JP2004291356A - 連続可塑化式射出成形装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】アキュームレータ装置のシリンダ内に貯溜された可塑化樹脂の変質を防止して品質の安定した成形品を得ることができる連続可塑化式射出成形装置を提供することにある。
【解決手段】合成樹脂材料を可塑化する連続可塑化装置11と、連続可塑化装置の流出路19と連通するシリンダ30及びこのシリンダ内に設けられたピストン31とからなり、前記連続可塑化装置から供給された可塑化樹脂を一時的に貯溜するアキュームレータ装置12と、アキュームレータ装置から供給された可塑化樹脂を計量・射出する射出装置13とを備え、アキュームレータ装置のピストンをシリンダ内に回転可能に保持するとともに、ピストンを回転駆動する駆動源としてのサーボモータ50を設けたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】合成樹脂材料を可塑化する連続可塑化装置11と、連続可塑化装置の流出路19と連通するシリンダ30及びこのシリンダ内に設けられたピストン31とからなり、前記連続可塑化装置から供給された可塑化樹脂を一時的に貯溜するアキュームレータ装置12と、アキュームレータ装置から供給された可塑化樹脂を計量・射出する射出装置13とを備え、アキュームレータ装置のピストンをシリンダ内に回転可能に保持するとともに、ピストンを回転駆動する駆動源としてのサーボモータ50を設けたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、アキュームレータ装置を介して合成樹脂材料を可塑化する連続可塑化装置と射出装置とを接続した連続可塑化式射出成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
射出成形用金型に溶融樹脂を射出して成形品を成形する射出成形装置において、合成樹脂材料を可塑化する連続可塑化装置と、可塑化樹脂を計量して射出成形用金型に射出する射出装置との間にアキュームレータ装置を設け、連続可塑化装置から供給された可塑化樹脂をアキュームレータ装置に一時的に貯溜し、射出装置の計量タイミングに合わせてアキュームレータ装置のシリンダに貯溜されている可塑化樹脂をピストンによって射出装置に供給する連続可塑化式射出成形装置が知られている(例えば、特許文献1〜7参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特許第3,007,920号公報
【0004】
【特許文献2】
特許第3,062,629号公報
【0005】
【特許文献3】
特許第3,077,048号公報
【0006】
【特許文献4】
特許第3,146,368号公報
【0007】
【特許文献5】
特許第3,256,914号公報
【0008】
【特許文献6】
特許第3,281,995号公報
【0009】
【特許文献7】
特許第3,303,213号公報。
【0010】
この連続可塑化式射出成形装置は、連続可塑化装置が連続運転され、連続可塑化装置から可塑化樹脂がアキュームレータ装置に押出されると、アキュームレータ装置のシリンダ内のピストンが樹脂吐出圧によって押し上げられることにより、連続可塑化装置からアキュームレータ装置のシリンダに供給される。また、シリンダ内のピストンが駆動装置によって押し下げられ、シリンダの開閉バルブが開くと、シリンダ内に貯溜されている可塑化樹脂が射出装置の射出シリンダに供給される。
【0011】
射出シリンダの射出プランジャが後退して1回の射出に必要な量の可塑化樹脂を計量すると、シリンダの開閉バルブが閉じ、射出プランジャが前進するとともに、射出シリンダの開閉バルブが開くと、射出シリンダから射出成形用金型に可塑化樹脂が射出され、1回の成形サイクルが終了するようになっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述した連続可塑化式射出成形装置の連続可塑化装置は、連続運転であるのに対し、射出装置は間欠運転である。従って、射出装置が射出運転している間に連続可塑化装置から可塑化樹脂がアキュームレータ装置に供給されて蓄積される。すなわち、アキュームレータ装置のシリンダ内のピストンを可塑化樹脂によって押し上げつつ、連続可塑化装置から可塑化樹脂がアキュームレータ装置のシリンダ内に供給されて蓄積される。
【0013】
従って、アキュームレータ装置のシリンダ内に貯溜された可塑化樹脂は、周囲からヒータによって加熱された状態で、ほとんど動きがない状態で貯溜されている。シリンダ内の可塑化樹脂が停止状態であると、可塑化樹脂がヒータによって十分に加熱される部分と十分に加熱されない部分とが発生し、熱影響にバラツキができ、また、この間に与えられた熱によってモロフォロジーに変化がでたり、材料の変質を招くという虞がある。
【0014】
この発明は、前記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、アキュームレータ装置のシリンダ内に貯溜された可塑化樹脂を撹拌することにより、熱履歴のアンバランスを解消し、材料の変質を防止して品質の安定した成形品を得ることができる連続可塑化式射出成形装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前述した目的を達成するために、請求項1は、合成樹脂材料を可塑化する連続可塑化装置と、前記連続可塑化装置の流出路と連通するシリンダ及びこのシリンダ内に設けられたピストンとからなり、前記連続可塑化装置から供給された可塑化樹脂を一時的に貯溜するアキュームレータ装置と、前記アキュームレータ装置から供給された可塑化樹脂を計量・射出する射出装置とを備え、前記アキュームレータ装置のピストンを前記シリンダ内に回転可能に保持するとともに、前記ピストンを回転駆動する駆動源を設けたことを特徴とする連続可塑化式射出成形装置にある。
【0016】
請求項2は、請求項1の前記駆動源は、前記ピストンの回転を停止させたとき、特定の位置で停止させることができることを特徴とする。
