JP2004224721A - 水性マニキュア組成物 - Google Patents
水性マニキュア組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004224721A JP2004224721A JP2003013357A JP2003013357A JP2004224721A JP 2004224721 A JP2004224721 A JP 2004224721A JP 2003013357 A JP2003013357 A JP 2003013357A JP 2003013357 A JP2003013357 A JP 2003013357A JP 2004224721 A JP2004224721 A JP 2004224721A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- nail polish
- polish composition
- self
- monomer
- composition according
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Cosmetics (AREA)
Abstract
【課題】塗膜性能を改良した水系マニキュア組成物の提供。
【解決手段】ポリマーエマルジョンを含有する水系マニキュア組成物であって、一のエマルジョン粒子内に自己乳化可能なアクリル系ポリマーを少なくとも2種含有し、そのうち少なくとも1種のアクリル系ポリマーが、密着付与性樹脂形成性モノマーを構成モノマーとして含有する水系マニキュア組成物。
【解決手段】ポリマーエマルジョンを含有する水系マニキュア組成物であって、一のエマルジョン粒子内に自己乳化可能なアクリル系ポリマーを少なくとも2種含有し、そのうち少なくとも1種のアクリル系ポリマーが、密着付与性樹脂形成性モノマーを構成モノマーとして含有する水系マニキュア組成物。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、実質的に有機溶剤を含有しない、水をベースとする水系マニキュア組成物に関する。ここで、マニキュアには、ネイルエナメル、ネイルエナメルベースコート及びネイルエナメルオーバーコート等が含まれる。
【従来の技術】
現在、有機溶媒を使用しない様々な水性マニキュアが提案されている。例えば、特開昭54−28836号公報には、アクリル系ポリマーエマルションをベースとするマニキュアが、特開昭56−131513号公報及び特開昭57−56410号公報には、アクリル系ポリマーのマイクロエマルションをベースとするマニキュアが開示されている。
【0002】
しかしながら、上記公報に開示された水性マニキュアには、乳化剤や水溶性ポリマーを用いた乳化重合により製造されたポリマーエマルションが使用されているため、水性マニキュアとしての特徴を失わない程度の少量の成膜助剤の使用では、使用に十分に耐え得る程の傷付きにくく硬いフィルムを付与することが困難であった。また、上記公報に開示された水性マニキュアで得られるフィルムは耐水性に劣るため、日常生活での使用中にすぐに剥がれてしまうという欠点があり、十分に実用に耐えるものとは言えない。
上記問題を解決するため、特開平4−103513号公報には、ガラス転移温度の差が10℃以上である2種以上のアクリル系ポリマーエマルションを混合使用した水性マニキュアが提案されている。この水性マニキュアは、単なるアクリル系ポリマーエマルションを利用した水性マニキュアに比べると、光沢、密着性及び塗膜強度についてはある程度改良されているが、密着性、耐引っ掻き性、皮膜の強じん性などの耐久力が充分ではない。また、特開平10−306016号公報には、自己乳化可能なビニル系ポリマー及びセルロース誘導体を含む水性乳化液を含有することを特徴とする水性マニキュアが開示されているが、更なる塗膜性能の改良された水性マニキュアが望まれている。
一方、一般的に使われている溶剤系の除光液は一般にトルエン、キシレン、酢酸ブチルなどの溶剤を使用するため爪を脱脂し、爪が白くなり傷む他、火災の危険性、毒性などの問題がある。従って、爪を傷めることなく容易に除去できる除光液もまた望まれている。
【特許文献1】
特開昭54−28836号公報(請求項1)
【特許文献2】
特開昭56−131513号公報(請求項1)
【特許文献3】
特開昭57−56410号公報(請求項1)
【特許文献4】
特開平4−103513号公報(請求項1、実施例3)
【特許文献5】
特開平10−306016号公報(請求項1、実施例1〜3、表1)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、塗膜性能を改良した水系マニキュア組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来のように2種のポリマーエマルションを混合使用するのではなくて、一のエマルション粒子内に、自己乳化可能なアクリル系ポリマーを少なくとも2種含有し、そのうち少なくとも1種のアクリル系ポリマーが、密着付与性樹脂形成性モノマーを構成モノマーとしており、該エマルション粒子が水に自己乳化した形態の水性組成物を用いると、上記課題を効率的に解決できるとの知見に基づいてなされたのである。
すなわち、本発明は、ポリマーエマルションを含有する水系マニキュア組成物であって、一のエマルション粒子内に自己乳化可能なアクリル系ポリマーを少なくとも2種含有し、そのうち少なくとも1種のアクリル系ポリマーが、密着付与性樹脂形成性モノマーを構成モノマーとして含有する又は他のポリマーに密着付与性樹脂形成性モノマーを構成モノマーとして含有することを特徴とする水系マニキュア組成物を提供する。
本発明はまた、溶剤としてベンジルアルコール又はエチレングリコールモノフェニルエーテル、界面活性剤及び水を含有することを特徴とする除光液を提供する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる自己乳化可能なアクリル系ポリマーとしては、乳化に寄与するカルボキシル基及び/又はその塩を分子内に有するアクリル系モノマー(以下、官能性モノマーという)、好ましくはカルボキシル基を有するアクリル系モノマーを単独で使用して得られるポリマー、及び該官能性モノマーと、乳化に寄与するカルボキシル基及び/又はその塩を分子内に有しないアクリル系モノマー(以下、非官能性モノマーという)との共重合によって得られるポリマーを使用することができる。
なお、本明細書において「自己乳化可能」とは、乳化剤の不存在下においても乳化することができることをいう。また、本明細書において、「水性」とは、ポリマーが水に分散していることをいう。
【0006】
上記官能性モノマーとしては、例えば、炭素数3〜12(好ましくは3〜8)の不飽和カルボン酸又はその塩が好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸及びイタコン酸等、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレートアミド等のそれらの塩が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0007】
非官能性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル(アクリレート)等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜12(好ましくは1〜8)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレートヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、エチレンオキシド鎖長の異なる各種ポリエチレングリコールメタクリレート及びアクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いる自己乳化可能なアクリル系ポリマーを構成するその他のモノマーとしては、ビニルエステル、ビニルエーテル、スチレン、アクリルニトリル、アクリルアミド、メタクリルニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、マレイン酸ジブチル及びマレイン酸ジオクチル等を使用することができる。
上記ビニルエステルとしては、例えば、炭素数2〜14(好ましくは3〜12)のカルボン酸のビニルエステルが好ましく、具体的には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプリン酸ビニル及びバーサチック酸ビニル等が挙げられる。上記ビニルエーテルとしては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜12(好ましくは1〜8)のアルキルビニルエーテルが好ましく、具体的には、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル及びブチルビニルエーテル等が挙げられる。上記ポリマーを得るために、その他のモノマーを単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0008】
本発明の水系マニキュア組成物を構成するエマルションは、2種以上の自己乳化可能なアクリル系ポリマーを含有するが、その少なくとも1種は、密着付与性樹脂形成性モノマーを構成モノマーとして含有する。ここで、本発明において、密着付与性樹脂とは、マニキュア組成物の爪への密着性を促進又は向上させる樹脂をいう。本発明で用いる密着付与性樹脂形成性モノマーとしては、下記一般式(I)で表される(メタ)アクリルアミド類を使用するのが好ましい。
