JP2004264186A - 電波検知センサ - Google Patents
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Abstract
【目的】この発明は、従来の近接スイッチの付加機能であった電波検知の要素技術を電波検知センサとして技術確立することができ、現存するトンシーバ、携帯電話機などの全帯域で、微弱な電波でも良好に電波検知を行う広帯域電波検知機能を備えた電波検知センサの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】この発明は、電波を検知する電波検知回路と、該電波検知回路からの出力信号を設定した閾値と比較して電波の検知を判定したとき電波の検知信号を出力する比較回路とを備え、上記電波検知回路に、コレクタがサブストレートとして形成もしくはサブストレートに接続し、エミッタがエミッタ抵抗を介して電源に接続し、ベースを入力側とするPNPトランジスタによるエミッタフォロア回路を具備し、上記電波検知回路に、アンテナの1つまたは複数を直接または間接的に接続し、上記アンテナの電波に対する検知帯域に対応した形態と、該アンテナの前記電波検知回路に対する接続形態との組合せにより、電波の検知帯域を設定した電波検知センサであることを特徴とする。
【選択図】 図1
【課題を解決するための手段】この発明は、電波を検知する電波検知回路と、該電波検知回路からの出力信号を設定した閾値と比較して電波の検知を判定したとき電波の検知信号を出力する比較回路とを備え、上記電波検知回路に、コレクタがサブストレートとして形成もしくはサブストレートに接続し、エミッタがエミッタ抵抗を介して電源に接続し、ベースを入力側とするPNPトランジスタによるエミッタフォロア回路を具備し、上記電波検知回路に、アンテナの1つまたは複数を直接または間接的に接続し、上記アンテナの電波に対する検知帯域に対応した形態と、該アンテナの前記電波検知回路に対する接続形態との組合せにより、電波の検知帯域を設定した電波検知センサであることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は、例えば、パチンコ遊技機などのアミューズメント業界で用いられ、遊技者が故意にトランシーバや携帯電話機にて不正電波を遊技機に照射した場合など、不正な電波の到来を検知するに有効な電波検知センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
遊技機の不正電波検出機能の要素技術には図10に示す回路構成(特許文献1参照)がある。
【0003】
この従来技術は、パチンコ遊技機において、賞球のパチンコ球を検知するために、該賞球のパチンコ球の通過経路に近接スイッチを配設しており、この近接スイッチに対してトランシーバや携帯電話機にて不正電波を照射されたときの対処である。
【0004】
図10において、上述の近接スイッチはLC共振回路1が接続された発振回路2を備えている。発振回路2は例えばハートレー型の発振回路で形成して一定の電圧供給で常時発振し、前述のLC共振回路1のコイルにパチンコ球が近接すると発振出力が停止するように構成している。
【0005】
上述の発振回路2の発振出力は後段のサブストレート型PNPトランジスタTr20に与えられる。このトランジスタTr20はコレクタが接地されたエミッタフォロア回路を構成し、エミッタ抵抗R20を介して電源に接続している。トランジスタTr21、Tr22は比較回路4を形成し、前記トランジスタTr20のエミッタは抵抗R21を介してトランジスタTr21のエミッタに接続され、ベースには比較の閾値となる一定の電圧V0が電圧源3として接続される。
【0006】
上述の回路構成にトランシーバや携帯電話機にて不正電波(強電波)が照射されると、LC共振回路1のコイルあるいは電源ラインから回路内に電波が進入し、発振回路2の発振が停止して金属球の接近が無いにもかかわらず金属球検知の誤動作が発生するという影響を与えるが、トランジスタTr20は前述したように、サブストレート型PNPトランジスタでエミッタフォロア回路を形成しているので、該トランジスタTr20は、IC内の全素子に先駆けて遮断する性質がある。
【0007】
図11に該トランジスタTr20とエミッタ抵抗R20のIC内部プロセス構造を示すように、上述のトランジスタTr20は、ICにおけるサブストレートのP層10上でP+領域12で囲繞されるエピタキシャル成長層のN層11と、その上面に形成したN+領域14のベースと、P+領域15のエミッタで形成している。
【0008】
また、エミッタ抵抗R20は、N層11上面に形成したP+領域16で形成し、N+領域17を介して電源Vccに接続し、サブストレートのP層10と、N層11との間に埋め込み層18を介装している。
【0009】
図示のように、前述のサブストレート型PNPのトランジスタTr20は、埋め込み層18が存在しない素子であるため、前述のように不正電波(強電波)が照射されると、該照射電波は直接エピタキシャル成長層のN層11、すなわち、ベースに作用して、トランジスタとしての機能が喪失し、この状態下ではP+領域15のエミッタがサブストレート10と短絡する現象が生じるため、該エミッタは直ちにGND電位に低下する動作となる。
【0010】
したがって、図10における比較回路4が上述したトランジスタTr20の状態を検出して、前述の不正電波(強電波)の照射中では、近接スイッチがパチンコ球を検出する又はしないに拘わらず、最終出力(比較回路4の出力)を禁止する動作となるので、この結果、不正電波(強電波)誤動作を起こさせることができず、不正操作が防止されることになる。
【0011】
特許文献1の従来技術では、上述した機能を備えるが、しかし、この機能は耐電波性能が非常に高い金属球検出近接スイッチの付加機能であり、この原理を電波検知センサとして採用した場合、次のような、検知感度不足、検知帯域の不備・不足および検出感度の周波数特性などの問題点を有する。
【0012】
検知感度不足の問題点
特許文献1で示された近接スイッチの不正電波検知機能は、不正電波が照射されない正常時ではパチンコ球を正常に検知する必要があり、この検知状態を保持するために、電波到来検知時の出力機能は上述の近接スイッチが誤動作してしまう限界レベルまでは動作しないことが望ましい。そのため、異常に強い電波を強制的に照射しないと電波の確認出力が得られないものであった。したがって、一般的に市販されている通信機器レベルの電波を検知することを目的とするセンサとしては明らかに感度不足となり、微弱な電波を検出することができない。
【0013】
検知帯域の不備・不足および検知感度の周波数特性の問題点
例えば、遊技機に対して遊技者が不正目的で電波を照射する場合、発振周波数は無差別不特定であり、このため、遊技機向けの電波検知センサには、広帯域での検知性能が要求される。最低限、現存するトランシーバ、携帯電話機など比較的入手し易い電波発振器全域で照射電波検知機能が必要となる。
【0014】
これに対して、特許文献1で示された近接スイッチの不正電波検知機能は、トランシーバの検知し得る周波数特性が存在する。例えば、携帯電話機等の比較的高帯域(800MHz〜2GHz周波数帯域)では、頻繁に電波禁止動作が観測されるが、アマチュア無線等で使用される低帯域(144MHz〜430MHz周波数帯域)では検知感度が低く、ごく直近での照射しか観測できない。
【0015】
特許文献1で示された近接スイッチの不正電波検知機能を、パチンコ球を検知する近接スイッチの付加機能として捉えた場合、近接スイッチ自体がこれらの帯域電波照射で誤動作しないため(低帯域では強電界中でも正常なパチンコ球の検知が可能)、実使用上の問題は発生しなかった。しかし、不正電波の到来を検出する電波検知センサを想定すると、照射される電波の周波数次第で感度が大きくばらつくことが容易に予測される。
【0016】
IC内部素子性能の時代変化の問題点
