JP2004262219A - ワイヤドットプリンタヘッドおよびワイヤドットプリンタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】揺動対象とするアーマチュア8の周囲に、コイル29により発生させた磁束によってアーマチュア8を待機位置から印字位置へ吸引する磁気回路を形成することにより、印字を行なうようにしたワイヤドットプリンタヘッド1であって、コア29から離反する方向に延出してアーマチュア8に対面するように設けられたサイドヨーク部33を有するアーマチュアスペーサ12を用いるようにした。これによって、コイル29によって発生させた磁束がアーマチュア8を介さずにコア26から直接アーマチュアスペーサ12に流れてしまうことを抑制することができる。
【選択図】 図12
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイヤドットプリンタヘッドおよびワイヤドットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、印字用のワイヤが連結されたアーマチュアを印字位置と待機位置との間で揺動させ、アーマチュアを印字位置へ揺動させたときにワイヤの先端部を記録用紙に衝突させることにより印字を行なうようにしたワイヤドットプリンタヘッドが知られている。
【0003】
このようなワイヤドットプリンタヘッドでは、揺動対象とするアーマチュアの周囲に、コイルにより発生させた磁束によってアーマチュアを待機位置から印字位置へ吸引する磁気回路を形成することにより、印字を行なうようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
磁気回路は、例えば、磁束を発生させるコイルが巻回されたコアを備えるヨーク、ヨークに接触するとともにアーマチュアの揺動を妨げない位置でアーマチュアの近傍に位置付けられるアーマチュアスペーサおよびアーマチュア等によって形成される。
【0005】
【特許文献1】
特公平6−67625号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コイルによって発生する磁束は、コイルの内周側においてはコアからアーマチュアに向かって一方向に流れるが、コイルの内周側となる位置を外れた位置における磁束は外方へと拡散しようとする。このため、この外方に拡散しようとする磁束がアーマチュアを介さずに、コアから直接アーマチュアスペーサに流れてしまうことがある。このように、アーマチュアを介さずにコアから直接アーマチュアスペーサに流れてしまう磁束、いわゆる、漏れ磁束が発生するとアーマチュアをコアへ吸引しようとする吸引力が減じられてしまう。
【0007】
近年では、印字速度の高速化や印字圧の高圧化を図るための各種対策が講じられてはいるが、上述した漏れ磁束の発生による吸引力低減により、印字速度の高速化や印字圧の高圧化を十分に図ることが困難である。
【0008】
本発明の目的は、漏れ磁束の発生によってアーマチュアをコアに引き寄せる吸引力が低下することを防止することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のワイヤドットプリンタヘッドは、印字位置と待機位置との間で揺動面内を揺動自在に配設された複数のアーマチュアと、前記アーマチュアの揺動に伴って移動するように設けられた印字用ワイヤと、前記アーマチュアよりも印字位置側で前記アーマチュアに対向配置されてそれぞれ周囲にコイルが巻回されたコアを有するヨークと、前記ヨークに当接する当接部と各前記アーマチュア間に位置付けられて前記コアから離反する方向に延出して前記アーマチュアに対面するように設けられたサイドヨーク部とを一体に有するアーマチュアスペーサと、から構成されている。
【0010】
したがって、アーマチュアスペーサに設けられたサイドヨーク部がコアから離反する方向に延出しアーマチュアに対面しているため、コイルによって発生した磁束がアーマチュアを介さずにコアから直接アーマチュアスペーサに流れてしまうことを抑制し、コイルによって発生させた磁束をコアからアーマチュアを介してアーマチュアスペーサに流すことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図1ないし図2を参照して説明する。
【0012】
まず、ワイヤドットプリンタヘッドの全体の構成について説明する。図1は本発明の一実施の形態のワイヤドットプリンタヘッドの全体の構成を示す側断面図、図2はその一部を示す分解斜視図である。ワイヤドットプリンタヘッド1は、図示しない取付ねじによって結合されるフロントケース2とリヤケース3とを備えている。
【0013】
リヤケース3は、一端側に底面部4が設けられた円筒形状部5を有している。底面部4の中心部分には、金属製の環状のアーマチュアストッパ6が取付けられる取付用凹部7が形成されている。
【0014】
アーマチュアストッパ6は、取付用凹部7に嵌め込まれることにより取付けられている。アーマチュアストッパ6には、後述するアーマチュア8が印字位置から待機位置へ揺動したとき、アーマチュア8の一部であるアーム9が当接する。これにより、アーマチュアストッパ6は、該アーマチュア8の待機位置を定める機能を有する。
【0015】
フロントケース2とリヤケース3との間には、アーマチュア8をはじめとして、回路基板10、ヨーク11、アーマチュアスペーサ12、および、ワイヤガイド13等が設けられている。
【0016】
アーマチュア8は、アーム9、アーム9の長さ方向の一端側にロウ付けされた印字用ワイヤ(以降、単にワイヤとする)14、アーム9の幅方向の両側面に溶接された磁気回路形成部材15、および、支点軸16を備えている。軸受部36(後述)と支点軸16は固定されている。また、支点軸16とアーマチュア8は回動自在である。各アーマチュア8の他端側には、円弧状部17が形成されている。アーマチュア8は、ヨーク11の軸心に対して放射状に複数配置されている。また、アーマチュア8は、ヨーク11における外周側の筒状部18(後述)に対して、支点軸16を中心としてヨーク11から離反する方向に回動自在な状態でそれぞれ支持されており、図示しない付勢部材によって該ヨーク11から離反する方向に付勢されている。
