JP2004307434A - 耐水性o/w型乳化組成物及びその耐水性o/w型乳化組成物を配合した紫外線防御効果を有する耐水性o/w型化粧料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カチオン性高分子乳化剤、油性物質、及び水を耐水性O/W型乳化組成物に含有させ、その乳化組成物のpHを3.0 〜6.0 に調整したことを特徴とする
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐水性を有するO/W型乳化組成物と、その耐水性O/W型乳化組成物を配合して、日焼け止め用等として使用される紫外線防御効果を有する耐水性O/W型化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、シミや老化の原因となる屋外や室内の紫外線を防御する日焼け止め化粧料としては種々のものが使用されているが、このような日焼け止め化粧料には、汗や水に対する耐久性が必要であるとともに、皮脂に対する耐久性も必要である。
【0003】
従って、従来の日焼け止め化粧料としては、耐水性に優れる等の理由から、外相が油性であるW/O型の乳化組成物が主として用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、W/O型の乳化組成物には、使用上のベタツキ、油性感等の良好でない使用感があり、また保湿効果等のスキンケア効果に劣るという問題があった。さらに、油膜閉塞性を示すため混合肌や脂性肌には好ましくなく、テカリやにきび等の皮脂トラブルを悪化させるという問題があった。
【0005】
これに対し、外相が水性であるO/W型の乳化組成物は、使用感が良好で油膜閉塞性を示さないが、耐水性に劣るために紫外線防御効果の持続性に問題があった。そして、紫外線防御効果を高めるために多量の紫外線吸収剤を配合すると、皮膚や眼に対する刺激性の問題があった。
【0006】
このため、O/W型の乳化組成物は、一般には日焼け止め化粧料等の紫外線防御効果を必要とする化粧料にはさほど用いられなかった。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、使用感と保湿効果や皮膚粘弾性効果に優れ、弱酸性で安全性の高い耐水性O/W型乳化組成物を提供するとともに、そのO/W型乳化組成物を、従来ではさほど使用されていなかった日焼け止め化粧料等の紫外線防御効果を必要とする化粧料に好適に適用することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題を解決するために、耐水性O/W型乳化組成物と、その耐水性O/W型乳化組成物を配合した紫外線防御効果を有する耐水性O/W型化粧料としてなされたもので、耐水性O/W型乳化組成物としての特徴は、カチオン性高分子乳化剤、油性物質、及び水を含有し、pH3.0 〜6.0 に調製されていることである。
【0009】
このように、本発明の乳化組成物には、分子中に疎水基と親水基を含むカチオン性高分子乳化剤が含有される。高分子乳化剤にカチオン性のものを用いたのは、これらカチオン性の高分子乳化剤は、皮膚への生体親和性、付着性が良好であり、皮膚の角層等に結合するので、本発明の乳化組成物を皮膚に塗着した場合に、汗等の水分によって皮膚からの不用意な離脱が阻止され、それによって耐水性が良好となるからである。
【0010】
カチオン性高分子乳化剤の種類は特に限定されないが、平均分子量2000〜2000000 の高分子のものであることが好ましい。低分子量のものは皮膚刺激性の点で安全性が必ずしも確保されていない場合があるからである。
【0011】
尚、この場合の平均分子量は、たとえばデータモジュールGPC用カートリッジを連結させたGPC−HPLC〔ゲル濾過クロマトグラフィーカラム:東ソー(株)製TSK−gel−G3000WXL+TSK−gel−G2500PWXL、溶媒:0.4 M酢酸−酢酸Na緩衝液(pH=4.8)〕分析により分子量分布を明らかにすることによって測定される。分子量スタンダードとしては、キトサンオリゴ糖(分子量:413,1006)、デキストラン硫酸塩(分子量:5000 、8000) 及びプルラン分子量スタンダードが用いられる。
【0012】
平均分子量2000〜2000000 のカチオン性高分子乳化剤として、たとえば天然多糖であるキチン、キトサン、又はキチン、キトサンのアミノ基を一部四級化した四級化キトサン等のキトサン誘導体を出発原料として、これらのアミノ基や水酸基に炭素数8〜20のアシル基等の脂肪酸基を0.1 〜50.0質量%部分導入した物質等を使用するのが好ましい。
【0013】
具体的には部分ミリストイル化キトサンピロリドンカルボン酸塩(製品名:PM−キトサン〔ピアス株式会社製〕)、部分ミリストイル化キチン乳酸塩、部分ミリストイル化四級化キトサングリコ−ル酸塩等を使用するのが好ましい。
