JP2004237689A - 木質複合材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の木質部材を積層して製造される木質複合材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の木質複合材は、含水率20質量%以下の木質の曲がり材から形成される外層ラミナ1と、直通で含水率15質量%以下の複数の木質無垢材を積層接着させて形成した木質製材で、前記外層ラミナよりも短尺とされた内層ラミナ2と、内層ラミナ2の長手方向の両端部に配設され、内層ラミナ2と略同厚で含水率15%質量以下の木質の端部ラミナ3とからなり、内層ラミナ2と端部ラミナ3とが、外層ラミナ1の間に積層接着され、さらに、一方の前記外層ラミナから他方の前記外層ラミナにまで通じる貫通孔が設けられ、前記貫通孔に補強部材が挿通されていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木質複合材に関し、より詳細には、複数の木質部材を積層して製造される木質複合材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から一般的な建築物においては、建築用材料として種々の木材が用いられている。このような構造部材は、多くの場合に無垢の木材が用いられている。しかしながら、無垢の木材を建築物、特に木造建築の構造部材に用いる場合には、木材が水分を含有しているために種々の問題が生じる。例えば、未乾燥の木材では、木材の乾燥により30cm〜36cmの梁について、約15〜18mm、すなわち約5%程度の収縮が発生する。このように構造部材に未乾燥の木材を用いると、木材の収縮により床が傾いたり、雨漏りを生じたりするといった種々の不都合が生じることになる。近年、木造住宅に対する要求が高度となりつつあり、上述したような木材の収縮による床面の傾きや、雨漏りといった不都合はできるだけ避ける必要がある。
【0003】
従来では、上述の構造部材として用いられる木材の収縮といった問題に対応するために、人工的に乾燥を行った木材、すなわち人工乾燥材が用いられている。木材の含水率を12%程度とした人工乾燥材は、乾燥コストが高いこと、収縮が大きいこと、歩切れを生じ、乾燥割れが多数発生すること、等の理由から一般的に流通されているという状況ではない。
【0004】
上述した人工乾燥材の不都合を補うために、木質板を複数ラミネートして形成される集成材が提案されている。この集成材は、より容易に乾燥を行うことが可能な薄い木質板を複数ラミネートして乾燥による収縮を低減させると共に必要な構造的強度を得ることが可能であるという利点を有しているものの、価格が未乾燥木材と比較して高コストであり、一般的に使用されているという状況ではない。この従来の集成材は、縦継ぎラミナが対向する端部にフィンガージョイントを形成させるものである。この対向する集成材の端部のフィンガージョイントは、互いに嵌合され、接着剤等で接着を行って形成されている。このような集成材は、集成材を形成するための縦継ぎラミナに対して一枚一枚フィンガージョイントを形成するための加工を施さなければならず、加工時間、加工に要する人件費等のため作業コストが高く、集成材の利用性を制限することになっている。
【0005】
上記点に鑑み、充分な強度を有し、低コストで製造することが可能な集成材やフィンガジョイントにより互いに接合された単板積層材のみにより製造された集成材が提案されている(特許文献1、2参照。)。しかしながら、これらの集成材は、収縮を目的としたものではなく、外層ラミナおよび端部ラミナを用いるものではない。外層ラミナおよび端部ラミナを用い、収縮を目的とし、低コストで製造することが可能な木質複合材が提案されている(特許文献3参照。)。この木質複合材は、木造建築物に対する品質確保促進を図るため建築基準法の改正に対応するべく、性能表示・瑕疵担保をしなければならなくなることに対応し、さらに人工乾燥材及び集成材の利用比率が高まることを予想して、高品質かつ安価で提供することができるものの、内層ラミナが複数の板材で形成されているため、多くの接着工程が必要であり、また、内層ラミナに使用する複数の板材をそれぞれ適切な大きさに切断しなければならないといった労力も必要とされていた。
【0006】
