JP2004276292A - 熱可塑性樹脂フィルムおよび包装フィルム - Google Patents

熱可塑性樹脂フィルムおよび包装フィルム Download PDF

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Shigetoshi Maekawa
茂俊 前川
Tomoe Sawada
知枝 澤田
Shunichi Osada
俊一 長田
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Abstract

【課題】特に包装材料として好適な耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂フィルムならびに包装フィルムを提供する。
【解決手段】少なくとも2種類の融点の異なる熱可塑性樹脂が厚み方向に8層以上積層された熱可塑性樹脂フィルムであって、劈開剥離強度が0.2N/mm以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムおよびそれを用いた包装フィルム。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂フィルムおよびそれを用いた包装フィルムに関するものである。更に詳しくは、耐衝撃性、透明性に優れ、包装用途に適した熱可塑性樹脂フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミド樹脂からなるフィルムは、ガスバリア性、強靱性、耐ピンホール性、耐熱性、光学的特性あるいは耐油性などの諸物性が優れている。そのため、包装フィルム、とくに食品包装分野を中心に、単層あるいはラミネートフィルムの基材として、様々な分野で使用されている。しかしながら、ポリアミド樹脂は吸湿性の高い樹脂であるために、例えば、各種包装材形態で常温・常湿下で放置すると、ガスバリア性能や機械強度等の物性の経時変化がおきる問題があった。
【0003】
一方、ポリエステル樹脂は、その優れた機械的、電気的、光学的、熱的性質のために、工業用途・包装用途・建材用途・磁気材料用途等の広い分野で使用されている。しかしながら、包装用途においては、耐衝撃性、耐ピンホール性、ガスバリア性が十分ではないという問題があり、その適用に制限があった
ポリエステルフィルムに柔軟性、耐衝撃性を付与する方法としては、ポリエチレンテレフタレートにダイマー酸などの長鎖脂肪族ジカルボン酸等の成分を共重合する方法(特許文献1〜3参照)や変性ポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートを配合し柔軟性ポリエステルフィルムを得る方法(特許文献4参照)が提案されている。しかし、このような柔軟なフィルムでは大きな弾性率などの包装用途に必要なフィルム特性が損なわれ、また耐熱性が低く粘着しやすいために製膜工程や加工工程において巻き付き、皺などのトラブルが起きやすいという問題があった。
【0004】
また、ポリエチレンテレフタレートの少なくとも片面に、融点が150℃以下のポリアミド共重合物よりなる層を積層されたフィルム(特許文献5)が提案されている。すなわち、ポリエステルの優れた機械的特性を損なうことなく、ポリアミドの高い耐衝撃性、耐ピンホール特性が得られるというものである。
【0005】
しかしながら、このような積層フィルムでは層間の接着強度が不足するために袋状の包装形態である場合に層間で剥離が起き実用に耐えられるような十分な耐衝撃性は得られないものであった。
【0006】
【特許文献1】特開平6−79776号公報
【0007】
【特許文献2】特開平6−190969号公報
【0008】
【特許文献3】特開平7−24985号公報
【0009】
【特許文献4】特開2001−11213号公報
【0010】
【特許文献5】特開昭58−175658号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、かかる問題を解決し、包装材料として好適な耐衝撃性を有する熱可塑性樹脂フィルムおよび包装フィルムを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成をとる。すなわち、本発明は、少なくとも2種類の融点の異なる熱可塑性樹脂が厚み方向に8層以上積層された熱可塑性樹脂フィルムであって、劈開剥離強度が0.2N/mm以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明では、融点の異なる少なくとも2種類の熱可塑性樹脂が厚み方向に8層以上有してなることを要する。好ましくは30層以上であり、より好ましくは100層以上である。このように融点の異なる少なくとも2種類の熱可塑性樹脂が厚み方向に積層することにより、特に包装用途で求められる落袋試験に示されるような耐衝撃性が向上する。より好ましくは、2種類以上の熱可塑性樹脂からなる最小の積層順列単位が複数回積み重なって構成されることである。上限は特に定めないが1000層以下であることが好ましい。1000層より多いと十分な耐衝撃性が得られない場合がある。
