JP2004298992A - 治具盤および端面研磨装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】柱状のワークWを治具盤20に固定する際に、治具盤本体21に設けられた開閉溝23を開いてワーク保持孔22の孔径を拡張させ、ワーク保持孔22にワークWの側面を当接させながらワークWを垂直に差し込んだ後、開閉溝23を閉じてワークWの側面を保持し、治具盤本体21の側面から開閉溝23に交差して締結部材24を締結することで、ワークWの端面W1を研磨面Y1に対して水平な状態を保ったまま研磨する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、柱状のワークを固定する治具盤と、治具盤を装着して柱状のワークの端面を研磨する端面研磨装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、端面の研磨加工を必要とする柱状のワークとしては、例えば各種光通信用モジュールに利用される光ファイバスタブが周知であり、光ファイバスタブは外径の異なる光コネクタ同士を接続するアダプタ構成部品として使用される。
【0003】
図9に示すように、ワークWとなる光ファイバスタブは、セラミック材等を用いて円柱状に成形されたフェルール1の軸心に貫通孔1aを形成し、貫通孔1aに挿通させた光ファイバ2を接着剤3で固定して一体化した後、余分な光ファイバ2を切断して製作される。
【0004】
一方、製作の最終段階では、フェルール1の端面と光ファイバ2の端面とを同時に研磨することで光ファイバスタブの端面W1は鏡面に仕上げられる。この端面W1がフェルール1の軸心に対して垂直でなかったり、あるいはフェルール1内部の接着剤3が漏れ出して端面W1が少しでも盛り上がっていたりすると、使用時に光ファイバスタブの軸方向に接続する光コネクタの光ファイバとの同軸度が狂って光通信時の損失が増大してしまう。
【0005】
よって、光ファイバスタブの端面W1はフェルール1の軸心に垂直でかつ平滑な面となるように高精度な研磨仕上げが要求される。
【0006】
ところで、このような小型で柱状に成形されたワークの端面を研磨仕上げするために、従来から端面研磨装置を利用した自動研磨加工が行なわれている。この種の端面研磨装置は、一般に作業効率を考慮して一枚の治具盤に複数個のワークを固定し、治具盤から突出したワークの端面を研磨盤に押し付けながら研磨盤を回転させることで複数個のワークの端面を一斉に研磨する構造となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−254307号公報(特に、0012、0013、0014、図2、図3、図4参照)
【0008】
ここで、特許文献1に開示されている治具盤の構造を図10に示す。同図に示す治具盤4は、プレート状の治具盤本体5の側面に断面V字状の収納溝5aが複数個形成され、収納溝5a,5a,…にそれぞれワークW,W,…を固定する構造を採用している。その固定構造は、ワークWに当接する2個の押えブロック6,6を一括して押圧する固定ブロック7を一本のネジ部材8で治具盤本体5に締結する構造となっている。また、押えブロック6,6と固定ブロック7との間には、押えブロック6,6を治具盤本体5側に付勢するバネ部材9,9が埋設されている。
【0009】
ところが、同治具盤4ではワークWを固定する構造として、少なくとも治具盤本体5の他に複数の押えブロック6,6,…、固定ブロック7、ネジ部材8、バネ部材9,9,…等の多数の別部材を必要としている。このため、ワークWの固定と固定解除の操作が複雑化して面倒であるとともに、治具盤ならびに端面研磨装置全体の製造コスト高を招くという問題点がある。
【0010】
また、光ファイバスタブのような円柱状のワークWを固定する場合、収納溝5aがV字状に形成されていることから、ワークWと収納溝5aとが2箇所の点でしか接触しておらず、2箇所の接点P,Pにおいて両者がワークWの軸方向に線接触することになる。その上、押えブロック6を押圧する固定ブロック7がネジ部材8で締結されると、ワークWは押えブロック6によって収納溝5a側に押し付けられる。
【0011】