【0017】
請求項3は、請求項1または2の前記ピストンは、前記シリンダ内に貯溜された可塑化樹脂を撹拌する撹拌部材を備えていることを特徴とする。
【0018】
前記構成によれば、アキュームレータ装置に貯溜された可塑化樹脂は、シリンダ内で回転するピストンによって撹拌される。従って、熱履歴のアンバランスを解消し、材料の変質を防止できる。また、ピストンに撹拌部材を設けることにより、可塑化樹脂を効率良く撹拌することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1及び図2は第1の実施形態を示し、図1は連続可塑化式射出成形装置の概略的構成図である。まず、概略的構成を説明すると、連続可塑化式射出成形装置は、合成樹脂材料を可塑化する連続可塑化装置11と、この連続可塑化装置11と連通して設けられ、供給された可塑化樹脂を一時的に貯溜するアキュームレータ装置12と、このアキュームレータ装置12から供給された可塑化樹脂を計量・射出する射出装置13及び制御盤を含む制御部14とから構成されている。
【0021】
次に、前記連続可塑化装置11について説明すると、横型の可塑化シリンダ15の内部には平行2軸の可塑化スクリュ16が設けられている。可塑化シリンダ15の基端側における上部にはホッパ17を有する供給口18が設けられている。可塑化シリンダ15の先端側には流出路19が設けられている。また、可塑化シリンダ15の周囲にはヒータ15aが巻装され、可塑化シリンダ15の内部の合成樹脂材料を加熱溶融するようになっている。
【0022】
ホッパ17のさらに上部には合成樹脂材料を供給するフィーダ20が設けられている。このフィーダ20はフィーダシリンダ21とスクリュ22とからなり、スクリュ22はサーボモータ23によって回転されるようになっている。フィーダシリンダ21の基端側の上部にはパウダー状の合成樹脂材料を供給する材料供給ホッパ24が設けられ、先端側の下部には材料排出口25が設けられている。そして、スクリュ22の回転によって合成樹脂材料を材料排出口25から可塑化シリンダ15のホッパ17に供給できる定量式フィーダを構成している。しかし、定量式フィーダに限定されず、重量式フィーダであってもよい。
【0023】
前記平行2軸の可塑化スクリュ16は、インバータモータ26の回転軸27からギアボックス28を介して回転力が伝達され、同方向に同一速度で回転するようになっている。この可塑化スクリュ16は軸方向の基端側から先端側に向かって例えばフィード部、混練部、圧縮部として機能するように、スクリュの形状が異なるスクリュエレメントに分割されている。しかも、平行2軸の可塑化スクリュ16が可塑化シリンダ15の内部で接触しながら同方向に連続回転して合成樹脂材料をヒータ15aによって加熱しながら混練するようになっている。
【0024】
従って、連続可塑化装置11は、供給される合成樹脂材料がパウダー、粉砕物でも加熱しながら混練して可塑化することが可能である。従来の一般的な可塑化装置は、1軸の可塑化スクリュであるため混練能力が低い。このため、パウダー状の合成樹脂材料を加熱・混練してペレット状に造粒し、ペレット状の合成樹脂を可塑化装置に供給しているが、本装置の連続可塑化装置11によれば、パウダー状の合成樹脂材料を可塑化できることから造粒工程が省け、省力化、省エネルギー化を図ることができる。
【0025】
次に、前記アキュームレータ装置11について説明すると、縦型のシリンダ30を備え、シリンダ30の内部のアキュームレータ室29にはピストン31が上下方向に移動自在に設けられている。シリンダ30の周囲にはヒータ30aが巻装され、内部の可塑化樹脂を加熱して可塑化状態に保つようになっている。
【0026】
シリンダ30の側壁には開口が設けられ、この開口は可塑化シリンダ15の流出路19と連通している。さらに、シリンダ30の下端部には樹脂流出路32が設けられ、この樹脂流出路32にはロータリバルブからなる第1の開閉バルブ33が設けられている。
【0027】
ピストン31の本体部34はシリンダ30の内周面に密接する外径に形成され、この本体部34の下端部は流出路19側が高く、これと反対側が低くなるように傾斜面34aが形成されている。さらに、傾斜面34aより下方に突出してシリンダ30の内径より小径の突出小径部35が設けられている。従って、ピストン31が下限位置にあるとき、傾斜面34aの最も高い位置が流出路19より上部に位置し、突出小径部35とシリンダ30の内周面との間に環状流路36が形成されるようになっている。
【0028】
ピストン31のピストンロッド45はシリンダ30の上端部に設けられた貫通穴30bを貫通して上方へ突出しており、ピストンロッド45は駆動装置としての油圧シリンダ38のプランジャ37に連結されている。油圧シリンダ38の上室38aは第1のリリーフ弁39、第1の切換え弁40を介してタンク41に接続されている。そして、上室38aの圧力が第1のリリーフ弁39の設定圧力P1を越えると、上室38a内の圧油をタンク41へ逃すとともに、第1の切換え弁40を切換えることにより、第1の油圧源42から所定の圧力及び流量に制御された圧油を第1の切換え弁40、チェック弁43を介して供給されるようになっている。油圧シリンダ38の下室38bは、第1の切換え弁40に接続されている。
【0029】
アキュームレータ装置12のピストン31はシリンダ30内で回転駆動されるようになっており、その回転駆動部31aは、図2に示すように構成されている。すなわち、ピストンロッド45は、ピストン側ロッド45aとプランジャ側ロッド45bとに2分割されている。ピストン側ロッド45aの基端部にはガイド部材46に設けられたベアリング46aに回転自在に支持されている。ピストン側ロッド45aにはスプライン47が設けられている。このスプライン47にはベアリング支持部材48aに支持されたベアリング48bに回転自在支持された従動プーリ48がスプライン係合している。
【0030】
また、ガイド部材46にはガイド孔46bが設けられ、このガイド孔46bには油圧シリンダ38に取付けられたガイドバー49が相対的に移動自在挿入されている。すなわち、ガイド部材46はガイドバー49をガイドとして進退移動できるようになっている。
