JP2004283064A - プライマー対及び種特異的プライマーまたはプライマー対作成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、大腸菌・赤痢菌検出用のプライマー対等、目的とする1または2以上の特定種類の微生物の検出が可能なプライマー対またはプライマー対を作成する方法を提供する。
【解決手段】単一のかつ適当な種類数のDNA断片が増幅される増幅確率のプライマーを用いたPCR法により増幅されたDNA断片のうち、特定の種類の微生物には共通して見られ、その他の種類の微生物では見られないDNA断片を選択する第一の工程と、前記第一の工程で選択した断片の一部または全部を配列決定する第二の工程と、前記第二の工程で決定された配列から新規なプライマー対を設計する第三の工程によって、種特異的プライマーまたはプライマー対を作成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプライマー対及び種特異的プライマーまたはプライマー対作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自然界には膨大な種類数の微生物が存在するが、DNA解析が進んでいる種は一部分にすぎない。その一方で、食中毒や伝染病の調査や環境調査等のため、効率的に特定の微生物または微生物群を検出する技術及び、これを可能とするDNA増幅および解析技術に対する高いニーズがある。DNAを増幅する代表的な技術としては、PCR(Polymerase Chain Reaction ;ポリメラーゼ連鎖反応)法を利用した技術と、組換えDNA技術を用いたDNAクローニングとが上げられる。
【0003】
PCR法は、増幅しようとするDNA(鋳型DNA)の両端の塩基配列に相補的な塩基配列を有するプライマーおよび耐熱性DNAポリメラーゼを用い、熱変性工程、プライマーのアニーリング工程およびポリメラーゼによる伸長反応工程の3段階からなるサイクルを繰り返すことにより、鋳型DNAとほぼ同じDNA断片を増幅することを可能にするものである。このPCR法を用いると、微量にしか存在しないDNA断片を指数関数的に増幅することができる。
【0004】
感染症診断等では、特定の微生物種に特異的なプライマーを作成しその病原体の検出系を作成することが行なわれる。しかしながら、このPCR法を用いるためには、プライマーとなるオリゴヌクレオチドが必要であるため、一部が既に配列決定されているDNAの解析にしか使用できないという問題点がある。
【0005】
さらに、同属または同種の微生物間であっても染色体の類似度が高い場合が多い等の理由から、目的とする種類の微生物または微生物群のみを任意にかつ簡便に検出することは従来困難であった。
【0006】
また、PCR法の応用技術として、任意の単一のプライマーを作用させ、DNAの1部のみ増幅させるRAPD(Random Amplified Polymorphic DNA)法又はAP−PCR(Arbitrary Primed−PCR)法がある。
【0007】
これらの方法では、PCRの反応時にプライマーのアニーリング温度を下げ、さらに反応液中のマグネシウムイオン濃度を上げることにより、プライマーの結合時の配列特異性を下げる。すると、プライマーはミスマッチを伴って微生物の染色体DNAに結合し、DNA断片が複製される。単一のプライマーで塩基配列の情報なしに一種類のDNAから同時に多数の種類のDNA断片を増幅することができる。本
方法の詳細な説明については、
【非特許文献1】等を参考にすることができる。
【0008】
RAPD法又はAP−PCR法により増幅されたDNA断片をゲル電気泳動法により分離することによりDNAフィンガープリントが得られる。このDNAフィンガープリントを分析することによる解析が一般的に行われている。
【0009】
また、配列決定の糸口となる情報が不足しているDNA断片を増幅・解析しようとする場合には、DNAクローニングが一つの有効な方法として考えられる。DNAクローニングによるDNAの増幅では、PCR法とは違い、DNAの配列の一部が解析されている必要はない。DNAクローニングは、組換えDNA技術を用いて、DNA断片をプラスミド等のクローニングベクターに組み込み組換えDNA分子を作成し、得られた組換えDNA分子を形質転換等の方法で大腸菌等の宿主細胞に導入し、クロラムフェニコール等の存在下でコピー数を増幅させたり、宿主細胞を増殖させたり等の手段で組換えDNA分子のコピー数を増大させ、レプリカ平板法等を用いてコロニーを選別し、さらに培養後、プラスミド等を抽出し、クローニングベクターのプライマーアニ−リングサイトを利用したサンガー法等を用いて、DNA断片の配列を解析するというものである。しかし、クローニングには時間や手間が多くかかるという問題点がある。
【0010】
また、組換えDNA実験では自然界に存在しなかった新しい遺伝子の組合せをもつ細胞が作られることとなり、その研究に当たっては、慎重に対応する必要がある。わが国では、「組換えDNA実験指針」が策定されており、組換えDNA研究を対象とした安全確保等のための指針が示されている。特に病原性を持つ微生物やウィルスの組換え体に関しては、「組換えDNA実験指針」に沿って、実験や製品化で取り扱う組換え体の種類に応じ、高度な物理的封じ込めが可能な実験施設を持つことや、実験の届け出が必要なことが規定されており、これらの手続きを踏むことなしにDNAクローニングを行うことはできない。
【0011】
しかし、RAPD法で得たDNA断片や、超音波や制限酵素でランダムに切断したDNA断片を増幅しようとした場合には、増幅されるDNA断片に病原性因子が含まれているかどうかをあらかじめ判断することはできない。
【0012】
このため、個々に法律的な問題を考慮することなく簡便にDNA配列を解析するためには、DNAクローニングの段階を介在しないことが好ましい。
【0013】
また、配列決定の方法としては、M13ベクターをもちいたクローニングのような一本鎖のDNAを得ることが容易な場合を除き、取り扱いが容易な2本鎖のままDNA配列を解析できるダイレクト・シーケンス法が簡便であると考えられる。ダイレクト・シーケンス法は、PCR増幅を応用してシーケンス反応の鋳型を調製するものである。
【0014】
DNA断片が両端に異なったプライマーをもっている場合には、通常の配列決定方法で配列をすることが可能である。しかし、図2下段の左に示すように、RAPD法で得られたDNA断片は両端に同じプライマー結合部位を持っているため、RAPD法で用いたプライマーと同じ配列のシーケンス用プライマーによって、ダイレクト・シーケンス法で配列を解析しようとした場合には、2本鎖の双方向から相補鎖が合成されていくこととなり、解析が困難である。
【0015】
この課題を解決するため、RAPD法で用いたプライマーにA、T、G、Cのいずれかを付加した4種類のプライマーでシーケンスが可能かどうかを順次試し、全てのプライマーでシーケンス不可能な場合には、4種類のプライマーそれぞれにさらにA、T、G、Cのいずれかを付加した16種類のプライマーで順次試す、という具合に2本鎖の双方向から相補鎖が合成されない配列になるまでプライマーにヌクレオチドを付加していく方法が考案されている。本方法の詳細については
【非特許文献2】に記載されている。しかし、当該方法では、鋳型DNAの配列によっては膨大な数のプライマーを試さなければならないことになり、シーケンス反応に使用するプライマーの選択にかかる労力が大きいという問題がある。また、しばしばRAPD法で得られたバンドは異なる配列で同じ長さのDNA断片を含んでいるため、上記の方法では配列を決定することが困難となる場合がある。
【0016】
一方、出願人は、
【特許文献1】において、RAPD法を改良した発明を出願している。
【特許文献1】は、要約すれば、増幅確率を低く調整したプライマーを単一のプライマーとして用いることにより、解析可能な種類のDNA断片を増幅させ、電気泳動を行った後、電気泳動像を解析することにより微生物を識別する方法である。図4は、増幅確立とフィンガープリントとして現れるバンドの数との関係を示している。また
【特許文献1】には、当該方法で得られたバンドの発光強度及び位置等のパターンは識別対象の微生物の種類ごとに特有であることが示唆されている。バンドまたはバンドパターンが生物の種類に特有であることは、即、DNA配列自体が生物の種類に特有である事を意味するものではないが、他の生物種では見られない断片に、特定の生物種を識別するのに有用な塩基配列が含まれている可能性がある。しかし、このような断片も、両端に同じプライマー結合部位を持っているため、簡便なダイレクト・シーケンスを行う事は困難であった。同様の理由で、DNAフィンガープリント中の特定のバンドのみを、ミスマッチなく試料中等から直接増幅させたい場合にも、PCR法のプライマーを設定するための配列情報を得る事が困難であるという問題があった。
【0017】
尚、シーケンス反応には、PCR増幅を使用する方法のほか、一本鎖に調製した上でのジデオキシ法等の温度変化を繰り返す工程を含まない方法も含まれる。
【0018】
【特許文献1】
特願平11−69694
【0019】
【非特許文献1】
DNA RESEARCH 1,139−148(1994) Determination of RAPD Markers in Rice and their Conversion into Sequence Tagged Sites(STSs) and ATA−Specific Primers
【0020】
【非特許文献2】
Nucleic Acids Reseach,1999,Vol.27,No.19 Direct sequencing of RAPD fragments using 3’−extended oligonucleotide primers and dye terminator cycle−sequencing
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、大腸菌・赤痢菌検出用のプライマー対、EHEC検出用のプライマー対、赤痢菌(shigella flexneri)検出用のプライマー対、赤痢菌(shigella dysenteriae)検出用のプライマー対、赤痢菌(shigella boydii)検出用のプライマー対、赤痢菌(shigella sonnei)と大腸菌(Escherichia coli IFO 3366)検出用のプライマー対を提供する。
【0022】
また、目的とする1または2以上の特定種類の微生物の検出が可能なプライマー対を作成する方法を提供する。
【0023】
増幅された解析可能な種類数のDNA断片の発光強度及び位置等のパターンの解析を基に、生物種ごとに特有である断片および他の生物種では見られない断片を作成・選別し、当該断片の配列を解析し、当該断片の配列情報からプライマー対を再設計することにより、特定の生物種を簡便に検出できるプライマーまたはプライマー対を作成可能にする方法を提供する。
【0024】
また、検出を行ないたい生物種の塩基配列の解析が進んでいない、病原性因子を含んでいる可能性がある等DNAクローニングに適さない、などの事情がある場合でもこれらの事情を障害とすることなく、簡便に特定の生物種を検出できるプライマーまたはプライマー対を作成可能にする方法を提供する。
【0025】
【課題を解決するための手段】
請求項1は、大腸菌・赤痢菌検出用のプライマー対であって、B69プライマー(配列番号38)により大腸菌・赤痢菌のDNAより増幅されるべき配列番号44のヌクレオチドから選択された約6〜50個の実質的に連続した塩基又はその相補配列とDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズする第一のプライマーと、前記実質的に連続した塩基と一定塩基数以上の間隔を置いて相補鎖上にある約6〜50個の実質的に連続した塩基又はその相補配列とDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズし、前記第一のプライマーとTm値が近縁な第二のプライマーからなるプライマー対である。
【0026】
請求項2は、大腸菌・赤痢菌検出用のプライマー対であって、配列番号1から6(プライマー5F、プライマー16F、プライマー20F、プライマー30F、プライマー16R、プライマー5R)から選ばれる2つの塩基配列または塩基配列に相補的な配列を有するプライマー対である。
【0027】
