JP2004294668A - 透明再帰反射材 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は情報を記載した面の上に貼付してもその情報を視認することのできる透明再帰反射材を提供することにある。
【解決手段】入射光を略入射光進行方向に帰還させる再帰反射部12を備えた再帰反射材10であって、
前記再帰反射部12は、屈折率が2.0以上の無機物により構成された反射層14と、該反射層14上に整列配置された透明微小球16と、を備え、
前記再帰反射材10は450〜700nmの波長域での光透過率が30〜99%であり、情報が記載された面28上に貼付され、該面28上の情報が視認できることを特徴とする透明再帰反射材。
【選択図】 図1
【解決手段】入射光を略入射光進行方向に帰還させる再帰反射部12を備えた再帰反射材10であって、
前記再帰反射部12は、屈折率が2.0以上の無機物により構成された反射層14と、該反射層14上に整列配置された透明微小球16と、を備え、
前記再帰反射材10は450〜700nmの波長域での光透過率が30〜99%であり、情報が記載された面28上に貼付され、該面28上の情報が視認できることを特徴とする透明再帰反射材。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は再帰反射材の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、夜間識別用の交通標識、あるいは衣服などには再帰反射材が用いられ、自動車のヘッドライト等のビーム状の光が照射されると、ほぼその入射方向に帰還光を送出することができる。
再帰反射材としては特許文献1、2などに示されるように、比較的高屈折率の微小球を金属膜などの光反射層上に設けたものが一般的に使用されている。反射層に金属膜、特にアルミニウムが使用されるのはその高い反射率により再帰光効率が良いことによる。
【0003】
また、再帰反射光を有色化する方法としては、特許文献3等に示されるように酸化金属被覆変状粉体を反射層とすることで、入射光とは異なる着色光を再帰させる方法が挙げられる。
これらの再帰反射材は、太陽光の下のような通常光で見るとその再帰反射材自体のもつ外観を呈し、ビーム状の直線光の下で再帰反射光による外観が観察可能になる。この性質を利用してブランド製品やカードなどに再帰反射材を貼付することで偽造品との判別等を行うことができる。
【0004】
【特許文献1】
特開昭63−38902号公報
【特許文献2】
特開平8−60627号公報
【特許文献3】
特開平11−167010号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術では、再帰反射光の反射効率や、再帰反射材自体の持つ外観の改良に主眼が置かれ、文字や写真等を印刷した面の上に再帰反射材を貼付するような場合は考えられていなかった。実際、従来の再帰反射材では反射層が不透明なため、その再帰反射材の下部にある情報を認識することは極めて難しいものであった。
本発明は、上記のような現状に鑑みなされたものであり、その目的は情報を記載した面の上に貼付してもその情報を視認することのできる透明再帰反射材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の透明再帰反射材は入射光を略入射光進行方向に帰還させる再帰反射部を備えた再帰反射材であって、前記再帰反射部は、屈折率が2.0以上の無機物により構成された反射層と、該反射層上に整列配置された透明微小球と、を備え、前記再帰反射材は450〜700nmの波長域での光透過率が30〜99%であり、情報が記載された面上に貼付され、該面上の情報が視認できることを特徴とする。
【0007】
上記の透明再帰反射材において、前記反射層が二酸化チタン若しくはインジウム−スズ酸化物であることが好適である。
上記の再帰反射材において、ホログラム層または回折パターン記録層を備えることが好適である。
上記の再帰反射材において、物品に貼付するための接着層を設けることが好適である。
【0008】
上記の再帰反射材において、前記反射層を部分的に配置することで、再帰反射光として観察できる情報を描くことが好適である。
上記の再帰反射材において、前記反射層に該反射層の層厚及び/または屈折率が異なる部分を設けることで、再帰反射光として観察できる情報を描くことが好適である。
【0009】
【発明の実施の形態】
上述したように従来の再帰反射材では、情報が記載された面上に貼付して、かつその情報を視認するという用途は考えられていなかった。しかしながら、偽造防止等の目的でパスポートや免許証等の証明書、カード等に印刷された写真、文字等の上に再帰反射材を貼付するよう場合、再帰反射材を通してその写真、文字等を認識できる必要がある。また、製品などに貼付する場合、その製品の意匠性、装飾性を損なうことがないようにすることが望ましい。そのため、情報が記載された面上に貼付してもその情報を読み取ることのできるような透明な再帰反射材が必要となる。また、再帰反射の性能自体を損なうことがないようにしなくてはならない。
