JP2004239564A - ディスプレーサ - Google Patents
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Abstract
【課題】ディスプレーサの製造過程での水分除去工程を省略し、冷凍性能を安定化する。
【解決手段】蓄冷材14を収容する筒状部材40、70を、吸水率の小さいFRP材で形成する。
【選択図】 図3
【解決手段】蓄冷材14を収容する筒状部材40、70を、吸水率の小さいFRP材で形成する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスプレーサに係り、特に、最低到達温度が4K以下であるギフォード・マクマホン・サイクル冷凍機(4K−GM冷凍機と称する)に用いるのに好適な、製造工程を簡略化し、冷凍性能を安定化すると共に、メンテナンスサイクルを長寿命化することが可能なディスプレーサに関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘリウム等のガス冷媒を用い、蓄冷材を収容した蓄冷器を利用して低温を得る蓄冷器式の極低温冷凍機として、GM冷凍機やスターリング・サイクル冷凍機、パルスチューブ冷凍機等が知られている。
【0003】
例えばGM冷凍機では、蓄冷器を備えたディスプレーサ(ピストン)と、このディスプレーサが挿入されるシリンダとを有する膨張器に、圧縮された作動流体(冷媒ガス)を供給し、この作動流体(冷媒ガス)を膨張器内で断熱膨張させて寒冷を得る。
【0004】
このような極低温冷凍機、例えばディスプレーサを2段備えた2段式GM冷凍機においては、高温側の第1段ディスプレーサ10として、例えば図1に示す如く、金網を積層させた蓄冷材14が充填された蓄冷器12を用いるものがある。図において、20は、蓄冷材14を収容するための、例えば布入りフェノール樹脂製の筒状部材、22は、前記蓄冷材14の上下に設けられた粗い金網、24は、前記筒状部材20の低温側(図の下側)に設けられた、例えば布入りフェノール樹脂製の蓋部材、26はフランジ、28はガス流路、30は、図2に詳細に示す如く、蓄冷器12を含むディスプレーサ10が摺動するシリンダ36との間に設けられた、Oリング32とキャップシール34からなるシールリング、20Aは、該シールリング30用に筒状部材20の外周面に形成された段差である。
【0005】
出願人は特許文献1で、図1のようなディスプレーサを、シリンダの材料とほぼ同等の熱膨張率を有する材料で形成し、その上を耐摩耗性樹脂部材である布入りフェノール膨脂で被膜することを提案している。
【0006】
又、特許文献2には、ディスプレーサを、金属製の筒と、この筒の外周面上に形成された被膜とを含んで構成することが記載され、特許文献3には、ディスプレーサの外周面を一周する溝を形成し、該溝内にスリッパシールを装填すると共に、スリッパシールの接触面及びシリンダの内周面のうち、少なくとも一方をダイヤモンドライクカーボンからなる薄膜で被膜することが記載されている。
【0007】
又、特許文献4には、ディスプレーサを布入りフェノールで形成することが記載されている。
【0008】
又、特許文献5には、ディスプレーサのヒートステーション側外周部に、摩擦係数の小さい耐摩耗性素材からなるガイドリング、又は、被膜層により構成するガイド部材を用いることが記載されている。
【0009】
又、特許文献6には、ステンレス製の第2段ディスプレーサの外周面に、ポリイミド樹脂からなる低摩擦材コーティング層を形成することが記載されている。
【0010】
又、特許文献7には、ディスプレーサを、温度降下に伴って膨張する性質(負の熱膨張率)を有する合成樹脂やシリンダ構成材料より熱膨張率の小さい素材で形成することが記載されている。
【0011】
又、特許文献8、特許文献9、特許文献10には、Oリング又はスプリングとキャップシールを組合せたシールリングをディスプレーサに用いることが記載されている。
【0012】
又、特許文献11には、ディスプレーサの外周面に、らせん溝を形成することが記載されている。
【0013】
【特許文献1】
特許第2760928号公報
【特許文献2】
特開2001−248929号公報
【特許文献3】
特開2001−280728号公報
【特許文献4】
特開2000−171113号公報
【特許文献5】
特開平7−269970号公報
【特許文献6】
特開平6−159828号公報
【特許文献7】
特開2001−56158号公報
【特許文献8】
