JP2004226173A - センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】検出素子と金属筒状体とをロー付け接合する構造のセンサにおいて、ロー材と検出素子との接合強度の向上を図ることができるセンサを提供する。
【解決手段】酸素センサ1は、検出素子2の外周表面に充填部材52(ロー材)と接合される素子側ロー付け面28を備えており、素子側ロー付け面28には、検出素子2の長手方向に並んで配置される3つの凸部29が備えられる。このような凸部29を備える検出素子2は、検出素子2の長手方向における充填部材52との接触部分の長さ寸法が延長される。これにより、検出素子2と充填部材52との接触面積が増大するため、検出素子2と充填部材52との接合強度が増大し、また、検出素子2と充填部材52との間を排気ガスが通過するための通過経路が長くなるため、排気ガスが漏洩し難くなる。
【選択図】 図1
【解決手段】酸素センサ1は、検出素子2の外周表面に充填部材52(ロー材)と接合される素子側ロー付け面28を備えており、素子側ロー付け面28には、検出素子2の長手方向に並んで配置される3つの凸部29が備えられる。このような凸部29を備える検出素子2は、検出素子2の長手方向における充填部材52との接触部分の長さ寸法が延長される。これにより、検出素子2と充填部材52との接触面積が増大するため、検出素子2と充填部材52との接合強度が増大し、また、検出素子2と充填部材52との間を排気ガスが通過するための通過経路が長くなるため、排気ガスが漏洩し難くなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、測定対象物の物理量(例えば、温度や特定ガスの濃度や濃度変化など)を検出するために、検出素子および金属筒状体を備えて構成されるセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、測定対象物の物理量を検出するセンサとしては、被測定領域に存在する測定対象物の温度を検出する温度センサや、被測定領域に存在する混合ガス中から特定ガス成分の濃度や濃度変化を検出するガスセンサ(酸素センサやNOxセンサなど)などが知られている。
【0003】
例えば、ガスセンサとしては、長尺形状に形成された固体電解質体からなる検出素子と、検出素子を保持する金属製の主体金具(金属筒状体)と、を備えて構成されるものがある。
このようなガスセンサには、ロー材を用いて主体金具と検出素子とをロー付け接合することにより、主体金具が検出素子を保持する構造のものや、ロー材を用いて環状の金属ホルダ(金属筒状体)と検出素子とをロー付け接合し、その状態で金属ホルダを主体金具に組みつけることにより、主体金具が検出素子を保持する構造のもの(例えば、特許文献1)がある。
【0004】
そして、ガスセンサは、主体金具が所定の取り付け位置に設置されて、検出素子の検出部が被測定領域に配置されるようにして使用に供される。例えば、自動車の排気ガス中の酸素濃度を検出するガスセンサの場合には、主体金具が排気管に設置されて、検出素子の検出部が排気管の内部に配置されて、排気ガス中の酸素濃度を検出する。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−126787号公報(図2参照)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、主体金具や金属ホルダを構成する金属筒状体と検出素子とをロー付け接合する構造のセンサにおいては、ロー材と検出素子との接合強度が、ロー材と金属筒状体との接合強度よりも弱くなるという問題がある。
【0007】
つまり、ロー材は、金属系材料であることから、金属筒状体との親和性が良好であり、金属筒状体との接合強度が強くなるのに対して、固体電解質体などのセラミックスからなる検出素子との接合強度は弱くなる。このようにロー材と検出素子との接合強度が弱いと、検出素子の外表面からロー材が剥がれることがあり、ロー材と検出素子との間を介して、排気ガス(測定対象物)が被測定領域(例えば、排気管の内部)から外部に漏れ出てしまい、適切な検出ができない可能性がある。
【0008】
また、ロー材と検出素子とは、それぞれ異なる材質で構成されており、熱膨張率に差があることから、ロー付け作業後の冷却工程における収縮時に、検出素子からロー材が剥がれる現象が生じ、ロー付け接合による接合強度が低下する虞がある。
【0009】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、検出素子と金属筒状体とをロー付け接合する構造のセンサにおいて、ロー材と検出素子との接合強度の向上を図ることができるセンサを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、測定対象物にさらされる検出部を有し、長尺形状に形成される検出素子と、検出素子を挿通可能に構成された挿通孔を有し、検出部を測定対象物にさらす状態で挿通孔に挿通された検出素子を保持する金属筒状体と、を備えるセンサであって、検出素子は、外周表面に素子側ロー付け面を備え、金属筒状体は、挿通孔の内面に金具側ロー付け面を備えると共に、ロー材を用いたロー付け接合による素子側ロー付け面と金具側ロー付け面との接合により、検出素子を保持するよう構成され、素子側ロー付け面は、検出素子の外周表面に対して高低差を有する凸部を備えることで凹凸状に形成されていることを特徴とするセンサである。
【0011】
つまり、このセンサに備えられる検出素子は、ロー材と接合される素子側ロー付け面を備えており、素子側ロー付け面には、検出素子の外周表面に対して高低差を有する凸部が備えられている。このような凸部を備える検出素子は、素子側ロー付け面が凹凸状に形成されるため、検出素子に対するロー材の接触部分の長さ寸法が、外周表面が平面形状に形成された検出素子よりも延長される。
【0012】
このように検出素子とロー材との接触部分の長さ寸法が延長されると、検出素子とロー材との接触面積が増大するため、検出素子とロー材との接合強度が増大することになる。また、検出素子とロー材との接触面積が増大して両者の接合強度が増すことで、ロー材が検出素子から剥がれ難くなり、ロー材と検出素子との間を、測定対象物が通過し難くなる。
【0013】
さらに、素子側ロー付け面に凸部を備える検出素子は、外周表面に対して段差部分を生ずるので、その段差部分にロー材が係合することになり、外力が印加された場合においても、ロー材との相対位置が変化し難くなり、接合強度が向上するという利点がある。
【0014】
よって、本発明(請求項1)のセンサによれば、ロー付け接合を用いる構造のセンサにおいて、検出素子とロー材との接合強度を増大させることができ、測定対象物の漏洩を抑制することができる。
また、金属筒状体としては、センサを所定の設置位置に取り付けるための取り付け部(ネジ部など)を有する主体金具や、検出素子の径方向周囲を取り囲む金属ホルダであって、主体金具の内部に配置される金属ホルダが挙げられる。
【0015】
検出素子は、固体電解質体としてジルコニアを用いて形成されるものに限定されることはなく、ジルコニアとアルミナからなる固体電解質体(例えば、ジルコニアとアルミナの合計量を100wt%とした場合に、アルミナを10〜80wt%の範囲内で含有させた固体電解質体)から形成されていても良い。また、長尺形状の検出素子としては、有底筒状(カップ形状)に形成されたもの、板型形状に形成されたもの、さらにはセラミックヒータと一体化されて板型形状に形成されたもの等を挙げることができる。
【0016】
次に、上述(請求項1)のセンサは、請求項2に記載のように、検出素子の外周表面に対する凸部の高さが、検出素子の外周表面と金属筒状体の挿通孔の内面との最大間隙距離に対して5%以上50%以下であるように、凸部の高さ寸法が規定されているとよい。
【0017】
このように凸部の高さ寸法の上限値を規定して、検出素子と金属筒状体との隙間寸法が過度に狭くなるのを防止することで、検出素子と金属筒状体との間(換言すれば、素子側ロー付け面および金具側ロー付け面の間)において、ロー材が流れ難くなるのを防止できる。つまり、ロー材が流れ難くなるのを防止することで、素子側ロー付け面および金具側ロー付け面の全体にロー材を行き渡らせることができ、ロー付け接合による接合強度を向上させることができる。
【0018】
また、凸部の高さ寸法の下限値を規定して、検出素子とロー材との接触部分を一定寸法以上延長させることで、検出素子とロー材との接触面積を一定範囲以上増大させることができる。このように、検出素子とロー材との接触面積の増大割合を一定値以上確保することで、接触面積の増大による接合強度の増大や測定対象物の漏洩防止などの効果を確実に得ることができる。
【0019】
さらに、凸部の高さ寸法の下限値を規定することで、凸部と検出素子の外周表面との段差部分を確実にロー材と係合する大きさに設定でき、外力の印加に耐えられる構造となることから、接合強度を向上させることができる。
よって、本発明(請求項2)のセンサによれば、素子側ロー付け面および金具側ロー付け面の全体にロー材を行き渡らせることができ、また、検出素子とロー材との接触面積の増大割合を一定値以上確保できることから、ロー付け接合による接合強度を向上でき、測定対象物の漏洩を抑制することができる。
【0020】
ここで、上述(請求項2)のセンサにおいて、検出素子の外周表面に対する凸部の高さの絶対的な数値としては、50[μm]以上(好ましくは、200[μm]以上)とするとよい。凸部の下限値を50[μm]以上とすることで、素子側ロー付け面と金具側ロー付け面との接合強度をより有効に高めることができる。また、この凸部の高さ寸法としては特に上限値はないが、凸部の高さ寸法が大きくなると、その寸法に応じて金属筒状体を大型化しなければならず、ロー材容積が大きくなってロー材の溶融時の力が大きくなるために凸部が破損する可能性がある。それより、凸部の高さの上限値としては、1000[μm]以下とすることが望ましい。
【0021】
次に、上述(請求項1または請求項2)のセンサは、請求項3に記載のように、素子側ロー付け面のうち、凸部の少なくとも一部または該凸部を除く検出素子の外周表面のいずれかに、メタライズ層が形成されているとよい。
メタライズ層は、金属系材料で形成されるため、金属系材料からなるロー材との親和性に優れており、メタライズ層とロー材との接合強度は、検出素子におけるセラミックス材料部分の外周表面とロー材との接合強度に比べて高くなる。このため、前記素子側ロー付け面のうち、凸部表面の少なくとも一部または凸部を除く検出素子の外側表面のいずれかにメタライズ層が形成された検出素子は、メタライズ層を持たない検出素子に比べて、ロー材との接合強度が増大する。
【0022】
とりわけ、凸部を除く検出素子の外周表面にメタライズ層を形成した場合には、ロー材が該外周表面に流れ易くなり、ロー材の素子側ロー付け面側がより確実に凹凸状となり、測定対象物の漏洩を有効に抑制することができる。
よって、本発明(請求項3)のセンサによれば、検出素子にメタライズ層を設けることで、検出素子とロー材との接合強度を増大させることができる。
【0023】
なお、メタライズ層は、例えば、焼成前の検出素子の所定位置に配置された金属製材料を検出素子と共に焼成することで形成することができる。
さらに、上述(請求項1から請求項3のいずれか)のセンサは、請求項4のように、凸部が格子状に形成されているとよい。
【0024】
このように素子側ロー付け面を格子状の凸部を備えつつ凹凸状に形成することで、一方向の外力に限らず、縦方向、横方向および回転方向などの多様な方向の外力に耐えられる強固なロー付け接合を実現できる。
よって、本発明(請求項4)のセンサによれば、強固なロー付け接合を実現でき、ロー付け接合による検出素子と金属筒状体との接合強度を向上させることができる。
【0025】
なお、上述(請求項4)のセンサは、請求項5に記載のように、格子状の凸部で囲まれる枠内区画に位置する検出素子の外周表面の面積がそれぞれ4[mm2 ]以上15[mm2 ]以下となるように構成するとよい。
つまり、枠内区画が過度に小さく形成されると、枠内区画に位置する検出素子の外周表面とロー材との接合面積が小さくなり、検出素子とロー材との接合強度を十分には確保できないことがある。これに対して、枠内区画に位置する検出素子の外周表面の面積が少なくとも4[mm2 ]以上となるように、凸部を格子状に形成することで、検出素子とロー材との接合強度を一定レベル以上に維持することができる。
【0026】
また、枠内区画が過度に大きく形成されると、格子状の凸部の間隔が拡大するため、格子状に形成することで得られる効果、すなわち、多方向からの外力に耐えられる強固なロー付け接合を実現できない虞がある。これに対して、枠内区画に位置する検出素子の外周表面の面積が少なくとも15[mm2 ]以下となるように、凸部を格子状に形成することで、多方向からの外力に耐えられる強固なロー付け接合を実現することができる。
【0027】