H2C=C(R1)C(O)NRR’ (I)
(式中、R及びR’は、独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアリールアルキル基であり、R1は水素原子又はメチル基である。)
【0009】
ここで、アルキル基とは、直鎖、分岐鎖又は環状の炭素数1〜18のアルキル基をいう。アルケニル基とは、炭素数2〜18のアルケニル基をいう。アルキル基及びアルケニル基は置換されていてもよい。このような置換基としては、例えば、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ヒドロキシル基等があげられる。アリールアルキル基のアルキル部分は上述のアルキル基と同じ定義を有する。アリールアルキル基のアリール部分は炭素原子で構成される炭素数5〜12の単環または2環よりなる芳香族基を示す。該アリール部分は、置換又は無置換のアリール基でよく、窒素、酸素又は硫黄等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
一般式(I)において、Rが水素原子であり、R’が炭素数4〜10の直鎖アルキル基、炭素数2〜8の直鎖アルケニル基又はベンジル基、シクロヘキシル基、ジメチルアミノプロピル基であり、R1が水素原子であるのが好ましい。
密着付与性樹脂形成性モノマーの具体例としては、ブチルアクリルアミド、ブチルメタアクリルアミド、シクロヘキシルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等があげられる。このうち、ブチルアクリルアミド、ブチルメタアクリルアミドが好ましい。
密着付与性樹脂形成性モノマーは、水難溶性であるか又は水不溶性であるのが好ましい。
【0010】
本発明で用いる自己乳化可能なアクリル系ポリマーを構成する、官能性モノマーと密着付与性樹脂形成性モノマーとの比は、90:10〜30:70(質量比)であるのが好ましく、60:40〜40:60であるのがより好ましい。また、官能性モノマーと非官能性モノマーとの比は、6:94〜30:70(質量比)であるのが好ましく、8:92〜12:88であるのがより好ましい。
【0011】
これらのポリマーの分子量は、約1万〜約100万であるのが好ましく、より好ましくは約5万〜約20万の範囲である。
本発明で用いる自己乳化可能なアクリル系ポリマーは、−10〜80℃の範囲のガラス転移点(Tg)を有し、2種以上のポリマーのTgの差が5〜60℃の範囲にあるのが好ましく、より好ましくは、差が10〜50℃、さらに好ましくは15〜45℃、最も好ましくは、20〜40℃である。
【0012】
本発明の水系マニキュア組成物は、自己乳化可能なアクリル系ポリマーを固形分濃度として20重量%以上含有するのが好ましく、30重量%以上であるのが更に好ましく、特に30〜50重量%であるのが好ましい。又、ガラス転移温度(Tg)が−10℃〜80℃の範囲にある自己乳化可能なアクリル系ポリマーを2種含有する場合には、それらの含有割合を任意とすることができるが、両者を1/9〜9/1(重量比)とするのが好ましく、低いTgのポリマー/高いTgのポリマーを1/9〜7/3(重量比)で用いるのが好ましい。さらに、ガラス転移温度(Tg)が−10℃〜80℃の範囲にある自己乳化可能なアクリル系ポリマーを3種以上含有する場合には、1番低いTgのポリマーと2番目に低いTgのポリマーのTgの差異が、5〜40℃の範囲にあるのが好ましい。
【0013】
本発明の水系マニキュア組成物には、さらに、自己乳化可能なアクリル系モノマー以外のモノマーと密着付与性樹脂形成性モノマーとのポリマー、例えばその他のアクリル系樹脂及びその樹脂エマルション並びに表面改質剤、水性ウレタン樹脂、アルカリ可溶性レジン溶液、ポリオレフィン系ワックスエマルションなどの樹脂エマルション、顔料分散物、可塑剤、成膜助剤、金属架橋剤、擦り傷防止剤及び乳化剤などを混合することができる。
その他のアクリル系樹脂としては、アクリルアミド樹脂、スチレン−アクリル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、その構成モノマーとして、密着付与性樹脂形成性モノマーを含有することができる。また、これらの樹脂は、エマルションの形態で本発明のマニキュア組成物中に存在することができる。
【0014】
可塑剤としては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチルなどのフタル酸ジエステル類、アジピン酸ビス2−エチルヘキシル、アジピン酸ジn−アルキルなどのアジピン酸ジエステル類、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ビス2−エチルヘキシルなどのセバシン酸ジエステル類、アセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイン酸ジエステル類、フマル酸ジブチルなどのフマル酸ジエステル類、安息香酸エステル類、リン酸エステル類、コハク酸ジエステル類、アビエチン酸エステル類、カプリル酸エステル、カプロン酸エステル、酢酸エステル、エナント酸エステル、ミリスチン酸エステル等が挙げられる。このうち、アセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル類及びアジピン酸ジイソブチル等のアジピン酸エステル類が好ましい。
なお、一般的に用いられているDBPはPRTR法やシックハウス症候群などの安全性の面から使用しないことが好ましい。ATBC(アセチルクエン酸トリブチル)は樹脂との相溶性、安定性がよく、また、光沢、密着などの性能に優れているので好ましい。
可塑剤の含有量は、自己乳化可能なアクリル系ポリマー100重量部に対して0〜50重量部であるのが好ましく、特に5〜20重量部である。
【0015】
上記成膜助剤としては、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、エチルカルビトール、ジメチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジブチルカルビトール等のカルビトール類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート類、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のアセテート類、ヘキサノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等のアルコール類、ヘキシレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のジオール類等が挙げられる。このうち、メチルカルビトール、エチルカルビトールなどのカルビトール類、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのプロピレン系グリコールエーテル類が好ましい。
成膜助剤の含有量は、自己乳化可能なアクリル系ポリマー100重量部に対して0〜50重量部であるのが好ましく、特に好ましくは10〜30重量部である。
【0016】
上記可塑剤及び上記成膜助剤はこのような後添加法によってもよいが、予め溶液重合時に共存させて溶媒としての役割を果たさせてもよく、又はポリマー溶液に添加してもよい。後添加するよりも、予め溶液重合時に共存させる方がよい。
本発明の水系マニキュア組成物は、そのままでも用いることができるが、更に顔料を添加してエナメルとして用いることができる。上記顔料としては、例えば、赤色202号、赤色206号、赤色220号、赤色221号、橙色203号、青色201号及び黄色204号等の有機顔料、赤色2号、赤色102号、緑色2号、青色1号及び紫色1号等のレーキ顔料、黄酸化鉄、カーボンブラック、群青及び酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。
上記顔料を使用する場合には、その添加量としては、自己乳化可能なアクリル系ポリマー100重量部に対して0.01〜5重量部であることが好ましい。
【0017】
本発明で用いるアクリル系ポリマーはまた、多価金属或いはオキサゾリン系又はカルボジイミド系架橋剤で架橋されているのが好ましい。多価金属とは、2価以上の金属であり、例えば、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、バリウム、アルミニウムを使用することができる。特に、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、マグネシウムは好ましい性能を発揮する。これらの多価金属は、多価金属錯体化合物又は多価金属分散体中の形態で使用することができる。
上記多価金属を使用する場合には、自己乳化可能なアクリル系ポリマーのカルボキシル基に対して、0.05〜0.7の化学当量の多価金属を含有する多価金属錯体又は多価金属分散体を用いることが好ましい。
なお、多価金属錯体を形成するための配位子としては、例えば酢酸イオン、リンゴ酸イオン、ヒドロキシ酢酸イオン、酒石酸イオン、アクリル酸イオン、グルタミン酸イオン、乳酸イオン、クエン酸イオン等又はこれらに類似した無機酸、有機酸を用いることができる。オキサゾリン系架橋剤としては、例えば、株式会社日本触媒から商業的に入手可能なエポクロス(登録商標)WS−500を使用することができる。カルボジイミド系架橋剤としては、例えば、日清紡社から商業的に入手可能なカルボジライト(商品名)を使用することができる。