【0031】
さらに、駆動源として、例えばエンコーダ付きのサーボモータ50がフレーム等に固定されている。このサーボモータ50の回転軸には駆動プーリ51が嵌着されている。そして、駆動プーリ51と従動プーリ48との間にはタイミングベルト52が掛け渡され、サーボモータ50の回転をピストンロッド45に伝達させるようになっている。
【0032】
次に、前記射出装置13について説明すると、横型の射出シリンダ54の内部には射出プランジャ55が進退自在に設けられている。射出シリンダ54の周囲には内部の可塑化樹脂を加熱して溶融状態を保つヒータ53が巻装されている。さらに、射出シリンダ54の先端側の内腔には計量室56が形成され、この計量室56はアキュームレータ装置11のシリンダ30に設けられた樹脂流出路32と連通している。計量室56はロータリバルブからなる第2の開閉バルブ57を介して射出ノズル58に接続されている。
【0033】
射出シリンダ54の後端部には貫通穴59が設けられ、射出プランジャ55のプランジャロッド60は貫通穴59を貫通して射出駆動部としての油圧シリンダ61のプランジャ62に連結されている。
【0034】
油圧シリンダ61の後室61aは第2のリリーフ弁63、第2の切換え弁64を介してタンク65に接続されている。そして、後室61aの圧力が第2のリリーフ弁63の設定圧力P2を越えると、後室61a内の圧油をタンク65へ逃すとともに、第2の切換え弁64を切換えることにより、第2の油圧源66から所定の圧力及び流量に制御された圧油を第2の切換え弁64、チェック弁67を介して供給されるようになっている。油圧シリンダ61の前室61bは、第1の切換え弁64に接続されている。
【0035】
前記第1、第2のリリーフ弁39,63の設定圧力P1,P2は、連続可塑化装置11の流出路19から押出される可塑化樹脂の圧力すなわち連続可塑化装置11の背圧を可塑化に適した適宜な値に保つように設定され、該背圧を所望の値に保ちつつアキュームレータ装置12のアキュームレータ室29、計量室56への可塑化樹脂の流入に従ってピストン31、射出プランジャ55をそれぞれ後退させるようになっている。
【0036】
前記フィーダ20のサーボモータ23、連続可塑化装置11のインバータモータ26、第1の開閉バルブ33、第2の開閉バルブ57は制御部14によって制御されるようになっている。
【0037】
また、射出シリンダ54の射出ノズル58は、射出時に射出成形用金型70のノズルタッチ面71に接合されるようになっている。射出成形用金型70にはノズルタッチ面71と樹脂通路72を介して連通するキャビティ73が設けられている。また、キャビティ73の周囲には冷却水を循環してキャビティ73に充填された可塑化樹脂を冷却する冷却水路74が設けられている。
【0038】
次に、前述のように構成された連続可塑化式射出成形装置の作用について説明する。フィーダ20の材料供給ホッパ24及びフィーダシリンダ21には合成樹脂材料、例えばポリプロピレン等のパウダーとマイカ等の強化あるいは充填材料が混入された材料が収容されている。サーボモータ23が駆動し、スクリュ22が回転すると、フィーダシリンダ21内の合成樹脂材料は排出路25から連続可塑化装置11のホッパ17に落下し、供給口18を介して可塑化シリンダ15に供給される。なお、ポリプロピレン等のパウダーとマイカ等の強化あるいは充填材料を別々のフィーダによって供給してもよい。
【0039】
連続可塑化装置11のインバータモータ26は連続駆動しており、インバータモータ26の回転軸27の回転はギアボックス28を介して2軸の可塑化スクリュ16に伝達される。可塑化スクリュ16は軸方向にフィード部、混練部、圧縮部としての機能するスクリュを持ち、可塑化シリンダ15の内部で接触しながら同方向に連続回転し、しかもヒータ15aによって加熱されているため、パウダー状の合成樹脂材料は均一に加熱溶融・混練されて可塑化樹脂となる。
【0040】
シリンダ30の第1の開閉バルブ33を閉じ、第1の切換え弁40が図示の状態で、アキュームレータ装置12に可塑化樹脂が蓄積される。従って、可塑化シリンダ15の流出路19から可塑化樹脂が押出され、アキュームレータ装置12のシリンダ30に流出すると、可塑化樹脂はピストン31を押し上げる。
【0041】
このとき、ピストン31の上昇は第1のリリーフ弁39の設定圧力により制御されつつアキュームレータ室29を拡大させて、その内部に可塑化樹脂が蓄積される。
【0042】
この間、射出装置13の射出プランジャ55は1サイクル前の射出及び保圧工程を行っている。保圧工程中、制御部14からサーボモータ50に駆動信号が入力され、サーボモータ50の回転は駆動プーリ51、タイミングベルト52、従動プーリ48の順に動力伝達されてピストンロッド45が回転する。ピストンロッド45が回転すると、これと一体のピストン31はシリンダ30内で回転するため、シリンダ30内に貯溜されている可塑化樹脂は撹拌される。
【0043】
このとき、ピストン30は流出路19側が高く、これと反対側が低くなるように傾斜面34aを有している。さらに、傾斜面34aより下方に突出する突出小径部35を有している。従って、ピストン30が軸心を中心として回転すると、傾斜面34aが掬い面として作用し、可塑化樹脂を効率的に撹拌することができる。従って、シリンダ30内に貯溜されている間に可塑化樹脂の熱履歴のアンバランスを解消でき、可塑化樹脂の変質を防止できる。
【0044】
保圧工程が完了すると、制御部14からの指令信号によってサーボモータ50は停止するが、エンコーダによって回転開始位置と同じ位置で停止することにより、ピストン30を図示の位置、つまり傾斜面34aが流出路19に向いた位置で停止させることができる。ピストン30が停止すると、第2の開閉バルブ57を閉じ、第2の切換え弁64を図示の中立位置に戻し、第1の開閉弁33を開く。
【0045】
