JP2004256559A - O/w型乳化組成物及びその調製方法 - Google Patents

O/w型乳化組成物及びその調製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、プリン系核酸関連物質を含有するO/W型乳化組成物、より詳細には、プリン系核酸関連物質を含有しながらも、乳化安定性に優れたO/W型乳化組成物を提供することである。
【解決手段】 乳化組成物100重量%中に、アデノシン-3',5'-環状リン酸、アデノシン一リン酸、アデノシン二リン酸、アデノシン三リン酸、及びこれらの塩から選択されるいずれか少なくとも1種のプリン系核酸関連物質を0.1重量%以上;ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.05〜6重量%;アルカノイル乳酸またはその塩を0.01〜1重量%;アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体を0.01〜0.8重量%;水分を50〜90重量%;油分を0.3〜20重量%;及び多価アルコールを0.05〜15重量%の割合で含有するO/W型乳化組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は電解質を含有するO/W型乳化組成物に関する。より詳細には、本発明は電解質を含有しながらも乳化安定性に優れたO/W型乳化組成物に関する。また、本発明は当該乳化安定性に優れたO/W型乳化組成物の調製方法に関する。さらに、本発明は電解質を含むO/W型乳化組成物の乳化安定方法に関する。
一般に電解質には各種の生理機能が知られているが、かかる電解質の機能を有効に発揮し得る製剤組成物を調製するには、該組成物中に電解質をある濃度以上の割合で配合する必要がある。しかしながら、電解質は油水界面膜の強度を低下させる性質を有するため、電解質を含む乳化組成物、特にO/W型乳化組成物を製造する場合は、乳化粒子が合一を起こして、水相と油相との分離や油浮きなどが生じやすいことが知られている。また、電解質の影響により乳化物自体が経時的に劣化して変色変臭を生じる場合もある。
このため、電解質を配合して乳化組成物を調製する場合は、多くの製剤的工夫により乳化の安定化向上を図っているのが現状である。
一方、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、従来より安全性が高く、優れた使用感と機能性を有していることが知られている乳化剤であるが、乳化力は比較的弱く、多量の電解質を添加配合した場合には安定した乳化組成物を調製することは困難である。近年、ポリグリセリン脂肪酸エステルを使用して安定なエマルションを調製する方法として非水乳化法が提案されているが(例えば、特許文献1参照)、この方法でも、電解質の濃度が高くなるにつれて乳化作用が低下して油浮きなどの現象を生じることがある。また近年、少量で安定なエマルションが得られること、油の種類を問わないため汎用性が高いこと、人体や環境に優しいこと、べた付かず皮膚や毛髪への使用感に優れる等といった点から、アクリル酸メタクリル酸アクリル共重合体が優れたO/W型高分子乳化剤として注目されているが、これについてもイオン性成分を配合することによって粘度や乳化安定性が低下するという問題が指摘されている(例えば、非特許文献1参照)。
特開昭56-37040号公報 FREGRANCE JOURNAL 1998-8 p.79-83「O/W型高分子乳化剤の機能と応用」
本発明は、成分として電解質を含有していても乳化安定性に優れ、長期にわたって乳化状態が安定に維持されてなるO/W型乳化組成物を提供することを目的とする。また本発明は、良好な乳化安定性に加えて、成分として配合される電解質に基づいて所望の作用を有する、医薬分野、医薬部外分野並びに香粧分野における各種の外用剤を提供することを目的とする。
また本発明は、電解質を含有しながらも乳化安定性に優れたO/W型乳化組成物の調製方法、ならびに電解質を含有するO/W型乳化組成物の乳化安定方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、電解質を含む組成物を安定に乳化させる目的で日夜研究を進めていたところ、従来公知の乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルとアクリル酸メタクリル酸アルキル重合体とを併用することによりポリグリセリン脂肪酸エステル単独では不可能であった電解質の乳化が可能となったが、長期保存や温度変化を受けることによってポリグリセリン脂肪酸エステルによる乳化粒子とアクリル酸メタクリル酸アルキル重合体による乳化粒子とが凝集して、容器の内壁部分や上層部でゲル化する現象が生じることがわかった。本発明者らはかかる知見に基づいて、さらなる研究を重ねたところ、上記乳化剤にさらにアルカノイル乳酸またはその塩を加えることによって、温度変化によるゲル化が防止でき、長期保存によっても油浮きや分離などの不都合を生じることなく乳化安定性に優れた乳化組成物が調製できることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち本発明は、下記項1〜8に掲げるO/W型乳化組成物である:
項1. 乳化組成物100重量%中に、アデノシン-3',5'-環状リン酸、アデノシン一リン酸、アデノシン二リン酸、アデノシン三リン酸、及びこれらの塩から選択されるいずれか少なくとも1種のプリン系核酸関連物質を0.1重量%以上;ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.05〜6重量%;アルカノイル乳酸またはその塩を0.01〜1重量%;アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体を0.01〜0.8重量%;水分を50〜90重量%;油分を0.3〜20重量%;及び多価アルコールを0.05〜15重量%の割合で含有することを特徴とするO/W型乳化組成物。
項2. ポリグリセリン脂肪酸エステルが、炭素数12〜36の脂肪酸と重合度6以上のポリグリセリンとのエステルである項1に記載のO/W型乳化組成物。
項3. アルカノイル乳酸が、炭素数8以上のアルカノイル基を有する乳酸である項1又は2のいずれかに記載のO/W型乳化組成物。
