JP2004296581A - 光増幅装置およびその制御方法 - Google Patents
光増幅装置およびその制御方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004296581A JP2004296581A JP2003084297A JP2003084297A JP2004296581A JP 2004296581 A JP2004296581 A JP 2004296581A JP 2003084297 A JP2003084297 A JP 2003084297A JP 2003084297 A JP2003084297 A JP 2003084297A JP 2004296581 A JP2004296581 A JP 2004296581A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- optical
- amplifier
- optical amplifier
- gain
- level
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Lasers (AREA)
- Optical Communication System (AREA)
Abstract
【課題】光増幅装置に入力される光信号のチャネル数が最大より小さい場合において、光信号の伝送品質の低下を防止する。
【解決手段】光増幅装置には、複数の光増幅部110、120、130および140と1つ以上の可変光減衰器210および220とが配置され、可変光減衰器は光増幅部の間に接続される。利得一定制御部330は、入力された光信号のチャネル数nが最大チャネル数mより小さく、かつ光増幅装置への入力レベルが所定のしきい値を超えたときに、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、すべての光増幅部110、120、130および140による総利得がほぼ一定で、かつ最終段の光増幅部140の出力レベルがほぼ一定となるように、利得制御部310および減衰量制御部320を介して、光増幅部110、120、130および140の利得と可変光減衰器210および220の減衰量とを制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】光増幅装置には、複数の光増幅部110、120、130および140と1つ以上の可変光減衰器210および220とが配置され、可変光減衰器は光増幅部の間に接続される。利得一定制御部330は、入力された光信号のチャネル数nが最大チャネル数mより小さく、かつ光増幅装置への入力レベルが所定のしきい値を超えたときに、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、すべての光増幅部110、120、130および140による総利得がほぼ一定で、かつ最終段の光増幅部140の出力レベルがほぼ一定となるように、利得制御部310および減衰量制御部320を介して、光増幅部110、120、130および140の利得と可変光減衰器210および220の減衰量とを制御する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長多重化された光信号を増幅する光増幅装置およびその制御方法に関し、特に、入力される光信号に波長多重化されるチャネル数が、規定の最大チャネル数より少なくなった場合に好適な光増幅装置およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
WDM(Wavelength Division Multiplex)伝送システムに使用される光中継局では、EDFA(Erbium Doped Fiber Amplifier)を多段に接続する構成の光増幅装置が用いられている。このような光増幅装置では、伝送信号の品質を保ち、長距離の伝送を可能とするために、利得の波長特性を一定にする必要がある。このために、例えば利得等価器を用いて平坦な利得波長特性を補償している。
【0003】
一方、各段のEDFAの利得については、それらの総和が一定であれば、利得波長特性が平坦に保たれる。光増幅装置に入力される光信号の入力レベルが変動した場合には、光増幅装置内に配置した可変光減衰器を用いて、すべてのEDFAによる総利得がほぼ一定に保たれるように制御することで、利得を平坦化している。
【0004】
ここで、図13は、従来の光増幅装置の概略構成例を示す図である。
図13に示す光増幅装置は、例として4段の光増幅部510、520、530および540を具備し、第1段目の光増幅部510と第2段目の光増幅部520との間に可変光減衰器610が配置され、第3段目の光増幅部530と第4段目の光増幅部540との間に可変光減衰器620が配置されている。また、光増幅部520と光増幅部530との間には、分散補償器等の光機能デバイス700を接続することが可能となっている。この光増幅装置では、すべての光増幅部510、520、530および540による総利得がほぼ一定になるように、可変光減衰器610および620の減衰量が調整されることで、平坦な利得波長特性が保たれる。
【0005】
なお、従来の一般的な光増幅装置の例として、第1光増幅部および第2光増幅部と、これらの間に接続された光減衰部とを具備し、第1光増幅部の出力光目標値を変更する場合に、第1光増幅部の出力光目標値と変更後の第1光増幅部の出力光目標値との差分に応じて、光減衰部の減衰量を変化させることにより、より広い入力ダイナミックレンジと低雑音とが実現された光増幅装置があった(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、単体のEDFAとして適用可能な従来の光増幅装置の例として、光増幅器に対し、この光増幅器に入力される複数の信号光の波長の平均値に近似した波長の光を補償光源により発生させて、入力される複数の信号光に結合させて光増幅器に入力させ、入力される複数の信号光と補償光源の出力光の電力の総和が一定になるように補償光源を制御するような構成を有する光増幅装置があった(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−119085号公報(段落番号〔0027〕〜〔0045〕、第1図)
【特許文献2】
特開平11−220197号公報(段落番号〔0012〕〜〔0025〕、第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図13に示したような従来の光増幅装置では、低雑音化のために、第1段目の光増幅部510や第3段目の光増幅部530のEDFは、ほぼ利得飽和領域で使用されることが多い。しかし、これらの光増幅部510および530に対する入力レベルがある限界を超えて高くなった場合、光増幅部による励起光パワーに限界があることから、これらの光増幅部510および530の利得が減少し、これに伴って次段以降の光増幅部の入力レベルが低下する。ここで、一般に、光増幅装置の雑音指数(以下、NF(Noise Figure)と呼称する)は、第1段目の光増幅部に対する入力レベルが高く、次段以降の光増幅部に対する入力レベルが低いほど劣化する。このため、光増幅装置に対する入力レベルが増加した場合、あるいは接続された光機能デバイスの損失が少ない場合に、NFが増大してしまうことが問題となっていた。
【0009】
また、従来は、増幅する光信号のチャネル数が異なる場合にも、光増幅装置内の信号チャネルの平均レベルダイヤとして、チャネル数が最大のときのレベルダイヤを共通に用いていた。このため、上記のような構成の光増幅装置の全体に対する制御に関しては、入力レベルの上昇時あるいは低損失な光機能デバイスの接続時に、入力されるチャネル数の大小に応じたNFの改善対策がとられることはなかった。
【0010】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、入力される光信号のチャネル数が最大より小さい場合において、光信号の伝送品質の低下を防止することが可能な光増幅装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明の他の目的は、入力される光信号のチャネル数が最大より小さい場合において、光信号の伝送品質の低下を防止することが可能な光増幅装置の制御方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記課題を解決するために、図1に示すような光増幅装置が提供される。この光増幅装置は、波長多重化された光信号を増幅するためのものであり、希土類元素が添加された光ファイバを増幅媒体として具備する、それぞれ直列に配置された複数の光増幅部110、120、130および140と、前記光増幅部の間にそれぞれ配置されて光信号を減衰させる少なくとも1つの可変光減衰器210および220と、規定された波長多重化の最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)より、入力される光信号のチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)が少なくなり、その入力レベルが所定のしきい値を超えたときに、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、すべての前記光増幅部110、120、130および140による総利得がほぼ一定でかつ最終段の前記光増幅部140の出力レベルがほぼ一定となるように、前記光増幅部110、120、130および140の利得と前記可変光減衰器210および220の減衰量とを制御する制御部300とを有することを特徴とする。
【0013】
このような光増幅装置では、複数の光増幅部110、120、130および140と1つ以上の可変光減衰器210および220が配置され、可変光減衰器は光増幅部の間に接続される。ここで、入力される光信号のチャネル数が減少すると、各光増幅部110、120、130および140では、同じ励起光パワーを用いたときの1チャネル当たりの出力レベルを増加させることができる。このことから、入力された光信号のチャネル数nが最大チャネル数mより小さく、かつ光増幅装置への入力レベルが所定のしきい値を超えたときに、制御部300により、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、すべての光増幅部110、120、130および140による総利得がほぼ一定で、かつ最終段の光増幅部140の出力レベルがほぼ一定となるように、光増幅部110、120、130および140の利得と可変光減衰器210および220の減衰量とを制御することによって、出力レベルがm/n倍の近傍までの範囲で増加したものの次段以降に配置された光増幅部に対する入力レベルを上昇させることができる。
【0014】
また、本発明では、波長多重化された光信号を増幅する光増幅装置において、希土類元素が添加された光ファイバを増幅媒体として具備する、それぞれ直列に配置された複数の光増幅部と、前記光増幅部の間にそれぞれ配置されて光信号を減衰させる少なくとも1つの可変光減衰器と、伝送される光信号に対する損失を有し、前記光増幅部の間に配置された光機能デバイスと、規定された波長多重化の最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)より入力される光信号のチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)が少なくなり、前記光機能デバイスの損失が規定された最大値より少ないときに、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、すべての前記光増幅部による総利得がほぼ一定でかつ最終段の前記光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、前記光増幅部の利得と前記可変光減衰器の減衰量とを制御する制御部とを有することを特徴とする光増幅装置が提供される。
【0015】
このような光増幅装置では、複数の光増幅部、1つ以上の可変減衰器、および伝送信号に対する損失を有する光機能デバイスが配置され、可変光減衰器および光機能デバイスは、ともに光増幅部の間に接続される。また、光機能デバイスの損失が規定された最大値より少なくなるとその次段の光増幅部の入力レベルが上昇する。ここで、入力される光信号のチャネル数が減少すると、各光増幅部では、同じ励起光パワーを用いたときの1チャネル当たりの出力レベルを増加させることができる。このことから、入力された光信号のチャネル数nが最大チャネル数mより小さく、かつ光機能デバイスの損失が規定された最大値より少ないときに、制御部により、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、すべての光増幅部による総利得がほぼ一定で、かつ最終段の光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、光増幅部の利得と可変光減衰器の減衰量とを制御することによって、出力レベルがm/n倍の近傍までの範囲で増加したものの次段以降に配置された光増幅部に対する入力レベルを上昇させることができる。
【0016】
さらに、本発明では、希土類元素が添加された光ファイバを増幅媒体として具備して波長多重光信号を増幅する、それぞれ直列に配置された複数の光増幅部と、前記光増幅部の間にそれぞれ配置されて光信号を減衰させる少なくとも1つの可変光減衰器とから構成された光増幅装置の制御方法において、前記光増幅装置で規定された波長多重化の最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)より、入力される光信号のチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)が少なくなり、その入力レベルが所定のしきい値を超えたときに、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍まで増加させるとともに、すべての前記光増幅部による総利得がほぼ一定でかつ最終段の前記光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、前記光増幅部の利得と前記可変光減衰器の減衰量とを制御することを特徴とする光増幅装置の制御方法が提供される。
【0017】
ここで、複数の光増幅部と、光増幅部の間にそれぞれ配置された1つ以上の可変光減衰器とを具備する光増幅装置では、入力される光信号のチャネル数が減少すると、各光増幅部では、同じ励起光パワーを用いたときの1チャネル当たりの出力レベルを増加させることができる。このことから、本発明では、入力された光信号のチャネル数nが最大チャネル数mより小さく、かつ光増幅装置への入力レベルが所定のしきい値を超えたときに、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、すべての光増幅部による総利得がほぼ一定で、かつ最終段の光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、光増幅部の利得と可変光減衰器の減衰量とを制御することにより、出力レベルがm/n倍の近傍までの範囲で増加したものの次段以降に配置された光増幅部に対する入力レベルを上昇させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る光増幅装置の構成例を示す図である。
【0019】