【0018】
さらに錯体形成に有用な、アンモニア及びアミン錯体を形成する配位子としてはモルホリン、エチレンジアミン、ジエチルアミノエタノール等、又はこれに類似したアミンを例示することができる。また、多価金属分散体の塩基としては、水酸基、炭酸、クエン酸、リンゴ酸などを例示することができる。
本発明において好ましい性能を発揮し得る多価金属錯体としては、例えば炭酸亜鉛アンモニア、酢酸亜鉛アンモニア、アクリル酸亜鉛アンモニア等が挙げられ、また、多価金属分散体としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、リンゴ酸カルシウムなどが挙げられる。
【0019】
本発明の組成物にはまた、塗布後のマニキュア剤表面の擦り傷を防止するため、擦り傷防止剤を添加することもできる。擦り傷防止剤としてはポリオレフィン系エマルション、アクリル系ワックスエマルション、アイオノマー樹脂エマルション、シリコンエマルション、シリコン樹脂エマルションを挙げることができる。特にポリオレフィン系ワックスエマルション、アクリル系ワックスエマルションが好ましい。
その添加量としては、自己乳化可能なアクリル系ポリマー100質量部に対して、5〜30質量部であることが好ましい。
本発明の組成物にはまた、任意成分用の乳化剤又は安定剤として少量の乳化剤を添加することもできる。このような乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、セルロース誘導体等があげられる。
【0020】
さらに、本発明の水系マニキュア組成物には、必要に応じて、更に染料、色素;爪の保湿性などを向上させるためのグリチルリチン酸塩、尿素、ビタミンE;紫外線防止剤;香料;抗菌剤;防腐防カビ剤;エマルションの安定性を高めるためのアニオン系、ノニオン系、両性、カチオン系界面活性剤;爪への塗布時の流動性を調整するためのキサンタンガム系、アクリル系、セルロース系、スメクタイト系粘度鉱物などの増粘剤;塗布後の乾燥性を高めるため、安全性の高いエチルアルコール;及びトルエンスルホンアミド、アルカリ可溶性レジン等の密着性付与剤などを添加することもできる。なお、密着性付与剤とは、マニキュア組成物の爪への密着性を促進又は向上させるものをいう。
【0021】
次に、本発明の水系マニキュア組成物の製造方法について説明する。本発明の水系マニキュア組成物の製造方法は、たとえば、そのうちの少なくとも1種が構成モノマーとして密着付与性樹脂形成性モノマーを含有する、少なくとも2種の自己乳化可能なアクリル系ポリマーを含有する有機溶媒溶液を混合し、そこにアルカリ剤を添加する。この混合液を水に分散させて、一のエマルション粒子内にこれらの自己乳化可能なアクリル系ポリマーが存在してなるエマルションを形成し、次いで上記有機溶媒を除去することを含む。
【0022】
具体的な方法の一つとして、以下の工程を含む方法があげられる。すなわち、分子内にカルボキシル基の全部又は一部が塩基で中和されて塩の形態となっている少なくとも1種のアクリル系ポリマーを含有する有機溶媒溶液と、該ポリマーの構成モノマーとして密着付与性樹脂形成性モノマーを含有する少なくとも1種の自己乳化可能なアクリル系ポリマーの有機溶媒溶液とを1つにし、これにアルカリ剤を添加する。次いで、この混合液を水に分散させ、続いて有機溶媒を除去する。
【0023】
別の具体的な方法として、以下の工程を含む方法があげられる。すなわち、酸価が好ましくは35〜200mgKOH/g(より好ましくは50〜80mgKOH/g)でありかつTgが−10℃〜80℃の範囲にある少なくとも2種の自己乳化可能なアクリル系ポリマー溶液を溶液重合によって調製する。一方、同じ範囲の酸価とTgとを有するが、密着付与性樹脂形成性モノマーを構成モノマーとして含有する、自己乳化可能なアクリル系ポリマー溶液を溶液重合によって別途調製する。ここで、得られる2種以上のポリマーのTgの差が10〜40℃の範囲となるようにする。このような2種以上の溶液重合液を混合し、これをアルカリ剤で中和した後、水と混合して、一のエマルション粒子内にTgが−10℃〜80℃の範囲にある少なくとも2種の自己乳化可能なアクリル系ポリマーを形成し、ついで溶液重合液中に含まれている有機溶剤を留去する。
【0024】
ここで、溶液重合した各アクリル系ポリマーを乳化するには乳化剤の不存在下で行うのが好ましい。アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等の無機アルカリが挙げられる。このうち、アンモニア及びトリエチルアミンが好ましい。これらのアルカリ剤を使用することにより乳化が可能になり、また揮発性塩基を使用することにより、耐水性及び耐洗剤性が向上するので好ましい。中和は、当量の0.4〜5倍量で行うのが好ましい。また、溶剤量の1倍〜3倍量の精製水を加えて乳化するのが好ましい。
その後、エマルションから有機溶媒を減圧下に除去する。有機溶媒の除去方法に特に制限はなく、例えば、減圧除去又はスチームストリッピング等により行うことができる。
【0025】
本発明の水系マニキュア組成物は、アンモニア、アミンなどのアルカリ剤により、pH6.5〜10.0(25℃)範囲に調整するのが好ましい。また、アルカリ度、不揮発分の差異により、粘度50〜1000mPa・s(25℃)の範囲に調整するのが好ましい。
【0026】
本発明の除光液は、界面活性剤及び水に加えて、溶剤としてベンジルアルコール又はエチレングリコールモノフェニルエーテルを含有する。本発明の除光液はまた、溶剤としてブチルカルビトール及びエチレングリコールモノブチルエーテルなどを含有することもできる。また、添加剤として、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルフォリンなどのアミン類、アンモニア、苛性ソーダ、苛性カリなどを含有することができる。
【0027】
本発明の除光液に使用することができる界面活性剤としては、アニオン系、ノニオン系、カチオン系及び両性界面活性剤のいずれも特に制限なく使用することができるが、アニオン系及びノニオン系界面活性剤が好ましい。具体的には、アニオン系界面活性剤として、クメンスルフォン酸ソーダ、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、石けん等があげられる。このうち、クメンスルフォン酸ソーダ、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウムが好ましい。ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル型界面活性剤、具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO)1〜10モル付加物、ポリオキシエチレンプロピレンラウリルエーテル(EO)1〜10モル付加物、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル(EO)1〜10モル付加物、ポリオキシエチレンセチルエーテル(EO)1〜10モル付加物、ポリオキシエチレンパルミチルエーテル(EO)1〜10モル付加物、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(EO)1〜10モル付加物、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(EO)1〜10モル付加物及びポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO)1〜10モル付加物等があげられる。このうち、ポリオキシエチレンプロピレンラウリルエーテル(EO)3モル付加物が好ましい。
本発明の除光液によれば、一般的に使われる溶剤系の除光液を用いることなく、本発明のマニキュア組成物を容易に除去することができる。本発明の除光液により除去可能なマニキュア組成物は、本発明のマニキュア組成物に制限されない。
【0028】
【発明の効果】
本発明の水系マニキュア組成物は、爪に対する密着性に優れると共に、皮膜透明性、密着性、皮膜の強じん性、耐引っ掻き性などの耐久性に優れ、また、除去性が得られる。また、本発明の組成物は、耐水性、耐温水性、耐洗剤性に優れるとともに、乾燥が早く、光沢も良好であるとの利点がある。
また、本発明の除光液を用いれば、爪を傷めずに、簡単にマニキュア組成物を除去することができる。
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
【実施例】
まず、本発明のマニキュア組成物で用いることのできる自己乳化可能なアクリル系ポリマーの製造方法を示す。
参考例1
攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素導入管のついた反応器にメタクリル酸 10部、メチルメタクリレート 61.1部、ブチルアクリレート 21.4部、ブチルアクリルアマイド 5部、アリルメタクリレート 2.5部、メチルエチルケトン 133.3部を仕込み、窒素ガスを流し溶存酸素を除去した。
一方、滴下ロートにメチルエチルケトン 98部、アゾビスイソブチロニトリル 2部を仕込んだ。攪拌下、反応器内を70℃まで昇温し、滴下ロートより10時間かけて滴下した。滴下終了後反応器内を75℃に昇温し、さらに1時間反応させて、樹脂分32%、Tg57.4℃、重量平均分子量35000の溶液重合物を得た。