項4. アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体が、炭素数5〜40のアルキル基を有するものである項1乃至3のいずれかに記載のO/W型乳化組成物。
項5. 油分が炭化水素系液状油である項1乃至4のいずれかに記載のO/W型乳化組成物。
項6. 乳化組成物中に含まれるポリグリセリン脂肪酸エステルとアルカノイル乳酸またはその塩との割合が、重量比で95:5〜60:40である項1乃至5のいずれかに記載のO/W型乳化組成物。
項7. さらに低級アルコールを含有する項1乃至10のいずれかに記載のO/W型乳化組成物。
項8. 皮膚化粧料または皮膚外用用医薬品若しくは医薬部外品である項1乃至7のいずれかに記載のO/W型乳化組成物。
本発明のO/W型乳化組成物には下記の態様が含まれる:
(1).プリン系核酸関連物質がアデノシン一リン酸またはその塩である上記O/W型乳化組成物。
(2).ポリグリセリン脂肪酸エステルが、炭素数12〜36の脂肪酸と重合度6〜10のポリグリセリンとのエステルである上記O/W型乳化組成物。
(3).アルカノイル乳酸が、炭素数8〜18のアルカノイル基を有する乳酸である上記O/W型乳化組成物。
(4).アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体が、炭素数10〜30のアルキル基を有するものである上記O/W型乳化組成物。
(5).乳化組成物100重量%中、プリン系核酸関連物質を0.5〜7重量%の割合で含有する上記O/W型乳化組成物。
(6).乳化組成物100重量%中、プリン系核酸関連物質を1〜6重量%の割合で含有する上記O/W型乳化組成物。
(7).乳化組成物100重量%中、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.1〜5.5重量%、アルカノイル乳酸またはその塩を0.1〜0.5重量%、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体を0.3〜0.6重量%、油分を0.5〜15重量%、及び多価アルコールを3〜10重量%の割合で含有する上記O/W型乳化組成物。
(8).乳化組成物中に含まれるポリグリセリン脂肪酸エステルとアルカノイル乳酸またはその塩との割合が、重量比で90:10〜70:30である上記O/W型乳化組成物。
また本発明は下記の項9に掲げるO/W型乳化組成物の調製方法である:
項9. 下記の工程:
1)ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルカノイル乳酸またはその塩、油分、及び必要に応じて多価アルコールを含む組成物を用いて非水乳化物を調製する工程、
2)アデノシン-3',5'-環状リン酸、アデノシン一リン酸、アデノシン二リン酸、アデノシン三リン酸、及びこれらの塩から選択されるいずれか少なくとも1種のプリン系核酸関連物質、水分及びアクリル酸メタクリル酸アルキル重合体を含む組成物を用いて水溶液を調製する工程、及び
3)上記非水乳化物と水溶液とを混合して乳化する工程
を有するO/W型乳化組成物の調製方法であって、乳化組成物100重量%中、上記プリン系核酸関連物質が0.1重量%以上;ポリグリセリン脂肪酸エステルが0.05〜6重量%;アルカノイル乳酸またはその塩が0.01〜1重量%;アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体が0.01〜0.8重量%;水分が50〜90重量%;油分が0.3〜20重量%;及び多価アルコールが0.05〜15重量%の割合で含まれるように調製するO/W型乳化組成物の調製方法。
当該O/W型乳化組成物の調製方法には下記の態様が含まれる:
(1).上記2)の工程が、さらに低級アルコールまたは多価アルコールのいずれか少なくとも1種を含む組成物を用いて水溶液を調製する工程であるO/W型乳化組成物の調製方法。
(2)最終乳化組成物100重量%中、1〜40重量%となるような割合で非水乳化物を配合するO/W型乳化組成物の調製方法。
(3).プリン系核酸関連物質が、アデノシン一リン酸またはその塩であるO/W型乳化組成物の調製方法。
(4).ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、炭素数12〜36の脂肪酸と重合度6以上のポリグリセリンとのエステルを用いるO/W型乳化組成物の調製方法。
(5).ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、炭素数12〜36の脂肪酸と重合度6〜10のポリグリセリンとのエステルを用いるO/W型乳化組成物の調製方法。
(6).アルカノイル乳酸として、炭素数8以上のアルカノイル基を有する乳酸を用いるO/W型乳化組成物の調製方法。
(7).アルカノイル乳酸として、炭素数8〜18のアルカノイル基を有する乳酸を用いるO/W型乳化組成物の調製方法。
(8).アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体として、炭素数5〜40のアルキル鎖を有するアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体を用いるO/W型乳化組成物の調製方法。
(9).アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体として、炭素数10〜30のアルキル基を有するアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体を用いるO/W型乳化組成物の調製方法。
(10).油分として炭化水素系液状油を用いるO/W型乳化組成物の調製方法。
(11).乳化組成物100重量%中、プリン系核酸関連物質が0.5〜7重量%の割合で含まれるように調製するO/W型乳化組成物の調製方法。
(12).乳化組成物100重量%中、プリン系核酸関連物質が1〜6重量%の割合で含まれるように調製するO/W型乳化組成物の調製方法。
(13).乳化組成物100重量%中、ポリグリセリン脂肪酸エステルが0.1〜5.5重量%、アルカノイル乳酸またはその塩が0.1〜0.5重量%、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体が0.3〜0.6重量%、油分が0.5〜15重量%、及び多価アルコールが3〜10重量%の割合で含まれるように調製するO/W型乳化組成物の調製方法。
