JP2004224007A - 熱転写方法及び熱転写装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】時間的ロス及び材料的ロスを最小限に抑えて最適な転写圧力の条件出しを高精度に行うこと。
【解決手段】定盤14と熱盤12との間の距離Lと、転写圧力との相関を示す関係式を予め導出しておき、必要とする転写圧力からL値を割り出して定盤14の高さ位置を設定する。また、定盤14とプレス機基台部との間にダイヤルゲージ51を含む変位計測ユニット50を装着し、定盤14の高さ位置の変動をモニタして、適正な転写圧力の維持・管理を行うことにより、高品質な転写箔貼付状態を確保する。
【選択図】 図5
【解決手段】定盤14と熱盤12との間の距離Lと、転写圧力との相関を示す関係式を予め導出しておき、必要とする転写圧力からL値を割り出して定盤14の高さ位置を設定する。また、定盤14とプレス機基台部との間にダイヤルゲージ51を含む変位計測ユニット50を装着し、定盤14の高さ位置の変動をモニタして、適正な転写圧力の維持・管理を行うことにより、高品質な転写箔貼付状態を確保する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばプラスチックカード等の被転写体の表面にホログラムやサインパネル等の箔を熱転写するための熱転写方法及び熱転写装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱転写を行う場合、仕上がり状態を大きく左右する要因の重要なものとして、転写温度、転写時間、転写圧力がある。これらの条件は、被転写体の材質、転写箔の材質、使用する接着剤の種類等によって異なり、中でも転写圧力は個々に適切な値が要求される。ここで、転写圧力とは、熱転写装置内で発生される加圧力を熱盤(刻印)と被転写体との接触面積で割った値であり、この面積が変化しない場合に加圧力に比例するものである。
【0003】
近年、クレジットカードやプリペイドカード、ICカード等のプラスチック系カードには、その表面又は裏面にホログラム箔やサインパネルを熱転写法(ホットスタンプ)で貼り付けたものがある。転写箔とプラスチック系カードとの貼付けにおいて要求される品質には転写強度、転写均一性、外形輪郭部のシャープさ等があり、それらは熱転写時の転写圧力に大きく左右される。例えば転写圧力が低いと転写されない、転写強度が弱く容易に剥がれる、転写パターンの形状の輪郭がはっきりしない等の品質不良となる。一方、転写圧力が大きすぎるとカードに転写された箔の形状の輪郭部でカード表面に凹みダメージを発生させる。
【0004】
熱転写装置の構成としては種々のものがあり、例えば、被転写体を支持する定盤と、被転写体に対向配置される熱盤(刻印)と、熱盤を転写箔を介して被転写体へ押し付ける加圧機構を有するプレス機本体とを備えるタイプの熱転写装置(下記特許文献1参照)や、図10に示すように、一端を自由端とするスタンプアーム102と、該自由端に配置され被転写体108にホットスタンプ箔110を転写するスタンプ部103と、スタンプアーム102の略中央部に設けられた回動軸109と、スタンプアーム102の他端側に配置されスタンプ部103に押圧荷重をかける加圧機構104と、加圧機構104を駆動する駆動部105とを備えるタイプの熱転写装置101(下記特許文献2参照)などがある。
【0005】
【特許文献1】
実公平5−23334号公報
【特許文献2】
特開2002−131154号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
被転写体への転写圧力は、被転写体を支持する定盤の高さ位置を調整することによって制御される。例えば、転写面積が900mm2 程度の場合、その際に貼付け品質を確保できる適正転写面圧力領域の幅は加圧力で約0.5トン(総荷重の±30%程度)と狭いものであり、この適正面圧領域を見つけ出し、いかに早く無駄なく熱転写装置の条件設定できるかが重要になっている。
【0007】
しかしながら、転写圧力は直接モニタすることができないために、転写圧力を最適値に容易に合わせることができないという問題がある。特に、ICを含むクレジットカード等の生産ロットは小さく品種交換が頻繁であるため、その度に最適な転写圧力の条件出しをしなければならない。しかし現状では、実ワークでの状態確認で行っており、このための時間的ロス及びカード材、転写箔等の材料的なロスも無視できない。
【0008】
また、一度設定した転写圧力が、装置運転後しばらく経って僅かながらも減少するケースも珍しくない。これは、定盤がプレス機の基台部に対してネジ機構によって高さ調整される機構的な問題に起因しており、熱盤から押圧荷重を受けることによりネジ溝内で僅かに基台部側に沈み込む傾向があるからである。この沈み込み量は転写圧力にも当然反映される。したがって、たとえ最適な高さ位置に定盤を設定しても、このまま最適な転写圧力を維持できるとは限らない。
【0009】
なお、上記特許文献2には、スタンプアーム102に歪ゲージ106を取り付け、その検出値に基づいてスタンプ部103を設定した荷重で押圧するように駆動部105を制御するコントローラ107を設けた構成が開示されているが、スタンプ荷重あるいは転写圧力は、定盤の高さ位置の僅かな変化に対してもリニアに反映される傾向があるため、上記特許文献2の構成で高精度な荷重検出を行えるかどうかは不明なところがある。
【0010】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、時間的ロス及び材料的ロスを最小限に抑えて最適な転写圧力の条件出しを高精度に行うことができる熱転写方法及び熱転写装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するに当たり、本発明の熱転写方法は、定盤に支持された被転写体の表面に転写箔を介して熱盤を押し付け、被転写体の表面に転写パターンを形成する熱転写方法であって、定盤と熱盤との間の距離と転写圧力との相関を示す関係式を導く工程と、当該関係式に基づいて、熱盤に対する定盤の高さ位置を設定する工程とを有する。
