JP2004236544A - にんにく風味液状調味料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】食酢を含有する液状調味料に、生のホールのにんにくに酵素アリイナーゼ失活処理と澱粉α化処理とを施したものを、細断化又はペースト化してなる酵素失活処理にんにくと、生のにんにくを細断化した後にローストして得られるロースト処理にんにく片とを含有させる。液状調味料全体に対し、酵素失活処理にんにくを生にんにく換算で0.3質量%以上、ロースト処理にんにく片を生にんにく換算で0.4〜18質量%の割合で含有させる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マヨネーズ、ドレッシング、各種たれ等の食酢を含有する液状調味料であって、特に生のホールのまま焼くか、あるいは生のホールのまま油ちょうしたにんにくの風味を呈する液状調味料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
生のにんにく自体は、にんにくのりん茎に傷がついていない限りほとんど臭わないが、一旦スライスや磨り下ろし状態にすると、特徴的な強いにんにく臭が発生する。これは、にんにく細胞の破壊により、にんにく中に存在するアリインが、にんにく細胞中においてアリインと異なった部分に存在する酵素アリイナーゼと接触し、その酵素反応の結果、化学的に不安定なアリシンが生じ、このアリシンが経時的にあるいは加熱により分解し、強いにんにく臭の原因物質であるアリルスルフィド類に変化するからである。
【0003】
このため、このような臭い特性を有するにんにくは、調理法によって食味や風味が大きく変化する食材となっている。例えば、にんにくのりん茎をホール(丸のまま)の状態で焼いた「焼にんにく」や、ホールの状態で油ちょうした「揚げにんにく」等は、細胞中の酵素アリイナーゼが熱により失活しているため、アリシン及びアリルスルフイド類が発生し難く、強いにんにく臭は生じず、また、にんにくのりん茎に澱粉が多量に含まれているため、加熱により澱粉がα化するので、ホクホクしたやわらかな歯応え感、強過ぎず穏やかなにんにくの風味と適度のロースト風味等を有するものとなる。なお、「焼にんにく」や「揚げにんにく」のような、生のホールのにんにくを加熱処理又は油ちょう処理して得られるにんにく加工品を、便宜上「焼成にんにく」と総称する。
【0004】
また、生のにんにくを下ろし金で磨り下ろした「おろしにんにく」は、特有の辛味を伴う強い風味を有しており、また、生のにんにくをスライスし、それを食用油脂で妙めたもの(「ローストガーリック」)は、特有の強い風味を有するものとなる。実際に、これらを配合したにんにく風味ドレッシングや焼き肉のたれ等の液状調味料が既に市販されている。その他に、生のガーリックをジューサーにかけて得たガーリックジュースに食塩を添加し、そのまま12時間程度常温保存したにんにくジュースあるいは60℃に加熱処理したにんにくジュース(特許文献1)、加熱処理により酵素を一部失活させた生にんにくの磨砕物と、加熱処理により酵素を完全に失活させたにんにくの磨砕物とを、PH4.4〜4.8の条件下でピルビン酸含量が370mg%以上となるように混合してなる保存安定性に優れた練りにんにく(特許文献2)、また、生のホールのガーリックをマイクロウェーブ及び/又は遠赤外線で加熱処理し、これに油を加えて、ペースト状に粉砕して焙煎してなる焙煎ガーリックペースト(特許文献3)が提案されている。これらを、大豆油、食酢、砂糖、塩、香辛料等と共に混合すれば、にんにく風味液状調味料が得られる。
【0005】
【特許文献1】特開昭59−74968号公報
【特許文献2】特公昭61−34785号公報
【特許文献3】特開2000−166498号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、「おろしにんにく」や「ローストガーリック」を配合した液状調味料の場合、それら特有の強い風味を有しており、むしろしつこさ、くどさなどを消費者に与えるものであった。また、特許文献1に示されたような液状調味料や、特許文献2又は3に示されたガーリックペーストを含有する液状調味料もまた、「おろしにんにく」や「ローストガーリック」を配合した液状調味料の場合と同様に、生のおろしにんにく特有の辛味を伴う強い風味やローストガーリック特有の強い風味を付与したものであった。
