JP2004241456A - 金属化フィルムコンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】誘電体フィルムに金属を蒸着して形成された金属蒸着部と、金属が蒸着されていない非蒸着部とからなる金属化フィルムにおいて、非蒸着部側の金属蒸着部を電圧印加による電界集中によるダメージやコロージョンを抑制させて、安定した品質を保てる金属化フィルムコンデンサの提供を目的とする。
【解決手段】誘電体フィルムに亜鉛を主体とする金属蒸着電極から成る金属化フィルムを巻回または積層してなるコンデンサ素子を形成する際に、非蒸着部側の蒸着金属の亜鉛濃度を高くすること、蒸着金属を厚く蒸着すること、または蒸着金属の亜鉛含有量を多くすることを特徴とする金属化フィルムコンデンサ。
【選択図】 図1
【解決手段】誘電体フィルムに亜鉛を主体とする金属蒸着電極から成る金属化フィルムを巻回または積層してなるコンデンサ素子を形成する際に、非蒸着部側の蒸着金属の亜鉛濃度を高くすること、蒸着金属を厚く蒸着すること、または蒸着金属の亜鉛含有量を多くすることを特徴とする金属化フィルムコンデンサ。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は力率改善用の電力用、電気機器用、各種電源回路用及び通信機器等に使用される金属化フィルムコンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、比較的低電圧小容量定格のコンデンサとしてポリプロピレンフィルム等の誘電体フィルムに金属を蒸着する蒸着フィルムコンデンサにおいて、メタリコン接触部近傍の蒸着電極のみを低抵抗にすることが公知となっている(例えば特許文献1)。
【0003】
そして上記の技術によって、蒸着金属とメタリコンとの接触をよくすることが知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭61−188920号公報(第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の構成で金属化フィルムコンデンサとする場合、いくつかの課題を有していた。
【0006】
まず第1に、誘電体フィルムに金属を蒸着して形成された金属蒸着部の非蒸着部に近い部分の蒸着金属の亜鉛含有濃度が低いと、アルミニウム特有のクリアリング性の良さにより、電圧印加時にクリアリングによる膜変化のため容量減少が大きくなったり、耐電流性が悪くなったりする傾向を示す。なお、このアルミニウム特有のクリアリング性の良さは、電極がヒューズ部を形成し自己回復させるのに適した性質であるが、特に、この非蒸着部に近い部分において、クリアリング性がよすぎるとかえって上記した容量減少が発生する。
【0007】
また第2に、誘電体フィルムに金属を蒸着して形成された金属蒸着部の非蒸着部に近い部分の蒸着金属が薄いと、微小欠陥部を飛散させるためのエネルギーが小さくても飛散させることが可能となり、電圧印加時にクリアリングや電荷の集中により蒸着金属膜の薄い部分の蒸着膜が変化し、容量減少を招く。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するものであり、金属化フィルムコンデンサの特性劣化の改善を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の第1の金属化フィルムコンデンサは、誘電体フィルムに金属を蒸着して形成された金属蒸着部の非蒸着部に近い部分の亜鉛の含有濃度を高くしているものである。
【0010】
本発明の第2の金属化フィルムコンデンサは、誘電体フィルムに金属を蒸着して形成された金属蒸着部の非蒸着部に近い部分の蒸着金属を厚くしているものである。
【0011】
本発明の第3の金属化フィルムコンデンサは、誘電体フィルムに金属を蒸着して形成された金属蒸着部の非蒸着部に近い部分の蒸着金属中の亜鉛含有量を高くしているものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