【0012】
本発明では、あらかじめ定盤と熱盤との間の距離と転写圧力との相関を示す関係式を導いておき、被転写体の種類に対応して定まる最適な転写圧力を定盤の高さ位置を調整することによって得るようにしている。これにより、条件出しのための時間的ロス及び材料的ロスを従来よりも大きく低減することが可能となる。
【0013】
また、本発明の熱転写装置は、被転写体を支持する定盤と、被転写体に対向配置される熱盤と、熱盤を転写箔を介して被転写体へ押し付ける加圧機構を有するプレス機本体と、プレス機本体の基台部に対する定盤の高さ位置を設定するための定盤位置設定手段と、定盤位置設定手段によって設定した熱盤と定盤との間の距離の変化量を計測する計測手段とを備えたことを特徴としている。
【0014】
この構成によれば、設定した定盤の高さ位置の変動を早期かつ確実に検出することが可能となり、これにより転写箔貼付不良製品の大量発生を未然に防止できるとともに、品質の安定化を図ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1〜図3は本発明の第1の実施の形態による熱転写装置10を示している。ここで、図1は熱転写装置10の側面図、図2は同平面図、図3は熱転写装置10の加圧機構を模式的に示すプレス機本体の内部構成図である。
【0017】
熱転写装置10は、プレス機本体11の加圧機構15によって上下方向へ所定距離往復移動可能な熱盤12と、プレス機本体11の基台部13に取り付けられた定盤14と、定盤14の高さ位置を設定する際に用いられる変位計測ユニット50とを備えている。
【0018】
定盤14の上には被転写体としてプラスチック系カード(以下、単に「カード」という。)Cを支持する合成樹脂製の受け治具18が備え付けられており、熱盤12の下面には受け治具18上のカードC表面に転写箔19の転写パターンを形成するための金属でなる刻印20が取り付けられている。カードCは熱盤12の下降動作により転写箔19を介して刻印20のプレス作用を受け、刻印20のプレス面の形状に対応する転写箔19の転写パターンがカードC表面に形成されるようになっている。
【0019】
定盤14は、基台部13に対してその高さ位置の調整が可能に取り付けられている。定盤14の高さ位置の調整は、周面から複数本の操作レバー21aが突出する環状の調整部材21の回動操作によって行われる。すなわち、定盤14の軸部14aと操作部材21とはネジ機構を介して連結されており、操作部材21の回動方向及び回動量によって基台部13に対する定盤14の移動方向及び変位量が決定される。なお、調整部材21には定盤14の変位量の目安を示す目盛り等が付されているのが好ましい。
【0020】
次に、プレス機本体11の加圧機構15について図3を参照して説明する。
【0021】
熱盤12はガイドロッド22の下端部に取付板23を介して取り付けられている。ガイドロッド22は、駆動モータ16の回転力を直線運動に変換するクランク機構25及びクランク機構25の直線運動をガイドロッド22の昇降運動に変換するトグル機構26を介して、軸方向に移動可能とされている。
【0022】
クランク機構25は、プレス機本体11の側部に設置される駆動モータ16と、駆動モータ16の駆動軸16aに対し歯車機構を介して連結され紙面垂直方向へ延在する変換軸(図示略)と、この変換軸の先端に取り付けられ駆動軸16aの回転駆動力により回転運動する回転部材27と、この回転部材27の偏心位置に軸28を介して一端が連結される連結シャフト29とで構成されている。
【0023】
一方、トグル機構26は、連結シャフト29と、連結シャフト29の他端側に軸30を介して連結される第1,第2のリンク部材31,32とを有し、第1のリンク部材31の先端は軸33を介してプレス機本体11と一体的なブラケット34に連結され、第2のリンク部材32の先端は軸35を介してガイドロッド22と一体的な連結板36に連結されている。
【0024】
以上の構成により、駆動モータ16の回転駆動力は、回転部材27の回転運動を介して、回転部材27の回転中心とは偏心した位置に一端が連結された連結シャフト29の直線運動に変換されることになる。そして、この連結シャフト29の直線運動は、第1,第2リンク部材31,32を介してガイドロッド22の昇降運動に変換される。以上のようにして、定盤14に対する熱盤12の所定長の上下往復移動が実現される。
【0025】
次に、プレス機本体11の周辺構成について説明する。
【0026】
プレス機本体11の近傍には、定盤14上の受け治具18に連接してカードCの供給路38及び排出路39が設置されている。供給路38の上流端には、カードCを一枚ずつ積層したストッカ40が設けられ、また、排出路39の下流端には排出コンベヤ41が設置されている。
【0027】
供給路38及び排出路39にはカードCがその長手方向を搬送方向に向けて単列で送られる。ストッカ40に収容されたカードCは、その最下段から一枚ずつ供給路38上に送り込まれ、カードCの短辺部を互いに押圧することによって1ピッチずつ下流側へ搬送されるようになっている。受け治具18上には例えばカードCが一枚のみ支持されるようになっており、受け治具18上に送り込まれたカードCに対して所定のタイミングで熱盤12が下降し、転写箔19の転写パターンをカードC表面に形成するようにしている。
【0028】