【0010】
そこで本発明者らが鋭意検討した結果、反射層を透明性が高くかつ屈折率の大きい無機物質とすることで、再帰反射材としての十分な性能を有しながら透明性も高いものにできることが判明した。さらに反射層の厚みを調整することで、再帰反射光を有色にすることも可能である。この透明再帰反射材について、以下実施形態に則して詳しく説明する。
【0011】
ここで、本明細書中で用いられる光の用語について定義しておく。通常光とは、例えば太陽光、あるいは蛍光灯等の照明の光のように存在する波長にばらつきがあり、また光の進行方向にもばらつきがあるような光を指す。また直線光とは、進行方向が揃えられた光を指す。ただし、波長に関してはばらつきがあっても良い。
【0012】
図1の透明再帰反射材10は、保護層22と、再帰反射部12と、接着層24と、が積層して構成される。
再帰反射部12は、反射層14と、該反射層14上に多数整列配置された透明微小球16によって構成される。この反射層14は屈折率が2.0以上の無機物、例えば金属酸化物等で構成される。
【0013】
透明微小球16は、反射層14上の焦点合わせのための焦点樹脂層18に埋め込まれた形で整列配置される。従来の再帰反射材と同様に、透明微小球16が球面レンズのような働きをすることで、反射層14で反射された光を入射して来た方向に帰還させる。この整列配置された透明微小球16の上に微小球固定層20を設け、さらにその上に保護層22が積層されている。この保護層22は他の層の支持、再帰反射材10の保護の目的で設けられている。また、保護層22は透明性の高い材質から構成される。
【0014】
反射層14の下には物品に貼付するための接着層24が設けられている。このようにして構成された透明再帰反射材10は、450〜700nmの波長域での光透過率は30〜99%である。
この接着層24により再帰反射材10が製品、カード、証明書等の物品26に貼付される。この物品26の表面は、写真、図形、記号、文字、絵柄などの情報が記載された情報記載面28となっている。このように、情報記載面28の上に貼付した場合、従来の再帰反射材ではその情報を視認することができなかった。
【0015】
しかし、本発明では、反射層14の光透過性を高くすることで再帰反射材10の下部にある情報を視認することが可能となった。これを図2を参照して説明する。図1と対応する部分には同一符号をつけ説明を省略する。また、図2では再帰反射材の各層の部分は省略して示した。
【0016】
図2(a)は通常光の下で再帰反射材10を観察した場合の説明図である。再帰反射材10に入射した光の一部は、従来のものと同様に、透明微小球、焦点樹脂層、反射層の働きにより、入射方向と略同一方向へ帰還する再帰反射光となる。しかし、本発明では反射層の光透過率を十分高くしているため、入射した光の一部はそのまま反射層を通り抜け物品26へと向かい、物品26表面で反射される。この反射光により、物品26表面に記載された情報が観察できることになる。また、通常光の下では、光は様々な方向から入射してくるため再帰反射光そのものはほとんど認識できない。
【0017】
このように本発明の再帰反射材を通常光のもとで観察した場合、その外観は透明なフィルムとして観察される。
図2(b)は直線光の下で、再帰反射材10を観察した場合の説明図である。この場合も図2(a)の場合と同様に、入射光の一部は反射層によって反射され再帰反射光となり、残りは反射層を透過して物品26に至り、そこで反射される。
直線光では光の入射方向がそろっているため、再帰反射光が良く観察されるようになる。また、物品26の表面で反射された光により物品に記載された情報も視認できる。つまり、直線光のもとでは、物品に記載された情報に加え再帰反射光も観察できる。
【0018】
また、本発明では反射層の厚みを調節することで再帰反射光に任意の色の干渉色を生じさせることが可能である。図3はその説明図であり、図1の一部分を拡大して示した。図3に示すように、反射層14へ入射した光は、一部が該反射層14の表面で反射する反射光Aとなり、残りが反射層14内に入射し反射層14の裏面で反射される反射光Bとなる。反射光Aと反射光Bの間の光路差によって干渉が生じ、その結果特定の波長の光は弱められ、また逆にある波長の光は強められる。つまり、入射する直線光とは異なった色の再帰反射光が観察されることになる。また、これらの干渉色は通常光の下では、上記の光路差にばらつきがあるため、ほとんど観察されない。
【0019】
再帰反射光の色の調整は、屈折率、反射の際の位相変化等を考慮して反射層の厚さを調整することで行われる。例として表1に反射層に二酸化チタンを用い、白色光を入射したときの再帰反射光の色と反射層の層厚の関係を示す。
【0020】
【表1】
干渉色 二酸化チタンの幾何学的厚さ ( Å )
銀 200〜400
金 400〜900
赤 900〜1100
薫 1100〜1200
青 1200〜1350