また、近年の為替や関税の見直し等により、安価な輸入材が大量に流通し、これにより、国内産の製材価格の下落による林業の低迷で、森林の間伐等の管理が疎かとなり、森林荒廃の兆候が出始めている。また、大規模に造林されたから松についても、従来は電柱や坑木等に多く使用されていたが、現在ではコンクリートや鉄骨等に代わり、その需要がほとんどなく、から松材の負の特徴である乾燥後の曲がり、そり、ねじれ等の形状変形により、木質強度は充分に高いものの、一般建築材料としては需要が少ないのが現状となっている。したがって、形状変形した小断面の製材部材を直通化し、から松等の小中径木で製造した製材を使用して大断面の複合材を、高品質・高性能で、かつ低価格で提供することが望まれている。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−187706号公報(第1頁−第5頁、第1図−第5図)
【特許文献2】
特開平9−174518号公報(第1頁−第4頁、第1図−第6図)
【特許文献3】
特許第3267961号(第1頁−第10頁、第1図−第6図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は上述した問題に鑑み、乾燥時に大量に発生する小中径木の曲がり材を有効利用できるとともに容易に製造でき、充分な強度を有するとともに充分な寸法安定性を有し、従来にまして安価で提供することができる木質複合材及び該木質複合材の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の発明によれば、含水率20質量%以下の木質の曲がり材から形成される外層ラミナと、直通で含水率15質量%以下の複数の木質無垢材を積層接着させて形成した木質製材で、前記外層ラミナよりも短尺とされた内層ラミナと、前記内層ラミナの長手方向の両端部に配設され、前記内層ラミナと略同厚で含水率15%質量以下の木質の端部ラミナとからなり、前記内層ラミナと前記端部ラミナとが、前記外層ラミナの間に積層接着され、さらに、一方の前記外層ラミナから他方の前記外層ラミナにまで通じる貫通孔が設けられ、前記貫通孔に補強部材が挿通されていることを特徴とする木質複合材が提供される。
【0010】
本発明の請求項2の発明によれば、前記外層ラミナと、前記端部ラミナとは、同一の木質の部材から形成されていることを特徴とする木質複合材が提供される。
【0011】
本発明の請求項3の発明によれば、前記端部ラミナは、前記外層ラミナの20%以下の長さとされていることを特徴とする木質複合材が提供される。
【0012】
本発明の請求項4の発明によれば、直通で含水率15質量%以下の複数の木質無垢材を積層接着させて形成した木質製材からなる内層ラミナと、前記内層ラミナの長手方向の両端部に配置され、前記内層ラミナと略同厚で、含水率15質量%以下の木質の端部ラミナとに接着剤を塗布し、前記内層ラミナと前記端部ラミナとを含水率20%質量以下の木質の曲がり材からなる外層ラミナの間に配置し、圧力を加えて前記外層ラミナを直通化し、前記外層ラミナと前記内層ラミナと前記端部ラミナとを同時に積層接着し、さらに、一方の前記外層ラミナから他方の前記外層ラミナにまで通じる貫通孔を設け、前記貫通孔に補強部材を挿通することを特徴とすることを特徴とする木質複合材の製造方法が提供される。
【0013】
本発明の請求項5の発明によれば、前記外層ラミナと、前記端部ラミナとは、同一木質の部材から形成されていることを特徴とする木質複合材の製造方法が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。本発明の木質複合材は、外層ラミナ1と、外層ラミナ1の間に挟まれた内層ラミナ2と、必要に応じて端部ラミナ3とから構成することができる。図1は、本発明の木質複合材について、端部ラミナ3を用いた場合について示した斜視図である。外層ラミナ1及び内層ラミナ2の寸法には特に制限はなく、必要に応じて端部ラミナ3を用いる場合には、内層ラミナ2よりも外層ラミナ1が長尺とされる。図1に示した木質複合材では、外層ラミナ1が、内層ラミナ2よりも長尺の木質材料から形成されており、本発明の木質複合材の外層部を形成している。また、端部ラミナ3を用いる場合には、外層ラミナ1と内層ラミナ2と端部ラミナ3とを長手方向に同一の長さとして積層することも可能であるし、また異なった長さの外層ラミナ1と内層ラミナ2と端部ラミナ3とを積層接着した後に切断して、本発明の木質複合材を形成することもできる。図1では、内層ラミナ2の外層ラミナ1に隠されて外部からは見えない部分については破線で示している。本発明にいうラミナとは、長さ、幅厚さの如何に拘わらず本発明の木質複合材を形成するために積層される部材のことをいう。また、図1に示す実施の形態では、外層ラミナ1が4つ接着されていて、所定の大きさの断面を形成し、かつ一方の外層ラミナ1から内層ラミナ2および端部ラミナ3を通して他方の外層ラミナ1にまで貫通する貫通孔に補強部材4が挿設されている。