図1に示す光増幅装置は、例えばWDM伝送システムにおける光中継局等に設けられて、複数の波長の光信号が波長多重化されたWDM信号を増幅する装置である。この光増幅装置は、4段の光増幅部110、120、130および140と、2つの可変光減衰器210および220と、これらを制御する制御部300とを具備している。また、制御部300は、利得制御部310と、減衰量制御部320と、利得一定制御部330とを具備している。また、可変光減衰器210は、第1段目の光増幅部110と第2段目の光増幅部120との間に接続され、可変光減衰器220は、第3段目の光増幅部130と第4段目の光増幅部140との間に接続されている。さらに、第2段目の光増幅部120と第3段目の光増幅部130との間には、光機能デバイス400を接続することが可能となっている。
【0020】
各光増幅部110、120、130および140は、増幅媒体として、希土類元素が添加された光ファイバを具備している。本実施の形態では例として、エルビウムが添加されたEDF(Erbium Doped Fiber)を増幅媒体として用いている。光増幅装置に入力された光信号は、各光増幅部110、120、130および140において増幅され、各可変光減衰器210および220において減衰する。また、光機能デバイス400は、伝送される光信号に対する損失を有しており、光機能デバイス400を通過した光信号は減衰する。なお、光機能デバイス400としては、例えば、分散補償器やOADM(Optical Add Drop Multiplexer)等を適用可能である。
【0021】
利得制御部310は、各光増幅部110、120、130および140における利得が、利得一定制御部330から与えられた目標値となるように制御する。減衰量制御部320は、光増幅部120および140からの出射光の光レベルがほぼ一定となるように、各可変光減衰器210および220における減衰量を制御する。
【0022】
利得一定制御部330は、各光増幅部110、120、130および140による総利得がほぼ一定になるように、利得制御部310に対して各光増幅部110、120、130および140に対する利得の目標値を与える。このような利得の制御が行われるとともに、減衰量制御部320の制御により最終段の光増幅部140の出力レベルがほぼ一定値に保たれることで、光増幅装置の利得波長特性が平坦化される。
【0023】
また、利得一定制御部330は、入力されたWDM信号に波長多重化された光信号のチャネル数情報を受信するとともに、第1段目の光増幅部110の入力レベルの検出信号を受信して、このチャネル数と入力レベルとに応じて、利得制御部310に与える利得の目標値を変化させるとともに、減衰量制御部320が設定する減衰量を制御する。
【0024】
具体的には、入力されるWDM信号に波長多重化された光信号のチャネル数が、この光増幅装置において規定された伝送可能な最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)である場合を基準とし、チャネル数情報により通知されたチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)がmより少なくなったときに、光増幅部110へのWDM信号の入力レベルに応じて、光増幅部120および130の一方または双方に対して、その出力レベルが最大m/n倍まで増加するように利得を設定する。また、同様にm>nとなり、光機能デバイス400の有する損失が所定値より少なくなった場合にも、光増幅部110、120および130のうちの少なくとも1つに対して、その出力レベルが最大でm/n倍まで増加するように利得を設定する。さらに、これらの制御を行う場合には、利得の設定と併せて、可変光減衰器210および220の減衰量について減衰量制御部320に指示する。このような制御により、伝送されるWDM信号に対して発生する雑音を低減する。
【0025】
なお、WDM信号の送信側からは、データとは別の周波数帯域に制御信号が波長多重化されて送信されており、この制御信号内にチャネル数情報が格納されて送信される。制御信号は、受信したWDM信号から分離された後、例えば、図1の光増幅装置と同じ光中継局等に設けられた監視制御部に供給され、チャネル数情報が抽出されて、利得一定制御部330に供給される。
【0026】
次に、図2は、光増幅部110および120の内部構成を示す図である。
図2に示すように、第1段目の光増幅部110は、光カプラ(CPL)111、112および113、EDF114、フォトダイオード(PD)115および116、レーザダイオード(LD)117を具備している。
【0027】
光カプラ111は、入力されたWDM信号を後段の光カプラ112とフォトダイオード115とに分配する。光カプラ112は、光カプラ111からのWDM信号とレーザダイオード117の出射光とを結合して、EDF114に出射する。EDF114は、レーザダイオード117の出射光を励起光としてWDM信号を増幅し、光カプラ113に出射する。光カプラ113は、EDF114からの出斜光を可変光減衰器210およびフォトダイオード116に分配する。
【0028】
フォトダイオード115および116は、それぞれ光カプラ111および113からのWDM信号を受光して電気信号に変換して利得制御部310に出力する。また、フォトダイオード115からの出力信号は、利得一定制御部330にも出力され、これにより光増幅装置に対するWDM信号の入力レベルが通知される。レーザダイオード117は、利得制御部310からの制御電流に応じてEDF114に対する励起光を発光して、光カプラ112に対して出射する。
【0029】
このような構成の光増幅部110では、WDM信号の入力レベルと出力レベルとがフォトダイオード115および116によって検出され、この検出値に基づいて、EDF114における利得が利得一定制御部330に指定された目標値となるように、レーザダイオード117による励起光の出力レベルが利得制御部310によって制御される。
【0030】
なお、WDM信号の伝送経路上には、例えば光アイソレータや光フィルタ等がさらに設けられてもよい。
一方、光増幅部120は、図2に示すように光増幅部110と同様の構成を有している。すなわち、光増幅部120では、可変光減衰器210からの出射光が、光カプラ121により光カプラ122とフォトダイオード125とに分配される。また、光カプラ122において、光カプラ121からのWDM信号とレーザダイオード127からの励起光とが結合され、この励起光によりEDF124を通過するWDM信号が増幅される。EDF124からの出射光は、光カプラ123によって光機能デバイス400とフォトダイオード126とに分配される。
【0031】
フォトダイオード125および126による検出信号は利得制御部310に出力され、利得制御部310は、これらの検出レベルに基づいて、EDF124における利得が指定された目標値となるように、レーザダイオード127による励起光の出力レベルを制御する。また、フォトダイオード126による検出信号は減衰量制御部320にも出力され、光増幅部120の出力レベルが減衰量制御部320に通知される。
【0032】
なお、図示しないが、光増幅部130および140も、上記の光増幅部110および120と同様の内部構成を有している。また、光増幅部130および140のそれぞれにおける入力信号および出力信号を受光したフォトダイオードの出力信号は、利得制御部310に出力され、このうち、光増幅部140の出射端において検出された信号は、さらに減衰量制御部320に対しても出力される。この出力信号と、光増幅部120のフォトダイオード126からの出力信号とを受けた減衰量制御部320は、各光増幅部120および140の出力レベルがほぼ一定となるように、可変光減衰器210および220の減衰量を制御する。
[入力レベル増加時の雑音低減制御]
次に、入力レベルが過剰に増加したときに、雑音の発生量を低減するための制御について、レベルダイヤの具体例を用いて説明する。なお、以下の図3、図4、図5および図6に示すレベルダイヤでは、光増幅装置内においてWDM信号が伝播する位置が、図1に示したA〜Hに対応している。はじめに、図3を用いて、このような場合に従来行われていた制御について説明し、この図3を参考にして本発明の原理を説明する。
【0033】
図3は、入力レベルが変動した場合の従来の光増幅装置におけるレベルダイヤの例を示す図である。
図3では、最大チャネル数mの光信号が波長多重化されたWDM信号が入力された場合のレベルダイヤの例を示している。この図3において、破線で示したレベルダイヤL1は、光増幅部110に対するWDM信号の入力レベルが、設定されたしきい値Pthより低い場合の光パワーの遷移の例を示している。また、実線で示したレベルダイヤL2は、WDM信号の入力レベルがしきい値Pthより高くなった場合の光パワーの遷移の例を示している。なお、光機能デバイス400から光増幅部130までの区間、すなわちD〜Fまでの区間の光パワーは、入力レベルの変動の前後で変化がないため、ともに実線で表している。ここで、入力レベルのしきい値Pthは、第1段目の光増幅部110が最大の利得を発生し得る入力レベルの最大値を示している。
【0034】
フォトダイオード115により検出される入力レベルがしきい値Pth以下となる動作状態において、光増幅装置では、入力レベルの変化に応じてすべての光増幅部110、120、130および140による総利得がほぼ一定でかつ光増幅部140の出力レベルがほぼ一定となるように可変光減衰器210および220が制御される。このとき、光増幅部110、120、130および140の入力レベルをそれぞれP1in、P2in、P3inおよびP4in、出力レベルをそれぞれP1out、P2out、P3outおよびP4outとすると、以下の式(1)の関係が常にほぼ成立している。
【0035】
【数1】
(P1out−P1in)+(P2out−P2in)+(P3out−P3in)+(P4out−P4in)=Pa ………(1)
ただし、PaはPa>0を満たす一定値を示す。このような入力レベルがしきい値Pth以下の動作状態では、第1段目の光増幅部110は、低雑音化のために、EDF114の利得がほぼ飽和領域となるように使用されている。
【0036】
一方、入力レベルがしきい値Pthを超えると、光増幅部110の利得が低下して、その出力レベルP1outAがある一定の値より高くならなくなる。このとき、光増幅部110、120、130および140のそれぞれの入力レベルをP1inA、P2inA、P3inAおよびP4inA、出力レベルをP1outA、P2outA、P3outAおよびP4outAとすると、入力レベル増加後のレベルダイヤL2では、以下の式(2)の関係が常にほぼ成立している。
【0037】
【数2】
(P1outA−P1inA)+(P2outA−P2inA)+(P3outA−P3inA)+(P4outA−P4inA)=Pa ………(2)
ところで、各光増幅部110、120、130および140におけるNF(雑音係数)をNF1、NF2、NF3およびNF4とすると、この光増幅装置全体のNFは、以下の式(3)のようになる。
【0038】
【数3】
【0039】
この式(3)を参照すると、各光増幅部110、120、130および140におけるNFは、入力レベルの変化と比較して小さいことから、第1段目の光増幅部110への入力レベルが高いほど、また、第2段目以降の光増幅部120、130および140への入力レベルが低いほど、NFの値が高くなることがわかる。ここで、図3において、通常動作時のレベルダイヤL1と比較して、入力レベルがしきい値Pthより増加した場合のレベルダイヤL2では、光増幅部110への入力レベルが増加した上に、光増幅部120および140への入力レベルが低下しており、NFが大きく劣化する。従って、NFの劣化を低減するためには、第2段目以降の光増幅部120、130および140への入力レベルを高くする必要がある。
【0040】
ところで、各光増幅部110、120、130および140における出力レベルは、多重化された光信号のチャネル数に比例する。このため、入力される光信号のチャネル数が減少した場合、各光増幅部110、120、130および140では、同じ励起光パワーを用いたときの1チャネル当たりの出力レベルを増加させることができる。具体的には、最大チャネル数mのWDM信号が入力されたときに最大の利得が発生されるように設定されているものとすると、実際に入力されたWDM信号のチャネル数nがn<mとなったとき、同じ励起光パワーを用いることで、各光増幅部110、120、130および140の出力レベルを最大m/n倍に増加させることができる。
【0041】
ここで、最終段の光増幅部140の出力レベルは一定とする必要があることから、n<mの場合には、図3のレベルダイヤL2を基準として、最終段以外の光増幅部110、120および130のうちの少なくとも1つの出力レベルを、最大でm/n倍となる範囲内で増加させることが可能である。これにより、出力レベルが増加した位置より後段の光増幅部における入力レベルを増加させることができ、NFを低減することが可能となる。なお、しきい値Pthの設定値と実際の光増幅部110の増幅能力との差や、各光増幅部110、120および130の有する実際の増幅能力によっては、m/n倍をわずかに上回る出力レベルまで増加させることが可能な場合もある。
【0042】
以下、n<mのときに入力レベルが極端に増加した場合において、NFを低減するための光増幅装置における制御例について、レベルダイヤを用いて具体的に説明する。なお、以下の図4〜図6では、n<mのときに適用可能なレベルダイヤを実線で示すとともに、比較のためにn=mのときに適用されるレベルダイヤL2を破線で示す。また、入力されるチャネル数にかかわらずレベル変化のない区間では、実線のみ表している。
【0043】
図4は、入力増加時に適用可能な第1のレベルダイヤの例を示す図である。
図4では、n<mのときに、第3段目の光増幅部130の出力レベルを最大でm/n倍まで増加させる場合の制御例について示している。この図4において、n<mのときに適用するレベルダイヤL3では、第3段目の光増幅部130の利得目標値を、n=mのときのm/n倍に設定している。
【0044】
利得一定制御部330は、供給されたチャネル数情報よりn<mであることを判断し、かつ、光増幅部110の入力レベルがしきい値Pthを超えたと判断した場合に、光増幅部130の利得目標値をm/n倍とするように利得制御部310に対して設定する。また、最終段の光増幅部140の出力レベルP4outがほぼ一定値に保たれ、かつすべての光増幅部110、120、130および140による総利得が、入力レベル変動の前後でほとんど変化しないように、利得制御部310および減衰量制御部320を制御する。図4のレベルダイヤL3の場合は、光増幅部130の利得の変化に応じて、最終段の光増幅部140の利得のみが変化するように制御している。このような制御により、光増幅部140への入力レベルP4inBが、n=mの場合の入力レベルP4inAより増加するため、NFの値が低減される。
【0045】
図5は、入力増加時に適用可能な第2のレベルダイヤ例を示す図である。
図5では、n<mのときに、第2段目の光増幅部120の出力レベルを最大でm/n倍まで増加させる場合の制御例について示している。この図5において、n<mのときに適用するレベルダイヤL4では、第2段目の光増幅部120の利得目標値をn=mのときのm/n倍に設定するとともに、第3段目の光増幅部130の利得目標値を1/(m/n)倍に設定して、可変光減衰器220の減衰量および光増幅部140の利得がほとんど変化しないようにしている。また、レベルダイヤL3の場合と同様に、最終段の光増幅部140の出力レベルP4outがほぼ一定値に保たれ、かつすべての光増幅部110、120、130および140による総利得が、入力レベル変動の前後でほとんど変化しないように制御している。このような制御により、光増幅部130への入力レベルP3inCが、n=mの場合の入力レベルP3inより増加するため、NFの値が低減される。