なお、上記枠内区画に位置する検出素子の外周表面にメタライズ層を形成することで、より強固なロー付け接合が実現されることになるが、このような場合、メタライズ層の面積が過度に大きくなると、ロー付け作業後の冷却工程におけるロー材の収縮の影響を受けて、メタライズ層が剥がれる虞がある。このため、枠内区画に位置する検出素子の外周表面の面積の上限値(15[mm2 ])を設定することで、メタライズ層の剥がれを防止できるという利点がある。
【0028】
よって、本発明(請求項5)のセンサによれば、検出素子とロー材との接合
強度を一定レベル以上に維持することができ、また、多方向からの外力に耐えられる強固なロー付け接合を実現できることから、ロー付け接合による検出素子と金属筒状体との接合強度を向上させることができる。
【0029】
また、凸部は、請求項6に記載のように、複数形成され、それぞれの凸部が粒状体で形成するとよい。
このような凸部は、焼成前の検出素子の表面における所定位置に、タンポ印刷などの手法を用いて、複数の粒状体を付着させて、検出素子の本体部分と共に焼成するという簡易な製造方法で形成することができる。粒状体は、検出素子と同種の材料で形成すると、検出素子との接合が良好となる。
【0030】
よって、本発明(請求項6)のセンサによれば、凸部を簡易な製造方法で形成することができることから、製造方法の複雑化を抑制しつつ、ロー付け接合の接合強度を向上させることができる。
なお、粒状体を用いて凸部を形成する場合には、検出素子と金属筒状体との隙間寸法に応じて、粒状体の径方向寸法を適宜設定することで、ロー付け接合の接合強度を向上させることができる。また、粒状体の形状は、球形状に限ることはなく、多角形であってもよい。
【0031】
さらに、上述(請求項6)のセンサは、請求項7に記載のように、粒状体における検出素子の外周表面との接触部分の寸法が、粒状体の径方向最大寸法よりも小さく形成されているとよい。
つまり、このような粒状体が表面に備えられる検出素子は、粒状体の表面近傍の領域のうち、径方向最大寸法部分から検出素子との接触部分に至る領域に、ロー材が回り込む状態で、ロー付け接合されることになる。このようなロー材の回り込み領域を備える検出素子は、ロー材との接合強度がさらに増大することになり、ロー付け接合による金属筒状体との接合強度も増大する。
【0032】
よって、本発明(請求項7)のセンサによれば、ロー材と検出素子とを強固に接合することができ、ロー付け接合による接合強度をさらに向上させることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を適用したセンサの実施例を図面と共に説明する。
本実施例は、ガスセンサの一種である酸素センサ1であり、図1に酸素センサ1の全体構成を表す断面図を示す。なお、以下の説明においては、酸素センサ1のうち、図1における下端側が「ガスセンサの先端側」に相当し、同様に、酸素センサ1の図1における上端側が「ガスセンサの後端側」に相当する。
【0034】
図1に示すように、酸素センサ1は、ジルコニア(ZrO2 )を主成分とする固体電解質体により先端が閉じた有底筒状に形成された検出素子2,検出素子2の有底孔47に配置された軸状のセラミックヒータ3,酸素センサ1の内部構造物を収容すると共に酸素センサ1を排気管等の取付部に固定するケーシング4などを備えて構成されている。
【0035】
検出素子2の有底孔47の内面には、そのほぼ全面を覆うように、PtあるいはPt合金により多孔質に形成された内部電極48が形成され、外面のうち先端側(図中の下側)に同様な外部電極46が形成されている。また、検出素子2の長手方向略中間位置には、外周表面から径方向外向きに突出する鍔部26が設けられている。そして、検出素子2は、先端側に配置される外部電極46、内部電極48および固体電解質体により構成され、測定対象物(排気ガス)に晒されることになる検出部25を有している。
【0036】
この検出素子2は、図3を援用して示すように、検出素子2の後端側に導電層147が周方向に沿って帯状に形成され、外部電極46が鍔部26よりも先端側の全面を覆うように形成されており、さらに導電層147と外部電極46とが直線上の接続パターン層144を介して電気的に接続されている。ここで、検出素子2の外面のうち鍔部26よりも後端側は、後述するように素子側ロー付け面28が形成されることになるが、本実施形態では接続パターン層144と後述する充填部材52(ロー材52)とが直接接触することがない(換言すれば、外部電極46と主体金具5とが充填部材52を介して短絡することがない)ように、接続パターン層144のうちで少なくとも素子側ロー付け面28にまたがる部分に、絶縁性のガラス層145がコーティングされている。
【0037】
図1に戻り、ケーシング4は、検出素子2を保持すると共にその先端側にある検出部25を排気管等の内部に突出させる主体金具5と、主体金具5の後端部(図1では上側の端部)に組み付けられ、検出素子2との間で基準ガス空間を形成する外筒6とを備えて構成されている。
【0038】
主体金具5は、検出素子2を挿通するよう先端側から後端側にかけて貫通する挿通孔50と、検出部25を有する先端側から挿通孔50に挿通された検出素子2の鍔部26を支持する棚部54とを有する略円筒型形状に形成されている。そして、主体金具5は、検出部25および後端部(導電層147)が挿通孔50の外部に露出する状態で検出素子2を保持可能に構成されている。
【0039】
主体金具5にて検出素子2を保持するにあたり、挿通孔50の内部には、検出素子2を先端側(図中下側)から支持するセラミックス材料からなる支持部材51,支持部材51の後端側(図中上側)に充填される共晶ロー(BAg8:Ag−Cu系ロー材)からなる充填部材52,および充填部材52の後端側に配置されるセラミックス材料からなるスリーブ53が同軸状に配置される。
【0040】
すなわち、支持部材51は、略円筒状に形成され、主体金具5の挿通孔50の内周に形成される棚部54にリング55を介して係止されると共に、検出素子2の鍔部26を先端側(図中下側)から支持する。なお、検出素子2の鍔部26は、支持部材51にパッキン56を介して係止される。そして、充填部材52は、支持部材51の後端側における主体金具5の挿通孔50の内面と検出素子2の外周面との間に配設され、さらに、スリーブ53は、略円筒状に形成され、充填部材52の後端側に配設される。
【0041】
なお、主体金具5の挿通孔50の内面のうち充填部材52に当接する部分に、金具側ロー付け面32が形成されており、検出素子2の外周面のうち充填部材52に当接する部分に、素子側ロー付け面28が形成されている。
スリーブ53は、後述するコイルバネ9により先端側に付勢されており、充填部材52に対して圧力を印加している。このため、加熱により溶融状態となった充填部材52は、スリーブ53からの加圧により、挿通孔50の内面と検出素子2の外周面との間の隅々まで充填される。そして、温度低下により凝固した充填部材52は、検出素子2および主体金具5(詳細には挿通孔50の内面)とそれぞれ強固に接合され、ひいては、検出素子2と主体金具5とが強固に接合される。なお、支持部材51およびスリーブ53は、溶融状態の充填部材52が挿通孔50から外部に漏洩しないように、充填部材52を挿通孔50の内部に封止可能な形状に構成されている。
【0042】
また、溶融状態の充填部材52は、パッキン56によって検出素子2と支持部材51との間から漏れるのが確実に抑制される。
なお、充填部材52を構成するBAg8は、溶融温度が約800[℃]であり、ロー付け作業後の耐熱温度が500〜600[℃]程度となる特性を示す共晶ロー材である。
【0043】
ここで、酸素センサ1における検出素子2,充填部材52および主体金具5の断面構造を表した拡大断面図を図2に示し、また、検出素子2の外観を表す斜視図および後述する素子側ロー付け面28の展開図を図3に示す。
図3に示すように、検出素子2は、外周表面のうち鍔部26の後端側部分において、周方向にわたり素子側ロー付け面28が形成されており、素子側ロー付け面28には、検出素子2の外周表面より径方向外側に突出する凸部29が形成されている。
【0044】
なお、図3に示す素子側ロー付け面28の展開図(この展開図では、接続パターン層144およびガラス層145の図示は省略している)は、横方向の第1辺L1が検出素子2の周方向に対応し、縦方向の第2辺L2が検出素子2の長手方向に対応している。この展開図から判るように、素子側ロー付け面28は、周方向に連続して形成される3つの凸部29と、凸部29以外の検出素子2の外周表面(以下、この外周表面を凸部29と区別し易いように凹部30とも表現する)とから構成され、周方向に連続して形成される4つの凹部30のうち1つの凹部30にはメタライズ層31が形成されている。
【0045】
また、図2に示すように、凸部29の検出素子2の外周表面に対する高さ(高低差距離B)が200[μm]となるように形成されている。なお、検出素子2および主体金具5は、検出素子2の外周表面(凹部30)と主体金具5の挿通孔50の内面との距離のうち、検出素子2の長手方向と直交する向きにおける距離(最長間隙距離C)が2000[μm]となるように構成されている。
【0046】
ここで、高低差距離Bおよび最長間隙距離Cは、酸素センサ1の中心軸線を含むように断面をとり、電子顕微鏡あるいは光学顕微鏡で観察することができる。また、高低差距離Bについては、凹凸状の素子側ロー付け面28のうちで、最も高い凸部29の高さと、検出素子2の外周表面(凹部30)の最も深い(低い)部分との高低差をいうものとする。
【0047】
さらに、1つの凹部30は、金属製材料からなるメタライズ層31が設けられており、ロー材からなる充填部材52との接合強度の増大させている。つまり、金属製材料からなるメタライズ層31は、金属製のロー材(充填部材52)との親和性に優れており、メタライズ層31と充填部材52との接合強度は、検出素子2のセラミックス材料部分とロー材との接合強度に比べて高くなる。なお、メタライズ層31は、焼成前の検出素子2における凹部30に配置された金属製材料を、検出素子2と共に焼成することで形成できる。
【0048】
図1に戻り、酸素センサ1は、主体金具5の後端部を覆う略円筒状の外筒6を備えている。外筒6は、後述するセパレータ7の本体部75の外径よりも大きく、フランジ部71の外径よりも小さい内径を有する小径部65と、フランジ部71の外径よりも大きい大径部64と、小径部65と大径部64とを繋ぐ段差部61とを有している。なお、段差部61の内面は、後述するセパレータ7のフランジ部71と当接可能に形成されている。外筒6の後端側(図中の上側)に位置する小径部65には、後述するシール部材11の後端縁(上端縁)を覆うように内方に屈曲した肩部62が設けられ、その端縁により上端開口部63が形成されている。
【0049】
外筒6の上端開口部63には、検出素子2の外部電極46、内部電極48に夫々電気的に接続されるリード線21,22およびセラミックヒータ3の一対のヒータ端子に電気的に接続される一対のリード線49(一方は図示省略)を夫々外部から外筒6(酸素センサ1)の内部に導入すると共に、外筒6の内部への水分や油分の侵入を防止するシールユニット10が設けられている。
【0050】
このシールユニット10は、フッ素ゴムからなる円柱状のシール部材11と、このシール部材11の中央を軸方向に貫通する貫通孔14に嵌挿可能な筒状挿入部材39と、この筒状挿入部材39の上端部を覆うと共に、これらシール部材11の貫通孔14の内周面と筒状挿入部材39の外周面との間に挟持されて固定されるシート状の通気フィルタ40とから構成されている。シールユニット10は、リード線21,22などを挿通した状態で外筒6の先端側の開口部から上端開口部63の内側に配置されたあと、外筒6とともに径方向内側に加締められることで、外筒6に固定される。これにより、外筒6とシール部材11とが密着し、そのシール性がより確実なものとなる。
【0051】
また、外筒6の内部に組み付けられたシール部材11の先端側には、セラミックで筒状に形成された絶縁性のセパレータ7が内挿されている。このセパレータ7は、略円筒形状の本体部75と、その本体部75よりも大径のフランジ部71と、そのフランジ部71の先端面から先端方向に突出した環状突部72と、セパレータ7の先端面74に開口する有底状の保持孔76とを有している。フランジ部71は、その外径が先端側になるほど径方向外側に位置するテーパ状の当接面73を有し、この当接面73が外筒6の段差部61の内面に当接されている。セパレータ7は、各リード線21,22と電気的に接続された端子部8を保持すると共に、セラミックヒータ3と電気的に接続する一対のリード線とそれぞれ接続されるヒータ端子部35(もう一方は図示省略)を保持し、端子部8と外筒6とを、また端子部8とヒータ端子部35とを電気的に絶縁している。
【0052】
そして、主体金具5とセパレータ7との間には、コイルバネ9(押圧部材)が介装されており、コイルバネ9は、主体金具5の挿通孔50に配置されるスリーブ53を棚部54に向けて押圧すると共に、セパレータ7を後端側に押圧している。コイルバネ9は、一端が、スリーブ53に直接接続され、他端が、セパレータ7の環状突部72の内側に位置するセパレータ7の先端面74に直接接続されている。
【0053】
なお、コイルバネ9は、検出素子2の導電層147、端子部8と接触しないように、寸法が調整されている。