【0014】
本発明では劈開剥離強度が0.2N/mm以上であることを要する。本発明でいう劈開剥離強度はフィルムにおいて内部で劈開および/または層間で剥離したときにかかる応力を指し、T−剥離試験により求める。劈開剥離強度が0.2N/mm以下であると、包装フィルムとして使用した時、落袋により破袋しやすくなる。これは、落袋による衝撃がヒートシール部分に集中し、積層フィルムの層間で剥離が生じ袋に穴を形成するためである。好ましくは0.3N/mm以上である。上限は特に定めないが10N/mm以下が好ましい。10N/mmより大きい場合、袋が破れにくく易開封性に劣る場合がある。
【0015】
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、少なくとも2種類の融点の異なる熱可塑性樹脂が厚み方向に8層以上積層されたものである。そのような熱可塑性樹脂は特に限定されない。たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、アクリル樹脂などが挙げられ、好ましく使用される。
【0016】
本発明においては、剛性、耐衝撃性、透明性、熱安定性の観点から、熱可塑性樹脂として少なくともポリエステルを含むことが好ましい。ポリエステルの種類は特に限定されないが、エチレンテレフタレートまたはエチレン−2,6−ナフタレートを主たる成分とするポリエステルがより好ましく使用される。特に、ポリエチレンテレフタレートは、安価であり、非常に多岐にわたる用途に用いることができ、好ましいものである。ここで、主たる成分とは、60モル%以上であることを言う。主たる成分以外の成分は特に限定されず使用することができる。
【0017】
本発明に使用する熱可塑性樹脂は、ホモ樹脂であってもよく、共重合またはブレンドであってもよい。ポリエステルの場合、共重合しうるジカルボン酸成分として、例えば、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレン酸、1,5−ナフタレン酸、2,6−ナフタレン酸、4,4’−ジフェニルカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、セバシン酸、ダイマー酸が挙げられる。また、共重合しうるグリコール成分として、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、サンジメタノールなどが挙げられる。
【0018】
本発明において、フィルムを構成する熱可塑性樹脂の組み合わせは特に限定されないが、本発明においては、隣り合う層が異なる熱可塑性樹脂層であることがより好ましい。さらに、ポリエチレンテレフタレートを主たる成分とする層と、ナイロン6を主たる成分とする層とが、厚み方向に交互に積層されていることが好ましい。また、ポリエチレンテレフタレートを主たる成分とする層とポリブチレンテレフタレートを主たる成分とする層が厚み方向に交互に積層されている構成も好ましい。このような構成の場合に、耐衝撃性が一層向上する場合がある。
【0019】
本発明において、熱可塑性樹脂は構成する熱可塑性樹脂のうちもっとも高い融点を有する熱可塑性樹脂ともっとも低い融点を有する熱可塑性樹脂の融点の差が10℃以上であることが好ましい。より好ましくは30℃以上である。熱可塑性樹脂の融点の差が10℃以上であることにより、より接着強度有効な条件で製膜を行うことができる。上限は特に定めないが、100℃以下が好ましい。100℃より大きいと積層精度が低下する場合がある。
【0020】
本発明においては、上記の積層部分以外に他の層、特に熱可塑性樹脂を有していても良いが、これらは特に限定されない。たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。特に、ガスバリア性を付与するためにポリビニルアルコールやその共重合体や芳香族ナイロンなどが積層されていてもよい。また、ヒートシール層としてポリエチレンやポリプロピレンが積層されていてもよく、ヒートシール層と上記積層部分との接着性を付与するためにポリビニルアルコールやその共重合体やアイオノマーポリエチレンがその層間に積層されていてもよい。
【0021】
本発明に使用する熱可塑性樹脂に、本発明の効果が妨げられない限りにおいて、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、結晶核剤、難燃剤、不活性無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤などが添加されていてもよい。ここで、粒子を添加する場合は、これら粒子は積層フィルムの積層界面を乱さないために粒径が各層の厚み以下であることが好ましい。また、積層フィルムの表層部に、これらの機能を持たせた層を設けることも可能である。