緑 1350〜1550
第2オーダーの金 1550〜1750
第2オーダーの薫 1750〜2000
以上のように本発明では反射層を光透過率が高く、かつ屈折率が大きい無機物で構成したため、高い透明性と十分な再帰反射性能を両立することが可能となった。また、反射層の膜厚を調節することで干渉色による再帰反射光の色の調整を行うことができる。
【0021】
また、反射層によって文字、数字、記号、図形、絵柄、図柄等の情報を描き、その情報を再帰反射光によって観察することも可能である。例えば、反射層を蒸着する際、マスクを通して行うことで、反射層を再帰反射材の全面に設けず一部に設け、文字や図形などの情報を描く。すると、その部分が再帰反射光として観察できることになる。または、反射層の膜厚や反射層として用いる物質を一部で変更することにより再帰反射光の色を一部で変化させることで、情報を描くことも可能である。図4がそのような再帰反射材を物品上に貼付した状態を上から観察したものである。上述したように通常光の下では、光の進行方向にばらつきがあり再帰反射光はほとんど観察されないので、通常光の下では反射層によって描かれた情報を観察することはできない。つまり、図4(a)に示すように通常光のもとでは、再帰反射材の下にある物品に印刷された図形、絵柄等の情報50のみが確認でき、反射層によって描かれた情報は観察されない。しかし、直線光のもとでは、図4(b)に示すように物品に印刷された情報50に加え、反射層によって描かれた情報52も観察できるようになる。
【0022】
このように反射層によって図形や文字などの模様を描くことで、通常光の下では観察されず、直線光のもとでのみその模様が観察可能になる。この再帰反射材を製品などに貼付することによって、偽造防止の効果が向上する。
また、本発明は、フィルムの一部に文字、写真等の情報を印刷することや、ホログラム層や回折パターン記録層と組み合わせることも可能である。図5にそれらの例を示す。なお図1と対応する部分には符号100を加え説明を省略する。
【0023】
図5(a)では、保護層122の表面に、印刷情報130が加えられている。この印刷情報130は、写真、文字、記号、図形等の情報を保護層122の一部に印刷したものである。ここでは、保護層122の表面に印刷を施したものを示したが、反射層114と焦点樹脂層118との間に印刷情報を挟んだり、保護層122の裏面(再帰反射部112と積層している側)に印刷し、印刷情報を保護層122と再帰反射部112の間に挟んだものでもよい。このように一部分に光透過性が低い部分を設けても、印刷を施していない部分は十分な透明性を有しているので、印刷を施していない部分から物品に印刷された情報を読み取ることができる。
【0024】
図5(b)は、再帰反射部112の上にホログラム層132を積層したものを示している。ホログラム層132はホログラム干渉縞を記録したホログラム再生体を用いて構成される。
ホログラム層112としては従来公知のホログラムフィルムを用いればよい。ただし、光透過率がある程度高いものが必要であるので、半透明ホログラム再生体、透明ホログラム再生体といったものを用いる。
【0025】
ホログラム層を加えることにより、再帰反射材の上にホログラム像が浮かびあがり、意匠性や装飾性の効果が上がる。またホログラム層として、特定の波長のレーザー光でのみホログラム像を再生できるようなホログラム再生体を用いる等を行えば、偽造防止効果を向上することができる。
図5(c)は、図5(b)のホログラム層の代わりに、ホログラムと同様な技術を用いて回折格子のパターンを記録した回折パターン記録層134を用いたものである。回折パターン層134を用いることで再帰反射材に真珠光沢を持った外観を持たせることができる。
【0026】
また、再帰反射材の透明性を損なわない限り、上記の各層を組み合わせて構成してもよい。
次に図1に戻り、各層の詳細な説明を行う。
【0027】
<保護層>
保護層22は積層される他の層を支持し、再帰反射材表面を保護する目的をもつ。保護層22には製造工程耐性、品質安定性、塗工適正、作業性、などが要求される。また、透明性が高い材質を使用する必要がある。これらの目的を達し得る強度、耐熱性、熱伝導性を有する材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレンなどが選ばれる。また、ホログラム、光回折パターンを有するフィルムであってもよい。
【0028】
<微小球固定層>
微小球固定層20に用いられる樹脂は透明微小球との接着性が良く、また透明性が高いものが選ばれる。例としてアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。また、被膜強度及び透明微小球との接着強度を上げるために架橋剤を加えても良い。
【0029】
<透明微小球>
透明微小球16は従来公知のものを用いればよい。例えば粒子径が30〜80μmのBaO−SiO2−TiO2系ガラス、BaO−ZnO−TiO2系ガラス等を用いればよく、その屈折率は1.9〜2.2程度である。