特開平10−141795号公報
【特許文献9】
特開平11−37584号公報
【特許文献10】
特開平9−287841号公報
【特許文献11】
特許第2659684号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、2段式4K−GM冷凍機の第1段ディスプレーサを、布入りフェノール樹脂で形成した場合、布の含有率が50%以上であると、吸水率が1.6〜1.8%と大きいため、製造工程での水分除去に、(1)製品を一次加工品の状態で1回目の水分除去(120℃/80〜100時間)、(2)蓄冷材を充填後、2回目の水分除去(真空乾燥炉で120℃/100時間)の2工程が必要であり、製造に時間がかかる。又、水分除去が不十分なディスプレーサを組み込んで冷凍機を運転すると、ディスプレーサから水分が抜けて、冷媒ガス中に不純物の水分が混入したり、ディスプレーサ筒が収縮して寸法変化を起こす等、冷凍性能が著しく低下する。又、布入りフェノール製のディスプレーサを大気中に放置しておくと、吸水による寸法変化で、シリンダに入らなくなることがある。更に、布入りフェノール樹脂材で形成されたディスプレーサは、耐磨耗性が劣り、なお且つ、ディスプレーサの低温側にシールリングが無いため、運転中に金属(例えばステンレス)製のシリンダと接触し、短時間で磨耗が進行して、性能劣化や、メンテナンスサイクルを短くする等の問題点を有していた。
【0015】
又、ディスプレーサは、冷凍機の作動に伴い、温度が降下すると、例えばステンレス製のシリンダとの材料による熱膨張率の違いにより収縮量に差が生じ、シリンダの内周面とディスプレーサの外周面との隙間が増大して、冷凍性能が不安定になるという問題もあった。
【0016】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、ディスプレーサの製造過程での水分除去工程を省略して、冷凍性能を安定化することを第1の課題とする。
【0017】
本発明は、又、シリンダとディスプレーサの隙間を冷凍機の温度が変化しても常に一定に保ち、冷凍性能の安定化を図ることを第2の課題とする。
【0018】
本発明は、更に、シール機能を向上させ、メンテナンスサイクルの長寿命化を図ることを第3の課題とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ディスプレーサの蓄冷材を収容する筒状部材を、吸水率の小さいFRP(繊維強化プラスチックス)材で形成することにより、前記課題を解決したものである。
【0020】
又、前記FRP材を、GFRP(ガラス繊維強化プラスチックス)材やCFRP(カーボン繊維強化プラスチックス)材としたものである。
【0021】
又、ディスプレーサを2種類以上の樹脂材料で構成し、接着接合で一体化したものである。
【0022】
又、前記筒状部材を、シリンダ構成材料と略同等の熱膨張率の樹脂材料で形成することにより、前記第2の課題を解決したものである。
【0023】
又、前記筒状部材の外表面に複数のシールリングを配設して、前記第3の課題を解決したものである。
【0024】
又、前記シールリングを交換可能としたものである。
【0025】
又、前記筒状部材の外表面をコーティング処理して、前記第3の課題を解決したものである。
【0026】
又、前記筒状部材の外表面に螺旋溝又はラビリンス溝を形成したものである。
【0027】
又、前記筒状部材の両端の蓋をねじ構造とし、蓄冷材を固定するようにしたものである。
【0028】
本発明は、又、前記のディスプレーサを備えたことを特徴とする極低温冷凍機を提供するものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0030】
本発明の第1実施形態は、図1に示したと同様の第1段ディスプレーサ10において、図3に示す如く、筒状部材40を、GFRP製の筒状部40Aと同じくGFRP製の蓋部材40B、40Cで構成し、筒状部40Aを蓋部材40B、40Cと接着すると共に、筒状部40Aの外表面をシリコンでコーティングしている。更に、該筒状部40Aの高温側に、耐磨耗性に優れたPTFE(四ふっ化エチレン樹脂)製のシールリング42を設けると共に、低温側にも同じくPTFE製のシールリング44を設けている。なお、蓋部材40Cの外周には、GFRP製のリング部材46を設けて、筒状部材40とは接着せず、シールリング44を交換する際に外せるようにしている。
【0031】
