JP2004293819A - 空気調和機、空気調和機の室内ユニットの運転方法及び空気調和機の室内ユニットの制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】空気流路の通風抵抗が変化した状態で運転する場合にも、その状態に適した風路形状を形成し、高い送風効率で運転できる空気調和機を得る。
【解決手段】空気流路内に配置した羽根車9の回転方向後方側風路部材を形成するスクロールケーシング10と、羽根車9の回転方向前方側風路部材を形成する吹出口上側案内部13と、スクロールケーシング10に接続する吹出口下側案内部13とを備え、スクロールケーシング10を空気の流れ方向上流側のスクロールケーシング渦巻き部10aと下流側のスクロールケーシング接続部10bとで構成する。渦巻き部可変機構19によりスクロールケーシング渦巻き部10aを変位させて羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積を可変にする。または吹出口下側案内部可変機構20により吹出口下側案内部12を変位させて吹出ダクト14の流路断面積を可変にする。
【選択図】 図1
【解決手段】空気流路内に配置した羽根車9の回転方向後方側風路部材を形成するスクロールケーシング10と、羽根車9の回転方向前方側風路部材を形成する吹出口上側案内部13と、スクロールケーシング10に接続する吹出口下側案内部13とを備え、スクロールケーシング10を空気の流れ方向上流側のスクロールケーシング渦巻き部10aと下流側のスクロールケーシング接続部10bとで構成する。渦巻き部可変機構19によりスクロールケーシング渦巻き部10aを変位させて羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積を可変にする。または吹出口下側案内部可変機構20により吹出口下側案内部12を変位させて吹出ダクト14の流路断面積を可変にする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、空気調和機に関し、特に室内ユニットの通風抵抗の増減に対応する風路構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の空気調和機は、第1案内部材を角変位駆動する駆動手段を室内ユニット内に設けている。例えばモータなどの駆動手段によって第1案内部材を角変位させて任意の角変位位置に第1案内部材を配置し、送出し口の開口面積を変化させて調節することができる。第2案内部材および各側壁は固定されているため、送出し口の開口面積は、駆動手段によって駆動される第1案内部材の角変位位置によって決定される。制御手段は、第1および第2圧力センサからの検知圧力信号に基いて、吸込み部と吹出し部との差圧を演算し、室内ユニット内の通風抵抗の変化を検知する。この差圧ΔPに応じて送出し口の開口面積を決定することによって、通風抵抗が変化した状態においても送風効率の高い状態で運転することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−234794号公報(第4−7頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の空気調和機では、送出し口の開口面積の制御に伴い、スクロールケーシング渦巻き部が連動して変化する。通風抵抗が大きい状態でユニットが運転されている場合、送出し口の開口面積が小さいほうが、吹出風速が大きくなることから、壁面から気流が剥離しにくくなり気流の安定性が増すため、送風効率は高くなる。ここで、上記の従来装置では、送出し口の開口面積を小さくする場合、これに伴ってスクロールケーシング渦巻き部も羽根車に近づく。通風抵抗が大きい状態でユニットが運転されている場合、スクロールケーシング渦巻き部付近における羽根車からの気流吹出方向は、通風抵抗が小さい状態と比較すると、半径方向成分の強い流れとなることが、可視化実験や数値解析結果により明らかになっている。そのため、通風抵抗が大きい状態でユニットが運転されている場合、スクロールケーシング渦巻き部が羽根車に近づくと、気流がスクロールケーシング渦巻き部に衝突するため、剥離により損失が生じる。従って、従来の室内ユニットでは、風路形状を細かくみると、風路全体の損失を最小化する形状としては最適化されておらず、通風抵抗増加時に送風効率に悪影響を与える形状が部分的に存在する。従って、十分に高い送風効率を引き出せていないという問題があった。
また、複数の圧力センサを設けて、空気流路の通風抵抗の増加を検知しており、高価で複雑な構成であるという問題点もあった。
【0005】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、室内ユニット内の空気流路の通風抵抗が変化しても、高い送風効率が得られる空気調和機、空気調和機の室内ユニットの運転方法及び空気調和機の室内ユニットの制御方法を得ることを目的とする。
また、簡単で安価な構成で空気流路の通風抵抗の変化を確実に推定して、送風効率の向上を図ることのできる空気調和機を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る空気調和機は、空気吸込口と空気吹出口とを連通する空気流路が内部に設けられたユニット筐体と、前記空気流路内に配置され前記空気吸込口から吸込んだ空気を前記空気吹出口から室内へ送風する羽根車と、前記羽根車の回転方向後方側風路部材を形成するスクロールケーシングと、前記羽根車の回転方向前方側風路部材を形成する吹出口上側案内部と、前記スクロールケーシングに接続する吹出口下側案内部と、を備え、前記スクロールケーシングを前記空気の流れ方向上流側のスクロールケーシング渦巻き部と下流側のスクロールケーシング接続部とに分割して構成し、前記スクロールケーシング渦巻き部を変位させて前記羽根車と前記スクロールケーシング渦巻き部の間の流路断面積を可変にする渦巻き部可変機構、または前記吹出口下側案内部を変位させて前記吹出口上側案内部と前記吹出口下側案内部で構成される吹出ダクトの流路断面積を可変にする吹出口下側案内部可変機構を備えたことを特徴とするものである。
【0007】
また、空気吸込口と空気吹出口とを連通する空気流路が内部に設けられたユニット筐体と、前記空気流路内に配置され前記空気吸込口から吸込んだ空気を前記空気吹出口から室内へ送風する羽根車と、前記空気吹出口の水分量を検知する結露検知手段と、を備え、前記結露検知手段で検知した水分量の変化によって前記羽根車の上流側の通風抵抗の変化を検知することを特徴とするものである。
【0008】
また、空気吸込口と空気吹出口とを連通する空気流路が内部に設けられたユニット筐体と、前記空気流路内に配置され前記空気吸込口から吸込んだ空気を前記空気吹出口から室内へ送風する羽根車と、所定の時間間隔で前記羽根車の電流値または回転数または電圧値または入力電力値を計測する検知手段と、前記検知手段で計測したデータを時系列で記憶する記憶手段と、前記記憶した時系列の計測データのばらつきを演算する演算手段と、を備え、前記演算手段で演算した計測データのばらつきの変化によって前記羽根車の上流側の通風抵抗の変化を検知することを特徴とするものである。
【0009】
また、この発明に係る空気調和機の室内ユニットの運転方法は、羽根車の回転方向後方側の風路部材を変位させて、前記羽根車から吹出口までの空気流路のうちの上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方を独立して変化可能な室内ユニットを運転するステップと、前記羽根車の上流側の通風抵抗の変化を検知して前記空気流路の壁面に空気流の剥離の発生を確認するステップと、前記空気流の剥離の発生を確認した後に前記空気流路の上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方を前記空気流の剥離を減少させる方向に変化させるステップと、を備え、前記羽根車を回転させるための入力を減らすようにしたものである。
【0010】
また、この発明に係る空気調和機の室内ユニットの制御方法は、羽根車の回転方向後方側の風路部材を変位させて、前記羽根車から吹出口までの空気流路のうちの上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方を独立して変化可能な可変機構を有する室内ユニットを運転するステップと、前記羽根車の上流側の通風抵抗の変化を検知して前記空気流路の壁面に空気流の剥離の発生を確認するステップと、前記空気流の剥離の発生を確認した後に前記空気流路の上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方を前記空気流の剥離を減少させる方向に変化させるように前記可変機構を制御するステップと、を備え、前記羽根車を回転させるための入力を減らすようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1に係る空気調和機について説明する。図1、図2は実施の形態1における空気調和機の室内ユニットを示す図で、図1はある運転状態における室内ユニットの断面図、図2は別の運転状態における室内ユニットの断面図である。
【0012】
図1、図2において、室内の壁面に固定される部分であるハウジング2と、側面、上面、前面のパネル3によって、室内ユニット1の筐体を構成し、パネル3の部分は取り外し可能である。上面のパネル3は空気吸込口となる上部吸込グリル5を有し、前面のパネル3は同じく空気吸込口となる前面吸込グリル4を有する。前面吸込グリル4は回動可能な構成で、回動することで空気吸込口を開閉することができる。また、室内ユニット1の下方には、ハウジング2とパネル3との間で下方へ空気を吹出す吹出口6が形成され、上部吸込グリル5、前面吸込グリル4から吸込んだ室内の空気は、室内ユニット1内の空気流路である風路を通り、空気吹出口である吹出口6から室内へ吹出される。
【0013】
風路内に配置される熱交換器7は複数に分割され、それぞれがパネル3の前面または上面に対向するように配置され、前面吸込グリル4と上部吸込グリル5から吸込まれる空気と熱交換器7の内部を流れる冷媒とで熱交換する。
【0014】
熱交換器7の下流側の風路には、羽根車9、スクロールケーシング10、吹出ダクト14により構成される貫流送風機8が配設され、空気を送風する。羽根車9の回転方向後方側の風路部材を形成するスクロールケーシング10は、羽根車9の円周との間に渦巻き状の風路を形成するように湾曲し、渦巻き形状の背面側に最も突出した辺りでスクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bの2つの部分に分割されている。スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bの接続部では上下方向に重なりを有し、この重なりの少なくとも一部分は互いに密着している。さらにスクロールケーシング10の下端部に接続して吹出口6に直線的に伸びる吹出口下側案内部12を有する。
また、吹出口6の前面吸込グリル4側には、羽根車9の回転方向前方側の風路部材を形成するスタビライザ11と、吹出口上側案内部13と、ドレンパン16を有するノーズ部17が配設される。スタビライザ11は吹出口上側案内部13の羽根車側端部から羽根車9の回転方向に伸びて構成されている。
この羽根車9の回転方向後方側の風路部材と回転方向前方側の風路部材とパネル3の側面により羽根車9の下流側の風路を形成する。
【0015】
吹出ダクト14は、吹出口上側案内部13とスクロールケーシング接続部10bの下流部と吹出口下側案内部12とパネル3の側面で囲まれた部分で、羽根車9から吹き出される空気流を吹出口6へ導く吹出風路部である。
スクロールケーシング10と吹出口下側案内部12は、ハウジング2の一部を構成している。さらに、熱交換器7の上流側には、室内ユニット1に吸い込まれる空気中のホコリを除く除塵フィルタ15が設置される。
【0016】
このように構成される室内ユニット1において、貫流送風機8の羽根車9が羽根車回転軸線R1を中心に矢印A方向に回転することにより、前面吸込グリル4と上部吸込グリル5から室内空気を吸気する。そして、空気は除塵フィルタ15を通過後、熱交換器7により熱交換され貫流送風機8の羽根車9に吸い込まれる。その後、羽根車9から吹出された空気は、直接またはスクロールケーシング10で流速を減速し、静圧回復しながら集められ、吹出ダクト14を通過後、吹出口6から室内へ吹出される。
【0017】
スクロールケーシング渦巻き部10aは、一端部において、貫流送風機8の羽根車9の回転軸線R1と平行な角変位軸線R2まわりに、角変位可能に支持されており、位置Caと位置Cbとにわたって、位置Caから位置Cbに向かう方向C1、およびその逆の位置Cbから位置Caに向かう方向C2に、角変位する。
また、スクロールケーシング接続部10bは、一端部において、貫流送風機8の羽根車9の回転軸線R1と平行な角変位軸線R3まわりに、角変位可能に支持されており、位置Daと位置Dbとにわたって、位置Daから位置Dbに向かう方向D1、およびその逆の位置Dbから位置Daに向かう方向D2に、角変位する。
図1に示すように、スクロールケーシング渦巻き部10aが方向C2に角変位してCaに位置するとき、接続部が密着するようにスクロールケーシング接続部10bは方向D2に角変位してDaに位置する。これによって、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積が小さくなる。一方、図2に示すように、スクロールケーシング渦巻き部10aが方向C1に角変位してCbに位置するとき、接続部が密着するようにスクロールケーシング接続部10bは方向D1に角変位してDbに位置する。これによって、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積が大きくなる。
【0018】
吹出口下側案内部12は、ガイド18に沿って上下動可能に支持されており、位置Eaと位置Ebとにわたって、位置Eaから位置Ebに向かう方向E1、およびその逆の位置Ebから位置Eaに向かう方向E2に、上下変位する。
図1に示すように、吹出口下側案内部12が下方向E2に変位してEaに位置することによって、吹出ダクト14の断面の巾が広くなる。一方、図2に示すように、吹出口下側案内部12が上方向E1に変位してEbに位置することによって、吹出ダクト14の断面の巾が狭くなる。
【0019】
吹出口上側案内部13は、一端部において、貫流送風機8の羽根車9の回転軸線R1と平行な角変位軸線R4まわりに、角変位可能に支持されており、位置Faと位置Fbとにわたって、位置Faから位置Fbに向かう方向F1、およびその逆の位置Fbから位置Faに向かう方向F2に、角変位する。
図1に示すように、吹出口上側案内部13が方向F2に角変位してFaに位置することによって、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりが大きくなる。一方、図2に示すように、吹出口上側案内部13が方向F1に角変位してFbに位置することによって、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりが小さくなる。
【0020】
羽根車9の回転方向前方側の風路部材の一部を構成するスタビライザ11は、先端部に変位可能なスタビライザ先端突起部11aを有する。このスラビライザ先端突起部11aを変位させることによって、スタビライザ11と羽根車9の間の最少隙間は変更可能である。図3は、スタビライザ先端突起部11aの構成例を拡大して示す説明図である。スタビライザ先端突起部11aは、一端部において、貫流送風機8の羽根車9の回転軸線R1と平行な角変位軸線R5まわりに、角変位可能に支持されており、位置Gaと位置Gbで変位可能である。位置Gaから位置Gbに向かう方向G1、およびその逆の位置Gbから位置Gaに向かう方向G2に角変位する。
図1に示す配置で、スタビライザ先端突起部11aが方向G2に角変位してGaに位置することによって、羽根車9とスタビライザ11との最小隙間raが大きくなる。一方、図2に示す配置では、スタビライザ先端突起部11aが方向G1に角変位してGbに位置することによって、羽根車9とスタビライザ11との最小隙間rbが小さくなる。
ここでは、スタビライザ先端突起部11aを180度回動させる構成としたが、90度程度回動させるだけでも、羽根車9とスタビライザ11との最小隙間をraとrbで変位させることができる。
【0021】
また、室内ユニット1には、スクロールケーシング渦巻き部10aを方向C1および方向C2に角変位駆動する渦巻き部可変機構を構成する第1駆動手段19と、スクロールケーシング接続部10bを方向D1および方向D2に角変位駆動する接続部可変機構を構成する第2駆動手段20が設けられる。第1駆動手段19および第2駆動手段20は、例えばモータによって実現される。この第1駆動手段19によって位置Caおよび位置Cb間の任意の角変位位置にスクロールケーシング渦巻き部10aを配置し、第2駆動手段20によって位置Daおよび位置Db間の任意の角変位位置にスクロールケーシング接続部10bを配置する。スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bは互いに密着した状態で少なくとも複数の変位位置で停止して羽根車9の回転方向後方側の風路部材の一部を成し、かつその風路形状がスムーズな渦巻き形状になるように構成されている。例えば、マグネットを用いてスクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bが互いに重なった部分の少なくとも一部で、密着するように構成する。これにより、スクロールケーシング10を構成する風路はすきまなく連続した渦巻き形状になり、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積を変化させて調節することができる。複数の変位位置に適当な磁力のマグネットを配置しておき、第1駆動手段19と第2駆動手段20の駆動力の大きさによって、異なるマグネットで引き合うように構成すれば、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bは複数の位置に変位可能となる。
即ち、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積は、第1駆動手段19によって駆動されるスクロールケーシング渦巻き部10aの角変位位置によって決定され、スクロールケーシング渦巻き部10aの角変位にあわせて渦巻き形状の風路が形成されるように、第2駆動手段20によって駆動されるスクロールケーシング接続部10bを角変位させる。スクロールケーシング接続部10bが一端部においてはスクロールケーシング渦巻き部10aと密着した状態で可動であり、他端部においては吹出口下側案内部12の変位に応じて変位可能に構成されているため、スクロールケーシング渦巻き部10aと吹出口下側案内部12とを滑らかに接続できる。
ここで、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bの間の接続部がスクロールケーシング渦巻き部10aの変位に応じてスムーズな形状に保つことができるなら、スクロールケーシング接続部10bの駆動手段は必要なく、R3を回動支持部として単に回動自在に構成してもよい。
【0022】
また、室内ユニット1には、吹出口下側案内部12を下方向E2および上方向E1に上下変位駆動する吹出口下側案内部可変機構を構成する第3駆動手段21と、吹出口上側案内部13を方向F1および方向F2に角変位駆動する吹出口上側案内部可変機構を構成する第4駆動手段22が設けられる。第3駆動手段21および第4駆動手段22は、例えばモータによって実現される。
この第3駆動手段21によって位置Eaおよび位置Eb間の任意の位置に吹出口下側案内部12を配置する。例えば、マグネットなどを用いてスクロールケーシング接続部10bと吹出口下側案内部12が常に接続された状態で、吹出口下側案内部12を変位位置に固定する。これにより、羽根車9の回転方向後方側のスクロールケーシング渦巻き部10aに接続する風路部材はすきまなく構成され、連続した渦巻き形状を保ちつつ、吹出ダクト14の断面の巾を変化させることができる。また、マグネットを設ける構成に限らず、例えばスクロールケーシング渦巻き部10aのスクロールケーシング接続部10bへの押圧力と、スクロールケーシング接続部10bのスクロールケーシング渦巻き部10aへの押圧力とをバランスさせることで、渦巻き形状を保ちつつ変位させる構成でもよい。また、変位方向に余裕を持った状態で、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bとを蝶着部などによって連結してもよい。
また、第4駆動手段22によって位置Faおよび位置Fb間の任意の位置に配置し、吹出ダクト14の吹出口までの広がりを変化させることができる。
即ち、吹出ダクト14の断面の巾は、第3駆動手段21によって駆動される吹出口下側案内部12の変位位置によって決定される。また、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりは、第4駆動手段22によって駆動される吹出口上側案内部13の変位位置によって決定される。この吹出ダクト14の断面の巾と、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりとで、吹出ダクト14の流路断面積を変化させることができる。
【0023】
また、室内ユニット1には、スタビライザ先端突起部11aを方向G1および方向G2に角変位駆動するスタビライザ可変機構を構成する第5駆動手段23が設けられる。第5駆動手段23は、例えばモータによって実現される。この第5駆動手段23によって位置Gaおよび位置Gb間の任意の角変位位置にスタビライザ先端突起部11aを配置することにより、貫流送風機8の羽根車9とスタビライザ11との間の最小隙間を変化させることができる。
即ち、貫流送風機8の羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間は、第5駆動手段23によって駆動されるスタビライザ先端突起部11aの角変位位置によって決定される。
【0024】
さらに、室内ユニット1には、例えばマイクロコンピュータによって実現される制御手段24が設けられる。制御手段24は、第1駆動手段19および第2駆動手段20および第3駆動手段21および第4駆動手段22および第5駆動手段23に指令信号を与えて、第1駆動手段19および第2駆動手段20および第3駆動手段21および第4駆動手段22および第5駆動手段23の可変機構を制御する。
制御手段24からの指令信号に従って、第1駆動手段19はスクロールケーシング渦巻き部10aを角変位駆動し、第2駆動手段20はスクロールケーシング接続部10bを角変位駆動する。これらによって貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積を変化させて調節することができる。また、制御手段24からの指令信号に従って、第3駆動手段21は吹出口下側案内部12を上下変位駆動し、吹出ダクト14の断面の巾を変化させて調節することができる。また、制御手段24からの指令信号に従って、第4駆動手段22は吹出口上側案内部13を角変位駆動し、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりを変化させて調節することができる。また、制御手段24からの指令信号に従って、第5駆動手段23はスタビライザ先端突起部11aを角変位駆動し、これによって貫流送風機8の羽根車9とスタビライザ11との間の最小隙間を変化させて調節することができる。
【0025】
さらに、室内ユニット1には、貫流送風機8のファンモータ25の電流値Aを検知する電流値検知手段26が設けられる。この電流値検知手段26は、検知電流値Aを表す検知電流値信号を制御手段24に与える。制御手段24は、電流値検知手段26からの検知電流値信号に基いて、第1駆動手段19および第2駆動手段20および第3駆動手段21および第4駆動手段22および第5駆動手段23を制御し、必要に応じて風路形状を変更する。
【0026】
室内ユニット1が運転されると、時間が経過するにつれて除塵フィルタ15に捕集されて付着する塵埃の量が増加する。また室内ユニット1が室内を冷房するために運転されると、空気を冷却するために蒸発器として機能している熱交換器7には、空気中の水蒸気が結露して水滴が付着する場合がある。このような除塵フィルタ15への塵埃の付着および熱交換器7への水滴の付着が生じると、例えば室内ユニット1が組立てられた直後の初期状態、または清掃などによって除塵フィルタ15に付着された塵埃が除去され、かつ熱交換器7に水滴が付着していない初期状態と同等の状態と比較して、風路を流れる空気の通風抵抗が増加する。このように、貫流送風機8の流れ方向上流側にある除塵フィルタ15および熱交換器7における要因で通風抵抗が増加すると、除塵フィルタ15および熱交換器7を通過して貫流送風機8に導かれる空気の流量が減少する。そして、貫流送風機8の持つ静圧Ps−風量Qの特性により風量や風速が低下し、貫流送風機8の仕事量は減る。このため、空気調和機の運転効率が低下する。
このような通風抵抗の変化は、羽根車9の上流側と下流側に圧力センサを設けてその差圧を検知すれば検出できるが、圧力センサは高価であるため、ここでは他の検知手段で通風抵抗の変化を検出する。
【0027】
以下に、通風抵抗の変化を、通風抵抗に関連する量の変化を検知することで検知する手段について説明する。
例えば、ファンモータ25の回転数を制御するための指令電圧または電源電圧などの電圧値を一定にするように制御しているとする。ファンモータ25の電圧値が一定である場合には、通風抵抗が低下して貫流送風機8の仕事量が減る場合、仕事量を一定にしようとしてファンモータ27が駆動し、貫流送風機8の羽根車9の回転数Nが大きくなるように変化する。ファンモータ25の持つ回転数N−トルクTの特性により、回転数Nが大きくなればファンモータ25のトルクTは小さくなる。また、ファンモータのトルクTとファンモータ25の電流値Aは、一般に単調増加関数の関係にあることから、トルクTが小さくなれば電流値Aも小さくなるように変化する。このようにファンモータ25の電流値Aは、ファンモータ25の電圧値が一定の場合、通風抵抗の変化に対応して変化する量となり、通風抵抗が増加するとファンモータ25の電流値Aは小さくなり、通風抵抗が減少するとファンモータ25の電流値Aは大きくなる。
【0028】
また、ファンモータ25に、ファンモータ25の指令電圧または電源電圧などの電圧値を変化させることによって回転数Nを常に一定にするように制御する場合もある。この場合には、貫流送風機8の回転数N−負荷トルクの特性により、通風抵抗が増加すると、貫流送風機8の負荷トルクは減少し、ファンモータのトルクTも減少する。ファンモータ25のトルクTとファンモータ25の電流値Aは、一般に単調増加関数の関係にあることから、トルクTが小さくなれば電流値Aも小さくなるように変化する。このようにファンモータ25の電流値Aは、ファンモータ25の回転数Nが一定の場合にも、通風抵抗の変化に対応して変化する量となり、通風抵抗が増加するとファンモータ25の電流値Aは小さくなり、通風抵抗が減少するとファンモータ25の電流値Aは大きくなる。
以上のことから、通風抵抗とファンモータ25の電流値Aとの関係を把握し、電流値検知手段26でファンモータ25の電流値Aを検知して、制御手段24に入力し、この電流値Aから通風抵抗を検知する。制御手段24は電流値Aに応じて各駆動手段19〜23を制御する。
【0029】
以下、通風抵抗の変化による室内ユニット1内の空気の流れと、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積との関連について説明する。ここで、室内ユニット1が初期状態の時の各風路部材の位置を基準位置(Ca、Da、Ea、Fa、Ga)と称する。
図4は、通風抵抗が小さい場合の運転状態において、貫流送風機8の羽根車9からの吹出し流れ27を示す説明図である。また、図5は通風抵抗が大きい場合の運転状態において、貫流送風機8の羽根車9からの吹出し流れ27を示す説明図である。また、図6は貫流送風機8の羽根車9とケーシング渦巻き部10a付近を拡大して示す説明図であり、図6(a)は通風抵抗が小さい場合、図6(b)は通風抵抗が大きい場合の位置を示す。
図4、図5で示すように、貫流送風機8の羽根車9内には循環渦28と呼ばれる空気の渦が発生し、流通する空気はこの循環渦28の外側を回り込むように流れることが知られている。通風抵抗が小さい場合の運転状態においては、図4に示すように、形成される循環渦28が小さい。従って、スクロールケーシング渦巻き部10a付近の貫流送風機8の羽根車9からの吹出し流れ27は、円周方向成分の強い流れとなる。この吹出し流れ27に合うように、スクロールケーシング渦巻き部10aを例えば基準位置Caに位置させ(図6(a))、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の空間を狭くする。図6(a)に示すように、この断面で回転中心R1とスクロールケーシング渦巻き部10aの両端を結ぶ線および羽根車外周およびスクロールケーシング渦巻き部10aで形成される領域の面積を流路断面積S1とする。この流路断面積S1を小さくすると、円周方向成分の強い吹出し流れ27はスクロールケーシング渦巻き部10aの形状に沿ってスムーズに流れる。このため、壁面からの気流の剥離が生じにくく、送風効率を高くすることができる。
【0030】
一方、通風抵抗が大きい場合の運転状態においては、図5に示すように、形成される循環渦28が大きい。従って、スクロールケーシング渦巻き部10a付近の貫流送風機8の羽根車9からの吹出し流れ27は、半径方向成分の強い流れとなる。このとき、スクロールケーシング渦巻き部10aをCbに位置させ(図6(b))、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の空間を広くする。図6(b)に示すように、この断面で回転中心R1とスクロールケーシング渦巻き部10aの両端を結ぶ線および羽根車外周およびスクロールケーシング渦巻き部10aで形成される領域の面積を流路断面積S2(>S1)とする。この流路断面積S2を大きくすることで、半径方向成分の強い吹出し流れ27はこの空間内で徐々に周方向に向きを変えて、スクロールケーシング渦巻き部10aに沿ってスムーズに流れるようになる。このため、壁面からの気流の剥離が生じにくく、送風効率を高くすることができる。
【0031】
次に、通風抵抗の変化による室内ユニット1内の空気の流れの変化と、スタビライザ11と羽根車9との距離について説明する。図7に貫流送風機8の羽根車9とスタビライザ11付近を拡大して示す。図7(a)は通風抵抗が小さい場合、図7(b)は通風抵抗が大きい場合の位置を示す。
通風抵抗が小さい運転状態においては、図4に示すように、形成される循環渦28は渦の大きさが小さく安定した状態になっている。この時、スタビライザ先端突起部11aの突起高さを低くし、貫流送風機8の羽根車9とスタビライザ11との間の最小隙間を大きくしても循環渦28は不安定になりにくい。そこで、図7(a)に示すように、スタビライザ先端突起部11aを例えば基準位置Gaに位置し、スタビライザ先端突起部11aの突起高さを低くする。貫流送風機8の羽根車9とスタビライザ11との間の最小隙間は、raとrcの短い方の距離になる。この最小隙間を大きくすることで、循環渦28の位置をややユニット正面側(図4では向かって左側)に移動させることができる。このため、羽根車9からの気流吹出し領域は広くなり、同一風量時の翼間通過風速が小さくなる。従って、この部分での損失を減らして送風効率を高くすることができる。
実際にはこの最少隙間は、大きい時でも数mm程度である。
【0032】
一方、通風抵抗が大きい運転状態においては、図5に示すように、形成される循環渦28は渦の大きさが大きく不安定な状態になっている。そこで、図7(b)に示すように、スタビライザ先端突起部11aをGbに位置し、スタビライザ先端突起部11aの突起高さを高くする。貫流送風機8の羽根車9とスタビライザ11との間の最小隙間は、rbの距離になる。この最小隙間を小さくすることで、循環渦28の位置をややユニット下方側(図5では下側)に移動させることができる。このため、羽根車9からの気流吹出し領域が狭くなり、同一風量時の翼間通過風速が大きくなる。従って、吹出動圧を大きくすることができ、循環渦28が安定するので、気流の乱れによる損失を減らして送風効率を高くすることができる。
【0033】
次に、通風抵抗の変化による室内ユニット1内の空気の流れの変化と、吹出ダクト14の断面の巾および吹出ダクト14の吹出口6までの広がりについて説明する。
図8は、通風抵抗が小さい場合の運転状態における室内ユニット1の吹出ダクト14付近を流れる吹出し流れ27を示す説明図である。また、図9は通風抵抗が大きい場合の運転状態における室内ユニット1の吹出ダクト14付近を流れる吹出し流れ27を示す説明図である。図8と図9におけるスクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、スタビライザ先端突起部11a、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13の位置はそれぞれ基準位置で示す。
通風抵抗が小さい運転状態においては、貫流送風機8で送風される空気の風量や風速は十分確保される。この時の吹出し流れ27は、図8に示すように、スクロールケーシング10や吹出口案内部12、13の壁面に沿ってスムーズに流れ、壁面からの剥離が生じにくく流れが安定しやすい。そのため、吹出ダクト14の断面の巾を広くし、さらに吹出ダクト14の吹出口6までの広がりを大きくすることにより、吹出ダクト14の流路断面積を大きくして風速を下げることができ、吹出し損失を減らして送風効率を高くすることができる。