【0030】
<焦点樹脂層>
焦点樹脂層18には、従来公知のものを用いればよい。ただし、透明性の高さは要求される。例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。また、被膜強度を上げるため架橋剤を加えても良い。
【0031】
<反射層>
反射層14は透明性が高く屈折率が高い化合物を用いる。例えば酸化チタン、インジウム−スズ酸化物、酸化亜鉛、酸化タングステンなどが挙げられる。反射層の形成方法としては、真空蒸着法、イオンプレーティング法、ゾル−ゲル法等が挙げられる。このうちイオンプレーティング法が、付着性や膜厚の均一性などの点で優れている。
また、用いる物質の材料などにもより一概には言えないが、十分な光透過率を得るため反射層の膜厚の程度は、500〜3000Åが好適である。
【0032】
<接着層>
接着層24にも透明性の高い材質を用いる。例として、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤などが挙げられる。また、接着の形態としては粘着剤による接着や、加熱によるホットメルト接着などが挙げられる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例を説明する。表2に実施例1、2、3の製造条件を示した。
【表2】
【0034】
【実施例1】
保護層として厚みが100μmの透明ポリカーボネイトフィルムを用い、反射層として二酸化チタンを使用した。また、透明微小球には屈折率が1.9のガラスビーズを使用し、透明微小球固定化層及び焦点樹脂層としてウレタン系樹脂と架橋剤との混合物を用いた。
【0035】
製造方法は以下の通りである。透明ポリカーボネートフィルムにウレタン系樹脂と架橋剤との混合物を塗工し、その樹脂が完全に硬化する以前に屈折率が1.9のガラスビーズを一重に散布する。その後70℃で3分加熱処理を行ってガラスビーズを固定化した。次に焦点合わせの為のウレタン樹脂を塗工し、80℃で10分間乾燥を行った。さらに、高周波励起法(RF法)によるイオンプレーティング法を用いて、上記加工を施したフィルムのガラスビーズ固定面側にTiO2を蒸着した。イオンプレーティングに際しては、蒸発原料としてTiO2を使用し、蒸発源として電子銃(EB)を使用した。
【0036】
反射層の製膜速度を2.1Å/sとして4分間製膜を行い、反射層の膜厚が500Åの透明再帰反射材を得た。その他の製造条件は表2に示した。
実施例1により得られた再帰反射材を目視により観察した結果、十分な透明性をもつことが確認できた。また、その再帰反射性能を調べるため、入射直線光として白色直線光を用い、入射光方向から目視により観察を行った。その結果、金色の再帰光が観察され、十分な再帰反射性能を有し、また有色の再帰光が得られることが確認できた。
【0037】
【実施例2】
材料、及び製造方法は実施例1と同様で、反射層の膜厚を1200Åとしたものを実施例2とした。反射層の製膜速度は1.3Å/sとして16分間製膜を行った。その他の製造条件は表2に示した。
実施例2により得られた再帰反射材を目視により観察した結果、十分な透明性をもつことが確認できた。また、その再帰反射性能を調べるため、入射直線光として白色直線光を用い、入射光方向から目視により観察を行った。その結果、薫色の再帰光が観察され、十分な再帰反射性能を有し、また有色の再帰光が得られることが確認できた。
【0038】
【実施例3】
材料、及び製造方法は実施例1と同様で、反射層の膜厚を2300Åとしたものを実施例3とした。反射層の製膜速度は2.7Å/sとして14分間製膜を行った。その他の製造条件は表2に示した。
実施例3により得られた再帰反射材を目視により観察した結果、十分な透明性をもつことが確認できた。また、その再帰反射性能を調べるため、入射直線光として白色直線光を用い、入射光方向から目視により観察を行った。その結果、青色の再帰光が観察され、十分な再帰反射性能を有し、また有色の再帰光が得られることが確認できた。
【0039】
【発明の効果】
本発明の透明再帰反射材によれば、屈折率が2.0以上の無機物により構成された反射層と、該反射層上に整列配置された透明微小球と、を備えることで、十分な再帰反射率を持ち、かつ450〜700nmの波長域での光透過率が30〜99%である透明な再帰反射材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透明再帰反射材の概略構成図である。
【図2】透明再帰反射材を通常光(図2(a))、直線光(図2(b))の下に置いた場合の説明図である。
【図3】再帰反射光の着色についての説明図である。
【図4】情報を印刷した面に透明再帰反射材を貼付し、その上から観察したときの説明図である。
【図5】本発明の透明再帰反射材の他の実施形態の概略構成図である。
【符号の説明】
10 透明再帰反射材
12 再帰反射部
14 反射層
16 透明微小球
26 物品
28 情報記録面