昨今のICプロセス技術開発は、高集積化の追求を目指す傾向にあるが、前記電波検知センサには極めて不利な状況にもある。すなわち、高集積化のために内部素子が小さく、かつ拡散幅が薄く形成されることになり、このように形成された場合、電波に敏感となり、特にNPNトランジスタが顕著に電波の影響を受け、簡単に誤動作するようになる。
【0017】
この場合、特許文献1で示される近接スイッチの不正電波検知機能で使用されたサブストレート型PNPトランジスタTr20が、IC内全素子に先駆けて遮断する性質そのものが崩れつつあることを示し、該トランジスタTr1が電波検知動作を行う前に他の箇所の誤動作が発生する問題点となる。
【0018】
なお、最近のICプロセス技術では、特許文献1に記載のサブストレート型PNPトランジスタのプロセス構造素子はほとんど見当たらない。これは微細プロセスでこの構造の素子を作ると耐圧不良を起こし易いからである。
【0019】
【特許文献1】特許第2924070号公報。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、電波検知素子として使用する集積回路内のPNPトランジスタにおける強電界中のエミッタ領域遮断現象を促進させ、検知対象の電波の周波数ごとに感度を調整する機能を持たせることにより、従来の近接スイッチの付加機能であった電波検知の要素技術を電波検知センサとして技術確立することができ、現存するトンシーバ、携帯電話機などの全帯域で、微弱な電波でも良好に電波検知を行う広帯域電波検知機能を備えた電波検知センサの提供を目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
この発明は、電波を検知する電波検知回路と、該電波検知回路からの出力信号を設定した閾値と比較して電波の検知信号を出力する比較回路とを備え、上記電波検知回路に、コレクタがサブストレートとして形成もしくはサブストレートに接続し、エミッタがエミッタ抵抗を介して電源に接続し、ベースを入力側とするサブストレート型PNPトランジスタによるエミッタフォロア回路を具備し、上記電波検知回路に、アンテナの1つまたは複数を直接または間接的に接続し、上記アンテナの電波に対する検知帯域に対応した形態と、該アンテナの前記電波検知回路に対する接続形態との組合せにより、電波の検知帯域を設定した電波検知センサであることを特徴とする。
【0022】
前記アンテナの電波に対する検知帯域に対応した形態は、金属とその種類、金属メッキなどのアンテナの材質、基板上で形成するパターン長さや幅などのアンテナの形状、その面積などを含む。
【0023】
上述の構成によれば、アンテナにより検知感度が向上して微弱な電波も検知可能となると共に、電波の検知帯域が調整でき、例えば、低帯域(50MHz〜500MHz周波数帯域)、または高帯域(800MHz〜2GHz周波数帯域)、あるいは広域周波数帯域(50MHz〜2GHz周波数帯域)が検知の対象として得られ、電波の検知対象が広域となる。
【0024】
この発明の形態として、複数のアンテナの各形態を電波の検知帯域が異なるように形成し、上記複数アンテナの異なる形態と、各アンテナの前記電波検知回路に対する接続形態との組合せにより、電波の検知帯域を設定することができる。
【0025】
さらに、発明の形態として、NPNトラジスタでエミッタフォロア回路を形成し、該トランジスタのベースに前記アンテナを接続して第1の感度調整回路を形成し、上記第1の感度調整回路の出力を前記電波検知回路に接続し、前記アンテナの形態を、電波の低周波側の検知帯域に対応する形態に設定して、主に低周波側の電波検知に対応させ、前記アンテナの電波検知回路に対する接続形態の1つとすることができる。
【0026】
さらに、この発明の形態として、NPNトラジスタでエミッタフォロア回路を形成し、該トランジスタのエミッタに前記アンテナを接続して第2の感度調整回路を形成し、上記第2の感度調整回路におけるトラジスタのベースを前記電波検知回路に接続し、前記アンテナの形態を、電波の高周波側の検知帯域に対応する形態に設定して、主に高周波側の電波検知に対応させて、前記アンテナの電波検知回路に対する接続形態の1つとすることができる。
【0027】
さらに、この発明の形態として、アンテナの機能を備えた閉磁路コイルを共振回路に用いた発振回路を具備し、上記発振回路を前記電波検知回路に接続することができる。
【0028】
この構成によれば、発振回路に基づくパチンコ球のような金属体の検知と、検知帯域を設定し得る電波の検知が1つの電波検知センサで可能となる。
【0029】
【発明の作用・効果】
この発明によれば、電波検知素子として使用する半導体集積回路内臓のPNPトランジスタと、IC外部のアンテナの形態、および、その接続形態の組合せにより、上記PNPトランジスタの電界中におけるエミッタ領域遮断現象を促進させることができ、また、検知対象の電波の周波数ごとに感度を調整することができ、これらにより、電波の検知感度を向上させて微弱な電波をも検知することができ、その結果、従来の近接スイッチの付加機能であった電波検知の要素技術を電波検知センサとして技術確立することができ、現存するトランシーバ、携帯電話機などの全帯域で、微弱な電波でも良好に電波検知を行う広帯域電波検知機能を備えた電波検知センサを得ることができる。
【0030】
【実施の形態】
この発明の一実施例を以下図面と共に説明する。
図面は電波検知センサを示し、図1において、該電波検知センサ20は、電波検知回路21、第1の感度調整回路22、第2の感度調整回路23、比較回路24により構成している。
【0031】
上述の電波検知回路21は、電波を検知するための回路であって、エミッタフォロア回路に形成したサブストレート型PNPトランジスタTr1と、該トランジスタTr1のエミッタと電源ラインに接続したエミッタ抵抗R1により形成している。なお、上述のトランジスタTr1は、通常のPNPトランジスタであるも、また、サブストレート型であるもよい。
【0032】
前述の第1の感度調整回路22は、上述の電波検知回路21における低周波側の電波検知動作の感度を調整する回路であって、エミッタフォロア回路に形成したNPNトランジスタTr2と、該トランジスタTr2のエミッタとグランドラインに接続したエミッタ抵抗R2と、第1のアンテナ26により形成する。
【0033】
上述のトランジスタTr2はダイオードD1、D2、D3および電流I1で設定された直流バイアスV1で駆動され、その出力は前述の電波検知回路21におけるトランジスタTr1のベースに印加されるように接続している。
【0034】
上述のトランジスタTr2のベースにはIC端子25を介して集積回路外に形成した第1のアンテナ26を接続している。このアンテナ26は電波を受信するためのものであって、その形態、すなわち、材質、形状、長さを調整することにより、低周波受信帯域を設定して調整することができる。
【0035】
したがって、エミッタフォロア回路のNPNトランジスタTr2が前述の電波検知回路21の電波検知動作を促進し、該トランジスタTr2とアンテナ26の形態の設定とで、低周波側の感度調整回路を形成することになる。
【0036】
前述の第2の感度調整回路23は、前述の電波検知回路21における高周波側の電波検知動作の感度を調整する回路であって、エミッタフォロア回路に形成したNPNトランジスタTr3と、該トランジスタTr3のベースと前述の電波検知回路21におけるトランジスタTr1のベースとの間に接続した抵抗R3とアンテナ28により形成する。
【0037】
上述のトランジスタTr3のコレクタ側は電源ラインに接続し、エミッタ側はIC端子27を介して集積回路外に形成した第2のアンテナ28および抵抗R4を接続している。このアンテナ28も電波を受信するためのものであって、その形態、すなわち、材質、形状、長さを調整することにより、電波の高周波受信帯域を設定して調整することができる。
【0038】
したがって、エミッタフォロア回路のNPNトランジスタTr3が前述の電波検知回路21の電波検知動作を促進し、該トランジスタTr3とアンテナ28の形態の設定とで、高周波側の感度調整回路を形成することになる。
【0039】