一方、図9に示すように、通風抵抗が大きい運転状態においては、貫流送風機8で送風される空気の風量や風速は低下し、壁面からの剥離が生じやすく流れが安定しにくい。そこで、吹出ダクト14の断面の巾を狭くし、さらに吹出ダクト14の吹出口6までの広がりを小さくすることにより、吹出ダクト14の流路断面積を小さくして吹出し風速を上げることにより、壁面からの剥離を抑えることができ、送風効率を高くすることができる。
【0034】
実際に運転状態の変化に応じて、吹出ダクト14の断面の巾と吹出ダクト14の吹出口6までの広がりを変化させた風路形状について説明する。図10は吹出ダクト14付近の吹出風路部を拡大して示す説明図であり、図10(a)は通風抵抗が小さい場合、図10(b)は通風抵抗が大きい場合の位置を示す。
吹出ダクト14の断面の巾及び吹出ダクト14の吹出口6までの広がりを、この実施の形態においては、次の様に設定している。即ち、ほぼ直線形状の吹出口下側案内部12に平行な直線をR4に移動して直線mとし、R4からこの直線mに垂直な直線nを引き、直線nとスクロールケーシング接続部10bまたは吹出口下側案内部12との交点をH1とする。このR4とH1を結ぶ線の長さを吹出ダクト14の断面の巾とする。さらに、ほぼ直線形状の吹出口下側案内部12に平行な直線をR4に移動して直線mとし、この直線mと吹出口上側案内部13とのなす角度θを吹出ダクト14の吹出口6までの広がりとする。この吹出ダクト14の吹出口6までの広がりθは、直線mと吹出口上側案内部13の吹出口6側の先端部を結ぶ線とのなす角度としてもよい。
【0035】
吹出ダクト14の断面の巾は、吹出口下側案内部12の上下移動によって変化させることができる。例えば、図10(a)に示すように吹出口下側案内部12をガイド18に沿って下側(E2方向)に移動すれば、R4とH1との距離は長くなり、吹出ダクト14の断面の巾HL1は広くなる。一方、図10(b)に示すように吹出口下側案内部12をガイド18に沿って上側(E1方向)に移動すれば、R4とH1との距離は短くなり、吹出ダクト14の断面の巾HL2は狭くなる。
また、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりは、吹出口上側案内部13の角変位によって、変化させることができる。例えば、図10(a)に示すように吹出口上側案内部13をR4を中心としてF2方向に角変位すれば、R4から吹出口6までの風路の広がりが大きくなる。一方、図10(b)に示すように吹出口上側案内部13をR4を中心としてF1方向に角変位すれば、R4から吹出口6までの風路の広がりが小さくなる。
通風抵抗が小さい運転状態で図10(a)に示すような風路形状にすることで、風速を下げることができ、吹出し損失を減らして送風効率を高くすることができる。通風抵抗が大きい運転状態で図10(b)に示すような風路形状にすることで、吹出し風速を上げることにより、壁面からの剥離を抑えることができ、送風効率を高くすることができる。
【0036】
この実施の形態では、運転状態が変化して通風抵抗が変化した場合、風路部材を変位させて風路形状を最適にすることにより、送風効率を向上させる。例えば、室内ユニット1に除塵フィルタ15に塵埃が付着しておらず熱交換器7にも水滴が付着していない初期状態から、通風抵抗が増加した状態に変化したのを検知し、以下の変位a1、変位b1、変位c1、変位d1の少なくともいずれか1つを行うことにより、初期状態からの送風効率の低下を抑制する。
変位a1) 貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積を大きくする。
変位b1) 吹出ダクト14の断面の巾を狭くする。
変位c1) 吹出ダクト14の吹出口6までの広がりを小さくする。
変位d1) スタビライザ先端突起部11aの突起高さを高くして、スタビライザ11と羽根車9の最少隙間を小さくする。
初期状態からの送風効率の低下を抑制することで、高い運転効率で運転することができる。
【0037】
また逆に、通風抵抗が大きい運転状態から、例えば清掃などによって除塵フィルタ15に捕集された塵埃を除去したり、または熱交換器7に付着した水滴が蒸散などによって除去されるなど、通風抵抗が減少して室内ユニット1が通風抵抗の小さな初期状態に戻る、または初期状態に近くなることもある。この場合には、通風抵抗が減少したのを検知し、以下の変位a2、変位b2、変位c2、変位d2の少なくともいずれか1つを行うことにより、通風抵抗に適した構成として送風効率を向上する。
変位a2) 貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積を小さくする。
変位b2) 吹出ダクト14の断面の巾を広くする。
変位c2) 吹出ダクト14の吹出口6までの広がりを大きくする。
変位d2) スタビライザ先端突起部11aの突起高さを低くして、スタビライザ11と羽根車9の最少隙間を大きくする。
このように、通風抵抗の変化に応じて風路形状を適切に変化させ、いずれの運転状態においても壁面からの気流の剥離を防ぐことにより、風路全体としての損失を極力小さくする形状にでき、送風効率を高くすることができる。このため、高い運転効率が得られる。ここで、変位a1、変位b1、変位c1、変位d1、変位a2、変位b2、変位c2、変位d2の具体的な構成は前記に詳述した通りである。
ここで、変位b1、変位b2、及び変位c1、変位c2は、それぞれ異なる部分ではあるが、共に吹出ダクト14の流路断面積を変更するものである。
【0038】
次に、室内ユニット1の制御手段24の制御動作について説明する。ここでは、通風抵抗の変化を、通風抵抗に関連する量の変化として、ファンモータ25の電流値の変化を電流値検知手段26で検知するものとする。
図11は、制御手段24の制御動作を示すフローチャートである。制御手段24は、判定電流値A1、A2を記憶しており、例えば、判定電流値A1、A2のそれぞれは高風量設定、中風量設定、低風量設定などの設定風量ごとに異なる値とする。A1は通風抵抗が増加する方向に変化する時に用いる判定電流値であり、A2は通風抵抗が減少する方向に変化する時に用いる判定電流値である。ここでは通風抵抗が増加または減少する際の空気の流れかたが異なることで、検出されるファンモータ25の電流値が異なることを考慮し、増加及び減少の変化の方向に応じて判定電流値を異なるものとしている。また、説明を簡単化し、風路を構成するスクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの位置は、通風抵抗小に適した構成位置としての基準位置(Ca、Da、Ea、Fa、Ga)と、通風抵抗大に適した構成位置としての最大変位位置(Cb、Db、Eb、Fb、Gb)の2段階の構成を有するものとする。そして、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの各部材の構成位置の変更において、基準位置から最大変位位置への変更方向(C1、D1、E1、F1、G1)と、最大変位位置から基準位置へ変更方向(C2、D2、E2、F2、G2)とを有するものとする。
【0039】
ステップS11において、ファンモータ25の電流値Aを電流値検知手段26で検知すると共に、各部材の現在の位置を検知する。各部材の現在の位置を判断し(ステップS12)、通風抵抗小に適した構成の基準位置である時、検知電流値Aが判定電流値A1より小さいかどうか判断する(ステップS13)。この判断で、検知電流値Aが判定電流値A1より小さい場合には、通風抵抗が増加したとしてステップS14に移行し、各部材を通風抵抗大に適した構成の最大変位位置に変更する。ステップS13で検知電流値Aが判定電流値A1以上の場合には、通風抵抗が十分に小さい状態であると判断しそのままの構成とする。
また、ステップS12で各部材の現在の位置を判断し、通風抵抗大に適した構成の最大変位位置である時、検知電流値Aが判定電流値A2より大きいかどうか判断する(ステップS15)。この判断で、検知電流値Aが判定電流値A2より大きい場合には、通風抵抗が減少したとしてステップS16に移行し、各部材を通風抵抗小に適した構成の基準位置に変更する。ステップS15で検知電流値Aが判定電流値A2以下の場合には、通風抵抗がまだ大きい状態であると判断しそのままの構成とする。
【0040】
ステップS14、S16において、制御手段24は第1駆動手段19と第2駆動手段20に、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bを、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積が増加または減少する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第3駆動手段21に、吹出口下側案内部12を、吹出ダクト14の断面の巾が減少または増加する方向に変位するように指示する指令信号を与え、かつ第4駆動手段22に、吹出口上側案内部13を、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりが減少または増加する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第5駆動手段23に、スタビライザ先端突起部11aを、羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間が減少または増加する方向に変位するように指示する指令信号を与える。このような制御動作を電源ONの時、または数時間毎、または数日毎に繰返し行なう。
【0041】
この実施の形態による風路部材の構成において、羽根車9の回転方向後方側を構成する風路部材は、スクロールケーシング10を渦巻き部10aと接続部10bとに分割し、吹出口下側案内部12は接続部10bに接続しており、スクロールケーシング渦巻き部10aと吹出口下側案内部12とは分離されている。このため、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積と、吹出ダクト14の断面の巾とを、独立して変化させることができ、それぞれを送風効率が良くなるように制御することができる。また、羽根車9の回転方向前方側を構成する風路部材は、吹出口上側案内部13とスタビライザ11とスタビライザ先端突起部11aとに分割し、吹出口上側案内部13とスタビライザ先端突起部11aとは分離されている。このため、羽根車9とスタビライザ11の最小隙間と、吹出口上側案内部13の広がりとを独立して変化させることができ、それぞれを送風効率が良くなるように制御することができる。即ち、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積、吹出ダクト14の断面の巾、吹出ダクト14の吹出口6までの広がり、羽根車9とスタビライザ11の間の最少隙間を、それぞれ独立してその部分だけ形状を変化させることができる。このため、それぞれを運転状態に合わせて最適な形状に構成でき、スクロールケーシング渦巻き部10aの形状変化による効果と、吹出ダクト14の断面の巾の変化による効果と、スタビライザ先端突起部11aの変化による効果と、吹出口上側案内部13の変化による効果を無駄なく得ることができる。
【0042】
なお、前述したように、ファンモータ25の電流値ではなく、防塵フィルタ15や熱交換器7の上流側と下流側にそれぞれ圧力センサを設け、その差圧で風路抵抗の変化を検知し、制御手段24によって、圧力センサの差圧に応じて各駆動手段19〜23を制御するように構成してもよい。また、防塵フィルタ15の目詰まりの程度は、防塵フィルタ15の重量を計測するセンサを設けることで検知することもできる。即ち、熱交換器7に結露による水滴が付着しない、または付着しにくい運転の場合には、制御手段24によって、防塵フィルタ15の重量に応じて各駆動手段19〜23を制御するように構成してもよい。
【0043】
上記では、通風抵抗が大きい時と小さい時の2段階の構成で風路を構成したが、もっと多くの段階を備えて、細かく制御してもよい。また、判定電流値A1、A2は、予め塵がない状態とある程度除塵フィルタ15を目詰まりさせた状態で実験的に電流値を検知して、その検知値から考慮して設定すればよい。また、各部材の位置については、通風抵抗小に適した構成位置、即ち空気調和機の初期状態を基準位置(Ca、Da、Ea、Fa、Ga)とし、通風抵抗大に適した構成位置、即ち最大の変位位置(Cb、Db、Eb、Fb、Gb)は、許容できる一番通風抵抗の大きくなった状態で最適になる位置、または実際に室内ユニット1の構成部材として機構的に変位させることのできる限界を考慮して設定し、この間で通風抵抗の値によって変位させればよい。
【0044】
上記の制御動作によって、送風効率がどのように向上するかを以下に説明する。 図12は、横軸に通風抵抗、縦軸に送風効率を示す特性図であり、例えば3本示す曲線K1、K2、K3はそれぞれ異なる風路形状での特性を示している。各風路部材の位置を基準位置とした時の風路形状では曲線K1の特性が得られるとする。これは通風抵抗がP1以下の運転状態で高い送風効率が得られていることを示す。運転時間が経ち、通風抵抗がP1よりも大きくなると、風路形状を変更して曲線K2の特性が得られるように変更する方が高い送風効率が得られる。さらに通風抵抗がP2よりも大きくなると、風路形状を変更して曲線K3の特性が得られるように変更する方が高い送風効率が得られる。
このように制御手段24は、通風抵抗に関連する量として、ここではファンモータ25の電流値と、通風抵抗の関係、及び変更可能な風路形状とその形状における通風抵抗と送風効率を考慮し、風路形状を通風抵抗に応じて変化させることで、室内ユニット1の運転状態に応じてその状態で最も送風効率を大きくすることができる。
【0045】
上記では、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積、吹出ダクト14の断面の巾、吹出ダクト14の吹出口6までの広がり、羽根車9とスタビライザ先端突起部11aの最小隙間のすべてを変更して風路を最適になるように変更しているが、少なくともいずれか1つを変更すれば、ある程度の効果を奏することができる。
【0046】
また、冷房運転時で吹出口6から室内ユニット1への逆吸込みが発生すると、高温多湿の外気と低温の吹出し気流が吹出口6の内部で接することになる。このため、吹出口6の風路を構成している壁面への露付きが発生し、それに伴い室内ユニット1外へ露飛びが起こることがある。この実施の形態では、通風抵抗が高い運転状態のときの、吹出口壁面からの気流の剥離を防ぐことができるため、逆吸込みを防ぐことができる。従って露飛びの発生を防止することができる。
【0047】
また、制御手段24は、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13の変位状態に応じた指令信号を表示部29に与える。そして、表示部29は指令信号に応じて表示を変化させる。室内ユニット1の外容器に、例えば除塵フィルタ15の目詰まりランプを設けて、これを点灯させたり、数値でデジタル表示してもよい。また、リモコンのある場合にはリモコンに表示してもよい。ただし、変位可能な各風路部材の少なくとも1つに対し、変位状態の程度が判別できるように表示する。
例えば色の変化するランプを設け、基準位置の表示色と最も変位させた時の表示色の間で、段階的に色が変化するように構成する。変位状態の程度を使用者が知ることで、除塵フィルタ15の交換や室内ユニット1の清掃を使用者に促すことができる。さらに現在の運転状態が基準位置からどの程度であるかを判別することで、除塵フィルタ15の交換時期や室内ユニット1の清掃時期を徐々に認識できる。このため、使用者は余裕をもって自分の都合の良い時間に交換や清掃をすることが可能となり、使用者の利便性が増す。この実施の形態では、除塵フィルタ15の交換時期や室内ユニット1の清掃時期になっても、風路形状を変更して運転するので、使用者へ対処を要求しながらもその運転状態で最も良い送風効率で運転することができる。
また、使用者への表示方法は、変位状態の程度に応じて、点灯するランプの巾を段階的に変えたり、また、xx/100(%)というように数値で表示してもよい。この時にも、最も変位させた時の表示を最大のランプ巾や100%とすることで、変位状態の程度を段階的に表示することができ、利便性が増す。また、各風路部材の基準位置と現在位置を風路形状で重ねて描くような表示部29とし、基準位置と現在位置との差の部分、即ち変位した部分を色塗りして表示すると、使用者にとって視覚的にわかりやすく、使用者の的確な対応を促すことができる。
【0048】
なお、各風路部材のそれぞれにおいて、2段階以上に変位させる場合、R2、R3、R4、R5を中心に角変位させる構成のものは、角変位の角度を2段階以上に設定すればよい。また、吹出口下側案内部12のように回転移動を直線移動に変換する機構を有するものでも、回転角度を2段階以上に設定すればよい。
また、スクロールケーシング渦巻き部10aや吹出口上側案内部13は空気の吹き出しの広がりを設定する風路部材であり、一端を固定して回動可能な構成であることが好ましい。また、スクロールケーシング接続部10bは、渦巻き部10aの変位及び吹出口下側案内部12の変位につれて、渦巻き部10a及び吹出口下側案内部12と密着しつつ、かつ羽根車9の回転方向後方側の風路部材の形状が空気の流れに対してスムーズな風路を構成するように変位させるのが好ましい。これを満足するような構成なら、どのように構成してもよい。例えばスクロールケーシング接続部10bと吹出口下側案内部12は固定して一体として構成してもよい。
【0049】
図13は、スタビライザ11の他の構成例を拡大して示す説明図である。スタビライザ先端突起部11aは、貫流送風機8の羽根車9の半径方向に、上下動可能に支持されており、位置Gaと位置Gbとにわたって、位置Gaから位置Gbに向かう方向G1、およびその逆の位置Gbから位置Gaに向かう方向G2に、直線的に移動可能に構成される。この移動は第5駆動手段23によって行われ、実際にはモータとギアを組みあわせて、モータの回転力を直線的な駆動力に変えることで実現できる。スタビライザ先端突起部11aの中央部には、スタビライザ先端突起部11aを直線的に移動可能にすると共に位置Ga、Gbに位置決めするため、移動方向に伸びた形状の穴部を有する。この穴部11bに固定の軸11cを遊挿する。スタビライザ先端突起部11aがG1方向に直線移動し、軸11cが穴部11bの下端部に係合して位置Gbに固定される。逆に、スタビライザ先端突起部11aがG2方向に直線移動し、軸11cが穴部11bの上端部に係合して位置Gaに固定される。また、例えば図14のように軸11cの周囲に穴部11bに設けた突起に歯合するように突起を設ければ、軸11cを回転させるときの回転巾によって任意の位置にスタビライザ先端突起部11aを固定することができる。
【0050】
次に、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口上側案内部13を、風路抵抗に応じて変位させて風路形状を形成した室内ユニット1について説明する。図15、図16は空気調和機の室内ユニット1を示す断面図で、図15はスクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口上側案内部13などの各部材が通風抵抗小に適した構成である基準位置(Ca、Da、Fa)にある状態を示し、図16は各部材が通風抵抗大に適した構成である最大変位位置(Cb、Db、Fb)にある状態を示している。図1、図2と同一符号は同一、または相当部分を示す。
【0051】
この室内ユニット1では、図1、図2の構成と比較して、吹出口下側案内部12とスタビライザ先端突起部11aを固定としている。即ち、通風抵抗小に適した構成位置では、スクロールケーシング渦巻き部10aをR2を中心としてC2方向に角変位し、これに追随してスクロールケーシング接続部10bがR3を中心としてD2方向に角変位する。これによって羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積は小さくなる。また、吹出口上側案内部13はR2を中心としてF2方向に角変位し、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりは大きくなって吹出ダクト14の流路断面積は大きくなる。逆に、図16に示す通風抵抗大に適した構成位置では、スクロールケーシング渦巻き部10aをR2を中心としてC1方向に角変位し、これに追随してスクロールケーシング接続部10bがR3を中心としてD1方向に角変位する。これによって羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積は大きくなる。また、吹出口上側案内部13はR2を中心としてF1方向に角変位し、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりは小さくなって、吹出ダクト14の流路断面積は小さくなる。
この羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積と、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりの2つを独立して制御し、通風抵抗の変化に応じてより風路形状を適したものとすることで、送風効率が低下するのをある程度防止できる効果が得られる。
【0052】
また、図17、図18は、スクロールケーシング接続部10bと吹出口下側案内部12を一体に構成し、吹出口下側案内部12と吹出口上側案内部13を、風路抵抗に応じて変位させて風路形状を形成した室内ユニット1を示す断面図である。図17は吹出口下側案内部12と吹出口上側案内部13が通風抵抗小に適した構成である基準位置(Ea、Fa)にある状態を示し、図18は各部材が通風抵抗大に適した構成である最大変位位置(Eb、Fb)にある状態を示している。図1、図2と同一符号は同一、または相当部分を示す。
【0053】
この室内ユニット1では、図1、図2の構成と比較して、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、スタビライザ先端突起部11aを固定としている。ただし、スクロールケーシング接続部10bと吹出口下側案内部12を一体に構成しており、吹出口下側案内部12の変位につれて、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bの接続部は、一部が密着した状態で摺動できる構成であることは、図1、図2と同様である。
【0054】
図17に示す通風抵抗小に適した構成位置では、吹出口下側案内部12をE2方向に変位することで、吹出ダクト14の断面の巾は広くなる。また、吹出口上側案内部13はR2を中心としてF2方向に角変位し、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりは大きくなる。逆に、図18に示す通風抵抗大に適した構成位置では、吹出口下側案内部12をE1方向に変位することで、吹出ダクト14の断面の巾は狭くなる。また、吹出口上側案内部13はR2を中心としてF1方向に角変位し、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりは小さくなる。
この吹出ダクト14の断面の巾と、吹出ダクト14の吹出し口までの広がりの2つを独立して制御し、通風抵抗の変化に応じてより風路形状を適したものとすることで、送風効率が低下するのをある程度防止できる効果が得られる。この構成例では吹出ダクト14の流路断面積を変化させる際に、従来装置のように他の部分の風路構成が変化することがない。即ち、羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aとの間の流路断面積はそのままで、吹出ダクト14の流路断面積だけを変化させることができる。
【0055】
また、図15〜図18に示したものは、図1、図2の構成に比べ、構成が簡略化でき、制御手段24の動作も単純化されるので、送風効率を良好に確保しつつ空気調和機として価格の低減を図ることができる。
【0056】
なお、この実施の形態で説明した空気調和機は、いずれも羽根車9の回転方向後方側の風路部材を変位させて、羽根車9から吹出口6までの空気流路のうちの上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方の流路断面積を独立して変化可能な可変機構を有する室内ユニットを運転する。羽根車9の上流側の通風抵抗の変化を検知して空気流路の壁面に空気流の剥離の発生を確認し、空気流の剥離の発生を確認した後に空気流路の上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方の流路断面積を、空気流の剥離を減少させる方向に変化させるように可変機構19〜23を制御する。そして、羽根車9を回転させるための入力を減らすように制御している。このため、運転状態の変化によって生じる通風抵抗の変化に対応して、送風効率を高くできる制御方法が得られる。
また、さらに、羽根車9の回転方向後方側の風路部材は、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bに2分割する構成としたが、これに限るものではない。例えば3分割以上に分割して各分割部分でその位置の空気流に適した風路形状に変位させれば、さらに送風効率を高めることができる。
【0057】
実施の形態2.
以下、この発明の実施の形態2について説明する。実施の形態1では、通風抵抗の変化をファンモータ25の電流値で検出し、これに応じて各風路部材を変位させて風路形状を変更したが、ここでは、通風抵抗の変化を他の通風抵抗に関連する量の変化によって検出するものについて、図19、図20に基いて説明する。
図19はこの実施の形態による空気調和機の室内ユニットを示す断面図、図20はこの実施の形態に係る制御手段24の制御動作を示すフローチャートである。この実施の形態における室内ユニット1の基本的な構成は実施の形態1と同様であり、通風抵抗の変化に応じてどのように風路形状を変更するか、及び各風路部材を変位駆動する動作については、実施の形態1と同様である。ここでは、実施の形態1と同一符号は同一、または相当部分を示し、詳しい説明は省略する。
【0058】
通風抵抗に関連する量の変化を検知する検知手段として、貫流送風機8のファンモータ25の回転数Nを検知する回転数検知手段30を設ける。この回転数検知手段30は、ファンモータ25の回転数を検知し、回転数Nを表す検知回転数信号を制御手段24に与える。制御手段24は、回転数検知手段30からの検知回転数信号に基いて、第1駆動手段19および第2駆動手段20および第3駆動手段21および第4駆動手段22および第5駆動手段23の少なくともいずれか1つの可変機構を制御する。
【0059】
室内ユニット1が運転され、除塵フィルタ15への塵埃の付着または熱交換器7への水滴の付着などが生じると、例えば室内ユニット1が組立てられた直後の初期状態、または清掃などによって除塵フィルタ15に付着された塵埃が除去され、かつ熱交換器7に水滴が付着していない初期状態と同等の状態と比較して、風路を流れる空気の通風抵抗が増加する。このように貫流送風機8の流れ方向上流側にある除塵フィルタ15および熱交換器7における要因で通風抵抗が増加すると、除塵フィルタ15および熱交換器7を通過して貫流送風機8に導かれる空気の流量が減少するので、貫流送風機8の持つ静圧Ps−風量Qの特性により風量や風速は低下し、貫流送風機8の仕事量は減る。このとき、ファンモータ25の指令電圧または電源電圧などの電圧値が一定となるように運転制御している場合、仕事量を一定にしようとしてファンモータ25が駆動され、貫流送風機8の羽根車9の回転数Nが大きくなるように変化する。このように貫流送風機8の羽根車9の回転数Nは、ファンモータ25の電圧値が一定の場合、通風抵抗の変化に関連して変化する量である。実際には、通風抵抗が増加すると回転数Nは増加し、通風抵抗が減少すると回転数Nは減少する。
【0060】
そこで、この実施の形態では、回転数検知手段30によってファンモータ25の回転数の変化を検知し、この検知値に応じて送風効率を高く保つことができるように各風路部材を変位させて風路形状を変化させる。以下、制御手段24の制御動作を図20に基いて説明する。
制御手段24は、判定回転数N1、N2を記憶しており、例えば、判定回転数N1、N2のそれぞれは高風量設定、中風量設定、低風量設定などの設定風量ごとに異なる値とする。N1は通風抵抗が増加する方向に変化する時に用いる判定回転数であり、N2は通風抵抗が減少する方向に変化する時に用いる判定回転数である。ここでは通風抵抗が増加または減少する際の空気の流れかたが異なることで、検出されるファンモータ25の回転数が異なることを考慮し、増加及び減少の変化の方向に応じて判定回転数を異なるものとしている。また、実施の形態1と同様、説明を簡単化し、風路を構成するスクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの位置は、通風抵抗小に適した構成位置としての基準位置(Ca、Da、Ea、Fa、Ga)と、通風抵抗大に適した構成位置としての最大変位位置(Cb、Db、Eb、Fb、Gb)の2段階の構成を有するものとする。そして、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの各部材の構成位置の変更において、基準位置から最大変位位置への変更方向(C1、D1、E1、F1、G1)と、最大変位位置から基準位置へ変更方向(C2、D2、E2、F2、G2)とを有するものとする。
【0061】
ステップS21において、ファンモ―タ25の回転数Nを回転数検知手段30で検知すると共に、各部材の現在の位置を検知する。各部材の現在の位置を判断し(ステップS22)、通風抵抗小に適した構成の基準位置である時、検知回転数Nが判定回転数N1より大きいかどうか判断する(ステップS23)。この判断で、検知回転数Nが判定回転数N1より大きい場合には、通風抵抗が増加したとしてステップS24に移行し、各部材を通風抵抗大に適した構成の最大変位位置に変更する。ステップS23で検知回転数Nが判定回転数N1以下の場合には、通風抵抗が十分に小さい状態であると判断しそのままの構成とする。
また、ステップS22で各部材の現在の位置を判断し、通風抵抗大に適した構成の最大変位位置である時、検知回転数Nが判定回転数N2より小さいかどうか判断する(ステップS25)。この判断で、検知回転数Nが判定回転数N2より小さい場合には、通風抵抗が減少したとしてステップS26に移行し、各部材を通風抵抗小に適した構成の基準位置に変更する。ステップS25で検知回転数Nが判定回転数N2以上の場合には、通風抵抗がまだ大きい状態であると判断しそのままの構成とする。
【0062】
ステップS24、S26において、制御手段24は、第1駆動手段19と第2駆動手段20に、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bを、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積が増加または減少する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第3駆動手段21に、吹出口下側案内部12を、吹出ダクト14の断面の巾が減少または増加する方向に変位するように指示する指令信号を与え、かつ第4駆動手段22に、吹出口上側案内部13を、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりが減少または増加する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第5駆動手段23に、スタビライザ先端突起部11aを、羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間が減少または増加する方向に変位するように指示する指令信号を与える。このような制御動作を電源ONの時、または数時間毎、または数日毎に繰返し行なう。
【0063】
上記では、通風抵抗が大きい時と小さい時の2段階の構成で風路を構成したが、もっと多くの段階を備えて、細かく制御してもよい。また、判定回転数N1、N2について、予め塵がない状態とある程度除塵フィルタ15を目詰まりさせた状態で実験的にファンモータ25の回転数を測定して、その測定値から考慮して設定すればよい。また、各風路部材の位置については、実施の形態1と同様、それぞれの運転状態で最適となるように変位させることで、送風効率を高く保つことができる。
【0064】
また、通風抵抗の変化を他の通風抵抗に関連する量の変化によって検出するものについて、図21、図22に基いて説明する。
図21はこの実施の形態による空気調和機の室内ユニットの他の構成例を示す断面図、図22はこの構成例に係る制御手段24の制御動作を示すフローチャートである。この実施の形態における室内ユニット1の基本的な構成は実施の形態1と同様であり、通風抵抗の変化に応じてどのように風路形状を変更するか、及び各風路部材を変位駆動する動作については、実施の形態1と同様である。ここでは、実施の形態1と同一符号は同一、または相当部分を示し、詳しい説明は省略する。
【0065】
通風抵抗に関連する量の変化を検知する検知手段として、貫流送風機8のファンモータ25の回転数を制御するための指令電圧または電源電圧などの電圧値Vを検知する電圧値検知手段31を設ける。この電圧値検知手段31は、ファンモータ25の電圧値を検知し、電圧値Vを表す検知電圧信号を制御手段24に与える。制御手段24は、電圧値検知手段31からの検知電圧値信号に基いて、第1駆動手段19および第2駆動手段20および第3駆動手段21および第4駆動手段22および第5駆動手段23の少なくともいずれか1つの可変機構を制御する。
【0066】
