JP2004225424A - 外部出入口の構造及びこれを含む建築物 - Google Patents
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Abstract
【課題】サッシュ内の清掃などのためにサッシュ上方を開放状態にすることが可能であり、車椅子に乗った障害者や負傷者などであっても独力で操作可能に構成された外部出入口の構造及びこれを含む建築物を提供する。
【解決手段】引戸を支持する少なくとも2本のレール15cを含むサッシ15が室内と室外との間の出入口に設けられ、引戸の内側には雨水の侵入を防止可能な高さで形成された雨水侵入防止板33,32が立設され、雨水侵入防止板の一部32が室外側に倒れてサッシの上面を覆うように下端がサッシまたは室内の床に蝶番34で枢着され、室外側に倒れた雨水侵入防止板の一部を室内側から操作して再び立設させる操作装置20が設けられた。
【選択図】 図4
【解決手段】引戸を支持する少なくとも2本のレール15cを含むサッシ15が室内と室外との間の出入口に設けられ、引戸の内側には雨水の侵入を防止可能な高さで形成された雨水侵入防止板33,32が立設され、雨水侵入防止板の一部32が室外側に倒れてサッシの上面を覆うように下端がサッシまたは室内の床に蝶番34で枢着され、室外側に倒れた雨水侵入防止板の一部を室内側から操作して再び立設させる操作装置20が設けられた。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、引戸を支持する少なくとも2本のレールを備えたサッシが設けられた室内外の出入口の構造と、これを含む建築物とに関する。
【0002】
【従来の技術】
バルコニーの出入り口に設置される掃き出しサッシは、外部からの雨水の侵入を防止するために段差が設けられており、通常、バルコニーの床面は居室の床面よりも5〜10cm程度低くなっている。サッシの下枠部をプレートなどで平らにしたところで、この段差は解消されるものではない。この段差をスロープで処理した場合にも、車椅子などで自力で通行するのは非常に困難である。
またバルコニーの出入り口の段差を解消するために、サッシの下枠を床面に埋め込んだり、バルコニーの床面を居室の床面と同じにするという構造はあるが、この場合、雨水の侵入が予想される。雨水の侵入を防止するために、サッシの外部側に排水溝を設ける構造はあるが、豪雨時あるいは台風などの強風を伴なう場合には、その排水溝を越えて室内に雨水が侵入することがある。
【0003】
さらに、先行技術として、特開平10−37622号公報(特許文献1)に記載された外部出入口の構造があり、これは、サッシ下枠を内部側程高くなるような階段状に形成すると共に、サッシ下枠の内縁部と出入口外部の床面との間に段差を付けて雨水の侵入を防止するようにした外部出入口において、出入口外側の床面にコンクリート製の傾斜歩行面を形成し、傾斜歩行面の傾斜上端側端部とサッシ下枠との間に排水溝を形成し、補助枠材をサッシ下枠と排水溝にわたって設置し、補助枠材とサッシ下枠の内縁部との間に、内側の引き戸の開閉動作を妨げない幅狭の溝を形成するものである。
【0004】
しかしながら、補助枠材は着脱自在に形成されたものであるため、例えば、健常者がサッシ内の清掃などのために、これを取り外して再設置を忘れた場合には、車椅子に乗っている障害者や負傷者が独力で再設置することは困難である。車椅子の者が独力で開閉可能にすることは、可能な限り健常者の補助を受けずに暮らすことを望む、障害者や負傷者の自尊心という観点からも強く求められるものである。
このような欠点を解消するために、例えば、補助枠材を常に固定することも考えられるが、これでは引戸の片側が開閉不可能になり、引戸開閉の自由度が低減するために好ましくない。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−37622号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、その課題は、サッシュ内の清掃などのためにサッシュ上方を開放状態にすることが可能であり、しかも、車椅子に乗った障害者や負傷者などであっても独力で操作可能に構成された外部出入口の構造及びこれを含む建築物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明では、引戸を支持する少なくとも2本のレールを含むサッシが室内と室外との間の出入口に設けられ、前記引戸の内側には雨水の侵入を防止可能な高さで形成された雨水侵入防止板が立設され、該雨水侵入防止板の一部が室外側に倒れて前記サッシの下枠の上面を覆うように前記サッシまたは前記室内の床に枢着され、室外側に倒れた前記雨水侵入防止板の一部を室内側から操作して回動させて再び立設させる操作手段を備えたことを特徴とする外部出入口の構造が提供される。
