JP2004284399A - 前部車体カバー構造 - Google Patents
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Abstract
【構成】フロントカウル7の上部に設けたフランジ部20にウインドスクリーン10の下部を重ねて取付ける。ウインドスクリーン10の下部中央には、通風口代用凹部25を設け、かつフランジ部20にもこれを収容する受け凹部36を設ける。かつフランジ部20の中央部には爪23を設け、ウインドスクリーン10の下端部と係合させる。開口上部7aから一体に内側へプレート部40を形成し、ここにヘッドライト8の上部を受ける。
【選択図】図4
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動2輪車等の車両に設けられる前部車体カバー構造に係り、特にウインドスクリーンに通風口を設けずにしかも設けたときと同様のデザイン的効果を実現できるようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
大型自動2輪車の車体前部を覆うため、フロントカウルと、その上部に取付けたウインドスクリーンに通風口を設けることは公知である。この通風口はウインドスクリーンの後方側に発生する負圧対策として設けられる。
【0003】
【特許文献1】特許第2688913号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例における通風口は、負圧対策以外にもスポーティ感を演出するデザイン的効果をも狙っている。しかしこのような通風口を設けると、この通風口から走行中に風や雨水がウインドスクリーンの後方側へ入り込むことがあるので、これを阻止するために前部車体カバーの構造が複雑化し、製造工数も増える。一方、小型車両等では、必ずしも通風口を設けなくても済む場合がある。しかし、通風口を設けないと前記スポーティ感を得ることができない。そこで本願発明は、通風口を省いた場合であっても、従来の通風口によって得られていたスポーティ感を実現できるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため前部車体カバー構造に係る請求項1は、車両の前部を覆うための車体カバーであって、フロントカウルと、その上部に設けられた透明のウインドスクリーンとを備えた前部車体カバーにおいて、前記ウインドスクリーンに、前方へ向かって開放されかつ後方へ凸の通風口代用凹部を設けたことを特徴とする。
【0006】
請求項2は上記請求項1において、前記通風口代用凹部は、前記ウインドスクリーンのうち、前記フロントカウルに設けられたフランジ部とオーバーラップする部分に設けられるとともに、このフランジ部に前記通風口代用凹部を収容するための受け凹部を設け、この受け凹部内に前記通風口代用凹部を収容することにより前記ウインドスクリーンとフランジ部を合わせ構造としたことを特徴とする。
【0007】
請求項3は上記請求項1において、前記通風口代用凹部の周囲にロゴ等の模様部を形成したことを特徴とする。
【0008】
請求項4は上記請求項1において、前記ウインドスクリーンとフロントカウルの接続部分に係合構造を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項5は上記請求項1において、前記フロントカウルの内側に、前記フロントカウルに支持されるヘッドライトの上面を受けるプレート部を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項6は上記請求項5において、前記フランジ部とプレート部間にリブを一体に設けたことを特徴とする。
【0011】
【発明の効果】
請求項1によれば、ウインドスクリーンに前方へ向かって開放された通風口代用凹部を設けたので、外見上はあたかも通風口が存在するように見え、この凹部によってスポーティ感を実現できる。したがって、ウインドスクリーンに通風口を設けずにしかも設けたときと同様のデザイン的効果を実現できる。また、この通風口代用凹部はウインドスクリーンを貫通していないので、風や雨水がウインドスクリーンの後方へ入り込むことはなく、通風口を設けた場合における風や雨水に対する複雑な構造やこれに伴う工数増大を不用にできる。