【0017】
以降、本実施の形態では、アーマチュア8の揺動によって形成される仮想的な面を揺動面として説明する。
【0018】
磁気回路形成部材15には、被吸引面19が設けられており、この被吸引面19はアーマチュア8の揺動に伴って揺動するようにアーマチュア8の長手方向の中央部分に位置付けられている。
【0019】
ワイヤ14は、ワイヤドットプリンタヘッド1が後述するワイヤドットプリンタ51(図7参照)に搭載されている場合において、アーマチュア8が印字位置へ揺動した場合に、アーマチュア8の揺動動作に伴い先端部が記録用紙等の記録媒体に衝突する位置まで移動する。
【0020】
ワイヤガイド13は、ワイヤ14の先端部が記録媒体の所定位置に衝突するように、ワイヤ14を摺動自在にガイドする。
【0021】
フロントケース2においてワイヤ14の先端部近傍となる位置には、ワイヤ14の先端部を所定のパターンに整列させるとともに、ワイヤ14を摺動自在にガイドする先端ガイド20が設けられている。
【0022】
回路基板10は、印字位置と待機位置との間におけるアーマチュア8の揺動を制御するための回路を備えており、後述する印字動作に際しては、回路基板10の制御により任意のアーマチュア8を選択的に揺動させることができる。
【0023】
次に、ヨーク11について説明する。図3は、ヨーク11を示す斜視図である。ヨーク11は、磁性材料により形成されており、図3に示すように、同心円状に設けられた径の異なる一対の筒状部18,21を有している。各筒状部18,21の軸心方向(図1中紙面上下方向、以降、ヨーク11の軸心方向とする)の寸法は、互いに等しく設定されている。外周側の筒状部18と内周側の筒状部21とは、軸心方向の一端側を閉塞するように設けられた底面部22により一体化されている。
【0024】
外周側の筒状部18には、底面部22とは反対側の端面に、複数の窪み23が形成されている。これらの窪み23は、その内周面が円弧状部17の外周面の曲率半径と略同一の曲率半径に形成された凹面形状を有している。窪み23は、アーマチュア8の数と同数設けられている。各窪み23には、アーマチュア8の一端側に形成された円弧状部17が、摺動自在に嵌め込まれる。
【0025】
内周側の筒状部21の底面部22とは反対側の端面には、環状形状を有する被嵌合部24が設けられている。被嵌合部24は、内周側の筒状部21と同心円状に位置するように内周側の筒状部21に一体に設けられている。被嵌合部24の外径は、内周側の筒状部21の外径よりも小さく設定されている。内周側の筒状部21の底面部22とは反対側には、被嵌合部24と内周側の筒状部21とによって段地部25が形成されている。
【0026】
底面部22には、外周側の筒状部18と内周側の筒状部21との間で、外周側の筒状部18および内周側の筒状部21と同心円周上に沿って環状に配置された複数のコア26が一体に設けられている。ヨーク11の軸心方向における各コア26の寸法は、ヨーク11の軸心方向における筒状部18,21の寸法と等しく設定されている。
【0027】
各コア26のヨーク11の軸心方向における一端には、それぞれ磁極面27が形成されている。コア26の磁極面27は、上述したアーマチュア8に設けられた磁気回路形成部材15の被吸引面19に対向するように設けられている。
【0028】
各コア26のヨーク11の半径方向に沿って両端側となる位置には、磁極面27とアーマチュア8の揺動面との交線方向に沿って、磁極面27から底面部22に向かって傾斜する傾斜面部28が形成されている。
【0029】
各コア26の外周には、コイル29がそれぞれ装着されている。本実施の形態では、全てのコイル29の巻回方向が等しく設定されている。なお、本実施の形態では、コイル29の巻回方向を全て等しくしたが、これに限るものではなく、巻回方向を異ならせたコイルを選択的に配置してもよい。
【0030】
本実施の形態では、傾斜面部28とコイル29との間における空間によって、磁極面27と揺動面との交線方向に沿って、磁極面27よりもアーマチュアスペーサ12にが有するガイド部32(後述)から離反する位置に設けられた面取り部50(図6参照)が実現されている。
【0031】
ヨーク11は、底面部22とは反対側の開放された側を、リヤケース3の開放された他端側に対向させた状態でフロントケース2とリヤケース3との間に挟持されている。
【0032】
次に、アーマチュアスペーサ12について説明する。ここで、図4は、アーマチュアスペーサ12を示す斜視図である。アーマチュアスペーサ12は、図4に示すように、ヨーク11の筒状部18,21の径と略同一径を有する一対のリング形状部30,31と、アーマチュア8間に位置するように一対のリング形状部30,31間に放射状に掛け渡された複数のガイド部32と、を有している。外周側のリング形状部30および内周側のリング形状部31は、同心円状に設けられている。外周側のリング形状部30、内周側のリング形状部31、および、ガイド部32は、一体に成形されている。本実施の形態では、外周側のリング形状部30および内周側のリング形状部31が、ヨーク11の筒状部18,21にそれぞれ当接するため、外周側のリング形状部30および内周側のリング形状部31におけるヨーク11の筒状部18または筒状部21への当接位置によって当接部が実現されている。
【0033】
内周側のリング形状部31の内径は、被嵌合部24の外径と同等あるいは若干大きくなるように設定されている。
【0034】
各ガイド部32は、リング形状部30,31の略半径方向に沿って、コア26の磁極面27から離反する方向に斜め方向に延出するサイドヨーク部33を備えている。このサイドヨーク部33は、内周側のリング形状部31から外周側のリング形状部30へ近づく程幅広になる羽根形状とされている。
【0035】