次に、第1の切換え弁40を図示の位置から左方へ移動させて右方の切換え位置に切換え、第1の油圧源42から所定圧力且つ所定流量の圧油をチェック弁43を介して油圧シリンダ38の上室38aへ供給する。これによりピストン31は所定の速度で下降する。このとき、油圧シリンダ61の後室61aは第2のリリーフ弁63、第2の切換え弁64を介してタンク65に接続され、第2のリリーフ弁63は前述したように第1のリリーフ弁39と同様に流出路19の背圧を所定置に保つようにその設定圧力P2が設定されているため、アキュームレータ室29内の可塑化樹脂は流出路19からの可塑化樹脂の供給を阻止することなく、下方の流出路32から第1の開閉バルブ33を通って計量室56に流入し、射出プランジャ55を後退させる。
【0046】
アキュームレータ装置12のピストン31は、図示の押出限位置まで下降し、この位置に保持される。このときアキュームレータ室29及び連続可塑化装置11から合流して計量室56へ送られる可塑化樹脂の量は1回の射出に必要な量と等しいかそれより少ない量で定められている。
【0047】
ピストン31が押出限位置に位置したとき、アキュームレータ室29には環状流路36が形成されるため、流出路19から連続的に押出される可塑化樹脂は環状流路36を介して計量室56へ滞留することなく送られる。
【0048】
このようにして1回の射出に必要な所定量の可塑化樹脂が計量されると、第1の開閉バルブ33を閉じるとともに、第2の開閉バルブ57を開き、第2の切換え弁64を図示の位置から左方へ移動させて右方の切換え位置に切換え、第2の油圧源66からチェック弁67を介して油圧シリンダ61の後室61aへ圧油を供給し、射出プランジャ55を前進させ、計量室56内の可塑化樹脂を射出ノズル58から射出成形用金型70のキャビティ73に射出して成形を行う。
【0049】
ここで、再び、1の開閉バルブ33を閉じると同時に第1の切換え弁40を図示の中立位置に切換え、流出路19から連続的に送り出される可塑化樹脂を再びアキュームレータ室29内に蓄積する。
【0050】
前述したように、連続可塑化装置11が連続運転するのに対し、射出装置13は間欠的に動作して可塑化樹脂を射出成形用金型70に射出して成形を行うため、連続可塑化装置11から連続的に送り出される可塑化樹脂をアキュームレータ装置12に一時的に貯溜し、ここでピストン31を回転させ、シリンダ30内の可塑化樹脂を撹拌させて待機し、射出装置13の計量タイミングに合わせてアキュームレータ装置12から可塑化樹脂を計量室56に流入することができる。
【0051】
第1の実施形態においては、ピストン31を一方向に連続回転する場合について説明したが、間欠回転させてもよく、反転させてもよく、これらは制御部14からの制御信号によって任意に制御できる。
【0052】
また、サーボモータ50の回転をプーリとベルトによってピストンロッド45に回転を伝達させているが、プーリとベルトに代ってスプロケットとチェーン、あるいはギア機構で動力伝達させてもよい。
【0053】
また、第1の実施形態においては、アキュームレータ装置12のピストン30を回転させるサーボモータ50は、制御部14からの指令信号によって停止するが、エンコーダによって回転開始位置と同じ位置で停止することにより、ピストン30を図示の位置、つまり傾斜面34aが流出路19に向いた位置で停止させるようにした。しかし、サーボモータに限定されず、回転角固定の揺動モータ、ステッピングモータでもよく、割出し機構、例えばロッドの周方向にガイド溝を設け、このガイド溝に係合するピンとによってピストン30が所定の回動位置に到達したとき機械的に停止するようにしてもよい。
【0054】
図3は第2の実施形態を示し、アキュームレータ装置12のシリンダ30内に設けられたピストン31に撹拌部材を設けたもので、(a)はピストン31の本体部34から突出する小径突出部35の外周面に複数枚のプレート状の撹拌部材75を放射状に突設したものである。また、(b)は同じく小径突出部35の外周面に複数本のピン状の撹拌部材76を放射状に突設させたものである。
【0055】
(c)はピストン41の本体部34に空洞部77を設けるとともに、傾斜面34aに凹陥部78を設けている。そして、空洞部77に小型サーボモータ79を収納し、凹陥部78に本体部34とは別体の小径突出部80を収納している。サーボモータ79の回転軸81は小径突出部80が直結され、サーボモータ79によって小径突出部80が回転するようになっている。そして、小径突出部80の外周面に撹拌部材81を設けたものである。なお、82はシール部材である。
【0056】
このようにピストン31の小径突出部35,80に撹拌部材75,76,81を設けることにより、シリンダ30内の可塑化樹脂を効率的に撹拌することができる。また、図3(c)の実施形態によれば、第1の実施形態に示すようなピストンロッド45を回転させるサーボモータ50及び動力伝達系が不要となる。
【0057】
また、アキュームレータ装置12及び射出装置13に油圧シリンダ38,61を用い、油圧によって駆動するようにしたが、駆動装置としてはサーボモータとボールねじ・ナットによって回転運動を直線運動に変換して駆動するようにしてもよい。なお、アキュームレータ装置12の油圧シリンダ38に代ってサーボモータとボールねじ・ナットを採用した場合、撹拌のためにピストンの小径突出部を回転させる際には図3(c)に示した実施形態が有効である。
【0058】
なお、この発明は、前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組合わせてもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、アキュームレータ装置に貯溜された可塑化樹脂は、シリンダ内で回転するピストンによって撹拌され、熱履歴のアンバランスを解消し、材料の変質を防止できる。さらに、ピストンに撹拌部材を設けることにより、可塑化樹脂を効率良く撹拌することができ、材料の変質を防止して品質の安定した成形品を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態を示す連続可塑化式射出成形装置の概略的構成図。
【図2】同実施形態を示すピストン回転駆動部の概略的構成図。
【図3】この発明の第2の実施形態を示し、(a)(b)はピストンの側面図、(c)はピストンの縦断側面図。
