JP2004307696A - 過酸化物架橋性ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】電解液シール材料などとして好適に用いられる過酸化物架橋性ブチルゴム組成物であって、その気体遮蔽性および加工性を向上せしめたものを提供する。
【解決手段】ジビニルベンゼン共重合ブチルゴム100重量部当り偏平状充填剤5〜120重量部および粘度5〜1000Pa・s(45℃)の過酸化物架橋可能な反応性粘性物質0.5〜20重量部を添加した過酸化物架橋性ゴム組成物。この過酸化物架橋性ゴム組成物に、カーボンブラック1〜80重量部および白色系充填剤1〜80重量部を添加して用いると、さらに電気絶縁性にすぐれたものを得ることができる。
【解決手段】ジビニルベンゼン共重合ブチルゴム100重量部当り偏平状充填剤5〜120重量部および粘度5〜1000Pa・s(45℃)の過酸化物架橋可能な反応性粘性物質0.5〜20重量部を添加した過酸化物架橋性ゴム組成物。この過酸化物架橋性ゴム組成物に、カーボンブラック1〜80重量部および白色系充填剤1〜80重量部を添加して用いると、さらに電気絶縁性にすぐれたものを得ることができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、過酸化物架橋性ゴム組成物に関する。更に詳しくは、電解液シール材料などとして有効に用いられる過酸化物架橋性ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
イソブチレンに約0.5〜2.5モル%程度のジエン、一般にはイソプレンを架橋性基として共重合させた共重合体であるブチルゴムは、各種ゴム材料の中でも高い気体遮蔽性を示し、また電気絶縁性にもすぐれているため、このような性質が求められる各種の用途に用いられており、例えば電池、電解コンデンサまたは電気二重層コンデンサ素子を内蔵したケースの開口部に封着される封口板のゴム材料などとしての利用が図られている。
【0003】
昨今、自動車電装用途や照明用途などにおいては、電池またはコンデンサの使用環境が高温化しているため、電池またはコンデンサ自体にも耐熱性が求められている。また、電池またはコンデンサの寿命を決めるのは、電池またはコンデンサ内部の電解液がゴム封口部からガス状で蒸発することによる特性の低下が主な要因であるが、高温雰囲気下であればある程電解液の蒸発量も多くなるため、電池またはコンデンサの耐熱化および長寿命化を図る上からも、気体遮蔽性にすぐれた封口板ゴム材料が必要とされる。
【0004】
また、ブチルゴムは少量のジエン成分を有するため、通常のイオウ加硫が可能であり、この他にp−キノンジオキシム、p,p−ジベンゾイルキノンジオキシム等を用いたキノイド加硫や臭素化アルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂等を用いた樹脂加硫も行われている。しかしながら、イオウ加硫やキノイド加硫では耐圧縮永久歪特性が悪く、またイオウ加硫では遊離のイオウが、樹脂加硫では遊離のハロゲンが生じ易く、電気絶縁性を利用した電気部品として用いるには、耐腐食性の点から不向きである。
【0005】
そこで、本出願人は先にジビニルベンゼン共重合ブチルゴム100重量部当り約2〜100重量部の偏平状充填剤を添加することにより、気体遮蔽性を改善せしめた過酸化物架橋性ゴム組成物を提案している(特開2002−69254号公報)。
【0006】
しかしながら、かかるゴム組成物は、本来加工性に問題を有する過酸化物架橋ブチルゴムに多量の充填剤を添加しているため、加工性をさらに悪化させ、また過酸化物架橋性ブチルゴムにはスコーチタイムが短いという欠点があり、このことも加工性および成形性に支障をきたしていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電解液シール材料などとして好適に用いられる過酸化物架橋性ブチルゴム組成物であって、その気体遮蔽性および加工性を向上せしめたものを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の目的は、ジビニルベンゼン共重合ブチルゴム100重量部当り偏平状充填剤5〜120重量部および粘度5〜1000Pa・s(45℃)の過酸化物架橋可能な反応性粘性物質0.5〜20重量部を添加してなる過酸化物架橋性ゴム組成物によって達成される。この過酸化物架橋性ゴム組成物に、さらにカーボンブラック1〜80重量部および白色系充填剤1〜80重量部を添加して用いると、さらに電気絶縁性にすぐれたものを得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