【発明の属する技術分野】
本発明は再帰反射材の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、夜間識別用の交通標識、あるいは衣服などには再帰反射材が用いられ、自動車のヘッドライト等のビーム状の光が照射されると、ほぼその入射方向に帰還光を送出することができる。
再帰反射材としては特許文献1、2などに示されるように、比較的高屈折率の微小球を金属膜などの光反射層上に設けたものが一般的に使用されている。反射層に金属膜、特にアルミニウムが使用されるのはその高い反射率により再帰光効率が良いことによる。
【0003】
また、再帰反射光を有色化する方法としては、特許文献3等に示されるように酸化金属被覆変状粉体を反射層とすることで、入射光とは異なる着色光を再帰させる方法が挙げられる。
これらの再帰反射材は、太陽光の下のような通常光で見るとその再帰反射材自体のもつ外観を呈し、ビーム状の直線光の下で再帰反射光による外観が観察可能になる。この性質を利用してブランド製品やカードなどに再帰反射材を貼付することで偽造品との判別等を行うことができる。
【0004】
【特許文献1】
特開昭63−38902号公報
【特許文献2】
特開平8−60627号公報
【特許文献3】
特開平11−167010号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術では、再帰反射光の反射効率や、再帰反射材自体の持つ外観の改良に主眼が置かれ、文字や写真等を印刷した面の上に再帰反射材を貼付するような場合は考えられていなかった。実際、従来の再帰反射材では反射層が不透明なため、その再帰反射材の下部にある情報を認識することは極めて難しいものであった。
本発明は、上記のような現状に鑑みなされたものであり、その目的は情報を記載した面の上に貼付してもその情報を視認することのできる透明再帰反射材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の透明再帰反射材は入射光を略入射光進行方向に帰還させる再帰反射部を備えた再帰反射材であって、前記再帰反射部は、屈折率が2.0以上の無機物により構成された反射層と、該反射層上に整列配置された透明微小球と、を備え、前記再帰反射材は450〜700nmの波長域での光透過率が30〜99%であり、情報が記載された面上に貼付され、該面上の情報が視認できることを特徴とする。
【0007】
上記の透明再帰反射材において、前記反射層が二酸化チタン若しくはインジウム−スズ酸化物であることが好適である。
上記の再帰反射材において、ホログラム層または回折パターン記録層を備えることが好適である。
上記の再帰反射材において、物品に貼付するための接着層を設けることが好適である。
【0008】
上記の再帰反射材において、前記反射層を部分的に配置することで、再帰反射光として観察できる情報を描くことが好適である。
上記の再帰反射材において、前記反射層に該反射層の層厚及び/または屈折率が異なる部分を設けることで、再帰反射光として観察できる情報を描くことが好適である。
【0009】
【発明の実施の形態】
上述したように従来の再帰反射材では、情報が記載された面上に貼付して、かつその情報を視認するという用途は考えられていなかった。しかしながら、偽造防止等の目的でパスポートや免許証等の証明書、カード等に印刷された写真、文字等の上に再帰反射材を貼付するよう場合、再帰反射材を通してその写真、文字等を認識できる必要がある。また、製品などに貼付する場合、その製品の意匠性、装飾性を損なうことがないようにすることが望ましい。そのため、情報が記載された面上に貼付してもその情報を読み取ることのできるような透明な再帰反射材が必要となる。また、再帰反射の性能自体を損なうことがないようにしなくてはならない。
【0010】
そこで本発明者らが鋭意検討した結果、反射層を透明性が高くかつ屈折率の大きい無機物質とすることで、再帰反射材としての十分な性能を有しながら透明性も高いものにできることが判明した。さらに反射層の厚みを調整することで、再帰反射光を有色にすることも可能である。この透明再帰反射材について、以下実施形態に則して詳しく説明する。
【0011】
ここで、本明細書中で用いられる光の用語について定義しておく。通常光とは、例えば太陽光、あるいは蛍光灯等の照明の光のように存在する波長にばらつきがあり、また光の進行方向にもばらつきがあるような光を指す。また直線光とは、進行方向が揃えられた光を指す。ただし、波長に関してはばらつきがあっても良い。
【0012】
図1の透明再帰反射材10は、保護層22と、再帰反射部12と、接着層24と、が積層して構成される。
再帰反射部12は、反射層14と、該反射層14上に多数整列配置された透明微小球16によって構成される。この反射層14は屈折率が2.0以上の無機物、例えば金属酸化物等で構成される。
【0013】