上記構成により、本発明の第1の金属化フィルムコンデンサによれば、金属を蒸着して形成された金属蒸着部の非蒸着側に近い部分の蒸着金属における亜鉛の含有濃度が高いために、長期にわたる高電圧通電時の亜鉛濃度が低い場合に発生するコロージョン現象を抑制できる。また、電圧印加によるクリアリングによる蒸着金属の膜変化や膜消失を抑制でき、容量減少や損失上昇といった弊害を抑制し安定した品質のコンデンサ特性を確保できるものである。
【0013】
また、本発明の第2の金属化フィルムコンデンサによれば、金属蒸着部の非蒸着側の終端に厚く金属を蒸着するために、蒸着金属部の非蒸着側の終端部が長期にわたる高電圧通電時にうける電界集中でのダメージによる蒸着金属消失を抑制でき、容量減少といった弊害を抑制し安定した品質のコンデンサ特性を確保できるものである。
【0014】
また、本発明の第3の金属化フィルムコンデンサによれば、蒸着金属部の非蒸着側の終端に亜鉛を多く含有させるために、融点の高いアルミニウム蒸着膜付着時にフィルムが受ける熱ダメージを軽減でき生産性に優れ、安定品質の蒸着フィルムが製造可能である。
【0015】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による金属化フィルムコンデンサの実施例について、図1を用いて説明する。
【0016】
図1は本発明の実施の形態1における金属化フィルムコンデンサ素子の全体概略図であり、図1において、1は金属化フィルムを巻回したコンデンサ素子、2は金属化フィルムを形成するための誘電体フィルム、3は誘電体フィルム2に金属蒸着した金属蒸着部、4は金属蒸着していない非蒸着部、5は金属蒸着部3の内、電極引出部側に設けた第1の金属蒸着部、6は金属蒸着部3の内、非蒸着部に近い部分に設けた第2の金属蒸着部、7は金属蒸着部3の内、第1の金属蒸着部5と第2の金属蒸着部6との間に設けた第3の金属蒸着部を示す。
【0017】
次に、これらの構成による金属化フィルムの作成手順について説明する。本実施の形態においては、誘電体フィルム2に亜鉛とアルミニウムを金属を蒸着させて金属蒸着部3を形成し、金属化フィルムとしている。このとき、片側端部に金属蒸着しない非蒸着部4を設けている。そして、この金属化フィルム2枚を非蒸着部4が反対側になるように組み合わせ、1対として巻回し、巻回後プレスによって偏平し、コンデンサ素子1を形成する。そして、コンデンサ素子1のフィルム幅方向の両側にメタリコン照射して電極引出し部を形成し、金属化フィルムコンデンサとしている。
【0018】
また本実施の形態においては、非蒸着部に近い第2の金属蒸着部における亜鉛の含有濃度を高くし、長期にわたる高電圧通電時の亜鉛濃度が低い場合に発生するコロージョン現象を抑制できるようにしている。また、電圧印加によるクリアリングによる蒸着金属の膜変化や膜消失を抑制でき、容量減少や損失上昇といった弊害を抑制し安定した品質のコンデンサ特性を確保できるようにしている。
【0019】
このことについて、本実施の形態を試作し、性能試験を行なったので詳細について説明する。
【0020】
まず本発明の実施例1および2と比較例1および2について説明する。実施例1および2と比較例1および2の共通項目として、誘電体フィルムに厚み6μm(マイクロメーター法)のポリプロピレン(以下PPと称する)フィルムを用い、その片面に、亜鉛とアルミニウムを蒸着し、このフィルムを2枚で1対となるように重ねて巻回し巻回後プレスによって偏平し、10μFの金属化フィルムコンデンサを作成した。また、蒸着する金属膜の内、電極引出部側の片方の端部に金属を溶射する電極引出し部側の第1の金属蒸着部においては、抵抗値を2〜8Ω/□に分布させ平均4Ω/□とし、残りの第2および第3の金属蒸着部の抵抗値を10〜30Ω/□に分布して平均20Ω/□とした。なお、試料に用いたフィルムは40mm幅のものを使用した。
【0021】
そして、5〜10mmにわたる非蒸着部側に近い金属蒸着部、すなわち第2の金属蒸着部は、実施例1においては、亜鉛だけを金属蒸着した亜鉛含有濃度を100%とし、実施例2においては亜鉛含有濃度90%、比較例1においては亜鉛含有濃度50%、比較例2においては亜鉛含有濃度0%とした金属化フィルムを用いて10μFの各種コンデンサを作成し検討した。なお、比較例2はアルミニウムのみを金属蒸着した金属化フィルムを用いたものである。また、残り全域、すなわち、第1および第3の金属蒸着部の亜鉛含有濃度は各種試料とも同じ90%とした。