【0046】
図6は、入力増加時に適用可能な第3のレベルダイヤ例を示す図である。
図6では、n<mのときに、第2段目の光増幅部120と第3段目の光増幅部130の出力レベルをそれぞれ最大でm/n倍まで増加させる場合の制御例について示している。この図6において、n<mのときに適用するレベルダイヤL5では、第2段目の光増幅部120の利得目標値をn=mのときのm/n倍に設定するとともに、第3段目の光増幅部130の利得がほとんど変化しないように制御している。また、レベルダイヤL3およびL4の場合と同様に、最終段の光増幅部140の出力レベルP4outがほぼ一定値を保たれ、かつすべての光増幅部110、120、130および140による総利得が、入力レベル変動の前後でほとんど変化しないように制御している。
【0047】
このような制御により、光増幅部130への入力レベルP3inDとともに、光増幅部140への入力レベルP4inDが、n=mの場合のそれぞれの入力レベルP3inおよびP4inAより増加するため、上記のレベルダイヤL3およびL4を用いた場合と比較して、NFの値をより大きく低減することができる。
【0048】
ここで、以上のような制御を行った場合のNFの具体的な測定例を示す。図7は、入力増加時におけるNFの測定例を示す図である。
図7では、n=mの場合に適用するレベルダイヤL3、上記のレベルダイヤL4、L5およびL6をそれぞれ適用した場合のNFのシミュレーション結果を示している。このシミュレーションでは、最大チャネル数mを40、入力させたチャネル数nを10と設定した。また、入力レベルのしきい値Pthは、−35dBm/ch〜−30dBm/chの範囲内に設定される。
【0049】
この図7に示すシミュレーション結果によれば、入力レベルが12dB増加したとき、レベルダイヤL4、L5およびL6を適用することで、NFの値がそれぞれ0.6dB、1.3dB、2.1dBだけ低減され、雑音のより少ない光増幅装置が実現されている。
【0050】
また、これらの結果より、2つの光増幅部120および130の出力レベルを増加させたレベルダイヤL6の適用時が最もNFが大きく低下することがわかるが、1つの光増幅部のみ出力レベルを増加させる場合に限れば、レベルダイヤL5の場合のように、より前段の光増幅部の出力レベルを増加させる方が、NFを大きく低減できることがわかる。これらのレベルダイヤの選択や、最大m/n倍までの範囲での実際の出力レベル増加量は、このとき発生している雑音の量や、接続された光機能デバイス400の有する損失の量、各光増幅部110、120および130の増幅能力や消費電力等に応じて適宜設定されることが望ましい。[光機能デバイスの損失低下時の雑音低減制御]
ところで、以上の実施の形態では、第1段目の光増幅部110への入力レベル増加に伴って雑音が増加してしまう場合について説明したが、この他に例えば、第3段目の光増幅部130への入力レベルが極端に増加した場合にも、雑音が増加する。このような状態は、例えば、光機能デバイス400として損失が極端に少ないものが接続された場合に起こり得る。
【0051】
以下、このような場合に雑音を低減するための制御について、上記と同様にベルダイヤの具体例を用いて説明する。なお、以下の図8、図9、図10および図11に示すレベルダイヤでも、光増幅装置内においてWDM信号が伝播する位置が図1に示したA〜Hに対応している。はじめに、図8を用いて、このような場合に従来行われていた制御について説明する。
【0052】
図8は、光機能デバイスの損失が低下した場合の従来の光増幅装置におけるレベルダイヤの例を示す図である。
図8では、最大チャネル数mの光信号が波長多重化されたWDM信号が入力された場合のレベルダイヤの例を示している。この図8において、破線で示したレベルダイヤL1は、光機能デバイス400として、その損失があらかじめ規定された最大値となるものが接続された場合の光パワーの遷移の例である。
【0053】
これに対して、損失が最大値より小さい光機能デバイス400が接続されると、図8において実線で示したレベルダイヤL6のように、光機能デバイス400の後段に配置された光増幅部130の入力レベルP3inEが増加してしまう。このとき、例えば光増幅部110への入力レベルの増加等により、光増幅部130が能力上、出力レベルP3outを増加させることができなくなると、可変光減衰器210および220の減衰量が増加されて、すべての光増幅部110、120、130および140による総利得をほぼ一定に保つように制御される。すなわち、各光増幅部110、120、130および140の入力レベルをP1in、P2inE、P3inEおよびP4inE、出力レベルをP1out、P2out、P3outおよびP4outとすると、光機能デバイス400の損失低下後のレベルダイヤL6では、以下の式(4)の関係が常にほぼ成立している。
【0054】
【数4】
(P1out−P1in)+(P2out−P2inE)+(P3out−P3inE)+(P4out−P4inE)=Pa ………(4)
このような制御により、図8に示すように、光増幅部120および140への入力レベルP2inEおよびP4inEが低下するため、NFの値が劣化してしまう。
【0055】
ところで、このように、接続された光機能デバイス400の損失が極端に低下した場合でも、上述した入力レベルの増加時と同様に、入力されたWDM信号に波長多重化されたチャネル数nが最大チャネル数mより少なくなったとき、各光増幅部110、120、130および140では、同じ励起光パワーを用いた場合の1チャネル当たりの出力レベルを増加させることができる。従って、n<mとなったときは、最終段の光増幅部140を除く光増幅部110、120および130の出力レベルを、最大でm/n倍まで増加させることにより、NFの値を低減することができる。
【0056】
以下、n<mのときに光機能デバイス400の損失が極端に低い場合において、NFを低減するための光増幅装置における制御例について、レベルダイヤを用いて具体的に説明する。なお、以下の図9〜図11では、n<mのときに適用可能なレベルダイヤを実線で示すとともに、比較のためにn=mのときに適用されるレベルダイヤL6を破線で示す。また、入力されるチャネル数にかかわらずレベル変化のない区間では、実線のみ表している。
【0057】
図9は、光機能デバイスの損失低下時に適用可能な第1のレベルダイヤの例を示す図である。
図9では、n<mのときに、第3段目の光増幅部130の出力レベルを最大でm/n倍まで増加させる場合の制御例について示している。この図9において、n<mのときに適用するレベルダイヤL7では、第3段目の光増幅部130の利得目標値を、n=mのときのm/n倍に設定している。
【0058】
利得一定制御部330は、供給されたチャネル数情報よりn<mであることを判断し、かつ、損失が最大値以下である光機能デバイス400が接続されたと判断した場合に、光増幅部130の利得目標値をm/n倍とするように利得制御部310に対して設定する。また、最終段の光増幅部123の出力レベルP4outがほぼ一定値に保たれ、かつすべての光増幅部110、120、130および140による総利得がほぼ一定となるように、利得制御部310および減衰量制御部320を制御する。図9のレベルダイヤL7の場合は、光増幅部130の利得の変化に応じて、最終段の光増幅部140の利得のみが変化するように制御している。
【0059】
このような制御により、光増幅部140への入力レベルP4inFが、n=mの場合の入力レベルP4inEより増加するため、NFの値が低減される。なお、この制御は、光増幅部130の増幅能力に余力がある範囲内で行うことが可能である。
【0060】
図10は、光機能デバイスの損失低下時に適用可能な第2のレベルダイヤ例を示す図である。
図10では、n<mのときに、第2段目の光増幅部120の出力レベルを最大でm/n倍まで増加させる場合の制御例について示している。この図10において、n<mのときに適用するレベルダイヤL8では、第2段目の光増幅部120の利得目標値をn=mのときのm/n倍に設定するとともに、第3段目の光増幅部130の利得目標値を1/(m/n)倍に設定して、可変光減衰器220の減衰量および光増幅部140の利得がほとんど変化しないようにしている。また、レベルダイヤL7の場合と同様に、最終段の光増幅部140の出力レベルP4outがほぼ一定値に保たれ、かつすべての光増幅部110、120、130および140による総利得が、入力レベル変動の前後でほとんど変化しないように制御している。
【0061】
このような制御により、光増幅部130への入力レベルP3inGが、n=mの場合の入力レベルP3inEより増加するため、NFの値が低減される。この制御は、光増幅部130の出力レベルP3outを変化させないため、最も一般的に実施することが可能である。
【0062】
図11は、光機能デバイスの損失低下時に適用可能な第3のレベルダイヤ例を示す図である。
図11では、n<mのときに、第2段目の光増幅部120と第3段目の光増幅部130の出力レベルをそれぞれ最大でm/n倍まで増加させる場合の制御例について示している。この図11において、n<mのときに適用するレベルダイヤL9では、第2段目の光増幅部120の利得目標値をn=mのときのm/n倍に設定するとともに、第3段目の光増幅部130の利得がほとんど変化しないように制御している。また、レベルダイヤL7およびL8の場合と同様に、最終段の光増幅部140の出力レベルP4outがほぼ一定値に保たれ、かつすべての光増幅部110、120、130および140による総利得が、入力レベル変動の前後でほとんど変化しないように制御している。
【0063】
この制御では、光増幅部130における出力レベルP3outHを、目標の値まで増加させることができないことが多い。この場合、図11のように、光増幅部130の利得が低下して、その分だけ光増幅部140の利得が上昇されるとともに、可変光減衰器220の減衰量が小さく設定される。このような制御により、光増幅部130への入力レベルP3inHとともに、光増幅部140への入力レベルP4inHが、n=mの場合のそれぞれの入力レベルP3inEおよびP4inEより増加するため、上記のレベルダイヤL7およびL8を用いた場合と比較して、NFの値をより大きく低減することができる。
【0064】
ここで、以上のような制御を行った場合のNFの具体的な測定例を示す。図12は、光機能デバイス400の損失低下時におけるNFの測定例を示す図である。
【0065】
図12では、n=mの場合に適用するレベルダイヤL6、上記のレベルダイヤL7、L8およびL9をそれぞれ適用した場合のNFのシミュレーション結果を示している。このシミュレーションでは、最大チャネル数mを40、入力させたチャネル数nを10と設定した。また、接続された光機能デバイス400の損失を、規定された最大値より4dBだけ小さい値に設定している。
【0066】
この図12に示すシミュレーション結果によれば、光増幅装置への入力レベルが12dB増加したとき、レベルダイヤL7、L8およびL9を適用することで、NFの値がそれぞれ0.7dB、0.9dB、1.8dBだけ低減され、2つの光増幅部120および130の出力レベルを増加させたレベルダイヤL9の適用時に、NFを最も大きく低下させることが可能となる。これらのレベルダイヤの選択や、最大m/n倍までの範囲での実際の出力レベル増加量は、このとき発生している雑音の量や、接続された光機能デバイス400の有する損失の量、各光増幅部110、120および130の増幅能力や消費電力等に応じて適宜設定されることが望ましい。
【0067】
なお、以上説明した本発明の実施の形態例では、4段の光増幅部が設けられた場合について説明したが、本発明は、複数段の光増幅部と、光増幅部の間にそれぞれ配置された1つ以上の可変光減衰器とを具備する光増幅装置に対して、一般的に適用することが可能である。すなわち、このような光増幅装置において、n<mで、かつ、入力レベルが極端に増加した場合、あるいは接続された光機能デバイスの損失が極端に低い場合に、最終段以外の少なくとも1つの光増幅部の出力レベルが最大でm/n倍の近傍となり、すべての光増幅部による総利得がほぼ一定でかつ最終段の光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、各光増幅部の利得と可変光減衰器の減衰量とを制御すればよい。
【0068】
(付記1) 波長多重化された光信号を増幅する光増幅装置において、
希土類元素が添加された光ファイバを増幅媒体として具備する、それぞれ直列に配置された複数の光増幅部と、
前記光増幅部の間にそれぞれ配置されて光信号を減衰させる少なくとも1つの可変光減衰器と、
規定された波長多重化の最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)より、入力される光信号のチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)が少なくなり、その入力レベルが所定のしきい値を超えたときに、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、すべての前記光増幅部による総利得がほぼ一定でかつ最終段の前記光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、前記光増幅部の利得と前記可変光減衰器の減衰量とを制御する制御部と、
を有することを特徴とする光増幅装置。
【0069】
(付記2) 前記しきい値は、第1段目の前記光増幅部が最大の利得を発生し得る入力レベルの最大値の近傍に設定されることを特徴とする付記2記載の光増幅装置。
【0070】
(付記3) 任意の隣接する前記光増幅部の間に、伝送される光信号に対する損失を有する機能デバイスがさらに接続されたことを特徴とする付記2記載の光増幅装置。
【0071】
(付記4) 波長多重化された光信号を増幅する光増幅装置において、
希土類元素が添加された光ファイバを増幅媒体として具備する、それぞれ直列に配置された複数の光増幅部と、
前記光増幅部の間にそれぞれ配置されて光信号を減衰させる少なくとも1つの可変光減衰器と、
伝送される光信号に対する損失を有し、前記光増幅部の間に配置された光機能デバイスと、
規定された波長多重化の最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)より、入力される光信号のチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)が少なくなり、前記光機能デバイスの損失が規定された最大値より少ないときに、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、すべての前記光増幅部による総利得がほぼ一定でかつ最終段の前記光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、前記光増幅部の利得と前記可変光減衰器の減衰量とを制御する制御部と、
を有することを特徴とする光増幅装置。
【0072】
(付記5) 波長多重化された光信号を増幅する光増幅装置において、
希土類元素が添加された光ファイバを増幅媒体としてそれぞれ具備する、直列に配置された第1、第2、第3および第4の光増幅部と、
前記第1の光増幅部と前記第2の光増幅部との間、および前記第3の光増幅部と前記第4の光増幅部との間にそれぞれ配置されて光信号を減衰させる第1および第2の可変光減衰器と、