ジビニルベンゼン共重合ブチルゴムとしては、一般にジビニルベンゼンを数モル%程度共重合させたものが用いられ、実際には市販品、例えばPolysar製品XL−10000等をそのまま使用することができる。このジビニルベンゼン共重合ブチルゴムは、気体遮蔽性および電気絶縁性にすぐれ、極性の電解液に対する膨潤性や溶解性が少なく、過酸化物架橋が可能である。
【0010】
ジビニルベンゼン共重合ブチルゴムには、それの100重量部当り5〜120重量部、好ましくは20〜90重量部の偏平状充填剤が添加され、気体の透過経路に立体障害を設け、該経路を延長することが行われる。偏平状充填剤は、その添加量を多くする程気体遮蔽性にすぐれる傾向にあるが、これ以上の割合で用いられると、配合物の粘度が高くなり、混練、成形に支障を来すようになり、成形物のゴム弾性、強度、伸びが低下する。一方、これより少ない割合で用いられると、十分な気体遮蔽性の向上が困難となる。このような架橋物のゴム物性と気体遮蔽性との兼合いの点から、このような添加割合の範囲が選択される。
【0011】
偏平状充填剤としては、例えばタルク、雲母粉(マイカ)、セリサイト、グラファイト(黒鉛)、クレー、ガラスフレーク、二硫化モリブデン、金属箔等であって、偏平面の平均粒径が10°〜102μmのオーダーのものが用いられる。
【0012】
粘度5〜1000Pa・s、好ましくは50〜700Pa・s(45℃)の過酸化物架橋可能な反応性粘性物質は、ジビニルベンゼン共重合ブチルゴム100重量部当り0.5〜20重量部、好ましくは1〜10重量部の割合で用いられる。このような反応性粘性物質としては、一般のゴムに混合可能なものであれば特に限定されないが、例えば液状ニトリルブタジエンゴム、液状ポリブタジエン、液状ポリブテン、液状EPDMなどの液状ゴムがあげられる。かかる反応性粘性物質の添加は、ゴム生地の粘度を低下させ、混練作業性を向上させるばかりではなく、発熱を抑制することにより生地のスコーチを防止し、スコーチタイムを延長する。反応性粘性物質がこれより少ない割合で用いられると、混練作業性向上あるいはスコーチタイム延長に対する効果が認められず、一方これ以上の割合で用いられると、電解液およびその蒸散ガス遮蔽性の低下につながり好ましくない。また、粘度がこれ以上のものが用いられるとゴム生地の粘度低下が不十分となり、一方これ以下の粘度のものを用いると電解液中への溶出が問題となる。
【0013】
補強剤としては、任意の粒径の各種カーボンブラックを制限なく使用できるが、カーボンブラックの添加はゴムの電気絶縁性を低下させ、高電圧仕様の電気部品等に使用した場合、ショートの原因となり得る。そこで、カーボンブラックと共にシリカ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の白色系補強剤を併用することにより、架橋ゴムの電気絶縁性の向上を図ることができ、高電圧仕様の電気部品等に使用した際に生ずるショート等を有効に防止することができる。これらは、ジビニルベンゼン共重合ゴム100重量部当りカーボンブラックが1〜80重量部、好ましくは10〜60重量部、白色系補強剤が1〜80重量部、好ましくは10〜60重量部の割合で用いられる。白色系補強剤がこれより多い割合で用いられると、混練加工性が悪くなり、成形が困難になる。
【0014】
カーボンブラックと白色系補強剤の添加量は、架橋成形物の必要特性に応じて調整され、例えば本発明にかかるゴム組成物を架橋成形して電解液用シール材料に用いる場合には、ゴム架橋成形物の硬度(デュロメータA)が60〜95、表面抵抗が108Ω以上となるように調整されて用いられる。
【0015】
過酸化物架橋に用いられる有機過酸化物は、ジビニルベンゼン共重合ブチルゴム100重量部当り0.1〜8重量部、好ましくは0.5〜5重量部の割合で用いられる。有機過酸化物の割合がこれより少ないと十分な架橋密度が得られず、一方これより多い割合で用いられると、発泡により架橋成形物が得られなかったり、架橋成形物が得られた場合であってもゴム弾性、強度が低下するようになる。
【0016】
有機過酸化物としては、一般にゴムに使用されるものであれば特に限定されないが、例えば第3ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、第3ブチルクミルパーオキサイド、1,1−ジ(第3ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ジ(第3ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、第3ブチルパーオキシベンゾエート、第3ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、n−ブチル−4,4−ジ(第3ブチルパーオキシ)バレレート等が挙げられる。架橋剤として用いられるこれらの有機過酸化物は、金属への腐食性がみられない。