また、第1の感度調整回路22と、第2の感度調整回路23との電波検知回路21に対する接続形態は上述した説明で明らかなように異なり、この接続形態と、各アンテナ26、28の検知帯域に対応した形態との組合せにより、広帯域の検知周波数帯域(50MHz〜2GHz周波数帯域)を設定することができる。
【0040】
図2は、前述の第1、第2の感度調整回路22、23におけるNPNトランジスタTr2、Tr3の1つのIC内部プロセス構造を示し、これらのトランジスタTr2、Tr3は同一構成であるためその1つを省略する。
【0041】
上述のTr3は、サブストレートのP層42上でP+分離拡散43にて囲繞されるエピタキシャル成長層のN層41をコレクタとし、コレクタ電流となるN+層44を介して外部配線に接続され、一方ではベースとなるP+層45が成長層41内に形成され、更にP+層45内にエミッタとなるN+層46が形成され、これらの上面はそれぞれの電極を除いて絶縁層(図示省略)が形成される。また、素子領域のN層41の下面とサブストレートのP層42との間には、N+層47の埋め込み層が埋め込まれている。
【0042】
最近のICプロセスでは高集積化が進み、素子サイズ、拡散幅とも小さくなりつつある。必然的にEB拡散層幅Δtも狭くなるが、hFEが大きく取れるなどの性能面の利点が出る反面、電波や電磁誘導外乱ノイズの影響を受けやすくなる。しかし、この実施例では上述のように電波耐力の低下したNPN素子を電波検知動作の促進回路手段として使用することにより、電波検知センサの性能を向上させることに利用している。
【0043】
なお、サブストレート型PNPトランジスタTr1と抵抗R1のIC内部プロセス構造は図10と等価であるため説明を省略する。
【0044】
図1において、前述の比較回路24は、トランジスタTr4、Tr5と、抵抗R5とを図示のごとく接続して形成し、トランジスタTr4のベースに電源V2を接続している。
【0045】
上記比較回路24は、通常はトランジスタTr4がOFF状態になるように、上述の電源V2と、前述の第1の感度調整回路22における直流バイアスV1とでバイアス調整しており、電波検知回路21のトランジスタTr1のエミッタ出力とトランジスタTr4で設定した閾値と比較して、トランジスタTr1のエミッタ出力が受信した電波の影響で0V近辺に低下したとき、トランジスタTr4がONに、さらに、次段のトランジスタTr5がONになって、電波の検知信号を出力(Voutの反転動作)するように設定している。
【0046】
上述の構成において、IC端子25、27内の構成要素、すなわちトランジスタTr1〜Tr5、抵抗R1〜R4、ダイオードD1〜D3は集積回路で形成する。
【0047】
次に、上述のように構成した電波検知センサ10の動作を説明する。まず、低周波数側帯域の第1の感度調整回路22により電波検知回路21が動作することを説明する。
【0048】
例えば、低周波数帯域の電波が電波検知センサ10に照射されると、第1のアンテナ26に作用した電波(受信信号)が第1の感度調整回路22のトランジスタTr2のベース拡散層45(図2参照)に進入する。
【0049】
図3にも示すように、照射電波が比較的低周波である場合、上述のトランジスタTr2のエミッタ・ベース接合部はその機能を喪失して、例えば通常0.6V〜0.7Vであったエミッタ・ベース間の電圧が、前述の電波の進入で半分以下に低下する現状が発生し、さらに、上記トランジスタTr2のベース電位がV1で固定されているので、エミッタの電位が上昇し、これによって電波検知回路21のトランジスタTr1のベース電位が上昇する。
【0050】
上述の電波検知回路21のトランジスタTr1は、既に図10で説明したように、電波が照射されるとそのサブストレートなどから電波の進入を受けて遮断方向に動作しており、このような状況下で、第1の感度調整回路22の強電界中での動作により、トランジスタTr1のベース電位が上昇すると、さらに、遮断方向に動作するため、結局、トランジスタTr1の電波検知動作が加速促進されることになる。
【0051】
上述のようにして、電波検知回路21のトランジスタTr1が加速遮断して、そのエミッタ出力が0V付近になると、比較回路24にて判定の後、電波検知出力Voutが反転する。
【0052】
なお、上述のアンテナ26には低周波帯域の電波をより良く検知する機能が求められるが、円形金属、ベタパターンなど、比較的面積の広い金属や金属箔がこの条件を満たし、検知感度はその面積に比例する傾向にある。この性質をアンテナ26の形態、すなわち、形状、面積などの調整で低周波帯域の受信感度の調整に利用している。
【0053】
次に、高周波数側帯域の第2の感度調整回路23により電波検知回路21が動作することを説明する。
すなわち、高周波数帯域の電波が電波検知センサ10に照射されると、第2のアンテナ28に作用した電波(受信信号)が第2の感度調整回路23のトランジスタTr3におけるエミッタ拡散層46(図2参照)に進入する。
【0054】
図4にも示すように、照射電波が比較的高周波である場合、上述の電波の進入がトランジスタTr3のエミッタ・ベース間の接合容量を素通りして、そのまま電波検知回路21のトランジスタTr1のベースに到達する。この場合、影響でTr1のベース電流の流出が妨げられ、その結果該トランジスタTr1の遮断方向に作用し、電波検知動作が加速促進されることになる。
【0055】
上述のようにして、電波検知回路21のトランジスタTr1が加速遮断して、エミッタ出力が0V付近になると、比較回路24にて判定の後、電波検知出力Voutが反転する。
【0056】
上述した電波検知回路21の該トランジスタTr1は比較的高周波数帯域にはよく反応するが、第2のアンテナ28、およびトランジスタTr1の作用により、電波検知感度は従来の近接スイッチの不正電波検知機能と比べ、格段に向上する。
【0057】
なお、上述の第2のアンテナ28には高周波帯域の電波をより良く検知する機能が求められるが、細長い金属箔がこの条件を満たし、プリント基板のパターンにより容易に形成できる。
【0058】
また、高周波数帯域側の感度調整方法としては、上述のパターンの幅、長さの調整の他、トランジスタTr3のベースに接続した抵抗R3の定数調整でも感度設定が可能である。
【0059】
なお、前述の第1、第2のアンテナ26、28の形態については、既に説明しているが、その他にも、被覆リード線でも容易に形成でき、また、電波検知センサの使用が例えばパチンコ遊技機である場合、該遊技機の金属部品、例えば前面ガラス窓の金属枠やその他の金属フレームを利用することも可能である。
【0060】
図5、図6に示す電波検知センサ20は、第1、第2のアンテナ26、28として、プリント基板のパターンの例を示し、プリント基板31の外周には第1のアンテナ26をパターンで形成し、その内側に第2のアンテナ28をパターンで形成してその端部に抵抗R4を接続して搭載し、各アンテナ26、28はIC端子25、27を介してICチップ32に接続している。また、ICチップ32は図1に示す回路構成を集積している。
【0061】
図7に示す電波検知センサ20は、被覆リード線で第1のアンテナ26を形成した例を示し、該アンテナ26はIC端子25を介してICチップ32に接続している。なお、ICチップ32は上述と同様に、図1に示す回路構成を集積している。
【0062】
この例は、パチンコ遊技機の遊技盤の外輪部に設置するために構成したものであって、被覆リード線のアンテナ26は遊技盤の外輪部の形状に対応させて屈曲形成している。この例では、遊技盤全面が電波の検知領域となりえる。同様に、パチンコ遊技機に使用されている金属製のフレームなどもアンテナとして利用可能である。
【0063】
上述の実施例で示した電波検知センサ20によれば、半導体集積回路内蔵のPNPトランジスタと、IC外部のアンテナを組合すことで、全体的に電波検知感度を向上し、帯域別に感度調整を行えば広帯域で安定した電波検知動作を行う電波検知センサを得ることができる。
【0064】