前記GFRPとしては、例えば、繊維がガラスクロス、高樹脂がエポキシで、吸水率が0.05〜0.15重量%の樹脂材料を用いることができる。なお、代りに、1段ディスプレーサの一部又は2段ディスプレーサの1部又は全部に、繊維がカーボンクロス、樹脂がエポキシで、吸水率が0.5〜0.15重量%のCFRPを用いても良い。
【0032】
前記ディスプレーサを構成する筒状部材は、シリンダ構成材料(例えばSUS304ステンレス)とほぼ同等の熱膨張率の樹脂材料で形成する。例えば、GFRPは、成形方法を選択することにより、熱膨張率を変えることができ、エポキシを使用したプルトルージョン(引抜き)法やフィラメントワインディング(FW)法による成形方法によって、ステンレス(線膨張係数12〜17×10−6/℃)と同等(同7〜14×10−6/℃)にすることができる。
【0033】
前記筒状部材40の外表面40Sのコーティング処理は、例えば第1段ディスプレーサの場合は吸水し難くするための耐水対策、後出図8に例示する第2段ディスプレーサの場合はシリンダとの摩擦係数の向上のために行なわれる。
【0034】
他の点については、図1に示した従来例と同様であるので、同じ符号を付して説明は省略する。
【0035】
次に、図4を参照して、本発明の第2実施形態を詳細に説明する。
【0036】
本実施形態は、第1実施形態と同様の第1段ディスプレーサにおいて、低温側のシールリング50を、図5に詳細に示す如く、金属(例えばステンレス)製のU型ばね52が内装されたPTFE製のU型シールリング54(特許文献10参照)としたものである。
【0037】
他の点については、第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0038】
次に、図6を参照して、本発明の第3実施形態を詳細に説明する。
【0039】
本実施形態は、第1実施形態と同様の第1段ディスプレーサにおいて、図7に詳細に示す如く、高温側のシールリング60を、Oリング62とPTFE製のキャップシール64で構成し、更に、筒状部材40と接着したCFRP製のリング部材66に嵌め込んだものである。
【0040】
他の点については第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0041】
次に、図8を参照して、第2段ディスプレーサに適用した本発明の第4実施形態を詳細に説明する。
【0042】
本実施形態は、CFRP製の筒状部材70と、該筒状部材70の中に充填された蓄冷材72と、該蓄冷材72の両端に挿入されたフェルト74と、該フェルト74の外側に配置された金網76と、前記筒状部材70の前後(図では左右)に配置された、CFRP製の蓋部材78、80と、ピン84により、図示しない第1段ディスプレーサ(図の左方に存在)と回動自在に結合するためのピン82を備えた結合機構82と、を備えている。
【0043】
図において、86はガス流路である。
【0044】
前記筒状部材の外表面70Sはフッ素樹脂でコーティングされ、螺旋溝状の流路70Aが形成されている。なお、螺旋溝70Aは、環状のラビリンス溝であってもよい。
【0045】
前記蓋部材78、80は、ねじ構造とされ、金網76、フェルト74を介して蓄冷材72を固定するようにされている。
【0046】
前記実施形態においては、いずれも、筒状部材をGFRPやCFRPで構成しているので、吸水率が小さく、製造工程の水分除去工程を省略することができる。図9に、第1段ディスプレーサの材質と、真空乾燥炉における水分除去試験での乾燥による重量変化を比較して示し、図10に、FRPと布入りフェノールの乾燥後の重量変化を比較して示す。なお、ディスプレーサの材質は、これらに限定されず、他の吸水率の小さいFRP材を用いることもできる。
【0047】
又、前記実施形態においては、いずれも、高温側だけでなく低温側にもシールリングを設けているので、ディスプレーサが直接シリンダに接触することがなく、長時間運転にも耐えられる。
【0048】
又、前記実施形態においては、本発明が2段式GM冷凍機に適用されていたが、本発明の適用対象はこれに限定されず、3段式GM冷凍機、スターリング冷凍機、ビルマイヤ冷凍機、パルスチューブ冷凍機等にも同様に適用可能である。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、ディスプレーサの製造過程での水分除去工程を省略すると共に、冷凍性能を安定化することができる。
【0050】