【符号の説明】
11…連続可塑化装置、12…アキュームレータ装置、13…射出装置、14…制御部、29…アキュームレータ室、30…シリンダ、31…ピストン、47…サーボモータ(駆動源)
【発明の属する技術分野】
この発明は、アキュームレータ装置を介して合成樹脂材料を可塑化する連続可塑化装置と射出装置とを接続した連続可塑化式射出成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
射出成形用金型に溶融樹脂を射出して成形品を成形する射出成形装置において、合成樹脂材料を可塑化する連続可塑化装置と、可塑化樹脂を計量して射出成形用金型に射出する射出装置との間にアキュームレータ装置を設け、連続可塑化装置から供給された可塑化樹脂をアキュームレータ装置に一時的に貯溜し、射出装置の計量タイミングに合わせてアキュームレータ装置のシリンダに貯溜されている可塑化樹脂をピストンによって射出装置に供給する連続可塑化式射出成形装置が知られている(例えば、特許文献1〜7参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特許第3,007,920号公報
【0004】
【特許文献2】
特許第3,062,629号公報
【0005】
【特許文献3】
特許第3,077,048号公報
【0006】
【特許文献4】
特許第3,146,368号公報
【0007】
【特許文献5】
特許第3,256,914号公報
【0008】
【特許文献6】
特許第3,281,995号公報
【0009】
【特許文献7】
特許第3,303,213号公報。
【0010】
この連続可塑化式射出成形装置は、連続可塑化装置が連続運転され、連続可塑化装置から可塑化樹脂がアキュームレータ装置に押出されると、アキュームレータ装置のシリンダ内のピストンが樹脂吐出圧によって押し上げられることにより、連続可塑化装置からアキュームレータ装置のシリンダに供給される。また、シリンダ内のピストンが駆動装置によって押し下げられ、シリンダの開閉バルブが開くと、シリンダ内に貯溜されている可塑化樹脂が射出装置の射出シリンダに供給される。
【0011】
射出シリンダの射出プランジャが後退して1回の射出に必要な量の可塑化樹脂を計量すると、シリンダの開閉バルブが閉じ、射出プランジャが前進するとともに、射出シリンダの開閉バルブが開くと、射出シリンダから射出成形用金型に可塑化樹脂が射出され、1回の成形サイクルが終了するようになっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述した連続可塑化式射出成形装置の連続可塑化装置は、連続運転であるのに対し、射出装置は間欠運転である。従って、射出装置が射出運転している間に連続可塑化装置から可塑化樹脂がアキュームレータ装置に供給されて蓄積される。すなわち、アキュームレータ装置のシリンダ内のピストンを可塑化樹脂によって押し上げつつ、連続可塑化装置から可塑化樹脂がアキュームレータ装置のシリンダ内に供給されて蓄積される。
【0013】
従って、アキュームレータ装置のシリンダ内に貯溜された可塑化樹脂は、周囲からヒータによって加熱された状態で、ほとんど動きがない状態で貯溜されている。シリンダ内の可塑化樹脂が停止状態であると、可塑化樹脂がヒータによって十分に加熱される部分と十分に加熱されない部分とが発生し、熱影響にバラツキができ、また、この間に与えられた熱によってモロフォロジーに変化がでたり、材料の変質を招くという虞がある。
【0014】
この発明は、前記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、アキュームレータ装置のシリンダ内に貯溜された可塑化樹脂を撹拌することにより、熱履歴のアンバランスを解消し、材料の変質を防止して品質の安定した成形品を得ることができる連続可塑化式射出成形装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前述した目的を達成するために、請求項1は、合成樹脂材料を可塑化する連続可塑化装置と、前記連続可塑化装置の流出路と連通するシリンダ及びこのシリンダ内に設けられたピストンとからなり、前記連続可塑化装置から供給された可塑化樹脂を一時的に貯溜するアキュームレータ装置と、前記アキュームレータ装置から供給された可塑化樹脂を計量・射出する射出装置とを備え、前記アキュームレータ装置のピストンを前記シリンダ内に回転可能に保持するとともに、前記ピストンを回転駆動する駆動源を設けたことを特徴とする連続可塑化式射出成形装置にある。
【0016】
請求項2は、請求項1の前記駆動源は、前記ピストンの回転を停止させたとき、特定の位置で停止させることができることを特徴とする。
【0017】
請求項3は、請求項1または2の前記ピストンは、前記シリンダ内に貯溜された可塑化樹脂を撹拌する撹拌部材を備えていることを特徴とする。
【0018】
前記構成によれば、アキュームレータ装置に貯溜された可塑化樹脂は、シリンダ内で回転するピストンによって撹拌される。従って、熱履歴のアンバランスを解消し、材料の変質を防止できる。また、ピストンに撹拌部材を設けることにより、可塑化樹脂を効率良く撹拌することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1及び図2は第1の実施形態を示し、図1は連続可塑化式射出成形装置の概略的構成図である。まず、概略的構成を説明すると、連続可塑化式射出成形装置は、合成樹脂材料を可塑化する連続可塑化装置11と、この連続可塑化装置11と連通して設けられ、供給された可塑化樹脂を一時的に貯溜するアキュームレータ装置12と、このアキュームレータ装置12から供給された可塑化樹脂を計量・射出する射出装置13及び制御盤を含む制御部14とから構成されている。
【0021】
次に、前記連続可塑化装置11について説明すると、横型の可塑化シリンダ15の内部には平行2軸の可塑化スクリュ16が設けられている。可塑化シリンダ15の基端側における上部にはホッパ17を有する供給口18が設けられている。可塑化シリンダ15の先端側には流出路19が設けられている。また、可塑化シリンダ15の周囲にはヒータ15aが巻装され、可塑化シリンダ15の内部の合成樹脂材料を加熱溶融するようになっている。