請求項3は、EHEC検出用のプライマー対であって、B47プライマー(配列番号39)によりEHECのDNAより増幅されるべき配列番号45のヌクレオチドから選択された約6〜50個の実質的に連続した塩基又はその相補配列とDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズする第一のプライマーと、前記実質的に連続した塩基と一定塩基数以上の間隔を置いて相補鎖上にある約6〜50個の実質的に連続した塩基又はその相補配列とDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズし、前記第一のプライマーとTm値が近縁な第二のプライマーからなるプライマー対である。
【0028】
請求項4は、EHEC検出用のプライマー対であって、配列番号7から14(プライマー36R、プライマー37R、プライマー38R、プライマー39R、プライマー37F、プライマー36F、プライマー38F、プライマー39F)から選ばれる2つの塩基配列または塩基配列に相補的な配列を有するプライマー対である。
【0029】
請求項5は、赤痢菌赤痢菌(shigella flexneri)のプライマー対であって、G22プライマー(配列番号40)により赤痢菌(shigella flexneri)のDNAより増幅されるべき配列番号46のヌクレオチドから選択された約6〜50個の実質的に連続した塩基(又はその相補配列)とDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズする第一のプライマーと、前記実質的に連続した塩基と一定塩基数以上の間隔を置いて相補鎖上にある約6〜50個の実質的に連続した塩基又はその相補配列とDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズし、前記第一のプライマーとTm値が近縁な第二のプライマーからなるプライマー対である。
【0030】
請求項6は、赤痢菌(shigella flexneri)検出用のプライマー対であって、配列番号15から19(プライマー41F、プライマー41R、プライマー42F、プライマー42R、プライマー43F)から選ばれる2つの塩基配列または塩基配列に相補的な配列を有するプライマー対である。
【0031】
請求項7は、赤痢菌(shigella dysenteriae)検出用のプライマー対であって、B72プライマー(配列番号41)により赤痢菌(shigella dysenteriae)のDNAより増幅されるべき配列番号47および配列番号48のヌクレオチドから選択された約6〜50個の実質的に連続した塩基又はその相補配列とDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズする第一のプライマーと、前記実質的に連続した塩基と一定塩基数以上の間隔を置いて相補鎖上にある約6〜50個の実質的に連続した塩基又はその相補配列とDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズし、前記第一のプライマーとTm値が近縁な第二のプライマーからなるプライマー対である。
【0032】
請求項8は、赤痢菌(shigella dysenteriae)検出用のプライマー対であって、配列番号20から25(プライマー47F、プライマー47R、プライマー48F、プライマー48R、プライマー49F、プライマー49R)から選ばれる2つの塩基配列または塩基配列に相補的な配列を有するプライマー対である。
【0033】
請求項9は、赤痢菌(shigella boydii)検出用のプライマー対であって、F69プライマー(配列番号42)により赤痢菌(shigella boydii)のDNAより増幅されるべき配列番号49および配列番号50のヌクレオチドから選択された約6〜50個の実質的に連続した塩基又はその相補配列とDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズする第一のプライマーと、前記実質的に連続した塩基と一定塩基数以上の間隔を置いて相補鎖上にある約6〜50個の実質的に連続した塩基又はその相補配列とDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズし、前記第一のプライマーとTm値が近縁な第二のプライマーからなるプライマー対である。
【0034】
請求項10は、赤痢菌(shigella boydii)検出用のプライマー対であって、配列番号26から31(プライマー52F、プライマー52R、プライマー53F、プライマー53R、プライマー54F、プライマー54R)から選ばれる2つの塩基配列または塩基配列に相補的な配列を有するプライマー対である。
【0035】
請求項11は、赤痢菌(shigella sonnei)と大腸菌(Escherichia coli IFO 3366)検出用のプライマー対であって、E83プライマー(配列番号43)により、赤痢菌(shigella sonnei)または大腸菌(Escherichia coli IFO 3366)のDNAより増幅されるべき配列番号51のヌクレオチドから選択された約6〜50個の実質的に連続した塩基又はその相補配列とDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズする第一のプライマーと、前記実質的に連続した塩基と一定塩基数以上の間隔を置いて相補鎖上にある約6〜50個の実質的に連続した塩基又はその相補配列とDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズし、前記第一のプライマーとTm値が近縁な第二のプライマーからなるプライマー対である。
【0036】
請求項12は、赤痢菌(shigella sonnei)と大腸菌(Escherichia coli IFO 3366)検出用のプライマー対であって、配列番号32から37(プライマー44F、プライマー44R、プライマー45F、プライマー45R、プライマー46F、プライマー46R)から選ばれる2つの塩基配列または塩基配列に相補的な配列を有するプライマー対である。
【0037】
請求項13は、1または2以上の特定種類の微生物を検出するためのプラーマー対の作成方法であって、単一のかつ適当な種類数のDNA断片が増幅される増幅確率のプライマーを用いたPCR法により増幅されたDNA断片のうち、特定の種類の微生物には共通して見られ、その他の種類の微生物では見られないDNA断片を選択する第一の工程と、前記第一の工程で選択した断片の一部または全部を配列決定する第二の工程と、前記第二の工程で決定された配列から新規なプライマー対を設計する第三の工程を含むことを特徴とする種特異的プライマーまたはプライマー対作成方法である。
【0038】
請求項14は、前記第二の工程の配列決定方法は、単一のかつ適当な種類数のDNA断片が増幅される増幅確率のプライマーを用いたPCR法により増幅されたDNA断片のプライマーの結合サイトが一つになるよう加工する工程と、前記PCR用プライマーとして用いた単一のプライマーをシーケンス反応のプライマーとしておこなうダイレクト・シーケンス法により配列を決定する工程を含むことを特徴とする請求項13に記載の種特異的プライマーまたはプライマー対作成方法である。
請求項15は、前記DNA断片のプライマーの結合サイトが一つになるよう加工する工程は、制限酵素での切断を含むことを特徴とする請求項14に記載のプライマーまたはプライマー対作成方法である。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態につき、実証を通じて説明する。
以下、RAPD法により増幅されたDNA断片をRAPD断片と呼ぶ。RAPD断片作成のための任意のプライマーとして、表1に示すプライマーを用いた。
【0040】
【表1】
Figure 2004283064
特願2001−386730号に記載されているように、これらの増幅確率の低いプライマーを用いることにより、出現するバンドの数を減らし、目的とする細菌に特徴的なRAPD断片を簡便に見つけることができる(図31参照)。当該増幅確立の低いプライマーを用いたRAPD法を以下SSC−PCRと呼ぶ。
上記増幅確率の低い任意のプライマーおよびRAPD断片の配列から作成したプライマーは、表2に示す大腸菌・赤痢菌48株のテンプレート、または、表3に示す96種細菌のテンプレート(表2と共通の大腸菌1株と赤痢菌1株を含む)に対して作用させることにより検証した。
【0041】
【表2】
Figure 2004283064
【0042】
【表3】
Figure 2004283064
尚、SSC−PCRのプライマーであれ、特異的なプライマーであれ、プライマーとして機能するためには、プライマーがDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズする必要がある。本実施例では、アニ−リング温度として45℃または55℃を用いているため、当該温度でもアニ−リングできる程度の相同性があれば、ミスマッチや欠失があってもプライマーの機能を発揮できる可能性がある。また、作成したプライマーと細菌DNAとの相同性がより低く、45℃または55℃でハイブリダイズしない場合でも、PCR法の温度条件等を工夫することによって、DNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズさせることが可能になる場合もある。
【0043】
これまでの実験から、出願人は、プライマーとして機能するためには、3’側末端の6塩基にはミスマッチがない状態でかつプライマーを通じてのミスマッチが3塩基以内の状態でハイブリタイズすることがより好ましいと想定しているが、DNAの複製が可能となる状態の意義は、上記条件または本実施例の条件に制限されるものではない。
【0044】
また、プライマーは単一のものであれ、forward側とreverse側で異なるものであれ、対として2本鎖の双方にアニ−ルして増幅を行なうと考えられる。このため、一方のプライマーの結合領域と、相補鎖上にあるもう一方のプライマー結合領域が重なっていないこと、即ち、結合領域間に、一定塩基数以上の間隔が必要と考えられる。これまでの実験から、出願人は、当該間隔は100bp以上であることが好ましいと想定して、本実施例のプライマーの選択や作成を行なっているが、50bp程度のPCR産物(仮に20塩基づつのプライマー対で増幅を行なったとすれば、間隔は10bp程度となる)が増幅された例もあり、一定塩基数以上の間隔の意義は、上記条件または本実施例の条件に制限されるものではない。
【0045】
〔実施例1〕
本実施例は、大腸菌(Escherichia coli IFO 3301)のゲノムから表1中のB69プライマー(配列番号38)を任意のプライマーとして得られたRAPD断片の塩基配列決定と、当該配列から設定したプライマーについて示す。尚、大腸菌IFO 3301は、全ゲノム塩基配列が報告されている大腸菌K12株と由来が同じであるため、塩基配列データベースの検索で正しく配列決定できたか否かを確認できる(Blattner et al., Science 277:1453−1474, 1997)ことから、実証のモデルとした。
【0046】
特願2001−386730号に記載されているように、12塩基からなる単一のプライマー B69(配列番号38)(塩基配列:5’−TTG AGT AGT TGC−3’)を表2のテンプレートに用いると、大腸菌・赤痢菌の内、一株(図1A、および、表2の19番、大腸菌GIFU13251)を除いて、種々の株で共通したサイズ(約1,800bp)のRAPD断片が増幅される(図1Aの矢印参照)。一方、図1Bに示されるように、表3の他の細菌では同じサイズのRAPD断片は見られない(図1Bの30と76は、大腸菌と赤痢菌である)。本実施例ではこの約1,800bpのRAPD断片を対象として、配列決定とプライマーの作成を行なう。まず、本RAPD断片を得るまでの過程を以下に示す。
〔DNA抽出〕