【0015】
本発明に用いられる外層ラミナ1は、から松や間伐材といった小中径木から所定の寸法で切り出し、人工乾燥機などによって含水率がその材料の20質量%以下になるまで脱水したものが用いられる。このように脱水した材料は、曲がりや反りといった形状変形を生じ、その材料のおよそ10%は、著しい形状変形を生じるため、製品として使用することができない。また、残りのおよそ90%は、軽微な曲がりや反りであるものの、一般に、その曲がりや反りを生じた部分は、削り落とされ、直通部分のみを使用して製品に仕上げられている。小中径木は、曲がりや反りなどを削り落として製品に仕上げたとしても、原木からの材料歩留まり率が低く、非経済的であるため、現在ではあまり利用されていない。本発明は、小中径木で、このように曲がりや反りなどの形状変形を生じた材料を有効に利用して、木質複合材を製造することを目的としている。一般に、小径木とは、原木の径が22cm以下のものをいい、中径木とは、原木の径が24cm〜28cm程度のものをいう。本発明においては、上述した小中径木であればいかなる原木であっても良いが、乾燥後の曲がり、そり、ねじれなどの形状変形を生じやすく、木質強度は充分に高いものの、一般建築材料としては需要が少ないから松材や間伐材を外層ラミナ1に使用することができる。また、外層ラミナ1は、複数の部材で構成することができ、図1に示すように4つに限らず、例えば、内層ラミナ2を間に挟んで両側に1ずつとしたり、あるいは両側に3つずつとして合計6つの外層ラミナ1で本発明の木質複合材を形成することもできる。
【0016】
本発明に用いられる内層ラミナ2は、曲がりや反りなどの形状変形を防止し、形状安定性といった観点から、材料の含水率が15質量%以下とした直通の無垢材を複数使用して製造される木質製材を使用することができる。上記無垢材としては、厚さを薄くした針葉樹板材を使用することができる。厚さを薄くした無垢材を用いることにより、短い時間で乾燥を行うことができ、また、木目方向が交差するように複数のこの板材を交互に接着剤を塗布して接着させることにより、より高い強度かつ充分な形状安定性を付与することができる。本発明においては、この内層ラミナ2を芯材として使用し、曲がりや反りなどの形状変形を生じた外層ラミナ1を接着させて直通の木質複合材を製造するため、内層ラミナ2に使用する材料には、外層ラミナ1に使用される曲がり材の復元力に抵抗し、どの方向からの外力に対しても同じ応力を有する針葉樹製材が好ましい。なお、針葉樹製材に用いる針葉樹板材としては、具体的には、とど松、から松、えぞ松、米松、杉、檜、枠組み工法であるツーバイフォー工法に多く用いられるスプルスパインファー(SPF)材、米ツガなどを使用することができる。本発明において内層ラミナ2は、上記針葉樹製材に限らず、針葉樹の無垢材、オリエンテッドストランドボード(Oriented Strand Board:OSB)、パーティクルボード、長尺の中密度繊維板(Medium Density Fiberboard:MDF)といった木質繊維板、高性能構造用木質材料(Parallel Strand Lumber:PSL)、単板積層材(Laminated Veneer Lumber:LVL)、オリエンテッドストランド積層材(Oriented Strand Lumber:OSL)を使用することもできる。しかしながら、乾燥時間の短縮といった作業効率を高める上で、上記針葉樹製材を用いることが好ましい。
【0017】
本発明の木質複合材は、形状安定性の高い上述した木質製材を内層ラミナ2として用い、外層ラミナ1に接着させているため、通常の用途では外層ラミナ1の収縮に対応させることが可能となり、さらには、内層ラミナ2に対して防腐処理、防蟻処理、難燃処理を行うための水溶性の薬剤を加圧注入する場合の内層ラミナ2の膨張にも対応することができる。
【0018】