又、ディスプレーサの筒状部材を、シリンダの材料と略同等の熱膨張率の樹脂材料で形成した場合には、シリンダとディスプレーサの隙間を冷凍機の温度が変化しても常に一定に保ち、冷凍性能を更に安定化することができる。
【0051】
又、ディスプレーサの低温側にもシールリングを配置した場合には、シール機能を向上させ、メンテナンスサイクルを長寿命化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の2段式GM冷凍機の第1段ディスプレーサの構成を示す断面図
【図2】図1のII部拡大断面図
【図3】2段式GM冷凍機の第1段ディスプレーサに適用した本発明の第1実施形態の構成を示す断面図
【図4】同じく第2実施形態の構成を示す断面図
【図5】図4のV部拡大文面図
【図6】2段式GM冷凍機の第1段ディスプレーサに適用した本発明の第3実施形態の構成を示す断面図
【図7】図6のVII部拡大断面図
【図8】2段式GM冷凍機の第2段ディスプレーサに適用した本発明の第4実施形態の構成を示す断面図
【図9】本発明の効果を説明するための、第1段ディスプレーサの材質と乾燥による重量変化の比較を示す線図
【図10】同じく乾燥後の重量変化を比較して示す線図
【符号の説明】
10…ディスプレーサ
12…蓄冷器
14、72…蓄冷材
30、42、44、50、60…シールリング
40、70…筒状部材
40B、40C、78、80…蓋部材
46、66…リング部材
70A…螺旋状流路(溝)
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスプレーサに係り、特に、最低到達温度が4K以下であるギフォード・マクマホン・サイクル冷凍機(4K−GM冷凍機と称する)に用いるのに好適な、製造工程を簡略化し、冷凍性能を安定化すると共に、メンテナンスサイクルを長寿命化することが可能なディスプレーサに関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘリウム等のガス冷媒を用い、蓄冷材を収容した蓄冷器を利用して低温を得る蓄冷器式の極低温冷凍機として、GM冷凍機やスターリング・サイクル冷凍機、パルスチューブ冷凍機等が知られている。
【0003】
例えばGM冷凍機では、蓄冷器を備えたディスプレーサ(ピストン)と、このディスプレーサが挿入されるシリンダとを有する膨張器に、圧縮された作動流体(冷媒ガス)を供給し、この作動流体(冷媒ガス)を膨張器内で断熱膨張させて寒冷を得る。
【0004】
このような極低温冷凍機、例えばディスプレーサを2段備えた2段式GM冷凍機においては、高温側の第1段ディスプレーサ10として、例えば図1に示す如く、金網を積層させた蓄冷材14が充填された蓄冷器12を用いるものがある。図において、20は、蓄冷材14を収容するための、例えば布入りフェノール樹脂製の筒状部材、22は、前記蓄冷材14の上下に設けられた粗い金網、24は、前記筒状部材20の低温側(図の下側)に設けられた、例えば布入りフェノール樹脂製の蓋部材、26はフランジ、28はガス流路、30は、図2に詳細に示す如く、蓄冷器12を含むディスプレーサ10が摺動するシリンダ36との間に設けられた、Oリング32とキャップシール34からなるシールリング、20Aは、該シールリング30用に筒状部材20の外周面に形成された段差である。
【0005】
出願人は特許文献1で、図1のようなディスプレーサを、シリンダの材料とほぼ同等の熱膨張率を有する材料で形成し、その上を耐摩耗性樹脂部材である布入りフェノール膨脂で被膜することを提案している。
【0006】
又、特許文献2には、ディスプレーサを、金属製の筒と、この筒の外周面上に形成された被膜とを含んで構成することが記載され、特許文献3には、ディスプレーサの外周面を一周する溝を形成し、該溝内にスリッパシールを装填すると共に、スリッパシールの接触面及びシリンダの内周面のうち、少なくとも一方をダイヤモンドライクカーボンからなる薄膜で被膜することが記載されている。
【0007】
又、特許文献4には、ディスプレーサを布入りフェノールで形成することが記載されている。
【0008】
又、特許文献5には、ディスプレーサのヒートステーション側外周部に、摩擦係数の小さい耐摩耗性素材からなるガイドリング、又は、被膜層により構成するガイド部材を用いることが記載されている。
【0009】
又、特許文献6には、ステンレス製の第2段ディスプレーサの外周面に、ポリイミド樹脂からなる低摩擦材コーティング層を形成することが記載されている。
【0010】