このため、ワークWの固定と固定解除を繰り返す毎にワークWと収納溝5aとの接点P,P部分に押圧力が集中することになり、場合によってはワークWの外周面の一部が偏摩耗して変形したり、収納溝5aの接点P,P部分にワークWの圧痕が残ったりする可能性がある。
【0012】
また、ネジ部材8の締め付け力がワークWの外周面に均等に加わらないと、押えブロック6や固定ブロック7が治具盤本体5の側面に対して曲がって固定されてしまう。特に、光ファイバスタブのように極端に短尺なワークWを固定する場合には、ワークWに対する締め付け力をワークWの外周面に亘って均等に加えることは非常に困難である。
【0013】
このような理由から、上述した治具盤4のように治具盤本体5とは別体の押えブロック6を用いた固定構造によると、複数個セットしたワークW,W,…の中にはガタツキが生じるものや、図11に示すように、ワークWが治具盤本体5の側面の収納溝5aに対して傾いて固定されてしまう危険性がある。同図のようにワークWが研磨面Y1に対して傾いたままで研磨加工が行なわれると、ワークWの端面W1が軸心に対して垂直かつ平滑な面とならない精度不良品が発生するという問題点がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ワークの固定と固定解除の操作が簡単で、かつワークのガタツキ、傾き、変形等の不具合を解消して精度不良のない安定した研磨加工を実現できる治具盤および端面研磨装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る治具盤は、プレート状に成形された治具盤本体と、治具盤本体に設けられて柱状のワークを固定するワーク固定手段と、を備えた治具盤であって、ワーク固定手段は、治具盤本体の上面から下面にかけて垂直に貫通形成され、ワークの側面を包囲するワーク保持孔と、ワーク保持孔から治具盤本体の側面にかけて連通する開閉溝と、治具盤本体の側面から開閉溝に交差して締結される締結部材と、を具備することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る端面研磨装置は、柱状のワークの端面を研磨する端面研磨装置であって、装置本体に回転可能に支持される研磨盤と、装置本体に着脱自在に装着され、プレート状の治具盤本体にワークを固定するワーク固定手段を有する治具盤と、治具盤に固定されたワークの端面を研磨盤に押圧しながら支持する支持機構部と、を備え、ワーク固定手段は、治具盤本体の上面から下面にかけて垂直に貫通形成され、ワークの側面を包囲するワーク保持孔と、ワーク保持孔から治具盤本体の側面にかけて連通する開閉溝と、治具盤本体の側面から開閉溝に交差して締結される締結部材と、を具備することを特徴とする。
【0017】
上述した発明によれば、柱状のワークを治具盤に固定する場合には、治具盤本体に設けられた開閉溝を開いてワーク保持孔の孔径を拡張させ、そのワーク保持孔にワークの側面を当接させながらワークを垂直に差し込んだ後、開閉溝を閉じてワークの側面を保持し、治具盤本体の側面から開閉溝に交差して締結部材を締結すれば良く、固定を解除するにはこれと逆の操作を行なえば良い。このようにワークの固定構造として治具盤本体と締結部材の2部材からなる簡素化された構造を採用することでワークの固定と固定解除の操作が従来に比べて簡単に行なえるとともに、部品点数を削減することで治具盤ならびに端面研磨装置全体の製造コストの低減を図ることができる。
【0018】
ここで、上述した発明において、ワーク保持孔が丸孔に形成されていると、固定するワークの側面に加わる押圧力が均等化され、ワークのガタツキ、傾き、偏摩耗による変形等を防いでワークを確実に固定することができる。
【0019】
また、上述した発明において、ワーク保持孔が治具盤本体の中心点から放射状かつ等距離の位置に等間隔で複数個配設されていると、一枚の治具盤に複数個のワークを同時に固定して研磨作業の高効率化を図ることができるとともに、研磨盤から全てのワークにかかる荷重が均等となって研磨加工条件の安定化を図ることができる。
【0020】
さらに、上述した発明において、ワーク固定手段は、開閉溝を開いてワーク保持孔の孔径を拡張したときに生じる剪断応力を解放する応力解放手段を具備していることが望ましい。この応力解放手段の一例としては、開閉溝の延長線上で治具盤本体の厚み方向に延設された逃げ溝と、逃げ溝の終端部に開口された逃げ孔と、を具備する構造を採用することができる。この場合には、特にワーク固定時において、ワーク保持孔に生じる剪断応力が解放されて亀裂による破損等を未然に防ぐことができ、治具盤の耐久性が向上する。