さらには、本発明において含水率が20質量%以下の外層ラミナ1を使用し、含水率が15質量%以下の上記針葉樹製材からなる内層ラミナ2を使用することにより、含水率を低くしなければ通常では効果的に浸透させることができない各種薬剤をよりいっそう短時間に浸透させることができる。したがって、本発明の木質複合材には、用途に応じて効率良く防腐処理、防蟻処理、難燃処理を施すことができる。具体的には、含水率60質量%の米ツガを使用し、加圧注入により薬剤を浸透させる場合、通常では4時間かかる。さらに木質材料の含水率が高い場合には、5時間〜8時間程度かかる場合もある。この加圧注入方法は、含水率の低下とともにその効率が向上し、例えば、含水率40質量%では、同一の防腐性を得るために2時間程度まで処理時間を低下させることができることが知られている。本発明の木質複合材は、上述したように、さらに含水率の低い外層ラミナ1と内層ラミナ2とを使用するため、よりいっそう処理時間を低減させることが可能となる。
【0019】
図1に示す内層ラミナ2のその長手方向の両端には、端部ラミナ3が接着されている。本発明において端部ラミナ3は、必要に応じて設けることができ、内層ラミナ2と同一材料である針葉樹無垢材を使用することができる。また、この端部ラミナ3を接着する場合には、接着剤として、フェノール樹脂系接着剤、尿素樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、ポリアミド樹脂系接着剤、アルキド樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ポリウレタン樹脂系接着剤、水性ビニルウレタン系接着剤等の熱硬化性樹脂接着剤、熱可塑性樹脂接着剤から適宜選択して用いることができる。端部ラミナ3は、内層ラミナ2と同様に、両面に隣接して外層ラミナ1が接着されるため、直通の無垢材を用いることが好ましい。これは、在来の軸組工法の継手を形成する際や、仕口加工をする際の曲面加工を施す際に、針葉樹製材などの複数の木質材料を接着させて製造される製材を使用すると、硬化した接着材のため切削用刃物の劣化が激しいといった問題が生じることになり、木質複合材の利用性を低下させることになるためである。また、端部ラミナ3の大きさは、製造する複合材の大きさおよび内層ラミナ2の寸法に応じて適宜選択することができるが、端部ラミナ3の長手方向の長さが外層ラミナ1の長手方向の長さの20%以下とされていることが好ましい。さらに、端部ラミナ3の厚さは、内層ラミナ2の厚さと略同一であることが好ましい。外観上の点を考慮すれば、外層ラミナ1と同一の材料とされていることが好ましく、ただし、この場合、外層ラミナ1に使用する曲がり材ではなく、無垢の直通材が用いられる。このように端部ラミナ3を用いることにより、本発明の木質複合材に釘、木ねじ、ボルトといった補強用の部材の取り付けを加工現場ばかりでなく、建築現場においても容易に行うことができ、さらには本発明の木質複合材の端部切削を容易とすることができる。本発明において内層ラミナ2と端部ラミナ3との接合方法としては、そのまま端部同士を突き合わせて接着するバットジョイント、互いにジグザグに加工した端部同士を突き合わせて接着するフィンガージョイント、合わせ面を斜めに形成した端部同士を接着するスカーフジョイントなどいかなる方法でも使用することができる。
【0020】
本発明において内層ラミナ2は、曲がり、そりといった品質変化の少ない針葉樹製材、その他OSB、パーティクルボード、MDF、PSL、LVL、OSLといった材料を用いて、外層ラミナ1と加圧プレス等の手段により面接着させることができる。この場合、外層ラミナ1に使用される曲がり材の位置および方向を統一し、製造された木質複合材の所定の位置に所定の応力を集約させることで、最大の内部応力を蓄積させることができ、例えば、この複合材の上端側に引張応力が存在し、下端側に圧縮応力が存在するような梁として使用した場合、上からの垂直荷重による上端部圧縮に対して応力抵抗を、また、下端部引張応力に対して撓み抵抗を増加させることができ、より経済的な木質複合材とすることができる。
【0021】
