JP2004259815A - 露光方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】スリット形状が円弧型であっても被露光基板表面の位置を高精度に検出する。
【解決手段】転写用のパターンが形成された原版のスリット状の照明領域を照明し、照明領域を投影光学系を介して感光基板上に投影し、照明領域内に沿って配置された複数のフォーカス計測点を用いて感光基板の表面位置を計測して投影光学系の像面に合焦させながら、スリット状照明領域に対し原版と基板とを同期して走査することにより、原版のパターンを感光基板上に露光する際、基板上の各ショットの露光開始時、露光対象ショットのフォーカス合わせが常に可能なように、必要な一部のショットについては従来法により定まる手順とは異なる手順で走査する。
【選択図】 図2
【解決手段】転写用のパターンが形成された原版のスリット状の照明領域を照明し、照明領域を投影光学系を介して感光基板上に投影し、照明領域内に沿って配置された複数のフォーカス計測点を用いて感光基板の表面位置を計測して投影光学系の像面に合焦させながら、スリット状照明領域に対し原版と基板とを同期して走査することにより、原版のパターンを感光基板上に露光する際、基板上の各ショットの露光開始時、露光対象ショットのフォーカス合わせが常に可能なように、必要な一部のショットについては従来法により定まる手順とは異なる手順で走査する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スリット状の照明領域に対し原版と感光基板とを同期走査して露光する走査露光方法に関し、特に円弧形の照明領域を有するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置に好適に適用される走査露光方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ICやLSI等の半導体デバイスの高集積化がますます加速度を増しており、これに伴い半導体ウエハの加工技術は微細化が進んでいる。また、最近は半導体素子1個のチップパターンが大型化する傾向にあり、露光装置においてはマスク上のより大きな面積パターンを感光基板上に露光する大面積化が求められている。
【0003】
半導体素子や液晶表示素子を製造する際に、レチクルのパターンをフォトレジスト等が塗布されたウエハ上に露光する装置として、従来より次の二つの方式が開発されている。一つはステップ・アンド・リピート方式、すなわち一括露光型の投影露光装置(ステッパ)であり、もう一つはステップ・アンド・スキャン方式の露光装置である。後者は、転写対象パターンの大面積化等の要求に応えるもので、ウエハ上の各回路パターン(ショット)領域をより広い範囲で露光が可能なものである。
【0004】
ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置においては、例えば矩形または円弧形等のスリット照明領域に対してレチクルおよび各ショット領域を同期して走査することで、レチクル上のマスクパターンをウエハ上の各ショット領域に順次転写していく。最近は回路の微細化、高NA化、露光光源の短波長化(F2、EUV)に伴い、円弧形のスリットが用いられるようになった。
【0005】
このような露光に円弧形スリットが用いられる理由は、投影光学系での光軸に対して円弧形スリットの持つ光学特性が回転対象であること、投影光学系の光軸から一定距離だけ離れた像高の狭い範囲(輪帯状)で、各種収差がほぼ零になるように設計できるという利点を得るためである。
【0006】
このような露光方式の露光装置では、ウエハ表面が露光中に移動するために、走査露光中のウエハの露光面と結像面をリアルタイムに合焦させるためのオートフォーカス機構として、被露光領域の手前で予めウエハ面の形状を検出する先読み方式のフォーカス位置検出方式が使用されている。この際にフォーカスとウエハの傾き(チルト量)をリアルタイムに計測することで、ウエハ表面を投影レンズ像面に補正駆動している。走査露光中のウエハの露光面と結像面をリアルタイムに合焦させるためのフォーカス検出点は、被露光領域でのフォーカス量を高精度に計測できるように、スリット形状に合わせて配置される。通常、スリット内のフォーカス検出点は3点〜5点配置される。
【0007】
また、ステップ・アンド・スキャン方式の露光において従来の露光方向は、スループットの向上の観点から、任意のショット領域から露光を開始しその後、走査方向に往復移動させながらウエハの複数のショット領域に順次露光していく、いわゆる交互スキャンによる走査露光方式が一般的に採用されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、回路の微細化に伴ってステップ・アンド・スキャン方式の露光装置では、円弧形のスリット照明領域を持つものが提案されており、そのためのフォーカス検出点はスリットの形状に合わせて図6のように配置することが考えられている。図中、25は円弧形のスリット照明領域であり、26〜28および32〜34は計測センサの配置を、29〜31はフォーカス計測点の配置を表す。ここではスリット内に3点配置(29〜31)する例を示しているが、多点の場合においても一般に円弧の曲率中心と中点(円弧の両端を結ぶ弦の中点)を結ぶ直線上(30地点)に1つの計測点が配置される。これは、露光が円弧の中心から外側に向かった方向(以下、円弧の外向き方向と記す)で開始される際に照明領域がショットに差しかかる地点のフォーカス計測を行うことで、照明領域がショットに差しかかってから最初の計測点に到達するまでの範囲でのデフォーカスをできるだけ少なくするためである。
【0009】
また、図7(a)および図7(b)は露光ショットのフォーカス計測点配置のイメージ図を示している。ここで、35、36は露光スリット領域の位置を表し、矢印37はスキャンの方向を表している。露光中は図7(a)および図7(b)に示すように3個のフォーカス計測点をフォーカスセンサでスキャン方向に従って順次計測している。
【0010】
ここで露光の際に、円弧状の照明領域が図7(a)で示されるように円弧の外向き方向へ露光が開始される場合は図の38地点に達するまではショットのフォーカス計測を1点のみでしか行うことができないために、ショットのチルト量までを算出することができない。このために露光方向が図3(a)のような円弧の外向き方向での露光では、2点以上での計測が可能となる、38地点に被露光領域が達するまでの範囲で照明領域の両端のフォーカス合わせが行えずチルトデフォーカスが発生し、これにより歩留が低下する問題があった。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するものであり、スリット形状が円弧型であっても検出対象の被処理物表面の位置を高精度に検出することができる走査露光方法の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決するために本発明では、スリット状の照明領域に対して転写用のパターンが形成された原版を所定方向に走査すると同時に、投影光学系を介して投影される前記照明領域に対して所定方向に感光基板を走査することにより、前記パターンを該基板の表面上に露光する際、前記照明領域内に沿って配置された複数のフォーカス計測点を用いることにより前記基板表面の位置およびチルトを計測しその計測値に基づいてフォーカス合わせの目標値を作成して前記基板表面をその目標値に向けて駆動する露光方法において、
前記基板上の各被露光領域の露光開始端に関し、有効な1以上のフォーカス計測値と有効なチルト値とが得られるように一部の被露光領域に対する露光の手順を他とは異なる手順に決定する工程を有することを特徴とする。
【0013】
ここで、「有効なフォーカス計測値」とは、端的には、露光対象のショット(被露光領域)内に位置するフォーカス計測点を用いての計測値を意味するが、フォーカス計測点が露光対象ショット外に位置する場合であっても、露光対象ショットの開始端側近傍のフォーカス計測点を用いることによりフォーカス計測値が正常に得られる場合はそれを有効なフォーカス計測値とすることができる。逆に、「有効でない計測値」としては、例えばフォーカス計測点が基板外または基板外周部のレジスト厚が不均一な部分に位置する場合の計測値がある。
【0014】