外筒6は、その下端開口端部が主体金具5の外側に位置するように配置されて全周レーザ溶接されることにより、主体金具5に対して装着されている。また、主体金具5の下端側外周には、検出素子2の突出部分(検出部25)を覆うと共に、測定対象ガスを導入するための複数の孔部を有する金属製の二重のプロテクタ81,82が溶接によって取り付けられている。
【0054】
以上に説明したように、本実施例(以下、第1実施例ともいう)の酸素センサ1は、検出素子2の外周表面に充填部材52(ロー材)と接合される素子側ロー付け面28を備えており、素子側ロー付け面28には、検出素子2の長手方向に並んで配置される3つの凸部29が備えられている。このような凸部29を備える検出素子2は、検出素子2の長手方向における充填部材52との接触部分の長さ寸法が、外周表面が平面形状に形成された検出素子よりも延長される。
【0055】
このように検出素子2と充填部材52との接触部分の長さ寸法が延長されると、検出素子2と充填部材52との接触面積が増大するため、検出素子2と充填部材52との接合強度が増大することになる。また、検出素子2と充填部材52との接触部分の長さ寸法が延長されると、検出素子2と充填部材52との間を排気ガスが通過するための通過経路が長くなるため、排気ガスが漏洩し難くなる。
【0056】
さらに、凸部29を備える検出素子2は、凸部29と凹部30との段差部分である係合部に充填部材52(ロー材)が係合することになり、外力が印加された場合においても、検出素子2と充填部材52との相対位置が変化し難くなり、接合強度が向上するという利点がある。
【0057】
また、検出素子2においては、凸部29が外周表面の周方向にわたり連続的に形成されており、検出素子2の周方向全周にわたり、検出素子2の長手方向における充填部材52との接触部分の長さ寸法を延長できると共に、充填部材52との係合部を設けることができる。このため、検出素子の周方向全周において、バランス良く接合強度を向上できると共に、精度良く排気ガスの漏洩を防止することができる。
【0058】
また、検出素子2の外周表面に対する凸部29との高低差距離Bは、200[μm]に設定されており、検出素子2の外周表面と主体金具5の内面との該検出素子2の長手方向と直交する向きにおける最長間隙距離C(2000[μm])の10%値である。このように凸部29の高さ寸法を規定して、検出素子2と主体金具5との隙間寸法が過度に狭くなるのを防止することで、検出素子2と主体金具5との間(換言すれば、素子側ロー付け面28および金具側ロー付け面32の間)において、充填部材52(ロー材)が流れ難くなるのを防止できる。
【0059】
これにより、素子側ロー付け面28と金具側ロー付け面32との間において、充填部材52を細部に行き渡らせることができ、ロー付け接合の接合強度を向上させることができ、排気ガス(測定対象物)の漏洩を抑制することができる。
また、酸素センサ1は、素子側ロー付け面28のうちで、凸部29を除く検出素子2の外周表面の少なくとも一部(凹部30の一部)にメタライズ層31が形成されており、メタライズ層31と充填部材52とは互いに金属系材料であるため接合強度が高いことから、検出素子2と充填部材52(ロー材)との接合強度を増大させることができる。
【0060】
なお、第1実施例の酸素センサ1においては、充填部材52が特許請求の範囲に記載のロー材に相当する。
ところで、検出素子に形成される凸部の形状は、第1実施例のように、検出素子の周方向に連続的に形成される3本の凸部に限ることはなく、図4に示すような様々な形状とすることができる。なお、図4では、素子側ロー付け面を展開図として表しており、素子側ロー付け面のうち黒塗りの線で表記した領域が凸部に相当し、線以外の領域が凸部以外の外周表面(凹部)相当する。なお、図4に示す展開図においても、図3における検出素子2の斜視図に示す接続パターン層144およびガラス層145は、図示を省略している。
【0061】
図4のうち、パターン(1)は、検出素子の周方向(図4における左右方向)に連続的に形成される1本の凸部を備える素子側ロー付け面である。パターン(2)は、検出素子の周方向に連続的に形成される2本の凸部を備える素子側ロー付け面である。パターン(3)は、検出素子の周方向に連続的に形成される1本の凸部と検出素子の周方向に断続的に形成される1本の凸部とを備える素子側ロー付け面である。
【0062】
パターン(4)は、互いの断続部分が重ならないように、検出素子の周方向に断続的に形成される2本の凸部を備える素子側ロー付け面である。パターン(5)は、検出素子の周方向に連続的に形成される1本の凸部と、一点鎖線となるように検出素子の周方向に断続的に形成される1本の凸部とを備える素子側ロー付け面である。パターン(6)は、検出素子の周方向に連続的に形成される1本の凸部と、曲線状の一点鎖線となるように検出素子の周方向に断続的に形成される1本の凸部とを備える素子側ロー付け面である。
【0063】
パターン(7)は、点線となるように検出素子の周方向に断続的に形成される2本の凸部と、一点鎖線となるように検出素子の周方向に断続的に形成される1本の凸部とを備える素子側ロー付け面である。パターン(8)は、点線となるように検出素子の周方向に断続的に形成される1本の凸部と、検出素子の周方向に連続的に形成される1本の凸部とを備える素子側ロー付け面である。パターン(9)は、直線状の一点鎖線となるように検出素子の周方向に断続的に形成される1本の凸部と、曲線状となるように検出素子の周方向に連続的に形成される1本の凸部とを備える素子側ロー付け面である。
【0064】
パターン(10)は、点線となるように検出素子の周方向に断続的に形成される1本の凸部と、二点鎖線となるように検出素子の周方向に断続的に形成される1本の凸部とを備える素子側ロー付け面である。パターン(11)は、二点鎖線となるように検出素子の周方向に断続的に形成される2本の凸部と、この2本の凸部の略中間位置において検出素子の周方向に対して斜めに形成される複数の凸部とを備える素子側ロー付け面である。パターン(12)は、検出素子の周方向に連続的に形成される3本の凸部と、検出素子の長手方向(図4における上限方向)に連続的に形成される複数の凸部とからなる格子状の凸部を備える素子側ロー付け面である。
【0065】
これらのうち、パターン(1)(2)(3)(5)(6)(8)(9)(12)のように、少なくとも1つの凸部が検出素子の外周表面の周方向にわたり連続的に形成されることで、検出素子の周方向全周にわたり、検出素子の長手方向におけるロー材との接触部分の長さ寸法を延長することができ、接合強度を向上させることができる。
【0066】
また、パターン(4)(7)(10)(11)においては、凸部が断続的に形成されているが、素子側ロー付け面のうち、1つの凸部が途切れる部分においては、検出素子の長手方向位置が異なる位置に他の凸部が形成されており、複数の凸部は、それぞれ互いの途切れる部分が長手方向で見たときに重ならないように、検出素子の周方向に断続的に形成されている。
【0067】
このように複数の断続的な凸部を形成することで、検出素子の長手方向におけるロー材との接触部分の長さ寸法を延長することができ、また、検出素子の周方向全周にわたりロー材と係合する段差部分を形成することができる。これにより、検出素子とロー材との接合強度を増大させることができ、測定対象物の漏洩を抑制できる。
【0068】
また、パターン(12)においては、凸部が格子状に形成されており、このように凸部を形成することで、一方向の外力に限らず、縦方向、横方向および回転方向などの多様な方向の外力に耐えられる強固なロー付け接合を実現できる。よって、パターン(12)の素子側ロー付け面を有する検出素子を用いて構成されるセンサは、強固なロー付け接合を実現でき、ロー付け接合による検出素子と主体金具との接合強度を向上させることができる。また、このセンサは、検出素子の周方向にわたり、検出素子と主体金具との間に隙間が生じるのを抑制できることから、検出素子と主体金具との間におけるシール性の低下を抑制でき、被測定領域の気密性が低下するのを抑制できる。
【0069】
なお、パターン(12)に示す素子側ロー付け面は、格子状の凸部で囲まれる枠内区画に位置する検出素子の外周表面の面積がそれぞれ4[mm2 ]以上15[mm2 ]以下となるように構成するとよい。つまり、上記面積の最小値を制限して、少なくとも4[mm2 ]以上となるように、凸部を格子状に形成することで、検出素子とロー材との接合強度を一定レベル以上に維持することができる。また、上記面積の最大値を制限して、少なくとも15[mm2 ]以下となるように、凸部を格子状に形成することで、多方向からの外力に耐えられる強固なロー付け接合を実現することができる。
【0070】
そして、図4に示す各パターンにおいては、センサの構造や用途、検出素子の材質などに基づき定められる所定位置にメタライズ層を設けることで、検出素子とロー材との接合強度をさらに向上させることができる。
なお、パターン(12)において、凸部で囲まれた枠内区画に位置する検出素子の外周表面にメタライズ層が形成されている場合、メタライズ層の面積が過度に大きくなると、ロー付け作業後の冷却工程におけるロー材の収縮の影響を受けて、メタライズ層が剥がれる虞がある。このため、上記面積の上限値(15[mm2 ])を設定することで、メタライズ層の剥がれを防止できるという利点がある。
【0071】
次に、第2実施例として、略長板型に形成された第2検出素子42を備える第2酸素センサ41について、説明する。
第2酸素センサ41の全体構成を表す断面図を図5に示す。なお、以下の説明においては、第2酸素センサ41のうち、図5における下端側が「ガスセンサの先端側」に相当し、同様に、第2酸素センサ41の図5における上端側が「ガスセンサの後端側」に相当する。
【0072】
図5に示すように、第2酸素センサ41は、略長板型の第2検出素子42,第2酸素センサ41の内部構造物を収容すると共に、第2酸素センサ41を排気管等の取付部に固定する第2ケーシング87などを備えて構成されている。
第2検出素子42は、ジルコニア(ZrO2 )を主成分とする固体電解質体により略長板形状に形成されると共に、先端側(図中の下側)に排気ガス(測定対象物)にさらされる検出部99を有し、後端側(図中の上側)に排気ガス中の酸素濃度に応じた検出信号を出力する電極端子97を有して構成されている。また、第2検出素子42は、内部にヒータ(図示省略)を備えており、ヒータ端子98を通じて供給される電力よりヒータが発熱することで、固体電解質体を活性化温度に加熱・維持するよう構成されている。
【0073】
第2ケーシング87は、第2検出素子42を保持すると共にその先端側にある検出部99を排気管等の内部に突出させる主体金具5と、主体金具5の後端部(図5では上側の端部)に組み付けられ、第2検出素子42との間で基準ガス空間を形成する第2外筒89とから構成されている。
【0074】
主体金具5は、第1実施例と同様の構成であり、挿通孔50と棚部54とを有する略円筒型形状に形成されており、検出部99および電極端子97が挿通孔50の外部に露出する状態で第2検出素子42を保持可能に構成されている。
主体金具5にて第2検出素子42を保持するにあたり、挿通孔50の内部には、第2検出素子42を支持するセラミックス材料からなる第2支持部材90,第2支持部材90の後端側(図中上側)に充填される共晶ロー(BAg8:Ag−Cu系ロー材)からなる充填部材52,および充填部材52の後端側に配置されるセラミックス材料からなる第2スリーブ92が同軸状に配置される。
【0075】
すなわち、第2支持部材90は、略円筒状に形成され、主体金具5の挿通孔50の内周に形成される棚部54にパッキン(図示省略)を介して係止されると共に、第2検出素子42を先端側(図中下側)から支持する。そして、充填部材52は、第2支持部材90の後端側における主体金具5の挿通孔50の内周面と第2検出素子42の外周面との間に配設され、さらに、第2スリーブ92は、略円筒状に形成され、充填部材52の後端側に配設される。
【0076】
第2スリーブ92は、後述する第2コイルバネ136により先端側に付勢されており、充填部材52に対して圧力を印加している。このため、加熱により溶融状態となった充填部材52は、第2スリーブ92からの加圧により、挿通孔50の内周面と第2検出素子42の外周面との間の隅々まで充填される。そして、温度低下により凝固した充填部材52は、第2検出素子42および主体金具5(詳細には挿通孔50の内面)とそれぞれ強固に接合され、ひいては、第2検出素子42と主体金具5とが強固に接合される。なお、第2支持部材90および第2スリーブ92は、溶融状態の充填部材52が挿通孔50から外部に漏洩しないように、充填部材52を挿通孔50の内部に封止可能な形状に構成されている。
【0077】
ここで、第2酸素センサ41における第2検出素子42,充填部材52および主体金具5の断面構造を表した拡大断面図を図8に示し、第2検出素子42の外観を表す斜視図を図7に示す。