【0022】
ホッパ17のさらに上部には合成樹脂材料を供給するフィーダ20が設けられている。このフィーダ20はフィーダシリンダ21とスクリュ22とからなり、スクリュ22はサーボモータ23によって回転されるようになっている。フィーダシリンダ21の基端側の上部にはパウダー状の合成樹脂材料を供給する材料供給ホッパ24が設けられ、先端側の下部には材料排出口25が設けられている。そして、スクリュ22の回転によって合成樹脂材料を材料排出口25から可塑化シリンダ15のホッパ17に供給できる定量式フィーダを構成している。しかし、定量式フィーダに限定されず、重量式フィーダであってもよい。
【0023】
前記平行2軸の可塑化スクリュ16は、インバータモータ26の回転軸27からギアボックス28を介して回転力が伝達され、同方向に同一速度で回転するようになっている。この可塑化スクリュ16は軸方向の基端側から先端側に向かって例えばフィード部、混練部、圧縮部として機能するように、スクリュの形状が異なるスクリュエレメントに分割されている。しかも、平行2軸の可塑化スクリュ16が可塑化シリンダ15の内部で接触しながら同方向に連続回転して合成樹脂材料をヒータ15aによって加熱しながら混練するようになっている。
【0024】
従って、連続可塑化装置11は、供給される合成樹脂材料がパウダー、粉砕物でも加熱しながら混練して可塑化することが可能である。従来の一般的な可塑化装置は、1軸の可塑化スクリュであるため混練能力が低い。このため、パウダー状の合成樹脂材料を加熱・混練してペレット状に造粒し、ペレット状の合成樹脂を可塑化装置に供給しているが、本装置の連続可塑化装置11によれば、パウダー状の合成樹脂材料を可塑化できることから造粒工程が省け、省力化、省エネルギー化を図ることができる。
【0025】
次に、前記アキュームレータ装置11について説明すると、縦型のシリンダ30を備え、シリンダ30の内部のアキュームレータ室29にはピストン31が上下方向に移動自在に設けられている。シリンダ30の周囲にはヒータ30aが巻装され、内部の可塑化樹脂を加熱して可塑化状態に保つようになっている。
【0026】
シリンダ30の側壁には開口が設けられ、この開口は可塑化シリンダ15の流出路19と連通している。さらに、シリンダ30の下端部には樹脂流出路32が設けられ、この樹脂流出路32にはロータリバルブからなる第1の開閉バルブ33が設けられている。
【0027】
ピストン31の本体部34はシリンダ30の内周面に密接する外径に形成され、この本体部34の下端部は流出路19側が高く、これと反対側が低くなるように傾斜面34aが形成されている。さらに、傾斜面34aより下方に突出してシリンダ30の内径より小径の突出小径部35が設けられている。従って、ピストン31が下限位置にあるとき、傾斜面34aの最も高い位置が流出路19より上部に位置し、突出小径部35とシリンダ30の内周面との間に環状流路36が形成されるようになっている。
【0028】
ピストン31のピストンロッド45はシリンダ30の上端部に設けられた貫通穴30bを貫通して上方へ突出しており、ピストンロッド45は駆動装置としての油圧シリンダ38のプランジャ37に連結されている。油圧シリンダ38の上室38aは第1のリリーフ弁39、第1の切換え弁40を介してタンク41に接続されている。そして、上室38aの圧力が第1のリリーフ弁39の設定圧力P1を越えると、上室38a内の圧油をタンク41へ逃すとともに、第1の切換え弁40を切換えることにより、第1の油圧源42から所定の圧力及び流量に制御された圧油を第1の切換え弁40、チェック弁43を介して供給されるようになっている。油圧シリンダ38の下室38bは、第1の切換え弁40に接続されている。
【0029】
アキュームレータ装置12のピストン31はシリンダ30内で回転駆動されるようになっており、その回転駆動部31aは、図2に示すように構成されている。すなわち、ピストンロッド45は、ピストン側ロッド45aとプランジャ側ロッド45bとに2分割されている。ピストン側ロッド45aの基端部にはガイド部材46に設けられたベアリング46aに回転自在に支持されている。ピストン側ロッド45aにはスプライン47が設けられている。このスプライン47にはベアリング支持部材48aに支持されたベアリング48bに回転自在支持された従動プーリ48がスプライン係合している。
【0030】
また、ガイド部材46にはガイド孔46bが設けられ、このガイド孔46bには油圧シリンダ38に取付けられたガイドバー49が相対的に移動自在挿入されている。すなわち、ガイド部材46はガイドバー49をガイドとして進退移動できるようになっている。
【0031】
さらに、駆動源として、例えばエンコーダ付きのサーボモータ50がフレーム等に固定されている。このサーボモータ50の回転軸には駆動プーリ51が嵌着されている。そして、駆動プーリ51と従動プーリ48との間にはタイミングベルト52が掛け渡され、サーボモータ50の回転をピストンロッド45に伝達させるようになっている。
【0032】
次に、前記射出装置13について説明すると、横型の射出シリンダ54の内部には射出プランジャ55が進退自在に設けられている。射出シリンダ54の周囲には内部の可塑化樹脂を加熱して溶融状態を保つヒータ53が巻装されている。さらに、射出シリンダ54の先端側の内腔には計量室56が形成され、この計量室56はアキュームレータ装置11のシリンダ30に設けられた樹脂流出路32と連通している。計量室56はロータリバルブからなる第2の開閉バルブ57を介して射出ノズル58に接続されている。
【0033】
射出シリンダ54の後端部には貫通穴59が設けられ、射出プランジャ55のプランジャロッド60は貫通穴59を貫通して射出駆動部としての油圧シリンダ61のプランジャ62に連結されている。
【0034】