室内ユニット1が、ファンモータ25の指令電圧または電源電圧などの電圧値を変化させることによって回転数Nを常に一定にするように運転制御している場合、通風抵抗が増加すると、貫流送風機8の持つ静圧Ps−風量Qの特性により、その風量や風速は低下し、貫流送風機8の仕事量は減る。このとき、ファンモータ25の回転数を一定として仕事量を一定にしようとして、ファンモータ25の電圧値Vは小さくなるように変化する。このようにファンモータ25の電圧値Vは、ファンモータ25の回転数Nが一定の場合、通風抵抗の変化に関連して変化する量である。実際には、通風抵抗が増加すると電圧値Vは減少し、通風抵抗が減少すると電圧値Vは増加する。
【0067】
そこで、この実施の形態では、電圧値検知手段31によってファンモータ25の電圧値Vの変化を検知し、この検知電圧値に応じて送風効率を高く保つことができるように各風路部材を変位させて風路形状を変化させる。以下、制御手段24の制御動作を図22に基いて説明する。
制御手段24は、判定電圧値V1、V2を記憶しており、例えば、判定電圧値V1、V2のそれぞれは高風量設定、中風量設定、低風量設定などの設定風量ごとに異なる値とする。V1は通風抵抗が増加する方向に変化する時に用いる判定電圧値であり、V2は通風抵抗が減少する方向に変化する時に用いる判定電圧値である。ここでは通風抵抗が増加または減少する際の空気の流れかたが異なることで、検出されるファンモータ25の電圧値が異なることを考慮し、増加及び減少の変化の方向に応じて判定電圧値を異なるものとしている。また、実施の形態1と同様、説明を簡単化し、風路を構成するスクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの位置は、通風抵抗小に適した構成位置としての基準位置(Ca、Da、Ea、Fa、Ga)と、通風抵抗大に適した構成位置としての最大変位位置(Cb、Db、Eb、Fb、Gb)の2段階の構成を有するものとする。そして、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの各部材の構成位置の変更において、基準位置から最大変位位置への変更方向(C1、D1、E1、F1、G1)と、最大変位位置から基準位置へ変更方向(C2、D2、E2、F2、G2)とを有するものとする。
【0068】
ステップS31において、ファンモータ25の電圧値Vを電圧値検出手段31で検知すると共に、各部材の現在の位置を検知する。各部材の現在の位置を判断し(ステップS32)、通風抵抗小に適した構成の基準位置である時、検知電圧値Vが判定電圧値V1より小さいかどうか判断する(ステップS33)。この判断で、検知電圧値Vが判定電圧値V1より小さい場合には、通風抵抗が増加したとしてステップS34に移行し、各部材を通風抵抗大に適した構成の最大変位位置に変更する。ステップS33で検知電圧値Vが判定電圧値V1以上の場合には、通風抵抗が十分に小さい状態であると判断しそのままの構成とする。
また、ステップS32で各部材の現在の位置を判断し、通風抵抗大に適した構成の最大変位位置である時、検知電圧値Vが判定電圧値V2より大きいかどうか判断する(ステップS35)。この判断で、検知電圧値Vが判定電圧値V2より大きい場合には、通風抵抗が減少したとしてステップS36に移行し、各部材を通風抵抗小に適した構成の基準位置に変更する。ステップS35で検知電圧値Vが判定電圧値V2以下の場合には、通風抵抗がまだ大きい状態であると判断しそのままの構成とする。
【0069】
ステップS34、S36において、制御手段24は、第1駆動手段19と第2駆動手段20に、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bを、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積が増加または減少する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第3駆動手段21に、吹出口下側案内部12を、吹出ダクト14の断面の巾が減少または増加する方向に変位するように指示する指令信号を与え、かつ第4駆動手段22に、吹出口上側案内部13を、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりが減少または増加する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第5駆動手段23に、スタビライザ先端突起部11aを、羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間が減少または増加する方向に変位するように指示する指令信号を与える。このような制御動作を電源ONの時、または数時間毎、または数日毎に繰返し行なう。
【0070】
上記では、通風抵抗が大きい時と小さい時の2段階の構成で風路を構成したが、もっと多くの段階を備えて、細かく制御してもよい。また、判定電圧値V1、V2について、予め塵がない状態とある程度除塵フィルタ15を目詰まりさせた状態で実験的にファンモータ25の電圧値を測定して、その測定値から考慮して設定すればよい。また、各風路部材の位置については、実施の形態1と同様、それぞれの運転状態で最適となるように変位させることで、送風効率を高く保つことができる。
【0071】
また、通風抵抗の変化をさらに他の通風抵抗に関連する量の変化によって検出するものについて、図23、図24に基いて説明する。
図23はこの実施の形態による空気調和機の室内ユニットのさらに他の構成例を示す断面図、図24はこの構成例に係る制御手段24の制御動作を示すフローチャートである。この実施の形態における室内ユニット1の基本的な構成は実施の形態1と同様であり、通風抵抗の変化に応じてどのように風路形状を変更するか、及び各風路部材を変位駆動する動作については、実施の形態1と同様である。ここでは、実施の形態1と同一符号は同一、または相当部分を示し、詳しい説明は省略する。
【0072】
通風抵抗に関連する量の変化を検知する手段として、貫流送風機8のファンモータ25の入力電力値Wを検知する入力値検知手段32を設ける。この入力値検知手段32は、ファンモータ25の入力電力値を検知し、入力電力値Wを表す検知入力値信号を制御手段24に与える。制御手段24は、入力値検知手段32からの検知入力値信号に基いて、第1駆動手段19および第2駆動手段20および第3駆動手段21および第4駆動手段22および第5駆動手段23の少なくともいずれか1つの可変機構を制御する。
【0073】
室内ユニット1が、ファンモータ25の回転数を制御するための指令電圧または電源電圧などの電圧値を一定にするように運転制御している場合、通風抵抗が増加すると、ファンモータ25の電流値Aは小さくなるように変化する。また、ファンモータ25に、ファンモータ25の電圧値を変化させることによって回転数Nを常に一定にするように運転制御している場合でも、ファンモータ25の電流値Aは小さくなるように変化する。ここで、電圧値が一定である場合、ファンモータ25の入力電力値Wは電流値Aと電圧値の積であることから、ファンモータ25の入力電力値Wも小さくなるように変化する。このようにファンモータ25の入力電力値Wは、通風抵抗の変化に関連して変化する量である。実際には、通風抵抗が増加すると入力電力値Wは減少し、通風抵抗が減少すると入力電力値Wは増加する。
【0074】
そこで、この実施の形態では、入力値検知手段32によってファンモータ25の入力電力値の変化を検知し、この入力電力値から通風抵抗の変化を知り、この検知値に応じて送風効率を高く保つことができるように各風路部材を変位させて風路形状を変化させる。以下、制御手段24の制御動作を図24に基いて説明する。
制御手段24は、判定入力電力値W1、W2を記憶しており、例えば、判定入力電力値W1、W2のそれぞれは高風量設定、中風量設定、低風量設定などの設定風量ごとに異なる値とする。W1は通風抵抗が増加する方向に変化する時に用いる判定入力電力値であり、W2は通風抵抗が減少する方向に変化する時に用いる判定入力電力値である。ここでは通風抵抗が増加または減少する際の空気の流れかたが異なることで、検出されるファンモータ25の入力電力値Wが異なることを考慮し、増加及び減少の変化の方向に応じて判定入力電力値を異なるものとしている。また、実施の形態1と同様、説明を簡単化し、風路を構成するスクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの位置は、通風抵抗小に適した構成位置としての基準位置(Ca、Da、Ea、Fa、Ga)と、通風抵抗大に適した構成位置としての最大変位位置(Cb、Db、Eb、Fb、Gb)の2段階の構成を有するものとする。そして、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの各部材の構成位置の変更において、基準位置から最大変位位置への変更方向(C1、D1、E1、F1、G1)と、最大変位位置から基準位置へ変更方向(C2、D2、E2、F2、G2)とを有するものとする。
【0075】
ステップS41において、ファンモータ25の入力電力値Wを入力値検知手段32で検知すると共に、各部材の現在の位置を検知する。各部材の現在の位置を判断し(ステップS42)、通風抵抗小に適した構成の基準位置である時、検知入力電力値Wが判定入力電力値W1より小さいかどうか判断する(ステップS43)。この判断で、検知入力電力値Wが判定入力電力値W1より小さい場合には、通風抵抗が増加したとしてステップS44に移行し、各部材を通風抵抗大に適した構成の最大変位位置に変更する。ステップS43で検知入力電力値Wが判定入力電力値W1以上の場合には、通風抵抗が十分に小さい状態であると判断しそのままの構成とする。
また、ステップS42で各部材の現在の位置を判断し、通風抵抗大に適した構成の最大変位位置である時、検知入力電力値Wが判定入力電力値W2より大きいかどうか判断する(ステップS45)。この判断で、検知入力電力値Wが判定入力電力値W2より大きい場合には、通風抵抗が減少したとしてステップS46に移行し、各部材を通風抵抗小に適した構成の基準位置に変更する。ステップS45で検知入力電力値Wが判定入力電力値W2以下の場合には、通風抵抗がまだ大きい状態であると判断しそのままの構成とする。
【0076】
ステップS44、S46において、制御手段24は、第1駆動手段19と第2駆動手段20に、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bを、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積が増加または減少する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第3駆動手段21に、吹出口下側案内部12を、吹出ダクト14の断面の巾が減少または増加する方向に変位するように指示する指令信号を与え、かつ第4駆動手段22に、吹出口上側案内部13を、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりが減少または増加する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第5駆動手段23に、スタビライザ先端突起部11aを、羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間が減少または増加する方向に変位するように指示する指令信号を与える。このような制御動作を電源ONの時、または数時間毎、または数日毎に繰返し行なう。
【0077】
上記では、通風抵抗が大きい時と小さい時の2段階の構成で風路を構成したが、もっと多くの段階を備えて、細かく制御してもよい。また、判定入力電力値W1、W2について、予め塵がない状態とある程度除塵フィルタ15を目詰まりさせた状態で実験的にファンモータ25の入力電力値を測定して、その測定値から考慮して設定すればよい。また、各風路部材の位置については、実施の形態1と同様、それぞれの運転状態で最適となるように変位させることで、送風効率を高く保つことができる。
【0078】
また、通風抵抗の変化をさらに他の通風抵抗に関連する量の変化によって検出するものについて、図25、図26に基いて説明する。
図25はこの実施の形態による空気調和機の室内ユニットのさらに他の構成例を示す断面図、図26はこの構成例に係る制御手段24の制御動作を示すフローチャートである。この実施の形態における室内ユニット1の基本的な構成は実施の形態1と同様であり、通風抵抗の変化に応じてどのように風路形状を変更するか、及び各風路部材を変位駆動する動作については、実施の形態1と同様である。ここでは、実施の形態1と同一符号は同一、または相当部分を示し、詳しい説明は省略する。
【0079】
通風抵抗に関連する量の変化を検知する手段として、この室内ユニット1には、貫流送風機8のファンモータ25の電流値Aを検知する電流値検知手段26を設ける。さらに、この検知した電流値Aを記憶する記憶手段33と演算手段34を有する。
電流値検知手段26は、ある所定時間間隔△Tごと、例えば0.1秒ごとにファンモータ25の電流値Aを計測し、検知した電流値Aを記憶手段33に記憶する。この記憶手段33は有限複数個、例えば50個の電流値計測データを記憶することができ、時系列の有限複数個の電流値計測データは、別に設けられた演算手段34に与えられる。この演算手段34によって、有限複数個の電流値データの平均値と標準偏差を演算する。ここで、標準偏差を平均値で除算した値を検知電流値Aの乱れ強さαと定義し、この値を演算する。このように定義した検知電流値Aの乱れ強さαは、検知電流値Aの時系列の計測データのばらつきを表す値となっている。演算手段34は、検知電流値Aの乱れ強さαを表す信号を制御手段24に与える。制御手段24は、演算手段34から与えられた検知電流値Aの乱れ強さαを表す信号に基いて、第1駆動手段19および第2駆動手段20および第3駆動手段21および第4駆動手段22および第5駆動手段23の少なくともいずれか1つの可変機構を制御する。
【0080】
室内ユニット1が運転され、除塵フィルタ15に塵埃が付着し、または熱交換器7に水滴が付着するなどして、通風抵抗が増加すると、吹出口壁面からの気流の剥離が頻繁に生じるようになり、気流の乱れが増大する。気流の乱れが増大すると、気流から羽根車9に与えられる力の変動も増大し、羽根車9の回転数Nの変動やファンモータ25のトルクTの変動も増大する。ファンモータ25のトルクTの変動が増大すると、ファンモータ25の電流値Aの変動も同様に増大する。即ち、通風抵抗が増加すると、ファンモータ25の電流値Aの乱れ強さαは大きくなるように変化する。このようにファンモータ25の電流値Aの乱れ強さαは、通風抵抗の変化に関連して変化する量である。実際には、通風抵抗が増加すると電流値Aの乱れ強さαは大きくなり、通風抵抗が減少すると電流値Aの乱れ強さαは小さくなる。
【0081】
そこで、この実施の形態では、電流値検知手段26、記憶手段33、演算手段34によって、検知電流値Aの乱れ強さαを演算し、この乱れ強さαから通風抵抗の変化を知り、この検知値に応じて送風効率を高く保つことができるように各風路部材を変位させて風路形状を変化させる。以下、制御手段24の動作を制御動作を図26に基いて説明する。
制御手段24は、乱れの強さの判定値α1、α2を記憶しており、例えば、乱れ強さの判定値α1、α2のそれぞれは高風量設定、中風量設定、低風量設定などの設定風量ごとに異なる値とする。α1は通風抵抗が増加する方向に変化する時に用いる乱れ強さの判定値であり、α2は通風抵抗が減少する方向に変化する時に用いる乱れ強さの判定値である。ここでは通風抵抗が増加または減少する際の空気の流れかたが異なることで、演算される乱れ強さαが異なることを考慮し、増加及び減少の変化の方向に応じて異なる判定値を用いる。また、実施の形態1と同様、説明を簡単化し、風路を構成するスクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの位置は、通風抵抗小に適した構成位置としての基準位置(Ca、Da、Ea、Fa、Ga)と、通風抵抗大に適した構成位置としての最大変位位置(Cb、Db、Eb、Fb、Gb)の2段階の構成を有するものとする。そして、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの各部材の構成位置の変更において、基準位置から最大変位位置への変更方向(C1、D1、E1、F1、G1)と、最大変位位置から基準位置へ変更方向(C2、D2、E2、F2、G2)とを有するものとする。
【0082】
ステップS51において、一定時間毎に電流値検知手段26で検知して記憶手段33に記憶してある複数個、例えば50個の電流値データを演算手段34に読み込む。そして、演算手段34によって、有限複数個の電流値データの平均値と標準偏差を演算し、この標準偏差を平均値で除算して乱れ強さαを演算する。また、各部材の現在の位置を検知する。各部材の現在の位置を判断し(ステップS52)、通風抵抗小に適した構成の基準位置である時、乱れ強さαが判定値α1より大きいかどうか判断する(ステップS53)。この判断で、演算した乱れ強さαが判定値α1より大きい場合には、通風抵抗が増加したとしてステップS54に移行し、各部材を通風抵抗大に適した構成の最大変位位置に変更する。ステップS53で演算した乱れ強さαが判定値α1以下の場合には、通風抵抗が十分に小さい状態であると判断しそのままの構成とする。
また、ステップS52で各部材の現在の位置を判断し、通風抵抗大に適した構成の最大変位位置である時、演算した乱れ強さαが判定値α2より小さいかどうか判断する(ステップS55)。この判断で、演算した乱れ強さαが判定値α2より小さい場合には、通風抵抗が減少したとしてステップS56に移行し、各部材を通風抵抗小に適した構成の基準位置に変更する。ステップS55で演算した乱れ強さαが判定値α2以上の場合には、通風抵抗がまだ大きい状態であると判断しそのままの構成とする。
【0083】
ステップS54、S56において、制御手段24は、第1駆動手段19と第2駆動手段20に、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bを、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積が増加または減少する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第3駆動手段21に、吹出口下側案内部12を、吹出ダクト14の断面の巾が減少または増加する方向に変位するように指示する指令信号を与え、かつ第4駆動手段22に、吹出口上側案内部13を、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりが減少または増加する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第5駆動手段23に、スタビライザ先端突起部11aを、羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間が減少または増加する方向に変位するように指示する指令信号を与える。このような制御動作を電源ONの時、または数時間毎、または数日毎に繰返し行なう。図26に基く処理とは別に、所定間隔で電流値検知手段26によって検知した電流値Aは逐次記憶手段33に記憶され、常に最新の時系列電流値データが記憶手段33に記憶されている。
【0084】
上記の制御動作によって、通風抵抗の変化に応じてどのように風路形状を変化して送風効率の向上を図るかについて、以下に説明する。図27は、横軸に通風抵抗、縦軸に乱れ強さαを示す特性図であり、例えば2本示す曲線K1、K2はそれぞれ異なる風路形状での特性を示している。この特性曲線K1、K2の風路形状は図12に示した通風抵抗に対する送風効率の特性図におけるK1、K2と対応しているとする。図12に示した曲線K3に対応する風路形状は、ここでは省略する。各風路部材の位置を基準位置とした時の風路形状では曲線K1の特性が得られるとする。これは通風抵抗がP1以下の運転状態で高い送風効率が得られていることを示す。運転時間が経ち、通風抵抗が増加してくると、演算した乱れ強さαの値も次第に大きくなる。演算した乱れ強さαの値が判定値α1よりも大きくなると通風抵抗はP1よりも大きいことになる。図12から、通風抵抗がP1よりも大きくなると、風路形状を変更して曲線K2の特性が得られるように変更する方が高い送風効率が得られる。このため、ステップS54で示したように、風路形状を曲線K2の特性が得られるように変更して、高い送風効率が得られる状態で運転する。これと同時に、使用者に防塵フィルタ15の取り替えなどを表示し始める。
逆に、風路形状を曲線K2が得られる状態で運転している時に、例えば防塵フィルタ15を取り替えると通風抵抗が減少し、演算した乱れ強さαが判定値α2よりも小さくなる。この時には、ステップS56によって通風抵抗小に適した構成位置に変更する。これと同時に表示部29への表示をもとに戻す。
【0085】
このように制御手段24は、通風抵抗に関連する量として、ここではファンモータ25の電流値Aの乱れ強さαと、通風抵抗の関係、及び変更可能な風路形状とその形状における通風抵抗と送風効率を考慮し、風路形状を通風抵抗に応じて変化させることで、室内ユニット1の運転状態に応じてその状態で最も送風効率を大きくすることができる。
【0086】
記憶手段33、演算手段34は空気調和機に通常運転制御のために設けられているマイクロコンピュータに時系列で記憶するソフトウエア及び演算するソフトウエアを加えることで構成でき、そのままの構成で実現でき、経済的である。
また、ここではファンモータ25の電流値Aを検知してその乱れ強さαを演算し、通風抵抗の変化を検知するようにしたが、ファンモータ25の電流値Aでなくてもよい。この実施の形態で述べた検知値のいずれか、例えばファンモータ25の回転数Nや電圧値Vや入力電力値Wなどの乱れ強さαによって、通風抵抗の変化を検知するように構成してもよい。また、乱れ強さαの定義は標準偏差を平均値で除した値に限るものではなく、他のばらつきを表す値を演算し、その値の変化を検知してもよい。
上記のように、所定の時間間隔で羽根車9の電流値または回転数または電圧値または入力電力値を計測する検知手段26、30、31、32と、検知手段で計測したデータを時系列で記憶する記憶手段33と、記憶した時系列の計測データのばらつきを演算する演算手段34を備え、演算手段34で演算した計測データのばらつきの変化によって羽根車9の上流側の通風抵抗の変化を検知すれば、簡単で安価な構成で空気流路の通風抵抗の変化を確実に推定して、空気調和機の送風効率の向上を図ることができる。
また、時系列の計測データを用いて、そのばらつきで通風抵抗の変化を検知するので、複数の室内ユニット間での個体差を考慮する必要がない。このため、判定値をより正確に設定することができ、安定した検知手段と言える。
【0087】
上記では、通風抵抗が大きい時と小さい時の2段階の構成で風路を構成したが、もっと多くの段階を備えて、細かく制御してもよい。また、電流値Aの乱れ強さの判定値α1、α2について、予め塵がない状態とある程度除塵フィルタ15を目詰まりさせた状態で実験的にファンモータ25の電流値Aを計測して、その計測値を用いて演算して設定すればよい。また、各風路部材の位置については、実施の形態1と同様、それぞれの運転状態で最適となるように変位させることで、送風効率を高く保つことができる。
【0088】
図19、図21、図23、図25に通風抵抗の変化に関連して変化する量の検出手段について、さまざまな検知手段について述べたが、いずれの場合にも羽根車9から吹出口6までの風路形状を、羽根車9より上流側の通風抵抗の変化に応じて変位させることで、室内ユニット1の運転状態が変化しても送風効率を高く保つことができる。特に、羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積、吹出ダクト14の断面の巾、吹出ダクト14の吹出口6までの広がり、羽根車9とスタビライザ11との最小隙間を設定する際、それぞれの部分を独立して変化させることで他の部分で気流に悪影響を与えることがないため、空気の流れに対して各風路部材が変位することによる効果のそれぞれを互いに打ち消すことなく発揮できる。
上記では、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積、吹出ダクト14の断面の巾、吹出ダクト14の吹出口6までの広がり、羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間のすべてを変化させて風路を最適になるように変更しているが、少なくともいずれか1つを変更すれば、ある程度の効果を奏することができる。
【0089】
また、吹出ダクト14の風路形状を通風抵抗の変化に応じて変更することで、通風抵抗の大きい時に吹出口壁面からの気流の剥離を防ぐことができ、吹出口6から室内ユニット1への逆吸込みを防止して、室内への露飛びを防止できるという効果も実施の形態1と同様である。
また、図19、図21、図23、図25のそれぞれの構成においても、制御手段24は各風路部材の変位位置に応じた指令信号を表示部29に与え、表示部29で変位状態の程度が判別できるように段階的に表示すれば、使用者の利便性が増すという効果も実施の形態1と同様である。
【0090】
実施の形態3.
以下、この発明の実施の形態3について説明する。この実施の形態では、運転モードに応じて各部材を移動して風路形状を変更する構成について、図28、図29に基いて説明する。図28は空気調和機の室内ユニットを示す断面図、図29は制御手段24の制御動作を示すフローチャートである。この実施の形態における室内ユニット1の基本的な構成は実施の形態1と同様であり、通風抵抗の変化に応じてどのように風路形状を変更するか、及び各風路部材を変位駆動する動作については、実施の形態1と同様である。ここでは、実施の形態1と同一符号は同一、または相当部分を示し、詳しい説明は省略する。
【0091】
この室内ユニット1に設けられた制御手段24は、運転状態が冷房運転モードか暖房運転モードか、どちらであるかに基いて、第1駆動手段19および第2駆動手段20および第3駆動手段21および第4駆動手段22および第5駆動手段23の少なくともいずれか1つの可変機構を制御する。運転状態が暖房運転モードと冷房運転モードのどちらを行っているかは、室内ユニット1に通常設けられている運転制御部で把握されており、運転モードを判断するのは容易である。
【0092】
室内ユニット1が室内を冷房するために運転されると、空気を冷却するために蒸発器として機能している熱交換器7には、空気中の水蒸気が結露して水滴が付着する場合がある。このように熱交換器7への水滴の付着が生じると、熱交換器7に水滴が付着していない状態と比較して、風路を流れる空気の通風抵抗が増加する。このように貫流送風機8の流れ方向上流側にある熱交換器7における要因で通風抵抗が増加すると、熱交換器7を通過して貫流送風機8に導かれる空気の流量が減少するので、吹出口6からの送風量Qが減少し、貫流送風機8の送風効率、ひいては空気調和機の運転効率が低下する。
一方、室内ユニット1が室内を暖房するために運転されると、空気を加熱するために凝縮器として機能している熱交換器7は、付着した水滴が蒸散などによって除去されるなど、通風抵抗が減少して室内ユニット1が初期状態に近くなる。この時に通風抵抗大に適した構成位置の風路形状で運転を続行していると、良好な送風効率が得られない。この実施の形態では、このような運転モードの違いに応じて風路形状をそれぞれに適する様に変更し、送風効率の向上を図るものである。
【0093】
実施の形態1と同様、説明を簡単化し、風路を構成するスクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの位置は、通風抵抗小に適した構成位置としての基準位置(Ca、Da、Ea、Fa、Ga)と、通風抵抗大に適した構成位置としての最大変位位置(Cb、Db、Eb、Fb、Gb)の2段階の構成を有するものとする。そして、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの各部材の構成位置の変更において、基準位置から最大変位位置への変更方向(C1、D1、E1、F1、G1)と、最大変位位置から基準位置へ変更方向(C2、D2、E2、F2、G2)とを有するものとする。
【0094】
以下、制御手段24による動作を図29のフローチャートに基いて説明する。ステップS61において各部材の位置を検知する。ステップS62で各部材の現在の位置を判断し、通風抵抗小に適した構成の基準位置である時、運転状態が冷房運転モードであるかどうか判断する(ステップS63)。この判断で、運転状態が冷房運転モードの場合には、ステップS64に移行し、各部材を通風抵抗大に適した構成の最大変位位置に変更する。ステップS63で暖房運転モードの場合には、その通風抵抗による空気の流れに適した風路形状であると判断しそのままの構成とする。
また、ステップS62で各部材の現在の位置を判断し、通風抵抗大に適した構成の最大変位位置である時、暖房運転モードであるかどうか判断する(ステップS65)。この判断で、暖房運転モードの場合には、ステップS66に移行し、各部材を通風抵抗小に適した構成の基準位置に変更する。ステップS65で冷房運転モードの場合には、その通風抵抗による空気の流れに適した風路形状であると判断しそのままの構成とする。
【0095】
ステップS64、S66において、制御手段24は第1駆動手段19と第2駆動手段20に、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bを、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積が増加または減少する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第3駆動手段21に、吹出口下側案内部12を、吹出ダクト14の断面の巾が減少または増加する方向に変位するように指示する信号を与え、かつ第4駆動手段22に、吹出口上側案内部13を、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりが減少または増加する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第5駆動手段23に、スタビライザ先端突起部11aを、羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間が減少または増加する方向に角変位するように指示する指令信号を与える。このような制御動作を電源ONの時、または数日毎、または数ヵ月毎に繰返し行なう。
【0096】
これによって、室内ユニット1の運転状態に適した風路形状を構成し、送風効率を大きくすることができる。即ち、室内ユニット1が冷房運転モードのとき、実施の形態1で述べた変位a1、変位b1、変位c1、変位d1の少なくともいずれか1つを行うことで、初期状態からの送風効率の低下を抑制することができ、この運転状態で高い運転効率で運転することができる。一方、暖房運転モードのとき、熱交換器7に付着した水滴が蒸散などによって除去されるなど、通風抵抗が減少して室内ユニット1が初期状態に戻る、または初期状態に近くなるので、実施の形態1で述べた変位a2、変位b2、変位c2、変位d2の少なくともいずれか1つを行うことで、その運転状態において高い運転効率で運転することができる。
特に、羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積、吹出ダクト14の断面の巾、吹出ダクト14の吹出口6までの広がり、羽根車9とスタビライザ11との最小隙間を設定する際、それぞれの部分を独立して変化させることで他の部分で気流に悪影響を与えることがないため、空気の流れに対して各風路部材が変位することによる効果のそれぞれを互いに打ち消すことなく発揮できる。
【0097】
また、通風抵抗が大きくなる冷房運転モードのときに、吹出口壁面からの気流の剥離を防ぐことができるため、吹出口6から室内ユニット1への逆吸込みを防ぐことができる。従って、冷房運転時の逆吸込みにより、高温多湿の外気と低温の吹出し気流が吹出口6の内部で接することで、吹出口壁面への露付きが発生し、それに伴い露飛びも発生する、という問題を、逆吸込みを防ぐことにより防止することができる。
【0098】
また、上記では、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積、吹出ダクト14の断面の巾、吹出ダクト14の吹出口6までの広がり、羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間のすべてを変更して風路を最適になるように変更しているが、少なくともいずれか1つを変更すれば、ある程度の効果を奏することができる。
また、各部材の構成位置を2段階としているが、多段階の位置を設けてもよい。例えば、冷房運転モードの時には、運転開始からの時間に応じて徐々に熱交換器7に結露することにより通風抵抗が大きくなるとして、それに適するように切替えてもよい。
【0099】
また、暖房運転モードの時には熱交換器7に結露はしないが、防塵フィルタ15が塵によって目詰まりすることで通風抵抗は大きくなると考えられる。このため、実施の形態1における電流検知手段や、実施の形態2における各種検知手段の少なくともいずれか1つの検知手段で通風抵抗の増加を検知し、この検知結果に応じて風路形状を変化させてもよい。
なお、空気調和機として、運転モードが暖房運転と冷房運転の2つの運転モード以外のモードが設定される時、そのモードで熱交換器7に結露が発生するかどうかで、どちらの風路形状にするか判断すればよい。例えば、除湿運転モードでは、熱交換器7を蒸発器として動作させるため、冷房運転モードと同じように制御すればよい。
【0100】
実施の形態4.