大腸菌IFO 3301をHeart Infusion寒天培地(Difco:商標)、または、普通寒天培地(栄研:商標)に塗抹接種後、37℃恒温下で12−24時間培養した。寒天培地上に生育したコロニーを観察して単一細菌であることを確認後、白金耳を用いて1.5 ml容量のチューブに採取した。菌体に1 mlのSaline−EDTA溶液(1.5 M NaCl, 0.1 M EDTA−2Na, pH 8.0)を加え、ボルテックス・ミキサーで懸濁し、洗浄した。次いで小型遠心器にて15,000回転で約30秒間遠心し、沈殿菌体に0.4 mlのSaline−EDTA溶液と0.04 mlの20% SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)溶液とを加え、ボルテックス・ミキサーで懸濁後、60℃で10分以上放置して溶菌させた。濁り具合で溶菌を確認し、0.4 mlのフェノール混合液(phenol:chloroform:isoamyl alcohol=25:24:1の混合液)を加え、水層とフェノール層とが混ざって白濁するまで攪拌した。直ちに15,000回転で10−30分間遠心し、もう一度水層とフェノール層とを分離させた。ここで、水層にDNAを含む水溶性成分が、フェノール層と水層の界面にタンパク質成分及び菌体残渣などが、そして脂溶性成分がフェノール層に分画される。水層のみを注意深く、別のチューブに移し取り、等量のエタノール(99.5%)を加え、ゆっくりと転倒混和し、DNAを塩として沈殿させた。次いで15,000回転で10−30分間遠心し、沈渣に0.4 mlの洗浄用バッファー(0.25 M NaCl, 50 mM Tris−HCl, pH 8.0)を加えて約30秒間ミキサーで攪拌し、沈渣を洗浄した。洗浄用バッファーに溶解したDNAを回収するため、もう一度、等量のエタノールを加え、転倒混和し、15,000回転で約10分間遠心した。沈渣に70% エタノールを加えて軽く転倒して洗浄した後、15,000回転で約5−10分間遠心し、上清を捨て沈渣を乾燥させた。乾燥後、0.05−0.4 mlのTE バッファー(10 mM Tris−HCl, 1 mM EDTA, pH 8.0)を加え、沈渣を溶解させ、DNA抽出液とした。
〔テンプレート溶液の調整〕
実験条件を統一するため、DNA抽出液の濃度を測定し、その結果から希釈率を決定し、TE バッファーまたは純水で希釈してテンプレート溶液を調整した。
【0047】
DNAの濃度測定は、電気泳動法、または、吸光度測定法のいずれかを用いた。
【0048】
電気泳動法では、アガロースゲルを用いた。0.5×TBE バッファー(45 mM Tris−borate, 1 mM EDTA, pH8.0)に1% アガロースを加熱溶解し、コームをセットしたゲル作成用プレートに注ぎ、室温で冷却してゲルを作成した。DNA抽出液は、あらかじめTE バッファーで10−100倍に希釈し、それぞれ10 μlに1−2 μlのBPB溶液(0.1 % Bromophenol blue, 30 % glycerolをTE バッファーに溶解)を入れ、サンプル溶液とした。また、あらかじめ濃度調整されているDNA溶液(λDNA,ニッポン・ジーン:商標)にBPB溶液と0.5×TBE バッファーを加えて、DNA濃度が30 μg/ml、10 μg/ml、3 μg/ml、1 μg/ml、0.3 μg/mlとなる5段階の校正用DNA溶液を作成した。電気泳動槽にゲルをセットし、サンプル溶液は全量を、校正溶液は10 μlをそれぞれ独立のレーンに入れた。8.3 V/cmで約30分間の電気泳動後、泳動槽からゲルを取り出し、1 μg/mlのEthydium bromide溶液(10 mg/ml Ethydium bromideを0.5×TBEで1/10000希釈した溶液)に30分間浸漬した。Ethydium bromide溶液からゲルを取り出し、トランス・イルミネーターにセットし、302 nmの励起光を照射しながらフィルター(YA3及びL41, ケンコー:商標)を通して蛍光を写真撮影した。画像をコンピュータに取り込み、画像処理ソフト(GelPrint AQ、Genomic Solutions Inc.:商標)を用いて、電気泳動で形成されたDNAのバンドの蛍光強度を計測した。校正用DNAの蛍光強度を基に抽出液のDNA濃度を計算した。
【0049】
一方、DNAは260 nmの波長に吸収ピークを持ち、二本鎖DNA濃度が50 μg/mlのとき260 nmの吸光度(OD260)が1.0になることが知られている。しかし、通常、DNA抽出液には、RNA、タンパク質などのDNA以外の不純物が含まれる。これらは吸収ピークがDNAの吸収ピークに近いので(例えばRNAはDNAとほぼ同じ、タンパク質は280 nm)、不純物もいっしょに測定される。タンパク質混入が少ないDNAでは、260 nmと280 nmの吸光度の比、OD260/OD280が1.8以上になることが知られており、この比率からDNA精製度を推定できる。そこで、吸光度でDNA濃度を測定する場合は、測定前にRNA分解酵素処理とタンパク質分解酵素処理を行った。DNA抽出液に5 M NaClと10 mg/ml RNase A溶液とを1/20量ずつ加え、37 ℃で1時間処理後、20 mg/ml Proteinase K溶液と20 % SDS溶液とを1/20量ずつ加え、60 ℃で30分間処理した。処理液にフェノール混合液を等量加え、白濁するまで攪拌した後、15,000回転で15−30分間遠心した。水層を別のチューブに移し取り、等量のエタノールを加えて転倒混和して15,000回転で10−30分間遠心後、沈渣を70 %エタノールで洗浄した。15,000回転で5−10分間遠心し、上清を捨て、沈渣を乾燥させた後、TE バッファーに溶解した。このDNA溶液を純水で10−100倍に希釈し、OD260およびOD280を分光光度計(Ultrospec 3000pro, Amersham Biosciences:商標)で測定し、精製度を確認するとともにDNA濃度を計算した。
【0050】
〔SSC−PCR〕
SSC−PCRは、抽出したDNAから作成したテンプレート溶液と、表1中の12塩基からなる単一のプライマー B69(配列番号2)(5’−TTGAGTAGTTGC−3’, Amersham Phalmacia Biotech:商標)を用いて行った。試薬にはTaKaRa Taq(宝酒造:商標)を、サーマル・サイクラーにはGeneAmp PCR System 9700(PE Applied Biosystems:商標)を用いた。反応液の混合量、及び、サーマル・サイクラー設定条件とを表4に示す。
【0051】
【表4】
Figure 2004283064
上記条件で反応後、反応液に等量の10× Loading バッファー(1 % SDS, 50 % Glycerol, 0.05 % Bromophenol blue, 宝酒造:商標)を1/10容量加えて混合後、40 μlずつを1 % アガロース ゲルの各レーンに入れた。また、対象となる断片のサイズを測定するため、5倍希釈したサイズ・マーカー(Smart Ladder, ニッポン・ジーン:商標)10μlをゲルの両端のレーンに入れた。電気泳動を8.3 V/cmで30分間行った後、ゲルをEthydium bromide溶液に30分間浸し、トランス・イルミネーターで励起光を照射しながら、フィルターを通して蛍光を写真撮影した。
【0052】
図1は、電気泳動後のパターンである。両端のレーンは、サイズ・マーカーで、それぞれのバンドのサイズを数字で示した。矢印が本実施例で対象とした約1,800bp のRAPD断片である。尚2重矢印は細菌19でバンドが現れた位置を示す。
〔配列決定〕
次に、当該RAPD断片の配列を決定する。
【0053】
RAPD法で使用したB69プライマーの結合部分は、増幅されたRAPD断片にも含まれており、シーケンス反応のためのプライマーとしてもアニ−リングすることができる。但し、RAPD法では、一つのDNA断片に対し単一のプライマーを使用して増幅を行うため、増幅されたDNA断片は各々の鎖の5’末端側に同一のプライマーをもつことになる。このため、RAPD法で増幅したDNA断片にたいし、RAPD法で使用したプライマーを用いてシーケンス反応を行わせた場合には、2本鎖のそれぞれの5’末端から、ジデオキシATPで終止した新たなDNA鎖が合成されてゆくこととなり、このままでは、配列を決定することが困難である(図33参照)。
【0054】
かかる不都合は、RAPD断片を、選択したプライマーの結合サイトが一つになるよう加工することにより解決される(図32参照)。本実施例では、加工の手段として、制限酵素による切断を用いた。尚、プライマーの結合サイトが一つになるよう加工する方法は、制限酵素による切断以外の方法を使用することも可能である。例えば選択したプライマーの結合サイトが一つになるよう加工する手段として、制限酵素ではなく、DNAを一本鎖にする方法がある。DNA RESEARCH 1, 271−277(1994) Mapping of Sequence−Tagged Sites in Rice by Single Strand Conformation Polymorphismに示すように、2本鎖のDNA断片は、尿素等を用いて溶液をアルカリにし、温度を調節して電気泳動を行うことにより、ゲル上で一本鎖に分離することができる。一本鎖に分離したDNAをゲルから切り出し、RAPD法で用いたプライマーをシーケンス反応用のプライマーとして使用して配列決定を行う等の方法を用いた場合でも、プライマーの結合部位は一つとなり、配列決定を行うことができる。
〔制限酵素のスクリーニング〕
対象のDNA断片を分割し、配列決定に用いるため、DNA断片を2分割する制限酵素をスクリーニングした。
【0055】
まず、ゲルからQIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン:商標)を用いて、メーカー推奨の方法でDNA抽出を行った。以下に方法を簡単に記す。トランス・イルミネーター上でバンドを確認しながら、手術用メスを用いてバンドを含むゲルの小片を切り出した。1レーン分の小片をそれぞれ1.5 mlチューブに入れ、バッファー QGを600 μl加えた。チューブを50 ℃で保温し、アガロースを溶解させた。溶解確認後、isopropyl alcohol 200 μlを加えて混合し、溶液約750 μlをQIAquick spin columnチューブに移し取り、1分間遠心分離した。これによりcolumnにDNAが吸着し、アガロースを除去できる。以上の操作を繰り返し、10レーン分のDNAを一つのcolumnに吸着させた。新鮮なバッファー QGを加えて1分間遠心して洗浄した後、空のまま遠心を1分間行い、水分を飛ばした。新しいチューブに上記columnを移し、50 μlの純水を加えて1分以上放置し、columnに吸着したDNAを再溶解させた後、遠心して精製DNA溶液を得た。
【0056】
次いで、制限酵素のスクリーニングを行った。反応条件を以下に示す。表5はスクリーニングに用いた制限酵素(宝酒造:商標)と反応用バッファー(宝酒造:商標)について示す。尚、バッファー部分の「M」「L」「H」はメーカー指定のバッファーのタイプを示す。認識部位の「m」はa またはcを、「k」はg またはtを示す。
【0057】
【表5】スクリーニングに用いた制限酵素と反応溶液
Figure 2004283064
表5、の反応液を37℃に保温し、3時間酵素処理を行った。反応液に1/10量の10×Loading バッファーを加えた後、10 μlを1 %のアガロースゲルに入れた。また、10 μlのサイズ・マーカー(Smart Ladder, ニッポン・ジーン:商標)を両端のレーンに入れて電気泳動(8.3V/cm, 30分間)を行った。電気泳動後、Ethydium bromide溶液に浸し、トランス・イルミネーターを用いて写真撮影を行った。
【0058】
図34に制限酵素で処理の結果の一部を示す。図34Aに示すように、制限酵素の種類によって、RAPD断片が切断されたり(Alu I, Bgl II, EcoR I, HaeIII, Pvu II)、されなかったり(Acc I, Sal I)すること、そして切断された場合も制限酵素によって断片の長さや、本数が異なることが分かる。Bgl IIおよびEcoR Iでは、対象のバンドより短い2本のバンドが見られる。それぞれで、二本のバンドのサイズを合計するとどちらもほぼ1,800 bpになることから、この2つの制限酵素は対象の断片を2分割すると推定できる。しかし、Bgl II、EcoR Iでは、どちらも1800bpにバンドが残っているのに対して、AluI、hae III、Pvu IIではバンドが消えている。さらにPvu IIでは4本のバンドが見られ、一番大きいバンドと一番小さいバンドの組、2番目と3番目のバンドの組で、それぞれサイズの合計が約1,800bpになっている。これらの結果から、対象としたバンドには、2種類の異なる塩基配列を持つDNA断片が含まれており、BglIIおよびEcoR Iは、このうちのいずれか1本の断片のみを2分し、Pvu IIは両方の断片をそれぞれ2分すると推定できる。即ち、塩基配列をしようとするバンドに複数のDNA断片が含まれている場合に制限酵素で分解することでそれぞれを分離することが可能といえる。RAPD法では一般的に多数のDNA断片が生成されてしまうので、制限酵素のスクリーニングの段階でこれらを分離できる本方法は、最初のプライマーに塩基を追加して塩基配列を行う方法に比べて有利な点と言える。