【0022】
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの総厚みは5μm以上80μm以下であることが好ましい。より好ましくは5μm以上40μm以下、さらに好ましくは5μm以上20μm以下であり、一層好ましくは5μm以上18μm以下である。80μmを越えると、取り扱い性が低下傾向となり、5μm未満では強度が不足し破れが生じることがある。
【0023】
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、少なくとも一方に延伸されていることが好ましい。延伸されていることで、延伸方向の強度を向上させることができるからである。
【0024】
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、特に用途は限定されないが、その使用の一態様としては、包装フィルムを挙げることができる。特に、耐衝撃性が必要とされる重量物や液体などの包装フィルムとして用いることができる。包装フィルムの形態としては、本発明の熱可塑性樹脂フィルムにヒートシール性を付与するために直鎖状低密度ポリエチレン(以下LLDPEと称す)や無延伸ポリプロピレン(以下CPPと称す)などのシーラントフィルが接着剤を用いてドライラミネートされたものや、ガスバリア性を付与するためにアルミニウムや珪素酸化物やアルミナなどの金属酸化物を蒸着されたものを挙げることができるが、これに限らない。また、これら用途以外でも本発明の熱可塑性樹脂フィルムの特徴を生かすことのできる用途があれば、磁気記録材料、回路基板やタグ用フィルム等の用途にももちろん使用することができる。
【0025】
次に、本発明の積層フィルムの好ましい製造方法を以下に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0026】
熱可塑性樹脂をペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、事前乾燥を熱風中あるいは真空下で行い、押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルタ等を介して異物や変性した樹脂をろ過される。さらに、樹脂は、ダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。
【0027】
積層フィルムを得るための方法としては、例えば、2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出された熱可塑性樹脂をフィールドブロックやスタティックミキサー、マルチマニホールドダイ等を用いて多層に積層する方法等を使用することができる。ここでスタティックミキサーとしては、パイプミキサー、スクエアーミキサー等があげられるが、本発明では積層精度を向上させる観点からスクエアーミキサーを用いることが好ましい。
【0028】
特に本発明の熱可塑性樹脂フィルムにおいて8層以上の積層フィルムを得るには、例えば、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの2種類の樹脂をフィードブロックにて2層以上に積層した後、スタティックミキサーを用いて8層以上に積層し、フラットダイにてシート状に成型する。ここで、本発明ではフィードブロック中の2層以上に積層される箇所からフラットダイ吐出部にいたる流路形状は角状であることが好ましい。このように流露形状が角状である場合、幅方向への拡幅時に層の乱れをより少なくでき、積層精度の高い積層フィルムが得られる。
【0029】
ダイから吐出された積層構造を有するシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、未延伸フィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ、急冷固化させるのが好ましい。
【0030】
次に、この未延伸フィルムをフィルム長手方向および/または幅方向に延伸する。延伸方法としては、例えば、未延伸フィルムをロールやステンターを用い縦方向、横方向に逐次延伸する逐次二軸延伸法がある。また、未延伸フィルムをステンターを用い縦延伸及び横延伸を同時に行う同時二軸延伸法があり、この方法は、逐次二軸延伸法に比べ工程が短くなる、また、延伸破れやロール傷が発生しにくい為、本発明の積層フィルムの製造方法として特に有効である。
【0031】