【0012】
そのうえ、風や雨水の侵入を考慮しないで済むため、ウインドスクリーン形状に関するデザイン上の自由度が向上する。しかも、通風口代用凹部はウインドスクリーンと一体に形成されるから、通風口を設けた場合と比べ、強度を大きくできる。
【0013】
請求項2によれば、ウインドスクリーンと通風口のフランジ部を合わせ構造としたので、ウインドスクリーンの強度を増すことができる。しかも、フランジ部に通風口代用凹部を収容する受け凹部を設けたので、ウインドスクリーンとフランジ部の合わせを確実にすることができる。また、フランジ部をメーターバイザーとすれば、メーターバイザーをウインドスクリーンへ接近させて車体前部をコンパクト化でき、かつ精悍さを出すことができる。
【0014】
請求項3によれば、通風口代用凹部に近接して模様部を設けたので、この模様部により通風口代用凹部を目につきやすくしてスポーティ感を増大できる。
また、フランジ部に着色すれば、これが模様部の背景色となって模様部を浮き立たせるので、視認性が向上する。
【0015】
請求項4によれば、ウインドスクリーンとフロントカウルの接続部を係合構造としたので、ウインドスクリーンをフロントカウルへ係合するだけで接続できる。このため組付けが容易になり、かつ強度を確保できる。
【0016】
請求項5によれば、フロントカウルの内側にプレート部を設け、ここでヘッドライトの上面を受けたので、重量のあるヘッドライトを支持するための強度を確保できる。
【0017】
請求項6によれば、フランジ部とプレート部間にリブを設けたので、プレート部の強度をさらに大きくして、ヘッドライトなどの重量物を支持できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて自動2輪車に適用された一実施形態を説明する。
図1は自動2輪車の側面図、図2は前部車体カバーの正面図、図3はその側面図、図4は図2の4−4線断面図、図5は図4の要部拡大図、図6は図2の6−6線断面図、図7はウインドスクリーンの正面図、図8はその側面図、図9は図7の9−9線断面図、図10は図3の10−10線断面図である。
【0019】
まず、図1により自動2輪車の全体構造を概説する。この自動2輪車は、ウインドスクリーンに対して通風口による負圧調節を不要とする程度の比較的小型の車両として構成され、その前輪1はフロントフォーク2の下端部に支持され、フロントフォーク2は上部をヘッドパイプ3へアッパーブラケット4とボトムブラケット5を介して回動自在に支持され、ハンドル6により操向される。
【0020】
ヘッドパイプ3の前方にはフロントカウル7が配置され、アッパーブラケット4の前端部へ側面後端部で取付けられている。フロントカウル7の前面にはヘッドライト8が設けられ、側面中央部にはウインカ9が設けられる。
【0021】
また、フロントカウル7の上部には透明のウインドスクリーン10が取付けられている。フロントカウル7の内側にはメーター11が配置され、アッパーブラケット4及びフロントカウル7に支持されている。
符号12は車体フレーム、13はエンジン、14はシート、15は燃料タンク、16はリヤスイングアーム、17はリヤクッション、18は後輪である。
【0022】
図2〜図4に示すように、フロントカウル7は前面中央部に大きなヘッドライト用の開口19(図4)が設けられ、この中にヘッドライト8が嵌合されている。図2に明らかなように、フロントカウル7の上部には正面視で略U字状をなすフランジ部20が設けられている。
【0023】
フランジ部20の上にウインドスクリーン10の下縁部21及び左右の側縁部22が重ねられて一体化し、下縁部21はフランジ部20の中央部へ一体に形成された爪23を係合する。左右の側縁部22はネジ24でフランジ部20へ締結される。ウインドスクリーン10は透明な適宜樹脂よりなる。
【0024】
ウインドスクリーン10の中央下部には通風口代用凹部25が一体に形成され、その上にロゴ等からなる模様部26が形成されている。模様部26はロゴ等の任意文字又は任意の模様等からなり、印刷や貼り付け等の適宜手段で形成されている。
【0025】