(14).乳化組成物中に含まれるポリグリセリン脂肪酸エステルとアルカノイル乳酸またはその塩との割合が、重量比で95:5〜60:40となるように調製するO/W型乳化組成物の調製方法。
(15).乳化組成物中に含まれるポリグリセリン脂肪酸エステルとアルカノイル乳酸またはその塩との割合が、重量比で90:10〜70:30となるように調製するO/W型乳化組成物の調製方法。
(16).O/W型乳化組成物が皮膚化粧料または皮膚外用用医薬品若しくは医薬部外品であるO/W型乳化組成物の調製方法。
またさらに本発明は下記の項10に掲げるO/W型乳化組成物の乳化安定方法である:
項10.ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルカノイル乳酸またはその塩、アクリル酸メタクリル酸アルキル重合体、及び必要に応じて多価アルコールを配合することを特徴とする、アデノシン-3',5'-環状リン酸、アデノシン一リン酸、アデノシン二リン酸、アデノシン三リン酸、及びこれらの塩から選択されるいずれか少なくとも1種のプリン系核酸関連物質、水分及び油分を含有するO/W型乳化組成物の乳化安定方法。
なお、当該O/W型乳化組成物の乳化安定方法には、下記の態様が含まれる:
(1).ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルカノイル乳酸またはその塩、油分、及び必要に応じて多価アルコールを含む非水乳化物と、
アデノシン-3',5'-環状リン酸、アデノシン一リン酸、アデノシン二リン酸、アデノシン三リン酸、及びこれらの塩から選択されるいずれか少なくとも1種のプリン系核酸関連物質、水分及びアクリル酸メタクリル酸アルキル重合体を含む水溶液と
を混合して乳化することを含むO/W型乳化組成物の乳化安定方法。
(2).O/W型乳化組成物が、プリン系核酸関連物質としてアデノシン一リン酸またはその塩を含有するものであるO/W型乳化組成物の乳化安定方法。
(3).O/W型乳化組成物が、該組成物100重量%中にプリン系核酸関連物質を少なくとも0.1重量%の割合で含むものであるO/W型乳化組成物の乳化安定方法。
(4).O/W型乳化組成物が、該組成物100重量%中にプリン系核酸関連物質を0.5〜7重量%の割合で含むものであるO/W型乳化組成物の乳化安定方法。
(5).O/W型乳化組成物が、該組成物100重量%中にプリン系核酸関連物質を1〜6重量%の割合で含むものであるO/W型乳化組成物の乳化安定方法。
(6).O/W型乳化組成物が、油分として炭化水素系液状油を含有するものであるO/W型乳化組成物の乳化安定方法。
(7).O/W型乳化組成物が、該組成物100重量%中に油分を0.3〜20重量%の割合で含むものであるO/W型乳化組成物の乳化安定方法。
(8).O/W型乳化組成物が、該組成物100重量%中に油分を0.5〜15重量%の割合で含むものであるO/W型乳化組成物の乳化安定方法。
(9).ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、炭素数12〜36の脂肪酸と重合度6以上のポリグリセリンとのエステルを用いるO/W型乳化組成物の乳化安定方法。
(10).ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、炭素数12〜36の脂肪酸と重合度6〜10のポリグリセリンとのエステルを用いるO/W型乳化組成物の乳化安定方法。
(11).アルカノイル乳酸として、炭素数8以上のアルカノイル基を有する乳酸を用いるO/W型乳化組成物の乳化安定方法。
(12).アルカノイル乳酸として、炭素数8〜18のアルカノイル基を有する乳酸を用いるO/W型乳化組成物の乳化安定方法。
(13).アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体として、炭素数5〜40のアルキル鎖を有するアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体を用いるO/W型乳化組成物の乳化安定方法。
(14).アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体として、炭素数10〜30のアルキル基を有するアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体を用いるO/W型乳化組成物の乳化安定方法。
(15).油分を0.3〜20重量%の割合で含有する乳化組成物100重量%中、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.05〜6重量%、アルカノイル乳酸またはその塩を0.01〜1重量%、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体を0.01〜0.8重量%、及び必要に応じて多価アルコールを0.05〜15重量%の割合になるように配合するO/W型乳化組成物の乳化安定方法。
(16).油分を0.5〜15重量%の割合で含有する乳化組成物100重量%中、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.1〜5.5重量%、アルカノイル乳酸またはその塩を0.1〜0.5重量%、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体を0.3〜0.6重量%、及び必要に応じて多価アルコールを3〜10重量%の割合になるように配合するO/W型乳化組成物の乳化安定方法。
(17).O/W型乳化組成物中に、ポリグリセリン脂肪酸エステルとアルカノイル乳酸またはその塩との割合が、重量比で95:5〜60:40となるように配合するO/W型乳化組成物の乳化安定方法。
(18).O/W型乳化組成物中に、ポリグリセリン脂肪酸エステルとアルカノイル乳酸またはその塩との割合が、重量比で90:10〜70:30となるように配合するO/W型乳化組成物の乳化安定方法。
(19).O/W型乳化組成物が皮膚化粧料または皮膚外用用医薬品若しくは医薬部外品であるO/W型乳化組成物の乳化安定方法。