【0021】
さらにまた、上述した発明において、ワーク固定手段が治具盤本体に対して着脱可能に構成されていると、ワークの外径サイズに合わせてワーク保持孔のサイズを適宜変更することができ、一枚の治具盤で様々なサイズのワークに対応できる汎用性の高い治具盤および端面研磨装置を提供できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付した図1乃至図8を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1に示す治具盤20は、可撓性を有する部材として、例えばSUS等の金属材を用いて所定厚みを有するプレート状に成形された治具盤本体21と、治具盤本体21に設けられてワークを固定するワーク固定手段M1とを備えている。
【0024】
治具盤20で固定するワークWは柱状のものであれば特に限定されないが、本実施形態では光ファイバスタブ(例えば、LCタイプ:外径φ1.25mm×全長3.5mm)に代表される小型で柱状のワークWを固定する場合に好適に用いられる。
【0025】
ワーク固定手段M1は、治具盤本体21の厚み方向に形成されるワーク保持孔22および開閉溝23と、治具盤本体21の側面に着脱自在に装着される締結部材24とを具備して構成される。
【0026】
まず、治具盤本体21には、図2に示すようにワークWの外径とほぼ等しい孔径でプレートの上面から下面にかけて垂直に貫通するワーク保持孔22が形成される。ワーク保持孔22の形状は、固定する柱状のワークWの側面に加わる押圧力が均等化されるように丸孔に形成すると良い。また、ワーク保持孔22の形成箇所は、図1に示すように治具盤本体21の中心点Cから放射状かつ等距離の位置に等間隔で複数個配設されるのが望ましい。その理由は、研磨作業効率を考慮して一枚の治具盤20でワークWを複数個同時にセットするためと、治具盤20を研磨盤33へと押し付けたときにそれぞれのワークW,W,…にかかる荷重を等しくするためである。
【0027】
本実施形態では、治具盤本体21が正二十角形のプレート状に成形されており、正二十角形の各辺の内側中央には、同心円上の18度毎にそれぞれ1個ずつワーク保持孔22,22,…が形成されている。つまり、この治具盤20ではワークWを20個同時に固定できるようにしてある。
【0028】
また、治具盤本体21には、図3に示すようにワーク保持孔22から治具盤本体21の側面にかけて連通する開閉溝23が形成される。この開閉溝23は、ワークWをワーク保持孔22に差し込む際に、ワーク保持孔22の孔径を拡張させる機能を持つものである。なお、本実施形態では、ワーク保持孔22から治具盤本体21の側面に平行に延び、そこから治具盤本体21の側面にかけて滑らかなL字状に折れ曲がる開閉溝23が形成されている。
【0029】
さらに、この治具盤20は、図3と図4に示すように治具盤本体21とは別体で治具盤本体21の側面から開閉溝23に交差して締結される締結部材24を備えている。すなわち、図4に示す治具盤本体21の側面には締結部材24のボルトを挿入するためのボルト挿入孔21aが設けられ、このボルト挿入孔21aは、図3に示すように開閉溝23と直交するように開口されている。
【0030】
このボルト挿入孔21aに締結部材24のボルトを螺着すると、通常状態で開いていた開閉溝23の幅が狭まっていき、これに伴ってワーク保持孔22の孔径が徐々に小さくなる。逆にボルト挿入孔21aに螺着された締結部材24のボルトを緩めると、可撓性を有する治具盤本体21の復帰力によって開閉溝23が拡がっていき、これに伴ってワーク保持孔22の孔径が元の大きさへと戻るようになっている。
【0031】
なお、図1中符号21bで示すものは、治具盤20を端面研磨装置に装着する際に、後述する台座51を装着するためのボルト挿入孔である。
【0032】
以上がワーク固定手段M1の構造であるが、ワーク固定手段M1はさらに開閉溝23を開いてワーク保持孔22の孔径を拡張したときに生じる剪断応力を解放する応力解放手段M2を備えた構成を採用することもできる。
【0033】