【0059】
本実施例では、制限酵素Bgl IIで2つに切断されたDNA断片を対象として、それぞれの切断された断片の塩基配列の決定を行うことにした。以下に塩基配列の決定について記す。
〔random プライマーを用いた塩基配列決定〕
塩基配列決定用のサーマル・サイクリングを行うためのテンプレートは、制限酵素のスクリーニング時のゲルから切断された断片を抽出して用いることができる。しかし、本実施例ではスクリーニング時には少量の断片しか用いていなかった。そこで、十分なテンプレート量を確保するため、本実施例ではあらためてRAPD断片に制限酵素処理を行い、塩基配列決定用のテンプレートを作成した(図34B参照)。以下に示す割合で制限酵素BglIIを用いた反応液を調整し、37℃で一晩、処理反応を行った。
【0060】
【表6】
Figure 2004283064
制限酵素処理後、電気泳動を行い制限酵素で切断された2本のDNA断片(以下、長いものをL−fragment、短いものをS−fragmentと呼ぶ。 図33にL、Sと表示。)をそれぞれ、QIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン:商標)を用いてゲルから抽出した。
【0061】
抽出したDNA断片のそれぞれについて、Big Dye Terminator version 3.0(Applied Biosystems:商標)を用いて以下の条件で塩基配列決定用のサーマル・サイクリングを行った。
【0062】
【表7】
Figure 2004283064
サーマル・サイクリング後、塩基配列決定用の電気泳動を行うため、以下の精製処理を行った。反応液20μlに3M Sodium acetate溶液(pH5.0)2μlとエタノール 50μlとを加え、−80℃で30分間静置した後、4℃、15,000回転で30分間遠心して上清を除去した。300μlの70% エタノールを加え、沈殿を洗浄した。10分間風乾後、15μlのTemplate Suppression Reagent(Applied Biosystems:商標)を加え、沈殿を溶解し、95℃で2分間熱変性した後、氷上に2分間静置して電気泳動用サンプル溶液とした。電気泳動と塩基配列の決定は、ABI PRISM 310 Genetic Analyzer(Applied Biosystems:商標)により、POP−6 polymer(Applied Biosystems:商標)を用いてメーカー推奨の方法で行った。
【0063】
L−fragmentからエレクトロフェログラムの波形データを得、塩基配列を決定した。波形データは、Aで終了している1本鎖DNA、Gで終了している1本鎖DNA、Cで終了している1本鎖DNA、Tで終了している1本鎖DNAのシグナルを異なる波長で測定するものである。それぞれの波形のピークの順番からDNA塩基配列を決定できる。本実施例で用いた装置は、全長で約600bpまでのDNA断片の塩基配列を決定できる仕様である。但し、最初の約25塩基までと約475塩基以降はシグナルがばらついているため、正確な塩基配列特定はできなかった。以下には、問題なく塩基配列決定できた447bp(配列番号44の一部)を示した。
【0064】
Figure 2004283064
次に、S−fragmentからエレクトロフェログラムの波形データを得、塩基配列を決定した。この場合は、約20塩基から約535塩基までの516塩基を正確に読めたと判断した。L−およびS−fragmentのプライマー結合部位は、お互いに相補鎖上に存在し、どちらも5’側から3’側に向かって塩基配列決定されていくので、S−fragmentから得られた塩基配列は、L−fragmentから決定された塩基配列に対して、相補的で、かつ、方向が逆向きになる。以下に決定された配列(塩基配列2−1)、および、この配列をL−fragmentと同じDNA鎖上に直した配列(相補的にして、逆向きにした配列)を示す(配列番号44の一部)。
【0065】
Figure 2004283064
上記した塩基配列でアンダーラインを引いた部分の塩基は正しく読めていなかったり、誤って読まれたものである。これらは、PCRの反応である確率で必ず起こるミスであったり、あるいは反応生成物の量がばらつき電気泳動時のシグナルが弱かったりして起こる。こうした問題は、エレクトロフェログラムをチェックすること、塩基配列決定実験を繰り返し行い、再現性を確認すること、データベースなどでチェックすることなどで修正できる。上記の塩基配列は、一度の試行の結果を示したものであるが、エレクトロフェログラムのチェック、及び、複数回の塩基配列決定実験の結果から、誤りであることを確認したものである。 尚、当該修正では全配列を決定することが出来ない場合でも、後述の〔実施例7〕にの方法によれば全配列を決定することが可能である。
【0066】
これらの修正により、配列番号44に示す配列を決定した。この配列に基いて、以下のプライマーを設定した(図2参照)。尚、プライマー名につく「F」はforward側として設計・合成されたことを示し、「R」はreverse側のプライマーとして設計・合成されたことを示す。
Figure 2004283064
これらのプライマーは、対となるプライマーのTm値が近い、プライマー自体でパリンドロームが形成されにくい、対となるプライマーの相補性が低い、対となるプライマーが結合する位置同士が近すぎない、等の条件を考慮し選択した。これらの条件を満たせば、他の部分でもプライマーまたはプライマーの結合部分とすることができる。
図3は5F−5Rのプライマー対を用いて、表2、表3の細菌をテンプレートにしてPCRを行なった結果である。本実施例では、RAPD断片の配列の中で新たにプライマー 5F(配列番号1)(5’−ATC AGC CAT GAG TTC TCA TC−3’)と5R(配列番号2)(5’−CAG GTA TTT TGG GAG AAT CA−3’)とをforward側、およびreverse側のプライマーとして設計・合成し、表8の条件でのPCR増幅と電気泳動を行い、増幅されるかどうかを確認した。
【0067】
【表8】
Figure 2004283064
実際にPCR増幅を行った産物を電気泳動すると、図3A矢印に示されるように、大腸菌・赤痢菌のテンプレートでは、約1,700bpの位置(矢印部)にバンドが見られた。一方、表3の細菌を用いたテンプレートBの結果から分かるように、同じサイズのバンドは、大腸菌・赤痢菌以外では見られない。尚、塩基配列データからは、プライマー 5F(配列番号1)と5R(配列番号2)で増幅される断片の長さは1,689bpと計算できる。但し、大腸菌GIFU13251(図3Aの19番)では、SSC−PCRの結果(図1A)と同様に異なるサイズのバンド(図3Aの2重矢印、約2900bp)が得られた。
同様の方法で、16F−5Rのプライマー対を用いてPCR増幅を行なった結果を図4に示す。矢印部のサイズは約1300bp、2重矢印部のサイズは2500bp、配列から計算した予想されるサイズは1340bpである。この場合も、大腸菌GIFU13251(図4Aの19番)のみ、異なるサイズのバンドが見られた。
同様の方法で、16F−16Rのプライマー対を用いてPCR増幅を行なった結果を図5に示す。矢印部のサイズは約900bp、配列から計算した予想されるサイズは893bpである。この場合には、リバース側のプライマーに5Rを用いた前2つの結果と異なり、大腸菌GIFU13251(図5Aの19番)でも、他の大腸菌と同じサイズのバンドが見られた。このことは、大腸菌GIFU13251では、5Rのプライマーサイトと16Rのプライマーサイトの間に約1200bpのDNA断片が挿入されている可能性を示している。
同様の方法で、20F−16Rのプライマー対を用いてPCR増幅を行なった結果を図6に示す。矢印部のサイズは約500bp、配列から計算した予想されるサイズは508bpである。
同様の方法で、5F−16Rのプライマー対を用いてPCR増幅を行なった結果を図7に示す。矢印部のサイズは約1200bp、配列から計算した予想されるサイズは1236bpである。テンプレートには表3の96種を用いた。
同様の方法で、20F−5Rのプライマー対を用いてPCR増幅を行なった結果を図8に示す。矢印部のサイズは約1000bp、配列から計算した予想されるサイズは961bpである。テンプレートには表3の96種を用いた。
同様の方法で、30F−5Rのプライマー対を用いてPCR増幅を行なった結果を図9に示す。矢印部のサイズは約700bp、配列から計算した予想されるサイズは665bpである。テンプレートには表3の96種を用いた。
同様の方法で、30F−16Rのプライマー対を用いてPCR増幅を行なった結果を図10に示す。矢印部のサイズは約200bp、配列から計算した予想されるサイズは212bpである。テンプレートには表3の96種を用いた。
いずれの場合にも大腸菌・赤痢菌の株については、予想されるサイズのバンドが出現し、その他の細菌については同じサイズのバンドは出現しない。即ち、大腸菌・赤痢菌のDNAから増幅する特徴的なRAPD断片の配列(配列番号44)から設定したプライマーのいずれを用いた場合にも、大腸菌・赤痢菌を検出することができる事がわかる。
〔実施例2〕
本実施例では、病原性大腸菌を検出するプライマーの作成について示す。表1に示す、12塩基からなる単一のプライマー B47 (配列番号39)(塩基配列:5’− GCCGCCAGAGGA −3’)を表2のテンプレートに用いてSSC−PCRを行なうと、O157とよばれるEscherichia coli GTC 1061と、他の2種の株で共通したサイズ(約1,200bp)のRAPD断片が増幅される(図11の20〜23レーン参照)。一方、他の細菌では同じサイズのRAPD断片は見られない(図11矢印の領域参照)。今回、約1,200bpのRAPD断片が増幅された表2の20、21、22の細菌は、いずれもVTECとよばれる病原性大腸菌である。本実施例では当該約1,200bpのRAPD断片を対象として、配列決定とプライマーの作成を行なう。
実施例1と同様の方法でEscherichia coli GTC 1061よりDNA抽出液を作成した。SSC−PCRは、抽出したDNAから作成したテンプレート溶液と、表1中の12塩基からなる単一のプライマー B47 (配列番号39)(塩基配列:5’− GCCGCCAGAGGA −3’)をもちいた。サーマル・サイクリング条件を表9に示す。反応液は実施例1と同様の組成を用いた。
【0068】
【表9】
Figure 2004283064
次に上記で得た約1200bpのRAPD断片の配列を、実施例1と同様の方法で決定する。シーケンス反応のためのプライマーとして、SSC−PCR時のプライマーと同様、B47 (配列番号39)(塩基配列:5’− GCCGCCAGAGGA −3’)をもちいた。
また、B47プライマーの結合サイトが一つになるよう加工するための制限酵素を選択するため、表5の制限酵素と反応液を用いて、37℃、3時間の酵素処理を行なった。当該RAPD断片は、Pst Iを用いた場合とSma Iを用いた場合のともに、良好に2分割されたので、PstIで切断した断片を配列決定を行なった後、Sma Iで切断した断片でも配列決定を行い、決定された配列の確認・補足を行なった。
この結果、制限酵素Sma I、および、Pst Iの切断断片のLong fragmentから下記配列の33から628までに示す595bpを決定し、Short fragmentから下記配列の703から1169までに示す467 bpを決定した。両側のB47のプライマーサイトを含む残りの162bp(下線の部分)については、GeneBank ACCESSION No. AB011549より推定した。E. coli GTC 1061から B47プライマーにより増幅されるRAPD断片は下記の配列(配列番号45)を持つ1224 bpと予測され、この断片は、E. coli のプラスミドpO157上にあると考えられる。
Figure 2004283064
この配列に基いて、以下のプライマーを設定した(図12参照)。尚、プライマー名につく「F」はforward側として設計・合成されたことを示し、「R」はreverse側のプライマーとして設計・合成されたことを示す。