ここで、図5は、ワイヤドットプリンタヘッド1を、少なくとも一のコイル29を通るように、ヨーク11の軸心方向に沿って断面した状態を示す断面斜視図である。図5から判るように、サイドヨーク部33におけるコア26側の面は、コア26から離反する方向に傾斜状態で延出し、アーマチュア8に対面している。
【0036】
サイドヨーク部33は、コイル29の内周側となる位置を外れて磁束が外方へ拡散し始める位置とアーマチュアスペーサ12との距離よりも、コア26の磁極面27と磁気回路形成部材15の被吸引面19との距離の方が小さくなるように設定されていることが好適である。
【0037】
サイドヨーク部33は、アーマチュア8の揺動面に直交する方向から磁気回路形成部材15に正対する対向面34を有している。
【0038】
アーマチュアスペーサ12において、各サイドヨーク部33間、すなわち、あるガイド部32が備えるサイドヨーク部33と隣接するガイド部32が備えるサイドヨーク部33との間には、リング形状部30,31の半径方向に沿って開口するスリット状のガイド溝35が確保されている。各ガイド溝35は、各サイドヨーク部33の対向面34がアーマチュア8の揺動を妨げることのない程度に磁気回路形成部材15に対向するような幅寸法に設定されている。
【0039】
ガイド溝35は、外周側のリング形状部30まで連通しており、外周側のリング形状部30におけるガイド溝35には、リング形状部30の外径方向に沿ってガイド溝35の両側となる位置に、ガイド溝35に連続して開口する軸受溝36が形成されている。この軸受溝36には、アーマチュア8の支点軸16が嵌め込まれる。
【0040】
本実施の形態のアーマチュアスペーサ12は、板金材料をプレス加工することによって形成されている。公知の技術であるため板金材料のプレス加工については図示および説明を省略するが、板金材料のプレス加工によりアーマチュアスペーサ12を製造する際には、板金材料におけるガイド溝35、軸受溝36の位置を型抜きするとともに、この型抜き方向に沿ってガイド部32を所定形状に湾曲させる。これにより、サイドヨーク部33が有する対向面34は、プレス加工による成形端面となる。
【0041】
特に、本実施の形態のサイドヨーク部33は、板金材料の板面方向(リング形状部の面方向)に対して45度以下の角度で傾斜するようにプレス加工されている。
【0042】
このように、板金材料のプレス加工によってアーマチュアスペーサ12を形成する際に、サイドヨーク部33を板金材料の板面方向に対して45度以下の角度で傾斜させることにより、対向面34の面積は、格別な工程を経ることなく、板金材料を板厚方向に沿ってプレス加工した場合の成形端面の面積よりも大きくなっている。対向面34の面積は、アーマチュアスペーサ12の製造にプレス加工を用いる場合、特に、サイドヨーク部33を板金材料の板面方向に対して45度の角度で傾斜させることにより、最も大きくなる。
【0043】
ここで、図6は、ワイヤドットプリンタヘッド1の一部を、少なくとも一のコイル29を通るように、ヨーク11の軸心方向に沿って断面した状態を示す断面図である。図6には、一例として、アーマチュアスペーサ12の板面方向に対して15度の角度で傾斜するサイドヨーク部33が示されている。また、図6には、ヨーク11のコア26における面取り部28や、磁気回路形成部材15と対向面34との間隔が一例として示されている。なお、ワイヤドットプリンタヘッド1における各部の寸法は、図6に示す寸法に限るものではない。
【0044】
次に、上記のワイヤドットプリンタヘッド1を用いたワイヤドットプリンタについて説明する。
【0045】
図7はワイヤドットプリンタを示す斜視図であり、図8はその概略を示す縦断側面図である。本実施の形態のワイヤドットプリンタ51では、幅方向の両側に複数の穴が断続的に形成された帯状の連続紙Sを記録媒体として使用する。
【0046】
ワイヤドットプリンタ51のケーシング52には、前面左側に各種の操作キーを有する操作パネル53が設けられており、前面右側に電源スイッチ54が設けられている。
【0047】
ケーシング52の上面には、ワイヤドットプリンタ51の上側に設けられた支軸55を回動中心として、ケーシング52から離反する方向(上方)へ回動自在なリボンチェンジカバー56が設けられている。リボンチェンジカバー56には、支軸7aを回転中心として回転自在なピンチローラ57が設けられている。このピンチローラ57には、支軸58を回転中心として回転自在なフィードローラ59が当接されている。本実施の形態では、ピンチローラ57とフィードローラ59とのニップ部の下流側が、用紙排出口60とされている。
【0048】
ケーシング52の前面中央には、ケーシング52の内部上側に設けられた支軸61を回動中心としてケーシング52から離反する方向(上方)へ回動自在なトップカバー62が設けられている。トップカバー62が閉じられた状態におけるワイヤドットプリンタ51の前面下側には、ケーシング52とトップカバー62とにより用紙吸入口63が形成される。
【0049】
本実施の形態では、ケーシング52と、トップカバー62と、リボンチェンジカバー56とにより筐体64が形成されている。この筐体64の内には、一端が用紙吸入口63に連通され、他端が用紙排出口60に連通されて、記録媒体としての連続紙Sを所定の経路に案内する用紙案内路65が形成されている。これにより、用紙案内路65中に連続紙Sが案内されている状態では、筐体64の上側の一部と用紙案内路65とによって空間66が形成される。本実施の形態のワイヤドットプリンタ51では、連続紙Sは、図8中矢印で示す方向へ搬送される。
【0050】
用紙案内路65には、用紙案内路65中を案内される連続紙Sを用紙吸入口63から用紙排出口60へ向けて搬送するトラクタ67、図示しないモータによって回転駆動される回転軸68aを回転中心として回転自在なフィードローラ68、用紙案内路65を介してフィードローラ68に当接されたピンチローラ69、用紙案内路65上で連続紙Sに所定事項を印字(プリント)するプリンタ部70等が設けられている。フィードローラ59、68は、図示しないモータによって回転駆動されることでピンチローラ57、69との間にそれぞれ狭持した連続紙Sを搬送する。本実施の形態では、トラクタ67は、用紙案内路65の幅方向の両端部にそれぞれ設けられている。本実施の形態では、トラクタ67、フィードローラ59、68等によって記録媒体搬送機構が実現されている。