上述したように、本発明では、雨水侵入防止板が引戸内側に立設され、その下端が枢着されて室外側に倒れることが可能なように形成され、雨水侵入防止板を室内側から操作して再び立設させる操作手段が設けられているので、たとえ、外部出入口の床面に段差があったとしても、車椅子に乗った障害者や負傷者などが、室内外で出入りする場合には、室内側から引戸を開けた後に雨水侵入防止板を室外側へ倒してサッシ上面を覆えば、この雨水侵入防止板はサッシ上面を平らにする渡し板として機能するものであり、この雨水侵入防止板のうえを車椅子で通って室内外を出入りすることが可能になる。そして、車椅子で室外側から室内側に戻ったときには、操作手段により雨水侵入防止板を再び立設させ、その後に室内側から引戸を閉めれば良い。したがって、車椅子による室内外の出入りは、健常者の補助を借りることなく障害者や負傷者などが自分自身で比較的容易に行なうことが可能になった。
【0008】
また雨水侵入防止板が引戸内側に立設され、その下端が枢着されて室外側に倒れ、且つ再び立設させることが可能なように形成されているので、外部の床面を必要以上に低くしなくても室内への雨水の侵入を防止することが可能になり、例えば、出入口の外部の床面を室内の床面とほぼ同じ高さに形成することも可能になる。このように外部出入口の床面の段差を可能な限り抑制すれば、雨水侵入防止板の上を通って室内外で出入りすることが格段に容易になる。
【0009】
本発明において、前記サッシが前記レールに沿って外側に配置された排水溝を含むように構成されると、室内に侵入しようとする雨水は、一時的に、この排水溝で集水される。この排水溝を越えて室内に侵入しようとする雨水については、引戸内側に立設された雨水侵入防止板によって完全に室内への侵入を防止することが可能になる。
【0010】
また本発明は、回動可能に設けられた前記雨水侵入防止板の一部は、立設されたときにその立設状態を保持すると共に、室内側から押されたときには保持が解除されて室外側に倒れることが可能なようにする保持手段を設けることが好ましい。
例えば、前記雨水侵入防止板における倒れない部分と倒れる部分、あるいはサッシ縦枠と雨水侵入防止板の倒れる部分とに、磁力により引き寄せ合うような保持手段を設けることができる。または磁力によらず、相互に係合するような手段を、上記雨水侵入防止板やサッシ縦枠の所定箇所に設けることにより前記保持手段を構成することも可能である。
あるいは、室外側に倒れた雨水侵入防止板の一部を再び立設させる操作手段に、このような保持機能を併せ持たせるべく構成することも可能である。
【0011】
上述した外部出入口の構造は、集合住宅、老人保健施設、特別養護老人ホーム、病院などの建築物に設けることができるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
図1及び図2は本発明の外部出入口の構造10を示す断面図であり、図3及び図4は本発明の外部出入口の構造10を示す斜視図である。
図1〜図4において、外部出入口の構造10は、引戸37を支持する少なくとも2本のレール15cを含むサッシが室内と室外との間の出入口に設けられ、引戸37の内側には雨水の侵入を防止するための雨水侵入防止板32,33が立設され、一方の雨水侵入防止板32が室外側に倒れてサッシの下枠15Aの上面を覆うように枢着され、室外側に倒れた雨水侵入防止板32を室内側から操作して再び立設させる操作装置20を備えている。
【0013】
さらに詳細に説明すれば、前記サッシは下枠15A、縦枠15B及び上枠(図示せず)を備え、サッシの下枠15Aはバルコニーの床面12と室内の床面13との間に設けられ、下枠15Aの室内側には室内の床面13と平らに連続するフランジ15gが形成され、一方、下枠15Aのバルコニー側にはバルコニーの床面12と平らに連続するフランジ15fが形成され、これらのフランジ15f,15g部分において両側の床面12,13はほぼ同じ高さになるように構築されている。下枠15Aに設けられた2本のレール15cに沿って仕切り15bが立設され、この仕切り15bと、サッシの下枠15Aのバルコニー側側壁及び底面とにより排水溝15aが形成されている。そして、排水溝15aには底面に排水孔15eが穿設され、サッシの下枠15Aと躯体11との間には隙間16が形成されており、排水孔15eから隙間16へ流下した水が樋17cまで導かれるように、躯体11に凹部17aと貫通孔17bとが形成されている。