【0030】
参考例2
参考例1と同様の方法にて反応器にメタクリル酸 8部、メチルメタクリレート58.7部、ブチルアクリレート 30.8部、アリルメタクリレート 2.5部、メチルエチルケトン 133.3部を仕込み、又、滴下ロートにメチルエチルケトン98部、アゾビスイソブチロニトリル2部を仕込み、反応温度のみ50℃で反応させ、樹脂分32%、Tg40℃、重量平均分子量70000の溶液重合物を得た。
【0031】
参考例3
参考例1と同様の方法にて反応器にスチレン 20部、メタクリル酸 15部、メチルメタクリレート 20.3部、ブチルアクリレート 44.7部、メチルエチルケトン 133.3部を仕込み、又、滴下ロートにメチルエチルケトン98部、アゾビスイソブチロニトリル2部を仕込み、反応温度を40℃で反応させ、樹脂分32%、Tg20℃、重量平均分子量100000の溶液重合物を得た。
【0032】
参考例4
参考例1と同様の方法にて反応器にメタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩10部、メチルメタクリレート 66.1部、ブチルアクリレート 21.4部、アリルメタクリレート 2.5部、メチルエチルケトン 133.3部を仕込み、又、滴下ロートにメチルエチルケトン98部、アゾビスイソブチロニトリル2部を仕込み、樹脂分32%、Tg48.5℃、重量平均分子量28000の溶液重合物を得た。
【0033】
参考例5
参考例1と同様の方法にて反応器にスチレン 10部、メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩 15部、メチルメタクリレート 22.3部、ブチルアクリレート 32.7部、ブチルアクリルアマイド 20部、メチルエチルケトン 133.3部を仕込み、又、滴下ロートにメチルエチルケトン98部、アゾビスイソブチロニトリル2部を仕込み、樹脂32%、Tg17.7℃、重量平均分子量80000の溶液重合物を得た。
【0034】
実施例1
攪拌機、冷却器、滴下ロート、温度計のついた反応器に参考例1で合成した溶液重合物溶液を100部、参考例2で合成した溶液重合物溶液を42.7部、エチルカルビトール6.8部、アジピン酸イソブチル8.1部を仕込んだ後、300rpmで攪拌下、1%アンモニア水を33.9部加えて中和し、さらにイオン交換水を124部加え乳化した。乳化が完了したことを確認してから、減圧下、ウォーターバスにて乳化溶液の液温を40℃まで高め、メチルエチルケトンを完全に留去した後、更に水を留去することにより適正粘度となるように濃縮し、固形分40%の水系エマルション(A)を得た。組成を同様に表1に示す。
実施例2〜6
同様の操作方法にて水系エマルション(B)〜(G)を得た。
【0035】
【表1】
固形分とは、JIS K−3920の不揮発分に準じて測定した値である。
このようにして調製した水系エマルションを用い、可塑剤などの種々の成分を添加して水系マニキュア組成物を調製した。配合組成物を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
注1:メルク社製 COLORONA CHAMELEON ART. 17404 赤
注2:メルク社製 COLORONA CHAMELEON ART. 17374 オレンジ
注3:ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム(EO2モル付加物)
注4:ポリオキシエチレンプロピレンラウリルエーテル(EO3モル付加物)
注5:スチレン−アクリル樹脂エマルション
(モノマー組成(メタアクリル酸3%、エチルアクリレート40%、メチルメタアクリレート37%、スチレン20%)よりなり、ラウリル硫酸ナトリウムを用いる常用の乳化重合法により得られた酸価20、有効成分40%のポリアクリル樹脂エマルション)
注6:アクリルアミド系エマルション
(モノマー組成(メタクリル酸 6%、ブチルアクリルアミド 30%、ブチルアクリレート 36.4%、メチルメタクリレート 27.6%)よりなり、ラウリル硫酸ナトリウムを用いる常用の乳化重合法により得られた酸価40、有効成分40%のアクリルアミド系エマルション)
注7:米国アルコ社製 商品名 SMA2625Aをアンモニアにて溶解させた樹脂分20%溶液
注8:東邦化学工業株式会社製 ハイテックE−4B(有効成分40%)
注9:コープケミカル株式会社製(スメクタイト系増粘剤SPN)
【0038】
実施例及び比較例により得られた水系マニキュア組成物について、つや、皮膜の透明性、密着性、耐引っ掻き性及び除去性を以下のような方法により評価した。結果を表3に示す。
<試験方法>
つや、皮膜の透明性、密着性試験
10人の健常成人の爪に、本発明及び比較例のマニキュアを同一の塗布器(マニキュア用ハケ)で同量塗布したマニキュアを、塗布後24時間乾燥させ、皮膜のつや、透明性を観察した後、セロハンテープを皮膜に貼り付け、皮膜に張ったセロハンテープの端を一定の力と速度で引っ張った時の皮膜の剥離の程度を密着の指標として評価した。
【0039】
耐引っ掻き性試験
上と同様に塗布して24時間乾燥させた後、HB硬度の鉛筆で一定の荷重をかけて引き、引っかき傷の有無を観察した。
除去性試験
上と同様に塗布して24時間乾燥させた後、ウェスに一定量の除光液を付け、爪に塗り30秒放置した後、別のウェスで拭き取りマニキュアの除去性を観察し評価した。
除去液処方 (wt%)
ベンジルアルコール 10.0
ブチルカルビトール 10.0
ポリオキシエチレンプロピレンラウリルエーテル(EO3モル付加物) 0.1
モノエタノールアミン 1.0
クメンスルフォン酸ソーダ 10.0
水 68.9
【0040】
【表3】
【発明の属する技術分野】
本発明は、実質的に有機溶剤を含有しない、水をベースとする水系マニキュア組成物に関する。ここで、マニキュアには、ネイルエナメル、ネイルエナメルベースコート及びネイルエナメルオーバーコート等が含まれる。
【従来の技術】
現在、有機溶媒を使用しない様々な水性マニキュアが提案されている。例えば、特開昭54−28836号公報には、アクリル系ポリマーエマルションをベースとするマニキュアが、特開昭56−131513号公報及び特開昭57−56410号公報には、アクリル系ポリマーのマイクロエマルションをベースとするマニキュアが開示されている。
【0002】
しかしながら、上記公報に開示された水性マニキュアには、乳化剤や水溶性ポリマーを用いた乳化重合により製造されたポリマーエマルションが使用されているため、水性マニキュアとしての特徴を失わない程度の少量の成膜助剤の使用では、使用に十分に耐え得る程の傷付きにくく硬いフィルムを付与することが困難であった。また、上記公報に開示された水性マニキュアで得られるフィルムは耐水性に劣るため、日常生活での使用中にすぐに剥がれてしまうという欠点があり、十分に実用に耐えるものとは言えない。
上記問題を解決するため、特開平4−103513号公報には、ガラス転移温度の差が10℃以上である2種以上のアクリル系ポリマーエマルションを混合使用した水性マニキュアが提案されている。この水性マニキュアは、単なるアクリル系ポリマーエマルションを利用した水性マニキュアに比べると、光沢、密着性及び塗膜強度についてはある程度改良されているが、密着性、耐引っ掻き性、皮膜の強じん性などの耐久力が充分ではない。また、特開平10−306016号公報には、自己乳化可能なビニル系ポリマー及びセルロース誘導体を含む水性乳化液を含有することを特徴とする水性マニキュアが開示されているが、更なる塗膜性能の改良された水性マニキュアが望まれている。
一方、一般的に使われている溶剤系の除光液は一般にトルエン、キシレン、酢酸ブチルなどの溶剤を使用するため爪を脱脂し、爪が白くなり傷む他、火災の危険性、毒性などの問題がある。従って、爪を傷めることなく容易に除去できる除光液もまた望まれている。
【特許文献1】
特開昭54−28836号公報(請求項1)
【特許文献2】
特開昭56−131513号公報(請求項1)
【特許文献3】
特開昭57−56410号公報(請求項1)
【特許文献4】
特開平4−103513号公報(請求項1、実施例3)
【特許文献5】
特開平10−306016号公報(請求項1、実施例1〜3、表1)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、塗膜性能を改良した水系マニキュア組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来のように2種のポリマーエマルションを混合使用するのではなくて、一のエマルション粒子内に、自己乳化可能なアクリル系ポリマーを少なくとも2種含有し、そのうち少なくとも1種のアクリル系ポリマーが、密着付与性樹脂形成性モノマーを構成モノマーとしており、該エマルション粒子が水に自己乳化した形態の水性組成物を用いると、上記課題を効率的に解決できるとの知見に基づいてなされたのである。
すなわち、本発明は、ポリマーエマルションを含有する水系マニキュア組成物であって、一のエマルション粒子内に自己乳化可能なアクリル系ポリマーを少なくとも2種含有し、そのうち少なくとも1種のアクリル系ポリマーが、密着付与性樹脂形成性モノマーを構成モノマーとして含有する又は他のポリマーに密着付与性樹脂形成性モノマーを構成モノマーとして含有することを特徴とする水系マニキュア組成物を提供する。