縦横二方向に延伸したフィルムを再度縦方向に延伸する再縦延伸法は、縦方向を高強度化するのに有効である。再縦延伸法に続けて、さらに再度横方向に延伸する再縦再横延伸法は、横方向にもさらに強度を付与したい場合に有効である。また、フィルムの縦方向に2段以上延伸し、引き続きフィルムの横方向に延伸を行う縦多段延伸法は、本発明においては特に有効であり、好ましく用いられる。
【0032】
本発明において、例えば、逐次二軸延伸法を用いる場合、長手方向の延伸の条件は使用する熱可塑性樹脂により異なるが、通常は2〜15倍が好ましく、ポリエステル樹脂を用いた場合には2.5〜10倍、さらには3.0〜5倍の範囲が好ましい。また、延伸速度は1000〜50000%/分の速度とし、延伸温度は、構成比率のもっとも高い熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上ガラス転移温度+50℃以下の範囲が好ましい。長手方向に延伸することにより一軸配向フィルムを得る。
【0033】
逐次二軸延伸法を用いて長手方向への延伸の次に行う幅方向の延伸は、従来から用いられているテンターを用いて、延伸温度を、構成比率のもっとも高い熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上ガラス転移温度+80℃以下とするのが好ましく、より好ましくは熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上、ガラス転移温度+40℃以下の範囲とする。また、延伸倍率は好ましくは2.0〜10倍、より好ましくは2.5〜5倍の範囲として行えばよい。その際の延伸速度は特に限定されないが、1000〜50000%/分が好ましい。さらに、必要に応じてこの二軸配向フィルムを再度長手方向、幅方向の少なくとも一方向に延伸を行ってもよい。この場合、再度行う縦延伸は延伸温度を構成比率のもっとも高い熱可塑性樹脂のガラス転移温度+20℃以上ガラス転移温度+120℃以下が好ましく、より好ましくはガラス転移温度+50℃以上ガラス転移温度+100℃以下の範囲とすることである。また、延伸倍率は1.2倍〜2.5倍が好ましく、1.2倍〜1.7倍がより好ましい。また、その後に再度行う横延伸は延伸温度を構成比率のもっとも高い熱可塑性樹脂のガラス転移温度+20℃以上ガラス転移温度+150℃とすることが好ましく、より好ましくはガラス転移温度+50℃以上ガラス転移温度+130℃以下の範囲である。また、延伸倍率は1.02倍〜2倍の範囲が好ましく、1.1倍〜1.5倍の範囲がより好ましい。
【0034】
また、同時二軸延伸法により延伸する場合は、リニアモーターを利用した駆動方式によるテンターを用いて同時二軸延伸する方法が好ましい。同時二軸延伸の温度としては、熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上ガラス転移温度+50℃以下であることが好ましい。延伸温度がこの範囲を大きくはずれると、均一延伸が難しくなり、厚みむらやフィルム破れが生じることがある。延伸倍率は通常、縦方向、横方向それぞれ3〜10倍とすればよい。延伸速度としては特に限定されないが、2000〜50000%/分が好ましい。
【0035】
二軸延伸したフィルムは、次に、0.2N/mm以上の劈開剥離強度を得るためおよび熱収縮率の低減および平面性を付与するために、熱処理を行う。本発明に規定された高い劈開剥離強度を容易に得るためには、熱処理条件としては、定長下、微延伸下、弛緩状態下のいずれかで、融点のもっとも低い熱可塑性樹脂の(融点−10)℃〜(融点+30)℃の範囲で0.1〜60秒間行うことが好適であり、融点のもっとも低い熱可塑性樹脂の融点〜(融点+10)℃の範囲で0.5〜30秒間行うことが肝要である。上記範囲以下では本発明で規定された高い劈開剥離強度を得ることが困難となり、また上記範囲以上においては製膜工程にて破れのトラブルが頻発するために好ましくない。
【0036】
【実施例】
物性値の評価法を以下に記載する。
【0037】
(物性値の評価法)
(1)融点(Tm、℃)
セイコー電子工業(株)製示差走査熱量計RDC220型を用い、試料5mgを採取し、室温より昇温速度20℃/分で昇温した時の吸熱曲線のピークの温度より求めた。
【0038】
(2)落袋試験(耐衝撃性)
サンプルとなるフィルムの片面にコロナ処理を行ない、三井武田ケミカル(株)製接着剤タケラックA610と硬化剤タケネートA50と酢酸エチルを36:4:60で混合した接着剤を、塗布厚み3μmとなるようにメタバーを用いて塗布した。これに片面をコロナ処理した東レ合成フィルム(株)製“トレファン”NOZK3931と貼り合わせ、40℃で96時間硬化させた張り合わせフィルムを作成した。次にこの張り合わせフィルムを20cm×15cmの大きさに切り出し、160℃で4方シール袋を作成し、2.5重量%食塩水を250ml封入した。0℃の冷蔵庫で8時間以上調温した後、1.25mの高さから落下させ、破袋もしくは袋にピンホールが発生するまでの落下回数を1サンプルについて10回測定し、その平均値を用いた。