【0014】
引戸37の内側には、雨水の侵入を防止可能な高さに形成された雨水侵入防止板32,33が立設され、この雨水侵入防止板32,33の外側面には、この面にほぼ直交する角度で水返し32a,33aが突設されている。そして、一方の雨水侵入防止板33は、ほぼ垂直に立設した状態でその下端がサッシ下枠15Aの室内側端部に固定され、他方の雨水侵入防止板32は室外側に倒れることができるように下端が蝶番34によりサッシ下枠15Aの室内側端部に枢着され、この雨水侵入防止板32が室外側に倒れたときに、その上端がフランジ15f上に載ってサッシの下枠15Aの上面を覆い、ここを平らにして車椅子で通過可能なように渡し板として機能するものである。蝶番34の外側には、下枠15Aの室内側端部と雨水侵入防止板32との接続部分の隙間を防水するために、柔軟な樹脂製テープなどからなるシール材35が接着される。
【0015】
また雨水侵入防止板32とサッシの縦枠15Bとが当接する所定箇所、および雨水侵入防止板32と雨水侵入防止板33とが当接する所定箇所には、それぞれ磁石31a,31bが取り付けられて相互に磁力で引き寄せ合うようにされる。なお、後述するストッパーをワイヤー巻取り機器21に設けた場合、磁石31a,31bは設ける必要がなくなるものである。
【0016】
前記操作装置20は、ワイヤー巻取り機器21がサッシの縦枠15Bの室内側に取り付けられ、このワイヤー巻取り機器21からボールチェーン22が垂下し、このボールチェーン22はワイヤー23を巻戻すときに使用されるものであり、このボールチェーン22が、車椅子に乗った負傷者や障害者などの手の届く高さになるようにワイヤー巻取り機器21は配置されている。サッシの縦枠15Bには内外に貫通する孔(図示せず)が穿設されており、この孔を通してワイヤー23はワイヤー巻取り機器21から外側に延びている。またサッシの縦枠15Bの室外側には、ガイド部材24,25が上下に所定間隔で固定され、このガイド部材24,25にはワイヤー23が通されてサッシの縦枠15Bに沿って導かれ、ワイヤー23は雨水侵入防止板32の上端に接続される。
なお、ワイヤー巻取り機器21には、ワイヤー23を巻戻す方向に力が作用したときに巻戻しが自在に行ない得て、ワイヤー23を巻出す方向に力が作用したときには巻出しを停止させるストッパー(図示せず)を設けても良い。つまり、このストッパーが作用しているときには、立設状態の雨水侵入防止板32が室外側に倒れることがないようにワイヤー23を介して支持され、逆に、このストッパーが解除されると、ワイヤー23を介した支持が無くなり、雨水侵入防止板32を押すだけで室外側へ倒すことが可能になるものである。このようなストッパーをワイヤー巻取り機器21に設けた場合には、前記磁石31a,31bは設ける必要がなくなる。
【0017】
次に、外部出入口の構造10の作用について説明する。
引戸37を閉じているときには、図1及び図3に示したように、雨水侵入防止板32は立設した状態で磁石31a,31bによって保持されており、ワイヤー23はワイヤー巻取り機器21で巻き取られている。降雨時には、雨水は排水溝15aから排水孔15eを通りサッシの下枠15A下側の隙間16に流下し、さらに、凹部17aから貫通孔17bを通って樋17cまで導かれる。また強風が吹いているときには、図1及び図3に示したように、室内外の床面12,13にほとんど段差がないため、雨水はレール15cを越えて侵入することがある。この場合、雨水は雨水侵入防止板32,33及び水返し32a,33aにより、サッシの下枠15Aの内部で止められて居室への侵入は防止される。
また引戸37を開いて、居室から車椅子でバルコニーに出るときには、室内側から雨水侵入防止板32を押して蝶番34を中心に回動させて室外側へ倒し、ワイヤー23はワイヤー巻取り機器21から巻き出され、図1及び図3に示したように、雨水侵入防止板32でサッシの下枠15Aの上面は覆われる。これにより、雨水侵入防止板32は居室からバルコニーへの平らな渡し板として機能し、この雨水侵入防止板のうえを車椅子で通って室内外の出入りをすることが可能になる。そして、車椅子でバルコニーから居室に戻った後に、室内側からボールチェーン22を引っ張ってワイヤー巻取り機器21でワイヤー23を巻き取ると、雨水侵入防止板32は蝶番34を中心に回動して再び立設され、磁石31a,31bどうしが引き寄せられて、雨水侵入防止板32の立設状態は保持される。
【0018】
【発明の効果】