転写箔19は、例えばホログラム箔からなり、図示せずとも透明なキャリアフィルムと、転写材と接着層等の複数層構造からなる。転写材は、当該転写箔19及びカードCの材質等で定まる最適な転写圧力、転写時間、転写温度等の条件下、刻印20で押圧される領域のみキャリアフィルムから剥離し、溶融した接着層を介してカードC表面へ転写される。
【0029】
なお、転写箔19は、プレス機本体11の正面に配置される巻出しローラ43から巻出され、途中、反転部材45によって略90度折り返され、プレス機本体11の左側面に配置される巻取りローラ44で巻き取られるようになっている。
【0030】
次に、本発明に係る変位計測ユニット50の構成について説明する。
【0031】
図1に示すように、変位計測ユニット50は、定盤14とプレス機本体11の基台部13との間に設置されている。図4は変位計測ユニット50の詳細図である。変位計測ユニット50は、ダイヤルゲージ51と、このダイヤルゲージ51をネジ部材54等を介して支持する略コの字形状の支持ブラケット52と、支持ブラケット52の上部に取り付けられたマグネット53とを備えている。
【0032】
ダイヤルゲージ51はダイヤルインジケータとも呼ばれ、公知のように、測定子51aの小さな移動量を歯車機構を使って指針の回転運動に拡大し測定値を読み取る計器であり、特に本実施の形態では、0.01mmオーダで測定子51aの変位を読み取り可能なものが用いられている。
【0033】
変位計測ユニット50は、定盤14と一体的な取付フランジ部55に対し、マグネット53を介して着脱自在となっている。また、ダイヤルゲージ51の測定子51aは、基台部13に取り付けられた基準ブロック56に螺合するボルト部材57の頂部に接触させており、当該ボルト部材57の頂部を基準点として、定盤14と基台部13との間の距離を測定するようになっている。
【0034】
次に、本発明に係る熱転写方法を、熱転写装置10の作用と併せて説明する。
【0035】
本発明に係る熱転写方法は、定盤14と熱盤12との間の距離と転写圧力との相関を示す関係式を導く工程と、当該関係式に基づいて熱盤12に対する定盤14の高さ位置を設定する工程とを有する。
【0036】
図5は熱盤12と定盤14との関係を説明する図である。熱盤12の下面に取り付けられている刻印20は図示する最上点位置と二点鎖線で示す最下点位置との間をストロークする。受け治具18に支持されたカードCは、転写箔19を介して刻印20に押圧される。カードCが受ける押圧力は、クランク機構25(図3)で発生した熱盤12のプレス力とカードC及び受け治具18のそれぞれの構成素材の弾性変形の反力との総和となっている。そして、刻印20が下死点に到達する直前位置でカードCに加圧力が生じ始め、刻印20の下死点で所定の転写圧力が作用するようになっている。
【0037】
そこで、刻印20の上死点から刻印20の下面がカードCの表面に接触し始める点までの距離をL値とし、このL値の変化量(ここでは減少量)に応じてカードCが受ける転写圧力をあらかじめ測定しておく。転写圧力の測定には、例えば図6に示すように、定盤14上にロードセル46及び金属プレート47を配置し、金属プレート47が受ける転写圧力をロードセル46で測定する。また、L値の計測は変位計測ユニット50を用い、刻印20が金属プレート47表面に接触し始めた点をゼロとして定盤14を上げていったときの指針値を読み取る。測定結果の一例を図7に示す。
【0038】
図7において、横軸はL値の変化量[mm]、縦軸は実加圧力(ロードセル46での測定値)[トン]を示している。L値と実加圧力との関係にはきわめて高い相関があり、1次の近似式Fであらわすことができる。図7では、相関係数0.9876、近似式がY=6.1204Xであらわされた例を示している。
【0039】
次に、上述のように導出された関係式を用いて定盤14の高さ位置を調整する手順について説明する。
【0040】
先ず、図4に示した変位計測ユニット50をマグネット53を介して定盤14の取付フランジ部55にセットし、ダイヤルゲージ51の測定子51aを基準ブロック56のボルト部材57頂部に接触させる。そして、プレス機本体11の加圧機構15を稼働させて熱盤12を下降させ、刻印20が下死点に到達する直前位置でかつ刻印20が転写箔19を介してカードCの表面に接触し始める位置で、ダイヤルゲージ51の目盛りをゼロリセットする。
【0041】
そこで、カードCに対する適正加圧力が既知である場合には、その適正加圧力(転写圧力)に相当するL値設定値となるように定盤を上下させることにより、短時間で容易に最適な熱転写条件を出すことが可能になる。具体的には、適正加圧力が2トンの場合、操作レバー21aを介して操作部材21を回動させて、L値設定値が0.33mmとなるよう定盤14の高さ位置を上げればよい。L値の読み取りは、ダイヤルゲージ51の指針に基づいて高精度に行うことができる。
【0042】
本実施の形態によれば、定盤14と熱盤12との間の距離と転写圧力との相関を示す関係式Fを導出し、この導出した関係式Fに基づいて熱盤12に対する定盤14の高さ位置を設定するようにしているので、カードCに対する最適な転写圧力の条件出しを迅速かつ高精度に行うことが可能となる。
【0043】
これにより、カードCへの加圧力を容易に間接的にモニターすることが可能となり、カードCの外観品質に大きく影響する箔転写状態を維持管理することができる。また、転写圧力の条件出しに要する時間的ロスを大幅に短縮でき、転写箔19及びカード基材の材料的ロスの低減を図ることができるので、品種交換が頻繁な被転写体に対しても容易に対応することができる。
【0044】