また、図1に示す本発明の木質複合材は、さらに、一方の外層ラミナ1から他方の外層ラミナ1へと貫通する貫通孔が設けられ、その貫通孔に挿通する補強部材4が設けられている。この補強部材4は、本発明の木質複合材が直通に成形されるものの、外層ラミナ1に使用される曲がり材の反発により、曲がりが復元する可能性があるため、曲がりが復元しそうな箇所に設けられる。本発明において補強部材4としては、所定の径の木質棒部材を使用し、曲がりが復元しそうな箇所に挿設される。貫通孔は、ドリルといった穴開装置を使用し、一方の外層ラミナ1から他方の外層ラミナ1に向けて、内層ラミナ2または端部ラミナ3を通して貫通するように形成される。貫通孔の径の大きさは、製造する木質複合材の寸法に応じて適宜設定することができる。また、補強部材4として使用される木質棒部材は、貫通孔の径の大きさと同じ大きさとされる。こうすることにより、挿設された木質棒部材が貫通孔内部に固定され、外層ラミナ1、内層ラミナ2および端部ラミナ3のいずれか1つに外力が加えられたとしても、その1つのラミナが剥離することはなくなり、また、曲がり材の復元力による曲がりの復元を防止することができる。本発明において補強部材4は、上述したように貫通孔の径と同じ径の木質棒部材に限らず、断面が矩形の貫通孔と同じ断面の木質棒部材とすることもでき、または木質棒部材に限らず、所定の強度および曲げ強度を有する他の材料を使用することもできる。
【0022】
図2〜図4を参照して本発明の木質複合材の製造方法について詳細に説明する。図2は、本発明の木質複合材を製造するために使用する外層ラミナ1と、内層ラミナと、端部ラミナ3とを所定寸法に切り出し、所定位置に配置したところを示した図である。図2(a)は、平面図を示し、図2(b)は、切断線A−Aに沿って切断した場合の断面図を示している。なお、外層ラミナ1は、曲がりを生じているため、内層ラミナ2と端部ラミナ3とを隣接させて配置した長さより短くなっている。まず、製造する木質複合材の必要とされる断面の幅、厚さと、木質材料の長さとを設定する。これらの寸法は、必要に応じて適宜設定することができる。材料となる原木から上記設定寸法となるように、外層ラミナ1、内層ラミナ2および端部ラミナ3を切り出し、用意する。一般には、乾燥による収縮を考慮し、設定寸法の5%〜10%大きく切り出す。外層ラミナ1は、その含水率が20質量%以下になるまで人工乾燥機を使用して乾燥される。この乾燥により、外層ラミナ1は、曲がりや反りなどの形状変形を生じる。また、内層ラミナ2は、複数の薄い無垢材を、曲がりや反りが生じないようにその材料の含水率が15質量%以下になるまで乾燥させ、その後、木目方向が交差するように複数接着させることにより製造される。本発明においては、直通な木質材料を形成することができるのであれば、上記方法に限らず、いかなる方法でも使用することができる。さらに、端部ラミナ3についても、曲がりや反りが生じないようにその材料の含水率が15質量%以下になるまで乾燥される。
【0023】
内層ラミナ2の長手方向の両端部に接着剤5を塗布し、端部ラミナ3を隣接させて配置する。また、内層ラミナ2および端部ラミナ3の幅方向および長手方向により形成される両面に接着剤5を塗布し、外層ラミナ1を隣接させて配置する。図2に示される実施の形態では、各ラミナを隣接させて配置しただけであるため、まだ、密着した状態とはされていない。本発明において接着剤5は、塗布以外に、スプレーといった方法や、加圧下における毛管現象により接着面全体に広がるようにされていても良い。
【0024】
図3は、図示しない積層用直通成形機により互いを隣接させて配置した木質材料を成形するところを示した図である。積層用直通成形機としては、各ラミナを積層した木質材料を載置するプレートと、載置した後にその木質材料をその長手方向の両側、および幅方向の上側の三方向から圧力を加える加圧手段とを含む構成とすることができる。加圧手段は、例えば、油圧式のものを用いることができる。これらの圧力、成形機の大きさについては、使用する木質材料の種類、寸法により適切な条件および大きさとすることができる。図2に示す実施の形態で示されるように、各ラミナを積層した木質材料は、上述した積層用直通成形機に送られ、プレート上に載置され、加圧手段により長手方向の両側、および幅方向の上側の三方向から所定の圧力で圧締めされ、外層ラミナ1の幅方向に生じた曲がりが矯正され、木質材料が直通に成形された積層部材を製造する。
【0025】
図4は、積層部材に補強部材4を挿設しているところを示した図である。図3で示される実施の形態のように、積層部材は、直通に成形されるものの、外層ラミナ1に使用される曲がり材の反発により、曲がりが復元する可能性があり、このように曲がりが復元しそうな箇所に補強部材4が設けられる。図4に示す実施の形態では、補強部材4として、所定の径の木質棒部材を使用し、曲がりが復元しそうな箇所である8箇所に貫通孔6が設けられ、下側の外層ラミナにはすでに補強部材4が挿設され、上側の外層ラミナ1a、1bに補強部材4を挿通させるところが示されている。貫通孔6は、ドリルといった穴開装置を使用し、一方の外層ラミナ1aから他方の外層ラミナ1bに向けて、内層ラミナ2および端部ラミナ3を通して貫通するように形成される。また、補強部材4は、形成した貫通孔6に挿通し、外層ラミナ1から突出する部分を切断することで、本発明の木質複合材に補強部材4を挿設することができる。本発明において補強部材4は、予め一方の外層ラミナ1aの表面から他方の外層ラミナ1bの表面までの長さとされたものを使用し、上記突出する部分を切断することなく、挿設することができるようにされていても良い。