【0007】
このため、焼成にんにく特有の、穏やかなにんにく風味及び適度のロースト風味と、ホクホクしたやわらかな歯応え感とを、液状調味料に付与するために、にんにく原料として、焼成にんにくを細断化又はペースト化したものを使用することが考えられるが、液状調味料に配合される食酢の強い酸味によって、焼成にんにく特有の穏やかなにんにく風味とロースト風味とが覆い隠されて(マスキングされて)しまい、また、ペースト化した焼成にんにくを使用した場合には焼成にんにくが液状調味料中に分散してしまうため、ホクホクした軟らかな歯応え感が失われて単調な食味となってしまうという問題がある。このように、焼成にんにくの特徴を生かしたにんにく風味液状調味料が市場に提供されていないというのが現状である。
【0008】
本発明の目的は、従来の技術の課題を解決しようとするものであり、やわらかな歯応え感、強過ぎず穏やかなにんにくの風味と適度のロースト風味等を有する食酢を含有する液状調味料とその製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、生のホールのにんにくに酵素アリイナーゼ失活処理と澱粉α化処理とを施したものを細断化又はペースト化したものとロースト処理にんにく片とを、食酢を含有する液状調味料に同時に配合することにより、食酢を含有するにもかかわらず、焼成にんにくのやわらかな歯応え感、強過ぎず穏やかなにんにく風味と適度のロースト風味とを液状調味料に付与できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
即ち、本発明は、食酢を含有する液状調味料であって、生のホールのにんにくに酵素アリイナーゼ失活処理と澱粉α化処理とを施したものを、細断化又はペースト化して得られる酵素失活処理にんにくと、生のにんにくを細断化した後にローストして得られるロースト処理にんにく片とを含有することを特徴とするにんにく風味液状調味料を提供する。
【0011】
また、本発明は、食酢を含有するにんにく風味液状調味料の製造方法において、以下の工程(a)〜(c):
(a)生のホールのにんにくに酵素アリイナーゼ失活処理と澱粉α化処理とを施したものを、細断化又はペースト化して酵素失活処理にんにくを調製する工程;
(b)生のにんにくを細断化した後にローストしてロースト処理にんにく片を調製する工程; 及び
(c)工程(a)で得られた酵素失活処理にんにくと、工程(b)で得られたロースト処理にんにく片と、食酢とを混合する工程
を含んでなることを特徴とするにんにく風味液状調味料の製造方法を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のにんにく風味液状調味料は、食酢を含有する液状調味料であって、更に、生のホールのにんにくに酵素アリイナーゼ失活処理と澱粉α化処理とを施したものを、細断化又はペースト化して得られる酵素失活処理にんにくと、生のにんにくを細断化した後にローストして得られるロースト処理にんにく片とを含有する。
【0013】
本発明のにんにく風味液状調味料において、酵素失活処理にんにくは、▲1▼液状調味料に、穏やかなにんにく風味を付与し、▲2▼液状調味料に、にんにくの澱粉質により滑らかな舌触りを付与し、また、色調が白っぽくなるため、焼成にんにくを原料として使用した調味料らしい食感及び外観を付与し、▲3▼にんにくの澱粉質が液状調味料中に分散するため、液状調味料の粘度を適度に上昇させ、とろりとした性状となり食材への絡み付き性(例えば、液状調味料がサラダドレッシングである場合サラダ野菜への絡み付き性、焼肉のたれである場合の焼肉等への絡み付き性)を向上させる機能を有する。
【0014】
酵素失活処理にんにくは、具体的には、生のホールのにんにくに酵素アリイナーゼ失活処理と澱粉α化処理とを施したものを細断化又はペースト化したものである。
【0015】