油圧シリンダ61の後室61aは第2のリリーフ弁63、第2の切換え弁64を介してタンク65に接続されている。そして、後室61aの圧力が第2のリリーフ弁63の設定圧力P2を越えると、後室61a内の圧油をタンク65へ逃すとともに、第2の切換え弁64を切換えることにより、第2の油圧源66から所定の圧力及び流量に制御された圧油を第2の切換え弁64、チェック弁67を介して供給されるようになっている。油圧シリンダ61の前室61bは、第1の切換え弁64に接続されている。
【0035】
前記第1、第2のリリーフ弁39,63の設定圧力P1,P2は、連続可塑化装置11の流出路19から押出される可塑化樹脂の圧力すなわち連続可塑化装置11の背圧を可塑化に適した適宜な値に保つように設定され、該背圧を所望の値に保ちつつアキュームレータ装置12のアキュームレータ室29、計量室56への可塑化樹脂の流入に従ってピストン31、射出プランジャ55をそれぞれ後退させるようになっている。
【0036】
前記フィーダ20のサーボモータ23、連続可塑化装置11のインバータモータ26、第1の開閉バルブ33、第2の開閉バルブ57は制御部14によって制御されるようになっている。
【0037】
また、射出シリンダ54の射出ノズル58は、射出時に射出成形用金型70のノズルタッチ面71に接合されるようになっている。射出成形用金型70にはノズルタッチ面71と樹脂通路72を介して連通するキャビティ73が設けられている。また、キャビティ73の周囲には冷却水を循環してキャビティ73に充填された可塑化樹脂を冷却する冷却水路74が設けられている。
【0038】
次に、前述のように構成された連続可塑化式射出成形装置の作用について説明する。フィーダ20の材料供給ホッパ24及びフィーダシリンダ21には合成樹脂材料、例えばポリプロピレン等のパウダーとマイカ等の強化あるいは充填材料が混入された材料が収容されている。サーボモータ23が駆動し、スクリュ22が回転すると、フィーダシリンダ21内の合成樹脂材料は排出路25から連続可塑化装置11のホッパ17に落下し、供給口18を介して可塑化シリンダ15に供給される。なお、ポリプロピレン等のパウダーとマイカ等の強化あるいは充填材料を別々のフィーダによって供給してもよい。
【0039】
連続可塑化装置11のインバータモータ26は連続駆動しており、インバータモータ26の回転軸27の回転はギアボックス28を介して2軸の可塑化スクリュ16に伝達される。可塑化スクリュ16は軸方向にフィード部、混練部、圧縮部としての機能するスクリュを持ち、可塑化シリンダ15の内部で接触しながら同方向に連続回転し、しかもヒータ15aによって加熱されているため、パウダー状の合成樹脂材料は均一に加熱溶融・混練されて可塑化樹脂となる。
【0040】
シリンダ30の第1の開閉バルブ33を閉じ、第1の切換え弁40が図示の状態で、アキュームレータ装置12に可塑化樹脂が蓄積される。従って、可塑化シリンダ15の流出路19から可塑化樹脂が押出され、アキュームレータ装置12のシリンダ30に流出すると、可塑化樹脂はピストン31を押し上げる。
【0041】
このとき、ピストン31の上昇は第1のリリーフ弁39の設定圧力により制御されつつアキュームレータ室29を拡大させて、その内部に可塑化樹脂が蓄積される。
【0042】
この間、射出装置13の射出プランジャ55は1サイクル前の射出及び保圧工程を行っている。保圧工程中、制御部14からサーボモータ50に駆動信号が入力され、サーボモータ50の回転は駆動プーリ51、タイミングベルト52、従動プーリ48の順に動力伝達されてピストンロッド45が回転する。ピストンロッド45が回転すると、これと一体のピストン31はシリンダ30内で回転するため、シリンダ30内に貯溜されている可塑化樹脂は撹拌される。
【0043】
このとき、ピストン30は流出路19側が高く、これと反対側が低くなるように傾斜面34aを有している。さらに、傾斜面34aより下方に突出する突出小径部35を有している。従って、ピストン30が軸心を中心として回転すると、傾斜面34aが掬い面として作用し、可塑化樹脂を効率的に撹拌することができる。従って、シリンダ30内に貯溜されている間に可塑化樹脂の熱履歴のアンバランスを解消でき、可塑化樹脂の変質を防止できる。
【0044】
保圧工程が完了すると、制御部14からの指令信号によってサーボモータ50は停止するが、エンコーダによって回転開始位置と同じ位置で停止することにより、ピストン30を図示の位置、つまり傾斜面34aが流出路19に向いた位置で停止させることができる。ピストン30が停止すると、第2の開閉バルブ57を閉じ、第2の切換え弁64を図示の中立位置に戻し、第1の開閉弁33を開く。
【0045】
次に、第1の切換え弁40を図示の位置から左方へ移動させて右方の切換え位置に切換え、第1の油圧源42から所定圧力且つ所定流量の圧油をチェック弁43を介して油圧シリンダ38の上室38aへ供給する。これによりピストン31は所定の速度で下降する。このとき、油圧シリンダ61の後室61aは第2のリリーフ弁63、第2の切換え弁64を介してタンク65に接続され、第2のリリーフ弁63は前述したように第1のリリーフ弁39と同様に流出路19の背圧を所定置に保つようにその設定圧力P2が設定されているため、アキュームレータ室29内の可塑化樹脂は流出路19からの可塑化樹脂の供給を阻止することなく、下方の流出路32から第1の開閉バルブ33を通って計量室56に流入し、射出プランジャ55を後退させる。
【0046】
アキュームレータ装置12のピストン31は、図示の押出限位置まで下降し、この位置に保持される。このときアキュームレータ室29及び連続可塑化装置11から合流して計量室56へ送られる可塑化樹脂の量は1回の射出に必要な量と等しいかそれより少ない量で定められている。
【0047】
ピストン31が押出限位置に位置したとき、アキュームレータ室29には環状流路36が形成されるため、流出路19から連続的に押出される可塑化樹脂は環状流路36を介して計量室56へ滞留することなく送られる。
【0048】