図7に示すように、第2検出素子42は、充填部材52と接合される素子側ロー付け面43のうち、幅広である表側板面および裏側板面に対して、外周表面から外側に向かって突出する粒状体からなる複数の粒状凸部44が備えられている。なお、素子側ロー付け面43のうち粒状凸部44が形成されていない外周表面を、以下では凹部45として表現する。
【0078】
そして、図8に示すように、第2検出素子42は、外周表面(凹部45)に対する粒状凸部44との高低差距離Bが300[μm]となるように形成されている。第2検出素子42および主体金具5は、凹部45と主体金具5の挿通孔50の内面との第2検出素子42の長手方向と直交する向きにおける最長間隙距離Cが3000[μm]となるように構成されている。
【0079】
また、粒状凸部44は、第2検出素子42の本体部分との接触部分寸法Eが150[μm]に設定されており、自身の径方向最大寸法D(=300[μm])よりも小さく形成されている。
そして、粒状凸部44は、焼成前の第2検出素子42の表面の素子側ロー付け面43に、タンポ印刷などの手法を用いて、第2検出素子42と同種の材料で形成された複数の粒状体を付着させて、第2検出素子42の本体部分と共に焼成するという簡易な製造方法で形成することができる。なお、粒状凸部44の外形形状は、球形状に限ることはなく、多角形であってもよい。
【0080】
図5に戻り、第2酸素センサ41は、主体金具5の後端部を覆う略円筒状の第2外筒89を備えており、第2外筒89は、主体金具5との間にコンタクト部材130などを収容する内部空間を形成している。第2外筒89は、その軸方向略中央部を境界として後端側の径方向寸法が先端側よりも縮径して形成されており、この径方向寸法の変更部分の内壁には、先端側に対向する段差部61が形成されている。なお、段差部61は、後述する第2コイルバネ136の一端を係止可能に形成されている。
【0081】
第2外筒89の上端開口部63には、第2検出素子42の電極端子97に接続される一対のリード線21、およびヒータ端子98に接続される一対のリード線22を夫々外部から第2外筒89(第2酸素センサ41)の内部に導入する略円柱状のフッ素ゴムからなるグロメット120が備えられている。グロメット120は、リード線21,22などを挿通した状態で第2外筒89の先端側の開口部から上端開口部63の内側に配置されたあと、径方向内側への加締め加工により第2外筒89に固定される。
【0082】
また、第2外筒89の内部に組み付けられたグロメット120の先端側には、リード線21,22と電気的に接続された4本のリードフレーム131を、第2検出素子42の電極端子97,ヒータ端子98に接続するためのコンタクト部材130が配置されている。コンタクト部材130は、リードフレーム131が積層された第2検出素子42を、一対の絶縁性ハウジング132で挟持するよう構成されている。また、コンタクト部材130は、リードフレーム131と第2外筒89とを電気的に絶縁している。
【0083】
そして、主体金具5と第2外筒89との間には、先端側(主体金具側)の径寸法が小さく、後端側(第2外筒側)の径寸法が大きくなるようテーパ状に形成された第2コイルバネ136(押圧部材)が介装されており、第2コイルバネ136は、主体金具5の挿通孔50に配置される第2スリーブ92を棚部54に向けて押圧している。第2コイルバネ136は、一端が、第2スリーブ92に直接接続され、他端が、第2外筒89の段差部61に直接接続されている。
【0084】
第2外筒89は、その下端開口端部が径方向内側に加締められることにより主体金具5に対して装着されている。また、主体金具5の下端側外周には、第2検出素子42の突出部分(検出部99)を覆うと共に、測定対象ガスを導入するための複数の孔部を有する金属製の二重のプロテクタ81,82が溶接によって取り付けられている。
【0085】
以上に説明したように、第2実施例の第2酸素センサ41は、素子側ロー付け面43が形成された第2検出素子42を備えて構成されており、素子側ロー付け面43には、複数の粒状凸部44が形成されている。このような粒状凸部44を備える第2検出素子42は、第2検出素子42の長手方向における充填部材52との接触部分の長さ寸法が、外周表面が平面形状に形成された検出素子よりも延長される。
【0086】
このように第2検出素子42と充填部材52との接触部分の長さ寸法が延長されると、第2検出素子42と充填部材52との接触面積が増大するため、第2検出素子42と充填部材52との接合強度が増大し、また、第2検出素子42と充填部材52との間を排気ガスが通過するための通過経路が長くなるため、排気ガスが漏洩し難くなる。
【0087】
また、粒状凸部44は、上述したように、簡易な製造方法で形成できることから、製造方法の複雑化を抑制しつつ、ロー付け接合の接合強度を向上させることができるという利点がある。
さらに、粒状凸部44は、第2検出素子42の本体部分との接触部分寸法Eが、自身の径方向最大寸法Dよりも小さく形成されている。このような粒状凸部44が表面に備えられる第2検出素子42は、粒状凸部44の表面近傍の領域のうち、径方向最大寸法部分から第2検出素子42の本体部分との接触部分に至る領域に、充填部材52(ロー材)が回り込む状態で、ロー付け接合される。
【0088】
このような充填部材52の回り込み領域を備える第2検出素子42は、充填部材52との接合強度がさらに増大することになり、ロー付け接合による主体金具5との接合強度をさらに向上させることができる。
なお、第2実施例の第2酸素センサ41においては、充填部材52が特許請求の範囲に記載のロー材に相当し、粒状凸部44が粒状体からなる凸部に相当する。
【0089】
また、粒状凸部は、径方向最大寸法が20μm以上に設定されていると良く、粒状体の径方向最大寸法の最小値を規定することで、ロー材との接合強度を確実に増大させることができる。なお、ロー付け接合による接合強度をより増大させるには、粒状体の径方向最大寸法を50μm以上に設定することが望ましい。
【0090】
さらに、粒状凸部は、径方向最大寸法が300μm以下に設定されていると良く、粒状体の径方向最大寸法の最大値を規定することで、ロー付け作業後の冷却行程において、ロー材の収縮により粒状体が検出素子本体から剥がれるのを防止することができる。
【0091】
また、第2検出素子42は、素子側ロー付け面43のうちで、粒状凸部44以外の第2検出素子42の外周表面(凹部45)にメタライズ層を設けて構成することで、接合強度をより向上させることができる。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0092】
例えば、検出素子として板型検出素子を用いる場合には、凸部として第2実施例に記載したような粒状凸部を有する検出素子に限定されることはなく、第1実施例に示したような素子側ロー付け面を有する板型の検出素子を用いても良い。具体的には、図6に示すように、素子側ロー付け面43が、第1実施例の素子側ロー付け面28と同様のパターンとなるように凸部29、凹部30およびメタライズ層31を備えて構成されても良い。さらに、板型検出素子の素子側ロー付け面として、図4に示す各種パターンの素子側ロー付け面を採用できることは言うまでもない。
【0093】
なお、図6では、板型検出素子の外観を表す斜視図、および素子側ロー付け面43のうちで表側板面の展開図を示している。図6に示す板型検出素子は、素子側ロー付け面43を備えており、長手方向の先端側に検出部99を備え、長手方向の後端側に電極端子97,ヒータ端子98を備えている。
【0094】
また、板型検出素子を用いる場合には、金属ホルダと一体に形成されたホルダ一体型検出素子を用いてもよい。一例として、図9に、板型検出素子96と金属ホルダ93とが一体に形成された第3検出素子86を用いて構成される第3酸素センサ85の全体構成を表す断面図を示す。
【0095】
なお、板型検出素子96は、凸部(図9では図示省略)を有する素子側ロー付け面43を備える長板形状に形成されている。
第3酸素センサ85は、第2酸素センサ41と比べて、板型検出素子96に代えて第3検出素子86を備える点と、第2支持部材90が金属ホルダ93と係合可能な形状に形成されている点が異なるが、その他の構成は同様である。
【0096】
また、図10に、第3検出素子86の分解斜視図と、板型検出素子96が挿通された金属ホルダ93の断面図を示す。図10に示すように、金属ホルダ93は、ホルダ本体部95の底面の中空部に板型検出素子96が挿通され、内部に固定用ロー材135が配置される状態でホルダ蓋部94が嵌合された後、固定用ロー材135が加熱溶融されてロー付け作業が行われることで、板型検出素子96と一体に接合される。つまり、金属ホルダ93は、板型検出素子96を挿通可能な中空部を有する略環状に形成され、板型検出素子96の長手方向略中間位置において径方向周囲を取り囲む状態で板型検出素子96と一体に接合される。
【0097】
この板型検出素子96においては、固定用ロー材135との当接面、および充填部材52との当接面のそれぞれに、凸部を有する凹凸状をなす素子側ロー付け面43が形成されている。これにより、第2実施例の第2酸素センサ41と同様に、第3検出素子86と充填部材52(ロー材)との接合強度が増大し、また、第3検出素子86と充填部材52との間からの排気ガスの漏洩を防止できるという効果を得ることができる。
【0098】
なお、図9および図10では、凸部の図示を省略しているが、板型検出素子96は、図4や図6に示す各種パターンのいずれかの素子側ロー付け面を備えて構成することができる。
さらに、金属ホルダは、図10に示す金属ホルダ93のような複数の部材で構成されるものに限ることはなく、図11に斜視図として示す金属ホルダ138のような単一の部材で構成されるものでも良い。金属ホルダ138は、板型検出素子96を挿通可能な中空部を有する略環状に形成され、板型検出素子96の径方向周囲を取り囲む状態で、ロー材139を用いたロー付け接合により板型検出素子96と一体に接合されて、検出素子を構成する。金属ホルダ138を有する第4検出素子140においては、板型検出素子96のうち、図示しない素子側ロー付け面はロー材139と接合されており、図11において図示される素子側ロー付け面43は充填部材52(図9参照)と接合される。
【0099】
また、各部の寸法は、上述した数値に限定されることはなく、凸部との高低差距離Bの絶対的な数値は50[μm]以上に設定するとよい。これにより、検出素子とロー材との接触面積の増大割合を一定値以上確保することができる。さらに、凸部の高低差距離Bの絶対的な数値を200[μm]以上に設定することで、より一層、接合強度を向上させることができる。
【0100】
さらに、充填部材として用いるロー材は、BAg8に限ることはなく、BAg9(Ag−Cu−Ni系ロー材)やパラジウム系ロー材(Pdロー)など、ロー付け後の強度が低下し難く、ロー付け後の耐熱温度が500〜600[℃]程度となる特性を有する共晶ロー材を用いることができる。また、ロー材は、主体金具(または金属ホルダ)の膨張率と検出素子の膨張率との間の膨張率となるロー材を用いることで、ロー付け作業後の冷却工程におけるロー材の収縮による破損を防止することができる。
【0101】
また、ロー材を押圧するコイルバネは、センサを構成するにあたり必ずしも必要ではなく、コイルバネを備えない場合には、外筒を取り付ける前段階でロー付け作業を行うという手順に従い、センサ製造作業を実行することになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の酸素センサの全体構成を表す断面図である。
【図2】酸素センサにおける検出素子,充填部材および主体金具の断面構造を表した拡大断面図である。
【図3】検出素子の外観を表す斜視図および素子側ロー付け面の展開図を示す説明図である。
【図4】凸部の様々な形状を表す素子側ロー付け面の展開図である。
【図5】第2酸素センサの全体構成を表す断面図である。
【図6】板型検出素子の外観を表す斜視図、および素子側ロー付け面の展開図である。
【図7】第2検出素子の外観を表す斜視図である。
【図8】第2酸素センサにおける第2検出素子,充填部材および主体金具の断面構造を表した拡大断面図である。
【図9】板型検出素子と金属ホルダとが一体に形成された第3検出素子を用いて構成される第3酸素センサの全体構成を表す断面図である。
【図10】第3検出素子の分解斜視図、および板型検出素子が挿通された金属ホルダの断面図である。
【図11】単一の部材で構成される金属ホルダの斜視図である。
【符号の説明】
1…酸素センサ、2…検出素子、5…主体金具、25…検出部、28…素子側ロー付け面、29…凸部、31…メタライズ層、32…金具側ロー付け面、41…第2酸素センサ、42…第2検出素子、43…素子側ロー付け面、44…粒状凸部、50…挿通孔、52…充填部材(ロー材)、85…第3酸素センサ、86…第3検出素子、93…金属ホルダ、96…板型検出素子。
【発明の属する技術分野】
本発明は、測定対象物の物理量(例えば、温度や特定ガスの濃度や濃度変化など)を検出するために、検出素子および金属筒状体を備えて構成されるセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、測定対象物の物理量を検出するセンサとしては、被測定領域に存在する測定対象物の温度を検出する温度センサや、被測定領域に存在する混合ガス中から特定ガス成分の濃度や濃度変化を検出するガスセンサ(酸素センサやNOxセンサなど)などが知られている。