以下、この発明の実施の形態4について説明する。ここでは、結露検知手段、例えば結露センサによって空気流路の結露状態を検出して通風抵抗の増加または減少を検出し、これに応じて各部材を移動して風路形状を変更するものについて、図に基いて説明する。
図30はこの実施の形態による空気調和機の室内ユニットを示す断面図である。この実施の形態における室内ユニット1の基本的な構成は実施の形態1と同様であり、通風抵抗の変化に応じてどのように風路形状を変更するか、及び各風路部材を変位駆動する動作については、実施の形態1と同様である。ここでは、実施の形態1と同一符号は同一、または相当部分を示し、詳しい説明は省略する。
【0101】
結露センサ35は、吹出口下側案内部12及び吹出口上側案内部13の吹出口6付近に設けられており、吹出口6付近の水分量、即ち結露の状態を検知して、結露検知信号を制御手段24に与える。制御手段24は、結露センサ35からの結露検知信号に基いて、第1駆動手段19および第2駆動手段20および第3駆動手段21および第4駆動手段22および第5駆動手段23の少なくともいずれか1つの可変機構を制御する。
【0102】
次に、結露センサ35の詳細について説明する。図31はこの実施の形態に係わる結露センサ35の一例を示したもので、図31(a)は正面図、図31(b)は図31(a)のB−B線断面図である。図において、36は金属薄膜電極、37は耐湿性シート、38は不織布、39は結露センサ35の基板となる絶縁基板、40は金属薄膜電極36の接続端子である。絶縁基板39は可撓性を有するフィルム状の絶縁基板で、例えば絶縁性樹脂で構成されている。金属薄膜電極36は絶縁基板39の上に銅などをペースト状にして塗布した薄膜層で形成されており、少なくとも2本が所定の距離を離して並行に固着されている。耐湿性シート37は例えばポリエステルなどで構成され、結露センサ35を高湿度の環境でも使用できるようにするものである。不織布38は結露水の吸収性を向上するためのものである。この結露センサ35の全体の厚みHは1mm以下であり、幅Wは20mm程度で、例えば、ほぼ垂直に曲げることができ、ねじりの力にもある程度耐えることができるような可撓性を有している。
【0103】
図31のように構成された結露センサ35の電極36間の抵抗は、結露のない場合は絶縁されている。結露が発生すると結露水が不織布38にすばやく吸収されて、電極36間の絶縁が解除される。図32は横軸に濡れ度、縦軸に抵抗値を示す特性図であり、接続端子40間の抵抗を計測していると、結露のない場合は濡れ度が小さくて絶縁されているので抵抗が大きく、結露が発生すると濡れ度が小から大へと変化する。これにつれて電気絶縁が変化し、電極36間の絶縁が解除されると抵抗が急激に小さくなる。従って、抵抗が小さくなったことで結露を検知することができる。例えば抵抗値がY以下になったら結露したと判断すればよい。
【0104】
図31に示した構成の結露センサ35の接続端子40に接続する計測部では、例えば印加電圧は9〜12Vで、抵抗値Xを80kΩ程度、抵抗値Yを30kΩ程度として、結露センサ35の濡れ度(抵抗値Y)、乾燥度(抵抗値X)を検知している。このとき流れる電流は2mA程度である。ここで、結露水をすばやく吸収できる不織布38を用いているので、結露に迅速に対応でき、結露センサ35としては応答性が高い。なお、接着剤を塗布したフィルムで絶縁基板39を構成すると、吹出口6付近に容易に取りつけられる。また不織布38により、発生した結露水による検知と同時に結露水を保水する機能を併せ持っているので、結露水が吹出口6の内壁を沿って室内に滴下することを防止できる。不織布38に保水された結露水が蒸発すれば、結露センサ35の抵抗値は大きくなる。
【0105】
この結露センサ35は長手方向の寸法の制約はなく、設置場所に応じて自由に形成でき、また長手方向のどこに結露水が発生しても、それを検知できる。また結露センサ35は薄いテープ状であるため、どの部分にも取りつけやすく、また邪魔になることはない。幅Wは2本設けた電極36間の距離に応じて変化するが、この電極36間の距離を変化させることで、結露センサ35の検知する濡れ度合いを変えることができるので、結露の検知応答性を設定することができる。もちろん、検知の際に使用する抵抗値Yを上下させることで、結露の検知応答性を設定することができる。
この実施の形態では、図30に示す様に、吹出口6付近に例えば接着剤によって接着している。吹出口下側案内部12と吹出し口上側案内部13の吹出口6に近い部分に配置し、横方向には室内ユニット1の横方向の一端から他端の全体に渡って設けている。なお、この配置位置はこれに限るものではなく、吹出口下側案内部12と吹出し口上側案内部13のどちらか一方に取り付けてもよいし、また、取り付け方法も接着剤でなくてもよい。
また、金属薄膜電極36の材質は銅に限るものではなく、電気を通す金属なら何でもよいが、薄膜状に形成するためにペースト状にして塗布できるものが好ましい。また金属薄膜電極36は、2本に限るものではなく、複数本距離を離して並設し、接続端子40が2つになるように複数のいずれかをお互いに接続して構成してもよい。
【0106】
室内ユニット1が運転され、除塵フィルタ15への塵埃の付着および熱交換器7への水滴の付着が生じると、風路を流れる空気の通風抵抗が増加する。通風抵抗の増加すると、除塵フィルタ15および熱交換器7を通過して貫流送風機8に導かれる空気の流量が減少し、さらには吹出口6からの送風量Qが減少し、貫流送風機8の送風効率、ひいては空気調和機の運転効率が低下する。また、通風抵抗が増加して風路形状が空気の流れに対して適当でなくなると、図9に示した様に吹出口壁面からの気流の剥離が発生し、気流の乱れが大きくなることにより、吹出口6から室内ユニット1内部への逆吸込みが発生する。このときの運転状態が冷房運転モードである場合、熱交換器7で冷却された空気と、吹出口6から逆吸込みによる湿った空気が、吹出口6の内部で接触し、湿った空気が冷やされて空気中の水蒸気が結露し、吹出口6の壁面に水滴が付着する。従って、吹出口6付近の壁面の水分量を計測すれば、除塵フィルタ15に塵埃が付着したり熱交換器7にも水滴が付着によって、通風抵抗が増加した状態に変化したことを検知することができる。この実施の形態では、吹出口6付近の壁面の水分量を結露センサ35で計測する。
【0107】
実施の形態1と同様、説明を簡単化し、風路を構成するスクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの位置は、通風抵抗小に適した構成位置としての基準位置(Ca、Da、Ea、Fa、Ga)と、通風抵抗大に適した構成位置としての最大変位位置(Cb、Db、Eb、Fb、Gb)の2段階の構成を有するものとする。そして、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの各部材の構成位置の変更において、基準位置から最大変位位置への変更方向(C1、D1、E1、F1、G1)と、最大変位位置から基準位置へ変更方向(C2、D2、E2、F2、G2)とを有するものとする。
【0108】
以下、制御手段24による動作を図33のフローチャートに基いて説明する。ステップS71において、各部材の現在の位置を検知すると共に、結露センサ35の抵抗値を検出する。各部材の現在の位置を判断し(ステップS72)、通風抵抗小に適した構成の基準位置である時、抵抗値が判定抵抗値Yより小さいかどうか判断する(ステップS73)。この時の判定抵抗値Yは、図32にしめす判定値であり、このとき検知した抵抗値が判定抵抗値Yより小さくなったら、結露状態になり通風抵抗が増加したと判断する。そしてステップS74に移行し、各部材を通風抵抗大に適した構成の最大変位位置に変更する。ステップS73で抵抗値が判定抵抗値Y以上の場合には、その通風抵抗による空気の流れに適した風路形状であると判断しそのままの構成とする。
また、ステップS72で各部材の現在の位置を判断し、通風抵抗大に適した構成の最大変位位置である時、検出した抵抗値が判定抵抗値Xよりも大きいかどうかどうか判断する(ステップS75)。この判断で、判定抵抗値Xよりも大きい場合には、図32に示す様に濡れ度が結露なし状態に近づき、通風抵抗は減少したと見なすことがきる。このため、ステップS76に移行し、各部材を通風抵抗小に適した構成の基準位置に変更する。ステップS75で抵抗値が判定抵抗値X以下の場合には、その通風抵抗による空気の流れに適した風路形状であると判断しそのままの構成とする。
【0109】
ステップS74、S76において、制御手段24は第1駆動手段19と第2駆動手段20に、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bを、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積が増加または減少する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第3駆動手段21に、吹出口下側案内部12を、吹出ダクト14の断面の巾が減少または増加する方向に変位するように指示する信号を与え、かつ第4駆動手段22に、吹出口上側案内部13を、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりが減少または増加する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第5駆動手段23に、スタビライザ先端突起部11aを、羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間が減少または増加する方向に変位するように指示する指令信号を与える。このような制御動作を所定の時間間隔、例えば数時間毎や数日毎に繰返し行なう。
【0110】
これによって、室内ユニット1の運転状態に応じてその状態で最も送風効率を大きくすることができる。従って、室内ユニット1の吹出口6が結露していると判断するとき、実施の形態1で述べた変位a1、変位b1、変位c1、変位d1の少なくともいずれか1つを行うことで、初期状態からの送風効率の低下を抑制することができ、この運転状態で高い送風効率で運転することができる。一方、吹出口6が結露していないと判断するとき、室内ユニット1が初期状態に戻る、または初期状態に近くなるので、実施の形態1で述べた変位a2、変位b2、変位c2、変位d2の少なくともいずれか1つを行うことで、その運転状態において高い運転効率で運転することができる。
また、送風効率の低下を抑制することで、室内ユニット1の吹出口6から室内ユニット1内への逆吸込みを防止でき、水滴が室内に飛散することなく、室内の快適性を維持できる効果がある。
【0111】
制御手段24は、図34に示す処理を図33の処理の途中に挿入してもよい。例えばエンドの前やステップS74の前後に、検出した抵抗値が判定抵抗値Yよりも小さい場合に(ステップS77)、ステップS78で自動的に乾燥運転を行って、濡れ度を回復したり、熱交換器7や吹出口6付近の水分を拭くなどの清掃を指示する。この処理によって確実に吹出口6の水分は除去されるので、通風抵抗を迅速に初期状態に戻すことができ、送風効率の低減や室内への露飛びを確実に防止できる。
このような構成の吹出口6の水分量を検知する結露センサ35を設け、結露センサ35で検知した吹出口6の水分量の変化によって羽根車9の上流側の通風抵抗の変化を検知することにより、簡単で安価な構成で空気流路の通風抵抗の変化を確実に推定して、空気調和機の送風効率の向上を図ることができる。
【0112】
図35、図36によってこの実施の形態の他の構成例による室内ユニット1について説明する。図35は実施の形態1で述べた電流値検知手段26と結露センサ35を備えた空気調和機の室内ユニットを示す断面図である。この室内ユニットの基本的な構成は実施の形態1と同様であり、通風抵抗の変化に応じてどのように風路形状を変更するか、及び各風路部材を変位駆動する動作については、実施の形態1と同様である。ここでは、実施の形態1と同一符号は同一、または相当部分を示し、詳しい説明は省略する。
【0113】
この室内ユニット1は、通風抵抗の変化に関連して変化する量を検知する検知手段、例えば貫流送風機8のファンモータ25の電流値Aを検知する電流値検知手段26を有する。この電流値検知手段26は、検知電流値Aを表す検知電流値信号を制御手段24に与える。また、この室内ユニット1には、吹出口6の結露を検知する結露センサ35が設けられる。この結露センサ35は、結露検知信号を制御手段24に与える。制御手段24は、電流値検知手段26からの検知電流値信号、結露センサ35からの結露検知信号、運転状態が冷房運転モードであるか暖房運転モードであるか、に基いて、第1駆動手段19および第2駆動手段20および第3駆動手段21および第4駆動手段22および第5駆動手段23の少なくともいずれか1つの可変機構を制御する。
【0114】
室内ユニット1が運転され、除塵フィルタ15への塵埃の付着および熱交換器7への水滴の付着によって初期状態から通風抵抗が増加した状態に変化し、冷房運転モードの場合は結露センサ35が吹出口6の壁面の結露を検知したとき、暖房運転モードの場合は検知電流値Aが減少して判定電流値A1よりも小さくなったときを検知する。そして、通風抵抗の変化に応じて、風路形状を変更する。ここで、実施の形態1と同様、説明を簡単化し、風路を構成するスクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの位置は、通風抵抗小に適した構成位置としての基準位置(Ca、Da、Ea、Fa、Ga)と、通風抵抗大に適した構成位置としての最大変位位置(Cb、Db、Eb、Fb、Gb)の2段階の構成を有するものとする。そして、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの各部材の構成位置の変更において、基準位置から最大変位位置への変更方向(C1、D1、E1、F1、G1)と、最大変位位置から基準位置へ変更方向(C2、D2、E2、F2、G2)とを有するものとする。
【0115】
以下、制御手段24による動作を図36のフローチャートに基いて説明する。
ここで、制御手段24は、実施の形態1と同様、判定電流値A1、A2を記憶しており、また、判定電流値A1、A2のそれぞれは設定風量ごとに異なる値である。例えば、判定電流値A1、A2には、高風量設定、中風量設定、低風量設定ごとに異なる値が設定されている。A1は通風抵抗が増加する方向に変化する時に用いる判定電流値であり、A2は通風抵抗が減少する方向に変化する時に用いる判定電流値である。ここでは通風抵抗が増加または減少する際の空気の流れかたが異なることで、検出されるファンモータ25の電流値が異なることを考慮し、増加及び減少の変化の方向に応じて判定電流値を異なるものとしている。
【0116】
ステップS81において運転状態を判断する。運転状態が冷房運転又は除湿運転の場合にはステップS82に移行する。ステップS82に移行する運転状態は、熱交換器7を冷凍サイクルの蒸発器として運転している場合をすべて含んでいる。運転状態が熱交換器7を凝縮器として運転させる暖房運転や冷媒を熱交換器7に流通させないで送風機のみを運転する送風運転の場合には、ステップS88に移行する。
冷房運転又は除湿運転の場合、ステップS82で、各部材の現在の位置を検知すると共に、結露センサ35の抵抗値を検出する。各部材の現在の位置を判断し(ステップS83)、通風抵抗小に適した構成の基準位置である時、抵抗値が判定抵抗値Yより小さいかどうか判断する(ステップS84)。この時の判定抵抗値Yは、図32にしめす判定値であり、このとき検知した抵抗値が判定抵抗値Yより小さくなったら、結露状態になり通風抵抗が増加したと判断する。そしてステップS85に移行し、各部材を通風抵抗大に適した構成の最大変位位置に変更する。ステップS84で抵抗値が判定抵抗値Y以上の場合には、その通風抵抗による空気の流れに適した風路形状であると判断しそのままの構成とする。
また、ステップS83で各部材の現在の位置を判断し、通風抵抗大に適した構成の最大変位位置である時、検出した抵抗値が判定抵抗値Xよりも大きいかどうかどうか判断する(ステップS86)。この判断で、判定抵抗値Xよりも大きい場合には、図32に示す様に濡れ度が結露なし状態に近づき、通風抵抗は減少したと見なすことがきる。このため、ステップS87に移行し、各部材を通風抵抗小に適した構成の基準位置に変更する。ステップS86で抵抗値が判定抵抗値X以下の場合には、その通風抵抗による空気の流れに適した風路形状であると判断しそのままの構成とする。
【0117】
暖房運転又は送風運転の場合、ステップS88において、ファンモータ25の電流値Aを電流値検知手段26で検知すると共に、各部材の現在の位置を検知する。各部材の現在の位置を判断し(ステップS89)、通風抵抗小に適した構成の基準位置である時、検知電流値Aが判定電流値A1より小さいかどうか判断する(ステップS90)。この判断で、検知電流値Aが判定電流値A1より小さい場合には、通風抵抗が増加したとしてステップS91に移行し、各部材を通風抵抗大に適した構成の最大変位位置に変更する。ステップS90で検知電流値Aが判定電流値A1以上の場合には、通風抵抗が十分に小さい状態であると判断しそのままの構成とする。
また、ステップS89で各部材の現在の位置を判断し、通風抵抗大に適した構成の最大変位位置である時、検知電流値Aが判定電流値A2より大きいかどうか判断する(ステップS92)。この判断で、検知電流値Aが判定電流値A2より大きい場合には、通風抵抗が減少したとしてステップS93に移行し、各部材を通風抵抗小に適した構成の基準位置に変更する。ステップS92で検知電流値Aが判定電流値A2以下の場合には、通風抵抗がまだ大きい状態であると判断しそのままの構成とする。
【0118】
ステップS85、S87、S91、S93において、制御手段24は第1駆動手段19と第2駆動手段20に、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bを、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積が増加または減少する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第3駆動手段21に、吹出口下側案内部12を、吹出ダクト14の断面の巾が減少または増加する方向に変位するように指示する信号を与え、かつ第4駆動手段22に、吹出口上側案内部13を、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりが減少または増加する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第5駆動手段23に、スタビライザ先端突起部11aを、羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間が減少または増加する方向に変位するように指示する指令信号を与える。このような制御動作を所定の時間間隔、例えば数時間毎や数日毎に繰返し行なう。
ここでは、暖房運転又は送風運転の時に、ファンモータ25の電流値を検知する構成としたが、実施の形態2で説明したように、ファンモータ25の回転数、電圧値、入力電力値の変化や、これらのばらつきの程度、即ち乱れの強さを検知して、通風抵抗の変化を検知してもよい。
【0119】
以上のように、室内ユニット1の運転状態に応じてその状態で最も送風効率を大きくすることができる。従って、冷房運転時に室内ユニット1の吹出口6が結露していると判断したときや、羽根車9の上流側の通風抵抗が増加したときに、実施の形態1で述べた変位a1、変位b1、変位c1、変位d1の少なくともいずれか1つを行うことで、初期状態からの送風効率の低下を抑制することができ、この運転状態で高い送風効率で運転することができる。一方、冷房運転時に吹出口6が結露していないと判断したときや、羽根車9の上流側の通風抵抗が減少したときに、室内ユニット1が初期状態に戻る、または初期状態に近くなるので、実施の形態1で述べた変位a2、変位b2、変位c2、変位d2の少なくともいずれか1つを行うことで、その運転状態において高い運転効率で運転することができる。
また、送風効率の低下を抑制することで、室内ユニット1の吹出口6から室内ユニット1内への逆吸込みを防止でき、水滴が室内に飛散することなく、室内の快適性を維持できる効果がある。
【0120】
ここで、図30、図35における結露センサ35は、図31の構成に限るものではなく、吹出口6付近の水分量を検知できるものなら、他の構成のセンサでもよい。
また、図30、図35の構成では、羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積、吹出ダクト14の断面の巾、吹出ダクト14の吹出口6までの広がり、羽根車9とスタビライザ11との最小隙間を設定する際、それぞれの部分を独立して変化させることで他の部分で気流に悪影響を与えることがないため、空気の流れに対して各風路部材が変位することによる効果のそれぞれを互いに打ち消すことなく発揮できる。
上記では、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積、吹出ダクト14の断面の巾、吹出ダクト14の吹出口6までの広がり、羽根車9とスタビライザ先端突起部11aの最小隙間のすべてを変更して風路を最適になるように変更しているが、少なくともいずれか1つを変更すれば、ある程度の効果を奏することができる。
また、各部材の構成位置を2段階としているが、多段階の位置を設けてもよい。例えば、冷房運転モードの時には、運転開始からの時間に応じて徐々に熱交換器7に結露することにより通風抵抗が大きくなるとして、それに適するように切替えてもよい。
【0121】
また、この実施の形態においても、実施の形態1と同様、制御手段は各風路部材の変位位置に応じた指令信号を表示部29に与え、表示部29で変位状態の程度が判別できるように段階的に表示すれば、除塵フィルタの交換時期や室内ユニットの清掃時期が来ても、使用者は余裕をもって自分の都合の良い時間に交換や清掃をすることが可能となり、使用者の利便性が増す。
【0122】
実施の形態5.
以下、この発明の実施の形態5について説明する。この実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態4で記載した空気調和機の少なくともいずれかの空気調和機を試験する際や、例えば出荷前に運転する際の運転方法に関するものである。図37は空気調和機の室内ユニットを示す断面図、図38は制御手段24の制御動作を示すフローチャートである。この実施の形態における室内ユニット1の基本的な構成は実施の形態1と同様であり、通風抵抗の変化に応じてどのように風路形状を変更するか、及び各風路部材を変位駆動する動作については、実施の形態1と同様である。ここでは、実施の形態1と同一符号は同一、または相当部分を示し、詳しい説明は省略する。
【0123】
実際の運転では、運転中に通風抵抗が変化し、この変化を検知してこれに対応するように風路形状を変更するので、制御手段が必要であった。ここでは、運転中の通風抵抗の変化に瞬時瞬時対応するのではなく、所定の運転状態に最適な風路形状を有する空気調和機を構成するためのものである。従って、図37に示すように制御手段は必ずしも必要ではない。スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの各部材の構成は、実施の形態1と同様であり、スクロールケーシング渦巻き部10aを方向C1および方向C2に角変位駆動する渦巻き部可変機構を構成する第1駆動手段19と、スクロールケーシング接続部10bを方向D1および方向D2に角変位駆動する接続部可変機構を構成する第2駆動手段20が設けられる。また、吹出口下側案内部12を下方向E2および上方向E1に上下変位駆動する吹出口下側案内部可変機構を構成する第3駆動手段21と、吹出口上側案内部13を方向F1および方向F2に角変位駆動する吹出口上側案内部可変機構を構成する第4駆動手段22が設けられる。また、スタビライザ先端突起部11aを方向G1および方向G2に角変位駆動するスタビライザ可変機構を構成する第5駆動手段23が設けられる。
【0124】
以下、図38のフローチャートに基いて空気調和機の室内ユニットの運転方法の一例について説明する。室内ユニット1を、所定の環境における所定の運転状態に適した構成とするには、その環境下で運転する必要がある。従って、室内ユニット1を最適に構成したい所定の環境下に設置する。例えば高温多湿の状態で使用する空気調和機の場合には、その状態を実現した室内に配置した室内ユニット1を運転する(ステップS101)。この時、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの各部材の構成は、適当な基準位置に設定しておく。次に、ステップS102で、電流値検知手段26によって、羽根車9を駆動するファンモータ25の電流値を検知する。ファンモータ25の電流値からその運転状態における通風抵抗を推定できる。これは実施の形態1で述べた通りである。この通風抵抗から風路形状と送風効率の関係を把握することができる。例えば、図12に示す通風抵抗と送風効率の関係で、通風抵抗がP2以上で設定されている風路形状がK1であるとすると、図37に示すように風路部材の壁面からの空気流の剥離発生が確認される。従って、ステップS103で壁面からの空気流の剥離発生が確認されるかどうかを判断し、剥離が発生していれば、その通風抵抗に適した構成になるように、各風路部材を変位させる(ステップS104)。
【0125】
このステップS104では、検出した電流値に応じて作業者が、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの各部材の構成位置の変更する。通風抵抗が通風抵抗大に適した位置への変更方向(C1、D1、E1、F1、G1)と、通風抵抗小に適した位置への変更方向(C2、D2、E2、F2、G2)とを有し、第1駆動手段19、第2駆動手段20、第3駆動手段21、第3駆動手段22、第5駆動手段23のうちの少なくともいずれか1つの可動機構を作業者が動かす。
【0126】
ステップS104において、作業者は第1駆動手段19と第2駆動手段20を動かして、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bを、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積が増加または減少する方向に角変位させ、かつ第3駆動手段21を動かして、吹出口下側案内部12を、吹出ダクト14の断面の巾が減少または増加する方向に変位させ、かつ第4駆動手段22動かして、吹出口上側案内部13を、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりが減少または増加する方向に角変位させ、かつ第5駆動手段23に、スタビライザ先端突起部11aを、羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間が減少または増加する方向に角変位させる。通風抵抗の推定値に応じてその最大変位位置の途中まで動かすこともできる。特に作業者が行なうため、試行錯誤しながら、高い送風効率が得られる最適な位置に設定することができる。
ステップS103で壁面からの空気流の剥離発生を確認しなかった場合は、その環境下及び運転状態において、風路形状が最適であると判断しそのままの構成とする。
【0127】
なお、ステップS102における通風抵抗の変化は、図19、図21、図23、図25の構成と同様、通風抵抗の変化に関連して変化する量によって検知してもよい。
さらに、空気吸込口4、5から煙や着色された空気を吸込ませて、実際に壁面からの空気流の剥離発生を目で確認し、各可動機構を動かして風路形状を最適にすることもできる。この様に運転すれば、視覚で剥離の発生を確実に見ることができ、また剥離の発生を見ながら各風路部材の形状を最適に構成することができる。
【0128】
これによって、室内ユニット1の運転状態に適した風路形状を構成し、送風効率を大きくすることができる。即ち、室内ユニット1が壁面からの剥離発生を確認したとき、実施の形態1で述べた変位a1、変位b1、変位c1、変位d1、または変位a2、変位b2、変位c2、変位d2の少なくともいずれか1つを行うことで、送風効率の低下を抑制することができ、どのような運転状態においても高い運転効率で運転できるように構成することができる。
特に、羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積、吹出ダクト14の断面の巾、吹出ダクト14の吹出口6までの広がり、羽根車9とスタビライザ11との最小隙間を設定する際、それぞれの部分を独立して変化させることで他の部分で気流に悪影響を与えることがないため、空気の流れに対して各風路部材が変位することによる効果のそれぞれを互いに打ち消すことなく発揮できる。
【0129】
また、環境に応じた所定の運転状態のときに、吹出口壁面からの気流の剥離を防ぐことができるため、吹出口6から室内ユニット1への逆吸込みを防ぐことができる。従って、冷房運転時での逆吸込みにより、高温多湿の外気と低温の吹出し気流が吹出口6の内部で接することで、吹出口壁面への露付きが発生し、それに伴い露飛びも発生する、という問題を、逆吸込みを防ぐことにより、予め防止することができる。
【0130】
また、上記では、貫流送風機8の、吹出ダクト14の断面の巾、吹出ダクト14の吹出口6までの広がり、羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間のすべてを変更して風路形状を最適になるように変更しているが、少なくともいずれか1つを変更すれば、ある程度の効果を奏することができる。
もちろん、この実施の形態で述べた室内ユニット1の運転方法は、実施の形態1〜実施の形態4で述べたいずれの構成の空気調和機の室内ユニット1にも適用できることは言うまでもない。
【0131】
この実施の形態による室内ユニット1の運転方法では、室内ユニット1を、羽根車9の回転方向後方側の風路部材を変位させて、羽根車9から吹出口6までの空気流路のうちの上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方の流路断面積を独立して変化可能な構成とする。そして、室内ユニット1を運転するステップS101を行なう。次に、羽根車9の上流側の通風抵抗の変化を検知して空気流路の壁面に空気流の剥離の発生を確認するステップS102、S103を行なう。次に、空気流の剥離の発生を確認したときに、空気流路の上流側の流路断面積、即ち羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積、と下流側の流路断面積、即ち吹出ダクト14の流路断面積の少なくともいずれか一方の流路断面積を、空気流の剥離を減少させる方向に変化させるステップS104を行なう。これらのステップS101〜S104によって、羽根車9を回転させるための入力を減らすようにでき、送風効率を向上できる。
【0132】
また、ステップS102において、羽根車9のファンモータ25の電流値または電圧値または入力電力値または回転数の変化、若しくは羽根車9のファンモータ25の電流値また電圧値または入力電力値または回転数の時系列データのばらつきの変化を検知することで、羽根車9の上流側の通風抵抗の変化を検知してもよい。これらのいずれも空気流路の通風抵抗の変化に関連する量であり、これらの少なくともいずれか1つを検知して、風路形状を変化させれば、羽根車9を回転させるための入力を減らすようにでき、送風効率を向上できる。
【0133】
この室内ユニット1の運転方法では、羽根車9よりも上流側の通風抵抗が増加する方向に変化したのを検知したときに、空気流路の上流側の流路断面積を大きくすれば、図6で示したように空気流路の上流側に生じる空気流の剥離を減少させることができ、羽根車9を回転させるための入力を減らして送風効率を向上できる。
また逆に、羽根車9よりも上流側の通風抵抗が減少する方向に変化したのを検知したときに、空気流路の上流側の流路断面積を小さくすれば、空気流路の上流側に生じる円周方向成分の強い空気流をスムーズに流して損失を低減することができ、羽根車9を回転させるための入力を減らして送風効率を向上できる。
【0134】
また、羽根車9よりも上流側の通風抵抗が増加する方向に変化したのを検知したときに、空気流路の下流側の流路断面積を小さくすれば、図10で示したように、空気流路の下流側に生じる空気流の剥離を減少させることができ、羽根車9を回転させるための入力を減らして送風効率を向上できる。
また逆に、羽根車9よりも上流側の通風抵抗が減少する方向に変化したのを検知したときに、空気流路の下流側の流路断面積を大きくすれば、空気流路の下流側に生じる空気流の流速を減少させて損失を低減でき、羽根車9を回転させるための入力を減らして送風効率を向上できる。
【0135】
また、実施の形態2〜実施の形態5のいずれにおいても、図15、図16で示した様に、吹出口下側案内部12は変位せずに固定され、吹出口6の流路断面積を吹出口上側案内部13の変位によって変化する構成としてもよい。吹出口下側案内部12は固定したまま、羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aとの間の流路断面積を独立して変化させることにより、他の部分で気流に悪影響を与えることが全く無く、流路断面積の変化による効果を無駄なく得ることができる。
また、図17、図18に示した様に、スクロールケーシング接続部10bと吹出口下側案内部12は固定して一体として構成してもよい。即ち、羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積は変化させず、吹出口6の流路断面積を独立して変化させることで、風路形状を制御してもよい。この場合には、他の部分で気流に悪影響を与えることが全く無く、吹出ダクト14の流路断面積の変化による効果を無駄なく得ることができる。
【0136】
また、実施の形態1〜実施の形態5において、貫流送風機について説明したが、シロッコファンなどの遠心送風機にも適用できる。
【0137】
【発明の効果】
この発明は以上のように、空気吸込口と空気吹出口とを連通する空気流路が内部に設けられたユニット筐体と、前記空気流路内に配置され前記空気吸込口から吸込んだ空気を前記空気吹出口から室内へ送風する羽根車と、前記羽根車の回転方向後方側風路部材を形成するスクロールケーシングと、前記羽根車の回転方向前方側風路部材を形成する吹出口上側案内部と、前記スクロールケーシングに接続する吹出口下側案内部と、を備え、前記スクロールケーシングを前記空気の流れ方向上流側のスクロールケーシング渦巻き部と下流側のスクロールケーシング接続部とに分割して構成し、前記スクロールケーシング渦巻き部を変位させて前記羽根車と前記スクロールケーシング渦巻き部の間の流路断面積を可変にする渦巻き部可変機構、または前記吹出口下側案内部を変位させて前記吹出口上側案内部と前記吹出口下側案内部で構成される吹出ダクトの流路断面積を可変にする吹出口下側案内部可変機構を備えたことにより、室内ユニット内の空気流路の通風抵抗が変化しても、高い送風効率が得られる空気調和機を得ることができる。
【0138】
また、空気吸込口と空気吹出口とを連通する空気流路が内部に設けられたユニット筐体と、前記空気流路内に配置され前記空気吸込口から吸込んだ空気を前記空気吹出口から室内へ送風する羽根車と、前記空気吹出口の水分量を検知する結露検知手段と、を備え、前記結露検知手段で検知した水分量の変化によって前記羽根車の上流側の通風抵抗の変化を検知することを特徴とすることにより、簡単で安価な構成で空気流路の通風抵抗の変化を確実に推定して、送風効率の向上を図ることのできる空気調和機を得ることができる。
【0139】
また、空気吸込口と空気吹出口とを連通する空気流路が内部に設けられたユニット筐体と、前記空気流路内に配置され前記空気吸込口から吸込んだ空気を前記空気吹出口から室内へ送風する羽根車と、所定の時間間隔で前記羽根車の電流値または回転数または電圧値または入力電力値を計測する検知手段と、前記検知手段で計測したデータを時系列で記憶する記憶手段と、前記記憶した時系列の計測データのばらつきを演算する演算手段と、を備え、前記演算手段で演算した計測データのばらつきの変化によって前記羽根車の上流側の通風抵抗の変化を検知することを特徴とすることにより、簡単で安価な構成で空気流路の通風抵抗の変化を確実に推定して、送風効率の向上を図ることのできる空気調和機を得ることができる。
【0140】
また、羽根車の回転方向後方側の風路部材を変位させて、前記羽根車から吹出口までの空気流路のうちの上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方を独立して変化可能な室内ユニットを運転するステップと、前記羽根車の上流側の通風抵抗の変化を検知して前記空気流路の壁面に空気流の剥離の発生を確認するステップと、前記空気流の剥離の発生を確認した後に前記空気流路の上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方を前記空気流の剥離を減少させる方向に変化させるステップと、を備え、前記羽根車を回転させるための入力を減らすようにしたことにより、室内ユニット内の空気流路の通風抵抗の状態に対応して最適な風路形状を予め設定でき、高い送風効率が得られる空気調和機の室内ユニットの運転方法が得られる。
【0141】
また、羽根車の回転方向後方側の風路部材を変位させて、前記羽根車から吹出口までの空気流路のうちの上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方を独立して変化可能な可変機構を有する室内ユニットを運転するステップと、前記羽根車の上流側の通風抵抗の変化を検知して前記空気流路の壁面に空気流の剥離の発生を確認するステップと、前記空気流の剥離の発生を確認した後に前記空気流路の上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方を前記空気流の剥離を減少させる方向に変化させるように前記可変機構を制御するステップと、を備え、前記羽根車を回転させるための入力を減らすようにしたことにより、室内ユニット内の空気流路の通風抵抗が変化しても、高い送風効率が得られる空気調和機の室内ユニットの制御方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る空気調和機の一運転状態における室内ユニットを示す断面図である。
【図2】実施の形態1に係る空気調和機の他の運転状態における室内ユニットを示す断面図である。
【図3】実施の形態1に係るスタビライザを拡大して示す説明図である。
【図4】実施の形態1に係り、通風抵抗が小さい場合の運転状態における室内ユニットを示す説明図である。
【図5】実施の形態1に係り、通風抵抗が大きい場合の運転状態における室内ユニットを示す説明図である。
【図6】実施の形態1に係り、羽根車とスクロールケーシング渦巻き部付近を拡大して示す説明図で、図6(a)は通風抵抗が小さい場合、図6(b)は通風抵抗が大きい場合の位置を示す。
【図7】実施の形態1に係り、羽根車とスタビライザ付近を拡大して示す説明図で、図7(a)は通風抵抗が小さい場合、図7(b)は通風抵抗が大きい場合の位置を示す。
【図8】実施の形態1に係り、通風抵抗が小さい場合の運転状態における室内ユニットを示す説明図である。
【図9】実施の形態1に係り、通風抵抗が大きい場合の運転状態における室内ユニットを示す説明図である。
【図10】実施の形態1に係り、吹出ダクト付近を拡大して示す説明図で、図10(a)は通風抵抗が小さい場合、図10(b)は通風抵抗が大きい場合の位置を示す。
【図11】実施の形態1に係る制御手段の制御動作を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態1に係り、通風抵抗に対する送風効率を示す特性図である。
【図13】実施の形態1に係るスタビライザの他の構成例を示す説明図である。
【図14】実施の形態1に係るスタビライザのさらに他の構成例を示す説明図である。
【図15】実施の形態1に係り、他の風路形状での通風抵抗が小さい場合の運転状態における室内ユニットを示す説明図である。
【図16】実施の形態1に係り、他の風路形状での通風抵抗が大きい場合の運転状態における室内ユニットを示す説明図である。
【図17】実施の形態1に係り、さらに他の風路形状での通風抵抗が小さい場合の運転状態における室内ユニットを示す説明図である。
【図18】実施の形態1に係り、さらに他の風路形状での通風抵抗が大きい場合の運転状態における室内ユニットを示す説明図である。
【図19】この発明の実施の形態2による空気調和機の室内ユニットを示す断面図である。
【図20】実施の形態2に係る制御手段の制御動作を示すフローチャートである。
【図21】実施の形態2による空気調和機の室内ユニットの他の構成例を示す断面図である。
【図22】実施の形態2の他の構成例に係る制御手段の制御動作を示すフローチャートである。
【図23】実施の形態2による空気調和機の室内ユニットのさらに他の構成例を示す断面図である。
【図24】実施の形態2のさらに他の構成例に係る制御手段の制御動作を示すフローチャートである。