本実施形態では、応力解放手段M2の構成例として、図3に示すように開閉溝23の延長線23L上で治具盤本体21の厚み方向に逃げ溝25を延設し、逃げ溝25の終端部25aにワーク保持孔22より一回り小さな孔径の逃げ孔26を開口する構造を採用した。
【0034】
かかる構造によると、特にワークWの固定時において、開閉溝23を開いてワーク保持孔22の孔径を拡張させたときに、開閉溝23の延長線23L上のワーク保持孔22を起点として作用する剪断応力が、逃げ溝25を伝って逃げ孔26内で分散して解放される。よって、ワーク保持孔22に亀裂が生じて破損することを未然に防ぐことができ、治具盤20の耐久性が向上して長期の使用に供することができる。また、剪断応力を逃げ孔26内で均等に分散させる観点からすると逃げ孔26の形状は円形に形成するのが最適である。
【0035】
さらなる変形例としては、ワーク固定手段M1を治具盤本体21に対して着脱可能に構成しても良い。この場合には、研磨するワークWのサイズ(例えば、SCタイプ:外径φ2.50mm×全長4.0mm)に合わせてワーク保持孔22の孔径を適宜変更したものを用意しておけば、これを交換するだけで一枚の治具盤本体21で様々なサイズのワークWに対応できる汎用性の高い治具盤となる。
【0036】
図5に示すように、本実施形態の治具盤20では、図10の治具盤4のようにワークWの側面を挟持する両壁面が治具盤本体5と押えブロック6という2部材による固定構造ではなく、ワークWの側面を治具盤本体21の上面から下面にかけて垂直に貫通形成されたワーク保持孔22の壁面で包囲する固定構造となっている。このため、同治具盤20によると、ワークWを挟持する壁面が同一部材で研磨盤33に対して常に垂直に保たれており、ワークWが治具盤本体21に対して傾いて固定されることがない。また、図5中矢印で示すように、ワークWの側面を挟持する壁面からの押圧力がワークWの軸方向において均等に作用することから、ワークWのガタツキや変形が起こることもない。このようにして、全てのワークW,W,…の端面W1,W1,…を治具盤本体21の下面から所定量突出させれば、研磨面Y1に対して水平な状態を保ったまま精度不良のない安定した研磨可能が可能となる。
【0037】
また、このようにして治具盤20に固定された複数個のワークW,W,…は、例えば図6乃至図8に示した端面研磨装置30に装着して自動で研磨することもできる。
【0038】
図6に示す端面研磨装置30は、装置本体31に設置された自転用モータ32−1と公転用モータ32−2の2つのモータで駆動する装置である。上述した治具盤20は、自転用モータ32−1による自転と公転用モータ32−2による公転とを行なう研磨盤33と対向する位置に着脱自在に装着される。
【0039】
図6に示すように、自転用モータ32−1の回転軸には第1自転伝達盤34−1が連結されている。第1自転伝達盤34−1の回転中心の同心円上には複数の連結ピン36a,36a,…が固定され、連結ピン36aはそれぞれ対応する回転伝達盤35の偏心部に回転可能に連結される。また、回転伝達盤35の偏心部にも同様に複数の連結ピン36b,36b,…が固定され、連結ピン36bはそれぞれ第2自転伝達盤34−2に回転可能に連結される。
【0040】
一方、公転用モータ32−2の回転軸には駆動ギア37−1が連結され、駆動ギア37−1はその外周で従動ギア37−2と噛み合っている。従動ギア37−2は公転伝達軸38の下端部外周に設けられ、公転伝達軸38の上端部外周には装置本体31の軸受部31−1が嵌合される。また、公転伝達軸38には、回転中心から所定量偏心した位置に自転用回転軸39が回転可能に軸支され、自転用回転軸39の下端部が上述した第2自転伝達盤34−2の中心と一致するように連結される。
【0041】
そして、自転用回転軸39の上端部には結合部材を介して研磨盤33が固定され、研磨盤33の上面には砥粒を固着した研磨シート33aが装着されている。また、装置本体31には支持機構部40が設けられており、同支持機構部40によってワークWを固定した治具盤20が研磨盤33上の研磨シート33aと対向する位置に装着される。
【0042】
次に、治具盤20を固定する支持機構部40の構造について図7と図8を参照しながら説明する。
【0043】
