JP2004270356A - シールド機、トンネルの構築方法およびトンネル - Google Patents

シールド機、トンネルの構築方法およびトンネル Download PDF

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Abstract

【課題】同一の単円形型シールド機を用いて、用途に応じた断面拡幅部を有するトンネルを構築できるシールド機、トンネルの構築方法およびトンネルを提供すること
【解決手段】スキンプレート5の内周面4に鋼製ライナ17を固定したシールド機1の片側に余掘り部11を設ける。所定の位置で鋼製ライナ17をスキンプレート5からセグメントリング15に固定しなおした後、鋼製ライナ17と一体化されたセグメントリング15の前方に拡幅準備用セグメントリング19、拡幅用セグメントリング21を設置する。拡幅用セグメントリング21は、2分割され、境界部には二重構造部24が設けられる。二重構造部24において、スライド部材である端部26aと端部26bをガイド部材25に沿って移動させることにより拡幅用セグメントリング21を拡幅し、端部26aと端部26bの間に間詰めピース27を挿入する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シールド機、トンネルの構築方法およびトンネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
道路トンネルの分岐・合流部や非常駐車帯、共同溝や下水道等の断面拡幅部などでは、トンネルの断面を変化させる必要がある。従来、トンネル断面変化に対応するには、開削工事により切拡げを行う方法、地盤改良によって地盤を強化して地中で切拡げ工事を行う方法、掘削断面の形状を変化させることができるシールド機を用いる方法等が採られてきた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−242585
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、工事用地確保の問題等から地上からの施工ができない場合には工法選定に苦慮する。地盤改良併用による地中からの施工法を用いた場合には、工程長期化とコスト上昇の問題が発生している。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、同一の単円形型シールド機を用いて、用途に応じた断面拡幅部を有するトンネルを構築できるシールド機、トンネルの構築方法およびトンネルを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するための第1の発明は、スキンプレートの内周に沿って設けられた、前記スキンプレートに着脱可能なライナと、前記ライナの内周面に設けられたテールシールとを具備することを特徴とするシールド機である。
【0007】
スキンプレートは、拡幅可能なものとする。ライナは、例えば鋼製であり、周方向の断面がほぼ円形のスキンプレートと、円形のセグメントリングとの間に生じる隙間を小さくするために設置される。ライナは、例えば固定ピンとボルトを用いてスキンプレートに固定され、これらを取り外すことにより、スキンプレートと切り離すことができる。
【0008】
ライナの内周面には、セグメントとの間の止水性を確保するためのテールシールが設けられる。このテールシールは、スキンプレートの内周面に設けられるものと同様のものとする。スキンプレートとライナとの間には、止水手段が設けられる。止水手段とは、例えば、Oリング、ガスケット、ワイヤ式テールブラシ、シール等の止水材である。
【0009】
第1の発明では、周方向の断面がほぼ円形のスキンプレートと、円形のセグメントリングとの間に生じる隙間を小さくするために、スキンプレートの内周に沿って着脱可能なライナを設ける。また、ライナとセグメントリングとの間の止水のために、ライナの内周面にテールシールを設ける。
【0010】
第2の発明は、スキンプレートの内周に沿って第1のライナが設けられたシールド機を用いて、余掘り部を設けつつ地山を掘削する工程(a)と、前記第1のライナを前記スキンプレートから取り外し、第1の通常セグメントリングに固定する工程(b)と、前記第1のライナおよび前記第1の通常セグメントリングの前方に拡幅準備用セグメントリングを設置する工程(c)と、前記拡幅準備用セグメントの前方に拡幅用セグメントリングを設置する工程(d)と、前記スキンプレートと前記拡幅用セグメントリングを同時に拡幅させる工程(e)とを具備することを特徴とするトンネルの構築方法である。
【0011】
シールド機には、第1の発明のシールド機を用いる。工程(a)では、スキンプレートの片側または両側に余掘り部を設ける。スキンプレートの片側のみに余掘り部を設ける場合には、工程(e)で、余掘り部を設けていない地山に反力をとってスキンプレートを拡幅させる。
【0012】
第1のライナは、第1の発明についての説明で述べたように、スキンプレートに対して着脱可能である。第1のライナは、トンネル通常断面部分では、セグメントリングとスキンプレートとの隙間を狭めるためにスキンプレートに固定されるが、工程(b)で、スキンプレートから取り外し、第1の通常セグメントリングに固定された後、地山中に残置される。
【0013】
拡幅準備用セグメントリング、拡幅前の拡幅用セグメントリングのトンネル周方向の断面は、第1のライナが固定された第1の通常セグメントリングとほぼ同じ形状とする。拡幅用セグメントリングは、例えば、スライド部材とスライド部材に沿って設けられるガイド部材からなる二重構造部を有する。二重構造部を有する拡幅用セグメントリングでは、スライド部材のスライドに伴って生じる隙間部分に間詰めピースを挿入することにより、構造的強度を確保する。
【0014】
工程(e)の後には、必要に応じて、縮幅用セグメントリングを設置する工程(f)と、縮幅用セグメントリングの前方に、第2のライナが固定された第2の通常セグメントリングを設置する工程(g)と、スキンプレートと縮幅用セグメントリングを同時に縮幅させる工程(h)と、第2のライナを第2の通常セグメントリングから取り外し、スキンプレートに固定する工程(i)とをさらに設けてもよい。