このようにして1回の射出に必要な所定量の可塑化樹脂が計量されると、第1の開閉バルブ33を閉じるとともに、第2の開閉バルブ57を開き、第2の切換え弁64を図示の位置から左方へ移動させて右方の切換え位置に切換え、第2の油圧源66からチェック弁67を介して油圧シリンダ61の後室61aへ圧油を供給し、射出プランジャ55を前進させ、計量室56内の可塑化樹脂を射出ノズル58から射出成形用金型70のキャビティ73に射出して成形を行う。
【0049】
ここで、再び、1の開閉バルブ33を閉じると同時に第1の切換え弁40を図示の中立位置に切換え、流出路19から連続的に送り出される可塑化樹脂を再びアキュームレータ室29内に蓄積する。
【0050】
前述したように、連続可塑化装置11が連続運転するのに対し、射出装置13は間欠的に動作して可塑化樹脂を射出成形用金型70に射出して成形を行うため、連続可塑化装置11から連続的に送り出される可塑化樹脂をアキュームレータ装置12に一時的に貯溜し、ここでピストン31を回転させ、シリンダ30内の可塑化樹脂を撹拌させて待機し、射出装置13の計量タイミングに合わせてアキュームレータ装置12から可塑化樹脂を計量室56に流入することができる。
【0051】
第1の実施形態においては、ピストン31を一方向に連続回転する場合について説明したが、間欠回転させてもよく、反転させてもよく、これらは制御部14からの制御信号によって任意に制御できる。
【0052】
また、サーボモータ50の回転をプーリとベルトによってピストンロッド45に回転を伝達させているが、プーリとベルトに代ってスプロケットとチェーン、あるいはギア機構で動力伝達させてもよい。
【0053】
また、第1の実施形態においては、アキュームレータ装置12のピストン30を回転させるサーボモータ50は、制御部14からの指令信号によって停止するが、エンコーダによって回転開始位置と同じ位置で停止することにより、ピストン30を図示の位置、つまり傾斜面34aが流出路19に向いた位置で停止させるようにした。しかし、サーボモータに限定されず、回転角固定の揺動モータ、ステッピングモータでもよく、割出し機構、例えばロッドの周方向にガイド溝を設け、このガイド溝に係合するピンとによってピストン30が所定の回動位置に到達したとき機械的に停止するようにしてもよい。
【0054】
図3は第2の実施形態を示し、アキュームレータ装置12のシリンダ30内に設けられたピストン31に撹拌部材を設けたもので、(a)はピストン31の本体部34から突出する小径突出部35の外周面に複数枚のプレート状の撹拌部材75を放射状に突設したものである。また、(b)は同じく小径突出部35の外周面に複数本のピン状の撹拌部材76を放射状に突設させたものである。
【0055】
(c)はピストン41の本体部34に空洞部77を設けるとともに、傾斜面34aに凹陥部78を設けている。そして、空洞部77に小型サーボモータ79を収納し、凹陥部78に本体部34とは別体の小径突出部80を収納している。サーボモータ79の回転軸81は小径突出部80が直結され、サーボモータ79によって小径突出部80が回転するようになっている。そして、小径突出部80の外周面に撹拌部材81を設けたものである。なお、82はシール部材である。
【0056】
このようにピストン31の小径突出部35,80に撹拌部材75,76,81を設けることにより、シリンダ30内の可塑化樹脂を効率的に撹拌することができる。また、図3(c)の実施形態によれば、第1の実施形態に示すようなピストンロッド45を回転させるサーボモータ50及び動力伝達系が不要となる。
【0057】
また、アキュームレータ装置12及び射出装置13に油圧シリンダ38,61を用い、油圧によって駆動するようにしたが、駆動装置としてはサーボモータとボールねじ・ナットによって回転運動を直線運動に変換して駆動するようにしてもよい。なお、アキュームレータ装置12の油圧シリンダ38に代ってサーボモータとボールねじ・ナットを採用した場合、撹拌のためにピストンの小径突出部を回転させる際には図3(c)に示した実施形態が有効である。
【0058】
なお、この発明は、前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組合わせてもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、アキュームレータ装置に貯溜された可塑化樹脂は、シリンダ内で回転するピストンによって撹拌され、熱履歴のアンバランスを解消し、材料の変質を防止できる。さらに、ピストンに撹拌部材を設けることにより、可塑化樹脂を効率良く撹拌することができ、材料の変質を防止して品質の安定した成形品を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態を示す連続可塑化式射出成形装置の概略的構成図。
【図2】同実施形態を示すピストン回転駆動部の概略的構成図。
【図3】この発明の第2の実施形態を示し、(a)(b)はピストンの側面図、(c)はピストンの縦断側面図。
【符号の説明】
11…連続可塑化装置、12…アキュームレータ装置、13…射出装置、14…制御部、29…アキュームレータ室、30…シリンダ、31…ピストン、47…サーボモータ(駆動源)
Claims (3)
- 合成樹脂材料を可塑化する連続可塑化装置と、
前記連続可塑化装置の流出路と連通するシリンダ及びこのシリンダ内に設けられたピストンとからなり、前記連続可塑化装置から供給された可塑化樹脂を一時的に貯溜するアキュームレータ装置と、
前記アキュームレータ装置から供給された可塑化樹脂を計量・射出する射出装置とを備え、
前記アキュームレータ装置のピストンを前記シリンダ内に回転可能に保持するとともに、前記ピストンを回転駆動する駆動源を設けたことを特徴とする連続可塑化式射出成形装置。 - 前記駆動源は、前記ピストンの回転を停止させたとき、特定の位置で停止させることができることを特徴とする請求項1記載の連続可塑化式射出成形装置。
- 前記ピストンは、前記シリンダ内に貯溜された可塑化樹脂を撹拌する撹拌部材を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の連続可塑化式射出成形装置。
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