【0051】
公知の技術であるため詳細な説明を省略するが、トラクタ67は、図示しないモータによって回転駆動される角軸71を回動中心とする駆動ローラ72と、駆動ローラ72と平行なガイド軸73に対して移動自在に設けられたガイド部材(図示せず)と、駆動ローラ72とガイド部材とに巻回されて外周側へ向けて突出する突起(図示せず)を有するベルト(図示せず)とを備えており、ベルトによって搬送される連続紙Sの移動方向が、用紙案内路65の長さ方向と平行になるように配置される。
【0052】
また、トラクタ67は、ベルトに設けられた突起と対峙する部分に複数の穴(図示せず)が形成された紙押さえ75を備えている。この紙押さえ75は、用紙案内路65中で案内される連続紙Sを介してベルトに対向するように設けられており、用紙案内路65の端部側となる一に設けられた連結部75aを回動中心として、ベルトから離反する方向(図7中紙面上方)へ回動自在に設けられている。トラクタ67は、紙押さえ75をベルト側へ付勢する図示しないスプリングを備えており、これにより連続紙Sの搬送に際して連続紙Sの穴がベルトの突起から抜けてしまうことが防止される。
【0053】
プリンタ部70は、用紙案内路65の中に配置されたプラテン76と、このプラテン76に沿って用紙案内路65と直交する方向に往復動自在なキャリッジ77、キャリッジ77に搭載された上述のワイヤドットプリンタヘッド1、および、インクリボンカートリッジ79等により形成されている。キャリッジ77は図示しないモータによって駆動されてプラテン76に沿って往復動される。ワイヤドットプリンタヘッド1は、キャリッジ77がプラテン76に沿って往復動することに伴い主走査方向に往復動される。このため、本実施の形態では、キャリッジ77やモータ等によってヘッド駆動機構が実現されている。
【0054】
ワイヤドットプリンタヘッド1は、ワイヤ14の先端がプラテン76に対向するように設けられている。プリンタ部70では、複数のコイル29に選択的に通電することにより、インクリボンカートリッジ79のインクリボン(図示せず)を介してワイヤ14の先端を印字位置に位置付けることで、連続紙Sに所定事項を印字する。
【0055】
また、筐体14の内部には、用紙案内路65と直交する方向へ延出する支軸80がトップカバー62の裏面側の用紙案内路65の上側に設けられている。この支軸80には、一端部側が固定されていない自由端部81aとされた遮音部材81の他端部が回動自在に設けられている。
【0056】
トップカバー62が閉じられた状態では、遮音部材81の自由端部81aは、自重によりトップカバー62から離反する方向(下方)へ付勢されて、用紙案内路65に上側から干渉する位置に配置される。これによって、用紙案内路65の中に連続紙Sが案内されている状態では、遮音部材81の自由端部81aが連続紙Sに干渉(接触)する。
【0057】
ワイヤドットプリンタ51の背面側であってピンチローラ57の近傍には、一端部側が固定されていない自由端部82aとされた遮音部材82の他端部が、ヒンジ83を介して回動自在に設けられている。
【0058】
遮音部材82は、ヒンジ83の中心を通る延直線を境界線として、自由端部82aが境界線上から外れた位置にある場合には、自重により付勢されてリボンチェンジカバー56側あるいはケーシング52側のいずれかの方向に回動した位置にある。通常、遮音部材82は自重により付勢されて境界線よりもケーシング52側に垂れ下がり、自由端部82aは支軸55よりも下方に位置している。遮音部材82の自由端部82aが連続紙Sに対して付与する圧力は、遮音部材82自体の質量に依存するものであるが、搬送する連続紙Sのコシの強さにより押し戻すことができる程度である。
【0059】
用紙排出口60から連続紙Sが排出されていない状態では、遮音部材82は、ヒンジ83より下側部分のリボンチェンジカバー56に接触することにより回動が規制される位置にある。
【0060】
一方、用紙排出口60から連続紙Sが排出されている状態では、連続紙Sの種類、紙厚等により遮音部材82の自由端部82aの位置は異なるが、自由端部82aは排出される連続紙Sに押し戻された状態で連続紙Sに当接する。例えば、図8に示した連続紙Sより用紙厚の厚いあるいはコシの強い連続紙を搬送する場合、遮音部材82の自由端部82aの位置は、図8に示すよりも上方となる。逆に、図8に示した連続紙Sより用紙厚の薄いあるいはコシの弱い用紙を搬送する場合、用紙排出口60から排出された用紙が下方へ垂れ下がるため、遮音部材82の自由端部82aは自重によりさらに下方へ移動して、図8に示したよりも下方となる。
【0061】
なお、遮音部材81、82を形成する材質は、所定の形状を維持できるものであればよい。
【0062】
特に図示しないが、ワイヤドットプリンタ51は、筐体64の内の各部を制御する制御部を内蔵しており、この制御部が上述したプリンタ部70、モータ等の各部を駆動制御する。
【0063】
このようなワイヤドットプリンタ51による印字動作に際して、制御部の制御により、或るコイル29への通電が行われると、このコイル29が取付けられているコア26から、このコア26に対向して配置されているアーマチュア8の磁気回路形成部材15、この磁気回路形成部材15に対向する一対のサイドヨーク部33、ヨーク11の外周側の筒状部18ならびに内周側の筒状部21との間を介して、底面部22から再びコア26に至る磁気回路が形成される。この磁気回路の形成により、磁気回路形成部材15の被吸引面19とコア26の磁極面27との間に磁気回路形成部材15をコア26の磁極面27へ引き寄せる吸引力が発生する。この吸引力により、アーマチュア8が支点軸16を中心として、磁気回路形成部材15の被吸引面19がコア26の磁極面27に吸引される方向に揺動する。