【0003】
例えば、ガスセンサとしては、長尺形状に形成された固体電解質体からなる検出素子と、検出素子を保持する金属製の主体金具(金属筒状体)と、を備えて構成されるものがある。
このようなガスセンサには、ロー材を用いて主体金具と検出素子とをロー付け接合することにより、主体金具が検出素子を保持する構造のものや、ロー材を用いて環状の金属ホルダ(金属筒状体)と検出素子とをロー付け接合し、その状態で金属ホルダを主体金具に組みつけることにより、主体金具が検出素子を保持する構造のもの(例えば、特許文献1)がある。
【0004】
そして、ガスセンサは、主体金具が所定の取り付け位置に設置されて、検出素子の検出部が被測定領域に配置されるようにして使用に供される。例えば、自動車の排気ガス中の酸素濃度を検出するガスセンサの場合には、主体金具が排気管に設置されて、検出素子の検出部が排気管の内部に配置されて、排気ガス中の酸素濃度を検出する。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−126787号公報(図2参照)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、主体金具や金属ホルダを構成する金属筒状体と検出素子とをロー付け接合する構造のセンサにおいては、ロー材と検出素子との接合強度が、ロー材と金属筒状体との接合強度よりも弱くなるという問題がある。
【0007】
つまり、ロー材は、金属系材料であることから、金属筒状体との親和性が良好であり、金属筒状体との接合強度が強くなるのに対して、固体電解質体などのセラミックスからなる検出素子との接合強度は弱くなる。このようにロー材と検出素子との接合強度が弱いと、検出素子の外表面からロー材が剥がれることがあり、ロー材と検出素子との間を介して、排気ガス(測定対象物)が被測定領域(例えば、排気管の内部)から外部に漏れ出てしまい、適切な検出ができない可能性がある。
【0008】
また、ロー材と検出素子とは、それぞれ異なる材質で構成されており、熱膨張率に差があることから、ロー付け作業後の冷却工程における収縮時に、検出素子からロー材が剥がれる現象が生じ、ロー付け接合による接合強度が低下する虞がある。
【0009】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、検出素子と金属筒状体とをロー付け接合する構造のセンサにおいて、ロー材と検出素子との接合強度の向上を図ることができるセンサを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、測定対象物にさらされる検出部を有し、長尺形状に形成される検出素子と、検出素子を挿通可能に構成された挿通孔を有し、検出部を測定対象物にさらす状態で挿通孔に挿通された検出素子を保持する金属筒状体と、を備えるセンサであって、検出素子は、外周表面に素子側ロー付け面を備え、金属筒状体は、挿通孔の内面に金具側ロー付け面を備えると共に、ロー材を用いたロー付け接合による素子側ロー付け面と金具側ロー付け面との接合により、検出素子を保持するよう構成され、素子側ロー付け面は、検出素子の外周表面に対して高低差を有する凸部を備えることで凹凸状に形成されていることを特徴とするセンサである。
【0011】
つまり、このセンサに備えられる検出素子は、ロー材と接合される素子側ロー付け面を備えており、素子側ロー付け面には、検出素子の外周表面に対して高低差を有する凸部が備えられている。このような凸部を備える検出素子は、素子側ロー付け面が凹凸状に形成されるため、検出素子に対するロー材の接触部分の長さ寸法が、外周表面が平面形状に形成された検出素子よりも延長される。
【0012】
このように検出素子とロー材との接触部分の長さ寸法が延長されると、検出素子とロー材との接触面積が増大するため、検出素子とロー材との接合強度が増大することになる。また、検出素子とロー材との接触面積が増大して両者の接合強度が増すことで、ロー材が検出素子から剥がれ難くなり、ロー材と検出素子との間を、測定対象物が通過し難くなる。
【0013】
さらに、素子側ロー付け面に凸部を備える検出素子は、外周表面に対して段差部分を生ずるので、その段差部分にロー材が係合することになり、外力が印加された場合においても、ロー材との相対位置が変化し難くなり、接合強度が向上するという利点がある。
【0014】
よって、本発明(請求項1)のセンサによれば、ロー付け接合を用いる構造のセンサにおいて、検出素子とロー材との接合強度を増大させることができ、測定対象物の漏洩を抑制することができる。
また、金属筒状体としては、センサを所定の設置位置に取り付けるための取り付け部(ネジ部など)を有する主体金具や、検出素子の径方向周囲を取り囲む金属ホルダであって、主体金具の内部に配置される金属ホルダが挙げられる。
【0015】
検出素子は、固体電解質体としてジルコニアを用いて形成されるものに限定されることはなく、ジルコニアとアルミナからなる固体電解質体(例えば、ジルコニアとアルミナの合計量を100wt%とした場合に、アルミナを10〜80wt%の範囲内で含有させた固体電解質体)から形成されていても良い。また、長尺形状の検出素子としては、有底筒状(カップ形状)に形成されたもの、板型形状に形成されたもの、さらにはセラミックヒータと一体化されて板型形状に形成されたもの等を挙げることができる。
【0016】
次に、上述(請求項1)のセンサは、請求項2に記載のように、検出素子の外周表面に対する凸部の高さが、検出素子の外周表面と金属筒状体の挿通孔の内面との最大間隙距離に対して5%以上50%以下であるように、凸部の高さ寸法が規定されているとよい。
【0017】
このように凸部の高さ寸法の上限値を規定して、検出素子と金属筒状体との隙間寸法が過度に狭くなるのを防止することで、検出素子と金属筒状体との間(換言すれば、素子側ロー付け面および金具側ロー付け面の間)において、ロー材が流れ難くなるのを防止できる。つまり、ロー材が流れ難くなるのを防止することで、素子側ロー付け面および金具側ロー付け面の全体にロー材を行き渡らせることができ、ロー付け接合による接合強度を向上させることができる。
【0018】
また、凸部の高さ寸法の下限値を規定して、検出素子とロー材との接触部分を一定寸法以上延長させることで、検出素子とロー材との接触面積を一定範囲以上増大させることができる。このように、検出素子とロー材との接触面積の増大割合を一定値以上確保することで、接触面積の増大による接合強度の増大や測定対象物の漏洩防止などの効果を確実に得ることができる。
【0019】
さらに、凸部の高さ寸法の下限値を規定することで、凸部と検出素子の外周表面との段差部分を確実にロー材と係合する大きさに設定でき、外力の印加に耐えられる構造となることから、接合強度を向上させることができる。
よって、本発明(請求項2)のセンサによれば、素子側ロー付け面および金具側ロー付け面の全体にロー材を行き渡らせることができ、また、検出素子とロー材との接触面積の増大割合を一定値以上確保できることから、ロー付け接合による接合強度を向上でき、測定対象物の漏洩を抑制することができる。
【0020】
ここで、上述(請求項2)のセンサにおいて、検出素子の外周表面に対する凸部の高さの絶対的な数値としては、50[μm]以上(好ましくは、200[μm]以上)とするとよい。凸部の下限値を50[μm]以上とすることで、素子側ロー付け面と金具側ロー付け面との接合強度をより有効に高めることができる。また、この凸部の高さ寸法としては特に上限値はないが、凸部の高さ寸法が大きくなると、その寸法に応じて金属筒状体を大型化しなければならず、ロー材容積が大きくなってロー材の溶融時の力が大きくなるために凸部が破損する可能性がある。それより、凸部の高さの上限値としては、1000[μm]以下とすることが望ましい。
【0021】
次に、上述(請求項1または請求項2)のセンサは、請求項3に記載のように、素子側ロー付け面のうち、凸部の少なくとも一部または該凸部を除く検出素子の外周表面のいずれかに、メタライズ層が形成されているとよい。
メタライズ層は、金属系材料で形成されるため、金属系材料からなるロー材との親和性に優れており、メタライズ層とロー材との接合強度は、検出素子におけるセラミックス材料部分の外周表面とロー材との接合強度に比べて高くなる。このため、前記素子側ロー付け面のうち、凸部表面の少なくとも一部または凸部を除く検出素子の外側表面のいずれかにメタライズ層が形成された検出素子は、メタライズ層を持たない検出素子に比べて、ロー材との接合強度が増大する。
【0022】
とりわけ、凸部を除く検出素子の外周表面にメタライズ層を形成した場合には、ロー材が該外周表面に流れ易くなり、ロー材の素子側ロー付け面側がより確実に凹凸状となり、測定対象物の漏洩を有効に抑制することができる。
よって、本発明(請求項3)のセンサによれば、検出素子にメタライズ層を設けることで、検出素子とロー材との接合強度を増大させることができる。
【0023】
なお、メタライズ層は、例えば、焼成前の検出素子の所定位置に配置された金属製材料を検出素子と共に焼成することで形成することができる。
さらに、上述(請求項1から請求項3のいずれか)のセンサは、請求項4のように、凸部が格子状に形成されているとよい。
【0024】
このように素子側ロー付け面を格子状の凸部を備えつつ凹凸状に形成することで、一方向の外力に限らず、縦方向、横方向および回転方向などの多様な方向の外力に耐えられる強固なロー付け接合を実現できる。
よって、本発明(請求項4)のセンサによれば、強固なロー付け接合を実現でき、ロー付け接合による検出素子と金属筒状体との接合強度を向上させることができる。
【0025】
なお、上述(請求項4)のセンサは、請求項5に記載のように、格子状の凸部で囲まれる枠内区画に位置する検出素子の外周表面の面積がそれぞれ4[mm2 ]以上15[mm2 ]以下となるように構成するとよい。
つまり、枠内区画が過度に小さく形成されると、枠内区画に位置する検出素子の外周表面とロー材との接合面積が小さくなり、検出素子とロー材との接合強度を十分には確保できないことがある。これに対して、枠内区画に位置する検出素子の外周表面の面積が少なくとも4[mm2 ]以上となるように、凸部を格子状に形成することで、検出素子とロー材との接合強度を一定レベル以上に維持することができる。
【0026】
また、枠内区画が過度に大きく形成されると、格子状の凸部の間隔が拡大するため、格子状に形成することで得られる効果、すなわち、多方向からの外力に耐えられる強固なロー付け接合を実現できない虞がある。これに対して、枠内区画に位置する検出素子の外周表面の面積が少なくとも15[mm2 ]以下となるように、凸部を格子状に形成することで、多方向からの外力に耐えられる強固なロー付け接合を実現することができる。
【0027】
なお、上記枠内区画に位置する検出素子の外周表面にメタライズ層を形成することで、より強固なロー付け接合が実現されることになるが、このような場合、メタライズ層の面積が過度に大きくなると、ロー付け作業後の冷却工程におけるロー材の収縮の影響を受けて、メタライズ層が剥がれる虞がある。このため、枠内区画に位置する検出素子の外周表面の面積の上限値(15[mm2 ])を設定することで、メタライズ層の剥がれを防止できるという利点がある。
【0028】
よって、本発明(請求項5)のセンサによれば、検出素子とロー材との接合
強度を一定レベル以上に維持することができ、また、多方向からの外力に耐えられる強固なロー付け接合を実現できることから、ロー付け接合による検出素子と金属筒状体との接合強度を向上させることができる。
【0029】
また、凸部は、請求項6に記載のように、複数形成され、それぞれの凸部が粒状体で形成するとよい。
このような凸部は、焼成前の検出素子の表面における所定位置に、タンポ印刷などの手法を用いて、複数の粒状体を付着させて、検出素子の本体部分と共に焼成するという簡易な製造方法で形成することができる。粒状体は、検出素子と同種の材料で形成すると、検出素子との接合が良好となる。
【0030】
よって、本発明(請求項6)のセンサによれば、凸部を簡易な製造方法で形成することができることから、製造方法の複雑化を抑制しつつ、ロー付け接合の接合強度を向上させることができる。
なお、粒状体を用いて凸部を形成する場合には、検出素子と金属筒状体との隙間寸法に応じて、粒状体の径方向寸法を適宜設定することで、ロー付け接合の接合強度を向上させることができる。また、粒状体の形状は、球形状に限ることはなく、多角形であってもよい。
【0031】
さらに、上述(請求項6)のセンサは、請求項7に記載のように、粒状体における検出素子の外周表面との接触部分の寸法が、粒状体の径方向最大寸法よりも小さく形成されているとよい。
つまり、このような粒状体が表面に備えられる検出素子は、粒状体の表面近傍の領域のうち、径方向最大寸法部分から検出素子との接触部分に至る領域に、ロー材が回り込む状態で、ロー付け接合されることになる。このようなロー材の回り込み領域を備える検出素子は、ロー材との接合強度がさらに増大することになり、ロー付け接合による金属筒状体との接合強度も増大する。