【0017】
以上の各成分を必須成分とする過酸化物架橋性ゴム組成物中には、ステアリン酸、パルミチン酸、パラフィンワックス等の加工助剤、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の受酸剤、老化防止剤、滑剤等が必要に応じて適宜配合して用いられる。なお、可塑剤については、気体遮蔽性を低下させるので、無添加であることが好ましい。
【0018】
組成物の調製は、インターミックス、ミキシングロール、バンバリーミキサ、各種ニーダ等の混練機またはオープンロールを使用することによって行われ、調製された組成物は、一般に約100〜200℃で約0.5〜60分間程度加熱しながら、加硫プレス法、加圧成形法、射出成形法,圧縮成形法などによって架橋成形され、必要に応じて約100〜200℃で0.5〜24時間程度二次架橋される。
【0019】
【発明の効果】
本発明に係る過酸化物架橋性ゴム組成物は、ジビニルベンゼン共重合ブチルゴムが本来有する好ましい性質である極性溶液の気体遮蔽性、耐膨潤性、耐熱性などを電解液シール材料に必要とされる程度にまで改善したものであって、混練・加工性にすぐれた材料を提供しており、さらにカーボンブラックと白色系充填剤を併用した場合には、硬度調整作用も含めて用いられるカーボンブラックによって損われる電気絶縁性をも改善せしめており、高温環境下、高電圧化が要求される電池、電解コンデンサまたは電気二重層コンデンサ用の封口板の成形ゴム材料などとして好適に使用することができる。
【0020】
【実施例】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0021】
実施例1
以上の各配合成分をニーダおよびオープンロールにて混練してゴム組成物を調製した。
【0022】
このゴム組成物を、170℃、20分間の条件下で、加硫プレスにより厚さ2mmのシート状に架橋成形し、この架橋ゴムシートについて、次の各項目の測定を行った。
硬さ:JIS K−6253に準拠
引張強さ、切断時伸び:JIS K−6251に準拠
圧縮永久歪:JIS K−6262に準拠(100℃、70時間)
電解液浸せき試験:JIS K−6258に準拠
(110℃のγ−ブチロラクトンに70時間浸せきした後の体積変化率)
気体透過試験:SUS製円筒容器(内径10mm、内容積1.16cm3)の内部にコンデンサ用電解液として一定量のγ−ブチロラクトンを入れ、円筒容器の上部開口部に架橋ゴムシートを密着して装着させ、全体の重量を秤量する。これを、130℃の温風循環式オーブン中に70時間入れた後取り出し、冷却後の重量を測定し、減量値を気体透過量とした
耐熱性試験:架橋ゴムシートを150℃の温風循環式オーブン中に1000時間入れた後取り出し、クラック発生の有無を目視で観察ムーニー粘度、スコーチタイム:JIS K−6300準拠(125℃)
電気絶縁性:JIS K−6271準拠(印加電圧500Vにて表面抵抗率を測定)
【0023】
実施例2
実施例1において、N550カーボンブラック量が30重量部に変更され、さらに白色系補強剤としてのシリカが40重量部添加された。
【0024】
比較例
実施例1において、液状ポリブタジエンが用いられなかった。
【0025】
以上の各実施例および比較例における測定または評価結果は、次の表に示される。
【0026】
表に示された結果から、次のようなことがいえる。
(1)実施例1は、従来の電池、電解コンデンサ、電気二重層コンデンサ用封口板ゴム材料等に必要とされる気体遮蔽性、耐熱性などを維持したまま、混練作業性、成形性につながるムーニー粘度およびスコーチタイムを改善している。
(2)実施例2では、実施例1で示されている特性に加えて、電気絶縁性にすぐれており、高電圧化に対応できるゴム材料として好適に使用できることを示している。
(3)比較例では、物性上に問題はみられないものの、ムーニー粘度、スコーチタイムに示されるように混練作業性、成形性に劣る。
【発明の属する技術分野】
本発明は、過酸化物架橋性ゴム組成物に関する。更に詳しくは、電解液シール材料などとして有効に用いられる過酸化物架橋性ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
イソブチレンに約0.5〜2.5モル%程度のジエン、一般にはイソプレンを架橋性基として共重合させた共重合体であるブチルゴムは、各種ゴム材料の中でも高い気体遮蔽性を示し、また電気絶縁性にもすぐれているため、このような性質が求められる各種の用途に用いられており、例えば電池、電解コンデンサまたは電気二重層コンデンサ素子を内蔵したケースの開口部に封着される封口板のゴム材料などとしての利用が図られている。