ここで、生のホールのにんにくとは、酵素アリイナーゼによりにんにく中のアリインがアリシンに実質的に変化していない状態のにんにくのことであり、具体的には、細断、磨砕、スライス化等していない生のにんにくを意味するが、にんにく中のアリインがアリシンに実質的に変化していないのであれば、もしくは変化していても非常にわずかであれば、スライスされたにんにくやカットされたにんにくも含まれる。
【0016】
また、酵素アリイナーゼ失活処理の手法としては、例えば、にんにくを酵素アリイナーゼが失活する温度(例えば80℃)以上ににんにくを加熱することが好ましく挙げられる。また、澱粉α化処理の手法としては、にんにく中の澱粉がα化する温度(例えば80℃)以上ににんにくを加熱することが好ましく挙げられる。
【0017】
なお、酵素アリイナーゼ失活処理と澱粉α化処理とを、加熱手法(焼く、煮る、蒸す、マイクロウエーブ照射)や加熱時間を調製して別々に行ってもよいが、にんにく中の澱粉がα化する温度以上(例えば80℃以上)に、所定時間(例えば1分以上)、にんにくを加熱すれば、同時に酵素アリイナーゼ失活処理が行なわれることになるので好ましい。
【0018】
酵素アリイナーゼ失活処理と澱粉α化処理とが施されたホールにんにくの細断化とペースト化とは、公知の装置を用いて常法に従って行うことができる。細断化の程度としては、良好な歯応え感付与の観点から体積10−2mm3〜1cm3程度が適当である。
【0019】
以上説明した酵素失活処理にんにくの具体例としては、生のホールのにんにくを天火で焼いた「焼にんにく」や、ホールの状態で油ちょうした「揚げにんにく」等を細断化又はペースト化したものが挙げられる。
【0020】
酵素失活処理にんにくのにんにく風味液状調味料中の配合量としては、少なすぎると、焼成にんにくを原料として使用した調味料らしい風味及び滑らかな舌触り感を呈し難くなるので、好ましくは生のにんにく換算で0.3質量%以上、より好ましくは0.6質量%以上である。ここで、酵素失活処理にんにくは、液状調味料に多く含有させるほど焼成にんにくらしい風味及び滑らかな舌触り感を付与することができるが、生のにんにく換算で50質量%を超えると、液状調味料というよりも、むしろにんにくペーストそのものの状態を呈するので、液状調味料として使用しにくくなる。
【0021】
なお、揚げにんにくの場合、油ちょうに用いた食用油脂には、揚げにんにくの風味が適度に移行しているため、この食用油脂と揚げにんにくとを一緒に細断化又はペースト化した酵素失活処理にんにくを液状調味料のにんにく原料として用いることにより、液状調味料のにんにく風味及び焼き風味をより良好なものとすることができる。また、酵素失活処理にんにくを、油ちょうに用いた食用油脂と共にペースト状としておくことにより、焼成にんにく単独でぺースト化した場合よりも、ペーストの粘度を低くすることができるので、液状調味料の原料として使用する場合に扱い易く、液状調味料中に酵素失活処理にんにくを均一に分散し易い。
【0022】
生のホールのにんにくの油ちょうに用いる食用油脂としては、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、卵黄油、魚油等の動植物油、並びにMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド等のように化学的あるいは酵素的処理を施して得られる油脂等を用いることができるが、にんにくの風味を損なわないようにするためには、精製度の高い、所謂サラダ油を使用することが望ましい。特に、これらのような油ちょうに用いる食用油脂に、加熱によるにんにくの風味の減少を防ぐためにアスコルビン酸脂肪酸エステル、例えば、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、アスコルビン酸ステアリン酸エステル等を、食用油脂に対して0.001〜0.1質量%、より好ましくは0.01〜0.05質量%配合しておくことが好ましい。アスコルビン酸脂肪酸エステルを含有させておくと、加熱によるにんにくの風味の減少を防ぐことができる。
【0023】