【0032】
よって、本発明(請求項7)のセンサによれば、ロー材と検出素子とを強固に接合することができ、ロー付け接合による接合強度をさらに向上させることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を適用したセンサの実施例を図面と共に説明する。
本実施例は、ガスセンサの一種である酸素センサ1であり、図1に酸素センサ1の全体構成を表す断面図を示す。なお、以下の説明においては、酸素センサ1のうち、図1における下端側が「ガスセンサの先端側」に相当し、同様に、酸素センサ1の図1における上端側が「ガスセンサの後端側」に相当する。
【0034】
図1に示すように、酸素センサ1は、ジルコニア(ZrO2 )を主成分とする固体電解質体により先端が閉じた有底筒状に形成された検出素子2,検出素子2の有底孔47に配置された軸状のセラミックヒータ3,酸素センサ1の内部構造物を収容すると共に酸素センサ1を排気管等の取付部に固定するケーシング4などを備えて構成されている。
【0035】
検出素子2の有底孔47の内面には、そのほぼ全面を覆うように、PtあるいはPt合金により多孔質に形成された内部電極48が形成され、外面のうち先端側(図中の下側)に同様な外部電極46が形成されている。また、検出素子2の長手方向略中間位置には、外周表面から径方向外向きに突出する鍔部26が設けられている。そして、検出素子2は、先端側に配置される外部電極46、内部電極48および固体電解質体により構成され、測定対象物(排気ガス)に晒されることになる検出部25を有している。
【0036】
この検出素子2は、図3を援用して示すように、検出素子2の後端側に導電層147が周方向に沿って帯状に形成され、外部電極46が鍔部26よりも先端側の全面を覆うように形成されており、さらに導電層147と外部電極46とが直線上の接続パターン層144を介して電気的に接続されている。ここで、検出素子2の外面のうち鍔部26よりも後端側は、後述するように素子側ロー付け面28が形成されることになるが、本実施形態では接続パターン層144と後述する充填部材52(ロー材52)とが直接接触することがない(換言すれば、外部電極46と主体金具5とが充填部材52を介して短絡することがない)ように、接続パターン層144のうちで少なくとも素子側ロー付け面28にまたがる部分に、絶縁性のガラス層145がコーティングされている。
【0037】
図1に戻り、ケーシング4は、検出素子2を保持すると共にその先端側にある検出部25を排気管等の内部に突出させる主体金具5と、主体金具5の後端部(図1では上側の端部)に組み付けられ、検出素子2との間で基準ガス空間を形成する外筒6とを備えて構成されている。
【0038】
主体金具5は、検出素子2を挿通するよう先端側から後端側にかけて貫通する挿通孔50と、検出部25を有する先端側から挿通孔50に挿通された検出素子2の鍔部26を支持する棚部54とを有する略円筒型形状に形成されている。そして、主体金具5は、検出部25および後端部(導電層147)が挿通孔50の外部に露出する状態で検出素子2を保持可能に構成されている。
【0039】
主体金具5にて検出素子2を保持するにあたり、挿通孔50の内部には、検出素子2を先端側(図中下側)から支持するセラミックス材料からなる支持部材51,支持部材51の後端側(図中上側)に充填される共晶ロー(BAg8:Ag−Cu系ロー材)からなる充填部材52,および充填部材52の後端側に配置されるセラミックス材料からなるスリーブ53が同軸状に配置される。
【0040】
すなわち、支持部材51は、略円筒状に形成され、主体金具5の挿通孔50の内周に形成される棚部54にリング55を介して係止されると共に、検出素子2の鍔部26を先端側(図中下側)から支持する。なお、検出素子2の鍔部26は、支持部材51にパッキン56を介して係止される。そして、充填部材52は、支持部材51の後端側における主体金具5の挿通孔50の内面と検出素子2の外周面との間に配設され、さらに、スリーブ53は、略円筒状に形成され、充填部材52の後端側に配設される。
【0041】
なお、主体金具5の挿通孔50の内面のうち充填部材52に当接する部分に、金具側ロー付け面32が形成されており、検出素子2の外周面のうち充填部材52に当接する部分に、素子側ロー付け面28が形成されている。
スリーブ53は、後述するコイルバネ9により先端側に付勢されており、充填部材52に対して圧力を印加している。このため、加熱により溶融状態となった充填部材52は、スリーブ53からの加圧により、挿通孔50の内面と検出素子2の外周面との間の隅々まで充填される。そして、温度低下により凝固した充填部材52は、検出素子2および主体金具5(詳細には挿通孔50の内面)とそれぞれ強固に接合され、ひいては、検出素子2と主体金具5とが強固に接合される。なお、支持部材51およびスリーブ53は、溶融状態の充填部材52が挿通孔50から外部に漏洩しないように、充填部材52を挿通孔50の内部に封止可能な形状に構成されている。
【0042】
また、溶融状態の充填部材52は、パッキン56によって検出素子2と支持部材51との間から漏れるのが確実に抑制される。
なお、充填部材52を構成するBAg8は、溶融温度が約800[℃]であり、ロー付け作業後の耐熱温度が500〜600[℃]程度となる特性を示す共晶ロー材である。
【0043】
ここで、酸素センサ1における検出素子2,充填部材52および主体金具5の断面構造を表した拡大断面図を図2に示し、また、検出素子2の外観を表す斜視図および後述する素子側ロー付け面28の展開図を図3に示す。
図3に示すように、検出素子2は、外周表面のうち鍔部26の後端側部分において、周方向にわたり素子側ロー付け面28が形成されており、素子側ロー付け面28には、検出素子2の外周表面より径方向外側に突出する凸部29が形成されている。
【0044】
なお、図3に示す素子側ロー付け面28の展開図(この展開図では、接続パターン層144およびガラス層145の図示は省略している)は、横方向の第1辺L1が検出素子2の周方向に対応し、縦方向の第2辺L2が検出素子2の長手方向に対応している。この展開図から判るように、素子側ロー付け面28は、周方向に連続して形成される3つの凸部29と、凸部29以外の検出素子2の外周表面(以下、この外周表面を凸部29と区別し易いように凹部30とも表現する)とから構成され、周方向に連続して形成される4つの凹部30のうち1つの凹部30にはメタライズ層31が形成されている。
【0045】
また、図2に示すように、凸部29の検出素子2の外周表面に対する高さ(高低差距離B)が200[μm]となるように形成されている。なお、検出素子2および主体金具5は、検出素子2の外周表面(凹部30)と主体金具5の挿通孔50の内面との距離のうち、検出素子2の長手方向と直交する向きにおける距離(最長間隙距離C)が2000[μm]となるように構成されている。
【0046】
ここで、高低差距離Bおよび最長間隙距離Cは、酸素センサ1の中心軸線を含むように断面をとり、電子顕微鏡あるいは光学顕微鏡で観察することができる。また、高低差距離Bについては、凹凸状の素子側ロー付け面28のうちで、最も高い凸部29の高さと、検出素子2の外周表面(凹部30)の最も深い(低い)部分との高低差をいうものとする。
【0047】
さらに、1つの凹部30は、金属製材料からなるメタライズ層31が設けられており、ロー材からなる充填部材52との接合強度の増大させている。つまり、金属製材料からなるメタライズ層31は、金属製のロー材(充填部材52)との親和性に優れており、メタライズ層31と充填部材52との接合強度は、検出素子2のセラミックス材料部分とロー材との接合強度に比べて高くなる。なお、メタライズ層31は、焼成前の検出素子2における凹部30に配置された金属製材料を、検出素子2と共に焼成することで形成できる。
【0048】
図1に戻り、酸素センサ1は、主体金具5の後端部を覆う略円筒状の外筒6を備えている。外筒6は、後述するセパレータ7の本体部75の外径よりも大きく、フランジ部71の外径よりも小さい内径を有する小径部65と、フランジ部71の外径よりも大きい大径部64と、小径部65と大径部64とを繋ぐ段差部61とを有している。なお、段差部61の内面は、後述するセパレータ7のフランジ部71と当接可能に形成されている。外筒6の後端側(図中の上側)に位置する小径部65には、後述するシール部材11の後端縁(上端縁)を覆うように内方に屈曲した肩部62が設けられ、その端縁により上端開口部63が形成されている。
【0049】
外筒6の上端開口部63には、検出素子2の外部電極46、内部電極48に夫々電気的に接続されるリード線21,22およびセラミックヒータ3の一対のヒータ端子に電気的に接続される一対のリード線49(一方は図示省略)を夫々外部から外筒6(酸素センサ1)の内部に導入すると共に、外筒6の内部への水分や油分の侵入を防止するシールユニット10が設けられている。
【0050】
このシールユニット10は、フッ素ゴムからなる円柱状のシール部材11と、このシール部材11の中央を軸方向に貫通する貫通孔14に嵌挿可能な筒状挿入部材39と、この筒状挿入部材39の上端部を覆うと共に、これらシール部材11の貫通孔14の内周面と筒状挿入部材39の外周面との間に挟持されて固定されるシート状の通気フィルタ40とから構成されている。シールユニット10は、リード線21,22などを挿通した状態で外筒6の先端側の開口部から上端開口部63の内側に配置されたあと、外筒6とともに径方向内側に加締められることで、外筒6に固定される。これにより、外筒6とシール部材11とが密着し、そのシール性がより確実なものとなる。
【0051】
また、外筒6の内部に組み付けられたシール部材11の先端側には、セラミックで筒状に形成された絶縁性のセパレータ7が内挿されている。このセパレータ7は、略円筒形状の本体部75と、その本体部75よりも大径のフランジ部71と、そのフランジ部71の先端面から先端方向に突出した環状突部72と、セパレータ7の先端面74に開口する有底状の保持孔76とを有している。フランジ部71は、その外径が先端側になるほど径方向外側に位置するテーパ状の当接面73を有し、この当接面73が外筒6の段差部61の内面に当接されている。セパレータ7は、各リード線21,22と電気的に接続された端子部8を保持すると共に、セラミックヒータ3と電気的に接続する一対のリード線とそれぞれ接続されるヒータ端子部35(もう一方は図示省略)を保持し、端子部8と外筒6とを、また端子部8とヒータ端子部35とを電気的に絶縁している。
【0052】
そして、主体金具5とセパレータ7との間には、コイルバネ9(押圧部材)が介装されており、コイルバネ9は、主体金具5の挿通孔50に配置されるスリーブ53を棚部54に向けて押圧すると共に、セパレータ7を後端側に押圧している。コイルバネ9は、一端が、スリーブ53に直接接続され、他端が、セパレータ7の環状突部72の内側に位置するセパレータ7の先端面74に直接接続されている。
【0053】
なお、コイルバネ9は、検出素子2の導電層147、端子部8と接触しないように、寸法が調整されている。
外筒6は、その下端開口端部が主体金具5の外側に位置するように配置されて全周レーザ溶接されることにより、主体金具5に対して装着されている。また、主体金具5の下端側外周には、検出素子2の突出部分(検出部25)を覆うと共に、測定対象ガスを導入するための複数の孔部を有する金属製の二重のプロテクタ81,82が溶接によって取り付けられている。
【0054】
以上に説明したように、本実施例(以下、第1実施例ともいう)の酸素センサ1は、検出素子2の外周表面に充填部材52(ロー材)と接合される素子側ロー付け面28を備えており、素子側ロー付け面28には、検出素子2の長手方向に並んで配置される3つの凸部29が備えられている。このような凸部29を備える検出素子2は、検出素子2の長手方向における充填部材52との接触部分の長さ寸法が、外周表面が平面形状に形成された検出素子よりも延長される。
【0055】
このように検出素子2と充填部材52との接触部分の長さ寸法が延長されると、検出素子2と充填部材52との接触面積が増大するため、検出素子2と充填部材52との接合強度が増大することになる。また、検出素子2と充填部材52との接触部分の長さ寸法が延長されると、検出素子2と充填部材52との間を排気ガスが通過するための通過経路が長くなるため、排気ガスが漏洩し難くなる。
【0056】
さらに、凸部29を備える検出素子2は、凸部29と凹部30との段差部分である係合部に充填部材52(ロー材)が係合することになり、外力が印加された場合においても、検出素子2と充填部材52との相対位置が変化し難くなり、接合強度が向上するという利点がある。
【0057】
また、検出素子2においては、凸部29が外周表面の周方向にわたり連続的に形成されており、検出素子2の周方向全周にわたり、検出素子2の長手方向における充填部材52との接触部分の長さ寸法を延長できると共に、充填部材52との係合部を設けることができる。このため、検出素子の周方向全周において、バランス良く接合強度を向上できると共に、精度良く排気ガスの漏洩を防止することができる。