「有効なチルト値」とは、端的には、露光対象ショット内の、チルト値を所望の精度で算出するための所定間隔以上の間隔を置いた2つのフォーカス計測点を用いてのフォーカス計測値から算出されるチルト値を意味する。したがって、露光対象ショットの露光開始端については、前記所定間隔以上の間隔を置いた2つのフォーカス計測点を用いての有効なフォーカス計測値が得られればそれらの計測値から算出することができるが、それ以外にも、例えば露光対象ショットの開始端側近傍のフォーカス計測点での計測値により得られた露光済みショットのチルト値も含まれる。したがって、多くの場合、有効な1以上のフォーカス計測値と有効なチルト値が得られるか否かの判定は、基板外周部近傍のショットについてのみ行えば足りる。
【0015】
本発明において「他とは異なる手順」とは、前記した交互スキャンによる走査露光方式等の公知の走査露光方式を採用する場合に各ショットに対応して決定されるステップ・アンド・スキャンの手順(以下、本来の手順という)と異なる手順を意味する。「その被露光領域に従来法により割り当てられる手順とは異なる手順」ということもできる。例えば、本来の手順とは逆方向に走査する場合や、本来の手順にない手順を用いる場合である。本来の手順にない手順とは、例えば2つのフォーカス計測点を用いての有効なフォーカス計測値が得られる地点までプレススキャンするとか、露光対象ショットの開始端側近傍のフォーカス計測点での計測値により得られた露光済みショットのチルト値をその露光対象ショットの開始時に流用する場合である。
【0016】
本発明は、特に円弧形のスリット状照明領域を有する露光装置において有用であるが、円弧形以外のスリット、例えば矩形のスリット状照明領域を有する露光装置においても、一部の計測点で有効な計測ができない場合、効果的である。一部の計測点で有効な計測ができない場合としては、例えば、基板外周部近傍のショットにおいて、ショットの一部が欠けたり前記レジスト厚不均一部分に掛かったりしている場合、およびスリットの両端を結ぶ直線の2等分線の向きが走査方向と一致していない場合が考えられる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態では、円弧形のスリット照明領域に対して、レチクルおよび各ショット領域を同期して走査することでレチクル上のマスクパターンをウエハ上の各ショット領域に順次転写していく走査露光方法において、その各ショットの先読みフォーカス計測を2点以上のフォーカス計測点で補正できるような方向に走査することを特徴とする。
【0018】
そのための手段として、本発明では基板外周部の被露光領域を露光する際の走査方向を、例えば図7(b)で示されたように円弧の外側から中心へ向かった方向(以下、円弧の内向き方向と記す)で始まるように露光する。また、基板内部の被露光領域に対しては円弧の外向き方向で露光が開始される場合においては、該被露光領域の近傍領域に配置されている計測点から求めた基板の傾き量をもとに照明領域両端での傾き補正を行い、該被露光領域内の計測点から求めたフォーカス値をもとに露光開始位置の合焦を行う。
【0019】
本発明の好ましい実施の他の形態では、円弧形のスリット照明領域に対して、レチクルおよび各ショット領域を同期して走査することでレチクル上のマスクパターンをウエハ上の各ショット領域に順次転写していく走査露光方法において、基板外周部の被露光領域に対して円弧の外向き方向で露光が開始される際に、露光開始前に予め該当ショットの一定の範囲を、露光せずにスキャンすることで露光開始位置でのフォーカス値を求め、その計測値をもとに露光開始位置の合焦を行う。これにより、スループットの低下を最小限に抑えた露光方法が提供される。
【0020】
【実施例】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
[実施例1]
図1は本発明の一実施例に係る円弧形照明領域を持つステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置の概略図である。
【0021】
図1において、1は縮小投影レンズであり、その光軸は図中AXで示され、その像面はZ方向(光軸方向)と垂直な関係にある。レチクル(原版)2はレチクルステージ3上に保持され、レチクル2のパターンは縮小投影レンズ1で縮小投影されその焦平面に像を形成する。4は表面にレジストが塗布されたウエハ(感光基板)であり、先の露光工程で形成された同一のパターン構造を有する多数個の被露光領域(ショット)が配列されている。5はウエハ4を吸着し、固定しているウエハステージである。ウエハステージ5はX軸方向とY軸方向に各々水平移動可能なXYステージと、Z軸方向およびX、Y軸の回りに回転可能なレベリングステージ、Z軸の回りに回転可能な回転ステージにより構成されている。また、X、Y、Z軸は互いに直交している。
【0022】
7〜16はウエハ4の表面位置および傾きを検出するために設けたフォーカス検出光学系の各要素を示している。7〜11の部材からなる投光系側において、7は光源であり、白色ランプまたは異なる複数のピーク波長を持つ照明ユニットよりなっている。8はコリメータレンズであり、光源7からの光束を断面の強度分布がほぼ均一の平行光束として射出している。9はウエハ4上に投射するスリット状の光を生成するプリズム形状のスリット部材であり、一対のプリズムを互いの斜面が相対するように貼り合わせており、この貼り合わせ面に複数の開口をクロム等の遮光膜を利用して設けている。10は両テレセントリック系の光学系で、スリット部材9の複数のピンホールを通過した独立した複数の光束を、ミラー11を介してウエハ4上の計測点に導光している。このとき、レンズ系10に対してピンホールの形成されているプリズムの斜面とウエハ4の表面を含む平面とはシャインプルーフの条件(Scheinmpflugs condition)を満足するように設定されている。
【0023】
ミラー12を介したウエハ4面からの各反射光束は、両テレセントリック系の受光光学系13に導かれる。受光光学系13内のストッパ絞り14は、各計測点に対して共通に設けられ、ウエハ4上に存在する回路パターンによって発生する高次の回折光(ノイズ光)をカットしている。受光光学系13を通過した光束はその光軸が互いに平行となっており補正光学系群15の補正レンズにより光電変換手段群16の検出面に、互いに同一の大きさのスポット光となるように再結像させている。光電変換手段群16は各々の計測点に対応した1次元CCDラインセンサーにより構成されている。13〜15の受光系側はウエハ面4上の各計測点と光電変換手段群16の検出面とが互いに共役となるように倒れ補正を行っているので、各計測点の局所的な傾きは検出面のピンホール像の位置に変化を与えず、各計測点でのZ方向の高さの変化に対応して検出面上でピンホールの像の位置が変化する。
【0024】
走査露光時には、レチクル2はレチクルステージ3に吸着、固定された後、投影レンズ1の光軸AXと垂直な面内で矢印3a方向(Y軸方向)に一定速度でスキャンするとともに、矢印3aと直交する方向(X軸方向)には常に、目標座標位置を維持してスキャンするように補正されて駆動する。このレチクルステージ3のX方向およびY方向の位置情報は、レチクルステージ3に固定されたXYバーミラー17へレチクルステージ干渉系18から複数のレーザビームが照射されることにより、常時計測されている。
【0025】
露光照明光学系6は、エキシマレーザ等のパルス光を発生する光源を使用し不図示のビーム整形光学系、オプティカル・インテグレータ、コリメータおよびミラー等の部材で構成され、遠紫外領域のパルス光を効率的に透過あるいは反射する材料で形成されている。ビーム整形光学系は、入射ビームの断面形状(寸法を含む)を所望の形に整形するものであり、オプティカル・インテグレータは光束の配光特性を均一にしてレチクル2を均一照度で照明するためのものである。照明領域で部分照明されたレチクル2上のパターンが投影レンズ1を介してレジストが塗布されたウエハ4上に投影される。
【0026】
メイン制御部24は、レチクル2の照明された円弧形領域の部分の像がウエハ4の所定領域に形成されるようにスキャンに応じて全系をコントロールする役目を担っている。ウエハ4に対してはXY面内の位置、すなわちXY座標とZ軸に平行な軸の周りの回転Θと、Z方向の位置、すなわちZ座標とX、Y各軸に平行な軸の周りの回転α、βについての制御が行われる。また、本実施例において露光方向を決定する判断についての制御も同時に行う。
【0027】
レチクル2とウエハ4のXY面内での位置合わせは、レチクルステージ干渉計18とウエハステージ干渉系21の位置データと不図示のアライメント顕微鏡から得られるウエハ4の位置データから制御データを算出し、レチクル位置制御系19およびウエハ位置制御系22をコントロールすることにより実現している。
【0028】