【0069】
Figure 2004283064
これらのプライマーは、対となるプライマーのTm値が近い、プライマー自体でパリンドロームが形成されにくい、対となるプライマーの相補性が低い、対となるプライマーが結合する位置同士が近すぎない、等の条件を考慮し選択した。これらの条件を満たせば、他の部分でもプライマーまたはプライマーの結合部分とすることができる。
図13は36F−36Rのプライマー対を用いて、表2、表3の細菌をテンプレートにし、PCR増幅と電気泳動を行い、増幅されるかどうかを確認した。尚、配列から計算した予想されるサイズは969bpである。表2の細菌をテンプレートとした結果を図13Aに、表3の細菌をテンプレートとした結果を図13Bに示す。図13Aでは表2の20、21、22の細菌のレーンにのみ約1000bpのバンドが見られる。即ちVTECのみが検出されている。その他の細菌、および表3に示される細菌のレーンには約1000bpのバンドは現れない。
同様の方法で、37F−37Rのプライマー対を用いてPCR増幅を行なった結果を図14に示す。矢印部のサイズは約1000bp、配列から計算した予想されるサイズは937bpである。
同様の方法で、38F−38Rのプライマー対を用いてPCR増幅を行なった結果を図15Aに示す。矢印部のサイズは約900bp、配列から計算した予想されるサイズは919bpである。テンプレートには表2の48種を用いた。
同様の方法で、39F−39Rのプライマー対を用いてPCR増幅を行なった結果を図15Bに示す。矢印部のサイズは約850bp、配列から計算した予想されるサイズは834bpである。テンプレートには表2の48種を用いた。
上記の結果、いずれの場合にもVTECの株については、予想されるサイズのバンドが出現し、その他の細菌については同じサイズのバンドは出現しない。即ち、VTECのDNAより増幅する特徴的なRAPD断片の配列(配列番号45)から設定したプライマーのいずれを用いた場合にもVTECを検出することができる事がわかる。
〔実施例3〕
本実施例では、赤痢菌Shigella flexneri GTC 780を検出するプライマーの作成について示す。
表1に示す、12塩基からなる単一のプライマーG22(配列番号40)(塩基配列:5’−AGGGCCATGATA −3’)を表2のテンプレートに用いてSSC−PCRを行なうと、Shigella flexneri GTC 780のレーンの約1050bp特徴的なRAPD断片が現れる(図16の46レーン参照)。一方、他の細菌では同じサイズのRAPD断片は見られない(図16の矢印の領域参照)。本実施例では当該約1050 bpのRAPD断片を対象として、配列決定とプライマーの作成を行なう。
実施例1と同様の方法でShigella flexneri GTC 780よりDNA抽出液を作成した。SSC−PCRは、抽出したDNAから作成したテンプレート溶液と、表1中の12塩基からなる単一のプライマーG22(配列番号40)(塩基配列:5’−AGGGCCATGATA −3’)をもちいた。尚、SSC−PCR条件、制限酵素処理条件、配列決定用反応条件、新たに作成した特異的プライマーのPCR条件等は、実施例2と同様である。
次に上記で得た約1050 bp のRAPD断片の配列を、実施例1と同様の方法で決定する。シーケンス反応のためのプライマーとして、SSC−PCR時のプライマーと同様、G22(配列番号40)(塩基配列:5’−AGGGCCATGATA −3’)をもちいた。G22プライマーの結合サイトが一つになるよう加工するための制限酵素は、表5の制限酵素と反応液を用いて、37℃、3時間の酵素処理を行なった結果から、Hind IIIを選択した。
制限酵素Hind IIIによる切断断片のLong fragmentから、下記配列の54から650までに示す597 bpを決定し、Short fragmentから下記配列の663から1073までに示す411 bpを決定した。G22のプライマーサイトを含む残りの93 bp(下線の部分)については、GeneBank ACCESSION No. AE015083 AE005674より推定した。Shigella flexneriGTC 780からG22プライマーにより増幅されるRAPD断片は下記の配列(配列番号46)を持つ1101bpと予測され、この断片は、S. flexneriの染色体DNA上にあると考えられる。
Figure 2004283064
Figure 2004283064
この配列に基いて、以下のプライマーを設定した(図17参照)。尚、プライマー名につく「F」はforward側として設計・合成されたことを示し、「R」はreverse側のプライマーとして設計・合成されたことを示す。
Figure 2004283064
これらのプライマーは、対となるプライマーのTm値が近い、プライマー自体でパリンドロームが形成されにくい、対となるプライマーの相補性が低い、対となるプライマーが結合する位置同士が近すぎない、等の条件を考慮し選択した。これらの条件を満たせば、他の部分でもプライマーまたはプライマーの結合部分とすることができる。
図18は41F−41Rのプライマー対を用いて、表2、表3の細菌をテンプレートにし、PCR増幅と電気泳動を行い、増幅されるかどうかを確認した。尚、配列から計算した予想されるサイズは726bpである。表2の細菌をテンプレートとした結果を図18Aに、表3の細菌をテンプレートとした結果を図18Bに示す。図18Aでは表2の46の細菌のレーンにのみ、図18Bでは表2の76の細菌のレーンにのみ約700bpのバンドが見られる。即ちShigella flexneri GTC 780のみが検出されている。その他の細菌のレーンには約700bpのバンドは現れない(図18A矢印領域参照)。
同様の方法で、42F−42Rのプライマー対を用いてPCR増幅を行なった結果を図19に示す。矢印部のサイズは約800bp、配列から計算した予想されるサイズは814bpである。
同様の方法で、43F−43Rのプライマー対を用いてPCR増幅を行なった結果を図20Aに示す。矢印部のサイズは約750bp、配列から計算した予想されるサイズは756bpである。
上記の結果、いずれの場合にもShigella flexneri GTC 780の株については、予想されるサイズのバンドが出現し、その他の細菌については同じサイズのバンドは出現しない。即ち、Shigella flexneri GTC 780のDNAより増幅する特徴的なRAPD断片の配列(配列番号46)から設定したプライマーのいずれを用いた場合にもShigella flexneri GTC 780を検出することができる事がわかる。
〔実施例4〕
本実施例では、赤痢菌Shigella dysenteriae GTC 786を検出するプライマーの作成について示す。
表1に示す、12塩基からなる単一のプライマーB72 (配列番号41)(塩基配列:5’− TAACAACCGAGC −3’)を表2のテンプレートに用いてSSC−PCRを行なうと、Shigella dysenteriae GTC 786のレーンに約2500bp特徴的なRAPD断片が現れる(図21の48レーン参照)。一方、他の細菌では同じサイズのRAPD断片は見られない(図21矢印の領域参照)。本実施例では当該約2500bpのRAPD断片を対象として、配列決定とプライマーの作成を行なう。
実施例1と同様の方法でShigella dysenteriae GTC 786よりDNA抽出液を作成した。SSC−PCRは、抽出したDNAから作成したテンプレート溶液と、表1中の12塩基からなる単一のプライマーB72 (配列番号41)(塩基配列:5’− TAACAACCGAGC −3’)をもちいた。尚、SSC−PCR条件、制限酵素処理条件、配列決定用反応条件、新たに作成した特異的プライマーのPCR条件等は、実施例2と同様である。。
次に上記で得た約2500bp のRAPD断片の配列を、実施例1と同様の方法で決定する。シーケンス反応のためのプライマーとして、SSC−PCR時のプライマーと同様、12塩基からなる単一のプライマーB72 (配列番号41)(塩基配列:5’− TAACAACCGAGC −3’)をもちいた。B72プライマーの結合サイトが一つになるよう加工するための制限酵素は、表5の制限酵素と反応液を用いて、37℃、3時間の酵素処理を行なった結果から、PvuIIを選択した。
制限酵素PvuIIによる切断断片のLong fragmentから、下記の536 bpの配列を決定した。
Figure 2004283064
制限酵素Pvu IIのShort fragmentから下記の546 bpを決定した。
Figure 2004283064
FASTA検索では、部分的に相同性の高い領域はみられたが、ほぼ全ての領域と相同性の高い領域はみられず、残りの約1400 bpについては未決定の状態で、以下のプライマーの設計を行なった(図22参照)。尚、プライマー名につく「F」はforward側として設計・合成されたことを示し、「R」はreverse側のプライマーとして設計・合成されたことを示す。
Figure 2004283064
これらのプライマーは、対となるプライマーのTm値が近い、プライマー自体でパリンドロームが形成されにくい、対となるプライマーの相補性が低い、対となるプライマーが結合する位置同士が近すぎない、等の条件を考慮し選択した。これらの条件を満たせば、他の部分でもプライマーまたはプライマーの結合部分とすることができる。
図23は47F−47Rのプライマー対を用いて、表2、表3の細菌をテンプレートにし、PCR増幅と電気泳動を行い、増幅されるかどうかを確認した。尚、配列から計算した予想されるサイズは249bpである。表2の細菌をテンプレートとした結果を図23Aに、表3の細菌をテンプレートとした結果を図23Bに示す。図23Aでは表2の48の細菌のレーンにのみ、図23Bではいずれのレーンにも約250bpのバンドは見られない。
即ちShigella dysenteriae GTC 786のみが検出されている。その他の細菌のレーンには約250bpのバンドは現れない(図23矢印領域参照)。
同様の方法で、48F−48Rのプライマー対を用いてPCR増幅を行なった結果を図24Aに示す。テンプレートには表2の48種を用いた。矢印部のサイズは約200bp、配列から計算した予想されるサイズは212bpである。
同様の方法で、49F−49Rのプライマー対を用いてPCR増幅を行なった結果を図24Bに示す。テンプレートには表2の48種を用いた。矢印部のサイズは約2200bpである。当該サイズは、RAPD断片の全体(約2500bp)のサイズと、プライマーを設定した位置(図22参照)とから予測されるサイズである。上記の結果、いずれの場合にもShigella dysenteriae GTC 786の株については、予想されるサイズのバンドが出現し、その他の細菌については同じサイズのバンドは出現しない。Shigella dysenteriae GTC 786のDNAより増幅する特徴的なRAPD断片の配列(配列番号47および配列番号48)から設定したプライマーのいずれを用いた場合にもShigella dysenteriae GTC 786を検出することができる事がわかる。
〔実施例5〕
本実施例では、赤痢菌Shigella boydii GTC 779を検出するプライマーの作成について示す。
表1に示す、12塩基からなる単一のプライマーF69 (配列番号42)(塩基配列:5’− ATCGACGGAGAA −3’)を表2のテンプレートに用いてSSC−PCRを行なうと、Shigella boydii GTC 779のレーンに約2400bpの特徴的なRAPD断片が現れる(図25の45レーン参照)。一方、他の細菌では同じサイズのRAPD断片は見られない(図21矢印の領域参照)。本実施例では当該約2400bpのRAPD断片を対象として、配列決定とプライマーの作成を行なう。
実施例1と同様の方法でShigella boydii GTC 779よりDNA抽出液を作成した。SSC−PCRは、抽出したDNAから作成したテンプレート溶液と、表1中の12塩基からなる単一のプライマーF69 (配列番号42)(塩基配列:5’− ATCGACGGAGAA −3’)をもちいた。尚、SSC−PCR条件、制限酵素処理条件、配列決定用反応条件、新たに作成した特異的プライマーのPCR条件等は、実施例2と同様である。。