図7に示すように、装置本体31上には支柱41が立設されており、支柱41の外周に断面コ字状の支持ブロック42が回転可能に支持されている。支持ブロック42のコ字内には一対の支持軸43,43が立設され、各支持軸43は水平方向に延設された支持アーム44の後端部に垂直に貫通して、支持アーム44を水平状態のまま昇降自在に支持している。
【0044】
また、支持ブロック42の上部には操作ネジ45が螺合されており、操作ネジ45の先端部45−1は支持アーム44の後端部に垂直に貫通して係止ピン46によって抜け止めされる。操作ネジ45と支持アーム44との間には支持アーム44を下方に付勢する圧縮バネ47が介装されている。
【0045】
一方、支持アーム44の先端部は、断面矩形状の押圧ブロック48が支持アーム44に対して垂直に嵌合固定されている。また、押圧ブロック48の下端部外周にはフランジ部48−1が一体成形され、同押圧ブロック48に装着ブロック50を介して治具盤20を装着する構造となっている。
【0046】
すなわち、支持機構部40は、支持アーム44の後端部が圧縮バネ47で下方に付勢されると、支持アーム44の先端部に固定された押圧ブロック48が、装着ブロック50を介して治具盤20に固定されたワークWの端面を研磨盤33上の研磨シート33aに押し付けるように機能する。また、操作ネジ45を回転させて圧縮バネ47の付勢力を変えることで、支持アーム44先端部の押圧ブロック48による治具盤20の押圧力を可変できるようになっている。
【0047】
図7に示すように、装着ブロック50は、上面に凹部51aが形成された円盤状の台座51と、台座51の上面を塞ぐ台座カバー52との上下2分割体から構成される。
【0048】
台座51の底面には、治具盤本体21のボルト挿入孔21bと嵌合する位置に台座装着用のボルト挿入孔51bが設けられている。そして、ボルト挿入孔51b,21bに台座装着ボルト53を螺着することで、台座51と治具盤本体21とが固定される。
【0049】
また、台座カバー52は、図8に示すように円盤状の外周から切欠き幅の異なる2段の切欠き部52a,52bが設けられる。広幅の切欠き部52aは押圧ブロック48のフランジ部48aの外径よりも広く、一方、狭幅の切欠き部52bは同フランジ部48aの外径よりも狭くかつ押圧ブロック48の外径よりも広く設定される。
【0050】
そして、装着ブロック50が固定された治具盤20を図8中矢印で示す方向にスライド挿入することで、図7で示す台座カバー52の下面が押圧ブロック48のフランジ部48−1に懸吊され、治具盤20は自重によって支持アーム44と水平な状態を保ったまま装置本体31に装着される。よって、治具盤20に固定された複数個のワークW,W,…は研磨盤33上の研磨シート33aの研磨面Y1に対して垂直に位置決めされる。
【0051】
なお、本実施形態では、装着ブロック50を台座51と台座カバー52の2分割体から構成しているが両者を一体に成形しても良く、また、治具盤20と押圧ブロック48との固定構造は上記以外の構造を採用しても構わない。
【0052】
上記のようにして治具盤20を装着した端面研磨装置30は、自転用モータ32−1を駆動すると第1自転伝達盤34−1が回転し、第1自転伝達盤34−1の回転が回転伝達盤35と第2自転伝達盤34−2を介して自転用回転軸39に伝達し、自転用回転軸39が自転する。一方、公転用モータ32−2を駆動すると駆動ギア37−1が回転し、駆動ギア37−1の回転が従動ギア37−2を介して公転伝達軸38に伝達し、公転伝達軸38が所定偏心量だけ公転する。
【0053】
このように、自転用回転軸39の自転運動と公転伝達軸38の公転運動によって研磨盤33が自転しながら所定偏心量だけ公転する。一方、自転および公転する研磨盤33に対して、複数個のワークW,W,…を固定した治具盤20は、支持機構部40の押圧ブロック48によって回転方向の移動が規制されるとともに、支持機構部40の圧縮バネ47によって下方に付勢されることで、研磨盤33上の研磨シート33aに対して所定の圧力で押し付けられる。このようにして、複数個のワークW,W,…の端面W1,W1,…を研磨シート33aの研磨面Y1に対して常に水平な状態を保ったまま高精度な研磨加工を自動で行なうことができる。
【0054】
なお、上述した実施形態では、研磨盤が自転および公転して治具盤に固定されたワークの端面を研磨する端面研磨装置を例に挙げて説明したが、これとは逆に、研磨盤を固定したまま治具盤を回転駆動させてワークの端面を研磨する構造の端面研磨装置にも同様に適用できる。また、治具盤を研磨盤に対して相対的に移動させて研磨する手段としては、上述したような機械駆動による自動で行なっても良いが、手動で行なうことも可能である。