【0022】
上記の方法で構成された定格450V10μFの金属化フィルムコンデンサの高温連続耐用性試験を実施した。試験は、定格電圧の1.5倍とし、周囲温度は70℃とし、長期通電試験を行った。結果を表1と図3に示す。表1に示すように、試験の結果、比較例2は2000時間通電後破壊に至った。また実施例1は10000時間、実施例2は8000時間となり、比較例3における3000時間に対して優位性が現れた。
【0023】
【表1】
【0024】
この結果について検討すると、比較例2は非蒸着部に近い第2の金属蒸着部に亜鉛を含まず、アルミニウムのみの蒸着金属のため、コロージョンの発生による損失上昇での熱破壊であると考えられる。また比較例1についてもアルミニウムの含有濃度が高く亜鉛含有濃度が低いため比較例2と同様の理由により破壊に至ったと考えられる。また、図3に示すとおり、比較例1および2においては破壊に至るまでに大幅な容量減少が見られたことから、コロージョン及び、クリアリングにより、非蒸着部側の蒸着金属部の蒸着金属が膜変化や膜消失したと考えられる。
【0025】
以上の結果より、金属蒸着部のうち少なくとも非蒸着部に近い部分の亜鉛含有濃度を高くすることで安定した品質のコンデンサ特性が得られることがわかった。さらには、この部分の亜鉛含有濃度を90%以上とすることで安定した品質を確保できる。
【0026】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2について図2を用いて説明する。本実施の形態の実施の形態1と異なる点は、図1における第2の金属蒸着部6の蒸着金属の厚さが厚くなっている点であり、その他は実施の形態1で説明した構成、製造方法と同一であるので重複する説明を省略する。
【0027】
本実施の形態についても試料として実施例3と比較例3を作成し、比較検討したのでその結果について説明する。
【0028】
本実施の形態の試料として作成した実施例3と比較例3の共通項目として、誘電体フィルムに厚み6μm(マイクロメーター法)のPPフィルムを用い、その片面に、亜鉛とアルミニウムを蒸着し、このフィルムを2枚で1対となるように重ねて巻回し巻回後プレスによって偏平し、10μFの金属化フィルムコンデンサとした。このとき、蒸着金属膜の内、一端部の電極引出用に金属を溶射した第1の金属蒸着部の抵抗値は2〜8Ω/□に分布して平均4Ω/□とした。
【0029】
そして、実施例3においては、非蒸着部側5〜10mmにわたる非金属蒸着部に近い部分、すなわち第2の金属蒸着部における蒸着金属の厚さを大きくして抵抗値を5〜10Ω/□としたのに対し、比較例3においては、第2、第3の金属蒸着部とも抵抗値を10〜30Ω/□に分布して平均20Ω/□とした。
【0030】
上記の方法で構成された定格450V10μFの金属化フィルムコンデンサの高温連続耐用性試験を実施した。試験は、定格電圧の1.5倍とし、周囲温度は70℃とし、長期通電試験を行った。結果を図4に示す。
【0031】
図4に示すように、実施例3は非蒸着部に近い第3の金属蒸着部に蒸着する金属を厚くしたため、電界集中による非蒸着部側の蒸着金属部の蒸着金属が消失を抑制でき、比較例3に比べて容量減少が小さく、また電界集中による誘電体フィルムへのダメージも軽減できた。このため損失の上昇、ついてはコンデンサの発熱も軽減できたと考えられる。
【0032】
以上の結果より、蒸着金属部の非蒸着部に近い部分の蒸着金属を厚くすることで安定した品質のコンデンサ特性を確保できることがわかった。
【0033】
また、この実施例3において、非蒸着部側5〜10mmにわたる非金属蒸着部に近い部分、すなわち第2の金属蒸着部の亜鉛を金属量全体の97%含有させた金属化フィルムと、90%の金属化フィルムを作成し比較検討したところ、亜鉛を97%含有した金属化フィルムの方がシワの軽減ができた。
【0034】
この原因は、アルミニウムは亜鉛に比べて融点が高いため、誘電体フィルムにアルミニウムを蒸着する際に、亜鉛を蒸着するときに比べて誘電体フィルムに与える熱的ダメージが大きいためと考えられる。