本発明の外部出入口の構造では、引戸を開けて、雨水侵入防止板を室外側に倒してサッシの下枠の上面を覆えば、この雨水侵入防止板は外部出入口における車椅子のための平らな渡し板として機能し、引戸を閉めるときには、室内側から操作手段を操作すれば雨水侵入防止板を再び立設させることが可能である。したがって、車椅子による室内外の出入りは、健常者の補助を借りることなく障害者や負傷者などが自分自身で比較的容易に行なうことが可能である。
また引戸内側に立設された雨水侵入防止板により、外部の床面を必要以上に低くしなくても室内への雨水の侵入を防止することが可能になり、外部出入口の床面の段差を可能な限り小さくすることができて、雨水侵入防止板の上を通って室内外で出入りすることも格段に容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の外部出入口の構造を示す断面図であって、雨水侵入防止板を立設させたときの様子が示されている。
【図2】本発明の外部出入口の構造を示す断面図であって、雨水侵入防止板を室外側に倒したときの様子が示されている。
【図3】本発明の外部出入口の構造を示す斜視図であって、雨水侵入防止板を立設させたときの様子が示されている。
【図4】本発明の外部出入口の構造を示す斜視図であって、雨水侵入防止板を室外側に倒したときの様子が示されている。
【符号の説明】
10 外部出入口の構造
12 室外側の床面
13 室内側の床面
15A サッシの下枠
15B サッシの縦枠
15a 排水溝
15c レール
20 操作装置
33,32 雨水侵入防止板
【発明が属する技術分野】
本発明は、引戸を支持する少なくとも2本のレールを備えたサッシが設けられた室内外の出入口の構造と、これを含む建築物とに関する。
【0002】
【従来の技術】
バルコニーの出入り口に設置される掃き出しサッシは、外部からの雨水の侵入を防止するために段差が設けられており、通常、バルコニーの床面は居室の床面よりも5〜10cm程度低くなっている。サッシの下枠部をプレートなどで平らにしたところで、この段差は解消されるものではない。この段差をスロープで処理した場合にも、車椅子などで自力で通行するのは非常に困難である。
またバルコニーの出入り口の段差を解消するために、サッシの下枠を床面に埋め込んだり、バルコニーの床面を居室の床面と同じにするという構造はあるが、この場合、雨水の侵入が予想される。雨水の侵入を防止するために、サッシの外部側に排水溝を設ける構造はあるが、豪雨時あるいは台風などの強風を伴なう場合には、その排水溝を越えて室内に雨水が侵入することがある。
【0003】
さらに、先行技術として、特開平10−37622号公報(特許文献1)に記載された外部出入口の構造があり、これは、サッシ下枠を内部側程高くなるような階段状に形成すると共に、サッシ下枠の内縁部と出入口外部の床面との間に段差を付けて雨水の侵入を防止するようにした外部出入口において、出入口外側の床面にコンクリート製の傾斜歩行面を形成し、傾斜歩行面の傾斜上端側端部とサッシ下枠との間に排水溝を形成し、補助枠材をサッシ下枠と排水溝にわたって設置し、補助枠材とサッシ下枠の内縁部との間に、内側の引き戸の開閉動作を妨げない幅狭の溝を形成するものである。
【0004】
しかしながら、補助枠材は着脱自在に形成されたものであるため、例えば、健常者がサッシ内の清掃などのために、これを取り外して再設置を忘れた場合には、車椅子に乗っている障害者や負傷者が独力で再設置することは困難である。車椅子の者が独力で開閉可能にすることは、可能な限り健常者の補助を受けずに暮らすことを望む、障害者や負傷者の自尊心という観点からも強く求められるものである。
このような欠点を解消するために、例えば、補助枠材を常に固定することも考えられるが、これでは引戸の片側が開閉不可能になり、引戸開閉の自由度が低減するために好ましくない。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−37622号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、その課題は、サッシュ内の清掃などのためにサッシュ上方を開放状態にすることが可能であり、しかも、車椅子に乗った障害者や負傷者などであっても独力で操作可能に構成された外部出入口の構造及びこれを含む建築物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明では、引戸を支持する少なくとも2本のレールを含むサッシが室内と室外との間の出入口に設けられ、前記引戸の内側には雨水の侵入を防止可能な高さで形成された雨水侵入防止板が立設され、該雨水侵入防止板の一部が室外側に倒れて前記サッシの下枠の上面を覆うように前記サッシまたは前記室内の床に枢着され、室外側に倒れた前記雨水侵入防止板の一部を室内側から操作して回動させて再び立設させる操作手段を備えたことを特徴とする外部出入口の構造が提供される。