(1)O/W型乳化組成物及びその製造方法
本発明のO/W型乳化組成物は、基本的に電解質、水分、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルカノイル乳酸またはその塩、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、及び油分を含有することを特徴とするO/W型乳化組成物である。
本発明で用いられる電解質は、特に限定されないが、好ましくは皮膚に適用されて生理機能を発揮するものであって、例えば外用剤、特に化粧品や外用の医薬品又は医薬部外品中に配合できるものを広く挙げることができる。好ましくは水溶性若しくは親水性のものである。かかる電解質として、具体的にはアデニン,アデノシン一リン酸,アデノシン二リン酸,アデノシン三リン酸,アデノシン環状リン酸などのアデニル酸誘導体及びこれらの塩、グアニン,グアノシン一リン酸,グアノシン二リン酸,グアノシン三リン酸などのグアニル酸誘導体及びこれらの塩、キサンチン、キサンチン酸、イノシン酸及びこれらの塩などのプリン系核酸関連物質;ウラシル、シトシン、チミン及びその誘導体などのピリミジン系核酸関連物質;デオキシリボ核酸及びその塩、リボ核酸及びその塩、ヌクレオシド、並びにヌクレオチドなどの核酸関連物質;ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、 ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸、リポ酸、イノシトール、及びアスコルビン酸などの水溶性ビタミンまたはその誘導体;セリン、グリシン、アスパラギン、アスパラギン酸、リジン、アルギニン、スレオニン、システイン、グルタミン酸、及びピロリドンカルボン酸等のアミノ酸またはその誘導体などを例示することができる。これらは1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
尚、上記各種の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸塩;アンモニウム塩、トリエタノ-ルアミン塩等を挙げることができる。
電解質として、好ましくは核酸関連物質、特にプリン系核酸関連物質である。中でもアデノシンリン酸等のアデニル酸誘導体またはそれらの塩は、皮膚に塗布されることにより角層中の遊離アミノ酸量を増大させて保湿効果を発揮し、それととともに皮膚のターンオーバーを誘導して皮膚の乾燥や老化を防止し、また荒れ肌を改善する作用を有することが知られており、このため本発明において好適に使用できる電解質である。
アデノシンリン酸またはその塩として具体的には、アデノシン-3',5'-環状リン酸、アデノシン一リン酸、アデノシン一リン酸一ナトリウム、アデノシン一リン酸二ナトリウム、アデノシン二リン酸、アデノシン二リン酸一ナトリウム、アデノシン二リン酸二ナトリウム、アデノシン三リン酸、アデノシン三リン酸一ナトリウム、アデノシン三リン酸二ナトリウム、アデノシン三リン酸三ナトリウムなどが例示できる。なかでも好ましくはアデノシン一リン酸またはその塩(アデノシン一リン酸一ナトリウム、アデノシン一リン酸二ナトリウム)である。
乳化組成物中に配合される電解質の割合は、その電解質がそれぞれに応じて所望の効果を発揮する量であれば特に制限されない。具体的には、使用する電解質の種類によって異なるが、最終乳化組成物100重量%あたり少なくとも0.1重量%、好ましくは0.5〜7重量%、より好ましくは1〜6重量%の範囲を挙げることができる。
また本発明のO/W型乳化組成物は、水分を必須成分として含有するが、水分として蒸留水、イオン交換水、滅菌水のほか、電解質を含む水を用いることもできる。かかる電解質を含む水としては、例えば、海水、温泉水、ミネラル水などを例示することができる。なお、ここで海水とは表層水、中層水、深層水、超深層水の別を問うものではない。
最終乳化組成物100重量%中におけるかかる水分の配合割合は、特に制限されないが、通常50〜90重量%の範囲から適宜選択することができる。この60〜80重量%である。
本発明で用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、特に特定されないが、炭素数が12〜36の脂肪酸と重合度が6以上、特に6〜10のポリグリセリンとのエステルを挙げることができる。ポリグリセリンとエステルを形成する脂肪酸は飽和、不飽和、直鎖状又は分枝鎖状のいずれの脂肪酸でも良く、具体的にはカプリン酸、ラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘニン酸またはリシノール酸などを例示することができる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては具体的には、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノイソステアリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、ジオレイン酸ヘキサグリセリル、ジミリスチン酸ヘキサグリセリル、ジパルミチン酸ヘキサグリセリル、ジステアリン酸ヘキサグリセリル、ジベへニン酸ヘキサグリセリル、トリラウリン酸ヘキサグリセリル、トリミリスチン酸ヘキサグリセリル、トリパルミチン酸ヘキサグリセリル、トリステアリン酸ヘキサグリセリル、トリベへニン酸ヘキサグリセリル、テトララウリン酸ヘキサグリセリル、テトラミリスチン酸ヘキサグリセリル、テトラパルミチン酸ヘキサグリセリル、テトラステアリン酸ヘキサグリセリル、テトラベへニン酸ヘキサグリセリル、ペンタラウリン酸ヘキサグリセリル、ペンタミリスチン酸ヘキサグリセリル、ペンタパルミチン酸ヘキサグリセリル、ペンタステアリン酸ヘキサグリセリル、ペンタベへニン酸ヘキサグリセリル、モノカプリン酸デカグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノパルミチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、ジカプリン酸デカグリセリル、ジラウリン酸デカグリセリル、ジミリスチン酸デカグリセリル、ジパルミチン酸デカグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル、トリラウリン酸デカグリセリル、トリミリスチン酸デカグリセリル、トリパルミチン酸デカグリセリル、トリステアリン酸デカグリセリル、トリオレイン酸デカグリセリル、トリベへニン酸デカグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル、ペプタステアリン酸デカグリセリル、デカステアリン酸デカグリセリル、デカオレイン酸デカグリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル等が例示できるが、これに限定されるものではない。