【0015】
縮幅用セグメントリングには、例えば、拡幅用セグメントリングとほぼ同様の構造のものを用いる。縮幅用セグメントリングは、拡幅用セグメントリングと同様に、スライド部材とスライド部材に沿って設けられるガイド部材からなる二重構造部を有するものとする。この場合、縮幅前には、隙間部分に間詰めピースを挿入することにより、構造的強度を確保しておく。
【0016】
第2のライナも、スキンプレートに対して着脱可能である。第2のライナは、工程(i)で、第2の通常セグメントリングから取り外した後、トンネル通常断面部分に設置されるセグメントリングとスキンプレートとの隙間を狭めるためにスキンプレートに固定される。
【0017】
第2の発明では、まず、スキンプレートの内周に沿って第1のライナが設けられたシールド機を用いて、余掘り部を設けつつ地山を掘削する。そして、第1のライナをスキンプレートから取り外して第1の通常セグメントリングに固定し、第1のライナおよび第1の通常セグメントリングの前方に拡幅準備用セグメントリングを設置する。さらに、拡幅準備用セグメントの前方に拡幅用セグメントリングを設置し、スキンプレートと拡幅用セグメントリングを同時に拡幅させる。
【0018】
第3の発明は、第2の発明のトンネルの構築方法を用いて構築されたトンネルである。第3の発明では、第1の発明のシールド機を用いて、第2の発明のトンネルの構築方法により、断面拡幅部を有するトンネルを構築する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の第1の実施の形態について詳細に説明する。図1は、トンネル拡幅時の各工程を示す断面図である。図1の各図は、トンネルおよびシールド機1を水平面で切断し、地上側から見たものである。図2は、シールド機1のトンネル周方向の断面図である。図2は、図1(a)のA−Aによる断面図である。
【0020】
図1、図2に示すように、シールド機1は、スキンプレート5、カッタ7、オーバカッタ9、鋼製ライナ17等で構成される。図1に示すように、カッタ7は、スポークの伸縮機構によりオーバカッタ9を延伸させて、掘削範囲の幅を変化させることができる。オーバカッタ9は、オーバカッタ9a、オーバカッタ9bからなる。オーバカッタ9a、オーバカッタ9bは、それぞれ独立して伸縮可能である。
【0021】
スキンプレート5は、図2に示すように、ほぼ円筒形である。スキンプレート5は、トンネル軸方向に分割されたほぼ半円筒形のスキンプレート5a、スキンプレート5bと、スキンプレート5aとスキンプレート5bの突合せ部分6の内側に設置された平板状のスキンプレート5c、スキンプレート5dからなる。
【0022】
スキンプレート5は、図6等に示すように拡幅されるため、スキンプレート5aとスキンプレート5bの突合せ部分6付近には、図2に示すように直線部分が設けられる。スキンプレート5の拡幅による本体幅の変化部分には、既往の特許(特願2001−154886号、特願2001−321591、特開2002−147167)にある止水機構が適用される。
【0023】
スキンプレート5a、スキンプレート5bのテール部の内周面4には、図2に示すように、鋼製ライナ17が設置される。鋼製ライナ17は、止水パッキン(図示せず)を介してスキンプレート5の内周面4に密着させる。止水パッキンとは、例えば、Oリング、ガスケット、シール等の止水材である。鋼製ライナ17は、固定用ピンとボルト(図示せず)によりスキンプレート5に固定されるが、これらを外すことによりスキンプレート5から切り離すことができる。
【0024】
鋼製ライナ17は、スキンプレート5と、スキンプレート5の内部に組み立てられる円形のセグメントリング15との間に生じる隙間を小さくするための部材である。鋼製ライナ17の内周面16、スキンプレート5のテール部の内周面4には、セグメントリング15との間の止水性を確保するため、テールシール等の止水機構(図示せず)が設けられる。鋼製ライナ17のトンネル軸方向の長さは、図1(a)に示すように、セグメントリング15の長さの2倍とする。
【0025】
以下に、シールド機1を用いて拡幅部を有するトンネルを構築する方法について説明する。図1(a)は、鋼製ライナ17が固定されたシールド機1を用いて余掘り部11を掘削する工程を示す図である。
【0026】
図1(a)に示す状態に至る前のトンネルの通常断面部分では、オーバカッタ9をカッタ7に格納したまま、地山3を掘削する。そして、拡幅用セグメント21(図1(c))設置予定位置の手前で、図1(a)に示すようにオーバカッタ9aを伸張し、スキンプレート5b側に余掘り部11を設けつつ地山を掘削する。このとき、スキンプレート5a側では、余掘りをなくす。余掘り部11には、沈下を抑制するための沈下抑止充填材13を注入する。沈下抑止充填材13は、粘土等であり、ポンプによりシールド機1内から余掘り部11に圧送される。
【0027】
通常断面部分を掘削する工程および図1(a)に示す工程では、図2に示すように、鋼製ライナ17をシールド機1に固定した状態で、鋼製ライナ17の内側に円形のセグメントリング15を組み立てる。シールド機1のテール部では、鋼製ライナ17、前述した止水パッキン(図示せず)、テールシール(図示せず)により、スキンプレート5とセグメントリング15との間の止水性が確保される。
【0028】
図1(b)は、拡幅準備用セグメント19を設置する工程を示す図である。図3は、シールド機1のトンネル周方向の断面図である。図3は、図1(b)のB−Bによる断面図である。
【0029】
図1(b)に示すように、シールド機1の機長分の余掘り部11の掘削を終了する直前に、後方の鋼製ライナ17をスキンプレート5から切り離し、セグメントリング15に固定する。そして、機長分の余掘り部11を確保した時点で、シールド機1の内部に拡幅準備用セグメントリング19を組立て、前方の鋼製ライナ17をスキンプレート5から切り離してセグメントリング15に固定する。前述したように、鋼製ライナ17は、固定用ピン、ボルト(図示せず)を取り外すことにより、スキンプレート5から切り離される。
【0030】