伝送される光信号に対する損失を有し、前記第2の光増幅部と前記第3の光増幅部との間に接続可能とされた光機能デバイスと、
規定された波長多重化の最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)より、前記第1の光増幅部に入力される光信号のチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)が少なくなり、その入力レベルが所定のしきい値を超えたときに、前記第1、第2および前記第3の光増幅部のうちの少なくとも1つの出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、前記第1〜第4の光増幅部による総利得がほぼ一定でかつ前記第4の光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、前記第1〜第4の光増幅部の利得と前記可変光減衰器の減衰量とを制御する制御部と、
を有することを特徴とする光増幅装置。
【0073】
(付記6) 前記制御部は、n<mでかつ前記第1の光増幅部に対する入力レベルが前記しきい値を超えたとき、前記第3の光増幅部に対してその出力レベルが最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加するように利得を設定し、前記第4の光増幅部の利得を適宜低下させることを特徴とする付記5記載の光増幅装置。
【0074】
(付記7) 前記制御部は、n<mでかつ前記第1の光増幅部に対する入力レベルが前記しきい値を超えたとき、前記第2の光増幅部に対してその出力レベルが最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加するように利得を設定し、前記第3の光増幅部の利得を適宜低下させることを特徴とする付記5記載の光増幅装置。
【0075】
(付記8) 前記制御部は、n<mでかつ前記第1の光増幅部に対する入力レベルが前記しきい値を超えたとき、前記第2および前記第3の光増幅部に対してそれぞれの出力レベルが最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加するように利得を設定し、前記第4の光増幅部の利得を適宜低下させることを特徴とする付記5記載の光増幅装置。
【0076】
(付記9) 前記しきい値は、前記第1の光増幅部が最大の利得を発生し得る入力レベルの最大値の近傍に設定されることを特徴とする付記5記載の光増幅装置。
【0077】
(付記10) 波長多重化された光信号を増幅する光増幅装置において、
希土類元素が添加された光ファイバを増幅媒体としてそれぞれ具備する、直列に配置された第1、第2、第3および第4の光増幅部と、
前記第1の光増幅部と前記第2の光増幅部との間、および前記第3の光増幅部と前記第4の光増幅部との間にそれぞれ配置されて光信号を減衰させる第1および第2の可変光減衰器と、
伝送される光信号に対する損失を有し、前記第2の光増幅部と前記第3の光増幅部との間に配置された光機能デバイスと、
規定された波長多重化の最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)より、前記第1の光増幅部に入力される光信号のチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)が少なくなり、前記光機能デバイスの損失が規定された最大値より少ないときに、前記第1〜第3の光増幅部のうちの少なくとも1つの出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、前記第1〜第4の光増幅部による総利得がほぼ一定でかつ前記第4の光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、前記第1〜第4の光増幅部の利得と前記可変光減衰器の減衰量とを制御する制御部と、
を有することを特徴とする光増幅装置。
【0078】
(付記11) 前記制御部は、n<mでかつ前記光機能デバイスの損失が規定された最大値より少ないとき、前記第3の光増幅部に対してその出力レベルが最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加するように利得を設定し、前記第4の光増幅部の利得を適宜低下させることを特徴とする付記10記載の光増幅装置。
【0079】
(付記12) 前記制御部は、n<mでかつ前記光機能デバイスの損失が規定された最大値より少ないとき、前記第2の光増幅部に対してその出力レベルが最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加するように利得を設定し、前記第3の光増幅部の利得を適宜低下させることを特徴とする付記10記載の光増幅装置。
【0080】
(付記13) 前記制御部は、n<mでかつ前記光機能デバイスの損失が規定された最大値より少ないとき、前記第2および第3の光増幅部に対してそれぞれの出力レベルが最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加するように利得を設定し、前記第2の可変光減衰器の減衰量と前記第4の光増幅部の利得とを適宜低下させることを特徴とする付記10記載の光増幅装置。
【0081】
(付記14) 希土類元素が添加された光ファイバを増幅媒体として具備して波長多重光信号を増幅する、それぞれ直列に配置された複数の光増幅部と、前記光増幅部の間にそれぞれ配置されて光信号を減衰させる少なくとも1つの可変光減衰器とから構成された光増幅装置の制御方法において、
前記光増幅装置で規定された波長多重化の最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)より、入力される光信号のチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)が少なくなり、その入力レベルが所定のしきい値を超えたときに、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、すべての前記光増幅部による総利得がほぼ一定でかつ最終段の前記光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、前記光増幅部の利得と前記可変光減衰器の減衰量とを制御する、
ことを特徴とする光増幅装置の制御方法。
【0082】
(付記15) 希土類元素が添加された光ファイバを増幅媒体として具備して波長多重光信号を増幅する、それぞれ直列に配置された複数の光増幅部と、前記光増幅部の間にそれぞれ配置されて光信号を減衰させる少なくとも1つの可変光減衰器と、伝送される光信号に対する損失を有し、前記光増幅部の間に配置された光機能デバイスとから構成された光増幅装置の制御方法において、
規定された波長多重化の最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)より、入力される光信号のチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)が少なくなり、前記光機能デバイスの損失が規定された最大値より少ないときに、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、すべての前記光増幅部による総利得がほぼ一定でかつ最終段の前記光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、前記光増幅部の利得と前記可変光減衰器の減衰量とを制御する、
ことを特徴とする光増幅装置の制御方法。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光増幅装置では、入力された光信号のチャネル数nが最大チャネル数mより小さく、かつ光増幅装置への入力レベルが所定のしきい値を超えた場合に、最終段を除く少なくとも1つの光増幅部の出力レベルを最大でm/n倍の近傍まで増加させることにより、この光増幅部の次段以降に配置された光増幅部に対する入力レベルを上昇させることができるため、雑音の発生量を減少させることができる。
【0084】
また、伝送信号に対する損失を有する機能デバイスが光増幅部の間にさらに設けられた構成を有する場合に、入力された光信号のチャネル数nが最大チャネル数mより小さく、かつ光機能デバイスの損失が規定された最大値より少ないときに、最終段を除く少なくとも1つの光増幅部の出力レベルを最大でm/n倍の近傍まで増加させると、この光増幅部の次段以降に配置された光増幅部に対する入力レベルを上昇させることができるため、雑音の発生量を減少させることができる。
【0085】
さらに、本発明の光増幅装置の制御方法では、入力された光信号のチャネル数nが最大チャネル数mより小さく、かつ光増幅装置への入力レベルが所定のしきい値を超えた場合に、最終段を除く少なくとも1つの光増幅部の出力レベルを最大でm/n倍の近傍まで増加させると、この光増幅部の次段以降に配置された光増幅部に対する入力レベルを上昇させることができるため、雑音の発生量を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る光増幅装置の構成例を示す図である。
【図2】第1段目および第2段目の光増幅部の内部構成を示す図である。
【図3】入力レベルが変動した場合の従来の光増幅装置におけるレベルダイヤの例を示す図である。
【図4】入力増加時に適用可能な第1のレベルダイヤの例を示す図である。
【図5】入力増加時に適用可能な第2のレベルダイヤの例を示す図である。
【図6】入力増加時に適用可能な第3のレベルダイヤの例を示す図である。
【図7】入力増加時におけるNFの測定例を示す図である。
【図8】光機能デバイスの損失が低下した場合の従来の光増幅装置におけるレベルダイヤの例を示す図である。
【図9】光機能デバイスの損失低下時に適用可能な第1のレベルダイヤの例を示す図である。
【図10】光機能デバイスの損失低下時に適用可能な第2のレベルダイヤの例を示す図である。
【図11】光機能デバイスの損失低下時に適用可能な第3のレベルダイヤの例を示す図である。
【図12】光機能デバイスの損失低下時におけるNFの測定例を示す図である。
【図13】従来の光増幅装置の概略構成例を示す図である。
【符号の説明】
110、120、130、140 光増幅部
111、112、113、121、122、123 光カプラ
114、124 EDF
115、116、125、126 フォトダイオード
117、127 レーザダイオード
210、220 可変光減衰器
300 制御部
310 利得制御部
320 減衰量制御部
330 利得一定制御部
400 光機能デバイス
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長多重化された光信号を増幅する光増幅装置およびその制御方法に関し、特に、入力される光信号に波長多重化されるチャネル数が、規定の最大チャネル数より少なくなった場合に好適な光増幅装置およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
WDM(Wavelength Division Multiplex)伝送システムに使用される光中継局では、EDFA(Erbium Doped Fiber Amplifier)を多段に接続する構成の光増幅装置が用いられている。このような光増幅装置では、伝送信号の品質を保ち、長距離の伝送を可能とするために、利得の波長特性を一定にする必要がある。このために、例えば利得等価器を用いて平坦な利得波長特性を補償している。
【0003】
一方、各段のEDFAの利得については、それらの総和が一定であれば、利得波長特性が平坦に保たれる。光増幅装置に入力される光信号の入力レベルが変動した場合には、光増幅装置内に配置した可変光減衰器を用いて、すべてのEDFAによる総利得がほぼ一定に保たれるように制御することで、利得を平坦化している。
【0004】
ここで、図13は、従来の光増幅装置の概略構成例を示す図である。
図13に示す光増幅装置は、例として4段の光増幅部510、520、530および540を具備し、第1段目の光増幅部510と第2段目の光増幅部520との間に可変光減衰器610が配置され、第3段目の光増幅部530と第4段目の光増幅部540との間に可変光減衰器620が配置されている。また、光増幅部520と光増幅部530との間には、分散補償器等の光機能デバイス700を接続することが可能となっている。この光増幅装置では、すべての光増幅部510、520、530および540による総利得がほぼ一定になるように、可変光減衰器610および620の減衰量が調整されることで、平坦な利得波長特性が保たれる。
【0005】
なお、従来の一般的な光増幅装置の例として、第1光増幅部および第2光増幅部と、これらの間に接続された光減衰部とを具備し、第1光増幅部の出力光目標値を変更する場合に、第1光増幅部の出力光目標値と変更後の第1光増幅部の出力光目標値との差分に応じて、光減衰部の減衰量を変化させることにより、より広い入力ダイナミックレンジと低雑音とが実現された光増幅装置があった(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、単体のEDFAとして適用可能な従来の光増幅装置の例として、光増幅器に対し、この光増幅器に入力される複数の信号光の波長の平均値に近似した波長の光を補償光源により発生させて、入力される複数の信号光に結合させて光増幅器に入力させ、入力される複数の信号光と補償光源の出力光の電力の総和が一定になるように補償光源を制御するような構成を有する光増幅装置があった(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−119085号公報(段落番号〔0027〕〜〔0045〕、第1図)
【特許文献2】
特開平11−220197号公報(段落番号〔0012〕〜〔0025〕、第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図13に示したような従来の光増幅装置では、低雑音化のために、第1段目の光増幅部510や第3段目の光増幅部530のEDFは、ほぼ利得飽和領域で使用されることが多い。しかし、これらの光増幅部510および530に対する入力レベルがある限界を超えて高くなった場合、光増幅部による励起光パワーに限界があることから、これらの光増幅部510および530の利得が減少し、これに伴って次段以降の光増幅部の入力レベルが低下する。ここで、一般に、光増幅装置の雑音指数(以下、NF(Noise Figure)と呼称する)は、第1段目の光増幅部に対する入力レベルが高く、次段以降の光増幅部に対する入力レベルが低いほど劣化する。このため、光増幅装置に対する入力レベルが増加した場合、あるいは接続された光機能デバイスの損失が少ない場合に、NFが増大してしまうことが問題となっていた。
【0009】
また、従来は、増幅する光信号のチャネル数が異なる場合にも、光増幅装置内の信号チャネルの平均レベルダイヤとして、チャネル数が最大のときのレベルダイヤを共通に用いていた。このため、上記のような構成の光増幅装置の全体に対する制御に関しては、入力レベルの上昇時あるいは低損失な光機能デバイスの接続時に、入力されるチャネル数の大小に応じたNFの改善対策がとられることはなかった。