本発明はまた、溶剤としてベンジルアルコール又はエチレングリコールモノフェニルエーテル、界面活性剤及び水を含有することを特徴とする除光液を提供する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる自己乳化可能なアクリル系ポリマーとしては、乳化に寄与するカルボキシル基及び/又はその塩を分子内に有するアクリル系モノマー(以下、官能性モノマーという)、好ましくはカルボキシル基を有するアクリル系モノマーを単独で使用して得られるポリマー、及び該官能性モノマーと、乳化に寄与するカルボキシル基及び/又はその塩を分子内に有しないアクリル系モノマー(以下、非官能性モノマーという)との共重合によって得られるポリマーを使用することができる。
なお、本明細書において「自己乳化可能」とは、乳化剤の不存在下においても乳化することができることをいう。また、本明細書において、「水性」とは、ポリマーが水に分散していることをいう。
【0006】
上記官能性モノマーとしては、例えば、炭素数3〜12(好ましくは3〜8)の不飽和カルボン酸又はその塩が好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸及びイタコン酸等、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレートアミド等のそれらの塩が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0007】
非官能性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル(アクリレート)等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜12(好ましくは1〜8)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレートヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、エチレンオキシド鎖長の異なる各種ポリエチレングリコールメタクリレート及びアクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いる自己乳化可能なアクリル系ポリマーを構成するその他のモノマーとしては、ビニルエステル、ビニルエーテル、スチレン、アクリルニトリル、アクリルアミド、メタクリルニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、マレイン酸ジブチル及びマレイン酸ジオクチル等を使用することができる。
上記ビニルエステルとしては、例えば、炭素数2〜14(好ましくは3〜12)のカルボン酸のビニルエステルが好ましく、具体的には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプリン酸ビニル及びバーサチック酸ビニル等が挙げられる。上記ビニルエーテルとしては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜12(好ましくは1〜8)のアルキルビニルエーテルが好ましく、具体的には、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル及びブチルビニルエーテル等が挙げられる。上記ポリマーを得るために、その他のモノマーを単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0008】
本発明の水系マニキュア組成物を構成するエマルションは、2種以上の自己乳化可能なアクリル系ポリマーを含有するが、その少なくとも1種は、密着付与性樹脂形成性モノマーを構成モノマーとして含有する。ここで、本発明において、密着付与性樹脂とは、マニキュア組成物の爪への密着性を促進又は向上させる樹脂をいう。本発明で用いる密着付与性樹脂形成性モノマーとしては、下記一般式(I)で表される(メタ)アクリルアミド類を使用するのが好ましい。
H2C=C(R1)C(O)NRR’ (I)
(式中、R及びR’は、独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアリールアルキル基であり、R1は水素原子又はメチル基である。)
【0009】
ここで、アルキル基とは、直鎖、分岐鎖又は環状の炭素数1〜18のアルキル基をいう。アルケニル基とは、炭素数2〜18のアルケニル基をいう。アルキル基及びアルケニル基は置換されていてもよい。このような置換基としては、例えば、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ヒドロキシル基等があげられる。アリールアルキル基のアルキル部分は上述のアルキル基と同じ定義を有する。アリールアルキル基のアリール部分は炭素原子で構成される炭素数5〜12の単環または2環よりなる芳香族基を示す。該アリール部分は、置換又は無置換のアリール基でよく、窒素、酸素又は硫黄等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
一般式(I)において、Rが水素原子であり、R’が炭素数4〜10の直鎖アルキル基、炭素数2〜8の直鎖アルケニル基又はベンジル基、シクロヘキシル基、ジメチルアミノプロピル基であり、R1が水素原子であるのが好ましい。
密着付与性樹脂形成性モノマーの具体例としては、ブチルアクリルアミド、ブチルメタアクリルアミド、シクロヘキシルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等があげられる。このうち、ブチルアクリルアミド、ブチルメタアクリルアミドが好ましい。
密着付与性樹脂形成性モノマーは、水難溶性であるか又は水不溶性であるのが好ましい。
【0010】
本発明で用いる自己乳化可能なアクリル系ポリマーを構成する、官能性モノマーと密着付与性樹脂形成性モノマーとの比は、90:10〜30:70(質量比)であるのが好ましく、60:40〜40:60であるのがより好ましい。また、官能性モノマーと非官能性モノマーとの比は、6:94〜30:70(質量比)であるのが好ましく、8:92〜12:88であるのがより好ましい。
【0011】
これらのポリマーの分子量は、約1万〜約100万であるのが好ましく、より好ましくは約5万〜約20万の範囲である。
本発明で用いる自己乳化可能なアクリル系ポリマーは、−10〜80℃の範囲のガラス転移点(Tg)を有し、2種以上のポリマーのTgの差が5〜60℃の範囲にあるのが好ましく、より好ましくは、差が10〜50℃、さらに好ましくは15〜45℃、最も好ましくは、20〜40℃である。
【0012】
本発明の水系マニキュア組成物は、自己乳化可能なアクリル系ポリマーを固形分濃度として20重量%以上含有するのが好ましく、30重量%以上であるのが更に好ましく、特に30〜50重量%であるのが好ましい。又、ガラス転移温度(Tg)が−10℃〜80℃の範囲にある自己乳化可能なアクリル系ポリマーを2種含有する場合には、それらの含有割合を任意とすることができるが、両者を1/9〜9/1(重量比)とするのが好ましく、低いTgのポリマー/高いTgのポリマーを1/9〜7/3(重量比)で用いるのが好ましい。さらに、ガラス転移温度(Tg)が−10℃〜80℃の範囲にある自己乳化可能なアクリル系ポリマーを3種以上含有する場合には、1番低いTgのポリマーと2番目に低いTgのポリマーのTgの差異が、5〜40℃の範囲にあるのが好ましい。
【0013】
本発明の水系マニキュア組成物には、さらに、自己乳化可能なアクリル系モノマー以外のモノマーと密着付与性樹脂形成性モノマーとのポリマー、例えばその他のアクリル系樹脂及びその樹脂エマルション並びに表面改質剤、水性ウレタン樹脂、アルカリ可溶性レジン溶液、ポリオレフィン系ワックスエマルションなどの樹脂エマルション、顔料分散物、可塑剤、成膜助剤、金属架橋剤、擦り傷防止剤及び乳化剤などを混合することができる。
その他のアクリル系樹脂としては、アクリルアミド樹脂、スチレン−アクリル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、その構成モノマーとして、密着付与性樹脂形成性モノマーを含有することができる。また、これらの樹脂は、エマルションの形態で本発明のマニキュア組成物中に存在することができる。
【0014】
可塑剤としては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチルなどのフタル酸ジエステル類、アジピン酸ビス2−エチルヘキシル、アジピン酸ジn−アルキルなどのアジピン酸ジエステル類、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ビス2−エチルヘキシルなどのセバシン酸ジエステル類、アセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイン酸ジエステル類、フマル酸ジブチルなどのフマル酸ジエステル類、安息香酸エステル類、リン酸エステル類、コハク酸ジエステル類、アビエチン酸エステル類、カプリル酸エステル、カプロン酸エステル、酢酸エステル、エナント酸エステル、ミリスチン酸エステル等が挙げられる。このうち、アセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル類及びアジピン酸ジイソブチル等のアジピン酸エステル類が好ましい。
なお、一般的に用いられているDBPはPRTR法やシックハウス症候群などの安全性の面から使用しないことが好ましい。ATBC(アセチルクエン酸トリブチル)は樹脂との相溶性、安定性がよく、また、光沢、密着などの性能に優れているので好ましい。