【0035】
以上の結果より、亜鉛含有量を多くすることにより誘電体フィルムに与える熱的ダメージを抑制することができ、ついては熱的ダメージによるPPフィルムの熱収縮を抑制することによりフィルムのシワを軽減でき、生産性に優れ、安定品質の蒸着フィルムが製造可能となる。
【0036】
なお、実施の形態1および2においては巻回してなる金属化フィルムコンデンサについて説明したが、積層してなる金属化フィルムコンデンサにおいても同様の効果が得られる。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の第1の金属化フィルムコンデンサは、金属蒸着部の非蒸着側の終端の蒸着金属の亜鉛含有濃度を高くしているために、コロージョン現象を抑制でき、容量減少や損失上昇といった弊害を抑制して高温連続耐用性、電圧加速連続耐用性に優れたコンデンサとすることが可能となる。
【0038】
また本発明の第2の金属化フィルムコンデンサは第1の金属化フィルムコンデンサに加え、金属蒸着部の非蒸着側の終端を厚く金属蒸着しているために、電界集中による蒸着金属消失を抑制でき、容量減少といった弊害を抑制して安定した品質のコンデンサとすることが可能となる。
【0039】
また本発明の第3の金属化フィルムコンデンサは第1、第2の金属化フィルムコンデンサに加え、金属蒸着部の非蒸着側の終端に亜鉛を多く含有させているために、融点の高いアルミニウム蒸着膜付着時にフィルムが受ける熱ダメージを軽減でき生産性に優れ、安定品質の蒸着フィルムが製造可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における全体概略図
【図2】本発明の実施の形態2における全体概略図
【図3】本発明の実施の形態1における高温連続耐用性試験での静電容量減少率を示す図
【図4】本発明の実施の形態2における高温連続耐用性試験での静電容量減少率を示す図
【符号の説明】
2 誘電体フィルム
3 金属蒸着部
4 非蒸着部
6 第2の金属蒸着部
【発明の属する技術分野】
本発明は力率改善用の電力用、電気機器用、各種電源回路用及び通信機器等に使用される金属化フィルムコンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、比較的低電圧小容量定格のコンデンサとしてポリプロピレンフィルム等の誘電体フィルムに金属を蒸着する蒸着フィルムコンデンサにおいて、メタリコン接触部近傍の蒸着電極のみを低抵抗にすることが公知となっている(例えば特許文献1)。
【0003】
そして上記の技術によって、蒸着金属とメタリコンとの接触をよくすることが知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭61−188920号公報(第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の構成で金属化フィルムコンデンサとする場合、いくつかの課題を有していた。
【0006】
まず第1に、誘電体フィルムに金属を蒸着して形成された金属蒸着部の非蒸着部に近い部分の蒸着金属の亜鉛含有濃度が低いと、アルミニウム特有のクリアリング性の良さにより、電圧印加時にクリアリングによる膜変化のため容量減少が大きくなったり、耐電流性が悪くなったりする傾向を示す。なお、このアルミニウム特有のクリアリング性の良さは、電極がヒューズ部を形成し自己回復させるのに適した性質であるが、特に、この非蒸着部に近い部分において、クリアリング性がよすぎるとかえって上記した容量減少が発生する。
【0007】
また第2に、誘電体フィルムに金属を蒸着して形成された金属蒸着部の非蒸着部に近い部分の蒸着金属が薄いと、微小欠陥部を飛散させるためのエネルギーが小さくても飛散させることが可能となり、電圧印加時にクリアリングや電荷の集中により蒸着金属膜の薄い部分の蒸着膜が変化し、容量減少を招く。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するものであり、金属化フィルムコンデンサの特性劣化の改善を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の第1の金属化フィルムコンデンサは、誘電体フィルムに金属を蒸着して形成された金属蒸着部の非蒸着部に近い部分の亜鉛の含有濃度を高くしているものである。