【0026】
こうして得られた積層部材を電磁波加熱装置へと送り、各ラミナを互いに接着する。図5は、積層部材を電磁波加熱装置7へ送り、電磁波加熱装置7によって積層接着しているところを示した図である。本発明に用いる電磁波加熱装置7は、積層部材を搬送するためのコンベア8と、コンベア8の一部を覆い、高周波加熱を行うための電磁波加熱手段9とを含んで構成されている。電磁波加熱手段9は、高周波誘導加熱またはマグネトロンを用いたマイクロ波加熱を用いることができる。高周波誘導加熱は、高周波数の電圧を上記積層部材に加え、特に誘電体を加熱するものである。
【0027】
また、マイクロ波加熱とは、マグネトロンから発生したマイクロ波を用いて積層部材を加熱するものであり、本発明においては、いずれの方法でも用いることができる。本発明のように電磁波加熱を行うことにより、コールドプレスおよびホットプレスといった予め積層部材の長さをある程度設定しておき、積層接着後、最終的な長さに加工することによる木材の無駄を省くことができる。また、電磁波加熱手段9は、必要に応じてプレスを行うことができる構成とされている。
【0028】
図5に示す電磁波加熱装置7は、矢線Bで示される搬送方向に直交する紙面方向に奥行きを有しており、積層部材をそのまま加熱することができるようになっている。本発明において用いる電磁波加熱装置7は、特に木材工場といった特定場所に設置する必要はなく、例えば、建築現場や、その近くの発電機、接着剤塗布装置とともに設置することができる。このようにすることで、建築現場において木質複合材の製造および切断加工などを行うことが可能となる。このため、木材工場から建築現場へと木質材料を搬送するという問題も生じることなく、効率良く木質複合材を製造することができる。
【0029】
本発明の木質複合材の製造方法を、図5を用いて説明すると、まず、上述したようにして積層部材を製造し、その積層部材を電磁波加熱装置7の電磁波加熱手段9に供給する。なお、図5に示す積層部材は、図4に示す積層部材に比較して長手方向に長くされた部材とされている。電磁波加熱装置7は、コンベア8を移動させ、積層部材を電磁波加熱手段9の下部へと搬送し、加熱プレスを行い、積層接着を行う。この加圧時の加圧条件および加熱条件については、使用する木質材料の種類や接着剤の種類に応じて適宜設定することができる。この後、必要に応じて積層接着して製造した複合材をモルダー機械などを使用して所定寸法に切断することで、本発明の木質複合材を形成することができる。さらにこの後、本発明の木質複合材には、必要に応じて防腐加工、難燃加工、防蟻加工といった各種の加工を施すことができる。
【0030】
図6は、本発明の木質複合材の断面を例示した図である。図6に示す実施の形態では、複数の針葉樹無垢材10を、接着剤5を介して積層接着することにより製造した針葉樹製材を内層ラミナ2として使用し、その内層ラミナ2を挟み込むように隣接させて4つの外層ラミナ1が接着されて木質複合材が形成されている。本発明の木質複合材としては、例えば、針葉樹無垢材10として厚さ3mmの直通のから松材を5枚使用し、それらを貼り合わせて内層ラミナ2を形成し、外層ラミナ1としてから松の曲がり材を使用し、本発明の上記製造方法により断面が105mm×180mmの木質複合材を製造することができる。また、同様の直通のから松材10枚を使用し、それらを貼り合わせて内層ラミナ2を形成し、外層ラミナ1としてから松の曲がり材を使用し、本発明の上記製造方法により上記と同様の断面が105mm×180mmの木質複合材を製造することができる。本発明の木質複合材を、片側につき2つの外層ラミナ1を接着させて形成することについて説明してきたが、本発明においては片側に3つ、あるいはそれ以上の外層ラミナ1を接着させて形成することもできる。これらは、製造する木質複合材の断面の大きさおよび使用する外層ラミナ1の断面の大きさなどにより適宜選択することが可能である。また、本発明においては、上記板材を接着する場合、外層ラミナと内層ラミナおよび端部ラミナとを接着する場合、上述した内層ラミナと端部ラミナとを接着する接着剤と同様のものを用いることができる。