【0064】
本実施の形態では、支点軸16を中心として回動自在とされたアーマチュア8の磁気回路形成部材15の被吸引面19がコア26の磁極面27に当接する位置を印字位置とし(図1参照)、被吸引面19が磁極面27からが離間する位置を待機位置とする。
【0065】
アーマチュア8が印字位置へ揺動することにより、ワイヤ14の先端部が記録用紙側へ突出する。本実施の形態では、ワイヤドットプリンタヘッド1と連続紙Sとの間にインクリボンが介在されているため、ワイヤ14の圧力がインクリボンを介して記録媒体に伝達されてインクリボンのインクが連続紙Sに転写されることにより印字が行われる。ここに、印字制御手段が実現される。
【0066】
なお、本実施の形態では、連続紙Sを記録媒体として用いたが、これに限るものではなく、例えば、加圧されることにより加圧部分が発色する感圧発色紙記録用紙(感圧発色紙)を記録媒体として用いることも可能である。
【0067】
記録媒体として感圧発色紙記録用紙(感圧発色紙)を用いる場合は、ワイヤドットプリンタヘッド1が備えるワイヤ14の圧力によって、加圧された部分が発色することによって印字が行われる。ここに、印字制御手段が実現される。
【0068】
コイル29への通電が遮断されると、発生していた磁束が消滅するため、磁気回路も消滅する。これにより、磁気回路形成部材15をコア26の磁極面27へ引き寄せる吸引力がなくなるため、アーマチュア8は、図示しない付勢部材による付勢力によってヨーク11から離反する方向に付勢されて、待機位置へ向けて支点軸を中心として揺動する。アーマチュア8は、待機位置へ向けて揺動し、アーマチュアストッパ6にアーム9を当接させることにより待機位置で停止される。
【0069】
次に、コイル29への通電に際して形成される磁気回路について説明する。上述したように、揺動対象とするアーマチュア8に対向するコイル29に通電することにより発生する磁束は、該コイル29が巻回されているコア26から対向するアーマチュア8の磁気回路形成部材15からアーマチュアスペーサ12および通電対象となるコア26の周囲となる筒状部18,21を伝わってヨーク11へ流れ、再び通電対象となるコイル29が巻回されたコア26に至る磁気回路を形成する。
【0070】
この磁気回路における磁束の流れにより、コア26の磁極面27とアーマチュア8の磁気回路形成部材15の被吸引面19との間に、被吸引面19を磁極面27側へ引き寄せる吸引力が発生する。
【0071】
ところで、コイル29への通電により発生する磁束は、コイル29の内周側すなわちコア26部分ではアーマチュア8からコア26の方向へ一方向に流れるが、このコイルの内周部分から外れると外れた位置から外方へ拡散しようとする。
【0072】
ここで、図9は従来のワイヤドットプリンタヘッド100が備えるアーマチュアスペーサ120を示す斜視図、図10は従来のワイヤドットプリンタヘッド100のヨーク110を示す斜視図である。図9からも判るように、従来のワイヤドットプリンタヘッド100が備えるアーマチュアスペーサ120もリング形状部300,310と複数のガイド部320とを備えているが、従来のアーマチュアスペーサ120が備えるガイド部320は、ヨーク110の底面部220に対して平行とされている。
【0073】
このため、従来のワイヤドットプリンタヘッド100では、図11に示すように、コイル29の内周部分から外れた磁束が、アーマチュア800を介さずに、コア260から直接アーマチュアスペーサ120へと流れてしまうことがある(図11中矢印A参照)。
【0074】
また、図10からも判るように、従来のワイヤドットプリンタヘッド100が備えるヨーク110は、コア260の磁極面270がアーマチュア800に対して一様に平行状態で対向している。
【0075】
これにより、コイル29の内周側となる位置を外れて磁束が外方へ拡散し始める位置とアーマチュアスペーサ120との距離の方が、コア260の磁極面270とアーマチュア800における被吸引面190との距離よりも小さくなり、結果として、図11中矢印Aに示すように、コイル29の内周側となる位置を外れた位置から外方に拡散しようとする磁束がアーマチュア800を介さずにコア29から直接アーマチュアスペーサ120に流れ易くなってしまう。
【0076】
従来のワイヤドットプリンタヘッド100では、図11中矢印Aに示すように、アーマチュア800を介さずにコア260から直接アーマチュアスペーサ120へと流れてしまう磁束、いわゆる、漏れ磁束が多く発生することにより、アーマチュア800における被吸引面190をコア260の磁極面270に吸引する吸引力が減じられてしまう。
【0077】
これに対し、本実施の形態では、ガイド部32にコア26から離反する方向に延出してアーマチュア8に対面するように、コア26の磁極面27から離反する方向に傾斜するサイドヨーク部33を設けることにより、従来のワイヤドットプリンタヘッド100と比較して、コア26の磁極面27に対するアーマチュアスペーサ12の距離が大きくなっている。ここで、図12は、本発明のワイヤドットプリンタヘッド1における単一のコイル29によって形成される磁気回路について、ヨーク11の半径方向に直交する方向から見た状態を模式的に示す説明図である。上述したように、特に、コイル29の内周側となる位置を外れて磁束が外方へ拡散し始める位置とアーマチュアスペーサ12との距離よりも、コア26の磁極面27とアーマチュア8における磁気回路形成部材15の被吸引面19との距離の方を小さくするようにアーマチュアスペーサ12の面方向に対して傾斜するサイドヨーク部33を設けることにより、コイル29の内周側となる位置を外れて外方に拡散しようとする磁束がアーマチュア8の磁気回路形成部材15を介さずにコア26から直接アーマチュアスペーサ12に流れることを抑制することができる。
【0078】