【0039】
(3)劈開剥離強度
劈開剥離強度はT−剥離試験により求めた。T−剥離試験はJIS K−6854に規定されたもののうち、T形剥離の方法を参考に行なった。詳しくはサンプルとなるフィルムが直鎖状低密度ポリエチレン(以下LLDPEと称す)や無延伸ポリプロピレン(以下CPPと称す)などのシーラントフィルムと接着剤などで張り合わされている場合は酢酸エチル等の有機溶剤に浸漬しながら揉みはがして試験を行う。こうして得られたサンプルとなるフィルムの両面にコロナ処理を行ない、接着剤を塗布した。コロナ処理方法と接着剤は接着剤の接着強度が0.5N/mm以上となるように選定した。詳しくは、サンプルとなるフィルムの表層がポリエチレンテレフタレートを主たる成分とする本発明の場合は大気中でコロナ処理を行い、三井武田ケミカル(株)製接着剤タケラックA610と硬化剤タケネートA50と酢酸エチルを36:4:60で混合した接着剤を、塗布厚み3μmとなるようにメタバーを用いて塗布した。これに被着材として片面をコロナ処理した東レ(株)製PETフィルム“ルミラー”T60(厚み188μm)を両面に貼り合わせ、40℃で96時間硬化させた。このときチャックでつかむ部分として、被着材のPETフィルムを一辺だけサンプルのフィルムより50mm以上はみだすようにした。ただし、他の接着剤を用いて貼り合わせる場合、硬化温度、硬化時間は接着剤により十分接着強度が得られる条件で行う。他の接着剤を用いて張り合わせる場合、これら張り合わせの工程でサンプルとなるフィルムの特性が変わらないよう、接着剤を選定する。次に幅25±0.2mm、接着部分125mm以上、チャックでつかむ部分50mmとなるように切り出し、東洋精機製作所株式会社製の引張試験機で、被着材のPETフィルムを上下のチャックにはさみ、100±5mm/minでチャックを移動させてサンプルのフィルムが剥離する時の荷重を測定した。接着強度の値としては被着材に破れがなくサンプルとなるフィルムが剥離した試験の剥離開始25mmから125mmまでの荷重の平均値を試験片の幅(25±0.2mm)で除した値を用いた。また、接着剤部分で剥離した場合は試験を再度やり直した。接着剤部分での剥離は剥離または/および劈開部分を酢酸エチルでふき取り、接着剤がふき取られたか否かで判断した。1サンプルについて10袋測定し、最大値と最小値をのぞいた残り8つの値の平均値を表1に記載した。
【0040】
(実施例1)
熱可塑性樹脂Aとして、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(以下PETと称す)(ガラス転移温度79℃、融点256℃)を用いた。また熱可塑性樹脂Bとして相対粘度3.4のナイロン6(以下PA6と称す)(融点225℃)を用いた。これら熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ乾燥した後、押出機に供給した。
【0041】
熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ、押出機にて270℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、フィードブロックにて合流させた。合流した熱可塑性樹脂AおよびBは、スタティックミキサーに供給し、熱可塑性樹脂Aが8層、熱可塑性樹脂Bが7層からなる厚み方向に交互に積層された構造とした。このとき、熱可塑性樹脂Aが表層となるように積層した。ここで、積層厚み比がA/B=4になるよう、吐出量にて調整した。このようにして得られた計15層からなる積層体をTダイに供給しシート状に成形した後、静電印加しながら、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
【0042】
得られたキャストフィルムは、90℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3倍に延伸後テンターに導き、100℃の熱風で予熱後横方向に4倍に延伸した。延伸したフィルムはそのままテンター内で230℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで冷却後、巻き取った。得られたフィルムの厚みは15μmであった。得られた結果を表1に示す。得られたフィルムは優れた劈開剥離強度を持ち、耐衝撃性に優れていた。
【0043】
(実施例2)熱可塑性樹脂Aとして、ナトリウムスルホイソフタル酸(以下、SSIAと称することがある)を5mol%共重合したポリエチレンテレフタレート(ガラス転移温度77℃、融点240℃)を用いた以外は実施例1と同様にして厚みが15μmのフィルムを得た。得られた結果を表1に示す。得られたフィルムは優れた劈開剥離強度を持ち、耐衝撃性に優れていた。
【0044】