レチクルステージ3を矢印3aの方向にスキャンする場合、ウエハステージ5は矢印5aの方向に投影レンズ1の縮小倍率分だけ補正されたスピードでスキャンされる。レチクルステージ3のスキャンスピードは露光照明光学系6内の不図示のマスキングブレードのスキャン方向の幅と露光光の照度、ウエハ4の表面に塗布されたレジストの感度から露光が最適に行われるように決定される。
【0029】
レチクル2上にあるパターンのZ軸方向の位置合わせ、すなわち像面への位置合わせは、ウエハ4の高さデータを検出する面位置検出系23の演算結果をもとにウエハステージ5内のレベリングステージへの制御を、ウエハ位置制御系22を介して行っている。すなわちウエハステージ5は図7に示すようにスキャン方向に対して照明領域近傍に配置されたフォーカス計測点に関する計測結果から、スキャン方向とウエハ平面におけるスキャン方向と垂直方向成分の傾き(チルト量)および光軸AX方向の高さを計算して、露光位置での最適像面位置への補正量を求めて補正駆動を行っている。このウエハ4の露光面を投影レンズ1の結像面に一致させるための上記の補正処理は、走査露光中リアルタイムに行われている。
【0030】
次いで本実施例における露光処理中のフォーカス補正の方法を、図2のフローチャートをもとに説明する。
まず任意の単数または複数のショットを選択して露光処理を開始した後、各ショットを露光する前にStep101で円弧スリットがどちらの方向で露光するかを判断する。ここで、露光が円弧の内向き方向で開始される場合は露光開始位置でのフォーカス計測を2点で行うことができるため、Step102に示すようにこの2点でフォーカス値を計測して露光開始位置での合焦を行い、Step106に進み露光する。
【0031】
また、露光が円弧の外向き方向で開始される場合はStep103に進み、該当ショットが基板内部のショットか外周部のショットかを判断する。図3は円弧の外向き方向で露光が開始される場合の基板内部と外周部での露光のイメージ図を示す。図3(b)に示すように該当ショット100が基板内部のショットである場合はStep104へ進む。この場合は図3(b)にあるように該当ショット100の近傍領域に配置された計測点を用いる計測地点41〜43でのステップ・アンド・スキャン露光の際、事前に計測されているチルト量を記憶しておき、その値をもとにチルト補正し、さらに、計測地点40でのフォーカス値をもとに露光開始位置を合焦させて、Step106に進んで露光する。
【0032】
一方、Step103で該当ショットが基板外周部のショットであると判断した場合にはStep105に進み、円弧の内向き方向での露光に切り換えるために照明領域を該当ショットの逆側の端部から露光するための走査開始位置まで移動してStep106に進む。これを図3(a)により説明すると、基板外周部で円弧の外向き方向で露光が開始される際に照明領域を該当ショットの逆側の端部44側へ移動した後に方向を逆向きにして走査露光する。これにより、露光を円弧の内向き方向で行うようにする。
【0033】
以上の手順をウエハの全ショットに繰り返し、露光を終了する。ここで、露光方向の判定は毎ショットの露光開始直前に行っているが、露光開始前であればいつ行ってもかまわない。例えば、レイアウト情報等からショット毎の露光方向を決定する時点において予め判定しておき、それに従って露光動作を行っても同様の効果が得られるのは言うまでもない。
【0034】
本実施例では、円弧状の照明領域をもつステップ・アンド・スキャン方式の露光装置に対して、露光方法を円弧形の照明領域内に配置されたフォーカス計測点に対して常に複数点で計測できる方向から露光が開始されるように走査方向を決定することによって走査露光の際における歩留まり低下の原因となるデフォーカスを抑え、高精度のフォーカス合わせを可能としている。ここで基板の内側の領域に対しては近傍領域での計測値をもとに該ショットのチルト補正を行うことで基板内側の領域に対しては交互スキャンが可能となる。
【0035】
[実施例2]
また前述の方法のStep103において、基板外周部の被露光領域に対して円弧の外向き方向で露光が開始されると判断された際には、露光開始前に予め該当ショットの2点以上での計測が可能となる範囲を露光せずに予めスキャンすることで露光開始位置でのフォーカス値を計測し、その計測値をもとに露光開始位置の合焦を行うことでスループットの低下を最小限に抑えて高精度な露光が期待できる。
【0036】
この場合の実施例を図4のフローチャートを用いて説明する。
まず任意の単数または複数のショットを選択して露光処理を開始した後、各ショットを露光する前にStep201で円弧スリットがどちらの方向で露光するかを判断する。ここで、露光が円弧の内向き方向で開始される場合は露光開始位置でのフォーカス計測を2点で行うことができるため、Step202に示すようにこの2点でフォーカス値を計測して露光開始位置での合焦を行い、Step206に進み露光する。
【0037】
また、露光が円弧の外向き方向で開始される場合はStep203に進み、該当ショットが基板内部のショットか外周部のショットかを判断する。図3は円弧の外向き方向で露光が開始される場合の基板内部と外周部での露光のイメージ図を示す。該当ショットが基板内部のショットである場合はStep204へ進む。この場合は図3(b)にあるように該当ショットの近傍領域を露光した際に事前に計測されている計測地点41〜43での計測値からチルト量を求めてその値をもとにチルト補正し、さらに、計測点40でのフォーカス値をもとに露光開始位置を合焦させて、Step206に進んで露光する。
【0038】
一方、Step203で該当ショットが基板外周部のショットであると判断した場合にはStep205に進み、露光開始位置でのフォーカス計測を予め該当ショットの一定の範囲で行う。なお、ここでの一定の範囲は少なくとも2点以上でフォーカス値の計測が可能となる図3(a)の計測地点38までの範囲を選択する。この時求めた計測値を基に露光開始位置を合焦し、Step206に進んで露光する。
【0039】
図5はこの場合の露光順序の例を示す。図5(a)で示すように前のショットの露光が終了した後、図5(b)に示すような露光開始位置から地点38までの範囲のフォーカス値を計測し、その値をもとに露光開始位置での合焦を行い、図5(c)で示すように該当ショットを露光する。
以上の手順をウエハの全ショットに対して繰り返し、露光を終了する。
【0040】
なお、本実施例ではフォーカス計測点は図7のように3点配置している場合における円弧スリットでの露光としているが、照明領域が円弧形でない場合でも露光開始時でのフォーカス計測を1点のみのセンサでしか行うことができない場合は同様の方法で効果が得られる。
【0041】
さらに実施例1と同様、露光方向の判定は露光開始前であればいつ行っても構わない。例えばレイアウト情報等からショット毎の露光方向を決定する時点において予め判定しておき、それに従って露光動作を行っても同様の効果が得られるのは言うまでもない。
【0042】
本実施例で定めるように、円弧の外向き方向で露光が開始される際に基板外周部のショットに対しては、予め、該当ショットの一定の範囲を露光を行わずにスキャンすることで露光開始位置でのフォーカス値を求め、その計測値をもとに露光開始位置の合焦を行うことで走査露光時の照明領域の総移動量を最小限にしてスループットへの影響を抑えることができる。ここで基板の内側の領域に対しては近傍領域での計測値をもとに該ショットのチルト補正を行うことで基板内側の領域に対しては交互スキャンが可能となる。
【0043】
【実施態様】
本発明の実施態様の例を以下のように列挙する。
[実施態様1] スリット状の照明領域に対して転写用のパターンが形成された原版を所定方向に走査すると同時に、投影光学系を介して投影される前記照明領域に対して所定方向に感光基板を走査することにより、前記パターンを該基板の表面上に露光する際、前記照明領域内に沿って配置された複数のフォーカス計測点を用いることにより前記基板表面の位置およびチルトを計測しその計測値に基づいてフォーカス合わせの目標値を作成して前記基板表面をその目標値に向けて駆動する露光方法において、
前記基板上の各被露光領域の露光開始端に関し、有効な1以上のフォーカス計測値と有効なチルト値とが得られるように一部の被露光領域における走査の手順を他とは異なる手順に決定する工程を有することを特徴とする露光方法。
【0044】
[実施態様2] 円弧形の照明領域に対して転写用のパターンが形成された原版を所定方向に走査すると同時に、投影光学系を介して投影される前記照明領域に対して所定方向に感光基板を走査することにより、前記パターンを該基板の表面上に露光する際、前記照明領域内に沿って配置された複数のフォーカス計測点を用いることにより前記基板表面の位置およびチルトを計測しその計測値に基づいてフォーカス合わせの目標値を作成して前記基板表面をその目標値に向けて駆動する露光方法において、