【0010】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、入力される光信号のチャネル数が最大より小さい場合において、光信号の伝送品質の低下を防止することが可能な光増幅装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明の他の目的は、入力される光信号のチャネル数が最大より小さい場合において、光信号の伝送品質の低下を防止することが可能な光増幅装置の制御方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記課題を解決するために、図1に示すような光増幅装置が提供される。この光増幅装置は、波長多重化された光信号を増幅するためのものであり、希土類元素が添加された光ファイバを増幅媒体として具備する、それぞれ直列に配置された複数の光増幅部110、120、130および140と、前記光増幅部の間にそれぞれ配置されて光信号を減衰させる少なくとも1つの可変光減衰器210および220と、規定された波長多重化の最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)より、入力される光信号のチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)が少なくなり、その入力レベルが所定のしきい値を超えたときに、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、すべての前記光増幅部110、120、130および140による総利得がほぼ一定でかつ最終段の前記光増幅部140の出力レベルがほぼ一定となるように、前記光増幅部110、120、130および140の利得と前記可変光減衰器210および220の減衰量とを制御する制御部300とを有することを特徴とする。
【0013】
このような光増幅装置では、複数の光増幅部110、120、130および140と1つ以上の可変光減衰器210および220が配置され、可変光減衰器は光増幅部の間に接続される。ここで、入力される光信号のチャネル数が減少すると、各光増幅部110、120、130および140では、同じ励起光パワーを用いたときの1チャネル当たりの出力レベルを増加させることができる。このことから、入力された光信号のチャネル数nが最大チャネル数mより小さく、かつ光増幅装置への入力レベルが所定のしきい値を超えたときに、制御部300により、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、すべての光増幅部110、120、130および140による総利得がほぼ一定で、かつ最終段の光増幅部140の出力レベルがほぼ一定となるように、光増幅部110、120、130および140の利得と可変光減衰器210および220の減衰量とを制御することによって、出力レベルがm/n倍の近傍までの範囲で増加したものの次段以降に配置された光増幅部に対する入力レベルを上昇させることができる。
【0014】
また、本発明では、波長多重化された光信号を増幅する光増幅装置において、希土類元素が添加された光ファイバを増幅媒体として具備する、それぞれ直列に配置された複数の光増幅部と、前記光増幅部の間にそれぞれ配置されて光信号を減衰させる少なくとも1つの可変光減衰器と、伝送される光信号に対する損失を有し、前記光増幅部の間に配置された光機能デバイスと、規定された波長多重化の最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)より入力される光信号のチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)が少なくなり、前記光機能デバイスの損失が規定された最大値より少ないときに、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、すべての前記光増幅部による総利得がほぼ一定でかつ最終段の前記光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、前記光増幅部の利得と前記可変光減衰器の減衰量とを制御する制御部とを有することを特徴とする光増幅装置が提供される。
【0015】
このような光増幅装置では、複数の光増幅部、1つ以上の可変減衰器、および伝送信号に対する損失を有する光機能デバイスが配置され、可変光減衰器および光機能デバイスは、ともに光増幅部の間に接続される。また、光機能デバイスの損失が規定された最大値より少なくなるとその次段の光増幅部の入力レベルが上昇する。ここで、入力される光信号のチャネル数が減少すると、各光増幅部では、同じ励起光パワーを用いたときの1チャネル当たりの出力レベルを増加させることができる。このことから、入力された光信号のチャネル数nが最大チャネル数mより小さく、かつ光機能デバイスの損失が規定された最大値より少ないときに、制御部により、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、すべての光増幅部による総利得がほぼ一定で、かつ最終段の光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、光増幅部の利得と可変光減衰器の減衰量とを制御することによって、出力レベルがm/n倍の近傍までの範囲で増加したものの次段以降に配置された光増幅部に対する入力レベルを上昇させることができる。
【0016】
さらに、本発明では、希土類元素が添加された光ファイバを増幅媒体として具備して波長多重光信号を増幅する、それぞれ直列に配置された複数の光増幅部と、前記光増幅部の間にそれぞれ配置されて光信号を減衰させる少なくとも1つの可変光減衰器とから構成された光増幅装置の制御方法において、前記光増幅装置で規定された波長多重化の最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)より、入力される光信号のチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)が少なくなり、その入力レベルが所定のしきい値を超えたときに、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍まで増加させるとともに、すべての前記光増幅部による総利得がほぼ一定でかつ最終段の前記光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、前記光増幅部の利得と前記可変光減衰器の減衰量とを制御することを特徴とする光増幅装置の制御方法が提供される。
【0017】
ここで、複数の光増幅部と、光増幅部の間にそれぞれ配置された1つ以上の可変光減衰器とを具備する光増幅装置では、入力される光信号のチャネル数が減少すると、各光増幅部では、同じ励起光パワーを用いたときの1チャネル当たりの出力レベルを増加させることができる。このことから、本発明では、入力された光信号のチャネル数nが最大チャネル数mより小さく、かつ光増幅装置への入力レベルが所定のしきい値を超えたときに、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、すべての光増幅部による総利得がほぼ一定で、かつ最終段の光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、光増幅部の利得と可変光減衰器の減衰量とを制御することにより、出力レベルがm/n倍の近傍までの範囲で増加したものの次段以降に配置された光増幅部に対する入力レベルを上昇させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る光増幅装置の構成例を示す図である。
【0019】
図1に示す光増幅装置は、例えばWDM伝送システムにおける光中継局等に設けられて、複数の波長の光信号が波長多重化されたWDM信号を増幅する装置である。この光増幅装置は、4段の光増幅部110、120、130および140と、2つの可変光減衰器210および220と、これらを制御する制御部300とを具備している。また、制御部300は、利得制御部310と、減衰量制御部320と、利得一定制御部330とを具備している。また、可変光減衰器210は、第1段目の光増幅部110と第2段目の光増幅部120との間に接続され、可変光減衰器220は、第3段目の光増幅部130と第4段目の光増幅部140との間に接続されている。さらに、第2段目の光増幅部120と第3段目の光増幅部130との間には、光機能デバイス400を接続することが可能となっている。
【0020】
各光増幅部110、120、130および140は、増幅媒体として、希土類元素が添加された光ファイバを具備している。本実施の形態では例として、エルビウムが添加されたEDF(Erbium Doped Fiber)を増幅媒体として用いている。光増幅装置に入力された光信号は、各光増幅部110、120、130および140において増幅され、各可変光減衰器210および220において減衰する。また、光機能デバイス400は、伝送される光信号に対する損失を有しており、光機能デバイス400を通過した光信号は減衰する。なお、光機能デバイス400としては、例えば、分散補償器やOADM(Optical Add Drop Multiplexer)等を適用可能である。
【0021】
利得制御部310は、各光増幅部110、120、130および140における利得が、利得一定制御部330から与えられた目標値となるように制御する。減衰量制御部320は、光増幅部120および140からの出射光の光レベルがほぼ一定となるように、各可変光減衰器210および220における減衰量を制御する。
【0022】
利得一定制御部330は、各光増幅部110、120、130および140による総利得がほぼ一定になるように、利得制御部310に対して各光増幅部110、120、130および140に対する利得の目標値を与える。このような利得の制御が行われるとともに、減衰量制御部320の制御により最終段の光増幅部140の出力レベルがほぼ一定値に保たれることで、光増幅装置の利得波長特性が平坦化される。
【0023】
また、利得一定制御部330は、入力されたWDM信号に波長多重化された光信号のチャネル数情報を受信するとともに、第1段目の光増幅部110の入力レベルの検出信号を受信して、このチャネル数と入力レベルとに応じて、利得制御部310に与える利得の目標値を変化させるとともに、減衰量制御部320が設定する減衰量を制御する。
【0024】
具体的には、入力されるWDM信号に波長多重化された光信号のチャネル数が、この光増幅装置において規定された伝送可能な最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)である場合を基準とし、チャネル数情報により通知されたチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)がmより少なくなったときに、光増幅部110へのWDM信号の入力レベルに応じて、光増幅部120および130の一方または双方に対して、その出力レベルが最大m/n倍まで増加するように利得を設定する。また、同様にm>nとなり、光機能デバイス400の有する損失が所定値より少なくなった場合にも、光増幅部110、120および130のうちの少なくとも1つに対して、その出力レベルが最大でm/n倍まで増加するように利得を設定する。さらに、これらの制御を行う場合には、利得の設定と併せて、可変光減衰器210および220の減衰量について減衰量制御部320に指示する。このような制御により、伝送されるWDM信号に対して発生する雑音を低減する。
【0025】
なお、WDM信号の送信側からは、データとは別の周波数帯域に制御信号が波長多重化されて送信されており、この制御信号内にチャネル数情報が格納されて送信される。制御信号は、受信したWDM信号から分離された後、例えば、図1の光増幅装置と同じ光中継局等に設けられた監視制御部に供給され、チャネル数情報が抽出されて、利得一定制御部330に供給される。
【0026】
次に、図2は、光増幅部110および120の内部構成を示す図である。
図2に示すように、第1段目の光増幅部110は、光カプラ(CPL)111、112および113、EDF114、フォトダイオード(PD)115および116、レーザダイオード(LD)117を具備している。
【0027】
光カプラ111は、入力されたWDM信号を後段の光カプラ112とフォトダイオード115とに分配する。光カプラ112は、光カプラ111からのWDM信号とレーザダイオード117の出射光とを結合して、EDF114に出射する。EDF114は、レーザダイオード117の出射光を励起光としてWDM信号を増幅し、光カプラ113に出射する。光カプラ113は、EDF114からの出斜光を可変光減衰器210およびフォトダイオード116に分配する。
【0028】
フォトダイオード115および116は、それぞれ光カプラ111および113からのWDM信号を受光して電気信号に変換して利得制御部310に出力する。また、フォトダイオード115からの出力信号は、利得一定制御部330にも出力され、これにより光増幅装置に対するWDM信号の入力レベルが通知される。レーザダイオード117は、利得制御部310からの制御電流に応じてEDF114に対する励起光を発光して、光カプラ112に対して出射する。
【0029】
このような構成の光増幅部110では、WDM信号の入力レベルと出力レベルとがフォトダイオード115および116によって検出され、この検出値に基づいて、EDF114における利得が利得一定制御部330に指定された目標値となるように、レーザダイオード117による励起光の出力レベルが利得制御部310によって制御される。
【0030】
なお、WDM信号の伝送経路上には、例えば光アイソレータや光フィルタ等がさらに設けられてもよい。
一方、光増幅部120は、図2に示すように光増幅部110と同様の構成を有している。すなわち、光増幅部120では、可変光減衰器210からの出射光が、光カプラ121により光カプラ122とフォトダイオード125とに分配される。また、光カプラ122において、光カプラ121からのWDM信号とレーザダイオード127からの励起光とが結合され、この励起光によりEDF124を通過するWDM信号が増幅される。EDF124からの出射光は、光カプラ123によって光機能デバイス400とフォトダイオード126とに分配される。
【0031】
フォトダイオード125および126による検出信号は利得制御部310に出力され、利得制御部310は、これらの検出レベルに基づいて、EDF124における利得が指定された目標値となるように、レーザダイオード127による励起光の出力レベルを制御する。また、フォトダイオード126による検出信号は減衰量制御部320にも出力され、光増幅部120の出力レベルが減衰量制御部320に通知される。
【0032】
なお、図示しないが、光増幅部130および140も、上記の光増幅部110および120と同様の内部構成を有している。また、光増幅部130および140のそれぞれにおける入力信号および出力信号を受光したフォトダイオードの出力信号は、利得制御部310に出力され、このうち、光増幅部140の出射端において検出された信号は、さらに減衰量制御部320に対しても出力される。この出力信号と、光増幅部120のフォトダイオード126からの出力信号とを受けた減衰量制御部320は、各光増幅部120および140の出力レベルがほぼ一定となるように、可変光減衰器210および220の減衰量を制御する。
[入力レベル増加時の雑音低減制御]
次に、入力レベルが過剰に増加したときに、雑音の発生量を低減するための制御について、レベルダイヤの具体例を用いて説明する。なお、以下の図3、図4、図5および図6に示すレベルダイヤでは、光増幅装置内においてWDM信号が伝播する位置が、図1に示したA〜Hに対応している。はじめに、図3を用いて、このような場合に従来行われていた制御について説明し、この図3を参考にして本発明の原理を説明する。