次に上記で得た約2400bp のRAPD断片の配列を、実施例1と同様の方法で決定する。シーケンス反応のためのプライマーとして、SSC−PCR時のプライマーと同様、12塩基からなる単一のプライマーF69 (配列番号42)(塩基配列:5’− ATCGACGGAGAA −3’)をもちいた。F69プライマーの結合サイトが一つになるよう加工するための制限酵素は、表5の制限酵素と反応液を用いて、37℃、3時間の酵素処理を行なった結果から、制限酵素Hpa Iを選択した。
制限酵素Hpa Iによる切断断片のLong fragmentから、下記の616 bpの配列を決定した。
Figure 2004283064
制限酵素Hpa IのShort fragmentから下記の650 bpを決定した。
Figure 2004283064
FASTA検索では、部分的に相同性の高い領域はみられたが、ほぼ全ての領域と相同性の高い領域はみられず、残りの約1150 bpについては未決定の状態で、以下のプライマーの設計を行なった(図26参照)。尚、プライマー名につく「F」はforward側として設計・合成されたことを示し、「R」はreverse側のプライマーとして設計・合成されたことを示す。
Figure 2004283064
これらのプライマーは、対となるプライマーのTm値が近い、プライマー自体でパリンドロームが形成されにくい、対となるプライマーの相補性が低い、対となるプライマーが結合する位置同士が近すぎない、等の条件を考慮し選択した。これらの条件を満たせば、他の部分でもプライマーまたはプライマーの結合部分とすることができる。
図27Aは52F−52Rのプライマー対を用いて、PCR増幅と電気泳動を行い、増幅されるかどうかを確認した。テンプレートには表2の48種を用いた。矢印部のサイズは約2100bpである。当該サイズは、RAPD断片の全体(約2400bp)のサイズと、プライマーを設定した位置(図26参照)とから予測されるサイズである。レーン45にのみ当該予想されるサイズのバンドが見られ、その他の細菌のレーンには当該サイズのバンドは見られない(図27A矢印領域参照)。即ちShigella boydii GTC 779のみが検出されている。
図27Bは53F−53Rのプライマー対を用いて、PCR増幅と電気泳動を行い、増幅されるかどうかを確認した。テンプレートには表2の48種を用いた。矢印部のサイズは約2000bpである。当該サイズは、RAPD断片の全体(約2400bp)のサイズと、プライマーを設定した位置(図26参照)とから予測されるサイズである。レーン45にのみ当該予想されるサイズのバンドが見られ、その他の細菌のレーンには当該サイズのバンドは見られない(図27B矢印領域参照)。即ちShigella boydii GTC 779のみが検出されている。
図27Cは54F−54Rのプライマー対を用いて、PCR増幅と電気泳動を行い、増幅されるかどうかを確認した。テンプレートには表2の48種を用いた。矢印部のサイズは約2000bpである。当該サイズは、RAPD断片の全体(約2400bp)のサイズと、プライマーを設定した位置(図26参照)とから予測されるサイズである。レーン45にのみ当該予想されるサイズのバンドが見られ、その他の細菌のレーンには当該サイズのバンドは見られない(図27C矢印領域参照)。即ちShigella boydii GTC 779のみが検出されている。
【0070】
上記の結果、いずれの場合にもShigella boydii GTC 779の株については、予想されるサイズのバンドが出現し、その他の細菌については同じサイズのバンドは出現しない。Shigella boydii GTC 779のDNAより増幅する特徴的なRAPD断片の配列(配列番号49および配列番号50)から設定したプライマーのいずれを用いた場合にもShigella dysenteriae GTC 786を検出することができる事がわかる。
〔実施例6〕
本実施例では、赤痢菌Shigella sonnei GTC 781と大腸菌Escherichia coli IFO 3366を検出するプライマーの作成について示す。
【0071】
表1に示す、12塩基からなる単一のプライマーE83 (配列番号43)(塩基配列:5’−CTGCGTTTTCAC− 3’)を表2のテンプレートに用いてSSC−PCRを行なうと、Shigella sonnei GTC 781とEscherichia coli IFO 3366のレーンに約800bpの特徴的なRAPD断片が現れる(図28の24レーン・47レーン参照)。一方、他の細菌では同じサイズのRAPD断片は見られない(図28矢印の領域参照)。本実施例では当該約800bpのRAPD断片を対象として、配列決定とプライマーの作成を行なう。
実施例1と同様の方法でShigella sonnei GTC 781よりDNA抽出液を作成した。SSC−PCRは、抽出したDNAから作成したテンプレート溶液と、表1中の12塩基からなる単一のプライマー E83 (配列番号43)(塩基配列:5’−CTGCGTTTTCAC− 3’)をもちいた。尚、SSC−PCR条件、制限酵素処理条件、配列決定用反応条件、新たに作成した特異的プライマーのPCR条件等は、実施例2と同様である。
次に上記で得た約800bp のRAPD断片の配列を、実施例1と同様の方法で決定する。シーケンス反応のためのプライマーとして、SSC−PCR時のプライマーと同様、12塩基からなる単一のプライマーE83 (配列番号43)(塩基配列:5’−CTGCGTTTTCAC− 3’)をもちいた。E83プライマーの結合サイトが一つになるよう加工するための制限酵素は、表5の制限酵素と反応液を用いて、37℃、3時間の酵素処理を行なった結果から、制限酵素BglIを選択した。
制限酵素BglIによる切断断片のLong fragmentから、
下記配列の31から484までに示す454bpを決定し、Short fragmentから下記配列の500から727までに示す228bpを決定した。Long fragment側のE83のプライマーサイトを含む一部の配列、および、Long fragmentとShort fragmentとの間の配列(合計45 bp)(下線の部分)については、GeneBank ACCESSION No. X05956より推定した。Shigella sonnei GTC 781からE83プライマーにより増幅されるRAPD断片は下記の配列(配列番号51)を持つ727 bp bpと予測され、この断片は、Shigella sonnei GTC 781の染色体DNA上にあると考えられる。Short fragment側の末端部の数十bpについては、未決定である。
Figure 2004283064
この配列に基いて、以下のプライマーを設定した(図29参照)。尚、プライマー名につく「F」はforward側として設計・合成されたことを示し、「R」はreverse側のプライマーとして設計・合成されたことを示す。
【0072】
Figure 2004283064
これらのプライマーは、対となるプライマーのTm値が近い、プライマー自体でパリンドロームが形成されにくい、対となるプライマーの相補性が低い、対となるプライマーが結合する位置同士が近すぎない、等の条件を考慮し選択した。これらの条件を満たせば、他の部分でもプライマーまたはプライマーの結合部分とすることができる。
図30Aは44F−44Rのプライマー対を用いて、PCR増幅と電気泳動を行い、増幅されるかどうかを確認した。テンプレートには表2の48種を用いた。矢印部のサイズは約500bp、配列から計算した予想されるサイズは510bpである。レーン47およびレーン24にのみ当該予想されるサイズのバンドが見られ、その他の細菌のレーンには当該サイズのバンドは見られない(図30A矢印領域参照)。即ち、赤痢菌Shigella sonnei GTC 781と大腸菌Escherichia coli IFO 3366のみが検出されている。
図30Bは45F−45Rのプライマー対を用いて、PCR増幅と電気泳動を行い、増幅されるかどうかを確認した。テンプレートには表2の48種を用いた。矢印部のサイズは約450bp、配列から計算した予想されるサイズは433bpである。レーン47およびレーン24にのみ当該予想されるサイズのバンドが見られ、その他の細菌のレーンには当該サイズのバンドは見られない(図30B矢印領域参照)。即ち、赤痢菌Shigella sonnei GTC 781と大腸菌Escherichia coli IFO 3366のみが検出されている。
図30Cは46F−46Rのプライマー対を用いて、PCR増幅と電気泳動を行い、増幅されるかどうかを確認した。テンプレートには表2の48種を用いた。矢印部のサイズは約450bp、配列から計算した予想されるサイズは468bpである。レーン47およびレーン24にのみ当該予想されるサイズのバンドが見られ、その他の細菌のレーンには当該サイズのバンドは見られない(図30C矢印領域参照)。即ち、赤痢菌Shigella sonnei GTC 781と大腸菌Escherichia coli IFO 3366のみが検出されている。
【0073】
上記の結果、いずれの場合にも赤痢菌Shigella sonnei GTC 781と大腸菌Escherichia coli IFO 3366の株については、予想されるサイズのバンドが出現し、その他の細菌については同じサイズのバンドは出現しない。Shigella sonnei GTC 781とEscherichia coli IFO 3366のDNAより増幅する特徴的なRAPD断片の配列(配列番号51)から設定したプライマーのいずれを用いた場合にもShigella sonnei GTC 781とEscherichia coli IFOを検出することができる事がわかる。〔実施例1〕から〔実施例6〕に示される通り、任意のプライマーによって、目的とする1または2以上の特定の種類の細菌DNAから特徴的に増幅されるRAPD断片を選択し、当該RAPD断片の配列からプライマーを作成することにより、極めて高い確率で、目的とした1または2以上の特定種類の微生物を検出可能なプライマーを作成することが可能である。
〔実施例7〕配列決定ウォーキング
上記のようにRAPD断片の塩基配列決定の目的が、特異的なプライマー、あるいは、プローブを作成することであれば、必ずしも切断されたDNA断片各々の配列が必要なわけではない。
しかし、他の種や、株と塩基配列を比較したい場合など、断片全体の塩基配列を知りたい場合には、L−およびS−fragmentの最初の塩基配列を元にしてプライマーを再度、設定・合成し、それを用いて残りの塩基配列決定(いわゆるウォーキングによる塩基配列決定)することにより、配列を決定することができる。〔実施例1〕で用いた、B69プライマー(配列番号38)を任意のプライマーとして得られたRAPD断片を用いて実証する。
プライマーの設計は、市販のソフトウェアOligo ver. 5.0(National Biosciences, Inc.:商標)を用いて単一プライマー内での二本鎖形成を避け、適当な融解温度(通常、50−70℃)になるような20塩基程度の配列を探索した。また、設計したプライマーを塩基配列決定用の反応だけでなく、DNA断片の増幅に用いる場合には、forward側とreverse側に相当する2つのプライマー同士がテンプレートに結合する前に結合しないような考慮も必要である。
【0074】
最初にL−fragmentの塩基配列からプライマー 16F(配列番号3)(5’−CCA CCT TAT TCT TCA GGC TT−3’)を、そして、S−fragmentの塩基配列からプライマー 16R(配列番号4)(5’−TGC ATT TTT CAG CTG TCT G−3’)を設計した。設計したプライマーを合成し(Amersham Phalmacia Biotech:商標)、以下に示す条件でサーマル・サイクリング、電気泳動および塩基配列決定を行った。
【0075】
【表10】
Figure 2004283064
塩基配列の決定の結果を示す。
Figure 2004283064
プライマー 16R(配列番号4)を用いて決定できた配列は、末端が切れており、しかも、その末端は制限酵素Bgl IIの認識・切断部位に相当すると推定できたので、S−fragmentについては、その5’側の数十塩基を除き、ほぼ全領域が配列決定できた。しかし、L−fragmentについては、制限酵素Bgl IIの認識・切断部位で終末していないので全体の塩基配列ができていないと考え、さらにプライマー 16F(配列番号3)を用いて得られた塩基配列から、新しくプライマー 20F(配列番号5)(5’−CAT GCC AGT CAC TAA CGA GA−3’)を設計し、プライマー 16F(配列番号3)の場合と同じ条件で塩基配列決定を行った。この結果を以下に示す。決定した配列の最後は、制限酵素Bgl IIの認識・切断部位に相当しているので、L−fragmentの5’側の数十塩基を除き、ほぼ全領域が配列決定できたと推定できる。