これらのポリグリセリン脂肪酸エステルは一種単独で使用されても、また二種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。さらにポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、HLBが10以上、特に10〜15の範囲にあるものを好適に使用することができる。かかるポリグリセリン脂肪酸エステルは最終乳化組成物100重量%あたり0.05〜6重量%の割合で含まれるように使用されるのが好ましく、より好ましくは0.1〜5.5重量%の割合を挙げることができる。
また本発明で用いられるアルカノイル乳酸としては、特に限定されないが、炭素数が8以上、好ましくは8〜18のアルカノイル基を有する乳酸を例示することができる。具体的には、オクタノイル乳酸、カプロイル乳酸、2−エチルヘキサノイル乳酸、ラウロイル乳酸、ミリストイル乳酸、パルミトイル乳酸、ステアロイル乳酸、イソステアロイル乳酸、オレオイル乳酸、12-ヒドロキシステアロイル乳酸、リシノレイル乳酸、及びベヘノイル乳酸を例示することができる。好ましくはステアロイル乳酸およびイソステアロイル乳酸である。当該アルカノイル乳酸は塩の態様で使用することもできる。かかる塩としてはナトリウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩;アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩等を挙げることができる。好ましくはナトリウム塩であり、より具体的にはステアロイル乳酸ナトリウム及びイソステアロイル乳酸ナトリウムである。
これらのアルカノイル乳酸またはその塩は一種単独で使用されても、また二種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。かかるアルカノイル乳酸またはその塩は最終乳化組成物100重量%あたり0.01〜1重量%の割合で含まれるように使用されるのが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5重量%の割合を挙げることができる。
これらポリグリセリン脂肪酸エステルとアルカノイル乳酸またはその塩は、本発明の乳化組成物の製造過程で調製される非水乳化物の乳化剤として使用される。かかるポリグリセリン脂肪酸エステルとアルカノイル乳酸またはその塩との配合割合は、両者を組み合わせた場合のHLBが10以上、好ましくは10〜13となるような範囲であることが望ましく、具体的にはポリグリセリン脂肪酸エステルとアルカノイル乳酸またはその塩の重合比として95:5〜60:40、好ましくは90:10〜70:30を例示することができる。
本発明で用いられるアクリル酸メタクリル酸アルキル重合体としては、特に制限されるものではないが、通常はアルキル鎖の炭素数が5〜40のものを挙げることができる。好ましくは、アルキル鎖の炭素数が10〜30のものである。これらは簡便には商業的に入手できるものを利用することができ、制限されないが、具体的にはCarbopol(商標) 1342(BF goodrich社製)、Pemulen(商標) TR-1(BF goodrich社製)、Pemulen TR-2(BF goodrich社製)等を例示することができる。
これらのアクリル酸メタクリル酸アルキル重合体は一種単独で使用されても、また二種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。かかるアクリル酸メタクリル酸アルキル重合体は最終乳化組成物100重量%あたり0.01〜0.8重量%の割合で含まれるように使用されるのが好ましく、より好ましくは0.3〜0.6重量%、さらに好ましくは0.4〜0.6重量%の割合である。
本発明で使用される油分は特に限定されるものではない。具体的には、ラッカセイ油、ゴマ油、大豆油、サフラワ-油、アボガド油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、菜種油、メンジツ油、ヒマシ油、椿油、ヤシ油、オリ-ブ油、ケシ油、カカオ油、及びホホバ油等の植物油、並びに牛脂、豚脂、及び羊毛油等の動物油脂などの油脂類;ワセリン、流動パラフィン、スクワラン、及びα−オレフィンオリゴマー等の炭化水素系液状油;ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸n−ブチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、リノレン酸イソプロピル、リシノール酸プロピル、リシノール酸イソプロピル、リシノール酸イソブチル、リシノール酸ヘプチル、セバシン酸ジエチル、及びアジピン酸ジイソプロピル等の高級脂肪酸エステル;サラシミツロウ、鯨ロウ、及び木ロウ等のロウ類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、バチルアルコール、及びキミルアルコール等の高級脂肪族アルコール;ワックス類;ステアリン酸、オレイン酸、及びパルミチン酸等の高級脂肪酸;炭素数12〜18の飽和又は不飽和脂肪酸のモノ、ジ、トリグリセライド混合物;メチルポリシロキサン,ジメチルポリシロキサン,メチルフェニルポリシロキサン,メチルハイドロゲンポリシロキサンなどの鎖状シリコーン、デカメチルシクロペンタシロキサン,オクタメチルシクロテトラシロキサン,メチルシクロシロキサンなどの環状シリコーン、架橋型メチルポリシロキサン及び架橋型メチルフェニルポリシロキサン等の架橋型シリコーン、例えばポリオキシエチレンやポリオキシプロピレン等で変性した変性シリコーンなどのシリコーン油などを例示できる。好ましくは、ワセリン、流動パラフィン、スクワラン、α−オレフィンオリゴマー等の炭化水素系液状油である。