上述したように、本発明では、雨水侵入防止板が引戸内側に立設され、その下端が枢着されて室外側に倒れることが可能なように形成され、雨水侵入防止板を室内側から操作して再び立設させる操作手段が設けられているので、たとえ、外部出入口の床面に段差があったとしても、車椅子に乗った障害者や負傷者などが、室内外で出入りする場合には、室内側から引戸を開けた後に雨水侵入防止板を室外側へ倒してサッシ上面を覆えば、この雨水侵入防止板はサッシ上面を平らにする渡し板として機能するものであり、この雨水侵入防止板のうえを車椅子で通って室内外を出入りすることが可能になる。そして、車椅子で室外側から室内側に戻ったときには、操作手段により雨水侵入防止板を再び立設させ、その後に室内側から引戸を閉めれば良い。したがって、車椅子による室内外の出入りは、健常者の補助を借りることなく障害者や負傷者などが自分自身で比較的容易に行なうことが可能になった。
【0008】
また雨水侵入防止板が引戸内側に立設され、その下端が枢着されて室外側に倒れ、且つ再び立設させることが可能なように形成されているので、外部の床面を必要以上に低くしなくても室内への雨水の侵入を防止することが可能になり、例えば、出入口の外部の床面を室内の床面とほぼ同じ高さに形成することも可能になる。このように外部出入口の床面の段差を可能な限り抑制すれば、雨水侵入防止板の上を通って室内外で出入りすることが格段に容易になる。
【0009】
本発明において、前記サッシが前記レールに沿って外側に配置された排水溝を含むように構成されると、室内に侵入しようとする雨水は、一時的に、この排水溝で集水される。この排水溝を越えて室内に侵入しようとする雨水については、引戸内側に立設された雨水侵入防止板によって完全に室内への侵入を防止することが可能になる。
【0010】
また本発明は、回動可能に設けられた前記雨水侵入防止板の一部は、立設されたときにその立設状態を保持すると共に、室内側から押されたときには保持が解除されて室外側に倒れることが可能なようにする保持手段を設けることが好ましい。
例えば、前記雨水侵入防止板における倒れない部分と倒れる部分、あるいはサッシ縦枠と雨水侵入防止板の倒れる部分とに、磁力により引き寄せ合うような保持手段を設けることができる。または磁力によらず、相互に係合するような手段を、上記雨水侵入防止板やサッシ縦枠の所定箇所に設けることにより前記保持手段を構成することも可能である。
あるいは、室外側に倒れた雨水侵入防止板の一部を再び立設させる操作手段に、このような保持機能を併せ持たせるべく構成することも可能である。
【0011】
上述した外部出入口の構造は、集合住宅、老人保健施設、特別養護老人ホーム、病院などの建築物に設けることができるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
図1及び図2は本発明の外部出入口の構造10を示す断面図であり、図3及び図4は本発明の外部出入口の構造10を示す斜視図である。
図1〜図4において、外部出入口の構造10は、引戸37を支持する少なくとも2本のレール15cを含むサッシが室内と室外との間の出入口に設けられ、引戸37の内側には雨水の侵入を防止するための雨水侵入防止板32,33が立設され、一方の雨水侵入防止板32が室外側に倒れてサッシの下枠15Aの上面を覆うように枢着され、室外側に倒れた雨水侵入防止板32を室内側から操作して再び立設させる操作装置20を備えている。
【0013】
さらに詳細に説明すれば、前記サッシは下枠15A、縦枠15B及び上枠(図示せず)を備え、サッシの下枠15Aはバルコニーの床面12と室内の床面13との間に設けられ、下枠15Aの室内側には室内の床面13と平らに連続するフランジ15gが形成され、一方、下枠15Aのバルコニー側にはバルコニーの床面12と平らに連続するフランジ15fが形成され、これらのフランジ15f,15g部分において両側の床面12,13はほぼ同じ高さになるように構築されている。下枠15Aに設けられた2本のレール15cに沿って仕切り15bが立設され、この仕切り15bと、サッシの下枠15Aのバルコニー側側壁及び底面とにより排水溝15aが形成されている。そして、排水溝15aには底面に排水孔15eが穿設され、サッシの下枠15Aと躯体11との間には隙間16が形成されており、排水孔15eから隙間16へ流下した水が樋17cまで導かれるように、躯体11に凹部17aと貫通孔17bとが形成されている。
