JP2004225957A - 加湿シート及び加湿器並びに換気装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造の容易な透湿膜シートによる導水体を得ること、加湿に有効に働く面積を広く採り、加湿性能を高める。
【解決手段】水は透過しないが水蒸気についてはこれを透過する透湿膜シートで通水性のある導水部材18を挟んで対向する二辺を水密状態に融着し、他の対向する二辺は開放した導水体16を枠状のスペーサ17に保持させ、多数を積層連結して導水体16による保水層と、スペーサ17による送気層が交互に並ぶように構成し、導水体16の開放した二辺の一辺側を給水皿に受容させ、他の一辺側を天部構造で被冠し、この天部構造には空気抜き構造を設ける。また、導水体16の熱融着部分19に数個の孔を設け、スペーサ17にはこれらの孔に係合する位置決め突起24を設ける。
【選択図】 図7
【解決手段】水は透過しないが水蒸気についてはこれを透過する透湿膜シートで通水性のある導水部材18を挟んで対向する二辺を水密状態に融着し、他の対向する二辺は開放した導水体16を枠状のスペーサ17に保持させ、多数を積層連結して導水体16による保水層と、スペーサ17による送気層が交互に並ぶように構成し、導水体16の開放した二辺の一辺側を給水皿に受容させ、他の一辺側を天部構造で被冠し、この天部構造には空気抜き構造を設ける。また、導水体16の熱融着部分19に数個の孔を設け、スペーサ17にはこれらの孔に係合する位置決め突起24を設ける。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自然蒸発式の加湿器及びそれを構成する加湿シート並びに加湿器を組込んだ換気装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自然蒸発式の加湿器としては、シート状の多孔質材料よりなる導水部材を、水は透過しないが水蒸気は透過する透湿膜により形成した袋状の膜体内に封入し、両者の結合した扁平な導水体と、この導水体の一面に互いに平行な複数の通気路を構成する複列のリブと、このリブに導水体に給水する給水部材を接合し、リブによる送気層と導水体による保水層とが一層おきの層構造をなすように構成したものがある。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8―219505号公報(第1頁〜第2頁、図2,図3)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の加湿器においては、透湿膜の全周を熱融着し、導水部材を封入しているため、透湿膜の角部においては二工程の加熱が行なわれることになる。このため、導水体の角部が熱による損傷を受け易く、工程管理が難しく生産性も良くない。また、導水体の保水層形成面に給水口や排水口を設けているため、この部分が給水部材の接合により、給水口及び排水口の径よりやや大きな寸法の幅で閉止されることになり、加湿機能に寄与しない無効部分となってしまう。従って、高性能化を図るには、無効部分を補足する大きさを確保する必要があり、加湿器の大型化を招いている。
【0005】
本発明は、係る従来の問題点を解決するためになされたものであって、その課題とするところは、透湿膜シートによる製造の容易な加湿シートを得ることであり、加湿に有効に働く面積を広く採ることができる加湿シートを得ることであり、長寿命な加湿シートを得ることである。そして、その加湿シートを導水体として使った製造の容易なコンパクトで高性能の加湿器を得ることや、コンパクトな加湿機能付きの換気装置を得ることも課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成するために本発明は、水は透過しないが水蒸気についてはこれを透過する二枚の透湿膜シートの間に通水性のある導水部材を挟んで対向する二辺を水密状態に融着し、他の対向する二辺は開放する手段を採用する。
【0007】
前記課題を達成するために他の発明は、水は透過しないが水蒸気についてはこれを透過する透湿膜シートで通水性のある導水部材を挟んで二つ折りにし、折曲げた辺に対向する辺を水密状態に融着し、他の対向する二辺は開放する手段を採用する。
【0008】