【0010】
本発明の第2の金属化フィルムコンデンサは、誘電体フィルムに金属を蒸着して形成された金属蒸着部の非蒸着部に近い部分の蒸着金属を厚くしているものである。
【0011】
本発明の第3の金属化フィルムコンデンサは、誘電体フィルムに金属を蒸着して形成された金属蒸着部の非蒸着部に近い部分の蒸着金属中の亜鉛含有量を高くしているものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
上記構成により、本発明の第1の金属化フィルムコンデンサによれば、金属を蒸着して形成された金属蒸着部の非蒸着側に近い部分の蒸着金属における亜鉛の含有濃度が高いために、長期にわたる高電圧通電時の亜鉛濃度が低い場合に発生するコロージョン現象を抑制できる。また、電圧印加によるクリアリングによる蒸着金属の膜変化や膜消失を抑制でき、容量減少や損失上昇といった弊害を抑制し安定した品質のコンデンサ特性を確保できるものである。
【0013】
また、本発明の第2の金属化フィルムコンデンサによれば、金属蒸着部の非蒸着側の終端に厚く金属を蒸着するために、蒸着金属部の非蒸着側の終端部が長期にわたる高電圧通電時にうける電界集中でのダメージによる蒸着金属消失を抑制でき、容量減少といった弊害を抑制し安定した品質のコンデンサ特性を確保できるものである。
【0014】
また、本発明の第3の金属化フィルムコンデンサによれば、蒸着金属部の非蒸着側の終端に亜鉛を多く含有させるために、融点の高いアルミニウム蒸着膜付着時にフィルムが受ける熱ダメージを軽減でき生産性に優れ、安定品質の蒸着フィルムが製造可能である。
【0015】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による金属化フィルムコンデンサの実施例について、図1を用いて説明する。
【0016】
図1は本発明の実施の形態1における金属化フィルムコンデンサ素子の全体概略図であり、図1において、1は金属化フィルムを巻回したコンデンサ素子、2は金属化フィルムを形成するための誘電体フィルム、3は誘電体フィルム2に金属蒸着した金属蒸着部、4は金属蒸着していない非蒸着部、5は金属蒸着部3の内、電極引出部側に設けた第1の金属蒸着部、6は金属蒸着部3の内、非蒸着部に近い部分に設けた第2の金属蒸着部、7は金属蒸着部3の内、第1の金属蒸着部5と第2の金属蒸着部6との間に設けた第3の金属蒸着部を示す。
【0017】
次に、これらの構成による金属化フィルムの作成手順について説明する。本実施の形態においては、誘電体フィルム2に亜鉛とアルミニウムを金属を蒸着させて金属蒸着部3を形成し、金属化フィルムとしている。このとき、片側端部に金属蒸着しない非蒸着部4を設けている。そして、この金属化フィルム2枚を非蒸着部4が反対側になるように組み合わせ、1対として巻回し、巻回後プレスによって偏平し、コンデンサ素子1を形成する。そして、コンデンサ素子1のフィルム幅方向の両側にメタリコン照射して電極引出し部を形成し、金属化フィルムコンデンサとしている。
【0018】
また本実施の形態においては、非蒸着部に近い第2の金属蒸着部における亜鉛の含有濃度を高くし、長期にわたる高電圧通電時の亜鉛濃度が低い場合に発生するコロージョン現象を抑制できるようにしている。また、電圧印加によるクリアリングによる蒸着金属の膜変化や膜消失を抑制でき、容量減少や損失上昇といった弊害を抑制し安定した品質のコンデンサ特性を確保できるようにしている。
【0019】
このことについて、本実施の形態を試作し、性能試験を行なったので詳細について説明する。
【0020】