図10で説明した従来技術の電波検知は、集積回路内蔵のサブストレート型PNPトランジスタで電波検知を行なっているが、実際通常のPNPトランジスタでは電波検知感度が取れず、サブストレート型PNPトランジスタ限定の性能であったが、上述の実施例の電波検知センサ20によれば第1および第2の感度調整回路22、23を用いることにより感度が向上し、通常のトランジスタでも電波検知回路を充分作成可能である。そのため、最新のプロセスの集積回路でも電波検知センサ用ICの設計が可能である。
【0065】
また、電波検知回路21のトランジスタTr1にサブストレート型を採用した場合、該サブストレートからの電波進入経路が加わるため、通常のトランジスタと比べてさらに高感度品をえることができる。
【0066】
前述の実施例で示した電波検知センサ20は小規模集積回路と、基板のパターンを利用したアンテナのみで形成が可能であり、コスト面、形状面で有利である。さらに、前述したように、帯域別に感度が向上するので、現存するトランシーバ、携帯電話機の使用帯域全般で、感度面のバランスの取れた安定動作の電波検知センサを得ることができる。
【0067】
上述した実施例では、第1、第2の感度調整回路22、23のトランジスタTr2、Tr3によって、電波検知回路21の動作を促進させているが、感度の調整のみを得る場合であれば、周波数に対応させた形態のアンテナ26または28を直接電波検知回路21のトランジスタTr1のベースに接続することにより形成することができる。また、電波の検知対象が低周波数側または高周波数側の一方である場合は、検知対象に合わせて、一方のアンテナまたは感度調整回路のみを接続すればよい。
【0068】
図8は、他の実施例を示し、この例では電波検知機能と強磁界検知機能とを備えた不正検知センサ(または強磁界検知機能を備えた電波検知センサ)を示す。
【0069】
パチンコ遊技機の不正検知センサでの使用を想定した場合、その不正行為には、主に次の2つが存在する。
その1つが、トランシーバで強電波を照射して遊技機内の電子機器を誤動作させる行為、さらに他の1つが、強力磁石によりパチンコ球を操り入賞口に導く行為である。
【0070】
これらの不正行為を検知するに有効なセンサとして、図1で示した実施例と同様に、電波照射時の電波検知の機能に加え、コイルの磁化を検知原理とした強磁界検知の機能を持たせることで可能である。
【0071】
電波検知回路21は、図1で既に説明した動作と同様の動作を行なって電波を検知するための回路であって、エミッタフォロア回路に形成したサブストレート型PNPトランジスタTr10と、抵抗R8とにより形成している。
【0072】
第1の感度調整回路22は、図1で既に説明した動作と同様の動作を行ない上述の電波検知回路21における低周波側の電波検知動作の感度を調整する回路であって、エミッタフォロア回路に形成したNPNトランジスタTr9と、抵抗R9,10と、LC共振回路41のコイルL1とで形成している。
【0073】
ただ回路構成においては、低周波側受信用のアンテナとしてLC共振回路41のコイルL1を利用している。このコイルL1に使用される巻き線コイルはその機能上、良質のアンテナになり、また、フェライトコアによる完全閉磁路タイプを用いることにより強磁石(強磁界)に対する動作も感度よく得られる。
【0074】
上述のトランジスタTr9はダイオードD4、D5、D6および電流I2で設定された直流バイアスV3で駆動されることも、図1で説明した同構成と同じである。
【0075】
前述の第2の感度調整回路23は、図1で既に説明した動作と同様の動作を行ない前述の電波検知回路21における高周波側の電波検知動作の感度を調整する回路であって、エミッタフォロア回路に形成したNPNトランジスタTr11と、アンテナ42と、抵抗R15とにより形成しており、抵抗R15により適当な感度調整が可能である。
【0076】
強磁石を検知する回路としては、前述のLC共振回路41と前述のトランジスタTr11と、さらにトランジスタTr12,Tr13,Tr14により電流帰還型ハートレイ発振回路42を形成している。
【0077】
比較回路24は、電波検知回路21の出力Veと、閾値として設定した電圧値V0とを比較し、コンパレータCOM、抵抗R11〜R14、コンデンサC2を図示のように接続して構成している。なお、この構成中抵抗R13,R14、コンデンサC2は積分回路(または出力回路ともいえる)であって、発振波形の弁別出力を平滑にする。
【0078】
このように構成した不正検知センサは、低周波または高周波の電波が照射されると、第1、第2の感度調整回路22、23が動作して電波検知回路21の出力を遮断することは、図1で既に説明した通りである。
【0079】
また、強磁石の検知については、LC共振回路41が共振回路43で定常発振しており、コイルL1がフェライトコアの完全閉磁路タイプとすると、強磁石接近時では、コイルL1に空芯現象が発生し、インダクタンス値が減少し、発振動作が停止する。
【0080】
このような動作、すなわち、不正電波の照射と不正強磁石の操作を検出して比較回路24より不正検知信号を出力する。
【0081】
図9は、上述の不正検知の動作状況タイムチャートを示し、a図はトランジスタTr10のベース電圧、b図は同トランジスタTr10のエミッタ電圧、c図は比較回路24の出力の状態を示す。なお、縦軸はレベル、横軸は時間を示し、帯状ハッチングは定常発振波形(sin)を模式的に示す。
【0082】
例として期間T11に強磁石が接近したとすると、コイルL1のコアが磁化され、インダクタンスが激減して、Vb、Ve共に発振動作が停止する。この間コンパレータCOMの入力部では、電位にV0>Veが成立するので、出力端子Voutから検知信号が出力される。
【0083】
さらに、期間T21に強電波が照射されたとすると、トランジスタTr9はエミッタフォロアとしての機能は維持しつつもベース・エミッタ間の電位が減少するため、電波検知回路21のVbが平均的に上昇する。この間電波検知回路21出力側のVeはベース領域の状況に関係なくコレクタ電位(0V)まで低下して遮断状態となり、その結果、コンパレータCOMの入力部では、電位にV0>Veが成立するので、出力端子Voutから検知信号が出力される。
【0084】
さらに、期間T13に磁石が接近し、併せて期間T23に強電波が照射されたとすると、上述の2例で説明したように、期間T13の内期間T23が重なるまでは、電波検知回路21出力側のVeは発振停止時の電位となり、また、期間T23では、コレクタ電位(0V)まで低下して遮断状態となり、その結果、コンパレータCOMの入力部では、期間T13に期間T23を併せた期間中V0>Veが成立するので、出力端子VoutからOR結合の検知信号が出力される。
【0085】
この実施例の不正検知センサによると、小規模の集積回路(IC)と閉磁路コイルのみで磁気センサと電波センサとが一体となり、小型化および低コスト化が実現できる。この実現はパチンコ遊技機での使用を想定した場合、非常に価値があり、従来の形状、コストでは遊技機数十台に1システムの割合で電波検知センサのみの設置が現状であったことを、当該不正検知センサでは遊技機ごとに設置が可能で、より安全な遊技場経営の実現が容易に予測できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電波検知センサの電気回路図。
【図2】NPNトランジスタのIC内部プロセス構造を示す断面図。
【図3】第1の感度調整回路の動作を説明する電気回路図。
【図4】第2の感度調整回路の動作を説明する電気回路図。
【図5】電波検知センサの外観を示す平面図。
【図6】電波検知センサの外観を示す斜視図。
【図7】他の例の電波検知センサ外観を示す斜視図。
【図8】他の例の不正検知センサの電気回路図。
【図9】検知動作のタイムチャート。
【図10】従来の近接スイッチの電気回路図。
【図11】PNPトランジスタのIC内部プロセス構造を示す断面図。
【符号の説明】
20…電波検知センサ
21…電波検知回路
22…第1の感度調整回路
23…第2の感度調整回路
24…比較回路
26…第1のアンテナ