【0003】
昨今、自動車電装用途や照明用途などにおいては、電池またはコンデンサの使用環境が高温化しているため、電池またはコンデンサ自体にも耐熱性が求められている。また、電池またはコンデンサの寿命を決めるのは、電池またはコンデンサ内部の電解液がゴム封口部からガス状で蒸発することによる特性の低下が主な要因であるが、高温雰囲気下であればある程電解液の蒸発量も多くなるため、電池またはコンデンサの耐熱化および長寿命化を図る上からも、気体遮蔽性にすぐれた封口板ゴム材料が必要とされる。
【0004】
また、ブチルゴムは少量のジエン成分を有するため、通常のイオウ加硫が可能であり、この他にp−キノンジオキシム、p,p−ジベンゾイルキノンジオキシム等を用いたキノイド加硫や臭素化アルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂等を用いた樹脂加硫も行われている。しかしながら、イオウ加硫やキノイド加硫では耐圧縮永久歪特性が悪く、またイオウ加硫では遊離のイオウが、樹脂加硫では遊離のハロゲンが生じ易く、電気絶縁性を利用した電気部品として用いるには、耐腐食性の点から不向きである。
【0005】
そこで、本出願人は先にジビニルベンゼン共重合ブチルゴム100重量部当り約2〜100重量部の偏平状充填剤を添加することにより、気体遮蔽性を改善せしめた過酸化物架橋性ゴム組成物を提案している(特開2002−69254号公報)。
【0006】
しかしながら、かかるゴム組成物は、本来加工性に問題を有する過酸化物架橋ブチルゴムに多量の充填剤を添加しているため、加工性をさらに悪化させ、また過酸化物架橋性ブチルゴムにはスコーチタイムが短いという欠点があり、このことも加工性および成形性に支障をきたしていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電解液シール材料などとして好適に用いられる過酸化物架橋性ブチルゴム組成物であって、その気体遮蔽性および加工性を向上せしめたものを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の目的は、ジビニルベンゼン共重合ブチルゴム100重量部当り偏平状充填剤5〜120重量部および粘度5〜1000Pa・s(45℃)の過酸化物架橋可能な反応性粘性物質0.5〜20重量部を添加してなる過酸化物架橋性ゴム組成物によって達成される。この過酸化物架橋性ゴム組成物に、さらにカーボンブラック1〜80重量部および白色系充填剤1〜80重量部を添加して用いると、さらに電気絶縁性にすぐれたものを得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
ジビニルベンゼン共重合ブチルゴムとしては、一般にジビニルベンゼンを数モル%程度共重合させたものが用いられ、実際には市販品、例えばPolysar製品XL−10000等をそのまま使用することができる。このジビニルベンゼン共重合ブチルゴムは、気体遮蔽性および電気絶縁性にすぐれ、極性の電解液に対する膨潤性や溶解性が少なく、過酸化物架橋が可能である。
【0010】
ジビニルベンゼン共重合ブチルゴムには、それの100重量部当り5〜120重量部、好ましくは20〜90重量部の偏平状充填剤が添加され、気体の透過経路に立体障害を設け、該経路を延長することが行われる。偏平状充填剤は、その添加量を多くする程気体遮蔽性にすぐれる傾向にあるが、これ以上の割合で用いられると、配合物の粘度が高くなり、混練、成形に支障を来すようになり、成形物のゴム弾性、強度、伸びが低下する。一方、これより少ない割合で用いられると、十分な気体遮蔽性の向上が困難となる。このような架橋物のゴム物性と気体遮蔽性との兼合いの点から、このような添加割合の範囲が選択される。
【0011】
偏平状充填剤としては、例えばタルク、雲母粉(マイカ)、セリサイト、グラファイト(黒鉛)、クレー、ガラスフレーク、二硫化モリブデン、金属箔等であって、偏平面の平均粒径が10°〜102μmのオーダーのものが用いられる。
【0012】