模様部26は通風口代用凹部25へ近接して設けられ、通風口代用凹部25の存在を目立たせている。ウインドスクリーン10の模様部26を含む部分は、図2の正面視において、ウインドスクリーン10の内側に近接して位置するメーター11及びメーターバイザー27の上に重なり、これらの予め着色された表面が模様部26を浮き立たせるための背景色になっている。この背景色は黒色系の暗色等、模様部26や通風口代用凹部25を目立たせることのできる任意の色が可能である。
メーターバイザー27はメーター11のケース前面から上方へ連続して突出する部分であり、樹脂製のため上記任意の着色が可能になる。なおメーターバイザー27をメーター11のケースと別体に形成することもできる。また、フランジ部20を適当な色に着色してこれを背景色部分に加えてもよい。
【0026】
フロントカウル7は適宜の樹脂により形成され、フランジ部20の左右には、その内側に縦リブ28が隣接するフロントカウル7の上部にかけて一体に形成されている。フロントカウル7の左右には、ウインカ9が側方へ突出して取付けられ、フロントカウル7の側面の後端部には取付部29が設けられ(図3)、ここでアッパーブラケット4へ取付けられるようになっている。
【0027】
図5及び図7〜図10に示すように、通風口代用凹部25は前方へ向かって開放され、かつ後方へ凸をなし、正面視で略逆三角形をなす。図8に示すように、側面視では、通風口代用凹部25があたかもウインドスクリーン10の下部を切り欠いて形成したかのように見える。
【0028】
図5及び図9の断面に示すように、通風口代用凹部25の下方部分である下端部21aには、内側に二股張り出し部30が一体に形成され、ウインドスクリーン10の下端部21aと二股張り出し部30の間に係合溝31を形成している。通風口代用凹部25をなす部分は、上側の後方へ張り出す上部32と、その後端からウインドスクリーン10の下端へ向かって前方へ張り出す斜面部33をなす。
【0029】
図5に示すように、フランジ部20の中央部は、通風口代用凹部25を収容する受け凹部36をなす。この部分は斜面部33に沿って後方へ傾斜する斜面部37をなす。斜面部37の下部には爪30を通すための穴38が形成され、この穴38の下部に爪23が臨んでいる。
【0030】
爪23は係合溝31に嵌合するべく上方へ突出している。爪23と係合溝31の係合時には下縁部21と開口上部7aが面一になる。
斜面部37の下方には、内方へ張り出すプレート部40が開口上部7aから一体に内側へ突出形成されている。開口上部7aはフランジ部20と開口19の上部との間に形成される部分である。
【0031】
また、図6に示すように、プレート部40とフランジ部20を結んで縦リブ28が形成され、プレート部40を補強している。プレート部40には穴41が設けられ、ここにヘッドライト8の上部に設けられた突起42が嵌合する。
また、プレート部40は図1に示すメーター11も支持するようになっている。
【0032】
図9に明らかなように、ウインドスクリーン10の上端縁部34は玉縁状をなし、図8に示すように、側縁部22には取付穴35が設けられる。側縁部22には図10に示すように一段低くなったフロントカウル7のフランジ部20上へ面一に重なる。
【0033】
次に、本実施形態の作用を説明する。まず、ウインドスクリーン10をフロントカウル7へ取付けるには、図5に示すように、係合溝31へ爪23が嵌合するようにして、ウインドスクリーン10の下縁部21をフランジ部20の中央部へ係合し、かつ側縁部22をフランジ部20へ重ねて側部をネジ24で締結する。これにより、ウインドスクリーン10をフロントカウル7へ迅速に取付けできる。このとき、ウインドスクリーン10とフロントカウル7の接続部は面一になる。
【0034】
この状態で走行すると、風や雨水は前方からフロントカウル7及びウインドスクリーン10へ当たるが、通風口代用凹部25が凹部であって、ウインドスクリーン10を貫通していないから、風や雨水はこれを通過して内側へ侵入しない。通風口を設けた場合における風や雨水に対する複雑な構造やこれに伴う工数増大を不用にできる。
【0035】
そのうえ、小型自動2輪車であって通風口を省略したにもかかわらず、通風口代用凹部25により通風口を設けたときと同様のデザイン的効果であるスポーティ感を与えることができる。