(実施例3)スクエアーミキサーの段数を調整して熱可塑性樹脂Aが18層、熱可塑性樹脂Bが17層の合計35層とした以外は実施例2と同様にして厚みが15μmのフィルムを得た。得られた結果を表1に示す。得られたフィルムは優れた劈開剥離強度を持ち、耐衝撃性に優れていた。
【0045】
(実施例4)熱可塑性樹脂Aとして固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートを熱可塑性樹脂Bとして固有粘度1.2のポリブチレンテレフタレート(以下PBTと称す)(融点224℃)を使用した以外は実施例3と同様にして厚みが15μmのフィルムを得た。得られた結果を表1に示す。得られたフィルムは優れた劈開剥離強度を持ち、耐衝撃性に優れていた。
【0046】
(実施例5)スクエアーミキサーの段数を調整して熱可塑性樹脂Aが65層、熱可塑性樹脂Bが64層の合計129層とした以外は実施例2と同様にして厚みが15μmのフィルムを得た。得られた結果を表1に示す。得られたフィルムは優れた劈開剥離強度を持ち、耐衝撃性に優れていた。
【0047】
(比較例1)押出機は1台のみを使用し、フィードブロックおよびスタティックミキサーは用いず、熱可塑性樹脂Aとして固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートのみを使用した以外は実施例3と同様の装置、条件で厚みが15μmの単層フィルムを得た。得られた結果を表1に示す。得られたフィルムは劈開剥離強度が弱く、耐衝撃性に劣っていた。
【0048】
(比較例2)スタティックミキサーは用いずフィードブロックのみを使用し、熱可塑性樹脂Aが表層となるように3層に積層した以外は実施例3と同様の装置、条件で厚みが15μmの単層フィルムを得た。得られた結果を表1に示す。得られたフィルムは劈開剥離強度が弱く、耐衝撃性に劣っていた。
【0049】
(比較例3)スタティックミキサーは用いずフィードブロックのみを使用し、熱可塑性樹脂Aが表層となるように3層に積層した以外は実施例4と同様の装置、条件で厚みが15μmの単層フィルムを得た。得られた結果を表1に示す。得られたフィルムは劈開剥離強度が弱く、耐衝撃性に劣っていた。
【0050】
(比較例4)熱処理温度を190℃とした以外は実施例2と同様にして厚み15μmのフィルムを得た。得られた結果を表1に示す。得られたフィルムは劈開剥離強度が弱く、耐衝撃性に劣っていた。
【0051】
【表1】
Figure 2004276292
【0052】
【発明の効果】本発明により、重量物や液体などの包装用のフィルムとして特に好適な耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂フィルムを提供することができる。

Claims (9)

  1. 少なくとも2種類の融点の異なる熱可塑性樹脂が厚み方向に8層以上積層された熱可塑性樹脂フィルムであって、劈開剥離強度が0.2N/mm以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂フィルム。
  2. 積層数が30層以上である請求項1に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  3. 隣り合う層が異なる熱可塑性樹脂である請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  4. 融点の差が10℃以上である熱可塑性樹脂層を含む請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  5. 劈開剥離強度が0.3N/mm以上である請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  6. フィルムの総厚みが5μm以上80μm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  7. 熱可塑性樹脂としてポリエステルを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  8. 少なくとも1方に延伸されてなる請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムを使用してなる包装フィルム。
JP2003067619A 2003-03-13 2003-03-13 熱可塑性樹脂フィルムおよび包装フィルム Pending JP2004276292A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016159563A (ja) * 2015-03-04 2016-09-05 東レ株式会社 積層フィルム及びその製造方法

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