可塑剤の含有量は、自己乳化可能なアクリル系ポリマー100重量部に対して0〜50重量部であるのが好ましく、特に5〜20重量部である。
【0015】
上記成膜助剤としては、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、エチルカルビトール、ジメチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジブチルカルビトール等のカルビトール類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート類、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のアセテート類、ヘキサノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等のアルコール類、ヘキシレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のジオール類等が挙げられる。このうち、メチルカルビトール、エチルカルビトールなどのカルビトール類、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのプロピレン系グリコールエーテル類が好ましい。
成膜助剤の含有量は、自己乳化可能なアクリル系ポリマー100重量部に対して0〜50重量部であるのが好ましく、特に好ましくは10〜30重量部である。
【0016】
上記可塑剤及び上記成膜助剤はこのような後添加法によってもよいが、予め溶液重合時に共存させて溶媒としての役割を果たさせてもよく、又はポリマー溶液に添加してもよい。後添加するよりも、予め溶液重合時に共存させる方がよい。
本発明の水系マニキュア組成物は、そのままでも用いることができるが、更に顔料を添加してエナメルとして用いることができる。上記顔料としては、例えば、赤色202号、赤色206号、赤色220号、赤色221号、橙色203号、青色201号及び黄色204号等の有機顔料、赤色2号、赤色102号、緑色2号、青色1号及び紫色1号等のレーキ顔料、黄酸化鉄、カーボンブラック、群青及び酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。
上記顔料を使用する場合には、その添加量としては、自己乳化可能なアクリル系ポリマー100重量部に対して0.01〜5重量部であることが好ましい。
【0017】
本発明で用いるアクリル系ポリマーはまた、多価金属或いはオキサゾリン系又はカルボジイミド系架橋剤で架橋されているのが好ましい。多価金属とは、2価以上の金属であり、例えば、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、バリウム、アルミニウムを使用することができる。特に、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、マグネシウムは好ましい性能を発揮する。これらの多価金属は、多価金属錯体化合物又は多価金属分散体中の形態で使用することができる。
上記多価金属を使用する場合には、自己乳化可能なアクリル系ポリマーのカルボキシル基に対して、0.05〜0.7の化学当量の多価金属を含有する多価金属錯体又は多価金属分散体を用いることが好ましい。
なお、多価金属錯体を形成するための配位子としては、例えば酢酸イオン、リンゴ酸イオン、ヒドロキシ酢酸イオン、酒石酸イオン、アクリル酸イオン、グルタミン酸イオン、乳酸イオン、クエン酸イオン等又はこれらに類似した無機酸、有機酸を用いることができる。オキサゾリン系架橋剤としては、例えば、株式会社日本触媒から商業的に入手可能なエポクロス(登録商標)WS−500を使用することができる。カルボジイミド系架橋剤としては、例えば、日清紡社から商業的に入手可能なカルボジライト(商品名)を使用することができる。
【0018】
さらに錯体形成に有用な、アンモニア及びアミン錯体を形成する配位子としてはモルホリン、エチレンジアミン、ジエチルアミノエタノール等、又はこれに類似したアミンを例示することができる。また、多価金属分散体の塩基としては、水酸基、炭酸、クエン酸、リンゴ酸などを例示することができる。
本発明において好ましい性能を発揮し得る多価金属錯体としては、例えば炭酸亜鉛アンモニア、酢酸亜鉛アンモニア、アクリル酸亜鉛アンモニア等が挙げられ、また、多価金属分散体としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、リンゴ酸カルシウムなどが挙げられる。
【0019】
本発明の組成物にはまた、塗布後のマニキュア剤表面の擦り傷を防止するため、擦り傷防止剤を添加することもできる。擦り傷防止剤としてはポリオレフィン系エマルション、アクリル系ワックスエマルション、アイオノマー樹脂エマルション、シリコンエマルション、シリコン樹脂エマルションを挙げることができる。特にポリオレフィン系ワックスエマルション、アクリル系ワックスエマルションが好ましい。
その添加量としては、自己乳化可能なアクリル系ポリマー100質量部に対して、5〜30質量部であることが好ましい。
本発明の組成物にはまた、任意成分用の乳化剤又は安定剤として少量の乳化剤を添加することもできる。このような乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、セルロース誘導体等があげられる。
【0020】
さらに、本発明の水系マニキュア組成物には、必要に応じて、更に染料、色素;爪の保湿性などを向上させるためのグリチルリチン酸塩、尿素、ビタミンE;紫外線防止剤;香料;抗菌剤;防腐防カビ剤;エマルションの安定性を高めるためのアニオン系、ノニオン系、両性、カチオン系界面活性剤;爪への塗布時の流動性を調整するためのキサンタンガム系、アクリル系、セルロース系、スメクタイト系粘度鉱物などの増粘剤;塗布後の乾燥性を高めるため、安全性の高いエチルアルコール;及びトルエンスルホンアミド、アルカリ可溶性レジン等の密着性付与剤などを添加することもできる。なお、密着性付与剤とは、マニキュア組成物の爪への密着性を促進又は向上させるものをいう。
【0021】
次に、本発明の水系マニキュア組成物の製造方法について説明する。本発明の水系マニキュア組成物の製造方法は、たとえば、そのうちの少なくとも1種が構成モノマーとして密着付与性樹脂形成性モノマーを含有する、少なくとも2種の自己乳化可能なアクリル系ポリマーを含有する有機溶媒溶液を混合し、そこにアルカリ剤を添加する。この混合液を水に分散させて、一のエマルション粒子内にこれらの自己乳化可能なアクリル系ポリマーが存在してなるエマルションを形成し、次いで上記有機溶媒を除去することを含む。
【0022】
具体的な方法の一つとして、以下の工程を含む方法があげられる。すなわち、分子内にカルボキシル基の全部又は一部が塩基で中和されて塩の形態となっている少なくとも1種のアクリル系ポリマーを含有する有機溶媒溶液と、該ポリマーの構成モノマーとして密着付与性樹脂形成性モノマーを含有する少なくとも1種の自己乳化可能なアクリル系ポリマーの有機溶媒溶液とを1つにし、これにアルカリ剤を添加する。次いで、この混合液を水に分散させ、続いて有機溶媒を除去する。
【0023】
別の具体的な方法として、以下の工程を含む方法があげられる。すなわち、酸価が好ましくは35〜200mgKOH/g(より好ましくは50〜80mgKOH/g)でありかつTgが−10℃〜80℃の範囲にある少なくとも2種の自己乳化可能なアクリル系ポリマー溶液を溶液重合によって調製する。一方、同じ範囲の酸価とTgとを有するが、密着付与性樹脂形成性モノマーを構成モノマーとして含有する、自己乳化可能なアクリル系ポリマー溶液を溶液重合によって別途調製する。ここで、得られる2種以上のポリマーのTgの差が10〜40℃の範囲となるようにする。このような2種以上の溶液重合液を混合し、これをアルカリ剤で中和した後、水と混合して、一のエマルション粒子内にTgが−10℃〜80℃の範囲にある少なくとも2種の自己乳化可能なアクリル系ポリマーを形成し、ついで溶液重合液中に含まれている有機溶剤を留去する。
【0024】
ここで、溶液重合した各アクリル系ポリマーを乳化するには乳化剤の不存在下で行うのが好ましい。アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等の無機アルカリが挙げられる。このうち、アンモニア及びトリエチルアミンが好ましい。これらのアルカリ剤を使用することにより乳化が可能になり、また揮発性塩基を使用することにより、耐水性及び耐洗剤性が向上するので好ましい。中和は、当量の0.4〜5倍量で行うのが好ましい。また、溶剤量の1倍〜3倍量の精製水を加えて乳化するのが好ましい。
その後、エマルションから有機溶媒を減圧下に除去する。有機溶媒の除去方法に特に制限はなく、例えば、減圧除去又はスチームストリッピング等により行うことができる。
【0025】
本発明の水系マニキュア組成物は、アンモニア、アミンなどのアルカリ剤により、pH6.5〜10.0(25℃)範囲に調整するのが好ましい。また、アルカリ度、不揮発分の差異により、粘度50〜1000mPa・s(25℃)の範囲に調整するのが好ましい。
【0026】
本発明の除光液は、界面活性剤及び水に加えて、溶剤としてベンジルアルコール又はエチレングリコールモノフェニルエーテルを含有する。本発明の除光液はまた、溶剤としてブチルカルビトール及びエチレングリコールモノブチルエーテルなどを含有することもできる。また、添加剤として、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルフォリンなどのアミン類、アンモニア、苛性ソーダ、苛性カリなどを含有することができる。