これらの油分は一種単独で使用されても、また二種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。また、油分が固形の場合は補助溶解剤を用いて液状に調製して使用することが好ましい。
かかる油分は最終乳化組成物100重量%あたり0.3〜20重量%の割合で含まれるように使用されるのが好ましく、より好ましくは0.5〜15重量%の割合を挙げることができる。
本発明のO/W型乳化組成物は、その調製方法を特に制限するものではないが、下記のようにして調製されるのが好ましい。
1)まず、前述するポリグリセリン脂肪酸エステルとアルカノイル乳酸またはその塩に油分 、好ましくはさらに多価アルコールを加えて、加温撹拌し、均一に溶解した後、冷却して非水乳化物を作成する。
2)次いで、得られた非水乳化物に、別個に調製した電解質、水分及びアクリル酸メタクリル酸アルキル重合体を含有する水溶液(水系組成物)を混合して常法により乳化してO/W型乳化組成物を調製する。
ここで1)の非水乳化物の作成工程において、好適には多価アルコールが配合され、これによってポリグリセリン脂肪酸エステルやアルカノイル乳酸等の乳化力の発現の一層の向上を図ることができる。
ここで用いられる多価アルコールは、特に限定されるものではないが、具体的にはグリセリン、重合度2〜10のポリグリセリン(例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリンなど)、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、ペンタジオール、ソルビトール、マルチトール、フルクトースなどを例示することができる。好ましくはグリセリンである。なお、これらの多価アルコールは一種単独で使用されても、また二種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。この場合、多価アルコ−ルは最終乳化組成物100重量%中に0.05〜15重量%の割合、好ましくは3〜10重量%の割合で含まれるように配合される。
また2)の乳化工程において、上記非水乳化物と混合する水溶液(水系組成物)には、電解質、水分及びアクリル酸メタクリル酸アルキル重合体に加えて、低級アルコ−ルを配合することができ、これにより電解質の経皮吸収をより促進することができる。本発明で用いられる低級アルコールは特に限定されるものではなく、通常炭素数1〜6のアルコールの中から適宜選択して使用することができるが、好ましくはエタノール、プロパノール、及びイソプロパノール等の炭素数1〜4を有するアルコールを例示することができる。これらの低級アルコールは一種単独で使用されても、また二種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。より好ましくはエタノールである。この場合、低級アルコ−ルは最終乳化組成物100重量%中、0.5〜15重量%の割合、好ましくは3〜10重量%の割合で含まれるように配合される。
さらに上記水溶液(水系組成物)には、多価アルコ−ルを配合してもよく、これにより最終乳化組成物の保湿性能や官能特性を所望の程度に調節することができる。ここで多価アルコールは前述するものを任意に用いることができるが、非水乳化物の調製に多価アルコールが使用される場合には、当該多価アルコールと同一若しくはそれと相溶性の高いものを用いるのが好ましい。
なお、非水乳化物と水溶液(水系組成物)との乳化方法としては、ホモミキサーなどを用いて常圧下または高圧下で撹拌する方法を挙げることができるが、必要に応じて得られたエマルションをさらにホモジナイザーを用いて微細化することもできる。
非水乳化物と水溶液(水系組成物)との配合割合は、特に制限されないが、最終乳化組成物100重量%あたりの非水乳化物の割合が通常1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%となるように調製されることが望ましく、これにより安定なO/W型乳化組成物を製造することができる。
本発明のO/W型乳化組成物には、さらに本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて各種の界面活性剤、色素(染料、顔料)、香料、防腐剤、殺菌剤、増粘剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、pH調整剤、防臭剤等の各種添加物の他、保湿剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、ビタミン類、植物エキス、皮膚収斂剤、抗炎症剤、美白剤、抗酸化剤、及び細胞賦活剤などの公知の各種成分、特に化粧料や外用の医薬品・医薬部外品など、皮膚に適用される外用組成物に配合される公知の成分を配合することができる。
本発明のO/W型乳化組成物は、その粘度によって特に制限されないが、皮膚に適用される化粧料や外用医薬品若しくは外用医薬部外品の場合は、通常20℃における粘度が30000cps以下、好ましくは500〜20000cpsの範囲になるように調製されるのが望ましい。
本発明のO/W型乳化組成物は、使用用途及び目的とする効果に応じて、電解質を所望量、特に0.1重量%以上、好ましくは0.1〜6重量%の範囲で所望量含有させても、温度変化を受けやすい条件下での長期保存によっても油分の分離が有意に抑制されており、乳化状態が安定に維持されてなるものである。また、本発明のO/W型乳化組成物は、使用用途に応じてベタつかず皮膚使用感に優れるように調整することもできる。よって本発明のO/W型乳化組成物は、特に皮膚(頭皮を含む)に適用される化粧料や皮膚(頭皮を含む)外用の医薬品や医薬部外品などの外用剤として有用である。とりわけ電解質としてアデノシン一リン酸(AMP)又はその塩を用いる場合、当該AMP又はその塩の作用に基づいて、保湿効果、乾燥や老化の防止及び荒れ肌の改善に優れた化粧料または皮膚外用剤(医薬品、医薬部外品)として調製することができる。
本発明のO/W型乳化組成物を化粧料又は皮膚外用剤(医薬品、医薬部外品)などの外用剤として調製する場合、その形態は特に制限はされないが、乳液、懸濁液、及びクリーム等を例示することができる。