【0014】
ここで、「部分導入」とは構成単糖1残基当たりにアシル基等の脂肪酸基がどの程度導入されているかを示すもので、「脂肪酸基を0.1 〜50.0%部分導入した」とは、たとえばキトサンの場合であれば、構成単糖であるヘキソサミン1000残基に、脂肪酸基が1 〜500 個導入されていることを意味する。
【0015】
キトサンは、天然多糖であるキチンの高脱アセチル化物であり、脱アセチル化度50〜100 %を示す脱アセチル化キチンを元に誘導体を合成するのが好ましい。
【0016】
本発明の乳化組成物中におけるカチオン性高分子乳化剤の含有量は特に限定されないが、0.01〜5.0 重量%が好ましく、0.05〜0.5 重量%がより好ましい。0.01重量%以下になると乳化形成能がほとんど見られなくなるおそれがあり、また5.0 重量%以上になると使用感が悪くなるおそれがあるからである。
【0017】
また本発明の乳化組成物には、化粧料で一般的に用いられる油性物質が含有される。油性物質としては、たとえばセタノール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、流動パラフィン、スクワラン等の非極性油剤、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル等の脂肪酸エステル油剤、小麦胚芽油やオリーブ油等の植物油、ポリメチルシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコン系油、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油等が例示される。
【0018】
また上記カチオン性高分子乳化剤で構成されるエマルションに、両性やアニオン性等のイオン性高分子を作用させることも可能であり、その場合には、そのエマルション粒子とイオン性高分子との複合化が起こり、チキソトロピ−性が高まり、乳化粒子表面の安定性が高まるため、エマルションの安定化、乳化組成物の安定性が格段に上昇する。また、内包された紫外線吸収剤等の流出漏れが防止されることとなり、安全性が高められることとなる。
さらに、角層への親和性が高まり、汗や皮脂の存在による再乳化を阻止させることにより、塗布後の耐水性やスキンケア成分の持続性が高められることとなる。
【0019】
イオン性高分子の種類は特に限定されないが、エマルション粒子の複合化を安定にするためには、両性のイオン性高分子を作用させることが望ましい。たとえばリン脂質ポリマ−やその誘導体を用いることが好ましい。リン脂質ポリマ−とは、2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリンを基本モノマーとした両性のイオン性高分子の総称であり、リン脂質ホモポリマ−とリン脂質コポリマ−とがある。
リン脂質ホモポリマ−としては、たとえば2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリン重合体が例示され、リン脂質コポリマ−としては、たとえば2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリン・メタクリル酸ブチル共重合体が例示される。
リン脂質ポリマ−としては、たとえばリピジュアー(製品名:〔日本油脂製〕)が用いられる。より具体的には、後述の実施例に示すように、リン脂質コポリマ−としてリピジュアーPMBが用いられ、リン脂質ホモポリマ−としてリピジュアーHMが用いられる。
また、リン脂質ポリマ−以外の両性イオン性高分子として、たとえばカルボキシメチルキトサン等を使用することも可能である。
【0020】
両性のイオン性高分子以外には、たとえばアニオン性高分子としてキサンタンガム、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルキチン、ポリアクリル酸ナトリウム、カラギーナン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル重合体、アルギン酸ナトリウム等を使用することが可能である。カチオン性高分子は、上記カチオン性高分子乳化剤との関係で複合化が起こりにくい。
【0021】
尚、アニオン性高分子を用いて複合化する場合、カチオン性高分子乳化剤の機能を損なわないようにするには、組成物中におけるアニオン性高分子の含有量は、カチオン性高分子乳化剤の含有量に対して1/3 量以下に設定することが好ましい。
【0022】
本発明の耐水性O/W型乳化組成物は、安全性の観点から弱酸性に調製されることが必要であり、そのために、pHは3.0 〜6.0 に調製される。
【0023】
また、紫外線防御効果を有する耐水性O/W型化粧料としての特徴は、上記のような乳化組成物と、有機物質からなる紫外線吸収剤、又は紫外線散乱効果のある無機微粒子の少なくとも一方を配合したことである。