前記投影光学系の円弧形の照明領域内に配置されたフォーカス計測点に対して常に複数点で計測できる方向から露光が開始されるように走査方向を決定することを特徴とする露光方法。
【0045】
[実施態様3] 円弧形の照明領域に対して転写用のパターンが形成された原版を所定方向に走査すると同時に、投影光学系を介して投影される前記照明領域に対して所定方向に感光基板を走査することにより、前記パターンを該基板の表面上に露光する際、前記照明領域内に沿って配置された複数のフォーカス計測点を用いることにより前記基板表面の位置およびチルトを計測しその計測値に基づいてフォーカス合わせの目標値を作成して前記基板表面をその目標値に向けて駆動する露光方法において、
設定された露光方向で円弧形の照明領域が露光を開始する際、露光開始前に予め複数の計測点で計測できる位置までをスキャンしてフォーカス合わせの目標値を定め、その後定めた目標値にしたがって補正駆動して露光することを特徴とする露光方法。
【0046】
[実施態様4] 円弧形の照明領域に対して転写用のパターンが形成された原版を所定方向に走査すると同時に、投影光学系を介して投影される前記照明領域に対して所定方向に感光基板を走査することにより、前記パターンを該基板の表面上に露光する際、前記照明領域内に沿って配置された複数のフォーカス計測点を用いることにより前記基板表面の位置およびチルトを計測しその計測値に基づいてフォーカス合わせの目標値を作成して前記基板表面をその目標値に向けて駆動する露光方法において、
設定された露光方向で該基板上への露光が開始される際に、該被露光領域の近傍領域に配置されている計測点から求めた基板の傾き量をもとに照明領域両端での傾き補正を行い、該被露光領域内の計測点から求めたフォーカス値をもとに露光開始位置の基板表面を補正駆動することを特徴とする露光方法。
【0047】
[実施態様5] 前記基板上の露光対象部分の位置に応じて実施態様2または3に記載された処理と実施態様4に記載された処理の一方を選択することを特徴とする露光方法。
【0048】
[実施態様6] スリット状の照明領域に対して転写用のパターンが形成された原版を所定方向に走査し、前記照明領域に対して所定方向に感光基板を走査する走査手段と、
前記原版のパターンを前記基板の表面上に露光する投影光学系と、
前記照明領域内に沿って配置されたフォーカス計測点を用いることにより前記基板表面の複数の面位置を計測しその計測値に基づいてフォーカス合わせの目標値を作成して前記基板表面をその目標値に向けて駆動するオートフォーカス機構と
を備えた露光装置であって、
前記基板上の各被露光領域の露光開始端に関し、有効な1以上のフォーカス計測値と有効なチルト値とが得られるように一部の被露光領域における走査の手順を他とは異なる手順に決定する手段を有することを特徴とする露光装置。
【0049】
[実施態様7] 前記スリットが円弧形であることを特徴とする実施態様6に記載の露光装置。
[実施態様8] 前記他とは異なる手順に決定する手段が、前記投影光学系の円弧形の照明領域内に配置されたフォーカス計測点に対して常に複数点で計測できる方向から露光が開始されるように走査方向を決定または変更する手段であることを特徴とする実施態様7に記載の露光装置。
[実施態様9] 前記他とは異なる手順に決定する手段が、設定された露光方向で円弧形の照明領域が露光を開始する前に、予め複数の計測点で計測できる位置までをスキャンしてフォーカス合わせの目標値を定め、その後定めた目標値にしたがって補正駆動して露光するように露光手順を決定または変更する手段であることを特徴とする実施態様7に記載の露光装置。
【0050】
[実施態様10] 前記他とは異なる手順に決定する手段が、設定された露光方向で該基板上への露光が開始される前に、該被露光領域の近傍領域に配置されている計測点から求めた基板の傾き量をもとに照明領域両端での傾き補正を行い、該被露光領域内の計測点から求めたフォーカス値をもとに露光開始位置の基板表面を補正駆動するように露光手順を決定または変更する手段であることを特徴とする実施態様8または9に記載の露光装置。
【0051】
[実施態様11] 前記他とは異なる手順に決定する手段が、実施態様8または9に記載された手順と実施態様10に記載された手順とのいずれか一方を、感光基板上の露光対象部分の位置に応じて選択する手段をさらに有することを特徴とする実施態様10に記載の露光装置。
【0052】
[実施態様12] 前記他とは異なる手順に決定する手段が、設定された露光方向で該基板上への露光が開始される前に、該被露光領域の近傍領域に配置されている計測点から求めた基板の傾き量をもとに照明領域両端での傾き補正を行い、該被露光領域内の計測点から求めたフォーカス値をもとに露光開始位置の基板表面を補正駆動するように露光手順を決定または変更する手段であることを特徴とする実施態様7に記載の露光装置。
【0053】
【発明の効果】
本発明では、スリット状の照明領域をもつステップ・アンド・スキャン方式で露光を行うに際して、前記基板上の各被露光領域の露光開始端に関し、有効な1以上のフォーカス計測値と有効なチルト値とが得られるように一部の被露光領域における走査の手順を他とは異なる手順に決定または変更するようにしている。走査手順を、例えば照明領域内に配置されたフォーカス計測点に対して常に複数点で計測できる方向から露光が開始されるような走査方向に決定または変更することによって走査露光の際における歩留まり低下の原因となるデフォーカスを抑え、高精度のフォーカス合わせを可能としている。または、円弧の外向き方向で露光が開始される際に基板外周部のショットに対しては、予め該当ショットの一定の範囲を露光を行わずにスキャンすることで露光開始位置でのフォーカス値を求め、その計測値をもとに露光開始位置の合焦を行うように決定または変更することで走査露光時の照明領域の総移動量を最小限にしてスループットへの影響を抑えることができる。なお、基板の内側の領域に対しては近傍領域での計測値をもとに該ショットのチルト補正を行うことで基板内側の領域に対しては交互スキャンが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るステップ・アンド・スキャン方式の露光装置の概略図である。
【図2】本発明の実施例1に係る走査露光方法の露光シーケンスを示すフローチャートである。
【図3】円弧の外向き方向で露光が開始される場合のスキャンイメージの図であり、(a)はウエハの外周部のショット、(b)はウエハの内部ショットの場合を示す。
【図4】本発明の実施例2に係る走査露光方法の露光シーケンスを示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例2に係るスキャン露光が、ウエハ端部では(a)→(b)→(c)の順序で行われることを示す動作概略図である。
【図6】円弧型の露光スリットとフォーカス計測点の位置関係を表した配置図である。
【図7】露光ショット内のフォーカス計測点配置の例とスキャンのイメージを、図中上側から露光が開始される場合(a)と下側から露光が開始される場合(b)について示した図である。
【符号の説明】1:縮小投影レンズ、2:レチクル、3:レチクルステージ、3a,5a:スキャン方向を示す矢印、4:ウエハ、5:ウエハステージ、6:露光照明光学系、7:光源、8:コリメータレンズ、9:プリズム形状のスリット部材、10:投光光学系、11,12:折り曲げミラー、13:受光光学系、14:ストッパ絞り、15:補正光学系群、16:光電変換手段群、17,20:XYバーミラー、18:レチクルステージ干渉計、19:レチクル位置制御系、21:ウエハステージ干渉計、22:ウエハ位置制御系、23:面位置検出系、24:メイン制御部、25:円弧形照明領域、26〜28,32〜34:フォーカスセンサ、29〜31:フォーカス計測点、35:露光開始時の照明領域の位置、36:スキャン露光中の照明領域の位置、37:スキャン方向を示す矢印、38:円弧の外向き方向で露光される場合に2点以上でのフォーカス計測が可能となる地点、39:ウエハ外周、40:ウエハ内部ショットを円弧の外向き方向で露光する際に高さ情報を算出する検出点、41〜43:ウエハ内部で円弧の外向き方向に露光される際のチルト量補正に用いる計測位置、44:図2のStep105の処理で移動した後の照明領域の位置、45:照明領域の動作イメージ、100:露光対象ショット。
【発明の属する技術分野】