また化粧料としては、具体的には、エモリエント乳液、ミルキーローション、ナリシング乳液、クレンジング乳液等の乳液;エモリエントクリーム、マッサージクリーム、クレンジングクリーム、メイクアップクリーム等のクリーム等を例示することができる。これらは、使用者の年齢、性別、用途、皮膚患部の症状の程度等に応じて適当量/回または適当回数/日、皮膚に塗布使用される。
(2)電解質を含有するO/W型乳化組成物の乳化安定方法
本発明は、また電解質を含有するO/W型乳化組成物の乳化安定方法を提供する。当該方法は、前述する電解質、水分及び油分に加えて、前述するアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及びアルカノイル乳酸またはその塩を用いて、O/W型乳化組成物を調製することによって実施することができる。該乳化組成物に、より高い乳化安定性を付与するためには、上記成分に加えて、さらに多価アルコールを配合することもできる。
具体的には、電解質を0.1重量%以上、好ましくは0.5〜7重量%、より好ましくは1〜6重量%の範囲で含む最終O/W型乳化組成物100重量%中に、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.05〜6重量%、好ましくは0.1〜5.5重量%の割合;アルカノイル乳酸またはその塩を0.01〜1重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%の割合;及びアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体を0.01〜0.8重量%、0.3〜0.6重量%、より好ましくは0.4〜0.6重量%の割合で配合することによって実施することができる。なお、この場合、最終O/W型乳化組成物中に含まれる油分の割合は、制限されないが、好ましくは0.3〜20重量%、より好ましくは0.5〜15重量%である。また水分は、上記油分とその他の各成分以外の残部を占める成分であり、特に制限されないが、通常50〜90重量%の範囲から適宜選択調整することができる。好ましくは60〜80重量%の割合である。
また、乳化組成物の調製にポリグリセリン脂肪酸エステルとアルカノイル乳酸またはその塩を、両者を合わせた場合のHLBが10以上、好ましくは10〜13となるような割合、具体的にはポリグリセリン脂肪酸エステルとアルカノイル乳酸またはその塩との重量比が95:5〜60:40、好ましくは90:10〜70:30となるような割合で用いることが好ましい。
また、多価アルコールを配合する場合、その割合としては0.05〜15重量%、好ましくは2〜10重量%の範囲を例示することができる。
本発明の乳化安定方法は、より具体的には、各配合成分が上記の割合となるようにO/W型乳化組成物を下記のようにして調製することにより、実施することができる。
1)まず、ポリグリセリン脂肪酸エステルとアルカノイル乳酸またはその塩に油分、好ましくはさらに多価アルコールを加えて、加温撹拌し、均一に溶解した後、冷却して非水乳化物を作成する。
2)次いで、得られた非水乳化物に、別個に調製した電解質、水分及びアクリル酸メタクリル酸アルキル重合体を含有する水溶液(水系組成物)を混合して常法により乳化してO/W型乳化組成物を調製する。
斯くしてO/W型乳化組成物を調製することにより、O/W型乳化組成物に乳化安定性を付与することができ、温度変化を受けやすい条件下での長期保存によっても油分の分離が有意に抑制され、乳化状態が安定に維持されてなる乳化組成物を提供することができる。
本発明によれば、乳化が一般に難しいとされる電解質を含有していながらも、長期乳化安定性に優れたO/W型乳化組成物を提供することができる。また、本発明によれば、電解質を比較的多量に含むO/W型乳化組成物について、乳化安定性を向上させる方法を提供することができる。このため、本発明によれば、各種の生理機能を有する電解質の作用を効率的に発揮させて有効利用を図ることのできる電解質含有O/W型乳化組成物を提供することができる。
本発明のO/W型乳化組成物は、電解質を安定した状態で多量に配合できるため、電解質を有効成分とする化粧料又は皮膚外用剤(医薬品若しくは医薬部外品)などとして有用である。特にアデノシン一リン酸(AMP)やその塩等の核酸関連物質を含有するO/W型乳化組成物は、該物質が有する保湿作用や皮膚のターンオーバー促進作用を有効に発揮することができ、小皺を防ぎ皮膚に弾力性を与える等、皮膚の老化防止や美肌化に有効な化粧料や皮膚外用剤として有用である。
また、本発明によれば、長期乳化安定性に優れるだけでなく、配合する電解質、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルカノイル乳酸またはその塩、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、多価アルコール、水分及び油分等の各成分の種類や配合割合を適宜調整することによって油っぽさやベタベタ感を有意に抑制することができ、皮膚使用感に優れたO/W型乳化組成物を提供することができる。
このように、本発明のO/W型乳化組成物は、特に外用剤、例えば皮膚化粧料(頭皮用化粧料を含む)、皮膚外用(頭皮を含む)の医薬品若しくは医薬部外品として有用である。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1〜8
ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルカノイル乳酸塩、油分及び多価アルコールを混合して、加温しながら溶解し、次いで冷却することによって均一な非水乳化物を調製した。この非水乳化物に、別個、電解質、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、多価アルコール及び低級アルコールを精製水(純水)に溶解して調製しておいた水系組成物(水溶液)を加え、ホモミキサーで撹拌混合することによって本発明の乳化組成物(実施例1〜8)を作成した。最終組成物の各成分組成を表1に示す。