28…第2のアンテナ
42…アンテナ
L1…コイル
【発明が属する技術分野】
この発明は、例えば、パチンコ遊技機などのアミューズメント業界で用いられ、遊技者が故意にトランシーバや携帯電話機にて不正電波を遊技機に照射した場合など、不正な電波の到来を検知するに有効な電波検知センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
遊技機の不正電波検出機能の要素技術には図10に示す回路構成(特許文献1参照)がある。
【0003】
この従来技術は、パチンコ遊技機において、賞球のパチンコ球を検知するために、該賞球のパチンコ球の通過経路に近接スイッチを配設しており、この近接スイッチに対してトランシーバや携帯電話機にて不正電波を照射されたときの対処である。
【0004】
図10において、上述の近接スイッチはLC共振回路1が接続された発振回路2を備えている。発振回路2は例えばハートレー型の発振回路で形成して一定の電圧供給で常時発振し、前述のLC共振回路1のコイルにパチンコ球が近接すると発振出力が停止するように構成している。
【0005】
上述の発振回路2の発振出力は後段のサブストレート型PNPトランジスタTr20に与えられる。このトランジスタTr20はコレクタが接地されたエミッタフォロア回路を構成し、エミッタ抵抗R20を介して電源に接続している。トランジスタTr21、Tr22は比較回路4を形成し、前記トランジスタTr20のエミッタは抵抗R21を介してトランジスタTr21のエミッタに接続され、ベースには比較の閾値となる一定の電圧V0が電圧源3として接続される。
【0006】
上述の回路構成にトランシーバや携帯電話機にて不正電波(強電波)が照射されると、LC共振回路1のコイルあるいは電源ラインから回路内に電波が進入し、発振回路2の発振が停止して金属球の接近が無いにもかかわらず金属球検知の誤動作が発生するという影響を与えるが、トランジスタTr20は前述したように、サブストレート型PNPトランジスタでエミッタフォロア回路を形成しているので、該トランジスタTr20は、IC内の全素子に先駆けて遮断する性質がある。
【0007】
図11に該トランジスタTr20とエミッタ抵抗R20のIC内部プロセス構造を示すように、上述のトランジスタTr20は、ICにおけるサブストレートのP層10上でP+領域12で囲繞されるエピタキシャル成長層のN層11と、その上面に形成したN+領域14のベースと、P+領域15のエミッタで形成している。
【0008】
また、エミッタ抵抗R20は、N層11上面に形成したP+領域16で形成し、N+領域17を介して電源Vccに接続し、サブストレートのP層10と、N層11との間に埋め込み層18を介装している。
【0009】
図示のように、前述のサブストレート型PNPのトランジスタTr20は、埋め込み層18が存在しない素子であるため、前述のように不正電波(強電波)が照射されると、該照射電波は直接エピタキシャル成長層のN層11、すなわち、ベースに作用して、トランジスタとしての機能が喪失し、この状態下ではP+領域15のエミッタがサブストレート10と短絡する現象が生じるため、該エミッタは直ちにGND電位に低下する動作となる。
【0010】
したがって、図10における比較回路4が上述したトランジスタTr20の状態を検出して、前述の不正電波(強電波)の照射中では、近接スイッチがパチンコ球を検出する又はしないに拘わらず、最終出力(比較回路4の出力)を禁止する動作となるので、この結果、不正電波(強電波)誤動作を起こさせることができず、不正操作が防止されることになる。
【0011】
特許文献1の従来技術では、上述した機能を備えるが、しかし、この機能は耐電波性能が非常に高い金属球検出近接スイッチの付加機能であり、この原理を電波検知センサとして採用した場合、次のような、検知感度不足、検知帯域の不備・不足および検出感度の周波数特性などの問題点を有する。
【0012】
検知感度不足の問題点
特許文献1で示された近接スイッチの不正電波検知機能は、不正電波が照射されない正常時ではパチンコ球を正常に検知する必要があり、この検知状態を保持するために、電波到来検知時の出力機能は上述の近接スイッチが誤動作してしまう限界レベルまでは動作しないことが望ましい。そのため、異常に強い電波を強制的に照射しないと電波の確認出力が得られないものであった。したがって、一般的に市販されている通信機器レベルの電波を検知することを目的とするセンサとしては明らかに感度不足となり、微弱な電波を検出することができない。
【0013】
検知帯域の不備・不足および検知感度の周波数特性の問題点
例えば、遊技機に対して遊技者が不正目的で電波を照射する場合、発振周波数は無差別不特定であり、このため、遊技機向けの電波検知センサには、広帯域での検知性能が要求される。最低限、現存するトランシーバ、携帯電話機など比較的入手し易い電波発振器全域で照射電波検知機能が必要となる。
【0014】
これに対して、特許文献1で示された近接スイッチの不正電波検知機能は、トランシーバの検知し得る周波数特性が存在する。例えば、携帯電話機等の比較的高帯域(800MHz〜2GHz周波数帯域)では、頻繁に電波禁止動作が観測されるが、アマチュア無線等で使用される低帯域(144MHz〜430MHz周波数帯域)では検知感度が低く、ごく直近での照射しか観測できない。
【0015】
特許文献1で示された近接スイッチの不正電波検知機能を、パチンコ球を検知する近接スイッチの付加機能として捉えた場合、近接スイッチ自体がこれらの帯域電波照射で誤動作しないため(低帯域では強電界中でも正常なパチンコ球の検知が可能)、実使用上の問題は発生しなかった。しかし、不正電波の到来を検出する電波検知センサを想定すると、照射される電波の周波数次第で感度が大きくばらつくことが容易に予測される。
【0016】
IC内部素子性能の時代変化の問題点
昨今のICプロセス技術開発は、高集積化の追求を目指す傾向にあるが、前記電波検知センサには極めて不利な状況にもある。すなわち、高集積化のために内部素子が小さく、かつ拡散幅が薄く形成されることになり、このように形成された場合、電波に敏感となり、特にNPNトランジスタが顕著に電波の影響を受け、簡単に誤動作するようになる。
【0017】
この場合、特許文献1で示される近接スイッチの不正電波検知機能で使用されたサブストレート型PNPトランジスタTr20が、IC内全素子に先駆けて遮断する性質そのものが崩れつつあることを示し、該トランジスタTr1が電波検知動作を行う前に他の箇所の誤動作が発生する問題点となる。
【0018】
なお、最近のICプロセス技術では、特許文献1に記載のサブストレート型PNPトランジスタのプロセス構造素子はほとんど見当たらない。これは微細プロセスでこの構造の素子を作ると耐圧不良を起こし易いからである。
【0019】
【特許文献1】特許第2924070号公報。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、電波検知素子として使用する集積回路内のPNPトランジスタにおける強電界中のエミッタ領域遮断現象を促進させ、検知対象の電波の周波数ごとに感度を調整する機能を持たせることにより、従来の近接スイッチの付加機能であった電波検知の要素技術を電波検知センサとして技術確立することができ、現存するトンシーバ、携帯電話機などの全帯域で、微弱な電波でも良好に電波検知を行う広帯域電波検知機能を備えた電波検知センサの提供を目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
この発明は、電波を検知する電波検知回路と、該電波検知回路からの出力信号を設定した閾値と比較して電波の検知信号を出力する比較回路とを備え、上記電波検知回路に、コレクタがサブストレートとして形成もしくはサブストレートに接続し、エミッタがエミッタ抵抗を介して電源に接続し、ベースを入力側とするサブストレート型PNPトランジスタによるエミッタフォロア回路を具備し、上記電波検知回路に、アンテナの1つまたは複数を直接または間接的に接続し、上記アンテナの電波に対する検知帯域に対応した形態と、該アンテナの前記電波検知回路に対する接続形態との組合せにより、電波の検知帯域を設定した電波検知センサであることを特徴とする。