【0033】
図3は、入力レベルが変動した場合の従来の光増幅装置におけるレベルダイヤの例を示す図である。
図3では、最大チャネル数mの光信号が波長多重化されたWDM信号が入力された場合のレベルダイヤの例を示している。この図3において、破線で示したレベルダイヤL1は、光増幅部110に対するWDM信号の入力レベルが、設定されたしきい値Pthより低い場合の光パワーの遷移の例を示している。また、実線で示したレベルダイヤL2は、WDM信号の入力レベルがしきい値Pthより高くなった場合の光パワーの遷移の例を示している。なお、光機能デバイス400から光増幅部130までの区間、すなわちD〜Fまでの区間の光パワーは、入力レベルの変動の前後で変化がないため、ともに実線で表している。ここで、入力レベルのしきい値Pthは、第1段目の光増幅部110が最大の利得を発生し得る入力レベルの最大値を示している。
【0034】
フォトダイオード115により検出される入力レベルがしきい値Pth以下となる動作状態において、光増幅装置では、入力レベルの変化に応じてすべての光増幅部110、120、130および140による総利得がほぼ一定でかつ光増幅部140の出力レベルがほぼ一定となるように可変光減衰器210および220が制御される。このとき、光増幅部110、120、130および140の入力レベルをそれぞれP1in、P2in、P3inおよびP4in、出力レベルをそれぞれP1out、P2out、P3outおよびP4outとすると、以下の式(1)の関係が常にほぼ成立している。
【0035】
【数1】
(P1out−P1in)+(P2out−P2in)+(P3out−P3in)+(P4out−P4in)=Pa ………(1)
ただし、PaはPa>0を満たす一定値を示す。このような入力レベルがしきい値Pth以下の動作状態では、第1段目の光増幅部110は、低雑音化のために、EDF114の利得がほぼ飽和領域となるように使用されている。
【0036】
一方、入力レベルがしきい値Pthを超えると、光増幅部110の利得が低下して、その出力レベルP1outAがある一定の値より高くならなくなる。このとき、光増幅部110、120、130および140のそれぞれの入力レベルをP1inA、P2inA、P3inAおよびP4inA、出力レベルをP1outA、P2outA、P3outAおよびP4outAとすると、入力レベル増加後のレベルダイヤL2では、以下の式(2)の関係が常にほぼ成立している。
【0037】
【数2】
(P1outA−P1inA)+(P2outA−P2inA)+(P3outA−P3inA)+(P4outA−P4inA)=Pa ………(2)
ところで、各光増幅部110、120、130および140におけるNF(雑音係数)をNF1、NF2、NF3およびNF4とすると、この光増幅装置全体のNFは、以下の式(3)のようになる。
【0038】
【数3】
【0039】
この式(3)を参照すると、各光増幅部110、120、130および140におけるNFは、入力レベルの変化と比較して小さいことから、第1段目の光増幅部110への入力レベルが高いほど、また、第2段目以降の光増幅部120、130および140への入力レベルが低いほど、NFの値が高くなることがわかる。ここで、図3において、通常動作時のレベルダイヤL1と比較して、入力レベルがしきい値Pthより増加した場合のレベルダイヤL2では、光増幅部110への入力レベルが増加した上に、光増幅部120および140への入力レベルが低下しており、NFが大きく劣化する。従って、NFの劣化を低減するためには、第2段目以降の光増幅部120、130および140への入力レベルを高くする必要がある。
【0040】
ところで、各光増幅部110、120、130および140における出力レベルは、多重化された光信号のチャネル数に比例する。このため、入力される光信号のチャネル数が減少した場合、各光増幅部110、120、130および140では、同じ励起光パワーを用いたときの1チャネル当たりの出力レベルを増加させることができる。具体的には、最大チャネル数mのWDM信号が入力されたときに最大の利得が発生されるように設定されているものとすると、実際に入力されたWDM信号のチャネル数nがn<mとなったとき、同じ励起光パワーを用いることで、各光増幅部110、120、130および140の出力レベルを最大m/n倍に増加させることができる。
【0041】
ここで、最終段の光増幅部140の出力レベルは一定とする必要があることから、n<mの場合には、図3のレベルダイヤL2を基準として、最終段以外の光増幅部110、120および130のうちの少なくとも1つの出力レベルを、最大でm/n倍となる範囲内で増加させることが可能である。これにより、出力レベルが増加した位置より後段の光増幅部における入力レベルを増加させることができ、NFを低減することが可能となる。なお、しきい値Pthの設定値と実際の光増幅部110の増幅能力との差や、各光増幅部110、120および130の有する実際の増幅能力によっては、m/n倍をわずかに上回る出力レベルまで増加させることが可能な場合もある。
【0042】
以下、n<mのときに入力レベルが極端に増加した場合において、NFを低減するための光増幅装置における制御例について、レベルダイヤを用いて具体的に説明する。なお、以下の図4〜図6では、n<mのときに適用可能なレベルダイヤを実線で示すとともに、比較のためにn=mのときに適用されるレベルダイヤL2を破線で示す。また、入力されるチャネル数にかかわらずレベル変化のない区間では、実線のみ表している。
【0043】
図4は、入力増加時に適用可能な第1のレベルダイヤの例を示す図である。
図4では、n<mのときに、第3段目の光増幅部130の出力レベルを最大でm/n倍まで増加させる場合の制御例について示している。この図4において、n<mのときに適用するレベルダイヤL3では、第3段目の光増幅部130の利得目標値を、n=mのときのm/n倍に設定している。
【0044】
利得一定制御部330は、供給されたチャネル数情報よりn<mであることを判断し、かつ、光増幅部110の入力レベルがしきい値Pthを超えたと判断した場合に、光増幅部130の利得目標値をm/n倍とするように利得制御部310に対して設定する。また、最終段の光増幅部140の出力レベルP4outがほぼ一定値に保たれ、かつすべての光増幅部110、120、130および140による総利得が、入力レベル変動の前後でほとんど変化しないように、利得制御部310および減衰量制御部320を制御する。図4のレベルダイヤL3の場合は、光増幅部130の利得の変化に応じて、最終段の光増幅部140の利得のみが変化するように制御している。このような制御により、光増幅部140への入力レベルP4inBが、n=mの場合の入力レベルP4inAより増加するため、NFの値が低減される。
【0045】
図5は、入力増加時に適用可能な第2のレベルダイヤ例を示す図である。
図5では、n<mのときに、第2段目の光増幅部120の出力レベルを最大でm/n倍まで増加させる場合の制御例について示している。この図5において、n<mのときに適用するレベルダイヤL4では、第2段目の光増幅部120の利得目標値をn=mのときのm/n倍に設定するとともに、第3段目の光増幅部130の利得目標値を1/(m/n)倍に設定して、可変光減衰器220の減衰量および光増幅部140の利得がほとんど変化しないようにしている。また、レベルダイヤL3の場合と同様に、最終段の光増幅部140の出力レベルP4outがほぼ一定値に保たれ、かつすべての光増幅部110、120、130および140による総利得が、入力レベル変動の前後でほとんど変化しないように制御している。このような制御により、光増幅部130への入力レベルP3inCが、n=mの場合の入力レベルP3inより増加するため、NFの値が低減される。
【0046】
図6は、入力増加時に適用可能な第3のレベルダイヤ例を示す図である。
図6では、n<mのときに、第2段目の光増幅部120と第3段目の光増幅部130の出力レベルをそれぞれ最大でm/n倍まで増加させる場合の制御例について示している。この図6において、n<mのときに適用するレベルダイヤL5では、第2段目の光増幅部120の利得目標値をn=mのときのm/n倍に設定するとともに、第3段目の光増幅部130の利得がほとんど変化しないように制御している。また、レベルダイヤL3およびL4の場合と同様に、最終段の光増幅部140の出力レベルP4outがほぼ一定値を保たれ、かつすべての光増幅部110、120、130および140による総利得が、入力レベル変動の前後でほとんど変化しないように制御している。
【0047】
このような制御により、光増幅部130への入力レベルP3inDとともに、光増幅部140への入力レベルP4inDが、n=mの場合のそれぞれの入力レベルP3inおよびP4inAより増加するため、上記のレベルダイヤL3およびL4を用いた場合と比較して、NFの値をより大きく低減することができる。
【0048】
ここで、以上のような制御を行った場合のNFの具体的な測定例を示す。図7は、入力増加時におけるNFの測定例を示す図である。
図7では、n=mの場合に適用するレベルダイヤL3、上記のレベルダイヤL4、L5およびL6をそれぞれ適用した場合のNFのシミュレーション結果を示している。このシミュレーションでは、最大チャネル数mを40、入力させたチャネル数nを10と設定した。また、入力レベルのしきい値Pthは、−35dBm/ch〜−30dBm/chの範囲内に設定される。
【0049】
この図7に示すシミュレーション結果によれば、入力レベルが12dB増加したとき、レベルダイヤL4、L5およびL6を適用することで、NFの値がそれぞれ0.6dB、1.3dB、2.1dBだけ低減され、雑音のより少ない光増幅装置が実現されている。
【0050】
また、これらの結果より、2つの光増幅部120および130の出力レベルを増加させたレベルダイヤL6の適用時が最もNFが大きく低下することがわかるが、1つの光増幅部のみ出力レベルを増加させる場合に限れば、レベルダイヤL5の場合のように、より前段の光増幅部の出力レベルを増加させる方が、NFを大きく低減できることがわかる。これらのレベルダイヤの選択や、最大m/n倍までの範囲での実際の出力レベル増加量は、このとき発生している雑音の量や、接続された光機能デバイス400の有する損失の量、各光増幅部110、120および130の増幅能力や消費電力等に応じて適宜設定されることが望ましい。[光機能デバイスの損失低下時の雑音低減制御]
ところで、以上の実施の形態では、第1段目の光増幅部110への入力レベル増加に伴って雑音が増加してしまう場合について説明したが、この他に例えば、第3段目の光増幅部130への入力レベルが極端に増加した場合にも、雑音が増加する。このような状態は、例えば、光機能デバイス400として損失が極端に少ないものが接続された場合に起こり得る。
【0051】
以下、このような場合に雑音を低減するための制御について、上記と同様にベルダイヤの具体例を用いて説明する。なお、以下の図8、図9、図10および図11に示すレベルダイヤでも、光増幅装置内においてWDM信号が伝播する位置が図1に示したA〜Hに対応している。はじめに、図8を用いて、このような場合に従来行われていた制御について説明する。
【0052】
図8は、光機能デバイスの損失が低下した場合の従来の光増幅装置におけるレベルダイヤの例を示す図である。
図8では、最大チャネル数mの光信号が波長多重化されたWDM信号が入力された場合のレベルダイヤの例を示している。この図8において、破線で示したレベルダイヤL1は、光機能デバイス400として、その損失があらかじめ規定された最大値となるものが接続された場合の光パワーの遷移の例である。
【0053】
これに対して、損失が最大値より小さい光機能デバイス400が接続されると、図8において実線で示したレベルダイヤL6のように、光機能デバイス400の後段に配置された光増幅部130の入力レベルP3inEが増加してしまう。このとき、例えば光増幅部110への入力レベルの増加等により、光増幅部130が能力上、出力レベルP3outを増加させることができなくなると、可変光減衰器210および220の減衰量が増加されて、すべての光増幅部110、120、130および140による総利得をほぼ一定に保つように制御される。すなわち、各光増幅部110、120、130および140の入力レベルをP1in、P2inE、P3inEおよびP4inE、出力レベルをP1out、P2out、P3outおよびP4outとすると、光機能デバイス400の損失低下後のレベルダイヤL6では、以下の式(4)の関係が常にほぼ成立している。
【0054】
【数4】
(P1out−P1in)+(P2out−P2inE)+(P3out−P3inE)+(P4out−P4inE)=Pa ………(4)
このような制御により、図8に示すように、光増幅部120および140への入力レベルP2inEおよびP4inEが低下するため、NFの値が劣化してしまう。
【0055】
ところで、このように、接続された光機能デバイス400の損失が極端に低下した場合でも、上述した入力レベルの増加時と同様に、入力されたWDM信号に波長多重化されたチャネル数nが最大チャネル数mより少なくなったとき、各光増幅部110、120、130および140では、同じ励起光パワーを用いた場合の1チャネル当たりの出力レベルを増加させることができる。従って、n<mとなったときは、最終段の光増幅部140を除く光増幅部110、120および130の出力レベルを、最大でm/n倍まで増加させることにより、NFの値を低減することができる。
【0056】
以下、n<mのときに光機能デバイス400の損失が極端に低い場合において、NFを低減するための光増幅装置における制御例について、レベルダイヤを用いて具体的に説明する。なお、以下の図9〜図11では、n<mのときに適用可能なレベルダイヤを実線で示すとともに、比較のためにn=mのときに適用されるレベルダイヤL6を破線で示す。また、入力されるチャネル数にかかわらずレベル変化のない区間では、実線のみ表している。
【0057】
図9は、光機能デバイスの損失低下時に適用可能な第1のレベルダイヤの例を示す図である。
図9では、n<mのときに、第3段目の光増幅部130の出力レベルを最大でm/n倍まで増加させる場合の制御例について示している。この図9において、n<mのときに適用するレベルダイヤL7では、第3段目の光増幅部130の利得目標値を、n=mのときのm/n倍に設定している。
【0058】
利得一定制御部330は、供給されたチャネル数情報よりn<mであることを判断し、かつ、損失が最大値以下である光機能デバイス400が接続されたと判断した場合に、光増幅部130の利得目標値をm/n倍とするように利得制御部310に対して設定する。また、最終段の光増幅部123の出力レベルP4outがほぼ一定値に保たれ、かつすべての光増幅部110、120、130および140による総利得がほぼ一定となるように、利得制御部310および減衰量制御部320を制御する。図9のレベルダイヤL7の場合は、光増幅部130の利得の変化に応じて、最終段の光増幅部140の利得のみが変化するように制御している。
【0059】
このような制御により、光増幅部140への入力レベルP4inFが、n=mの場合の入力レベルP4inEより増加するため、NFの値が低減される。なお、この制御は、光増幅部130の増幅能力に余力がある範囲内で行うことが可能である。
【0060】
図10は、光機能デバイスの損失低下時に適用可能な第2のレベルダイヤ例を示す図である。