【図25】実施の形態2による空気調和機の室内ユニットのさらに他の構成例を示す断面図である。
【図26】実施の形態2のさらに他の構成例に係る制御手段の制御動作を示すフローチャートである。
【図27】実施の形態2に係り、通風抵抗に対する乱れ強さを示すグラフである。
【図28】この発明の実施の形態3による空気調和機の室内ユニットを示す断面図である。
【図29】実施の形態3に係る制御手段の制御動作を示すフローチャートである。
【図30】この発明の実施の形態4による空気調和機の室内ユニットを示す断面図である。
【図31】実施の形態4に係る結露センサを示す正面図及び断面図である。
【図32】実施の形態4に係り、濡れ度に対する結露センサの抵抗値を示す特性図である。
【図33】実施の形態4に係る制御手段の制御動作を示すフローチャートである。
【図34】実施の形態4に係り、制御動作の追加例を示すフローチャートである。
【図35】実施の形態4による空気調和機の室内ユニットの他の構成例を示す断面図である。
【図36】実施の形態4の他の構成例に係る制御手段の制御動作を示すフローチャートである。
【図37】この発明の実施の形態5による空気調和機の室内ユニットを示す断面図である。
【図38】実施の形態5に係る運転動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 室内ユニット、4、5 空気吸込口、6 空気吹出口、7 熱交換器、8貫流送風機、9 羽根車、10 スクロールケーシング、10a スクロールケーシング渦巻き部、10b スクロールケーシング接続部、11 スタビライザ、11a スタビライザ先端突起部、12 吹出口下側案内部、13 吹出口上側案内部、14 吹出ダクト、19 渦巻き部可変機構、20 接続部可変機構、21 吹出口下側案内部可変機構、22 吹出口上側案内部可変機構、23スタビライザ可変機構、24 制御手段、25 ファンモータ、26 電流値検知手段、29 表示部、30 回転数検知手段、31 電圧値検知手段、32入力値検知手段、33 記憶手段、34 演算手段、35 結露検知手段。
【発明の属する技術分野】
この発明は、空気調和機に関し、特に室内ユニットの通風抵抗の増減に対応する風路構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の空気調和機は、第1案内部材を角変位駆動する駆動手段を室内ユニット内に設けている。例えばモータなどの駆動手段によって第1案内部材を角変位させて任意の角変位位置に第1案内部材を配置し、送出し口の開口面積を変化させて調節することができる。第2案内部材および各側壁は固定されているため、送出し口の開口面積は、駆動手段によって駆動される第1案内部材の角変位位置によって決定される。制御手段は、第1および第2圧力センサからの検知圧力信号に基いて、吸込み部と吹出し部との差圧を演算し、室内ユニット内の通風抵抗の変化を検知する。この差圧ΔPに応じて送出し口の開口面積を決定することによって、通風抵抗が変化した状態においても送風効率の高い状態で運転することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−234794号公報(第4−7頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の空気調和機では、送出し口の開口面積の制御に伴い、スクロールケーシング渦巻き部が連動して変化する。通風抵抗が大きい状態でユニットが運転されている場合、送出し口の開口面積が小さいほうが、吹出風速が大きくなることから、壁面から気流が剥離しにくくなり気流の安定性が増すため、送風効率は高くなる。ここで、上記の従来装置では、送出し口の開口面積を小さくする場合、これに伴ってスクロールケーシング渦巻き部も羽根車に近づく。通風抵抗が大きい状態でユニットが運転されている場合、スクロールケーシング渦巻き部付近における羽根車からの気流吹出方向は、通風抵抗が小さい状態と比較すると、半径方向成分の強い流れとなることが、可視化実験や数値解析結果により明らかになっている。そのため、通風抵抗が大きい状態でユニットが運転されている場合、スクロールケーシング渦巻き部が羽根車に近づくと、気流がスクロールケーシング渦巻き部に衝突するため、剥離により損失が生じる。従って、従来の室内ユニットでは、風路形状を細かくみると、風路全体の損失を最小化する形状としては最適化されておらず、通風抵抗増加時に送風効率に悪影響を与える形状が部分的に存在する。従って、十分に高い送風効率を引き出せていないという問題があった。
また、複数の圧力センサを設けて、空気流路の通風抵抗の増加を検知しており、高価で複雑な構成であるという問題点もあった。
【0005】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、室内ユニット内の空気流路の通風抵抗が変化しても、高い送風効率が得られる空気調和機、空気調和機の室内ユニットの運転方法及び空気調和機の室内ユニットの制御方法を得ることを目的とする。
また、簡単で安価な構成で空気流路の通風抵抗の変化を確実に推定して、送風効率の向上を図ることのできる空気調和機を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る空気調和機は、空気吸込口と空気吹出口とを連通する空気流路が内部に設けられたユニット筐体と、前記空気流路内に配置され前記空気吸込口から吸込んだ空気を前記空気吹出口から室内へ送風する羽根車と、前記羽根車の回転方向後方側風路部材を形成するスクロールケーシングと、前記羽根車の回転方向前方側風路部材を形成する吹出口上側案内部と、前記スクロールケーシングに接続する吹出口下側案内部と、を備え、前記スクロールケーシングを前記空気の流れ方向上流側のスクロールケーシング渦巻き部と下流側のスクロールケーシング接続部とに分割して構成し、前記スクロールケーシング渦巻き部を変位させて前記羽根車と前記スクロールケーシング渦巻き部の間の流路断面積を可変にする渦巻き部可変機構、または前記吹出口下側案内部を変位させて前記吹出口上側案内部と前記吹出口下側案内部で構成される吹出ダクトの流路断面積を可変にする吹出口下側案内部可変機構を備えたことを特徴とするものである。
【0007】
また、空気吸込口と空気吹出口とを連通する空気流路が内部に設けられたユニット筐体と、前記空気流路内に配置され前記空気吸込口から吸込んだ空気を前記空気吹出口から室内へ送風する羽根車と、前記空気吹出口の水分量を検知する結露検知手段と、を備え、前記結露検知手段で検知した水分量の変化によって前記羽根車の上流側の通風抵抗の変化を検知することを特徴とするものである。
【0008】
また、空気吸込口と空気吹出口とを連通する空気流路が内部に設けられたユニット筐体と、前記空気流路内に配置され前記空気吸込口から吸込んだ空気を前記空気吹出口から室内へ送風する羽根車と、所定の時間間隔で前記羽根車の電流値または回転数または電圧値または入力電力値を計測する検知手段と、前記検知手段で計測したデータを時系列で記憶する記憶手段と、前記記憶した時系列の計測データのばらつきを演算する演算手段と、を備え、前記演算手段で演算した計測データのばらつきの変化によって前記羽根車の上流側の通風抵抗の変化を検知することを特徴とするものである。
【0009】
また、この発明に係る空気調和機の室内ユニットの運転方法は、羽根車の回転方向後方側の風路部材を変位させて、前記羽根車から吹出口までの空気流路のうちの上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方を独立して変化可能な室内ユニットを運転するステップと、前記羽根車の上流側の通風抵抗の変化を検知して前記空気流路の壁面に空気流の剥離の発生を確認するステップと、前記空気流の剥離の発生を確認した後に前記空気流路の上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方を前記空気流の剥離を減少させる方向に変化させるステップと、を備え、前記羽根車を回転させるための入力を減らすようにしたものである。
【0010】
また、この発明に係る空気調和機の室内ユニットの制御方法は、羽根車の回転方向後方側の風路部材を変位させて、前記羽根車から吹出口までの空気流路のうちの上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方を独立して変化可能な可変機構を有する室内ユニットを運転するステップと、前記羽根車の上流側の通風抵抗の変化を検知して前記空気流路の壁面に空気流の剥離の発生を確認するステップと、前記空気流の剥離の発生を確認した後に前記空気流路の上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方を前記空気流の剥離を減少させる方向に変化させるように前記可変機構を制御するステップと、を備え、前記羽根車を回転させるための入力を減らすようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1に係る空気調和機について説明する。図1、図2は実施の形態1における空気調和機の室内ユニットを示す図で、図1はある運転状態における室内ユニットの断面図、図2は別の運転状態における室内ユニットの断面図である。
【0012】
図1、図2において、室内の壁面に固定される部分であるハウジング2と、側面、上面、前面のパネル3によって、室内ユニット1の筐体を構成し、パネル3の部分は取り外し可能である。上面のパネル3は空気吸込口となる上部吸込グリル5を有し、前面のパネル3は同じく空気吸込口となる前面吸込グリル4を有する。前面吸込グリル4は回動可能な構成で、回動することで空気吸込口を開閉することができる。また、室内ユニット1の下方には、ハウジング2とパネル3との間で下方へ空気を吹出す吹出口6が形成され、上部吸込グリル5、前面吸込グリル4から吸込んだ室内の空気は、室内ユニット1内の空気流路である風路を通り、空気吹出口である吹出口6から室内へ吹出される。
【0013】
風路内に配置される熱交換器7は複数に分割され、それぞれがパネル3の前面または上面に対向するように配置され、前面吸込グリル4と上部吸込グリル5から吸込まれる空気と熱交換器7の内部を流れる冷媒とで熱交換する。
【0014】
熱交換器7の下流側の風路には、羽根車9、スクロールケーシング10、吹出ダクト14により構成される貫流送風機8が配設され、空気を送風する。羽根車9の回転方向後方側の風路部材を形成するスクロールケーシング10は、羽根車9の円周との間に渦巻き状の風路を形成するように湾曲し、渦巻き形状の背面側に最も突出した辺りでスクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bの2つの部分に分割されている。スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bの接続部では上下方向に重なりを有し、この重なりの少なくとも一部分は互いに密着している。さらにスクロールケーシング10の下端部に接続して吹出口6に直線的に伸びる吹出口下側案内部12を有する。
また、吹出口6の前面吸込グリル4側には、羽根車9の回転方向前方側の風路部材を形成するスタビライザ11と、吹出口上側案内部13と、ドレンパン16を有するノーズ部17が配設される。スタビライザ11は吹出口上側案内部13の羽根車側端部から羽根車9の回転方向に伸びて構成されている。
この羽根車9の回転方向後方側の風路部材と回転方向前方側の風路部材とパネル3の側面により羽根車9の下流側の風路を形成する。
【0015】
吹出ダクト14は、吹出口上側案内部13とスクロールケーシング接続部10bの下流部と吹出口下側案内部12とパネル3の側面で囲まれた部分で、羽根車9から吹き出される空気流を吹出口6へ導く吹出風路部である。
スクロールケーシング10と吹出口下側案内部12は、ハウジング2の一部を構成している。さらに、熱交換器7の上流側には、室内ユニット1に吸い込まれる空気中のホコリを除く除塵フィルタ15が設置される。
【0016】
このように構成される室内ユニット1において、貫流送風機8の羽根車9が羽根車回転軸線R1を中心に矢印A方向に回転することにより、前面吸込グリル4と上部吸込グリル5から室内空気を吸気する。そして、空気は除塵フィルタ15を通過後、熱交換器7により熱交換され貫流送風機8の羽根車9に吸い込まれる。その後、羽根車9から吹出された空気は、直接またはスクロールケーシング10で流速を減速し、静圧回復しながら集められ、吹出ダクト14を通過後、吹出口6から室内へ吹出される。
【0017】
スクロールケーシング渦巻き部10aは、一端部において、貫流送風機8の羽根車9の回転軸線R1と平行な角変位軸線R2まわりに、角変位可能に支持されており、位置Caと位置Cbとにわたって、位置Caから位置Cbに向かう方向C1、およびその逆の位置Cbから位置Caに向かう方向C2に、角変位する。
また、スクロールケーシング接続部10bは、一端部において、貫流送風機8の羽根車9の回転軸線R1と平行な角変位軸線R3まわりに、角変位可能に支持されており、位置Daと位置Dbとにわたって、位置Daから位置Dbに向かう方向D1、およびその逆の位置Dbから位置Daに向かう方向D2に、角変位する。
図1に示すように、スクロールケーシング渦巻き部10aが方向C2に角変位してCaに位置するとき、接続部が密着するようにスクロールケーシング接続部10bは方向D2に角変位してDaに位置する。これによって、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積が小さくなる。一方、図2に示すように、スクロールケーシング渦巻き部10aが方向C1に角変位してCbに位置するとき、接続部が密着するようにスクロールケーシング接続部10bは方向D1に角変位してDbに位置する。これによって、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積が大きくなる。
【0018】
吹出口下側案内部12は、ガイド18に沿って上下動可能に支持されており、位置Eaと位置Ebとにわたって、位置Eaから位置Ebに向かう方向E1、およびその逆の位置Ebから位置Eaに向かう方向E2に、上下変位する。
図1に示すように、吹出口下側案内部12が下方向E2に変位してEaに位置することによって、吹出ダクト14の断面の巾が広くなる。一方、図2に示すように、吹出口下側案内部12が上方向E1に変位してEbに位置することによって、吹出ダクト14の断面の巾が狭くなる。
【0019】
吹出口上側案内部13は、一端部において、貫流送風機8の羽根車9の回転軸線R1と平行な角変位軸線R4まわりに、角変位可能に支持されており、位置Faと位置Fbとにわたって、位置Faから位置Fbに向かう方向F1、およびその逆の位置Fbから位置Faに向かう方向F2に、角変位する。
図1に示すように、吹出口上側案内部13が方向F2に角変位してFaに位置することによって、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりが大きくなる。一方、図2に示すように、吹出口上側案内部13が方向F1に角変位してFbに位置することによって、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりが小さくなる。
【0020】
羽根車9の回転方向前方側の風路部材の一部を構成するスタビライザ11は、先端部に変位可能なスタビライザ先端突起部11aを有する。このスラビライザ先端突起部11aを変位させることによって、スタビライザ11と羽根車9の間の最少隙間は変更可能である。図3は、スタビライザ先端突起部11aの構成例を拡大して示す説明図である。スタビライザ先端突起部11aは、一端部において、貫流送風機8の羽根車9の回転軸線R1と平行な角変位軸線R5まわりに、角変位可能に支持されており、位置Gaと位置Gbで変位可能である。位置Gaから位置Gbに向かう方向G1、およびその逆の位置Gbから位置Gaに向かう方向G2に角変位する。
図1に示す配置で、スタビライザ先端突起部11aが方向G2に角変位してGaに位置することによって、羽根車9とスタビライザ11との最小隙間raが大きくなる。一方、図2に示す配置では、スタビライザ先端突起部11aが方向G1に角変位してGbに位置することによって、羽根車9とスタビライザ11との最小隙間rbが小さくなる。
ここでは、スタビライザ先端突起部11aを180度回動させる構成としたが、90度程度回動させるだけでも、羽根車9とスタビライザ11との最小隙間をraとrbで変位させることができる。
【0021】
また、室内ユニット1には、スクロールケーシング渦巻き部10aを方向C1および方向C2に角変位駆動する渦巻き部可変機構を構成する第1駆動手段19と、スクロールケーシング接続部10bを方向D1および方向D2に角変位駆動する接続部可変機構を構成する第2駆動手段20が設けられる。第1駆動手段19および第2駆動手段20は、例えばモータによって実現される。この第1駆動手段19によって位置Caおよび位置Cb間の任意の角変位位置にスクロールケーシング渦巻き部10aを配置し、第2駆動手段20によって位置Daおよび位置Db間の任意の角変位位置にスクロールケーシング接続部10bを配置する。スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bは互いに密着した状態で少なくとも複数の変位位置で停止して羽根車9の回転方向後方側の風路部材の一部を成し、かつその風路形状がスムーズな渦巻き形状になるように構成されている。例えば、マグネットを用いてスクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bが互いに重なった部分の少なくとも一部で、密着するように構成する。これにより、スクロールケーシング10を構成する風路はすきまなく連続した渦巻き形状になり、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積を変化させて調節することができる。複数の変位位置に適当な磁力のマグネットを配置しておき、第1駆動手段19と第2駆動手段20の駆動力の大きさによって、異なるマグネットで引き合うように構成すれば、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bは複数の位置に変位可能となる。
即ち、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積は、第1駆動手段19によって駆動されるスクロールケーシング渦巻き部10aの角変位位置によって決定され、スクロールケーシング渦巻き部10aの角変位にあわせて渦巻き形状の風路が形成されるように、第2駆動手段20によって駆動されるスクロールケーシング接続部10bを角変位させる。スクロールケーシング接続部10bが一端部においてはスクロールケーシング渦巻き部10aと密着した状態で可動であり、他端部においては吹出口下側案内部12の変位に応じて変位可能に構成されているため、スクロールケーシング渦巻き部10aと吹出口下側案内部12とを滑らかに接続できる。
ここで、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bの間の接続部がスクロールケーシング渦巻き部10aの変位に応じてスムーズな形状に保つことができるなら、スクロールケーシング接続部10bの駆動手段は必要なく、R3を回動支持部として単に回動自在に構成してもよい。
【0022】
また、室内ユニット1には、吹出口下側案内部12を下方向E2および上方向E1に上下変位駆動する吹出口下側案内部可変機構を構成する第3駆動手段21と、吹出口上側案内部13を方向F1および方向F2に角変位駆動する吹出口上側案内部可変機構を構成する第4駆動手段22が設けられる。第3駆動手段21および第4駆動手段22は、例えばモータによって実現される。
この第3駆動手段21によって位置Eaおよび位置Eb間の任意の位置に吹出口下側案内部12を配置する。例えば、マグネットなどを用いてスクロールケーシング接続部10bと吹出口下側案内部12が常に接続された状態で、吹出口下側案内部12を変位位置に固定する。これにより、羽根車9の回転方向後方側のスクロールケーシング渦巻き部10aに接続する風路部材はすきまなく構成され、連続した渦巻き形状を保ちつつ、吹出ダクト14の断面の巾を変化させることができる。また、マグネットを設ける構成に限らず、例えばスクロールケーシング渦巻き部10aのスクロールケーシング接続部10bへの押圧力と、スクロールケーシング接続部10bのスクロールケーシング渦巻き部10aへの押圧力とをバランスさせることで、渦巻き形状を保ちつつ変位させる構成でもよい。また、変位方向に余裕を持った状態で、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bとを蝶着部などによって連結してもよい。
また、第4駆動手段22によって位置Faおよび位置Fb間の任意の位置に配置し、吹出ダクト14の吹出口までの広がりを変化させることができる。
即ち、吹出ダクト14の断面の巾は、第3駆動手段21によって駆動される吹出口下側案内部12の変位位置によって決定される。また、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりは、第4駆動手段22によって駆動される吹出口上側案内部13の変位位置によって決定される。この吹出ダクト14の断面の巾と、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりとで、吹出ダクト14の流路断面積を変化させることができる。
【0023】
また、室内ユニット1には、スタビライザ先端突起部11aを方向G1および方向G2に角変位駆動するスタビライザ可変機構を構成する第5駆動手段23が設けられる。第5駆動手段23は、例えばモータによって実現される。この第5駆動手段23によって位置Gaおよび位置Gb間の任意の角変位位置にスタビライザ先端突起部11aを配置することにより、貫流送風機8の羽根車9とスタビライザ11との間の最小隙間を変化させることができる。
即ち、貫流送風機8の羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間は、第5駆動手段23によって駆動されるスタビライザ先端突起部11aの角変位位置によって決定される。
【0024】
さらに、室内ユニット1には、例えばマイクロコンピュータによって実現される制御手段24が設けられる。制御手段24は、第1駆動手段19および第2駆動手段20および第3駆動手段21および第4駆動手段22および第5駆動手段23に指令信号を与えて、第1駆動手段19および第2駆動手段20および第3駆動手段21および第4駆動手段22および第5駆動手段23の可変機構を制御する。
制御手段24からの指令信号に従って、第1駆動手段19はスクロールケーシング渦巻き部10aを角変位駆動し、第2駆動手段20はスクロールケーシング接続部10bを角変位駆動する。これらによって貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積を変化させて調節することができる。また、制御手段24からの指令信号に従って、第3駆動手段21は吹出口下側案内部12を上下変位駆動し、吹出ダクト14の断面の巾を変化させて調節することができる。また、制御手段24からの指令信号に従って、第4駆動手段22は吹出口上側案内部13を角変位駆動し、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりを変化させて調節することができる。また、制御手段24からの指令信号に従って、第5駆動手段23はスタビライザ先端突起部11aを角変位駆動し、これによって貫流送風機8の羽根車9とスタビライザ11との間の最小隙間を変化させて調節することができる。
【0025】
さらに、室内ユニット1には、貫流送風機8のファンモータ25の電流値Aを検知する電流値検知手段26が設けられる。この電流値検知手段26は、検知電流値Aを表す検知電流値信号を制御手段24に与える。制御手段24は、電流値検知手段26からの検知電流値信号に基いて、第1駆動手段19および第2駆動手段20および第3駆動手段21および第4駆動手段22および第5駆動手段23を制御し、必要に応じて風路形状を変更する。
【0026】
室内ユニット1が運転されると、時間が経過するにつれて除塵フィルタ15に捕集されて付着する塵埃の量が増加する。また室内ユニット1が室内を冷房するために運転されると、空気を冷却するために蒸発器として機能している熱交換器7には、空気中の水蒸気が結露して水滴が付着する場合がある。このような除塵フィルタ15への塵埃の付着および熱交換器7への水滴の付着が生じると、例えば室内ユニット1が組立てられた直後の初期状態、または清掃などによって除塵フィルタ15に付着された塵埃が除去され、かつ熱交換器7に水滴が付着していない初期状態と同等の状態と比較して、風路を流れる空気の通風抵抗が増加する。このように、貫流送風機8の流れ方向上流側にある除塵フィルタ15および熱交換器7における要因で通風抵抗が増加すると、除塵フィルタ15および熱交換器7を通過して貫流送風機8に導かれる空気の流量が減少する。そして、貫流送風機8の持つ静圧Ps−風量Qの特性により風量や風速が低下し、貫流送風機8の仕事量は減る。このため、空気調和機の運転効率が低下する。
このような通風抵抗の変化は、羽根車9の上流側と下流側に圧力センサを設けてその差圧を検知すれば検出できるが、圧力センサは高価であるため、ここでは他の検知手段で通風抵抗の変化を検出する。
【0027】
以下に、通風抵抗の変化を、通風抵抗に関連する量の変化を検知することで検知する手段について説明する。
例えば、ファンモータ25の回転数を制御するための指令電圧または電源電圧などの電圧値を一定にするように制御しているとする。ファンモータ25の電圧値が一定である場合には、通風抵抗が低下して貫流送風機8の仕事量が減る場合、仕事量を一定にしようとしてファンモータ27が駆動し、貫流送風機8の羽根車9の回転数Nが大きくなるように変化する。ファンモータ25の持つ回転数N−トルクTの特性により、回転数Nが大きくなればファンモータ25のトルクTは小さくなる。また、ファンモータのトルクTとファンモータ25の電流値Aは、一般に単調増加関数の関係にあることから、トルクTが小さくなれば電流値Aも小さくなるように変化する。このようにファンモータ25の電流値Aは、ファンモータ25の電圧値が一定の場合、通風抵抗の変化に対応して変化する量となり、通風抵抗が増加するとファンモータ25の電流値Aは小さくなり、通風抵抗が減少するとファンモータ25の電流値Aは大きくなる。
【0028】
また、ファンモータ25に、ファンモータ25の指令電圧または電源電圧などの電圧値を変化させることによって回転数Nを常に一定にするように制御する場合もある。この場合には、貫流送風機8の回転数N−負荷トルクの特性により、通風抵抗が増加すると、貫流送風機8の負荷トルクは減少し、ファンモータのトルクTも減少する。ファンモータ25のトルクTとファンモータ25の電流値Aは、一般に単調増加関数の関係にあることから、トルクTが小さくなれば電流値Aも小さくなるように変化する。このようにファンモータ25の電流値Aは、ファンモータ25の回転数Nが一定の場合にも、通風抵抗の変化に対応して変化する量となり、通風抵抗が増加するとファンモータ25の電流値Aは小さくなり、通風抵抗が減少するとファンモータ25の電流値Aは大きくなる。
以上のことから、通風抵抗とファンモータ25の電流値Aとの関係を把握し、電流値検知手段26でファンモータ25の電流値Aを検知して、制御手段24に入力し、この電流値Aから通風抵抗を検知する。制御手段24は電流値Aに応じて各駆動手段19〜23を制御する。
【0029】
以下、通風抵抗の変化による室内ユニット1内の空気の流れと、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積との関連について説明する。ここで、室内ユニット1が初期状態の時の各風路部材の位置を基準位置(Ca、Da、Ea、Fa、Ga)と称する。
図4は、通風抵抗が小さい場合の運転状態において、貫流送風機8の羽根車9からの吹出し流れ27を示す説明図である。また、図5は通風抵抗が大きい場合の運転状態において、貫流送風機8の羽根車9からの吹出し流れ27を示す説明図である。また、図6は貫流送風機8の羽根車9とケーシング渦巻き部10a付近を拡大して示す説明図であり、図6(a)は通風抵抗が小さい場合、図6(b)は通風抵抗が大きい場合の位置を示す。
図4、図5で示すように、貫流送風機8の羽根車9内には循環渦28と呼ばれる空気の渦が発生し、流通する空気はこの循環渦28の外側を回り込むように流れることが知られている。通風抵抗が小さい場合の運転状態においては、図4に示すように、形成される循環渦28が小さい。従って、スクロールケーシング渦巻き部10a付近の貫流送風機8の羽根車9からの吹出し流れ27は、円周方向成分の強い流れとなる。この吹出し流れ27に合うように、スクロールケーシング渦巻き部10aを例えば基準位置Caに位置させ(図6(a))、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の空間を狭くする。図6(a)に示すように、この断面で回転中心R1とスクロールケーシング渦巻き部10aの両端を結ぶ線および羽根車外周およびスクロールケーシング渦巻き部10aで形成される領域の面積を流路断面積S1とする。この流路断面積S1を小さくすると、円周方向成分の強い吹出し流れ27はスクロールケーシング渦巻き部10aの形状に沿ってスムーズに流れる。このため、壁面からの気流の剥離が生じにくく、送風効率を高くすることができる。
【0030】
一方、通風抵抗が大きい場合の運転状態においては、図5に示すように、形成される循環渦28が大きい。従って、スクロールケーシング渦巻き部10a付近の貫流送風機8の羽根車9からの吹出し流れ27は、半径方向成分の強い流れとなる。このとき、スクロールケーシング渦巻き部10aをCbに位置させ(図6(b))、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の空間を広くする。図6(b)に示すように、この断面で回転中心R1とスクロールケーシング渦巻き部10aの両端を結ぶ線および羽根車外周およびスクロールケーシング渦巻き部10aで形成される領域の面積を流路断面積S2(>S1)とする。この流路断面積S2を大きくすることで、半径方向成分の強い吹出し流れ27はこの空間内で徐々に周方向に向きを変えて、スクロールケーシング渦巻き部10aに沿ってスムーズに流れるようになる。このため、壁面からの気流の剥離が生じにくく、送風効率を高くすることができる。
【0031】
次に、通風抵抗の変化による室内ユニット1内の空気の流れの変化と、スタビライザ11と羽根車9との距離について説明する。図7に貫流送風機8の羽根車9とスタビライザ11付近を拡大して示す。図7(a)は通風抵抗が小さい場合、図7(b)は通風抵抗が大きい場合の位置を示す。
通風抵抗が小さい運転状態においては、図4に示すように、形成される循環渦28は渦の大きさが小さく安定した状態になっている。この時、スタビライザ先端突起部11aの突起高さを低くし、貫流送風機8の羽根車9とスタビライザ11との間の最小隙間を大きくしても循環渦28は不安定になりにくい。そこで、図7(a)に示すように、スタビライザ先端突起部11aを例えば基準位置Gaに位置し、スタビライザ先端突起部11aの突起高さを低くする。貫流送風機8の羽根車9とスタビライザ11との間の最小隙間は、raとrcの短い方の距離になる。この最小隙間を大きくすることで、循環渦28の位置をややユニット正面側(図4では向かって左側)に移動させることができる。このため、羽根車9からの気流吹出し領域は広くなり、同一風量時の翼間通過風速が小さくなる。従って、この部分での損失を減らして送風効率を高くすることができる。
実際にはこの最少隙間は、大きい時でも数mm程度である。
【0032】
一方、通風抵抗が大きい運転状態においては、図5に示すように、形成される循環渦28は渦の大きさが大きく不安定な状態になっている。そこで、図7(b)に示すように、スタビライザ先端突起部11aをGbに位置し、スタビライザ先端突起部11aの突起高さを高くする。貫流送風機8の羽根車9とスタビライザ11との間の最小隙間は、rbの距離になる。この最小隙間を小さくすることで、循環渦28の位置をややユニット下方側(図5では下側)に移動させることができる。このため、羽根車9からの気流吹出し領域が狭くなり、同一風量時の翼間通過風速が大きくなる。従って、吹出動圧を大きくすることができ、循環渦28が安定するので、気流の乱れによる損失を減らして送風効率を高くすることができる。
【0033】
次に、通風抵抗の変化による室内ユニット1内の空気の流れの変化と、吹出ダクト14の断面の巾および吹出ダクト14の吹出口6までの広がりについて説明する。
図8は、通風抵抗が小さい場合の運転状態における室内ユニット1の吹出ダクト14付近を流れる吹出し流れ27を示す説明図である。また、図9は通風抵抗が大きい場合の運転状態における室内ユニット1の吹出ダクト14付近を流れる吹出し流れ27を示す説明図である。図8と図9におけるスクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、スタビライザ先端突起部11a、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13の位置はそれぞれ基準位置で示す。
通風抵抗が小さい運転状態においては、貫流送風機8で送風される空気の風量や風速は十分確保される。この時の吹出し流れ27は、図8に示すように、スクロールケーシング10や吹出口案内部12、13の壁面に沿ってスムーズに流れ、壁面からの剥離が生じにくく流れが安定しやすい。そのため、吹出ダクト14の断面の巾を広くし、さらに吹出ダクト14の吹出口6までの広がりを大きくすることにより、吹出ダクト14の流路断面積を大きくして風速を下げることができ、吹出し損失を減らして送風効率を高くすることができる。
一方、図9に示すように、通風抵抗が大きい運転状態においては、貫流送風機8で送風される空気の風量や風速は低下し、壁面からの剥離が生じやすく流れが安定しにくい。そこで、吹出ダクト14の断面の巾を狭くし、さらに吹出ダクト14の吹出口6までの広がりを小さくすることにより、吹出ダクト14の流路断面積を小さくして吹出し風速を上げることにより、壁面からの剥離を抑えることができ、送風効率を高くすることができる。
【0034】
実際に運転状態の変化に応じて、吹出ダクト14の断面の巾と吹出ダクト14の吹出口6までの広がりを変化させた風路形状について説明する。図10は吹出ダクト14付近の吹出風路部を拡大して示す説明図であり、図10(a)は通風抵抗が小さい場合、図10(b)は通風抵抗が大きい場合の位置を示す。
吹出ダクト14の断面の巾及び吹出ダクト14の吹出口6までの広がりを、この実施の形態においては、次の様に設定している。即ち、ほぼ直線形状の吹出口下側案内部12に平行な直線をR4に移動して直線mとし、R4からこの直線mに垂直な直線nを引き、直線nとスクロールケーシング接続部10bまたは吹出口下側案内部12との交点をH1とする。このR4とH1を結ぶ線の長さを吹出ダクト14の断面の巾とする。さらに、ほぼ直線形状の吹出口下側案内部12に平行な直線をR4に移動して直線mとし、この直線mと吹出口上側案内部13とのなす角度θを吹出ダクト14の吹出口6までの広がりとする。この吹出ダクト14の吹出口6までの広がりθは、直線mと吹出口上側案内部13の吹出口6側の先端部を結ぶ線とのなす角度としてもよい。
【0035】
吹出ダクト14の断面の巾は、吹出口下側案内部12の上下移動によって変化させることができる。例えば、図10(a)に示すように吹出口下側案内部12をガイド18に沿って下側(E2方向)に移動すれば、R4とH1との距離は長くなり、吹出ダクト14の断面の巾HL1は広くなる。一方、図10(b)に示すように吹出口下側案内部12をガイド18に沿って上側(E1方向)に移動すれば、R4とH1との距離は短くなり、吹出ダクト14の断面の巾HL2は狭くなる。
また、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりは、吹出口上側案内部13の角変位によって、変化させることができる。例えば、図10(a)に示すように吹出口上側案内部13をR4を中心としてF2方向に角変位すれば、R4から吹出口6までの風路の広がりが大きくなる。一方、図10(b)に示すように吹出口上側案内部13をR4を中心としてF1方向に角変位すれば、R4から吹出口6までの風路の広がりが小さくなる。
通風抵抗が小さい運転状態で図10(a)に示すような風路形状にすることで、風速を下げることができ、吹出し損失を減らして送風効率を高くすることができる。通風抵抗が大きい運転状態で図10(b)に示すような風路形状にすることで、吹出し風速を上げることにより、壁面からの剥離を抑えることができ、送風効率を高くすることができる。
【0036】
この実施の形態では、運転状態が変化して通風抵抗が変化した場合、風路部材を変位させて風路形状を最適にすることにより、送風効率を向上させる。例えば、室内ユニット1に除塵フィルタ15に塵埃が付着しておらず熱交換器7にも水滴が付着していない初期状態から、通風抵抗が増加した状態に変化したのを検知し、以下の変位a1、変位b1、変位c1、変位d1の少なくともいずれか1つを行うことにより、初期状態からの送風効率の低下を抑制する。
変位a1) 貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積を大きくする。
変位b1) 吹出ダクト14の断面の巾を狭くする。
変位c1) 吹出ダクト14の吹出口6までの広がりを小さくする。
変位d1) スタビライザ先端突起部11aの突起高さを高くして、スタビライザ11と羽根車9の最少隙間を小さくする。
初期状態からの送風効率の低下を抑制することで、高い運転効率で運転することができる。
【0037】
また逆に、通風抵抗が大きい運転状態から、例えば清掃などによって除塵フィルタ15に捕集された塵埃を除去したり、または熱交換器7に付着した水滴が蒸散などによって除去されるなど、通風抵抗が減少して室内ユニット1が通風抵抗の小さな初期状態に戻る、または初期状態に近くなることもある。この場合には、通風抵抗が減少したのを検知し、以下の変位a2、変位b2、変位c2、変位d2の少なくともいずれか1つを行うことにより、通風抵抗に適した構成として送風効率を向上する。
変位a2) 貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積を小さくする。
変位b2) 吹出ダクト14の断面の巾を広くする。
変位c2) 吹出ダクト14の吹出口6までの広がりを大きくする。
変位d2) スタビライザ先端突起部11aの突起高さを低くして、スタビライザ11と羽根車9の最少隙間を大きくする。
このように、通風抵抗の変化に応じて風路形状を適切に変化させ、いずれの運転状態においても壁面からの気流の剥離を防ぐことにより、風路全体としての損失を極力小さくする形状にでき、送風効率を高くすることができる。このため、高い運転効率が得られる。ここで、変位a1、変位b1、変位c1、変位d1、変位a2、変位b2、変位c2、変位d2の具体的な構成は前記に詳述した通りである。
ここで、変位b1、変位b2、及び変位c1、変位c2は、それぞれ異なる部分ではあるが、共に吹出ダクト14の流路断面積を変更するものである。
【0038】
次に、室内ユニット1の制御手段24の制御動作について説明する。ここでは、通風抵抗の変化を、通風抵抗に関連する量の変化として、ファンモータ25の電流値の変化を電流値検知手段26で検知するものとする。
図11は、制御手段24の制御動作を示すフローチャートである。制御手段24は、判定電流値A1、A2を記憶しており、例えば、判定電流値A1、A2のそれぞれは高風量設定、中風量設定、低風量設定などの設定風量ごとに異なる値とする。A1は通風抵抗が増加する方向に変化する時に用いる判定電流値であり、A2は通風抵抗が減少する方向に変化する時に用いる判定電流値である。ここでは通風抵抗が増加または減少する際の空気の流れかたが異なることで、検出されるファンモータ25の電流値が異なることを考慮し、増加及び減少の変化の方向に応じて判定電流値を異なるものとしている。また、説明を簡単化し、風路を構成するスクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの位置は、通風抵抗小に適した構成位置としての基準位置(Ca、Da、Ea、Fa、Ga)と、通風抵抗大に適した構成位置としての最大変位位置(Cb、Db、Eb、Fb、Gb)の2段階の構成を有するものとする。そして、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの各部材の構成位置の変更において、基準位置から最大変位位置への変更方向(C1、D1、E1、F1、G1)と、最大変位位置から基準位置へ変更方向(C2、D2、E2、F2、G2)とを有するものとする。
【0039】