【0031】
本発明の木質複合材は、柱、梁、大引、桁といった木造建築一般の構造用材料として用いられるばかりでなく、端部および側面加工が容易となるため、頭つなぎ、大入れあり掛け、腰掛けあり継ぎ、平ほぞ、大入れあり掛け、柱もたせ、腰掛けかま継ぎ、輿入れ目違いかま継ぎ、傘車知継ぎ、目違い継ぎ、両目違いかま継ぎといった種々の接合部を容易に形成でき、これらの接合部を形成するための構造用材料として用いられるほか、角式ログハウスの内装・外装品のための部材として広く用いることも可能である。
【0032】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、その需要がほとんどなく、負の特徴である乾燥後の曲がり、そり、ねじれ等の形状変形により、木質強度は充分に高いものの、一般建築材料としては需要が少ないから松などの小中径木を有効に利用するができるとともに、製造工程が簡単で容易に製造することができ、また、こうして製造された製材を使用して大断面の複合材を、高品質・高性能で、かつ低価格で提供することが可能である。さらに、充分な強度を有し、かつフィンガージョイントを用いることなくバットジョイントにより積層を可能とし、充分な強度を有すると共に、継ぎ手部分といった曲面加工を容易に行うことを可能とする従来にまして広い利用性を有し、かつ安価な木質複合材及び該木質複合材の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の木質複合材の斜視図。
【図2】本発明に用いる外層ラミナ、内層ラミナおよび端部ラミナを配置したところを示した図。
【図3】図2に示した外層ラミナ、内層ラミナおよび端部ラミナをそれぞれ接着させて積層部材を形成したところを示した図。
【図4】本発明に用いる補強部材を図3に示した木質複合材に挿設して積層部材を製造したところを示した図。
【図5】積層部材を電磁波加熱装置へ送り、電磁波加熱装置によって積層接着させ、本発明の木質複合材を製造しているところを示した図。
【図6】本発明の木質複合材の断面を例示した図。
【符号の説明】
1、1a、1b…外層ラミナ
2…内層ラミナ
3…端部ラミナ
4…補強部材
5…接着剤
6…貫通孔
7…電磁波加熱装置
8…コンベア
9…電磁波加熱手段
10…針葉樹無垢材

Claims (5)

  1. 含水率20質量%以下の木質の曲がり材から形成される外層ラミナと、直通で含水率15質量%以下の複数の木質無垢材を積層接着させて形成した木質製材で、前記外層ラミナよりも短尺とされた内層ラミナと、前記内層ラミナの長手方向の両端部に配設され、前記内層ラミナと略同厚で含水率15%質量以下の木質の端部ラミナとからなり、前記内層ラミナと前記端部ラミナとが、前記外層ラミナの間に積層接着され、さらに、一方の前記外層ラミナから他方の前記外層ラミナにまで通じる貫通孔が設けられ、前記貫通孔に補強部材が挿通されていることを特徴とする、木質複合材。
  2. 前記外層ラミナと、前記端部ラミナとは、同一の木質の部材から形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の木質複合材。
  3. 前記端部ラミナは、前記外層ラミナの20%以下の長さとされていることを特徴とする、請求項1または2に記載の木質複合材。
  4. 直通で含水率15質量%以下の複数の木質無垢材を積層接着させて形成した木質製材からなる内層ラミナと、前記内層ラミナの長手方向の両端部に配置され、前記内層ラミナと略同厚で、含水率15質量%以下の木質の端部ラミナとに接着剤を塗布し、前記内層ラミナと前記端部ラミナとを含水率20%質量以下の木質の曲がり材からなる外層ラミナの間に配置し、圧力を加えて前記外層ラミナを直通化し、前記外層ラミナと前記内層ラミナと前記端部ラミナとを同時に積層接着し、さらに、一方の前記外層ラミナから他方の前記外層ラミナにまで通じる貫通孔を設け、前記貫通孔に補強部材を挿通することを特徴とすることを特徴とする、木質複合材の製造方法。
  5. 前記外層ラミナと、前記端部ラミナとは、同一木質の部材から形成されていることを特徴とする、請求項4に記載の木質複合材の製造方法。
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