【0055】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る治具盤および端面研磨装置によれば、以下のような効果を奏する。
【0056】
(1)治具盤に固定するワークの固定構造として治具盤本体と締結部材の2部材からなる簡素化された構造を採用することで、ワークの固定と固定解除の操作が従来に比べて簡単に行なえるとともに、部品点数を削減することにより治具盤ならびに端面研磨装置全体の製造コストの低減を図ることができる。
【0057】
(2)治具盤に設けられたワーク保持孔が丸孔に形成されているため、固定したワークの側面に加わる押圧力が均等化され、ワークのガタツキ、傾き、偏摩耗による変形等を防いでワークを確実に固定することができる。
【0058】
(3)治具盤に設けられたワーク保持孔が治具盤本体の中心から放射状かつ等間隔の位置に複数個配設されているため、一枚の治具盤に複数個のワークを同時に固定して研磨作業の高効率化を図ることができるとともに、研磨盤から全てのワークにかかる荷重が均等となって研磨加工条件の安定化を図ることができる。
【0059】
(4)開閉溝の延長線上の治具盤本体に逃げ溝を延設し、逃げ溝の終端部に逃げ孔を開口する構造を採用することで、特にワーク固定時において、ワーク保持孔に生じる剪断応力が解放されて亀裂による破損等を未然に防ぐことができ、治具盤の耐久性が向上する。
【0060】
(5)ワーク固定手段が治具盤本体に対して着脱可能に構成されているため、ワークの外径サイズに合わせてワーク保持孔のサイズを適宜変更することができ、一枚の治具盤で様々なサイズのワークに対応できる汎用性の高い治具盤および端面研磨装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る治具盤の全体構造を示す平面図。
【図2】図1に示すII−II線断面図。
【図3】図1に示すA部拡大図。
【図4】図1に示すB矢視図。
【図5】本発明のワーク固定構造を示す模式図。
【図6】本発明に係る治具盤を装着した端面研磨装置の全体構造を示す断面図。
【図7】図6に示す部分拡大図。
【図8】図6に示すC矢視図。
【図9】光ファイバスタブの構造を示す断面図。
【図10】従来の治具盤の一例を示す平面図。
【図11】従来のワーク固定構造の不具合を示す模式図。
【符号の説明】
W…ワーク
W1…ワークの端面
Y1…研磨面
20…治具盤
21…治具盤本体
21a…ボルト挿入孔
21b…ボルト挿入孔
21C…治具盤本体の中心点
M1…ワーク固定手段
22…ワーク保持孔
23…開閉溝
23L…開閉溝の延長線
24…締結部材
M2…応力解放手段
25…逃げ溝
25−1…終端部
26…逃げ孔
30…端面研磨装置
31…装置本体
31−1…軸受部
32−1…自転用モータ
32−2…公転用モータ
33…研磨盤
33a…研磨シート
34−1…第1自転伝達盤
34−2…第2自転伝達盤
35…回転伝達盤
36a,36b…連結ピン
37−1…駆動ギア
37−2…従動ギア
38…公転伝達軸
39…自転用回転軸
40…支持機構部
41…支柱
42…支持ブロック
43…支持軸
44…支持アーム
45…操作ネジ
45−1…先端部
46…係止ピン
47…圧縮バネ
48…押圧ブロック
48−1…フランジ部
50…装着ブロック
51…台座
51a…凹部
51b…ボルト挿入孔
52…台座カバー
52a…広幅切欠き部
52b…狭幅切欠き部
53…台座装着ボルト
Claims (12)
- プレート状に成形された治具盤本体と、同治具盤本体に設けられて柱状のワークを固定するワーク固定手段と、を備えた治具盤であって、
上記ワーク固定手段は、
上記治具盤本体の上面から下面にかけて垂直に貫通形成され、上記ワークの側面を包囲するワーク保持孔と、
上記ワーク保持孔から上記治具盤本体の側面にかけて連通する開閉溝と、
上記治具盤本体の側面から上記開閉溝に交差して締結される締結部材と、を具備することを特徴とする治具盤。 - 上記ワーク保持孔が、丸孔に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の治具盤。