これによって、コイル29で発生させた磁束を、コア26からアーマチュア8の磁気回路形成部材15を介してアーマチュアスペーサ12へと順次効率よく流すことができ、漏れ磁束の発生による吸引力低減によって印字速度の高速化や印字圧の高圧化が制限されてしまうことを抑制して、印字速度の高速化や印字圧の高圧化を図ることができる。
【0079】
本実施の形態では、板金材料の板面方向(リング形状部30,31の面方向)に対してサイドヨーク部33を45度以下の角度で傾斜させるようにプレス加工しているため、格別な工程を経ることなく、板金材料の板厚方向に平行に切断した切断面とする場合と比較して、広い面積を有する対向面34を確保することができる。そして、広い対向面34を確保することにより、板金材料の板厚方向に平行に切断した場合に得られる面積を有するアーマチュアスペーサと比較して、アーマチュアスペーサ12における磁気抵抗を相対的に小さくすることができる。これによって、より良好な磁気回路を形成することができる。
【0080】
特に、アーマチュアスペーサ12におけるサイドヨーク部33を板金材料の板面方向に対して45度の角度で傾斜させるようにプレス加工することにより、プレス加工を用いたアーマチュアスペーサ12の製造に際して、格別な工程を経ることなく、対向面34の面積を最も大きく確保することができる。
【0081】
さらに、本実施の形態では、この対向面34をアーマチュア8の揺動面に直交する方向からアーマチュア8の揺動面に正対させているため、アーマチュア8とアーマチュアスペーサ12との間において磁束を効率よく流すことができる。これによって、より良好な磁気回路を形成することができる。
【0082】
そして、このようなアーマチュアスペーサ12を、板金材料のプレス加工によって形成することにより、アーマチュアスペーサ12の加工性を向上させ、製造コストを低減することができる。
【0083】
ところで、各コア26には、ヨーク11の半径方向に沿って両端側となる位置に、磁極面27から底面部22に向かって傾斜する面取り部28が形成されているため、コア26の磁極面27に対するアーマチュアスペーサ12の距離をより大きく確保することができる。これにより、コイル29の内周側となる位置を外れて外方に拡散しようとする磁束がアーマチュア8を介さずにコア26から直接アーマチュアスペーサ12に流れることを抑制することができ、コイル29で発生させた磁束を、コア26からアーマチュア8の磁気回路形成部材15を介してアーマチュアスペーサ12へと効率よく流すことができる。
【0084】
ここで、図13は、本発明の別の実施の形態のアーマチュアスペーサ12’を有するワイヤドットプリンタヘッド1における単一のコイル29によって形成される磁気回路およびこの磁気回路の形成に関わる各部をヨーク11の半径方向に直交する方向から見た状態を模式的に示す説明図である。図13からも判るように、別の実施の形態におけるアーマチュアスペーサ12’は、サイドヨーク部33’が2段階に屈曲した形状を有している。
【0085】
このようなサイドヨーク部33’を有するアーマチュアスペーサ12’によれば、アーマチュア8に正対する対向面34を広く確保することができるので、アーマチュア8の磁気回路形成部材15とアーマチュアスペーサ12’との間で効率よく磁束を流すことができる。
【0086】
また、このようなサイドヨーク部33を有するアーマチュアスペーサ12’は、板金材料のプレス加工によって製造することができるため、アーマチュアスペーサ12’によっても製造コストの削減を図ることができる。
【0087】
ここで、図14は、本発明のまた別の実施の形態のアーマチュアスペーサ12”を有するワイヤドットプリンタヘッド1における単一のコイル29によって形成される磁気回路およびこの磁気回路の形成に関わる各部をヨーク11の半径方向に直交する方向から見た状態を模式的に示す説明図である。図14からも判るように、本実施の形態のアーマチュアスペーサ12”は、コア26に対向する面がコア26から離反する方向に傾斜する傾斜面部40を有するサイドヨーク部33”を備えている。
【0088】
このようなサイドヨーク部33”を有するアーマチュアスペーサ12”によっても、傾斜面部40がコアから離反する方向に延出しており、また、アーマチュアスペーサ12”の端面がアーマチュアに対面しているため、上述と同様に、コイル29の内周側を外れた位置から外方に拡散しようとする磁束がアーマチュア8を介さずにコア26から直接アーマチュアスペーサ12”に流れることを抑制することができ、コイル29で発生させた磁束を、コア26からアーマチュア8の磁気回路形成部材15を介してアーマチュアスペーサ12”へと効率よく流すことができる。
【0089】
このようなアーマチュアスペーサ12”は、例えば、金属成型加工(MIM)によって製造することができる。成型加工によりアーマチュアスペーサ12”を製造することにより、上述した形状よりも形状の複雑なアーマチュアスペーサ12”であっても高精度に製造することができる。
【0090】
また、このようなアーマチュアスペーサ12”は、例えば、傾斜面部40に相当する位置を板状の図示しないアーマチュアスペーサ基材の面方向に対して傾斜するように切削することによって製造することもできる。板金材料の切削によりアーマチュアスペーサ12”を製造することにより、アーマチュアスペーサ12”を容易に製造することができる。
【0091】