また、カードCの材料構成や転写パターンの大きさが変更された場合の新規の条件出しは、上述と同様な手順で熱盤−定盤間の距離と転写圧力との相関を示す関係式を導出し、その導出した関係式に基づいて定盤の高さ位置を調整するようにすればよい。あるいは、過去に収集・保存してある既知の適正貼付け条件データから類似の材料構成を選び出し、その適正転写圧力と転写パターンの大きさにより適正転写加圧力を求め、その値に対応したL値設定値になるようにダイヤルゲージ51を含む変位計測ユニット50を見ながら定盤14の高さ位置を調整することも可能である。これにより、新規のカード材料構成や大きさの違う転写箔で適正加圧力が不明であっても、最適な熱転写条件を早期に見つけることができる。
【0045】
一方、定盤14の高さ位置設定後の初期段階においては、熱盤12から幾度かの加圧作用を受けて若干、下方へ沈み込み、転写圧力が低下する場合がある。このような場合、定盤14の沈み込み量を変位計測ユニット50のダイヤルゲージ51で高精度に読み取ることができるので、この沈み込み量をキャンセルするように再び定盤14の高さ位置を調整することにより、最適な転写圧力を維持することができる。
【0046】
上述のような定盤14の高さ位置の補正工程を導入することにより、設定した定盤14の高さ位置の変動を早期かつ確実に検出することが可能となり、これにより転写箔貼付不良製品の大量発生を未然に防止できるとともに、品質の安定化を図ることができる。
【0047】
また、変位計測ユニット50は、定盤14の取付フランジ部55に対して容易に着脱することができるので、L値の確認をいつでも簡単に行うことができる。
【0048】
(第2の実施の形態)
図8及び図9は、本発明の第2の実施の形態を示している。なお、図において上述の第1の実施の形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
【0049】
本実施の形態では、変位計測ユニット60は、熱盤12と定盤14との間に設置されている。変位計測ユニット60は、ダイヤルゲージ51と、これをネジ部材64等を介して支持する支持ブラケット62と、支持ブラケット62の上面に取り付けられるマグネット63とを備えている。ダイヤルゲージ51の測定子51aは、支持ブラケット62の通孔62aを介して下方の受け治具18側に突出されている。
【0050】
本実施の形態において、変位計測ユニット60はマグネット63を介して熱盤12の下面に取り付けられる。そして、熱盤12と受け治具18との間の距離は、熱盤12の下降時におけるダイヤルゲージ51の測定子51aと受け治具18との当接作用によって計測するようにしている。
【0051】
したがって、本実施の形態によっても上述の第1の実施の形態と同様に高い精度で熱盤−定盤間の距離を計測することができるので、所望の転写圧力が得られるように定盤の高さ位置を設定することができる。
【0052】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0053】
例えば以上の各実施の形態では、変位計測ユニット50,60の構成要素にダイヤルゲージ51を用いたが、これに限らず、例えばレーザ変位計など基準点から対象物までの変位を計測できるものであれば何れのものも適用可能である。
【0054】
また、以上の各実施の形態では、被転写体としてプラスチック系カードCを例に挙げて説明したが、勿論これに限られず、紙やシート、プラスチック成形体等の熱転写工程にも、本発明は適用可能である。
【0055】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の熱転写方法によれば、あらかじめ定盤と熱盤との間の距離と転写圧力との相関を示す関係式を導いておき、被転写体の種類に対応して定まる最適な転写圧力を定盤の高さ位置を調整するようにしているので、条件出しのための時間的ロス及び材料的ロスを従来よりも大きく低減することが可能となる。
【0056】
また、本発明の熱転写装置によれば、定盤位置設定手段によって設定した熱盤と定盤との間の距離の変化量を計測する計測手段を設けたので、設定した定盤の高さ位置の変動を早期かつ確実に検出することが可能となり、これにより転写箔貼付不良製品の大量発生を未然に防止できるとともに、品質の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による熱転写装置10の側面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】熱転写装置10の加圧機構を説明する要部側面図である。
【図4】変位計測ユニット50の構成を説明する要部拡大図である。
【図5】熱盤12と定盤14との関係を説明する模式図である。
【図6】転写圧力の測定原理を説明する模式図である。
【図7】L値の変化量と実加圧力との関係を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態による変位計測ユニットの正面図である。
【図9】図8における[9]−[9]線方向断面図である。
【図10】従来の熱転写装置の概略構成図である。
【符号の説明】
10…熱転写装置、11…プレス機構、12…熱盤、13…基台部、14…定盤、15…加圧機構、16…駆動モータ、18…受け治具、19…転写箔、20…刻印、21…操作部材(定盤高さ位置調整手段)、22…ガイドロッド、25…クランク機構、26…トグル機構、50,60…変位計測ユニット、51…ダイヤルゲージ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばプラスチックカード等の被転写体の表面にホログラムやサインパネル等の箔を熱転写するための熱転写方法及び熱転写装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱転写を行う場合、仕上がり状態を大きく左右する要因の重要なものとして、転写温度、転写時間、転写圧力がある。これらの条件は、被転写体の材質、転写箔の材質、使用する接着剤の種類等によって異なり、中でも転写圧力は個々に適切な値が要求される。ここで、転写圧力とは、熱転写装置内で発生される加圧力を熱盤(刻印)と被転写体との接触面積で割った値であり、この面積が変化しない場合に加圧力に比例するものである。