まず本発明の実施例1および2と比較例1および2について説明する。実施例1および2と比較例1および2の共通項目として、誘電体フィルムに厚み6μm(マイクロメーター法)のポリプロピレン(以下PPと称する)フィルムを用い、その片面に、亜鉛とアルミニウムを蒸着し、このフィルムを2枚で1対となるように重ねて巻回し巻回後プレスによって偏平し、10μFの金属化フィルムコンデンサを作成した。また、蒸着する金属膜の内、電極引出部側の片方の端部に金属を溶射する電極引出し部側の第1の金属蒸着部においては、抵抗値を2〜8Ω/□に分布させ平均4Ω/□とし、残りの第2および第3の金属蒸着部の抵抗値を10〜30Ω/□に分布して平均20Ω/□とした。なお、試料に用いたフィルムは40mm幅のものを使用した。
【0021】
そして、5〜10mmにわたる非蒸着部側に近い金属蒸着部、すなわち第2の金属蒸着部は、実施例1においては、亜鉛だけを金属蒸着した亜鉛含有濃度を100%とし、実施例2においては亜鉛含有濃度90%、比較例1においては亜鉛含有濃度50%、比較例2においては亜鉛含有濃度0%とした金属化フィルムを用いて10μFの各種コンデンサを作成し検討した。なお、比較例2はアルミニウムのみを金属蒸着した金属化フィルムを用いたものである。また、残り全域、すなわち、第1および第3の金属蒸着部の亜鉛含有濃度は各種試料とも同じ90%とした。
【0022】
上記の方法で構成された定格450V10μFの金属化フィルムコンデンサの高温連続耐用性試験を実施した。試験は、定格電圧の1.5倍とし、周囲温度は70℃とし、長期通電試験を行った。結果を表1と図3に示す。表1に示すように、試験の結果、比較例2は2000時間通電後破壊に至った。また実施例1は10000時間、実施例2は8000時間となり、比較例3における3000時間に対して優位性が現れた。
【0023】
【表1】
【0024】
この結果について検討すると、比較例2は非蒸着部に近い第2の金属蒸着部に亜鉛を含まず、アルミニウムのみの蒸着金属のため、コロージョンの発生による損失上昇での熱破壊であると考えられる。また比較例1についてもアルミニウムの含有濃度が高く亜鉛含有濃度が低いため比較例2と同様の理由により破壊に至ったと考えられる。また、図3に示すとおり、比較例1および2においては破壊に至るまでに大幅な容量減少が見られたことから、コロージョン及び、クリアリングにより、非蒸着部側の蒸着金属部の蒸着金属が膜変化や膜消失したと考えられる。
【0025】
以上の結果より、金属蒸着部のうち少なくとも非蒸着部に近い部分の亜鉛含有濃度を高くすることで安定した品質のコンデンサ特性が得られることがわかった。さらには、この部分の亜鉛含有濃度を90%以上とすることで安定した品質を確保できる。
【0026】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2について図2を用いて説明する。本実施の形態の実施の形態1と異なる点は、図1における第2の金属蒸着部6の蒸着金属の厚さが厚くなっている点であり、その他は実施の形態1で説明した構成、製造方法と同一であるので重複する説明を省略する。
【0027】
本実施の形態についても試料として実施例3と比較例3を作成し、比較検討したのでその結果について説明する。
【0028】
本実施の形態の試料として作成した実施例3と比較例3の共通項目として、誘電体フィルムに厚み6μm(マイクロメーター法)のPPフィルムを用い、その片面に、亜鉛とアルミニウムを蒸着し、このフィルムを2枚で1対となるように重ねて巻回し巻回後プレスによって偏平し、10μFの金属化フィルムコンデンサとした。このとき、蒸着金属膜の内、一端部の電極引出用に金属を溶射した第1の金属蒸着部の抵抗値は2〜8Ω/□に分布して平均4Ω/□とした。
【0029】
そして、実施例3においては、非蒸着部側5〜10mmにわたる非金属蒸着部に近い部分、すなわち第2の金属蒸着部における蒸着金属の厚さを大きくして抵抗値を5〜10Ω/□としたのに対し、比較例3においては、第2、第3の金属蒸着部とも抵抗値を10〜30Ω/□に分布して平均20Ω/□とした。
【0030】
上記の方法で構成された定格450V10μFの金属化フィルムコンデンサの高温連続耐用性試験を実施した。試験は、定格電圧の1.5倍とし、周囲温度は70℃とし、長期通電試験を行った。結果を図4に示す。
【0031】