このように本実施の形態においては、印字位置と待機位置との間で揺動面内を揺動自在に配設された複数のアーマチュア8と、アーマチュア8の揺動に伴って移動するように設けられた印字用ワイヤ14と、アーマチュア8よりも印字位置側でアーマチュア8に対向配置されて周囲にそれぞれコイル29が巻回されたコア26を有するヨーク11と、ヨーク11に当接する当接部と各アーマチュア8間に位置付けられてコア26から離反する方向に延出するとともにアーマチュア8に対面するように設けられたサイドヨーク部33,33’,33”とを一体に有するアーマチュアスペーサ12,12’,12”と、から構成されているワイヤドットプリンタヘッド1と、ワイヤドットプリンタヘッド1を主走査方向に往復動させるヘッド駆動機構と、印字データに応じて、ヘッド駆動機構によりワイヤドットプリンタヘッド1を往復動させるとともにアーマチュア8を選択的に揺動させる印字制御手段と、ワイヤドットプリンタヘッド1の往復動範囲でワイヤドットプリンタヘッド1に記録媒体である連続紙Sを対向させるとともに印字制御手段による印字制御に応じて記録媒体である連続紙Sを主走査方向に直交する副走査方向に搬送する記録媒体搬送機構と、から構成されているワイヤドットプリンタ51とされているため、ワイヤドットプリンタヘッド1においては、対向面34を介して、アーマチュア8とアーマチュアスペーサ12との間で磁束を効率よく流して、良好な磁気回路を形成することができるので、印字速度の高速化や印字圧の高圧化を図ることができる。
【0092】
また、本実施の形態においては、ワイヤドットプリンタヘッド1が有するサイドヨーク部サイドヨーク部33,33’,33”が、アーマチュア3の揺動面に直交する方向からアーマチュア8に正対する対向面34を有するワイヤドットプリンタ51とされているため、対向面34を介して、アーマチュア8とアーマチュアスペーサ12,12’,12”との間で磁束をより効率よく流し、より良好な磁気回路を形成することができるので、印字速度の高速化や印字圧の高圧化を効果的に図ることができる。
【0093】
また、本実施の形態においては、ワイヤドットプリンタヘッド1を構成するアーマチュアスペーサ12,12’が、板金材料をプレス加工することにより形成されているワイヤドットプリンタ51とされているため、対向面34はこのプレス加工による成形端面であるため、アーマチュアスペーサ12,12’の加工性を向上させ、製造コストを低減することができる。
【0094】
また、本実施の形態においては、ワイヤドットプリンタヘッド1を構成するアーマチュアスペーサ12,12’が有するサイドヨーク部33,33’が、板金材料の板面方向に対して45度以下の角度で傾斜するワイヤドットプリンタ51とされているため、格別な工程を経ることなく、板金材料の板厚方向に平行に切断した切断面とする場合と比較して、広い面積を有する対向面34を確保することができるので、アーマチュア8とアーマチュアスペーサ12,12’との間で磁束を効率よく流して良好な磁気回路を形成し、印字速度の高速化や印字圧の高圧化を効果的に図ることができる。
【0095】
また、本実施の形態においては、ワイヤドットプリンタヘッド1を構成するアーマチュアスペーサ12,12’が有するサイドヨーク部33,33’が、板金材料の板面方向に対して45度の角度で傾斜するワイヤドットプリンタ51とされているため、プレス加工を用いたアーマチュアスペーサ12,12’,12”の製造に際して、格別な工程を経ることなく、対向面34の面積を最も大きく確保することができるので、アーマチュア8とアーマチュアスペーサ12,12’との間で磁束を効率よく流して良好な磁気回路を形成し、印字速度の高速化や印字圧の高圧化を図ることができる。
【0096】
また、本実施の形態においては、ワイヤドットプリンタヘッド1を構成するアーマチュアスペーサ12”が有するサイドヨーク部33”が、アーマチュアスペーサ基材の切削により形成されているワイヤドットプリンタ51とされているため、アーマチュアスペーサ12”を容易に製造することができる。
【0097】
また、本実施の形態においては、ワイヤドットプリンタヘッド1を構成するサイドヨーク部33”を有するアーマチュアスペーサ12”が、成型加工により形成されているワイヤドットプリンタ51とされているため、上述した形状よりも形状の複雑なアーマチュアスペーサ12”であっても高精度に製造することができる。なお、成型加工により形成するものはアーマチュアスペーサ12”に限るものではなく、アーマチュアスペーサ12,12’であってもよい。
【0098】
また、本実施の形態においては、ワイヤドットプリンタヘッド1を構成するコア26は、アーマチュアに対向する磁極面27と、この磁極面27と揺動面との交線方向に沿って、磁極面27よりもサイドヨーク部33から離反する位置に設けられた面取り部50とを有するワイヤドットプリンタ51とされているため、コア26の磁極面27に対するアーマチュアスペーサ12の距離をより大きく確保することができ、コイル29の内周側となる位置を外れて外方に拡散しようとする磁束がアーマチュア8を介さずにコア26から直接アーマチュアスペーサ12に流れることを抑制し、コイル29で発生させた磁束をコア26からアーマチュア8の磁気回路形成部材15を介してアーマチュアスペーサ12へと順次効率よく流して、良好な磁気回路を形成することで、印字速度の高速化や印字圧の高圧化を図ることができる。
【0099】
【発明の効果】
本発明によれば、コイルで発生させた磁束をコアからアーマチュアおよびアーマチュアスペーサへと順次効率よく流して、ヨークのコアからアーマチュアおよびアーマチュアスペーサを介してヨークに至る良好な磁気回路を形成することができ、漏れ磁束の発生によってアーマチュアをコアに引き寄せる吸引力の低下を防止し、印字速度を高速化し、印字圧を高圧化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のワイヤドットプリンタヘッドの全体の構成を示す側断面図である。
【図2】その一部を示す分解斜視図である。
【図3】ヨークを示す斜視図である。
【図4】アーマチュアスペーサを示す斜視図である。
【図5】ワイヤドットプリンタヘッドを、少なくとも一のコイルを通るように、ヨークの軸心方向に沿って断面した状態を示す断面斜視図である。
【図6】ワイヤドットプリンタヘッドの一部を、少なくとも一のコイルを通るように、ヨークの軸心方向に沿って断面した状態を示す断面図である。
【図7】ワイヤドットプリンタを示す斜視図である。
【図8】その概略を示す縦断側面図である。
【図9】従来のワイヤドットプリンタヘッドのアーマチュアスペーサを示す斜視図である。
【図10】従来のワイヤドットプリンタヘッドのヨークを示す斜視図である。