図10では、n<mのときに、第2段目の光増幅部120の出力レベルを最大でm/n倍まで増加させる場合の制御例について示している。この図10において、n<mのときに適用するレベルダイヤL8では、第2段目の光増幅部120の利得目標値をn=mのときのm/n倍に設定するとともに、第3段目の光増幅部130の利得目標値を1/(m/n)倍に設定して、可変光減衰器220の減衰量および光増幅部140の利得がほとんど変化しないようにしている。また、レベルダイヤL7の場合と同様に、最終段の光増幅部140の出力レベルP4outがほぼ一定値に保たれ、かつすべての光増幅部110、120、130および140による総利得が、入力レベル変動の前後でほとんど変化しないように制御している。
【0061】
このような制御により、光増幅部130への入力レベルP3inGが、n=mの場合の入力レベルP3inEより増加するため、NFの値が低減される。この制御は、光増幅部130の出力レベルP3outを変化させないため、最も一般的に実施することが可能である。
【0062】
図11は、光機能デバイスの損失低下時に適用可能な第3のレベルダイヤ例を示す図である。
図11では、n<mのときに、第2段目の光増幅部120と第3段目の光増幅部130の出力レベルをそれぞれ最大でm/n倍まで増加させる場合の制御例について示している。この図11において、n<mのときに適用するレベルダイヤL9では、第2段目の光増幅部120の利得目標値をn=mのときのm/n倍に設定するとともに、第3段目の光増幅部130の利得がほとんど変化しないように制御している。また、レベルダイヤL7およびL8の場合と同様に、最終段の光増幅部140の出力レベルP4outがほぼ一定値に保たれ、かつすべての光増幅部110、120、130および140による総利得が、入力レベル変動の前後でほとんど変化しないように制御している。
【0063】
この制御では、光増幅部130における出力レベルP3outHを、目標の値まで増加させることができないことが多い。この場合、図11のように、光増幅部130の利得が低下して、その分だけ光増幅部140の利得が上昇されるとともに、可変光減衰器220の減衰量が小さく設定される。このような制御により、光増幅部130への入力レベルP3inHとともに、光増幅部140への入力レベルP4inHが、n=mの場合のそれぞれの入力レベルP3inEおよびP4inEより増加するため、上記のレベルダイヤL7およびL8を用いた場合と比較して、NFの値をより大きく低減することができる。
【0064】
ここで、以上のような制御を行った場合のNFの具体的な測定例を示す。図12は、光機能デバイス400の損失低下時におけるNFの測定例を示す図である。
【0065】
図12では、n=mの場合に適用するレベルダイヤL6、上記のレベルダイヤL7、L8およびL9をそれぞれ適用した場合のNFのシミュレーション結果を示している。このシミュレーションでは、最大チャネル数mを40、入力させたチャネル数nを10と設定した。また、接続された光機能デバイス400の損失を、規定された最大値より4dBだけ小さい値に設定している。
【0066】
この図12に示すシミュレーション結果によれば、光増幅装置への入力レベルが12dB増加したとき、レベルダイヤL7、L8およびL9を適用することで、NFの値がそれぞれ0.7dB、0.9dB、1.8dBだけ低減され、2つの光増幅部120および130の出力レベルを増加させたレベルダイヤL9の適用時に、NFを最も大きく低下させることが可能となる。これらのレベルダイヤの選択や、最大m/n倍までの範囲での実際の出力レベル増加量は、このとき発生している雑音の量や、接続された光機能デバイス400の有する損失の量、各光増幅部110、120および130の増幅能力や消費電力等に応じて適宜設定されることが望ましい。
【0067】
なお、以上説明した本発明の実施の形態例では、4段の光増幅部が設けられた場合について説明したが、本発明は、複数段の光増幅部と、光増幅部の間にそれぞれ配置された1つ以上の可変光減衰器とを具備する光増幅装置に対して、一般的に適用することが可能である。すなわち、このような光増幅装置において、n<mで、かつ、入力レベルが極端に増加した場合、あるいは接続された光機能デバイスの損失が極端に低い場合に、最終段以外の少なくとも1つの光増幅部の出力レベルが最大でm/n倍の近傍となり、すべての光増幅部による総利得がほぼ一定でかつ最終段の光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、各光増幅部の利得と可変光減衰器の減衰量とを制御すればよい。
【0068】
(付記1) 波長多重化された光信号を増幅する光増幅装置において、
希土類元素が添加された光ファイバを増幅媒体として具備する、それぞれ直列に配置された複数の光増幅部と、
前記光増幅部の間にそれぞれ配置されて光信号を減衰させる少なくとも1つの可変光減衰器と、
規定された波長多重化の最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)より、入力される光信号のチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)が少なくなり、その入力レベルが所定のしきい値を超えたときに、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、すべての前記光増幅部による総利得がほぼ一定でかつ最終段の前記光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、前記光増幅部の利得と前記可変光減衰器の減衰量とを制御する制御部と、
を有することを特徴とする光増幅装置。
【0069】
(付記2) 前記しきい値は、第1段目の前記光増幅部が最大の利得を発生し得る入力レベルの最大値の近傍に設定されることを特徴とする付記2記載の光増幅装置。
【0070】
(付記3) 任意の隣接する前記光増幅部の間に、伝送される光信号に対する損失を有する機能デバイスがさらに接続されたことを特徴とする付記2記載の光増幅装置。
【0071】
(付記4) 波長多重化された光信号を増幅する光増幅装置において、
希土類元素が添加された光ファイバを増幅媒体として具備する、それぞれ直列に配置された複数の光増幅部と、
前記光増幅部の間にそれぞれ配置されて光信号を減衰させる少なくとも1つの可変光減衰器と、
伝送される光信号に対する損失を有し、前記光増幅部の間に配置された光機能デバイスと、
規定された波長多重化の最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)より、入力される光信号のチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)が少なくなり、前記光機能デバイスの損失が規定された最大値より少ないときに、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、すべての前記光増幅部による総利得がほぼ一定でかつ最終段の前記光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、前記光増幅部の利得と前記可変光減衰器の減衰量とを制御する制御部と、
を有することを特徴とする光増幅装置。
【0072】
(付記5) 波長多重化された光信号を増幅する光増幅装置において、
希土類元素が添加された光ファイバを増幅媒体としてそれぞれ具備する、直列に配置された第1、第2、第3および第4の光増幅部と、
前記第1の光増幅部と前記第2の光増幅部との間、および前記第3の光増幅部と前記第4の光増幅部との間にそれぞれ配置されて光信号を減衰させる第1および第2の可変光減衰器と、
伝送される光信号に対する損失を有し、前記第2の光増幅部と前記第3の光増幅部との間に接続可能とされた光機能デバイスと、
規定された波長多重化の最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)より、前記第1の光増幅部に入力される光信号のチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)が少なくなり、その入力レベルが所定のしきい値を超えたときに、前記第1、第2および前記第3の光増幅部のうちの少なくとも1つの出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、前記第1〜第4の光増幅部による総利得がほぼ一定でかつ前記第4の光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、前記第1〜第4の光増幅部の利得と前記可変光減衰器の減衰量とを制御する制御部と、
を有することを特徴とする光増幅装置。
【0073】
(付記6) 前記制御部は、n<mでかつ前記第1の光増幅部に対する入力レベルが前記しきい値を超えたとき、前記第3の光増幅部に対してその出力レベルが最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加するように利得を設定し、前記第4の光増幅部の利得を適宜低下させることを特徴とする付記5記載の光増幅装置。
【0074】
(付記7) 前記制御部は、n<mでかつ前記第1の光増幅部に対する入力レベルが前記しきい値を超えたとき、前記第2の光増幅部に対してその出力レベルが最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加するように利得を設定し、前記第3の光増幅部の利得を適宜低下させることを特徴とする付記5記載の光増幅装置。
【0075】
(付記8) 前記制御部は、n<mでかつ前記第1の光増幅部に対する入力レベルが前記しきい値を超えたとき、前記第2および前記第3の光増幅部に対してそれぞれの出力レベルが最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加するように利得を設定し、前記第4の光増幅部の利得を適宜低下させることを特徴とする付記5記載の光増幅装置。
【0076】
(付記9) 前記しきい値は、前記第1の光増幅部が最大の利得を発生し得る入力レベルの最大値の近傍に設定されることを特徴とする付記5記載の光増幅装置。
【0077】
(付記10) 波長多重化された光信号を増幅する光増幅装置において、
希土類元素が添加された光ファイバを増幅媒体としてそれぞれ具備する、直列に配置された第1、第2、第3および第4の光増幅部と、
前記第1の光増幅部と前記第2の光増幅部との間、および前記第3の光増幅部と前記第4の光増幅部との間にそれぞれ配置されて光信号を減衰させる第1および第2の可変光減衰器と、
伝送される光信号に対する損失を有し、前記第2の光増幅部と前記第3の光増幅部との間に配置された光機能デバイスと、
規定された波長多重化の最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)より、前記第1の光増幅部に入力される光信号のチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)が少なくなり、前記光機能デバイスの損失が規定された最大値より少ないときに、前記第1〜第3の光増幅部のうちの少なくとも1つの出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、前記第1〜第4の光増幅部による総利得がほぼ一定でかつ前記第4の光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、前記第1〜第4の光増幅部の利得と前記可変光減衰器の減衰量とを制御する制御部と、
を有することを特徴とする光増幅装置。
【0078】
(付記11) 前記制御部は、n<mでかつ前記光機能デバイスの損失が規定された最大値より少ないとき、前記第3の光増幅部に対してその出力レベルが最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加するように利得を設定し、前記第4の光増幅部の利得を適宜低下させることを特徴とする付記10記載の光増幅装置。
【0079】
(付記12) 前記制御部は、n<mでかつ前記光機能デバイスの損失が規定された最大値より少ないとき、前記第2の光増幅部に対してその出力レベルが最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加するように利得を設定し、前記第3の光増幅部の利得を適宜低下させることを特徴とする付記10記載の光増幅装置。
【0080】
(付記13) 前記制御部は、n<mでかつ前記光機能デバイスの損失が規定された最大値より少ないとき、前記第2および第3の光増幅部に対してそれぞれの出力レベルが最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加するように利得を設定し、前記第2の可変光減衰器の減衰量と前記第4の光増幅部の利得とを適宜低下させることを特徴とする付記10記載の光増幅装置。
【0081】
(付記14) 希土類元素が添加された光ファイバを増幅媒体として具備して波長多重光信号を増幅する、それぞれ直列に配置された複数の光増幅部と、前記光増幅部の間にそれぞれ配置されて光信号を減衰させる少なくとも1つの可変光減衰器とから構成された光増幅装置の制御方法において、
前記光増幅装置で規定された波長多重化の最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)より、入力される光信号のチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)が少なくなり、その入力レベルが所定のしきい値を超えたときに、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、すべての前記光増幅部による総利得がほぼ一定でかつ最終段の前記光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、前記光増幅部の利得と前記可変光減衰器の減衰量とを制御する、
ことを特徴とする光増幅装置の制御方法。
【0082】
(付記15) 希土類元素が添加された光ファイバを増幅媒体として具備して波長多重光信号を増幅する、それぞれ直列に配置された複数の光増幅部と、前記光増幅部の間にそれぞれ配置されて光信号を減衰させる少なくとも1つの可変光減衰器と、伝送される光信号に対する損失を有し、前記光増幅部の間に配置された光機能デバイスとから構成された光増幅装置の制御方法において、
規定された波長多重化の最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)より、入力される光信号のチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)が少なくなり、前記光機能デバイスの損失が規定された最大値より少ないときに、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、すべての前記光増幅部による総利得がほぼ一定でかつ最終段の前記光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、前記光増幅部の利得と前記可変光減衰器の減衰量とを制御する、
ことを特徴とする光増幅装置の制御方法。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光増幅装置では、入力された光信号のチャネル数nが最大チャネル数mより小さく、かつ光増幅装置への入力レベルが所定のしきい値を超えた場合に、最終段を除く少なくとも1つの光増幅部の出力レベルを最大でm/n倍の近傍まで増加させることにより、この光増幅部の次段以降に配置された光増幅部に対する入力レベルを上昇させることができるため、雑音の発生量を減少させることができる。