図3に示すように、拡幅準備用セグメントリング19のトンネル周方向の内空断面は、鋼製ライナ17(図2)が一体化された通常のセグメントリング15(図2)と同様の形状とする。このとき、シールド機1のテール部では、スキンプレート5の内周面4に設けられたテールシール(図示せず)により、スキンプレート5と拡幅準備用セグメントリング19との間の止水性が確保される。
【0031】
図1(c)は、拡幅用セグメントリング21を設置する工程を示す図である。図4は、シールド機1のトンネル周方向の断面図である。図4は、図1(c)のC−Cによる断面図を示す。
【0032】
鋼製ライナ17をスキンプレート5から完全に切り離した後、図1(c)に示すように、さらに地山を掘削し、拡幅準備用セグメントリング19の前方に拡幅用セグメントリング21を設置する。図4に示すように、拡幅用セグメントリング21は、拡幅準備用セグメントリング19とほぼ同様の形状のセグメントリングを2分割した拡幅用セグメントリング21a、拡幅用セグメントリング21b、二重構造部24、止水部材22で構成される。
【0033】
止水部材22は、図1(c)、図4に示すように、セグメントリング21bの内周面側に設けられた凸部である。止水部材22は、図1(d)に示すように、拡幅用セグメントリング21を拡幅した際に、拡幅用セグメントリング21と拡幅準備用セグメントリング19との間の隙間をなくすために設置される。
【0034】
図5は、図4に示す拡幅用セグメントリング21の二重構造部24付近を拡大した斜視図である。二重構造部24は、図5に示すように、拡幅用セグメントリング21aの端部26a(スライド部材)、拡幅用セグメントリング21bの端部26b(スライド部材)、ガイド部材25からなる。ガイド部材25は、端部26a、端部26bのトンネル外周側の面に沿った水平部材25aと拡幅準備用セグメントリング19側の面に沿った垂直部材25bからなる、断面がL字状の部材である。
【0035】
図1(d)は、シールド機1と拡幅用セグメントリング21を拡幅した状態を示す図である。図6は、シールド機1のトンネル周方向の断面図である。図6は、図1(d)のD−Dによる断面図を示す。
【0036】
拡幅用セグメントリング21を設置した後、図4の矢印Fに示す方向にスキンプレート5と拡幅用セグメントリング21を移動させ、図1(d)、図6に示す位置まで拡幅する。スキンプレート5と拡幅用セグメントリング21とを同時に移動させるのは、地山3からシールド機1内への漏水を防止するためである。なお、スキンプレート5は、カッタ7の中心とスキンプレート5の中心が一致したまま拡幅される。その結果、スキンプレート5の拡幅後、図1(d)に示すように、カッタ7からオーバカッタ9aとオーバカッタ9bが伸長された状態となる。
【0037】
スキンプレート5と拡幅用セグメントリング21の拡幅時には、スキンプレート5a側の地山3に反力を取る。また、余掘り部11内の沈下抑止充填材13をシールド機1内に回収する。図1(d)に示すように、拡幅後、拡幅用セグメントリング21と拡幅準備用セグメントリング19との間には止水部材22が配置されるため、隙間は生じない。
【0038】
図6に示すように、スキンプレート5を拡幅すると、スキンプレート5a、スキンプレート5bの突合せ部分6(図4)が離れるが、突合せ部分6の内側に配置されたスキンプレート5c、スキンプレート5dにより、スキンプレート5は筒形を維持できる。前述したように、スキンプレート5の拡幅部分では、既往の特許にある止水機構により止水性が確保される。
【0039】
図7は、拡幅後の拡幅用セグメントリング21の二重構造部24付近を拡大した斜視図である。拡幅用セグメントリング21を拡幅すると、図5に示すように、二重構造部24では、拡幅用セグメントリング21aの端部26a、拡幅用セグメントリング21bの端部26bが、ガイド部材25に沿って矢印Gに示す方向にそれぞれスライドする。そして、図7に示すように、端部26aと端部26bの間に空間28が生じる。
【0040】
拡幅用セグメントリング21の拡幅時および拡幅後に、ガイド部材25の水平部材25aは、スキンプレート5と拡幅用セグメントリング21との間の止水性を確保する。ガイド部材25の垂直部材25bは、拡幅準備用セグメントリング19と拡幅用セグメントリング21との間の止水性を確保する。
【0041】
空間28には、図7の矢印Hに示すように、直方体の間詰めピース27を挿入し設置し、図6に示すように、間詰めを行う。間詰めピース27は、鋼製、コンクリート製、鋼製とコンクリート製の複合部材等とする。間詰めピース27は、拡幅後の拡幅用セグメントリング21の構造的強度を確保するための部材である。
【0042】
図1(e)は、シールド機1を用いて断面が拡幅されたトンネルを構築する工程を示す図、図8は、シールド機1のトンネル周方向の断面図である。図8は、図1(e)のE−Eによる断面図を示す。
【0043】
図1(e)、図8に示すように、シールド機1を拡幅した後、カッタ7、オーバカッタ9a、オーバカッタ9bで地山3を掘削し、スキンプレート5内で拡幅セグメントリング23を組立てて、断面が拡幅されたトンネルを構築する。拡幅セグメントリング23は、図8に示すように、内周面がほぼ楕円形、外周面がスキンプレート5の内周面4に沿った形状とする。拡幅セグメントリング23とシールド機1との間の止水は、スキンプレート5のテール部の内周面4に設けられたテールシール(図示せず)により確保される。
【0044】
図9は、トンネル縮幅時の各工程を示す断面図である。図9(a)は、シールド機1を用いて断面が拡幅されたトンネルを構築する工程を示す図であり、図1(e)の続きの部分である。図9(b)は、縮幅準備用セグメントリング29と縮幅用セグメントリング31を設置する工程を示す図である。
【0045】
トンネルを縮幅するには、図9(a)に示すように、縮幅予定位置の手前まで拡幅セグメントリング23(図8)を組立てた後、図9(b)に示すように、拡幅セグメントリング23の前方に、縮幅準備用セグメントリング29を設置する。縮幅準備用セグメントリング29は、図8に示す拡幅セグメントリング23の内周面の一部に、図9(b)に示すように止水部材33を設けたものである。
【0046】
止水部材33は、図9(b)に示すように、縮幅用セグメントリング29の内周面側に設けられた凸部である。止水部材33は、図9(d)に示すように、縮幅用セグメントリング31を縮幅した際に、縮幅用セグメントリング31と縮幅準備用セグメントリング29との間の隙間をなくすために設置される。