【0024】
紫外線吸収剤としては、たとえばパラメトキシ桂皮酸エチルヘキシル等のパラメトキシ桂皮酸エステル類や、パラアミノ安息香酸エチル等のパラアミノ安息香酸エステル類等のUVB吸収剤、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のオキシベンゾン類等のUVA吸収剤を用いることができる。
【0025】
これらの紫外線吸収剤としては、シリカ、ローストビーンガム、コラーゲン、シリコンレジンポリペプチド等から形成されるカプセルに内包したものも使用できる。たとえば紫外線吸収剤内包シリカカプセルとして、ユーソレックスの製品名(メルク社製)で市販されているものを使用することができ、またローストビーンガムのカプセル体として、たとえばフィトスフィアの製品名(コレチカ社製)で市販されているものを使用することができる。
【0026】
さらに、紫外線散乱剤として微粒子酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等を使用することができる。またアルミナ等により親水化処理したものやシリコン等で疎水処理を行ったものも使用できる。
【0027】
本発明の耐水性O/W型化粧料には、上記のような乳化組成物と、有機物質からなる紫外線吸収剤及び/又は紫外線散乱効果のある無機微粒子の他に、スキンケア成分として活性酸素消去作用や抗炎症作用を有するポリフェノール、好ましくはタンニン類を含む植物又は生薬抽出物の少なくとも一種以上を含有させることもできる。これにより、スキンケア効果の高い弱酸性の耐水性O/W型エマルションを形成し、スキンケア成分の機能効果を持続的に発現することができる。
【0028】
スキンケア成分としては、たとえば保湿剤、皮膚柔軟剤、細胞活性化剤、抗酸化剤、収斂剤、美白剤、抗菌剤、消炎剤等として使用されるものが適用される。具体的には、たとえばグリセリン、ベタイン等の保湿剤、動植物抽出物、生薬抽出物、レチノール,アスコルビン酸等のビタミン及びその誘導体、アミノ酸及びその誘導体、有機酸、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)等の酵素類等を使用することができる。特に、タンニン類を含む植物抽出物、生薬抽出物を使用することが望ましい。たとえば大豆抽出物、油溶性甘草エキス、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物、オウバク抽出物、甘草フラボノイド、シラカバエキス、スギナエキス、アロエエキス、カモミラエキス、レイシエキス、ツボクサエキス末、紅茶エキス、ブナエキス、ビワ葉エキス、ゲンチアナエキス、ハトムギエキス、ヨクイニンエキス、クワエキス、ローヤルゼリーエキス、ハトムギエキス、ユキノシタエキス、オウゴンエキス、オウレンエキス等が例示される。
【0029】
本発明の乳化組成物若しくは日焼け止め化粧料は、乳液、乳化ローション及びクリームの製剤形態で提供することができる。たとえばクリーム状のサンスクリーン剤、乳液状の水性ファンデーション、乳液状の化粧下地、乳化型マスカラ等の製剤として提供することができる。
【0030】
さらに、本発明の化粧料を、メイクアップ化粧料と併用することも可能であり、この場合には、化粧崩れの予防や化粧持ちの改善を計ることができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0032】
〔実施例1〕
本実施例は、耐水性O/W型乳化組成物の一実施例であり、その組成は次のとおりである。
【0033】
【0034】
加熱処理した上記(4) 〜(9) の水相組成のものに、加熱溶解させた上記(1) 〜(3) の油相組成のものを添加し、ホモミキサー処理による乳化によりpH4.2 の弱酸性のO/W型エマルションを調製して乳化組成物を得た。
【0035】
〔実施例2〕
本実施例は、耐水性O/W型乳化組成物の他の実施例であり、その組成は次のとおりである。
【0036】
【0037】
加熱処理した上記(4) 〜(9) の水相組成のものに、加熱溶解させた上記(1) 〜(3) の油相組成のものを添加し、ホモミキサー処理による乳化によりエマルションを調製する。次いで、(10)のリン脂質コポリマー(2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリン・メタクリル酸ブチル共重合体〔製品名リピジュア−PMB :日本油脂製〕)5%水溶液を徐々に攪拌させながら添加し、37℃で12時間反応させることにより、pH4.6 の弱酸性の複合化O/W型エマルションを調製して乳化組成物を得た。
【0038】
〔比較例1〕
比較例1として、次の組成からなるO/W型乳化物組成物を調製した。
【0039】
【0040】