酵素失活処理にんにくには、必要に応じて、焼成にんにくと食用油脂だけでなく、食酢、醤油、食塩等の各種調味料、清水、乳化剤等を添加しておくことができる。
【0024】
本発明のにんにく風味液状調味料において、ロースト処理にんにく片は、▲1▼生のにんにくを加熱前に細断化しているため、アリルスルフィド類が生成しており、にんにく特有の風味が非常に強く、したがって、食酢を含有する液状調味料の原料として用いた場合でも、食酢の酸味にマスキングされることなく、良好なにんにく風味を液状調味量に付与することができ、▲2▼きつね色を呈する程度まで加熱ローストしてあるので、強いロースト風味を呈し、液状調味料の原料として少量使用することにより、焼成にんにくのロースト風味を表現することができ、▲3▼乾燥した状態ではカリカリ或いはサクサクした歯応えを有するが、液状調味料に加えた場合には膨潤して、わずかにシャキッとした軟らかい歯応え感を呈し、これにより、液状調味料にあたかも焼成にんにくの小片を混ぜ込んであるかのような歯応え感を付与する機能を有する。
【0025】
ロースト処理にんにく片とは、具体的には、生のにんにくを細断化した後、公知の遠赤外線装置から発せられる遠赤外線又は油ちょうによりきつね色を呈する程度まで加熱して得られたものが挙げられる。また、生のにんにくを細断化して乾燥し、その後、公知の遠赤外線装置から発せられる遠赤外線又は油ちょうによりきつね色を呈する程度まで加熱して得られたものも挙げられる。このように、にんにくを加熱前に乾燥しておくことにより、より固いカリカリした歯応えのにんにく片を製造することができ、そのため、これを液状調味料の原料として用いた場合には、適度に膨潤し、よりシャキッとした歯応え感を呈するようになり好ましい。
【0026】
ロースト処理にんにく片の水分含量に関し、生のにんにくの水分含量が約60質量%であるのに対し、その水分含量を好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは0.5〜8.0質量%に調整する。このような水分含量に調整することにより、より固いカリカリした歯応えのにんにく片を製造することができ、そのため、これを液状調味料の原料として用いた場合には、適度に膨潤し、よりシャキッとした歯応え感を呈するようになり好ましい。
【0027】
また、ロースト処理にんにく片の大きさは、良好な歯応え感付与の観点から、液状調味料中で膨潤した状態において、体積8×10−3mm3〜1cm3程度が適当である。
【0028】
ロースト処理にんにく片のにんにく風味液状調味料中の配合量としては、少な過ぎると、にんにく特有の風味とロースト風味とが弱く、しかも焼成にんにくの小片を混ぜ込んであるかのような歯応え感をにんにく風味液状調味料に付与し難くなるので、好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.7質量%以上であり、また、多過ぎると、にんにく特有の風味とロースト風味とが強くなり過ぎ、焼成にんにく本来の穏やかな風味をにんにく風味液状調味料に表現し難くなるので、18質量%以下とすることが好ましい。
【0029】
本発明のにんにく風味液状調味料は、食酢を含有する。これによりさわやかな風味を液状調味料に付与することができる。食酢の配合量は、使用者の好みにより適宜変更することができる。ここで、食酢としては、米酢、リンゴ酢、ワインビネガー等の醸造酢又は合成酢等を使用することができる。
【0030】
また、本発明のにんにく風味液状調味料は、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の液状調味料に用いられている各種原料を適宜選択し配合することができる。例えば、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、卵黄油、魚油等の動植物油、並びにMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド等のように化学的あるいは酵素的処理を施して得られる油脂等の食用油脂、ジャガイモ澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、これらの澱粉をα化処理、架橋処理等の何らかの処理を施した化工澱粉等の澱粉類、クエン酸、レモン果汁等の酸味材、グルタミン酸ナトリウム、食塩、砂糖等の各種調味料、卵黄、酵素処理卵黄、全卵、卵白、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化材、動植物のエキス類、からし粉、胡椒等の香辛料等が挙げられる。