【0003】
近年、クレジットカードやプリペイドカード、ICカード等のプラスチック系カードには、その表面又は裏面にホログラム箔やサインパネルを熱転写法(ホットスタンプ)で貼り付けたものがある。転写箔とプラスチック系カードとの貼付けにおいて要求される品質には転写強度、転写均一性、外形輪郭部のシャープさ等があり、それらは熱転写時の転写圧力に大きく左右される。例えば転写圧力が低いと転写されない、転写強度が弱く容易に剥がれる、転写パターンの形状の輪郭がはっきりしない等の品質不良となる。一方、転写圧力が大きすぎるとカードに転写された箔の形状の輪郭部でカード表面に凹みダメージを発生させる。
【0004】
熱転写装置の構成としては種々のものがあり、例えば、被転写体を支持する定盤と、被転写体に対向配置される熱盤(刻印)と、熱盤を転写箔を介して被転写体へ押し付ける加圧機構を有するプレス機本体とを備えるタイプの熱転写装置(下記特許文献1参照)や、図10に示すように、一端を自由端とするスタンプアーム102と、該自由端に配置され被転写体108にホットスタンプ箔110を転写するスタンプ部103と、スタンプアーム102の略中央部に設けられた回動軸109と、スタンプアーム102の他端側に配置されスタンプ部103に押圧荷重をかける加圧機構104と、加圧機構104を駆動する駆動部105とを備えるタイプの熱転写装置101(下記特許文献2参照)などがある。
【0005】
【特許文献1】
実公平5−23334号公報
【特許文献2】
特開2002−131154号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
被転写体への転写圧力は、被転写体を支持する定盤の高さ位置を調整することによって制御される。例えば、転写面積が900mm2 程度の場合、その際に貼付け品質を確保できる適正転写面圧力領域の幅は加圧力で約0.5トン(総荷重の±30%程度)と狭いものであり、この適正面圧領域を見つけ出し、いかに早く無駄なく熱転写装置の条件設定できるかが重要になっている。
【0007】
しかしながら、転写圧力は直接モニタすることができないために、転写圧力を最適値に容易に合わせることができないという問題がある。特に、ICを含むクレジットカード等の生産ロットは小さく品種交換が頻繁であるため、その度に最適な転写圧力の条件出しをしなければならない。しかし現状では、実ワークでの状態確認で行っており、このための時間的ロス及びカード材、転写箔等の材料的なロスも無視できない。
【0008】
また、一度設定した転写圧力が、装置運転後しばらく経って僅かながらも減少するケースも珍しくない。これは、定盤がプレス機の基台部に対してネジ機構によって高さ調整される機構的な問題に起因しており、熱盤から押圧荷重を受けることによりネジ溝内で僅かに基台部側に沈み込む傾向があるからである。この沈み込み量は転写圧力にも当然反映される。したがって、たとえ最適な高さ位置に定盤を設定しても、このまま最適な転写圧力を維持できるとは限らない。
【0009】
なお、上記特許文献2には、スタンプアーム102に歪ゲージ106を取り付け、その検出値に基づいてスタンプ部103を設定した荷重で押圧するように駆動部105を制御するコントローラ107を設けた構成が開示されているが、スタンプ荷重あるいは転写圧力は、定盤の高さ位置の僅かな変化に対してもリニアに反映される傾向があるため、上記特許文献2の構成で高精度な荷重検出を行えるかどうかは不明なところがある。
【0010】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、時間的ロス及び材料的ロスを最小限に抑えて最適な転写圧力の条件出しを高精度に行うことができる熱転写方法及び熱転写装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するに当たり、本発明の熱転写方法は、定盤に支持された被転写体の表面に転写箔を介して熱盤を押し付け、被転写体の表面に転写パターンを形成する熱転写方法であって、定盤と熱盤との間の距離と転写圧力との相関を示す関係式を導く工程と、当該関係式に基づいて、熱盤に対する定盤の高さ位置を設定する工程とを有する。
【0012】
本発明では、あらかじめ定盤と熱盤との間の距離と転写圧力との相関を示す関係式を導いておき、被転写体の種類に対応して定まる最適な転写圧力を定盤の高さ位置を調整することによって得るようにしている。これにより、条件出しのための時間的ロス及び材料的ロスを従来よりも大きく低減することが可能となる。
【0013】
また、本発明の熱転写装置は、被転写体を支持する定盤と、被転写体に対向配置される熱盤と、熱盤を転写箔を介して被転写体へ押し付ける加圧機構を有するプレス機本体と、プレス機本体の基台部に対する定盤の高さ位置を設定するための定盤位置設定手段と、定盤位置設定手段によって設定した熱盤と定盤との間の距離の変化量を計測する計測手段とを備えたことを特徴としている。
【0014】
この構成によれば、設定した定盤の高さ位置の変動を早期かつ確実に検出することが可能となり、これにより転写箔貼付不良製品の大量発生を未然に防止できるとともに、品質の安定化を図ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1〜図3は本発明の第1の実施の形態による熱転写装置10を示している。ここで、図1は熱転写装置10の側面図、図2は同平面図、図3は熱転写装置10の加圧機構を模式的に示すプレス機本体の内部構成図である。
【0017】