【0076】
Figure 2004283064
これまでの塩基配列の決定により、対象としたRAPD断片のほぼ全域の塩基配列の決定ができたことが分かる(図2参照)。本実施例では、断片の両端の合計数十塩基分(最初のプライマー結合部位の近傍にあたる)の塩基配列決定を示していないが、塩基配列が分かった部分を用いて断片の外側に向かうプライマーを両側で設定して塩基配列決定を行うことで、未決定部分の塩基配列の決定ができる。
【0077】
例えば、プライマー 16F(配列番号3)と相補的で逆向きのプライマー(5’−AAG CCT GAA GAA TAA GGT GG−3’)、および、プライマー 16R(配列番号4)に相補的で逆向きのプライマー(5’−CAG ACA GCT GAA AAA TGC A−3’)を用いて塩基配列を決定できる。
〔実施例8〕塩基配列の由来の確認
特定の種に特異的なプライマーを作成する工程で、他の細菌などのDNAがなんらかの原因で混入し、その塩基配列を読み取ってしまっているという可能性を払拭するため、決定した塩基配列が本当に対象としたDNAに含まれているかどうかを確認することが有益な場合がある。この確認には、少なくとも、データベースの検索による方法と新規にプライマーを設計しPCR増幅できるかどうかを確認する方法の2通りが考えられる。
【0078】
本実施例で対象とした大腸菌IFO 3301株の場合は、由来を同じくする株の全ゲノム塩基配列が既に決定されているので、データベースを利用する方法が適用できる。本実施例では、公開されているデータベース(DDBJ)とその検索エンジン(FASTAおよびBLAST)を用いて検索した。その結果、L−およびS−fragmentのいずれも大腸菌K12株のゲノム塩基配列上に一致する配列を認め、電気泳動から推測された塩基数だけ離れて連続していた(ACCESSION No. AE000493)。また、遺伝子解析情報より、対象としたRAPD断片は、遺伝子「ytfL」および「msrA」にまたがっており、それぞれの一部とこの2つの遺伝子の間の領域(遺伝子ではない領域)を含んだ断片であることが分かった。これは、本実施例で決定された塩基配列が大腸菌から正しく読み取られたことを示している。こうしてデータベースの検索で配列の正しさを確認することができるのは、これまでに塩基配列が決定された生物を対象とした場合だけであり、全ての生物の場合に利用できるわけではない。
【0079】
決定した塩基配列が対象としたDNA由来であるかどうかを確認する手段としてより一般的で簡便な方法としては、PCRを用いる方法である。まず、決定した塩基配列を元にして、その塩基配列に特異的なプライマーのセットを設計・合成する。そして、そのプライマーのセットを用いて対象のDNAをテンプレートにしてPCRを行い、予想されたサイズの断片が増幅されるかどうかを電気泳動で確認することによって明らかにすることができる。
〔実施例9〕配列特異的なプライマーを利用した大腸菌の検出
新規に設計したプライマーを用いて、糞便サンプルからの大腸菌の検出を行った結果について示す。
【0080】
健康成人14人から糞便を採取し、0.5gの糞便サンプルからDNAを直接抽出した。抽出は、Fast DNA SPIN kit for Soil(Q−Biogene:商標)を用いて、メーカー推奨の方法で行った。以下に簡単に手順を記す。まず、0.5gの糞便サンプルに20mlの5 mM EDTA溶液を加え、攪拌して洗浄後、8,000回転で10分間遠心分離し、上清を捨てた。この操作を3回行った後、沈渣に987μlのSodium Phosphate バッファー、及び、122μlのMT バッファーを加え、メーカー指定のチューブに移した。チューブをFastPrep装置にセットし、30秒間処理した。15,000回転で30秒間遠心した後、上清を新しいチューブに移した。250μlのPPS溶液を加えて、混合した。さらに15,000回転で5分間遠心して上清を新しい15mlチューブに移して1mlのBiding Matrix suspensionを加えた。2分間混合後、3分間静置してDNAをMatrixに吸着させた。0.5mlの上清を捨てて残りを再度混合した後、SPIN Filterに移し、15,000回転で1分間遠心した。0.5mlのSEWS−Mを加え、1分間遠心後、溶液を捨て、さらに2分間遠心して溶液を飛ばした。Filterを新しいチューブに入れ、5分間風乾させた後、500μlのDESを加え、静かに攪拌して吸着したDNAを溶出させた。1分間遠心分離して溶液をチューブに採取してDNA抽出液とした。DNA抽出液のDNA濃度を測定して、テンプレート溶液を作成し、RAPD断片の両端に近い部分に設計したプライマー 5F(配列番号1)と5R(配列番号2)を用いて、以下の条件でPCRを行った。
【0081】
【表11】
Figure 2004283064
図35に、14例の糞便DNAサンプルを用いた結果を示す。サンプルによって、生成物の量(バンドの濃さ)はかなり差があるものの、全ての場合で約1,700 bpの断片の増幅を確認した。この結果は、糞便中に存在した大腸菌のDNAが抽出され、そのDNAをテンプレートにしてPCR産物が増幅されたと考えられる。即ち、本件発明により設計されたプライマーは、人工的に調整されたテンプレート以外であっても目的とする細菌を検出できることが分かる。
【0082】
【0083】
【発明の効果】
本発明は、大腸菌と赤痢菌に属するもの、EHEC、shigella flexneri、shigella dysenteriae、shigella boydii、shigella sonneiとEscherichia coli IFO 3366、の1または2以上の種類の微生物を検出することを可能にする。
【0084】
また、目的とする1または2以上の特定種類の微生物の検出が可能なプライマー対を作成することを可能にする。
また、病原性因子を含んでいる可能性がある等DNAクローニングに適さない、生物種の塩基配列の解析が進んでいない、などの事情があってもこれらの事情を障害とすることなく、簡便に特定の生物種を検出できるプライマーまたはプライマー対を作成可能にする。
【0085】
【0086】
【配列表】
Figure 2004283064
Figure 2004283064
Figure 2004283064
Figure 2004283064
Figure 2004283064
Figure 2004283064
Figure 2004283064
Figure 2004283064
Figure 2004283064
Figure 2004283064
Figure 2004283064
Figure 2004283064
Figure 2004283064
Figure 2004283064
Figure 2004283064
Figure 2004283064
Figure 2004283064
Figure 2004283064

【図面の簡単な説明】
【図1】各種細菌にB69プライマーを作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約1800bp、2重矢印部のサイズは約3000bpを示す。Aは、全てのレーンに約1800bpまたは約3000bpのバンドが、Bは、30, 76のレーンに約1800bpのバンドがみられる。
【図2】実施例1のRAPD断片の塩基配列決定と、当該配列から設定したプライマーを示したもの。
【図3】各種細菌に5F−5Rのプライマー対を作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約1700bp、2重矢印部のサイズは約2900bpを示す。Aは、全てのレーンに約1700bpまたは約2900bpのバンドが、Bは、30, 76のレーンに約1700bpのバンドがみられる。
【図4】各種細菌に16F−5Rのプライマー対を作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約1300bp、2重矢印部のサイズは約2500bpを示す。Aは、全てのレーンに約1300bpまたは約2500bpのバンドが、Bは、30, 76のレーンに約1300bpのバンドがみられる。
【図5】各種細菌に16F−16Rのプライマー対を作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約900bpを示す。Aは、全てのレーンに、Bは、30, 76のレーンに約900bpのバンドがみられる。
【図6】各種細菌に20F−16Rのプライマー対を作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約500bpを示す。Aは、全てのレーンに、Bは、30, 76のレーンに約500bpのバンドがみられる。
【図7】各種細菌に5F−16Rのプライマー対を作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約1200bpを示す。30, 76のレーンに約1200bpのバンドがみられる。
【図8】各種細菌に20F−5Rのプライマー対を作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約1000bpを示す。30, 76のレーンに約1000bpのバンドがみられる。
【図9】各種細菌に30F−5Rのプライマー対を作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約700bpを示す。30, 76のレーンに約700bpバンドがみられる。
【図10】各種細菌に30F−16Rのプライマー対を作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約200bpを示す。30, 76のレーンに約200bpのバンドがみられる。
【図11】各種細菌にB47プライマーを作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約1200bpを示す。20〜22のレーンに約1200bpのバンドがみられる。
【図12】実施例2のRAPD断片の塩基配列決定と、当該配列から設定したプライマーを示したもの。
【図13】各種細菌に36F−36Rのプライマー対を作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約1000bpを示す。Aの20〜22のレーンにのみ約1000bpバンドがみられる。
【図14】各種細菌に37F−37Rのプライマー対を作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約1000bpを示す。Aの20〜22のレーンにのみ約1000bpバンドがみられる。
【図15】各種細菌にAに38F−38Rのプライマー対を作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約900bpを示す。Aでは20〜22のレーンにのみ約900bpバンドがみられる。Bに39F−39R のプライマー対を作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約850bpを示す。20〜22のレーンにのみ約850bpのバンドがみられる。
【図16】各種細菌にG22プライマーを作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約1050bpを示す。46のレーンに約1050bpのバンドがみられる。
【図17】実施例3のRAPD断片の塩基配列決定と、当該配列から設定したプライマーを示したもの。
【図18】各種細菌に41F−41Rのプライマー対を作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約700bpを示す。Aは46のレーンに、Bは76のレーンに約700bpのバンドがみられる。
【図19】各種細菌に42F−42Rのプライマー対を作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約800bpを示す。Aは46のレーンに、Bは76のレーンに約800bpのバンドがみられる。