又、特許文献7には、ディスプレーサを、温度降下に伴って膨張する性質(負の熱膨張率)を有する合成樹脂やシリンダ構成材料より熱膨張率の小さい素材で形成することが記載されている。
【0011】
又、特許文献8、特許文献9、特許文献10には、Oリング又はスプリングとキャップシールを組合せたシールリングをディスプレーサに用いることが記載されている。
【0012】
又、特許文献11には、ディスプレーサの外周面に、らせん溝を形成することが記載されている。
【0013】
【特許文献1】
特許第2760928号公報
【特許文献2】
特開2001−248929号公報
【特許文献3】
特開2001−280728号公報
【特許文献4】
特開2000−171113号公報
【特許文献5】
特開平7−269970号公報
【特許文献6】
特開平6−159828号公報
【特許文献7】
特開2001−56158号公報
【特許文献8】
特開平10−141795号公報
【特許文献9】
特開平11−37584号公報
【特許文献10】
特開平9−287841号公報
【特許文献11】
特許第2659684号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、2段式4K−GM冷凍機の第1段ディスプレーサを、布入りフェノール樹脂で形成した場合、布の含有率が50%以上であると、吸水率が1.6〜1.8%と大きいため、製造工程での水分除去に、(1)製品を一次加工品の状態で1回目の水分除去(120℃/80〜100時間)、(2)蓄冷材を充填後、2回目の水分除去(真空乾燥炉で120℃/100時間)の2工程が必要であり、製造に時間がかかる。又、水分除去が不十分なディスプレーサを組み込んで冷凍機を運転すると、ディスプレーサから水分が抜けて、冷媒ガス中に不純物の水分が混入したり、ディスプレーサ筒が収縮して寸法変化を起こす等、冷凍性能が著しく低下する。又、布入りフェノール製のディスプレーサを大気中に放置しておくと、吸水による寸法変化で、シリンダに入らなくなることがある。更に、布入りフェノール樹脂材で形成されたディスプレーサは、耐磨耗性が劣り、なお且つ、ディスプレーサの低温側にシールリングが無いため、運転中に金属(例えばステンレス)製のシリンダと接触し、短時間で磨耗が進行して、性能劣化や、メンテナンスサイクルを短くする等の問題点を有していた。
【0015】
又、ディスプレーサは、冷凍機の作動に伴い、温度が降下すると、例えばステンレス製のシリンダとの材料による熱膨張率の違いにより収縮量に差が生じ、シリンダの内周面とディスプレーサの外周面との隙間が増大して、冷凍性能が不安定になるという問題もあった。
【0016】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、ディスプレーサの製造過程での水分除去工程を省略して、冷凍性能を安定化することを第1の課題とする。
【0017】
本発明は、又、シリンダとディスプレーサの隙間を冷凍機の温度が変化しても常に一定に保ち、冷凍性能の安定化を図ることを第2の課題とする。
【0018】
本発明は、更に、シール機能を向上させ、メンテナンスサイクルの長寿命化を図ることを第3の課題とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ディスプレーサの蓄冷材を収容する筒状部材を、吸水率の小さいFRP(繊維強化プラスチックス)材で形成することにより、前記課題を解決したものである。
【0020】
又、前記FRP材を、GFRP(ガラス繊維強化プラスチックス)材やCFRP(カーボン繊維強化プラスチックス)材としたものである。
【0021】
又、ディスプレーサを2種類以上の樹脂材料で構成し、接着接合で一体化したものである。
【0022】
又、前記筒状部材を、シリンダ構成材料と略同等の熱膨張率の樹脂材料で形成することにより、前記第2の課題を解決したものである。
【0023】
又、前記筒状部材の外表面に複数のシールリングを配設して、前記第3の課題を解決したものである。
【0024】
又、前記シールリングを交換可能としたものである。
【0025】
又、前記筒状部材の外表面をコーティング処理して、前記第3の課題を解決したものである。
【0026】
又、前記筒状部材の外表面に螺旋溝又はラビリンス溝を形成したものである。
【0027】
又、前記筒状部材の両端の蓋をねじ構造とし、蓄冷材を固定するようにしたものである。
【0028】
本発明は、又、前記のディスプレーサを備えたことを特徴とする極低温冷凍機を提供するものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0030】