【0027】
本発明の除光液に使用することができる界面活性剤としては、アニオン系、ノニオン系、カチオン系及び両性界面活性剤のいずれも特に制限なく使用することができるが、アニオン系及びノニオン系界面活性剤が好ましい。具体的には、アニオン系界面活性剤として、クメンスルフォン酸ソーダ、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、石けん等があげられる。このうち、クメンスルフォン酸ソーダ、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウムが好ましい。ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル型界面活性剤、具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO)1〜10モル付加物、ポリオキシエチレンプロピレンラウリルエーテル(EO)1〜10モル付加物、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル(EO)1〜10モル付加物、ポリオキシエチレンセチルエーテル(EO)1〜10モル付加物、ポリオキシエチレンパルミチルエーテル(EO)1〜10モル付加物、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(EO)1〜10モル付加物、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(EO)1〜10モル付加物及びポリオキシエチレンオレイルエーテル(EO)1〜10モル付加物等があげられる。このうち、ポリオキシエチレンプロピレンラウリルエーテル(EO)3モル付加物が好ましい。
本発明の除光液によれば、一般的に使われる溶剤系の除光液を用いることなく、本発明のマニキュア組成物を容易に除去することができる。本発明の除光液により除去可能なマニキュア組成物は、本発明のマニキュア組成物に制限されない。
【0028】
【発明の効果】
本発明の水系マニキュア組成物は、爪に対する密着性に優れると共に、皮膜透明性、密着性、皮膜の強じん性、耐引っ掻き性などの耐久性に優れ、また、除去性が得られる。また、本発明の組成物は、耐水性、耐温水性、耐洗剤性に優れるとともに、乾燥が早く、光沢も良好であるとの利点がある。
また、本発明の除光液を用いれば、爪を傷めずに、簡単にマニキュア組成物を除去することができる。
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
【実施例】
まず、本発明のマニキュア組成物で用いることのできる自己乳化可能なアクリル系ポリマーの製造方法を示す。
参考例1
攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素導入管のついた反応器にメタクリル酸 10部、メチルメタクリレート 61.1部、ブチルアクリレート 21.4部、ブチルアクリルアマイド 5部、アリルメタクリレート 2.5部、メチルエチルケトン 133.3部を仕込み、窒素ガスを流し溶存酸素を除去した。
一方、滴下ロートにメチルエチルケトン 98部、アゾビスイソブチロニトリル 2部を仕込んだ。攪拌下、反応器内を70℃まで昇温し、滴下ロートより10時間かけて滴下した。滴下終了後反応器内を75℃に昇温し、さらに1時間反応させて、樹脂分32%、Tg57.4℃、重量平均分子量35000の溶液重合物を得た。
【0030】
参考例2
参考例1と同様の方法にて反応器にメタクリル酸 8部、メチルメタクリレート58.7部、ブチルアクリレート 30.8部、アリルメタクリレート 2.5部、メチルエチルケトン 133.3部を仕込み、又、滴下ロートにメチルエチルケトン98部、アゾビスイソブチロニトリル2部を仕込み、反応温度のみ50℃で反応させ、樹脂分32%、Tg40℃、重量平均分子量70000の溶液重合物を得た。
【0031】
参考例3
参考例1と同様の方法にて反応器にスチレン 20部、メタクリル酸 15部、メチルメタクリレート 20.3部、ブチルアクリレート 44.7部、メチルエチルケトン 133.3部を仕込み、又、滴下ロートにメチルエチルケトン98部、アゾビスイソブチロニトリル2部を仕込み、反応温度を40℃で反応させ、樹脂分32%、Tg20℃、重量平均分子量100000の溶液重合物を得た。
【0032】
参考例4
参考例1と同様の方法にて反応器にメタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩10部、メチルメタクリレート 66.1部、ブチルアクリレート 21.4部、アリルメタクリレート 2.5部、メチルエチルケトン 133.3部を仕込み、又、滴下ロートにメチルエチルケトン98部、アゾビスイソブチロニトリル2部を仕込み、樹脂分32%、Tg48.5℃、重量平均分子量28000の溶液重合物を得た。
【0033】
参考例5
参考例1と同様の方法にて反応器にスチレン 10部、メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩 15部、メチルメタクリレート 22.3部、ブチルアクリレート 32.7部、ブチルアクリルアマイド 20部、メチルエチルケトン 133.3部を仕込み、又、滴下ロートにメチルエチルケトン98部、アゾビスイソブチロニトリル2部を仕込み、樹脂32%、Tg17.7℃、重量平均分子量80000の溶液重合物を得た。
【0034】
実施例1
攪拌機、冷却器、滴下ロート、温度計のついた反応器に参考例1で合成した溶液重合物溶液を100部、参考例2で合成した溶液重合物溶液を42.7部、エチルカルビトール6.8部、アジピン酸イソブチル8.1部を仕込んだ後、300rpmで攪拌下、1%アンモニア水を33.9部加えて中和し、さらにイオン交換水を124部加え乳化した。乳化が完了したことを確認してから、減圧下、ウォーターバスにて乳化溶液の液温を40℃まで高め、メチルエチルケトンを完全に留去した後、更に水を留去することにより適正粘度となるように濃縮し、固形分40%の水系エマルション(A)を得た。組成を同様に表1に示す。
実施例2〜6
同様の操作方法にて水系エマルション(B)〜(G)を得た。
【0035】
【表1】
固形分とは、JIS K−3920の不揮発分に準じて測定した値である。
このようにして調製した水系エマルションを用い、可塑剤などの種々の成分を添加して水系マニキュア組成物を調製した。配合組成物を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
注1:メルク社製 COLORONA CHAMELEON ART. 17404 赤
注2:メルク社製 COLORONA CHAMELEON ART. 17374 オレンジ
注3:ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム(EO2モル付加物)
注4:ポリオキシエチレンプロピレンラウリルエーテル(EO3モル付加物)
注5:スチレン−アクリル樹脂エマルション
(モノマー組成(メタアクリル酸3%、エチルアクリレート40%、メチルメタアクリレート37%、スチレン20%)よりなり、ラウリル硫酸ナトリウムを用いる常用の乳化重合法により得られた酸価20、有効成分40%のポリアクリル樹脂エマルション)
注6:アクリルアミド系エマルション
(モノマー組成(メタクリル酸 6%、ブチルアクリルアミド 30%、ブチルアクリレート 36.4%、メチルメタクリレート 27.6%)よりなり、ラウリル硫酸ナトリウムを用いる常用の乳化重合法により得られた酸価40、有効成分40%のアクリルアミド系エマルション)
注7:米国アルコ社製 商品名 SMA2625Aをアンモニアにて溶解させた樹脂分20%溶液
注8:東邦化学工業株式会社製 ハイテックE−4B(有効成分40%)
注9:コープケミカル株式会社製(スメクタイト系増粘剤SPN)
【0038】
実施例及び比較例により得られた水系マニキュア組成物について、つや、皮膜の透明性、密着性、耐引っ掻き性及び除去性を以下のような方法により評価した。結果を表3に示す。
<試験方法>
つや、皮膜の透明性、密着性試験
10人の健常成人の爪に、本発明及び比較例のマニキュアを同一の塗布器(マニキュア用ハケ)で同量塗布したマニキュアを、塗布後24時間乾燥させ、皮膜のつや、透明性を観察した後、セロハンテープを皮膜に貼り付け、皮膜に張ったセロハンテープの端を一定の力と速度で引っ張った時の皮膜の剥離の程度を密着の指標として評価した。
【0039】
耐引っ掻き性試験
上と同様に塗布して24時間乾燥させた後、HB硬度の鉛筆で一定の荷重をかけて引き、引っかき傷の有無を観察した。
除去性試験
上と同様に塗布して24時間乾燥させた後、ウェスに一定量の除光液を付け、爪に塗り30秒放置した後、別のウェスで拭き取りマニキュアの除去性を観察し評価した。
除去液処方 (wt%)
ベンジルアルコール 10.0
ブチルカルビトール 10.0
ポリオキシエチレンプロピレンラウリルエーテル(EO3モル付加物) 0.1
モノエタノールアミン 1.0
クメンスルフォン酸ソーダ 10.0
水 68.9
【0040】
【表3】
Claims (10)
- ポリマーエマルションを含有する水系マニキュア組成物であって、一のエマルション粒子内にガラス転移点の異なった自己乳化可能なアクリル系ポリマーを少なくとも2種含有し、そのうち少なくとも1種のアクリル系ポリマーが、密着付与性樹脂形成性モノマーを構成モノマーとして含有することを特徴とする水系マニキュア組成物。