【0031】
以上説明した、食酢を含有する、本発明のにんにく風味液状調味料は、以下の(a)〜(c)の工程を含む、にんにく風味液状調味料の製造方法に従って製造できる。なお、各工程のおける用語の意味は、先に説明した本発明のにんにく風味液状調味料の場合と同様である。
【0032】
工程(a)
まず、生のホールのにんにくに酵素アリイナーゼ失活処理と澱粉α化処理とを施したものを、細断化又はペースト化することにより酵素失活処理にんにくを調製する。具体的には、生のホールのにんにくを油ちょうにより加熱した後、他の添加成分を加えずにそれらを単独で細断化又はペースト化することにより酵素失活処理にんにくを調製することが好ましい。あるいは、生のホールのにんにくを油ちょうにより加熱した後、油ちょうに用いた食用油脂と共に細断化又はペースト化することにより酵素失活処理にんにくを調製することが好ましい。ここで、にんにくの油ちょうに用いる食用油脂に、アスコルビン酸脂肪酸エステルを配合しておくことが好ましい。
【0033】
工程(b)
生のにんにくを細断化した後にローストすることにより、ロースト処理にんにく片を調製する。具体的には、ロースト処理にんにく片を、生のにんにくを細断化した後、遠赤外線又は油ちょうによりきつね色を呈する程度まで加熱して得ることが好ましい。あるいは、ロースト処理にんにく片を、生のにんにくを細断化して乾燥し、その後きつね色を呈する程度まで加熱して得ることが好ましい。
【0034】
工程(c)
工程(a)の酵素失活処理にんにくと、工程(b)のロースト処理にんにく片と、食酢とを混合する。この工程で、これら以外の原材料、例えば、醤油や砂糖などを混合することができる。これにより、にんにく風味液状調味料が得られる。この場合、液状調味料全体に対し、酵素失活処理を生にんにく換算で0.3質量%以上、ロースト処理にんにく片を生にんにく換算で0.4〜18質量%含有させることが好ましい。
【0035】
以上の製造方法により得られる本発明のにんにく風味液状調味料は、食酢を含有しているにも拘わらず、やわらかな歯応え感、強過ぎず穏やかなにんにくの風味と適度のロースト風味等を有する。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0037】
実施例1
工程(a):酵素失活処理にんにく(にんにくペースト)の調製
まず、表1に記載された原材料のサラダ油を、直火釜に注入し加熱し、そこへ皮むき処理済みホールにんにくを投入し、約160℃で5分間油ちょう処理した。処理後に90℃以下に冷却し、表1の食酢、白醤油、キサンタンガムを加え、ミキサーにて細断化、混合処理を行うことことにより、ペースト状の酵素失活処理にんにくを調製した。
【0038】
【表1】
【0039】
工程(b):ロースト処理にんにく片(にんにくチップ)の調製
表2に記載された原材料の皮むき処理済みホールにんにくを、ダイサーにて細断し、熱風乾燥機により乾燥処理した。次に、得られた乾燥にんにくに、表2のサラダ油を加え、遠赤外線ロースターを用いて乾燥にんにくがきつね色を呈する程度までロースト(焙煎)した。得られたローストにんにくを、クラッシャーにて細断化処理し、0.1mm3程度の大きさとすることにより、ロースト処理にんにく片を調製した。
【0040】
なお、得られたロースト処理にんにく片は、乾燥及び焙煎処理による水分の蒸発により、質量が上記の配合原料全体の約48.5質量%まで減少しており、水分含量は約1.4質量%であった。従って、このにんにくチップのにんにく含有量は、生のにんにく換算で約179%であった。
【0041】
【表2】
【0042】
工程(c):にんにくドレッシングの製造