本発明は、スリット状の照明領域に対し原版と感光基板とを同期走査して露光する走査露光方法に関し、特に円弧形の照明領域を有するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置に好適に適用される走査露光方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ICやLSI等の半導体デバイスの高集積化がますます加速度を増しており、これに伴い半導体ウエハの加工技術は微細化が進んでいる。また、最近は半導体素子1個のチップパターンが大型化する傾向にあり、露光装置においてはマスク上のより大きな面積パターンを感光基板上に露光する大面積化が求められている。
【0003】
半導体素子や液晶表示素子を製造する際に、レチクルのパターンをフォトレジスト等が塗布されたウエハ上に露光する装置として、従来より次の二つの方式が開発されている。一つはステップ・アンド・リピート方式、すなわち一括露光型の投影露光装置(ステッパ)であり、もう一つはステップ・アンド・スキャン方式の露光装置である。後者は、転写対象パターンの大面積化等の要求に応えるもので、ウエハ上の各回路パターン(ショット)領域をより広い範囲で露光が可能なものである。
【0004】
ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置においては、例えば矩形または円弧形等のスリット照明領域に対してレチクルおよび各ショット領域を同期して走査することで、レチクル上のマスクパターンをウエハ上の各ショット領域に順次転写していく。最近は回路の微細化、高NA化、露光光源の短波長化(F2、EUV)に伴い、円弧形のスリットが用いられるようになった。
【0005】
このような露光に円弧形スリットが用いられる理由は、投影光学系での光軸に対して円弧形スリットの持つ光学特性が回転対象であること、投影光学系の光軸から一定距離だけ離れた像高の狭い範囲(輪帯状)で、各種収差がほぼ零になるように設計できるという利点を得るためである。
【0006】
このような露光方式の露光装置では、ウエハ表面が露光中に移動するために、走査露光中のウエハの露光面と結像面をリアルタイムに合焦させるためのオートフォーカス機構として、被露光領域の手前で予めウエハ面の形状を検出する先読み方式のフォーカス位置検出方式が使用されている。この際にフォーカスとウエハの傾き(チルト量)をリアルタイムに計測することで、ウエハ表面を投影レンズ像面に補正駆動している。走査露光中のウエハの露光面と結像面をリアルタイムに合焦させるためのフォーカス検出点は、被露光領域でのフォーカス量を高精度に計測できるように、スリット形状に合わせて配置される。通常、スリット内のフォーカス検出点は3点〜5点配置される。
【0007】
また、ステップ・アンド・スキャン方式の露光において従来の露光方向は、スループットの向上の観点から、任意のショット領域から露光を開始しその後、走査方向に往復移動させながらウエハの複数のショット領域に順次露光していく、いわゆる交互スキャンによる走査露光方式が一般的に採用されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、回路の微細化に伴ってステップ・アンド・スキャン方式の露光装置では、円弧形のスリット照明領域を持つものが提案されており、そのためのフォーカス検出点はスリットの形状に合わせて図6のように配置することが考えられている。図中、25は円弧形のスリット照明領域であり、26〜28および32〜34は計測センサの配置を、29〜31はフォーカス計測点の配置を表す。ここではスリット内に3点配置(29〜31)する例を示しているが、多点の場合においても一般に円弧の曲率中心と中点(円弧の両端を結ぶ弦の中点)を結ぶ直線上(30地点)に1つの計測点が配置される。これは、露光が円弧の中心から外側に向かった方向(以下、円弧の外向き方向と記す)で開始される際に照明領域がショットに差しかかる地点のフォーカス計測を行うことで、照明領域がショットに差しかかってから最初の計測点に到達するまでの範囲でのデフォーカスをできるだけ少なくするためである。
【0009】
また、図7(a)および図7(b)は露光ショットのフォーカス計測点配置のイメージ図を示している。ここで、35、36は露光スリット領域の位置を表し、矢印37はスキャンの方向を表している。露光中は図7(a)および図7(b)に示すように3個のフォーカス計測点をフォーカスセンサでスキャン方向に従って順次計測している。
【0010】
ここで露光の際に、円弧状の照明領域が図7(a)で示されるように円弧の外向き方向へ露光が開始される場合は図の38地点に達するまではショットのフォーカス計測を1点のみでしか行うことができないために、ショットのチルト量までを算出することができない。このために露光方向が図3(a)のような円弧の外向き方向での露光では、2点以上での計測が可能となる、38地点に被露光領域が達するまでの範囲で照明領域の両端のフォーカス合わせが行えずチルトデフォーカスが発生し、これにより歩留が低下する問題があった。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するものであり、スリット形状が円弧型であっても検出対象の被処理物表面の位置を高精度に検出することができる走査露光方法の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決するために本発明では、スリット状の照明領域に対して転写用のパターンが形成された原版を所定方向に走査すると同時に、投影光学系を介して投影される前記照明領域に対して所定方向に感光基板を走査することにより、前記パターンを該基板の表面上に露光する際、前記照明領域内に沿って配置された複数のフォーカス計測点を用いることにより前記基板表面の位置およびチルトを計測しその計測値に基づいてフォーカス合わせの目標値を作成して前記基板表面をその目標値に向けて駆動する露光方法において、
前記基板上の各被露光領域の露光開始端に関し、有効な1以上のフォーカス計測値と有効なチルト値とが得られるように一部の被露光領域に対する露光の手順を他とは異なる手順に決定する工程を有することを特徴とする。
【0013】
ここで、「有効なフォーカス計測値」とは、端的には、露光対象のショット(被露光領域)内に位置するフォーカス計測点を用いての計測値を意味するが、フォーカス計測点が露光対象ショット外に位置する場合であっても、露光対象ショットの開始端側近傍のフォーカス計測点を用いることによりフォーカス計測値が正常に得られる場合はそれを有効なフォーカス計測値とすることができる。逆に、「有効でない計測値」としては、例えばフォーカス計測点が基板外または基板外周部のレジスト厚が不均一な部分に位置する場合の計測値がある。
【0014】
「有効なチルト値」とは、端的には、露光対象ショット内の、チルト値を所望の精度で算出するための所定間隔以上の間隔を置いた2つのフォーカス計測点を用いてのフォーカス計測値から算出されるチルト値を意味する。したがって、露光対象ショットの露光開始端については、前記所定間隔以上の間隔を置いた2つのフォーカス計測点を用いての有効なフォーカス計測値が得られればそれらの計測値から算出することができるが、それ以外にも、例えば露光対象ショットの開始端側近傍のフォーカス計測点での計測値により得られた露光済みショットのチルト値も含まれる。したがって、多くの場合、有効な1以上のフォーカス計測値と有効なチルト値が得られるか否かの判定は、基板外周部近傍のショットについてのみ行えば足りる。
【0015】
本発明において「他とは異なる手順」とは、前記した交互スキャンによる走査露光方式等の公知の走査露光方式を採用する場合に各ショットに対応して決定されるステップ・アンド・スキャンの手順(以下、本来の手順という)と異なる手順を意味する。「その被露光領域に従来法により割り当てられる手順とは異なる手順」ということもできる。例えば、本来の手順とは逆方向に走査する場合や、本来の手順にない手順を用いる場合である。本来の手順にない手順とは、例えば2つのフォーカス計測点を用いての有効なフォーカス計測値が得られる地点までプレススキャンするとか、露光対象ショットの開始端側近傍のフォーカス計測点での計測値により得られた露光済みショットのチルト値をその露光対象ショットの開始時に流用する場合である。
【0016】
本発明は、特に円弧形のスリット状照明領域を有する露光装置において有用であるが、円弧形以外のスリット、例えば矩形のスリット状照明領域を有する露光装置においても、一部の計測点で有効な計測ができない場合、効果的である。一部の計測点で有効な計測ができない場合としては、例えば、基板外周部近傍のショットにおいて、ショットの一部が欠けたり前記レジスト厚不均一部分に掛かったりしている場合、およびスリットの両端を結ぶ直線の2等分線の向きが走査方向と一致していない場合が考えられる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態では、円弧形のスリット照明領域に対して、レチクルおよび各ショット領域を同期して走査することでレチクル上のマスクパターンをウエハ上の各ショット領域に順次転写していく走査露光方法において、その各ショットの先読みフォーカス計測を2点以上のフォーカス計測点で補正できるような方向に走査することを特徴とする。