【0084】
また、伝送信号に対する損失を有する機能デバイスが光増幅部の間にさらに設けられた構成を有する場合に、入力された光信号のチャネル数nが最大チャネル数mより小さく、かつ光機能デバイスの損失が規定された最大値より少ないときに、最終段を除く少なくとも1つの光増幅部の出力レベルを最大でm/n倍の近傍まで増加させると、この光増幅部の次段以降に配置された光増幅部に対する入力レベルを上昇させることができるため、雑音の発生量を減少させることができる。
【0085】
さらに、本発明の光増幅装置の制御方法では、入力された光信号のチャネル数nが最大チャネル数mより小さく、かつ光増幅装置への入力レベルが所定のしきい値を超えた場合に、最終段を除く少なくとも1つの光増幅部の出力レベルを最大でm/n倍の近傍まで増加させると、この光増幅部の次段以降に配置された光増幅部に対する入力レベルを上昇させることができるため、雑音の発生量を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る光増幅装置の構成例を示す図である。
【図2】第1段目および第2段目の光増幅部の内部構成を示す図である。
【図3】入力レベルが変動した場合の従来の光増幅装置におけるレベルダイヤの例を示す図である。
【図4】入力増加時に適用可能な第1のレベルダイヤの例を示す図である。
【図5】入力増加時に適用可能な第2のレベルダイヤの例を示す図である。
【図6】入力増加時に適用可能な第3のレベルダイヤの例を示す図である。
【図7】入力増加時におけるNFの測定例を示す図である。
【図8】光機能デバイスの損失が低下した場合の従来の光増幅装置におけるレベルダイヤの例を示す図である。
【図9】光機能デバイスの損失低下時に適用可能な第1のレベルダイヤの例を示す図である。
【図10】光機能デバイスの損失低下時に適用可能な第2のレベルダイヤの例を示す図である。
【図11】光機能デバイスの損失低下時に適用可能な第3のレベルダイヤの例を示す図である。
【図12】光機能デバイスの損失低下時におけるNFの測定例を示す図である。
【図13】従来の光増幅装置の概略構成例を示す図である。
【符号の説明】
110、120、130、140 光増幅部
111、112、113、121、122、123 光カプラ
114、124 EDF
115、116、125、126 フォトダイオード
117、127 レーザダイオード
210、220 可変光減衰器
300 制御部
310 利得制御部
320 減衰量制御部
330 利得一定制御部
400 光機能デバイス
Claims (5)
- 波長多重化された光信号を増幅する光増幅装置において、
希土類元素が添加された光ファイバを増幅媒体として具備する、それぞれ直列に配置された複数の光増幅部と、
前記光増幅部の間にそれぞれ配置されて光信号を減衰させる少なくとも1つの可変光減衰器と、
規定された波長多重化の最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)より、入力される光信号のチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)が少なくなり、その入力レベルが所定のしきい値を超えたときに、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、すべての前記光増幅部による総利得がほぼ一定でかつ最終段の前記光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、前記光増幅部の利得と前記可変光減衰器の減衰量とを制御する制御部と、
を有することを特徴とする光増幅装置。 - 波長多重化された光信号を増幅する光増幅装置において、
希土類元素が添加された光ファイバを増幅媒体として具備する、それぞれ直列に配置された複数の光増幅部と、
前記光増幅部の間にそれぞれ配置されて光信号を減衰させる少なくとも1つの可変光減衰器と、
伝送される光信号に対する損失を有し、前記光増幅部の間に配置された光機能デバイスと、
規定された波長多重化の最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)より、入力される光信号のチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)が少なくなり、前記光機能デバイスの損失が規定された最大値より少ないときに、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、すべての前記光増幅部による総利得がほぼ一定でかつ最終段の前記光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、前記光増幅部の利得と前記可変光減衰器の減衰量とを制御する制御部と、
を有することを特徴とする光増幅装置。 - 波長多重化された光信号を増幅する光増幅装置において、
希土類元素が添加された光ファイバを増幅媒体としてそれぞれ具備する、直列に配置された第1、第2、第3および第4の光増幅部と、
前記第1の光増幅部と前記第2の光増幅部との間、および前記第3の光増幅部と前記第4の光増幅部との間にそれぞれ配置されて光信号を減衰させる第1および第2の可変光減衰器と、
伝送される光信号に対する損失を有し、前記第2の光増幅部と前記第3の光増幅部との間に接続可能とされた光機能デバイスと、
規定された波長多重化の最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)より、前記第1の光増幅部に入力される光信号のチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)が少なくなり、その入力レベルが所定のしきい値を超えたときに、前記第1、第2および前記第3の光増幅部のうちの少なくとも1つの出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、前記第1〜第4の光増幅部による総利得がほぼ一定でかつ前記第4の光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、前記第1〜第4の光増幅部の利得と前記可変光減衰器の減衰量とを制御する制御部と、
を有することを特徴とする光増幅装置。 - 波長多重化された光信号を増幅する光増幅装置において、
希土類元素が添加された光ファイバを増幅媒体としてそれぞれ具備する、直列に配置された第1、第2、第3および第4の光増幅部と、
前記第1の光増幅部と前記第2の光増幅部との間、および前記第3の光増幅部と前記第4の光増幅部との間にそれぞれ配置されて光信号を減衰させる第1および第2の可変光減衰器と、
伝送される光信号に対する損失を有し、前記第2の光増幅部と前記第3の光増幅部との間に配置された光機能デバイスと、
規定された波長多重化の最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)より、前記第1の光増幅部に入力される光信号のチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)が少なくなり、前記光機能デバイスの損失が規定された最大値より少ないときに、前記第1〜第3の光増幅部のうちの少なくとも1つの出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍に増加させるとともに、前記第1〜第4の光増幅部による総利得がほぼ一定でかつ前記第4の光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、前記第1〜第4の光増幅部の利得と前記可変光減衰器の減衰量とを制御する制御部と、
を有することを特徴とする光増幅装置。 - 希土類元素が添加された光ファイバを増幅媒体として具備して波長多重光信号を増幅する、それぞれ直列に配置された複数の光増幅部と、前記光増幅部の間にそれぞれ配置されて光信号を減衰させる少なくとも1つの可変光減衰器とから構成された光増幅装置の制御方法において、
前記光増幅装置で規定された波長多重化の最大チャネル数m(ただし、mは2以上の整数)より、入力される光信号のチャネル数n(ただし、nは0<n≦mを満たす整数)が少なくなり、その入力レベルが所定のしきい値を超えたときに、最終段以外の少なくとも1つの前記光増幅部の出力レベルを最大でm=nのときのm/n倍の近傍まで増加させるとともに、すべての前記光増幅部による総利得がほぼ一定でかつ最終段の前記光増幅部の出力レベルがほぼ一定となるように、前記光増幅部の利得と前記可変光減衰器の減衰量とを制御する、
ことを特徴とする光増幅装置の制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003084297A JP2004296581A (ja) | 2003-03-26 | 2003-03-26 | 光増幅装置およびその制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003084297A JP2004296581A (ja) | 2003-03-26 | 2003-03-26 | 光増幅装置およびその制御方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004296581A true JP2004296581A (ja) | 2004-10-21 |
Family
ID=33399497
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003084297A Withdrawn JP2004296581A (ja) | 2003-03-26 | 2003-03-26 | 光増幅装置およびその制御方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004296581A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006120969A (ja) * | 2004-10-25 | 2006-05-11 | Fujitsu Ltd | 光増幅器 |
JP2007027506A (ja) * | 2005-07-19 | 2007-02-01 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 光増幅装置およびその制御方法 |
WO2007138649A1 (ja) * | 2006-05-25 | 2007-12-06 | Mitsubishi Electric Corporation | 光中継装置および光中継伝送システム |
JP2009188110A (ja) * | 2008-02-05 | 2009-08-20 | Nec Corp | 光増幅装置 |
-
2003
- 2003-03-26 JP JP2003084297A patent/JP2004296581A/ja not_active Withdrawn
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006120969A (ja) * | 2004-10-25 | 2006-05-11 | Fujitsu Ltd | 光増幅器 |
JP2007027506A (ja) * | 2005-07-19 | 2007-02-01 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 光増幅装置およびその制御方法 |
WO2007138649A1 (ja) * | 2006-05-25 | 2007-12-06 | Mitsubishi Electric Corporation | 光中継装置および光中継伝送システム |
JPWO2007138649A1 (ja) * | 2006-05-25 | 2009-10-01 | 三菱電機株式会社 | 光中継装置および光中継伝送システム |
JP4724226B2 (ja) * | 2006-05-25 | 2011-07-13 | 三菱電機株式会社 | 光中継装置および光中継伝送システム |
US8208812B2 (en) | 2006-05-25 | 2012-06-26 | Mitsubishi Electric Corporation | Optical relay device and optical relay transmission system |
JP2009188110A (ja) * | 2008-02-05 | 2009-08-20 | Nec Corp | 光増幅装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7417791B2 (en) | Optical amplifier for amplifying multi-wavelength light | |
KR100417322B1 (ko) | 광 증폭기 및 광 증폭기 제어 방법 | |
US7119950B2 (en) | Amplification method and optical amplifier for wavelength division multiplexed signal light | |
JPH11275021A (ja) | 光増幅装置 | |
US6411430B1 (en) | Optical amplifier | |
US7382525B2 (en) | Optical amplification unit with span loss tilt compensation, fiber optical transmission system comprising the same, and corresponding methods | |
US8351112B2 (en) | Optical amplifier | |
JP2003110179A (ja) | 光増幅のための方法及び装置 | |
JP5584143B2 (ja) | 光増幅器 | |
JP4867082B2 (ja) | 光増幅器、それを含む光通信システム及びそれに含まれる光ファイバモジュール | |
JP4666364B2 (ja) | 光増幅器 | |
JP4192364B2 (ja) | 光増幅器 | |
JP2004296581A (ja) | 光増幅装置およびその制御方法 | |
JP4484565B2 (ja) | チルト補償機能を有する多段光増幅器 | |
JP5239223B2 (ja) | 光増幅器 | |
JP5103963B2 (ja) | 多段光増幅器及びその制御方法 | |
JP3901859B2 (ja) | 光増幅器 | |
JP2004006887A (ja) | 光伝送装置及び波長多重光通信システム | |
JP2000114629A (ja) | 光増幅器 | |
JP4580404B2 (ja) | 光増幅器 | |
JP3379104B2 (ja) | 波長多重伝送用光増幅器 | |
US7643206B2 (en) | Optical amplifier | |
JP3551419B2 (ja) | 光伝送装置及び波長多重光通信システム | |
US20050078354A1 (en) | Optical fiber amplifier | |
WO2017195341A1 (ja) | 光増幅装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060606 |