JP2004268513A - インクリボン機構、及び印刷装置 - Google Patents

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Kazumichi Kato
一路 加藤
Kenji Wakahara
健司 若原
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Abstract

【課題】印刷品質を劣化させずに、使用済みのインクリボンからの情報漏洩を防止し得るインクリボン機構を提供する。
【解決手段】使用済みのインクリボン20を、巻取り用リボンローラ12によって巻かれている位置で、例えばカッター機構50などの物理的手段によって加工し、印刷痕跡を破壊する。このような位置でインクリボンの加工を行うと、インクリボン20が巻取られる際の張力に変化が生じにくくなり、印刷品質が劣化しない。従って、印刷品質を維持したまま、使用済みインクリボンからの情報漏洩を防止することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、文字又は画像情報等の印刷を行う際に使用されるインクリボン機構、及び同機構を使用して印刷を行う印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
文字や画像の印刷を行う装置に、例えば熱転写型プリンタ装置がある。熱転写型プリンタ装置は、サーマルヘッドと呼ばれる加熱機構を有しており、用紙とインクリボンとが密着した状態で、このサーマルヘッドから当該インクリボンに熱が印加され、印刷情報に応じてサーマルヘッドを駆動することにより印刷情報に応じたパターンで用紙にインクが溶着する仕組みとなっている。このような熱転写型プリンタ装置は、印刷を行う際に騒音が少ないという利点を有している。
しかし、サーマルヘッドによってインクが転写された後のインクリボン(以降『使用済みインクリボン』とする)には、印刷した文字や画像の印刷痕跡が残り、そこから印刷情報を解読されてしまう危険性があった。従って、機密保持の観点から、秘匿性を要する用途に熱転写型プリンタ装置を使用することは、望ましくなかった。
【0003】
このような問題点を克服するため、インクリボンの巻取り経路にカッター機構を設け、使用済みインクリボンをそのカッター機構によって裁断するインクリボン機構が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平2−70475号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来技術においては、巻取られる際にインクリボンにかかる張力が、カッター機構による裁断の際に変化することがある。熱転写型プリンタ装置に限らず、インクリボンを使用するプリンタ装置は、インクリボンに何らかの外的作用を与えることによって印刷を行っている。従って、印刷品質上、このようにインクリボンの巻取り張力に変化が生じることは好ましくなかった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、使用済みインクリボンからの情報漏洩を防止しつつ、画質が劣化しにくいインクリボン機構、及び同機構を有する印刷装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決する手段】
上述の課題を解決するため、本発明に係るインクリボン機構は、インクリボンに用紙を押し当て、該インクリボンに対して外的作用を加えてインクを転写することによって印刷を行う印刷装置に使用されるインクリボン機構であって、印刷に使用された後のインクリボンを巻取る回転体と、前記回転体に巻かれたインクリボンに対して、外観上、又は性質上の変化を付与するための加工を行う加工手段とを具備することを特徴としている。
このようなインクリボン機構によれば、前記加工手段によって使用済みインクリボンが加工される際に、インクリボンを巻取る張力に変化が生じない。従って、印刷装置に使用された場合に、使用済みインクリボンからの情報漏洩を防止しつつ、画質の劣化を防ぐことができる。
【0007】
また、本発明に係るインクリボン機構において、前記加工手段は、前記インクリボンを裁断するための裁断機構を有していても良い。この加工手段によれば、使用済みのインクリボンは裁断され、印刷痕跡が破壊される。
また、本発明に係るインクリボン機構において、前記加工手段は、前記インクリボンの表面に粘着性を付与するための粘着剤塗布機能を有する構成となっていても良い。この加工手段によれば、使用済みインクリボンは、相互に接着されて剥離不可能となって、印刷痕跡の漏洩が防止される。