【0058】
また、検出素子2の外周表面に対する凸部29との高低差距離Bは、200[μm]に設定されており、検出素子2の外周表面と主体金具5の内面との該検出素子2の長手方向と直交する向きにおける最長間隙距離C(2000[μm])の10%値である。このように凸部29の高さ寸法を規定して、検出素子2と主体金具5との隙間寸法が過度に狭くなるのを防止することで、検出素子2と主体金具5との間(換言すれば、素子側ロー付け面28および金具側ロー付け面32の間)において、充填部材52(ロー材)が流れ難くなるのを防止できる。
【0059】
これにより、素子側ロー付け面28と金具側ロー付け面32との間において、充填部材52を細部に行き渡らせることができ、ロー付け接合の接合強度を向上させることができ、排気ガス(測定対象物)の漏洩を抑制することができる。
また、酸素センサ1は、素子側ロー付け面28のうちで、凸部29を除く検出素子2の外周表面の少なくとも一部(凹部30の一部)にメタライズ層31が形成されており、メタライズ層31と充填部材52とは互いに金属系材料であるため接合強度が高いことから、検出素子2と充填部材52(ロー材)との接合強度を増大させることができる。
【0060】
なお、第1実施例の酸素センサ1においては、充填部材52が特許請求の範囲に記載のロー材に相当する。
ところで、検出素子に形成される凸部の形状は、第1実施例のように、検出素子の周方向に連続的に形成される3本の凸部に限ることはなく、図4に示すような様々な形状とすることができる。なお、図4では、素子側ロー付け面を展開図として表しており、素子側ロー付け面のうち黒塗りの線で表記した領域が凸部に相当し、線以外の領域が凸部以外の外周表面(凹部)相当する。なお、図4に示す展開図においても、図3における検出素子2の斜視図に示す接続パターン層144およびガラス層145は、図示を省略している。
【0061】
図4のうち、パターン(1)は、検出素子の周方向(図4における左右方向)に連続的に形成される1本の凸部を備える素子側ロー付け面である。パターン(2)は、検出素子の周方向に連続的に形成される2本の凸部を備える素子側ロー付け面である。パターン(3)は、検出素子の周方向に連続的に形成される1本の凸部と検出素子の周方向に断続的に形成される1本の凸部とを備える素子側ロー付け面である。
【0062】
パターン(4)は、互いの断続部分が重ならないように、検出素子の周方向に断続的に形成される2本の凸部を備える素子側ロー付け面である。パターン(5)は、検出素子の周方向に連続的に形成される1本の凸部と、一点鎖線となるように検出素子の周方向に断続的に形成される1本の凸部とを備える素子側ロー付け面である。パターン(6)は、検出素子の周方向に連続的に形成される1本の凸部と、曲線状の一点鎖線となるように検出素子の周方向に断続的に形成される1本の凸部とを備える素子側ロー付け面である。
【0063】
パターン(7)は、点線となるように検出素子の周方向に断続的に形成される2本の凸部と、一点鎖線となるように検出素子の周方向に断続的に形成される1本の凸部とを備える素子側ロー付け面である。パターン(8)は、点線となるように検出素子の周方向に断続的に形成される1本の凸部と、検出素子の周方向に連続的に形成される1本の凸部とを備える素子側ロー付け面である。パターン(9)は、直線状の一点鎖線となるように検出素子の周方向に断続的に形成される1本の凸部と、曲線状となるように検出素子の周方向に連続的に形成される1本の凸部とを備える素子側ロー付け面である。
【0064】
パターン(10)は、点線となるように検出素子の周方向に断続的に形成される1本の凸部と、二点鎖線となるように検出素子の周方向に断続的に形成される1本の凸部とを備える素子側ロー付け面である。パターン(11)は、二点鎖線となるように検出素子の周方向に断続的に形成される2本の凸部と、この2本の凸部の略中間位置において検出素子の周方向に対して斜めに形成される複数の凸部とを備える素子側ロー付け面である。パターン(12)は、検出素子の周方向に連続的に形成される3本の凸部と、検出素子の長手方向(図4における上限方向)に連続的に形成される複数の凸部とからなる格子状の凸部を備える素子側ロー付け面である。
【0065】
これらのうち、パターン(1)(2)(3)(5)(6)(8)(9)(12)のように、少なくとも1つの凸部が検出素子の外周表面の周方向にわたり連続的に形成されることで、検出素子の周方向全周にわたり、検出素子の長手方向におけるロー材との接触部分の長さ寸法を延長することができ、接合強度を向上させることができる。
【0066】
また、パターン(4)(7)(10)(11)においては、凸部が断続的に形成されているが、素子側ロー付け面のうち、1つの凸部が途切れる部分においては、検出素子の長手方向位置が異なる位置に他の凸部が形成されており、複数の凸部は、それぞれ互いの途切れる部分が長手方向で見たときに重ならないように、検出素子の周方向に断続的に形成されている。
【0067】
このように複数の断続的な凸部を形成することで、検出素子の長手方向におけるロー材との接触部分の長さ寸法を延長することができ、また、検出素子の周方向全周にわたりロー材と係合する段差部分を形成することができる。これにより、検出素子とロー材との接合強度を増大させることができ、測定対象物の漏洩を抑制できる。
【0068】
また、パターン(12)においては、凸部が格子状に形成されており、このように凸部を形成することで、一方向の外力に限らず、縦方向、横方向および回転方向などの多様な方向の外力に耐えられる強固なロー付け接合を実現できる。よって、パターン(12)の素子側ロー付け面を有する検出素子を用いて構成されるセンサは、強固なロー付け接合を実現でき、ロー付け接合による検出素子と主体金具との接合強度を向上させることができる。また、このセンサは、検出素子の周方向にわたり、検出素子と主体金具との間に隙間が生じるのを抑制できることから、検出素子と主体金具との間におけるシール性の低下を抑制でき、被測定領域の気密性が低下するのを抑制できる。
【0069】
なお、パターン(12)に示す素子側ロー付け面は、格子状の凸部で囲まれる枠内区画に位置する検出素子の外周表面の面積がそれぞれ4[mm2 ]以上15[mm2 ]以下となるように構成するとよい。つまり、上記面積の最小値を制限して、少なくとも4[mm2 ]以上となるように、凸部を格子状に形成することで、検出素子とロー材との接合強度を一定レベル以上に維持することができる。また、上記面積の最大値を制限して、少なくとも15[mm2 ]以下となるように、凸部を格子状に形成することで、多方向からの外力に耐えられる強固なロー付け接合を実現することができる。
【0070】
そして、図4に示す各パターンにおいては、センサの構造や用途、検出素子の材質などに基づき定められる所定位置にメタライズ層を設けることで、検出素子とロー材との接合強度をさらに向上させることができる。
なお、パターン(12)において、凸部で囲まれた枠内区画に位置する検出素子の外周表面にメタライズ層が形成されている場合、メタライズ層の面積が過度に大きくなると、ロー付け作業後の冷却工程におけるロー材の収縮の影響を受けて、メタライズ層が剥がれる虞がある。このため、上記面積の上限値(15[mm2 ])を設定することで、メタライズ層の剥がれを防止できるという利点がある。
【0071】
次に、第2実施例として、略長板型に形成された第2検出素子42を備える第2酸素センサ41について、説明する。
第2酸素センサ41の全体構成を表す断面図を図5に示す。なお、以下の説明においては、第2酸素センサ41のうち、図5における下端側が「ガスセンサの先端側」に相当し、同様に、第2酸素センサ41の図5における上端側が「ガスセンサの後端側」に相当する。
【0072】
図5に示すように、第2酸素センサ41は、略長板型の第2検出素子42,第2酸素センサ41の内部構造物を収容すると共に、第2酸素センサ41を排気管等の取付部に固定する第2ケーシング87などを備えて構成されている。
第2検出素子42は、ジルコニア(ZrO2 )を主成分とする固体電解質体により略長板形状に形成されると共に、先端側(図中の下側)に排気ガス(測定対象物)にさらされる検出部99を有し、後端側(図中の上側)に排気ガス中の酸素濃度に応じた検出信号を出力する電極端子97を有して構成されている。また、第2検出素子42は、内部にヒータ(図示省略)を備えており、ヒータ端子98を通じて供給される電力よりヒータが発熱することで、固体電解質体を活性化温度に加熱・維持するよう構成されている。
【0073】
第2ケーシング87は、第2検出素子42を保持すると共にその先端側にある検出部99を排気管等の内部に突出させる主体金具5と、主体金具5の後端部(図5では上側の端部)に組み付けられ、第2検出素子42との間で基準ガス空間を形成する第2外筒89とから構成されている。
【0074】
主体金具5は、第1実施例と同様の構成であり、挿通孔50と棚部54とを有する略円筒型形状に形成されており、検出部99および電極端子97が挿通孔50の外部に露出する状態で第2検出素子42を保持可能に構成されている。
主体金具5にて第2検出素子42を保持するにあたり、挿通孔50の内部には、第2検出素子42を支持するセラミックス材料からなる第2支持部材90,第2支持部材90の後端側(図中上側)に充填される共晶ロー(BAg8:Ag−Cu系ロー材)からなる充填部材52,および充填部材52の後端側に配置されるセラミックス材料からなる第2スリーブ92が同軸状に配置される。
【0075】
すなわち、第2支持部材90は、略円筒状に形成され、主体金具5の挿通孔50の内周に形成される棚部54にパッキン(図示省略)を介して係止されると共に、第2検出素子42を先端側(図中下側)から支持する。そして、充填部材52は、第2支持部材90の後端側における主体金具5の挿通孔50の内周面と第2検出素子42の外周面との間に配設され、さらに、第2スリーブ92は、略円筒状に形成され、充填部材52の後端側に配設される。
【0076】
第2スリーブ92は、後述する第2コイルバネ136により先端側に付勢されており、充填部材52に対して圧力を印加している。このため、加熱により溶融状態となった充填部材52は、第2スリーブ92からの加圧により、挿通孔50の内周面と第2検出素子42の外周面との間の隅々まで充填される。そして、温度低下により凝固した充填部材52は、第2検出素子42および主体金具5(詳細には挿通孔50の内面)とそれぞれ強固に接合され、ひいては、第2検出素子42と主体金具5とが強固に接合される。なお、第2支持部材90および第2スリーブ92は、溶融状態の充填部材52が挿通孔50から外部に漏洩しないように、充填部材52を挿通孔50の内部に封止可能な形状に構成されている。
【0077】
ここで、第2酸素センサ41における第2検出素子42,充填部材52および主体金具5の断面構造を表した拡大断面図を図8に示し、第2検出素子42の外観を表す斜視図を図7に示す。
図7に示すように、第2検出素子42は、充填部材52と接合される素子側ロー付け面43のうち、幅広である表側板面および裏側板面に対して、外周表面から外側に向かって突出する粒状体からなる複数の粒状凸部44が備えられている。なお、素子側ロー付け面43のうち粒状凸部44が形成されていない外周表面を、以下では凹部45として表現する。
【0078】
そして、図8に示すように、第2検出素子42は、外周表面(凹部45)に対する粒状凸部44との高低差距離Bが300[μm]となるように形成されている。第2検出素子42および主体金具5は、凹部45と主体金具5の挿通孔50の内面との第2検出素子42の長手方向と直交する向きにおける最長間隙距離Cが3000[μm]となるように構成されている。
【0079】
また、粒状凸部44は、第2検出素子42の本体部分との接触部分寸法Eが150[μm]に設定されており、自身の径方向最大寸法D(=300[μm])よりも小さく形成されている。
そして、粒状凸部44は、焼成前の第2検出素子42の表面の素子側ロー付け面43に、タンポ印刷などの手法を用いて、第2検出素子42と同種の材料で形成された複数の粒状体を付着させて、第2検出素子42の本体部分と共に焼成するという簡易な製造方法で形成することができる。なお、粒状凸部44の外形形状は、球形状に限ることはなく、多角形であってもよい。
【0080】
図5に戻り、第2酸素センサ41は、主体金具5の後端部を覆う略円筒状の第2外筒89を備えており、第2外筒89は、主体金具5との間にコンタクト部材130などを収容する内部空間を形成している。第2外筒89は、その軸方向略中央部を境界として後端側の径方向寸法が先端側よりも縮径して形成されており、この径方向寸法の変更部分の内壁には、先端側に対向する段差部61が形成されている。なお、段差部61は、後述する第2コイルバネ136の一端を係止可能に形成されている。
【0081】
第2外筒89の上端開口部63には、第2検出素子42の電極端子97に接続される一対のリード線21、およびヒータ端子98に接続される一対のリード線22を夫々外部から第2外筒89(第2酸素センサ41)の内部に導入する略円柱状のフッ素ゴムからなるグロメット120が備えられている。グロメット120は、リード線21,22などを挿通した状態で第2外筒89の先端側の開口部から上端開口部63の内側に配置されたあと、径方向内側への加締め加工により第2外筒89に固定される。