【0047】
縮幅準備用セグメントリング29の前方には、さらに、縮幅用セグメントリング31を設置する。図10は、シールド機1のトンネル周方向の断面図である。図10は、図9(b)のI−Iによる断面図である。
【0048】
縮幅用セグメントリング31は、図10に示すように、縮幅用セグメントリング31a、縮幅用セグメントリング31b、二重構造部24、間詰めピース27等からなる。縮幅用セグメントリング31a、二重構造部24、間詰めピース27は、それぞれ、図6に示す拡幅用セグメントリング21a、二重構造部24、間詰めピース27と同様のものである。縮幅用セグメントリング31bは、拡幅用セグメントリング21bから止水部材22を除いたものである。図9(b)に示す時点では、縮幅用セグメントリング31は、図6に示す拡幅用セグメントリング21と同様に、間詰めピース27を挿入した状態で設置される。
【0049】
図9(c)は、シールド機1内に鋼製ライナ35とセグメントリング37を設置した状態を示す図である。縮幅用セグメントリング31を設置した後、図9(c)に示すように、地山3をさらに掘削し、縮幅用セグメントリング31の前方に鋼製ライナ35とセグメントリング37とを設置する。
【0050】
鋼製ライナ35は、図2に示す鋼製ライナ17と同様の形状である。また、セグメントリング37は、図2に示す円筒形のセグメントリング15と同様の形状である。鋼製ライナ35のトンネル軸方向の長さは、セグメントリング37の軸方向の長さの2倍とする。鋼製ライナ35のうち、後方の1リング分は、セグメントリング37の外周面に仮付けされる。
【0051】
図9(c)に示すように、スキンプレート5a側の鋼製ライナ35は、スキンプレート5aに沿って配置される。図1(c)に示す状態では、スキンプレート5の断面はほぼ楕円形であり、鋼製ライナ35が仮付けされたセグメントリング37の断面は円形であるため、スキンプレート5bと鋼製ライナ35との間には空間38が生じる。
【0052】
図9(d)は、シールド機1を縮幅した状態を示す図である。図9(c)に示すように鋼製ライナ35とセグメントリング37を設置した後、縮幅用セグメントリング31の間詰めピース27(図10)を撤去し、図10の矢印Kに示す方向にスキンプレート5と縮幅用セグメントリング31a、縮幅用セグメントリング31bを移動させ、図9(d)に示す位置まで縮幅する。
【0053】
スキンプレート5と縮幅用セグメントリング31とを同時に移動させるのは、地山3からシールド機1内への漏水を防止するためである。また、スキンプレート5の移動と並行して、図9(d)に示すように、オーバカッタ9a、オーバカッタ9bをカッタ7内に格納する。また、スキンプレート5bの外側に設けられた余掘り部41に特殊充填材39を充填する。
【0054】
スキンプレート5と縮幅用セグメントリング31の縮幅後、図9(d)に示すように、縮幅用セグメントリング31と縮幅準備用セグメントリング29との間には止水部材33が配置されるため、隙間は生じない。縮幅用セグメントリング31とスキンプレート5との間の止水は、スキンプレートのテール部の内周面4(図10)に設けられたテールシール(図示せず)によって確保される。また、図11に示すように、スキンプレート5aとスキンプレート5bとの隙間40(図10)はなくなる。
【0055】
図11は、シールド機1のトンネル周方向の断面図である。図11は、図9(d)のJ−Jによる断面図である。スキンプレート5と縮幅用セグメントリング31を縮幅して図9(d)に示す状態にした後、鋼製ライナ35とスキンプレート5の最後尾が一致するまで地山3を掘削する。そして、図11に示すように、鋼製ライナ35とセグメントリング37とを切り離し、鋼製ライナ35を固定用ピンとボルト(図示せず)によりスキンプレート5の内周面4に固定する。
【0056】
セグメントリング37から切り離した鋼製ライナ35は、鋼製ライナ17と同様に、止水パッキン(図示せず)を介してスキンプレート5の内周面4に密着される。止水パッキンとは、例えば、Oリング、ガスケット、シール等の止水材である。鋼製ライナ35は、ほぼ円形のスキンプレート5と、スキンプレート5の内部に組み立てられる円形のセグメントリング37との隙間を小さくするための部材である。鋼製ライナ35の内周面36、スキンプレート5の内周面4には、セグメントリング37との間の止水性を確保するため、テールシール等の止水機構(図示せず)が設けられる。
【0057】
図9(e)は、縮幅後、通常断面のトンネルを構築する工程を示す図である。図11に示すようにスキンプレート5に鋼製ライナ35を固定した後、図9(e)に示すように、カッタ7で通常断面のトンネルを掘削し、鋼製ライナ35の内側にセグメントリング37を組立てて、通常断面のトンネルを延長していく。地山3とシールド機1との間の止水は、鋼製ライナ35の内周面36、スキンプレート5の内周面4に設けられたテールシール等(図示せず)により確保される。
【0058】
このように、第1の実施の形態では、シールド機1のスキンプレート5の内周面4に鋼製ライナ17(図2)、鋼製ライナ35(図11)を固定することにより、通常断面のトンネルを掘削する際に、図2に示すスキンプレート5とセグメントリング15、図11に示すスキンプレート5とセグメントリング37の間の止水を確実にすることができる。鋼製ライナ17、鋼製ライナ35はスキンプレート5に対して、必要に応じて、容易に着脱させることができる。
【0059】
また、図4に示すように、シールド機1のスキンプレート5b側のみに余掘り部11を設け、スキンプレート5a側の余掘りをなくすことで、スキンプレート5a側の地山3に反力を取って、スキンプレート5や拡幅用セグメントリング21を拡幅させることができる。
【0060】
さらに、二重構造部24を有する拡幅用セグメントリング21(図4、図6)、縮幅用セグメントリング31(図10)を用いることで、トンネルの拡幅や縮幅によってこれらのセグメントリングの形状が変化しても、隣接する拡幅準備用セグメントリング19や縮幅準備用セグメントリング29、スキンプレート5との間の止水性を確保できる。二重構造部24に間詰めピース27を挿入することにより、拡幅用セグメントリング21、縮幅用セグメントリング31は、拡幅時にも構造的強度を確保できる。