また、本発明に係るインクリボン機構において、前記加工手段は、前記インクリボンの表面に凹凸を形成するための突起を有していても良い。この加工手段によれば、使用済みインクリボンの表面には凹凸が形成され、印刷痕跡から印刷内容を解読することが不可能となる。
また、本発明に係るインクリボン機構は、筐体内に収められ、前記印刷を行う装置に対し、着脱自在となっていても良い。このインクリボン機構によれば、印刷情報の漏洩を防止できると共に、メンテナンスが容易となる。
また、本発明に係る印刷装置は、本発明に係るインクリボン機構を搭載することを特徴としている。この印刷装置は、使用済みインクリボンからの情報漏洩を防止しつつ、画質の劣化を防ぐ機能を実現することができる。
【0008】
【発明の実施形態】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る熱転写型プリンタ装置について説明する。図1は、この熱転写型プリンタ装置の要部構成を示す斜視図である。
【0009】
供給用リボンローラ10には、インクリボン20が巻かれている。供給用リボンローラ10は、その中心部に備わる回転可能な供給軸11によって、図示する矢印P方向にインクリボン20を供給することができる。インクリボン20は、耐熱性を有するフィルム状の基材上に、熱溶融性のインク層が形成されたものである。また、この供給用リボンローラ10に巻かれているインクリボンは、未使用状態のインクリボンである。
供給用ガイド21は、回転可能なピン状の部材である。未使用状態のインクリボン20は、供給用ガイド21によってその供給方向を矢印P’方向に変えられ、図示する印刷位置まで導出される。
【0010】
印刷位置には、サーマルヘッド30が設置されている。サーマルヘッド30は、先端部に発熱体31を有しており、この熱転写型プリンタ装置の制御装置(図示略)によってその発熱が制御され、印刷情報に応じて選択的に発熱する。この発熱の際には、発熱体31は、図示しない搬送ローラによって搬送される用紙40とインクリボン20とを、サーマルヘッド30とプラテンローラ41との間に挟み込んだ形で、インクリボン20の基材部分に熱を印加する。熱を印加された部分のインクは、用紙40に溶着する。本実施形態に係る熱転写型プリンタ装置は、このようにして印刷を行っている。
【0011】
このようにして熱を印加された後のインクリボン(使用済みのインクリボン)20は、巻取り用ガイド22を介して、巻取り用リボンローラ12に巻取られる。巻取り用リボンローラ12は、回転可能な巻取り軸23によって、矢印Q方向にインクリボン20を巻き取ることができる。図1において、使用済みインクリボン層20aは、このようにして巻き取られ、巻取り用リボンローラ12に積層されたインクリボンである。
一方、使用済みのインクリボン20には、従来技術の項で述べたように、印刷情報に応じた印刷痕跡が残っている。従って、本実施形態に係る熱転写型プリンタ装置は、この印刷痕跡を破壊するため、以下に説明するカッター機構50を備えている。
【0012】
カッター機構50は、細長い円柱様の軸52の表面に、適当な間隔で複数のカッター刃51が配設された、櫛状の部材である。カッター機構50は、このカッター刃51が、インクリボン層20aの最表面でインクリボン20と接するように設置されている。この位置において、カッター刃51は、カッター機構50の背面に設置されたバネ状の圧力調整器具53によって、適切な圧力で使用済みのインクリボン20に当圧される。カッター刃51と当圧された状態で巻取られる使用済みのインクリボン20は、その長手方向に、裁断線54に沿うよう順次裁断される。その結果、使用済みのインクリボン20の印刷痕跡が破壊される。
【0013】
本実施形態に係る熱転写型プリンタ装置は、以上のように、カッター機構50によって使用済みのインクリボン20を裁断し、その印刷痕跡を破壊するので、印刷内容の漏洩を確実に防止することができる。更に、当該裁断は、巻取り用リボンローラ12に巻かれた状態のインクリボン20に対して行われるから、巻取り用リボンローラ22がインクリボン20を巻取る張力に変化が生じにくく、印刷品質が劣化しない。
【0014】
本発明に係るインクリボン機構は、印刷装置と別体に設けられ、当該印刷装置に対して着脱自在となっていても上述した効果を享受することができる。図2は、このようなインクリボンカートリッジ60を説明した平面図である。インクカートリッジ60は、筐体61内に、インクリボン62、供給用リボンローラ63、供給用ガイド64、巻取り用ガイド65、巻取り用リボンローラ66、及びカッター機構67を収めたものである。このインクリボンカートリッジ60を、図示略の印刷装置に対して装着すると、ヘッド挿入位置68にサーマルヘッドが収まるようになっている。
【0015】