透明微小球16は、反射層14上の焦点合わせのための焦点樹脂層18に埋め込まれた形で整列配置される。従来の再帰反射材と同様に、透明微小球16が球面レンズのような働きをすることで、反射層14で反射された光を入射して来た方向に帰還させる。この整列配置された透明微小球16の上に微小球固定層20を設け、さらにその上に保護層22が積層されている。この保護層22は他の層の支持、再帰反射材10の保護の目的で設けられている。また、保護層22は透明性の高い材質から構成される。
【0014】
反射層14の下には物品に貼付するための接着層24が設けられている。このようにして構成された透明再帰反射材10は、450〜700nmの波長域での光透過率は30〜99%である。
この接着層24により再帰反射材10が製品、カード、証明書等の物品26に貼付される。この物品26の表面は、写真、図形、記号、文字、絵柄などの情報が記載された情報記載面28となっている。このように、情報記載面28の上に貼付した場合、従来の再帰反射材ではその情報を視認することができなかった。
【0015】
しかし、本発明では、反射層14の光透過性を高くすることで再帰反射材10の下部にある情報を視認することが可能となった。これを図2を参照して説明する。図1と対応する部分には同一符号をつけ説明を省略する。また、図2では再帰反射材の各層の部分は省略して示した。
【0016】
図2(a)は通常光の下で再帰反射材10を観察した場合の説明図である。再帰反射材10に入射した光の一部は、従来のものと同様に、透明微小球、焦点樹脂層、反射層の働きにより、入射方向と略同一方向へ帰還する再帰反射光となる。しかし、本発明では反射層の光透過率を十分高くしているため、入射した光の一部はそのまま反射層を通り抜け物品26へと向かい、物品26表面で反射される。この反射光により、物品26表面に記載された情報が観察できることになる。また、通常光の下では、光は様々な方向から入射してくるため再帰反射光そのものはほとんど認識できない。
【0017】
このように本発明の再帰反射材を通常光のもとで観察した場合、その外観は透明なフィルムとして観察される。
図2(b)は直線光の下で、再帰反射材10を観察した場合の説明図である。この場合も図2(a)の場合と同様に、入射光の一部は反射層によって反射され再帰反射光となり、残りは反射層を透過して物品26に至り、そこで反射される。
直線光では光の入射方向がそろっているため、再帰反射光が良く観察されるようになる。また、物品26の表面で反射された光により物品に記載された情報も視認できる。つまり、直線光のもとでは、物品に記載された情報に加え再帰反射光も観察できる。
【0018】
また、本発明では反射層の厚みを調節することで再帰反射光に任意の色の干渉色を生じさせることが可能である。図3はその説明図であり、図1の一部分を拡大して示した。図3に示すように、反射層14へ入射した光は、一部が該反射層14の表面で反射する反射光Aとなり、残りが反射層14内に入射し反射層14の裏面で反射される反射光Bとなる。反射光Aと反射光Bの間の光路差によって干渉が生じ、その結果特定の波長の光は弱められ、また逆にある波長の光は強められる。つまり、入射する直線光とは異なった色の再帰反射光が観察されることになる。また、これらの干渉色は通常光の下では、上記の光路差にばらつきがあるため、ほとんど観察されない。
【0019】
再帰反射光の色の調整は、屈折率、反射の際の位相変化等を考慮して反射層の厚さを調整することで行われる。例として表1に反射層に二酸化チタンを用い、白色光を入射したときの再帰反射光の色と反射層の層厚の関係を示す。
【0020】
【表1】
干渉色 二酸化チタンの幾何学的厚さ ( Å )
銀 200〜400
金 400〜900
赤 900〜1100
薫 1100〜1200
青 1200〜1350
緑 1350〜1550
第2オーダーの金 1550〜1750
第2オーダーの薫 1750〜2000
以上のように本発明では反射層を光透過率が高く、かつ屈折率が大きい無機物で構成したため、高い透明性と十分な再帰反射性能を両立することが可能となった。また、反射層の膜厚を調節することで干渉色による再帰反射光の色の調整を行うことができる。
【0021】
また、反射層によって文字、数字、記号、図形、絵柄、図柄等の情報を描き、その情報を再帰反射光によって観察することも可能である。例えば、反射層を蒸着する際、マスクを通して行うことで、反射層を再帰反射材の全面に設けず一部に設け、文字や図形などの情報を描く。すると、その部分が再帰反射光として観察できることになる。または、反射層の膜厚や反射層として用いる物質を一部で変更することにより再帰反射光の色を一部で変化させることで、情報を描くことも可能である。図4がそのような再帰反射材を物品上に貼付した状態を上から観察したものである。上述したように通常光の下では、光の進行方向にばらつきがあり再帰反射光はほとんど観察されないので、通常光の下では反射層によって描かれた情報を観察することはできない。つまり、図4(a)に示すように通常光のもとでは、再帰反射材の下にある物品に印刷された図形、絵柄等の情報50のみが確認でき、反射層によって描かれた情報は観察されない。しかし、直線光のもとでは、図4(b)に示すように物品に印刷された情報50に加え、反射層によって描かれた情報52も観察できるようになる。