工程(a)の酵素失活処理にんにくと工程(b)のロースト処理にんにく片を用いて、サラダ油を除く表3の原材料を全てをミキサーに投入し、撹拌し、混合した。その撹拌、混合の最中に、サラダ油を除々に注入しつつ乳化処理を行うことにより、にんにくドレッシングを製造した。得られたにんにくドレッシングは、食酢を含有しているにも係わらず、やわらかな歯応え感、強過ぎず穏やかなにんにくの風味と適度のロースト風味等を有し、非常に美味しいものであった。
【0043】
なお、得られたドレッシングを1.0リットルずつ酸素バリア層を有するポリエチレン製のボトルに充填密封し、5ヶ月保存後に開封したところ、製造直後と変わらない美味しさを保っていた。
【0044】
【表3】
【0045】
実施例2
工程(a):酵素失活処理にんにく(にんにくペースト)の調製
まず、表4に記載された原材料のサラダ油を、直火釜に注入し加熱し、そこへL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル製剤を入れサラダ油に溶解させた後、皮むき処理済みホールにんにくを投入し、約160℃で5分間油ちょう処理した。処理後に90℃以下に冷却し、表4の食酢、白醤油、キサンタンガムを加え、ミキサーにて細断化、混合処理を行うことことにより、ペースト状の酵素失活処理にんにくを調製した。なお、表4中の*1のアスコルビン酸パルミチン酸エステル製剤として、曽田香料株式会社製の商品名「VCP−10」を使用した。この製剤中には、アスコルビン酸パルミチン酸エステルが10%含有されている。したがって、表4の配合では、サラダ油に対するアスコルビン酸パルミチン酸エステルの添加割合は0.03%となる。
【0046】
【表4】
【0047】
工程(b):ロースト処理にんにく片(にんにくチップ)の調製
表5に記載された原材料の皮むき処理済みホールにんにくを、ダイサーにて細断し、熱風乾燥機により乾燥処理した。次に、得られた乾燥にんにくに、表5のサラダ油を加え、直火釜を用いて乾燥にんにくがきつね色を呈する程度まで油ちょうした。得られたローストにんにくを、クラッシャーにて細断化処理し、0.1mm3程度の大きさとすることにより、ロースト処理にんにく片を調製した。
【0048】
なお、得られたロースト処理にんにく片は、乾燥及び油ちょう処理による水分の蒸発により、質量が上記の配合原料全体の約50.3質量%まで減少しており、水分含量は約5.0質量%であった。従って、このにんにくチップのにんにく含有量は、生のにんにく換算で約173%であった。
【0049】
【表5】
【0050】
工程(c)にんにくドレッシングの製造
工程(a)の酵素失活処理にんにくと工程(b)のロースト処理にんにく片とを用い、実施例1の工程(c)と同様に、にんにくドレッシングを製造した。得られたにんにくドレッシングは、食酢を含有しているにも係わらず、やわらかな歯応え感、強過ぎず穏やかなにんにくの風味と適度のロースト風味等を有し、非常に美味しいものであった。
【0051】
なお、得られたドレッシングを1.0リットルずつ酸素バリア層を有するポリエチレン製のボトルに充填密封し、5ヶ月保存後に開封したところ、製造直後と変わらない美味しさを保っていた。
【0052】
試験例
実施例1と同様に、酵素失活処理にんにく(生のにんにく換算のにんにく含有量=30%)とロースト処理にんにく片(生のにんにく換算のにんにく含有量=179%)とを使用し、表6の配合表に従ってにんにくドレッシングa〜jを製造した。質量の補正は、清水で行った。また、ドレッシングdは、実施例1のドレッシングと実質的に同じものである。
【0053】
また、得られたにんにくドレッシングの「風味」と「食感」とについて以下に説明するように官能評価した。得られた結果を表6に示す。
【0054】
「風味」の評価
得られたドレッシングをスプーンに取り、そのまま食したときに得られた印象を以下の評価基準に従って評価した。
【0055】
ランク: 基準
A: 焼成にんにくの風味がはっきりと感じられる場合
B: 焼成にんにくの風味が少し弱い場合
C: 焼成にんにくの風味が弱い場合
D: にんにくのロースト風味が強すぎる場合。
【0056】
「食感」の評価
得られたドレッシングをスプーンに取り、そのまま食したときに得られた印象を以下の評価基準に従って評価した。