加熱処理した上記(4) 〜(9) の水相組成のものに、加熱溶解させた上記(1) 〜(3) の油相組成のものを添加し、ホモミキサー処理による乳化によりO/W型エマルションを調製した。
【0041】
〔比較例2〕
比較例2として、次の組成からなるO/W型乳化物組成物を調製した。
【0042】
【0043】
加熱処理した上記(4) 〜(10)の水相組成のものに、加熱溶解させた上記(1) 〜(3) の油相組成のもの添加し、ホモミキサー処理による乳化によりO/W型エマルションを調製した。
【0044】
(試験例1)
上記実施例1、2及び比較例1、2の耐水性レベルと、眼及び皮膚に対する安全性の評価を試験した。
【0045】
耐水性試験は、FDA(米国食品医薬品局)に準じた方法で、SPF(Sun Protection Factor)を測定した。ここでSPF値は、サンプル塗布部のMED/サンプル無塗布部のMEDを示し、数値が高い程、紫外線防御効果が高い。MEDは最小紅斑量を示し、紫外線照射により紅斑が認められる最小の紫外線量である。実施例1、2、比較例1、2の乳化組成物を、被検者の背部に2mg/cm2の割合で20cm2 の部分に塗布してSPFを測定した。その後、隣接する部位に再度これら試料を塗布して十分に乾燥させた後、屋内プールで20分間水泳等の水中運動を行わせ、20分間の休憩をはさんで再び20分間水中運動を行わせ、次いでタオルを使わずに乾燥させた後、再びSPFを測定した。尚、SPFは、光源としてキセノンアークソーラーシミュレーターを用い、成人男女10名を被験者とし、予め試料未塗布部の最小紅斑量を求めた後、試料塗布部のMEDを求め、試料塗布部の値を試料未塗布部の値で除して浸水前と浸水処理後のSPFを算出し、各被験者の平均値により表した。
また眼及び皮膚に対する安全性の評価は、20〜40代女性50名に対する2週間の連続使用試験を行い、刺激を感じたモニター例から求めた。
【0046】
試験結果を表1に示す。尚、表1において、市販品Aは、W/O型日焼け止め乳液である。
【0047】
【表1】
【0048】
表1からも明らかなように、SPF耐水性は、実施例1及び実施例2ではほぼ100 %の残存率を示し、一般に耐水性が高いとされている市販品のW/O型サンスクリーン以上の耐水性レベルを示した。これに対して、従来のO/W型である比較例1及び比較例2では、浸水処理によりSPF値が激減していた。
【0049】
また、実施例1及び実施例2では、比較例1及び比較例2に比べて眼及び皮膚に対する刺激性が極めて低いことが示された。
【0050】
(試験例2)
次に、20代〜50代女性パネラー50名に対して4週間使用試験を行い、使用による皮膚改善効果と使用感について官能評価させた。
【0051】
皮脂崩れ改善性, 肌カサツキ改善性及び使用感の項目について「満足」、「やや満足」、「どちらとも言えない」、「やや不満足」、「不満足」の5段階で評価した。
【0052】
試験結果を表2に示す。表2には、「やや満足」以上と答えた人数を示した。尚、表2において、市販品Aは、W/O型日焼け止め乳液である。
【0053】
【表2】
【0054】
〔実施例3〕
本実施例は、耐水性O/W型化粧料の一例としての乳化ファンデーションの実施例であり、その組成は次のとおりである。
【0055】
【0056】
加熱処理した上記(6) 〜(14)の水相組成のものに、熱溶解させた上記(1) 〜(5) の油相組成のものを添加し、ホモミキサー処理による乳化によりエマルションを調製する。次いで(15)のリン脂質ホモポリマー5%水溶液(2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリン重合体:〔製品名リピジュア−HM:日本油脂製〕)と(16)のヒアルロン酸水溶液を徐々に攪拌させながら添加し、37℃で12時間反応させることにより、本実施例の化粧料を得た。
【0057】
本実施例の化粧料は、pH5.2 であり、SPF値は33を示し、またPAはPA++を示し、浸水処理でも紫外線防御効果は低下しなかった。ここで、PAとは、日本化粧品工業連合会UVA防止効果測定法基準で定義されるProtection Grade of UVAの略であり、PA++はUVA防止効果がかなりあることを意味する。
【0058】
〔実施例4〕
本実施例は、耐水性O/W型化粧料の一例としての乳化マスカラの実施例であり、その組成は次のとおりである。
【0059】
【0060】
加熱処理した上記(6) 〜(12)の水相組成のものに、加熱溶解させた上記(1) 〜(5) の油相組成のものを添加し、ホモミキサー処理による乳化によりpH4.8 の弱酸性の耐水性O/W型エマルションを調製した。
【0061】
〔実施例5〕
本実施例は、耐水性O/W型化粧料の一例としての乳化ローションの実施例であり、その組成は次のとおりである。
【0062】
【0063】