【0061】
なお、第1の実施の形態では、図1、図4に示すように、拡幅用セグメントリング21に止水部材22を設けたが、止水部材22の設置位置や形状はこれに限らない。止水部材22は、拡幅用セグメントリング21の拡幅後に、拡幅準備用セグメントリング19と拡幅用セグメントリング21の間の止水性を確保できる設置位置、形状であればよい。シールド掘進によって発生する推力を拡幅用セグメントリング21から拡幅準備用セグメントリング19に伝達するために、拡幅後に反力受けを設置する場合もある。
【0062】
同様に、縮幅準備用セグメントリング29に設けられた止水部材33の設置位置や形状も図9に示すものに限らない。止水部材33は、縮幅用セグメントリング31の縮幅後に、縮幅準備用セグメントリング29と縮幅用セグメントリング31の間の止水性を確保できる設置位置、形状であればよい。シールド掘進によって発生する推力を縮幅用セグメントリング31から縮幅準備用セグメントリング29に伝達するために、縮幅後に反力受けを設置する場合もある。
【0063】
さらに、拡幅用セグメントリング21、縮幅用セグメントリング31の構成は、図4、図6、図10等に示すものでなくてもよい。拡幅用セグメントリング21、縮幅用セグメントリング31は、隣接するセグメントリングやスキンプレートとの間の止水性、セグメントリングの強度等を確保しつつ、拡幅・縮幅できる構成であればよい。
【0064】
拡幅用セグメントリング21、拡幅セグメントリング23は、通常断面の円形のセグメントリング15、セグメントリング37と比較して、セグメントへの軸力や曲げ応力が大きくなることが考えられる。そこで、あらかじめシールド機1の本体拡幅量を割増する、鋼製ライナ17の大きさを調整するなどの方法で、拡幅用セグメントリング21、拡幅セグメントリング23の構造的補強を外周面に実施できるようにしてもよい。
【0065】
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、シールド機の片側に余掘り部を設けてトンネルを拡幅するが、シールド機1とはスキンプレートの構成と鋼製ライナの設置数が異なるシールド機51を用いる。図12は、通常断面で掘進する際のシールド機51のトンネル周方向の断面図、図13は、拡幅断面で掘進する際のシールド機51のトンネル周方向の断面図である。
【0066】
図12、図13に示すように、シールド機51のスキンプレート55は、ほぼ半円筒形のスキンプレート55a、スキンプレート55bで構成される。スキンプレート55aの端部47a、スキンプレート55bの端部47bは平板状であり、端部47aの外側に端部47bが配置される。シールド機51では、図12に示す状態から、スキンプレート55aの端部47aに沿ってスキンプレート55bの端部47bを余掘り部11内にスライドさせ、図13に示すようにスキンプレート55をほぼ楕円形状に拡幅することができる。スキンプレート55の拡幅部分では、前述の既往の特許にある止水機構により止水性が確保される。
【0067】
図12に示すように、スキンプレート55bの内周面49には、2ヶ所に鋼製ライナ57が固定される。鋼製ライナ57は、鋼製ライナ17、鋼製ライナ35と同様に、止水パッキン(図示せず)を介してスキンプレート55bの内周面49に密着させ、固定用ピンとボルト(図示せず)によりスキンプレート55bに固定される。止水パッキンとは、例えば、Oリング、ガスケット、シール等の止水材である。図13に示すように、固定用ピンとボルト(図示せず)を外すことにより、鋼製ライナ57をスキンプレート55bから切り離すことができる。
【0068】
鋼製ライナ57は、ほぼ円形のスキンプレート55と、スキンプレート55の内部に組み立てられる円形のセグメントリング59との隙間を小さくするための部材である。鋼製ライナ57の内周面47、スキンプレート55の内周面49には、セグメントリング59との間の止水性を確保するため、テールシール等の止水機構(図示せず)が設けられる。
【0069】
シールド機51を用いてトンネルを拡幅する際の各工程は、シールド機1を用いた場合(図1)と同様である。まず、図12に示すように鋼製ライナ57をスキンプレート55に固定した状態のシールド機51で地山中に余掘り部11を有するトンネルを掘削する。そして、シールド機51のテール部が拡幅予定位置に到達する手前で鋼製ライナ47をスキンプレート55から取り外し、セグメントリング59に固定する。
【0070】
次に、鋼製ライナ57が固定されたセグメントリング59の前方に拡幅準備用セグメントリングを、さらにその前方に拡幅用セグメントリングを設置する。拡幅準備用セグメントリング、拡幅前の拡幅用セグメントリングのトンネル周方向の断面は、鋼製ライナ57が一体化されたセグメントリング59とほぼ同じ形状とする。拡幅用セグメントリングは、第1の実施の形態の拡幅用セグメントリング21と同様に、二重構造部24(図5、図7)を有し、セグメントリング間や、セグメントとスキンプレート55との間の止水性、構造的強度を確保しつつ、拡幅を行える構成とする。
【0071】
拡幅用セグメントリングを設置した後、スキンプレート55a側の地山3に反力を取って、スキンプレート55bと拡幅用セグメントリングを余掘り部11側に同時に移動させる。そして、図6に示す拡幅用セグメントリング21と同様に、拡幅用セグメントリングの二重構造部24に生じた隙間に間詰めピース27を挿入する。その後、図13に示すように、断面を拡大したトンネルを掘削し、シールド機51内で拡幅セグメントリング61を組立てる。
【0072】
シールド機51を用いてトンネルを縮幅する際の各工程は、シールド機1を用いた場合(図9)と同様である。まず、拡幅されたトンネル内に設置された拡幅セグメントリング61の前方に縮幅準備用セグメントリングを設置する。縮幅準備用セグメントリングは、第1の実施の形態の縮幅準備用セグメントリング29(図9(d))と同様に、縮幅時および縮幅後に縮幅用セグメントリングとの間の止水性を確保するための止水部材を有するものとする。
【0073】