- 上記ワーク保持孔は、上記治具盤本体の中心点から放射状かつ等距離の位置に等間隔で複数個配設されていることを特徴とする請求項1に記載の治具盤。
- 上記ワーク固定手段は、上記開閉溝を開いて上記ワーク保持孔の孔径を拡張したときに生じる剪断応力を解放する応力解放手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の治具盤。
- 上記応力解放手段は、上記開閉溝の延長線上で治具盤本体の厚み方向に延設された逃げ溝と、同逃げ溝の終端部に開口された逃げ孔と、を備えた構造であることを特徴とする請求項4に記載の治具盤。
- 上記ワーク固定手段が、上記治具盤本体に対して着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の治具盤。
- 柱状のワークの端面を研磨する端面研磨装置であって、
装置本体に回転可能に支持される研磨盤と、
上記装置本体に着脱自在に装着され、プレート状の治具盤本体に上記ワークを固定するワーク固定手段を有する治具盤と、
上記治具盤に固定されたワークの端面を上記研磨盤に押圧しながら支持する支持機構部と、を備え、
上記ワーク固定手段は、
上記治具盤本体の上面から下面にかけて垂直に貫通形成され、上記ワークの側面を包囲するワーク保持孔と、
上記ワーク保持孔から上記治具盤本体の側面にかけて連通する開閉溝と、
上記治具盤本体の側面から上記開閉溝に交差して締結される締結部材と、を具備することを特徴とする端面研磨装置。 - 上記ワーク保持孔が丸孔に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の端面研磨装置。
- 上記ワーク保持孔は、上記治具盤本体の中心点から放射状かつ等距離の位置に等間隔で複数個配設されていることを特徴とする請求項7に記載の端面研磨装置。
- 上記ワーク固定手段は、上記開閉溝を開いて上記ワーク保持孔の孔径を拡張したときに生じる剪断応力を解放する応力解放手段を具備することを特徴とする請求項7に記載の端面研磨装置。
- 上記応力解放手段は、上記開閉溝の延長線上で治具盤本体の厚み方向に延設された逃げ溝と、同逃げ溝の終端部に開口された逃げ孔と、を備えた構造であることを特徴とする請求項10に記載の端面研磨装置。
- 上記ワーク固定手段が、上記治具盤本体に対して着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれかに記載の端面研磨装置。
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|---|---|---|---|
| JP2003094548A JP2004298992A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | 治具盤および端面研磨装置 |
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|---|---|
| JP2004298992A true JP2004298992A (ja) | 2004-10-28 |
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ID=33407081
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| JP2003094548A Pending JP2004298992A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | 治具盤および端面研磨装置 |
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|---|---|
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Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2003-03-31 JP JP2003094548A patent/JP2004298992A/ja active Pending
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