【0082】
また、第2外筒89の内部に組み付けられたグロメット120の先端側には、リード線21,22と電気的に接続された4本のリードフレーム131を、第2検出素子42の電極端子97,ヒータ端子98に接続するためのコンタクト部材130が配置されている。コンタクト部材130は、リードフレーム131が積層された第2検出素子42を、一対の絶縁性ハウジング132で挟持するよう構成されている。また、コンタクト部材130は、リードフレーム131と第2外筒89とを電気的に絶縁している。
【0083】
そして、主体金具5と第2外筒89との間には、先端側(主体金具側)の径寸法が小さく、後端側(第2外筒側)の径寸法が大きくなるようテーパ状に形成された第2コイルバネ136(押圧部材)が介装されており、第2コイルバネ136は、主体金具5の挿通孔50に配置される第2スリーブ92を棚部54に向けて押圧している。第2コイルバネ136は、一端が、第2スリーブ92に直接接続され、他端が、第2外筒89の段差部61に直接接続されている。
【0084】
第2外筒89は、その下端開口端部が径方向内側に加締められることにより主体金具5に対して装着されている。また、主体金具5の下端側外周には、第2検出素子42の突出部分(検出部99)を覆うと共に、測定対象ガスを導入するための複数の孔部を有する金属製の二重のプロテクタ81,82が溶接によって取り付けられている。
【0085】
以上に説明したように、第2実施例の第2酸素センサ41は、素子側ロー付け面43が形成された第2検出素子42を備えて構成されており、素子側ロー付け面43には、複数の粒状凸部44が形成されている。このような粒状凸部44を備える第2検出素子42は、第2検出素子42の長手方向における充填部材52との接触部分の長さ寸法が、外周表面が平面形状に形成された検出素子よりも延長される。
【0086】
このように第2検出素子42と充填部材52との接触部分の長さ寸法が延長されると、第2検出素子42と充填部材52との接触面積が増大するため、第2検出素子42と充填部材52との接合強度が増大し、また、第2検出素子42と充填部材52との間を排気ガスが通過するための通過経路が長くなるため、排気ガスが漏洩し難くなる。
【0087】
また、粒状凸部44は、上述したように、簡易な製造方法で形成できることから、製造方法の複雑化を抑制しつつ、ロー付け接合の接合強度を向上させることができるという利点がある。
さらに、粒状凸部44は、第2検出素子42の本体部分との接触部分寸法Eが、自身の径方向最大寸法Dよりも小さく形成されている。このような粒状凸部44が表面に備えられる第2検出素子42は、粒状凸部44の表面近傍の領域のうち、径方向最大寸法部分から第2検出素子42の本体部分との接触部分に至る領域に、充填部材52(ロー材)が回り込む状態で、ロー付け接合される。
【0088】
このような充填部材52の回り込み領域を備える第2検出素子42は、充填部材52との接合強度がさらに増大することになり、ロー付け接合による主体金具5との接合強度をさらに向上させることができる。
なお、第2実施例の第2酸素センサ41においては、充填部材52が特許請求の範囲に記載のロー材に相当し、粒状凸部44が粒状体からなる凸部に相当する。
【0089】
また、粒状凸部は、径方向最大寸法が20μm以上に設定されていると良く、粒状体の径方向最大寸法の最小値を規定することで、ロー材との接合強度を確実に増大させることができる。なお、ロー付け接合による接合強度をより増大させるには、粒状体の径方向最大寸法を50μm以上に設定することが望ましい。
【0090】
さらに、粒状凸部は、径方向最大寸法が300μm以下に設定されていると良く、粒状体の径方向最大寸法の最大値を規定することで、ロー付け作業後の冷却行程において、ロー材の収縮により粒状体が検出素子本体から剥がれるのを防止することができる。
【0091】
また、第2検出素子42は、素子側ロー付け面43のうちで、粒状凸部44以外の第2検出素子42の外周表面(凹部45)にメタライズ層を設けて構成することで、接合強度をより向上させることができる。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0092】
例えば、検出素子として板型検出素子を用いる場合には、凸部として第2実施例に記載したような粒状凸部を有する検出素子に限定されることはなく、第1実施例に示したような素子側ロー付け面を有する板型の検出素子を用いても良い。具体的には、図6に示すように、素子側ロー付け面43が、第1実施例の素子側ロー付け面28と同様のパターンとなるように凸部29、凹部30およびメタライズ層31を備えて構成されても良い。さらに、板型検出素子の素子側ロー付け面として、図4に示す各種パターンの素子側ロー付け面を採用できることは言うまでもない。
【0093】
なお、図6では、板型検出素子の外観を表す斜視図、および素子側ロー付け面43のうちで表側板面の展開図を示している。図6に示す板型検出素子は、素子側ロー付け面43を備えており、長手方向の先端側に検出部99を備え、長手方向の後端側に電極端子97,ヒータ端子98を備えている。
【0094】
また、板型検出素子を用いる場合には、金属ホルダと一体に形成されたホルダ一体型検出素子を用いてもよい。一例として、図9に、板型検出素子96と金属ホルダ93とが一体に形成された第3検出素子86を用いて構成される第3酸素センサ85の全体構成を表す断面図を示す。
【0095】
なお、板型検出素子96は、凸部(図9では図示省略)を有する素子側ロー付け面43を備える長板形状に形成されている。
第3酸素センサ85は、第2酸素センサ41と比べて、板型検出素子96に代えて第3検出素子86を備える点と、第2支持部材90が金属ホルダ93と係合可能な形状に形成されている点が異なるが、その他の構成は同様である。
【0096】
また、図10に、第3検出素子86の分解斜視図と、板型検出素子96が挿通された金属ホルダ93の断面図を示す。図10に示すように、金属ホルダ93は、ホルダ本体部95の底面の中空部に板型検出素子96が挿通され、内部に固定用ロー材135が配置される状態でホルダ蓋部94が嵌合された後、固定用ロー材135が加熱溶融されてロー付け作業が行われることで、板型検出素子96と一体に接合される。つまり、金属ホルダ93は、板型検出素子96を挿通可能な中空部を有する略環状に形成され、板型検出素子96の長手方向略中間位置において径方向周囲を取り囲む状態で板型検出素子96と一体に接合される。
【0097】
この板型検出素子96においては、固定用ロー材135との当接面、および充填部材52との当接面のそれぞれに、凸部を有する凹凸状をなす素子側ロー付け面43が形成されている。これにより、第2実施例の第2酸素センサ41と同様に、第3検出素子86と充填部材52(ロー材)との接合強度が増大し、また、第3検出素子86と充填部材52との間からの排気ガスの漏洩を防止できるという効果を得ることができる。
【0098】
なお、図9および図10では、凸部の図示を省略しているが、板型検出素子96は、図4や図6に示す各種パターンのいずれかの素子側ロー付け面を備えて構成することができる。
さらに、金属ホルダは、図10に示す金属ホルダ93のような複数の部材で構成されるものに限ることはなく、図11に斜視図として示す金属ホルダ138のような単一の部材で構成されるものでも良い。金属ホルダ138は、板型検出素子96を挿通可能な中空部を有する略環状に形成され、板型検出素子96の径方向周囲を取り囲む状態で、ロー材139を用いたロー付け接合により板型検出素子96と一体に接合されて、検出素子を構成する。金属ホルダ138を有する第4検出素子140においては、板型検出素子96のうち、図示しない素子側ロー付け面はロー材139と接合されており、図11において図示される素子側ロー付け面43は充填部材52(図9参照)と接合される。
【0099】
また、各部の寸法は、上述した数値に限定されることはなく、凸部との高低差距離Bの絶対的な数値は50[μm]以上に設定するとよい。これにより、検出素子とロー材との接触面積の増大割合を一定値以上確保することができる。さらに、凸部の高低差距離Bの絶対的な数値を200[μm]以上に設定することで、より一層、接合強度を向上させることができる。
【0100】
さらに、充填部材として用いるロー材は、BAg8に限ることはなく、BAg9(Ag−Cu−Ni系ロー材)やパラジウム系ロー材(Pdロー)など、ロー付け後の強度が低下し難く、ロー付け後の耐熱温度が500〜600[℃]程度となる特性を有する共晶ロー材を用いることができる。また、ロー材は、主体金具(または金属ホルダ)の膨張率と検出素子の膨張率との間の膨張率となるロー材を用いることで、ロー付け作業後の冷却工程におけるロー材の収縮による破損を防止することができる。
【0101】
また、ロー材を押圧するコイルバネは、センサを構成するにあたり必ずしも必要ではなく、コイルバネを備えない場合には、外筒を取り付ける前段階でロー付け作業を行うという手順に従い、センサ製造作業を実行することになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の酸素センサの全体構成を表す断面図である。
【図2】酸素センサにおける検出素子,充填部材および主体金具の断面構造を表した拡大断面図である。
【図3】検出素子の外観を表す斜視図および素子側ロー付け面の展開図を示す説明図である。
【図4】凸部の様々な形状を表す素子側ロー付け面の展開図である。
【図5】第2酸素センサの全体構成を表す断面図である。
【図6】板型検出素子の外観を表す斜視図、および素子側ロー付け面の展開図である。
【図7】第2検出素子の外観を表す斜視図である。
【図8】第2酸素センサにおける第2検出素子,充填部材および主体金具の断面構造を表した拡大断面図である。
【図9】板型検出素子と金属ホルダとが一体に形成された第3検出素子を用いて構成される第3酸素センサの全体構成を表す断面図である。
【図10】第3検出素子の分解斜視図、および板型検出素子が挿通された金属ホルダの断面図である。
【図11】単一の部材で構成される金属ホルダの斜視図である。
【符号の説明】
1…酸素センサ、2…検出素子、5…主体金具、25…検出部、28…素子側ロー付け面、29…凸部、31…メタライズ層、32…金具側ロー付け面、41…第2酸素センサ、42…第2検出素子、43…素子側ロー付け面、44…粒状凸部、50…挿通孔、52…充填部材(ロー材)、85…第3酸素センサ、86…第3検出素子、93…金属ホルダ、96…板型検出素子。
Claims (7)
- 測定対象物にさらされる検出部を有し、長尺形状に形成される検出素子と、
前記検出素子を挿通可能に構成された挿通孔を有し、前記検出部を前記測定対象物にさらす状態で前記挿通孔に挿通された前記検出素子を保持する金属筒状体と、
を備えるセンサであって、
前記検出素子は、外周表面に素子側ロー付け面を備え、
前記金属筒状体は、前記挿通孔の内面に金具側ロー付け面を備えると共に、ロー材を用いたロー付け接合による前記素子側ロー付け面と前記金具側ロー付け面との接合により、前記検出素子を保持するよう構成され、
前記素子側ロー付け面は、前記検出素子の外周表面に対して高低差を有する凸部を備えることで凹凸状に形成されていること、
を特徴とするセンサ。 - 前記検出素子の外周表面に対する前記凸部の高さが、前記検出素子の外周表面と前記金属筒状体の前記挿通孔の内面との最大間隙距離に対して5%以上50%以下であること、
を特徴とする請求項1に記載のセンサ。 - 前記素子側ロー付け面のうち、前記凸部の少なくとも一部または該凸部を除く前記検出素子の外周表面のいずれかに、メタライズ層が形成されていること、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサ。 - 前記凸部は、格子状に形成されていること、
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のセンサ。 - 格子状の前記凸部で囲まれる枠内区画に位置する前記検出素子の外周表面の面積がそれぞれ4[mm2 ]以上15[mm2 ]以下であること、
を特徴とする請求項4に記載のセンサ。 - 前記凸部は複数形成され、それぞれの該凸部が粒状体で形成されていること、
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のセンサ。 - 前記粒状体は、前記検出素子の外周表面との接触部分の寸法が、自身の径方向最大寸法よりも小さく形成されていること、
を特徴とする請求項6に記載のセンサ。
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2003
- 2003-01-21 JP JP2003012658A patent/JP2004226173A/ja active Pending
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