そして、縮幅準備用セグメントリングの前方に、縮幅用セグメントリングを設置する。縮幅用セグメントリングは、第1の実施の形態の縮幅用セグメントリング31と同様に、二重構造部24(図5、図7)と間詰めピース27を有し、セグメントリング間や、セグメントとスキンプレート55との間の止水性、構造的強度を確保しつつ、縮幅を行える構成、形状とする。
【0074】
さらに、縮幅準備用セグメントリングの前方に、鋼製ライナが固定されたセグメントリングを設置する。そして、スキンプレート55bと縮幅用セグメントリングを同時にトンネル内周側に移動させた後、鋼製ライナをセグメントリングから取り外し、スキンプレート55bに固定する。
【0075】
このように、第2の実施の形態では、シールド機51のスキンプレート55bの内周面4に鋼製ライナ57等を固定することにより、通常断面のトンネルを掘削する際に、スキンプレート55とセグメントリング59等との間の止水を確実にすることができる。鋼製ライナ57はスキンプレート5から容易に取り外せるため、必要に応じて着脱させることができる。
【0076】
また、第1の実施の形態と同様に、シールド機51のスキンプレート55b側のみに余掘り部11を設け、スキンプレート55a側の余掘りをなくすことで、スキンプレート55a側の地山3に反力を取って、スキンプレート55bや拡幅用セグメントリングを拡幅させることができる。
【0077】
さらに、二重構造部24を有する拡幅用セグメントリング、縮幅用セグメントリングを用いることで、トンネルの拡幅や縮幅によってセグメントリングの形状が変化しても、隣接する拡幅準備用セグメントリングや縮幅準備用セグメントリング、スキンプレート55との間の止水性を確保できる。二重構造部24に間詰めピース27を挿入することにより、拡幅用セグメントリング、縮幅用セグメントリングは、拡幅時にも構造的強度を確保できる。
【0078】
なお、第2の実施の形態においても、拡幅準備用セグメントの拡幅後に拡幅準備用セグメントリングと拡幅用セグメントリングの間の止水性を確保できる設置位置に、止水部材を設ける。シールド掘進によって発生する推力を拡幅用セグメントリングから拡幅準備用セグメントリングに伝達するために、拡幅後に反力受けを設置する場合もある。
【0079】
また、縮幅用セグメントリングの縮幅後に縮幅準備用セグメントリングと縮幅用セグメントリングの間の止水性を確保できる位置に、止水部材を設ける。シールド掘進によって発生する推力を縮幅用セグメントリングから縮幅準備用セグメントリングに伝達するために、縮幅後に反力受けを設置する場合もある。
【0080】
拡幅用セグメントリング、縮幅用セグメントリングは、隣接するセグメントリングやスキンプレートとの間の止水性、セグメントリングの強度等を確保しつつ、拡幅・縮幅できる構成であればよい。
【0081】
拡幅用セグメントリング、拡幅セグメントリング61(図13)は、通常断面の円形のセグメントリング59(図12)と比較して、セグメントへの軸力や曲げ応力が大きくなることが考えられる。そこで、あらかじめシールド機51の本体拡幅量を割増する、鋼製ライナ57の大きさを調整するなどの方法で、拡幅用セグメントリング、拡幅セグメントリング61の構造的補強を外周面に実施できるようにしてもよい。
【0082】
次に、第3の実施の形態について説明する。図14は、トンネル拡幅時の各工程を示す断面図である。第1の実施の形態では、シールド機1の片側に余掘り部11を設けてトンネルを拡幅したが、第3の実施の形態では、シールド機1の両側に余掘り部11a、余掘り部11bを設けてトンネルを拡幅する。
【0083】
図14(a)は、シールド機1を用いて余掘り部11a、余掘り部11bを掘削する工程を示す図である。第3の実施の形態では、図14(a)に示すように、拡幅用セグメント21(図14(c))設置予定位置の手前で、オーバカッタ9a、オーバカッタ9bを伸張し、スキンプレート5の両側に余掘り部11a、余掘り部11bをそれぞれ設けつつ地山3を掘削する。
【0084】
余掘り部11a、余掘り部11bには、沈下を抑制するための沈下抑止充填材13a、沈下抑止充填材13bを注入する。沈下抑止充填材13a、沈下抑止充填材13bは、粘土等であり、ポンプによりシールド機1内から余掘り部11a、余掘り部11bに圧送される。
【0085】
図14(b)は、鋼製ライナ17をスキンプレート5から取り外し、セグメントリング15に固定する工程を示す図である。図14(b)に示すように、シールド機1の機長分の余掘り部11a、余掘り部11bの掘削を終了する直前に、後方の鋼製ライナ17をスキンプレート5から切り離し、セグメントリング15に固定する。そして、機長分の余掘り部11a、余掘り部11bを確保した時点で、シールド機1の内部に拡幅準備用セグメントリング19を組立て、前方の鋼製ライナ17をスキンプレート5から切り離してセグメントリング15に固定する。
【0086】
図14(c)は、拡幅用セグメントリング21を設置した状態を示す図である。鋼製ライナ17をスキンプレート5から完全に切り離した後、図14(c)に示すように、さらに地山を掘削し、拡幅準備用セグメントリング19の前方に拡幅用セグメントリング21cを設置する。拡幅用セグメントリング21cは、第1の実施の形態の拡幅用セグメントリング21(図4)とほぼ同様の構成であるが、2分割された拡幅用セグメントリング21a、拡幅用セグメントリング21bの双方の内周面側に止水部材22が設けられる。
【0087】
図14(d)は、シールド機1と拡幅用セグメントリング21cを拡幅した状態を示す図である。拡幅用セグメントリング21cを設置した後、スキンプレート5と拡幅用セグメントリング21cを移動させ、図14(d)に示す位置まで拡幅する。スキンプレート5と拡幅用セグメントリング21cとを同時に移動させるのは、地山3からシールド機1内への漏水を防止するためである。拡幅用セグメントリング21cの拡幅後、拡幅準備用セグメント19との間の止水は、2ヶ所に設けられた止水部材22によって確保される。
【0088】
図14(e)は、シールド機1を用いて断面が拡幅されたトンネルを構築する工程を示す図である。図14(e)に示すように、シールド機1を拡幅した後、カッタ7、オーバカッタ9a、オーバカッタ9bで地山3を掘削し、スキンプレート5内で拡幅セグメントリング23を組立てて、断面が拡幅されたトンネルを構築する。
【0089】