熱転写装置10は、プレス機本体11の加圧機構15によって上下方向へ所定距離往復移動可能な熱盤12と、プレス機本体11の基台部13に取り付けられた定盤14と、定盤14の高さ位置を設定する際に用いられる変位計測ユニット50とを備えている。
【0018】
定盤14の上には被転写体としてプラスチック系カード(以下、単に「カード」という。)Cを支持する合成樹脂製の受け治具18が備え付けられており、熱盤12の下面には受け治具18上のカードC表面に転写箔19の転写パターンを形成するための金属でなる刻印20が取り付けられている。カードCは熱盤12の下降動作により転写箔19を介して刻印20のプレス作用を受け、刻印20のプレス面の形状に対応する転写箔19の転写パターンがカードC表面に形成されるようになっている。
【0019】
定盤14は、基台部13に対してその高さ位置の調整が可能に取り付けられている。定盤14の高さ位置の調整は、周面から複数本の操作レバー21aが突出する環状の調整部材21の回動操作によって行われる。すなわち、定盤14の軸部14aと操作部材21とはネジ機構を介して連結されており、操作部材21の回動方向及び回動量によって基台部13に対する定盤14の移動方向及び変位量が決定される。なお、調整部材21には定盤14の変位量の目安を示す目盛り等が付されているのが好ましい。
【0020】
次に、プレス機本体11の加圧機構15について図3を参照して説明する。
【0021】
熱盤12はガイドロッド22の下端部に取付板23を介して取り付けられている。ガイドロッド22は、駆動モータ16の回転力を直線運動に変換するクランク機構25及びクランク機構25の直線運動をガイドロッド22の昇降運動に変換するトグル機構26を介して、軸方向に移動可能とされている。
【0022】
クランク機構25は、プレス機本体11の側部に設置される駆動モータ16と、駆動モータ16の駆動軸16aに対し歯車機構を介して連結され紙面垂直方向へ延在する変換軸(図示略)と、この変換軸の先端に取り付けられ駆動軸16aの回転駆動力により回転運動する回転部材27と、この回転部材27の偏心位置に軸28を介して一端が連結される連結シャフト29とで構成されている。
【0023】
一方、トグル機構26は、連結シャフト29と、連結シャフト29の他端側に軸30を介して連結される第1,第2のリンク部材31,32とを有し、第1のリンク部材31の先端は軸33を介してプレス機本体11と一体的なブラケット34に連結され、第2のリンク部材32の先端は軸35を介してガイドロッド22と一体的な連結板36に連結されている。
【0024】
以上の構成により、駆動モータ16の回転駆動力は、回転部材27の回転運動を介して、回転部材27の回転中心とは偏心した位置に一端が連結された連結シャフト29の直線運動に変換されることになる。そして、この連結シャフト29の直線運動は、第1,第2リンク部材31,32を介してガイドロッド22の昇降運動に変換される。以上のようにして、定盤14に対する熱盤12の所定長の上下往復移動が実現される。
【0025】
次に、プレス機本体11の周辺構成について説明する。
【0026】
プレス機本体11の近傍には、定盤14上の受け治具18に連接してカードCの供給路38及び排出路39が設置されている。供給路38の上流端には、カードCを一枚ずつ積層したストッカ40が設けられ、また、排出路39の下流端には排出コンベヤ41が設置されている。
【0027】
供給路38及び排出路39にはカードCがその長手方向を搬送方向に向けて単列で送られる。ストッカ40に収容されたカードCは、その最下段から一枚ずつ供給路38上に送り込まれ、カードCの短辺部を互いに押圧することによって1ピッチずつ下流側へ搬送されるようになっている。受け治具18上には例えばカードCが一枚のみ支持されるようになっており、受け治具18上に送り込まれたカードCに対して所定のタイミングで熱盤12が下降し、転写箔19の転写パターンをカードC表面に形成するようにしている。
【0028】
転写箔19は、例えばホログラム箔からなり、図示せずとも透明なキャリアフィルムと、転写材と接着層等の複数層構造からなる。転写材は、当該転写箔19及びカードCの材質等で定まる最適な転写圧力、転写時間、転写温度等の条件下、刻印20で押圧される領域のみキャリアフィルムから剥離し、溶融した接着層を介してカードC表面へ転写される。
【0029】
なお、転写箔19は、プレス機本体11の正面に配置される巻出しローラ43から巻出され、途中、反転部材45によって略90度折り返され、プレス機本体11の左側面に配置される巻取りローラ44で巻き取られるようになっている。
【0030】
次に、本発明に係る変位計測ユニット50の構成について説明する。
【0031】
図1に示すように、変位計測ユニット50は、定盤14とプレス機本体11の基台部13との間に設置されている。図4は変位計測ユニット50の詳細図である。変位計測ユニット50は、ダイヤルゲージ51と、このダイヤルゲージ51をネジ部材54等を介して支持する略コの字形状の支持ブラケット52と、支持ブラケット52の上部に取り付けられたマグネット53とを備えている。
【0032】
ダイヤルゲージ51はダイヤルインジケータとも呼ばれ、公知のように、測定子51aの小さな移動量を歯車機構を使って指針の回転運動に拡大し測定値を読み取る計器であり、特に本実施の形態では、0.01mmオーダで測定子51aの変位を読み取り可能なものが用いられている。
【0033】
変位計測ユニット50は、定盤14と一体的な取付フランジ部55に対し、マグネット53を介して着脱自在となっている。また、ダイヤルゲージ51の測定子51aは、基台部13に取り付けられた基準ブロック56に螺合するボルト部材57の頂部に接触させており、当該ボルト部材57の頂部を基準点として、定盤14と基台部13との間の距離を測定するようになっている。
【0034】