【0018】
そのための手段として、本発明では基板外周部の被露光領域を露光する際の走査方向を、例えば図7(b)で示されたように円弧の外側から中心へ向かった方向(以下、円弧の内向き方向と記す)で始まるように露光する。また、基板内部の被露光領域に対しては円弧の外向き方向で露光が開始される場合においては、該被露光領域の近傍領域に配置されている計測点から求めた基板の傾き量をもとに照明領域両端での傾き補正を行い、該被露光領域内の計測点から求めたフォーカス値をもとに露光開始位置の合焦を行う。
【0019】
本発明の好ましい実施の他の形態では、円弧形のスリット照明領域に対して、レチクルおよび各ショット領域を同期して走査することでレチクル上のマスクパターンをウエハ上の各ショット領域に順次転写していく走査露光方法において、基板外周部の被露光領域に対して円弧の外向き方向で露光が開始される際に、露光開始前に予め該当ショットの一定の範囲を、露光せずにスキャンすることで露光開始位置でのフォーカス値を求め、その計測値をもとに露光開始位置の合焦を行う。これにより、スループットの低下を最小限に抑えた露光方法が提供される。
【0020】
【実施例】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
[実施例1]
図1は本発明の一実施例に係る円弧形照明領域を持つステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置の概略図である。
【0021】
図1において、1は縮小投影レンズであり、その光軸は図中AXで示され、その像面はZ方向(光軸方向)と垂直な関係にある。レチクル(原版)2はレチクルステージ3上に保持され、レチクル2のパターンは縮小投影レンズ1で縮小投影されその焦平面に像を形成する。4は表面にレジストが塗布されたウエハ(感光基板)であり、先の露光工程で形成された同一のパターン構造を有する多数個の被露光領域(ショット)が配列されている。5はウエハ4を吸着し、固定しているウエハステージである。ウエハステージ5はX軸方向とY軸方向に各々水平移動可能なXYステージと、Z軸方向およびX、Y軸の回りに回転可能なレベリングステージ、Z軸の回りに回転可能な回転ステージにより構成されている。また、X、Y、Z軸は互いに直交している。
【0022】
7〜16はウエハ4の表面位置および傾きを検出するために設けたフォーカス検出光学系の各要素を示している。7〜11の部材からなる投光系側において、7は光源であり、白色ランプまたは異なる複数のピーク波長を持つ照明ユニットよりなっている。8はコリメータレンズであり、光源7からの光束を断面の強度分布がほぼ均一の平行光束として射出している。9はウエハ4上に投射するスリット状の光を生成するプリズム形状のスリット部材であり、一対のプリズムを互いの斜面が相対するように貼り合わせており、この貼り合わせ面に複数の開口をクロム等の遮光膜を利用して設けている。10は両テレセントリック系の光学系で、スリット部材9の複数のピンホールを通過した独立した複数の光束を、ミラー11を介してウエハ4上の計測点に導光している。このとき、レンズ系10に対してピンホールの形成されているプリズムの斜面とウエハ4の表面を含む平面とはシャインプルーフの条件(Scheinmpflugs condition)を満足するように設定されている。
【0023】
ミラー12を介したウエハ4面からの各反射光束は、両テレセントリック系の受光光学系13に導かれる。受光光学系13内のストッパ絞り14は、各計測点に対して共通に設けられ、ウエハ4上に存在する回路パターンによって発生する高次の回折光(ノイズ光)をカットしている。受光光学系13を通過した光束はその光軸が互いに平行となっており補正光学系群15の補正レンズにより光電変換手段群16の検出面に、互いに同一の大きさのスポット光となるように再結像させている。光電変換手段群16は各々の計測点に対応した1次元CCDラインセンサーにより構成されている。13〜15の受光系側はウエハ面4上の各計測点と光電変換手段群16の検出面とが互いに共役となるように倒れ補正を行っているので、各計測点の局所的な傾きは検出面のピンホール像の位置に変化を与えず、各計測点でのZ方向の高さの変化に対応して検出面上でピンホールの像の位置が変化する。
【0024】
走査露光時には、レチクル2はレチクルステージ3に吸着、固定された後、投影レンズ1の光軸AXと垂直な面内で矢印3a方向(Y軸方向)に一定速度でスキャンするとともに、矢印3aと直交する方向(X軸方向)には常に、目標座標位置を維持してスキャンするように補正されて駆動する。このレチクルステージ3のX方向およびY方向の位置情報は、レチクルステージ3に固定されたXYバーミラー17へレチクルステージ干渉系18から複数のレーザビームが照射されることにより、常時計測されている。
【0025】
露光照明光学系6は、エキシマレーザ等のパルス光を発生する光源を使用し不図示のビーム整形光学系、オプティカル・インテグレータ、コリメータおよびミラー等の部材で構成され、遠紫外領域のパルス光を効率的に透過あるいは反射する材料で形成されている。ビーム整形光学系は、入射ビームの断面形状(寸法を含む)を所望の形に整形するものであり、オプティカル・インテグレータは光束の配光特性を均一にしてレチクル2を均一照度で照明するためのものである。照明領域で部分照明されたレチクル2上のパターンが投影レンズ1を介してレジストが塗布されたウエハ4上に投影される。
【0026】
メイン制御部24は、レチクル2の照明された円弧形領域の部分の像がウエハ4の所定領域に形成されるようにスキャンに応じて全系をコントロールする役目を担っている。ウエハ4に対してはXY面内の位置、すなわちXY座標とZ軸に平行な軸の周りの回転Θと、Z方向の位置、すなわちZ座標とX、Y各軸に平行な軸の周りの回転α、βについての制御が行われる。また、本実施例において露光方向を決定する判断についての制御も同時に行う。
【0027】
レチクル2とウエハ4のXY面内での位置合わせは、レチクルステージ干渉計18とウエハステージ干渉系21の位置データと不図示のアライメント顕微鏡から得られるウエハ4の位置データから制御データを算出し、レチクル位置制御系19およびウエハ位置制御系22をコントロールすることにより実現している。
【0028】
レチクルステージ3を矢印3aの方向にスキャンする場合、ウエハステージ5は矢印5aの方向に投影レンズ1の縮小倍率分だけ補正されたスピードでスキャンされる。レチクルステージ3のスキャンスピードは露光照明光学系6内の不図示のマスキングブレードのスキャン方向の幅と露光光の照度、ウエハ4の表面に塗布されたレジストの感度から露光が最適に行われるように決定される。
【0029】
レチクル2上にあるパターンのZ軸方向の位置合わせ、すなわち像面への位置合わせは、ウエハ4の高さデータを検出する面位置検出系23の演算結果をもとにウエハステージ5内のレベリングステージへの制御を、ウエハ位置制御系22を介して行っている。すなわちウエハステージ5は図7に示すようにスキャン方向に対して照明領域近傍に配置されたフォーカス計測点に関する計測結果から、スキャン方向とウエハ平面におけるスキャン方向と垂直方向成分の傾き(チルト量)および光軸AX方向の高さを計算して、露光位置での最適像面位置への補正量を求めて補正駆動を行っている。このウエハ4の露光面を投影レンズ1の結像面に一致させるための上記の補正処理は、走査露光中リアルタイムに行われている。
【0030】
次いで本実施例における露光処理中のフォーカス補正の方法を、図2のフローチャートをもとに説明する。
まず任意の単数または複数のショットを選択して露光処理を開始した後、各ショットを露光する前にStep101で円弧スリットがどちらの方向で露光するかを判断する。ここで、露光が円弧の内向き方向で開始される場合は露光開始位置でのフォーカス計測を2点で行うことができるため、Step102に示すようにこの2点でフォーカス値を計測して露光開始位置での合焦を行い、Step106に進み露光する。
【0031】