ステップS11において、ファンモータ25の電流値Aを電流値検知手段26で検知すると共に、各部材の現在の位置を検知する。各部材の現在の位置を判断し(ステップS12)、通風抵抗小に適した構成の基準位置である時、検知電流値Aが判定電流値A1より小さいかどうか判断する(ステップS13)。この判断で、検知電流値Aが判定電流値A1より小さい場合には、通風抵抗が増加したとしてステップS14に移行し、各部材を通風抵抗大に適した構成の最大変位位置に変更する。ステップS13で検知電流値Aが判定電流値A1以上の場合には、通風抵抗が十分に小さい状態であると判断しそのままの構成とする。
また、ステップS12で各部材の現在の位置を判断し、通風抵抗大に適した構成の最大変位位置である時、検知電流値Aが判定電流値A2より大きいかどうか判断する(ステップS15)。この判断で、検知電流値Aが判定電流値A2より大きい場合には、通風抵抗が減少したとしてステップS16に移行し、各部材を通風抵抗小に適した構成の基準位置に変更する。ステップS15で検知電流値Aが判定電流値A2以下の場合には、通風抵抗がまだ大きい状態であると判断しそのままの構成とする。
【0040】
ステップS14、S16において、制御手段24は第1駆動手段19と第2駆動手段20に、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bを、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積が増加または減少する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第3駆動手段21に、吹出口下側案内部12を、吹出ダクト14の断面の巾が減少または増加する方向に変位するように指示する指令信号を与え、かつ第4駆動手段22に、吹出口上側案内部13を、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりが減少または増加する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第5駆動手段23に、スタビライザ先端突起部11aを、羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間が減少または増加する方向に変位するように指示する指令信号を与える。このような制御動作を電源ONの時、または数時間毎、または数日毎に繰返し行なう。
【0041】
この実施の形態による風路部材の構成において、羽根車9の回転方向後方側を構成する風路部材は、スクロールケーシング10を渦巻き部10aと接続部10bとに分割し、吹出口下側案内部12は接続部10bに接続しており、スクロールケーシング渦巻き部10aと吹出口下側案内部12とは分離されている。このため、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積と、吹出ダクト14の断面の巾とを、独立して変化させることができ、それぞれを送風効率が良くなるように制御することができる。また、羽根車9の回転方向前方側を構成する風路部材は、吹出口上側案内部13とスタビライザ11とスタビライザ先端突起部11aとに分割し、吹出口上側案内部13とスタビライザ先端突起部11aとは分離されている。このため、羽根車9とスタビライザ11の最小隙間と、吹出口上側案内部13の広がりとを独立して変化させることができ、それぞれを送風効率が良くなるように制御することができる。即ち、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積、吹出ダクト14の断面の巾、吹出ダクト14の吹出口6までの広がり、羽根車9とスタビライザ11の間の最少隙間を、それぞれ独立してその部分だけ形状を変化させることができる。このため、それぞれを運転状態に合わせて最適な形状に構成でき、スクロールケーシング渦巻き部10aの形状変化による効果と、吹出ダクト14の断面の巾の変化による効果と、スタビライザ先端突起部11aの変化による効果と、吹出口上側案内部13の変化による効果を無駄なく得ることができる。
【0042】
なお、前述したように、ファンモータ25の電流値ではなく、防塵フィルタ15や熱交換器7の上流側と下流側にそれぞれ圧力センサを設け、その差圧で風路抵抗の変化を検知し、制御手段24によって、圧力センサの差圧に応じて各駆動手段19〜23を制御するように構成してもよい。また、防塵フィルタ15の目詰まりの程度は、防塵フィルタ15の重量を計測するセンサを設けることで検知することもできる。即ち、熱交換器7に結露による水滴が付着しない、または付着しにくい運転の場合には、制御手段24によって、防塵フィルタ15の重量に応じて各駆動手段19〜23を制御するように構成してもよい。
【0043】
上記では、通風抵抗が大きい時と小さい時の2段階の構成で風路を構成したが、もっと多くの段階を備えて、細かく制御してもよい。また、判定電流値A1、A2は、予め塵がない状態とある程度除塵フィルタ15を目詰まりさせた状態で実験的に電流値を検知して、その検知値から考慮して設定すればよい。また、各部材の位置については、通風抵抗小に適した構成位置、即ち空気調和機の初期状態を基準位置(Ca、Da、Ea、Fa、Ga)とし、通風抵抗大に適した構成位置、即ち最大の変位位置(Cb、Db、Eb、Fb、Gb)は、許容できる一番通風抵抗の大きくなった状態で最適になる位置、または実際に室内ユニット1の構成部材として機構的に変位させることのできる限界を考慮して設定し、この間で通風抵抗の値によって変位させればよい。
【0044】
上記の制御動作によって、送風効率がどのように向上するかを以下に説明する。 図12は、横軸に通風抵抗、縦軸に送風効率を示す特性図であり、例えば3本示す曲線K1、K2、K3はそれぞれ異なる風路形状での特性を示している。各風路部材の位置を基準位置とした時の風路形状では曲線K1の特性が得られるとする。これは通風抵抗がP1以下の運転状態で高い送風効率が得られていることを示す。運転時間が経ち、通風抵抗がP1よりも大きくなると、風路形状を変更して曲線K2の特性が得られるように変更する方が高い送風効率が得られる。さらに通風抵抗がP2よりも大きくなると、風路形状を変更して曲線K3の特性が得られるように変更する方が高い送風効率が得られる。
このように制御手段24は、通風抵抗に関連する量として、ここではファンモータ25の電流値と、通風抵抗の関係、及び変更可能な風路形状とその形状における通風抵抗と送風効率を考慮し、風路形状を通風抵抗に応じて変化させることで、室内ユニット1の運転状態に応じてその状態で最も送風効率を大きくすることができる。
【0045】
上記では、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積、吹出ダクト14の断面の巾、吹出ダクト14の吹出口6までの広がり、羽根車9とスタビライザ先端突起部11aの最小隙間のすべてを変更して風路を最適になるように変更しているが、少なくともいずれか1つを変更すれば、ある程度の効果を奏することができる。
【0046】
また、冷房運転時で吹出口6から室内ユニット1への逆吸込みが発生すると、高温多湿の外気と低温の吹出し気流が吹出口6の内部で接することになる。このため、吹出口6の風路を構成している壁面への露付きが発生し、それに伴い室内ユニット1外へ露飛びが起こることがある。この実施の形態では、通風抵抗が高い運転状態のときの、吹出口壁面からの気流の剥離を防ぐことができるため、逆吸込みを防ぐことができる。従って露飛びの発生を防止することができる。
【0047】
また、制御手段24は、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13の変位状態に応じた指令信号を表示部29に与える。そして、表示部29は指令信号に応じて表示を変化させる。室内ユニット1の外容器に、例えば除塵フィルタ15の目詰まりランプを設けて、これを点灯させたり、数値でデジタル表示してもよい。また、リモコンのある場合にはリモコンに表示してもよい。ただし、変位可能な各風路部材の少なくとも1つに対し、変位状態の程度が判別できるように表示する。
例えば色の変化するランプを設け、基準位置の表示色と最も変位させた時の表示色の間で、段階的に色が変化するように構成する。変位状態の程度を使用者が知ることで、除塵フィルタ15の交換や室内ユニット1の清掃を使用者に促すことができる。さらに現在の運転状態が基準位置からどの程度であるかを判別することで、除塵フィルタ15の交換時期や室内ユニット1の清掃時期を徐々に認識できる。このため、使用者は余裕をもって自分の都合の良い時間に交換や清掃をすることが可能となり、使用者の利便性が増す。この実施の形態では、除塵フィルタ15の交換時期や室内ユニット1の清掃時期になっても、風路形状を変更して運転するので、使用者へ対処を要求しながらもその運転状態で最も良い送風効率で運転することができる。
また、使用者への表示方法は、変位状態の程度に応じて、点灯するランプの巾を段階的に変えたり、また、xx/100(%)というように数値で表示してもよい。この時にも、最も変位させた時の表示を最大のランプ巾や100%とすることで、変位状態の程度を段階的に表示することができ、利便性が増す。また、各風路部材の基準位置と現在位置を風路形状で重ねて描くような表示部29とし、基準位置と現在位置との差の部分、即ち変位した部分を色塗りして表示すると、使用者にとって視覚的にわかりやすく、使用者の的確な対応を促すことができる。
【0048】
なお、各風路部材のそれぞれにおいて、2段階以上に変位させる場合、R2、R3、R4、R5を中心に角変位させる構成のものは、角変位の角度を2段階以上に設定すればよい。また、吹出口下側案内部12のように回転移動を直線移動に変換する機構を有するものでも、回転角度を2段階以上に設定すればよい。
また、スクロールケーシング渦巻き部10aや吹出口上側案内部13は空気の吹き出しの広がりを設定する風路部材であり、一端を固定して回動可能な構成であることが好ましい。また、スクロールケーシング接続部10bは、渦巻き部10aの変位及び吹出口下側案内部12の変位につれて、渦巻き部10a及び吹出口下側案内部12と密着しつつ、かつ羽根車9の回転方向後方側の風路部材の形状が空気の流れに対してスムーズな風路を構成するように変位させるのが好ましい。これを満足するような構成なら、どのように構成してもよい。例えばスクロールケーシング接続部10bと吹出口下側案内部12は固定して一体として構成してもよい。
【0049】
図13は、スタビライザ11の他の構成例を拡大して示す説明図である。スタビライザ先端突起部11aは、貫流送風機8の羽根車9の半径方向に、上下動可能に支持されており、位置Gaと位置Gbとにわたって、位置Gaから位置Gbに向かう方向G1、およびその逆の位置Gbから位置Gaに向かう方向G2に、直線的に移動可能に構成される。この移動は第5駆動手段23によって行われ、実際にはモータとギアを組みあわせて、モータの回転力を直線的な駆動力に変えることで実現できる。スタビライザ先端突起部11aの中央部には、スタビライザ先端突起部11aを直線的に移動可能にすると共に位置Ga、Gbに位置決めするため、移動方向に伸びた形状の穴部を有する。この穴部11bに固定の軸11cを遊挿する。スタビライザ先端突起部11aがG1方向に直線移動し、軸11cが穴部11bの下端部に係合して位置Gbに固定される。逆に、スタビライザ先端突起部11aがG2方向に直線移動し、軸11cが穴部11bの上端部に係合して位置Gaに固定される。また、例えば図14のように軸11cの周囲に穴部11bに設けた突起に歯合するように突起を設ければ、軸11cを回転させるときの回転巾によって任意の位置にスタビライザ先端突起部11aを固定することができる。
【0050】
次に、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口上側案内部13を、風路抵抗に応じて変位させて風路形状を形成した室内ユニット1について説明する。図15、図16は空気調和機の室内ユニット1を示す断面図で、図15はスクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口上側案内部13などの各部材が通風抵抗小に適した構成である基準位置(Ca、Da、Fa)にある状態を示し、図16は各部材が通風抵抗大に適した構成である最大変位位置(Cb、Db、Fb)にある状態を示している。図1、図2と同一符号は同一、または相当部分を示す。
【0051】
この室内ユニット1では、図1、図2の構成と比較して、吹出口下側案内部12とスタビライザ先端突起部11aを固定としている。即ち、通風抵抗小に適した構成位置では、スクロールケーシング渦巻き部10aをR2を中心としてC2方向に角変位し、これに追随してスクロールケーシング接続部10bがR3を中心としてD2方向に角変位する。これによって羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積は小さくなる。また、吹出口上側案内部13はR2を中心としてF2方向に角変位し、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりは大きくなって吹出ダクト14の流路断面積は大きくなる。逆に、図16に示す通風抵抗大に適した構成位置では、スクロールケーシング渦巻き部10aをR2を中心としてC1方向に角変位し、これに追随してスクロールケーシング接続部10bがR3を中心としてD1方向に角変位する。これによって羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積は大きくなる。また、吹出口上側案内部13はR2を中心としてF1方向に角変位し、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりは小さくなって、吹出ダクト14の流路断面積は小さくなる。
この羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積と、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりの2つを独立して制御し、通風抵抗の変化に応じてより風路形状を適したものとすることで、送風効率が低下するのをある程度防止できる効果が得られる。
【0052】
また、図17、図18は、スクロールケーシング接続部10bと吹出口下側案内部12を一体に構成し、吹出口下側案内部12と吹出口上側案内部13を、風路抵抗に応じて変位させて風路形状を形成した室内ユニット1を示す断面図である。図17は吹出口下側案内部12と吹出口上側案内部13が通風抵抗小に適した構成である基準位置(Ea、Fa)にある状態を示し、図18は各部材が通風抵抗大に適した構成である最大変位位置(Eb、Fb)にある状態を示している。図1、図2と同一符号は同一、または相当部分を示す。
【0053】
この室内ユニット1では、図1、図2の構成と比較して、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、スタビライザ先端突起部11aを固定としている。ただし、スクロールケーシング接続部10bと吹出口下側案内部12を一体に構成しており、吹出口下側案内部12の変位につれて、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bの接続部は、一部が密着した状態で摺動できる構成であることは、図1、図2と同様である。
【0054】
図17に示す通風抵抗小に適した構成位置では、吹出口下側案内部12をE2方向に変位することで、吹出ダクト14の断面の巾は広くなる。また、吹出口上側案内部13はR2を中心としてF2方向に角変位し、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりは大きくなる。逆に、図18に示す通風抵抗大に適した構成位置では、吹出口下側案内部12をE1方向に変位することで、吹出ダクト14の断面の巾は狭くなる。また、吹出口上側案内部13はR2を中心としてF1方向に角変位し、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりは小さくなる。
この吹出ダクト14の断面の巾と、吹出ダクト14の吹出し口までの広がりの2つを独立して制御し、通風抵抗の変化に応じてより風路形状を適したものとすることで、送風効率が低下するのをある程度防止できる効果が得られる。この構成例では吹出ダクト14の流路断面積を変化させる際に、従来装置のように他の部分の風路構成が変化することがない。即ち、羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aとの間の流路断面積はそのままで、吹出ダクト14の流路断面積だけを変化させることができる。
【0055】
また、図15〜図18に示したものは、図1、図2の構成に比べ、構成が簡略化でき、制御手段24の動作も単純化されるので、送風効率を良好に確保しつつ空気調和機として価格の低減を図ることができる。
【0056】
なお、この実施の形態で説明した空気調和機は、いずれも羽根車9の回転方向後方側の風路部材を変位させて、羽根車9から吹出口6までの空気流路のうちの上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方の流路断面積を独立して変化可能な可変機構を有する室内ユニットを運転する。羽根車9の上流側の通風抵抗の変化を検知して空気流路の壁面に空気流の剥離の発生を確認し、空気流の剥離の発生を確認した後に空気流路の上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方の流路断面積を、空気流の剥離を減少させる方向に変化させるように可変機構19〜23を制御する。そして、羽根車9を回転させるための入力を減らすように制御している。このため、運転状態の変化によって生じる通風抵抗の変化に対応して、送風効率を高くできる制御方法が得られる。
また、さらに、羽根車9の回転方向後方側の風路部材は、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bに2分割する構成としたが、これに限るものではない。例えば3分割以上に分割して各分割部分でその位置の空気流に適した風路形状に変位させれば、さらに送風効率を高めることができる。
【0057】
実施の形態2.
以下、この発明の実施の形態2について説明する。実施の形態1では、通風抵抗の変化をファンモータ25の電流値で検出し、これに応じて各風路部材を変位させて風路形状を変更したが、ここでは、通風抵抗の変化を他の通風抵抗に関連する量の変化によって検出するものについて、図19、図20に基いて説明する。
図19はこの実施の形態による空気調和機の室内ユニットを示す断面図、図20はこの実施の形態に係る制御手段24の制御動作を示すフローチャートである。この実施の形態における室内ユニット1の基本的な構成は実施の形態1と同様であり、通風抵抗の変化に応じてどのように風路形状を変更するか、及び各風路部材を変位駆動する動作については、実施の形態1と同様である。ここでは、実施の形態1と同一符号は同一、または相当部分を示し、詳しい説明は省略する。
【0058】
通風抵抗に関連する量の変化を検知する検知手段として、貫流送風機8のファンモータ25の回転数Nを検知する回転数検知手段30を設ける。この回転数検知手段30は、ファンモータ25の回転数を検知し、回転数Nを表す検知回転数信号を制御手段24に与える。制御手段24は、回転数検知手段30からの検知回転数信号に基いて、第1駆動手段19および第2駆動手段20および第3駆動手段21および第4駆動手段22および第5駆動手段23の少なくともいずれか1つの可変機構を制御する。
【0059】
室内ユニット1が運転され、除塵フィルタ15への塵埃の付着または熱交換器7への水滴の付着などが生じると、例えば室内ユニット1が組立てられた直後の初期状態、または清掃などによって除塵フィルタ15に付着された塵埃が除去され、かつ熱交換器7に水滴が付着していない初期状態と同等の状態と比較して、風路を流れる空気の通風抵抗が増加する。このように貫流送風機8の流れ方向上流側にある除塵フィルタ15および熱交換器7における要因で通風抵抗が増加すると、除塵フィルタ15および熱交換器7を通過して貫流送風機8に導かれる空気の流量が減少するので、貫流送風機8の持つ静圧Ps−風量Qの特性により風量や風速は低下し、貫流送風機8の仕事量は減る。このとき、ファンモータ25の指令電圧または電源電圧などの電圧値が一定となるように運転制御している場合、仕事量を一定にしようとしてファンモータ25が駆動され、貫流送風機8の羽根車9の回転数Nが大きくなるように変化する。このように貫流送風機8の羽根車9の回転数Nは、ファンモータ25の電圧値が一定の場合、通風抵抗の変化に関連して変化する量である。実際には、通風抵抗が増加すると回転数Nは増加し、通風抵抗が減少すると回転数Nは減少する。
【0060】
そこで、この実施の形態では、回転数検知手段30によってファンモータ25の回転数の変化を検知し、この検知値に応じて送風効率を高く保つことができるように各風路部材を変位させて風路形状を変化させる。以下、制御手段24の制御動作を図20に基いて説明する。
制御手段24は、判定回転数N1、N2を記憶しており、例えば、判定回転数N1、N2のそれぞれは高風量設定、中風量設定、低風量設定などの設定風量ごとに異なる値とする。N1は通風抵抗が増加する方向に変化する時に用いる判定回転数であり、N2は通風抵抗が減少する方向に変化する時に用いる判定回転数である。ここでは通風抵抗が増加または減少する際の空気の流れかたが異なることで、検出されるファンモータ25の回転数が異なることを考慮し、増加及び減少の変化の方向に応じて判定回転数を異なるものとしている。また、実施の形態1と同様、説明を簡単化し、風路を構成するスクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの位置は、通風抵抗小に適した構成位置としての基準位置(Ca、Da、Ea、Fa、Ga)と、通風抵抗大に適した構成位置としての最大変位位置(Cb、Db、Eb、Fb、Gb)の2段階の構成を有するものとする。そして、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの各部材の構成位置の変更において、基準位置から最大変位位置への変更方向(C1、D1、E1、F1、G1)と、最大変位位置から基準位置へ変更方向(C2、D2、E2、F2、G2)とを有するものとする。
【0061】
ステップS21において、ファンモ―タ25の回転数Nを回転数検知手段30で検知すると共に、各部材の現在の位置を検知する。各部材の現在の位置を判断し(ステップS22)、通風抵抗小に適した構成の基準位置である時、検知回転数Nが判定回転数N1より大きいかどうか判断する(ステップS23)。この判断で、検知回転数Nが判定回転数N1より大きい場合には、通風抵抗が増加したとしてステップS24に移行し、各部材を通風抵抗大に適した構成の最大変位位置に変更する。ステップS23で検知回転数Nが判定回転数N1以下の場合には、通風抵抗が十分に小さい状態であると判断しそのままの構成とする。
また、ステップS22で各部材の現在の位置を判断し、通風抵抗大に適した構成の最大変位位置である時、検知回転数Nが判定回転数N2より小さいかどうか判断する(ステップS25)。この判断で、検知回転数Nが判定回転数N2より小さい場合には、通風抵抗が減少したとしてステップS26に移行し、各部材を通風抵抗小に適した構成の基準位置に変更する。ステップS25で検知回転数Nが判定回転数N2以上の場合には、通風抵抗がまだ大きい状態であると判断しそのままの構成とする。
【0062】
ステップS24、S26において、制御手段24は、第1駆動手段19と第2駆動手段20に、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bを、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積が増加または減少する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第3駆動手段21に、吹出口下側案内部12を、吹出ダクト14の断面の巾が減少または増加する方向に変位するように指示する指令信号を与え、かつ第4駆動手段22に、吹出口上側案内部13を、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりが減少または増加する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第5駆動手段23に、スタビライザ先端突起部11aを、羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間が減少または増加する方向に変位するように指示する指令信号を与える。このような制御動作を電源ONの時、または数時間毎、または数日毎に繰返し行なう。
【0063】
上記では、通風抵抗が大きい時と小さい時の2段階の構成で風路を構成したが、もっと多くの段階を備えて、細かく制御してもよい。また、判定回転数N1、N2について、予め塵がない状態とある程度除塵フィルタ15を目詰まりさせた状態で実験的にファンモータ25の回転数を測定して、その測定値から考慮して設定すればよい。また、各風路部材の位置については、実施の形態1と同様、それぞれの運転状態で最適となるように変位させることで、送風効率を高く保つことができる。
【0064】
また、通風抵抗の変化を他の通風抵抗に関連する量の変化によって検出するものについて、図21、図22に基いて説明する。
図21はこの実施の形態による空気調和機の室内ユニットの他の構成例を示す断面図、図22はこの構成例に係る制御手段24の制御動作を示すフローチャートである。この実施の形態における室内ユニット1の基本的な構成は実施の形態1と同様であり、通風抵抗の変化に応じてどのように風路形状を変更するか、及び各風路部材を変位駆動する動作については、実施の形態1と同様である。ここでは、実施の形態1と同一符号は同一、または相当部分を示し、詳しい説明は省略する。
【0065】
通風抵抗に関連する量の変化を検知する検知手段として、貫流送風機8のファンモータ25の回転数を制御するための指令電圧または電源電圧などの電圧値Vを検知する電圧値検知手段31を設ける。この電圧値検知手段31は、ファンモータ25の電圧値を検知し、電圧値Vを表す検知電圧信号を制御手段24に与える。制御手段24は、電圧値検知手段31からの検知電圧値信号に基いて、第1駆動手段19および第2駆動手段20および第3駆動手段21および第4駆動手段22および第5駆動手段23の少なくともいずれか1つの可変機構を制御する。
【0066】
室内ユニット1が、ファンモータ25の指令電圧または電源電圧などの電圧値を変化させることによって回転数Nを常に一定にするように運転制御している場合、通風抵抗が増加すると、貫流送風機8の持つ静圧Ps−風量Qの特性により、その風量や風速は低下し、貫流送風機8の仕事量は減る。このとき、ファンモータ25の回転数を一定として仕事量を一定にしようとして、ファンモータ25の電圧値Vは小さくなるように変化する。このようにファンモータ25の電圧値Vは、ファンモータ25の回転数Nが一定の場合、通風抵抗の変化に関連して変化する量である。実際には、通風抵抗が増加すると電圧値Vは減少し、通風抵抗が減少すると電圧値Vは増加する。
【0067】
そこで、この実施の形態では、電圧値検知手段31によってファンモータ25の電圧値Vの変化を検知し、この検知電圧値に応じて送風効率を高く保つことができるように各風路部材を変位させて風路形状を変化させる。以下、制御手段24の制御動作を図22に基いて説明する。
制御手段24は、判定電圧値V1、V2を記憶しており、例えば、判定電圧値V1、V2のそれぞれは高風量設定、中風量設定、低風量設定などの設定風量ごとに異なる値とする。V1は通風抵抗が増加する方向に変化する時に用いる判定電圧値であり、V2は通風抵抗が減少する方向に変化する時に用いる判定電圧値である。ここでは通風抵抗が増加または減少する際の空気の流れかたが異なることで、検出されるファンモータ25の電圧値が異なることを考慮し、増加及び減少の変化の方向に応じて判定電圧値を異なるものとしている。また、実施の形態1と同様、説明を簡単化し、風路を構成するスクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの位置は、通風抵抗小に適した構成位置としての基準位置(Ca、Da、Ea、Fa、Ga)と、通風抵抗大に適した構成位置としての最大変位位置(Cb、Db、Eb、Fb、Gb)の2段階の構成を有するものとする。そして、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの各部材の構成位置の変更において、基準位置から最大変位位置への変更方向(C1、D1、E1、F1、G1)と、最大変位位置から基準位置へ変更方向(C2、D2、E2、F2、G2)とを有するものとする。
【0068】
ステップS31において、ファンモータ25の電圧値Vを電圧値検出手段31で検知すると共に、各部材の現在の位置を検知する。各部材の現在の位置を判断し(ステップS32)、通風抵抗小に適した構成の基準位置である時、検知電圧値Vが判定電圧値V1より小さいかどうか判断する(ステップS33)。この判断で、検知電圧値Vが判定電圧値V1より小さい場合には、通風抵抗が増加したとしてステップS34に移行し、各部材を通風抵抗大に適した構成の最大変位位置に変更する。ステップS33で検知電圧値Vが判定電圧値V1以上の場合には、通風抵抗が十分に小さい状態であると判断しそのままの構成とする。
また、ステップS32で各部材の現在の位置を判断し、通風抵抗大に適した構成の最大変位位置である時、検知電圧値Vが判定電圧値V2より大きいかどうか判断する(ステップS35)。この判断で、検知電圧値Vが判定電圧値V2より大きい場合には、通風抵抗が減少したとしてステップS36に移行し、各部材を通風抵抗小に適した構成の基準位置に変更する。ステップS35で検知電圧値Vが判定電圧値V2以下の場合には、通風抵抗がまだ大きい状態であると判断しそのままの構成とする。
【0069】
ステップS34、S36において、制御手段24は、第1駆動手段19と第2駆動手段20に、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bを、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積が増加または減少する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第3駆動手段21に、吹出口下側案内部12を、吹出ダクト14の断面の巾が減少または増加する方向に変位するように指示する指令信号を与え、かつ第4駆動手段22に、吹出口上側案内部13を、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりが減少または増加する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第5駆動手段23に、スタビライザ先端突起部11aを、羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間が減少または増加する方向に変位するように指示する指令信号を与える。このような制御動作を電源ONの時、または数時間毎、または数日毎に繰返し行なう。
【0070】
上記では、通風抵抗が大きい時と小さい時の2段階の構成で風路を構成したが、もっと多くの段階を備えて、細かく制御してもよい。また、判定電圧値V1、V2について、予め塵がない状態とある程度除塵フィルタ15を目詰まりさせた状態で実験的にファンモータ25の電圧値を測定して、その測定値から考慮して設定すればよい。また、各風路部材の位置については、実施の形態1と同様、それぞれの運転状態で最適となるように変位させることで、送風効率を高く保つことができる。
【0071】
また、通風抵抗の変化をさらに他の通風抵抗に関連する量の変化によって検出するものについて、図23、図24に基いて説明する。
図23はこの実施の形態による空気調和機の室内ユニットのさらに他の構成例を示す断面図、図24はこの構成例に係る制御手段24の制御動作を示すフローチャートである。この実施の形態における室内ユニット1の基本的な構成は実施の形態1と同様であり、通風抵抗の変化に応じてどのように風路形状を変更するか、及び各風路部材を変位駆動する動作については、実施の形態1と同様である。ここでは、実施の形態1と同一符号は同一、または相当部分を示し、詳しい説明は省略する。
【0072】
通風抵抗に関連する量の変化を検知する手段として、貫流送風機8のファンモータ25の入力電力値Wを検知する入力値検知手段32を設ける。この入力値検知手段32は、ファンモータ25の入力電力値を検知し、入力電力値Wを表す検知入力値信号を制御手段24に与える。制御手段24は、入力値検知手段32からの検知入力値信号に基いて、第1駆動手段19および第2駆動手段20および第3駆動手段21および第4駆動手段22および第5駆動手段23の少なくともいずれか1つの可変機構を制御する。
【0073】
室内ユニット1が、ファンモータ25の回転数を制御するための指令電圧または電源電圧などの電圧値を一定にするように運転制御している場合、通風抵抗が増加すると、ファンモータ25の電流値Aは小さくなるように変化する。また、ファンモータ25に、ファンモータ25の電圧値を変化させることによって回転数Nを常に一定にするように運転制御している場合でも、ファンモータ25の電流値Aは小さくなるように変化する。ここで、電圧値が一定である場合、ファンモータ25の入力電力値Wは電流値Aと電圧値の積であることから、ファンモータ25の入力電力値Wも小さくなるように変化する。このようにファンモータ25の入力電力値Wは、通風抵抗の変化に関連して変化する量である。実際には、通風抵抗が増加すると入力電力値Wは減少し、通風抵抗が減少すると入力電力値Wは増加する。
【0074】
そこで、この実施の形態では、入力値検知手段32によってファンモータ25の入力電力値の変化を検知し、この入力電力値から通風抵抗の変化を知り、この検知値に応じて送風効率を高く保つことができるように各風路部材を変位させて風路形状を変化させる。以下、制御手段24の制御動作を図24に基いて説明する。
制御手段24は、判定入力電力値W1、W2を記憶しており、例えば、判定入力電力値W1、W2のそれぞれは高風量設定、中風量設定、低風量設定などの設定風量ごとに異なる値とする。W1は通風抵抗が増加する方向に変化する時に用いる判定入力電力値であり、W2は通風抵抗が減少する方向に変化する時に用いる判定入力電力値である。ここでは通風抵抗が増加または減少する際の空気の流れかたが異なることで、検出されるファンモータ25の入力電力値Wが異なることを考慮し、増加及び減少の変化の方向に応じて判定入力電力値を異なるものとしている。また、実施の形態1と同様、説明を簡単化し、風路を構成するスクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの位置は、通風抵抗小に適した構成位置としての基準位置(Ca、Da、Ea、Fa、Ga)と、通風抵抗大に適した構成位置としての最大変位位置(Cb、Db、Eb、Fb、Gb)の2段階の構成を有するものとする。そして、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの各部材の構成位置の変更において、基準位置から最大変位位置への変更方向(C1、D1、E1、F1、G1)と、最大変位位置から基準位置へ変更方向(C2、D2、E2、F2、G2)とを有するものとする。
【0075】
ステップS41において、ファンモータ25の入力電力値Wを入力値検知手段32で検知すると共に、各部材の現在の位置を検知する。各部材の現在の位置を判断し(ステップS42)、通風抵抗小に適した構成の基準位置である時、検知入力電力値Wが判定入力電力値W1より小さいかどうか判断する(ステップS43)。この判断で、検知入力電力値Wが判定入力電力値W1より小さい場合には、通風抵抗が増加したとしてステップS44に移行し、各部材を通風抵抗大に適した構成の最大変位位置に変更する。ステップS43で検知入力電力値Wが判定入力電力値W1以上の場合には、通風抵抗が十分に小さい状態であると判断しそのままの構成とする。
また、ステップS42で各部材の現在の位置を判断し、通風抵抗大に適した構成の最大変位位置である時、検知入力電力値Wが判定入力電力値W2より大きいかどうか判断する(ステップS45)。この判断で、検知入力電力値Wが判定入力電力値W2より大きい場合には、通風抵抗が減少したとしてステップS46に移行し、各部材を通風抵抗小に適した構成の基準位置に変更する。ステップS45で検知入力電力値Wが判定入力電力値W2以下の場合には、通風抵抗がまだ大きい状態であると判断しそのままの構成とする。
【0076】
ステップS44、S46において、制御手段24は、第1駆動手段19と第2駆動手段20に、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bを、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積が増加または減少する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第3駆動手段21に、吹出口下側案内部12を、吹出ダクト14の断面の巾が減少または増加する方向に変位するように指示する指令信号を与え、かつ第4駆動手段22に、吹出口上側案内部13を、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりが減少または増加する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第5駆動手段23に、スタビライザ先端突起部11aを、羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間が減少または増加する方向に変位するように指示する指令信号を与える。このような制御動作を電源ONの時、または数時間毎、または数日毎に繰返し行なう。
【0077】
上記では、通風抵抗が大きい時と小さい時の2段階の構成で風路を構成したが、もっと多くの段階を備えて、細かく制御してもよい。また、判定入力電力値W1、W2について、予め塵がない状態とある程度除塵フィルタ15を目詰まりさせた状態で実験的にファンモータ25の入力電力値を測定して、その測定値から考慮して設定すればよい。また、各風路部材の位置については、実施の形態1と同様、それぞれの運転状態で最適となるように変位させることで、送風効率を高く保つことができる。
【0078】
また、通風抵抗の変化をさらに他の通風抵抗に関連する量の変化によって検出するものについて、図25、図26に基いて説明する。
図25はこの実施の形態による空気調和機の室内ユニットのさらに他の構成例を示す断面図、図26はこの構成例に係る制御手段24の制御動作を示すフローチャートである。この実施の形態における室内ユニット1の基本的な構成は実施の形態1と同様であり、通風抵抗の変化に応じてどのように風路形状を変更するか、及び各風路部材を変位駆動する動作については、実施の形態1と同様である。ここでは、実施の形態1と同一符号は同一、または相当部分を示し、詳しい説明は省略する。
【0079】
通風抵抗に関連する量の変化を検知する手段として、この室内ユニット1には、貫流送風機8のファンモータ25の電流値Aを検知する電流値検知手段26を設ける。さらに、この検知した電流値Aを記憶する記憶手段33と演算手段34を有する。
電流値検知手段26は、ある所定時間間隔△Tごと、例えば0.1秒ごとにファンモータ25の電流値Aを計測し、検知した電流値Aを記憶手段33に記憶する。この記憶手段33は有限複数個、例えば50個の電流値計測データを記憶することができ、時系列の有限複数個の電流値計測データは、別に設けられた演算手段34に与えられる。この演算手段34によって、有限複数個の電流値データの平均値と標準偏差を演算する。ここで、標準偏差を平均値で除算した値を検知電流値Aの乱れ強さαと定義し、この値を演算する。このように定義した検知電流値Aの乱れ強さαは、検知電流値Aの時系列の計測データのばらつきを表す値となっている。演算手段34は、検知電流値Aの乱れ強さαを表す信号を制御手段24に与える。制御手段24は、演算手段34から与えられた検知電流値Aの乱れ強さαを表す信号に基いて、第1駆動手段19および第2駆動手段20および第3駆動手段21および第4駆動手段22および第5駆動手段23の少なくともいずれか1つの可変機構を制御する。
【0080】
室内ユニット1が運転され、除塵フィルタ15に塵埃が付着し、または熱交換器7に水滴が付着するなどして、通風抵抗が増加すると、吹出口壁面からの気流の剥離が頻繁に生じるようになり、気流の乱れが増大する。気流の乱れが増大すると、気流から羽根車9に与えられる力の変動も増大し、羽根車9の回転数Nの変動やファンモータ25のトルクTの変動も増大する。ファンモータ25のトルクTの変動が増大すると、ファンモータ25の電流値Aの変動も同様に増大する。即ち、通風抵抗が増加すると、ファンモータ25の電流値Aの乱れ強さαは大きくなるように変化する。このようにファンモータ25の電流値Aの乱れ強さαは、通風抵抗の変化に関連して変化する量である。実際には、通風抵抗が増加すると電流値Aの乱れ強さαは大きくなり、通風抵抗が減少すると電流値Aの乱れ強さαは小さくなる。