- 自己乳化可能なアクリル系ポリマーが、−10℃〜80℃の範囲のガラス転移点を有することを特徴とする請求項1記載の水系マニキュア組成物。
- 自己乳化可能なアクリル系ポリマーのガラス転移点の差が、5〜60℃の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2記載の水系マニキュア組成物。
- 自己乳化可能なアクリル系ポリマーの酸価が35〜200mgKOH/gの範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の水系マニキュア組成物。
- 密着付与性樹脂形成性モノマーが、下記一般式(I)で表される(メタ)アクリルアミド類であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の水系マニキュア組成物。
H2C=C(R1)C(O)NRR’ (I)
(式中、R及びR’は、独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアリールアルキル基であり、R1は水素原子又はメチル基である。) - (メタ)アクリルアミド類が、水難溶性又は水不溶性であるであることを特徴とする請求項5記載の水系マニキュア組成物。
- さらに可塑剤を含有する請求項1〜6のいずれか1項記載の水系マニキュア組成物。
- 自己乳化可能なアクリル系ポリマーが、架橋剤により架橋されている請求項1〜7のいずれか1項記載の水系マニキュア組成物。
- さらに、自己乳化可能なアクリル系モノマー以外のモノマーと密着付与性樹脂形成性モノマーとのポリマーを含有する請求項1〜8のいずれか1項記載の水系マニキュア組成物。
- 溶剤としてベンジルアルコール又はエチレングリコールモノフェニルエーテル、界面活性剤及び水を含有することを特徴とする除光液。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003013357A JP2004224721A (ja) | 2003-01-22 | 2003-01-22 | 水性マニキュア組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003013357A JP2004224721A (ja) | 2003-01-22 | 2003-01-22 | 水性マニキュア組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004224721A true JP2004224721A (ja) | 2004-08-12 |
Family
ID=32901705
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003013357A Pending JP2004224721A (ja) | 2003-01-22 | 2003-01-22 | 水性マニキュア組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004224721A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008050315A (ja) * | 2006-08-25 | 2008-03-06 | Kao Corp | まつ毛用化粧料 |
JP2008539210A (ja) * | 2005-04-29 | 2008-11-13 | フィアビラ | 水性爪磨き組成物 |
JP2016517433A (ja) * | 2013-03-14 | 2016-06-16 | マイコーン デンタル サプライ カンパニー インコーポレイテッド | ヒトの爪の重合コーティングを除去する方法、除去性が改良されたヒトの爪の重合コーティング、及び2パッケージシステム |
JP2017530996A (ja) * | 2014-10-13 | 2017-10-19 | ロレアル | 少量の光開始剤を有するラテックスネイル組成物 |
CN110198960A (zh) * | 2017-01-20 | 2019-09-03 | 韩华化学株式会社 | 碱溶性树脂、其制备方法以及包含碱溶性树脂的乳液聚合物 |
US20230190621A1 (en) * | 2021-12-17 | 2023-06-22 | Ashley Ann Thomas | Water-based nail polish |
-
2003
- 2003-01-22 JP JP2003013357A patent/JP2004224721A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008539210A (ja) * | 2005-04-29 | 2008-11-13 | フィアビラ | 水性爪磨き組成物 |
JP2008050315A (ja) * | 2006-08-25 | 2008-03-06 | Kao Corp | まつ毛用化粧料 |
JP2016517433A (ja) * | 2013-03-14 | 2016-06-16 | マイコーン デンタル サプライ カンパニー インコーポレイテッド | ヒトの爪の重合コーティングを除去する方法、除去性が改良されたヒトの爪の重合コーティング、及び2パッケージシステム |
JP2017530996A (ja) * | 2014-10-13 | 2017-10-19 | ロレアル | 少量の光開始剤を有するラテックスネイル組成物 |
CN110198960A (zh) * | 2017-01-20 | 2019-09-03 | 韩华化学株式会社 | 碱溶性树脂、其制备方法以及包含碱溶性树脂的乳液聚合物 |
EP3572438A4 (en) * | 2017-01-20 | 2020-08-05 | Hanwha Chemical Corporation | WATER-SOLUBLE RESIN ALKALINE, ITS PRODUCTION PROCESS AND EMULSIONING POLYMER CONTAINING IT |
CN110198960B (zh) * | 2017-01-20 | 2022-07-22 | 韩华化学株式会社 | 碱溶性树脂、其制备方法以及包含碱溶性树脂的乳液聚合物 |
US20230190621A1 (en) * | 2021-12-17 | 2023-06-22 | Ashley Ann Thomas | Water-based nail polish |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN115103884B (zh) | 用于油墨、油漆和黏合剂的表面活性剂 | |
JP4030553B2 (ja) | 床用被覆組成物および床用被覆組成物用添加剤 | |
TW201402807A (zh) | 用於清潔及塗覆硬表面之無痕製劑 | |
JPH09296089A (ja) | エマルションポリマー組成物 | |
CN116057130B (zh) | 用于油墨、涂料和胶粘剂的支链氨基酸表面活性剂 | |
JPH04103513A (ja) | 水系美爪料 | |
JP2004224721A (ja) | 水性マニキュア組成物 | |
JP3009276B2 (ja) | 水系美爪料 | |
JPH0559309A (ja) | アルカリ水溶性保護塗料用塗膜形成体 | |
JP5858320B1 (ja) | 耐アルカリ性水性インキ組成物 | |
JP2859705B2 (ja) | 紙艶出し加工用塗料組成物 | |
JP2519235B2 (ja) | 泡状一時染毛剤組成物 | |
JP3845098B2 (ja) | 速乾性水性樹脂組成物及びこれを用いた塗料 | |
JPS60219274A (ja) | 艶出し用水性組成物 | |
JP3801762B2 (ja) | 水性インキ用組成物 | |
JPH05163118A (ja) | 水性マニキュア剤 | |
JP2001089713A (ja) | 床用処理剤 | |
JP3801763B2 (ja) | 水性インキ用組成物 | |
JP2003026540A (ja) | 水性マニキュア組成物及びその製造方法 | |
JP2523441B2 (ja) | 水系美爪料 | |
JP3639692B2 (ja) | 水性マニキュア及びその製造方法 | |
JP3243446B2 (ja) | 水性ネイルエナメル | |
JP3080803B2 (ja) | 水系美爪料 | |
JP4133649B2 (ja) | 水性フロアーポリッシュ組成物 | |
JP2000239599A (ja) | アルカリ脱膜型塗料組成物及び塗膜の除去方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20060123 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A977 | Report on retrieval |
Effective date: 20070220 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070319 |
|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20080212 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |