示することだけを目的としていると解すべきである。
図面の簡単な記述
図１は本発明のフィルタユニットの概略図である。
図２は本発明のフィルタユニットを使用する空気清浄システムの概略図である。

現在好ましい実施態様の詳細な説明
図１は複数の吸着フィルタ要素２，３及び４を備えたフィルタユニット１を示し、各フィルタ要素は活性炭に基づいた吸着剤を吸着材料として含有し、したがってフィルタユニット１は、
（ｉ）粒状の、特に球状の活性炭５を吸着材料として含有する第一フィルタ要素２を少なくとも含有し、
（ｉｉ）粒状の、特に球状の活性炭５を吸着材料として含有する追加のフィルタ要素４を少なくとも一つ含有し、そして
（ｉｉｉ）粒状の、特に球状の活性炭５及び活性炭繊維６の組合わせを吸着材料として含有する第二フィルタ要素３を少なくとも含有する。

フィルタ要素２，３及び４は、フィルタユニット１中に下流方向に上記順序で続けて配置されている。換言すれば、フィルタ要素２，３及び４は、フィルタユニット１中に又はフィルタユニット１の方に流れる空気の方向Ｒへ上記順序で続けて、特に直接連続して連結されている。

フィルタ要素２，３及び４に対し、固体粒子、特にダスト粒子を分離するための分離フィルタ要素１０が先行して配置されている。換言すれば、分離フィルタ要素１０はフィルタ要素２，３及び４の上流に配置されている。分離フィルタ要素１０は、生地材料、特に織布、不織布、たて編生地、層状生地、マット生地、フリース、フェルト又は他の結合生地であることができる。分離フィルタ要素１０は、一般に固体粒子を単に機械的に分離し、それに続くフィルタ要素２，３及び４が固体粒子で詰まるのを防止する。分離フィルタ要素１０は一般に不活性であり、すなわち吸着特性を全く持っていない。

第一フィルタ要素２及び／又は第一フィルタ要素２と第二フィルタ要素３の間に配置されている追加のフィルタ要素４の粒状活性炭５は、例えばルースフィル（ｌｏｏｓｅ ｆｉｌｌ）の形態で存在させることができる。このルースフィルは例えば適切な器具（例えばウエブ又は枠）によって一緒に保持させることができる。

しかし、本発明によれば、第一フィルタ要素２及び／又は第一フィルタ要素２と第二フィルタ要素３の間に配置されている追加のフィルタ要素４の粒状活性炭５は、好ましくは特に接着によって三次元の通気性支持構造体９の中に固定される。三次元の支持構造体９として使用できる適切な材料の例は、粒状活性炭５を充填される連続気泡発泡プラスチック、好ましくは網状ポリウレタン（ＰＵ）フォームである。専門家は接着自体にはすでに精通している。この目的のために使用する適切な接着剤の例は水分架橋性及び／又は熱架橋性の、特に反応性（ホットメルト）接着剤であり、ポリウレタンに基づいた接着剤が好ましい。第一に上記フォームに接着剤を含浸させ、次に過剰の接着剤を絞り出し、次いでそのフォームに粒状活性炭５を充填し、最後に水分処理及び／又は熱処理を実施して接着剤を架橋させる。できれば接着剤のタイプと量は、接着を行ったのち粒状活性炭５の表面の大部分が吸着すべき有害物質、有毒物質及び悪臭物質に自由に接触できるように、すなわち接着剤で覆われないように計画すべきであり、活性炭５の表面の特に少なくとも４０％、好ましくは少なくとも５０％、より好ましくは少なくとも６０％、最も好ましくは少なくとも７０％以上は自由に接触可能でなければならない。しかし加熱すると接着剤になるフォーム材料を使用することも可能であり、したがってその実施態様では追加の接着剤は全く不要である。気泡プラスチックに粒状活性炭５を最適に充填するには、連続気泡発泡プラスチックの平均気泡直径が、第一フィルタ要素２及び／又は第一フィルタ要素２と第二フィルタ要素３の間に配置された追加のフィルタ要素４の粒状活性炭５の平均粒径の特に少なくとも２倍であり、好ましくは少なくとも２．５倍であり、特に少なくとも３倍であると有利である。

本発明のフィルタユニットの特に優れた吸着効率は、第一フィルタ要素２の粒状活性炭５の平均粒径が、第一フィルタ要素２と第二フィルタ要素３の間に配置された追加のフィルタ要素４の粒状活性炭５の平均粒径より大きいと、好ましくは少なくとも０．０５ｍｍ大きいと、より好ましくは少なくとも０．１ｍｍ大きいと、さらに一層好ましくは少なくとも０．１５ｍｍ大きいと、特に好ましくは少なくとも０．２ｍｍ大きいと、最も好ましくは少なくとも０．２５ｍｍ大きいと達成される。

より粗大な粒子の活性炭を含有するフィルタ要素２を、より微細な粒子の活性炭を含有するフィルタ要素４の前に（流入する空気の流れの方向に関して）配置することによって得られる利点は特に次の通りである。すなわち、より粗大な粒子の活性炭を含有するフィルタ要素２はより大きい充填容量又は吸着容量を有するので吸着すべき物質の大部分（約９０〜９５％）を捕獲するが、これとは対照的に、より微細な粒子の活性炭を含有するフィルタ要素４は充填容量又は吸着容量が低いけれども、より優れた動力学を示しその結果第一フィルタ要素２を破過する可能性がある物質を直ちに吸着することができる。吸着すべき物質は第一フィルタ要素２によってすでに大部分が吸着されているため破過する物質の量は比較的少ないので、また、続くフィルタ要素４の容量は、破過する比較的少量の物質を吸着するのに全く十分な容量であるので、続くフィルタ要素４は第一フィルタ要素２を破過する物質を長期間にわたって吸着するフィルタ要素としての機能を維持することができる。

第一フィルタ要素２の粒状活性炭５の平均粒径は広い範囲内で変えることができる。第一フィルタ要素２の粒状活性炭５の平均粒径は、一般に０．５〜１ｍｍの範囲内であり、そして好ましくは少なくとも０．５ｍｍであり、より好ましくは少なくとも０．６ｍｍであり、最も好ましくは少なくとも０．６５ｍｍである。

第一フィルタ要素２と第二フィルタ要素３の間に配置された追加のフィルタ要素４の粒状活性炭５の平均粒径は同様に広い範囲内で変えることができる。フィルタ要素４の粒状活性炭５の平均粒径は、一般に０．１〜０．６ｍｍの範囲内であり、好ましくは０．２〜０．６ｍｍであり、より好ましくは０．３〜０．６ｍｍである。

第二フィルタ要素３の粒状活性炭５の平均粒径は同様に広い範囲内で変えることができる。第二フィルタ要素３の粒状活性炭５の平均粒径は一般に０．０５〜１ｍｍの範囲内であり、好ましくは０．１〜０．８ｍｍであり、より好ましくは０．１〜０．６ｍｍである。

本発明で使用される粒状活性炭５は、顆粒形、好ましくは球形の適切な有機出発材料を炭化し次いで活性化することによって製造することができる。適切なポリマーの例はジビニルベンゼンで架橋されたポリスチレンである。この材料は例えばイオン交換体（例えばカチオン交換体）又はこのようなイオン交換体の前駆体の形態で存在させることができる。またそれらの出発材料は例えば多孔質の、特にマクロ細孔を有する又はゲル状のポリマーのペレット、球状物又は顆粒からなることができる。さらにそれらの出発材料は例えばピッチのペレット、球状物又は顆粒からなっていてもよい。専門家は粒状又は球状の活性炭の製造法に精通している。読者は例えば米国特許第４，５１０，１９３号及び米国２００３／００９２５６０号（これらの内容は本願に援用するものである）並びにＨ．ｖ．Ｋｉｅｎｌｅ及びＥ．Ｂａｅｄｅｒ著「Ａｋｔｉｖｋｏｈｌｅ ｕｎｄ ｉｈｒｅ ｉｎｄｕｓｔｒｉｅｌｌｅ Ａｎｗｅｎｄｕｎｇ」（Ａｃｔｉｖａｔｅｄ Ｃａｒｂｏｎ ａｎｄ Ｉｔｓ Ｉｎｄｕｓｔｒｉａｌ Ｕｓｅ），Ｆｅｒｄｉｎａｎｄ Ｅｎｋｅ Ｖｅｒｌａｇ，Ｓｔｕｔｔｇａｒｔ，１９８０を参照することができる。

本発明で使用される活性炭繊維６は、適切な有機出発繊維、特にセルロース繊維、セルロース誘導体に基づいた繊維、フェノール樹脂繊維、ポリビニルアルコール繊維、ピッチ繊維、アクリル樹脂繊維、ポリアクリロニトリル繊維、芳香族ポリアミド繊維、ホルムアルデヒド樹脂繊維、ジビニルベンゼン架橋ポリスチレン繊維、リグニン繊維、綿繊維及び大麻繊維を炭化し続いて活性化することによって製造することができる。本発明によれば、セルロース及びセルロース誘導体に基づいて炭化され活性化された繊維を使用することが好ましい。専門家はこれらのタイプの活性炭繊維の製造については熟知している。このことについて読者は例えば米国特許第３，８４９，３３２号、米国２００３／００３２５５６号及び米国特許第６，１２０，８４１号（これらの内容全体は本願に援用するものである）並びにドイツ特許願公開第１９５ １９ ８６９Ａ１号及びドイツ特許第３３ ３９ ７５６Ｃ２号を参照することができる。本発明にとって特に好ましい繊維は、米国特許第６，１２０，８４１号に記載の方法によって得られる。この方法によれば、セルロースに基づいた炭素前駆体材料（例えばレーヨン、フロスシルク、溶媒和セルロース類、綿、茎繊維類）由来の繊維構造体に、セルロースの脱水に対して促進剤の作用を有する少なくとも一種の無機成分（例えばリン酸、硫酸、塩酸など）を含有する組成物を含浸させ、次にこのようにして含浸された繊維構造体は、そのセルロース前駆体をほとんど炭素に変換させるのに十分な温度で熱処理され、その熱処理は、不活性雰囲気又はある程度の酸化雰囲気で実施され、温度が平均速度１〜１５℃／分で上昇する工程と次の温度を３５０〜５００℃に維持する工程とこれに続いて含浸組成物の残留相及びセルロース材料の分解生成物を洗浄によって除去する工程を含んでいる。本発明で使用される活性炭繊維６は好ましくは活性炭繊維の生地材料の形態であり、例えば織布、不織布、たて編生地、層状生地、マット生地、フリース、フェルト又は他の結合生地である。好ましい材料は、フリース、フェルト、層状生地（例えば多方向層状生地）などの不織材料及び織布である。本発明で好ましい不織材料は、例えば活性炭繊維（炭素繊維）と熱可塑性で粘着性のバイコンポネントファイバとで活性炭繊維構造体を作る方法で製造されるが、この場合熱可塑性バイコンポネントファイバの含量は前記活性炭繊維構造体に対して５０重量％を超えてはならない。本発明で使用できる活性炭繊維生地材料は、重量が一般に１０〜２００ｇ／ｍ^２であり、好ましくは１０〜１５０ｇ／ｍ^２であり、より好ましくは１０〜１２０ｇ／ｍ^２であり、さらに一層好ましくは２０〜１００ｇ／ｍ^２であり、最も好ましくは２５〜８０ｇ／ｍ^２である。