【0081】
そこで、この実施の形態では、電流値検知手段26、記憶手段33、演算手段34によって、検知電流値Aの乱れ強さαを演算し、この乱れ強さαから通風抵抗の変化を知り、この検知値に応じて送風効率を高く保つことができるように各風路部材を変位させて風路形状を変化させる。以下、制御手段24の動作を制御動作を図26に基いて説明する。
制御手段24は、乱れの強さの判定値α1、α2を記憶しており、例えば、乱れ強さの判定値α1、α2のそれぞれは高風量設定、中風量設定、低風量設定などの設定風量ごとに異なる値とする。α1は通風抵抗が増加する方向に変化する時に用いる乱れ強さの判定値であり、α2は通風抵抗が減少する方向に変化する時に用いる乱れ強さの判定値である。ここでは通風抵抗が増加または減少する際の空気の流れかたが異なることで、演算される乱れ強さαが異なることを考慮し、増加及び減少の変化の方向に応じて異なる判定値を用いる。また、実施の形態1と同様、説明を簡単化し、風路を構成するスクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの位置は、通風抵抗小に適した構成位置としての基準位置(Ca、Da、Ea、Fa、Ga)と、通風抵抗大に適した構成位置としての最大変位位置(Cb、Db、Eb、Fb、Gb)の2段階の構成を有するものとする。そして、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの各部材の構成位置の変更において、基準位置から最大変位位置への変更方向(C1、D1、E1、F1、G1)と、最大変位位置から基準位置へ変更方向(C2、D2、E2、F2、G2)とを有するものとする。
【0082】
ステップS51において、一定時間毎に電流値検知手段26で検知して記憶手段33に記憶してある複数個、例えば50個の電流値データを演算手段34に読み込む。そして、演算手段34によって、有限複数個の電流値データの平均値と標準偏差を演算し、この標準偏差を平均値で除算して乱れ強さαを演算する。また、各部材の現在の位置を検知する。各部材の現在の位置を判断し(ステップS52)、通風抵抗小に適した構成の基準位置である時、乱れ強さαが判定値α1より大きいかどうか判断する(ステップS53)。この判断で、演算した乱れ強さαが判定値α1より大きい場合には、通風抵抗が増加したとしてステップS54に移行し、各部材を通風抵抗大に適した構成の最大変位位置に変更する。ステップS53で演算した乱れ強さαが判定値α1以下の場合には、通風抵抗が十分に小さい状態であると判断しそのままの構成とする。
また、ステップS52で各部材の現在の位置を判断し、通風抵抗大に適した構成の最大変位位置である時、演算した乱れ強さαが判定値α2より小さいかどうか判断する(ステップS55)。この判断で、演算した乱れ強さαが判定値α2より小さい場合には、通風抵抗が減少したとしてステップS56に移行し、各部材を通風抵抗小に適した構成の基準位置に変更する。ステップS55で演算した乱れ強さαが判定値α2以上の場合には、通風抵抗がまだ大きい状態であると判断しそのままの構成とする。
【0083】
ステップS54、S56において、制御手段24は、第1駆動手段19と第2駆動手段20に、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bを、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積が増加または減少する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第3駆動手段21に、吹出口下側案内部12を、吹出ダクト14の断面の巾が減少または増加する方向に変位するように指示する指令信号を与え、かつ第4駆動手段22に、吹出口上側案内部13を、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりが減少または増加する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第5駆動手段23に、スタビライザ先端突起部11aを、羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間が減少または増加する方向に変位するように指示する指令信号を与える。このような制御動作を電源ONの時、または数時間毎、または数日毎に繰返し行なう。図26に基く処理とは別に、所定間隔で電流値検知手段26によって検知した電流値Aは逐次記憶手段33に記憶され、常に最新の時系列電流値データが記憶手段33に記憶されている。
【0084】
上記の制御動作によって、通風抵抗の変化に応じてどのように風路形状を変化して送風効率の向上を図るかについて、以下に説明する。図27は、横軸に通風抵抗、縦軸に乱れ強さαを示す特性図であり、例えば2本示す曲線K1、K2はそれぞれ異なる風路形状での特性を示している。この特性曲線K1、K2の風路形状は図12に示した通風抵抗に対する送風効率の特性図におけるK1、K2と対応しているとする。図12に示した曲線K3に対応する風路形状は、ここでは省略する。各風路部材の位置を基準位置とした時の風路形状では曲線K1の特性が得られるとする。これは通風抵抗がP1以下の運転状態で高い送風効率が得られていることを示す。運転時間が経ち、通風抵抗が増加してくると、演算した乱れ強さαの値も次第に大きくなる。演算した乱れ強さαの値が判定値α1よりも大きくなると通風抵抗はP1よりも大きいことになる。図12から、通風抵抗がP1よりも大きくなると、風路形状を変更して曲線K2の特性が得られるように変更する方が高い送風効率が得られる。このため、ステップS54で示したように、風路形状を曲線K2の特性が得られるように変更して、高い送風効率が得られる状態で運転する。これと同時に、使用者に防塵フィルタ15の取り替えなどを表示し始める。
逆に、風路形状を曲線K2が得られる状態で運転している時に、例えば防塵フィルタ15を取り替えると通風抵抗が減少し、演算した乱れ強さαが判定値α2よりも小さくなる。この時には、ステップS56によって通風抵抗小に適した構成位置に変更する。これと同時に表示部29への表示をもとに戻す。
【0085】
このように制御手段24は、通風抵抗に関連する量として、ここではファンモータ25の電流値Aの乱れ強さαと、通風抵抗の関係、及び変更可能な風路形状とその形状における通風抵抗と送風効率を考慮し、風路形状を通風抵抗に応じて変化させることで、室内ユニット1の運転状態に応じてその状態で最も送風効率を大きくすることができる。
【0086】
記憶手段33、演算手段34は空気調和機に通常運転制御のために設けられているマイクロコンピュータに時系列で記憶するソフトウエア及び演算するソフトウエアを加えることで構成でき、そのままの構成で実現でき、経済的である。
また、ここではファンモータ25の電流値Aを検知してその乱れ強さαを演算し、通風抵抗の変化を検知するようにしたが、ファンモータ25の電流値Aでなくてもよい。この実施の形態で述べた検知値のいずれか、例えばファンモータ25の回転数Nや電圧値Vや入力電力値Wなどの乱れ強さαによって、通風抵抗の変化を検知するように構成してもよい。また、乱れ強さαの定義は標準偏差を平均値で除した値に限るものではなく、他のばらつきを表す値を演算し、その値の変化を検知してもよい。
上記のように、所定の時間間隔で羽根車9の電流値または回転数または電圧値または入力電力値を計測する検知手段26、30、31、32と、検知手段で計測したデータを時系列で記憶する記憶手段33と、記憶した時系列の計測データのばらつきを演算する演算手段34を備え、演算手段34で演算した計測データのばらつきの変化によって羽根車9の上流側の通風抵抗の変化を検知すれば、簡単で安価な構成で空気流路の通風抵抗の変化を確実に推定して、空気調和機の送風効率の向上を図ることができる。
また、時系列の計測データを用いて、そのばらつきで通風抵抗の変化を検知するので、複数の室内ユニット間での個体差を考慮する必要がない。このため、判定値をより正確に設定することができ、安定した検知手段と言える。
【0087】
上記では、通風抵抗が大きい時と小さい時の2段階の構成で風路を構成したが、もっと多くの段階を備えて、細かく制御してもよい。また、電流値Aの乱れ強さの判定値α1、α2について、予め塵がない状態とある程度除塵フィルタ15を目詰まりさせた状態で実験的にファンモータ25の電流値Aを計測して、その計測値を用いて演算して設定すればよい。また、各風路部材の位置については、実施の形態1と同様、それぞれの運転状態で最適となるように変位させることで、送風効率を高く保つことができる。
【0088】
図19、図21、図23、図25に通風抵抗の変化に関連して変化する量の検出手段について、さまざまな検知手段について述べたが、いずれの場合にも羽根車9から吹出口6までの風路形状を、羽根車9より上流側の通風抵抗の変化に応じて変位させることで、室内ユニット1の運転状態が変化しても送風効率を高く保つことができる。特に、羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積、吹出ダクト14の断面の巾、吹出ダクト14の吹出口6までの広がり、羽根車9とスタビライザ11との最小隙間を設定する際、それぞれの部分を独立して変化させることで他の部分で気流に悪影響を与えることがないため、空気の流れに対して各風路部材が変位することによる効果のそれぞれを互いに打ち消すことなく発揮できる。
上記では、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積、吹出ダクト14の断面の巾、吹出ダクト14の吹出口6までの広がり、羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間のすべてを変化させて風路を最適になるように変更しているが、少なくともいずれか1つを変更すれば、ある程度の効果を奏することができる。
【0089】
また、吹出ダクト14の風路形状を通風抵抗の変化に応じて変更することで、通風抵抗の大きい時に吹出口壁面からの気流の剥離を防ぐことができ、吹出口6から室内ユニット1への逆吸込みを防止して、室内への露飛びを防止できるという効果も実施の形態1と同様である。
また、図19、図21、図23、図25のそれぞれの構成においても、制御手段24は各風路部材の変位位置に応じた指令信号を表示部29に与え、表示部29で変位状態の程度が判別できるように段階的に表示すれば、使用者の利便性が増すという効果も実施の形態1と同様である。
【0090】
実施の形態3.
以下、この発明の実施の形態3について説明する。この実施の形態では、運転モードに応じて各部材を移動して風路形状を変更する構成について、図28、図29に基いて説明する。図28は空気調和機の室内ユニットを示す断面図、図29は制御手段24の制御動作を示すフローチャートである。この実施の形態における室内ユニット1の基本的な構成は実施の形態1と同様であり、通風抵抗の変化に応じてどのように風路形状を変更するか、及び各風路部材を変位駆動する動作については、実施の形態1と同様である。ここでは、実施の形態1と同一符号は同一、または相当部分を示し、詳しい説明は省略する。
【0091】
この室内ユニット1に設けられた制御手段24は、運転状態が冷房運転モードか暖房運転モードか、どちらであるかに基いて、第1駆動手段19および第2駆動手段20および第3駆動手段21および第4駆動手段22および第5駆動手段23の少なくともいずれか1つの可変機構を制御する。運転状態が暖房運転モードと冷房運転モードのどちらを行っているかは、室内ユニット1に通常設けられている運転制御部で把握されており、運転モードを判断するのは容易である。
【0092】
室内ユニット1が室内を冷房するために運転されると、空気を冷却するために蒸発器として機能している熱交換器7には、空気中の水蒸気が結露して水滴が付着する場合がある。このように熱交換器7への水滴の付着が生じると、熱交換器7に水滴が付着していない状態と比較して、風路を流れる空気の通風抵抗が増加する。このように貫流送風機8の流れ方向上流側にある熱交換器7における要因で通風抵抗が増加すると、熱交換器7を通過して貫流送風機8に導かれる空気の流量が減少するので、吹出口6からの送風量Qが減少し、貫流送風機8の送風効率、ひいては空気調和機の運転効率が低下する。
一方、室内ユニット1が室内を暖房するために運転されると、空気を加熱するために凝縮器として機能している熱交換器7は、付着した水滴が蒸散などによって除去されるなど、通風抵抗が減少して室内ユニット1が初期状態に近くなる。この時に通風抵抗大に適した構成位置の風路形状で運転を続行していると、良好な送風効率が得られない。この実施の形態では、このような運転モードの違いに応じて風路形状をそれぞれに適する様に変更し、送風効率の向上を図るものである。
【0093】
実施の形態1と同様、説明を簡単化し、風路を構成するスクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの位置は、通風抵抗小に適した構成位置としての基準位置(Ca、Da、Ea、Fa、Ga)と、通風抵抗大に適した構成位置としての最大変位位置(Cb、Db、Eb、Fb、Gb)の2段階の構成を有するものとする。そして、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの各部材の構成位置の変更において、基準位置から最大変位位置への変更方向(C1、D1、E1、F1、G1)と、最大変位位置から基準位置へ変更方向(C2、D2、E2、F2、G2)とを有するものとする。
【0094】
以下、制御手段24による動作を図29のフローチャートに基いて説明する。ステップS61において各部材の位置を検知する。ステップS62で各部材の現在の位置を判断し、通風抵抗小に適した構成の基準位置である時、運転状態が冷房運転モードであるかどうか判断する(ステップS63)。この判断で、運転状態が冷房運転モードの場合には、ステップS64に移行し、各部材を通風抵抗大に適した構成の最大変位位置に変更する。ステップS63で暖房運転モードの場合には、その通風抵抗による空気の流れに適した風路形状であると判断しそのままの構成とする。
また、ステップS62で各部材の現在の位置を判断し、通風抵抗大に適した構成の最大変位位置である時、暖房運転モードであるかどうか判断する(ステップS65)。この判断で、暖房運転モードの場合には、ステップS66に移行し、各部材を通風抵抗小に適した構成の基準位置に変更する。ステップS65で冷房運転モードの場合には、その通風抵抗による空気の流れに適した風路形状であると判断しそのままの構成とする。
【0095】
ステップS64、S66において、制御手段24は第1駆動手段19と第2駆動手段20に、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bを、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積が増加または減少する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第3駆動手段21に、吹出口下側案内部12を、吹出ダクト14の断面の巾が減少または増加する方向に変位するように指示する信号を与え、かつ第4駆動手段22に、吹出口上側案内部13を、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりが減少または増加する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第5駆動手段23に、スタビライザ先端突起部11aを、羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間が減少または増加する方向に角変位するように指示する指令信号を与える。このような制御動作を電源ONの時、または数日毎、または数ヵ月毎に繰返し行なう。
【0096】
これによって、室内ユニット1の運転状態に適した風路形状を構成し、送風効率を大きくすることができる。即ち、室内ユニット1が冷房運転モードのとき、実施の形態1で述べた変位a1、変位b1、変位c1、変位d1の少なくともいずれか1つを行うことで、初期状態からの送風効率の低下を抑制することができ、この運転状態で高い運転効率で運転することができる。一方、暖房運転モードのとき、熱交換器7に付着した水滴が蒸散などによって除去されるなど、通風抵抗が減少して室内ユニット1が初期状態に戻る、または初期状態に近くなるので、実施の形態1で述べた変位a2、変位b2、変位c2、変位d2の少なくともいずれか1つを行うことで、その運転状態において高い運転効率で運転することができる。
特に、羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積、吹出ダクト14の断面の巾、吹出ダクト14の吹出口6までの広がり、羽根車9とスタビライザ11との最小隙間を設定する際、それぞれの部分を独立して変化させることで他の部分で気流に悪影響を与えることがないため、空気の流れに対して各風路部材が変位することによる効果のそれぞれを互いに打ち消すことなく発揮できる。
【0097】
また、通風抵抗が大きくなる冷房運転モードのときに、吹出口壁面からの気流の剥離を防ぐことができるため、吹出口6から室内ユニット1への逆吸込みを防ぐことができる。従って、冷房運転時の逆吸込みにより、高温多湿の外気と低温の吹出し気流が吹出口6の内部で接することで、吹出口壁面への露付きが発生し、それに伴い露飛びも発生する、という問題を、逆吸込みを防ぐことにより防止することができる。
【0098】
また、上記では、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積、吹出ダクト14の断面の巾、吹出ダクト14の吹出口6までの広がり、羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間のすべてを変更して風路を最適になるように変更しているが、少なくともいずれか1つを変更すれば、ある程度の効果を奏することができる。
また、各部材の構成位置を2段階としているが、多段階の位置を設けてもよい。例えば、冷房運転モードの時には、運転開始からの時間に応じて徐々に熱交換器7に結露することにより通風抵抗が大きくなるとして、それに適するように切替えてもよい。
【0099】
また、暖房運転モードの時には熱交換器7に結露はしないが、防塵フィルタ15が塵によって目詰まりすることで通風抵抗は大きくなると考えられる。このため、実施の形態1における電流検知手段や、実施の形態2における各種検知手段の少なくともいずれか1つの検知手段で通風抵抗の増加を検知し、この検知結果に応じて風路形状を変化させてもよい。
なお、空気調和機として、運転モードが暖房運転と冷房運転の2つの運転モード以外のモードが設定される時、そのモードで熱交換器7に結露が発生するかどうかで、どちらの風路形状にするか判断すればよい。例えば、除湿運転モードでは、熱交換器7を蒸発器として動作させるため、冷房運転モードと同じように制御すればよい。
【0100】
実施の形態4.
以下、この発明の実施の形態4について説明する。ここでは、結露検知手段、例えば結露センサによって空気流路の結露状態を検出して通風抵抗の増加または減少を検出し、これに応じて各部材を移動して風路形状を変更するものについて、図に基いて説明する。
図30はこの実施の形態による空気調和機の室内ユニットを示す断面図である。この実施の形態における室内ユニット1の基本的な構成は実施の形態1と同様であり、通風抵抗の変化に応じてどのように風路形状を変更するか、及び各風路部材を変位駆動する動作については、実施の形態1と同様である。ここでは、実施の形態1と同一符号は同一、または相当部分を示し、詳しい説明は省略する。
【0101】
結露センサ35は、吹出口下側案内部12及び吹出口上側案内部13の吹出口6付近に設けられており、吹出口6付近の水分量、即ち結露の状態を検知して、結露検知信号を制御手段24に与える。制御手段24は、結露センサ35からの結露検知信号に基いて、第1駆動手段19および第2駆動手段20および第3駆動手段21および第4駆動手段22および第5駆動手段23の少なくともいずれか1つの可変機構を制御する。
【0102】
次に、結露センサ35の詳細について説明する。図31はこの実施の形態に係わる結露センサ35の一例を示したもので、図31(a)は正面図、図31(b)は図31(a)のB−B線断面図である。図において、36は金属薄膜電極、37は耐湿性シート、38は不織布、39は結露センサ35の基板となる絶縁基板、40は金属薄膜電極36の接続端子である。絶縁基板39は可撓性を有するフィルム状の絶縁基板で、例えば絶縁性樹脂で構成されている。金属薄膜電極36は絶縁基板39の上に銅などをペースト状にして塗布した薄膜層で形成されており、少なくとも2本が所定の距離を離して並行に固着されている。耐湿性シート37は例えばポリエステルなどで構成され、結露センサ35を高湿度の環境でも使用できるようにするものである。不織布38は結露水の吸収性を向上するためのものである。この結露センサ35の全体の厚みHは1mm以下であり、幅Wは20mm程度で、例えば、ほぼ垂直に曲げることができ、ねじりの力にもある程度耐えることができるような可撓性を有している。
【0103】
図31のように構成された結露センサ35の電極36間の抵抗は、結露のない場合は絶縁されている。結露が発生すると結露水が不織布38にすばやく吸収されて、電極36間の絶縁が解除される。図32は横軸に濡れ度、縦軸に抵抗値を示す特性図であり、接続端子40間の抵抗を計測していると、結露のない場合は濡れ度が小さくて絶縁されているので抵抗が大きく、結露が発生すると濡れ度が小から大へと変化する。これにつれて電気絶縁が変化し、電極36間の絶縁が解除されると抵抗が急激に小さくなる。従って、抵抗が小さくなったことで結露を検知することができる。例えば抵抗値がY以下になったら結露したと判断すればよい。
【0104】
図31に示した構成の結露センサ35の接続端子40に接続する計測部では、例えば印加電圧は9〜12Vで、抵抗値Xを80kΩ程度、抵抗値Yを30kΩ程度として、結露センサ35の濡れ度(抵抗値Y)、乾燥度(抵抗値X)を検知している。このとき流れる電流は2mA程度である。ここで、結露水をすばやく吸収できる不織布38を用いているので、結露に迅速に対応でき、結露センサ35としては応答性が高い。なお、接着剤を塗布したフィルムで絶縁基板39を構成すると、吹出口6付近に容易に取りつけられる。また不織布38により、発生した結露水による検知と同時に結露水を保水する機能を併せ持っているので、結露水が吹出口6の内壁を沿って室内に滴下することを防止できる。不織布38に保水された結露水が蒸発すれば、結露センサ35の抵抗値は大きくなる。
【0105】
この結露センサ35は長手方向の寸法の制約はなく、設置場所に応じて自由に形成でき、また長手方向のどこに結露水が発生しても、それを検知できる。また結露センサ35は薄いテープ状であるため、どの部分にも取りつけやすく、また邪魔になることはない。幅Wは2本設けた電極36間の距離に応じて変化するが、この電極36間の距離を変化させることで、結露センサ35の検知する濡れ度合いを変えることができるので、結露の検知応答性を設定することができる。もちろん、検知の際に使用する抵抗値Yを上下させることで、結露の検知応答性を設定することができる。
この実施の形態では、図30に示す様に、吹出口6付近に例えば接着剤によって接着している。吹出口下側案内部12と吹出し口上側案内部13の吹出口6に近い部分に配置し、横方向には室内ユニット1の横方向の一端から他端の全体に渡って設けている。なお、この配置位置はこれに限るものではなく、吹出口下側案内部12と吹出し口上側案内部13のどちらか一方に取り付けてもよいし、また、取り付け方法も接着剤でなくてもよい。
また、金属薄膜電極36の材質は銅に限るものではなく、電気を通す金属なら何でもよいが、薄膜状に形成するためにペースト状にして塗布できるものが好ましい。また金属薄膜電極36は、2本に限るものではなく、複数本距離を離して並設し、接続端子40が2つになるように複数のいずれかをお互いに接続して構成してもよい。
【0106】
室内ユニット1が運転され、除塵フィルタ15への塵埃の付着および熱交換器7への水滴の付着が生じると、風路を流れる空気の通風抵抗が増加する。通風抵抗の増加すると、除塵フィルタ15および熱交換器7を通過して貫流送風機8に導かれる空気の流量が減少し、さらには吹出口6からの送風量Qが減少し、貫流送風機8の送風効率、ひいては空気調和機の運転効率が低下する。また、通風抵抗が増加して風路形状が空気の流れに対して適当でなくなると、図9に示した様に吹出口壁面からの気流の剥離が発生し、気流の乱れが大きくなることにより、吹出口6から室内ユニット1内部への逆吸込みが発生する。このときの運転状態が冷房運転モードである場合、熱交換器7で冷却された空気と、吹出口6から逆吸込みによる湿った空気が、吹出口6の内部で接触し、湿った空気が冷やされて空気中の水蒸気が結露し、吹出口6の壁面に水滴が付着する。従って、吹出口6付近の壁面の水分量を計測すれば、除塵フィルタ15に塵埃が付着したり熱交換器7にも水滴が付着によって、通風抵抗が増加した状態に変化したことを検知することができる。この実施の形態では、吹出口6付近の壁面の水分量を結露センサ35で計測する。
【0107】
実施の形態1と同様、説明を簡単化し、風路を構成するスクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの位置は、通風抵抗小に適した構成位置としての基準位置(Ca、Da、Ea、Fa、Ga)と、通風抵抗大に適した構成位置としての最大変位位置(Cb、Db、Eb、Fb、Gb)の2段階の構成を有するものとする。そして、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの各部材の構成位置の変更において、基準位置から最大変位位置への変更方向(C1、D1、E1、F1、G1)と、最大変位位置から基準位置へ変更方向(C2、D2、E2、F2、G2)とを有するものとする。
【0108】
以下、制御手段24による動作を図33のフローチャートに基いて説明する。ステップS71において、各部材の現在の位置を検知すると共に、結露センサ35の抵抗値を検出する。各部材の現在の位置を判断し(ステップS72)、通風抵抗小に適した構成の基準位置である時、抵抗値が判定抵抗値Yより小さいかどうか判断する(ステップS73)。この時の判定抵抗値Yは、図32にしめす判定値であり、このとき検知した抵抗値が判定抵抗値Yより小さくなったら、結露状態になり通風抵抗が増加したと判断する。そしてステップS74に移行し、各部材を通風抵抗大に適した構成の最大変位位置に変更する。ステップS73で抵抗値が判定抵抗値Y以上の場合には、その通風抵抗による空気の流れに適した風路形状であると判断しそのままの構成とする。
また、ステップS72で各部材の現在の位置を判断し、通風抵抗大に適した構成の最大変位位置である時、検出した抵抗値が判定抵抗値Xよりも大きいかどうかどうか判断する(ステップS75)。この判断で、判定抵抗値Xよりも大きい場合には、図32に示す様に濡れ度が結露なし状態に近づき、通風抵抗は減少したと見なすことがきる。このため、ステップS76に移行し、各部材を通風抵抗小に適した構成の基準位置に変更する。ステップS75で抵抗値が判定抵抗値X以下の場合には、その通風抵抗による空気の流れに適した風路形状であると判断しそのままの構成とする。
【0109】
ステップS74、S76において、制御手段24は第1駆動手段19と第2駆動手段20に、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bを、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積が増加または減少する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第3駆動手段21に、吹出口下側案内部12を、吹出ダクト14の断面の巾が減少または増加する方向に変位するように指示する信号を与え、かつ第4駆動手段22に、吹出口上側案内部13を、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりが減少または増加する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第5駆動手段23に、スタビライザ先端突起部11aを、羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間が減少または増加する方向に変位するように指示する指令信号を与える。このような制御動作を所定の時間間隔、例えば数時間毎や数日毎に繰返し行なう。
【0110】
これによって、室内ユニット1の運転状態に応じてその状態で最も送風効率を大きくすることができる。従って、室内ユニット1の吹出口6が結露していると判断するとき、実施の形態1で述べた変位a1、変位b1、変位c1、変位d1の少なくともいずれか1つを行うことで、初期状態からの送風効率の低下を抑制することができ、この運転状態で高い送風効率で運転することができる。一方、吹出口6が結露していないと判断するとき、室内ユニット1が初期状態に戻る、または初期状態に近くなるので、実施の形態1で述べた変位a2、変位b2、変位c2、変位d2の少なくともいずれか1つを行うことで、その運転状態において高い運転効率で運転することができる。
また、送風効率の低下を抑制することで、室内ユニット1の吹出口6から室内ユニット1内への逆吸込みを防止でき、水滴が室内に飛散することなく、室内の快適性を維持できる効果がある。
【0111】
制御手段24は、図34に示す処理を図33の処理の途中に挿入してもよい。例えばエンドの前やステップS74の前後に、検出した抵抗値が判定抵抗値Yよりも小さい場合に(ステップS77)、ステップS78で自動的に乾燥運転を行って、濡れ度を回復したり、熱交換器7や吹出口6付近の水分を拭くなどの清掃を指示する。この処理によって確実に吹出口6の水分は除去されるので、通風抵抗を迅速に初期状態に戻すことができ、送風効率の低減や室内への露飛びを確実に防止できる。
このような構成の吹出口6の水分量を検知する結露センサ35を設け、結露センサ35で検知した吹出口6の水分量の変化によって羽根車9の上流側の通風抵抗の変化を検知することにより、簡単で安価な構成で空気流路の通風抵抗の変化を確実に推定して、空気調和機の送風効率の向上を図ることができる。
【0112】
図35、図36によってこの実施の形態の他の構成例による室内ユニット1について説明する。図35は実施の形態1で述べた電流値検知手段26と結露センサ35を備えた空気調和機の室内ユニットを示す断面図である。この室内ユニットの基本的な構成は実施の形態1と同様であり、通風抵抗の変化に応じてどのように風路形状を変更するか、及び各風路部材を変位駆動する動作については、実施の形態1と同様である。ここでは、実施の形態1と同一符号は同一、または相当部分を示し、詳しい説明は省略する。
【0113】
この室内ユニット1は、通風抵抗の変化に関連して変化する量を検知する検知手段、例えば貫流送風機8のファンモータ25の電流値Aを検知する電流値検知手段26を有する。この電流値検知手段26は、検知電流値Aを表す検知電流値信号を制御手段24に与える。また、この室内ユニット1には、吹出口6の結露を検知する結露センサ35が設けられる。この結露センサ35は、結露検知信号を制御手段24に与える。制御手段24は、電流値検知手段26からの検知電流値信号、結露センサ35からの結露検知信号、運転状態が冷房運転モードであるか暖房運転モードであるか、に基いて、第1駆動手段19および第2駆動手段20および第3駆動手段21および第4駆動手段22および第5駆動手段23の少なくともいずれか1つの可変機構を制御する。
【0114】
室内ユニット1が運転され、除塵フィルタ15への塵埃の付着および熱交換器7への水滴の付着によって初期状態から通風抵抗が増加した状態に変化し、冷房運転モードの場合は結露センサ35が吹出口6の壁面の結露を検知したとき、暖房運転モードの場合は検知電流値Aが減少して判定電流値A1よりも小さくなったときを検知する。そして、通風抵抗の変化に応じて、風路形状を変更する。ここで、実施の形態1と同様、説明を簡単化し、風路を構成するスクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの位置は、通風抵抗小に適した構成位置としての基準位置(Ca、Da、Ea、Fa、Ga)と、通風抵抗大に適した構成位置としての最大変位位置(Cb、Db、Eb、Fb、Gb)の2段階の構成を有するものとする。そして、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの各部材の構成位置の変更において、基準位置から最大変位位置への変更方向(C1、D1、E1、F1、G1)と、最大変位位置から基準位置へ変更方向(C2、D2、E2、F2、G2)とを有するものとする。
【0115】
以下、制御手段24による動作を図36のフローチャートに基いて説明する。
ここで、制御手段24は、実施の形態1と同様、判定電流値A1、A2を記憶しており、また、判定電流値A1、A2のそれぞれは設定風量ごとに異なる値である。例えば、判定電流値A1、A2には、高風量設定、中風量設定、低風量設定ごとに異なる値が設定されている。A1は通風抵抗が増加する方向に変化する時に用いる判定電流値であり、A2は通風抵抗が減少する方向に変化する時に用いる判定電流値である。ここでは通風抵抗が増加または減少する際の空気の流れかたが異なることで、検出されるファンモータ25の電流値が異なることを考慮し、増加及び減少の変化の方向に応じて判定電流値を異なるものとしている。
【0116】
ステップS81において運転状態を判断する。運転状態が冷房運転又は除湿運転の場合にはステップS82に移行する。ステップS82に移行する運転状態は、熱交換器7を冷凍サイクルの蒸発器として運転している場合をすべて含んでいる。運転状態が熱交換器7を凝縮器として運転させる暖房運転や冷媒を熱交換器7に流通させないで送風機のみを運転する送風運転の場合には、ステップS88に移行する。
冷房運転又は除湿運転の場合、ステップS82で、各部材の現在の位置を検知すると共に、結露センサ35の抵抗値を検出する。各部材の現在の位置を判断し(ステップS83)、通風抵抗小に適した構成の基準位置である時、抵抗値が判定抵抗値Yより小さいかどうか判断する(ステップS84)。この時の判定抵抗値Yは、図32にしめす判定値であり、このとき検知した抵抗値が判定抵抗値Yより小さくなったら、結露状態になり通風抵抗が増加したと判断する。そしてステップS85に移行し、各部材を通風抵抗大に適した構成の最大変位位置に変更する。ステップS84で抵抗値が判定抵抗値Y以上の場合には、その通風抵抗による空気の流れに適した風路形状であると判断しそのままの構成とする。
また、ステップS83で各部材の現在の位置を判断し、通風抵抗大に適した構成の最大変位位置である時、検出した抵抗値が判定抵抗値Xよりも大きいかどうかどうか判断する(ステップS86)。この判断で、判定抵抗値Xよりも大きい場合には、図32に示す様に濡れ度が結露なし状態に近づき、通風抵抗は減少したと見なすことがきる。このため、ステップS87に移行し、各部材を通風抵抗小に適した構成の基準位置に変更する。ステップS86で抵抗値が判定抵抗値X以下の場合には、その通風抵抗による空気の流れに適した風路形状であると判断しそのままの構成とする。
【0117】
暖房運転又は送風運転の場合、ステップS88において、ファンモータ25の電流値Aを電流値検知手段26で検知すると共に、各部材の現在の位置を検知する。各部材の現在の位置を判断し(ステップS89)、通風抵抗小に適した構成の基準位置である時、検知電流値Aが判定電流値A1より小さいかどうか判断する(ステップS90)。この判断で、検知電流値Aが判定電流値A1より小さい場合には、通風抵抗が増加したとしてステップS91に移行し、各部材を通風抵抗大に適した構成の最大変位位置に変更する。ステップS90で検知電流値Aが判定電流値A1以上の場合には、通風抵抗が十分に小さい状態であると判断しそのままの構成とする。
また、ステップS89で各部材の現在の位置を判断し、通風抵抗大に適した構成の最大変位位置である時、検知電流値Aが判定電流値A2より大きいかどうか判断する(ステップS92)。この判断で、検知電流値Aが判定電流値A2より大きい場合には、通風抵抗が減少したとしてステップS93に移行し、各部材を通風抵抗小に適した構成の基準位置に変更する。ステップS92で検知電流値Aが判定電流値A2以下の場合には、通風抵抗がまだ大きい状態であると判断しそのままの構成とする。
【0118】
ステップS85、S87、S91、S93において、制御手段24は第1駆動手段19と第2駆動手段20に、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bを、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積が増加または減少する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第3駆動手段21に、吹出口下側案内部12を、吹出ダクト14の断面の巾が減少または増加する方向に変位するように指示する信号を与え、かつ第4駆動手段22に、吹出口上側案内部13を、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりが減少または増加する方向に角変位するように指示する指令信号を与え、かつ第5駆動手段23に、スタビライザ先端突起部11aを、羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間が減少または増加する方向に変位するように指示する指令信号を与える。このような制御動作を所定の時間間隔、例えば数時間毎や数日毎に繰返し行なう。
ここでは、暖房運転又は送風運転の時に、ファンモータ25の電流値を検知する構成としたが、実施の形態2で説明したように、ファンモータ25の回転数、電圧値、入力電力値の変化や、これらのばらつきの程度、即ち乱れの強さを検知して、通風抵抗の変化を検知してもよい。
【0119】
以上のように、室内ユニット1の運転状態に応じてその状態で最も送風効率を大きくすることができる。従って、冷房運転時に室内ユニット1の吹出口6が結露していると判断したときや、羽根車9の上流側の通風抵抗が増加したときに、実施の形態1で述べた変位a1、変位b1、変位c1、変位d1の少なくともいずれか1つを行うことで、初期状態からの送風効率の低下を抑制することができ、この運転状態で高い送風効率で運転することができる。一方、冷房運転時に吹出口6が結露していないと判断したときや、羽根車9の上流側の通風抵抗が減少したときに、室内ユニット1が初期状態に戻る、または初期状態に近くなるので、実施の形態1で述べた変位a2、変位b2、変位c2、変位d2の少なくともいずれか1つを行うことで、その運転状態において高い運転効率で運転することができる。
また、送風効率の低下を抑制することで、室内ユニット1の吹出口6から室内ユニット1内への逆吸込みを防止でき、水滴が室内に飛散することなく、室内の快適性を維持できる効果がある。
【0120】
ここで、図30、図35における結露センサ35は、図31の構成に限るものではなく、吹出口6付近の水分量を検知できるものなら、他の構成のセンサでもよい。
また、図30、図35の構成では、羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積、吹出ダクト14の断面の巾、吹出ダクト14の吹出口6までの広がり、羽根車9とスタビライザ11との最小隙間を設定する際、それぞれの部分を独立して変化させることで他の部分で気流に悪影響を与えることがないため、空気の流れに対して各風路部材が変位することによる効果のそれぞれを互いに打ち消すことなく発揮できる。
上記では、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積、吹出ダクト14の断面の巾、吹出ダクト14の吹出口6までの広がり、羽根車9とスタビライザ先端突起部11aの最小隙間のすべてを変更して風路を最適になるように変更しているが、少なくともいずれか1つを変更すれば、ある程度の効果を奏することができる。
また、各部材の構成位置を2段階としているが、多段階の位置を設けてもよい。例えば、冷房運転モードの時には、運転開始からの時間に応じて徐々に熱交換器7に結露することにより通風抵抗が大きくなるとして、それに適するように切替えてもよい。
【0121】
また、この実施の形態においても、実施の形態1と同様、制御手段は各風路部材の変位位置に応じた指令信号を表示部29に与え、表示部29で変位状態の程度が判別できるように段階的に表示すれば、除塵フィルタの交換時期や室内ユニットの清掃時期が来ても、使用者は余裕をもって自分の都合の良い時間に交換や清掃をすることが可能となり、使用者の利便性が増す。
【0122】
実施の形態5.