しかも、風や雨水の侵入を考慮しないで済むため、ウインドスクリーン形状に関するデザイン上の自由度が向上する。しかも、通風口代用凹部25はウインドスクリーン10と一体に形成されるから、通風口を設けた場合と比べ、強度を大きくできる。
【0036】
また、ウインドスクリーン10の通風口代用凹部25とフランジ部20を合わせ構造としたので、ウインドスクリーンの強度を増すことができる。しかも、フランジ部20に通風口代用凹部25を収容する受け凹部36を設けたので、ウインドスクリーン10とフランジ部20の合わせを確実にすることができる。
【0037】
さらに、通風口代用凹部25に近接して模様部26を設けたので、この模様部26により通風口代用凹部25を目につきやすくしてスポーティ感を増大できる。また、ウインドスクリーン10の内側に近接して位置するメーターバイザー27及びメーター11のケース前面が模様部26と重なり、その着色された表面が模様部26の背景色となって模様を浮き立たせるので、視認性が向上する。そのうえ、メーターバイザー27をウインドスクリーン10へ接近させることにより車体前部をコンパクト化でき、かつ精悍さを出すことができる。
【0038】
また、ウインドスクリーン10とフロントカウルの接続部を係合構造としたので、ウインドスクリーンをフロントカウルへ係合するだけで接続できる。このため組付けが容易になり、かつ強度を確保できる。
【0039】
さらに、フロントカウル7の内側にプレート部40を設け、ここでヘッドライト8の上面を受けたので、重量のあるヘッドライト8を支持するための強度を確保できる。しかも、フランジ部20とプレート部40間に縦リブ28を設けたので、プレート部40の強度をさらに大きくして、ヘッドライト8などの重量物を支持できる。
【0040】
なお、本願発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の原理内において種々に変形や応用が可能である。例えば、この前部車体カバーを適用できる車両は、自動2輪車に限らず、自動3輪車やバギー車等が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動2輪車の側面図
【図2】前部車体カバーの正面図
【図3】その側面図
【図4】図2の4−4線断面図
【図5】要部拡大図
【図6】図2の6−6線断面図
【図7】ウインドスクリーンの正面図
【図8】その側面図
【図9】図7の9−9線断面図
【図10】図3の10−10線断面図
【符号の説明】3:ヘッドパイプ、4:アッパーブラケット、7:フロントカウル、8:ヘッドライト、10:ウインドスクリーン、11:メーター、20:フランジ部、23:爪、25:通風口代用凹部、27:メーターバイザー、28:縦リブ、40:プレート部
Claims (6)
- 車両の前部を覆うための車体カバーであって、フロントカウルと、その上部に設けられた透明のウインドスクリーンとを備えた前部車体カバーにおいて、
前記ウインドスクリーンに、前方へ向かって開放されかつ後方へ凸の通風口代用凹部を設けたことを特徴とする前部車体カバー構造。 - 前記通風口代用凹部は、前記ウインドスクリーンのうち、前記フロントカウルに設けられたフランジ部とオーバーラップする部分に設けられるとともに、このフランジ部に前記通風口代用凹部を収容するための受け凹部を設け、この受け凹部内に前記通風口代用凹部を収容することにより前記ウインドスクリーンとフランジ部を合わせ構造としたことを特徴とする請求項1に記載した前部車体カバー構造。
- 前記通風口代用凹部の周囲にロゴ等の模様部を形成したことを特徴とする請求項1に記載した前部車体カバー構造。
- 前記ウインドスクリーンとフロントカウルの接続部分に係合構造を設けたことを特徴とする請求項1に記載した前部車体カバー構造。
- 前記フロントカウルの内側に、前記フロントカウルに支持されるヘッドライトの上面を受けるプレート部を設けたことを特徴とする請求項1に記載した前部車体カバー構造。
- 前記フランジ部とプレート部間にリブを一体に設けたことを特徴とする請求項5に記載した前部車体カバー構造。
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