第3の実施の形態では、図9に示す各工程によりトンネルを縮幅する。または、シールド機1の両側に余掘り部が生じるようにスキンプレート5と縮幅用セグメント31を移動させる。この場合、縮幅準備用セグメント29の形状や鋼製ライナ35とセグメントリング37の設置位置等を適宜変更する。
【0090】
このように、第3の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、シールド機1のスキンプレート5の内周面4に鋼製ライナ17を固定することにより、通常断面のトンネルを掘削する際に、スキンプレート5とセグメントリング15の間の止水を確実にすることができる。鋼製ライナ17は、必要に応じて、スキンプレート5に対して容易に固定したり取り外したりできる。
【0091】
また、二重構造部24を有する拡幅用セグメントリング21cを用いることで、トンネルの拡幅や縮幅によってセグメントリングの形状が変化しても、隣接する拡幅準備用セグメントリング19、スキンプレート5との間の止水性を確保できる。二重構造部24に間詰めピース27を挿入することにより、拡幅用セグメントリング21cは、拡幅時にも構造的強度を確保できる。
【0092】
なお、第3の実施の形態では、拡幅用セグメントリング21cの2ヶ所に止水部材22を設けたが、止水部材22の設置位置や形状はこれに限らない。止水部材22は、拡幅用セグメントリング21cの拡幅後に、拡幅準備用セグメントリング19と拡幅用セグメントリング21cの間の止水性を確保できる設置位置、形状であればよい。シールド掘進によって発生する推力を拡幅用セグメントリング21から拡幅準備用セグメントリング19に伝達するために、拡幅後に反力受けを設置する場合もある。
【0093】
さらに、拡幅用セグメントリング21cは、二重構造部24や間詰めピース27を有するものでなくてもよい。拡幅用セグメントリング21cは、隣接するセグメントリングやスキンプレートとの間の止水性、セグメントリングの強度等を確保しつつ、拡幅・縮幅できる構成であればよい。
【0094】
拡幅用セグメントリング21c、拡幅セグメントリング23は、通常断面の円形のセグメントリング15と比較して、セグメントへの軸力や曲げ応力が大きくなることが考えられる。そこで、あらかじめシールド機1の本体拡幅量を割増する、鋼製ライナ17の大きさを調整するなどの方法で、拡幅用セグメントリング21c、拡幅セグメントリング23の構造的補強を外周面に実施できるようにしてもよい。
【0095】
第3の実施の形態では、シールド機1のかわりに、第2の実施の形態のシールド機51を用いてもよい。
【0096】
次に、第4の実施の形態について説明する。図15は、シールド機1を用いてトンネル断面を拡幅する工程を示す図である。第1、第2の実施の形態では、シールド機1のスキンプレート5b側に一定幅の余掘り部11を形成し、トンネル断面を一挙に拡幅したが、第4の実施の形態では、トンネル断面を段階的に拡幅する。
【0097】
図15(a)は、スキンプレート5bの外側に余掘り部63を形成した状態を示す図である。第4の実施の形態では、第1の実施の形態と同様にしてトンネル通常断面部を構築するが、鋼製ライナ17をスキンプレート5から取り外した後、シールド機1のカッタ7からオーバカッタ9aを段階的に伸張させて地山3を掘削する。これにより、図15(a)に示すように、断面形状が段階的に変化する余掘り部63が形成される。掘進に伴い、シールド機1内には、拡幅準備用セグメントリング19、拡幅用セグメントリング21を設置する。余掘り部63内には、特殊充填材65を充填する。
【0098】
図15(b)は、シールド機1の拡幅を終了した状態を示す図である。図15(a)に示すような余掘り部63を掘削し、拡幅用セグメントリング21とスキンプレート5を同時に拡幅した後、拡幅用セグメントリング21の前方に設置された拡幅用セグメントリング67−1、…、拡幅用セグメントリング67−nとスキンプレート5の拡幅を繰り返し、図15(b)の状態にする。
【0099】
余掘り部63内の特殊充填材65は、シールド機1内に回収される。拡幅用セグメントリング21、拡幅用セグメントリング67−1、…、拡幅用セグメントリング67−nとスキンプレート5の拡幅時には、スキンプレート5a側の地山3に反力を取る。
【0100】
このように、第4の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、鋼製ライナ17を着脱可能なシールド機1を用いることにより、通常断面のトンネルを掘削する際に、スキンプレート5とセグメントリング15の間の止水を確実にすることができる。
【0101】
また、シールド機1のスキンプレート5b側のみに余掘り部63を設け、スキンプレート5a側の余掘りをなくすことで、スキンプレート5a側の地山3に反力を取って、スキンプレート5や拡幅用セグメントリング21等を拡幅させることができる。
【0102】
なお、拡幅用セグメントリング21、拡幅用セグメントリング67−1、…、拡幅用セグメントリング67−nは、隣接するセグメントリングやスキンプレート5との間の止水性、セグメントリングの強度等を確保しつつ、拡幅できる構成であればよい。また、シールド機1のかわりに、第2の実施の形態のシールド機51を用いてもよい。
【0103】
また、あらかじめシールド機の本体拡幅量を割増する、鋼製ライナの大きさを調整するなどの方法で、円形でない拡幅用セグメントリング21等の構造的補強を外周面に実施できるようにしてもよい。
【0104】
次に、第5の実施の形態について説明する。図16は、シールド機1を用いてトンネル断面を拡幅する工程を示す図である。第3の実施の形態では、シールド機1のスキンプレート5a、スキンプレート5bの外側に一定幅の余掘り部11a、余掘り部11bを形成し、トンネル断面を一挙に拡幅したが、第5の実施の形態では、トンネル断面を段階的に拡幅する。
【0105】
図16(a)は、スキンプレート5a、スキンプレート5bの外側に、それぞれ余掘り部69を形成した状態を示す図である。第5の実施の形態では、トンネル通常断面部は、第3の実施の形態と同様にして構築されるが、鋼製ライナ17をスキンプレート5から取り外した後、シールド機1のカッタ7からオーバカッタ9aを段階的に伸張させて地山3を掘削する。これにより、図16(a)に示すように、シールド機1の両側に、断面形状が段階的に変化する余掘り部69が形成される。シールド機1内には、拡幅準備用セグメントリング19、拡幅用セグメントリング21cを設置する。余掘り部69内には、特殊充填材71を充填する。