【図20】各種細菌に43F−43Rのプライマー対を作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約750bpを示す。Aは46のレーンに、Bは76のレーンに約750bpのバンドがみられる。
【図21】各種細菌にB72プライマーを作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約2500bpを示す。48のレーンに約2500bpのバンドがみられる。
【図22】実施例4のRAPD断片の塩基配列決定と、当該配列から設定したプライマーを示したもの。
【図23】各種細菌に47F−47Rのプライマー対を作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約250bpを示す。Aの48のレーンにのみ約250bpのバンドがみられる。
【図24】Aに、各種細菌に48F−48Rのプライマー対を作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約200bpを示す。48のレーンにのみ約200bpのバンドがみられる。Bに各種細菌に49F−49Rのプライマー対を作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約2200bpを示す。48のレーンにのみ約2200bpのバンドがみられる。
【図25】各種細菌にF69プライマーを作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約2400bpを示す。45のレーンに約2400bpのバンドがみられる。
【図26】実施例5のRAPD断片の塩基配列決定と、当該配列から設定したプライマーを示したもの。
【図27】Aに、各種細菌に52F−52Rのプライマー対を作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約2100bpを示す。45のレーンにのみ約2100bpのバンドがみられる。Bに各種細菌に53F−53Rのプライマー対を作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約2000bpを示す。45のレーンにのみ約2000bpのバンドがみられる。Cに各種細菌に54F−54Rのプライマー対を作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約2000bpを示す。45のレーンにのみ約2000bpのバンドがみられる。
【図28】各種細菌にE83プライマーを作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約800bpを示す。24と47のレーンにのみ約2400bpのバンドがみられる。
【図29】実施例6のRAPD断片の塩基配列決定と、当該配列から設定したプライマーを示したもの。
【図30】Aに、各種細菌に44F−44Rのプライマー対を作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約500bpを示す。24と47のレーンにのみ約500bpのバンドがみられる。Bに各種細菌に45F−45Rのプライマー対を作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約450bpを示す。24と47のレーンにのみ約2000bpのバンドがみられる。Cに各種細菌に46F−46Rのプライマー対を作用させた結果を示す。矢印部のサイズは約450bpを示す。24と47レーンにのみ約2000bpのバンドがみられる。
【図31】増幅確率の異なるプライマーを用いることにより増幅されるDNA断片が減少することを示す図である。
【図32】DNA断片の配列決定の工程図である。
【図33】RAPD法で増幅された断片が、RAPD法で用いたプライマーを使用しての配列決定が困難であることを示す図である。
【図34】RAPD断片をレーン上に記載の制限酵素で切断した後の電気泳動像である。
【図35】配列番号1および配列番号2のプライマー対を用いて14例の糞便DNAサンプルからRAPD断片を増幅した図である。
【符号の説明】
10はマイクロタイタプレート
10aは、マイクロタイタプレートの各ウェル

Claims (15)

  1. 大腸菌・赤痢菌検出用のプライマー対であって、B69プライマー(配列番号38)により大腸菌・赤痢菌のDNAより増幅されるべき配列番号44のヌクレオチドから選択された約6〜50個の実質的に連続した塩基又はその相補配列とDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズする第一のプライマーと、前記実質的に連続した塩基と一定塩基数以上の間隔を置いて相補鎖上にある約6〜50個の実質的に連続した塩基又はその相補配列とDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズし、前記第一のプライマーとTm値が近縁な第二のプライマーからなるプライマー対。
  2. 大腸菌・赤痢菌検出用のプライマー対であって、配列番号1から6(プライマー5F、プライマー16F、プライマー20F、プライマー30F、プライマー16R、プライマー5R)から選ばれる2つの塩基配列または塩基配列に相補的な配列を有するプライマー対。
  3. EHEC検出用のプライマー対であって、B47プライマー(配列番号39)によりEHECのDNAより増幅されるべき配列番号45のヌクレオチドから選択された約6〜50個の実質的に連続した塩基又はその相補配列とDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズする第一のプライマーと、前記実質的に連続した塩基と一定塩基数以上の間隔を置いて相補鎖上にある約6〜50個の実質的に連続した塩基又はその相補配列とDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズし、前記第一のプライマーとTm値が近縁な第二のプライマーからなるプライマー対。
  4. EHEC検出用のプライマー対であって、配列番号7から14(プライマー36R、プライマー37R、プライマー38R、プライマー39R、プライマー37F、プライマー36F、プライマー38F、プライマー39F)から選ばれる2つの塩基配列または塩基配列に相補的な配列を有するプライマー対。
  5. 赤痢菌(shigella flexneri)のプライマー対であって、G22プライマー(配列番号40)により赤痢菌(shigella flexneri)のDNAより増幅されるべき配列番号46のヌクレオチドから選択された約6〜50個の実質的に連続した塩基(又はその相補配列)とDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズする第一のプライマーと、前記実質的に連続した塩基と一定塩基数以上の間隔を置いて相補鎖上にある約6〜50個の実質的に連続した塩基又はその相補配列とDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズし、前記第一のプライマーとTm値が近縁な第二のプライマーからなるプライマー対。
  6. 赤痢菌(shigella flexneri)検出用のプライマー対であって、配列番号15から19(プライマー41F、プライマー41R、プライマー42F、プライマー42R、プライマー43F)から選ばれる2つの塩基配列または塩基配列に相補的な配列を有するプライマー対。
  7. 赤痢菌(shigella dysenteriae)検出用のプライマー対であって、B72プライマー(配列番号41)により赤痢菌(shigella dysenteriae)のDNAより増幅されるべき配列番号47および配列番号48のヌクレオチドから選択された約6〜50個の実質的に連続した塩基又はその相補配列とDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズする第一のプライマーと、前記実質的に連続した塩基と一定塩基数以上の間隔を置いて相補鎖上にある約6〜50個の実質的に連続した塩基又はその相補配列とDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズし、前記第一のプライマーとTm値が近縁な第二のプライマーからなるプライマー対。
  8. 赤痢菌(shigella dysenteriae)検出用のプライマー対であって、配列番号20から25(プライマー47F、プライマー47R、プライマー48F、プライマー48R、プライマー49F、プライマー49R)から選ばれる2つの塩基配列または塩基配列に相補的な配列を有するプライマー対。
  9. 赤痢菌(shigella boydii)検出用のプライマー対であって、F69プライマー(配列番号42)により赤痢菌(shigella boydii)のDNAより増幅されるべき配列番号49および配列番号50のヌクレオチドから選択された約6〜50個の実質的に連続した塩基又はその相補配列とDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズする第一のプライマーと、前記実質的に連続した塩基と一定塩基数以上の間隔を置いて相補鎖上にある約6〜50個の実質的に連続した塩基又はその相補配列とDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズし、前記第一のプライマーとTm値が近縁な第二のプライマーからなるプライマー対。
  10. 赤痢菌(shigella boydii)検出用のプライマー対であって、配列番号26から31(プライマー52F、プライマー52R、プライマー53F、プライマー53R、プライマー54F、プライマー54R)から選ばれる2つの塩基配列または塩基配列に相補的な配列を有するプライマー対。
  11. 赤痢菌(shigella sonnei)と大腸菌(Escherichia coli IFO 3366)検出用のプライマー対であって、E83プライマー(配列番号43)により、赤痢菌(shigella sonnei)または大腸菌(Escherichia coli IFO 3366)のDNAより増幅されるべき配列番号51のヌクレオチドから選択された約6〜50個の実質的に連続した塩基又はその相補配列とDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズする第一のプライマーと、前記実質的に連続した塩基と一定塩基数以上の間隔を置いて相補鎖上にある約6〜50個の実質的に連続した塩基又はその相補配列とDNAの複製が可能となる状態でハイブリタイズし、前記第一のプライマーとTm値が近縁な第二のプライマーからなるプライマー対。
  12. 赤痢菌(shigella sonnei)と大腸菌(Escherichia coli IFO 3366)検出用のプライマー対であって、配列番号32から37(プライマー44F、プライマー44R、プライマー45F、プライマー45R、プライマー46F、プライマー46R)から選ばれる2つの塩基配列または塩基配列に相補的な配列を有するプライマー対。
  13. 1または2以上の特定種類の微生物を検出するためのプラーマー対の作成方法であって、単一のかつ適当な種類数のDNA断片が増幅される増幅確率のプライマーを用いたPCR法により増幅されたDNA断片のうち、特定の種類の微生物には共通して見られ、その他の種類の微生物では見られないDNA断片を選択する第一の工程と、前記第一の工程で選択した断片の一部または全部を配列決定する第二の工程と、前記第二の工程で決定された配列から新規なプライマー対を設計する第三の工程を含むことを特徴とする種特異的プライマーまたはプライマー対作成方法。
  14. 前記第二の工程の配列決定方法は、単一のかつ適当な種類数のDNA断片が増幅される増幅確率のプライマーを用いたPCR法により増幅されたDNA断片のプライマーの結合サイトが一つになるよう加工する工程と、前記PCR用プライマーとして用いた単一のプライマーをシーケンス反応のプライマーとしておこなうダイレクト・シーケンス法により配列を決定する工程を含むことを特徴とする請求項13に記載の種特異的プライマーまたはプライマー対作成方法。
  15. 前記DNA断片のプライマーの結合サイトが一つになるよう加工する工程は、制限酵素での切断を含むことを特徴とする請求項14に記載の種特異的プライマーまたはプライマー対作成方法。
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