本発明の第1実施形態は、図1に示したと同様の第1段ディスプレーサ10において、図3に示す如く、筒状部材40を、GFRP製の筒状部40Aと同じくGFRP製の蓋部材40B、40Cで構成し、筒状部40Aを蓋部材40B、40Cと接着すると共に、筒状部40Aの外表面をシリコンでコーティングしている。更に、該筒状部40Aの高温側に、耐磨耗性に優れたPTFE(四ふっ化エチレン樹脂)製のシールリング42を設けると共に、低温側にも同じくPTFE製のシールリング44を設けている。なお、蓋部材40Cの外周には、GFRP製のリング部材46を設けて、筒状部材40とは接着せず、シールリング44を交換する際に外せるようにしている。
【0031】
前記GFRPとしては、例えば、繊維がガラスクロス、高樹脂がエポキシで、吸水率が0.05〜0.15重量%の樹脂材料を用いることができる。なお、代りに、1段ディスプレーサの一部又は2段ディスプレーサの1部又は全部に、繊維がカーボンクロス、樹脂がエポキシで、吸水率が0.5〜0.15重量%のCFRPを用いても良い。
【0032】
前記ディスプレーサを構成する筒状部材は、シリンダ構成材料(例えばSUS304ステンレス)とほぼ同等の熱膨張率の樹脂材料で形成する。例えば、GFRPは、成形方法を選択することにより、熱膨張率を変えることができ、エポキシを使用したプルトルージョン(引抜き)法やフィラメントワインディング(FW)法による成形方法によって、ステンレス(線膨張係数12〜17×10−6/℃)と同等(同7〜14×10−6/℃)にすることができる。
【0033】
前記筒状部材40の外表面40Sのコーティング処理は、例えば第1段ディスプレーサの場合は吸水し難くするための耐水対策、後出図8に例示する第2段ディスプレーサの場合はシリンダとの摩擦係数の向上のために行なわれる。
【0034】
他の点については、図1に示した従来例と同様であるので、同じ符号を付して説明は省略する。
【0035】
次に、図4を参照して、本発明の第2実施形態を詳細に説明する。
【0036】
本実施形態は、第1実施形態と同様の第1段ディスプレーサにおいて、低温側のシールリング50を、図5に詳細に示す如く、金属(例えばステンレス)製のU型ばね52が内装されたPTFE製のU型シールリング54(特許文献10参照)としたものである。
【0037】
他の点については、第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0038】
次に、図6を参照して、本発明の第3実施形態を詳細に説明する。
【0039】
本実施形態は、第1実施形態と同様の第1段ディスプレーサにおいて、図7に詳細に示す如く、高温側のシールリング60を、Oリング62とPTFE製のキャップシール64で構成し、更に、筒状部材40と接着したCFRP製のリング部材66に嵌め込んだものである。
【0040】
他の点については第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0041】
次に、図8を参照して、第2段ディスプレーサに適用した本発明の第4実施形態を詳細に説明する。
【0042】
本実施形態は、CFRP製の筒状部材70と、該筒状部材70の中に充填された蓄冷材72と、該蓄冷材72の両端に挿入されたフェルト74と、該フェルト74の外側に配置された金網76と、前記筒状部材70の前後(図では左右)に配置された、CFRP製の蓋部材78、80と、ピン84により、図示しない第1段ディスプレーサ(図の左方に存在)と回動自在に結合するためのピン82を備えた結合機構82と、を備えている。
【0043】
図において、86はガス流路である。
【0044】
前記筒状部材の外表面70Sはフッ素樹脂でコーティングされ、螺旋溝状の流路70Aが形成されている。なお、螺旋溝70Aは、環状のラビリンス溝であってもよい。
【0045】
前記蓋部材78、80は、ねじ構造とされ、金網76、フェルト74を介して蓄冷材72を固定するようにされている。
【0046】
前記実施形態においては、いずれも、筒状部材をGFRPやCFRPで構成しているので、吸水率が小さく、製造工程の水分除去工程を省略することができる。図9に、第1段ディスプレーサの材質と、真空乾燥炉における水分除去試験での乾燥による重量変化を比較して示し、図10に、FRPと布入りフェノールの乾燥後の重量変化を比較して示す。なお、ディスプレーサの材質は、これらに限定されず、他の吸水率の小さいFRP材を用いることもできる。