【0014】
引戸37の内側には、雨水の侵入を防止可能な高さに形成された雨水侵入防止板32,33が立設され、この雨水侵入防止板32,33の外側面には、この面にほぼ直交する角度で水返し32a,33aが突設されている。そして、一方の雨水侵入防止板33は、ほぼ垂直に立設した状態でその下端がサッシ下枠15Aの室内側端部に固定され、他方の雨水侵入防止板32は室外側に倒れることができるように下端が蝶番34によりサッシ下枠15Aの室内側端部に枢着され、この雨水侵入防止板32が室外側に倒れたときに、その上端がフランジ15f上に載ってサッシの下枠15Aの上面を覆い、ここを平らにして車椅子で通過可能なように渡し板として機能するものである。蝶番34の外側には、下枠15Aの室内側端部と雨水侵入防止板32との接続部分の隙間を防水するために、柔軟な樹脂製テープなどからなるシール材35が接着される。
【0015】
また雨水侵入防止板32とサッシの縦枠15Bとが当接する所定箇所、および雨水侵入防止板32と雨水侵入防止板33とが当接する所定箇所には、それぞれ磁石31a,31bが取り付けられて相互に磁力で引き寄せ合うようにされる。なお、後述するストッパーをワイヤー巻取り機器21に設けた場合、磁石31a,31bは設ける必要がなくなるものである。
【0016】
前記操作装置20は、ワイヤー巻取り機器21がサッシの縦枠15Bの室内側に取り付けられ、このワイヤー巻取り機器21からボールチェーン22が垂下し、このボールチェーン22はワイヤー23を巻戻すときに使用されるものであり、このボールチェーン22が、車椅子に乗った負傷者や障害者などの手の届く高さになるようにワイヤー巻取り機器21は配置されている。サッシの縦枠15Bには内外に貫通する孔(図示せず)が穿設されており、この孔を通してワイヤー23はワイヤー巻取り機器21から外側に延びている。またサッシの縦枠15Bの室外側には、ガイド部材24,25が上下に所定間隔で固定され、このガイド部材24,25にはワイヤー23が通されてサッシの縦枠15Bに沿って導かれ、ワイヤー23は雨水侵入防止板32の上端に接続される。
なお、ワイヤー巻取り機器21には、ワイヤー23を巻戻す方向に力が作用したときに巻戻しが自在に行ない得て、ワイヤー23を巻出す方向に力が作用したときには巻出しを停止させるストッパー(図示せず)を設けても良い。つまり、このストッパーが作用しているときには、立設状態の雨水侵入防止板32が室外側に倒れることがないようにワイヤー23を介して支持され、逆に、このストッパーが解除されると、ワイヤー23を介した支持が無くなり、雨水侵入防止板32を押すだけで室外側へ倒すことが可能になるものである。このようなストッパーをワイヤー巻取り機器21に設けた場合には、前記磁石31a,31bは設ける必要がなくなる。
【0017】
次に、外部出入口の構造10の作用について説明する。
引戸37を閉じているときには、図1及び図3に示したように、雨水侵入防止板32は立設した状態で磁石31a,31bによって保持されており、ワイヤー23はワイヤー巻取り機器21で巻き取られている。降雨時には、雨水は排水溝15aから排水孔15eを通りサッシの下枠15A下側の隙間16に流下し、さらに、凹部17aから貫通孔17bを通って樋17cまで導かれる。また強風が吹いているときには、図1及び図3に示したように、室内外の床面12,13にほとんど段差がないため、雨水はレール15cを越えて侵入することがある。この場合、雨水は雨水侵入防止板32,33及び水返し32a,33aにより、サッシの下枠15Aの内部で止められて居室への侵入は防止される。
また引戸37を開いて、居室から車椅子でバルコニーに出るときには、室内側から雨水侵入防止板32を押して蝶番34を中心に回動させて室外側へ倒し、ワイヤー23はワイヤー巻取り機器21から巻き出され、図1及び図3に示したように、雨水侵入防止板32でサッシの下枠15Aの上面は覆われる。これにより、雨水侵入防止板32は居室からバルコニーへの平らな渡し板として機能し、この雨水侵入防止板のうえを車椅子で通って室内外の出入りをすることが可能になる。そして、車椅子でバルコニーから居室に戻った後に、室内側からボールチェーン22を引っ張ってワイヤー巻取り機器21でワイヤー23を巻き取ると、雨水侵入防止板32は蝶番34を中心に回動して再び立設され、磁石31a,31bどうしが引き寄せられて、雨水侵入防止板32の立設状態は保持される。