また、露光が円弧の外向き方向で開始される場合はStep103に進み、該当ショットが基板内部のショットか外周部のショットかを判断する。図3は円弧の外向き方向で露光が開始される場合の基板内部と外周部での露光のイメージ図を示す。図3(b)に示すように該当ショット100が基板内部のショットである場合はStep104へ進む。この場合は図3(b)にあるように該当ショット100の近傍領域に配置された計測点を用いる計測地点41〜43でのステップ・アンド・スキャン露光の際、事前に計測されているチルト量を記憶しておき、その値をもとにチルト補正し、さらに、計測地点40でのフォーカス値をもとに露光開始位置を合焦させて、Step106に進んで露光する。
【0032】
一方、Step103で該当ショットが基板外周部のショットであると判断した場合にはStep105に進み、円弧の内向き方向での露光に切り換えるために照明領域を該当ショットの逆側の端部から露光するための走査開始位置まで移動してStep106に進む。これを図3(a)により説明すると、基板外周部で円弧の外向き方向で露光が開始される際に照明領域を該当ショットの逆側の端部44側へ移動した後に方向を逆向きにして走査露光する。これにより、露光を円弧の内向き方向で行うようにする。
【0033】
以上の手順をウエハの全ショットに繰り返し、露光を終了する。ここで、露光方向の判定は毎ショットの露光開始直前に行っているが、露光開始前であればいつ行ってもかまわない。例えば、レイアウト情報等からショット毎の露光方向を決定する時点において予め判定しておき、それに従って露光動作を行っても同様の効果が得られるのは言うまでもない。
【0034】
本実施例では、円弧状の照明領域をもつステップ・アンド・スキャン方式の露光装置に対して、露光方法を円弧形の照明領域内に配置されたフォーカス計測点に対して常に複数点で計測できる方向から露光が開始されるように走査方向を決定することによって走査露光の際における歩留まり低下の原因となるデフォーカスを抑え、高精度のフォーカス合わせを可能としている。ここで基板の内側の領域に対しては近傍領域での計測値をもとに該ショットのチルト補正を行うことで基板内側の領域に対しては交互スキャンが可能となる。
【0035】
[実施例2]
また前述の方法のStep103において、基板外周部の被露光領域に対して円弧の外向き方向で露光が開始されると判断された際には、露光開始前に予め該当ショットの2点以上での計測が可能となる範囲を露光せずに予めスキャンすることで露光開始位置でのフォーカス値を計測し、その計測値をもとに露光開始位置の合焦を行うことでスループットの低下を最小限に抑えて高精度な露光が期待できる。
【0036】
この場合の実施例を図4のフローチャートを用いて説明する。
まず任意の単数または複数のショットを選択して露光処理を開始した後、各ショットを露光する前にStep201で円弧スリットがどちらの方向で露光するかを判断する。ここで、露光が円弧の内向き方向で開始される場合は露光開始位置でのフォーカス計測を2点で行うことができるため、Step202に示すようにこの2点でフォーカス値を計測して露光開始位置での合焦を行い、Step206に進み露光する。
【0037】
また、露光が円弧の外向き方向で開始される場合はStep203に進み、該当ショットが基板内部のショットか外周部のショットかを判断する。図3は円弧の外向き方向で露光が開始される場合の基板内部と外周部での露光のイメージ図を示す。該当ショットが基板内部のショットである場合はStep204へ進む。この場合は図3(b)にあるように該当ショットの近傍領域を露光した際に事前に計測されている計測地点41〜43での計測値からチルト量を求めてその値をもとにチルト補正し、さらに、計測点40でのフォーカス値をもとに露光開始位置を合焦させて、Step206に進んで露光する。
【0038】
一方、Step203で該当ショットが基板外周部のショットであると判断した場合にはStep205に進み、露光開始位置でのフォーカス計測を予め該当ショットの一定の範囲で行う。なお、ここでの一定の範囲は少なくとも2点以上でフォーカス値の計測が可能となる図3(a)の計測地点38までの範囲を選択する。この時求めた計測値を基に露光開始位置を合焦し、Step206に進んで露光する。
【0039】
図5はこの場合の露光順序の例を示す。図5(a)で示すように前のショットの露光が終了した後、図5(b)に示すような露光開始位置から地点38までの範囲のフォーカス値を計測し、その値をもとに露光開始位置での合焦を行い、図5(c)で示すように該当ショットを露光する。
以上の手順をウエハの全ショットに対して繰り返し、露光を終了する。
【0040】
なお、本実施例ではフォーカス計測点は図7のように3点配置している場合における円弧スリットでの露光としているが、照明領域が円弧形でない場合でも露光開始時でのフォーカス計測を1点のみのセンサでしか行うことができない場合は同様の方法で効果が得られる。
【0041】
さらに実施例1と同様、露光方向の判定は露光開始前であればいつ行っても構わない。例えばレイアウト情報等からショット毎の露光方向を決定する時点において予め判定しておき、それに従って露光動作を行っても同様の効果が得られるのは言うまでもない。
【0042】
本実施例で定めるように、円弧の外向き方向で露光が開始される際に基板外周部のショットに対しては、予め、該当ショットの一定の範囲を露光を行わずにスキャンすることで露光開始位置でのフォーカス値を求め、その計測値をもとに露光開始位置の合焦を行うことで走査露光時の照明領域の総移動量を最小限にしてスループットへの影響を抑えることができる。ここで基板の内側の領域に対しては近傍領域での計測値をもとに該ショットのチルト補正を行うことで基板内側の領域に対しては交互スキャンが可能となる。
【0043】
【実施態様】
本発明の実施態様の例を以下のように列挙する。
[実施態様1] スリット状の照明領域に対して転写用のパターンが形成された原版を所定方向に走査すると同時に、投影光学系を介して投影される前記照明領域に対して所定方向に感光基板を走査することにより、前記パターンを該基板の表面上に露光する際、前記照明領域内に沿って配置された複数のフォーカス計測点を用いることにより前記基板表面の位置およびチルトを計測しその計測値に基づいてフォーカス合わせの目標値を作成して前記基板表面をその目標値に向けて駆動する露光方法において、
前記基板上の各被露光領域の露光開始端に関し、有効な1以上のフォーカス計測値と有効なチルト値とが得られるように一部の被露光領域における走査の手順を他とは異なる手順に決定する工程を有することを特徴とする露光方法。
【0044】
[実施態様2] 円弧形の照明領域に対して転写用のパターンが形成された原版を所定方向に走査すると同時に、投影光学系を介して投影される前記照明領域に対して所定方向に感光基板を走査することにより、前記パターンを該基板の表面上に露光する際、前記照明領域内に沿って配置された複数のフォーカス計測点を用いることにより前記基板表面の位置およびチルトを計測しその計測値に基づいてフォーカス合わせの目標値を作成して前記基板表面をその目標値に向けて駆動する露光方法において、
前記投影光学系の円弧形の照明領域内に配置されたフォーカス計測点に対して常に複数点で計測できる方向から露光が開始されるように走査方向を決定することを特徴とする露光方法。
【0045】
[実施態様3] 円弧形の照明領域に対して転写用のパターンが形成された原版を所定方向に走査すると同時に、投影光学系を介して投影される前記照明領域に対して所定方向に感光基板を走査することにより、前記パターンを該基板の表面上に露光する際、前記照明領域内に沿って配置された複数のフォーカス計測点を用いることにより前記基板表面の位置およびチルトを計測しその計測値に基づいてフォーカス合わせの目標値を作成して前記基板表面をその目標値に向けて駆動する露光方法において、
設定された露光方向で円弧形の照明領域が露光を開始する際、露光開始前に予め複数の計測点で計測できる位置までをスキャンしてフォーカス合わせの目標値を定め、その後定めた目標値にしたがって補正駆動して露光することを特徴とする露光方法。
【0046】
[実施態様4] 円弧形の照明領域に対して転写用のパターンが形成された原版を所定方向に走査すると同時に、投影光学系を介して投影される前記照明領域に対して所定方向に感光基板を走査することにより、前記パターンを該基板の表面上に露光する際、前記照明領域内に沿って配置された複数のフォーカス計測点を用いることにより前記基板表面の位置およびチルトを計測しその計測値に基づいてフォーカス合わせの目標値を作成して前記基板表面をその目標値に向けて駆動する露光方法において、
設定された露光方向で該基板上への露光が開始される際に、該被露光領域の近傍領域に配置されている計測点から求めた基板の傾き量をもとに照明領域両端での傾き補正を行い、該被露光領域内の計測点から求めたフォーカス値をもとに露光開始位置の基板表面を補正駆動することを特徴とする露光方法。