次に、本発明に係る熱転写方法を、熱転写装置10の作用と併せて説明する。
【0035】
本発明に係る熱転写方法は、定盤14と熱盤12との間の距離と転写圧力との相関を示す関係式を導く工程と、当該関係式に基づいて熱盤12に対する定盤14の高さ位置を設定する工程とを有する。
【0036】
図5は熱盤12と定盤14との関係を説明する図である。熱盤12の下面に取り付けられている刻印20は図示する最上点位置と二点鎖線で示す最下点位置との間をストロークする。受け治具18に支持されたカードCは、転写箔19を介して刻印20に押圧される。カードCが受ける押圧力は、クランク機構25(図3)で発生した熱盤12のプレス力とカードC及び受け治具18のそれぞれの構成素材の弾性変形の反力との総和となっている。そして、刻印20が下死点に到達する直前位置でカードCに加圧力が生じ始め、刻印20の下死点で所定の転写圧力が作用するようになっている。
【0037】
そこで、刻印20の上死点から刻印20の下面がカードCの表面に接触し始める点までの距離をL値とし、このL値の変化量(ここでは減少量)に応じてカードCが受ける転写圧力をあらかじめ測定しておく。転写圧力の測定には、例えば図6に示すように、定盤14上にロードセル46及び金属プレート47を配置し、金属プレート47が受ける転写圧力をロードセル46で測定する。また、L値の計測は変位計測ユニット50を用い、刻印20が金属プレート47表面に接触し始めた点をゼロとして定盤14を上げていったときの指針値を読み取る。測定結果の一例を図7に示す。
【0038】
図7において、横軸はL値の変化量[mm]、縦軸は実加圧力(ロードセル46での測定値)[トン]を示している。L値と実加圧力との関係にはきわめて高い相関があり、1次の近似式Fであらわすことができる。図7では、相関係数0.9876、近似式がY=6.1204Xであらわされた例を示している。
【0039】
次に、上述のように導出された関係式を用いて定盤14の高さ位置を調整する手順について説明する。
【0040】
先ず、図4に示した変位計測ユニット50をマグネット53を介して定盤14の取付フランジ部55にセットし、ダイヤルゲージ51の測定子51aを基準ブロック56のボルト部材57頂部に接触させる。そして、プレス機本体11の加圧機構15を稼働させて熱盤12を下降させ、刻印20が下死点に到達する直前位置でかつ刻印20が転写箔19を介してカードCの表面に接触し始める位置で、ダイヤルゲージ51の目盛りをゼロリセットする。
【0041】
そこで、カードCに対する適正加圧力が既知である場合には、その適正加圧力(転写圧力)に相当するL値設定値となるように定盤を上下させることにより、短時間で容易に最適な熱転写条件を出すことが可能になる。具体的には、適正加圧力が2トンの場合、操作レバー21aを介して操作部材21を回動させて、L値設定値が0.33mmとなるよう定盤14の高さ位置を上げればよい。L値の読み取りは、ダイヤルゲージ51の指針に基づいて高精度に行うことができる。
【0042】
本実施の形態によれば、定盤14と熱盤12との間の距離と転写圧力との相関を示す関係式Fを導出し、この導出した関係式Fに基づいて熱盤12に対する定盤14の高さ位置を設定するようにしているので、カードCに対する最適な転写圧力の条件出しを迅速かつ高精度に行うことが可能となる。
【0043】
これにより、カードCへの加圧力を容易に間接的にモニターすることが可能となり、カードCの外観品質に大きく影響する箔転写状態を維持管理することができる。また、転写圧力の条件出しに要する時間的ロスを大幅に短縮でき、転写箔19及びカード基材の材料的ロスの低減を図ることができるので、品種交換が頻繁な被転写体に対しても容易に対応することができる。
【0044】
また、カードCの材料構成や転写パターンの大きさが変更された場合の新規の条件出しは、上述と同様な手順で熱盤−定盤間の距離と転写圧力との相関を示す関係式を導出し、その導出した関係式に基づいて定盤の高さ位置を調整するようにすればよい。あるいは、過去に収集・保存してある既知の適正貼付け条件データから類似の材料構成を選び出し、その適正転写圧力と転写パターンの大きさにより適正転写加圧力を求め、その値に対応したL値設定値になるようにダイヤルゲージ51を含む変位計測ユニット50を見ながら定盤14の高さ位置を調整することも可能である。これにより、新規のカード材料構成や大きさの違う転写箔で適正加圧力が不明であっても、最適な熱転写条件を早期に見つけることができる。
【0045】
一方、定盤14の高さ位置設定後の初期段階においては、熱盤12から幾度かの加圧作用を受けて若干、下方へ沈み込み、転写圧力が低下する場合がある。このような場合、定盤14の沈み込み量を変位計測ユニット50のダイヤルゲージ51で高精度に読み取ることができるので、この沈み込み量をキャンセルするように再び定盤14の高さ位置を調整することにより、最適な転写圧力を維持することができる。
【0046】
上述のような定盤14の高さ位置の補正工程を導入することにより、設定した定盤14の高さ位置の変動を早期かつ確実に検出することが可能となり、これにより転写箔貼付不良製品の大量発生を未然に防止できるとともに、品質の安定化を図ることができる。
【0047】
また、変位計測ユニット50は、定盤14の取付フランジ部55に対して容易に着脱することができるので、L値の確認をいつでも簡単に行うことができる。
【0048】
(第2の実施の形態)
図8及び図9は、本発明の第2の実施の形態を示している。なお、図において上述の第1の実施の形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
【0049】