前記課題を達成するためにさらに他の発明は、水は透過しないが水蒸気についてはこれを透過する透湿膜シートで通水性のある導水部材を挟んで対向する二辺を水密状態に融着し、他の対向する二辺は開放した加湿シートである導水体を枠状のスペーサに保持させ、多数を積層連結して導水体による保水層と、スペーサによる送気層が交互に並ぶように構成し、導水体の開放した二辺の一辺側を給水皿に受容させ、他の一辺側を天部構造で被冠し、この天部構造には空気抜き構造を設ける手段を採用する。
【0009】
前記課題を達成するためにさらに他の発明は、室内の空気を取入れ室外へ排気するための排気通路と、室外の空気を取入れ室内へ給気するための給気通路とを本体箱体内に画成し、その給気通路の一部を熱交換器の二次通路と加湿器の通路で構成し、排気通路の一部を熱交換器の一次通路で構成し、給気通路には熱交換器の二次通路を経て加湿器を通過する給気流を形成する給気用送風機を設け、排気通路には熱交換器の一次通路を通過する排気流を形成する排気用送風機を設けてなり、その加湿器は、水は透過しないが水蒸気についてはこれを透過する透湿膜シートで通水性のある導水部材を挟んで対向する二辺を融着し、他の対向する二辺は開放した導水体を枠状のスペーサに保持させ、多数を積層連結して導水体による保水層と、スペーサによる送気層が交互に並ぶように構成し、導水体の開放した二辺の一辺側を給水皿に受容させ、他の一辺側を天部構造で被冠する手段を採用する。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は本実施の形態の加湿機能付き換気装置を示した構成図、図2と図3はその加湿器の構成を示した斜視図と断面図、図4と図5は、それぞれ加湿シートである導水体の斜視図と断面図、図6はスペーサを示す斜視図、図7はスペーサと導水体の組着け状態を示す断面図、図8は導水体の端面形状を示す平面図、図9も導水体の端面形状を示す平面図、図10も導水体の端面形状を示す平面図、図11は、他の導水体を示す斜視図である。
【0011】
図1に示すこの加湿機能付き換気装置は、給排気流間で連続的に熱交換させながら換気を行なう熱交換換気装置に加湿器1を組込み、室内へ供給する給気流2を加湿して加湿雰囲気の気流にするものである。加湿機能付き換気装置の本体箱体3内には、室外の新鮮な空気を室内へ供給するための給気通路4と、室内の空気を室外へ排気するための排気通路5とが仕切壁等により全経路において独立状態に画成されている。排気通路5には排気流6を形成する排気用送風機7が、また、給気通路4には給気流2を形成する給気用送風機8が組込まれている。給気通路4と排気通路5のそれぞれの一部は内蔵された積層型で六面体の熱交換器9の二次通路と一次通路でそれぞれ構成され、排気流6と給気流2との間で連続的な熱交換が可能に構成されている。熱交換器9に近い給気通路4には、給気通路4の当該部分を横断する状態に複数個(図示のものは二個)の加湿器1が列状に組込まれている。
【0012】
加湿器1は、図2,3に示すように熱交換器9より下流側の給気通路4の下部に設置された給水皿10上に直接設置されている。給水皿10には加湿用の水が給水口11から給水系により供給される。各加湿器1の天部構造12には、その上面に空気抜き構造13が設けられている。この構成を採ることにより、空気抜きチューブを透湿体と一体に巻くやりかたより製造工程が簡略になり製造し易くなる。
【0013】
加湿器1自体は自然蒸発式であり、図3に示すように同形同寸法の多数の加湿機能体が複数枚積層されて、図2に示すような六面体状に構成されている。加湿器1には空気を通す送気層14と水を貯える保水層15とが一層おきに形成されている。各加湿機能体は、保水層15を構成する加湿シートでもある導水体16と送気層14を構成する枠状のスペーサ17とから構成されている。保水層15を構成する導水体16は、剛直性と通水性を持つ三次元多孔板よりなる導水部材18を、水は透過しないが水蒸気についてはこれを透過する透湿膜シートの間に挟み、両者を結合した複合シート構造の長方形や正方形の扁平部材として構成されている。導水部材18は、厚さ2mmで空孔率50%の親水性ポリエチレンの焼結多孔板により構成され、透湿膜シートは厚さ50μのポリテトラフルオロエチレンシートやポリウレタンにより構成されている。
【0014】