本発明で使用される活性炭繊維６は、平均繊維直径が特に１〜２５μｍの範囲内にあり、好ましくは２．５〜２０μｍであり、より好ましくは５〜１５μｍである。それら繊維の長さ−比重量（タイター）は一般に１〜１０ｄｔｅｘの範囲内であり、そして好ましくは１〜５ｄｔｅｘである。

特に優れた吸着効率を達成するには、第二フィルタ要素３の粒状活性炭５の平均粒径を活性炭繊維６の平均繊維直径の少なくとも３倍にすることが有利であり、少なくとも４倍にすることが好ましく、少なくとも５倍にすることがより好ましく、少なくとも６倍にすることが最も好ましい。

第二フィルタ要素３の中の粒状活性炭５及び活性炭繊維６は、分かれているが互いに隣接しているか又は特に接着によって互いに永久的に接合されている層中に一般的に存在している。このように、粒状活性炭５の入っている層と活性炭繊維６の入っている層は複合体を形成することができる。

本発明の特定の実施態様によれば、第二フィルタ要素３の中の粒状活性炭５及び／又は活性炭繊維６は特に接着によって通気性の、好ましくは生地の支持体７及び／又は８にそれぞれ固定することができる。適切な生地支持体７及び／又は８は例えば織布、不織布、たて編生地、層状生地、マット生地、フリース、フェルト又は他の結合生地などの布地である。生地支持体７及び／又は８は、重量が一般に５０〜３００ｇ／ｍ^２であり、好ましくは７５〜２５０ｇ／ｍ^２であり、より好ましくは９０〜１７５ｇ／ｍ^２である。

本発明によれば、比表面積が比較的大きい活性炭を使用することが好ましい。一般に粒状活性炭５と活性炭繊維６は、比表面積（ＢＥＴ法）が少なくとも８００ｍ^２／ｇであり、好ましくは少なくとも９００ｍ^２／ｇであり、より好ましくは８００〜１，５００ｍ^２／ｇの範囲内である。

吸着材料、すなわち粒状活性炭５及び／又は活性炭繊維６は、その用途によって含浸を行うことが有利であるか又は必要である。例えば、用途並びに特に吸着すべき有毒物質、有害物質及び／又は悪臭物質のタイプと量によって、異なるタイプの含浸を行うことが適切であろう。含浸の例としては、好ましくは銅、カドミウム、銀、白金、パラジウム、亜鉛及び水銀並びにそれらの化合物からなる群から選択される金属及び／又は金属化合物に基づいた含浸及び／又は特にリン酸、炭酸カリウム、トリメタノールアミン、２−アミノ−１，３−プロパンジオール及び硫黄もしくは銅の塩類に基づいた酸性もしくは塩基性の含浸がある。含浸剤の量は用途にしたがって適応させることができる。一般に一種又は複数種の含浸剤の量は、含浸される活性炭材料に対して０．０１〜１５重量％、好ましくは０．０５〜１２重量％、そしてより好ましくは５〜１２重量％である。活性炭の含浸は現在の技術水準からよく知られている。より詳細に知りたい場合、読者は、例えば先に挙げた従来技術すなわちＨ．ｖ．Ｋｉｅｎｌｅ ａｎｄ Ｅ．Ｂａｅｄｅｒ，Ａｋｔｉｖｋｏｈｌｅ ｕｎｄ ｉｈｒｅ ｉｎｄｕｓｔｒｉｅｌｌｅ Ａｎｗｅｎｄｕｎｇ［Ａｃｔｉｖａｔｅｄ Ｃａｒｂｏｎ ａｎｄ Ｉｔｓ Ｉｎｄｕｓｔｒｉａｌ Ｕｓｅ］，Ｆｅｒｄｉｎａｎｄ Ｅｎｋｅ Ｖｅｒｌａｇ，Ｓｔｕｔｔｇａｒｔ，１９８０並びにドイツ公開特許第１９５ １９ ８６９Ａ１号、同第４４ ３２ ８３４Ａ１号及び同第４４ ４７ ８４４Ａ１号を参照することができる。

用途によっては、フィルタ要素２，３及び／又は４のいくつか又はすべての後に、特に第一フィルタ要素２の後に、吸着すべき物質に敏感な測定装置（例えばセンサ又はプローブ）を設置して破過を表示又は検出できることが有利である。このようにして、フィルタ要素２，３及び／又は４のうち１又は２以上の容量が消耗されたかどうかそして消耗したフィルタ要素２，３及び／又は４を取り替える必要があるかどうかを簡単な方法で確認することができる。このことは、第一フィルタ要素２に対して特に重要である。なぜならば、この第一フィルタ要素２は吸着すべき物質の最大部分を吸着するフィルタ要素であるので、この特定のフィルタ要素の容量が消耗されると、続くフィルタ要素が過負荷になるか又はそれらフィルタ要素の容量が非常に速く消耗されるからである。

本発明のフィルタユニットは、吸着効率に優れ、特に吸着すべき有害物質、有毒物質及び悪臭物質に対する吸着容量又は負荷容量が特に高いことと同時に破過の挙動に優れていること（吸着すべき有害物質、有毒物質及び悪臭物質が透過しないこと）が特徴である。

本発明のフィルタユニットは吸着特性が比較的非特異的なので、いずれの有害物質、有毒物質及び悪臭物質を吸着させるのにも適しているから普遍的に使用できる。

加えて、本発明のフィルタユニットは再生に優れているという利点がありその結果再生利用を容易に行うことができる。

本発明のさらなる目的は、本発明のフィルタユニットを使用して、空気を清浄にし、特に極めて清浄な空気を生成し及び／又は空気流からすべてのタイプの気体物質、悪臭物質及び／又は有毒物質を除くことである。このことについては、本発明のフィルタユニットは清浄にすべき空気が通過するように設計される。

例えば本発明のフィルタユニットは、特に閉鎖環境、例えばビルディング又は自動車、鉄道車両、あらゆるタイプの輸送手段などの車両の内部のための換気プラント、換気システム又は空気調和システムに使用できる。

このことについて本発明のフィルタユニットは、システムに永久的に接続するか又は必要なときのみ特に気体物質、悪臭物質及び／又は有毒物質が清浄にすべき空気流中に存在しているか又は現れれたときだけいわばバイパスによって接続してもよい。後者の場合、本発明のフィルタユニットの吸着効率に無駄に負担がかかったり又は過度に負担がかかることなくより長い実用寿命を達成できるという利点がある。

最後に、本発明のもう一つの目的は、本発明のフィルタユニットを含有する、空気を清浄にし及び／又は空気を生成しもしくは調和させるプラント又はシステム、特に換気プラント、換気システム又は空気調和システムである。このタイプのプラント又はシステム１１を図２に概略的に示す。

個々の当業者は、本明細書を読めば本発明の範囲を超えずに、本発明のさらなる利点並びにさらなる改善、改造及び変形を直ちに認識し理解できる。

したがって本発明の好ましい実施態様に適用される本発明の基本的な新規の特徴を示し説明し指摘してきたが、例示された装置の形態と細部及びその作動の各種の省略と置換と変更を当業者が本発明の精神から逸脱することなく実施できることは分かるであろう。例えば実質的に同じ機能を実質的に同じ方式で実行して同じ結果を達成する要素及び／又は方法ステップのすべての組合わせは本発明の範囲内にあると明確に意図するものである。

さらに本発明の開示された形態又は実施態様と関連して示された及び／又は記載された構造及び／又は要素及び／又は方法ステップは、設計変更の一般的な問題として他の開示された又は記載された又は示唆された形態に組み入れることができると認識すべきである。したがって、本発明は本願の特許請求の範囲によってのみ限定される。

本発明のフィルタユニットの概略図である。 本発明のフィルタユニットを使用する空気清浄システムの概略図である。

Claims (12)

1. 複数の吸着フィルタ要素（２，３）を備え、それらのフィルタ要素の各々が活性炭に基づいた吸着剤を吸着材料として含有する、特に空気を清浄にするのに使用するフィルタユニット（１）であって、
   （ｉ）粒状の、特に球状の活性炭（５）を吸着材料として含有する第一フィルタ要素（２）を少なくとも含有し、そして
   （ｉｉ）粒状の、特に球状の活性炭（５）及び活性炭繊維（６）の組合わせを吸着材料として含有する第二フィルタ要素（３）を少なくとも含有する、
   フィルタユニット（１）。
2. フィルタユニット（１）が少なくとも二つのフィルタ要素（２，３）を備える請求項１に記載のフィルタユニット。
3. 第二フィルタ要素（３）が第一フィルタ要素（２）の下流に配置されている請求項１又は２に記載のフィルタユニット。
4. 第一フィルタ要素（２）の粒状活性炭（５）の平均粒径が第二フィルタ要素（３）の粒状活性炭（５）の平均粒径より大きい請求項１〜３のいずれか一項に記載のフィルタユニット。
5. 粒状の、特に球状の活性炭（５）を吸着材料として含有する少なくとも一つの追加のフィルタ要素（４）が、前記第一フィルタ要素（２）と前記第二フィルタ要素（３）の間に配置されている請求項１〜４のいずれか一項に記載のフィルタユニット。
6. 前記フィルタ要素（２，３，４）に対し、固体粒子、特にダスト粒子を分離するための少なくとも一つの分離フィルタ要素（１０）が先行して配置されており、前記分離フィルタ要素（１０）は所望により生地材料であることができる請求項１〜５のいずれか一項に記載のフィルタユニット。
7. 前記活性炭繊維（６）は１〜２５μｍの平均繊維直径を有し、及び／又は前記活性炭繊維（６）は１〜１０ｄｔｅｘの長さ−比重量（タイター）を有する請求項１〜６のいずれか一項に記載のフィルタユニット。
8. 前記第二フィルタ要素（３）において、粒状活性炭（５）の平均粒径は活性炭繊維（６）の平均繊維直径の少なくとも３倍である請求項１〜７のいずれか一項に記載のフィルタユニット。
9. 複数の吸着フィルタ要素（２，３，４）を備え、それらのフィルタ要素の各々が活性炭に基づいた吸着剤を吸着材料として含有する、特に空気を清浄にするのに使用するフィルタユニット（１）であって、
   （ｉ）粒状の、特に球状の活性炭（５）を吸着材料として含有する第一フィルタ要素（２）を少なくとも含有し、
   （ｉｉ）粒状の、特に球状の活性炭（５）を吸着材料として含有する追加のフィルタ要素（４）を少なくとも一つ含有し、そして
   （ｉｉｉ）粒状の、特に球状の活性炭（５）及び活性炭繊維（６）の組合わせを吸着材料として含有する第二フィルタ要素（３）を少なくとも含有しており、
   前記フィルタ要素（２，３，４）は、前記フィルタユニット（１）中に、好ましくは下流方向にこの順序で続けて配置されている、
   フィルタユニット（１）。
10. 空気を清浄にし及び／又は空気流から気体物質、悪臭物質及び／又は有毒物質を除くための、請求項１〜９のいずれか一項に記載のフィルタユニット（１）の使用。
11. 特に閉鎖環境、例えばビルディング又は自動車、鉄道車両、あらゆるタイプの輸送手段などの車両の内部のための換気プラント、換気システム又は空気調和システムにおける請求項１〜９のいずれか一項に記載のフィルタユニット（１）の使用。
12. 空気を清浄にし及び／又は空気を生成しもしくは調和させる、フィルタユニット（１）を有するシステム（１１）、特に換気プラント、換気システム又は空気調和システムであって、前記フィルタユニット（１）が請求項１〜９のいずれか一項に従って設計されているシステム（１１）。
    

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