以下、この発明の実施の形態5について説明する。この実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態4で記載した空気調和機の少なくともいずれかの空気調和機を試験する際や、例えば出荷前に運転する際の運転方法に関するものである。図37は空気調和機の室内ユニットを示す断面図、図38は制御手段24の制御動作を示すフローチャートである。この実施の形態における室内ユニット1の基本的な構成は実施の形態1と同様であり、通風抵抗の変化に応じてどのように風路形状を変更するか、及び各風路部材を変位駆動する動作については、実施の形態1と同様である。ここでは、実施の形態1と同一符号は同一、または相当部分を示し、詳しい説明は省略する。
【0123】
実際の運転では、運転中に通風抵抗が変化し、この変化を検知してこれに対応するように風路形状を変更するので、制御手段が必要であった。ここでは、運転中の通風抵抗の変化に瞬時瞬時対応するのではなく、所定の運転状態に最適な風路形状を有する空気調和機を構成するためのものである。従って、図37に示すように制御手段は必ずしも必要ではない。スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの各部材の構成は、実施の形態1と同様であり、スクロールケーシング渦巻き部10aを方向C1および方向C2に角変位駆動する渦巻き部可変機構を構成する第1駆動手段19と、スクロールケーシング接続部10bを方向D1および方向D2に角変位駆動する接続部可変機構を構成する第2駆動手段20が設けられる。また、吹出口下側案内部12を下方向E2および上方向E1に上下変位駆動する吹出口下側案内部可変機構を構成する第3駆動手段21と、吹出口上側案内部13を方向F1および方向F2に角変位駆動する吹出口上側案内部可変機構を構成する第4駆動手段22が設けられる。また、スタビライザ先端突起部11aを方向G1および方向G2に角変位駆動するスタビライザ可変機構を構成する第5駆動手段23が設けられる。
【0124】
以下、図38のフローチャートに基いて空気調和機の室内ユニットの運転方法の一例について説明する。室内ユニット1を、所定の環境における所定の運転状態に適した構成とするには、その環境下で運転する必要がある。従って、室内ユニット1を最適に構成したい所定の環境下に設置する。例えば高温多湿の状態で使用する空気調和機の場合には、その状態を実現した室内に配置した室内ユニット1を運転する(ステップS101)。この時、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの各部材の構成は、適当な基準位置に設定しておく。次に、ステップS102で、電流値検知手段26によって、羽根車9を駆動するファンモータ25の電流値を検知する。ファンモータ25の電流値からその運転状態における通風抵抗を推定できる。これは実施の形態1で述べた通りである。この通風抵抗から風路形状と送風効率の関係を把握することができる。例えば、図12に示す通風抵抗と送風効率の関係で、通風抵抗がP2以上で設定されている風路形状がK1であるとすると、図37に示すように風路部材の壁面からの空気流の剥離発生が確認される。従って、ステップS103で壁面からの空気流の剥離発生が確認されるかどうかを判断し、剥離が発生していれば、その通風抵抗に適した構成になるように、各風路部材を変位させる(ステップS104)。
【0125】
このステップS104では、検出した電流値に応じて作業者が、スクロールケーシング渦巻き部10a、スクロールケーシング接続部10b、吹出口下側案内部12、吹出口上側案内部13、スタビライザ先端突起部11aの各部材の構成位置の変更する。通風抵抗が通風抵抗大に適した位置への変更方向(C1、D1、E1、F1、G1)と、通風抵抗小に適した位置への変更方向(C2、D2、E2、F2、G2)とを有し、第1駆動手段19、第2駆動手段20、第3駆動手段21、第3駆動手段22、第5駆動手段23のうちの少なくともいずれか1つの可動機構を作業者が動かす。
【0126】
ステップS104において、作業者は第1駆動手段19と第2駆動手段20を動かして、スクロールケーシング渦巻き部10aとスクロールケーシング接続部10bを、貫流送風機8の羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積が増加または減少する方向に角変位させ、かつ第3駆動手段21を動かして、吹出口下側案内部12を、吹出ダクト14の断面の巾が減少または増加する方向に変位させ、かつ第4駆動手段22動かして、吹出口上側案内部13を、吹出ダクト14の吹出口6までの広がりが減少または増加する方向に角変位させ、かつ第5駆動手段23に、スタビライザ先端突起部11aを、羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間が減少または増加する方向に角変位させる。通風抵抗の推定値に応じてその最大変位位置の途中まで動かすこともできる。特に作業者が行なうため、試行錯誤しながら、高い送風効率が得られる最適な位置に設定することができる。
ステップS103で壁面からの空気流の剥離発生を確認しなかった場合は、その環境下及び運転状態において、風路形状が最適であると判断しそのままの構成とする。
【0127】
なお、ステップS102における通風抵抗の変化は、図19、図21、図23、図25の構成と同様、通風抵抗の変化に関連して変化する量によって検知してもよい。
さらに、空気吸込口4、5から煙や着色された空気を吸込ませて、実際に壁面からの空気流の剥離発生を目で確認し、各可動機構を動かして風路形状を最適にすることもできる。この様に運転すれば、視覚で剥離の発生を確実に見ることができ、また剥離の発生を見ながら各風路部材の形状を最適に構成することができる。
【0128】
これによって、室内ユニット1の運転状態に適した風路形状を構成し、送風効率を大きくすることができる。即ち、室内ユニット1が壁面からの剥離発生を確認したとき、実施の形態1で述べた変位a1、変位b1、変位c1、変位d1、または変位a2、変位b2、変位c2、変位d2の少なくともいずれか1つを行うことで、送風効率の低下を抑制することができ、どのような運転状態においても高い運転効率で運転できるように構成することができる。
特に、羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積、吹出ダクト14の断面の巾、吹出ダクト14の吹出口6までの広がり、羽根車9とスタビライザ11との最小隙間を設定する際、それぞれの部分を独立して変化させることで他の部分で気流に悪影響を与えることがないため、空気の流れに対して各風路部材が変位することによる効果のそれぞれを互いに打ち消すことなく発揮できる。
【0129】
また、環境に応じた所定の運転状態のときに、吹出口壁面からの気流の剥離を防ぐことができるため、吹出口6から室内ユニット1への逆吸込みを防ぐことができる。従って、冷房運転時での逆吸込みにより、高温多湿の外気と低温の吹出し気流が吹出口6の内部で接することで、吹出口壁面への露付きが発生し、それに伴い露飛びも発生する、という問題を、逆吸込みを防ぐことにより、予め防止することができる。
【0130】
また、上記では、貫流送風機8の、吹出ダクト14の断面の巾、吹出ダクト14の吹出口6までの広がり、羽根車9とスタビライザ11の間の最小隙間のすべてを変更して風路形状を最適になるように変更しているが、少なくともいずれか1つを変更すれば、ある程度の効果を奏することができる。
もちろん、この実施の形態で述べた室内ユニット1の運転方法は、実施の形態1〜実施の形態4で述べたいずれの構成の空気調和機の室内ユニット1にも適用できることは言うまでもない。
【0131】
この実施の形態による室内ユニット1の運転方法では、室内ユニット1を、羽根車9の回転方向後方側の風路部材を変位させて、羽根車9から吹出口6までの空気流路のうちの上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方の流路断面積を独立して変化可能な構成とする。そして、室内ユニット1を運転するステップS101を行なう。次に、羽根車9の上流側の通風抵抗の変化を検知して空気流路の壁面に空気流の剥離の発生を確認するステップS102、S103を行なう。次に、空気流の剥離の発生を確認したときに、空気流路の上流側の流路断面積、即ち羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積、と下流側の流路断面積、即ち吹出ダクト14の流路断面積の少なくともいずれか一方の流路断面積を、空気流の剥離を減少させる方向に変化させるステップS104を行なう。これらのステップS101〜S104によって、羽根車9を回転させるための入力を減らすようにでき、送風効率を向上できる。
【0132】
また、ステップS102において、羽根車9のファンモータ25の電流値または電圧値または入力電力値または回転数の変化、若しくは羽根車9のファンモータ25の電流値また電圧値または入力電力値または回転数の時系列データのばらつきの変化を検知することで、羽根車9の上流側の通風抵抗の変化を検知してもよい。これらのいずれも空気流路の通風抵抗の変化に関連する量であり、これらの少なくともいずれか1つを検知して、風路形状を変化させれば、羽根車9を回転させるための入力を減らすようにでき、送風効率を向上できる。
【0133】
この室内ユニット1の運転方法では、羽根車9よりも上流側の通風抵抗が増加する方向に変化したのを検知したときに、空気流路の上流側の流路断面積を大きくすれば、図6で示したように空気流路の上流側に生じる空気流の剥離を減少させることができ、羽根車9を回転させるための入力を減らして送風効率を向上できる。
また逆に、羽根車9よりも上流側の通風抵抗が減少する方向に変化したのを検知したときに、空気流路の上流側の流路断面積を小さくすれば、空気流路の上流側に生じる円周方向成分の強い空気流をスムーズに流して損失を低減することができ、羽根車9を回転させるための入力を減らして送風効率を向上できる。
【0134】
また、羽根車9よりも上流側の通風抵抗が増加する方向に変化したのを検知したときに、空気流路の下流側の流路断面積を小さくすれば、図10で示したように、空気流路の下流側に生じる空気流の剥離を減少させることができ、羽根車9を回転させるための入力を減らして送風効率を向上できる。
また逆に、羽根車9よりも上流側の通風抵抗が減少する方向に変化したのを検知したときに、空気流路の下流側の流路断面積を大きくすれば、空気流路の下流側に生じる空気流の流速を減少させて損失を低減でき、羽根車9を回転させるための入力を減らして送風効率を向上できる。
【0135】
また、実施の形態2〜実施の形態5のいずれにおいても、図15、図16で示した様に、吹出口下側案内部12は変位せずに固定され、吹出口6の流路断面積を吹出口上側案内部13の変位によって変化する構成としてもよい。吹出口下側案内部12は固定したまま、羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aとの間の流路断面積を独立して変化させることにより、他の部分で気流に悪影響を与えることが全く無く、流路断面積の変化による効果を無駄なく得ることができる。
また、図17、図18に示した様に、スクロールケーシング接続部10bと吹出口下側案内部12は固定して一体として構成してもよい。即ち、羽根車9とスクロールケーシング渦巻き部10aの間の流路断面積は変化させず、吹出口6の流路断面積を独立して変化させることで、風路形状を制御してもよい。この場合には、他の部分で気流に悪影響を与えることが全く無く、吹出ダクト14の流路断面積の変化による効果を無駄なく得ることができる。
【0136】
また、実施の形態1〜実施の形態5において、貫流送風機について説明したが、シロッコファンなどの遠心送風機にも適用できる。
【0137】
【発明の効果】
この発明は以上のように、空気吸込口と空気吹出口とを連通する空気流路が内部に設けられたユニット筐体と、前記空気流路内に配置され前記空気吸込口から吸込んだ空気を前記空気吹出口から室内へ送風する羽根車と、前記羽根車の回転方向後方側風路部材を形成するスクロールケーシングと、前記羽根車の回転方向前方側風路部材を形成する吹出口上側案内部と、前記スクロールケーシングに接続する吹出口下側案内部と、を備え、前記スクロールケーシングを前記空気の流れ方向上流側のスクロールケーシング渦巻き部と下流側のスクロールケーシング接続部とに分割して構成し、前記スクロールケーシング渦巻き部を変位させて前記羽根車と前記スクロールケーシング渦巻き部の間の流路断面積を可変にする渦巻き部可変機構、または前記吹出口下側案内部を変位させて前記吹出口上側案内部と前記吹出口下側案内部で構成される吹出ダクトの流路断面積を可変にする吹出口下側案内部可変機構を備えたことにより、室内ユニット内の空気流路の通風抵抗が変化しても、高い送風効率が得られる空気調和機を得ることができる。
【0138】
また、空気吸込口と空気吹出口とを連通する空気流路が内部に設けられたユニット筐体と、前記空気流路内に配置され前記空気吸込口から吸込んだ空気を前記空気吹出口から室内へ送風する羽根車と、前記空気吹出口の水分量を検知する結露検知手段と、を備え、前記結露検知手段で検知した水分量の変化によって前記羽根車の上流側の通風抵抗の変化を検知することを特徴とすることにより、簡単で安価な構成で空気流路の通風抵抗の変化を確実に推定して、送風効率の向上を図ることのできる空気調和機を得ることができる。
【0139】
また、空気吸込口と空気吹出口とを連通する空気流路が内部に設けられたユニット筐体と、前記空気流路内に配置され前記空気吸込口から吸込んだ空気を前記空気吹出口から室内へ送風する羽根車と、所定の時間間隔で前記羽根車の電流値または回転数または電圧値または入力電力値を計測する検知手段と、前記検知手段で計測したデータを時系列で記憶する記憶手段と、前記記憶した時系列の計測データのばらつきを演算する演算手段と、を備え、前記演算手段で演算した計測データのばらつきの変化によって前記羽根車の上流側の通風抵抗の変化を検知することを特徴とすることにより、簡単で安価な構成で空気流路の通風抵抗の変化を確実に推定して、送風効率の向上を図ることのできる空気調和機を得ることができる。
【0140】
また、羽根車の回転方向後方側の風路部材を変位させて、前記羽根車から吹出口までの空気流路のうちの上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方を独立して変化可能な室内ユニットを運転するステップと、前記羽根車の上流側の通風抵抗の変化を検知して前記空気流路の壁面に空気流の剥離の発生を確認するステップと、前記空気流の剥離の発生を確認した後に前記空気流路の上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方を前記空気流の剥離を減少させる方向に変化させるステップと、を備え、前記羽根車を回転させるための入力を減らすようにしたことにより、室内ユニット内の空気流路の通風抵抗の状態に対応して最適な風路形状を予め設定でき、高い送風効率が得られる空気調和機の室内ユニットの運転方法が得られる。
【0141】
また、羽根車の回転方向後方側の風路部材を変位させて、前記羽根車から吹出口までの空気流路のうちの上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方を独立して変化可能な可変機構を有する室内ユニットを運転するステップと、前記羽根車の上流側の通風抵抗の変化を検知して前記空気流路の壁面に空気流の剥離の発生を確認するステップと、前記空気流の剥離の発生を確認した後に前記空気流路の上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方を前記空気流の剥離を減少させる方向に変化させるように前記可変機構を制御するステップと、を備え、前記羽根車を回転させるための入力を減らすようにしたことにより、室内ユニット内の空気流路の通風抵抗が変化しても、高い送風効率が得られる空気調和機の室内ユニットの制御方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る空気調和機の一運転状態における室内ユニットを示す断面図である。
【図2】実施の形態1に係る空気調和機の他の運転状態における室内ユニットを示す断面図である。
【図3】実施の形態1に係るスタビライザを拡大して示す説明図である。
【図4】実施の形態1に係り、通風抵抗が小さい場合の運転状態における室内ユニットを示す説明図である。
【図5】実施の形態1に係り、通風抵抗が大きい場合の運転状態における室内ユニットを示す説明図である。
【図6】実施の形態1に係り、羽根車とスクロールケーシング渦巻き部付近を拡大して示す説明図で、図6(a)は通風抵抗が小さい場合、図6(b)は通風抵抗が大きい場合の位置を示す。
【図7】実施の形態1に係り、羽根車とスタビライザ付近を拡大して示す説明図で、図7(a)は通風抵抗が小さい場合、図7(b)は通風抵抗が大きい場合の位置を示す。
【図8】実施の形態1に係り、通風抵抗が小さい場合の運転状態における室内ユニットを示す説明図である。
【図9】実施の形態1に係り、通風抵抗が大きい場合の運転状態における室内ユニットを示す説明図である。
【図10】実施の形態1に係り、吹出ダクト付近を拡大して示す説明図で、図10(a)は通風抵抗が小さい場合、図10(b)は通風抵抗が大きい場合の位置を示す。
【図11】実施の形態1に係る制御手段の制御動作を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態1に係り、通風抵抗に対する送風効率を示す特性図である。
【図13】実施の形態1に係るスタビライザの他の構成例を示す説明図である。
【図14】実施の形態1に係るスタビライザのさらに他の構成例を示す説明図である。
【図15】実施の形態1に係り、他の風路形状での通風抵抗が小さい場合の運転状態における室内ユニットを示す説明図である。
【図16】実施の形態1に係り、他の風路形状での通風抵抗が大きい場合の運転状態における室内ユニットを示す説明図である。
【図17】実施の形態1に係り、さらに他の風路形状での通風抵抗が小さい場合の運転状態における室内ユニットを示す説明図である。
【図18】実施の形態1に係り、さらに他の風路形状での通風抵抗が大きい場合の運転状態における室内ユニットを示す説明図である。
【図19】この発明の実施の形態2による空気調和機の室内ユニットを示す断面図である。
【図20】実施の形態2に係る制御手段の制御動作を示すフローチャートである。
【図21】実施の形態2による空気調和機の室内ユニットの他の構成例を示す断面図である。
【図22】実施の形態2の他の構成例に係る制御手段の制御動作を示すフローチャートである。
【図23】実施の形態2による空気調和機の室内ユニットのさらに他の構成例を示す断面図である。
【図24】実施の形態2のさらに他の構成例に係る制御手段の制御動作を示すフローチャートである。
【図25】実施の形態2による空気調和機の室内ユニットのさらに他の構成例を示す断面図である。
【図26】実施の形態2のさらに他の構成例に係る制御手段の制御動作を示すフローチャートである。
【図27】実施の形態2に係り、通風抵抗に対する乱れ強さを示すグラフである。
【図28】この発明の実施の形態3による空気調和機の室内ユニットを示す断面図である。
【図29】実施の形態3に係る制御手段の制御動作を示すフローチャートである。
【図30】この発明の実施の形態4による空気調和機の室内ユニットを示す断面図である。
【図31】実施の形態4に係る結露センサを示す正面図及び断面図である。
【図32】実施の形態4に係り、濡れ度に対する結露センサの抵抗値を示す特性図である。
【図33】実施の形態4に係る制御手段の制御動作を示すフローチャートである。
【図34】実施の形態4に係り、制御動作の追加例を示すフローチャートである。
【図35】実施の形態4による空気調和機の室内ユニットの他の構成例を示す断面図である。
【図36】実施の形態4の他の構成例に係る制御手段の制御動作を示すフローチャートである。
【図37】この発明の実施の形態5による空気調和機の室内ユニットを示す断面図である。
【図38】実施の形態5に係る運転動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 室内ユニット、4、5 空気吸込口、6 空気吹出口、7 熱交換器、8貫流送風機、9 羽根車、10 スクロールケーシング、10a スクロールケーシング渦巻き部、10b スクロールケーシング接続部、11 スタビライザ、11a スタビライザ先端突起部、12 吹出口下側案内部、13 吹出口上側案内部、14 吹出ダクト、19 渦巻き部可変機構、20 接続部可変機構、21 吹出口下側案内部可変機構、22 吹出口上側案内部可変機構、23スタビライザ可変機構、24 制御手段、25 ファンモータ、26 電流値検知手段、29 表示部、30 回転数検知手段、31 電圧値検知手段、32入力値検知手段、33 記憶手段、34 演算手段、35 結露検知手段。
Claims (21)
- 空気吸込口と空気吹出口とを連通する空気流路が内部に設けられたユニット筐体と、前記空気流路内に配置され前記空気吸込口から吸込んだ空気を前記空気吹出口から室内へ送風する羽根車と、前記羽根車の回転方向後方側風路部材を形成するスクロールケーシングと、前記羽根車の回転方向前方側風路部材を形成する吹出口上側案内部と、前記スクロールケーシングに接続する吹出口下側案内部と、を備え、前記スクロールケーシングを前記空気の流れ方向上流側のスクロールケーシング渦巻き部と下流側のスクロールケーシング接続部とに分割して構成し、前記スクロールケーシング渦巻き部を変位させて前記羽根車と前記スクロールケーシング渦巻き部の間の流路断面積を可変にする渦巻き部可変機構、または前記吹出口下側案内部を変位させて前記吹出口上側案内部と前記吹出口下側案内部で構成される吹出ダクトの流路断面積を可変にする吹出口下側案内部可変機構を備えたことを特徴とする空気調和機。
- 前記吹出口上側案内部を変位させて前記吹出ダクトの流路断面積を可変にする前記吹出口上側案内部可変機構を備えたことを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
- 前記吹出口上側案内部の前記羽根車側端部から前記羽根車の回転方向に伸びるスタビライザと、前記スタビライザと前記羽根車との間の最少隙間を可変にするスタビライザ可変機構と、を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の空気調和機。
- 前記スクロールケーシング接続部は、前記スクロールケーシング渦巻き部と一部が密着した状態で可動し、前記スクロールケーシング渦巻き部の変位または前記吹出口下側案内部の変位に応じて前記スクロールケーシング渦巻き部と前記吹出口下側案内部とを滑らかに接続することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の空気調和機。
- 運転モードに応じて、前記渦巻き部可変機構及び前記吹出口下側案内部可変機構及び前記吹出口上側案内部可変機構及びスタビライザ可変機構のうちの少なくともいずれか1つの可変機構を動作させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の空気調和機。
- 前記空気吹出口の水分量を検知する結露検知手段を備え、前記結露検知手段で検知した水分量の変化に応じて、前記渦巻き部可変機構及び前記吹出口下側案内部可変機構及び前記吹出口上側案内部可変機構及びスタビライザ可変機構のうちの少なくともいずれか1つの可変機構を動作させることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の空気調和機。
- 前記空気流路の通風抵抗の変化または通風抵抗に関連する量の変化に応じて、前記渦巻き部可変機構及び前記吹出口下側案内部可変機構及び前記吹出口上側案内部可変機構及びスタビライザ可変機構のうちの少なくともいずれか1つの可変機構を動作させることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の空気調和機。
- 前記羽根車を回転するファンモータの電流値、または前記ファンモータの電圧値、または前記ファンモータの回転数、または前記ファンモータの入力電力値を計測する検知手段を備え、前記検知手段で計測した値の変化に応じて、前記渦巻き部可変機構及び前記吹出口下側案内部可変機構及び前記吹出口上側案内部可変機構及びスタビライザ可変機構のうちの少なくともいずれか1つの可変機構を動作させることを特徴とする請求項7記載の空気調和機。
- 所定の時間間隔で前記空気流路の通風抵抗に関連する量を計測する検知手段、前記検知手段で計測したデータを時系列で記憶する記憶手段、前記記憶した時系列の計測データのばらつきを演算する演算手段を備え、前記演算手段で演算した計測データのばらつきの変化に応じて、前記渦巻き部可変機構及び前記吹出口下側案内部可変機構及び前記吹出口上側案内部可変機構及びスタビライザ可変機構のうちの少なくともいずれか1つの可変機構を動作させることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の空気調和機。
- 前記空気流路の通風抵抗が増加する方向に変化したときに、前記渦巻き部可変機構を動作させて前記羽根車と前記スクロールケーシング渦巻き部の間の流路断面積が大きくなるように変位させることを特徴とする請求項5乃至請求項9のいずれか1項に記載の空気調和機。
- 前記空気流路の通風抵抗が増加する方向に変化したときに、前記吹出口下側案内部可変機構を動作させて前記吹出ダクトの流路断面積が小さくなるように変位させることを特徴とする請求項5乃至請求項10のいずれか1項に記載の空気調和機。
- 前記空気流路の通風抵抗が増加する方向に変化したときに、前記吹出口上側案内部可変機構を動作させて前記吹出ダクトの流路断面積が小さくなるように変位させることを特徴とする請求項5乃至請求項11のいずれか1項に記載の空気調和機。
- 前記空気流路の通風抵抗が増加する方向に変化したときに、スタビライザ可変機構を動作させて前記羽根車と前記スタビライザとの間の最少隙間が小さくなるように変位させることを特徴とする請求項5乃至請求項12のいずれか1項に記載の空気調和機。
- 段階的に前記空気流路の状態を表示しうる表示部を備え、可変機構の可動状態に応じて表示を変化させることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の空気調和機。
- 空気吸込口と空気吹出口とを連通する空気流路が内部に設けられたユニット筐体と、前記空気流路内に配置され前記空気吸込口から吸込んだ空気を前記空気吹出口から室内へ送風する羽根車と、前記空気吹出口の水分量を検知する結露検知手段と、を備え、前記結露検知手段で検知した水分量の変化によって前記羽根車の上流側の通風抵抗の変化を検知することを特徴とする空気調和機。
- 空気吸込口と空気吹出口とを連通する空気流路が内部に設けられたユニット筐体と、前記空気流路内に配置され前記空気吸込口から吸込んだ空気を前記空気吹出口から室内へ送風する羽根車と、所定の時間間隔で前記羽根車の電流値または回転数または電圧値または入力電力値を計測する検知手段と、前記検知手段で計測したデータを時系列で記憶する記憶手段と、前記記憶した時系列の計測データのばらつきを演算する演算手段と、を備え、前記演算手段で演算した計測データのばらつきの変化によって前記羽根車の上流側の通風抵抗の変化を検知することを特徴とする空気調和機。
- 羽根車の回転方向後方側の風路部材を変位させて、前記羽根車から吹出口までの空気流路のうちの上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方を独立して変化可能な室内ユニットを運転するステップと、前記羽根車の上流側の通風抵抗の変化を検知して前記空気流路の壁面に空気流の剥離の発生を確認するステップと、前記空気流の剥離の発生を確認した後に前記空気流路の上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方を前記空気流の剥離を減少させる方向に変化させるステップと、を備え、前記羽根車を回転させるための入力を減らすようにした空気調和機の室内ユニットの運転方法。
- 前記羽根車のモータの電流値または回転数または電圧値または入力電力値の変化、若しくは前記羽根車のモータの電流値または回転数または電圧値または入力電力値の時系列データのばらつきの変化を検知することで、前記羽根車の上流側の通風抵抗の変化を検知することを特徴とする請求項17記載の空気調和機の室内ユニットの運転方法。
- 前記羽根車よりも上流側の通風抵抗が増加する方向に変化したのを検知したときに、前記空気流路の上流側の流路断面積を大きくして、前記空気流路の上流側に生じる空気流の剥離を減少させることを特徴とする請求項17または請求項18記載の空気調和機の室内ユニットの運転方法。
- 前記羽根車よりも上流側の通風抵抗が増加する方向に変化したのを検知したときに、前記空気流路の下流側の流路断面積を小さくして、前記空気流路の下流側に生じる空気流の剥離を減少させることを特徴とする請求項17または請求項18または請求項19記載の空気調和機の室内ユニットの運転方法。
- 羽根車の回転方向後方側の風路部材を変位させて、前記羽根車から吹出口までの空気流路のうちの上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方を独立して変化可能な可変機構を有する室内ユニットを運転するステップと、前記羽根車の上流側の通風抵抗の変化を検知して前記空気流路の壁面に空気流の剥離の発生を確認するステップと、前記空気流の剥離の発生を確認した後に前記空気流路の上流側の流路断面積と下流側の流路断面積の少なくともいずれか一方を前記空気流の剥離を減少させる方向に変化させるように前記可変機構を制御するステップと、を備え、前記羽根車を回転させるための入力を減らすようにした空気調和機の室内ユニットの制御方法。
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Legal Events
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