導水体16は、図4や図5に示すように二枚の透湿膜シートの間に導水部材18を挟み、長手方向の対向する二辺縁を水密状態に熱融着し、所定の長さに切断して作られている。従って、導水体16の対向する二辺は切口として開放している。このように、熱融着部分19を直線状の二辺縁とすることにより、二度加熱する部分がなく熱損傷を受けないので、工程管理も楽で生産性の良い導水体16が得られる。導水体16の熱融着部分19には、適当な間隔で数個の孔20が開けられている。導水体16の開放部分の一方が水進入口21とされ、他方が出口22とされる。従って、導水体16の略全面が送気層14に臨み、加湿機能面として加湿に機能することになり、コンパクトで高性能の加湿器1となる。
【0015】
送気層14を構成するスペーサ17は、図6に示すように塩化ビニルにより長方形の梯子形に構成され、実質的な送気層14を形成する複数の細いリブを備えている。スペーサ17の二本の縦枠23には、導水体16の熱融着部分19に開けられた孔20に一致する位置に位置決め突起24が突出していて、この位置決め突起24に導水体16の孔20を係合させることにより導水体16がスペーサ17に位置決めされ、ずれたりせずに正確に組付けることができる。
【0016】
導水体16の片面に、上記のようなスペーサ17が接合されてなる加湿機能体を、各々のスペーサ17同士が向き合わないようにして整合させ接着して複数枚を積層し、導水体16が縦方向に並列に並ぶようにすることによって図4に示すような加湿器1が得られる。この加湿器1は、構造上極めて軽量であり、加湿能力も高くコンパクトな構成であるため、換気装置自体も小型になる。
【0017】
導水体16の下上の切口である水進入口21と出口22は、直線状でも有効な加湿面積が十分確保できるが、図8や図9並びに図10に示すように凹凸状25や波形状26或いは鋸刃状27にすることもできる。こうした切口の構造を採ることにより、水進入口21の面積がより広くなり、給水に含まれる溶存物質が析出した場合でも導水部材18に析出できる面積が増加するため、目詰まりし難く加湿器1の寿命を長くすることができる。
【0018】
また、導水体16を図11に示すように透湿膜シートで導水部材18を挟んで二つ折りにし、折曲げた辺に対向する辺を水密状態に熱融着し、他の対向する二辺は開放した構造とすれば、熱融着部分19は一箇所になり、より生産性の良いものとなる。なお、透湿膜シートを多孔質膜とした場合には、空気が透湿膜シートから抜けるため、出口側の切口は熱融着により封止してもよい。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、透湿膜シートによる製造の容易な高性能の加湿シートが得られる。
【0020】
また、他の発明によれば、製造の容易なコンパクトで高性能の加湿器が得られる。
【0021】
また、さらに他の発明によれば、コンパクトな加湿機能付きの換気装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態の加湿機能付き換気装置を示す構成図である。
【図2】実施の形態の加湿器の構成を示す斜視図である。
【図3】実施の形態の加湿器の構成を示す断面図である。
【図4】実施の形態の加湿器の加湿シートないしは導水体を示す斜視図である。
【図5】実施の形態の加湿器の加湿シートないしは導水体の断面図である。
【図6】実施の形態の加湿器のスペーサを示す斜視図である。
【図7】実施の形態の加湿器のスペーサと導水体の組付け状態を示す断面図である。
【図8】実施の形態の加湿器の他の導水体を示す平面図である。
【図9】実施の形態の加湿器の他の導水体を示す部分拡大平面図である。
【図10】実施の形態の加湿器の他の導水体を示す部分拡大平面図である。
【図11】実施の形態の加湿器のさらに他の導水体を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 加湿器、 2 給気流、 4 給気通路、 5 排気通路、 6 排気流、 7 排気用送風機、 8 給気用送風機、 9 熱交換器、 10 給水皿、 12 天部構造、 13 空気抜き構造、 14 送気層、 15 保水層、 16 導水体、 17 スペーサ、 18 導水部材、 19 熱融着部分、 20 孔、 21 水進入口、 22 出口、 24 位置決め突起、 25 凹凸状。
【発明の属する技術分野】