調製した8種類の乳化組成物(実施例1〜8)をそれぞれ2つの透明ガラス瓶に分取し、1方は60℃で2週間放置し、またもう一方は−5〜40℃でのサイクル試験(1サイクル24時間)を15回繰り返し、それぞれについて実験終了後の乳化組成物の外観性状(分離、油浮き、ゲル形成の有無)を目視にて確認し、下記の判定基準に従って評価した。
<判定基準>
○:分離、油浮き及びゲル形成のいずれも認めない
×:分離、油浮きまたはゲル形成のいずれかを認める。
また、比較のため、上記実施例1〜8と同様の方法で、表2に示すように、アルカノイル乳酸塩を含有しない乳化組成物(比較例1)、及びアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体を含有しない乳化組成物(比較例2)を調製して、上記と同様にして保存安定化試験に供した。
実施例1〜8及び比較例1〜3の乳化組成物について保存安定化試験を行った結果をそれぞれ表1及び2に合わせて示す。
Figure 2004256559
Figure 2004256559
表からわかるように、本発明のO/W型乳化組成物は、実施例4の組成物のように比較的多量の電解質を含有する場合であっても、長期保存ならびに温度変化を受けやすい条件下での保存によっても、水相と油相との分離、油浮き及びゲル形成のいずれも生じず、安定した乳化状態を維持していた。一方、比較例で示すように、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体を含有しない乳化組成物(比較例2)は長期安定性に欠いており、またアルカノイル乳酸を含まない乳化組成物(比較例1)、温度変化を受けることによってゲルを生じ、安定した乳化状態を維持することができなかった。
処方例1〜7 乳液
上記実施例に従って、実施例1、3〜8の処方(表1)からなるO/W型乳化組成物を乳液(処方例1〜7)として調製する。
処方例8 ローション(化粧水)
DL−ピロリドンカルボン酸ナトリウム液 1.0 重量%
モノイソステアリン酸デカグリセリル 0.16
モノステアリン酸デカグリセリル 0.02
ステアロイル乳酸ナトリウム 0.02
α−オレフィンオリゴマー 0.5
精製グリセリン 2.0
ジプロピレングリコール 5.0
アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体 0.5
エタノール 3.0
pH調整剤 適 量
防腐剤 適 量
純水 残 余
合 計 100.00重量%。
モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、ステアロイル乳酸ナトリウム、α−オレフィンオリゴマー、精製グリセリン及びジプロピレングリコールを混合して、加温しながら溶解し、次いで冷却することによって均一な非水乳化物を調製する。この非水乳化物に、別個調製したDL−ピロリドンカルボン酸ナトリウム液、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、及びエタノールを含む水溶液を加え、撹拌混合することによってローション(化粧水)を作成する。

Claims (9)

  1. 乳化組成物100重量%中に、アデノシン-3',5'-環状リン酸、アデノシン一リン酸、アデノシン二リン酸、アデノシン三リン酸、及びこれらの塩から選択されるいずれか少なくとも1種のプリン系核酸関連物質を0.1重量%以上;ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.05〜6重量%;アルカノイル乳酸またはその塩を0.01〜1重量%;アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体を0.01〜0.8重量%;水分を50〜90重量%;油分を0.3〜20重量%;及び多価アルコールを0.05〜15重量%の割合で含有することを特徴とするO/W型乳化組成物。
  2. ポリグリセリン脂肪酸エステルが、炭素数12〜36の脂肪酸と重合度6以上のポリグリセリンとのエステルである請求項1に記載のO/W型乳化組成物。
  3. アルカノイル乳酸が、炭素数8以上のアルカノイル基を有する乳酸である請求項1又は2のいずれかに記載のO/W型乳化組成物。
  4. アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体が、炭素数5〜40のアルキル基を有するものである請求項1乃至3のいずれかに記載のO/W型乳化組成物。
  5. 油分が炭化水素系液状油である請求項1乃至4のいずれかに記載のO/W型乳化組成物。
  6. 乳化組成物中に含まれるポリグリセリン脂肪酸エステルとアルカノイル乳酸またはその塩との割合が、重量比で95:5〜60:40である請求項1乃至5のいずれかに記載のO/W型乳化組成物。
  7. さらに低級アルコールを含有する請求項1乃至10のいずれかに記載のO/W型乳化組成物。
  8. 皮膚化粧料または皮膚外用用医薬品若しくは医薬部外品である請求項1乃至7のいずれかに記載のO/W型乳化組成物。
  9. 下記の工程:
    1)ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルカノイル乳酸またはその塩、油分、及び必要に応じて多価アルコールを含む組成物を用いて非水乳化物を調製する工程、
    2)アデノシン-3',5'-環状リン酸、アデノシン一リン酸、アデノシン二リン酸、アデノシン三リン酸、及びこれらの塩から選択されるいずれか少なくとも1種のプリン系核酸関連物質、水分及びアクリル酸メタクリル酸アルキル重合体を含む組成物を用いて水溶液を調製する工程、及び
    3)上記非水乳化物と水溶液とを混合して乳化する工程
    を有するO/W型乳化組成物の調製方法であって、乳化組成物100重量%中、上記プリン系核酸関連物質が0.1重量%以上;ポリグリセリン脂肪酸エステルが0.05〜6重量%;アルカノイル乳酸またはその塩が0.01〜1重量%;アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体が0.01〜0.8重量%;水分が50〜90重量%;油分が0.3〜20重量%;及び多価アルコールが0.05〜15重量%の割合で含まれるように調製するO/W型乳化組成物の調製方法。

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