【0047】
又、前記実施形態においては、いずれも、高温側だけでなく低温側にもシールリングを設けているので、ディスプレーサが直接シリンダに接触することがなく、長時間運転にも耐えられる。
【0048】
又、前記実施形態においては、本発明が2段式GM冷凍機に適用されていたが、本発明の適用対象はこれに限定されず、3段式GM冷凍機、スターリング冷凍機、ビルマイヤ冷凍機、パルスチューブ冷凍機等にも同様に適用可能である。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、ディスプレーサの製造過程での水分除去工程を省略すると共に、冷凍性能を安定化することができる。
【0050】
又、ディスプレーサの筒状部材を、シリンダの材料と略同等の熱膨張率の樹脂材料で形成した場合には、シリンダとディスプレーサの隙間を冷凍機の温度が変化しても常に一定に保ち、冷凍性能を更に安定化することができる。
【0051】
又、ディスプレーサの低温側にもシールリングを配置した場合には、シール機能を向上させ、メンテナンスサイクルを長寿命化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の2段式GM冷凍機の第1段ディスプレーサの構成を示す断面図
【図2】図1のII部拡大断面図
【図3】2段式GM冷凍機の第1段ディスプレーサに適用した本発明の第1実施形態の構成を示す断面図
【図4】同じく第2実施形態の構成を示す断面図
【図5】図4のV部拡大文面図
【図6】2段式GM冷凍機の第1段ディスプレーサに適用した本発明の第3実施形態の構成を示す断面図
【図7】図6のVII部拡大断面図
【図8】2段式GM冷凍機の第2段ディスプレーサに適用した本発明の第4実施形態の構成を示す断面図
【図9】本発明の効果を説明するための、第1段ディスプレーサの材質と乾燥による重量変化の比較を示す線図
【図10】同じく乾燥後の重量変化を比較して示す線図
【符号の説明】
10…ディスプレーサ
12…蓄冷器
14、72…蓄冷材
30、42、44、50、60…シールリング
40、70…筒状部材
40B、40C、78、80…蓋部材
46、66…リング部材
70A…螺旋状流路(溝)
Claims (11)
- 蓄冷材を収容する筒状部材が、吸水率の小さいFRP材で形成されていることを特徴とするディスプレーサ。
- 前記FRP材が、GFRP材やCFRP材であることを特徴とする請求項1に記載のディスプレーサ。
- 2種類以上の樹脂材料で構成され、接着接合で一体化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のディスプレーサ。
- 前記筒状部材が、シリンダ構成材料と略同等の熱膨張率の樹脂材料で形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のディスプレーサ。
- 前記筒状部材の外表面に複数のシールリングが配設されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のディスプレーサ。
- 前記シールリングが交換可能とされていることを特徴とする請求項5に記載のディスプレーサ。
- 前記筒状部材の外表面がコーティング処理されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のディスプレーサ。
- 前記筒状部材の外表面に螺旋溝が形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のディスプレーサ。
- 前記筒状部材の外表面にラビリンス溝が形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のディスプレーサ。
- 前記筒状部材の両端の蓋がねじ構造とされ、蓄冷材を固定するようにされていることを特徴とする請求項1、2、4乃至9のいずれかに記載のディスプレーサ。
- 請求項1乃至10のいずれかに記載のディスプレーサを備えたことを特徴とする極低温冷凍機。
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- 2003-02-07 JP JP2003031546A patent/JP2004239564A/ja active Pending
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