【0022】
前記アンテナの電波に対する検知帯域に対応した形態は、金属とその種類、金属メッキなどのアンテナの材質、基板上で形成するパターン長さや幅などのアンテナの形状、その面積などを含む。
【0023】
上述の構成によれば、アンテナにより検知感度が向上して微弱な電波も検知可能となると共に、電波の検知帯域が調整でき、例えば、低帯域(50MHz〜500MHz周波数帯域)、または高帯域(800MHz〜2GHz周波数帯域)、あるいは広域周波数帯域(50MHz〜2GHz周波数帯域)が検知の対象として得られ、電波の検知対象が広域となる。
【0024】
この発明の形態として、複数のアンテナの各形態を電波の検知帯域が異なるように形成し、上記複数アンテナの異なる形態と、各アンテナの前記電波検知回路に対する接続形態との組合せにより、電波の検知帯域を設定することができる。
【0025】
さらに、発明の形態として、NPNトラジスタでエミッタフォロア回路を形成し、該トランジスタのベースに前記アンテナを接続して第1の感度調整回路を形成し、上記第1の感度調整回路の出力を前記電波検知回路に接続し、前記アンテナの形態を、電波の低周波側の検知帯域に対応する形態に設定して、主に低周波側の電波検知に対応させ、前記アンテナの電波検知回路に対する接続形態の1つとすることができる。
【0026】
さらに、この発明の形態として、NPNトラジスタでエミッタフォロア回路を形成し、該トランジスタのエミッタに前記アンテナを接続して第2の感度調整回路を形成し、上記第2の感度調整回路におけるトラジスタのベースを前記電波検知回路に接続し、前記アンテナの形態を、電波の高周波側の検知帯域に対応する形態に設定して、主に高周波側の電波検知に対応させて、前記アンテナの電波検知回路に対する接続形態の1つとすることができる。
【0027】
さらに、この発明の形態として、アンテナの機能を備えた閉磁路コイルを共振回路に用いた発振回路を具備し、上記発振回路を前記電波検知回路に接続することができる。
【0028】
この構成によれば、発振回路に基づくパチンコ球のような金属体の検知と、検知帯域を設定し得る電波の検知が1つの電波検知センサで可能となる。
【0029】
【発明の作用・効果】
この発明によれば、電波検知素子として使用する半導体集積回路内臓のPNPトランジスタと、IC外部のアンテナの形態、および、その接続形態の組合せにより、上記PNPトランジスタの電界中におけるエミッタ領域遮断現象を促進させることができ、また、検知対象の電波の周波数ごとに感度を調整することができ、これらにより、電波の検知感度を向上させて微弱な電波をも検知することができ、その結果、従来の近接スイッチの付加機能であった電波検知の要素技術を電波検知センサとして技術確立することができ、現存するトランシーバ、携帯電話機などの全帯域で、微弱な電波でも良好に電波検知を行う広帯域電波検知機能を備えた電波検知センサを得ることができる。
【0030】
【実施の形態】
この発明の一実施例を以下図面と共に説明する。
図面は電波検知センサを示し、図1において、該電波検知センサ20は、電波検知回路21、第1の感度調整回路22、第2の感度調整回路23、比較回路24により構成している。
【0031】
上述の電波検知回路21は、電波を検知するための回路であって、エミッタフォロア回路に形成したサブストレート型PNPトランジスタTr1と、該トランジスタTr1のエミッタと電源ラインに接続したエミッタ抵抗R1により形成している。なお、上述のトランジスタTr1は、通常のPNPトランジスタであるも、また、サブストレート型であるもよい。
【0032】
前述の第1の感度調整回路22は、上述の電波検知回路21における低周波側の電波検知動作の感度を調整する回路であって、エミッタフォロア回路に形成したNPNトランジスタTr2と、該トランジスタTr2のエミッタとグランドラインに接続したエミッタ抵抗R2と、第1のアンテナ26により形成する。
【0033】
上述のトランジスタTr2はダイオードD1、D2、D3および電流I1で設定された直流バイアスV1で駆動され、その出力は前述の電波検知回路21におけるトランジスタTr1のベースに印加されるように接続している。
【0034】
上述のトランジスタTr2のベースにはIC端子25を介して集積回路外に形成した第1のアンテナ26を接続している。このアンテナ26は電波を受信するためのものであって、その形態、すなわち、材質、形状、長さを調整することにより、低周波受信帯域を設定して調整することができる。
【0035】
したがって、エミッタフォロア回路のNPNトランジスタTr2が前述の電波検知回路21の電波検知動作を促進し、該トランジスタTr2とアンテナ26の形態の設定とで、低周波側の感度調整回路を形成することになる。
【0036】
前述の第2の感度調整回路23は、前述の電波検知回路21における高周波側の電波検知動作の感度を調整する回路であって、エミッタフォロア回路に形成したNPNトランジスタTr3と、該トランジスタTr3のベースと前述の電波検知回路21におけるトランジスタTr1のベースとの間に接続した抵抗R3とアンテナ28により形成する。
【0037】
上述のトランジスタTr3のコレクタ側は電源ラインに接続し、エミッタ側はIC端子27を介して集積回路外に形成した第2のアンテナ28および抵抗R4を接続している。このアンテナ28も電波を受信するためのものであって、その形態、すなわち、材質、形状、長さを調整することにより、電波の高周波受信帯域を設定して調整することができる。
【0038】
したがって、エミッタフォロア回路のNPNトランジスタTr3が前述の電波検知回路21の電波検知動作を促進し、該トランジスタTr3とアンテナ28の形態の設定とで、高周波側の感度調整回路を形成することになる。
【0039】
また、第1の感度調整回路22と、第2の感度調整回路23との電波検知回路21に対する接続形態は上述した説明で明らかなように異なり、この接続形態と、各アンテナ26、28の検知帯域に対応した形態との組合せにより、広帯域の検知周波数帯域(50MHz〜2GHz周波数帯域)を設定することができる。
【0040】
図2は、前述の第1、第2の感度調整回路22、23におけるNPNトランジスタTr2、Tr3の1つのIC内部プロセス構造を示し、これらのトランジスタTr2、Tr3は同一構成であるためその1つを省略する。
【0041】
上述のTr3は、サブストレートのP層42上でP+分離拡散43にて囲繞されるエピタキシャル成長層のN層41をコレクタとし、コレクタ電流となるN+層44を介して外部配線に接続され、一方ではベースとなるP+層45が成長層41内に形成され、更にP+層45内にエミッタとなるN+層46が形成され、これらの上面はそれぞれの電極を除いて絶縁層(図示省略)が形成される。また、素子領域のN層41の下面とサブストレートのP層42との間には、N+層47の埋め込み層が埋め込まれている。
【0042】
最近のICプロセスでは高集積化が進み、素子サイズ、拡散幅とも小さくなりつつある。必然的にEB拡散層幅Δtも狭くなるが、hFEが大きく取れるなどの性能面の利点が出る反面、電波や電磁誘導外乱ノイズの影響を受けやすくなる。しかし、この実施例では上述のように電波耐力の低下したNPN素子を電波検知動作の促進回路手段として使用することにより、電波検知センサの性能を向上させることに利用している。
【0043】
なお、サブストレート型PNPトランジスタTr1と抵抗R1のIC内部プロセス構造は図10と等価であるため説明を省略する。
【0044】
図1において、前述の比較回路24は、トランジスタTr4、Tr5と、抵抗R5とを図示のごとく接続して形成し、トランジスタTr4のベースに電源V2を接続している。
【0045】