加熱処理した上記(4) 〜(7) の水相組成のものに、加熱溶解させた上記(1) 〜(2) の油相組成のものを添加し、ホモミキサー処理による乳化を行い、さらに(3) を加えて乳化させエマルションを調製した。次いで、(8) のリン脂質コポリマー5%水溶液(2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリン・メタクリル酸ブチル共重合体〔製品名リピジュア−PMB :日本油脂製〕)を徐々に攪拌させながら添加し、37℃で12時間反応させた。
【0064】
本実施例の化粧料は、pH4.2 であり、SPF値は20を示し、またPAはPA+ を示し、浸水処理でも紫外線防御効果は低下しなかった。ここで、PA+ は上述のUVA防止効果があることを意味する。
【0065】
【発明の効果】
以上のように、本発明の組成物は、カチオン性高分子乳化剤、油性物質、及び水を含有したものであるため、カチオン性高分子乳化剤が好適に油性成分を乳化させ、外相が水性であるO/W型の乳化組成物、すなわち使用感が良好で油膜閉塞性を示さず、保湿効果等のスキンケア機能を発揮し易いO/W型の乳化組成物を得ることができた。
【0066】
しかも、本発明の組成物に含有されているカチオン性高分子乳化剤は、低分子乳化剤と異なり皮膚への親和性が良好なので、肌に塗着した場合に汗等の水分によって洗い流されることがなく、従来のO/W型乳化組成物に比べて耐水性が著しく良好となった。
この結果、スキンケア成分を配合した場合に、そのスキンケア成分が不用意に洗い流されないため、スキンケア成分の有効持続性を高めることができるという効果がある。
【0067】
さらに、pH3.0 〜6.0 に調製されているので、弱酸性で安全性の高い耐水性O/W型乳化組成物を提供できるという効果がある。
【0068】
また、カチオン性高分子乳化剤のエマルション粒子をイオン性高分子により複合化させた場合には、チキソトロピ−性が高まり、乳化粒子表面の安定性が高まるため、エマルションの安定化、乳化組成物の安定性が格段に上昇するという効果がある。
また、内包された紫外線吸収剤等の流出漏れが防止されることとなり、安全性が高められるという効果もある。
さらに、角層への親和性が高まり、汗や皮脂の存在による再乳化を阻止させることにより、塗布後の耐水性やスキンケア成分の持続性が高められるという効果もある。
特に、複合化させるイオン性高分子として、両性のイオン性高分子を用いた場合には、エマルション粒子の複合化をより安定にすることができるという効果がある。
【0069】
さらに、本発明の耐水性O/W型化粧料は、上記のような乳化組成物と、有機物質からなる紫外線吸収剤、又は紫外線散乱効果のある無機微粒子の少なくとも一方を配合したものであるため、みずみずしい使用感と高い安全性を発揮しながら、耐水性の高い紫外線防御効果を示す日焼け止め化粧料を提供することが可能となった。
【0070】
また、耐水性、耐皮脂性が極めて優れたO/W型乳化組成物を配合した化粧料なので、汗による紫外線防御効果の低下が見られない。
【0071】
さらに、スキンケア成分としてタンニン類を含む植物又は生薬抽出物の少なくとも一種以上を含有させた場合には、これらのタンニン類を含む植物や生薬抽出物によって優れた薬理活性効果、たとえば収斂効果、皮膚分泌抑制効果、酸化抑制効果、細胞活性化効果、美白効果、抗菌効果、抗炎症効果、抗アレルギー効果等の種々の薬理活性効果を示すという効果がある。
Claims (8)
- カチオン性高分子乳化剤、油性物質、及び水を含有し、pH3.0 〜6.0 に調整されていることを特徴とする耐水性O/W型乳化組成物。
- カチオン性高分子乳化剤のエマルション粒子をイオン性高分子により複合化させた請求項1記載の耐水性O/W型乳化組成物。
- カチオン性高分子乳化剤が、キチン、キトサン、若しくは四級化キトサンに、炭素数8〜20の脂肪酸基を0.1 〜50.0質量%部分導入した誘導体である請求項1又は2記載の耐水性O/W型乳化組成物。
- イオン性高分子が両性イオン性高分子である請求項2又は3記載の耐水性O/W型乳化組成物。
- 両性イオン性高分子がリン脂質ポリマ−又はその誘導体である請求項4記載の耐水性O/W型乳化組成物。
- イオン性高分子がアニオン性高分子であり、該アニオン性高分子の含有量がカチオン性高分子乳化剤の含有量に対して1/3 以下である請求項2又は3記載の耐水性O/W型乳化組成物。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の耐水性O/W型乳化組成物と、有機物質からなる紫外線吸収剤若しくは紫外線散乱効果のある無機微粒子の少なくとも一方とを配合したことを特徴とする紫外線防御効果を有する耐水性O/W型化粧料。
- スキンケア成分としてタンニン類を含む植物又は生薬抽出物の少なくとも一種以上を含有する請求項7記載の紫外線防御効果を有する耐水性O/W型化粧料。
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