図4に示すように、実施例3は非蒸着部に近い第3の金属蒸着部に蒸着する金属を厚くしたため、電界集中による非蒸着部側の蒸着金属部の蒸着金属が消失を抑制でき、比較例3に比べて容量減少が小さく、また電界集中による誘電体フィルムへのダメージも軽減できた。このため損失の上昇、ついてはコンデンサの発熱も軽減できたと考えられる。
【0032】
以上の結果より、蒸着金属部の非蒸着部に近い部分の蒸着金属を厚くすることで安定した品質のコンデンサ特性を確保できることがわかった。
【0033】
また、この実施例3において、非蒸着部側5〜10mmにわたる非金属蒸着部に近い部分、すなわち第2の金属蒸着部の亜鉛を金属量全体の97%含有させた金属化フィルムと、90%の金属化フィルムを作成し比較検討したところ、亜鉛を97%含有した金属化フィルムの方がシワの軽減ができた。
【0034】
この原因は、アルミニウムは亜鉛に比べて融点が高いため、誘電体フィルムにアルミニウムを蒸着する際に、亜鉛を蒸着するときに比べて誘電体フィルムに与える熱的ダメージが大きいためと考えられる。
【0035】
以上の結果より、亜鉛含有量を多くすることにより誘電体フィルムに与える熱的ダメージを抑制することができ、ついては熱的ダメージによるPPフィルムの熱収縮を抑制することによりフィルムのシワを軽減でき、生産性に優れ、安定品質の蒸着フィルムが製造可能となる。
【0036】
なお、実施の形態1および2においては巻回してなる金属化フィルムコンデンサについて説明したが、積層してなる金属化フィルムコンデンサにおいても同様の効果が得られる。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の第1の金属化フィルムコンデンサは、金属蒸着部の非蒸着側の終端の蒸着金属の亜鉛含有濃度を高くしているために、コロージョン現象を抑制でき、容量減少や損失上昇といった弊害を抑制して高温連続耐用性、電圧加速連続耐用性に優れたコンデンサとすることが可能となる。
【0038】
また本発明の第2の金属化フィルムコンデンサは第1の金属化フィルムコンデンサに加え、金属蒸着部の非蒸着側の終端を厚く金属蒸着しているために、電界集中による蒸着金属消失を抑制でき、容量減少といった弊害を抑制して安定した品質のコンデンサとすることが可能となる。
【0039】
また本発明の第3の金属化フィルムコンデンサは第1、第2の金属化フィルムコンデンサに加え、金属蒸着部の非蒸着側の終端に亜鉛を多く含有させているために、融点の高いアルミニウム蒸着膜付着時にフィルムが受ける熱ダメージを軽減でき生産性に優れ、安定品質の蒸着フィルムが製造可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における全体概略図
【図2】本発明の実施の形態2における全体概略図
【図3】本発明の実施の形態1における高温連続耐用性試験での静電容量減少率を示す図
【図4】本発明の実施の形態2における高温連続耐用性試験での静電容量減少率を示す図
【符号の説明】
2 誘電体フィルム
3 金属蒸着部
4 非蒸着部
6 第2の金属蒸着部
Claims (4)
- 誘電体フィルムに少なくとも亜鉛を含む金属を蒸着した金属化フィルムを巻回または積層してなる金属化フィルムコンデンサであって、前記金属化フィルムの金属蒸着した面はフィルム幅方向の片側端部に金属蒸着していない非蒸着部を有し、前記金属蒸着部のうち少なくとも前記非蒸着部に近い部分は、亜鉛含有濃度が高くしてなる金属化フィルムコンデンサ。
- 金属蒸着部のうち少なくとも非蒸着部に近い部分の亜鉛含有濃度は90%以上である請求項1記載の金属化フィルムコンデンサ。
- 誘電体フィルムに少なくとも亜鉛を含む金属を蒸着した金属化フィルムを巻回または積層してなる金属化フィルムコンデンサであって、前記金属化フィルムの金属蒸着した面はフィルム幅方向の片側端部に金属蒸着していない非蒸着部を有し、前記金属蒸着部のうち少なくとも前記非蒸着部に近い部分は、蒸着金属を厚くした金属化フィルムコンデンサ。
- 金属蒸着部のうち少なくとも非蒸着部に近い部分は亜鉛の含有率を高くしてなる請求項3記載の金属化フィルムコンデンサ。
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