【0106】
図16(b)は、シールド機1の拡幅を終了した状態を示す図である。図16(a)に示すような余掘り部69を掘削し、拡幅用セグメントリング21cとスキンプレート5を同時に拡幅した後、拡幅用セグメントリング21cの前方に設置された拡幅用セグメントリング73−1、…、拡幅用セグメントリング73−nとスキンプレート5の拡幅を繰り返し、図16(b)の状態にする。余掘り部69内の特殊充填材71は、シールド機1内に回収される。
【0107】
このように、第5の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、鋼製ライナ17を着脱可能なシールド機1を用いることにより、通常断面のトンネルを掘削する際に、スキンプレート5とセグメントリング15の間の止水を確実にすることができる。
【0108】
なお、拡幅用セグメントリング21c、拡幅用セグメントリング73−1、…、拡幅用セグメントリング73−nは、隣接するセグメントリングやスキンプレート5との間の止水性、セグメントリングの強度等を確保しつつ、拡幅できる構成であればよい。また、シールド機1のかわりに、第2の実施の形態のシールド機51を用いてもよい。
【0109】
また、あらかじめシールド機の本体拡幅量を割増する、鋼製ライナの大きさを調整するなどの方法で、円形でない拡幅用セグメントリング21c等の構造的補強を外周面に実施できるようにしてもよい。
【0110】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、同一の単円形型シールド機を用いて、用途に応じた断面拡幅部を有するトンネルを構築できるシールド機、トンネルの構築方法およびトンネルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トンネル拡幅時の各工程を示す断面図
【図2】シールド機1のトンネル周方向の断面図
【図3】シールド機1のトンネル周方向の断面図
【図4】シールド機1のトンネル周方向の断面図
【図5】図4に示す拡幅用セグメントリング21の二重構造部24付近を拡大した斜視図
【図6】シールド機1のトンネル周方向の断面図
【図7】拡幅後の拡幅用セグメントリング21の二重構造部24付近を拡大した斜視図
【図8】シールド機1のトンネル周方向の断面
【図9】トンネル縮幅時の各工程を示す断面図
【図10】シールド機1のトンネル周方向の断面図
【図11】シールド機1のトンネル周方向の断面図
【図12】シールド機51のトンネル周方向の断面図
【図13】シールド機51のトンネル周方向の断面図
【図14】トンネル拡幅時の各工程を示す断面図
【図15】シールド機1を用いてトンネル断面を拡幅する工程を示す図
【図16】シールド機1を用いてトンネル断面を拡幅する工程を示す図
【符号の説明】
1、51………シールド機
3………地山
5、5a、5b、5c、5d、55、55a、55b………スキンプレート
9、9a、9b………オーバカッタ
11、11a、11b、41、63、69………余掘り部
15、59………セグメントリング
17、35、57………鋼製ライナ
19………拡幅準備用セグメントリング
21、21a、21b、21c、67、73………拡幅用セグメントリング
23、61………拡幅セグメントリング
24………二重構造部
25………ガイド部材
27………間詰めピース
29………縮幅準備用セグメントリング
31………縮幅用セグメントリング

Claims (8)

  1. スキンプレートの内周に沿って設けられた、前記スキンプレートに着脱可能なライナと、
    前記ライナの内周面に設けられたテールシールと、
    を具備することを特徴とするシールド機。
  2. 前記スキンプレートと前記ライナとの間に止水手段をさらに具備することを特徴とする請求項1記載のシールド機。
  3. スキンプレートの内周に沿って第1のライナが設けられたシールド機を用いて、余掘り部を設けつつ地山を掘削する工程(a)と、
    前記第1のライナを前記スキンプレートから取り外し、第1の通常セグメントリングに固定する工程(b)と、
    前記第1のライナおよび前記第1の通常セグメントリングの前方に拡幅準備用セグメントリングを設置する工程(c)と、
    前記拡幅準備用セグメントの前方に拡幅用セグメントリングを設置する工程(d)と、
    前記スキンプレートと前記拡幅用セグメントリングを同時に拡幅させる工程(e)と、
    を具備することを特徴とするトンネルの構築方法。
  4. 前記工程(e)で、前記余掘り部を設けていない地山に反力をとって前記スキンプレートと前記拡幅用セグメントリングを拡幅させることを特徴とする請求項3記載のトンネルの構築方法。
  5. 前記拡幅用セグメントリングは、スライド部材と前記スライド部材に沿って設けられるガイド部材からなる二重構造部を有し、前記スライド部材のスライドに伴って生じる隙間部分に間詰めピースが挿入されることを特徴とする請求項3記載のトンネルの構築方法。
  6. 縮幅用セグメントリングを設置する工程(f)と、
    前記縮幅用セグメントリングの前方に、第2のライナが固定された第2の通常セグメントリングを設置する工程(g)と、
    前記スキンプレートと前記縮幅用セグメントリングを同時に縮幅させる工程(h)と、
    前記第2のライナを前記第2の通常セグメントリングから取り外し、前記スキンプレートに固定する工程(i)と、
    をさらに具備することを特徴とする請求項3記載のトンネルの構築方法。
  7. 前記第1のライナおよび第2のライナは、トンネル通常断面部に設置されるセグメントリングと前記スキンプレートとの隙間を狭めるために設置されることを特徴とする請求項3または請求項6記載のトンネルの構築方法。
  8. 請求項3から請求項7のいずれかに記載されたトンネルの構築方法を用いて構築されたことを特徴とするトンネル。
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