【0018】
【発明の効果】
本発明の外部出入口の構造では、引戸を開けて、雨水侵入防止板を室外側に倒してサッシの下枠の上面を覆えば、この雨水侵入防止板は外部出入口における車椅子のための平らな渡し板として機能し、引戸を閉めるときには、室内側から操作手段を操作すれば雨水侵入防止板を再び立設させることが可能である。したがって、車椅子による室内外の出入りは、健常者の補助を借りることなく障害者や負傷者などが自分自身で比較的容易に行なうことが可能である。
また引戸内側に立設された雨水侵入防止板により、外部の床面を必要以上に低くしなくても室内への雨水の侵入を防止することが可能になり、外部出入口の床面の段差を可能な限り小さくすることができて、雨水侵入防止板の上を通って室内外で出入りすることも格段に容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の外部出入口の構造を示す断面図であって、雨水侵入防止板を立設させたときの様子が示されている。
【図2】本発明の外部出入口の構造を示す断面図であって、雨水侵入防止板を室外側に倒したときの様子が示されている。
【図3】本発明の外部出入口の構造を示す斜視図であって、雨水侵入防止板を立設させたときの様子が示されている。
【図4】本発明の外部出入口の構造を示す斜視図であって、雨水侵入防止板を室外側に倒したときの様子が示されている。
【符号の説明】
10 外部出入口の構造
12 室外側の床面
13 室内側の床面
15A サッシの下枠
15B サッシの縦枠
15a 排水溝
15c レール
20 操作装置
33,32 雨水侵入防止板
Claims (5)
- 引戸を支持する少なくとも2本のレールを含むサッシが室内と室外との間の出入口に設けられ、前記引戸の内側には雨水の侵入を防止可能な高さで形成された雨水侵入防止板が立設され、該雨水侵入防止板の一部が室外側に倒れて前記サッシの下枠の上面を覆うように前記サッシまたは前記室内の床に枢着され、室外側に倒れた前記雨水侵入防止板の一部を室内側から操作して回動させて再び立設させる操作手段を備えたことを特徴とする外部出入口の構造。
- 前記出入口の外部の床面が室内の床面とほぼ同じ高さに形成されものである請求項1記載の外部出入口の構造。
- 前記サッシが、前記レールに沿って外側に配置された排水溝を含むことを特徴とする請求項1記載の外部出入口の構造。
- 回動可能に設けられた前記雨水侵入防止板の一部は、立設されたときにその立設状態を保持すると共に、室内側から押されたときには保持が解除されて室外側に倒れることが可能なようにする保持手段が設けられたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の外部出入口の構造。
- 室内と室外との間の出入口に、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の外部出入口構造が設けられたことを特徴とする建築物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003015882A JP2004225424A (ja) | 2003-01-24 | 2003-01-24 | 外部出入口の構造及びこれを含む建築物 |
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Publications (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009528193A (ja) * | 2006-02-28 | 2009-08-06 | イーストマン コダック カンパニー | 吸収性の紙における光沢性のインクジェット記録要素 |
CN107178275A (zh) * | 2017-07-24 | 2017-09-19 | 上海船舶研究设计院(中国船舶工业集团公司第六0四研究院) | 一种可倒式风雨密门槛 |
-
2003
- 2003-01-24 JP JP2003015882A patent/JP2004225424A/ja active Pending
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CN107178275A (zh) * | 2017-07-24 | 2017-09-19 | 上海船舶研究设计院(中国船舶工业集团公司第六0四研究院) | 一种可倒式风雨密门槛 |
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