【0057】
ランク: 基準
A: 滑らかな舌触り感及び焼成にんにくの小片を混ぜ込んであるかのような歯ごたえ感がある場合
B: 滑らかな舌触があまり感じられない場合
C: 焼成にんにくの小片を混ぜ込んであるかのような歯応えがあまり感じられない場合
D: 焼成にんにくの小片を混ぜ込んであるかのような歯応えが殆ど感じられない場合
【0058】
【表6】
【0059】
表6から、液状調味料全体に対し、酵素失活処理にんにくの好ましい配合量が、生にんにく換算で0.3質量%以上であり、一方、ロースト処理にんにく片の好ましい配合量が、生にんにく換算で0.4〜18質量%であることことがわかる。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、やわらかな歯応え感、強過ぎず穏やかなにんにくの風味と適度のロースト風味等を有する、食酢を含有する液状調味料が提供される。
Claims (12)
- 食酢を含有する液状調味料であって、生のホールのにんにくに酵素アリイナーゼ失活処理と澱粉α化処理とを施したものを、細断化又はペースト化して得られる酵素失活処理にんにくと、生のにんにくを細断化した後にローストして得られるロースト処理にんにく片とを含有することを特徴とするにんにく風味液状調味料。
- 液状調味料全体に対し、酵素失活処理にんにくを生にんにく換算で0.3質量%以上、ロースト処理にんにく片を生にんにく換算で0.4〜18質量%含有する請求項1記載のにんにく風味液状調味料。
- 酵素失活処理にんにくが、生のホールのにんにくを油ちょうにより加熱した後、油ちょうに用いた食用油脂と共に細断化又はペースト化したものである請求項1又は2記載のにんにく風味液状調味料。
- 生のホールのにんにくの油ちょうに用いる食用油脂が、アスコルビン酸脂肪酸エステルを含有する請求項3記載のにんにく風味液状調味料。
- ロースト処理にんにく片が、生のにんにくを細断化した後、遠赤外線又は油ちょうによりきつね色を呈する程度まで加熱して得られたものである請求項1〜4のいずれかに記載のにんにく風味液状調味料。
- ロースト処理にんにく片が、生のにんにくを細断化して乾燥し、その後きつね色を呈する程度まで加熱して得られたものである請求項1〜4のいずれかに記載のにんにく風味液状調味料。
- 食酢を含有するにんにく風味液状調味料の製造方法において、以下の工程(a)〜(c):
(a)生のホールのにんにくに酵素アリイナーゼ失活処理と澱粉α化処理とを施したものを、細断化又はペースト化して酵素失活処理にんにくを調製する工程;
(b)生のにんにくを細断化した後にローストしてロースト処理にんにく片を調製する工程; 及び
(c)工程(a)で得られた酵素失活処理にんにくと、工程(b)で得られたロースト処理にんにく片と、食酢とを混合する工程
を含んでなることを特徴とするにんにく風味液状調味料の製造方法。 - 工程(c)において、液状調味料全体に対し、酵素失活処理にんにくを生にんにく換算で0.3質量%以上、ロースト処理にんにく片を生にんにく換算で0.4〜18質量%含有させる請求項7記載のにんにく風味液状調味料の製造方法。
- 工程(a)において、酵素失活処理にんにくを、生のホールのにんにくを油ちょうにより加熱した後、油ちょうに用いた食用油脂と共に細断化又はペースト化することにより得る請求項7又は8記載のにんにく風味液状調味料の製造方法。
- 生のホールのにんにくの油ちょうに用いる食用油脂に、アスコルビン酸脂肪酸エステルを含有させる請求項9記載のにんにく風味液状調味料の製造方法。
- 工程(b)において、ロースト処理にんにく片を、生のにんにくを細断化した後、遠赤外線又は油ちょうによりきつね色を呈する程度まで加熱して得る請求項7〜10のいずれかに記載のにんにく風味液状調味料の製造方法。
- 工程(b)において、ロースト処理にんにく片を、生のにんにくを細断化して乾燥し、その後きつね色を呈する程度まで加熱して得る請求項7〜10のいずれかに記載のにんにく風味液状調味料の製造方法。
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