【0022】
このように反射層によって図形や文字などの模様を描くことで、通常光の下では観察されず、直線光のもとでのみその模様が観察可能になる。この再帰反射材を製品などに貼付することによって、偽造防止の効果が向上する。
また、本発明は、フィルムの一部に文字、写真等の情報を印刷することや、ホログラム層や回折パターン記録層と組み合わせることも可能である。図5にそれらの例を示す。なお図1と対応する部分には符号100を加え説明を省略する。
【0023】
図5(a)では、保護層122の表面に、印刷情報130が加えられている。この印刷情報130は、写真、文字、記号、図形等の情報を保護層122の一部に印刷したものである。ここでは、保護層122の表面に印刷を施したものを示したが、反射層114と焦点樹脂層118との間に印刷情報を挟んだり、保護層122の裏面(再帰反射部112と積層している側)に印刷し、印刷情報を保護層122と再帰反射部112の間に挟んだものでもよい。このように一部分に光透過性が低い部分を設けても、印刷を施していない部分は十分な透明性を有しているので、印刷を施していない部分から物品に印刷された情報を読み取ることができる。
【0024】
図5(b)は、再帰反射部112の上にホログラム層132を積層したものを示している。ホログラム層132はホログラム干渉縞を記録したホログラム再生体を用いて構成される。
ホログラム層112としては従来公知のホログラムフィルムを用いればよい。ただし、光透過率がある程度高いものが必要であるので、半透明ホログラム再生体、透明ホログラム再生体といったものを用いる。
【0025】
ホログラム層を加えることにより、再帰反射材の上にホログラム像が浮かびあがり、意匠性や装飾性の効果が上がる。またホログラム層として、特定の波長のレーザー光でのみホログラム像を再生できるようなホログラム再生体を用いる等を行えば、偽造防止効果を向上することができる。
図5(c)は、図5(b)のホログラム層の代わりに、ホログラムと同様な技術を用いて回折格子のパターンを記録した回折パターン記録層134を用いたものである。回折パターン層134を用いることで再帰反射材に真珠光沢を持った外観を持たせることができる。
【0026】
また、再帰反射材の透明性を損なわない限り、上記の各層を組み合わせて構成してもよい。
次に図1に戻り、各層の詳細な説明を行う。
【0027】
<保護層>
保護層22は積層される他の層を支持し、再帰反射材表面を保護する目的をもつ。保護層22には製造工程耐性、品質安定性、塗工適正、作業性、などが要求される。また、透明性が高い材質を使用する必要がある。これらの目的を達し得る強度、耐熱性、熱伝導性を有する材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレンなどが選ばれる。また、ホログラム、光回折パターンを有するフィルムであってもよい。
【0028】
<微小球固定層>
微小球固定層20に用いられる樹脂は透明微小球との接着性が良く、また透明性が高いものが選ばれる。例としてアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。また、被膜強度及び透明微小球との接着強度を上げるために架橋剤を加えても良い。
【0029】
<透明微小球>
透明微小球16は従来公知のものを用いればよい。例えば粒子径が30〜80μmのBaO−SiO2−TiO2系ガラス、BaO−ZnO−TiO2系ガラス等を用いればよく、その屈折率は1.9〜2.2程度である。
【0030】
<焦点樹脂層>
焦点樹脂層18には、従来公知のものを用いればよい。ただし、透明性の高さは要求される。例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。また、被膜強度を上げるため架橋剤を加えても良い。
【0031】
<反射層>
反射層14は透明性が高く屈折率が高い化合物を用いる。例えば酸化チタン、インジウム−スズ酸化物、酸化亜鉛、酸化タングステンなどが挙げられる。反射層の形成方法としては、真空蒸着法、イオンプレーティング法、ゾル−ゲル法等が挙げられる。このうちイオンプレーティング法が、付着性や膜厚の均一性などの点で優れている。
また、用いる物質の材料などにもより一概には言えないが、十分な光透過率を得るため反射層の膜厚の程度は、500〜3000Åが好適である。
【0032】
<接着層>
接着層24にも透明性の高い材質を用いる。例として、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤などが挙げられる。また、接着の形態としては粘着剤による接着や、加熱によるホットメルト接着などが挙げられる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例を説明する。表2に実施例1、2、3の製造条件を示した。