また、印刷装置は、本実施形態に記載の熱転写型のものに限定されず、印刷時にインクリボンを使用し、印刷後のインクリボンが一定方向に巻取られる機構を有していれば、上述した効果を得ることが可能である。例えば、ドットインパクトプリンタ装置のように、印字ヘッドをインクリボンに叩きつけることによって印刷を行う装置であってもよい。
【0016】
カッター刃の形状、配列形態、及び枚数は、本実施形態に記載の構成に限定されるものではない。また、カッター機構50の設置位置も、カッター刃51が巻取り用リボンローラ12に巻かれた使用済みのインクリボンに対して加工を行うことができる位置ならば自由に設置が可能である。
図3は、巻取り用リボンローラ12とカッター刃51との位置関係を説明する図である。同図を使用すれば、カッター刃51が裁断するインクリボンは、張力の作用点55よりも巻取り方向側にあるインクリボンであると換言することができる。このインクリボンには、巻取り用リボンローラ12による張力が作用しない。従って、カッター機構50によってインクリボンが裁断されても、印刷位置のインクリボンに働く張力に影響がないのである。図3には、カッター機構50の設置位置例として、本実施形態に記載の設置位置Aの他に、設置位置B、設置位置Cなどが示されている。
【0017】
本実施形態においては、カッター機構50が使用済みのインクリボン20を裁断することによって印刷痕跡の破壊を行ったが、当該破壊手段はこれに限定されない。図4には、カッター機構50以外の印刷痕跡破壊手段が例示されている。
例えば、回転可能な軸70の表面に、複数の突起71が形成されていても良い。このような破壊手段によれば、使用済みのインクリボンの表面に無数の凹凸を形成させることができる。また、この軸70を、発熱体を内蔵したヒートローラのように構成すれば、凹凸が形成された使用済みのインクリボンのインク面同士が熱によって融着し、印刷痕跡は更に認識不能となる。
また、粘着剤塗布ローラ73のように、使用済みインクリボンの表面に粘着性を付与するための粘着剤74が、回転可能な軸75の表面に塗布されていても良い。この粘着剤塗布ローラ73によれば、使用済みのインクリボンは、巻取られた後の積層状態において互いに接着され、剥離不能となって印刷痕跡の解読が不可能となる。
【0018】
【発明の効果】
本発明に係るインクリボン機構、及び印刷装置は以上のように構成されているので、使用済みインクリボンからの情報漏洩を防止しつつ、印刷品質の劣化も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る熱転写型プリンタ装置の要部構成を示す斜視図。
【図2】本発明に係るインクリボンカートリッジの平面図。
【図3】同装置におけるカッター機構50の配設位置を示す図。
【図4】本発明に係る印刷痕跡破壊手段の例示図。
【符号の説明】
10・・・供給用リボンローラ、11・・・供給軸、12・・・巻取り用リボンローラ、20・・・インクリボン、20a・・・使用済みインクリボン層、21・・・供給用ガイド、22・・・巻取り用ガイド、23・・・巻取り軸、30・・・サーマルヘッド、31・・・発熱体、40・・・用紙、41・・・プラテンローラ、50・・・カッター機構、51・・・カッター刃、52・・・軸、53・・・圧力調整器具、54・・・裁断線、55・・・張力の作用点、60・・・インクリボンカートリッジ、61・・・筐体、62・・・インクリボン、63・・・供給用リボンローラ、64・・・供給用ガイド、65・・・巻取り用ガイド、66・・・巻取り用リボンローラ、67・・・カッター機構、70・・・軸、71・・・突起、73・・・粘着剤塗布ローラ、74・・・粘着剤、75・・・軸

Claims (6)

  1. インクリボンに用紙を押し当て、該インクリボンに対して外的作用を加えることによってインクを用紙に転写し印刷を行う印刷装置に使用されるインクリボン機構であって、
    印刷に使用された後のインクリボンを巻取る回転体と、
    前記回転体に巻かれたインクリボンに対して、外観上、又は性質上の変化を付与するための加工を行う加工手段
    を具備することを特徴とするインクリボン機構。
  2. 前記加工手段は、前記インクリボンを裁断するための裁断機構を有する
    ことを特徴とする請求項1記載のインクリボン機構。
  3. 前記加工手段は、前記インクリボンの表面に粘着性を付与するための粘着剤塗布機能を有する
    ことを特徴とする請求項1記載のインクリボン機構。
  4. 前記加工手段は、前記インクリボンの表面に凹凸を形成するための突起を有する
    ことを特徴とする請求項1記載のインクリボン機構。
  5. 筐体内に収められ、前記印刷を行う装置に対し着脱自在である
    ことを特徴とする請求項1乃至4記載のインクリボン機構。
  6. 請求項1乃至5記載のインクリボン機構を搭載することを特徴とする印刷装置。
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