粘度5〜1000Pa・s、好ましくは50〜700Pa・s(45℃)の過酸化物架橋可能な反応性粘性物質は、ジビニルベンゼン共重合ブチルゴム100重量部当り0.5〜20重量部、好ましくは1〜10重量部の割合で用いられる。このような反応性粘性物質としては、一般のゴムに混合可能なものであれば特に限定されないが、例えば液状ニトリルブタジエンゴム、液状ポリブタジエン、液状ポリブテン、液状EPDMなどの液状ゴムがあげられる。かかる反応性粘性物質の添加は、ゴム生地の粘度を低下させ、混練作業性を向上させるばかりではなく、発熱を抑制することにより生地のスコーチを防止し、スコーチタイムを延長する。反応性粘性物質がこれより少ない割合で用いられると、混練作業性向上あるいはスコーチタイム延長に対する効果が認められず、一方これ以上の割合で用いられると、電解液およびその蒸散ガス遮蔽性の低下につながり好ましくない。また、粘度がこれ以上のものが用いられるとゴム生地の粘度低下が不十分となり、一方これ以下の粘度のものを用いると電解液中への溶出が問題となる。
【0013】
補強剤としては、任意の粒径の各種カーボンブラックを制限なく使用できるが、カーボンブラックの添加はゴムの電気絶縁性を低下させ、高電圧仕様の電気部品等に使用した場合、ショートの原因となり得る。そこで、カーボンブラックと共にシリカ、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の白色系補強剤を併用することにより、架橋ゴムの電気絶縁性の向上を図ることができ、高電圧仕様の電気部品等に使用した際に生ずるショート等を有効に防止することができる。これらは、ジビニルベンゼン共重合ゴム100重量部当りカーボンブラックが1〜80重量部、好ましくは10〜60重量部、白色系補強剤が1〜80重量部、好ましくは10〜60重量部の割合で用いられる。白色系補強剤がこれより多い割合で用いられると、混練加工性が悪くなり、成形が困難になる。
【0014】
カーボンブラックと白色系補強剤の添加量は、架橋成形物の必要特性に応じて調整され、例えば本発明にかかるゴム組成物を架橋成形して電解液用シール材料に用いる場合には、ゴム架橋成形物の硬度(デュロメータA)が60〜95、表面抵抗が108Ω以上となるように調整されて用いられる。
【0015】
過酸化物架橋に用いられる有機過酸化物は、ジビニルベンゼン共重合ブチルゴム100重量部当り0.1〜8重量部、好ましくは0.5〜5重量部の割合で用いられる。有機過酸化物の割合がこれより少ないと十分な架橋密度が得られず、一方これより多い割合で用いられると、発泡により架橋成形物が得られなかったり、架橋成形物が得られた場合であってもゴム弾性、強度が低下するようになる。
【0016】
有機過酸化物としては、一般にゴムに使用されるものであれば特に限定されないが、例えば第3ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、第3ブチルクミルパーオキサイド、1,1−ジ(第3ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ジ(第3ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、第3ブチルパーオキシベンゾエート、第3ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、n−ブチル−4,4−ジ(第3ブチルパーオキシ)バレレート等が挙げられる。架橋剤として用いられるこれらの有機過酸化物は、金属への腐食性がみられない。
【0017】
以上の各成分を必須成分とする過酸化物架橋性ゴム組成物中には、ステアリン酸、パルミチン酸、パラフィンワックス等の加工助剤、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の受酸剤、老化防止剤、滑剤等が必要に応じて適宜配合して用いられる。なお、可塑剤については、気体遮蔽性を低下させるので、無添加であることが好ましい。
【0018】
組成物の調製は、インターミックス、ミキシングロール、バンバリーミキサ、各種ニーダ等の混練機またはオープンロールを使用することによって行われ、調製された組成物は、一般に約100〜200℃で約0.5〜60分間程度加熱しながら、加硫プレス法、加圧成形法、射出成形法,圧縮成形法などによって架橋成形され、必要に応じて約100〜200℃で0.5〜24時間程度二次架橋される。
【0019】
【発明の効果】
本発明に係る過酸化物架橋性ゴム組成物は、ジビニルベンゼン共重合ブチルゴムが本来有する好ましい性質である極性溶液の気体遮蔽性、耐膨潤性、耐熱性などを電解液シール材料に必要とされる程度にまで改善したものであって、混練・加工性にすぐれた材料を提供しており、さらにカーボンブラックと白色系充填剤を併用した場合には、硬度調整作用も含めて用いられるカーボンブラックによって損われる電気絶縁性をも改善せしめており、高温環境下、高電圧化が要求される電池、電解コンデンサまたは電気二重層コンデンサ用の封口板の成形ゴム材料などとして好適に使用することができる。
【0020】
【実施例】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0021】
実施例1
以上の各配合成分をニーダおよびオープンロールにて混練してゴム組成物を調製した。
【0022】
このゴム組成物を、170℃、20分間の条件下で、加硫プレスにより厚さ2mmのシート状に架橋成形し、この架橋ゴムシートについて、次の各項目の測定を行った。
硬さ:JIS K−6253に準拠
引張強さ、切断時伸び:JIS K−6251に準拠
圧縮永久歪:JIS K−6262に準拠(100℃、70時間)
電解液浸せき試験:JIS K−6258に準拠
(110℃のγ−ブチロラクトンに70時間浸せきした後の体積変化率)
気体透過試験:SUS製円筒容器(内径10mm、内容積1.16cm3)の内部にコンデンサ用電解液として一定量のγ−ブチロラクトンを入れ、円筒容器の上部開口部に架橋ゴムシートを密着して装着させ、全体の重量を秤量する。これを、130℃の温風循環式オーブン中に70時間入れた後取り出し、冷却後の重量を測定し、減量値を気体透過量とした
耐熱性試験:架橋ゴムシートを150℃の温風循環式オーブン中に1000時間入れた後取り出し、クラック発生の有無を目視で観察ムーニー粘度、スコーチタイム:JIS K−6300準拠(125℃)
電気絶縁性:JIS K−6271準拠(印加電圧500Vにて表面抵抗率を測定)
【0023】
実施例2
実施例1において、N550カーボンブラック量が30重量部に変更され、さらに白色系補強剤としてのシリカが40重量部添加された。
【0024】
比較例
実施例1において、液状ポリブタジエンが用いられなかった。
【0025】
以上の各実施例および比較例における測定または評価結果は、次の表に示される。
【0026】
表に示された結果から、次のようなことがいえる。
(1)実施例1は、従来の電池、電解コンデンサ、電気二重層コンデンサ用封口板ゴム材料等に必要とされる気体遮蔽性、耐熱性などを維持したまま、混練作業性、成形性につながるムーニー粘度およびスコーチタイムを改善している。
(2)実施例2では、実施例1で示されている特性に加えて、電気絶縁性にすぐれており、高電圧化に対応できるゴム材料として好適に使用できることを示している。
(3)比較例では、物性上に問題はみられないものの、ムーニー粘度、スコーチタイムに示されるように混練作業性、成形性に劣る。
Claims (6)
- ジビニルベンゼン共重合ブチルゴム100重量部当り偏平状充填剤5〜120重量部および粘度5〜1000Pa・s(45℃)の過酸化物架橋可能な反応性粘性物質0.5〜20重量部を添加してなる過酸化物架橋性ゴム組成物。
- 過酸化物架橋可能な反応性粘性物質が液状ゴムである請求項1記載の過酸化物架橋性ゴム組成物。
- ジビニルベンゼン共重合ブチルゴム100重量部当りカーボンブラック1〜80重量部および白色系補強剤1〜80重量部を添加した請求項1記載の過酸化物架橋性ゴム組成物。
- 請求項1または3記載の過酸化物架橋性ゴム組成物から架橋成形された電解液シール材料。
- JIS K6253に規定されるゴム硬度(デュロメータA)が60〜95であり、JIS K6271に規定される表面抵抗が108Ω以上である請求項4記載の電解液シール材料。
- 電池、電解コンデンサまたは電気二重層コンデンサ用封口板のゴム材料として用いられる請求項5記載の電解液シール材料。
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JP2003104816A JP2004307696A (ja) | 2003-04-09 | 2003-04-09 | 過酸化物架橋性ゴム組成物 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008251980A (ja) * | 2007-03-30 | 2008-10-16 | Nippon Chemicon Corp | 電解コンデンサ用封口体及び該封口体を用いた電解コンデンサ |
JP2008258221A (ja) * | 2007-03-31 | 2008-10-23 | Nippon Chemicon Corp | 電気二重層キャパシタ |
CN113402792A (zh) * | 2021-06-16 | 2021-09-17 | 南京金三力橡塑有限公司 | 一种irm903油中低压变丁腈橡胶材料及其制备方法 |
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2003
- 2003-04-09 JP JP2003104816A patent/JP2004307696A/ja active Pending
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