本実施の形態では、変位計測ユニット60は、熱盤12と定盤14との間に設置されている。変位計測ユニット60は、ダイヤルゲージ51と、これをネジ部材64等を介して支持する支持ブラケット62と、支持ブラケット62の上面に取り付けられるマグネット63とを備えている。ダイヤルゲージ51の測定子51aは、支持ブラケット62の通孔62aを介して下方の受け治具18側に突出されている。
【0050】
本実施の形態において、変位計測ユニット60はマグネット63を介して熱盤12の下面に取り付けられる。そして、熱盤12と受け治具18との間の距離は、熱盤12の下降時におけるダイヤルゲージ51の測定子51aと受け治具18との当接作用によって計測するようにしている。
【0051】
したがって、本実施の形態によっても上述の第1の実施の形態と同様に高い精度で熱盤−定盤間の距離を計測することができるので、所望の転写圧力が得られるように定盤の高さ位置を設定することができる。
【0052】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0053】
例えば以上の各実施の形態では、変位計測ユニット50,60の構成要素にダイヤルゲージ51を用いたが、これに限らず、例えばレーザ変位計など基準点から対象物までの変位を計測できるものであれば何れのものも適用可能である。
【0054】
また、以上の各実施の形態では、被転写体としてプラスチック系カードCを例に挙げて説明したが、勿論これに限られず、紙やシート、プラスチック成形体等の熱転写工程にも、本発明は適用可能である。
【0055】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の熱転写方法によれば、あらかじめ定盤と熱盤との間の距離と転写圧力との相関を示す関係式を導いておき、被転写体の種類に対応して定まる最適な転写圧力を定盤の高さ位置を調整するようにしているので、条件出しのための時間的ロス及び材料的ロスを従来よりも大きく低減することが可能となる。
【0056】
また、本発明の熱転写装置によれば、定盤位置設定手段によって設定した熱盤と定盤との間の距離の変化量を計測する計測手段を設けたので、設定した定盤の高さ位置の変動を早期かつ確実に検出することが可能となり、これにより転写箔貼付不良製品の大量発生を未然に防止できるとともに、品質の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による熱転写装置10の側面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】熱転写装置10の加圧機構を説明する要部側面図である。
【図4】変位計測ユニット50の構成を説明する要部拡大図である。
【図5】熱盤12と定盤14との関係を説明する模式図である。
【図6】転写圧力の測定原理を説明する模式図である。
【図7】L値の変化量と実加圧力との関係を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態による変位計測ユニットの正面図である。
【図9】図8における[9]−[9]線方向断面図である。
【図10】従来の熱転写装置の概略構成図である。
【符号の説明】
10…熱転写装置、11…プレス機構、12…熱盤、13…基台部、14…定盤、15…加圧機構、16…駆動モータ、18…受け治具、19…転写箔、20…刻印、21…操作部材(定盤高さ位置調整手段)、22…ガイドロッド、25…クランク機構、26…トグル機構、50,60…変位計測ユニット、51…ダイヤルゲージ。
Claims (8)
- 定盤に支持された被転写体の表面に転写箔を介して熱盤を押し付け、前記被転写体の表面に転写パターンを形成する熱転写方法であって、
前記定盤と前記熱盤との間の距離と転写圧力との相関を示す関係式を導く工程と、
前記関係式に基づいて、前記熱盤に対する前記定盤の高さ位置を設定する工程とを有する
ことを特徴とする熱転写方法。 - 前記定盤の高さ位置を設定する工程の後に、当該設定した定盤の高さ位置を補正する工程を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の熱転写方法。 - 被転写体を支持する定盤と、前記被転写体に対向配置される熱盤と、前記熱盤を転写箔を介して前記被転写体へ押し付ける加圧機構を有するプレス機本体と、前記プレス機本体の基台部に対する前記定盤の高さ位置を設定するための定盤位置設定手段とを備えた熱転写装置において、
前記定盤位置設定手段によって設定した前記熱盤と前記定盤との間の距離の変化量を計測する計測手段を備えた
ことを特徴とする熱転写装置。 - 前記計測手段が、前記定盤と前記基台部との間に設置されている
ことを特徴とする請求項3に記載の熱転写装置。 - 前記計測手段が、前記定盤に対して着脱自在とされる
ことを特徴とする請求項4に記載の熱転写装置。 - 前記計測手段が、前記熱盤と前記定盤との間に設置されている
ことを特徴とする請求項3に記載の熱転写装置。 - 前記計測手段が、前記熱盤に対して着脱自在とされる
ことを特徴とする請求項6に記載の熱転写装置。 - 前記計測手段が、ダイヤルゲージである
ことを特徴とする請求項3に記載の熱転写装置。
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JP2003017852A JP2004224007A (ja) | 2003-01-27 | 2003-01-27 | 熱転写方法及び熱転写装置 |
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2003
- 2003-01-27 JP JP2003017852A patent/JP2004224007A/ja active Pending
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