本発明は、自然蒸発式の加湿器及びそれを構成する加湿シート並びに加湿器を組込んだ換気装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自然蒸発式の加湿器としては、シート状の多孔質材料よりなる導水部材を、水は透過しないが水蒸気は透過する透湿膜により形成した袋状の膜体内に封入し、両者の結合した扁平な導水体と、この導水体の一面に互いに平行な複数の通気路を構成する複列のリブと、このリブに導水体に給水する給水部材を接合し、リブによる送気層と導水体による保水層とが一層おきの層構造をなすように構成したものがある。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8―219505号公報(第1頁〜第2頁、図2,図3)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の加湿器においては、透湿膜の全周を熱融着し、導水部材を封入しているため、透湿膜の角部においては二工程の加熱が行なわれることになる。このため、導水体の角部が熱による損傷を受け易く、工程管理が難しく生産性も良くない。また、導水体の保水層形成面に給水口や排水口を設けているため、この部分が給水部材の接合により、給水口及び排水口の径よりやや大きな寸法の幅で閉止されることになり、加湿機能に寄与しない無効部分となってしまう。従って、高性能化を図るには、無効部分を補足する大きさを確保する必要があり、加湿器の大型化を招いている。
【0005】
本発明は、係る従来の問題点を解決するためになされたものであって、その課題とするところは、透湿膜シートによる製造の容易な加湿シートを得ることであり、加湿に有効に働く面積を広く採ることができる加湿シートを得ることであり、長寿命な加湿シートを得ることである。そして、その加湿シートを導水体として使った製造の容易なコンパクトで高性能の加湿器を得ることや、コンパクトな加湿機能付きの換気装置を得ることも課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成するために本発明は、水は透過しないが水蒸気についてはこれを透過する二枚の透湿膜シートの間に通水性のある導水部材を挟んで対向する二辺を水密状態に融着し、他の対向する二辺は開放する手段を採用する。
【0007】
前記課題を達成するために他の発明は、水は透過しないが水蒸気についてはこれを透過する透湿膜シートで通水性のある導水部材を挟んで二つ折りにし、折曲げた辺に対向する辺を水密状態に融着し、他の対向する二辺は開放する手段を採用する。
【0008】
前記課題を達成するためにさらに他の発明は、水は透過しないが水蒸気についてはこれを透過する透湿膜シートで通水性のある導水部材を挟んで対向する二辺を水密状態に融着し、他の対向する二辺は開放した加湿シートである導水体を枠状のスペーサに保持させ、多数を積層連結して導水体による保水層と、スペーサによる送気層が交互に並ぶように構成し、導水体の開放した二辺の一辺側を給水皿に受容させ、他の一辺側を天部構造で被冠し、この天部構造には空気抜き構造を設ける手段を採用する。
【0009】
前記課題を達成するためにさらに他の発明は、室内の空気を取入れ室外へ排気するための排気通路と、室外の空気を取入れ室内へ給気するための給気通路とを本体箱体内に画成し、その給気通路の一部を熱交換器の二次通路と加湿器の通路で構成し、排気通路の一部を熱交換器の一次通路で構成し、給気通路には熱交換器の二次通路を経て加湿器を通過する給気流を形成する給気用送風機を設け、排気通路には熱交換器の一次通路を通過する排気流を形成する排気用送風機を設けてなり、その加湿器は、水は透過しないが水蒸気についてはこれを透過する透湿膜シートで通水性のある導水部材を挟んで対向する二辺を融着し、他の対向する二辺は開放した導水体を枠状のスペーサに保持させ、多数を積層連結して導水体による保水層と、スペーサによる送気層が交互に並ぶように構成し、導水体の開放した二辺の一辺側を給水皿に受容させ、他の一辺側を天部構造で被冠する手段を採用する。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は本実施の形態の加湿機能付き換気装置を示した構成図、図2と図3はその加湿器の構成を示した斜視図と断面図、図4と図5は、それぞれ加湿シートである導水体の斜視図と断面図、図6はスペーサを示す斜視図、図7はスペーサと導水体の組着け状態を示す断面図、図8は導水体の端面形状を示す平面図、図9も導水体の端面形状を示す平面図、図10も導水体の端面形状を示す平面図、図11は、他の導水体を示す斜視図である。
【0011】