【図11】従来のワイヤドットプリンタヘッドにおける単一のコイルによって形成される磁気回路およびこの磁気回路の形成に関わる各部をヨークの半径方向に直交する方向から見た状態を模式的に示す説明図である。
【図12】ワイヤドットプリンタヘッドにおける単一のコイルによって形成される磁気回路およびこの磁気回路の形成に関わる各部をヨークの半径方向に直交する方向から見た状態を模式的に示す説明図である。
【図13】本発明の別の実施の形態のアーマチュアスペーサを有するワイヤドットプリンタヘッドにおける単一のコイルによって形成される磁気回路およびこの磁気回路の形成に関わる各部をヨークの半径方向に直交する方向から見た状態を模式的に示す説明図である。
【図14】本発明のまた別の実施の形態のアーマチュアスペーサを有するワイヤドットプリンタヘッドにおける単一のコイルによって形成される磁気回路およびこの磁気回路の形成に関わる各部をヨークの半径方向に直交する方向から見た状態を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1 ワイヤドットプリンタヘッド
8 アーマチュア
11 ヨーク
12 アーマチュアスペーサ
12’ アーマチュアスペーサ
12” アーマチュアスペーサ
14 印字用ワイヤ
26 コア
29 コイル
33 サイドヨーク部
51 ワイヤドットプリンタ
Claims (16)
- 印字位置と待機位置との間で揺動面内を揺動自在に配設された複数のアーマチュアと、
前記アーマチュアの揺動に伴って移動するように設けられた印字用ワイヤと、
前記アーマチュアよりも印字位置側で前記アーマチュアに対向配置されてそれぞれ周囲にコイルが巻回されたコアを有するヨークと、
前記ヨークに当接する当接部と各前記アーマチュア間に位置付けられて前記コアから離反する方向に延出して前記アーマチュアに対面するように設けられたサイドヨーク部とを一体に有するアーマチュアスペーサと、
から構成されているワイヤドットプリンタヘッド。 - 前記サイドヨーク部は、前記アーマチュアの前記揺動面に直交する方向から前記アーマチュアに正対する対向面を有する請求項1記載のワイヤドットプリンタヘッド。
- 前記アーマチュアスペーサは板金材料をプレス加工することにより形成されており、前記対向面はこのプレス加工による成形端面である請求項2記載のワイヤドットプリンタヘッド。
- 前記サイドヨーク部は、前記板金材料の板面方向に対して45度以下の角度で傾斜する請求項3記載のワイヤドットプリンタヘッド。
- 前記サイドヨーク部は、前記板金材料の板面方向に対して45度の角度で傾斜する請求項3記載のワイヤドットプリンタヘッド。
- 前記サイドヨーク部は、アーマチュアスペーサ基材を切削することによって形成されている請求項2記載のワイヤドットプリンタヘッド。
- 前記サイドヨーク部は、成型加工によって形成されている請求項2記載のワイヤドットプリンタヘッド。
- 前記コアは、前記アーマチュアに対向する磁極面と、この磁極面と前記揺動面との交線方向に沿って、前記磁極面よりも前記サイドヨーク部から離反する位置に設けられた面取り部とを有する請求項1記載のワイヤドットプリンタヘッド。
- 印字位置と待機位置との間で揺動面内を揺動自在に配設された複数のアーマチュアと、前記アーマチュアの揺動に伴って移動するように設けられた印字用ワイヤと、前記アーマチュアよりも印字位置側で前記アーマチュアに対向配置されて周囲にそれぞれコイルが巻回されたコアを有するヨークと、前記ヨークに当接する当接部と各前記アーマチュア間に位置付けられて前記コアから離反する方向に延出して前記アーマチュアに対面するように設けられたサイドヨーク部とを一体に有するアーマチュアスペーサと、から構成されているワイヤドットプリンタヘッドと、
前記ワイヤドットプリンタヘッドを主走査方向に往復動させるヘッド駆動機構と、
印字データに応じて、前記ヘッド駆動機構により前記ワイヤドットプリンタヘッドを往復動させるとともに前記アーマチュアを選択的に揺動させる印字制御手段と、
前記ワイヤドットプリンタヘッドの往復動範囲で前記ワイヤドットプリンタヘッドに記録媒体を対向させるとともに前記印字制御手段による印字制御に応じて前記記録媒体を主走査方向に直交する副走査方向に搬送する記録媒体搬送機構と、
から構成されているワイヤドットプリンタ。 - 前記ワイヤドットプリンタヘッドが有する前記サイドヨーク部は、前記アーマチュアの揺動面に直交する方向から前記アーマチュアに正対する対向面を有する請求項9記載のワイヤドットプリンタ。
- 前記ワイヤドットプリンタヘッドを構成する前記アーマチュアスペーサは板金材料をプレス加工することにより形成されており、前記対向面はこのプレス加工による成形端面である請求項10記載のワイヤドットプリンタ。
- 前記ワイヤドットプリンタヘッドを構成する前記アーマチュアスペーサが有する前記サイドヨーク部は、前記板金材料の板面方向に対して45度以下の角度で傾斜する請求項11記載のワイヤドットプリンタ。
- 前記ワイヤドットプリンタヘッドを構成する前記アーマチュアスペーサが有する前記サイドヨーク部は、前記板金材料の板面方向に対して45度の角度で傾斜する請求項11記載のワイヤドットプリンタ。
- 前記ワイヤドットプリンタヘッドを構成する前記アーマチュアスペーサが有する前記サイドヨーク部は、アーマチュアスペーサ基材の切削により形成されている請求項10記載のワイヤドットプリンタ。
- 前記ワイヤドットプリンタヘッドを構成する前記サイドヨーク部を有する前記アーマチュアスペーサは、成型加工により形成されている請求項10記載のワイヤドットプリンタ。
- 前記ワイヤドットプリンタヘッドを構成する前記コアは、前記アーマチュアに対向する磁極面と、この磁極面と前記揺動面との交線方向に沿って、前記磁極面よりも前記サイドヨーク部から離反する位置に設けられた面取り部とを有する請求項9記載のワイヤドットプリンタ。
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