【0047】
[実施態様5] 前記基板上の露光対象部分の位置に応じて実施態様2または3に記載された処理と実施態様4に記載された処理の一方を選択することを特徴とする露光方法。
【0048】
[実施態様6] スリット状の照明領域に対して転写用のパターンが形成された原版を所定方向に走査し、前記照明領域に対して所定方向に感光基板を走査する走査手段と、
前記原版のパターンを前記基板の表面上に露光する投影光学系と、
前記照明領域内に沿って配置されたフォーカス計測点を用いることにより前記基板表面の複数の面位置を計測しその計測値に基づいてフォーカス合わせの目標値を作成して前記基板表面をその目標値に向けて駆動するオートフォーカス機構と
を備えた露光装置であって、
前記基板上の各被露光領域の露光開始端に関し、有効な1以上のフォーカス計測値と有効なチルト値とが得られるように一部の被露光領域における走査の手順を他とは異なる手順に決定する手段を有することを特徴とする露光装置。
【0049】
[実施態様7] 前記スリットが円弧形であることを特徴とする実施態様6に記載の露光装置。
[実施態様8] 前記他とは異なる手順に決定する手段が、前記投影光学系の円弧形の照明領域内に配置されたフォーカス計測点に対して常に複数点で計測できる方向から露光が開始されるように走査方向を決定または変更する手段であることを特徴とする実施態様7に記載の露光装置。
[実施態様9] 前記他とは異なる手順に決定する手段が、設定された露光方向で円弧形の照明領域が露光を開始する前に、予め複数の計測点で計測できる位置までをスキャンしてフォーカス合わせの目標値を定め、その後定めた目標値にしたがって補正駆動して露光するように露光手順を決定または変更する手段であることを特徴とする実施態様7に記載の露光装置。
【0050】
[実施態様10] 前記他とは異なる手順に決定する手段が、設定された露光方向で該基板上への露光が開始される前に、該被露光領域の近傍領域に配置されている計測点から求めた基板の傾き量をもとに照明領域両端での傾き補正を行い、該被露光領域内の計測点から求めたフォーカス値をもとに露光開始位置の基板表面を補正駆動するように露光手順を決定または変更する手段であることを特徴とする実施態様8または9に記載の露光装置。
【0051】
[実施態様11] 前記他とは異なる手順に決定する手段が、実施態様8または9に記載された手順と実施態様10に記載された手順とのいずれか一方を、感光基板上の露光対象部分の位置に応じて選択する手段をさらに有することを特徴とする実施態様10に記載の露光装置。
【0052】
[実施態様12] 前記他とは異なる手順に決定する手段が、設定された露光方向で該基板上への露光が開始される前に、該被露光領域の近傍領域に配置されている計測点から求めた基板の傾き量をもとに照明領域両端での傾き補正を行い、該被露光領域内の計測点から求めたフォーカス値をもとに露光開始位置の基板表面を補正駆動するように露光手順を決定または変更する手段であることを特徴とする実施態様7に記載の露光装置。
【0053】
【発明の効果】
本発明では、スリット状の照明領域をもつステップ・アンド・スキャン方式で露光を行うに際して、前記基板上の各被露光領域の露光開始端に関し、有効な1以上のフォーカス計測値と有効なチルト値とが得られるように一部の被露光領域における走査の手順を他とは異なる手順に決定または変更するようにしている。走査手順を、例えば照明領域内に配置されたフォーカス計測点に対して常に複数点で計測できる方向から露光が開始されるような走査方向に決定または変更することによって走査露光の際における歩留まり低下の原因となるデフォーカスを抑え、高精度のフォーカス合わせを可能としている。または、円弧の外向き方向で露光が開始される際に基板外周部のショットに対しては、予め該当ショットの一定の範囲を露光を行わずにスキャンすることで露光開始位置でのフォーカス値を求め、その計測値をもとに露光開始位置の合焦を行うように決定または変更することで走査露光時の照明領域の総移動量を最小限にしてスループットへの影響を抑えることができる。なお、基板の内側の領域に対しては近傍領域での計測値をもとに該ショットのチルト補正を行うことで基板内側の領域に対しては交互スキャンが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るステップ・アンド・スキャン方式の露光装置の概略図である。
【図2】本発明の実施例1に係る走査露光方法の露光シーケンスを示すフローチャートである。
【図3】円弧の外向き方向で露光が開始される場合のスキャンイメージの図であり、(a)はウエハの外周部のショット、(b)はウエハの内部ショットの場合を示す。
【図4】本発明の実施例2に係る走査露光方法の露光シーケンスを示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例2に係るスキャン露光が、ウエハ端部では(a)→(b)→(c)の順序で行われることを示す動作概略図である。
【図6】円弧型の露光スリットとフォーカス計測点の位置関係を表した配置図である。
【図7】露光ショット内のフォーカス計測点配置の例とスキャンのイメージを、図中上側から露光が開始される場合(a)と下側から露光が開始される場合(b)について示した図である。
【符号の説明】1:縮小投影レンズ、2:レチクル、3:レチクルステージ、3a,5a:スキャン方向を示す矢印、4:ウエハ、5:ウエハステージ、6:露光照明光学系、7:光源、8:コリメータレンズ、9:プリズム形状のスリット部材、10:投光光学系、11,12:折り曲げミラー、13:受光光学系、14:ストッパ絞り、15:補正光学系群、16:光電変換手段群、17,20:XYバーミラー、18:レチクルステージ干渉計、19:レチクル位置制御系、21:ウエハステージ干渉計、22:ウエハ位置制御系、23:面位置検出系、24:メイン制御部、25:円弧形照明領域、26〜28,32〜34:フォーカスセンサ、29〜31:フォーカス計測点、35:露光開始時の照明領域の位置、36:スキャン露光中の照明領域の位置、37:スキャン方向を示す矢印、38:円弧の外向き方向で露光される場合に2点以上でのフォーカス計測が可能となる地点、39:ウエハ外周、40:ウエハ内部ショットを円弧の外向き方向で露光する際に高さ情報を算出する検出点、41〜43:ウエハ内部で円弧の外向き方向に露光される際のチルト量補正に用いる計測位置、44:図2のStep105の処理で移動した後の照明領域の位置、45:照明領域の動作イメージ、100:露光対象ショット。
Claims (1)
- スリット状の照明領域に対して転写用のパターンが形成された原版を所定方向に走査すると同時に、投影光学系を介して投影される前記照明領域に対して所定方向に感光基板を走査することにより、前記パターンを該基板の表面上に露光する際、前記照明領域内に沿って配置された複数のフォーカス計測点を用いることにより前記基板表面の位置およびチルトを計測しその計測値に基づいてフォーカス合わせの目標値を作成して前記基板表面をその目標値に向けて駆動する露光方法において、
前記基板上の各被露光領域の露光開始端に関し、有効な1以上のフォーカス計測値と有効なチルト値とが得られるように一部の被露光領域における走査の手順を他とは異なる手順に決定する工程を有することを特徴とする露光方法。
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JP2003046944A JP2004259815A (ja) | 2003-02-25 | 2003-02-25 | 露光方法 |
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JP2003046944A Pending JP2004259815A (ja) | 2003-02-25 | 2003-02-25 | 露光方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007221091A (ja) * | 2006-02-13 | 2007-08-30 | Samsung Electronics Co Ltd | 半導体製造装置用レべリングアルゴリズム及びその関連装置 |
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- 2003-02-25 JP JP2003046944A patent/JP2004259815A/ja active Pending
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