図1に示すこの加湿機能付き換気装置は、給排気流間で連続的に熱交換させながら換気を行なう熱交換換気装置に加湿器1を組込み、室内へ供給する給気流2を加湿して加湿雰囲気の気流にするものである。加湿機能付き換気装置の本体箱体3内には、室外の新鮮な空気を室内へ供給するための給気通路4と、室内の空気を室外へ排気するための排気通路5とが仕切壁等により全経路において独立状態に画成されている。排気通路5には排気流6を形成する排気用送風機7が、また、給気通路4には給気流2を形成する給気用送風機8が組込まれている。給気通路4と排気通路5のそれぞれの一部は内蔵された積層型で六面体の熱交換器9の二次通路と一次通路でそれぞれ構成され、排気流6と給気流2との間で連続的な熱交換が可能に構成されている。熱交換器9に近い給気通路4には、給気通路4の当該部分を横断する状態に複数個(図示のものは二個)の加湿器1が列状に組込まれている。
【0012】
加湿器1は、図2,3に示すように熱交換器9より下流側の給気通路4の下部に設置された給水皿10上に直接設置されている。給水皿10には加湿用の水が給水口11から給水系により供給される。各加湿器1の天部構造12には、その上面に空気抜き構造13が設けられている。この構成を採ることにより、空気抜きチューブを透湿体と一体に巻くやりかたより製造工程が簡略になり製造し易くなる。
【0013】
加湿器1自体は自然蒸発式であり、図3に示すように同形同寸法の多数の加湿機能体が複数枚積層されて、図2に示すような六面体状に構成されている。加湿器1には空気を通す送気層14と水を貯える保水層15とが一層おきに形成されている。各加湿機能体は、保水層15を構成する加湿シートでもある導水体16と送気層14を構成する枠状のスペーサ17とから構成されている。保水層15を構成する導水体16は、剛直性と通水性を持つ三次元多孔板よりなる導水部材18を、水は透過しないが水蒸気についてはこれを透過する透湿膜シートの間に挟み、両者を結合した複合シート構造の長方形や正方形の扁平部材として構成されている。導水部材18は、厚さ2mmで空孔率50%の親水性ポリエチレンの焼結多孔板により構成され、透湿膜シートは厚さ50μのポリテトラフルオロエチレンシートやポリウレタンにより構成されている。
【0014】
導水体16は、図4や図5に示すように二枚の透湿膜シートの間に導水部材18を挟み、長手方向の対向する二辺縁を水密状態に熱融着し、所定の長さに切断して作られている。従って、導水体16の対向する二辺は切口として開放している。このように、熱融着部分19を直線状の二辺縁とすることにより、二度加熱する部分がなく熱損傷を受けないので、工程管理も楽で生産性の良い導水体16が得られる。導水体16の熱融着部分19には、適当な間隔で数個の孔20が開けられている。導水体16の開放部分の一方が水進入口21とされ、他方が出口22とされる。従って、導水体16の略全面が送気層14に臨み、加湿機能面として加湿に機能することになり、コンパクトで高性能の加湿器1となる。
【0015】
送気層14を構成するスペーサ17は、図6に示すように塩化ビニルにより長方形の梯子形に構成され、実質的な送気層14を形成する複数の細いリブを備えている。スペーサ17の二本の縦枠23には、導水体16の熱融着部分19に開けられた孔20に一致する位置に位置決め突起24が突出していて、この位置決め突起24に導水体16の孔20を係合させることにより導水体16がスペーサ17に位置決めされ、ずれたりせずに正確に組付けることができる。
【0016】
導水体16の片面に、上記のようなスペーサ17が接合されてなる加湿機能体を、各々のスペーサ17同士が向き合わないようにして整合させ接着して複数枚を積層し、導水体16が縦方向に並列に並ぶようにすることによって図4に示すような加湿器1が得られる。この加湿器1は、構造上極めて軽量であり、加湿能力も高くコンパクトな構成であるため、換気装置自体も小型になる。
【0017】
導水体16の下上の切口である水進入口21と出口22は、直線状でも有効な加湿面積が十分確保できるが、図8や図9並びに図10に示すように凹凸状25や波形状26或いは鋸刃状27にすることもできる。こうした切口の構造を採ることにより、水進入口21の面積がより広くなり、給水に含まれる溶存物質が析出した場合でも導水部材18に析出できる面積が増加するため、目詰まりし難く加湿器1の寿命を長くすることができる。
【0018】
また、導水体16を図11に示すように透湿膜シートで導水部材18を挟んで二つ折りにし、折曲げた辺に対向する辺を水密状態に熱融着し、他の対向する二辺は開放した構造とすれば、熱融着部分19は一箇所になり、より生産性の良いものとなる。なお、透湿膜シートを多孔質膜とした場合には、空気が透湿膜シートから抜けるため、出口側の切口は熱融着により封止してもよい。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、透湿膜シートによる製造の容易な高性能の加湿シートが得られる。