【表2】
【0034】
【実施例1】
保護層として厚みが100μmの透明ポリカーボネイトフィルムを用い、反射層として二酸化チタンを使用した。また、透明微小球には屈折率が1.9のガラスビーズを使用し、透明微小球固定化層及び焦点樹脂層としてウレタン系樹脂と架橋剤との混合物を用いた。
【0035】
製造方法は以下の通りである。透明ポリカーボネートフィルムにウレタン系樹脂と架橋剤との混合物を塗工し、その樹脂が完全に硬化する以前に屈折率が1.9のガラスビーズを一重に散布する。その後70℃で3分加熱処理を行ってガラスビーズを固定化した。次に焦点合わせの為のウレタン樹脂を塗工し、80℃で10分間乾燥を行った。さらに、高周波励起法(RF法)によるイオンプレーティング法を用いて、上記加工を施したフィルムのガラスビーズ固定面側にTiO2を蒸着した。イオンプレーティングに際しては、蒸発原料としてTiO2を使用し、蒸発源として電子銃(EB)を使用した。
【0036】
反射層の製膜速度を2.1Å/sとして4分間製膜を行い、反射層の膜厚が500Åの透明再帰反射材を得た。その他の製造条件は表2に示した。
実施例1により得られた再帰反射材を目視により観察した結果、十分な透明性をもつことが確認できた。また、その再帰反射性能を調べるため、入射直線光として白色直線光を用い、入射光方向から目視により観察を行った。その結果、金色の再帰光が観察され、十分な再帰反射性能を有し、また有色の再帰光が得られることが確認できた。
【0037】
【実施例2】
材料、及び製造方法は実施例1と同様で、反射層の膜厚を1200Åとしたものを実施例2とした。反射層の製膜速度は1.3Å/sとして16分間製膜を行った。その他の製造条件は表2に示した。
実施例2により得られた再帰反射材を目視により観察した結果、十分な透明性をもつことが確認できた。また、その再帰反射性能を調べるため、入射直線光として白色直線光を用い、入射光方向から目視により観察を行った。その結果、薫色の再帰光が観察され、十分な再帰反射性能を有し、また有色の再帰光が得られることが確認できた。
【0038】
【実施例3】
材料、及び製造方法は実施例1と同様で、反射層の膜厚を2300Åとしたものを実施例3とした。反射層の製膜速度は2.7Å/sとして14分間製膜を行った。その他の製造条件は表2に示した。
実施例3により得られた再帰反射材を目視により観察した結果、十分な透明性をもつことが確認できた。また、その再帰反射性能を調べるため、入射直線光として白色直線光を用い、入射光方向から目視により観察を行った。その結果、青色の再帰光が観察され、十分な再帰反射性能を有し、また有色の再帰光が得られることが確認できた。
【0039】
【発明の効果】
本発明の透明再帰反射材によれば、屈折率が2.0以上の無機物により構成された反射層と、該反射層上に整列配置された透明微小球と、を備えることで、十分な再帰反射率を持ち、かつ450〜700nmの波長域での光透過率が30〜99%である透明な再帰反射材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透明再帰反射材の概略構成図である。
【図2】透明再帰反射材を通常光(図2(a))、直線光(図2(b))の下に置いた場合の説明図である。
【図3】再帰反射光の着色についての説明図である。
【図4】情報を印刷した面に透明再帰反射材を貼付し、その上から観察したときの説明図である。
【図5】本発明の透明再帰反射材の他の実施形態の概略構成図である。
【符号の説明】
10 透明再帰反射材
12 再帰反射部
14 反射層
16 透明微小球
26 物品
28 情報記録面
Claims (6)
- 入射光を略入射光進行方向に帰還させる再帰反射部を備えた再帰反射材であって、
前記再帰反射部は、屈折率が2.0以上の無機物により構成された反射層と、該反射層上に整列配置された透明微小球と、を備え、
前記再帰反射材は450〜700nmの波長域での光透過率が30〜99%であり、情報が記載された面上に貼付され、該面上の情報が視認できることを特徴とする透明再帰反射材。 - 請求項1の透明再帰反射材において、
前記反射層が二酸化チタン若しくはインジウム−スズ酸化物であることを特徴とする透明再帰反射材。 - 請求項1または2の再帰反射材において、
ホログラム層または回折パターン記録層を備えることを特徴とする透明再帰反射材。 - 請求項1〜3の再帰反射材において、
物品に貼付するための接着層を設けることを特徴とする透明再帰反射材。 - 請求項1〜4の再帰反射材において、
前記反射層を部分的に配置することで、再帰反射光として観察できる情報を描くことを特徴とする透明再帰反射材。 - 請求項1〜4の再帰反射材において、
前記反射層に該反射層の層厚及び/または屈折率が異なる部分を設けることで、再帰反射光として観察できる情報を描くことを特徴とする透明再帰反射材。
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