上記比較回路24は、通常はトランジスタTr4がOFF状態になるように、上述の電源V2と、前述の第1の感度調整回路22における直流バイアスV1とでバイアス調整しており、電波検知回路21のトランジスタTr1のエミッタ出力とトランジスタTr4で設定した閾値と比較して、トランジスタTr1のエミッタ出力が受信した電波の影響で0V近辺に低下したとき、トランジスタTr4がONに、さらに、次段のトランジスタTr5がONになって、電波の検知信号を出力(Voutの反転動作)するように設定している。
【0046】
上述の構成において、IC端子25、27内の構成要素、すなわちトランジスタTr1〜Tr5、抵抗R1〜R4、ダイオードD1〜D3は集積回路で形成する。
【0047】
次に、上述のように構成した電波検知センサ10の動作を説明する。まず、低周波数側帯域の第1の感度調整回路22により電波検知回路21が動作することを説明する。
【0048】
例えば、低周波数帯域の電波が電波検知センサ10に照射されると、第1のアンテナ26に作用した電波(受信信号)が第1の感度調整回路22のトランジスタTr2のベース拡散層45(図2参照)に進入する。
【0049】
図3にも示すように、照射電波が比較的低周波である場合、上述のトランジスタTr2のエミッタ・ベース接合部はその機能を喪失して、例えば通常0.6V〜0.7Vであったエミッタ・ベース間の電圧が、前述の電波の進入で半分以下に低下する現状が発生し、さらに、上記トランジスタTr2のベース電位がV1で固定されているので、エミッタの電位が上昇し、これによって電波検知回路21のトランジスタTr1のベース電位が上昇する。
【0050】
上述の電波検知回路21のトランジスタTr1は、既に図10で説明したように、電波が照射されるとそのサブストレートなどから電波の進入を受けて遮断方向に動作しており、このような状況下で、第1の感度調整回路22の強電界中での動作により、トランジスタTr1のベース電位が上昇すると、さらに、遮断方向に動作するため、結局、トランジスタTr1の電波検知動作が加速促進されることになる。
【0051】
上述のようにして、電波検知回路21のトランジスタTr1が加速遮断して、そのエミッタ出力が0V付近になると、比較回路24にて判定の後、電波検知出力Voutが反転する。
【0052】
なお、上述のアンテナ26には低周波帯域の電波をより良く検知する機能が求められるが、円形金属、ベタパターンなど、比較的面積の広い金属や金属箔がこの条件を満たし、検知感度はその面積に比例する傾向にある。この性質をアンテナ26の形態、すなわち、形状、面積などの調整で低周波帯域の受信感度の調整に利用している。
【0053】
次に、高周波数側帯域の第2の感度調整回路23により電波検知回路21が動作することを説明する。
すなわち、高周波数帯域の電波が電波検知センサ10に照射されると、第2のアンテナ28に作用した電波(受信信号)が第2の感度調整回路23のトランジスタTr3におけるエミッタ拡散層46(図2参照)に進入する。
【0054】
図4にも示すように、照射電波が比較的高周波である場合、上述の電波の進入がトランジスタTr3のエミッタ・ベース間の接合容量を素通りして、そのまま電波検知回路21のトランジスタTr1のベースに到達する。この場合、影響でTr1のベース電流の流出が妨げられ、その結果該トランジスタTr1の遮断方向に作用し、電波検知動作が加速促進されることになる。
【0055】
上述のようにして、電波検知回路21のトランジスタTr1が加速遮断して、エミッタ出力が0V付近になると、比較回路24にて判定の後、電波検知出力Voutが反転する。
【0056】
上述した電波検知回路21の該トランジスタTr1は比較的高周波数帯域にはよく反応するが、第2のアンテナ28、およびトランジスタTr1の作用により、電波検知感度は従来の近接スイッチの不正電波検知機能と比べ、格段に向上する。
【0057】
なお、上述の第2のアンテナ28には高周波帯域の電波をより良く検知する機能が求められるが、細長い金属箔がこの条件を満たし、プリント基板のパターンにより容易に形成できる。
【0058】
また、高周波数帯域側の感度調整方法としては、上述のパターンの幅、長さの調整の他、トランジスタTr3のベースに接続した抵抗R3の定数調整でも感度設定が可能である。
【0059】
なお、前述の第1、第2のアンテナ26、28の形態については、既に説明しているが、その他にも、被覆リード線でも容易に形成でき、また、電波検知センサの使用が例えばパチンコ遊技機である場合、該遊技機の金属部品、例えば前面ガラス窓の金属枠やその他の金属フレームを利用することも可能である。
【0060】
図5、図6に示す電波検知センサ20は、第1、第2のアンテナ26、28として、プリント基板のパターンの例を示し、プリント基板31の外周には第1のアンテナ26をパターンで形成し、その内側に第2のアンテナ28をパターンで形成してその端部に抵抗R4を接続して搭載し、各アンテナ26、28はIC端子25、27を介してICチップ32に接続している。また、ICチップ32は図1に示す回路構成を集積している。
【0061】
図7に示す電波検知センサ20は、被覆リード線で第1のアンテナ26を形成した例を示し、該アンテナ26はIC端子25を介してICチップ32に接続している。なお、ICチップ32は上述と同様に、図1に示す回路構成を集積している。
【0062】
この例は、パチンコ遊技機の遊技盤の外輪部に設置するために構成したものであって、被覆リード線のアンテナ26は遊技盤の外輪部の形状に対応させて屈曲形成している。この例では、遊技盤全面が電波の検知領域となりえる。同様に、パチンコ遊技機に使用されている金属製のフレームなどもアンテナとして利用可能である。
【0063】
上述の実施例で示した電波検知センサ20によれば、半導体集積回路内蔵のPNPトランジスタと、IC外部のアンテナを組合すことで、全体的に電波検知感度を向上し、帯域別に感度調整を行えば広帯域で安定した電波検知動作を行う電波検知センサを得ることができる。
【0064】
図10で説明した従来技術の電波検知は、集積回路内蔵のサブストレート型PNPトランジスタで電波検知を行なっているが、実際通常のPNPトランジスタでは電波検知感度が取れず、サブストレート型PNPトランジスタ限定の性能であったが、上述の実施例の電波検知センサ20によれば第1および第2の感度調整回路22、23を用いることにより感度が向上し、通常のトランジスタでも電波検知回路を充分作成可能である。そのため、最新のプロセスの集積回路でも電波検知センサ用ICの設計が可能である。
【0065】
また、電波検知回路21のトランジスタTr1にサブストレート型を採用した場合、該サブストレートからの電波進入経路が加わるため、通常のトランジスタと比べてさらに高感度品をえることができる。
【0066】
前述の実施例で示した電波検知センサ20は小規模集積回路と、基板のパターンを利用したアンテナのみで形成が可能であり、コスト面、形状面で有利である。さらに、前述したように、帯域別に感度が向上するので、現存するトランシーバ、携帯電話機の使用帯域全般で、感度面のバランスの取れた安定動作の電波検知センサを得ることができる。
【0067】
上述した実施例では、第1、第2の感度調整回路22、23のトランジスタTr2、Tr3によって、電波検知回路21の動作を促進させているが、感度の調整のみを得る場合であれば、周波数に対応させた形態のアンテナ26または28を直接電波検知回路21のトランジスタTr1のベースに接続することにより形成することができる。また、電波の検知対象が低周波数側または高周波数側の一方である場合は、検知対象に合わせて、一方のアンテナまたは感度調整回路のみを接続すればよい。
【0068】
図8は、他の実施例を示し、この例では電波検知機能と強磁界検知機能とを備えた不正検知センサ(または強磁界検知機能を備えた電波検知センサ)を示す。
【0069】
パチンコ遊技機の不正検知センサでの使用を想定した場合、その不正行為には、主に次の2つが存在する。
その1つが、トランシーバで強電波を照射して遊技機内の電子機器を誤動作させる行為、さらに他の1つが、強力磁石によりパチンコ球を操り入賞口に導く行為である。
【0070】