【0020】
また、他の発明によれば、製造の容易なコンパクトで高性能の加湿器が得られる。
【0021】
また、さらに他の発明によれば、コンパクトな加湿機能付きの換気装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態の加湿機能付き換気装置を示す構成図である。
【図2】実施の形態の加湿器の構成を示す斜視図である。
【図3】実施の形態の加湿器の構成を示す断面図である。
【図4】実施の形態の加湿器の加湿シートないしは導水体を示す斜視図である。
【図5】実施の形態の加湿器の加湿シートないしは導水体の断面図である。
【図6】実施の形態の加湿器のスペーサを示す斜視図である。
【図7】実施の形態の加湿器のスペーサと導水体の組付け状態を示す断面図である。
【図8】実施の形態の加湿器の他の導水体を示す平面図である。
【図9】実施の形態の加湿器の他の導水体を示す部分拡大平面図である。
【図10】実施の形態の加湿器の他の導水体を示す部分拡大平面図である。
【図11】実施の形態の加湿器のさらに他の導水体を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 加湿器、 2 給気流、 4 給気通路、 5 排気通路、 6 排気流、 7 排気用送風機、 8 給気用送風機、 9 熱交換器、 10 給水皿、 12 天部構造、 13 空気抜き構造、 14 送気層、 15 保水層、 16 導水体、 17 スペーサ、 18 導水部材、 19 熱融着部分、 20 孔、 21 水進入口、 22 出口、 24 位置決め突起、 25 凹凸状。
Claims (7)
- 水は透過しないが水蒸気についてはこれを透過する二枚の透湿膜シートの間に通水性のある導水部材を挟んで対向する二辺を水密状態に融着し、他の対向する二辺は開放した加湿シート。
- 水は透過しないが水蒸気についてはこれを透過する透湿膜シートで通水性のある導水部材を挟んで二つ折りにし、折曲げた辺に対向する辺を水密状態に融着し、他の対向する二辺は開放した加湿シート。
- 請求項1又は請求項2のいずれかに記載の加湿シートであって、開放した対向する二辺が直線状の切口であり、それぞれが水の進入口と出口である加湿シート。
- 請求項1又は請求項2のいずれかに記載の加湿シートであって、開放した対向する二辺が凹凸状の切口であり、水の進入口と出口である加湿シート。
- 水は透過しないが水蒸気についてはこれを透過する透湿膜シートで通水性のある導水部材を挟んで対向する二辺を水密状態に融着し、他の対向する二辺は開放した加湿シートである導水体を枠状のスペーサに保持させ、多数を積層連結して前記導水体による保水層と、前記スペーサによる送気層が交互に並ぶように構成し、前記導水体の開放した二辺の一辺側を給水皿に受容させ、他の一辺側を天部構造で被冠し、この天部構造には空気抜き構造を設けた加湿器。
- 請求項5に記載の加湿器であって、導水体の融着部に数個の孔を設け、スペーサにはこれらの孔に係合する位置決め突起を設けた加湿器。
- 室内の空気を取入れ室外へ排気するための排気通路と、室外の空気を取入れ室内へ給気するための給気通路とを本体箱体内に画成し、その給気通路の一部を熱交換器の二次通路と加湿器の通路で構成し、前記排気通路の一部を前記熱交換器の一次通路で構成し、前記給気通路には前記熱交換器の二次通路を経て前記加湿器を通過する給気流を形成する給気用送風機を設け、前記排気通路には前記熱交換器の一次通路を通過する排気流を形成する排気用送風機を設けてなり、その加湿器は、水は透過しないが水蒸気についてはこれを透過する透湿膜シートで通水性のある導水部材を挟んで対向する二辺を融着し、他の対向する二辺は開放した導水体を枠状のスペーサに保持させ、多数を積層連結して前記導水体による保水層と、前記スペーサによる送気層が交互に並ぶように構成し、前記導水体の開放した二辺の一辺側を給水皿に受容させ、他の一辺側を天部構造で被冠した構成である換気装置。
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2003
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