これらの不正行為を検知するに有効なセンサとして、図1で示した実施例と同様に、電波照射時の電波検知の機能に加え、コイルの磁化を検知原理とした強磁界検知の機能を持たせることで可能である。
【0071】
電波検知回路21は、図1で既に説明した動作と同様の動作を行なって電波を検知するための回路であって、エミッタフォロア回路に形成したサブストレート型PNPトランジスタTr10と、抵抗R8とにより形成している。
【0072】
第1の感度調整回路22は、図1で既に説明した動作と同様の動作を行ない上述の電波検知回路21における低周波側の電波検知動作の感度を調整する回路であって、エミッタフォロア回路に形成したNPNトランジスタTr9と、抵抗R9,10と、LC共振回路41のコイルL1とで形成している。
【0073】
ただ回路構成においては、低周波側受信用のアンテナとしてLC共振回路41のコイルL1を利用している。このコイルL1に使用される巻き線コイルはその機能上、良質のアンテナになり、また、フェライトコアによる完全閉磁路タイプを用いることにより強磁石(強磁界)に対する動作も感度よく得られる。
【0074】
上述のトランジスタTr9はダイオードD4、D5、D6および電流I2で設定された直流バイアスV3で駆動されることも、図1で説明した同構成と同じである。
【0075】
前述の第2の感度調整回路23は、図1で既に説明した動作と同様の動作を行ない前述の電波検知回路21における高周波側の電波検知動作の感度を調整する回路であって、エミッタフォロア回路に形成したNPNトランジスタTr11と、アンテナ42と、抵抗R15とにより形成しており、抵抗R15により適当な感度調整が可能である。
【0076】
強磁石を検知する回路としては、前述のLC共振回路41と前述のトランジスタTr11と、さらにトランジスタTr12,Tr13,Tr14により電流帰還型ハートレイ発振回路42を形成している。
【0077】
比較回路24は、電波検知回路21の出力Veと、閾値として設定した電圧値V0とを比較し、コンパレータCOM、抵抗R11〜R14、コンデンサC2を図示のように接続して構成している。なお、この構成中抵抗R13,R14、コンデンサC2は積分回路(または出力回路ともいえる)であって、発振波形の弁別出力を平滑にする。
【0078】
このように構成した不正検知センサは、低周波または高周波の電波が照射されると、第1、第2の感度調整回路22、23が動作して電波検知回路21の出力を遮断することは、図1で既に説明した通りである。
【0079】
また、強磁石の検知については、LC共振回路41が共振回路43で定常発振しており、コイルL1がフェライトコアの完全閉磁路タイプとすると、強磁石接近時では、コイルL1に空芯現象が発生し、インダクタンス値が減少し、発振動作が停止する。
【0080】
このような動作、すなわち、不正電波の照射と不正強磁石の操作を検出して比較回路24より不正検知信号を出力する。
【0081】
図9は、上述の不正検知の動作状況タイムチャートを示し、a図はトランジスタTr10のベース電圧、b図は同トランジスタTr10のエミッタ電圧、c図は比較回路24の出力の状態を示す。なお、縦軸はレベル、横軸は時間を示し、帯状ハッチングは定常発振波形(sin)を模式的に示す。
【0082】
例として期間T11に強磁石が接近したとすると、コイルL1のコアが磁化され、インダクタンスが激減して、Vb、Ve共に発振動作が停止する。この間コンパレータCOMの入力部では、電位にV0>Veが成立するので、出力端子Voutから検知信号が出力される。
【0083】
さらに、期間T21に強電波が照射されたとすると、トランジスタTr9はエミッタフォロアとしての機能は維持しつつもベース・エミッタ間の電位が減少するため、電波検知回路21のVbが平均的に上昇する。この間電波検知回路21出力側のVeはベース領域の状況に関係なくコレクタ電位(0V)まで低下して遮断状態となり、その結果、コンパレータCOMの入力部では、電位にV0>Veが成立するので、出力端子Voutから検知信号が出力される。
【0084】
さらに、期間T13に磁石が接近し、併せて期間T23に強電波が照射されたとすると、上述の2例で説明したように、期間T13の内期間T23が重なるまでは、電波検知回路21出力側のVeは発振停止時の電位となり、また、期間T23では、コレクタ電位(0V)まで低下して遮断状態となり、その結果、コンパレータCOMの入力部では、期間T13に期間T23を併せた期間中V0>Veが成立するので、出力端子VoutからOR結合の検知信号が出力される。
【0085】
この実施例の不正検知センサによると、小規模の集積回路(IC)と閉磁路コイルのみで磁気センサと電波センサとが一体となり、小型化および低コスト化が実現できる。この実現はパチンコ遊技機での使用を想定した場合、非常に価値があり、従来の形状、コストでは遊技機数十台に1システムの割合で電波検知センサのみの設置が現状であったことを、当該不正検知センサでは遊技機ごとに設置が可能で、より安全な遊技場経営の実現が容易に予測できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電波検知センサの電気回路図。
【図2】NPNトランジスタのIC内部プロセス構造を示す断面図。
【図3】第1の感度調整回路の動作を説明する電気回路図。
【図4】第2の感度調整回路の動作を説明する電気回路図。
【図5】電波検知センサの外観を示す平面図。
【図6】電波検知センサの外観を示す斜視図。
【図7】他の例の電波検知センサ外観を示す斜視図。
【図8】他の例の不正検知センサの電気回路図。
【図9】検知動作のタイムチャート。
【図10】従来の近接スイッチの電気回路図。
【図11】PNPトランジスタのIC内部プロセス構造を示す断面図。
【符号の説明】
20…電波検知センサ
21…電波検知回路
22…第1の感度調整回路
23…第2の感度調整回路
24…比較回路
26…第1のアンテナ
28…第2のアンテナ
42…アンテナ
L1…コイル
Claims (5)
- 電波を検知する電波検知回路と、該電波検知回路からの出力信号を設定した閾値と比較して電波の検知を判定したとき電波の検知信号を出力する比較回路とを備え、
上記電波検知回路に、コレクタがサブストレートとして形成もしくはサブストレートに接続し、エミッタがエミッタ抵抗を介して電源に接続し、ベースを入力側とするPNPトランジスタによるエミッタフォロア回路を具備し、
上記電波検知回路に、アンテナの1つまたは複数を直接または間接的に接続し、上記アンテナの電波に対する検知帯域に対応した形態と、該アンテナの前記電波検知回路に対する接続形態との組合せにより、電波の検知帯域を設定した
電波検知センサ。 - 複数のアンテナの各形態を電波の検知帯域が異なるように形成し、
上記複数アンテナの異なる形態と、各アンテナの前記電波検知回路に対する接続形態との組合せにより、電波の検知帯域を設定した
請求項1に記載の電波検知センサ。 - NPNトラジスタでエミッタフォロア回路を形成し、該トランジスタのベースに前記アンテナを接続して第1の感度調整回路を形成し、
上記第1の感度調整回路の出力を前記電波検知回路に接続し、
前記アンテナの形態を、電波の低周波側の検知帯域に対応する形態に設定して、主に低周波側の電波検知に対応させた
請求項1または2に記載の電波検知センサ。 - NPNトラジスタでエミッタフォロア回路を形成し、該トランジスタのエミッタに前記アンテナを接続して第2の感度調整回路を形成し、
上記第2の感度調整回路におけるトラジスタのベースを前記電波検知回路に接続し、
前記アンテナの形態を、電波の高周波側の検知帯域に対応する形態に設定して、主に高周波側の電波検知に対応させた
請求項1、2または3に記載の電波検知センサ。 - アンテナの機能を備えた閉磁路コイルを共振回路に用いた発振回路を具備し、上記発振回路を前記電波検知回路に接続した
請求項1、2、3または4に記載の電波検知センサ。
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